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キャプチュード・プアーズ・イン・ヤクザダンジョン

#サイバーザナドゥ

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#サイバーザナドゥ


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●イリーガル・レイバー
 グリモアベースの一角、「依頼あり」「人手求む」とショドーされたノボリの下に、田丸・多摩(謎の裏方お姐さん・f09034)はいた。オブリビオンによってもたらされる悲劇を感知した彼女は、その阻止のために猟兵たちの助力を欲しているのである。

「皆さんご存知かとは思いますが、サイバーザナドゥ世界は経済力に物を言わせたメガコーポによって、社会を牛耳られています。そして当然と言いましょうか、それら悪徳企業のほぼ全ては、ヤクザと密な関係にあります」集まった猟兵たちにチャとタイヤキを振る舞いつつ、多摩は言った。

 非合法の暴力組織であるヤクザは、無論、カネを稼ぐにも非合法な手段を使う。違法金融業の経営などは、その典型的な例の一つだろう。たとえ何かの手違いででもカネを借りてしまったら最後、法外な金利によって一年も経たぬうちに首が回らなくなるだろう。

 さらに、そんな債務者の身柄を懇意のメガコーポに預けてマージンを得る、というビジネスもある。債務者はメガコーポの運営する違法な工場などに監禁され、昼夜を問わぬ労働に従事する。与えられる給金は法外な金利を上回ることはなく、彼らは永遠に労力を搾取され続けるのだ。

 この地獄めいた搾取システムが発揮される様は、腐敗したサイバーザナドゥの社会においてはありふれたチャメシ・インシデントだ。しかし、だからそれを捨て置いて良いという道理はない。「今回、皆さんにはヤクザ自身が経営する工場を襲撃してもらいます」多摩は言った。

「安全性を欠く安価な素材で、フェイクアナゴを製造する工場です」多摩はテーブルに数枚の写真を並べた。工場の内部を写したものらしく、労働者たやそれを監視するヤクザの様子がわかる。「それらは高級天然アナゴと偽って販売され、ヤクザには利益を、社会には健康被害をもたらしています」

 誰の目にも明らかな違法行為だが、これまで警察は動かずにいた。警察上層部は、強欲な者は賄賂によって懐柔されているし、気骨がある者でも家族の命を狙われるなどして脅迫されている。ゆえに、彼らは八割方が無法者どもの走狗と成り下がっているのが実情なのだ。

 しかし、今回は違う。正義と社会秩序のために覚悟を決めた極少数の警官たちが、工場への突入を計画しているらしい。「彼らは、その心意気に相応しき剛の者ばかりです。下っ端のヤクザ程度が相手であれば、後れは取りますまい。しかし……」多摩の目がカミソリめいて細められる。

「流石にオブリビオンが相手となれば、間違いなく返り討ちに遭うでしょう」超常存在とそうでない者との間には、気持ち一つで埋めるには大きすぎる実力差がある。「サイバーザナドゥにあって、彼らのような存在は貴重です。犬死にさせたくありません。そこで、皆さんの力を借りたいのです」

 作戦は大きく三つのフェーズに分けられる。第一に、警官たちと共に工場に突入し、労働者らを救出しつつ非オブリビオンのレッサーヤクザを倒す。第二に、オブリビオン化したグレーターヤクザが加勢に現れるので、これを倒す。第三に、さらに工場の奥へと侵入し、オヤブンを倒す。

 警官たちには、労働者らの保護を名目に第二フェーズの前に工場から脱出してもらう。ついでに、諸々の事後処理も任せることになるだろう。「敵は容易ならざる手練ればかりですが、皆さんならば勝てると信じております。どうぞ皆さん、油断なさいませんよう」多摩はそう言って、奥ゆかしく一礼した。


大神登良
 オープニングをご覧いただき、ありがとうございます。|大神《おおかみ》|登良《とら》です。

 OPをご覧になってお察しいただけた方もいらっしゃるでしょうが、某有名ニンジャ作品風味な文体によるリプレイになる予定です。
 ただし、かの世界のローカルルールは一切適用されません(例えば、事前に挨拶せずに殴りかかっても誰も怒らないし、ペナルティも発生しません)ので、元ネタがわからない方も気になさらずプレイングをお書きください。
 文章をニンジャ風にする作業は大神の方で勝手に行いますので、プレイングは通常通りの書き方でお送りいただいて大丈夫です。
 また、特に指定がない限りは、猟兵の台詞の中にそれらしいスラングを盛り込むことはいたしません。

 第一章は、工場への襲撃になります。警官たちとの共闘になりますが、特に猟兵からの援護がなくとも彼らに大きな被害は出ません。また、非オブリビオンのヤクザらもまあまあ外道ばかりなので、勢い余って殺害してしまっても特に罪には問われません。ただ、殺さず戦闘力を奪って逮捕するのもそう難しくはないでしょう。
 第二章は、集団オブリビオンとの戦闘です。
 第三章は、ボスオブリビオンとの戦闘です。

 それでは、皆様のご参加を心よりお待ちしております。
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第1章 冒険 『ヤクザの強制労働を終わらせろ!』

POW   :    正面から堂々と殴り込んで店や施設を破壊する

SPD   :    施設や店に忍び込んで内部から人々を助け出す

WIZ   :    ヤクザや施設関係を買収或いは説得する

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●マッポー・マッポ
「我は死す/正義は死なず/悔いはない」……ハセ警部の胸ポケットには、ハイク(短い詩。死を前にした際に詠む慣習がある)がショドーされた短冊が忍ばせてある。彼が死んだ場合、あるいは誰にも見つからず捨て置かれる可能性も高い。それでも構うまい。覚悟は彼自身の胸の内にある。

 この作戦はハセの独断であって、署長の許可は得ていない。それでも十二人の警官が彼に同行してくれた。皆、ハセと同じように決死の覚悟を持っている。無論、可能な限りの武装はしている。頑丈なライオットシールド、強力なマッポ・マシンガンなどだ。それでも分が悪いことは、誰もが理解していた。

 地下工場へとつながる鋼鉄の門扉の前で、都合十三人の勇士たちは一旦立ち止まる。「……ここから先は、死地だ」ハセは言って、懐から取り出したアンパンを頭上に掲げた。それに合わせて、他の警官たちも同様にアンパンを取り出して掲げる。さらに、逆の手には牛乳のパックも握られている。

「行くぞ!」ハセが叫ぶと同時、十三人は一口にアンパンを頬張り、さらに一気に牛乳で流し込んだ。アンパンと牛乳は、警官という職に就く者にとって伝統的に神聖な食事である。

 必死の戦いが始まろうとしていた。
メルティア・サーゲイト
「ドーモ、サチュレイターです」
 アイサツは大事だ。古事記にも書かれている。
「正面から行かせてもらう。生憎それしか能が無い……って訳でも無いがそういう気分なんだ」

「現在降伏を受け付けています。10、9、8……ヒャア! がまんできねえ0だァ!」
 右手のガトリングカノンと左手のレールキャノンを|六銃身化《ガトリング》して撃ちまくるぜ。え、ガトリングを|六銃身化《ガトリング》化してどうするって? 射撃レートが6倍、すなわち100倍の破壊力になるんだぜ。アサルトブーストで突っ込みながら撃ちまくる。薄い遮蔽はぶち抜くし、跳弾も使うぜ。
「這い蹲って命乞いしてみろ! 運が良ければ生き残れるかもなァ?」


アマネク・アラニェ
アドリブ・連携歓迎
SPD

「腐敗と退廃の世界にも、
まだ正義は潰えてないわけね。
確かに犬死にさせるわけにはいかないわ」
[迷彩プログラム:外法]で姿を隠して工場の中へ。
監視カメラ等のセキュリティに電脳魔術で『ハッキング』を仕掛ける。
セキュリティを無防備にしておけば動きやすくなるはず。
労働者たちの居場所の確認もできたら、そこへの経路を
警察官や他の猟兵側へも共有しておきたいわね。
アタシの居場所を突き止めてきたヤクザ相手にはUC【拾封絡縛】で対応。
壁や床に、あるいはヤクザ同士でべったり引っ付けて動きを封じるわ。
命はとらない。きちんと逮捕してもらって、
お巡りさんたちの手柄になってちょうだいな。


迅雷・電子
【心情】要するに警官の皆さん達とヤーさん達のいる工場行って取っ捕まえりゃいいってことだね。よっし!(四股を踏みつつ)はりきっていくよ!どすこーい!

【作戦】格好は私服(どんなのかはおまかせ。下はズボン系)
警官達と突入。ヤクザが襲いかかってきたら【見切り】で回避か、【怪力】で受け止めるよ!そしてどんどん張り手での【気絶攻撃】でヤクザ達を気絶させていくよ!数が多いと思ったら被害の出ない壁などに向かって雷電張り手を繰り出して破壊力を見せて【恐怖を与え】て戦意を喪失させたりもしようかね!一般人はあんまり傷つけたくないんださっさと投降しな!(絡み・アドリブOK)



●クラッシュ・デスノボリ
「なるほど……腐敗と退廃の世界にも、まだ潰えていない正義があったわけね」「!?」アマネク・アラニェ(ユビキタス・アラニェ・f17023)の声に、警官たちは驚いて振り返った。

 無理もあるまい。アマネクはつい先ほど、グリモアベースからテレポートしてきたばかりだ。何もなかったはずの空間に突然女が出現し、声を掛けてきたとなれば、驚いてしかるべきだろう。

 テレポートしてきたのは彼女だけではない。アマネクの横には、ざっと二メートル半の高さのある鋼の人型が立っている。ウォーマシンのメルティア・サーゲイト(人形と鉄巨人のトリガーハッピー・f03470)だ。「ドーモ、サチュレイターです」奥ゆかしくヒーローネームを名乗り、オジギした。

「ドーモ。ハセ・ヘイゾです」指揮官らしき警官がアイサツを返しつつ、訝しげな視線を送ってくる。「何者だ?」「ハハハ! 我々は猟兵だ」ハセの問いに、メルティアは豪快に笑いながら答えた。それを聞いた警官たちの間に、どよめきが走る。「猟兵?」「噂には聞いていたが」「本物?」

「もちろん、本物だよ」メルティアのさらに横、迅雷・電子(女雷電・f23120)が己の胸をドンと叩きながら言う。「あんたらに協力しに来たんだ。今から工場に突入して、ヤーさんを捕まえりゃいいんだろ? あたしらは強いよ。絶対役に立つ」

「ヤクザのヒットマンでは?」警官の一人が、ハセに耳打ちする。ハセは一瞬だけ考えてから、首を横に振った。「それなら我々は今ごろアンブッシュされて全滅している。本物の猟兵だ」ハセは猟兵らに向かって深々とオジギをした。「願ってもない援軍だ。どうか手を貸してほしい」

「よっし! それじゃあ早速……この扉を吹っ飛ばせばいいんだよね?」電子は鋼鉄の扉の前に立ち、四股を踏んだ。細身の彼女が生み出しているにしては異様といえる重々しい衝撃が、地面を揺らし、大気を震わせる。「どすこーい!」

 電子の張り手が一閃し、扉に打ち付けられた。KRASH! 恐るべき頑丈さと重さを持つはずの扉は、その一撃でひしゃげ、吹き飛ぶ! 間髪入れず、警官たちと猟兵たちとが工場の中へと雪崩れ込む!

 工場の中は、機械油や違法食品粉末のケミカルな臭い、そして人間の汗の臭いに満ちている。そんな中、顔色が悪くなるまで働かされている労働者がひしめき合っているわけだが、彼らは唐突に訪れた状況について行けず、唖然とした顔で闖入者らに注目していた。

「ハッチョボリ・ポリスだ! これより違法工場を摘発する!」ハセの声が工場の隅々まで響き渡る。威厳のある声だ。すると、労働者らをかき分けるようにして、タイガーめいたストライプのスーツを着込んだ男が進み出てきた。「アー、アー、お待ちを! お待ちを!」

 あからさまにヤクザである。しかし、その顔にはヤクザらしからぬ温厚そうな笑顔が貼り付いていた。「アー、お勤めご苦労様です、ポリスの皆さん。エート、何と言いました? 摘発? 手違いに違いありません。この工場は実際合法です。違法は一切ない」

 見え透いた欺瞞! しかし、この程度の言い訳で通用するとヤクザは確信していた。ハッチョーボリ・ポリスの署長には、娘の出産祝いをオヤブンの名義で贈ったばかりだ。賄賂……それだけでなく、彼らに逆らうような真似をすればいつでも爆弾やヒットマンをプレゼントできるという、脅迫でもある。

 しかし、警官たちも猟兵たちも、ヤクザの言葉を決然と無視する。メルティアは右腕にマウントされたガトリングガンと、左腕にマウントされたレールキャノンとを、ヤクザへと向けた。「現在降伏を受け付けています。ただし、あと十数える間だけ」「エート……」ヤクザの顔を汗が伝う。

 ハッタリか? 否、とヤクザのニューロンが告げる。メルティアも、他の警官たちも、本気のアトモスフィアを纏っている。「十……九……八……」カウントダウンがゼロに達すれば、メルティアは躊躇なく引き金を引くだろう。思いがけず死の淵に立たされたヤクザの顔から、笑みが消える。

「ザッケンナコラー!」シャウトと同時、ヤクザは左の胸元からオートマチック・ヤクザガンを抜いた。素晴らしく速いクイックドロウ……ただし、人間にしては。超常存在たる猟兵からすれば、あくびが出るほどにスローだ。

「ヒャア我慢できねぇゼロだァ!」叫ぶより先に、メルティアは両手の武装から発砲! BRRRRTTTTTTT! 【CODE GATLING RULER(コードガトリングルーラー)】で銃身が六倍となった武装は射撃レートが六倍になっており、破壊力は実際百倍!

「アバーッ!?」「アイエエエエ!?」まき散られた銃弾が、嵐のように周囲のあらゆる物を叩いていく。ロボットアームがへし折られ、ベルトコンベアーがちぎられ、違法液状食品の詰まったタンクがスイスチーズめいて穴だらけとなる。ヤクザは失禁して倒れ、労働者らは逃げ惑う。

「運が良ければ生き残れるかもなァ!」メルティアは露悪的に哄笑する。ただし、無差別に全てを破壊に掛かっているように見えて、労働者や警官、猟兵には一発たりとも流れ弾を出すようなウカツはしていない。

 仲間たちもそのワザマエを信頼しきっており、一切の躊躇もなく銃撃に合わせた突撃を敢行する。「確保しろ!」「ゴヨーだ!」「ゴヨーだ!」ハセの号令の下、警官たちは工場の奥へと工場の奥へと突き進んだ。ついでに、通り道に転がっていたヤクザに手錠をはめて逮捕する。

 にわかに発生した狂乱のパーティーに、武装したヤクザらが大挙して急行してくる。「ザッケンナコラー!」「スッゾオラー!」ヤクザスラングを吐きながら、ヤクザマシンガンやヤクザショットガンを示威的に振り回している。コワイ!

 ヤクザスラングは人々の本能に刻まれた恐怖を呼び起こす言葉だ。だが、超常存在たる猟兵にとって、また不退転の覚悟を決めた警官にとって、そんなものは小犬の吠え声同然。労働者らがおののく中、全身を光学迷彩で包んだ影なき影が、わずかの淀みもなく駆ける……アマネクだ。

 ヤクザマシンガンが警官たちに向けられるより先に、ヤクザ目がけて【拾封絡縛(シュウフウラクバク)】の蜘蛛糸が伸びる。アマネクの姿を視認できていないヤクザが、それに反応できるわけはない。「クソッタレ、何だ!?」一瞬にして繭めいて拘束される!

「ダッテメッコラー!」不可視の敵の存在を察知し、ヤクザショットガンを持ったヤクザが周囲を警戒する。だが、実際どこへ向かって発砲すればいいのか、彼はわかっていない。下手に撃てば味方に当たるので、ヤバレカバレに乱射するわけにもいかない。

 銃口をさまよわせているヤクザに、アマネクが再び放った蜘蛛糸が絡み付く。「グワーッ!」一瞬にして繭めいて拘束される! 「殺さないわ。逮捕してもらって、お巡りさんたちの手柄になるのよ」アマネクは姿を見せぬままヤクザに耳打ちすると、蜘蛛糸の繭ごとヤクザを床にへばりつけた。

「……ん?」アマネクは、密かにハッキングしていた監視カメラが気になる映像を捉えているのに気付いた。警官隊の後ろに回り込もうとしてるヤクザがいる。二……いや、三人。目立たぬようにヤクザスラングのシャウトは控え、電磁カタナを握りつつ移動している。

「後ろに回り込んでる奴らがいるわ。三人」アマネクの警告は、通信機を通じて警官たちにも回る。さらに、電子が彼らを守るように一団の後方へと飛び出した。素早く左右へと視線を走らせる。

 銃撃によって薙ぎ倒されたロボットアームの向こうに、ヤクザ要素のある革靴が覗いていた。「そこっ!」電子は疾風めいた速度で踏み出し、倒れたロボットアームに諸手突きを炸裂させる。KRASH! 「グワーッ!」ロボットアームがひしゃげ、陰に隠れていたヤクザごと吹っ飛ぶ!

「ザッケンナコラーッ!」反対側からヤクザが飛び出し、電磁カタナを唐竹割りに振り下ろしてくる。電子は疾風めいた速度で振り返り、カタナが届くより先にヤクザの顔面に張り手を炸裂させる。KRASH! 「アバーッ!」ヤクザが吹っ飛ぶ!

「う……」三人目のヤクザは動けなかった。単純に付け入る隙を見出せなかったためであり、また圧倒的実力差を見せられたためでもある。「さっさと投降しな! オブリビオンでもない奴をいたぶる趣味はないんだ!」電子が怒鳴ると、ヤクザはビクリと身をすくめて電磁カタナを取り落とした。

「ゴヨーだ!」「ゴヨーだ!」抵抗の力を失ったヤクザを、警官たちは凄まじい手際の良さで縛り上げていく。差し当たり、彼らの死の運命はねじ曲がったと考えて良さそうだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シモーヌ・イルネージュ
あのアナゴって、こういうところで作ってたのか……
以前、ここで食べたご飯でアナゴあったな、と思い当たるところあり。
あのときは確かに高級、といってたけど、ゴム味だったから変だな、とは思ったんだ。

そんな不正を正すために立ち上がった警官がいるならば、手伝わなきゃな。
ただ、アタシは荒事専業だから、警官には労働者の救出に向かってほしい。
その代わり、ヤクザの相手は任しとけ。
死なないように手加減しとくからさ。

武器を使うと殺しそうだから、素手で相手しよう。
オブリビオン相手でなければ、サイバーアイを使うまでもない。
UC【拳撃狂詩】で拳を相手に叩きつければ、お眠りするだろ。



●エヴァキュレイション・ガイダンス
「アイエエエ!」「アイエエエ!」突如として戦場と化した工場内で、哀れな労働者らはパニックになっていた。外へと逃げ出す者は、まだいい。右往左往に駆け回る者、大きな工業用鍋にシェルターめいて隠れる者、その場にうずくまる者などもいる。

「ヌウーッ……」ハセ警部がうなる。彼らが違法工場に突撃したのはヤクザを成敗するためだが、同時に罪なき労働者らを助け出すためでもある。鉄火の交錯するこの場に、彼らをいつまでも留めておくわけにはいかない。

 ハセの脇に、氷原めいた銀髪をなびかせた女が駆け寄る。シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)だ。「なあ、アンタらは労働者の救出に専念してくれないか?」「む?」「その代わり、ヤクザの相手は引き受ける」

 ハセは迷った。「それでは危険を丸ごと押し付けることになる」「気にするな。あんな連中、猟兵からしたら危険の内には入らないさ」精悍な微笑を浮かべつつ、シモーヌは言った。「逆に、混乱した人々を適切に避難誘導させるスキルとなると、アンタらの方が優れてるだろ」

「適材適所か」実際理に適っていると、ハセは断じた。「ハッチョボリ・ポリス!」大音声で、戦場を駆け回る警官たちに呼び掛ける。「直ちに戦闘を中断し、市民の避難誘導を優先させろ! ヤクザの相手は猟兵に任せるんだ!」

「「「了解!」」」警官たちは素晴らしい統率力を見せ、ライオットシールドを構えつつ後退していった。そんな彼らに対し、ヤクザらはヤクザガンによる銃撃を浴びせる。「ザッケンナコラー!」「ナマッコラー!」BLAM! BLAM! ライオットシールドに弾痕が刻まれる。

「アンタらの相手はアタシだ!」流れるように軽やかな足さばきでヤクザに接近したシモーヌが、右ストレートを放つ。「グワーッ!」ヤクザは鼻骨を粉砕されて気絶する。自分が何をされたのかも理解できなかっただろう。本気で動く猟兵は、彼らの目には色付きの風にしか見えない。

「ダッテメッコラー!」別のヤクザがヤクザガンを構えるが、引き金を引かれるより早くシモーヌが左ジャブを放ち、ヤクザの頬骨を粉砕! 「アババーッ!」「ザッケンナグワーッ!」別のヤクザがヤクザガンを構えるより早くシモーヌが右アッパーを放ち、ヤクザの顎を粉砕!

 それから一帯のヤクザが黙るまで、三分と掛からない。「こんなもんか」一息ついたシモーヌは、ふと足元に転がるフェイクアナゴのパウチに目をやった。『高級天然アナゴ』『安全な』『美味な』サイバーザナドゥではありふれたけばけばしいラベルだが、見覚えがある。

「……これ、アタシ食べたことあるな」苦々しい顔でつぶやく。タイヤゴムめいた臭いと歯ごたえで、まずかった記憶がある。何か変だとは思ったのだが、これで合点がいった。「これは、徹底的に潰さなきゃ、だ」オブリビオンらが控えているであろう工場の奥へと、シモーヌは鋭利な眼差しを向けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『サイバネティック・ベルセルカー』

POW   :    フォトン・オーバーロード
自身の【装備武器】ひとつを用いた行動・攻撃の威力を3分間3倍にする。終了後[装備武器]は【オーバーヒート】により破壊される。
SPD   :    ベルセルク・ダンスマカブル
【フォトンブレード】【フィンガー・ビームウィップ】【アイズ・レーザー】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。
WIZ   :    インサニティ・バトルフィールド
戦場内を【闘争の狂気が支配する荒れ果てた戦場】世界に交換する。この世界は「【攻撃行動以外全て禁止】の法則」を持ち、違反者は行動成功率が低下する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●アクチュアル・パフォーマンス
 工場の奥の自動ドアが開き、非人間的に統一された動きで十数の人影が飛び出し、整列する。彼らは全員が全く同じ体格で、同じ金髪のロングモヒカンをしており、同じスーツ、同じサングラスを装着していた。さらに、「「「ダシオシミ・フェーズ終了」」」同じ声で同時に言った。

 バシュッ! と同時に機械音が響き、同じ規格のフォトンソードが同じ色のブレードを生む。同じタイミングで同じ大上段の構えを取った彼らは、「「「スッゾオラー!」」」同時にヤクザスラングを発した。彼らこそオブリビオン化したグレーターヤクザ、サイバネティック・ベルセルカーだ。

 オブリビオンとの戦いは、今までのレッサーヤクザとの戦いとは比べものにならない激しいものになるに違いない。だが、労働者らは工場からことごとく逃げ去り、警官たちも労働者らを先導して離れている。ゆえに、これ以降は猟兵も遠慮なく全力を出せるという環境なのだ。

 決して負けはせぬ。否、決して負けてはならぬ。これからがイクサの本番であった。
果無駅・駅長代理
――僕は「はかなし駅」の駅長代理
助けが必要な時は呼んでほしい。いつでも力になるよ

呼子笛をひと鳴らし。喚び出すのは、果無駅を覆う霧――まるで白い闇のよう
これなら、敵の目を眩ませる事が出来る筈だ

具合はどうだい?疲れは出てないかな
行き路を示す、カンテラの燈を掲げよう。――コレは、君の命を照らす燈
痛みも迷いも苦しみも、全部とかしてしまう灯りだよ
良かったら、無花果の実も食べるかい?勇気と力を与えてくれるから

荒事は得意じゃないけれど
いざとなったら幽霊列車の残骸を纏い、僕が君達の盾になろう

自分を信じてまっすぐに進めば――きっと、正しい終点に辿り着ける
君の旅路が、素晴らしいものになる事を祈ってるよ

――アローン


ニノン・トラゲット(サポート)
『容赦なんてしませんから!』
『アレ、試してみちゃいますね!』
未知とロマンとお祭りごとを愛してやまない、アルダワ魔法学園のいち学生です。
学生かつ魔法使いではありますが、どちらかと言えば猪突猛進でちょっと脳筋っぽいタイプ、「まとめてぶっ飛ばせばなんとかなります!」の心で広範囲への攻撃魔法を好んでぶっ放します。
一人称はひらがな表記の「わたし」、口調は誰に対しても「です、ます、ですよね?」といった感じのあまり堅苦しくない丁寧語です。
基本的にはいつも前向きで、ネガティブなことやセンチメンタルっぽいことはあまり口にしません。
その他の部分はマスターさんにお任せします!



●キャッツ・イン・フォグ
「スッゾオラー!」サイバネティック・ベルセルカーが叫びつつフォトンブレードを振るう。「わわっ!」ニノン・トラゲット(ケットシーの精霊術士・f02473)が転がるように身を翻すと、彼女が一瞬前までいた空間を刃が通過した。刃の軌道の中にあった鉄製パイプが、大根めいて容易に両断される。

「ザッケンナコラー!」さらにフォトンブレードが縦横に振り回される。その都度、ニノンは素早く跳躍して斬撃を回避した。SLASH! SLASH! ベルトコンベアやロボットアームが虚しく斬り裂かれる。

「……工場の施設が壊れるのは避けるかと思いましたが」ニノンはつぶやいた。フェイクアナゴのシノギを続けたいと思うなら、そうするはずだ。しかし、猟兵を相手にそんな気遣いをしつつ戦っていては勝ち目がないと、論理的思考から結論づけているのかもしれない。その判断は実際正しい。

「「「ザッケンナコラー!」」」ニノンを囲むように隊列を組んだベルセルカーが、同じポーズで右手を掲げ、五指の先端からビームウィップが射出する。「うわっ!?」【猫の悪戯】によって機動力の上がっているニノンだが、縦横に暴れながら襲ってくる幾条もの光を全て回避するのは不可能だ。

 ピリリリ! と笛が鳴らされる。途端、周囲一帯が唐突に霧で包まれる。「ナンオラー!?」「ドグサレッガー!」白い闇さながらに視界を奪われ、非人間的統率を誇っていたベルセルカーらが混乱に陥った。霧を生み出したのは、果無駅・駅長代理(アローン・f24903)だ。

「大丈夫かい?」霧の中、カンテラを掲げた駅長代理がニノンへと駆け寄る。「ええ……何とか」ニノンは答えた。ビームウィップが放たれる前にベルセルカーの目をくらませたので、直撃は避けられた……が、それでも完全に無傷とはいかなかったようで、いつの間にか手足に裂傷を負っている。

「怪我をしているね……このカンテラは、命の灯火。痛みをとかしてくれる」駅長代理がカンテラを掲げる。淡く光に照らされるニノンの体が、じんわりと温もりに包まれる……と、その体に刻まれていた傷が見る見るうちに癒やされていった。

「あ、ありがとうございます」「お礼を言われるには、早いかも……」駅長代理がつぶやくように言うのと同時、「ザッケンナコラー!」BEEAAM! BEEAAM! 白い闇をつんざくように、青白いレーザービームが飛ぶ。「うわっ!」かいくぐるように、二人は身を屈めた。

 ベルセルカーのアイズ・レーザーだ。猟兵たちを捕捉できているわけではないようだが、整列してビームの弾幕を浴びせることで、絨毯爆撃めいて殲滅に掛かっているようだ。何と恐るべき戦術的行動であることか! しかし、それは同時に霧の中で己らの位置を知らせることにもなる。

「この……もう、容赦なんてしませんから!」身を低くしたニノンが、霧の中を超スピードで駆ける。一瞬にしてベルセルカーの足元へと至った。視界の悪い中、ベルセルカーはニノンに気付いていない。ニノンはベルセルカーのくるぶし目がけ、右猫パンチ一閃!

「グワーッ!」足を払われ、ベルセルカーが転倒する。そこでようやくベルセルカーはニノンの存在を捕捉し、倒れた姿勢からフォトンブレードを振るおうとする……が、遅い。ニノンの左猫パンチ一閃! フォトンブレードの柄に炸裂し、猫の悪戯の効果により一撃で破壊!

「ザッケンナコラー!」周囲のベルセルカーがニノンに気付き、一斉にフォトンブレードを振り下ろす。しかしニノンは一瞬早く跳びすさった。SLASH! SLASH! 倒れていたベルセルカーは味方の刃を受けて大根めいて容易に両断される。ナムサン! 何とむごい同士討ちであることか!

 しかし、ベルセルカーらは同士討ちのショックなど欠片も感じた様子を見せず、逃げ去ったニノンの方に向き直って淀みないアイズ・レーザーの射撃を敢行する。BEEAAM! BEEAAM! KABOOON! レーザーがケミカル食用油に引火し、爆発する。

 だが、レーザーの射線上にも、爆発の範囲内にも、ニノンはいない。「メチャクチャするなぁ……」「僕らを倒せれば、他はどうでもいいと考えてるのかもしれない」霧の中を駆け回りつつ、ニノンと駅頭代理はつぶやいた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ニコリネ・ユーリカ(サポート)
あらあら、盛り上がってるわねぇ
お忙しい所、お邪魔しまーす!
新しい販路を求めてやってきた花屋です
宜しくお願いしまーす(ぺこりんこ)

~なの、~なのねぇ、~かしら? そっかぁ
時々語尾がユルくなる柔かい口調
商魂たくましく、がめつい

参考科白
んンッ、あなたって手強いのねぇ
えっあっヤダヤダ圧し潰……ギャー!
私も気合入れて働くわよー!
悪い子にはお仕置きしないとねぇ
さぁお尻出しなさい!

乗り物を召喚して切り抜けるサポート派
技能は「運転、操縦、運搬」を駆使します

広域では営業車『Floral Fallal』に乗ってドリフト系UCを使用
狭域では歌唱と魔法、シャッター棒をブンブンして戦います
NG無し、自由に動かして下さい



●ランプ・アバウト
 BOOOOM! 豪快なエンジン音を響かせながら、ニコリネ・ユーリカ(花屋・f02123)の操るバンが工場内に突入する。オブリビオンとの戦闘を考慮し、あらかじめ装甲を施されたバンに腰を強打され、「アバーッ!」サイバネティック・ベルセルカーが吹っ飛び、爆発四散した。

「盛り上がってるところ、お邪魔するわよ」運転席から降り立ちつつ、ニコリネは奥ゆかしく微笑した。バンの体当たりは強力だが、工場内で自在に走り回るには少々周囲が雑然とし過ぎているゆえに、降車して戦うのが妥当と判断したからである。

「「「新手確認」」」仲間が吹っ飛ばされたベルセルカーたちは、非人間的な落ち着きぶりで淀みなくニコリネに向き直る。そして同時に、違法サイバネ措置の施された右手を同時に一斉に突き出す。「「「ナンオラー!」」」同時にヤクザスラングをシャウトすると五指からビームウィップを射出する。

 光で編まれた投網さながらに、ビームウィップがニコリネを押し包もうとする。ニコリネは超絶の加速で跳躍し、一瞬で光の投網の範囲外にまで移動する。標的を失い、投網は虚しく床を叩いて亀裂を刻んだ。いつの間にか、ニコリネの背中にはコウモリめいた翼が、頭には猛牛めいた角が生えている。

「「「スッゾオラー!」」」ベルセルカーらが怒鳴り、再びビームウィップを振り回す。今度は光の竜巻のごとき形状を作り、ニコリネを呑み込もうとする。しかしニコリネは高速で飛翔し、範囲外に逃げる。「まずまず手強いけど……まずまず止まりね」ニコリネは余裕たっぷりに微笑する。

 状況の変化は、徐々にもたらされた。「ザッケンナ……コ、コラー」「ドグサ、レッ……ガー」ベルセルカーらのシャウトから力が失われ、動きも鈍化する。ニコリネが飛翔しつつばらまいた【Belladonna Lily(ベラドンナ・リリー)】の毒が、ベルセルカーらを蝕んでいたのだ。

「さぁ、お仕置きの時間よ!」動きの鈍ったベルセルカー目がけ、ニコリネは手にしたシャッター棒をフルスイングする。シャッター棒が腹にめり込み、勢いそのままに吹き飛ばす。「グワーッ!」ベルセルカーは仲間数人を巻き込みつつ、工場の壁に激突して動かなくなった。

成功 🔵​🔵​🔴​

迅雷・電子
【心情】ついに出てきたね…こいつらになら本気出せるよ!(私服を脱ぎ捨てイェカの力士姿になって四股を踏みつつ)さてかかってきな!

【作戦】攻撃は【見切り】で回避か張り手で敵の腕を攻撃して【受け流し】たりしてなんとか回避するよ!張り手で【吹き飛ばし】たりねこだまししてから【ダッシュ】で近づいて【怪力】で投げる【だまし討ち】もするよ!そして連続つっぱりの【2回攻撃】だ!!素手だからって甘く見てんじゃないよ!女力士なめんな!【絡み・アドリブOK】


シモーヌ・イルネージュ
今度はクローンヤクザのお出ましか。
これだけ数を揃えているということは、ここは大事な工場なんだな。

それに面白いUCを使うじゃないか。
闘争の狂気が支配する、とはアタシ好みだね。

今度は手加減なしだ。黒槍『新月極光』で戦おう。
UC【聖衣着装】を発動。紫水晶のガントレットを着けて、攻撃力を超強化しよう。
これで次々に一撃食らわせて、倒していこう。
あとは甲冑『アリアージュ』の性能と【気合】【激痛耐性】で相手の攻撃を凌ごう。



●キリング・フィールド
「「「ワドルナッケングラー!」」」サイバネティック・ベルセルカーの集団が、何という意味ともつかぬヤクザスラングを叫ぶ。ヤクザスラングは聞いた者の胸に恐怖を湧出させる凶悪言語だ。しかし、それが通用する猟兵などいない。それなのに行われた彼らのシャウトは、無意味か? 否だ。

 シャウトの音波が空気や地面に触れるのと同時、その様相が変貌していった。ケミカルな臭いで満たされた空気は、砂のように無臭な空っ風へと。戦闘によって破壊された機械類が散乱していた地面が、草の一本も生えていない荒野めいた土肌へと。

 ナムアミダブツ! その殺風景は、ユーベルコード【インサニティ・バトルフィールド】によるものだ。闘争以外の一切を制限する凶悪空間。小細工のない戦いは、違法サイバネとオブリビオン化によって高い直接戦闘力を得たベルセルカーにとって、フーリンカザン(地の利を得る)といえる。

 しかし、直接戦闘力に優れているのは猟兵とて同じだ。「闘争の狂気が支配する、とはアタシ好みだね」シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)はしなやかな狼めいた獰猛な笑みを浮かべた。敵ユーベルコードの影響下に放り込まれたことに対する焦燥は、微塵もない。

 迅雷・電子(女雷電・f23120)もまた、精神に動揺や恐怖による悪影響はない。「ようやく本気を出せるよ……オブリビオンになら、遠慮はいらないからね!」電子は私服を脱ぎ捨て、下半身にはスパッツとマワシを装着し、豊満なバストはサラシで隠すという、女力士スタイルだ。

 先の戦いでは、ヤクザといえど非オブリビオンが相手だったので、無闇に命を奪わぬようにシモーヌも電子も気を遣っていた。しかしグレーターヤクザはオブリビオンのみ。容赦なく全力で撃滅して良い……否、全力でなければ猟兵とて危うい。ゆえに二人は、殺風景を押し返すほどに闘志をみなぎらせる。

「さあ、手加減なしだ」ガシャン! 金属音を鳴らしてシモーヌが黒槍『新月極光』を構えた。「かかってきな! 素手だからって甘く見るんじゃないよ!」ズシン! 電子は四股を踏んで、両手を地面に付ける古式ゆかしい相撲の構えを取った。

「「「オーバーロード・モードを解放」」」ベルセルカーらは非人間的な統一感で同時に発声し、フォトンソードを同時に大上段に振り上げる。その光の刃は、先ほどまでのものよりさらに太く、長く、色合いも凶悪である。言葉の通り、オーバーヒートした状態なのだろう。彼らもまた、掛け値なく全力だ。

「「「ザッケンナコラー!」」」ベルセルカーらは非人間的な統一感で同時に発声し、同時に突撃してくる。重なり合うフォトンブレードの輝きの軌跡はナイアガラの滝めいた迫力だ。そこへシモーヌが、「はぁっ!」黒槍の柄の尻の方を握り、目一杯のリーチを持たせた高速刺突を放つ。

 シモーヌの刺突は【聖衣着装(ローブデコルテ)】の紫水晶のガントレットによって必殺の威力を持つに至っている。「グワーッ!」フォトンブレードを振るより先にベルセルカーが胸板を貫かれ、即死した。途端、行き場を失ったオブリビオンエネルギーが暴走し、ベルセルカーの肉体は爆発四散!

 シモーヌと同時に電子も動いている。神速の立ち会い踏み込みは、ベルセルカーにフォトンブレードを振らせる間を与えず電子をワン・インチまで接近させた。「どすこい!」電子の右張り手がベルセルカーの腕に炸裂し、骨とサイバネ筋繊維を粉砕する。「グワーッ!」

「どすこい!」さらに電子の左張り手がベルセルカーの顔面に炸裂し、サングラスと頭蓋骨を粉砕する。「グワーッ!」「どすこい!」さらに右張り手。「グワーッ!」「どすこい!」さらに左張り手。「グワーッサヨナラ!」絶命したベルセルカーが爆発四散! 電子の踏み込みから、コンマ二秒のことだ。

「スッゾオラー!」ベルセルカーは仲間の死にうろたえることなく、フォトンブレードを振り下ろした。シモーヌは光の刃にガントレットを横殴りにかち合わせていなす。間髪入れず、錐もみ状に体を回転させて黒槍を薙ぎ払う。「グワーッ!」竜巻めいた槍の刃で、ベルセルカーの胴体が両断された。

「スッゾオラー!」ベルセルカーは仲間の死にうろたえることなく、フォトンブレードを振り下ろした。電子はベルセルカーの腕に張り手を横殴りにかち合わせていなす。間髪入れず、ベルセルカーの顔面をベアクローでつかんで地面に叩きつける。「グワーッ!」ベルセルカーの頭部が粉砕された。

「ザッケンナグワーッ!」シモーヌの刺突に胸を貫かれ、電子のつっぱりに顔面を粉砕され、ベルセルカーが爆発四散する……それが最後の一体だった。その途端、砂の城が波に洗われたごとく、殺風景が元の雑然とした工場の風景へと戻った。

「……後はボスが残るだけか。大事な工場を潰されたんだ、怒り狂ってるかもね」肩をすくめつつ、シモーヌは言った。「怒ってようが何だろうが、知ったこっちゃないね。きっちり悪事の報いを受けさせるだけさ」電子が鋭く睨む先には、工場の奥へと続く電子扉があった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『クラウドドラゴン・ヤクザ』

POW   :    |雲龍游侠《クラウドドラゴン・ヤクザ》
【全身を自在に泳ぎ回るナノマシン刺青による】【肉体の肥大化】【体表の硬質化】【高圧電流の帯電】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    |情婦兵器《スケ・ウェポン》
自身の【侍らせている女性型レプリカント】ひとつを用いた行動・攻撃の威力を3分間3倍にする。終了後[侍らせている女性型レプリカント]は【酷使】により破壊される。
WIZ   :    |腹鼓光束《ハラダイコ・ビーム》
【腹部に内蔵された炉心から余剰エネルギー】を放ち、命中した敵を【汚染する「骸の海」】に包み継続ダメージを与える。自身が【稼働する為のエネルギーも攻撃に回】していると威力アップ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は黄・於菟です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●デスペラード・オヤブン
 奥へと進んだ猟兵たちを出迎えたのは、金色のソファの真ん中に座る半裸の巨漢と、彼を囲むようにしてしなだれかかる、十人ほどの女性型レプリカントらだった。ソファの前には黒く艶めく寿司桶の置かれたテーブルがある。「オー、遅かったな。寿司がなくなるところだぜ」巨漢が笑う。

 オイラン着物を扇情的にはだけさせたレプリカントが、しなを作りながらアナゴ寿司をつまみ、巨漢の口へと運ぶ。そのアナゴは工場製のフェイクではなく、本物の高級天然アナゴだ。巨漢は寿司を咀嚼しつつ、べろりとレプリカントの指を舐めた。ナムサン! なんと退廃的で悪趣味な光景か!

 次いで巨漢は、鉄火巻きを数本まとめて己の手でつかみ、口に放り込む。寿司はそれが最後だった。咀嚼しながらゆっくり立ち上がり、「ドーモ、猟兵の皆さん。クラウドドラゴンです」口の中に物があるうちにアイサツ! スゴイシツレイ! だがこれは、猟兵への威圧と侮辱のため敢えて行ったのだ!

「こんな工場、潰れたところでまた新しく作りゃいいだけだ。少々カネは掛かるが、すぐに補填できるだろうよ。テメェらがいくら張り切ったところで、世の中は何も変わりゃしねぇぜ、エエッ? まあ、何にせよ……ビジネスはテメェらとハッチョボリの連中を皆殺しにしてからだ!」

 丸太めいた腕を振り回しながら、クラウドドラゴン・ヤクザが咆吼した。諸悪の根源と雌雄を決するイクサが、今、始まる!
オルランド・ルーノ(サポート)
サポート世界をザナドゥのみにしてます
メガコーポ【キマイラバイオコーポレーション】社員

子会社の社長と兼任し【ヒッポグリフ珈琲】という低〜中流階級向けのカフェチェーンを運営してます
(派生ブランドでは上流階級向けもあり)

自社PRや悪徳企業の告発・市民寄り組織への支援の様子をよく配信しています(配信せずに戦う時もよくあります)
【戦場で自社商品配ってみた】が何故か人気

いつかは子会社を独立させメガコーポを裏切るつもりです
まだバレてません

様々な人物への商品提供やクーポン配布、色んな場所で新店舗開拓をよくしてます

〘配信・初対面の相手〙〘友人・脳内会話・独り言〙で口調を使い分けてるのでステシを参照お願いします


田中・香織(サポート)
『あたしに任せて』
 ヤドリガミの戦場傭兵×鎧装騎兵、21歳の女です。
 普段の口調は「明るく元気な少女(あたし、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、真剣な時は「勇敢なヒーロー(あたし、あなた、呼び捨て、なの、よ、なのね、なのよね?)」です。

いわゆる熱血ヒーロータイプで一直線に行動する性格です。
戦闘では重火器一斉射撃など火力でごり押し型のシンプルな戦い方をし、ユーベルコードもそういった使い方をします。

描写上のタブーは一切無し、フリー素材やNPC感覚でご自由にお使い下さい。



●バーント・スメル
「寿司に合うコーヒー……」眉間に指を当て、オルランド・ルーノ(カフェチェーン【ヒッポグリフ珈琲】をどうぞよろしく・f36556)はつぶやいた。クラウドドラゴン・ヤクザの食事ぶりを見ていて、思うところがあったようだ。「そんな商品があったら、目玉になり得ますかね?」

 クラウドドラゴンはオルランドを怪訝そうに眺めつつ、首を傾げた。「何言ってるんだ、テメェ?」「おっと、これは失礼」オルランドはオジギすると、スーツの内ポケットから名刺を取り出してクラウドドラゴンに差し出した。「私、ヒッポグリフ珈琲社長のオルランド・ルーノです」

「……ア?」虚を突かれたクラウドドラゴンは、思わずオルランドの名刺を受け取った。オルランドは能面めいた微笑を浮かべつつ、「コーヒーは米に合わないというのが一般的な認識ですが……」と熱弁を振るい始める。「もしもそんな認識を打破できたら、どうなると思いますか?」

 オルランドは拳を握り、頭上に掲げる。「この界隈では寿司は極めてメジャーな食事です。そのお供にコーヒーという選択肢が与えられることになる。これは大きなビジネスチャンスになり得ます! まず家庭用から始め、徐々に普及を……」そこまで聞いたところで、クラウドドラゴンは我に返った。

「ナメやがって!」クラウドドラゴンは名刺を引きちぎるや、足を踏ん張った。途端、クラウドドラゴンの腹部に露出したエネルギー放出装置から凶悪な輝きが発される。「シネッコラー!」ヤクザスラングと同時、【腹鼓光束】の零距離射撃! 「おっと」オルランドは連続側転で回避する。

「ソマシャッテコラー!」逃げるオルランドに照準を合わせ直し、クラウドドラゴンは再びビームを放つ。オルランドは素早く逆方向に側転して回避し、「おやおや申し訳ありません。怒らせるつもりはありませんでした……いえ嘘ですけど。どうせ怒るだろうなと思っていました」挑発的に言う。

「ザッケンナコラー!」クラウドドラゴンが三たびビームを放とうとするが、その瞬間だ。クラウドドラゴンの背後から無数の銃声が鳴り響いた。BRRRTTTTTT! 「グワーッ!」クラウドドラゴンの背中に無数の銃弾が浴びせられる!

 苦悶の表情を浮かべたクラウドドラゴンが振り返ると、そこには豪奢なピンク色の縦ロールを揺らしつつ不敵な笑みを浮かべる、田中・香織(ヒーローに憧れた人形・f14804)の姿があった。その周囲には、彼女を守るような隊列を組む、ブリキの玩具めいた人形の大軍勢がひしめいている。

「注意力が散漫すぎるわね。おかげで、軍備を整えるのにたっぷり時間が取れたわ!」威風堂々たる声色で、香織が言う。「小さいからって甘く見ないでよね。あたしの【援護部隊要請(アーミーメン)】は無敵なんだから! 観念なさい!」

「ナメんじゃねェぞ! そんな豆鉄砲でいくら撃たれたところで、この俺様が殺られるワケがねェだろうがァーッ!」暴風のような怒号を放つと、クラウドドラゴンは両腕をピーカブー・スタイルにして香織へと突撃する。その腕の表面はナノマシン刺青により超絶の硬度を得ている。

「砲撃隊、撃て!」香織が号令するや、十数本ほど並ぶペットボトルめいた迫撃砲が、一斉に砲撃を開始する。BOOM! BOOM! BOOM! 撃ち出された砲弾はことごとくクラウドドラゴンに着弾し、大規模な爆発を起こした。「グワーッ!」しかし、クラウドドラゴンは止まらない。

「何て頑丈な奴……! 弾幕を張りつつ後退!」香織が号令するや、兵隊人形らは各々の武器を発砲しながら後ろ走りに後退していく。BRATATATA! BARATATATA! 激しい弾丸の嵐を真正面から受け止め、「グワーッ!」それでもクラウドドラゴンは止まらない。

「チェラッコラー!」最前の隊列に追いついたクラウドドラゴンは、ショベルカーめいた腕で地を這うようなラリアットを放つ。隊列を成していた兵隊人形が六、七体まとめて吹っ飛ばされる。「シネッコラー!」クラウドドラゴンはなおも腕を振り回しつつ、香織に迫る。

 その瞬間、香織は拳銃をクイックドロウする。BLAM! BLAM! 「グワーッ!」顔面に銃弾を受け、クラウドドラゴンは仰け反った。さらに、「ディスクガンで安全に援護射撃か、吶喊してサムライブレイドを使うか……サムライブレイドにしましょう」オルランドが鋭く踏み込む。

 オルランドの右腕からカマキリめいて飛び出した刀が、クラウドドラゴンの首目がけて振るわれる。刹那、クラウドドラゴンは錐もみ状に回転して肘打ちを放った。ガキン! 硬化した肘と刃がかち合い、火花が散る。「……本当に頑丈ですね」オルランドは呆れたように言った。

「お前らに殺されるような俺様じゃねェんだよ! ナマッコラー!」クラウドドラゴンのハンマーパンチ! オルランドはバク転で回避! 「どれほど頑丈でも、ノーダメージということはないでしょう」オルランドが言う。クラウドドラゴンは答えず、苦々しげな表情でファイティングポーズを取った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

マリエ・ヘメトス(サポート)
一人称:わたし
二人称:あなた
他人へは下の名前にさん付け
基本口調は「~だわ、~よね」宗教的な物言いになると敬語
信心深く奉仕の精神があり善行には積極的。迷惑行為や不道徳な行いはしない
最優先するのは使役している死人(死んだ彼氏)のこと。呼び方は「だんなさま」or「■■■■(聞き取れない発音、彼氏の本名)」
「だんなさま」が嫉妬すると思っているので老若男女問わず深い関係を結ばないが、人類的な愛をもって概ねの相手には優しく接する
喜びや憐れみは強く表すが、怒りは「だんなさま」を侮辱や攻撃された時以外は示さない
精神攻撃には狂気耐性使用
誘導弾やカウンターで攻撃を防ぐ
UCは活性化したものをなんでも使用可
他はお任せ


冷泉院・卯月(サポート)
勿論お仕事は大事ですけどぉ、折角なら珍しい物や新しい物も見つけたいですよねぇ~。
あ、ご一緒される方がいらっしゃればぁ、一緒に頑張りましょうねぇ~。

あまり戦闘は得意ではないですけどぉ、ぶちくんとたれちゃんの力も借りてぇ、頑張っちゃいますよぉ~。
遠距離なら二人に短杖になってもらって魔法弾を撃ったりぃ、
接近戦なら二人で力を合わせて杵になってもらって頑張っちゃいますぅ~。
パラドクスは状況に応じて臨機応変に使いましょうかぁ~。

戦闘以外なら運転なんかも得意なのでぇ、何処へでもお届けしちゃいますよぉ~。
道中も楽しいことが見つかるといいですよねぇ~。



●ブラック・タイ
「だんなさま、少しだけ我慢してね」マリエ・ヘメトス(祈り・f39275)が言うと、彼女の側でゆるりと浮かんでいる青年が、口をへの字に歪めた。彼の不機嫌そうな様子に、マリエは闇夜のように静かで深い微笑を浮かべた。

 マリエの左手小指から、蜘蛛糸めいて細い黒糸が伸びた。そして、先端が冷泉院・卯月(壱七八あーる・f40880)の右手小指まで至り、結びつけられる。ロップイヤーの兎耳を揺らし、卯月が首を傾げた。「これ、何ですぅ?」

「ちょっとした保険よ。これが結びついていると、二人が同時に死なない限り、死ななくなる」それがマリエのユーベルコード【死により生者は分かたれども】の効果だった。直接的な攻撃力に結びつくものではないが、サポートとしては心強い。「わあ、凄いですねぇ~」卯月ははしゃいだ。

「過信はできないわ。それに死なないといっても、痛みやダメージが完全になくなるわけでもないし」「なるほどぉ~。気を付けますぅ~」マリエの念押しに、卯月は答えた。緊張感のない口調に聞こえるが、実際卯月はシリアスだった。闘争に必要な平常心が、彼女のニューロンに満ちていた。

「ウォーッ! いつまでも逃げ回ってられると思うんじゃねェ!」怒鳴り声を上げながら、クラウドドラゴン・ヤクザがダンプカーめいて突進する。マリエと卯月との間にあったテーブルが踏み潰され、木っ端微塵になった。

「スッゾオラー!」突進の勢いのまま、クラウドドラゴンがケリ・キックを放つ。マリエは卯月は横っ跳びに回避! 両者をつなぐ黒絹の糸は充分な長さがあり、動きを阻害することはない。『……!』マリエの側に浮かぶ青年が、怒りの形相となってクラウドドラゴンに殴りかかった。

 青年の拳には、愛する者を傷つける存在を許さぬという決断的パワーが込められている。「グワーッ!」横っ面に拳を受けたクラウドドラゴンが仰け反った。「クソ、不気味な野郎が。チェラッコラー!」ZAPZAPZAP! クラウドドラゴンの両腕から、青白い雷光が枝葉めいて広がる。

『……!』雷光に捕捉された青年が、声もなく苦悶の表情を浮かべて体を硬直させた。「だんなさま!?」青年の代わりとばかりに、マリエが悲鳴を上げる。すぐにキリッと眼差しを鋭くし、メイスを振り上げてクラウドドラゴンに殴りかかった。

 マリエのメイスには、愛する者を傷つける存在を許さぬという決断的パワーが込められている。「グワーッ!」脳天にメイスを受けたクラウドドラゴンがつんのめった。「クソが!」クラウドドラゴンはマリエにも電撃を喰らわせようと左腕を伸ばす。だが、それを許さなかった者がいる。卯月だ。

「ぶちくん、たれちゃん、そろそろ働いてくださいねぇ~」卯月の両手には、トワリング用のバトンめいた杖が一本ずつ握られている。その先端の錘となっている部分から、パイナップル大の火球が連続発射された。BOOM! BOOM! 「ナッコラー!」クラウドドラゴンは後方に跳躍する。

 KADOOM! KADOOM! 火球は着弾と同時に爆発を起こす。さらに卯木は間を置かず追撃の火球を放つが、クラウドドラゴンは連続バク転でそれを回避していく。「ナッコラー!」BOOM! KADOOM!「クソが、そんなもん喰らってられるか!」

「見た目の割には身軽なんですねぇ~。けど、いつまでも逃げ回ってられると思っちゃいけませんよぉ~」意趣返しめいて、卯月は先刻のクラウドドラゴンの台詞を引用する。「ア?」クラウドドラゴンは、いつの間にか自身が壁の際にまで追い詰められていたことに気付いた。

 まずい、と思った時にはすでにバク転する隙間などなくなっている。「今度こそ、当てますよぉ~!」卯月が一際力を込め、火球はスイカ大となる。BOOOM! KA-DOOOOM!

「グワーッ!」一際大きな爆発がクラウドドラゴンを打ち据えた。凄まじい高温の炎がクラウドドラゴンを炙り、凄まじい爆圧が頑丈な壁との間でサンドイッチめいて押し潰す。カイシャクになったか……否。大ダメージを負いながらも、クラウドドラゴンは未だ健在であった。

「ザ、ザッケンナコラードグサレッガースッゾスッゾコラー……」マントラめいてヤクザスラングをつぶやきながら、クラウドドラゴンは全身に青白い雷光をスパークさせる。「凄いタフですねぇ~」「……流石にそろそろガス欠になってくれないと困るけど」卯月とマリエはそう言って、油断なく身構えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

迅雷・電子
【心情】あんたがヤクザのボスかい…なるほどいかにもって感じだ…その半裸に褌って格好は力士っぽくて好みだけどゲス野郎は許さないよ!その寿司が最後の晩餐にしてやるよ!さぁ待ったなしだ!

【作戦】レプリカント達が襲いかかってきたら張り手の【吹き飛ばし】でぶっとばしたりしてそのまま【ダッシュ】でボスの元へ向かうよ!クラウドヤクザの攻撃は張り手の【受け流し】や【回避】で避けるよ!【2回攻撃】の雷電張り手を食らわし怯んだ所に一気に近づいて褌を掴んでそのまま【怪力】で投げ飛ばすよ!どうだ!これが相撲の戦い方だ!(絡み・アドリブOK)


シモーヌ・イルネージュ
本物の高級天然アナゴ!
人にフェイクを食べさせて、いいご身分だな。
でも、ここの工場もおしまい。
アンタも倒して、ジ・エンドだ。

ハイクはもう考えてあるかい?

黒槍『新月極光』で戦おう。
敵は力押しならば、こちらは速度で勝負だ。
UC【月影戦士】を発動。
挑発しつつ、相手の正面からひらりと避けて、超速度で翻弄しよう。

闘牛だね。



●ラストスタンディング
「半裸に褌って、力士っぽくも見えるけど……」クラウドドラゴン・ヤクザの姿を一瞥し、迅雷・電子(女雷電・f23120)は眉間にしわを寄せた。力士とは相撲を担う者だ。女性である電子はそうはいかないものの、裸にマワシというスタイルが最も奥ゆかしい伝統的衣装であるとされる。

 しかし、だ。相撲とは格闘技であるが、それ以前に天下太平や五穀豊穣を願う神聖な行事なのだ。力士は肉体に神霊を宿し、四股でもって大地の邪気を祓うとされる。そのようなシンピテキは、他人を騙し、陥れ、命をすすり上げるような邪悪な輩には、決して宿らない。

 褌とマワシの差異より何より、それが違う。ゆえに電子は吐き捨てる。「ゲス野郎がやったんじゃ、台無しの格好なんだよ」「さっきの寿司をあんたの最後の晩餐にしてやるよ!」「最後の晩餐にその寿司だったら、悔いはないだろ?」シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)が狼めいて威嚇した。

「人にはフェイク食べさせて、自分は天然モノのネタの寿司? いいご身分だな。だが、工場もアンタ自身も、ここでジ・エンドだ」シモーヌは黒槍を構えた。穂が大きく、刃に反射する光はオーロラめいてゆらゆらと不思議にゆらめいている。

「ザッケンナコラー……テメェら、もう勝った気でいやがんのか、エエッ?」激戦を重ねたクラウドドラゴンは、息が荒くなっている。だが、その目の闘志は未だギラギラと輝きを放っていた。「こっからが本番なんだよ……ブッ殺してやる……テメェら全員、ブッ殺してやるぞ!」

 クラウドドラゴンが指をパチンと鳴らすと、今までどこに避難していたのやら、オイラン着物を着た女性型レプリカントらがクラウドドラゴンの元へ集まってきた。都合四人。レプリカントらはゆるゆると扇情的に体をくねらせたかと思ったら、二人一組を作ってガッチリと抱き合った。

 クラウドドラゴンは両手を伸ばし、レプリカントの足を鷲づかみにした。そして……おお、ナムアミダブツ!「チェラッコラー!」つながり合ったレプリカントらを、二本のヌンチャクめいて振り回す! 何と邪悪で狂気的な光景であることか! ブッダでさえ二度目を待たずして怒り狂うだろう!

 しかし、それがオブリビオンであり、クラウドドラゴンであり、【情婦兵器】なのだ。「何だよ、それ……?」「マジか……」電子とシモーヌがドン引きする。その二人に向かって、レプリカント・ヌンチャクを竜巻のように振り回しつつクラウドドラゴンが突進してくる。ハヤイ!

 電子とシモーヌは左右に分かれて跳躍した。冒涜的な攻勢だがクラウドドラゴンのワザマエとパワーは本物で、生半可な防御や受け流しなど通用しないプレッシャーがある。「スッゾスッゾオラー!」クラウドドラゴンが先に標的と定めたのはシモーヌだ。方向転換し、突進する。

「まるで闘牛だね」シモーヌはさらにスピードを上げて横に跳ぶ。乱撃の嵐が床にいくつもの亀裂を刻みながら通過する。クラウドドラゴンがさらに切り返してくるより先に、ボウッと全身から淡い光を放つ。「月よ、我が真の力を解き放ち給え」【月影戦士(クレール・ド・リュンヌ)】だ。

 刹那、シモーヌを包む時間の流れが鈍化する。否、高速化したシモーヌの反応速度ゆえに、そう感じられるだけだ。鈍化してなおクラウドドラゴンのヌンチャクはそこそこ速かったが、隙を突けぬほどではない。「見えたよ」キン! 嵐の中を貫くように、神速をもって黒槍の刺突が放たれる!

 槍の切っ先は狙い過たずクラウドドラゴンの右肘を刺し貫き、破壊! 「グワーッ!」ヌンチャクもろとも、クラウドドラゴンの腕が明後日へと吹っ飛ぶ。怯んだクラウドドラゴンに、再びシモーヌの刺突! 今度は左肘を破壊! 「グワーッ!」

「ハイクはもう考えてあるかい?」両腕を失ったクラウドドラゴンを、シモーヌは挑発した。「ザ、ザッケンナコラー……ザッケンナコラー!」クラウドドラゴンはなおも両足を踏ん張って立つ。その全身を、毛細血管めいて青白い雷光がスパークする。ナノマシン刺青によるものだ。

 触れる物全てを焼き焦がす危険なスパークだ。だが、そんなクラウドドラゴンの目の前に、今度は電子が立ちはだかる。弩につがえられた矢のようにキリリと引き絞られた右手には……見よ! 菊花の大輪めいて十重二十重の雷撃が宿っている! 「どすこぉい!」電子の【雷電張り手】!

 ZAPZAPZAP! クラウドドラゴンと電子の雷撃がぶつかり合い、互いを激しく喰らい合い、焼き合う! 破壊的エネルギーが拮抗するが……しかし、数秒の後にクラウドドラゴンの雷撃が押され始める。瀕死のクラウドドラゴンと発気揚々たる電子との差を思えば、それは必然だ。

「グワーッ!」押し切られたクラウドドラゴンが壁に激突する。最早、帯電する余力さえない。そこへ、左手に雷撃を宿した電子が迫る。「ま、待て、待て……!」「待ったなしだ!」縮み上がったクラウドドラゴンの顔面に、電子の張り手が炸裂! 「グワーッ!」クラウドドラゴンの顔面破壊!

「終わりだ!」電子がクラウドドラゴンの褌をつかんで真上に放り投げるのと同時、「サヨナラ!」クラウドドラゴンはしめやかに爆発四散した。「……これにて一件落着だね」ほうっと大きく吐息をもらしてから、シモーヌは言った。「まあ後始末はあるだろうけど、それは警察に任せるって話だし」

「そうだね。あたしらの役目はここまでだ」電子は肩をすくめた。「慰労に、何か食べに行かないか?」「いいね」シモーヌが笑う。「今度こそ本物のアナゴが食べたいと思ってたところだよ。寿司でも丼でも」「だったら、サイバーザナドゥじゃない世界で食べた方がいいかもねぇ……」

 笑みを交わしながら、猟兵らは戦場だった場所を後にする。サイバーザナドゥの暗黒は未だに深かったが、今日を境に光一筋分程度は明るくなったはずだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年11月14日


挿絵イラスト