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泥黎の褥に沈む

#シルバーレイン #ノベル

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霞・沙夜




 誰かが言った。地獄は、終わりがないのだから地獄なのだ、と。人を地獄に追いやる死でさえ、一瞬だ。本当に恐ろしいのは苦痛が一秒でも長く続くことなのだ、と。そこが地獄であるかはさておいて、霞・沙夜(氷輪の繰り師・f35302)は微睡みの中にいる。ずっと頭の中に靄がかかったようで意識がはっきりとしない。あるのは不快感に繋がれている、という感覚だけ。逃れられようのない不快感だけが、彼女を支配している。
 まるで、操り人形のように。

 ――ビシィィィ……ッ!

「?! くあっ……!」

 絹を裂く乾いた音が座敷牢に響いた。
 不意の鞭の一撃は沙夜の背中を捉え、すらりと細い背筋に無惨な真っ赤なミミズ腫れを刻む。

「……ッ」
「おお、怖い怖い! そんな顔をしないでくれよ」
「物思いに耽っている『当主』候補サマに、現実に戻ってきてもらおうと思ってな」
「戯言を」

 粗末な着物もないよりはマシだったと、脱がされてからまざまざと思い知らされる。
 そうだ。今は「最終試験」の真っ最中。
 この下卑た笑みを浮かべる男たちは皆、試験官。霞家の人形遣いを束ねるに相応しいか、試金石を買って出た丈夫である。といえば、聞こえはいいが、なんてことはない、彼らは皆裏稼業に携わる調教師である。男たちは皆、彼女を堕とせば端女として良いと許可を得ている。その手練手管に一層の力も入ろうというものだ。
 そして、沙夜もまた資質を試されている身。拒めない。この世界に足を踏み入れる以上、この程度の責めは耐えねばならない。
 しかし耐えるのみとは、不毛な時間だ。
 単調な……単純な愛撫に欠伸が出そうなところである。呆けていた、というのもあながち間違いでもない。

「やっと声が聞けたなあ」
「ずっとだんまり決め込んでるからてっきり不感症なのかと思ったぜ」
「……くだらない。早く済ませればよろしいでしょう」

 つい語気が強くなってしまう。正確な時間はわからないが、体感的にはすでに小一時間ほども胸周りや下腹部を捏ねくり回し、その手が数えるのも億劫なくらいに増え、屈服させる気があるのかないのかもわからない繰り返し――繰り返し、繰り返し。
 人数が増えても変わらない。さらにそこから数十分、随分と悠長なものだ。
 これでは数日はおろか数週間かけても自分を堕とすことなど叶わないだろう。不毛、不毛だと言い聞かせて自分にはダメージはない、まだ耐えられる、余裕があると言い聞かせて。

「ま、この程度では堕ちないよな」
「あなた方はまだそんなことを……無駄ですよ……?」

 ふと、そんなことを言われた。

「こういう女には相応の堕とし方があるわな」

 男たちは百戦錬磨。沙夜のような小娘を何人も手籠にし、行き地獄を味わわせてきた。
 例えば、痛み。敏感に高められた性感を無理やり励起させる屈辱的な刺激だ。
 剥き出しになっている少女の股間。年相応よりもさらに幼く映る、ひくひくと怯える縦筋を、恐怖を煽るようになぞってくる。
 黒光りしている。一度、これ見よがしに見せつけられて股間の付近で停止した鞭の先を、息を呑んで見つめていた……はしたなく両足を固定されて男どもに羽交締めにされた沙夜は、震える眼差しで見て取る。別の男は錘のついたスパンキングパドルを肝臓の真上辺りに構えた。
 へそに左の中指を差し込んだ。そのままくりくりとほじくり返す。

「息を吐けよ、エエ?」
「ひッふ、何を……かふぅうう――ッ?!」

 男は指を執拗にねじ入れながら問い、沙夜が大きく息を吐いた瞬間にパドルを叩き込む。

 ――シュッ……パァンッ! バヂィィン!

「くあああ――ッ!!?」

 ――ヒュッ……パァァァンッ!!

 同時に股際の鞭が勢いよく振り下ろされ、沙夜の股間を直撃した。可愛らしい縦筋が、寸分の狂いもなく鞭の衝撃に襲われる。激痛が下腹部の双方から駆け上がり、懸命に歯を食いしばった。

「くぅうう……うぅっ」

 男たちは苦悶する少女を嘲笑うかのように、二度、三度、四度……七度あたりで交互の打擲の手を止める。脳裏で白い閃光がチカチカ瞬き、目の端にじわりと涙が滲んだ。
 やがて鍛えようもない下半身を徹底的に責められた結果、沙夜の細い腰はぶるぶると震え。

 ――ちょろっ……じょろろおおおお……!

「やめっ……いやぁあ……っ」

 失禁する。
 鞭痕だらけの幼い股間から、盛大に黄金水が迸った。
 目を背け、放心したのも束の間、天井で唸るような滑車の駆動音。いつのまにかがっしり結びつけられていた手首のロープがカラカラと巻き取られ、沙夜の体が上昇していく。

「くうっ……うぐっ……?!」

 地面から浮き上がってしまった足を、沙夜はじたばたと懸命に揺らした。しかし空中に持ち上げられた状態では、踏ん張ることさえできはしない。先ほどまでの悲壮な表情から一転、無様に無駄な足掻きを続ける少女の姿を、男たちが下から楽しそうに見上げる。

「離せ……! はな、しなさいっ!」
「大股おっ広げていい姿勢だな」
「ほれ、プレゼントだ」

 横向きに寝かせた木製の三角柱。それが拷問用の三角木馬であることは瞭然であった。抵抗も空しく下降は止まらない。鉄板が張られた三角木馬の屋根に、沙夜はがっちりと座らされてしまう。
 意志とは関係なく身じろぎするたびに縦筋が擦られ、鉈を股ぐらに押し当てられたような鋭い痛みが沙夜を襲った。
 おまけにと胸に責め具、足に錘を、空いた穴には割れ裂く勢いで無理やり「器具」を装着されてしまう。強引に下向きの力が加えられ、じわじわと木馬が食い込んでいく。ぴっちりと閉じていたはずの秘すべき亀裂が無機質にめくられ、鋭角に中の粘膜までもが抉られる。

「離してやったぜ。クク……木馬の座り心地はどうかな?」
「ぐッ、いいわけ、ないでしょう……!」
「そうだなあ。辛くなりこそすれ、楽になることもない痛みだろうさ。だから俺たちは一晩お前を放置する」
「な……正気ですかっ、く、ぅううあぁん?!」
「一晩でも二晩でもいいぜぇ。順繰りに鳩尾も撃ってやるから一睡もできないだろうけどなあ!」

 ……苦悶の声は絶え間なく続く。
 眠れない。意識が途切れない。痛い。苦しい。
 時間の感覚が掻き乱され、頭痛がする。吐き気がする。目は気だるげに閉じて瞼から汗を滴らせる。白目を剥き、細く開いた唇端から粘糸が飛ぶ。真下から鉄板に押し上げられ、ちょこんと可愛らしく飛び出た陰核が、挟まれて固定されたまま疼く。小水と愛液で濡れそぼった秘裂はとめどなく泣き、ふっくらとした大陰唇は三角の頂点を喰み絞めたまま、感覚のなくなった足とは対照的に快楽を貪る。
 この苦痛に順応することでしかほんの一時でも和らげることのできない苛烈な責苦。

「まだまだこんなもんじゃねえからな」
「せいぜい楽しませろ」
「何を……あっ?!」

 狙われたのは陰部のさらに下。ひっそりと息づく薄茶色のすぼまり――肛門だった。
 男たちは不浄の穴に指を宛がい、ぐにぐにとマッサージでもするかのような手つきで揉み込み始める。やがて制止するまもなく肛門の内側へと指先を引っかけ、ぐいっと左右へと引く。

「や、めッ……! それ、い、じょっ……ンぎいいいいっ……!」

 括約筋に鋭い痛みが走り、尻穴が切れそうな感覚に沙夜は悶絶した。
 大の男が両手で抱えられないほどの、浣腸器。五百ミリはくだらないだろう。男を拒むように儚く揺れている薄茶色のすぼまりへ、ぶすりと浣腸器が宛がわれた。内側から不浄の穴が拡張されていく。

「ぐぶっ……げっ……! なにっ……なん、ですか、こ、れェっ……!」
「お前のクソを媚薬ゼリーに変える特製の媚薬溶液だよ」
「クソ女にはぴったりだな。ほら、透明なゼリーのおかげで拡張された中が丸見えだぜ」

 ドロドロとして冷たくて気色悪い液体が、だぷんと重みを持って肛門から侵入する。ピストンがゆっくりといやらしく押し進むたび、開かれた女陰がヌラつき、いやらしく蠢いていた。
 やがて、たっぷり、しかし時間にすればほんのわずか数分ほどの時間をかけて、ようやく浣腸器が空になった。苦しそうに収縮する沙夜の不浄の窄まりから、すぽんと先端が抜かれる。

 ――ぐきゅっ……ぐきゅるるるるる……!

「うぶっ、ぐっ……う゛う゛う゛っ……おぼえて……おく、ことです……ぐぅッ?!」

 小さな、色素沈着の薄い肉の輪が、閉じては開いたりを忙しなく繰り返す。
 白いお腹がぽっこりと膨らみ、冷や汗と脂汗が滝のように流れる。

「おなっ、がっ……! おながあああ……ッ!」
「いい気味だぜ」
「仮に当主サマになっても誰もついて来ねえだろこんなクソ女」

 尻穴に浣腸器を突き立てた男たちの後ろには、手に手に二本目、三本目を携えていた。目と口を細めた無数の冷笑が沙夜を見つめる。便意に苦しむ沙夜の姿を見て、連中は残酷に笑っていた。
 一人の男は笑ったまま、片手に握りしめた真っ黒な淫具……アナルプラグの先端を、ヒクつく肛門へと押しつける。

 ――ぐりりっ……!

「おっほぉ゛っ……!?」

 腸内に到達したプラグは、みるみる膨張し張り出た傘が柔らかな腸壁にごりりっと食い込む。粘性のあるゼリーに絡みつくと、腸肉により深く突き刺さりプラグの後退を完全に封じてしまった。
 男たちの下卑た欲望はさらにその先にある。サーモンピンクの生々しい粘膜を見つめて、無数の剛直が今か今かと涎を垂らして狙い澄ましていた。

 ――ずんっ……!

「おっギゅ……?!」

 ――ぐきゅっ……ぐきゅるるるるるるるるっ……!

「いでゃっ、ひっ……! ひっ、ガっ……!」

 凄まじい便意が、張りつめた体内でぱちんと弾けた。抽送に従って、潰れた水風船のように沙夜のお腹が凹む。腸内を毒虫に食い荒らされているような途方もない便意で、肉壺が一挙に収縮する。
 男はその狭苦しさに辛抱できなくなったのか、少女の内部が擦り切れそうなほど、子部屋をこじ開けんばかりに激しく、一心不乱に腰を振った。その後、あっけなく灼熱を吐く。最奥に魔羅を押しつけ、欲望の白濁を解き放った。

「うあ……が……ぉあ、おええっ……」
「ふん、まあまあだったぜ」
「次は俺だ」
「順番に五十回は最低でも出すから覚悟しとけよ。どこまで保つか見ものだな?」
「ごっひゅっ……!!?」

 断続的にびくんびくんと震える丸い腹部は、当然ぎゅるぎゅると唸り続けたままだ。

「うっ……ううううッ……! ぐうううッ……!」

 口腔。秘穴。耳。鼻。腋に臍。穴という穴が乱暴に抉られ、華奢な全身がガクガクと揺れる。上からも下からも犯しておいてなお、男たちの欲望は留まることを知らない。
 時はさらに無常に過ぎゆく。その間にも媚薬ゼリーは刻一刻と体に浸透し、蝕み、媚薬漬けのオーバードーズした身体が無理矢理の絶頂に上り詰めさせられたまま……己の意思に反して降りて来られなくなっても、なお、少女の肢体を余すところなく肉棒で味わい、心と体を陵辱し尽くす。
 そして、臨月のごとくぱんぱんに膨らんだ白いお腹にも、勃起した肉棒がいくつもぴっとりと張りつき――その無防備なお腹に、無慈悲にも怒張が沈み込んでいく。

 ――ぐにゅううううっ……!

 それでも肛門を塞ぐアナルプラグは、一ミリたりとも抜ける気配がなかった。

「トドメをくれてやるぜ!」
「腹の中と外で存分に味わいな」

 ――どびゅるるっ……どびゅうっ……!

「はぐ……うぅう……またナカ、でぇえッ……!?」
「耐えるのはやめろ……っての!」

 ――ひゅっ! パァァァンッ……!!

 臍の上で鞭が炸裂する。
 膨らんだお腹がめっこりと凹み、音の合図に合わせてプラグがみゅんと小さくなった。むりむりと不自然な膨張を見せ、すぽんと抜けて床に転がり落ちる。

「ひぁっ、いっ、いっ、いまっ、はぁっだめだめだめだ――だっ、めぇっ、い゛?! い゛ぃっ……ぃいっ?!」

 尻穴から粘体をぶりゅぶりゅと、噴き出す下品なオブジェになったのは、それから数秒のことであった。
 その姿は、肢体がよく見える大鏡に映してよく視認させ、撮影機器の動画や瞬くフラッシュで全て記録される。この動画もまた、彼女が性奴隷となった頃には烙印、あるいは血統書の代わりになるのだ。人を人とも思わぬ鬼畜の所業だが、便意に翻弄され続けた沙夜には、男の声も、周りの光景も、脳に届いていないらしい。
 尻穴は、もはや閉じ方を忘れてしまったようにヒクつくばかりで、元気なくぱくぱくとしている。

「あ……ひ……でひゃ……おひり、でへま、しぅ……」
「どうだ。また挿れてほしいか」
「ぁひ……お……な、にを……くだらにゃい……こほを……ぉ」
「挿れてほしいか? と聞いている」
「……」

 ぬるぬるのぐずぐずに崩れ落ちて、潰れた帰るのごとく床に寝そべる沙夜。
 答えない。というより答えられない。一度は毒づいてみても、それから先の言葉も、耐えうる未来も想像できない。
 この期に及んでようやく、己が踏み入ろうとする世界の恐ろしさを身をもって知ったのだ。この質問は、今までの己の人生を否定するものだ。
 ……そして、否定しない限り未来はない。少女が咽び泣くには十分すぎる。心が折れる、音がする。そのひび割れに快楽への欲求が染み込んでいく。

「…………ぅッ」
「おい残りの奴らも呼んでこい。あと五十回、いや心が折れるまで百回でも出してやる」
「本当に死んじまうかもなぁ、クク……」

 男の肉棒だけでなく張り型も織り交ぜて、死なない程度の栄養と大量の媚薬を投与されながら、終わりのない交尾マラソンは続く。
 声も快楽も抑えることはできず、意志を保てず、はしたない声を絞り出しながら、絶えず絶頂にたたき上げられ……それを繰り返すうち、神経がショートしてしまった。耐える、という感情も喪失した。あるのは快感か、もっと強い快感だけだ。

「いぐっ、ぅぶッ?! ひんぎいいいッ!! まだぎグっ……!? あ、がっ……や゛め、ぼおおおっ゛……!!」
「おら! 出すぜ!」
「ひががががっ……!!?」

 ――ぐりりりいいいっ……! ぶすっ、ぶつっ!

「きいいいッ?!!」

 手持ち無沙汰になった男は、面白半分で針を取り出した。狙うは胸の先、そして結合部付近、小さな排泄口が無機質な金属棒にずぶりと貫かれ、沙夜は猿のような絶叫を上げた。
 針の挿入の拍子に隙間からぴゅぴゅっと小水が吹き零れたが、もはや誰も、当人さえも気にかけているような余裕はなかった。

「そりゃ面白え! ここにも刺してやれ。そうそう胸の先端だよ。あとアソコにもな」
「媚薬に浸した毒針だろう?」
「ああ、こいつ堕ちる気がねえなら、手っ取り早くこれで廃人にしてやるよ」

 両穴程度で終わらせるなんて生温い、そう言いたいらしい。
 苛烈すぎる激痛と絶頂で、視界が完全にぐにゃぐにゃに歪んでいる。ぶつぶつと串刺しにされると、目の中に真っ赤な斑点と光の明滅が交互に散った。

「ぜえっ、はぁっ……うううっ……!」
「なんだ?」
「はひ、ふぅうう、ぐうぅう……くらひゃい……も。も、ゆるひへ……せーし、くらひゃ……」

 ――パァァンッ……!

「ひぎンっ……!?」

 臀部への打擲。もんどり打って転げ回り、その衝撃で張り型が食い込んで絶頂する。もはやどんな些細な刺激でも、何度でも意識をヤってしまう。
 だが、まだだ。まだ限界ではない。
 男達はまだ沙夜が完全には堕ちていないと見抜き、演技だと訝しんでいた。このまま完全に堕とす、男たちは沙夜を完全に人格崩壊に追い込むべく、百の吐精からさらに全身への調教へと乗り出していく。

「なんれ、なんっれ、いった、いっだのに゛ぃ゛ひぃ……!」
「自分からするんだよ、口だけのグズが」
「跨ってほら! もうわかんだろ?」
「は……ひッ。はひぃ……!」

 意識を失えば痛みを、嫌がればそれを力づくで、栄養は精液と混ぜて注ぎ込み、中が破裂すれば縫合し栓をして、命を落としかければ蘇生術式をかけながら再び性交する。
 男達は前後の両穴にモノや異物を突き込んで尊厳を削り取るように犯すのはもちろん、薄い胸板を揶揄しながら乱暴に抓り上げ、その先端の性感帯である乳首で強制絶頂させた挙句に、胸の先端をモノで擦り上げていく。もう全てを諦め、半ば降参したような様子であろうと、沙夜は穴という穴を徹底的に犯し抜かれた。
 口とて例外ではない。墨染めの如き美しい髪が力任せに引っ張られ、反動をつけるようにして肉棒で突かれる。喉の締め付けが気に入ったのか、程なくしてどくんどくんと長い放出。胃袋まで満たされていく姿があまりに滑稽だったのか、ちゅくちゅくと股ぐらのごく浅い部分を掻き出していた男は嘲笑った。

「こいつの穴には常に何か挿入ってる状態にしとけよ」
「お゛……ぼっ……!?」

 抜いた後にはまた次の肉棒。今度は一息に突き入れ、子部屋の入口を刺激してきたせいで、とてもではないが耐えられなかった。

「おぉおオおぉお゛っ……!!?」
「まるでケダモノだな」
「もっと股ぐらを開けろ。二本挿しだ」
「尻穴にも常に挿入れてやる」
「こいつの髪、めちゃくちゃ気持ちいいぜ」

 喉奥からゴキンと危険な音が聞こえる。血を吐いてもおかしくないような壮絶な苦しみだった。無惨な様子に成り果てた髪をひとしきりシェイクさせたのち、背筋を海老のように反らしながら、三点に放たれた生温い白濁でまたも絶頂する。

「お゛っッ、ふぅ゛っ……!? ひっ……いぃいい――!?」

 朝も昼も夜も、気絶も覚醒も、絶頂してない時間もない。声は声にならない叫びと喘ぎに変換される。口元、喉、秘肉、内側から子部屋に至るまで、直腸、肛門、尿道にもあらゆる汚物と異物が挿入され、抽送され、注がれている。流し込まれている。
 沙夜が気を失っても強引に覚醒させ、また連続絶頂で気絶させる。
 何時間経っても。
 何日経っても。
 仮に、何ヶ月と、費やしたとしても。
 責められ続けた少女は、とうに正常な判断力をもう失っている。精神が壊れる寸前でいつまで踏みとどまるかは、もはや気力と体力次第だった。器が壊れないように乱雑に蘇生され続ける限り、先に尽き果てるのは精魂であろう。

「や、ら……やらぁ……やら゛、あっ……」

 ――ドプッ……! ドビュルルドッピュウウウウウッ……!!

 痛い。熱い。
 全身がバラバラになりそうなくらいに痛い。
 なのに気持ちいい。
 体が、頭が、ふわふわふわふわして、ずっとずぅっと上がりきって、戻らない。戻せない。
 つぶらな瞳が誰が見ても危険なくらいに見開かれ、絶え間なく大粒の涙をぼろぼろ溢す。

「あ、ああっ……!? なん、でっ……いやあああっ……!!?」

 なんでも何も、自分が選んだ道だ。
 これしかなかった
 家のため、と自分を偽り、特別な生まれを呪っても、これしかなかったのだ。それを選んだ、と言わなければ己の全てを否定してしまうから。

「あは、ぁ……ひひひひ、あははは、もう、ゆるして、ゆるしてくださ……ゆるし、ぃへへへ、ひひひひひ……もう、いかしぇ、イ、いくの、やらっ、やら、なんれ……ゆるしてぇ……!」

 男たちは顔を見合わせて、どっと爆笑した。

「ハッ誰が許すかよ」
「謝ってどうにかなるラインはとっくに超えてんだよ淫売牝豚が! オラ、針と毒の追加だ、注射もな!」
「特別に致死量寸前をやるよ、簡単に死なせないがな」
「まだ頭使って言葉考えてんのか。ダメだなぁもっと胎で物事考えないと全然ダメだぜ」

 ――ずぐんっ、ブツっ! どくんどくん……ジュププ……!!

「じぬ゛、ぎゅっっッ……!?」

 滂沱、苦悶、絶頂、逆流、抽送。
 狂った繰り返し、終わりのない快楽の連鎖。

「はひっ?! ほひぃいん……あくっ!!」

 ――どぴゅるるるッ! ぶちゃっ……ぶちゃっ!!

 場所も時間も、自分すら解らなくなるような快楽の拷問に、これまでなんとか耐えてきた沙夜も、その心を擦り切れさせボロ雑巾となって。
 それでも、責苦は終わらない。
 泣いても笑っても、今ここで起こる陵辱からは逃れられない。
 終わらないから、地獄なのだ。
 どくんどくんと熱い精液が、絶え間なく、びしゃびしゃと子宮口へ浴びせかけられる淫熱。その勢いに酔いしれる沙夜の脳裏を、魔が差した。快楽で曇りきった彼女の目に映るのは、肉棒だけ。戻れない連続絶頂と、腰の下から脳天にまで貫かれたかと思うほどの苛烈な突き上げにより、彼女を彼女たらしめる全てが粉々に砕けた――前触れなく、突然に。
 ぷつっ、と。途切れた。

「も゛、ゆ゛る゛、ご……めっ! ふぐぅぅぅぅううううっ!! ごめンにゃしゃ、イ゛ぃ?! ごめんなし、ゃぁ゛、ッ~~~~~?!!」

 絶叫のような声。
 掻き乱し、振り乱し、淫らに乱れて、咲き乱れる。
 泣いて謝るも謝罪の声が絶頂に塗りつぶされ、今までと違う、より大きく、より深い、心の奥を抉り、折る絶頂へと開花した。

「イぐっ! イっちゃっうぅぅぅぅうううううっ!!? ん゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ!!」

 男たちは嘲笑う。
 面白い。見てて飽きない。
 沙夜は、涙を流して、綺麗な顔をぐちゃぐちゃにして喚いた後、身を震わせ、体液を噴き上げ、垂れ流して、気を失う。
 その頭を踏み躙り精液塗れにし、叩き起こしながら、思うのだ。
 泣き喚いて現実を拒絶しようとする少女らしい幼稚ささを許さない。
 肉奴隷は肉奴隷らしく奉仕すべきだ。彼女の体はすでに「そう」調教されている。肉棒を突き込まれると子宮が捲れて膣道が竿に絡みついて、一気に奥に引きずり込もうとする。尿道の中身が強く吸い上げられれば、尿道を引き締めて快楽を最後まで貪る。ぐりぐりと尻たぶを押し付ける動きも、腸内壁や内側の肉襞が竿やカリ裏をぞりぞりと刺激する感覚も、喉奥の締め付けも、髪を巻きつける仕草も、臍や腋だって、全て、全てが男に媚びていた。

「ぉ、あ゛……っ! ほ゛ぁぁ……っ! だ、だし、てぇ……しゅき、すきれすぅ……〜〜ッ!!」

 車に轢かれた蛙のように座敷牢の床の上で突っ伏した少女へと冷たい視線を送る男たち。
 間違いなく廃人となった。
 そのはずだった。
 
 …………。
 ……。
 …。

 時間軸、現在。
 辛くも、沙夜は、生きている。
 今となっては何を契機に猟兵へ「覚醒」したのかもわからなければ、どうやってその場を脱出したのかも定かではない。おそらく全ての男達を気絶させるまで犯して、夢遊病の如き足取りで部屋から出たのだ。その仔細を覚えていろというのが土台無理な話である。
 ただ一つはっきりしているのは、胸を掻き毟り歯軋りし、魘され、激しい頭痛と耳鳴りで目覚めたところで、眠ることはできないだろう。
 今も――今も。
 人に怯え、触れ合うのを拒み続ける……己の尊厳を破壊され、醜悪な地獄の炎に灼かれた少女。
 沙夜が満足に安眠できる日が来るのは、まだ先の話である。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年10月05日


挿絵イラスト