3
ザ・秋宴

#UDCアース #ノベル #猟兵達の秋祭り2023

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#UDCアース
🔒
#ノベル
🔒
#猟兵達の秋祭り2023


0



桜田・鳥獣戯画



末代之光・九十
【壁】グループ参加

アドリブ希望

やあ素敵な温泉宿だ。貸し切りとは豪華だけど。やっぱり皆と一緒なのが嬉しい。
よし。それじゃあ折角だし僕は|皆が楽しんでるのを見て《リアクション役に》回ろうかな!
「幹事役って言ってもステラにも楽しんで欲し……あ。大丈夫そだね。ギガの横で茹ってるや」
「えーと。背中流すのって気合入れる物だっけ……うーん。凄いやる気」
「うわあギガそれどうやってるの!?」
「うん。ドクターフィッシュは知ってるけどそれは普通に鮫に見えるな僕には……!?」
「芽衣それは真似しちゃ駄目な奴だよ危ないよ危ないって……あっ」
「ちょっとギガさんそれは多分そうする為の物じゃないと思いますよ!?(敬語)」
「扇風機は羽根に近付き過ぎないようにねー。いや本当に駄目だからね!?」
「お世話が板についてるなあ……睦まじい」
「え? いや勿論仲良くしてるよ? それにほら。僕が年上だしね? ずっとずっと年上ですし↑? そりゃあもうリードしてだね大人の余裕的な色気と魅力でごめんなさい嘘です見栄張りました日和ったりテンパったりするばっかりで正直あんまり進展してないよ笑うが良いさー!!(逆ギレ)」
「ちょ。ちょっとステラ。ギガに恋バナ振るのは……いや。まあそうか。ガチで自覚無いから。どうせ盛大にすっとぼけた無自覚空振りかますだけだから別に良いのか……」

ノホホンのんびりしつつ。皆の行動に一々驚いたり騒いだり動揺してすっ転んだりしてるよー。
あ。この料理美味しいね。

・各人への感情(おまけ)
鳥獣戯画:ギガ。気の置けない友達で、頼りになる団長。/(何かもを惹き付ける力強い輝き。劣等感)
芽衣:可愛い。でも同時に時々ハッとする位綺麗な獣の少女。/(清々しくて瑞々しい雷光。憧憬と諦念)
ステラ:人妻!美人で上品で優しくて気遣いの出来る人妻!/(営み次代へと繋げる命の優美。羨望と嫉妬)

▽MSさんへ
個人的に、プレイングをフルで埋めると字数が少なすぎるイメージがあるので、アドリブ希望させて貰う為にも最低限に圧縮させて貰います。
上述の通り他PCさんへのリアクションに使って頂けると嬉しいですし、それ以外のアドリフでも嬉しいですし、何ならプレイング字数相応に九十の描写は減らして他のPCさんの描写を手厚くして頂いても構いません。お任せ致します。

あ、この下は更に寝言です字数無駄にしない為だけのフリースペースですすいません。



▽字数が余ったのでポエム(※無視して下さい)
人妻がいざなう温泉旅館 凄い字面だと思いませんか 私は思います
何かもうその言葉だけでオブリビオンが蒸発とかしそう
思いませんか そうですか
(※サビ)

集ったメンバーは色ボケヘタレ めんこい瑞獣 食べる人
集めたのは人妻
そして始まるENDLESS BATTLE 人妻の圧勝か だって字面から強いし 人妻だし 人妻ですよ?
(コールアンドレスポンス合いの手『人妻』)

(※サビ繰り返し)


ステラ・エヴァンズ



皐・芽衣




「ここを、本日の演歌会場とする!」
 テンション高い声を聞き、ステラ・エヴァンズ(泡沫の星巫女・f01935)の口元が思わず緩んだ。ステラが選んで貸切った旅館はいつもよりちょっと奮発して、いい感じのお部屋といい感じの温泉と何よりいい感じのお料理が出る旅館だから、一目見て気に入った! という風な声を聞いて思わず嬉しかったのである。
 声の主は桜田・鳥獣戯画(デスメンタル・f09037)であった。両手を広げて喜びを表現する鳥獣戯画に釣られるように、末代之光・九十(何時かまた出会う物語・f27635)は目の上に手をかざして旅館を仰ぎ見る。
「やあ素敵な温泉宿だ。貸し切りとは豪華だねえ」
 風情がある。上品で落ち着いていて……、それはそれとして。みんなと一緒にいる。それだけで楽しいけれども、九十はそこまでは口に出さず、うん、と頷く。その隣では皐・芽衣(金色一角のメイメイ・f35724)が目を丸くしていた。
「おお……! 話には聞いていたが、ここがタイやヒラメの舞い踊るという旅館じゃな……!」
「うーん。タイやヒラメは躍らない気がするよ」
「ならば! 私が躍ろう、メイメイ!」
「そうか……! だったらわしも躍らねばならぬのう……!」
「まあ。桜田さんと皐さんの踊りだなんて」
 むしろ今からでも踊ろう、と気合満タンな鳥獣戯画と芽衣に、ステラは思わず口元に手を宛てる。
「どうしましょう。私も躍ったほうがいいでしょうか? それか音楽……?」
「どっちもいいねえ。私はどうしようかなあ」
 真面目に考え込むステラに、九十が声をあげて笑う。……いつも通り、にぎやかな旅になりそうだ。

 なお、旅館の部屋にたどり着くまでに、
「春はあけぼの、まずは風呂」
「次に料理、肝試し、枕投げ」
「き、肝試しですか!?」
 鳥獣戯画の言葉に九十がまぜっかえし、ステラが思わず考え込む。
「のう。肝試しとやらはできるのか?」
 キラキラした芽衣の言葉に、うぅ、とステラが思わず唸りながら。
「あ。え。ええと……そ、そういえば近所に廃病院の噂を聞いたような」
「ステラ、ステラ、わざわざ肝試し作る必要、ないから」
「で、ですが。私今日の幹事ですし……!」
「幹事役っていってもそう硬くならなくてもいいと思うよ」
 ポンと九十に肩を叩かれたり、

「おお! あれは! わしの地元(封神武侠界)にいた亀に似ている! 幸せのしるしとされていてそれはそれは大事に……」
「あっ。亀さん、今夜のお夕飯に出ますよ」
「……!」
 庭の亀を見て楽しげな声をあげた芽衣に、案内の仲居さんが親切に教えてくれる。思わずなんともいえぬ複雑な顔をした芽衣に、ステラが慌てて両手を振る。
「あ、あの、亀料理は……別のものでもいいですか……?」
「なるほど、必要ならみんなで狩ってくるぞ! このへんだと猪とか!」
 ステラの申し出に、すかさず鳥獣戯画がそう言い、一般人の仲居さんは「狩り?」と怪訝そうな顔をした。任せろ、とばかりに芽衣がファイティングポーズをとる。
「猪で足りぬなら、熊も探してこよう! 先ほど熊が出ていると報せがあったろう! 捕まえたら喰っていいのであろう?」
「え? ああ。町内放送の……? そうなんですよ。危ないから山の方に入ってはいけませんよ?」
「?」
「???」
「うんうん、いいよねえ。とれたてを料理してもらうのも! 海もありそうだから、魚釣りもいいんじゃないかな?」
 すっごい不思議そうな顔をする鳥獣戯画と芽衣と中居さんに、サラっと九十がフォローに入る。
「あっ。そういえば釣りもできるんですよね、ここ。釣った魚を料理してくれるとか」
 ステラも言葉を添えると、中居さんはそれで何とか現実に引き戻されたようであった。
「あ。はい。それはそうです。釣ったら教えてくださいね。亀、嫌いだったのね。ごめんなさいね」
「嫌いではないのだが……目出度いのでな!」
 ようやく話が通じた。むふー。と胸を張る芽衣を、ほほえましそうに見る中居さんに、ちょっとほっとするステラ。
「なあ、猪鍋は? 熊鍋は? 何なら捌くぞ?」
「うん、今日はやめておいた方がいいんじゃないかなあ」
「うーん。やっぱり、そっかあ……」
 非常に残念そうな顔をする鳥獣戯画に、九十が楽しげにそんなことを言うのであった。

 そして……、
「おー。お風呂、おっきいねえ」
 お風呂を除いた瞬間、九十が思わず感心したような声をあげた。貸し切りにはもったいないくらい広いお風呂。露天風呂ももちろんある。
「あの、これは秘密にして欲しいそうなんですけど」
 そっとステラが声を潜める。なになに、と九十が耳を傾けると、
「あの、今日は私達だけなので……泳いでいいそうです。内緒ですよ。あそこに立ち湯っていう、すごく深いお風呂もあって……」
「! 行くぞメイメイ! 私は温泉が好きだ! 銭湯も好きだ! 湯の中で皆でのびのびしたい!!」
「お、おう? 勿論どこへでも行くぞ、ギガ!」
 ステラの言葉に即座に鳥獣戯画が目を輝かせて、叫びながら芽衣と一緒にお風呂に飛び込む(勿論かけ湯はした)。
「わはは深いなー! 泳げるぞ!」
「これが。これがお風呂というものか……!」
「それは普通のお風呂とはちょっと違いますよー!」
 温泉はじめての芽衣は、とにかく興味津々であった。濡れたくない尻尾も消して、足は人間のものに変えている。彼女にとっては珍しいことなのだろう。もううっきうきである。そして作法はわからないから鳥獣戯画に合わせている。ステラが慌ててフォローを添える。
「まあまあ。今日は無礼講ってことで、ステラも行こう」
「は、はい……っ」
「勿論、飛び込むよね?」
「はい……!」
 九十の言葉に、ステラは思わず笑う。
 温泉で泳ぐのは、結構誰でも魅力的に感じるのだ。

 そうやって一頻り騒いだ後は、
「あの壺湯っていうのも楽しそうだねえ。二個しかないのが残念だけど……」
 普通に露天風呂でおしゃべりに興じ、九十が目を細める。さすがに並ぶ壺は二つだけ……なので、
「よーしステラ。一緒に……あ、いや。何でもないよ」
「は、はい……!?」
 九十が目を向けると、ステラが緊張したように硬直していた。ちゃっかり鳥獣戯画の隣に陣取ったのはいいものの、何を話していいか緊張しているのである。これは行きそうにない。九十は一瞬ですべてを察した。同時に芽衣もそれを察したのであろう。
「九十! わしと一緒に壺るのじゃ!」
「お。いいねいいよねえ。壺ろうか!」
 ざばあ、と立ち上がり楽しそうに壺湯に向かう二人。
「こうして皆で風呂というのは、気持ちいいもんなんじゃな」
 ふむ―。としみじみと呟く芽衣の言葉は、誰もが同意見であっただろう。
「はっ! そうです! また皆さんのお背中も流させていただかなくては!」
「お、おう? なんだかすっごいやる気だな、ステラ」
「はい! 気合を入れてしっかりと! 疲れを取っていただけるように洗い流しますとも」
 不意の言葉に思わず鳥獣戯画が瞬きすると、ますますやる気になってステラは拳を握りしめる。
「えーと。背中流すのって気合入れる物だっけ……うーん。凄いやる気」
「末代之光さんのお背中もしっかり流しますのでね、えぇ!」
「九十よ。「せなかながし」とは何だろうか……? わしらの背中、流されちゃうのか?」
「うーん。そうなんだけど、やっぱり違うような。そうなような……」
「どっちなのじゃ……!? そこのところ割と大事じゃろう!」
 そんな一幕もあったりなかったり、した。

「そういえばー、あのあれだ、あれあれ。足の肉を食う魚はいるか! なんとかフラッシュみたいな!」
 しばらくそうして楽しんだ後、ふいに鳥獣戯画がそんなことを言った。
「そんな凶暴な魚がいて、くつろげるのか……!?」
 はっ。と目を見張ったのは芽衣だ。思わず湯に視線を向ける。残念ながら、湯は白く濁っていて足元を確認することは……できない。
「え、足の肉を食べる魚……? ……よもやそれはドクターフィッシュ、では? ほら、角質を食べる」
「いや、フラッシュじゃなかったか? そんなよくわからないモノじゃなくて、肉を食べる」
「うん。ドクターフィッシュは知ってるけどそれは普通に鮫に見えるな僕には……!?」
「……!! 温泉、おそるべし……!」
 ステラの言葉にも、首を振る鳥獣戯画。九十が怪訝そうに言い、芽衣が思わず尻尾の毛を逆立て……ようとして、尻尾がないことを思い出したりして。
「こっちが逆に、食ってやるのだ! さあこい! みんなの足はわしが護る!」
 芽衣のおかげで温泉とみんなの足の平和は守られたのだろう。……きっと、たぶん。


「お、扇風機! これは知ってる、風呂上がりに「ア゛ーーーッ」ってするやつじゃろ? 少し前に、九十から教えてもらったやつじゃ。やりたい!」
 なかなか楽しかったけれども、ずいぶんと長湯してしまった。お風呂に上がれば扇風機に目を輝かせる芽衣がいる。
 この世界ならありきたりの景色だって、彼らにとってはなんとも新鮮だ。
「ふふ、お風呂上がりの扇風機はちょっと風流を感じますね」
 ステラが穏やかに目を細める。目を細めていた……が、
「ふむ、こうか。おぉ、通っぽい気がするのぅ!」
「芽衣それは真似しちゃ駄目な奴だよ危ないよ危ないって……あっ」
「えっ、いけないことを教わったか!? あぁっ!?」
 身支度を整えている合間に放たれた九十の不意な台詞にと芽衣の大きな声にびっくりして振り返った。いったい何をしていたのか。二人して真剣な顔をして扇風機を見つめている。
「扇風機は羽根に近付き過ぎないようにねー。いや本当に駄目だからね!?」
「うぅ。前髪がちりちりするのじゃ……」
 軽く前髪に手をやる芽衣にステラは思わず笑んだ。なんとも微笑ましい。
「まあまあ。お二人とも大丈夫ですか? 湯冷めする前に、着替えましょう」
「そうだぞー。髪の毛は面倒臭くとも乾かさねばな、大爆発してしまうからな! まあみんなで髪の毛大爆発させるのも楽しいが!」
 自分の支度を手早く済ませながら、鳥獣戯画も声をかける。ほらほら、と優しくステラが芽衣の髪を乾かして、九十もそれを手伝いながらも自分の支度などをしていると、
「すまんステラ、この浴衣? はどうやって着るんじゃろか……?」
 うーん? と芽衣が首を傾げた。温泉のロゴが入った浴衣が人数分。微妙に田舎臭い感じが、また味があってこれもいい。その中の小さいサイズの浴衣を芽衣は手に取っていた。
「浴衣の着付け? お任せ下さい! 」
 勿論ステラに抜かりはない。てきぱきと芽衣にも浴衣を着せて、ついでに髪の毛もまとめておく。
「ふむ……おぉ、ありがとう! かわいいもんじゃな!」
 おぉ。早い。そしていい。鏡の前で芽衣がポーズをとる。
「慣れるまでは足回りがスースーするかもしれませんが、湯上がりには良いお召し物だと思います」
「お世話が板についてるなあ……睦まじい」
 そんな二人の様子を見ながら、九十は微笑ましく自分の手入れをしていると……ふと、
「あれ、ギガはどこか行ってたの?」
「うむ! ちょっと使いっぱしりしてきたぞ!」
 自分で自分のことをそんな風に言って、さっさと支度を終えていた鳥獣戯画がもってきたのは……、
「あ! 珈琲牛乳じゃないか」
「へへーん。温泉と言ったらこれだろう!」
 胸を張る鳥獣戯画。芽衣が不思議そうに顔を寄せる。
「む! なんだその瓶の飲み物は」
 なんとも魅惑的な雰囲気の飲み物だ。ステラが思わず両手を合わせた。
「珈琲牛乳。いいですね」
 鳥獣戯画は得意げだ。徐に珈琲牛乳をひとつ構えると、
「いいか、皆の者、これは腰に手を宛てて……こうやって飲むのだ!!」
「ちょっとギガさんそれは多分そうする物じゃないと思いますよ!? なんでそんな海老ぞりになって飲むんですか!」
「まあまあ。騙されたと思ってやってみるのが……」
「いや、飲みにくいですから!」
 鳥獣戯画の動作を芽衣が真似る。くーっと海老ぞりになってその上から珈琲牛乳を……、
「おっ。天井に何やら怪しいシミが……のうステラ。あれが噂の「旅館にはお化けが出る」というやつか?」
 ふと目に入った天井のシミに芽衣が少しはしゃいだ声をあげた。ステラは神妙な顔をする。何やら、期待されている……! 
「え!? そういえばこの旅館には夜な夜な髪の長い幽霊が珈琲牛乳を持って……」
「ステラ、ステラ、その期待には、応えなくていいからね」
 九十、二度目のツッコミであった。

「勿論卓球も行くぞ! 華麗なるゴールを見せてやろう!」
「ギガ、卓球にはゴールはないと思うよ」
「わしはな、わしは、あのぴかぴか光ってたやつが気になる!」
「ああ。レトロゲームコーナーですね。私もちょっと気になっちゃいました」
「あとぬいぐるみにも挑戦するぞ!」
「あっ。いいねえ。クレーンゲーム!」
 その後もひたすら旅館を満喫し……、

 そうして夕刻、既に食事の準備は整えられていた。
 外が見られる大部屋にて、豪勢な和食である。お肉もあれば魚もある。でもステラの個人的おすすめは季節の炊き込みご飯だったりする。
「あ、勿論、お酒もありますよ」
 窓の外からは綺麗な滝が流れ落ちていて、なんとも心地いい風が吹いてきていた。それを感じながら、ステラは気合の声をあげる。
「そうだなー。じゃあ皆とのおしゃべりを楽しめる程度にいただこうかな」
 ステラの意気込みに鳥獣戯画が応える。ふふ、とステラも頷いた。
「そう思って。日本酒を中心に種類も沢山ご用意しています」
「そっかそっか。それは楽しみだねえ」
 九十もうっきうきだ。そんな二人を微笑んでステラは見て、……それから、
「未成年の方にはジュース、を……と思っていたのですが、瑞獣さんの年齢判定は見目と一緒でいいのでしょうか……?」
 ふと。ものすごい難問にぶち当たった顔をするので、こくりと芽衣は頷く。
「うむ、瑞獣にもいろんなタイプがいるがな。わしは今のところ、見た目通りの年齢じゃぞ」
 ジュースがいい。と芽衣もメニューに目を落として嬉しそうだ。地域の名産果物をふんだんに使ったジュースなんて、見るからにおいしそうだ。
「そうなのか! てっきりメイメイは何百年生きてる系かと思っていたぞ!」
「ふふーん。そうしたらわしはギガの「おねえさん」じゃな!」
 話を聞いていて、思わず親近感を持った鳥獣戯画がそういうと、芽衣はなぜか得意げに胸を張る。お姉さんかー。なんて鳥獣戯画は言って……、
「それじゃあ、乾杯するかー。ほら幹事!」
 待ちきれないとばかりに、声をあげた。乾杯の合図をすべしと促しているのだ。
「ええ。私ですか!? こういう時は、ギガさんじゃ……」
 ステラはびっくりする。だが鳥獣戯画は、
「私は今日はただの使いっぱしりだ!」
 などとものすごく偉そうに胸を張った。九十が思わず吹き出す。
「ははは、いいじゃないか。ステラお願いするよ」
 楽しげに笑っている九十。隣で芽衣が拳を握りしめて、
「ほらほら、早くしようぞ。お料理美味しそうで……、ジュース、いただきます!」
「はっ、わかりました。それでは皆様……ええと、日ごろお疲れ様です、乾杯!」
「「「乾杯!!!」」」
 四人の楽しげな声が、部屋に響くのであった。

 そして、
 最初のころは外の滝を眺めていたり、美味しい料理を楽しくしていたりするのであるが……、
「団長権限―! 皆の者、本日のコイバナを報告せよ!」
 酔っているのか、いないのか。普段から酔っぱらってるような言動をしているのかはともかく、鳥獣戯画がそう唐突に宣言した。
 ちなみにお料理は、大層おいしかった。
「他者に気持ちを向けることは、人生を豊かにするからな!」
 なんかもっともらしい理由が付けてあった。
「え? いや勿論仲良くしてるよ? それにほら。僕が年上だしね?」
 それにこたえたのは九十だ。さらりと。本当にさらりと。話を始めて……、
「ずっとずっと年上ですし? そりゃあもうリードしてだね大人の余裕的な色気と魅力で……」
 さらりと。お姉さん風に。さらりと。あくまで普通に語り始めた九十は……、
「ごめんなさい嘘です見栄張りました日和ったりテンパったりするばっかりで正直あんまり進展してないよ笑うが良いさー!!」
 最後までさらりしきれなかった。思わず大きな声が出て最後の方はまくしたてるようであった。ぱん、と軽く九十は手を叩く。穴掘って今の会話を埋めたい。なかったことにしたい。
「次! ステラの番!」
 これ以上言うことはない! とばかりに九十はステラにぶん投げる。
「私? 旦那様のこと!? あ の、えぇと、はい…仲睦まじくしております、よ?」
 九十の話をほほえましく……自分のことにはまったく思い至らずに……聞いていたステラは、急に話を振られて思わず目を丸くする。
「そうそう。今度はそっちの番」
 ひらひらと片手を振る九十に、ステラは思わず言葉に詰まる。別に恥ずかしいことなんて何もない。なのであくまで……あくまで……、
「その……籍を入れてさん年経ちましたが、ご近所さんからは未だ新婚夫婦と言われるくらい、ですし……」
 あくまで普通な話をしているのに、なんだこれ恥ずかしい。とても恥ずかしい。語尾がどんどん小さくなっていく。やり切れない。
「んんっ! 私はともかく他の方のお話を…えぇ、桜田さんこそ気になる方とかいらっしゃらないんですか……?」
 やりきれないので話をそらせることにする。ステラの言葉に九十がちょっとぎょっとして、
「ちょ。ちょっとステラ。ギガに恋バナ振るのは……」
 思わず言葉を止めた。
「(いや。まあそうか。ガチで自覚無いから。どうせ盛大にすっとぼけた無自覚空振りかますだけだから別に良いのか……)」
 どうした? と芽衣が九十の顔を見る。さすがに九十もこれを口には出せなかったのか、軽く首を横に振った。
「……私か!? ……ふふふ、私は皆気になるからな!」
 一瞬。鳥獣戯画は何かを考えこむような顔をして。二人のような話はないな! と気前良く首を横に振った。
 隠しているわけではなく、まったく本音であった。けれども一瞬、自分でもなぜ何かを考えこんだのかはよくわからなかった。
「はぁー、恋バナは聞いてるだけで楽しいのぅ」
 三人の言葉を聞き、芽衣さんぶどうジュースを頂きながら芽衣はほう、と息を吐く。
「全力で恋を楽しんどるからじゃな、きっと。相手も予定もないわしからしたら、羨ましいもんじゃ」
 彼女らの様子を見つめて、うんうんと何やら悟ったような声で頷きながら、ジュースを飲む様子はどうに言っている。
「……幹事権限で、この話は終わりにします」
 芽衣の様子に、神妙な顔でステラがうなずく。
「そうだね、それがいい」
 九十もまた神妙な顔で頷いて、鳥獣戯画はなんだか楽しそうに笑っていた。

 そして、夜。
 ただひたすらおしゃべりして、枕投げをして、布団に入って、それでもおしゃべりして、
「うーん。わしはもうお腹いっぱい……おや……すみ……」
「おやすみメイメイ! さて、私たちもそろそろ寝るかなあ」
「そうだねぇ。……あ、起きられたらみんな、朝風呂付き合ってよ」
「いいですねえ。お供します。……起きられたら」
「だな! もうこんな時間だ。私は朝食まで寝てしまうかもしれん!」
「まあまあ、きっとそれも、旅の醍醐味だよ……」
「はっ。朝ごはん! 朝ごはんも楽しみじゃ!」
 なかなか眠れない夜は、そんな感じで更けていったという……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年10月17日


挿絵イラスト