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【悪機襲来・戦後】ホール・ブレイカー

#コイネガウ #防衛戦 #悪機襲来・戦後 #初年度の十月分シナリオ

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#初年度の十月分シナリオ


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●注意
 当依頼は、PBWアライアンス『コイネガウ』からのシナリオです。
 PBWアライアンス『コイネガウ』の詳細を以下でご確認お願いします。
 公式サイト:(https://koinegau.net/)
 公式総合旅団:(https://tw6.jp/club?club_id=4737)


「諸君。私の名前はドミニク・サイバー。サイバーウェーブ・エレクトロニクス社を起業した天才科学者にして、究極のキャバリア、ファルコンブレイズの開発者だ」
 モニタに映し出されたのは、20代半ばくらいの青年、ドミニク・サイバーだ。自信に満ち溢れた表情のドミニクは流れるように説明を続けていく。
「先日、希島に現れたオブリビオンマシンたちは、オブリビオン・ホールから出現したことが確認されている。――そして、今また、再びオブリビオン・ホールが開きかけているという観測結果がもたらされた」
 希島全土に瞬く間に侵攻したオブリビオンマシンたち。その出現は、自然地区に発生したオブリビオン・ホールと呼ばれる異界との門が原因であった。――それが再び開きつつあるという。
 先日の襲撃によって防衛体制が崩れている今、再び希島にオブリビオンマシンたちが襲来したら、その被害は先日のものとは比較にならないことだろう。

「だが、対抗策は存在する。私は悪機ヴァルガン・ティタンの残骸を研究することにより、オブリビオン・ホールを破壊するデバイスを開発することに成功した。それがこのネオ・ディフューザー・モジュール――NDMだ」
 ドミニクが手に持つのは、手のひらサイズの六角形のデバイス。黒と銀色のメタリックな質感をしたデバイスの中央には、青く輝くクリスタルが埋め込まれている。
「私の研究によると、オブリビオン・ホールは内部に存在するクリスタル・コアからのエネルギー供給によって維持されている。このNDMは、そのクリスタル・コアのエネルギーを吸収し蓄積することができる。そして、蓄積したエネルギーをオブリビオン・ホール内で解放することで、エネルギーの過剰供給によってオブリビオン・ホールを崩壊させることができる」
 つまり、ドミニクが開発したデバイスを使用することにより、オブリビオンマシンが出現する原因となっているオブリビオン・ホールを破壊することができるのだ。

「今回、諸君に頼みたいミッションは唯一つ。このNDMにクリスタル・コアのエネルギーを吸収し、それを爆弾としてオブリビオン・ホールに投げ込んでほしい。そうすれば、エネルギー供給過剰に陥ったオブリビオン・ホールは自壊することだろう。――しかし、それを達成するには障害が立ちはだかることが想定される」
 そこでモニタに表示されたのは、全高5メートルのキャバリアサイズのオブリビオンマシンだった。全身が青白く発光するクリスタルでできており、体内には青いエネルギーラインが流れていることが見て取れる。
「これは、オブリビオン・ホールが出現すると予測されている自然地区にいるオブリビオンマシンの残党だ。オブリビオン・ホールを守る番人であることから、クリスタル・ガーディアンと呼称することとした。クリスタル・ガーディアンは、クリスタル・コアからのエネルギー供給によって能力が強化され、オブリビオン・ホールの近くにいる限り、絶対の守護者となる」
 クリスタル・コアからのエネルギー供給がある限り、クリスタル・ガーディアンは強敵となるという。それは、他のオブリビオンマシンたちを遥かに凌駕する戦闘能力を持つことになるだろう。
 ――だが、逆に言えば、クリスタル・コアからのエネルギー供給さえ停止できれば、クリスタル・ガーディアンはそこまでの強敵ではないはずだ。

「諸君のミッションは、クリスタル・ガーディアンを撃破し、その上でNDMをオブリビオン・ホールに投擲。そのエネルギーによってオブリビオン・ホールを破壊すること。以上だ、健闘を祈る」
 その言葉とともに、モニタの電源が切れたのだった。


「はい、以上が今回の希島政府からの仕事の内容――技術責任者のドミニクさんからの解説でした」
 希島政府に雇われたアルバイトの中津・水穂(新人アイドル・f37923)が、説明用モニタの電源を切ると同時に、|猟兵《希人》たちに手のひらサイズのデバイスを渡していく。NDM――ネオ・ディフューザー・モジュール。オブリビオン・ホールを破壊できる唯一のデバイスだ。

「報酬はきちんと希島政府から出ますので、ぜひ、このお仕事を受けていただけると助かります。あ、それと、今回の任務には、サイバーウェーブ・エレクトロニクス社が開発したファルコンブレイズを貸し出すことができますので、ご希望の方はおっしゃってくださいね」
 そう言うと、水穂は|猟兵《希人》たちに深くお辞儀をするのだった。


高天原御雷
 注:今回の依頼は【悪機襲来・戦後】の共通題名で括られるシナリオソースのシリーズです。
 コイネガウ暦20X3年10月における防衛戦(9月分)の戦後処理を描く物語となります。
 なお、各MSによるシナリオはどれも内容が独立している為、重複参加に制限はありません。

 オープニングをご覧いただきどうもありがとうございます。
 本シナリオはPBWアライアンス『コイネガウ』のシナリオになります。ですが、『第六猟兵』の世界のキャラクターも「異界人」として認識されていますので、参加制限などはありません。
 突如として侵攻してきた謎のオブリビオンマシンたち。その侵攻が再びおこなわれる前兆が見られました。これ以上の被害を生まないためにも、すべての元凶、オブリビオン・ホールを破壊してください。

●シナリオについて
 一章構成(集団戦)のシナリオです。敵はクリスタル・ガーディアンたちです。
 システム上、フラグメントは日常になっていますが、集団戦とお考えください。
 クリスタル・ガーディアンについては断章で説明いたします。

●キャバリアの貸出について
 本シナリオでは、希望者はサイバーウェーブ・エレクトロニクス社が開発したクロムキャバリア『ファルコンブレイズ』に乗り込み戦うことができます。
 ユーベルコードは自身のものを使っても、キャバリアのものを使っても、どちらでも大丈夫です。
 ファルコンブレイズについては断章で説明いたします。

●プレイングボーナス
 クリスタル・ガーディアンは、オブリビオン・ホールの内部にあるクリスタル・コアからのエネルギー供給で強化されています。ですが、そのエネルギー供給はクリスタル・コアのエネルギーを吸収するNDMによって妨害することができます。
 プレイングボーナス:NDMを所持して戦うこと(今回の作戦の目的はNDMによるオブリビオン・ホールの破壊ですので、プレイングに明記しなくてもプレイングボーナス達成の扱いになります)

 それでは、よろしくお願いいたします。
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第1章 日常 『プレイング』

POW   :    肉体や気合で挑戦できる行動

SPD   :    速さや技量で挑戦できる行動

WIZ   :    魔力や賢さで挑戦できる行動

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●クリスタル・ガーディアン
 オブリビオン・ホール周辺をうろついているオブリビオンマシン。
 全身がクリスタルのような透明な材質でできており、内部には青いエネルギーラインが流れています。
 オブリビオン・ホールの中枢であるクリスタル・コアからのエネルギーを吸収してパワーアップする性質があるため、通常、オブリビオン・ホールの近くで戦う場合は苦戦を免れません。ただし、NDMを所持していれば、クリスタル・コアからのエネルギー供給を断つことができます。

 POW:クリスタル・シールド
 クリスタル・コアのエネルギーを利用して強固なシールドを展開し、敵の攻撃を防ぎます。

 SPD:エネルギー・ビーム
 体内のエネルギーを集めて、強力なビームを放ちます。

 WIZ:クリスタル・サモン
 周囲に無数のクリスタルを召喚して操り、敵を攻撃します。

●ファルコンブレイズ
 サイバーウェーブ・エレクトロニクス社社長のドミニク・サイバーが開発した、赤い装甲のスリムな形状のクロムキャバリア。鷹を思わせるフォルムの戦闘機形態に変形し、高速で飛行することが可能。

 POW:ストームブラストキャノン
 両腕に装備されたキャノンから強力な風と雷のエネルギー弾を発射します。遠距離から威力のある爆発による攻撃をおこないます。

 SPD:ファルコンウィング
 飛行形態に変形し、巨大な羽根状のウィングを展開することで高速飛行をおこないます。迅速かつ機敏な空中機動により、相手の攻撃を回避します。無防備になった敵に命中力の高い攻撃で反撃します。

 WIZ:ファルコンスカイバースト
 高空から急降下し、敵地に突撃する攻撃です。強力な衝撃波を発生させ、広範囲の敵を一掃します。


 希島自然地区。
 豊かな自然が維持されているその区画には、いま、大きな時空の歪みが発生していた。まるでブラックホールのような漆黒の球体状の歪み。――それこそがオブリビオン・ホールなのである。
 このオブリビオン・ホールを通って、異界から次なるオブリビオンマシン軍団が侵入しようとしてきているのだ。

 幸い、オブリビオン・ホールが安定して異界との門になるには、まだ時間が残されている。それまでに不安定なオブリビオン・ホールを破壊すれば、もう敵の侵略を心配する必要はなくなる。
 そのためのアイテム、ネオ・ディフューザー・モジュール――NDMを、すでに|猟兵《希人》たちは所持している。

 ――だが、発生しかけているオブリビオン・ホールの周辺には、クリスタル・コアからのエネルギーで強化されたオブリビオンマシン、クリスタル・ガーディアンの群れがうろついている。この敵を排除しない限り、オブリビオン・ホールにNDMを投げ込むことはできない。
 |猟兵《希人》たちに与えられたミッションは唯一つ。クリスタル・ガーディアンを撃破し、NDMでオブリビオン・ホールを破壊することだ。
シルヴィ・フォーアンサー
……色々言ってたけどNDMっていうのを持っていって敵を撃破して穴をどかーんと塞げば良いんだよね。
『端的に言えばそういう事だな』

シルエット・ミラージュで目標を増やさせつつEPミラージュユニット改で立体映像投射しで更に撹乱してジャミングで索敵妨害。
ダメ押しでヨルにハッキングでエネルギーチャージや索敵の邪魔をお願い。

そこからギガント・プレッシャーで巨大化したガトリング砲、ハイペリオンランチャー、ミサイル15体✕3回攻撃で敵を木っ端微塵にするよ。

敵がもういないならオブビリオン・ホールに近づいてNDMでエネルギー吸収させて投げ込むね。




 木々が生えた自然豊かな希島自然地区――。
 その一角に、明らかに周囲から浮いている雰囲気の空間があった。
 ブラックホールような漆黒の穴。その周囲を彷徨うように歩くクリスタルのボディをもったキャバリア――クリスタル・ガーディアンたち。
 異世界からの侵入者たちである。

「あそこだね、ヨル」
『ああ、事前の情報とも一致している』
 金髪のアンサーヒューマンの少女、シルヴィ・フォーアンサー(自由を求めた脱走者・f41427)の言葉に答えるのは、彼女が乗るキャバリア『ミドガルズ』のサポートAI|ヨルムンガンド《ヨル》だ。
 神経接続されたキャバリアのコックピットから漆黒の穴――オブリビオン・ホールを見つめたシルヴィは、機体に装着したデバイス、ネオ・ディフューザー・モジュール――NDMに意識を向けた。
「……色々言ってたけど、敵を撃破して、このNDMっていうのでどかーんと大穴を塞げばいいんだよね」
『端的に言えばそういうことだな』
 ヨルの言葉に、シルヴィは頷く。
 ――それならば話は簡単だ。いつものように敵を壊し、あの穴を壊せばいいだけ。他には何も考える必要はない。
「行くよ、ヨル――」
『ああ、作戦はパターンCでいいな』
「OK」
 ミドガルズが駆動音を極力殺しながら移動を開始する。――それが狩りの始まりの合図だった。

 クリスタル・ガーディアンが異常に気づいたのは、自分たちがオブリビオン・ホールの近くにいるにも関わらず、その中心――クリスタル・コアからのエネルギーが供給されていないことに気づいたからだった。
 本来であれば無限のエネルギーが供給されるはずの状況――だが、今はまるで別のなにかにエネルギーを横取りされているかのように、クリスタル・コアからのエネルギー供給が絶たれている。
 何が起こっているのかと混乱するクリスタル・ガーディアンたちの側面から――突如として激しい轟音とともに巨大なガトリングキャノンの銃弾が降り注いだ。絶え間ない暴力の嵐によって、一機のクリスタル・ガーディアンが粉砕され、スクラップとなる。
 ここに来てようやく敵襲と気づいたクリスタル・ガーディアンたちは、的にならないようにと大きく跳躍して散開する。

「そうそう、散開してくれると助かるんだよね」
『あとは各個撃破していくだけだな』
 姿を隠した狩人は、バラバラの方向へと散っていったクリスタル・ガーディアンたちを、ゆっくりと追いかけ始めた。

 逃走したクリスタル・ガーディアンの一体は、自然地区の森の中を徘徊していた。襲撃者に反撃しようと、体内のエネルギーを集めてビームを放つ準備をし――。
 ――木々の間に見えた機影に向かって、遠慮なくビームを撃ち込んだ。
 必殺のビームにより、機影の見えたあたり一帯が吹き飛び、蒸発してしまったのか敵機は跡形もなく――。
「跡形もなく蒸発したとでも思った? 残念、立体映像だよ」
 背後に突然現れた機体から聞こえる少女の声。――それが、クリスタル・ガーディアンの記録に残った最後の音声情報だった。
 キャバリア――ミドガルズのバックパックに直結した巨大荷電粒子砲ハイペリオンランチャーがクリスタル・ガーディアンをターゲットし、そのエネルギーを解放したのだ。荷電粒子の奔流にさらされたクリスタル・ガーディアンは、跡形もなく蒸発していく。
『ジャミングも効果があったようだ。この調子で倒していくぞ』
 ヨルの言葉に、シルヴィが頷くと、ミドガルズは再び森の中へと姿を消した。

 その後の戦いも一方的だった。
 立体映像とジャミングによる撹乱。さらにはハッキングによるエネルギーチャージや索敵の妨害を受けたクリスタル・ガーディアンたちは、見えない狩人に対抗する術を持たなかった。
 木々の間から撃ち込まれるガトリングガンや荷電粒子砲、そしてミサイルの雨――。
 それらによる攻撃を受けるたびにクリスタル・ガーディアンたちは残骸へと姿を変えていく。
 もしも、クリスタル・コアからのエネルギー供給があれば、無敵の盾で攻撃を防ぐことができたかもしれない。――だが、理由は不明だが、クリスタル・コアは、クリスタル・ガーディアンたちに力を貸してくれなかった。

「これで――ラスト」
 シルヴィが荷電粒子砲の引き金を引き、それがクリスタル・ガーディアンを射抜く。
『命中を確認。周囲の敵性反応――なし』
「よし、他の敵が寄ってくる前に――」
 ミドガルズに搭載したNDMを確認する。その青く輝くクリスタルが放つ眩い光によって、デバイスには十分なエネルギーが蓄積されたことがわかる。
「……これで壊れちゃえ」
 シルヴィは、NDMをオブリビオン・ホールに投げ込むと、機体を翻して帰投するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

コニー・バクスター
「防衛戦の戦後処理もコニーにお任せだよ☆」
 BRRに乗って戦場に現れるコニー。
 NDMを持ってBRRで戦うよ。

「舞い踊れ! コニーの黒き兎!」
 武器はRSパルスマシンガン(Code:BRR)を装備。
 UCは電光石火で敵機を相手に暴れ回るよ。
 EPミラージュユニット(Code:BRR)の幻影を纏って。
 EPレーダーユニット(Code:BRR)で精度を上げて。

「さて、一通り、やっつけたかな?
 とどめのNDMでオブリビオン・ホールなんて封じてやる!」
 今回は敵の数が多いから、ある程度の敵を倒したらコニーは撤退するよ。
 撤退際にNDMを敵の侵入経路の穴へ向けて放り投げておくよ。
 
 アドリブ・連携歓迎。




 自然地区に響き渡る爆音――。
 激しい振動とともに木々が揺れ、木立の中から小動物が飛び出してきた。

「どうやら、誰かがNDMをオブリビオン・ホールに投げ込んだみたいだね♪」
『こちら、作戦本部のドミニクだ。1つ目のNDMの投入は成功した。だが、オブリビオン・ホールの完全破壊までは、最低でもあと3つのNDMが必要だ』
 通信機から聞こえてくるのは、希島の司令塔に設置された作戦本部にいるドミニク・サイバーからの通信だ。NDMといえども、ひとつだけでオブリビオン・ホールを破壊できるほどミッションは簡単ではないらしい。
「了解、なら、二番手はコニーにお任せだよ☆」
 コニーは、黒兎型の量産型キャバリア|BRR《ブラック・ラピッド・ラビット》を駆り、オブリビオン・ホールに向かうのだった。

「この先に、オブリビオン・ホールがあるんだね」
『ああ、レーダーによると周囲に無数のクリスタル・ガーディアンの反応がある。油断するなよ』
「大丈夫だよ、舞い踊れ! コニーの黒き兎!」
 コニーはBRRに装備されたEPミラージュユニットによる幻影を機体にまとわせ、青いクリスタルのボディを持つオブリビオンマシンの群れへと電光石火の勢いで突撃していく。
 クリスタル・ガーディアンたちは、全身をバリアで覆って攻撃に対処しようとするが――。
『奴らの妨害は任せておけ。ネオ・ディフューザー・モジュール、起動!』
 ドミニクの声とともにBRRに搭載されたNDMが起動し、クリスタル・ガーディアンたちのバリアのエネルギー源であるクリスタル・コアのエネルギーを吸収していく。
「バリアさえなくなれば――! EPレーダーユニット、オン!」
 索敵用レーダーにより、命中精度を上げたBRRのパルスマシンガンが火を吹き、高速で射出された電磁徹甲弾がクリスタル・ガーディアンの装甲をまるでガラスのように打ち砕いていく。
「まだまだ、連続でいくよー☆」
 まさに飛び跳ねるウサギのごとく、BRRは森林の中を飛び回り、一体、また一体とクリスタル・ガーディアンを一撃離脱攻撃によって次々と撃破していった。

『ひとまず、オブリビオン・ホール周辺の敵は撃破だ。他のクリスタル・ガーディアンが来る前に急げ』
「いくよ、NDM!」
 コニーはNDMをオブリビオン・ホールへと投げ入れると、増援が現れる前に撤退するのだった。

『――やはり、腕は一流だな。我が社の専属パイロットとして雇いたいところだ』

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【ネルトリンゲン】

『ドミニク……生きてましたか(ちっ』
『希』ちゃん、お口悪いよ。
『おねーちゃん、セクハラおやじに人権とかないから』

ま、まぁそこは今回ちょっと抑えて?
そだ、依頼から帰ったらいっしょに|おでかけ《ハッキング》しにいこう!

と、なんとか『希』ちゃんをなだめつつ。

NDM……これもまた面白そうなアイテムだね。
まずはこの子を分析して、大量に作っちゃうことにしよう!

『希』ちゃん、分析よろしく!
『なんでいつもめんどくさいほうからわたしなの……?』

文句言いながらもやってくれる『希』ちゃんってば、ツンデレ!

『希』ちゃんの分析が終わったら、わたしが偽装錬金でNDMを完コピ。
その上で、弾頭に仕込めるように加工しよう。

完成したら錫華さんにそれを渡して、いざ出撃ー♪

【フィリング・ウェーブ】を使って、弾頭へのエネルギー供給を加速させつつ、
ネルトリンゲンの火力でガーディアンの防御陣に道を作って、錫華さんを援護するよ!

『おねーちゃん、次にセクハラきたらやっちゃっていいよね?』
『希』ちゃんの顔が怖い!?


支倉・錫華
【ネルトリンゲン】

今回借りられるのはファルコンブレイズ、だっけ?
飛行系のキャバリアみたいだし、理緒さんがNDM準備してくれてる間に、
機動シミュレーションくらいしておこうか。

アミシア、機体の解析とチューンのシミュレーションも出してくれるかな。
『以前の模擬戦での結果をみる感じでは、やはり速度重視がいいとは思います』

おっけー。
なら、チューンは速度5倍の攻撃回数半分、かな。
今回はNDMの投擲が目的だし、ホールへの攻撃チャンスは多くないだろうしね。

理緒さんの弾頭が完成したら、それを受け取って出撃だね。

……ねぇ、アミシア。変形レバーにある『ガ●ォーク』ってなに?
『理緒さんと相談して装備したファルコンブレイズの新形態です』

いや魔改造が過ぎない!?

しかも使い勝手はいいのが困るね。
ネルトリンゲンの火力でできたホールまでの道を、
ロボ、ガ●ォーク、ファイターの三形態を駆使して立体機動。

ガーディアンの中をすり抜けるようにして、ホールに近づいたら、
エネルギー充填完了したNDMをホールに向かって爆撃するよ。




 全身がクリスタルのような素材で構成されているオブリビオンマシン――クリスタル・ガーディアンがうろつく希島自然地区の上空を、一台の巨大な空母が飛行していた。ミネルヴァ級戦闘空母ネルトリンゲン。菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)が所有する、万能型戦闘空母だ。
 艦長である理緒は、ネルトリンゲンの艦長席からサポートAIの|希《まれ》に指示を出す。
「希ちゃん、周辺状況の報告をお願い」
 ――。
 だが、しばらく待っても、ネルトリンゲンの制御を担当している希からの返答がない。
「希ちゃん?」
『ちょーっと待って、おねーちゃん。今、サイバーウェーブ・エレクトロニクスのメインコンピューターにバックドア仕掛けたとこだから』
「バックドア!?」
 サイバーウェーブ・エレクトロニクス社は、今回の任務の依頼者である自称天才科学者ドミニク・サイバーが起業したベンチャー企業だ。独自技術でキャバリアの開発もおこなっている企業だけに、サイバー攻撃への備えも万全なはずである。
 だが、希はその防壁を易々と突破したというのだ。
『この前の|大会《バトルアリーナ》で私のことを欲しいとか言ったあの変態――セレステの主砲で殺せなかったのは残念でした。かくなる上は、会社のサーバーに捏造した悪事の証拠をアップロードして社会的に抹殺してあげます』
「希ちゃん、ちょっと落ちつこ? ――って、何をアップロードしようとしてるのかなっ!?」
 理緒は、希がアップロードしようとしている画像を見て顔色を変えた。なぜならネルトリンゲンのメインモニタに映し出された画像データは――。
『おねーちゃんの着替え中の写真だけど? あんなセクハラおやじ、盗撮犯として捕まっちゃえばいいんです』
「わー、ちょっと待ってー! それだと、わたしも社会的に抹殺されちゃう、よー」
『悪を倒すに多少の犠牲は付き物です。正義のためです、諦めてください、おねーちゃん』
 普段は冷静沈着でツッコミ役の希がここまで暴走するのも珍しい。
 ――だが、当事者の理緒としてはそれどころではない。このままでは理緒も社会的に抹殺されてしまう。なんとか希の怒りを沈めなければと頭脳をフル回転させる。
「そ、そだ、希ちゃん! 依頼から帰ったらいっしょに|おでかけ《ハッキング》しにいこう!」
『おねーちゃんと|おでかけ《ハッキング》――ですか?』
「そ。ドミニクさんの会社のサーバーに遊びにいって、開発中の新兵器とかキャバリアのデータを見学させてもらったりしよう、よー」
 理緒の提案に、しばらく考え込んだ希が口を開く。
『そうですね、見学させてもらった後、修復不能なようにデータを消去していいなら考えましょう』
「え、あ、う、うん、そだねー」
『ついでに、サーバー内で|セクハラおやじ《ドミニク》の日記とかみつけたら、全世界公開で』
 残酷な罰を提案してくる希に――しかし、理緒は首を縦に振るしかなかったのだった。


「アミシア、機体の解析とチューンありがと。ついでにシミュレーションもお願いできるかな」
『了解です、錫華』
 ネルトリンゲンの格納庫のハンガーに固定されたキャバリアのコックピットで会話をするのは、支倉・錫華(Gambenero・f29951)とそのパートナーユニットのアミシアだ。
 今回の作戦では、理緒が後方支援を担当し、錫華がキャバリアで突入する手はずになっている。
 その錫華が乗っているのは、普段の量産型キャバリアではなく、ドミニクが開発したファルコンブレイズという機体だった。
 錫華が操縦桿を握ると同時にモニタに空が映し出された。アミシアによって投影されたシミュレーション空間内の外部映像である。
「初めての機体――それも可変型となると、扱いに慣れておかないとね」
『錫華なら、どんな機体でも初見で乗りこなすでしょう。単純に新機体を早く操縦してみたいだけじゃないですか』
「あれ、ばれた?」
 軽口を叩き合い、互いに笑う錫華とアミシア。その姿はネルトリンゲンの艦長とそのサポートAIの姿とは対照的だった。
「それにしても、飛行形態への変形とか、斬新なコンセプトだね」
『ええ、開発者は相当の変人なのでしょう。この変形機構のために、通常のキャバリアとは比較にならないほどの紙装甲です――その代わり、機動力にかけては他の追随を許さない性能ですが』
「いいね、速度重視はわたしの好みだね」
 錫華が機体のブースター出力を上げると、シミュレーション空間内を戦闘機形態で飛行していたファルコンブレイズがさらに加速し――コックピットの錫華に強烈な仮想のGがかかる。
「ちょっ、この機体、どこまで速度でるの……!?」
『錫華は速度重視が好みかと思いましたので、基本性能の5倍ほどの出力までチューニングしておきました』
 ファルコンブレイズは、もともと高速戦闘機並の機動力をもつ機体だ。それだけでもパイロットには激しい加速度がかかる。アミシアは、それを5倍にまでチューニングしたと言ったのだ。もちろん、その最高速度での機動に生身の人間が耐えられるわけはない。――普通の人間であれば。
 だが、錫華は数々の戦場で様々な機体を乗りこなしてきた歴戦の猛者だ。仮想の重圧を受けても涼しい顔でアミシアに注文を出す。
「んー、もうちょっとスピード出せてもいいかな?」
『すみません、錫華。これ以上は機体のフレームの方がもちません』
「そっか、残念。戦闘機への変形以外にも、もう一捻り欲しかったんだけどな」
 何気なく呟いた錫華の一言。だが、そこにアミシアが即答する。
『錫華ならそう言うと思いまして、機体に新機能を追加しておきました。そこの変形レバーを途中までスライドさせてみてください』
「え、これ?」
 錫華は、ファルコンブレイズを戦闘機モードからキャバリアモードに変形させるレバーを半分だけ動かし、戦闘機モードとキャバリアモードの中間で止める。
 すると、ファルコンブレイズは戦闘機モードからキャバリアモードへと変形を始めた。オーバーフレームが戦闘機形態のまま、アンダーフレームがキャバリアの足の形に変形し機体下部に展開。さらにオーバーフレームからキャバリアの腕が展開され――そこで変形が止まる。
 ファルコンブレイズは上半身が腕付き戦闘機、下半身が二足歩行キャバリアという中途半端な形状で飛行を続ける。
「アミシア、なんか変な形に変形したんだけど!?」
『戦闘機とキャバリアとの中間形態です。このモードでしたら、戦闘機としての機動力とキャバリアの戦闘力の両方を活用できます。そうですね、歩行可能な形態ですから、この形態をウォーク形態と呼称しましょう』
「え、なんかオブリビオンの名前っぽくてやなんだけど……」
『訴えられたくなかったら、この名前で我慢してください』
 謎の説得力を持つアミシアの言葉に――錫華は首を縦に振るしかなかったのだった。


『おねーちゃん、|セクハラおやじ《ドミニク》が作った|NDM《ネオ・ディフューザー・モジュール》、触りたくもなかったけど、しょうがなく分析したよ』
「ありがとー、希ちゃん。それじゃあ、これを偽装錬金でミサイル弾頭に搭載してっと。錫華さん、おねがいする、よー」
 ネルトリンゲンの格納庫に、理緒によって量産されたNDM弾頭ミサイルが山積みになる。
「了解だよ、理緒さん。アミシア、ファルコンブレイズにありったけ搭載して」
『積み込み完了です、錫華』
 オブリビオン・ホールへの切り札となる武装を搭載したファルコンブレイズが、ネルトリンゲンの発射カタパルト上へと移動していき――。
「支倉錫華およびアミシア・プロフェット、ファルコンブレイズ、出るよ!」
 後部ブースターを全開にした戦闘機モードのファルコンブレイズは、常人では耐えられないほどの加速度でネルトリンゲンから飛び立ち、蒼空に飛行機雲を生み出しながら飛翔していった。

「錫華さん、そのあたりがオブリビオン・ホールがある場所だ、よー。護衛のクリスタル・ガーディアンの反応があるから気をつけて」
「了解。アミシア、周辺の探査よろしく」
 錫華はファルコンブレイズを変形させ、下半身だけキャバリアであるウォーク形態にすると自然地区の森の中に着地した。両手に持ったキャノン砲を周囲に向けて敵からの攻撃を警戒する。ここはすでに敵の領域だ。どこから攻撃が来てもおかしくない。
『錫華、囲まれています』
「やれやれ、そう簡単には通してくれないか……」
 アミシアによってコックピットのモニタに表示された大量の赤い光点。クリスタル・ガーディアンを表すその光点はファルコンブレイズをぐるりと取り囲んでいた。
 錫華は手近な敵反応に向かって右腕のストームブラストキャノンを放つ。――だが。
『クリスタル・ガーディアンにキャノンの命中を確認。――ですが、無傷です!』
「あの透明なバリアで防がれたみたいだね。これは厄介かも」
 錫華の攻撃を防いだのは、クリスタル・シールド。オブリビオン・ホールのエネルギーで展開している強力なシールドだ。
「錫華さん、ここはオブリビオン・ホールを一気に叩く、よー」
「了解」
 理緒からの通信と同時に、ネルトリンゲンの全砲門からの援護射撃が炸裂する。それは錫華の前方、オブリビオン・ホールへと向かう方向のクリスタル・ガーディアンたちに命中し――クリスタル・シールドによって阻まれた。
「残念でしたー。シールドを展開してもらうのが目的だ、よー」
「動きの止まった今なら――!」
 ウォーク形態のファルコンブレイズが森の中を高速で飛翔する。通常、森の中を戦闘機が飛行するなど自殺行為だ。だが、ウォーク形態のファルコンブレイズは、目の前に迫った大木を脚部で蹴って、その反動で方向転換して障害物を回避した。
 クリスタル・ガーディアンたちが、ファルコンブレイズを撃墜しようと強力なビームを放ってくるが――森の中を変幻自在に高速飛行する戦闘機に当たるわけもない。
「邪魔っ!」
 正面に立ちふさがるクリスタル・ガーディアンを脚部で蹴り飛ばして方向転換したファルコンブレイズ。その眼前に現れたのは、黒く光る球形の領域――オブリビオンマシンが沸き出す異界の門たるオブリビオン・ホールだ。
「錫華さん、今だ、よー」
「ファルコンブレイズ、キャバリアモードに変形!」
 錫華が変形レバーを完全に切り替えた。ウォーク形態だったファルコンブレイズは、上半身のオーバーフレームを人型に変形させ――完全なキャバリアの姿となる。
 頭部カメラアイをオブリビオン・ホールに向けたファルコンブレイズは、その肩に装備した多弾頭NDMミサイルポッドの照準を合わせると――。
「いくよ、NDMミサイル、全弾発射!」
 ファルコンブレイズのミサイルポッドから発射されたミサイルが一直線にオブリビオン・ホールへと向かって飛翔する。
 クリスタル・ガーディアンたちがミサイルを迎撃しようとビームを放つが――。
「希ちゃん、ネルトリンゲンからマイクロウェーブ照射! NDMミサイルを加速させる、よー」
 ネルトリンゲンから照射されたエネルギーがミサイルを加速させた。
 想定外の加速によって、クリスタル・ガーディアンたちのビームは標的に当たらず空を切り、無数のNDMミサイルがオブリビオン・ホールへと直撃した。
「NDMミサイルの着弾を確認、オブリビオン・ホールが崩壊を開始した、よー。巻き込まれないように離脱して」
「ファルコンブレイズ、戦闘機モードに変形。全速力で離脱するよ!」
 錫華はファルコンブレイズを戦闘機形態に変形させると、崩壊するオブリビオン・ホールの引力に負けないほどの推進力で機体を上空へと飛翔させた。

「こうして、蒼い空を飛ぶのも悪くないね」
 呟く錫華の元に、作戦本部からの通信が届く。
『こちら、ドミニク・セイバー。オブリビオン・ホールの消滅を確認した。ミッションは成功だ。なるほど、ファルコンブレイズをそのように改造するとは予想外だな。それはお前のアイディアか?』
「ん? ウォーク形態のこと? アミシアの案だけど?」
『なん……だと……!? まさかそのような創造性のある思考ができるAIが希たんの他にもいたとは! アミシアと言ったか、私のものにならないかね?』

『おねーちゃん、あの|セクハラおやじ《ドミニク》、わたしだけでなくアミシアさんにも手を出そうとしてるよ!? 二股かけるような男にはお仕置きしちゃっていいよね!?』
「あー、う、うん、お手柔らかに、ねー」
 希の剣幕に首を縦に振るしかない理緒だった。


 こうして、異界から侵攻してきたオブリビオンマシンたちの発生源であるオブリビオン・ホールは破壊された。
 |猟兵《希人》たちの活躍により、希島に再び平和が戻ったのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年01月14日


挿絵イラスト