Plamotion Half Actor
●君が思い描き、君が作って、君が戦う
知識というものは知ればいいというものではないことは最早言うまでもないだろう。
得た知識を如何にして扱うか。
そこに素養という下地があってこそ振るわれる真価であり、その結果が如何なるものへと実を結ぶのかを知るには、やはり推察するだけでは足りないのだ。
即ち、実践である。
何が言いたいのかというと。
「それで、これは? どうするの?」
ノーメン・ネスキオー(放浪薬師・f41453)はアスリートアースのとある商店街の一角に看板を掲げる模型店の制作スペースにて少年にあれこれ教わっていた。
彼女は放浪の薬師である。
少年から教わるようなことは何もないように思えたが、実際にはそうではなかった。
眼の前に広がるプラスチック製のパーツの数々。
それらはバラバラで、未だ形をなしていないが、組み上げられることで一つの形を為すことを示唆するものであった。
「パーツのヤスリがけは終わったようだな! うむ! 非常に綺麗な仕上がりだ! 素晴らしいな!」
「そう? 初めてやったんだけど、これはあれだね。薬剤を混ぜ合わせるよりは指先の感覚が大切だってわかるよ」
少年――『ドライ』と名乗った彼の指導を受けてノーメンは今、プラスチックホビーを組み上げていた。
何故、こういうことになったのかというと、彼女は本来、このアスリートアースにて『アンチ・ドーピング』……つまり、薬剤が人の体に如何なる作用を齎し、またそれが競技という公平性に如何なる影響を及ぼすのかを学ぶためにやってきていた。
猟兵になった今、世界の移動はわりかしイージーだった。
故に多くを学びたいと願う彼女は、UDCアースよりも、こと、スポーツという分野においては一歩も二歩も先に言っているアスリートアースに訪れていたのだ。
だが、アンチ・ドーピングなどに対して学ぶのならば図書館にでも行けば良い。
けれど、彼女は出会ってしまった。
商店街の巨大スクリーンに映し出される、無数のプラスチックホビーが火線交えるホビー・スポーツ『プラモーション・アクト』、通称『プラクト』に。
すっかり気になって居たところに、少年『ドライ』が興味があるなら、と『五月雨模型店』に誘ってくれたという次第だ。
「本当にこれが動くのかい? どう見てもそんなふうには見えないんだけれど」
「ふっふっふ! 心配することなかれ、だ! このユーベルコード発生装置を組み込めば……」
ノーメンの作り上げた、彼女を模したような美少女プラモデルの腹部に組み込まれる装置。それこそが『プラクト』の要。
「そして、これをフィールドに投入!」
「ふむふむ?」
「さ、ノーメンのおねーさん、こっちだ。パーティションに入って、操縦タイプは『モーションタイプ』でいいか」
そう言って促されるままにパーティションにノーメンは入ると己の体を読み取る装置が働く。これによって、フィールドに配された自作のプラスチックホビーが彼女の体と連動して動くのだ。
「おおっ! 私の動きを玩具の私が再現してるっ!」
「ノーメンのおねーさんの動きは、そのままホビーの動きに直結しているのだ! さあ、思う存分動くと良い!」
その言葉にノーメンはフィールドの中を駆け抜ける。
自分の体でもって動かすホビーはフィールドという限られた中であるが、自在に動き回り、彼女の動きをダイレクトに反映していく。
「これは面白いね!」
「でも、対戦はもっと楽しいぞ!」
『ドライ』の言葉と共に彼の投入した人型ロボットのホビーが迫る。
そう、動かすだけじゃない。
想像し、作り、戦う。
それが!
「『レッツ・アクト』だね――!」
成功
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