●むかしむかしのおはなし。
「ああ美味しい、ああ美味しい」
ひとりの少女は、家族が貰って帰ってきた人魚のお肉をそうっとそうっと、隠れるように口へ運んで食べてしまった。
歳を重ねるごとに成長しない自分。
老いていく家族や友人たち。
あの時食べた人魚の肉が本物だと気づいたが、遅すぎた。
それでも毎日周りの手伝いなどをして過ごしていた彼女は、それも耐えきれなくなったある日。
家にあった小さな鐘を手に、お山のふもとの洞窟へ。
「この鐘が聞こえなくなった日が、私の願いが叶う日です」
と、仲間たちに告げてはいっていったのだった。
●グリモアベースにて。
「集まってもらい、感謝する」
軽く会釈をするのは、ディーン・ランバート(紅炎銀月・f35262)
「皆に向かってもらうのは、シルバーレイン世界における山陰地方の……」
ディスプレイの地図を開き、集まった猟兵たちへと見やすいようにマーキングをしていく。
「汽水湖を望むことのできる小高い山がある。そこに拝殿を構える神社だ」
手元の資料をパラパラと捲りながら説明を続けていく。
「今回の依頼は、お祭り当日の昼頃に山の西側にある洞窟で、メガリス『八百姫のおりん』が原因不明で鳴り始め、近くを通るものを神隠しの様に特殊空間へ取り込む前に止めてほしい。
メガリス『八百姫のおりん』詳細については手元の資料に書いてある。各自確認してほしい」
ページをひらくと、以下の内容が書いてある。
メガリス『八百姫のおりん』。
呼びたい人物の名前を口に出し『おりん』を鳴らせば、鳴らした当人と、その呼ばれた人物が『おりん』の音を聞き取るのを条件にして特殊空間へと取り込まれる。
さらに脱出を望みながら『おりん』を8回鳴らすことで脱出が可能になる。
ディーンは、ディスプレイへと『八百姫のおりん』の画像を映し出した。
「『おりん』の居場所はすでに特殊空間内に移動している。
鳴り始めた原因はわからん。
が、『おりん』の音を認識さえすれば特殊空間に引き込まれる。
そしてそのまま特殊空間内の『八百姫のおりん』本体を見つけ出し、それを鳴らすことで特殊空間が解除され、回収が可能になるはずだ」
「面倒なのは、特殊空間のどこにあるかだが……まぁ、特殊空間内は現実と同じ地形の筈だから、さほど手間取ることはないと思う。
むしろメインは現地のお祭りだ。早々に回収して、楽しんでくると良い。
大きい神社ではないし、花火があがるわけでも無いが、出店はしっかりあるし、もちろんおみくじなどもある。
そして、拝殿のある山頂からみる湖の夕焼けはおすすめスポットの一つでな」
言いながら猟兵たちの顔を一人一人見回していく。
「ともあれ、準備ができたものから声をかけてくれ。順次送っていく。
皆、よろしく頼む」
ディーンはその言葉を告げると、転送の準備に入るのであった。
●祭囃子のその先に。
ピーピーヒョロロ。
ピーヒョロロ。
ドンドン。カッカッ。
ドンカッカッ。
チーン。チーン。
境内に聞こえ始めたその音は、お祭りの始まりを告げていた。
林言音
●秋祭り!
閲覧ありがとうございます、林言音です。
今回は秋祭りのお話を戦闘無しの全2章でお届けいたします。
●補足
神社の表参道から山頂へ向かう階段は190段近く。
裏手は山道になっており、足場はあまり良くないです。
洞窟には裏手の山道を降りるか、
階段を登らず、北回りに裏手へ歩いていくと、
どちらから向かっても、幟がわかりやすく立っています。
お好みで探索にお使いください。
●補足2
第二章は完全に秋祭りを楽しんでいただく章になります。
おみくじ、型抜き、ヨーヨー釣り、射的、金魚掬い、屋台の食べ物系などなど、基本的な屋台は揃ってます。
神楽見学をするもよし、夕焼けスポットするもよし。
こちらもお好みでどうぞ。
●文字数節約について
共闘、アドリブについてはNGの場合のみプレイングにご記載下さいませ。
また、お連れ様がいらっしゃる場合には、お相手の方の愛称とIDの併記をしていただきますよう、お願いします。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『祭囃子のその先に』
|
POW : 出店の付近を探してみる
SPD : 神社の中を探ってみる
WIZ : 鎮守の森を探ってみる
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●お昼前でお祭り前
「これはそっちでええんかや?」
「ああ、こっちのだがー」
シュッ!ドゥルルルルルルル!
景気よく起動する発電機。
その横ではカチャカチャと粉物の生地を混ぜる音がする。
さほど大きいわけではないが、この地域のなかでは大きい神社のお祭りである。
今は正午より少し早いくらいの時間帯。そんなタイミングに猟兵達は神社の参道へと到着した。
ピーヒョロロ。
ドンドン。
祭囃子のリハーサルだろうか。その音の中にはまだ『おりん』の音は聞き取れない。
ともあれ話は境内に入ってからだ、と脚を踏み入れる猟兵達であった。
シルヴィ・フォーアンサー
SPD
危険もなさそうだし楽そうなお仕事だね。
『うむ、早々に回収して祭りを楽しむと良いのではないか』
戦闘ないならミドガルズは待機、ヨルは人型外部端末で一緒。
らくちんと思いながら階段登りきって洞窟へ。
特殊空間内のおりんをさっさと回収するよ。
「危険もなさそうだし楽そうなお仕事だね」
『うむ、早々に回収して祭りを楽しむと良いのではないか』
シルヴィ・フォーアンサー(自由を求めた脱走者・f41427)は隣で歩く男性……ミドガルズ専用成人男性型サポートAIユニット『ヨルムンガンド』の人型外部端末と会話をしながら、山頂への石段へと向かう。
「……コレ、のぼるの?」
190段近くの急な石段のふもとの鳥居から山頂を見上げる。上の方には石段しか見えない。手すりは真ん中に一本。石段の左右は紅葉の始まった雑木林。
これは襲撃に気を付けなければ、と思いかけたが、戦闘はないと言われてたことを思い出す。
「らくちん」
シルヴィは軽快に石段を登っていく。
山頂に近づくにつれ鬱蒼としてくる木々の葉、梢の音、木漏れ日の中。
そうして降りてくる参拝者の会釈に会釈を返し、お仕事のあとのお祭りに想いを馳せる。
「なにがあるかな」
『さきほど見た限りでは、たこ焼き、焼きそば、大判焼きの文字が見えたな』
「ふぅん」
最後の一段を踏み、山門をくぐれば、しん、と静まり返り、鳥の声も聞こえない山の中。朱色の拝殿が現れた。
とりあえず今はお仕事。とシルヴィはそのまま裏手の山道へと向かい、落ち葉やところどころ現れている岩場で滑りやすそうに見える山道を、難なく降りていく。
「あれかな」
もうすぐ山道も終わるころ、木々の向こうにちらちらと見えるのは赤い幟。
『八百姫宮』
と書かれているのを確認したその時。
りーん。りーん。と聞こえ始める静かな、厳かな音。
シルヴィは、その何とも言えぬ音にソワっと何かを感じながら周りを見渡した瞬間。
周囲は白く雪化粧を纏っていた。
『おりんの回収を』
「……そうだね」
当初の目的である『おりん』を探すために、洞窟へとさらに進んでいくのであった。
成功
🔵🔵🔴
フリル・インレアン
ふええ、190段なんて無理ですよ。
迂回していきましょうよ。
ふえ?何ですかアヒルさん?
根性がないって、女の子に根性は不要です。
時間がかかっても楽な道をいきましょう。
ふええ、この道まだ続くんですか?
疲れてきましたよ。
ふえ?根性がないって
しょうがないじゃないですか、女の子なんですから、ちょっと休憩しながらいきましょうよ。
……。
ふえ?アヒルさん、何処に行ったんですか?
私を1人にしないでください。
1人で特殊空間に行かないでください。
私も連れてってください。
●
「ふええ、190段なんて無理ですよ。
迂回していきましょうよ」
フリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)の前を行くアヒルさんは、弱気な言葉へと振り返り、つぶらな瞳で訴える。
「ふえ?何ですかアヒルさん?」
「クワッ!!クワクワッ!!」
「根性がないって、女の子には根性は不要です」
アヒルさんはそのかわいい姿で根性論を語っている。
「クワワワッ!」
「時間がかかっても楽な道を行きましょう」
ね。と、階段を進もうとするアヒルさんを抱きかかえ、迂回ルートを選択した。
●
秋の澄み渡る空の下、紅葉に色づく木々の中を進む。
当初は散策気分だったフリルだが、代り映えのしない風景にだんだん疲労がたまってきていた。
「ふええ、この道まだ続くんですか?
疲れてきましたよ」
「クワァ…」
いつの間にか腕の中から抜け出していたアヒルさんは抗議するかのように見つめてくる。
「ふえ?根性がないって。
しょうがないじゃないですか、女の子なんですから。
ちょっと休憩しながらいきましょうよ」
そうアヒルさんに声をかけて、道端に見つけた木の椅子へと腰をかけ、隣においでとアヒルさんを呼ぶ。
そんなフリルの隣へとアヒルさんもぴょんと飛び乗り、行儀よく座る。
「ふぅ……」
そうして、どこからともなく聞こえている祭囃子をBGMにしながら、紅葉に色づき始めた木々の間から覗き見える秋晴れの青い空を眺め、フリルは一息をついた。
●
チリーン。
どれだけそうしていたのか。フリルはどこからともなく聞こえる澄んだ音に我に返る。
「ふえ?アヒルさん、何処に行ったんですか?
私を1人にしないでください」
立ち上がり、向かっていた道の先へと小走りになりながら、フリルは進む。
「1人で特殊空間に行かないでください。
私も連れてってください」
その後に残るは、ちりん……という音のみであった。
大成功
🔵🔵🔵
四条・眠斗(サポート)
ぅゅ……くぅ……あらぁ?
いつの間にか始まってましたかぁ?
さっさと事件を解決しないとぉ、安心してもうひと眠りできませんからねぇ。
ユーベルコードは出し惜しみしても仕方ありませんからぁ、
一気に片づけるつもりでやっちゃいましょう。
こう見えてもぉ、腕には少し自信があるのですよぉ。
それにぃ、様子を見てる間にまた眠くなっちゃっても困っちゃいますしぃ。
荒事じゃなくてぇ、楽しいことならめいっぱい楽しんじゃいましょう。
のんびりできるところとかぁ、動物さんがたくさんいるところなんか素敵ですよねぇ。
でもぉ、身体を動かすのも好きですよぉ。
お互いに納得の上で全力が出せると一番良いですよねぇ。
※アドリブ・絡み歓迎
●
四条・眠斗(白雪の眠り姫・f37257)が気づいた時には、階段を上がりきり、山門の前に立っていた。
「ぅゅ……くぅ……あらぁ?
いつの間にか始まってましたかぁ?」
眠たげな眼をこする。
辺りを見渡せば、先ほどまで聞こえていた祭囃子の音や、鳥の声。さらには木々の騒めきさえしないことに眠斗は気づく。
「さっさと事件を解決しないとぉ、安心してもうひと眠りできませんからねぇ。
一気に片づけるつもりでやっちゃいましょう」
どこからか、ちりん、ちりーんと音が耳へと届く。
「それにぃ、様子を見てる間にまた眠くなっちゃっても困っちゃいますしぃ」
そうつぶやくと、眠斗は音のする階段の上へと迷いなく向かっていくのであった。
●
拝殿の裏から延びる山道を、足元に気を付けながら降りていく。
ところどころ木の根がうねり、大きな段差になっている場所を抜け。
その先に見える洞窟へたどり着いた。
そこには人ひとり通るのがやっとの洞窟の入口があり、眠斗はその入り口をくぐり、ちりん、と寂しげに鳴るおりんの音を頼りに奥の方へと進めば。
……参道の入口で別れた仲間たちと小さな社がまつられた空間へとたどり着いていた。
成功
🔵🔵🔴
●
そこに集まった猟兵たちは誰ともなく、おりんを鳴らしていく。
ちりーん……。
最後の1回が鳴り終わった瞬間。
木々の騒めき、祭囃子の音。
見渡せばそこは提灯が吊り下げられた、山頂の拝殿の前。
そうして、空高く鳴り響くトンビの声が猟兵たちへと特殊空間からの脱出を告げていた。
第2章 日常
『秋の例大祭へ』
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POW : 食べ物の屋台を制覇する!
SPD : 射的や金魚すくいに挑戦だ!
WIZ : 祈りや神輿を見学したり、散策したり
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ピーピーヒョロロ。
ピーヒョロロ。
ドンドン。カッカッ。
ドンカッカッ。
夏ならば、まだまだ日の高い時間帯だが、暦の上での秋を迎えた今。日はすでに西の方へと傾き、夕方がやってくる空の下。
これぞ祭囃子!と太鼓と笛の音が聞こえてくる。
参道では型抜き、ヨーヨー釣り、射的、金魚掬い、お好み焼き(焼きそば入り)、大判焼きなどなどいろんな屋台が立ち並ぶ。
さらに奥の神楽殿では神楽舞の準備が行われ、山頂の授与所ではスタンダードなおみくじをはじめ、恋御籤やお守りなどが並んでいた。
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●マスターより
屋台、神楽殿、山頂の拝殿でおみくじ、拝殿裏手から湖の向こうの山に沈む夕焼けスポットを堪能するもよし。
お好みでお選びくださいませ。
1章未参加の方でも歓迎しております。
その場合でも、おりん確保に動いていただいていたものとして描写させていただきます。
それでは、プレイングお待ちしております。
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フリル・インレアン
ふええ、結局山頂まで登らないといけなかったんですね。
でも、どうにか山頂にたどり着きました。
ふえ、早速おみくじを引くぞって、アヒルさん待ってください。
えっと、アヒルさんは中吉ですか、よかったじゃないですか。
私は……ふええ、大凶って。
ふえ?いつもどおりだねってアヒルさん、私のと交換してくださいよ。
大凶なんて嫌ですよ。
●
「ふええ、結局山頂まで登らないといけなかったんですね」
はぁ、息切れをしながら階段を登り切ったフリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)は、後ろを振り返る。
さほどの高さはないはずだが、階段の傾斜で実際よりも高い場所にいる感覚に陥る。
「でも、どうにか山頂にたどりつきました。
ふえ、早速おみくじを引くぞって、アヒルさん待ってください」
山頂へやっとたどり着いた感慨に浸る間もなく、すたすたと授与所へと向かっていくアヒルの後を追うフリル。
神妙にお賽銭箱の前でお辞儀をしているアヒルに習い、フリルがご挨拶だけでもと手を合わせれば、彼女達を歓迎するかのように木々の木漏れ日が優しく静かになった。
●
フリルとアヒルが向かった授与所には、恋みくじ、天然石みくじ、花みくじと箱が並ぶ。だが、その中でもスタンダードな六角中の筒へ。
こんここん、ちゃりんちゃりん。と初穂料を収め、からからと筒を振る。
「六十六…ろく……」
沢山並んだ小さな引き出しの中から、筒から出てきた番号を見つけ出し、中の紙を取る。そのついでにアヒルの引いた番号の引き出しも見つけ出し、ちらりと目を通しながらアヒルさんへと紙を渡す。
「えっと、アヒルさんは二十三番……中吉ですか、よかったじゃないですか」
そういいながら、手元の紙へとフリルが目を通せば……大凶である。
「ふええ、大凶って」
涙目になっているところへ「くわっ!」とアヒルが鳴く。
「ふえ?いつもどおりだねってアヒルさん、私のと交換してくださいよ」
アヒルはフリルがのばした手をすり抜け、器用にみくじ掛へとおみくじを結んでいく。
「……|閑事惹風騒《しあんにくれてうたはいかいのみち》」
手元のおみくじを読み進めれば【些細な事柄でも悩みすぎれば空回りし、大事に発展しかねない。そのうち見える希望を信じて仕事などに一心に取り組むが吉。衝動買い注意】と書いてある。
「……わたしも、結んでいきましょう」
手元のおみくじを丁寧に折り、みくじ掛へと結ぶのだった。
大成功
🔵🔵🔵
シルヴィ・フォーアンサー
SPD判定。
……あのモフモフが欲しい。
『射的か……取れるだろう君なら』
瞬間思考力やら弾道計算とか無駄にスキルを使った大人げない(子供だけど)結果モフモフした大きいぬいぐるみをゲットして上機嫌。
後はお好み焼きでも買って人の多い所は好きじゃないしと
間に合いそうなら夕焼けスポットで夕日眺めながらお好み焼きを堪能するよ。
●
「へい、らっしゃい。やってくかい?」
テキ屋なお兄さんからの景気の良い掛け声に、シルヴィ・フォーアンサー(自由を求めた脱走者・f41427)はこくり、とうなずく。
「よっしゃ、1回5発で600円な」
安くはないが、高すぎるわけでも無い値段設定の射的屋。
シルヴィの目当ては、一押し景品であろう、最上段ど真ん中のどーんとでっかいもふもふぬいぐるみ。
ぱっと見がぬいぐるみなので軽そうに見えるが、あれは……動きにくくなっているであろうことが想像に難くない。
……あのモフモフが欲しい。
「……取れるだろう、君なら」
シルヴィの視線が、最上段ど真ん中のどーんとでっかいもふもふぬいぐるみから離れないことに気づいたヨルの言葉に、お兄さんから受け取ったおもちゃの銃を受け取り……構える。
その先にはでっかいもふもふぬいぐるみ。
パン、パン、パパン!と軽く音が鳴る。
発射された弾がひとつ、ふたつ、とぬいぐるみを大きく揺らし……タイミングを合わせ最後の一発をぬいぐるみの脳天へと命中させた。
ぐらん、ぐらんと揺れていたぬいぐるみは、そのさいごの一発でころん。とあっけなく台の下へ。
射的屋のお兄さんは、その神業のごとき射的に魅入られ、一瞬動かなくなるも……。
「命中ー!!!おめでとうーーー!!もってけー!!」
落ちたぬいぐるみだけでなく「おまけだ」、と小さなお菓子が入った小袋を一緒にシルヴィへと手渡してきた。
「ありがとう」
「こっちこそ、いいもん見せてもらったぜ。ありがとよ!」
気持ちよく送り出されたシルヴィは、ぬいぐるみを抱えお好み焼きの屋台へと向かっていった。
●
シルヴィは戦利品とお好み焼きを手に階段を再び登り、山頂の拝殿裏手へと向かい……息をのむ。
「……」
そこは山肌に植わった木々がぽっかりと開いており、その先には夕日と湖に移った夕日が神秘的に輝いて見える夕焼けスポットだった。
「……いただきます」
逢魔が時と呼ばれる時間帯。
だけど、ちょっとふしぎで、なんとなくこころがうきうきしてくるような。
ふわふわとした感じでお好み焼きと秋空の夕焼けを堪能するシルヴィであった。
大成功
🔵🔵🔵