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爆竜丸、秘境の奥地にカルロスの錨を発見せり!

#サクラミラージュ #グリードオーシャン #【Q】 #カルロスの錨 #冬桜護 #宿敵撃破

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#サクラミラージュ
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#グリードオーシャン
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#【Q】
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#カルロスの錨
#冬桜護
#宿敵撃破


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●前日譚:冬桜護の面目躍如。
「……あの辺り、怪しいな」

 サクラミラージュの辺境・秘境にある幻朧桜を巡回するユーベルコヲド使いたち、『|冬桜護《ふゆざくらもり》』。
 その一員であるサカイ・爆竜丸は今、中国大陸の奥地に在る川沿いを散策していた。
 彼の目的は、幻朧戦線将校『カルロス・グリード』の拠点『|カルロスの錨《カルロス・アンカー》』の捜索であった。
 幻朧戦線の構成員にすら秘密裡に建造されているというカルロスの秘密基地。
 儀式魔術【Q】により中国大陸にいくつか存在することが判明したそれを探し出し、猟兵たちを送り込むことでその危険因子を壊滅させる作戦を支援する。
 そのために爆竜丸は各地の秘境を巡り、通常の任務を遂行する傍ら現地で調査活動を行っていたのだ。

「幻朧戦線の秘密基地……あれか? 階段みたいなのが見えるな……」

 街どころか村すらない、道なき辺境の自然の中。
 ゴンドラに乗って川を遡っていた爆竜丸は、空からも陸路からも見つけられない崖の窪みに造られた地下へと続く階段を発見した。
 川から近づいて覗き込まなければ気づくこともできない人工物は、何らかの施設の痕跡と見て間違いない。

「よし、深入りせず猟兵に通報しよ……っ!!」

 安全を優先して発見した情報を送るべくゴンドラを引き返そうとしたその時、爆竜丸の危険感知スキルが最大限に反応した。
 咄嗟にしゃがみ込んだ爆竜丸の頭上を、銃声と共に飛来した弾丸が通り抜けていく。
 振り返れば、階段から和風の海賊姿をしたオブリビオンたちがピストルを構えていた。
 カルロス直属のコンキスタドールたちだ。
 おそらくは、接近したどこかの段階で察知されたのだろう。

「誰だか知らねぇが、ここを見られたからには生かして帰しは……は?」

 敵の姿を一瞥した爆竜丸は、脇目も振らずに全力で逃げ出した。
 素早く遠ざかっていくゴンドラを呆然と見送るオブリビオンたちは、数秒して我に返り追撃するべく行動する。

「あっ! 待て! 追え、逃がすな!」
「殺せ! この拠点の情報を流出させるな!」
「お頭に知らせろ、念のために撤収の支度をするんだ!」

 一心不乱に下流へと走り出す爆竜丸のゴンドラを追って、敵もカヤックやボートに乗り込み追走劇を始める。
 躊躇いない撤退により距離を稼げているため爆竜丸が捕まることはないだろうが、時間が経過すればせっかく見つけた秘密基地が引き払われ、カルロスの錨は逃げてしまうだろう。
 せっかく発見した好機を逃さないためにも、爆竜丸は懐にしまっている救難信号を発信する無線機を使用した。

「メーデー! メーデー! こちらサカイ! メーデー!」

 その救難信号を受けたことで、グリモア猟兵が爆竜丸の窮地を予知できたのであった。

●招集:目標、|カルロスの錨《カルロス・アンカー》!
「メーデー確認! グリモア起動、スタンバイ!
 ハーイ、エブリワン! カルロスの拠点が一つ発見されマシター!」

 プロジェクターを用意する暇も惜しみ、グリモア猟兵のバルタン・ノーヴェが居合わせた猟兵たちに招集の声をかける。
 サクラミラージュで暗躍する、幻朧戦線将校『カルロス・グリード』の拠点である『カルロスの錨』を補足したというのだ。

「場所は中国、長江の上流に位置する山間部の一角であります!
 現在、発見してくれた爆竜丸殿が木っ端のコンキスタドールに追われているので、彼を救助してから直ちに敵拠点への襲撃を行ってくだサーイ!」

 サカイ・爆竜丸は冬桜護というユーベルコヲド使いで構成された部隊の一員だ。
 放置しても逃げ切ることはできるだろうが、彼が発見した秘密基地に通じると思われる階段のある場所は、彼しか知らない。
 速やかに爆竜丸を救助して、道案内してもらう必要がある。

「秘密基地の内装は予知によると、グリードオーシャン七大海嘯『王笏』の旗印を掲げ、数多くの『影朧兵器』で近代化改修を施された『カルロスの錨』が存在しているようデース!
 急ぎなので詳細は見通せマセンガ、どうやらそこから非道な実験により歪められ狂気状態に陥っている影朧たちが射出されて行く手を阻む様子デース!
 出てくる影朧『もちもちの餅』を蹴散らしたり、鎮めたり、美味しくいただいてから『カルロスの錨』に乗り込んでくだサーイ!」

 もちもちの餅。
 餅の影朧であるそれらは、みたらしだったりあんこだったりきな粉だったりして、とても美味だという。
 ただし影朧兵器による影響なのか、非常に凶暴で、狂暴で、強暴になっているらしい。
 油断すると、捕食されたり喉に詰めてきたりするだろう。

「カルロスの錨の全容は、残念ながらわかりマセンガ……そこにカルロス直属のコンキスタドールがいることは間違いありマセーン!
 是非とも、逃がさずに撃破してくだサーイ!」

 強襲作戦になるが、カルロスの錨にいるコンキスタドールたちは狡猾かつ謙虚なタイプが多く、猟兵たちが侵入した時点で通信設備や研究資料は全て破棄されてしまう。
 証拠や情報を得ることができないのは残念なことだが、爆竜丸が逃げ切る前に追手のコンキスタドールを叩き潰し、餅に対処してから、カルロスの錨にいるコンキスタドールを撃破する。
 のちの脅威を潰すことが、今回の目的なのだ。

「それでは皆様! よろしくお願いしマース!」

 そう告げて、バルタンはグリモアを起動する。
 転移先は川の上だが、ミニ・バルタンたちが拵えたゴンドラが支給されるので溺れる心配はいらない。
 サクラミラージュで暗躍するカルロスの策謀の一端を挫くために、猟兵たちは出撃する……。


リバーソン
 こんにちは。リバーソンです。
 マスターとして皆様に喜んでいただけるよう、つとめさせていただきます。
 今回の舞台はサクラミラージュ、中国の長江流域上流に位置する山間部です。
 僻地に造られたカルロスの秘密基地『カルロスの錨』にいるコンキスタドールの壊滅が目的です。
 コンキスタドール自体は固有名詞のない、倭寇のような姿をしているオブリビオンたちです。

 第一章:冬桜護のサカイ・爆竜丸がコンキスタドールに追われているため、それを救助してください。
  爆竜丸やコンキスタドールを追いかけたり、敵のゴンドラに乗り込んだり、方法はおまかせします。
  グリモア猟兵からゴンドラの貸与がありますので、必要であればご活用ください。
  コンキスタドールたちはユーベルコードも使えないほど脆弱であるため、戦闘に苦戦することはないでしょう。
  プレイングボーナスは、ありません。

 第二章:コンキスタドールの追走から助けられた爆竜丸に案内されて、地下に続く隠し階段を降りた先にある秘密基地にて、影朧兵器の砲塔から射出される影朧『もちもちの餅』との戦闘です。
  餅です。食べられますが、非常に好戦的です。
  もち? もちもち! もっちー♪ と鳴きながら殺しに来るので対処してください。
  プレイングボーナスは、『油断せず対処する』です。

 第三章:秘密基地『カルロスの錨』にて、カルロス・グリード直属のコンキスタドールとの戦闘になりますが……現在、情報は不透明です。
  事前の情報では海賊船が係留しているはずですが……。
  断章にて詳細は告知いたします。
  プレイングボーナスは、断章にて告知いたします。

 登場人物:サカイ・爆竜丸。冬桜護の一員で、男性です。また、独身です。
  かつて猟兵たちに冬桜護の広報を手伝ってもらった恩を返すべく、今回の調査の手伝いをしてくれました。
  安全を優先して地下施設までは同行せず、入口付近で待機する予定です。

 オープニング公開後、断章を公開します。
 プレイングの受付期間はタグにてお知らせいたします。
 皆様、よろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『ゴンドラ追走劇』

POW   :    水泳や水上歩行で追いかける

SPD   :    ゴンドラや水上用乗り物で追いかける

WIZ   :    先回りし橋からゴンドラに飛び降りる

イラスト:ヒミコ

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●三つ巴の追走劇。

 広大な川を、一隻のゴンドラが疾走する。
 その上に乗るのは冬桜護の隊員年、サカイ・爆竜丸。
 必死の形相で櫂を漕ぐ彼を、何艘もの小舟やゴンドラに乗ったオブリビオンたちが追いかけている。
 距離を詰められることはないが、引き離すのは難しい……そんな状況に遭っていた。

「ふっ……! ふっ……! ふぅ……!」
「まてぇ! 逃げるんじゃねぇ!」
「あの動き……野郎、民間人じゃねぇな……!」
「止まれ! 止まらねぇと撃つぞ!」

 直感で飛んでくる銃弾を避けつつ、一心に逃げ続ける爆竜丸。
 止まれば殺されることが予想される以上、止まる訳がない。
 救難信号を発した後、爆竜丸は体力を温存するため返答することすらせず、黙々と下流へと逃げていた。
 そして、大きめの橋に差し掛かろうとしたその時。追走劇を繰り広げるコンドラたちの前後にグリモアによるゲートが展開される。
 コンキスタドールたちは顔を引きつらせ、爆竜丸は安堵の表情を浮かべる。

「あ、ありゃあ……猟兵か!?」「なん……だとぉ……!?」
「来て、くれましたか! 猟兵の皆様……!」

 この瞬間、狩る者と狩られる者は入れ替わり、猟兵たちは慌てて逃げ出すコンキスタドールを追走し始めるのだった。
フリル・インレアン
ふええ、ゴ、ゴンドラって、まさか、ウォータさんはいませんよね?
どうやらいないみたいです。
よかったです。
ですけど、コンキスタドールさん達からサカイさんを助けないといけませんね。
こうなったら、お菓子の魔法です。
これで動きの遅くなったコンキスタドールさん達から逃げましょう。
ふえ?逆って、
ふええ!?コンキスタドールさん達をやっつけるなんて、アヒルさんがやっててください。


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
おや、転進が素早いですねぇ。
まあ、逃がさないわけですが。

【UC】発動までは『FAS』で飛行しつつ、『FPS』で相手の動きを探知し逃走ルートを探りますねぇ。
そして【皎翼紈】を発動、飛行手段を切り替えて速度を上げると共に、広域へ『覇』を放射しますぅ。
此方は『弱敵』と『キャバリア搭乗者』の意識を奪うもの、今回は『UCも使えない相手』と言うことからまず前者に当て嵌まりますので、多少の時間はかかったとしても、問題無く気絶させられるでしょう。
『銃器』等による通常反撃程度は『FLS』の空間歪曲障壁で逸らせば全く問題有りませんので、後は先回りから相手の上を飛行、順に叩いて参りますねぇ。


鳴海・静音
カルロスゥ?あー、ここの世界にもいるらしいんだったかァ?
ま、何があるかは気になるな。よし、俺も行こう、ついでに助けてやるとするかねェ
所でよォ、ゴンドラが借りられるって話だがそいつァ……いくつも借りられるのかい?

いくつものゴンドラに野郎共を乗せ、追いかけるぜ
俺もゴンドラの一つに野郎共に操船させて追いかける、海賊船は…空からかねぇ…?
お前等ァ!"操船"と"船上戦"はまけらんねェよなァ!?
数を使って守りと攻めを両立させ、敵にァピストルで撃ち抜いたり移乗攻撃させたりだ
俺か?まぁ指揮と鼓舞が役目だな
さっさと助けて秘密基地に行くとしようぜ

※協力・アドリブ歓迎
手下共の言動等はお好きにどうぞ


御園・桜花
「良かったですわね、皆様。此の地は望めば転生が可能ですもの。貴方の願いを、そして善き転生を!」
ケータリングカーで参加
UC「出前一丁・弐」
水上20cmをマッハ12で爆走
小舟やゴンドラごと敵に激突し弾き飛ばす
「影朧でなくても、此の地ならば救われる余地がある筈です。同じオブリビオンなのですもの。骸の海に還りたくないなら、願って下さいな。此の地の者への転生を。地中海での海賊、此の地での河賊もきっと楽しいですよ?」

敵を蹴散らしたら爆竜丸のゴンドラに並走
「お久し振りです、酒井さん。車、乗っていかれます?」
助手席側のドア開け首傾げ
「水上を低速飛行しておりますの。急ぎ敵陣迄戻る必要があるのでしょう?どうぞ?」


シエナ・リーレイ
●アドリブ歓迎
わたし達と遊びましょう!とシエナは『お友達』と一緒に突撃します。

猟兵さん達が海賊達と遊び始める中、水着を纏ったシエナは『お友達』候補と仲良くなる為の準備をすべく川の中へと飛び込むとそのまま水底を目指し泳ぎます
そして、水底へと辿り着いたら水底に出来た自身の影を利用して水生生物の『お友達』を呼び出し、呼び出し終われば猟兵達と海賊達が楽しく遊ぶ水上へと突撃します

わたし達とも遊びましょう!とシエナは飛び出します。

水上に浮ぶゴンドラへと無差別突撃を敢行した後はある『お友達』は打ち上げられた者達が着水しない様に打ち上げ続け、ある『お友達』は[怪力]混じりの甘噛みをしながらじゃれつきます



●出撃の狼煙。

 グリモアベースにて、五名の猟兵たちがサクラミラージュへ転移しようとしていた。
 『|カルロスの錨《カルロス・アンカー》』へと出撃する、第一陣。
 先行するべく集まってくれた乙女たちだ。

「ふええ、ゴ、ゴンドラって、まさか、ウォータさんはいませんよね?」

 恐る恐る伺うのは、と共にアリスラビリンスに迷い込んだアリス適合者。
 フリル・インレアン(|大きな帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)だ。
 フリルはグリモア猟兵にエンドブレイカーの戦いで会敵したゴンドラ海賊のウォータはいないことを確認して、ほっと息を吐いた。

「……どうやらいないみたいです。よかったです。
 ですけど、コンキスタドールさん達からサカイさんを助けないといけませんね」
「ええ。それでは、宜しくお願い致しますぅ」
「折角の機会ですもの。あの方々に善き転生を……ふふ」

 フリルと共に現場へと転移するゲートを潜っていくのは、童顔且つ小柄ながら桁違いに発育の良い体型の少女、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。
 そしてオブリビオンを転生させる機会にニコニコと笑みを浮かべている御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)だ。
 彼女たちが慣れた様子で転移していく一方、グリモア猟兵が手配したゴンドラの山に近づく猟兵もいた。

「カルロスゥ? あー、ここの世界にもいるらしいんだったかァ?
 ま、何があるかは気になるな。よし、俺も行こう、ついでに助けてやるとするかねェ」

 名すら失った海賊たちを率いて世界を往くアリス適合者の変身ヒーロー。
 鳴海・静音(不思議の国の亡霊船長・f19460)は現地へと向かう前に、グリモア猟兵に確認を取っていた。
 それは、貸し出されるというゴンドラの数についてだ。

「所でよォ、ゴンドラが借りられるって話だがそいつァ……いくつも借りられるのかい?」

 もちろん、たくさん用意したので問題はない。
 そうグリモア猟兵が快諾の意を見せたことで、静音は笑みを溢して何百艘ものゴンドラを転移させていく。

「そいつぁいい。遠慮なく借りるとするぜ。出航するぞ野郎共ォ! 錨を上げやがれェ!」

 そして。

「こんにちわ! とシエナは元気に挨拶します」

 他の猟兵たちが出撃した後、満を持したように水着を纏った少女も転移していく。
 シエナ・リーレイ(取り扱い注意の年代物呪殺人形・f04107)。
 ある少女の遺言を叶える為に、少女の亡骸を仮初の体とするヤドリガミとなりて世界を彷徨う人形の猟兵は、天真爛漫な笑顔で|遊び《出撃》に行くのであった。


●真っ只中のブレイクタイム。

 グリモアによるゲートが展開され、猟兵たちが転移してきた瞬間、コンキスタドールたちは大きく分けて三つの動きを見せた。
 慌てて転進して拠点に戻ろうとする者たち、急いで爆竜丸を始末しようと加速する者たち。
 そして、目の前に落ちてきたフリルに唖然とした者たちである。
 ゴンドラの上に着地して、目を合わせて硬直するフリルとコンキスタドール……。先に動いたのは、フリルであった。

「……あ、あの、お菓子を作ってきたんです。よかったら、おひとつどうぞ」
「ぐわっ!」
「お……お菓子? な、ん、で……? あ……れ……ぇ……?」

 アヒルの形をしたガジェット『アヒルさん』と共に敵の真っ只中に落ちてきたフリルは、窮地を察知して速やかにお菓子の魔法を発動させる。

 《時を盗むお菓子の魔法(ブレイクタイム)》。
 それは、フリルが趣味で作ったお菓子を給仕している間、戦場にいる趣味で作ったお菓子を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にするユーベルコードである。
 面食らったコンキスタドールたちがのろのろと動いている間に『アヒルさん』がそのくちばしで目つぶしを叩き込み、敵をゴンドラから叩き落していく。

「ぐ、わ、ぁっ……!」
「ぎ、ゃ、あ、あ、あ……! 目、が、ぁ、ぁ、ぁ……!」
「今の内です、コンキスタドールさん達から逃げましょう」

 奪い取ったゴンドラを、渾身のサイキックエナジーによる念動力でせっせと動かすフリル。
 周囲のコンキスタドールの合間を縫って爆竜丸に合流するべくゆっくりと漕ぎ出す中、『アヒルさん』がツッコミを入れる。

「ぐわっ!」
「ふえ? 逆って、 ふええ!? コンキスタドールさん達をやっつけるなんて、アヒルさんがやっててください」
「ぐわっ……。ぐわっぐわっ」

 ビクビクと震えるフリルの様子に呆れた『アヒルさん』がくちばしを構える中、その視界に頼りになる猟兵たちが写り込んだ。


●後門の高速機動。

「おや、転進が素早いですねぇ。まあ、逃がさないわけですが」
「やべぇ、逃げられねぇぞ!」

 フリルのユーベルコードの影響範囲外にいた上流側のコンキスタドールたちが慌てて転進したその行く手に、るこるがいた。
 るこるは147個の浮遊する涙滴型の水晶祭器『フローティングプローブシステム』でコンキスタドールたちの動きを探知し、高速飛行可能な三対のオーラの翼を放つ祭器『フローティング・エアロフォイル・システム』で飛行して逃走ルートに先回りして立ち塞がっていたのだ。

「あ、相手は女一人だ、束になってすり抜けりゃ……!」
「こんなこともあろうかと、ケータリングカーのシャシーと搭載エンジンは改造済みですの、うふふ。
 さあ、戦場デリバリーと参りましょう」
「「「ぎゃあああ!!」」」

 出鼻をくじかれたコンキスタドールたちに襲い掛かるのは、何処でもパーラーを開設できる桜花の夢が詰まった『ケータリング用キャンピングカー』に乗って水上20cmをマッハ12で爆走する桜花である。
 《出前一丁・弐(デマエイッチョウ・ニ)》。
 搭載したターボエンジンにより時速14600kmで飛翔する『ケータリングカー』が次々にコンキスタドールたちの小舟やゴンドラに激突して弾き飛ばしていく。
 装備重量×スピードに比例した激突ダメージを受けては、小さなボートはひとたまりもない。
 速度を落とさないように大きな弧を描きながら、『ケータリングカー』が暴れ走る。

「良かったですわね、皆様。此の地は望めば転生が可能ですもの。貴方の願いを、そして善き転生を!」
「な、なんで……転生……?」「何を言ってんだ……?」

 困惑した様子のコンキスタドール、オブリビオンたちの声を聴いた桜花は一時動きを止めて、彼らに笑顔を向けて語り掛ける。
 それは、常々桜花が抱き、想っていることなのだろう……。

「影朧でなくても、此の地ならば救われる余地がある筈です。
 同じオブリビオンなのですもの。骸の海に還りたくないなら、願って下さいな。
 此の地の者への転生を。地中海での海賊、此の地での河賊もきっと楽しいですよ?」
「何言ってんだ……!?」「こわい、こわいよぉ!」「カルロス様ぁ!」

 再び加速した『ケータリングカー』が、逃げようとするコンキスタドールに激突する。
 怯え竦むコンキスタドールを笑顔で跳ね飛ばし、転生を誘う桜花。
 全ての世界に転生を。彼女は多分、それしか考えていないのかもしれない……。

 辛うじて耐え抜いたコンキスタドールや運よく転覆したボートがダメージを肩代わりしたことで生き延びたコンキスタドールたちもいたが、運はそこで尽きていた。
 彼らに容赦なくるこるのユーベルコードが降りかかる。

「大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、その威を司る衣紋を此処に」
「「「あばばばば!!」」」

 《豊乳女神の加護・皎翼紈(チチガミサマノカゴ・コウヨクノキギヌ)》。
 全『祭器』を強化し、『祭器の衣』を纏った姿に変身して、時速14700kmで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い敵と全キャバリア搭乗者の意識を奪う『覇』を放ち続けるユーベルコード。
 この場にいるオブリビオンたちは固有のユーベルコードも使えないいわゆる『弱敵』であり、《皎翼紈》の効果の対象としては的確に当て嵌まる存在である。
 水面に顔を出していたコンキスタドールたちが、気絶して水中へと沈んでいき……。

「わたし達と遊びましょう! とシエナは『お友達』と一緒に突撃します」

 水中に潜んでいたシエナに友達作りされていく。


●前門の大群・軍団。

 るこるや桜花が次々に水上で海賊たちと|遊び《戦い》始めた時、シエナは『お友達』候補であるコンキスタドールたちと仲良くなるため、その準備をするべく川の中へと『お友達』と一緒に飛び込んでいた。
 水底へと辿り着いたシエナは、水底に出来た自身の影を利用して水生生物の『お友達』を呼び出していく。
 一際大きな鯨たちの背に、魚介類、甲殻類、昆虫植物哺乳類を問わず、様々な水生生物の『お友達』が現れていく。

「一緒に泳げば癒し効果抜群だよ! とシエナは水生生物な『お友達』を呼び出します」

 《水生生物さん達がお送りする癒しのひと時(スイセイセイブツニンギョウノブツリョウコウゲキ)》。
 それは、多種多様な水生生物の『お友達』の幽霊を685体乗せた、137体の鯨の『お友達』を召喚するユーベルコードだ。
 水生生物の種類は淡水海水問わず、人形であるが故の怪力と身を顧みない戦法で武装した『お友達』は共通してなぜか空中を泳ぐ能力を持っている。

 水中で準備を済ませたシエナは、浮上する途中で沈んでくるコンキスタドールたちを次々に『お友達』にしていく。
 転生orお友達。
 此度のコンキスタドールたちの未来は明るいようですね。
 |閑話休題《それはさておき》。

「わたし達とも遊びましょう! とシエナは飛び出します」
「うわあ新手!」「前も後ろも、下すらも絶望かよ……!」「おい、上も見ろ……もうダメだぁ……」

 沈みゆくコンキスタドールたちを幾体かの『お友達』に任せ、シエナは大勢の『お友達』と共に水上へと突撃する。
 シエナがコンキスタドールたちのボートに取りついた時、下流に転移した静音は海賊船団を召喚して大船団を形成していた。
 水平線を埋め尽くすほどのゴンドラ船団と、海どころか空をも往く名を失った亡霊船がその威容を誇らしく見せつけている。

「お前等ァ! "操船"と"船上戦"はまけらんねェよなァ!?」
「応とも!」「俺らの力、見せてやりますよ!」「いくぜぇ!」

 長江の水上、空中を駆けるのは《亡霊の船出(ファントムディパーチャ)》。
 生命力を奪う呪われたカットラスとピストルで武装した、「操船」技能と「船上戦」技能に秀でた580体の手下達の幽霊と、亡霊船となった自らの海賊船を召喚する静音のユーベルコードである。
 拝借したゴンドラを手下たちに操船させて川を封鎖し、静音自身もゴンドラの一つに乗り込んで手下に操船をさせて、爆竜丸の近くへと寄り守りを固めていた。

「よぅ。助けに来たぜ」
「あ、ありがとうございます!」
「さっさと片づけて、秘密基地に行くとしようぜ」

 爆竜丸の無事を確認した静音の指揮と鼓舞の下、ゴンドラに乗った愉快な手下共たちが積極的に攻め立てて、爆竜丸を狙ってきたコンキスタドールたちを返り討ちにしていく。
 手下たちのピストルで撃ち抜かれ、移乗攻撃でカットラスに切り伏され、コンキスタドールたちはあっという間に数を減らしていく。

「ああああああ」
「順に叩いて参りますねぇ」

 文字通り包囲されたコンキスタドールたちのささやかな抵抗も、すぐに失われていく。
 銃器による攻撃はるこるの浮遊する16枚の札型祭器『フローティング・リンケージ・システム』の空間歪曲障壁で逸らされ、誰に届くことなく消えていく。
 フリルのお菓子を楽しんでいないコンキスタドールが行動速度を遅らせているところへ、るこるの祭器『フローティング・レイ・システム』による砲撃が叩き込まれ、木端微塵に吹き飛んだ。

「わたし達と『お友達』になりましょう! とシエナは海賊さん達と遊びます!」
「ひぃぃぃ!」「ごふっ、や、やめぇ……」「たすけっ!」
「わかりました、お助けします」
「違っ……!」

 水上に浮かぶコンキスタドールたちのゴンドラが、シエナと共に無差別突撃を敢行した『お友達』によって遊ばれていく。
 ある『お友達』は打ち上げられたコンキスタドールが着水しないようにひたすら打ち上げ続け、ある『お友達』は怪力混じりの甘噛みをしながらじゃれついて、倒されていく。
 シエナのお眼鏡にかかった『お友達』候補が新しい『お友達』になる一方で、桜花の《出前一丁・弐》で弾け飛ぶオブリビオンたち。
 瞬く間に、爆竜丸を追いかけて秘密基地を出撃したコンキスタドールは壊滅したのだった。


●救援成功、作戦開始。

「ふえぇ、あっという間に終わりました」
「ぐわっ」

 敵を蹴散らした桜花が『ケータリングカー』を運転して爆竜丸のゴンドラに並走する。
 その近くには爆竜丸を警護していた静音とその手下たちと、そして『アヒルさん』を抱えたフリルも居座っていた。

「お久し振りです、酒井さん。車、乗っていかれます?」
「おお、あなたは、御園さん……! お久しぶりで……なんで水の上を車が……?」
「水上を低速飛行しておりますの」

 水上を走る『ケータリングカー』へ抱いた爆竜丸の疑念に応え、桜花は助手席側のドアを開けて首を傾げて同乗を呼び掛ける。
 《皎翼紈》により飛行するるこると、水生生物の『お友達』の背に乗ったシエナも合流し、一同は万全の態勢を整えた。

「急ぎ敵陣迄戻る必要があるのでしょう? どうぞ?」
「はい! 案内します!」

 爆竜丸とフリルを乗せて、『ケータリングカー』が高速機動で遡上を開始する。
 そして、猟兵たちはカルロスの錨へと通じる地下への隠し階段へ到達するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『もちもちの餅』

POW   :    もっちぃぃい!!!(捕食者は餅だぁ!!!)
噛み付きが命中した部位を捕食し、【生命エネルギー】を得る。
SPD   :    もっちゃぁぁあ!!!(逃さねぇからなぁ!!!)
【とろけてどろどろになった体】が命中した敵の部位ひとつを捕縛し、引き寄せる。
WIZ   :    も…もち…もちぃ…(オマエ…いじめるのか…?)
【かわいい風貌を最大限利用した潤んだ目線】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。

イラスト:橡こりす

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●断章:『カルロスの錨』の正体見たり。

 爆竜丸に案内された猟兵たちが隠し階段を降りた先には、広大な地底湖が広がっていた。
 辺りに残された箱はほとんど空であったが、長江を経て大洋へと物資を運び出すための港として運用していることは明白であろう。
 猟兵たちが海に視線を向ければ、予知にて知らされていたグリードオーシャン七大海嘯『王笏』の旗印を掲げた存在が係留している。
 それは一隻の巨大海賊船……いや、それは! 一頭の巨大な鯨であった!

『なんだかしゅういがさわがしいです』

 直接猟兵たちの脳内に響き渡る大声。
 それは、目の前の鯨が発したものであった。
 飲み込んだメガリスにより、常識を逸脱した巨体と未知の金属で出来た皮膚を得た鯨は、コンキスタドールの手に囚われ近代化改修を施され『影朧兵器』で武装された戦艦と呼べる存在へと変貌していた。
 『コンティネントホエール』。
 この鯨こそが|カルロスの錨《カルロス・アンカー》の一つ……カルロス・グリードの秘密基地である!

「くそっ! もう侵入されたのか……!
 コンティネントホエール、影朧兵器を放て!
 資料を、設備を破棄する時間を稼がせろ!」
『うるさいおとがあたまにひびきます』

 拠点として利用している鯨の体内にいるコンキスタドールたちが、砲塔から兵器の素材として蒐集された影朧の群れを射出する。
 それらは、餅。
 非道な実験により歪められ狂気状態に陥っている、もちもちの餅たちであった。

「もち?(オマエたちを食らってやろうか?)」
「もちもち!(逃がさねぇぜ! のどに詰まってやる!)」
「もっちー♪(こんなにカワイイオレサマたちを虐げるなんてありえないぜ)」

 売れ残った結果カチカチになって、食べられずに廃棄された未練。
 ご老人の喉を詰まらせたことで吐き出され、ゴミとして捨てられた悲しみ。
 行事の際に投げられ、側溝や物陰に転がり誰の目にも触れずに朽ちた恨み。
 そういった餅たちの無念がコンキスタドールの手によって歪められ、増幅させられて……餅たちは非常に好戦的になっていた。
 これを潜り抜け、出航して逃げようとするカルロスの錨へと乗り込んでコンキスタドールたちを撃破しなければならない。

「もっちぃぃい!!!」「もっちゃぁぁあ!!!」

 猟兵たちを殺すべく飛んでくる愛らしい餅たちを迎撃する戦闘が始まる。

 ※影朧『もちもちの餅』との戦闘です。
  餅です。
  みたらしやあんこ、きな粉などいろいろな味付けがされており、とても美味しく食べることができますが、非常に好戦的なのでご注意ください。
  影朧なので転生させることは可能ですし、オブリビオンなのでお友達にすることも可能です。
  プレイングボーナスは、『油断せず対処する』です。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
成程、確かに美味しそうなお餅ですねぇ。
とは言え、着実に参りましょう。

『FAS』を使用し飛行、『FMS』のバリアでお餅さん達との間を塞ぎまして。
【變豅】を発動、『祭器』全てに『切断』と『物質変換』を付与しますねぇ。
お餅さん達の攻撃方法は『噛みつき』等の接敵前提、接近の為『FMS』のバリアに触れた時点で[カウンター]の『バリアアタック』を仕掛ければ[切断]し『食材化』が可能ですので、この形で攻め手を封じましょう。。
後は、同様に『切断』が付与された『FGS』の重力波による[範囲攻撃]で一網打尽にしますねぇ。
『食材化』で普通のお餅になった分は『FTS』で回収、後程頂きましょう。


御園・桜花
「…まあ♪」
捕食者の目になった

「元が御餅ですもの。本懐を遂げさせてあげるのが、メイドの務めと言うものです…うふ」

「美味しくなぁれ!美味しくなぁれ!」
UC「食欲の権化」
叫びながら桜鋼扇で連打し食材化
敵の攻撃は第六感や見切りで躱すが、当たっても全く気にしない
「活きの良い御餅…素敵です」
「安倍川!磯辺!辛味餅!ずんだ!五平!あんころ!みたらし!グラタン!ピザ!フレンチ!巾着!大福!善哉!お雑煮!汁粉!固くなったら揚げ餅かき餅、御餅料理は無限大です!」
目をランランと輝かせ食材化
戦闘後回収して料理予定
余ったら車へ
「最近御餅のフレンチトースト風にハマりましたの。美味しいですよ」
「転生は、食後になさって?」



●オブリビオンは食材です。

「……まあ♪」
「成程、確かに美味しそうなお餅ですねぇ」

 御園・桜花と夢ヶ枝・るこるは、『カルロスの錨』の砲塔から射出されて来る『もちもちの餅』たちを見つめて笑みを溢す。
 そのまなざしは、まさに捕食者。食材を見るものであった。
 それでも、二人は餅が相手でも油断することはない。
 るこるは『フローティング・エアロフォイル・システム』を使用して飛行しており、桜花は桜の花びらの刻印がある鋼を連ねた鉄扇『桜鋼扇』を手に取り臨戦態勢を整えていた。

「元が御餅ですもの。本懐を遂げさせてあげるのが、メイドの務めと言うものです……うふ」
「とは言え、着実に参りましょう」
「もっちぃぃい!!!(捕食者は餅だぁ!!!)」

 射出された餅たちが小さな口を開いて二人に噛み付こうとするが、るこるが餅との間を浮遊する12枚の円盤型祭器『フローティング・ミラーコート・システム』によりバリアを展開し、衝突を塞ぐ。
 空中で障壁に阻まれた餅たちに向けて、るこると桜花は同時にユーベルコードを展開する。

「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『滋養の加護』をお与え下さいませ」
「美味しくなぁれ! 美味しくなぁれ!」

 るこるが披露するは、《豊乳女神の加護・變豅(チチガミサマノカゴ・ユウキセシヘンヨウ)》。
 『祭器』に切断能力と物質変換を付与し、その『祭器』で攻撃した無機物・オブリビオンを食材化するユーベルコード。
 基本的に、可食部位はそのまま切断して解体し、非可食部位と無機物は物質変換で調味料にすることができる。
 もちろん、餅に食べられない部位はありはしない。
 食材化の有効範囲とその味は、料理の腕前に依存する。

 そして桜花が振るうは《食欲の権化(ショクヨクノゴンゲ)》。
 食い意地漲る『桜鋼扇』の一撃で攻撃した無機物・オブリビオンを食材化するユーベルコードだ。
 餅の動きを見切った桜花が目をランランと輝かせ、『桜鋼扇』で連打していく。
 食材化の有効範囲とその味は、料理の腕前に依存する。

 そう。
 オブリビオンは食材です!

「も、もちぃぃぃ!?(バ、バリアだあああ!?)」
「もちぃ!!(なんてことだ、これじゃあ噛み付けない!!)」
「お餅さん達の攻撃方法は噛みつき等の接敵前提。
 『ミラーコート』のバリアに触れた時点で、カウンターとして切断すれば美味しく切り出せるでしょう」
「何だか美味しそう、と思ってしまったんですもの。美味しい筈です、きっと、多分!」

 るこるが突出した餅を防ぎつつ『バリアアタック』を仕掛けて食材化していき、桜花がバリアを前に踏み止まって動きを止めた餅を殴打して食材化していく。
 第一波の餅たちが速やかに斬られ叩かれ料理され、物言わぬ普通の餅に成っていく。
 第二波として射出されてきた餅たちは、攻め手を封じられたことで距離を取ったところに着地し、様子を伺っている。
 そこを、るこると桜花は容赦なく追撃する。

「美味しくいただきますねぇ」
「もちぃぃいい!?(圧し潰されて切られるっ!?)」
「もっちぃぃぃ!!(まだ、まだ終わらんぞぉ!!)」
「うふ……活きの良い御餅……素敵です」

 《變豅》により切断能力が付与された、浮遊する16本の錫型祭器『フローティング・グラビトン・システム』による、斬撃重力波で遠巻きにしていた餅たちは一網打尽にされていく。
 次々に切り分けられていく仲間たちの犠牲を盾に、重力の範囲攻撃を潜り抜ける餅たちもいたが……その前には、餅たちの動きを第六感で見切っていた桜花が仁王立ちしていた。
 桜花はとてもいい笑顔で、食い意地全開の『桜鋼扇』による一撃を幾度も振舞う。

「安倍川! 磯辺! 辛味餅! ずんだ! 五平! あんころ! みたらし! グラタン! ピザ! フレンチ! 巾着! 大福! 善哉! お雑煮! 汁粉!
 固くなったら揚げ餅かき餅、御餅料理は無限大です!」
「もっもち……、もちぃぃぃ……!(オ、オレサマたちが……食われる……!)」
「転生は、食後になさって?」

 そして。
 るこると桜花は、自分たちに向かってきた大量の餅たちを無害化させると、ほくほくとした様子で回収していく。
 まだ『カルロスの錨』が健在であるために今すぐ料理する訳には行かないが、戦闘後にはちゃんと美味しくいただく心算である。

「最近御餅のフレンチトースト風にハマりましたの。美味しいですよ」
「それは楽しみですぅ。後程頂きましょう」

 それぞれ、特殊な光線で物品を『亜空間倉庫』に収納する輸送用祭器『フローティング・トランスポート・システム』と『ケータリング用キャンピングカー』に普通の餅と化した餅たちを収容して、この後のお餅パーティに思いを馳せるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鳴海・静音
く、鯨ァ!?
スゲェもん見たと喜ぶべきか、海賊船じゃねぇから宝がなさそうなのを悲しむべきか
ま、しゃーねぇ、とりあえず仕事はしねぇとなァ

餅ねェ?いや、そういうのもいるだろうなァ…
さて、どうしたもんか…ま、見られるとマズイってんなら見られる前にやるしかねェか
野郎共、地面の下から喰らいついてやんなッ!『亡霊の潜鮫』ッ!
地面に潜ってりゃみられることもねぇから問題なく噛み付けるって訳だ
…まぁ、俺自身に関しては回避手段がねぇから気合で耐えるしかねェ訳だが…

※協力・アドリブ歓迎
手下共の言動等はお好きにどうぞ


シエナ・リーレイ
●アドリブ歓迎
なんでいじめないといけないの?とシエナは首を傾げます。

『お友達』候補と仲良くなり『お友達』に迎える事を目的に親愛と好意を持って接するのが普通なシエナ
お餅達のユーベルを華麗にスルーしながら仲良くなる為の問い掛けを始めます

美味しく食べて貰いたいの?とシエナは問い掛けます。

お餅達が問い掛けを肯定すれば願いを叶えるべく水生生物の『お友達』と追加で呼び出した沢山の動物の『お友達』と共にお餅を食べ始めます

んぐんぐ。とシエナは『お友達』に詰まった餅を押し込ませます。

尚、シエナの仮初も『お友達』も[呪詛]で繰られる|お人形《死骸人形》なので喉に餅が詰まっても少し顔を顰める程度で済むようです



●物量による制圧捕食。

「く、鯨ァ!?」

 鳴海・静音は『カルロスの錨』コンティネントホエールを見て目を丸くした。
 近代化改修が施されたとはいえ、目標の拠点が船でなく生き物であったことに驚いたようだ。

「スゲェもん見たと喜ぶべきか、海賊船じゃねぇから宝がなさそうなのを悲しむべきか……。
 ま、しゃーねぇ、とりあえず仕事はしねぇとなァ」
「もちぃ!」

 だが、その驚愕もすぐに収めて静音は飛来する『もちもちの餅』へと意識を向ける。
 射出されたもちもちの餅たちはかわいい風貌を最大限利用して目線を潤ませ、静音を……そしてその近くに佇むシエナ・リーレイを見つめて、無意識に友好的な行動を行うようにするユーベルコードを放つ。
 そのまままともに受ければ友好的に懐に入ってきた餅が口に突っ込み、喉を詰まらせる危険がある。

「餅ねェ? いや、そういうのもいるだろうなァ……さて、どうしたもんか……」
「も……もち……もちぃ……(オマエラ……オレサマたちを……いじめるのか……?)」
「なんでいじめないといけないの? とシエナは首を傾げます」

 シエナは餅たちの潤んだ目線を正面から浴びて、首をかしげる。
 『お友達』候補と仲良くなり、『お友達』に迎える事を目的に親愛と好意を持って|接《戦闘》するのが普通なシエナにとって、影朧たる餅もまた『お友達』候補。
 ユーベルコードに抵抗する意味もなく、友好的な行動―――すなわち餅たちと仲良くなる為に、問い掛けを始める。

「美味しく食べて貰いたいの? とシエナは問い掛けます」
「もち!(もちのろんさ!)」
「それならおいで! とシエナは動物さんを呼び出します」

 餅たちがシエナの問い掛けに即座に肯定すると、シエナは餅たちの願いを叶えるべく、先の戦いで呼び出していた水生生物の『お友達』に追加してさらに沢山の動物の『お友達』を呼び出した。
 《動物さん達がお送りする癒しのひと時(ドウブツニンギョウノブツリョウニヨルジュウリン)》。
 戦闘用の、シエナ自身と同じ強さのキメラ人形と、137体の大型肉食動物人形、882体の小型の肉食獣や草食獣の人形の群を召喚するユーベルコードである。
 使用している間はシエナ自身はほとんど動けなくなるし、シエナが傷を受けると召喚が解除されてしまうが……地下施設に溢れる『お友達』はそれを補うほどの物量であろう。

「さぁ、皆を癒してあげて! とシエナは動物さんとお餅さん達を食べ始めます」
「もっちぃ♪(やったぜ! 味わって食べてくれっ!)」
「ははっ! やるねぇ! それなら俺たちも始めねぇとな!」

 膨大な数のシエナの『お友達』に紛れたことで餅たちの視線を浴びずに済む静音だったが、そのまま彼女と『お友達』に任せきりにすることはしない。
 地上を『お友達』が覆うなら下から襲い掛かろうと判断して、自身のユーベルコードを発動させる。

「ま、見られるとマズイってんなら見られる前にやるしかねェか!
 野郎共、地面の下から喰らいついてやんなッ! 『亡霊の潜鮫』ッ!」
「「「ヨーソロー!」」」

 《亡霊の潜鮫(ファントムシャーク)》。
 手下たちの霊魂で形作られた、119匹の亡霊鮫を召喚するユーベルコード。
 それは極めて発見され難く、静音と五感を共有して、指定した対象を追跡することができるのだ。
 地面に潜っていれば、手下たちが餅の視線を浴びることもない。
 地面を潜り、不意に襲い掛かる姿はまさにB級映画のようだ。

「脅かしてやれ野郎共ォ! ンでそのまま噛み砕いてやりなァ!」
「「「オオオオオ!!」」」
「もちぃぃぃ!?(下からも来るぞ!?)」

 シエナの『お友達』が地上で餅たちを貪り、静音の手下たちが地面から餅たちに噛み付く。
 お人形である『お友達』も亡霊である手下たちも、どれほど餅を食らおうと喉が詰まることはない。
 ちなみに亡霊鮫は手下たちが変身した姿なので、味覚的にも美味しく餅をいただいているようです。
 射出される端から次々に食べられていく餅たちは、いずれも嬉しそうに笑っている。

「もちっ!(オレサマも食らえっ!)」
「んぐんぐ。とシエナは『お友達』に詰まった餅を押し込ませます」
「もちぃ……♪(食らってくれるのか……!)」

 そして、シエナもまた飛んできた餅を食べている。
 シエナは、ヤドリガミだ。……ここにいるシエナの体は、とある少女の亡骸を仮初として繰り手の糸で動いている|お人形《死骸人形》なのだ。
 そのため、喉に餅が詰まっても窒息することはない。
 圧迫感を覚えて少し顔を顰める程度で済むようだ。
 その内に迎え入れた何体かは、新しい『お友達』になれるのかもしれない。

「もち(次は、オマエだ)」
「……まぁ、俺自身に関しては回避手段がねぇから気合で耐えるしかねェ訳だが……!
 見てろよ野郎共ォ! 船長のカッコいい所をなァ!」
「船長には喰わせるな!」「のどに詰まったら一大事だ!」「俺が食べるよ」

 一方で、シエナのようにはいかない静音は『呪われたカットラス』を握り締める。
 友好的に接して喉に突撃されれば、窒息は免れない。
 餅たちがお人形たちや亡霊鮫たちに捕食されるまで、味方を遮蔽に視線を切り、餅を受け流して耐え抜いたのであった。

 こうして。
 百を超える手下たちと千を超える『お友達』と共に餅たちの襲来を潜り抜け、静音とシエナは『カルロスの錨』へと視線を向けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

巨海・蔵人
アドリブ絡み歓迎

■心情

イキの良い餅が食べられると聞いて!
色々準備してたら遅れちゃったけどね…
粗末にされたりして食べられたかった餅の影朧だし。
つまり、これも供養という奴だね

■UC監督の下準備

まず、全身清潔にし髪も纒め、御天気お兄さん風セットを割烹着アレンジします。
同ビニール傘風ユニットを床に敷き詰め確りと熱を加えて圧着し餅とり粉を撒きましょう

■調理
足元はおろしたての麻の靴下、
手元には手水を用意して、
美味しいお餅の準備は完了。
うっかり落としても床にビニールをひけば大丈夫。
お持ちが柔らかすぎても団子粉を加えたり、
お汁粉やおはぎも良いね。
ちょっと味見もバイオモンスターなら喉を広げたりで詰まらないしね?


フリル・インレアン
ふえ?お、お餅です。
なんでコンキスタドールさんはこんなものを投げてきたのでしょうか?
ふえ?そして、アヒルさんはなんでそんなに警戒しているんですか?
というよりも、私を盾にしないでください。
お餅は恐ろしいって、何を言っているんですか?
食べたら、喉を詰まらせるって、……そういえば、アヒルさんに歯はないんでしたね。
そのまま飲み込んでたら詰まらせますね。
ふえ?それに……?
トリモチは怖いって、ふええ!?
アヒルさん、それを早く言ってくださいよ。
私だって、トリモチはイヤですよ。髪に付いたら最悪です。
えっと、美白の魔法でくっつかないようにしましょう。


超人・プロレスラー
入場と共にリングヒーローコスチュームのマントをバサァッ!!と脱ぎ去る
「いいだろう!キサマらを叩き直してやる!そう、このワタシの……プロレスでな!」

プロレスラーとして、敵の攻撃は鋼の肉体②で真正面から受け止める!
「どうした?そんな攻撃ではワタシは倒せないぞ!全員纏めて掛かってこいっ!!」と挑発のパフォーマンスだあーっ!
挑発に乗って飛び掛かってきたらグラップルで掴みUCで反撃!
|超人《スーパーヒーロー》・ファイアー・スープレックスをお見舞いしてやる!!
地面へと叩き付けると同時に、闘争心を燃やしたプロレスラー魂が物理現象的に大爆発を起こして大ダメージを与えるぞ!

焼き餅になった様だが味はどうだろうか?



●特別番組! 熱く燃えるお餅つき! 美肌もあるよ!

「もっちゃぁぁあ!!!(逃さねぇからなぁ!!!)」
「ふえ? お、お餅です。なんでコンキスタドールさんはこんなものを投げてきたのでしょうか?」
「ぐわっ……!」

 フリル・インレアンは、『カルロスの錨』から射出されたもちもちの餅を暢気に見上げていた。
 『アヒルさん』はそんなフリルに注意を払うよう鳴き声を上げ、フリルの背中に身を潜めていた。

「ふえ? そして、アヒルさんはなんでそんなに警戒しているんですか?
 というよりも、私を盾にしないでください」
「ぐわっぐわっ!」
「お餅は恐ろしいって、何を言っているんですか?
 食べたら、喉を詰まらせるって、……そういえば、アヒルさんに歯はないんでしたね。
 そのまま飲み込んでたら詰まらせますね」
「ぐわわっ!」

 とろけてどろどろになった餅が命中してしまえば、粘着いて簡単には取れなくなる。
 ガジェットである『アヒルさん』がもちもちの餅を飲み込んだら、大変なことになると思う。
 その上、餅たちは影朧であるため、自発的にフリルと『アヒルさん』を狙って襲い掛かって来るのだ。
 つまり、このままのんびり佇んでいたらフリルは餅に包まれて窒息死する。

「ふえ? それに……? トリモチは怖いって、ふええ!?
 アヒルさん、それを早く言ってくださいよ……!
 私だって、トリモチはイヤですよ。髪に付いたら最悪です……!」
「ぐわーっ!」
「もっちぃぃぃ!!!(オレサマたちが捕食者だぁ!!!)」

 確かに餅が髪についたら大変だが、それどころではない。
 状況を把握して狼狽え始めるフリルに向けて、大量の餅たちが降り注ぐ。
 あわや、フリルは餅の餌食になるのか……そんな時であった。

「イキの良い餅が食べられると聞いて!」
「いいだろう! キサマらを叩き直してやる! そう、このワタシの……プロレスでな!」

 フリルのもとへ、援軍となる猟兵たちが駆け付けた。
 バイオモンスター素体で構築された男性型ソーシャルディーバ試験用機、巨海・蔵人(おおきなおおきなうたうたい・f25425)。
 そして超人プロレスの意志を持ち、感動と闘魂を伝承するべく空を飛ぶヒーローレスラーマスクの超人・プロレスラー(全世界プロレス協会【会長】・f39340)と、入場と共にリングヒーローコスチュームのマントをバサァッ!!と脱ぎ去る、彼女に鍛え上げた肉体を貸している正義のプロレスラーだ。
 間一髪、頼れる仲間が到着してフリルと『アヒルさん』に手を伸ばして、餅の魔の手から引き離した。

「色々準備してたら遅れちゃったけどね……。
 粗末にされたりして食べられたかった餅の影朧だし。
 つまり、これも供養という奴だね」
「ふえぇ、助かります。
 えっと、それでは、美白の魔法でくっつかないようにしましょう」

 仲間と合流したことで落ち着きを取り戻したフリルは、ユーベルコードを行使する。
 《しっとり艶々なお肌を守る美白の魔法(スキンケア)》。
 紫外線などの有害な光から肌をケアする蒸気で、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らすユーベルコードである。
 フリルと『アヒルさん』そして蔵人とプロレスラーが蒸気に包まれ、お肌が艶々になった。

「はい、これでお餅に触れても大丈夫です」
「おお、お肌がツルツルだ。うれしいね、ありがとう。それじゃあ始めようか」

 フリルの近くに立つ蔵人が、ゆっくりとユーベルコードの発動する。
 《御料理仙人儀式【万彩菜館降臨祭】(タセカイコラボシリーズパンダシショー)》。
 指定した対象を、パンダ師匠が手掛ける驚天動地の料理や食材にするユーベルコードだ。
 パンダ師匠も配信慣れして来ているとのことで、お料理配信の視聴率は結構いいらしい。
 実際の所、パンダ師匠の指導を受けて蔵人が作ることも多い。
 |閑話休題《それはさておき》。

「今日はコラボの生配信!
 みんなはお馴染みの、みんな大好きパンダ師匠、イタコドローンでご招待。
 七色輝く冴えに映え、宜しくお願いします」
「パンダァ!」

 軽快なBGMが流れ、パンダ師匠監督の下、料理の準備を始める蔵人。
 謎技術で作られた只のビニールに見える『御天気おにいさん風パーカーセット』を割烹着もアレンジして、同じ技術で作られた『使い捨てビニール傘風ユニット』を床に敷き詰めた。

「まず、全身を清潔にして髪も纒め、割烹着を付けます。確りと熱を加えて圧着し、餅とり粉を撒きましょう」
「下拵えは任せよう! 餅の捕獲はワタシに任せておけ!」

 こうして蔵人が場を整える間に、プロレスラーがフリルたちの前に出て両手を広げて餅を迎え撃つ。
 生命エネルギーを得るべく可愛い口を大きく開けて噛み付きに来た餅たちを、プロレスラーは血のにじむような訓練によって鍛え上げられた『鋼の肉体』で真正面から受け止めた。
 餅が歯のない口でプロレスラーの腕を食むが……その『鋼の肉体』は、ビクともせず健在である。

「もっ……ちぃ……!?(コイツ……硬いぞ……!)」
「どうした? そんな攻撃ではワタシは倒せないぞ! 全員纏めて掛かってこいっ!!」
「「「もっちゃあああ!!(やってやるぜぇ!)」」」

 プロレスラーの挑発パフォーマンスを受けて、エネルギーを食べ尽くしてやろうと飛び掛かる餅たち。
 それを、プロレスラーは素手で|グラップル《組み付く》。
 餅たちをまとめて掴むと、ユーベルコードで反撃する。

「|超人《スーパーヒーロー》・ファイアー・スープレックス!!」

 掴んだ対象をファイヤー属性のバックドロップで投げ飛ばす《ファイヤー・スープレックス》が炸裂する。
 それは敵の攻撃時であろうと、いかなる状態でも掴めば発動可能なユーベルコードだ。
 プロレスラーによって、餅たちが床に敷き詰められた『使い捨てビニール傘風ユニット』へと叩き付けると同時に、闘争心を燃やした『プロレスラー魂』が熱き爆炎に具現化して、物理現象的に大爆発を起こす。
 もちもちの餅たちは、立派な焼き餅へと進化した。

「も……ち……(焼かれちゃった……)」
「焼き餅になった様だが味はどうだろうか?」
「ありがとうプロレスラーさん。あとは僕の番だね」

 プロレスラーと入れ替わるように、蔵人は丸焼きになった餅に近づく。
 蔵人が伴っているのは、パンダ師匠だ。
 清潔に備えをした二人の料理人によって、餅たちはこねられていく。

「足元はおろしたての麻の靴下、手元には手水を用意して、美味しいお餅の準備は完了」
「も……もっちゃぁぁあ!!!(く……逃さねぇからなぁ!!!)」

 ビニールの上で餅たちがせめてもの抵抗とばかりに蔵人を捕縛しようととろけてどろどろになった体を伸ばすが、焼かれ餅とり粉に包まれた体ではツルツルの肌になった蔵人に粘着することはままならない。
 笑顔の蔵人の手に捕まり、為すすべなく料理されていく。

「うっかり落としても床にビニールをひけば大丈夫。
 お持ちが柔らかすぎても団子粉を加えたり、お汁粉やおはぎも良いね。
 大丈夫、ちゃんと美味しくできるからね」
「パンダァ!」
「もち……も、もちぃ(オレサマたち……食べて、もらえるのか)」
「ちょっと味見も。……んっぐっ、ん、んっ……うん、いい味だね!」

 味見がてら大きく広げた口で餅を食べる蔵人。
 ちょっと喉が詰まりそうになるが、良く焼かれているので何とか嚥下することはできたようだ。
 ちゃんと食べてもらえることを察した餅たちは、狂暴性が落ち着きそのまま蔵人とパンダ師匠に身を委ね、料理されていく。

「とれたて新鮮なお餅のお料理レシピ! お正月に備えて準備しては如何かな?」
「パンダァ!」
「はっはっは! 実に美味だな! これがプロレスラーの闘魂なのだ!」
「わたしたちもいただきましょうか、アヒルさん」
「ぐわっ!!!」

 『テレビウム・ドローン』に目線を向けて、いい笑顔を浮かべる蔵人とプロレスラー。
 美味しく料理された餅たちは歯がない『アヒルさん』でも飲み込めるように小さくカットされ、猟兵たちの口で消費されていく。
 フリルたちは、美味しく焼き餅を堪能するのだった。

 そして……時間稼ぎに成功した『カルロスの錨』が動き出すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『コンティネントホエール』

POW   :    なにかとぶつかったきがします
単純で重い【巨体】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    なんだかしゅういがさわがしいです
【コンティネントホエールが呑み込んだ物品】で武装した【コンキスタドール】の幽霊をレベル×5体乗せた【継ぎ接ぎの鉄甲船】を召喚する。
WIZ   :    おなかがすきました
【大口に入る物を無差別に吸い込んで】から【吸い込んだ物を圧迫して色々搾り取る攻撃】を放ち、【対象を極限まで圧縮した状態で排出する事】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:アイカワ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はシエナ・リーレイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●断章:大陸の如し巨大な鯨。

 『もちもちの餅』たちを回収したり食べたりして排除した猟兵たち。
 その眼前にそびえるのは、水面の佇む『|カルロスの錨《カルロス・アンカー》』。
 『コンティネントホエール』である。

「大した嗅覚だな、猟兵共……!」

 その鯨の頭部甲板に、一体のオブリビオンが現れる。
 奴こそがカルロス・グリード直属のコンキスタドールであり、『コンティネントホエール』を捕らえて巨鯨艦へと改修した張本人だ。
 こいつを撃破し、コンキスタドールを壊滅することが今回の目的なのだ。

「貴様らのおかげで計画は停滞することになる……だが、カルロス様につながる情報は何一つ与えはしない!
 お前たちを倒すことは難しいだろうが……一人でも多く道連れにしてやろう!
 機動しろ、コンティネントホエール! 思う存分暴れ回れ!」
『……なんだかしゅういがさわがしいです』

 猟兵に先制攻撃される前に鯨の体内へ逃げ戻った指揮官の呼び掛けに従い、漠然と水面に浮かんでいた鯨が目を開く。
 飲み込んだメガリスにより常識を逸脱した巨体と未知の金属で出来た皮膚を得た鯨は、身動ぎするだけで秘密基地を振動させ、津波を起こして猟兵たちを攻め立ててくる。
 ゆっくりと振られた尾が、単純で重い一撃が地下施設の壁を粉砕し、地形を破壊していく。

『なにかとぶつかったきがします』

 鯨に敵意はない。ただ、コンキスタドールの命令で動いているだけである。
 ただ泳ぐだけで周辺に壊滅的な被害をも齎す、純粋な脅威。
 それがカルロスの錨『コンティネントホエール』であった。

『おなかがすきました』

 そして、鯨がその大きな口を開き、辺りにあるものを飲み込んでいく。
 この巨大な暴力を突破して、中に隠れ潜むオブリビオンを殲滅しなくてはならない。
 サクラミラージュのためにも……この鯨のためにも。

『ひとりぼっちはさみしいです』


 ※カルロス・グリード直属のコンキスタドールと、オブリビオンに支配されている『コンティネントホエール』との戦闘です。
  コンティネントホエール自身はコンキスタドールではありませんが、体内に入り込んだコンキスタドールの手によって全身を改造されており、拠点として利用されています。
  コンキスタドールはそれほど強くはありませんが、コンティネントホエールの表皮は未知の金属に覆われており防御力がとても高く、鯨本体の身体能力は非常に強力です。
  コンティネントホエールの生死や今後の処理に関しては、宿敵主の方のプレイングを優先させていただきます。そちらに指定される内容が無ければ、状況判断いたします。
  プレイングボーナスは、『鯨の中にいるコンキスタドールを排除すること』です。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
鯨肉美味しそう、と浮かぶ辺り、先程の相手の影響が?

『FAS』により飛行、『FPS』で鯨さんの行動を探知しますねぇ。
『単純に動いている』なら或る程度の隙が出来る可能性が高く、察知した箇所に『FIS』で転移すれば躱せますぅ。
そして、鯨さんが口を開くのを待ち【噇醒】を発動、金属の皮膚の無い口内なら傷は与え易く、微傷でも与えられれば『同等の体格』と『対象に有効な祭器(体内に直接攻撃を送り込む『転移具』)』が得られますので、[怪力]と『FGS』の重力操作で鯨さんを捕まえ動きを抑えましょう。
後は『祭礼の女神紋』で同様に巨大化した各『祭器』で、体内のオブリビオンを直接攻撃しますねぇ。


鳴海・静音
調べるもん調べたんだ、とっとと倒して仕事を終わらせようぜ
ところで鯨はどうすんだ?俺ァどっちでも対応できるんだが…まぁ判断は任せるか

ハッ!…しかしここまで相性がいい相手ってのは久しぶりだぜ!
まずはコートの力で"空中浮遊"、相手の口の方向から逃げて上に行く
次にあんま広くねェから船の一部だけ呼ぶ事になるが…
こいつを相手に物理的な装甲は何の意味も持たないぜ?ぶっぱなせ、『亡霊の号砲』ッ!
あとは|生命力を奪う呪い《"生命力吸収"》で減らしていくだけなんだが…中の奴らは鯨より生命力があるのかねェ?
鯨もやる場合は呪いを止めなきゃいいだけだ
さぁ、片付けるぜ

※協力・アドリブ歓迎
手下共の言動等はお好きにどうぞ


御園・桜花
「あんなに美味しそうな鯨さんがオブリビオンじゃないなんて…|私は無力です《湯引き食べたかった》」
崩れ落ちる

涙拭い
「鯨さんを覆う金属は無機物ですから食べられますけれど、其れをやったら只の追い剥ぎです。きちんとコンキスタドールに食べ物のくれ騙しは大罪だと教えて差し上げます」

UC「出前一丁・弐」
「|オブリビオン《悪い子》は居ねがぁ!」
ケータリングカーで飛行し鯨の体内に突っ込む
飛行経路は第六感任せ
圧縮されないようかっ飛ばしつつコンキスタドール発見次第撥ね飛ばす

「影朧でない鯨さんの生存欲求とは共存出来ますもの。後は操る方にお還り頂くだけです」

戦闘後
鎮魂歌歌いつつ餅入豆乳鍋と餅チーズベーコン調理し振舞う


フリル・インレアン
ふえ?あの鯨さんはコンキスタドールさんに勝手に改造されただけなんですね。
それでしたら、お洗濯の魔法であの未知の金属を落としてしまいましょう。
その為にはあの鯨さんの攻撃をどう躱すかですね?
あれ?アヒルさんがやけに静かなような気がしますね?
ふええ!?アヒルさんなんでもう戦闘不能になっているんですか!!
お餅を食べ過ぎて動けないって、こうなったら念動力の空中浮遊でゴンドラを飛ばせて躱しましょう。
そしたら、お洗濯の魔法で鯨さんを攻撃です。
あと、ついでに私もお餅を食べてたので、過剰なカロリーもはたき落としておきましょう。


貴方・あなた
リバーソンマスターにおまかせします。かっこいい貴方・あなたをお願いします!

 ユーベルコード、技能、装備アイテムを駆使し、なるべく負傷や怪我の無いよう、安全を第一に考えて慎重に慎重を重ねて行動します。だって痛いのは嫌だし。
 戦艦や戦闘機も沢山持っているので、大規模戦闘でも活躍出来ると思います。
 他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。……多分。
 また、依頼の成功のためなら、多少の公序良俗に反する行動は厭いません。

 あとは|グリモア猟兵の指示に従い《MSにおまかせし》ます。よろしくおねがいします!



●コンキスタドールを駆逐せよ!

「あんなに美味しそうな鯨さんがオブリビオンじゃないなんて……|私は無力です《湯引き食べたかった》」
「鯨肉美味しそう、と浮かぶ辺り、先程の相手の影響が?」

 崩れ落ちる御園・桜花と食欲を垣間見せる夢ヶ枝・るこる。
 そして不敵に微笑む鳴海・静音と餅でおなかいっぱいになったフリル・インレアンが、眼前で動き出した『コンティネントホエール』を見上げていた。
 体内を跳梁するコンキスタドールに操られ命じられるがままに暴れるコンティネントホエールが引き起こす津波に飲まれないよう、距離を取って機を伺っている。

「調べるもん調べたんだ、とっとと倒して仕事を終わらせようぜ。
 ところで鯨はどうすんだ? 俺ァどっちでも対応できるんだが……まぁ判断は任せるか」
「ふえ? あの鯨さんはコンキスタドールさんに勝手に改造されただけなんですね。
 それでしたら、お洗濯の魔法であの未知の金属を落としてしまいましょう」

 フリルにはメガリスの影響で生じたコンティネントホエールの表皮を覆う未知の金属への対策に腹案がある様子だ。
 だが、コンキスタドールに命令されたコンティネントホエールが単純で重いその巨体を振り回し、暴れ回っている。
 近づくのは容易ではない。

「その為にはあの鯨さんの攻撃をどう躱すかですね?」
「それなら私が。おやぁ? 鯨さんの周りに何か出てきますねぇ」

 ゴンドラを念動力で浮かして突撃させようか思案するフリルに、るこるが案を提示しようとするも……敵は、コンキスタドールはそれを座して待ちはしなかった。
 動き回るコンティネントホエール周囲に、継ぎ接ぎの鉄甲船が召喚されていく。

「いくぞ! 猟兵共を地底湖の藻屑にしてやれ!」「「「おおー!」」」
『なんだかしゅういがさわがしいです』

 それに載るのは、数百体のコンキスタドールの|幽霊《オブリビオン》。
 コンティネントホエールが呑み込んだ様々な物品で武装したコンキスタドールたちが猟兵たちの足止めをするべく打って出たのだ。
 質として強大な鯨の暴力を補うべく、数を以てして当たろうというのだろう。

「ハッ! 手下を出して来たか!
 ここまで相性がいい相手ってのは久しぶりだぜ! それなら、……お?」
「みんな、おまたせー!」

 応戦しようと静音が動き出そうとした時、秘密基地に新たな猟兵が姿を見せた。
 持ち込んだ『軍用ヘリ』から明るい笑顔を覗かせて颯爽と現れたのは、傾世の美貌を有する女の子。
 赤いランドセルを背負った、地球系|世界《から》の美少女小学生|召喚獣《転生者》。
 貴方・あなた(わたしはあなた、あなたはわたし・f38681)だ。

「グリモア猟兵の指示に従って、救援に来たよ! よろしくおねがいします!
 あのオブリビオンたちの相手は任せてね!」

 援軍として駆け付けたあなたは、静音たちがコンティネントホエールへの対応に専念できるよう鉄甲船を単騎で抑え込む。
 『軍用ヘリ』で鉄甲船の上を取ると、眼下に向けてユーベルコードを展開する。

「ランダムなユーベルコード(執筆マスターが選択)をひとつ使用する。種類は選べないが必ず有効利用できる!」 

 あなたが放つのは《それはまるでチートのような、とんでもない才能(ランダムユーベルコード)》。
 それは、ランダムなユーベルコード(執筆マスターが選択)を放つユーベルコード。
 他のユーベルコードと同時に使用でき、種類は選べないが必ず有効利用できる効果によってその成功率を高めることができる。
 メタ的な視点から状況に最適なユーベルコードを使用することのできる、その名を表す通りのとんでもないユーベルコードだ。

「《|命令《オーダー》》受諾! 《レプリカクラフト》を放ちます!」
「な、なんだぁ!?」「なんだこれ、硬ぇし、重ぇ!?」「し、沈む!? 溺れる!!」

 |他者《グリモア猟兵》からの命令を承諾すると出現する具現化された欲望により、命令の完遂か24時間後まで全技能が「100レベル」になるあなたは127立方mまでの実物を模した偽物を作る《レプリカクラフト》で極めて精巧な仕掛け罠を作る。
 鉄甲船を、そしてそれに乗る武装したコンキスタドールの集団を、ロケット噴射で遠方にワイヤーを飛ばせる高速機動用武器『鉤爪鋼綱』を参考にして組み上げた金属の投網で包み込み、追加して具現化した重石によって強制的に沈めていく。
 あなたの100レベルの技によって鉄甲船は召喚される端から轟沈していき、その刃を猟兵たちに届かせない。

「今のうちだよ、お姉ちゃんたち! 安全を第一に頑張ってね!」
「ありがとうございますぅ。それでは、始めますねぇ」

 あなたのウインクに見送られ、るこるが『フローティング・エアロフォイル・システム』で飛行して、コンティネントホエールの頭上を取る。
 上空から『フローティング・プローブ・システム』でコンティネントホエールの行動を予測して、16本の浮遊する水晶柱型祭器『フローティング・インタディクト・システム』の瞬間移動機能を駆使して仲間たちをコンティネントホエールの暴力から守っていく。
 崩落する瓦礫も押し寄せる津波も、何よりも恐ろしい鯨の巨体の一撃も、誰に触れることなく対処していく。

「『単純に動いている』なら或る程度の隙が出来る可能性が高く、察知してから瞬間移動すれば躱せますぅ」
「ふええ、ありがとうございます。それではお洗濯の魔法で鯨さんを……あれ? 」

 そして、るこるによって転移させてもらったフリルがコンティネントホエールの上にちょこんと座る。
 暴れ回るコンティネントホエールの脅威はその巨体だけではなく、どれほど暴れても傷つかない未知の金属の防御力にもある。
 それを剥離すれば、鯨は岩壁に身を打ち付けることを控え、単純で重い巨体を叩きつける頻度を抑えることができるはずだ。
 仲間たちの攻撃を優位にするべく手を伸ばすフリルだが、その段階に至ってふと気づいた。
 相棒である『アヒルさん』の|鳴き声《ツッコミ》が、先ほどから聞こえないことに。

「アヒルさんがやけに静かなような気がしますね?」
「……けぷっ……」
「ふええ!? アヒルさんなんでもう戦闘不能になっているんですか!!

 なんということでしょう。
 フリルの頭の上に座る『アヒルさん』は、まるまると肥え太ったように……いや、文字通り肥え太っていた。
 先程の戦いで、もちもちの餅を食べ過ぎたのだ。
 なんということでしょう。これでは『アヒルさん』は戦えません。

「お餅を食べ過ぎて動けないって、もう。こうなったら仕方ないですね。じっとしていてくださいね」
「くぁ~……」

 とはいえ、フリル自身の戦闘力には支障はないので問題はなかった。
 フリルがぽんぽんぽんと、コンティネントホエールと『アヒルさん』、そしてついでに自分自身をはたく。
 すると、見る見るうちにユーベルコードの効果が表れていく。
 コンティネントホエールを覆うの未知の金属がはたき落されていく。

『からだがかるくなったきがします』

 《身嗜みを整えるお洗濯の魔法(ドライクリーニング)》。
 しつこい汚れや強化効果・弱体化効果が命中した対象に対し、高威力高命中のどんな頑固汚れや効果をはたき落とす連撃を放つユーベルコードである。
 ついでに『アヒルさん』とフリルの過剰なカロリーが取り除かれ、一息つく。これでまだまだ食べられますね。

「ぐわー」
「あとはおまかせしますね」
「ありがとよ! さあて……」
『おなかがすきました』

 念動力で空中に浮遊させたゴンドラの中へと乗り込み、戦線から離れていくフリルとすれ違うように。
 存在自体が亡霊で出来ている『亡霊海賊のコート』を翻して、空中を浮遊する静音がコンティネントホエールの頭上へと移動する。
 その静音を意識したのか、それとも偶然か。
 コンティネントホエールが巨大な口を開き、無差別に周囲のものを吸い込もうとする。
 吸い込んだ物を圧迫して色々と搾り取る攻撃と、対象を極限まで圧縮した状態で排出する事により対象の動きを一時的に封じる攻撃。
 ただ口を開くだけで二種類の攻撃を併せ持つ、コンティネントホエールの恐るべきユーベルコードだ。
 無策で取り込まれれば、猟兵といえど無事では済まないだろう。
 だが静音は臆する様子を見せることなく巨鯨を見下ろし、その瞬間を待ち構えていたるこるのユーベルコードが叩き込まれるのを見届ける。

「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その輪環の理をここに」

 大きく開かれた口の中へと放たれるのは、『祭器式捕食弾頭』。
 《豊乳女神の加護・噇醒(チチガミサマノカゴ・ムサボリシメザメ)》だ。
 それ自体がコンティネントホエールに与えるダメージはさほど大きくはない。
 重要なのは命中した敵から剥ぎ取った部位を喰らう事で、敵の弱点に対応した形状の『祭器』を持った対象と同等の体格の巨大娘に変身するという効果が発揮されることであった。
 柔らかな口内なら傷は与え易く、微かでも傷を与えることができれば、るこるの目論見は叶う。
 すなわち、コンティネントホエールと同じ大きさになるのだ。
 突然巨大化したるこるにコンティネントホエールが目を瞬かせて驚き、その隙をついて鯨の肉体に取りつくるこる。

『なにかでてきました?』
「よいしょっとぉ。鯨さんの動きは抑えますねぇ」
『はなしてほしいです』

 抵抗するコンティネントホエールを、るこるは『フローティング・グラビトン・システム』による重力操作と怪力を発揮して、重量を利用して押え込む。
 《噇醒》の効果で得た、対象に有効な祭器……すなわち、鯨の内部へと直接転移を可能にする『転移具』が得られたことで、コンティネントホエールの中に潜むオブリビオンを直接砲撃することも可能となる。
 様々な祭器による砲撃や斬撃が、鯨の内部で振われることになる。
 そして、この機に攻撃するのはるこるだけではない。
 静音が堂々と手をかざしてユーベルコードを展開する。

「ここはあんま広くねェから船の一部だけ呼ぶ事になるが……。
 こいつを相手に物理的な装甲は何の意味も持たないぜ?」

「錨を上げろ野郎共ォ! 盛大にぶっぱなせ、『亡霊の号砲』ッ!」
「「「ヨーソロー!」」」

 《亡霊の号砲(ファントムブラスト)》。
 呼び出した亡霊船となった自らの海賊船から、物質を透過し敵に範囲ダメージと生命力を奪う呪いの状態異常を与える砲撃を放つユーベルコード。
 部分的に呼び出された幾つかの砲門から、ありったけの攻撃がコンティネントホエールに叩き込まれ……その肉質を透過して、中にいるコンキスタドールを吹き飛ばしていく。
 《亡霊の号砲》の|生命力を奪う呪い《"生命力吸収"》が、脆弱なオブリビオンたちを次々に戦闘不能にしていく。

「中の奴らは鯨より生命力があるのかねェ? さぁ、片付けるぜ!」
「……ああ、金属も綺麗に剥ぎ取れて……ふぅ……ええ、気を取り直しましょう」

 ここにきて涙を拭った桜花が、ちらりとフリルの落とした未知の金属へと視線を落とすが、意識を強く保って首を振り未練を断つ。
 ……戦いが終わってから回収すればいいのです。

「鯨さんを覆う金属は無機物ですから食べられますけれど、其れをやったら只の追い剥ぎです。
 きちんとコンキスタドールに食べ物のくれ騙しは大罪だと教えて差し上げます」

 桜花が選んだ手段は、転移でも透過でもない力技。
 《出前一丁・弐》による激しい突進攻撃である。
 外の川にてコンキスタドールを蹂躙した『ケータリング用キャンピングカー』が再びその猛威を振るう時が来た。
 経路は第六感に任せて、桜花は『ケータリングカー』をかっ飛ばしてコンティネントホエールの開かれた口に飛び込み、鯨の体内に突っ込んでいく。

「|悪い子《オブリビオン》は居ねがぁ!」
「うわあああ!?」「ナ、ナマハゲッ!?」「ヤマンバ!?」

 祭器や《亡霊の号砲》の砲撃が飛び交う鯨の中を、縦横無尽に駆け回る桜花。
 道中コンキスタドールと遭遇すれば、発見次第撥ね飛ばしていく。
 圧迫して搾り取られて圧縮されないようひたすらにターボエンジンの加速で走り回り……そして、巧妙にコンティネントホエールの脳の近くに潜んでいた指揮官であるコンキスタドール……カルロス・グリード直属のオブリビオンを発見する。

「待っ、話しを!」
「ご注文は転生ですね! 操る方にはお還り頂くだけです」

 見敵必殺、サーチアンド轢殺。
 『カルロスの錨』のコンキスタドールは速やかに散った。

 ほどなくして、コンティネントホエールの中にいるコンキスタドールと、召喚された鉄甲船に乗っていた幽霊たちを駆逐し終えた猟兵たち。
 るこるが桜花を『ケータリングカー』ごと『転移具』にて外へと瞬間移動させ、鯨の様子を伺うべく手を放して距離を取る。
 固唾を飲んで見つめる猟兵たちの前で、コンキスタドールの支配から解放されたコンティネントホエールは……その身を大きく振るわせる。

『―――いたいです。せまいです。ここはもう、いやです』

 次の瞬間、コンティネントホエールが単純で重い巨体の一撃で天井を破壊する。
 外の川から水が流れ込んでくる中、流れに逆らって遡上して、基地の外へと逃れていく。

「あ! 逃げちゃう!」
「大丈夫です。影朧でない鯨さんの生存欲求とは共存出来ますもの。
 それに……彼女が向かっておりますもの」
「ふええ、水没してしまいます」
「それではぁ。私たちも表に出るとしましょう」
「おう! 逃げ遅れる奴はいねぇな! 引き上げだぁ!」

 流れ込む水流に破壊されていく地下施設を尻目に、コンキスタドールを殲滅した猟兵たちは陽の光が待つ地上へと離脱する。


●戦いの後の打ち上げ。

「~♪ ~♪」
「それでは、お餅を振舞わせていただきますねぇ」
「わーい! うれしいな!」
「お疲れ様でした、皆さん!」

 そして。
 秘密基地の外へ出て行ったコンティネントホエールを見送り、階段を上って地上に戻ってきた猟兵たちは一足先にお餅パーティを開始した。
 桜花は鎮魂歌を歌いつつ、餅入豆乳鍋と餅チーズベーコンを調理して振舞っている。
 るこるは胡麻餅をメインに料理しながら餅を頬張り、静音やフリルやあなた、そして安全になったので合流した爆竜丸と、この戦いに関わった猟兵たちも集まって思い思いの餅を食している。

 ―――今、広大な長江のどこかで、とある少女がコンティネントホエールを招き迎え入れるべく|戦って《遊んで》いる。
 彼女が無事に帰って来るまで、餅の在庫は十分に事足りる。
 猟兵たちは、ひとりぼっちの寂しい鯨と『お友達』になった彼女が戻って来るのを待つのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シエナ・リーレイ
●アドリブ歓迎
大きな鯨さんの呟きを聞き、仲良くならなければ深く決心したシエナ
けれども仲良くなるにはまずは気づいて貰わないといけません
その為の手段を考え始めるシエナですがお陰で既に呼び出されていた色んな生物の『お友達』が好き勝手に動き始めます

『お友達』は嗅覚や聴覚等の生前の能力を活かし海賊の痕跡を探り、改修により出来た出入り口から内部に突入すると後付けされた施設を壊しながら僅かに残された食べ物を喰らったり、立ち塞がる者に[怪力]でじゃれついたりします

大きくなればいいんだ!とシエナは思いつきます。

気づいて貰う為の策を思いついたシエナは『お友達』の大半が何処かへ行っている事に気づく事無く親愛と好意を膨らませてその身を巨大化させ、鯨と同等かそれ以上の大きさにまで至れば鯨を遊びに誘います

中には『お友達』がたくさんいるよ!とシエナは誘います。

周辺被害を顧みない遊びが終結すれば水底に作った影を媒体に開いた【スカートの中の人形世界】へ帰る事を渋る『お友達』を帰しながらシエナは鯨も中へ招こうとします



●孤独が癒える日。

『くるしいです。あたまがいたいです。おなかがとてもすいています』

 地下施設から飛び出した『コンティネントホエール』。
 コンキスタドールの支配から脱したものの、その巨体は広大な川が狭く見えるほど大きく、存在するだけで周囲へおびただしい被害をもたらす脅威である。
 オブリビオンに利用されていたとはいえ、このまま野放しにする訳にはいかない。
 だが、メガリスを飲み込んだ鯨を落ち着かせる術も多くはないのだ。

『ひとりぼっちはさみしいです』

 中国大陸秘境の河川に響き渡る、鯨の鳴き声。
 そこに籠められた悲痛なる想いに、シエナ・リーレイは深く決心した表情を浮かべている。

「仲良くならなければ。とシエナは決意します」

 鯱も、蛸も、蟹も。虎も、鼠も、アルパカも。
 今回の件でシエナが召喚した大勢の『お友達』が、あるものは川を泳ぎ、あるいは空中を泳ぎ、コンティネントホエールの傍まで到達する。
 じゃれつくように触れ合う『お友達』だが、ほとんどは勢いよく吹き飛ばされていく。
 コンティネントホエールの単純で重い巨体は、動くだけで周辺地形を破壊するほどの一撃となるからだ。

『……? なにかとぶつかったきがします』

 恐ろしいのは、コンティネントホエール自身に攻撃の意図はなく、敵意も殺意もないことだ。
 大きな鯨と仲良くなるためには、まずは意識してもらわなければならない。
 あの子に気づいてもらわなければならない。
 そう考えて、シエナは先程の戦闘で大きくなった猟兵の存在を思い出す。

「大きくなればいいんだ! とシエナは思いつきます」

 シエナの手を離れた『お友達』たちが好き勝手に動き、コンティネントホエールの周囲を跳び回る。
 数十体ほどが近代化改修により出来た出入り口から内部に突入して、コンキスタドールが設営した施設を壊して回り、残されていた食べ物を喰らい、そしてメガリスと思わしき物体を見つけて弄んでいく。
 オブリビオンの残党がいたならば、『お友達』と|楽しく遊んでい《力づくで蹂躙され》たかもしれない。
 だが、そうして『お友達』が体内で元気よく動き回ったことで、コンティネントホエールも煩わしさを覚えたのか、動きを止める。
 その間にシエナが鯨の近くへ辿り着き、ユーベルコードを発動させる。

『なにか……なにか……?』
「わたしはあなたの事を想うと巨大化しちゃう程大好きなんだよ! とシエナは『お友達』候補への気持ちを露わにします」

 震え虚空を見つめるコンティネントホエールの眼前に、徐に巨大化したシエナが現れる。
 《親愛と好意が引き起こす謎の巨大化現象(オンネンノジュソガヒキオコスキョダイカゲンショウ)》。
 シエナの『お友達』候補への親愛と好意の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大するユーベルコードである。
 相対的に『お友達』が小さく見えることで数が減っていることにも気づかないシエナは、抱く親愛と好意を一心に目の前の鯨へと注ぎ、膨らませていく。
 爆発的に向上していく感情により、シエナはコンティネントホエールと同等……いや、それ以上の大きさにまで達していた。

『! おおきな、おおきな……! あなたは……なにですか?』
「わたしはあなたと仲良くなりたいな! とシエナは笑顔で話しかけます。
 わたしと『お友達』になりましょう! とシエナは遊びに誘います」
『おともだち……?』

 巨大化したシエナが、コンティネントホエールと|遊び《戦闘を》始める。
 サイズ差を強引に活かした怪力で抑え込み、素手で捕まえ組み伏して、もつれあうようにぶつかり合う。
 コンティネントホエールの身体を覆うの未知の金属は、猟兵によってはたき落されている。
 触れた相手を破壊しない対等な身体のぶつかり合いは、その身に伝わるシエナの力強さは……コンティネントホエールにとって、とても、とても久しぶりの、ボディランゲージであった。
 文字通りの触れ合いであった。

『ともだち……。ともだち、ともだち! あなたは、わたしのともだちですか?』
「そうだよ! とシエナは肯定します。
 おいで、中には『お友達』がたくさんいるよ! とシエナは内側に誘います」

 ぶつかり合いの応酬の余波で、召喚されていたシエナの『お友達』は次々にシエナのスカートの中に吸い込まれていく。
 シエナのスカートの中を覗き込み、触れてしまうと《スカートの中の人形世界(スカート・イン・ザ・ドールワールド)》へと拉致されてしまうらしい。
 辺りの『お友達』は帰ることを渋りつつも、抵抗することなく吸い込まれていく。
 そして、コンティネントホエールに会心の一撃を叩き込んだシエナが、水底に作った影を媒介にして開いたスカートの中へと鯨を|誘《いざな》う。

「みんなとお家に帰りましょう。とシエナはスカートをたくし上げながら新しい『お友達』に促します」
『ともだち……ずっといっしょにいてくれるのですか……?』
「もちろんだよ」

 ひとたびシエナの内側に入ってしまえば、コンティネントホエールは人形化の呪詛に満ちた《スカートの中の人形世界》の中で『|お友達《人形化》』になるだろう。
 そうなれば、もう元には戻れない……コンキスタドールに支配されて暴れ回り、周囲を破壊することはできなくなる。
 ずっと、シエナと一緒にいるしかない。
 ずっと一緒に、いてくれるのだ。

『ともだち……! またいっしょにあそんでください……!』
「これからいっぱい、わたしと一緒に遊びましょう! とシエナは『お友達』を迎え入れます」

 メガリスのせいで冷たい金属に覆われ、誰よりも巨大になったことで孤独を強いられていたコンティネントホエールは……歓喜した。
 自らを受け入れてくれる『お友達』と出会えたことを喜び、その瞳から大粒の涙を溢しながらシエナの中へと入っていった。
 ……。きっと、それがこの鯨にとっては、何よりの幸せなのだろう。
 もう、あの鯨は一人ぼっちではない。寂しくはないのだ。

 そして、シエナとコンティネントホエールの遊びが終わった。
 幻朧戦線将校『カルロス・グリード』の拠点『カルロスの錨』はまた一つ潰えたのだ。
 二者の遊びにより水面は激しく波打ち、岸辺への被害もとんでもないことになっているが……ひと気のない秘境の奥地であることが幸いしており人的損害はない。
 新しい『お友達』を迎え入れて満悦の様子のシエナは、地下施設から地上へ戻って来ていた猟兵たちのお餅パーティに合流するべく川を泳いでいく。
 その顔はいつもと同じように天真爛漫であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年11月25日
宿敵 『コンティネントホエール』 を撃破!


挿絵イラスト