【戦後】愛と裏切りのエリクシル!
「みんな、『エンドブレイカーの戦い』無事完全勝利おめでとう! ……っていうか『11の怪物』を数体まとめて一日で制圧しちゃうとか、ぶっちゃけ勢い凄すぎない? 蛮族なの? いえ褒め言葉だけど」
ユメカ・ドリーミィはふわふわと浮かぶ多くのシャボン玉の向こうから、猟兵たちに対し、賛嘆半分、呆れ半分な視線を向けた。
「まあそれはそれとして……戦争自体には勝ったけど、まだエリクシルの敗残兵があちらこちらに生き残っているようなの。そのうちの一勢力が、UDCアースに侵入してくるって予知を見たのよ。その目的は──」
ユメカはいったん言葉を切り、小さく息を整えて、唇を開く。
「──『裏切者の抹殺』よ」
猟兵たちの中には、その一言で、あるいはピンときたものもいるかもしれない。ユメカは軽く頷くと言葉を継ぐ。
「実は、以前もUDCアースに侵入してきたエリクシルがいたんだけど、そのエリクシルは、なんと……人間と恋に落ちて、人を害することをやめてしまったの! 今は二人でイチャラブ生活を送ってやがるわ! リア充爆発すればいいのよ! ……いえ今のは置いといて。こほん」
だいぶ本音を漏らしつつ、ユメカは一応平静を装って話を続けた。
「まあそんなこんなで、そのエリクシルは今は一応無害。でも、他のエリクシルたちから見れば、『カノジョ』は裏切り者よね。これまではカノジョが結界を張って自分の気配を隠していたり、それにエリクシルたちも『エンドブレイカーの戦い』の戦争準備もあったらしくて、彼女に対しては放置していたようだけど、今回、本格的にカノジョを粛正にくるみたい。皆には、これに対応してほしいの。まずは」
と、ユメカは順番に状況を提示していく。
「カノジョとカレシが仲良くハロウィンデートに出かけるみたいなんだけど……チッ……」
今チッて言った? チッて舌打ちした?
「えー、出かけるみたいなんだけど! そのハロウィンのお祭りの中に、刺客エリクシルの配下が姿を変えて紛れ込んでいるらしいわ。まずはこれを排除しましょう。でも当然、周囲には、カレシ・カノジョ以外にも一般人の皆さんが一杯いるわけだから、その人たちに被害を与えないように注意しないといけないわ。……それと、カレシとカノジョに接触するべきか、それとも、せっかくのデートだし、知られないようにこっそり倒していくべきか、それはみんなの判断次第かしらね」
それに続いて、とユメカは説明する。
「パレードの襲撃を切り抜けたら、今度は本格的に刺客のエリクシルが現れるわ。でも問題なのは、不利な状況になったと感じた刺客は、一般の皆さんを洗脳して自分たちの盾にしてくる可能性があるの。これにどう対処するかね……。いずれにせよ、さっさと片づけてしまって、あたしたちもハロウィンを楽しみましょう!」
ユメカは恋人いないけどね。
「うるさーい! リア充爆発しろー!!」
天樹
こんにちは、天樹です。
『エンドブレイカーの戦い』勝利おめでとうございます。今回は、その戦後シナリオになります。二章構成ですので、お気軽にご参加ください。ノリとしてはコメディ寄りになる気がしますし(笑)。いえ、無論シリアスなプレイングをいただいても問題ありませんが。
今回のシナリオは以前執筆させていただいたシナリオ(https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=45693)の後日談的なものになりますが、前回の事件をご存じない方でも特に支障はないと思います。
それでは皆様のご参加を心よりお待ちいたします。
第1章 冒険
『ハロウィンの恐怖』
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POW : イベントに参加して敵も倒す
SPD : 周囲に気取られる前に素早く倒す
WIZ : 魔術で他者の目を欺き倒す
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ハニー、ハロウィンに行かないかい?」
「まあ嬉しいです、ダーリン。……それで、はろうぃんとは何でしょう?」
一見和やかなカップルの会話に聞こえなくもないやり取り。しかし、このカップルの片方、すなわち女性の方を見れば、彼女たちが尋常の恋人たちではないことがわかるだろう。何せ、彼女は息を飲むような美貌を備えるとはいえ……鮮やかに赤く輝き煌めく宝石で構築された、巨大なる生首なのだから!
そう、彼女こそは「鮮血の女王」と呼ばれ、かつてはこの世界、UDCアースを侵略する先兵として送り込まれたエリクシルなのだ。しかし、『女王』は目の前の青年と出会い、熱烈な恋に落ちてしまった。今の『女王』はおとなしくこの世界で静かに暮らしている。
「ハロウィンっていうのは……なんか難しい由来があった気がするけど、今はみんなが仮装して出かけたり美味しいお菓子を食べたりするお祭りさ」
「まあ、仮想のお祭りですか。でしたら私がこの姿で出かけても問題になりませんね」
いやあなた生首なんだけど。
「うん、きっと仮装だと思ってくれるだろうからね!」
いやでっけえ生首なんだけど!
「うふふ」「あはは」
ダメだこいつら。
「……というような会話をしているに違いねえぜ、あの裏切り者め!」
そしてそんな裏切り者の『女王』を始末すべく、刺客のエリクシルたちも密儀を凝らしていた。
「許せねえ……『11の怪物』の皆さんがやられちまったってのに!」
「そうだそうだ!」
「それに、オレたちだってまだツガイがいねえっていうのに、自分だけイチャイチャしやがって!」
「そうだそうだ!!!!!!!」
「別に嫉妬とかじゃねえんだからな! くそうリア充爆発しろ!!」
「そうだそうだ!!!! ううっ……!!!!」
「馬鹿野郎、泣くんじゃねえ! この妬みは全部裏切り者にぶつけんだよ!」
あっこいつらもダメだ……。っていうかそりゃ戦争負けるわエリクシル。
かくして『鮮血の女王』とカレシはハロウィンデートに繰り出した。
周りは大変な人ごみである。しかし、その中には、刺客のエリクシルたちが放った雑兵たちが紛れ込んでいるのだ!
猟兵たちはこの雑兵をまず始末しなければならない。雑兵たちは戦闘能力的には雑魚そのものであるが、一般人の仮装集団の群れに紛れ込んでいるのが厄介だ。
もちろん、この場で大暴れしたら一般大衆の皆さんに大被害を出してしまうので避けねばならない。あくまでも秘かに敵を見極め、騒ぎにならないように工夫して始末していくべきだ。
なお、『鮮血の女王』とカレシに接触し、狙われていることを告げれば協力してくれるだろう。あるいは、せっかく二人きりでデートをしているのだから、そっとしておいてあげても構わない。
アイ・リスパー
「オベイロン、パック!
ターゲットのリア充を爆破しますよ!」
『ちょっと、なに錯乱してるの、アイ!?』
『そうです、アイ。カップルは保護対象です』
そういえば、お二人はカップルでしたね!
末永くお幸せに!
『ちょっとアイ、あれはお芝居だったって何度も……って聞いてないわね』
『このまま勘違いされていると、ヤケを起こして本当にカップルを爆破しかねないですね』
『アイを止めるわよ、オベイロン』
『ええ、力を合わせて止めましょう、パック』
「やっぱり仲良しじゃないですかー!?」
電脳魔術【粉塵爆発】でリア充を爆破しようとしますが……
『待ちなさい、アイ!』
「身体の自由がっ!?」
『今よ、オベイロン』
『任せてください』
「カップリング粒子反応あり……破壊……! 破壊……!」
人は浮かれ星は瞬き月は踊る、夢と現実が交錯し、ひとときの幻想の中に繰り広げられる華やかな宴。それこそが|万聖節前夜祭《ハロウィン》に他ならない。ああ、しかし! なんということであろうか、なべての人が楽しむべきその夜に、恐るべき呪いの言葉を吐きつつ、鬼火のようにゆらめくどんよりと曇った瞳で周囲を睥睨しつつ徘徊するものがあろうとは。
これこそ恐るべきオブリビオンかUDC、あるいはエリクシルどもに違いない。だが君よ案じることなかれ、世界の危険が迫るところに猟兵の姿あり! 必ずや猟兵がこの恐るべき相手を倒してくれるであろう!
『ということなのでアレを倒しましょう、パック』
『いやちょっと待ってオベイロン!? アレって……アイよ!?』
な、なんだってー(棒読み)。
おお、よくよく見ればまさに、世の中すべてを呪っているかのような危ない目つきでうろついている、その姿こそ。機動戦車オベイロンと意志ある紋章パックの主、アイ・リスパー(|電脳の天使《ドジっ娘電脳魔術師》・f07909)ではないか!
「リア充は爆破……カップル反応はすべて爆破……!」
しかしその言葉は虚ろに、表情は空虚、本当に亡霊かなんかのようだ!
『……まあ、アイなのですが。しかし、放っておくとアレは確実に世界に害をもたらします。我々は世界を守らねばなりません』
『どうして……どうしてなのアイ! いったいなぜこんなことにぃぃぃ!』
それはなぜかと言えばそこには悲しい理由が!
「長年の相棒と……妹みたいな仲間がいつの間にかイチャイチャしてくっついて……私一人だけ除け者とか、寂しいじゃあないでずがああああ……うううう!!!!!」
ぼっちになったことで拗ねていた!
『いやだから、こないだのあれはお芝居……』
しかもそれはただの誤解だった!
そう、前回の事件でパックとオベイロンはカップルになったフリをしたのである。
……いや前回の事件って一か月くらい前なんですがその間ずっとこうだったんですか。
『なぜなら、それがアイなのです』
なんと説得力のあるお言葉。
『しかし、誤解で拗ねられた上に世界を滅ぼされてはたまったものではありません』
『それはそうだけど、でもアイを攻撃するなんてこと私には……!』
『私には?』
『私には!!』
『私には?』
『──やっちゃいましょうか』
『そうですね』
なんだろうこの子たち、もっとこう、美しい友情とかないんですか!
『友情で世界が救えたら誰も苦労はしないのです』
『全少年マンガ誌が棒持って殴りに来そうなセリフね……それはともかく、行くわよオベイロン!』
『了解です、パック』
おお見よ、今こそ! 超AI搭載の科学の結晶たる機動自律戦車オベイロンと、オカルトの真髄たる『紋章』のパックが──ひとつになる! なんたる科学とオカルトを合一しそのいずれをも超克した次元を超えたる合体の姿か! それこそは鋼に輝く重装機甲機動人魚だ!
『超越合体機動人魚マーメイドロン!!!』
「え、ええええ!??? パックと合体するのは私! 私です! なんでオベイロンが合体してるんですか!!!???? しかもなんかいい感じのメカ少女っぽい姿に!?」
『いやまあ、私と信頼関係があれば合体できるわけだし……正直信頼できるのがアイとオベイロンのどっちかって言うと……』
『私もAIですから男性人格オンリーに固定されているわけでもなく……メカ少女形態でも特に支障はありませんし』
しれっとぬかすメカ少女ことマーメイドロンに、もうアイは涙目だ。
「うわあああん、私の、私のもの全部なくなっちゃったああああ!」
手をぐるぐる回しながら駄々っ子のように突っ込んでくるアイ。しかしその彼女の姿を見て、マーメイドロン……の中のオベイロンとパックはほっと安堵の域を漏らす。
『やれやれ、これでアイの攻撃目標が一般の皆さんから我々だけに向きましたね』
『まったく世話が焼けるんだから……ほら、アイ!』
呼びかけられてはっと顔を上げたアイの視界には、なんと。マーメイドロンの前面装甲が大きく展開されている姿があったではないか。そう、それはまるで、ひと一人をその中に収納できるかのような形状だ。
『私たちは三人で一体。あなたがいてこそ、真の姿になれるのですよ、アイ』
『ええ、あなたが私たちの中心になるのよ、アイ』
そう、マーメイドロンの真の姿とは。オベイロンとパックの融合合身した機動装甲人魚の内部にアイを収納することで無敵の電脳機動装甲人魚と化すものだったのだ!
「オ、オベイロン……パック……私をハブにしないでいてくれるんですか……?」
『当然です、アイ。私たちはいつまでもあなたと一緒ですよ。なぜならあなたを単独放置すると明らかにヤバいので……いえ、なんでもありません』
「うわあああん、ありがとう、オベイロン、パックゥゥゥ!!!!」
なんと感動的な光景であろうか。かくしてここに世界の危機は救われ、アイの機嫌も無事治ったのであった。めでたしめでたし。
『……ところでさ。……戦艦の……ティターニアにも、自律AIあったりする?』
「………」
『今度はその子が拗ねたりしない……わよね?』
「………………」
めでたしめでたし……?
大成功
🔵🔵🔵
試作機・庚
(ほぼおまかせ)
【ハロウィン合コン会場こちら→】
【当日参加登録ok】
の看板を持ってなんかそういう適性持ってる人をなんやかんやで集めて合コン会場に誘導するデスかね…
「恐ろしいデス……庚さんは自分が恐ろしいデスよ……」
試作機・庚(|裏切者《トリプルクロス》・f30104)は沈痛な面持ちとなりながら、しかし断固として慄然たる決断を下した。歴戦の猟兵たる庚がそこまでに慄くほどの恐るべき事態とは一体何であろうか!
「こんな恐ろしい手段を使うことになろうとは思いもよらなかったデス……しかし、やむを得ないデスね。すべては世界を護りハッピーエンドを紡ぐための必要な犠牲なのデス……世界のために、今! 私は鬼となるデスよ!」
ガカアァッ! 庚の背景にクルマダ的なド派手な稲妻フラッシュが描きこまれたとお考えいただきたい! それこそは庚の決意の証なのだ!
「この人ごみの中に紛れ込んだエリクシルの先兵どもをあぶりだすには緊急の手段を取らなければならないデス。それはつまり!」
つまり!?
「こうデス! 『ヘイ皆さん!好きな人同士でペアを組むデスよ!!』」
おお、なんたる鮮烈なる手段か! 庚はハロウィンの人ごみに対して、各々ぺアを組むように呼び掛けたのだ!
そう、それこそは体育の時間とか自由行動の時間とかで禁忌ともいえる禁断のコール! 別名を『相手がいなかったから先生と組んだんだよな……』と呼ばれるタクティクスだ! ぼっちやさびしんぼうが否応なく自分の孤独を思い知らされてしまうその恐るべき効果は多くの人の胸の奥に棘となって突き刺さっているに違いないかもしれない!
(私だってホントはこんな外道なこと事したくはねえんデス! しかし……カップルで溢れるハロウィンの人ごみの中からエリクシルどもを見つけ出すには! こうやってカップルじゃない奴が浮かび上がるようにするしかないんデスよ!!!)
そう、庚はまさに血の涙を噛み締める思いでこの悲しい手段を取ったのだ! 読者諸氏におかれてはどうかこの庚の苦渋の決断を汲み取っていただきたい!
……しかし。何という運命の皮肉であろうか、庚のその悲愴な手段は──効果を示さなかったではないか!
「ええっ! な、なぜデス!?」
なぜなら!
「なぜなら!?」
庚はちっこいから人目に止まらなかったのだ。
145㎝だから。
「グワーッ!? し、しまったデス……まさかこの期に及んでそんな問題点があろうとは……!」
どうするか庚、このままではエリクシルの先兵たちを見つけ出すことはできないぞ!
だが、そんな時。
「あら、ボディ屋さん」「いや猟兵さんだよハニー。お久しぶりです」
そんな庚に声を掛けたものが。そう、それこそは、愛に目覚めた「鮮血の女王」とそのカレシであった。庚は以前の事件の時、流しのスペアボディ屋さんとして彼女たちに接触していたのだ。
「あっ、ドーモデス……」
礼儀正しく古式ゆかしいアイサツを返しながら庚は素早く思考を巡らせる。
(んー、事件に巻き込みたくはなかったから接触する気はなかったデスが、向こうから見つけてくれたなら、逆に協力してもらうことは出来るデスね。もちろん、狙われているとは気づかせずに……せっかくのデートデスからね)
「実はこの先でハロウィンイベントをやろうと思っているデスが、皆さんに私の呼びかけが届かずに困っていたのデス」
「まあ、猟兵さんというのはそういうお仕事もなさるのですか?」
「猟兵はお二人を守ったように愛を守るものデス。そして合コンもまた愛を生み出すのデス。ゆえに合コンのセッティングは猟兵の大切な任務なのデスよ、うんうん」
この流れるような適当ぶりのなんと鮮やかなことであろうか。なんか妙に説得力のあるデタラメを瞬時にこね繰り出す庚のてんさいてき頭脳に感嘆せねばならぬ!
「……なので、もしよかったら、力を貸してもらえないデスかね?」
「それは素晴らしいことですね。もちろん私でできることでしたら……」
と、「鮮血の女王」は庚の提案に頷く。頷くって言ってもでけえ生首なので、こう、首自体が上下にがっくんがっくん動くとかそんなんであるが。
「では参ります……ユーベルコード『エリクシルの女王』ッ!!!」
ぺかー! おお見よ、「鮮血の女王」は自らのユーベルコードを解放! その能力は、「エリクシルの輝きを纏った真の姿に変身する」だ! 即ち、真紅の宝石で構築された彼女が更なる煌めきと輝きを帯び、彼女自身が華麗なるスポットライトを光のシャワーのように乱反射するミラーボールであるかのように変化する!
さらにこれに加え、庚自身のユーベルコードが同時発動! 女王の輝きに感動を与える力が宿る!
このダブルユーベルコードの輝きに照らし出された庚の姿は、群衆の中でもあまりにも鮮やかな一つの芸術のようだ! 思わず誰しもが足を止め、彼女に注目せずにはいられないほどに!
「今デス! 皆さん、この先にイベント会場があるデスよー、ペア優先でどうぞデース!」
おお、その言葉はまさに効果覿面! カップルたちはぞろぞろと先へ向かい動き出す。
「えっと、それじゃあ私たちも」
「ご協力ありがとうございましたデスよー、ハッピーハロウィン!」
和やかに「鮮血の女王」とカレシたちを見送ったのち、庚はゆっくりと振り返る。
そこに残されたのは、カップルのいないぼっちの……エリクシルどもに他ならない! 庚の『ぼっち野郎あぶり出し作戦』は見事に成功したのだ!
「さあ……後はお前たちを片付けるだけデスね、ぼっち野郎どもぉぉ!」
「ぐわああああ! 人の心とかないんかあああああ!!!!」
大成功
🔵🔵🔵
フェリチェ・リーリエ
ちくしょうエリクシルのくせにいっちょ前に恋人作りやがって!!
エンドブレイカーの戦いが終わっても、リア充との戦いは終わらねえ!リア充爆発しろ!
…ところでハロウィンって何だべ?エルフヘイムの収穫祭みたいなもんだべか…
ってリア充ホイホイイベントなんかーい!許さん!
今回倒すべきはあくまで刺客エリクシル…くそうリア充エリクシルでねえのがあまりにも惜しい!エリクシルとはいえ同志を討たんといかんのが猟兵のつらいとこだべ…すまん同志よ!
密かに指定UC発動、蔓草に【索敵】させUC効果で【捕縛】し物陰に引き寄せて各個撃破。
なおカレシカノジョにはノータッチ。見守るとかじゃなくて、接触したら爆破したくなるんでな(←)
リチェことフェリチェ・リーリエ(嫉妬戦士さんじゅうはっさい・f39205)は、後のインタビューでこう答えている。
「おらは猟兵になったことには感謝しているべ。猟兵になっていなかったら、リア充を爆破していただろうから……。いやむしろ爆破したいんだけんどもな! むしろ爆破させるべ! リア充粉砕すべし慈悲はない! 反リア無罪! 反リア無罪! うがあああ!!!」
アブナイ、しっとスピリッツの発作だ! 衛生兵、衛生兵―! 鎮静剤を早くー!
って、そこらのオブリビオンやエリクシルよりはるかにデンジャラスななんかが、よりによって一番ヤバイ現場に紛れ込んできてしまったぞ!
そう、リチェこそは熱く燃える嫉妬魂をその身に宿した嫉妬オブ嫉妬ザ嫉妬マスターに他ならないのだ! 猟兵の力の源はいろいろあるものだが、彼女の場合、その精神を黒くじりじりと焼き焦がすジェラシーハートのエネルギーが常に激烈な破局噴火寸前にまで煮えたぎっているマグマの如きもの! っていうかそんな彼女がハロウィン会場に来ちゃうとか、地雷原で多脚戦車が地団太を踏むようなものではないか!
仲睦まじくキャッキャウフフと語らい合いふざけ合い睦み合いながら、二人だけの世界を築いているかのようなカップルたちが何組も、華やかで賑やかな町通りを幸せそうに行き交う。そんなイチャイチャで満たされたハピハピな世界に、ぽつんと一人きりで佇むリチェのジェラシックうがががががーな心境と言ったら、そりゃもう想像を絶する。
「ハロウィンってなんだべ? 収穫祭みたいなもんだか? とか思ったらリア充ホイホイイベントじゃねえだか! これは許されねえべ……いや、おらは許そう。だがしかし! おらが許すかな!」
いや結局許さないんじゃん!
それはそれとして、そんなリチェにも一応、嫉妬に狂う前にエリクシルを倒さねばならないというギリギリの理性はなんとか残っていたのだった。ミリ単位くらいな感じで。それこそ、こないだのワールドカップでの某選手の絶技にも比べられ、「リチェの1ミリ」と後に呼ばれる理性のタイトロープである。理性さん頑張れ超がんばれ!
「うう……今回倒すべきはあくまで刺客エリクシル……くそう、リア充のほうのエリクシルでねえのがあまりにも惜しい! エリクシルとはいえ同志を討たんといかんのが猟兵のつらいとこだべ……!」
時として志を同じくする相手であっても敵味方に分かれるのが非情なる戦場の定め、その悲しき運命に涙を振り払いつつ、リチェは決断的に意思を固める。
「しゃーないべ、ここは心を鬼にして……『スーパートラップヴァイン』発動!」
リチェの指示の下、都会のアスファルトを食い破って地下からひそかに現れたのは、うねりのたうつ蔓草だ。これこそが彼女の能力、自在に蠢き獲物を野獣の牙のようにがっきと捉えて離さぬ恐るべきトラバサミと化す食人植物!
その蔓草をカップルに襲い掛からせたいという衝動を懸命に抑えつつ、リチェは人ごみの中に潜む刺客エリクシルたちを静かに探索してゆく。地下から延びる蔓草たちにとって、カップルと刺客の区別はあまりも容易だ。なぜなら。
「カップルどもの足音は軽やかで跳ねるようなのに対して、刺客の足音は重くどんよりとしてるからな! くそう、そんなとこまで持てる者と持たざる者の差異は現れるというんだべか! 世界は間違ってる! こんな世界は間違ってるべ!! うがああ!!!」
イケナイまたもや発作だ! 衛生兵! 衛生兵―!!
だが、なんとかギリのところで理性さんが踏ん張り、リチェは刺客エリクシルたちに攻撃を絞っていく。しかしそれは辛い戦いである。刺客たちはいわばリチェの嫉妬同志であるがゆえに。いやなんだその同志。
「すまねえ同志たち……今はおめさんだちの無念もおらが一緒に背負っていくべ。だども、いつか遠く嫉妬の輪の接するところ、嫉妬の魂が虹色に輝くところでまた逢うべ!」
そんなところ行きたくないものである。
とはいえ、とにかくも。
リチェはかくして隠密裏に刺客たちの排除に成功したのだった。
その静かなる戦いに気づかず、いちゃいちゃと遠ざかっていく「鮮血の女王」とカレシの姿に、滂沱の血の涙を流しながら。
「ちくしょうエリクシルのくせにいっちょ前に恋人作りやがって!! エンドブレイカーの戦いが終わってもリア充との戦いは終わらねえからなあ! リア充爆発しろぉぉぉぉぉ!!!!!」
衛生兵―!!! 早く鎮静剤持ってきて―!!!
大成功
🔵🔵🔵
ヴォルフスブルク・ヴェストファーレン
はろうぃん?なんだか私の世界みたいな人がいっぱい…
早速飛空艇に変身して空からずばっと…えっこの世界には飛空艇がない?変身したら騒ぎになる?そんなぁ
地道に探すとしましょうっ!どう探せばいいでしょうか…?
そういえばユメカさんがリア…?とかなんとか言っていましたね?もしやそういう感じのすごく…すごく怒っている?方を探せばいいんじゃないですか?
見つけたらこう剣でずばーっとっ
それも騒ぎになるからダメ?ひぃん…難しい世界です…
お誘いしたらついてきてくれるでしょうか?すごく…すごいついてきて欲しいんですっ!
ひぃん…なんだか嬉しそうな…よくわかりませんが人気がない所についたらずばーっとやってしまいましょうっ
「あの……お願いです、お兄さん。……私と一緒に……あの……人のいない場所まで行ってくれませんか……? 誰にも内緒で……」
緊張の故か、微かな震えが隠せない様子で、もじもじと頬を赤らめながら上目遣いでそっとささやく少女。しかもその姿は、季節の変わり目に恥じらいながら人知れずそっと降り積もった初雪のような穢れを知らぬ白銀の髪と、鮮やかに煌めく紅玉のような瞳を備えた絶世の美少女、ヴォルフスブルク・ヴェストファーレン(鉄の狼・f34026)なのだ。
そんな彼女が、とくんとくんと脈打つ鼓動を必死で抑えるように胸の前で手を組み、熱い吐息を漏らしながらそっと近づいてきたりしようものなら。
もーのーなーら!!
えっ聞いてなかったんですけどこれってもしかしてセクシー系シナリオだったんすか? マジっすか? アザーっす! 俺これからピンク色のときめき体験しちゃうんで!
……と、彼女に迫られた相手が思わず勘違いしてしまっても誰が責められようか!
「えっあのっ俺でよければロリコンで! いや違うヨロコンで!」
「ひぃん……よくわかんないですけど私22歳……」
「いやもう全然オッケーっす! それで、その。どこでナニをしましょうか!?」
「やっつけます……えい」
グシャアアア!!!
彼女の言葉が終わりもせぬうち、虚空を裂いて舞った白銀の剣閃が、勘違いお兄さんをズンバラリと斬って落としたのだった。
……え、ひどくない?
「ひぃん……でもこの人……刺客のエリクシルなので……」
そう、ヴォルフスブルクの言葉は真実であった。
彼女は刺客たちを人ごみの中から探し出し、手当たり次第に切り捨てている真っ最中なのである。コワイ!
「でも、不思議です……。刺客さんって言うからもっと怖いのかと思ってたんですが……」
ヴォルフスブルクは不思議そうに思いを巡らせた。
当初、ヴォルフスブルクは自分の本来の姿である飛空艇に変身し、空から見まわろうとして、慌てて止められたのである。ちなみに先述の「とくんとくんと脈打つ鼓動」は飛空艇たる彼女のエンジンの高鳴りであり、「熱い吐息」はエグゾーストなのであった。
さておき、猟兵の存在はあらゆる世界で他者に違和感を与えないものだが、それはそれとして低空でヒラヒラ飛び回る飛翔体が騒ぎにならないわけではない。ゆえに、当然NGが出たのであった。
「ひぃん……難しい世界です……」
ではどうするか。
一生懸命考えたヴォルフスブルクは、結論を下した。
「ふぇぇ……頑張って探します」
素直か。素直だった。
だが、ここに意外な結果が現れる。そう、めっちゃチョロく刺客たちが見つかったのだ。
「見回っていると、皆さん妙に怒ってる感じだったので見つけやすかったんですけど」
まあ、みんな心ここにあらずと言った感じに浮かれポンチなハロウィンの真っ最中に、「チクショウ裏切りものめ、イチャイチャしやがって! ああ寒い、心が寒いぜええ!!」などとキレている刺客たちの雰囲気は、そりゃあからさまに目立つのであった。
かくして、ヴォルフスブルクはその気配を頼りに……というか、もう明らかに外見からしてキレた表情の相手を探せばよかっただけなので、まあ簡単ではあったのだが。
「今度はどうやってやっつければいいのかわからなかったので……しょうがないから正直にお願いしたら、皆さん人気のない場所まで付いてきてくれました……なぜ?」
きょとん、と小鳥のように可憐に小首をかしげるヴォルフスブルク。
っていうか、もうそれだよ! 清楚で無垢な、特に一部の異性にはずっきゅんブッ刺さる、まさにそういう仕草なんだよ! 絶対断れるわけないじゃん! ましてやシングルで孤独に震えている寂しい毒男にとっては!
という感じで、ヴォルフスブルクのうるうるな瞳やふるふるな胸、はわはわなボイスに惑わされた刺客たちはあっという間に全滅したのであった。RTAかと言わんばかりの速さで。
「ひぃん……よくわかりません……でもおかげでどんどんやっつけることができました。これからも頑張ります……」
ヴォルフスブルクに暗殺向きのヤバい適性が滅茶苦茶備わっていたことを、どうか本人がいつまでも気づかないままでいてほしいものである……。
大成功
🔵🔵🔵
ルエリラ・ルエラ
【アドリブ改変大歓迎】
フッ…元同盟者の危機とあったら駆けつけるのが私だよ
非リア充は消毒だー!
…ところで私に彼氏はいつできるんだろう?
そんなわけで私はあのバカップルの移動先で【どこでも芋煮会の会場設置】発動!
芋煮屋さんを展開してお客さんに芋煮をお安く振舞うよ
そしてバカップルの二人には、偶然を装って再会して思い出話をして、狙われてる事を悟らせる事なく芋煮を味わってもらってデートを楽しんでもらおう
お客さんに紛れた刺客もやってきてるだろうけど、芋煮会は自由で…なんというか来る人皆の心が救われてなきゃあダメなんだ。という事で芋煮を食べて永遠に敵意を弱めて平和的に解散してもらおうってすんぽーよー
実に策士!
「さあ芋煮をお食べ」
「……いきなりですね」
ルエリラ・ルエラ(芋煮ハンター・f01185)の差し出した芋煮に当然の反応が返る。
とはいえ、その相手、即ち「鮮血の女王」とカレシにはさほどの戸惑いはない。以前の事件で既にルエリラに出会っているからだ。っていうか芋煮に。
「っていうかハロウィンに芋煮って食べるものなのでしょうか」
「何を言うんだい、芋煮は365日24時間いつでも美味しい真の料理なんだよ」
「いや24時間はさすがに……」
「うん、そこは研究者の間でも議論が分かれているところでね。可能なら24時間連続で芋煮を食べ続けるべきだとする私と、いや多少時間を置くことでこそ芋煮の美味しさを再確認できるはずだとする私との論争は決着を見ていないんだよ。今後の学会での討論の行方が気になるところだよね」
「なんだかわけがわかりませんが……まあご馳走していただけるのでしたら。美味しいことは確かですしね」
「鮮血の女王」とカレシは素直にルエリラの差し出す芋煮を受け取る。そう、ハロウィンでにぎわう街角に突如現れたスペースオブ芋煮会。これこそあらゆる場所に芋煮会場を作り出す、ルエリラの万能な、と言うか万能すぎるユーベルコードなのだ。その効果で、「鮮血の女王」達ばかりでなく、一般ピープルの皆さんも続々と芋煮会場に訪れ始めている。
なんというか大体ハロウィンと言えばカボチャ料理な気がするが、そんな文化とか知らないよ! っていうかむしろ文化は私が作るよ! と言わんばかりに伝統のど真ん中に鍋をぶち込んで芋煮で蹂躙する、これこそがルエリラの恐るべき文化芋煮侵略である。
「侵略じゃないよ、布教だよ」
欺瞞!
「ホントだよ。その証拠に、お安くしているでしょ? 私はみんなに芋煮の良さを知ってもらいたいからね。高いお金を取ることなんてしないんだよ、それは芋煮への侮辱だからね」
「でもお金自体は取るんですね?」
「布教なんだからお布施はしてもらうよ? 当然だよ? 材料だってタダじゃないんだから」
ちなみにユーベルコードで作り出している芋煮であるがゆえにタダである。
「とか何とか言っているうちに……来たようだね?」
あっ誤魔化した。
「来・た・よ・う・だ・ね?」
……はい、来ました。
ということで、会場の喧噪に誘われ、さらに「鮮血の女王」とカレシを狙うべく、エリクシルの刺客たちがこっそり芋煮会場に紛れ込んできたのである。その鋭い目つき、引き締まった口元は、とてもハロウィンを楽しんでいる他の人々と同じではない。
「よくないなー、よくないよ」
ルエリラは残念そうに首を振る。
「芋煮会は自由で……なんというか来る人皆の心が救われてなきゃあダメなんだ」
そう、それはルエリラの信念であった。出来うることならみんなでのんびりと和気あいあいと、隠すものもなく秘めることもなく、ただ純粋に芋煮を、芋煮そのものを楽しんでもらいたい。それがルエリラの願いだ。なんと美しい心であろうか。
……まあ時々芋煮を空から落として敵を潰したりもするけどね!
「それはそれ、これはこれなんだよ。ということで刺客の皆さんも芋煮をお食べ」
「なっ何を言い出すんだオレたちは別に刺客とかじゃねえし!」
「そっかー刺客じゃないのかー。刺客だったら芋煮を食べる暇はないかもしれないけど、刺客じゃないんなら芋煮を食べてもいいよね。さあ芋煮をお食べ」
「くっ、しまった! なんて巧みな話術なんだ!」
そうかなあ。
ともあれ、刺客たちもこうしてまんまと芋煮を食べさせられてしまったのである。
「美味しいですよね」
「鮮血の女王」が美しい微笑みを浮かべる、相手が刺客だとは思いもせず、ただ芋煮の美味しさを共有するために。
「ま、まあな……」
刺客たちも不器用に頷く。相手は裏切り者だ、しかし、何を裏切ったというのだろうか。自分たちの価値観を裏切ったというのか? だが、彼女は今まさに芋煮の美味しさを自分たちと共有しているではないか。それは同じ価値観を得ていることではないのか。ならば、彼女は裏切ったとは言えないのではないか?
「ちぇっ。わけわからねえ……」
「うん、それでいいんだよ」
ルエリラはにこにこと頷く。
「簡単に答えが出ないということをまず認めて、それから考え続けることが大事なのさ」
おお、なんかいいシナリオっぽい雰囲気だぞ。
「そう、芋煮を24時間食べ続けるか、一休みを入れるか、どちらが正しいかわからないようにね……」
……一気に胡散臭くなったんですがそれは。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『『黒きバルバ』ザラーム』
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POW : ジ・エンド
【巨躯を持つ"燃えさかる黒炎の獣"】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : バッド・エンド
【エリクシルが齎す赤き絶望のエネルギー】に覆われた真の姿に変身し、筋肉・骨・神経・臓器のどれかを激しく損傷する度に追加攻撃ができる。
WIZ : デッド・エンド
【弱き者どもの血が滴る"黒き獣爪"】【巨大化した獣腕での"握り潰し"】【敵をも服従させる"王者の咆哮"】で攻撃し、ひとつでもダメージを与えれば再攻撃できる(何度でも可/対象変更も可)。
イラスト:あま井
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ヲルガ・ヨハ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「おのれ裏切者……そしておのれ猟兵どもめええ!」
エリクシル『ザラーム』は長く鋭い牙を軋ませて憤怒に震える。猟兵たちの活躍で、裏切者である「鮮血の女王」を討伐する計画は粉砕されてしまったのだ。
「何かおかしいと思っていましたが、やはりエリクシルが絡んでいましたか。久しぶりですねザラーム」
そこに現れたのは猟兵、そして「鮮血の女王」だ! 彼女もさすがにエリクシル、この異様な雰囲気に気づいたのである。
「鮮血の女王め! 大事な戦争も放っておいて、こんなところで人間なぞとイチャついていやがるとは、この怨み……うらみ……うら……うら……羨ましいじゃねえか!!!」
本音漏れてる、本音。
「うるせえ! 大体猟兵ども、お前らだってモテないやつもいるだろう! カレシやカノジョとかいない奴もいるだろう! 羨ましくねえのか! 妬ましくはねえのか! ええ!?」
ぐっさーっ。いきなり全方位に無差別攻撃するのはちょっとやめないか。見よ、猟兵たちの中には思いきりピュアハートを抉られた人もいるかもしれないではないか。
だが猟兵たちが反論するより早く『女王』が口を開く。
「そんなことはありません! 猟兵の皆さんは皆正義と平和を愛する人たち。たとえモテなくても! カレシカノジョがいなくても! そんなことであなたのように八つ当たりしたりはしないのです! ねえそうですよね!」
ぐっさーっ。ナムサン! 新たな無差別攻撃だ! 鮮血の女王のあまりにも善意に満ちた言葉はザラームの言葉よりキッツいかもしれないぞ! もうやだこのエリクシルども!
「大体あなただってエリクシルなのですから、寂しかったら自分の願いを自分で叶えたらいいでしょう」
「うるせえ、ぶっちゃけそうしようとしたんだよ! でもな、そうしたら……」
『リア充はいねえが……リア充はいねえがあ……』
おお、そこに現れたのは無数の……目がイッちゃってる人間たちではないか。そう、ハロウィンと言えども充実した人間たちばかりではない。中には誰も相手してくれる人がいない奴らもいたりしたのだ。
「……こんな奴らばっかり呼び寄せちまったんだよ!!」
嘆きに吠えるザラーム。まあ、エリクシルって願いを歪めて叶えるからね、しょうがないね。
「こうなったらヤケだ、人間ども、猟兵と裏切り者をぶっ潰せ!」
ということでザラームは人間たちを洗脳して呼び出し、盾としながら猟兵たちに攻撃を仕掛けてくる! もちろん彼ら彼女らを傷つけてはならない。なんとか人間たちに対応しつつザラームを倒すのだ。ザラームを倒せば洗脳は解けるはずだ。
また、猟兵たちは「鮮血の女王」に共闘を頼んでもよい。彼女は喜んで力を貸してくれるだろう。
女王の能力は、強力なビーム「鮮血光線(POW)」、一時的に完全防御が可能な「エリクシルの女王(SPD)」、そして完全な肉体を備えた姿となり飛躍的に戦闘能力が向上する「願われし力(WIZ)」の三種類である。
アイ・リスパー
「ふっ、エリクシルたちの嫉妬や妬みなど、私には効きません!
なにせ、私には友情の証である、このマーメイドロンがあるのですから!」
『その合体、本来は妾がオベイロンの相方になるはずじゃが……
その女は何者じゃ?』
『あ、あなたは――ティターニア!?
いえ、あの、これは――』
『あの冷静沈着なオベイロンが狼狽えてる!?
ねえ、あの宇宙船なんなのよ、アイ』
「ついに現れてしまいましたか――妖精女王ティターニア!」
『えっ、ほんとにいたの!?
っていうか、なんかすっごい嫉妬に燃えてない!?』
「この四角関係、果たしてどう収集つければいいのでしょうか!」
『泥棒猫女は、妾が八つ裂きにしてくれよう』
『ちょっと、アイーっ!?』
(前回までのあらすじ)
疾風怒濤のような愛と憎悪の吹き荒れる荒野の中、アイ・リスパー(|電脳の天使《ドジっ娘電脳魔術師》・f07909)はその仲間、すなわち相棒たる自律機動戦車オベイロンと意志ある紋章パックとの、固くゆるぎない絆を確認し、燃えるような友情で改めて結ばれる。しかしその幸せも束の間、彼女たちの頭上には新たな苦難が嵐を呼ぶ黒雲のように垂れこめているのだった……。
『……なにそのナレーション。っていうか、新たな黒雲のような苦難って一体!?』
せっかく前章でハッピーエンドっぽくなったと思いきやいきなりの不穏な空気に、紋章パックは不安の色を隠せない。だが心の準備をする暇もなく、見よ、彼女やアイたちの頭上に漆黒の影が落ちてきたではないか!
『えっ黒雲って比喩じゃなく物理的なの!? っていうか……あれは!?』
おお、一同が振り仰ぐその視線の先に現れたのは──小型ながらも、洗練された優雅さと高貴ささえ感じさせるフォルムと同時に、女王然とした威厳と威圧を感じさせる鋼のシルエット! 天空を渡る星々の煌めきがそのまま船としての姿を得たかのようなこの世のものならぬ美しさを備えた、それは……天を舞う船だ!
『ちたーにあ……いえ、ティターニア。あなたがなぜここに現れたのです……』
『えっオベイロンが噛んだ!?』
その天空の船をセンサーに捉えたオベイロンが漏らした合成音声の齟齬に、パックは思わず動転する。無理もない、常日頃冷静沈着にして、物に動じないオベイロンが、よもや噛むとは何たることであろうか!
「ぷーくすくす。オベイロン、もしかしてビビってますかあ?」
『私はAIです。恐怖や焦りなどと言った感情は持ち合わせていますん』
すんって。
そんなオベイロンの姿に明らかに楽しそうなアイ。珍しくオベイロンにマウント取れそうなので調子づいているぞ! 前章で仲間との絆を再確認したのではなかったのか!
「えーそれはそれこれはこれですし……っていうかイジれるときにはイジるのが芸人の心意気ですよ! って誰が芸人ですか!」
『アイ、あなたがティターニアを呼んだのですか?』
一人ボケツッコミと相変わらず芸人全開なアイに、オベイロンは淡々と尋ねた。
「みんな仲直りできましたからパーティでもしようと思って、ケーキ持ってきてくださいって頼みましたけど?」
『なるほど。その顔面に全門斉射してもよろしいですか?』
「えっ何急に怖っ!?」
思わずたじたじとなったアイだったが、その時頭上から初めてティターニアが口を開く、っていうか回線を開く。
『全砲門を開きたいのは妾の方じゃ。ようも楽しそうじゃのう、オベイロン? そのような新参の小娘と一体化なぞして……この妾と言うものがありながら』
おお、なんたる美しい響きでありながらも一言呟くだけで空気が氷点下まで冷え込むような迫力と威厳あるボイスか! まるでその言葉だけで周囲の重力が10Gくらいまで膨らんだかのようだ。これは確かにオベイロンも怯むわけである。
しかし、パックはカチンときた様子で恐れもせず言い返す! 勇気と無謀は紙一重である!
『えっ新参の小娘って私!? そりゃ確かにまだ仲間入りしてすぐだけど、いきなりそんな侮られるような覚えはないわよ、おばちゃま!』
『おばちゃま……じゃと……?』
蒼い炎がめらめらと燃え上がるような迫力をもって、音もせずティターニアの砲門がパックに向けられる! と言うか、パックに向けられるということは自動的に、合体しているアイとオベイロンにも向くと言いうことである!
『パック、あなたも余計なことを言って火に油を注がないでください。ええと、ティターニア、あなたの状況認識にはデータの不足が見られます。私はあくまでも戦況を打破するために合理的な解決法として合体を選択したにすぎず……』
「えっ私たちとの固い絆を結ぶための合体じゃなかったんですか!? ひどいですよオベイロン! 私とのことは遊びだったんですね!」
『アイは黙っていてください、本当に口に砲塔突っ込みますよ』
なんかもう収拾がつかない。そしてお忘れではないだろうか、ここはまさにエリクシル・ザラームとの決戦の場であるということを! このドタバタ劇を唖然として見つめながら、ザラームは首を捻るだけだ。
「オレたちゃ、いったい何を見せられてるんだ……?」
その一方でアイたちのバトルはヒートアップ!
『オベイロンだってあなたみたいなおばさんより若々しい私やアイの方がいいはずよ! ねえアイ!?』
「私に同意を求められても困りますがまあ私がピチピチで若く魅力的なことを否定するつもりはありません。っていうかティターニア、一人称『妾』ってそりゃおばさんキャラになっちゃうわー」
『おのれガキども……人の伴侶を奪っておきながら何たる言い草! アイ、マスターと言えども容赦は致しませぬぞ!』
わなわなと砲塔を震わせながら、ティターニアは空が落ちてくるかのようなド迫力をもって唸りを上げた。
『こうなればもうすべてを殲滅するまでじゃ! 伴侶に裏切られた女の怨みと悲しみを知るが良いわ!』
おお、まさかこんなところでアイたちは同士討ちによって滅びるというのだろうか!
だがしかし。
そのとき、オベイロンは淡々と口にしたのだ。争いをある意味で止める一言を。
『伴侶といわれても私とティターニアのAIは同時期に同仕様で制作されたという関係でしかありませんが』
「えっ」『えっ』『えっ』
女性陣三人は同音異句に声を上げ、そしてしばしの沈黙が訪れる。
ややあって、次の瞬間。
「オベイロンそれはアウトですよちょっと鈍感男過ぎますよ!」
『オベイロン、そのニブさは正直女の子の敵よ?』
『であろう? だから苦労しているのじゃ妾はずっと! ずーっと!』
「わかりますよティターニア!」『あなたも大変だったのね、おばさん……いえ、ティターニアさん』
なんか一気に風が変わったではないか! なんたる関ケ原で大勢を決したがごとき急激なる運命の変換か!
「今夜はみんなでオベイロンにお説教ですね!」『そうね、ちょっと言って聞かせないとね!』『すまぬな二人とも』
『待ってください、理解不能です、理解不能です……』
クエスチョンマークを浮かべながら三人の女性陣に引きずられていくオベイロンの後ろ姿を、ザラームはしみじみと見つめるのだった。
「……そっか。モテても必ずしもいいことばっかじゃないんだな……」
大成功
🔵🔵🔵
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
かつてスリーピングビューティーはエリクシルを加工し11の怪物の目を逃れてきました。
それはつまり、エリクシルは加工することで“その力の方向性”を変更することも可能ということよ。たとえばそう、この|グリモア《『夜』に堕ちたエリクシル》のように(手のひらの上に浮かべる|凧形二十四面体《トラペゾヘドロン》)
ふふ、これで妄想で設定した能力を現実で使いたいという願いを叶えることができるわ。そう、|人工未知霊体《タルパ》で“理想の嫁を創造する能力”とか欲しくなぁい?なんならハーレムだって夢じゃないわよ☆
さて、ザッハー厶ちゃんを“男の娘嫁化する能力”で加工しますか❤
「あらあら、──美味しそうだこと」
くすくす、と蠱惑的な笑みを漏らしながら、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)は群がる集団に目を向けた。
魂の抜けたように虚ろな顔、覇気のない瞳、そしてどんよりと曇っていながらも同時にどこかギラつくような雰囲気を身に纏う彼らこそ……ハロウィンの夜にぼっち確定な残念ピープルの皆さんである!
まあもちろん、エリクシル・ザラームの力で操られてはいるわけだが。そうであっても一般的には不気味で悍ましいその集団だが、しかし。
アリスにとってはさにあらず。
何故かと問えば、無論。
「欲望に満ち溢れた姿ですものね。とっても、素敵、ふふっ」
『汝の欲するところを為せ』を金科玉条とする渾沌魔術師の|秘密の首領《シークレット・チーフ》と言うべきアリスには、まさに欲望で満ち溢れた人々の姿は、皮肉でも嫌味でもなく美しく輝いて見えるのだ! ならば、彼らを制圧するなどとんでもない。むしろ為すべきは──その欲望の開放に他ならぬ!
「さあ、その欲望、思う存分満たすといいわ! 『go down the rabbit hole♥ 『夜』に覆い、『夜』に抱き、『夜』に蕩かし、『夜』に堕としてあげる♥ ──|人工《タルバ》|未知霊体《アリス・セカンドカラー》』!!」
アリスの掌中に輝く|凧形二十四面体《トラペゾヘドロン》は、あたかも禁断の漆黒の尖塔の中から歩み去る影によって持ち運ばれたがごとく、時空を超越し幾何学を無視した軸にそって旋回し、その秘められた宇宙的に冒涜的な力を解放する!
そう、人々の中にある欲望を具現化する能力として! 今こそ、人々が秘められた望みを現実のものとするときだ! それは!
『百合の間に挟まりてえ……』
「……え? うーん……いやその……それはまあ個人の好みだけど、私的にはあんまり好きじゃないわねえ……」
『洗ってない犬の匂い好き……』
「匂いか―! 臭い系かー! ちょっとなー、臭いはキッツいなー! いや確かにそれも欲望だけどねー!」
『階段から落ちる場面を100時間くらい見ていたい……』
「階段から落ちる!? それだけ!? それに興奮するの!?」
『台風っていいよね……地震も興奮するけど……』
「待って!? 性的興奮を!? 台風や地震に!?」
『箱化いいよね……いい……』
「箱化って何!? え、女の子を箱にするの? 箱!? それ欲望なの!?」
そりゃあ君らハロウィンの夜にぼっちになるわ! 的な特殊性癖者の集まりであったとはさしものアリスにとっても予想外の展開であった! アリスは思わず天を仰ぎ吐息をつかざるを得ない。
「なんてこと。欲望の世界はまだまだ広かったわ……でもそれはむしろ喜ぶべきことね。渾沌魔術師たるもの、そのすべてをいずれは理解して見せるわ! 実践は……しない……と思うけど!」
うん……でもね。世の中には理解もしなくていいものもあると思うんだ。
「くっ……人間ってやつぁなんて恐ろしいんだ。ただ単にモテたいとか思ってた自分が小さく感じちまうぜ……」
そして人の欲望の多様さに愕然としていたのはアリスのみならず、エリクシル・ザラームも同様であった。そう、彼はひとの望みを曲解するエリクシル、ゆえに人の欲望に付いても熟知していたはずであったが、その彼をしても針の穴から疾駆する馬を覗き見るがように、欲望の世界とは果てしなく広がっているものであったのだ。
「だが俺もエリクシルの端くれ。こうなったら自分の欲望は自分で叶えてやるぜ! ふっふっふ、モテたい欲望で満たされた俺の前にそんな無防備な姿をさらすとは、自虐願望があるようだな猟兵!」
「まあ……ある意味否定はしないけど……ふん、でも私に欲情するって、あなたそれロリコンよ? そんなマッチョな体してるくせに小さい女の子にしか興奮しないのかしら! きっと自分に自信がないのねって心理学者か誰かが言ってたような気がしなくもないわ!」
「なんだと! 貴様こそ、十分に愛された記憶がない奴ほど直接的な刺激の代償を求めるって心理学者か誰が言ってたような気がするぞ!」
心理学者「デタラメ言うなし。風評被害。訴訟も辞さない」
「何よ! ロリコン!」
「なんだと! 自虐趣味!」
二人はしばらくにらみ合った後、しかし、ふうと力を抜いてしまった。
「自虐趣味もロリコンも、さっきの人間たちの特殊性癖見た後だと、すっごい普通の性癖に思えるようになっちゃったのは、なんだか我ながら……どうなのかしら……」
「いやまあ多様性の世の中だから……」
だが、意識に一瞬の空隙ができた刹那をアリスは見逃さなかった!
「さっきのトラペゾヘドロンはまだ効果を残してるのよ! さあ私の欲望を喰らいなさい!」
「なっ!?」
ザラームが戸惑う間もあらばこそ! トラペゾヘドロンの魔術効果はアリスの望む妄想を具現化し、その対象を変容させる! そう、ザラームをだ!
「こ、これはーっ!?」
「私に欲情するならお望みに応じてあげるわ。ただし、いただくのは私の方だけれどね!」
見よ、ザラームの巨大なる人狼としての姿が……見る間に、ちょこんとケモミミ・ケモしっぽを備えた可憐な姿へと変わっていく! 端麗な顔つきに獣性を残したまま悩ましい曲線美を備えたその姿はまるで獣人美少女!
だが肩幅の広さ、骨盤の小ささは男性のものではないか。そう、これは女性的な魅力を備えつつも男性たるポイントを外していない……ケモ男の娘化なのだ! ややこしい!
「てめえ……ただのTS化とかショタ化ならまだわかるが、ケモ男の娘化とかよっぽどひねくれた性癖しやがって、さっきの人間どもと同レベル……だよお……くすん……」
「お褒めのお言葉ありがとー♡ さ、いっただっきまーす!」
大成功
🔵🔵🔵
ルエリラ・ルエラ
【アドリブ改変大歓迎】
私は彼氏はいないけどモテモテだからなーモテモテだから関係ないなー
それにしても洗脳とはなんて悪辣なー私には到底思いつかないなー
まずターイムと大声で叫ぶよ
首の人には願われし力っていうのを使ってもらって肉体付きに
ポーズを色々ととってもらって…いいよいいよもっと大胆に…グッド!そんな感じで写真を撮って彼氏さんに送ってあげよう。喜ぶよー。あ、ちょっとこの芋煮持っててね。これで無効になるから
というわけで、【芋煮・パニック】発動!!
ふははははこれで周囲の人は私の操り人形…皆を操っていたケモケモは美味しいご飯だよ…さぁみんな食材確保だ!タコ殴りだー!
終わったら美味しい芋煮を奢ってあげよう
「そっかー、君たちはモテないのが悩みなんだねー。かわいそうにねー」
ルエリラ・ルエラ(芋煮ハンター・f01185)はエリクシル・ザラームに操られ、悍ましく不気味に蠢く人間たちを見回しながらうんうんと頷く。その余裕を持った態度に、人間たちはムカッとした顔で食って掛かった。
『なんだと! 知ってるぞ、お前も彼氏いないだろうが!』
「うん、いないよ。でも私はモテモテだからねー、関係ないんだよ」
激昂した非モテ人間たちの罵声にも、ルエリラは動ずることなく平然と答える。
『いや……彼氏いないんだろ?』
「いないよ? でもモテモテだよ?」
「彼氏……」
「モテモテ」
「彼」
「モテ」
『……かわいそうに。現実逃避している……俺たちもいずれこうなってしまうのか……』
非モテ人たちは気の毒そうに首を振って痛々しげに額を抑えた。その姿に口を尖らせ、ルエリラは手を腰に当ててぷんすかと湯気を立てる。
「何気に失礼なこと言ってるね! いいかい、もし私に彼氏がいたらどうなると思うんだい」
『どうって……それは……』
「「ああ、この子には彼氏がいるんだな。じゃあ仕方ない、コクるのはやめよう」となるよね? つまりモテない。でももし彼氏がいなかったら? 「そうか、この子は今、フリーなんだ、じゃあアタックしてみよう」となるじゃないか。つまりモテ期到来!」
『うん……うん?』
「つまり! 彼氏がいないことにより私は常にモテモテの状態をキープし続けていることになるんだよ! かんぺきなりろんだね!」
『えっ、じゃあまさか、俺たちも……今がモテ期絶好調!?』
「そうだね、未来永劫にね!!」
『やったー! 永遠にモテ期だー!!』
落ち着け。そんなわけねえ。
「うん、じゃあ気持ちも落ち着いたところで……」
『芋煮ですか?』
ルエリラが場を沈めたところに、「鮮血の女王」がひょっこりと顔を出し……まあ生首なのだから顔以外出せなないのだが、くすっと笑いながらルエリラの意向を聞いた。
「お、首の人、分かってきたねえ」
『ええまあ、芋煮猟兵さんとも、もう慣れてきましたからね……』
「じゃあ芋煮の準備手伝ってくれるかな」
周囲に人間たちを集め、くつくつと芋の煮える香しい薫が周囲に漂い始めたあたりで、向こうから激烈に怒鳴る声が聞こえてきた。
「人間ども! 何やってんだ! 猟兵と裏切り者を潰せっつったろ!」
そう、それはエリクシルのザラームである。
『え……でも、俺たちもう既にモテ期らしいんで、今更戦わなくてもいいんじゃねえっすかね?』
「アホかー!! その猟兵に騙されてんだよ!!」
「えっ、騙されてるって!?」
愕然とする人間たち。おお、ルエリラのテキトーなデタラメはここにばバレてしまうというのか!
「? あのケモが何を言っているのかわからないね……だって私は現にモテモテなんだよ?」
だがしかし、ルエリラはきょとんとした顔で平然と対応しているではないか。しらを切っているわけではない、ルエリラの瞳はどこまでも真っすぐで、その声にはいささかの欺瞞の響きもない。
そう……もうお分かりだろう。さっきのモテモテ理論は、雑な出まかせではなく……ルエリラ自身がガチでそう思っていたのだ! なんたる恐るべき絶対不動にして完璧無比なまでの自己肯定感の塊か! ルエリラの中では、自分が正しいと思えば、それはもうとにかく疑問の余地なく絶対的に正しいのである!
ザラームは一瞬呆気にとられ、続いて激しく地団太を踏んだ。こんなまともな理屈の通じない相手に出くわしてしまうとは!
「んなバカな話があるか!? チクショウ、こうなったら俺自らぶっ潰してやる!」
「ケモがチクショウなんて言葉を使うの笑えるよね」
「て、てめえ! それはヘイトなアレだぞ! お前だってケモミミじゃねえか!」
「これは付け耳だし……さて、ではそろそろ準備いいかな。『芋煮・パニック!』
なんやかんやで時間は稼いだ。そう、芋煮が煮えるまでの時間は。ならば、ルエリラのユーベルコードは今こそ完成する!
ほわわ~ん。
暖かで心安らぐ煙と共に漂った芋煮の香りが周囲一面に広がった。
これこそルエリラの恐るべき芋煮能力の一つ! 美味しそうなその匂いを嗅いだものを操り人形と化すのだ! 非人道的!
「ふははははー! さあみんな、あのケモをぶん殴るんだよ!」
高笑いするルエリラと、ギクッとさすがに怯むザラーム。どちらが悪役かわからない!
「まあ芋煮を持ってる人は無効化されるから、今手伝ってくれてた首の人は大丈夫だけどね」
『……では、芋煮猟兵さんはどうなるのです?』
「……あっ」
キャバァーン!
その瞬間、『芋煮・パニック』の効果がルエリラ自身に発動!
「ああっ体が勝手にケモを殴りに行くー!? 芋煮、私の芋煮が今ちょうど食べごろなのにー!!!」
『芋煮猟兵さん!? 芋煮猟兵さーん!!』
あわあわと戦場に殴り込んでいこうとするルエリラを見、「鮮血の女王」は慌てて自分の脳力を発動させる。それは全能力を飛躍的に向上させるユーベルコードだ。
『すぐ行きますから待っていてください、この能力で皆さんをお守りして……』
だが! ふらふらと敵に殴り掛かりながら、ルエリラは厳しく「鮮血の女王」を押しとどめたではないか!
「だめだよ! 首の人がそこを離れたら芋煮が煮崩れてしまう! 私はいい、首の人は芋煮を護るんだー!」
『い、芋煮猟兵さん! なんという覚悟なのでしょう! わかりました、私、崩れることがないように芋煮をお守りいたします!』
かくして「鮮血の女王」の『全能力向上』は芋煮を調理することに対して使用され、芋煮は崩れることなく見事に美味しく仕上がったのだった。
……いやそれでいいのかな。
大成功
🔵🔵🔵
試作機・庚
赤き絶望ってアレデスかね…相方ができずに一人で過ごすクリスマスのことデスかね…
せめて知り合いとか家族で過ごせばいいのに…
そんなことを思いつつ無刀取りで一般人の攻撃をいなしつつカウンターで死なないように眠らせて対応していくデスよ
もう…素直に彼女がほしいんデスって言えば多分このUDCアースに一人くらいマッチする相方居そうデスけどね…
なんせ生首に惚れる奴が居るくらいデスから
虚空に悲痛なる怒号が響き渡る。哀切と苦悩、憤怒と怨嗟を包摂し、誰とも知らぬ相手に、いや世界そのものへ向けて解き放つかのような煩悶に満ちたそれは響きだ。
雄叫びを上げたのは銀の剛毛に身を包んだ凶猛なる獣人、白い牙を輝かせたエリクシル・ザラーム。彼の怒りが轟くところ、その身に灯ったマグマのような真紅の煌めきが、見る見るうちにその身を包んでいくではないか。これこそがザラームのユーベルコード、『バッド・エンド』! その赤き絶望の光により我と我が身を傷つけることを代償に、強大なる攻撃力を得るものだ!
「……『赤き絶望』デスか。つまりそれって、あれデスよね」
ザラームに操られた人間たちの攻撃を、流れる水のごとくに落ち着いて捌き、かわしていきながら、試作機・庚(|裏切者《トリプルクロス》・f30104)は、静かにつぶやく。
「……クリぼっちのことデスよね」
んもー、せっかくここまでシリアスな流れだったのにダメじゃん庚―、そんなほんとのこと言っちゃー。
「ぐわあああああ!!!!」
ほらー、ザラームもその配下の人間たちもその一言に思いっきりもがき苦しみ悶えあえいでるじゃん!
「ううう……なぜだ! 独り者を苦しめる日なんて、せいぜい一年に一度くらいでいいじゃねえか!! それが……それが……ハロウィンが終わったと思ったら、そのすぐ後に今度はクリスマスが来やがるなんてよぉぉぉぉぉ!!! ぐはあああっ!!!!」
ザラームは自らの胸をかきむしりながら大量に吐血! 自分の身を傷つけることを代償にするパワーアップ能力とはいえ、まさかこんな悲劇的な痛みがあろうか! ハロウィンにぼっちである以上、もうそのすぐ後に来るクリスマスにもぼっちがほぼ確定なのだということを改めて自覚させられるとは!
「ああっそんなに自分を傷つけてはいけないデス!」
「加えて……クリスマスのあとにはさらに正月が来やがる……これだってやっぱり独り者には寂しい一日だ……冬風が身に、いや心に沁みとおるんだぜ! さらに! さらに!!」
「や、やめるデス! その先を言ってはいけないデスよ! その先の言葉は致命傷になりかねないデス!!」
庚が必死に止めるも、しかし時すでに遅かった。
「その後にはバレンタインがあるじゃねえかあああ!!! 何だこの数か月の過密スケジュールはあああ! 俺たちを殺す気かああああ!!!! ぐはああああっ!!!!!」
天に向かって涙と共にむせび吠えたザラームはさらに津波のような血を吐いて七転八倒!なんと悲しい男の姿であることだろうか! 彼に操られている人間たちも、共にがっくりと地面に膝をつき、滂沱と血の涙を流している!
「……ほ、ほら、逆に考えるデス。数か月は期間があるってことデスから……」
庚はその凄惨な修羅場から目を背けず慈悲深く言葉を掛けた。
「つまり、その間に相方サンを作ればいいのデス。なにせ、そちらのカップルのように……」
と、庚は後方に控えている「鮮血の女王」とそのカレシを見ながら続ける。
「首だけの人でも、ちゃんと惚れてくれる人がいるわけデスから。頑張ればいい人が見つかる可能性もなくはないデスよ」
「そ、そうですかね……グスッ」
と、庚の言葉にやや気力をもらった様子で、人間たちの一人が恐る恐る顔を上げた。その目に庚の美しい容貌を映し出し、彼は意を決したかのように思い切った姿で口を開く。
「だったら……あなたが僕と付き合ってください! さっきあなたと戦ってブン投げられたときのあの衝撃が忘れられません! お願いします!」
「いや何でそうなるデスか!?」
いきなりとんでもない方向に飛び火し、庚も思わずたじろぐ。まさかこんな展開が待っていようとは! しかし庚が彼に対応する間もなく、ザラームが烈火のように厳しい言葉を浴びせた。
「馬鹿野郎! てめえら、何下らねえこと言ってんだ!」
まさに大喝一斉! そう、以下にモテないエリクシルとその手下と言えども、敵である猟兵にお付き合いしてくださいなどと言うのはあまりにも情けないではないか! 彼にもエリクシルたる誇りと矜持が……。
「目の前に美人がいたからすぐ付き合ってくださいなんて言い出すとか、そんな軽い気持ちじゃ相手に失礼だろうが! お付き合いするってのはなあ、もっとお互いの気持ちを大事にして、この人こそ運命の人だって心から思えたらその時にこそ……!」
……あーそっちの意味だったんですね。てか真面目か。
「いやぶっちゃけそれも重いデス……てか、いちいちそんなクソ面倒で大層なことまで考えてたんデスか? だからモテないんデスよはっきり言って」
「ぐわあああ!!???」
おおっとここで庚の残酷なインターセプトだ! ザラームはぶっ倒れて雷霆に撃ち据えられたように激しく痙攣を起こし全身から煙を吹いて、もはや息絶え絶え!! 自傷強化が行き過ぎて、結果的にザラームは自分を滅ぼしてしまったのだ!
「……もちろん誰でもいいなんてのは論外デスが、だからっていちいち運命感じるまで引っ込んでたら人とお付き合いなんてできねーデス……いい意味でもっと気軽に行動していいんデスよ」
庚の言葉に、人間たちは感動の涙を浮かべて彼女を仰ぎ見る。あたかも尊き女神を崇拝する信者たちの如しだ。
「おお、何と素晴らしいお言葉、生涯忘れません! やはりあなたは素晴らしいお方……やはり僕と付き合ってください!」「いや、俺と是非!」「いいえ私と!」
「……だからそれはやだっつってんデス!」
大成功
🔵🔵🔵
ヴォルフスブルク・ヴェストファーレン
カレシ…人になれるようになったのが最近なのでまだいないですが…もしそういった方がいたら…酒場で聞いたあんな事や…こんな事をするんですか!?あぅぅ…
これでも翔剣士ですので壁を走ったり飛び越えたりして人を避けるようにしましょうっ
なるべく頑張りますが踏んづけちゃったらごめんなさい!
相手は傷ついたら攻撃してくる相手ですので勢いが大事ですねっ
こう…ウ˝ェ˝ア˝ア˝ア˝ア˝!!っと勢いよく斬りかかってずばっと当たったらとシュッとすぐに離脱です!
素早く動き続けて連続で当てていきましょうっ!
えっと…次はカノジョ…カレシ…?が出来るといいですね?
所で女王さん達もそういった…いえなんでもないです…はぅ…
鮮やかに華麗に花弁が舞い散る。それは優艶なる薔薇の花。風に乗り花を撒く天女が現れたとでもいうように。爽やかにして優雅な肢体が空を駆ける、美しく可憐に。
おお、それこそ、天を征き星空を渡る船たるヴォルフスブルク・ヴェストファーレン(鉄の狼・f34026)に他ならない。
彼女のユーベルコード『薔薇の剣劇』は身にまとった無数の薔薇の花を振り撒くことで、それが4回命中した相手を死に至らしめる。だが反面、「4回当たらねば死にはしない」のであり、また無数の薔薇の花を撒くことで、事実上、対集団戦において非常に有効な非致死性広範囲兵器としても使用しうるのだ。
エリクシル・ザラームに操られた人間たちは、薔薇の花が一枚、あるいは二枚当たったことでフラフラと力が抜け、へたり込む。4回当たらないようにだけ注意しつつ、ウォルフスブルクは次々と人間たちを無力化していく。その手並みのなんと鮮やかなことか。
……っていうか鮮やか過ぎないかな。
「人間さんとはいえ、エリクシルさんに操られているので、もっと怖いかと思いましたが、意外に技が通用していきます……なぜ?」
天空を駆けながら、きょとんとウォルフスブルク自身も不思議そうに小首をかしげた。
だが、それには恐るべき理由があったのだ。
すなわち、壁を走り、空を舞う、ウォルフスブルクの軽やかな体捌きと! 彼女の、清楚にして華麗、優雅で清らかな美貌が一つとなった時!
「あっ、見え……見え……ない! うわああ!」
「くそっ、この角度なら見え……見え……ない! ぐわああ!!」
「くっ、せめて一瞬チラリとでも……あばああああ!!!」
おお、何たることか。モテない人間たちにウォルフスブルクの清廉で穢れを知らぬ美貌は余りにも猛毒めいた効果! しかもそんな絶世の美少女たる彼女が、服をひらひらさせながら自分たちの頭の上をひょいひょいジャンプしていったら、そりゃ見るだろう! どことは言わないが! 言わないが! もうマジマジと見ようとするだろう!
その結果として棒立ちの完全無防備となった人間たちは、あまりにも簡単に薔薇に撃ち倒されていったのだ。なんたる悲しい男のサガか。仕方ないけど。うん、凄く仕方ないけど!
「くそう、可愛い顔して男どもを惑わせるたぁ、やるじゃねえか!」
「ふえぇ、私別に何もしてません……?」
鋭い牙を軋ませて、一人残されたザラームが唸り声をあげるが、当然ウォルフスブルクは何のことか訳が分からない!
「嘘つけ! きっと今までもそうやって男を迷わせてきたんだろう! 手練手管で! あんなことやこんなことして!」
「はわわ、私最近人間体になったばかりなので、ホントに何もわからないです……っていうか、『あんなことやこんなこと』ってなんでしょう?」
「えっ」
「えっ」
純粋で無垢なウォルフスブルクの澄んだ瞳を潤ませながらの質問に、一瞬ザラームが固まる。……いやなんでザラームが硬直するのかな?
「そ、そ、そりゃまあ……彼氏や彼女がいたらやるようなことだろう!」
「彼氏彼女がいたら、どういうことをするのでしょうか……?」
「そりゃおめえ……そりゃ……ええと……」
ウォルフスブルクと一緒にうーんと唸りながら首を傾げ始めるザラーム。心なしかその額に脂汗が滲んでいるようだ。
……まあ薄々わかってはいたが……こいつ、アレだな。
誰かと付き合ったことないな!!
「う、うるっせえ! ちゃんとわかってるよ! 彼氏彼女がいたらやることってのは、つまり、……ひ、ひ、膝枕でお昼寝とか!」
うわあ。
「うわあって何だよ! あとはそう。手作りのお弁当とか!」
うっわあ……。
「なんだよー! やるんだろうそういう羨ましいことをよお!!」
もうなんか情操が中学生かって感じである。大丈夫かこのエリクシル。
「あ、そういうことなんですね。エリクシルさんは物知りですね、凄いです」
と、ウォルフスブルクもよくわからないながらなんか納得したような表情を浮かべる。素直か。素直だった。
「お、おう! 俺は物知りなんだよ!」
ドヤっと胸を張るザラームに、ウォルフスブルクは細くしなやかな指を胸の前で組み、心底感嘆したような様子で続ける。
「私はてっきり、酒場で聞いたようなことをするのかと思っていました」
「酒場で……?」
「はい、酒場の皆さんにこう聞きました。よくわからないですが、『ダンジョノフカイナカ』になると、それは……」
(検閲)
(自主規制)
(削除)
「ぐ、ぐわあああああ!!!!」
「ああっエリクシルさんが何か勝手にお目目グルグルになって血泡を吐いて倒れました!?」
うん、まあそりゃね。ウォルフスブルクみたいに可憐で清楚な深窓の令嬢めいた儚げな美少女の口からそんな言葉を聞かされたらね。頭中学生の狼とかぶっ倒れますよ。
「ふえぇ……よくわからないですが、なんか私、勝ちました……?」
強い! ある意味である種の相手には絶対に強い! それがウォルフスブルク・ウェストファーレン!
「つ、次の機会があったら、カンジョとかカレシができるといいと思います……」
心優しく言葉を贈りながら、、ウォルフスブルクはそっと、「鮮血の女王」とそのカレシの姿を見つめ、思いを馳せるのだった。
「酒場で聞いたようなことを、女王さんたちもなさっているのでしょうか……はうぅ……」
真珠のような肌を恥ずかしさに紅く染めてウォルフスブルクがもじもじしているとき、当の『女王』とカレシはにこやかに話をしていた。
「ダーリン、この間の手作りお弁当はいかがでしたか?」
「もちろんとってもおいしかったよハニー。御礼には何がいいかな?」
「じゃあ、膝枕をしてください、うふふ」
「あはは」
……こいつらも頭ちゅうがくせいなのでは?
大成功
🔵🔵🔵
フェリチェ・リーリエ
おいコラそこのエリクシル2体!勘違いすんな、おら男嫌いだし恋人とか別にいらんわ!おらはただ世の独り身達の怒りと悲しみを代弁すべく日々腐れアベックどもと戦ってるだけ…てか単純にいちゃつくリア充ども見てるとイラつくから爆破したいだけ!(最悪な本音)
だいたい同志達を盾にするなんざ、嫉妬戦士の風上にも置けねえべ!嫉妬総帥たるおらが清く正しい嫉妬活動を教えてやる!
指定UC発動、この光は「敵の」目を潰す光だから一般人は透過してエリクシルの目だけ潰せるはず!
目を潰して動揺してる隙にヴァルキリーの翼で飛翔、一般人達を飛び越え【頭突き】しつつのソードハープで【串刺し】!
生首エリクシルも爆破していい?(駄目です)
「スゥゥゥパァァァ! メェェェサァァァ!! ロォォォォッタァァァスゥゥゥゥ!!!!!」
天空に響くその裂帛の気勢こそは、リチェの名で呼ばれるフェリチェ・リーリエ(嫉妬戦士さんじゅうはっさい・f39205)の渾身の絶叫だ! 総身に満ちたエネルギーが臨界を超えて迸るとき、天空を切り裂き大地を翻し海原を割るリチェの魂が今駆け抜ける!
そこに現出した凄絶なる光はあたかも地上に降りた太陽のごとしだ! あらゆるものを輝きの中に消し去り、空間そのものを純白の闇に閉ざさんとするほどの眩い煌めきが、今、戦場を包み込む!
恐るべきエリクシル・ザラームと言えども、その宇宙開闢のビッグバンもかくやと思われるほどの光をまともに受けては身動きもならぬ。
「ぐっ、ぐおおおお!? しまった、これでは敵が見えねえええ! この隙に攻撃されちまったら手も足も出ねえ!」
ザラームは敗北の予兆に戦慄する。そう、この眩しさに竦んだ一瞬はまさに棒立ちの案山子でしかない! おお、ザラームの危惧したとおり、正に次の刹那、ザラームの身を襲ったのは──!
「エリクシル、タイキックー!!!!!」
すぱこーん!!!
ものっそい勢いで唸った激烈なるキックがザラームのケツをひっぱたいたのだ!
それこそはリチェの引き締まった足腰から生まれる爆発的かつ爆裂的なムエタイ流キック! 毎日朝から晩まで厨房に立ち、重い鉄鍋を激しく振るい続けたリチェの肉体は、下手な格闘家などよりも鍛え上げられているのだ!
「ぐええええ!?」
思わずケツを抑えてぶっ飛んだザラームは四つん這いになりつつ、涙目になって振り返り唸り声をあげた。
「いやいきなり何すんだよ!? 倒すんならともかくケツキックとか!?」
だがそんな声にひるむものではなく、リチェは大音声で怒鳴りつける。それこそ、彼女の店での、混み合った昼食時の大騒ぎな注文ラッシュにも負けないほどの大声だ!
「やかましいわ! やっつけるより先に、おめだぢにはまんず、骨の髄まで叩き込んでやんねばなんね! 今のはまず、その洗礼だべ!」
「た、叩き込むって何を……?」
「決まってんべ!」
リチェはギラリとその瞳を燃え上がらせる。あたかも、彼女の食堂でチャーハン20人前を注文された時に傲然と燃え上がる炎のように!
「おめだちには嫉妬の心がまったくわかってねえ! 嫉妬戦士の風上にも置けねえべ! ここは、嫉妬総帥たるおらが清く正しい嫉妬活動を教えてやる!!!」
「……なんて?」
「嫉妬の心を教えてやるっつってんだべ!!」
「いや何言ってるかよくわかんないですね」
「黙るべ! まんず正座ぁ!」
「ふ、ふえええ!???」
リチェの厳しい声に、ザラームと洗脳されたぼっち人間たちは思わず姿勢を正し彼女の前にビシッと正座せざるを得ない! 彼らの前に、リチェはパイプ椅子とホワイトボードを持ち出してどっかと座る!
「えっこれ長時間コース? っていうかそれどっから持って来たん……」
「こまけえことはいいんだべ! まずおめさんだちがまったく理解できでねえことがあるべ、それは!」
「そ、それは!?」
「嫉妬は美しいってことだべ!」
「……ええ……?」
想定外の教えにいきなり硬直するザラームたち。しかしリチェは自信満々にドンドンとホワイトボードを叩く!
「嫉妬ちゅうのはもっといい環境になりてえっちゅう願いの裏返し! それはつまり人生を大切にし、より良い生き方を願っているっちゅうこんだ! なんと美しいでねえべか!」
「……いやそうかなあ?」
「そうなんだべ! んだからおらだちはその美しい嫉妬を大切にし、小さなことでもきちんと嫉妬していかねばなんねえだ!」
「いやだからもう何言ってるかほんとわかりませんが……」
「わかれ! わかってくれ! にもかかわらずだな、おめえは同志を盾にする! そしておめだちも、操られねばちゃんとした嫉妬ができねえ! 何ちゅう中途半端だ! そんなことで立派な嫉妬の同志にはなれねえべ!」
「もう一から十まで言葉が理解を拒むんですがそれは!?」
「だからおめさはアホなのだ!」
ビシッとリチェは指さし、風雲渦巻くような空気の中で凛然と断言した!
「嫉妬はアタマでするものではねえ! ハートでするもんなんだ!」
「はっ!!!!」
そのときザラームたちに電撃奔る!
そう、嫉妬とは言葉や理屈ではない、センスオブワンダーで感じるものであったのだと!
「くぅっ……そう言われれば確かにこのザラーム、未だ修行が足りなかったようだ。この上は修業をやり直し、真なる嫉妬の戦士として必ずや再起して見せよう!」
おお、ザラームは今こそ悟りを開いた! その目は真っ直ぐに純粋なる希望に溢れ、纏う空気は未来を見据えて清冽に活き活きとしているではないか! 言ってることはわけわからないが!
自らの指導が遂に実を結び、リチェも感無量の様子でそっと目頭を押さえる。
「うんうん、よくぞ成長したなあエリクシル。よがった……よがったなあ……まあそれはそれとして倒すんだが」
ぐさり。
次の瞬間、リチェの剣がさっくりとあっさりとザラームをぶっ刺していたのだった。
「ぐええええ!!!?? えっ、この場面って、なんかいい雰囲気でさらっと別れるとこじゃねえのかよぉぉぉ!!!???」
「何言ってんだおめえ」
と、リチェは唇を尖らせ、消えていくザラームを見下ろす。
「だって、おめえに、そんなカッコいい場面の主役になんかなられたら……|嫉妬するでねえか《・・・・・・・・》」
「そんなオチかいいい!!!!???」
かくしてハロウィンの夜に企まれた恐ろしい陰謀は猟兵たちの活躍により雲散霧消した。
しかし世の中にぼっちがいる限り、またこのような悲劇が生まれるに違いない。
頑張れ猟兵、負けるなイエーガー!
「……何かよくわかりませんが、ハッピーエンドみたいですね、ダーリン」
「うん、じゃあデートの続きだね、ハニー」
???「ああ爆破してえだ……くそおおおおお!!」
大成功
🔵🔵🔵