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黄金の星、結ばれて夜と踊る

#ブルーアルカディア #戦後

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#戦後


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 青藍の空が黄金を灯して煌めく。
 しかしその彩は、月ではなかった。
 星月夜に煌めくは星々――に似た小さな石だった。流星群にも似て、大地へと降り注ぐ。
 夜に灯る星の石は、やがて人々の手により結ばれ、時に道を照らし、時に人々を輝かせた。
 次の月のない夜も、きっとまた星が降る。


「こほん」
 セラピア・ヒューレー(枯れた森の最期・f38058)がひとつ咳払いする。未だに人間の話し言葉に慣れないらしい。
 時折つかえながらも、ぽつぽつと語り始める。
「星降る島『アステラント』、という島が、あります」
 なんでも。
 その島には新月の夜、星が降ると言い伝えられている。
 しかし、実際に降り注ぐのは星に似た宝石だ。上空遥か高く虚空から降り注ぐ、その原理は解明されていないが。
 ともあれ、降り注ぐそれは色、質感――即ち成分はオレンジムーンストーンに酷似している。大きさは真珠大ほどだ。しかし一番の特徴は、夜になると淡く優しい光を放つこと。
 島の人々は嘗てそれらをランプに入れて、夜の灯りにしていたらしいが。最近になって、指輪やブレスレットにアンクレット、ペンダントにネックレスなど、装飾品としても売り出し始めたと言う。
「それを、近くの浮遊大陸へ、売り出す、ということに」
 この美しさを多くの人に広めたい。
 純朴な気質の多い島の人々は、その一心なのだが。
 如何せん、都会での商売は初めてだ。如何に美しいと言えど知名度はなく、また都会の人々が言うことならと安く買い叩かれてしまう可能性もあるだろう。残念ながら、善き人々ばかりではないのが世間というものだ。
「だから、お手伝い、お願い、したいと」
 皆に頼みたいのは、星の石――アストロールの採取。それから、大陸への同行。
 依頼としてはここまでで終わり、なのだが。
「お礼がしたいって、言うので」
 アステラントに帰ってから。
 夜、薄らと煌めく月の下、星の輝きの照らす中で一夜を過ごそうと。
 これも島の伝統である、星空の下でのダンスパーティー。音楽も踊りも、形式張らずに楽しくやる、それが島流。
 小腹が空いたらハニーワインとハニーマスタードチキンのホットサンドを軽く摘みながら。
「あ、未成年は、蜂蜜ミルクか、ハニーレモン」
 大事なことです。
 ともあれ、折角のお誘いだ。楽しんでいくのもいいだろう。
「踊るのは、一人でも、二人でも、グループでも。ワタシもいます、し。知り合いも、呼べますし」
 複数人で踊りたいが、相手がいないという場合はセラピアなどが相手を努めてくれるということだろうか。勿論、無理に呼ぶ必要はないとも付け足したものの。
「お手伝い、と。ダンスパーティー。行きません、か」


絵琥れあ
 お世話になっております、絵琥れあです。
 秋祭りシナリオは別で出す予定ですが、前夜祭的にゆるりと。

 流れと詳細は以下の通りになります。

 第1章:日常『星空の海』
 第2章:日常『星空でダンス』

 第1章は採取パートになります。
 落ちている石を拾うもよし、落ちてくる石のキャッチに挑戦してもよし。
 このパートに参加して、多めに採取しておけば、ひとつアクセサリーを作って持ち帰ってもいいとのこと。
 また、その際にはひとつだけ、自分の好きな色の石を見つけられるかも?(オレンジ以外は希少だそうですが、お礼として持ち帰りを認めてくれます)

 第2章はダンスパートとなります。
 オープニング中に飲み物や軽食も提示しておりますが、あくまでメインはダンス。
 楽しんで踊りましょう。曲調などは指定あれば合わせてくれるようです。
 また、希望があればアストロールのアクセサリーで着飾ってくれるようです。但しこちらはあくまで貸出。
 何かしら持ち帰りたい場合は第1章へのご参加をお願いいたします。

 ※商売パートの描写はありません。予めご承知起きください。
 世間慣れした皆様がいらっしゃれば恙無く終わります。

 各章グループ参加は【3名様まで】とさせていただきます。
 また今回、第3章のみ拙宅グリモア猟兵もお声がけいただければご一緒させていただきます(こちらは人数制限に含みません)。
 呼び出しのないところに勝手に乱入することはございませんのでご安心ください。
 また、集まり次第ではサポートで完結させていただく可能性がありますことをご了承ください。

 第1章は断章なし、公開直後から受付開始。
 第2章は開始前に断章を執筆予定、断章公開後、プレイング受付開始日をタグにて告知させていただく形となります。
 変則的ですが、ご縁がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 日常 『星空の海』

POW   :    流れ星を探す

SPD   :    流れ星を探す

WIZ   :    流れ星を探す

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夜鳥・藍
空から鉱石が……いえ、隕石の例があるのでまったくないとは言えませんが。
いえ今は私が持つ常識など些細で無粋。
綺麗な石というのならただ好奇心の赴くままぜひコレクションに。

白銀にもお手伝いしていただきましょう。
できれば皆(竜王さんに白虎さん)も呼びたいところですが、そこまでの力を私はまだ持たないので今日は白銀と。
大きい石ではないようですから小さめの籠を二つ、私と白銀それぞれが持って。
白銀は落ちてる石は鼻先で器用に空中に放り投げるとさらにうまく籠にギャッチ。落ちてくるものがあればその翼を生かして飛びやはりうまく集めてますね。……私、あまり役に立ってないのでは……?
いけません、私もお仕事をこなさければ。




 夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)が夜空を見上げれば。
 きらり、ぱちりと星が瞬く度に、落涙するかの如くに煌めきの降る。
(「空から鉱石が……いえ、隕石の例があるのでまったくないとは言えませんが。それにしても……」)
 藍は感嘆の溜息を吐きながらも、この不思議な現象に対し思いを馳せるが。
 やがてゆるりと、頭を振って。
(「いえ今は私が持つ常識など些細で無粋。今はこの美しい光景を楽しみ、石の採集も」)
 島の人々を手伝いたいという気持ちは勿論、アストロールはこの島でしか採取出来ない、希少性の高く美しい石だと言うから。是非とも、コレクションに加えたいという好奇心に駆られてもいて。
「白銀も。よろしくお願いしますね」
 名を呼び、その存在を喚べば、すらりとした体躯と美しい毛並みの翼持つ銀狼が現れる。特にその名が現す通りの白銀は、星明かりを受けて毛先まできらきらと輝いている。どうやら調子はいい様子。
(「出来れば他の皆も呼びたいところですが」)
 藍は他にも、竜王や白虎を招来するだけの力を持ち合わせている。しかし、その全てを同時招来するとなると、未だ力が足りていないのも事実。
 今日のところは、白銀と一緒にお手伝いだ。大きい石ではないようなので、それぞれに小さな籠を、藍は手に持ち、白銀は背中に乗せる。
 きらり、光る黄金にも似たオレンジ色を頼りに、採取を進めていく。その最中、白銀は上手くやっているだろうかと、ちらり藍は視線を向けるも。
 落ちている石を鼻先で器用に空中に放り投げ、更に上手く籠にキャッチ。落ちてくるものがあればその翼を生かして飛び、こともなげに受け止めている。
 もしかすると、藍自身より手際がいいかも知れない……?
(「……私、あまり役に立ってないのでは……?」)
 石が光を放っているお陰で、藍も見落としはない筈だ。だが、見つけてから石に辿り着くまで、そして採取そのもののスピードが、どうしたって白銀に軍配が上がってしまっている、気がする。
(「いけません、私もお仕事をこなさければ」)
 張り合うわけではないが、採取の手伝いをと決めたのは自分なのだから、頑張らねばと。
 藍も気を取り直して、一生懸命採取に励むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミルナ・シャイン
宝石が降ってくるなんて素敵…!しかも夜に光る宝石だなんて。他所では相当希少ですわよ。
純朴さに付け込まれて買い叩かれないようにしっかりサポートしてあげなくては!
実家は宝石商、交渉もおまかせあれ!と気合いを入れつつまずは宝石採取。
空から降ってくるくらいですからそれなりに強度はありそうですけれど、売り物にするなら傷や土などあまりつけたくないですわね。
柔らかいシルク製の大判サイズのハンカチを広げ、空から降ってくる宝石を頑張ってたくさん受け止めますわ。
地面に落ちたものも優しく拭き上げて。

この優しいオレンジ色、大親友のあの子の瞳みたい…♪
あら青い石もありますのね、ブレスレットにして持ち帰っても良いかしら?




 きらきらと輝く星空に、そこから降り注ぐ黄金にも似た宝石に、ミルナ・シャイン(トロピカルラグーン・f34969)の碧海の瞳も負けじと輝きを浮かべていた。
「宝石が降ってくるなんて、素敵……!」
 年頃の娘らしく、美しい宝石には憧れる乙女心。思わず口にして溜息を吐けば、誘われたかのようにひとつ、目の前に降る。差し出した掌でそれを受け止めて。またひとつうっとりと溜息。
(「しかも夜に光る宝石だなんて。他所では相当希少ですわよ」)
 ブルーアルカディア、そして三十六の世界広しと言えど、そう滅多に聞く話ではない。
 その希少性には価値がつく、とミルナは考えている。金額がどう、という話ではなく、価値に見合った評価を受けて然るべきだという考えだ。
(「これは純朴さに付け込まれて買い叩かれないように、しっかりサポートしてあげなくては!」)
 心の中でぐっと拳を握り、気合を入れる。
 何せ実家は宝石商、交渉もおまかせあれ! と意気込みは十分。
 けれどその前にまずは、と宝石採取に取り掛かる。
(「空から降ってくるくらいですからそれなりに強度はありそうですけれど、売り物にするなら傷や土などあまりつけたくないですわね」)
 先程は咄嗟に掌で受け止めたが、より衝撃を和らげる為にはと考えて。
 白魚の如き掌の上に、更に広げたのは柔らかいシルク製の大判サイズのハンカチ。
 頭上に光る煌めきを頼りに、空から降ってくる宝石を一生懸命、そして優しく受け止める。距離が離れて地面に落ちたものも、優しく拾い上げて拭き上げれば、より一層輝きが澄んだ気がして、満たされた気持ちになる。
 優しく、温かい光がより強く、そう思わせるのだろう。その彩に、ミルナは小さな歌姫の姿を想起した。
(「この優しいオレンジ色、大親友のあの子の瞳みたい……♪ ……あら?」)
 思い出すだけで笑顔になれる、大切な存在。けれど不意に、視界の端に違う色の輝きを見つけたような気がして、ミルナの視線はそちらに奪われた。
 落ちる前に何とか受け止めれば、そう、まさに碧海の色を宿したかの如き碧のアストロール。
「まあ……青い石もありますのね」
 オレンジ以外のアストロールはより希少だそうだが、持ち帰ってもいいとも聞いているので。
(「ブレスレットにして持ち帰っても良いかしら?」)
 きっと素敵な彩と輝きを放ってくれることだろう。楽しみがひとつ、増えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

スィーニュ・ノクトスピカ
アステラント……初めて訪れるが美しい島だ
満天の星空はぼくにとってはなにより心地よい
思い切り深呼吸すれば気分も良くなる

おや、レオ
綺麗な石をみつけたのかい?
それはいい
星の遺言を暴くように
星のカケラを掬うように星の石を拾って集めよう

オレンジの星は常なるものなのか
柔らかに輝る蠍の心臓のようだ

如何なる宙を旅してきたのか想像が広がる
相棒たる獅子の子と戯れながら石を集めていく
空から落ちてきた星を捕まえてみようか
はは!レオ!頭にコツンとぶつかってばかりだね
ぼくはこの通り
しっかりこの手で掴んでいる

流れ星を捕まえて、
おや
珍しい夜空色の宝石だ
これを使ってぼくの箒飾りを作ってもらおうかな

ほら、彗星のようで美しいだろ?




 その浮島に、足を下ろし。
 仰げば広がる、澄んで冴えた星月夜。
(「アステラント……初めて訪れるが美しい島だ」)
 秋めく涼やかな風に、夜の特有のえも言われぬ匂いは草原の爽やかな香りと混ざり合い、初秋の夜の心地よさを演出する。
 夜と星空に親しい存在であるスィーニュ・ノクトスピカ(ラシェリールの告解・f41460)にとっては、この島の環境は好ましいものであった。
(「満天の星空はぼくにとってはなにより心地よい」)
 島の集落部の夜の灯りも最低限。だが、こうして採取の為に島の外れに来てみれば、光も建物も、遮るものの何一つない夜天の光景。目を瞑り、思い切り深呼吸すれば気分も良くなろうというもの。
「おや、レオ。綺麗な石をみつけたのかい?」
 白獅子――レオが足元に擦り寄るのを感じて、声を掛ければ。きゃう、とはしゃいだように鳴いた。
「それはいい」
 スィーニュもまた微笑めば、集めに行こう! と言わんばかりに歩き出した、相棒の飾る夜天の星花を追って。
 星の遺言を暴くように、星のカケラを掬うように。
 黄金にも似た煌めきを、ひとつひとつ丁寧に、拾い集める。
(「オレンジの星は常なるものなのか。宛ら――」)
 柔らかに輝る蠍の心臓のようだ、と。
 温かく彩る彼の星に想いを馳せて。
(「ああ、この星々は」)
 広がる想像は、如何なる宙を旅してきたのか。その軌跡の物語。
 どうしたの? と言いたげに首を傾げる獅子の子に再び微笑んで、戯れながら輝きをまたひとつ、手に取って。
「そうだ。空から落ちてきた星を捕まえてみようか」
 遊びの提案に、相棒は楽しげに跳ねる。
 そうして、受け止めようと試みる未だ小さなその身体だけれど。
「はは! レオ! 頭にコツンとぶつかってばかりだね」
 跳ねるはいいが、その度に星はその頭上に降って転がり落ちる。
 ぼくはこの通り、とスィーニュは手本を見せるように。
 しっかりと、その掌の内に収めてみれば。
「おや」
 思わず、声を上げる。
 掌の上の輝きは、蠍星の彩をしていなかった。
「珍しい、夜空色の宝石だ」
 青藍の光は、星そのものでなく。
 星に照らされた夜の彩。
「これを使ってぼくの箒飾りを作ってもらおうかな」
 思いついたようにそう告げれば、仔獅子が首を傾げるので。
「ほら、彗星のようで美しいだろ?」
 夜と同じ彩を宿しながら、夜を煌めき照らす光。
 その美しさを思い描いて、スィーニュの表情も綻んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神野・志乃
流れ星を拾って|依頼《願い》を叶えるお仕事……なんて、洒落が効いてるわね

さて、捜索は……ユーベルコードを使って探してもいいけれど
私のUCは、陽光を放ってしまうから。それじゃあ、何だかね、駄目なのよ。今日の此の夜には……相応しくない
アストロールが放つ、あえかな光だけを頼りに探してみましょう

原始的に、目を凝らして……
オレンジ色というか、オレンジ程に鮮やかでもない、薄らかな明かりをひとつ見つけたら

「見、つけた。」

うっかり幼子のように“みぃつけた”と呟きそうになったのを、寸前で押し留めつつ拾い上げる

オレンジムーンストーンに似ている、なんて説明を受けたけれど
見ようによって幽月とも仄日とも取れるような慎ましやかな光り方に、これを美しいと感じるアステラントの方々はきっと善い人達なのだろうと、何となく感じてしまうわ

一個見つければ、何となく探すコツが摑めてきたみたい
沢山見つけたら、ひとつ持ち帰って良いのよね
よく探せば珍しい色もあると言っていたけれど……
私はやっぱり、この色が好き

「宝物がひとつ、増えたわね」




 夜空に煌めく星々は、今日この日に流れ落ちてくることはないけれど。
 神野・志乃(落陽に泥む・f40390)の上に、星の石なる煌めきが降り注ぐ。
(「流れ星を拾って|依頼《願い》を叶えるお仕事……なんて、洒落が効いてるわね」)
 だから今日は、流れ星に代わって、人々の願いを叶えるのだ。
(「さて、捜索は……ユーベルコードを使って探してもいいけれど」)
 天つ日に焦がれたこの身が放つ光は、闇をも明るく照らし輝く陽のそれだから。
(「それじゃあ、何だかね、駄目なのよ。今日の此の夜には……相応しくない」)
 幸いにして辺りを見渡せば、草原は点々と光に色を変えている。
 そのあえかな光だけを頼りに、探してみよう。そう決めて、目を凝らす。
 オレンジ程に鮮やかでもない、薄らかな明かり。ひとつ、辿ってその源に触れることが出来たなら。
「見、つけた。」
 ――みぃつけた、と。
 つい、幼子のように呟きそうになった自分を、寸前で律して。
 拾い上げたそれは、やはり黄金に似たオレンジ色。
(「オレンジムーンストーンに似ている、なんて説明を受けたけれど」)
 志乃が思うことは、少し違った。
 見ようによって、幽月とも仄日とも取れるような慎ましやかな光り方。数多の世界に存在するどの宝石とも違う、アストロールという名のこの石の彩、煌めき。
 ただ、誰がどんな思いをこの石に抱こうとも、その美しさが変わることはない、とも思うのだ。
(「これを美しいと感じるアステラントの方々はきっと善い人達なのでしょうね」)
 何となく、ではあるが。
 確かに志乃は、そう感じた。美しいものを、素直に純粋に美しいと思える、その心根はきっと、星にも負けず眩い。
 それに、ひとつ見つければ何となく探すコツが摑めてきたようだ。何だか少し楽しくなってきて、またひとつ、見つける度に心も温まるような心地がして。
 志乃の元へと集まった星は確かに、太陽にはなれずとも、夜道を照らすランプの灯りのように、淡くも明瞭に光り輝いている。
(「沢山見つけたら、ひとつ持ち帰って良いのよね。よく探せば珍しい色もあると言っていたけれど……」)
 またひとつ、志乃が拾った彩は。
 先程までと変わることなく、温かなオレンジ色。
 志乃には、それでよかった。それがよかった。
(「私はやっぱり、この色が好き」)
 島の人々に親しまれた、アストロールの色だ。
 この星の石たる存在だけが持つ、優しい光の色だ。
 その光を瞳に映せば、優しい気持ちになれる。
 その光を見る度にきっと、この気持ちを思い出す。
 志乃には何だかそれが、尊いことのように思えて。
「宝物がひとつ、増えたわね」
 静かに、密やかに、その目を柔らかく細めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『星空でダンス』

POW   :    荒々しく、或いは力強く踊る

SPD   :    テクニカルに、或いは速さを意識して踊る

WIZ   :    優雅に、美しく踊る

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 浮遊大陸での商いも、恙無く終わり。
 石の売り手と猟兵達は、アステラントへと帰ってきた。
 島に着いたのが夕方。それから、パーティーの準備を終える頃には再びの夜。
 少しだけ細く、その顔を見せた月と、流れ落ちこそしないが満天の星々が見守る中で、音楽は奏でられた。
 誰かが曲をリクエストすれば、それに合わせて流れるメロディは移りゆき、人々はそれに合わせて踊る。時折喉を潤したり、小腹を満たしたりしながら。
 猟兵達も、一緒に踊ろうと誘われた。
 形式張ったルールなどはないので、気軽に参加出来るようだ。
 一人でもいいし、仲のいい誰か、仲良くなりたい誰かを誘っての参加も歓迎だと言う。希望があればアストロールの装飾品を借りて身に着け、煌めきを纏って踊ることも出来る。
 色々と助けられたから、その分楽しんで貰えたら幸いだ、と。
 島の人々は、屈託なく笑って言った。

 夜の天幕が上がり、月と星の明かりに照らされて。
 心のままに舞い踊るのも、きっとまた一興。
響納・リズ
本当はアクセサリーを作ろうと思っていたのですが……せめて、アストロールの装飾品を借りて、身に着けてみましょう。
どのような装飾品があるのか、よーくみて、楽しみたいですわね。
この次、ここに来た時とかに、参考になると嬉しいですわね。
「まあ、これも綺麗ですわね。これはどんな宝石を使っていますの?」

せっかく、素敵な音楽が鳴っているのですから、誰かと一緒に踊りたいですわね。
なんだか、少し親近感を感じる明・金時様をお誘いしましょう。
「もしよろしければ、ご一緒いたしませんか?」
楽しく踊ることが出来たら、嬉しいですわね♪ あ、ご安心を。ダンスは家で教え込まれておりますから。笑顔で踊りますわ。




(「本当はアクセサリーを作ろうと思っていたのですが……」)
 肝心の採取の日、どうしても都合がつかなくて。
 残念そうに嘆息する響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)だが、折角のパーティーだ。気持ちを切り替えていこうと。
(「せめて、アストロールの装飾品を借りて、身に着けてみましょう」)
 貸し出しは出来ると聞いているから。
 職人の元で、並べられたアクセサリーをよーく見て、目でも楽しみつつ、次回またこういった機会があれば、参考にしたいと。
 並び、輝くのはどれも明るく、しかし優しい輝きを放つものばかり。確かに夜の灯りとしても重宝されるのだろう。
 指輪、ブレスレット、アンクレット、ペンダントにネックレス。ピアスやイヤリングなども並ぶが、そのどれもが黄金に似たオレンジ色をして……と、思った矢先。
「あら? ……まあ、これも綺麗ですわね。これはどんな宝石を使っていますの?」
 ひとつ。
 オレンジの中に、リズの瞳と、或いは髪を彩る花と同じ、菫色の光をぽつりと見つける。
「これもアストロールだよ。ただ、こんな風にオレンジ以外の色をしているものは珍しいんだ」
 着けてみるかい? と聞かれたので、是非と答えれば。
 左耳にオレンジ、右耳に菫色の星がイヤリングとして揺れる。勿論光を放っていたが、小振りな石が使われている為か眩しくはなかった。
 他にもネックレスとブレスレットで彩り、煌めきを纏えば、まるでリズ自身が輝く星座になったよう。
 心を弾ませるリズの耳に、流れる音楽が届いてくる。
 月と星の明かりと、踊る人々の纏うアストロールの小さな灯りとが照らすダンス会場から。
(「せっかく、素敵な音楽が鳴っているのですから、誰かと一緒に踊りたいですわね」)
 この心躍るひとときを、誰かと共有したい。そんな思いが、リズの中に湧き上がってくる。
 辺りを見渡せば、ワイン片手にダンスの輪を眺めている明・金時の姿が目についた。
 彼ならば同じグリモア猟兵であるし、個人的に少し親近感を覚える部分もある。リズは思い切って、彼に声を掛けてみた。
「金時様」
「ん? おお、響納か。どうだ、楽しんでるか?」
 ニカ、と笑う金時に、ニコリと微笑み返しつつも。
「もしよろしければ、ご一緒いたしませんか?」
 リズのお誘いに、金時は一瞬ぱちりと瞬いたが。
 すぐにまた、笑みを浮かべて。
「美人の誘いを断ったとあっちゃ、男が廃るッてモンだ」
 喜んで、と恭しくボウ・アンド・スクレープの後、その手をリズへと差し出した。
 差し出された手を取って、金時と共にダンスの輪へ。
「改めて、よろしくお願いいたします。楽しく踊ることが出来たら、嬉しいですわね♪」
「ああ、何事も楽しくやるのが一番だ。心ゆくまで堪能するとしようぜ」
「ふふ……」
 家で教え込まれていたお陰で、ダンスに対する不安はリズにはない。それに金時も流石に元スタアと言うべきか、心得はあるようで踊りやすかった。
 踊るふたりに笑顔は絶えず、アストロールに照らされ輝く。楽しい時間はまだまだ続きそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミルナ・シャイン
アストロールのネックレスを貸してもらい、ラメが煌めく青いドレスを身に纏って。
星空の下でのダンスパーティーなんて素敵!
お友達と踊るのもよいものですけれど…
たまにはイケメンと踊ってみたい!

というわけでよろしければグリモア猟兵のクレープ様(f38942)をお誘いしたいですわ。
一曲、お付き合いいただけますか?
ワルツの調べに乗って踊りながらお話を。
突然で驚かせてしまったかしら、イケメンなパティシエさんと一度お話してみたかったんですの。
エンドブレイカーの戦い、完全勝利に終わって何よりでしたわ。クレープ様の母校も守りきれましたし…
たしかお店もやってらっしゃるのですよね、そちらにもいつかお邪魔したいですわ。




 柔らかな輝きを宿すアストロールのネックレスが、白い首元を飾る。
 光を受けて煌めく海にも似た、ラメの煌めく青いドレスでくるりと回り、裾を翻せば。
 今宵のミルナ・シャイン(トロピカルラグーン・f34969)は誰の目から見てもお姫様。素敵なドレスにアクセサリー、そしてロマンティックなシチュエーションに今からもう夢心地。
(「星空の下でのダンスパーティーなんて素敵! こんな日はお友達と踊るのもよいものですけれど……」)
 きっと楽しい時間が過ごせることだろう。ミルナは確信している。
 だが――今日、ここにいるのはミルナひとり。その理由は。
(「たまにはイケメンと踊ってみたい!」)
 という、抑え切れなくなった乙女心であった。
 思い浮かべた親友も『相変わらずだなあ』なんて苦笑しながらも、快く送り出してくれることだろう。
 さて、肝心のお相手であるが、実は心当たりがあるのだ。
 姿を探せば、その人物は養蜂家らしい男性と何やら話し込んでいた。この島のもうひとつの特産品である蜂蜜について尋ねているのだろうか。
 タイミングを見計らって、ミルナは彼――クレープ・シュゼットへ、声を掛けた。
「クレープ様、ごきげんよう」
「んっ? キミは確か、ランスブルグの救援に来てくれた子だね! えっと、名前は……」
「ミルナ・シャインと申します。よろしければ一曲、お付き合いいただけますか?」
「ダンスのお誘いかな? 俺でよければ、喜んで」
 ふわりと微笑う面立ちは柔らかく、甘い。成程、界隈で蜂蜜王子、なんて呼ばれているのも頷ける。
 差し出された手を取れば、細くも硬く、何よりミルナのそれより大きく。胸をときめかせながらもダンスの輪に加わり、ワルツの調べに乗って踊る。
「突然で驚かせてしまったかしら、イケメンなパティシエさんと一度お話してみたかったんですの」
「あはは、ありがと。お話するのは好きだから、こうして顔覚えててくれて、声掛けて貰えるのは嬉しいね」
 その言葉に少し安堵しつつ、ミルナは言葉を続けた。折角の機会なのだ、話したいことはまだまだある。
「エンドブレイカーの戦い、完全勝利に終わって何よりでしたわ。クレープ様の母校も守りきれましたし……」
「うん、本当に皆にはお疲れ様と、ありがとうを言いたいな。勿論キミにも。駆けつけてくれて嬉しかったよ」
 故郷を、そして母校を守ってくれた。
 その結果を本当に喜んでいるのだなと、ミルナは思う。この笑顔を曇らせることにならずによかった、その為の助けに、自分もなれたのだと思うと、胸にこみ上げてくるものがある。
「たしかお店もやってらっしゃるのですよね、そちらにもいつかお邪魔したいですわ」
「ほんとっ? それは大歓迎! いつでもスイーツを用意して待ってるよ」
 だからね、いつでも遊びにおいで――それはこの縁が、これきりではないと約す魔法の言葉。

大成功 🔵​🔵​🔵​

スィーニュ・ノクトスピカ
星空の下でのダンスパーティー、胸の踊る響だね
ぼくの故郷でもあったんだよ?
星空の舞踏会が
懐かしいというよりも
今は暖かな親しみを感じる

この島のダンスパーティーも素敵だねと笑って
足元に擦り寄るレオを抱え、くるりと踊ろう
レオは小さいからね
ぼくがぐるりと振り回せば、するりと腕をすり抜けて
ぼくの腕の上へ肩へと渡ってくる
ペロリと頬を舐めてくれる可愛い子だ

流れ星のようなワルツを、星を爪弾くように踊ろう
傍らの者と手を取り合って踊るもよしだ
魔女は、宴を好むものなんだよ?
少なくともぼくはね!

疲れたならばハニーレモンで喉を潤して
星が眠りにつくまで踊ろう
着飾らずとも
溢れる笑顔が宝石のようさ

ああ、なんて美しい
星の日だろう




 糸の如く細い二日月は、星の輝きを阻まない。
 遮るものなく広がる星空は今日も、アステラントを照らしていた。
(「星空の下でのダンスパーティー、胸の踊る響だね」)
 とは言え、それ自体はスィーニュ・ノクトスピカ(ラシェリールの告解・f41460)の故郷――夜汽車の浮島『ノクトスピカ』でも行われていたことだ。
 勿論、このアステラントのそれとは差異も多いが。
(「懐かしいというよりも、今は暖かな親しみを感じる」)
 ノクトスピカとアステラント。
 違いが解るスィーニュだからこそ、覚える気持ちだ。
「この島のダンスパーティーも素敵だね」
 足元に擦り寄る仔獅子のレオに笑いかけ、抱え上げる。
 そのままくるりと踊れば、レオの尻尾がぴんと立った。どうやら喜んでいるようだ。
 小さなレオはスィーニュがぐるりと振り回せば、するりと腕をすり抜けて、腕の上へ。そのまま肩へと渡り、甘えるようにペロリと頬を舐めた。
(「可愛い子だ」)
 微笑ましい気持ちで笑みを深め、ダンスの輪へ。
「さあ、流れ星のようなワルツを、星を爪弾くように踊ろう」
 宛ら星座を描くように。
 星の輝きに導かれるようにして。
 白獅子の子と廻り、時に傍らのあどけなさ残す少年少女と手を取り合って、戯れるように舞う。
「魔女様はパーティーがお好きなの?」
 無垢に問う少女にスィーニュはひとつ、悪戯っぽく目配せして。
「魔女は、宴を好むものなんだよ?」
 少なくともぼくはね――! と。
 星廻の魔女は品ある所作に少しの茶目っ気を混ぜて。
 リゲルの瞬きが、少年少女を魅了していく。
 微笑みの素敵な、夜と星の魔女様。
 魔女様は少し疲れたようで、乾いた喉に潤いを求めてハニーレモンで唇を湿らせ、こくりとひとつ小さく鳴らす喉。
 まだ夜は長く、星々も月と共に人々を見守っている。
 ならば踊り明かそう。星が眠りにつくまで踊ろう。
 着飾らずとも溢れる笑顔が宝石のようさ――魔女様は、スィーニュは微笑って、輪の中へとまた還っていく。

(「ああ、なんて美しい星の日だろう」)

大成功 🔵​🔵​🔵​

風魔・昴
麻生竜星(f07360)と
彼の事は『竜』と呼ぶ
アドリブ歓迎
服は紺色のワンピース風パーティドレス
青色のアストロールのイヤリングを

「やっぱりこの世界の星空は綺麗」
感嘆の溜息と同時にそっと呟く
星空に魅了されて、この世界に来るのは何度目だろうか
満天の星空は地上ではなかなか出会えない
少しだけ時を忘れて星空の世界に思いを馳せて……

彼の声で我に返る
ごめんね。と照れ笑い
またやっちゃったわ
「えぇ『月』の騎士さん。お相手いたしますわ」
ふっと微笑んで少しだけお嬢様風に返事を
曲が始まるとゆっくりとリードしてくれる彼に倣って踊りだす

月と星が最高の照明
音楽と賑やかな声も暖かく響いて

素敵な夜をありがとう

輝く月と星にも感謝を


麻生・竜星
風魔昴(f06477)と
彼女の事は『スー』と呼ぶ
アドリブ歓迎
服装は少しお洒落なスーツ

「そうだな、月の光もいい感じだ」
頷きながらそう彼女の呟きに応える
月と星の共演……これほどの夜空は地上では出会えない

「では、『星』のお嬢さん。一曲お願いできますか?」
彼女の肩にポンっと手を乗せて少しおどけて言う
照れ笑いをする彼女に、いつもの事だろ?とほほ笑む
ワルツ調の曲が流れるとゆっくりと自分達流に踊りだす
彼女が踊りやすいようにゆっくり優しく……

月の女神と星の女神が微笑んで空から見ているような……
なんて考えるのはちょっと乙女チックだろうか?

今夜はありがとうな

この夜空にも感謝を込めて……




「やっぱりこの世界の星空は綺麗」
「そうだな、月の光もいい感じだ」
 思わず吐いた感嘆の溜息と共にぽつり落ちる、風魔・昴(星辰の力を受け継いで・f06477)の言葉に麻生・竜星(銀月の力を受け継いで・f07360)も応えるように頷いて。
「月と星の共演……これほどの夜空は地上では出会えない」
「そう……ね。満天の星空は地上ではなかなか出会えないから」
 星空に魅了されて、この世界に来るのは何度目だろうか――昴は暫し時を忘れ、星空の世界へと思いを馳せる。
 この世界が空に近い場所――否、空そのもの、だからだろうか。空気は澄み、遮るものがないからこそ星々はその本来の輝きを降らせるのだろうか。
 そんなことを、昴は考えるのだ。生まれた時から一族に伝わる力故に、星に親しみ、星を愛してきた身だから。
「では、『星』のお嬢さん。一曲お願いできますか?」
 少しおどけたようなその声と、肩にぽんと柔らかく手の触れる感覚を覚えて昴ははたと我に返る。
 振り返れば、少しお洒落なスーツを着こなし微笑む竜星の姿がそこにある。
 ああ、それに今は自分も。
 夜空を纏うように、パーティドレスは紺色のワンピース風。耳元が淡く青く煌めくのは、揺れるアストロールがイヤリングとしてそこにあるからだ。
 それを思えば、昴の耳が絶えず捉えているその音は、音楽なのだと思い出す。
「ごめんね」
 またやっちゃったわ、と思わず照れ笑いを返せば。
 いつもの事だろ、と微笑みはそのままに、首を傾げる竜星がいる。
 変わらぬやり取り。けれど、今日はちょっと特別な場だから。
「えぇ『月』の騎士さん。お相手いたしますわ」
 社交場のお嬢様のように、昴はスカートの裾を少しだけ持ち上げて、応える。
 竜星が手を差し伸べ、昴がその手を取る。ダンスの輪に入れば、ワルツ調の曲が緩やかに流れ始めた。
 その調べに合わせて、ゆるり、ゆっくりと、けれども自分達らしく、自分達流に、踊り出す。
 リードする竜星は、昴が踊りやすいよう、緩やかなリズムに優しく乗って、誘うように踊る。男性側として――と言うよりは、昴の兄貴分として。幼い頃から彼女の面倒を見てきたものだから、どう動いてやれば彼女も動きやすいかは、理解しているつもりだ。
 そして実際、竜星のその動きに倣うようにして、合わせて動けば昴は踊りやすく、まるで羽が生えたかのような軽やかさで、その感覚に心地よさすら覚えるほどだ。
 お陰で空を見上げる余裕も出てくる。か細くも優しく輝く月と、夜空一杯に広がり闇を青く明るく照らす星々が、変わらずそこにある。
「月と星が最高の照明ね」
「ああ。まるで月の女神と星の女神が微笑んで空から見ているような……」
 なんて、と竜星が零せば、ふたり顔を見合わせて、笑った。
「ちょっと乙女チックだろうか?」
「いいじゃない、浪漫があって」
 もしも本当にそうなら、どれほど素敵だろう?
 神聖ささえ覚える夜の光が、世界を照らす。
 音楽と賑やかな声も、暖かく響く。
「素敵な夜をありがとう」
「こちらこそ、今夜はありがとうな」
 傍らのあなたへ。
 優しく輝く月と星へ。
 穏やかに包み込む夜空へ。
 この世界へ――感謝を込めて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神野・志乃
ダンス……ね……
踊りの類なんて、やったことどころか見たこともあまり無いくらいだから
折角だけれど、どうしようかしら

等と思っていたところで
ふと目に止まったのは、……グリモア猟兵のセラピアさん
依頼の説明のとき、たどたどしくも誠実に言葉を紡いでいた彼女の姿を思い出して
……そうね、善き人達、アステラントの方々の歓待に応えたい気持ちもあるし
出来ないからやらない、というのは……誠実では無いわね

「ねえ。良かったら一緒に踊ってくれない?」
意を決して、セラピアさんへ声をかけてみる
踊るのは苦手だけれどそれでも大丈夫かしら、と素直に伝えて

足取りはぎくしゃく、手と足の動きがばらばら、リズム感覚もあったものではないけれど
ぎこちなく言葉を伝えるように、アストロールのネックレスを弾ませて、少しずつ少しずつ二人の足並みを揃えていけば
セラピアさんと、アステラントの方々と、何か通じるものは生まれてくれたかしら

踊り疲れたら、セラピアさんとハニーレモンを交わわせて
「……また、一緒に遊んでくれる?」
紡いだ縁を、どうかこれからも、と




「ダンス……ね……」
 澄み渡る星空の下、しかし神野・志乃(落陽に泥む・f40390)は思案顔。
 ダンスやその類なんて、やったことどころか見たこともあまり無いくらいだから、と。
(「折角だけれど、どうしようかしら」)
 集落の人々の、折角の厚意、お誘い。乗りたい気持ちはある。だが、どうしても気後れしてしまう。
 だが、こうして考え込んでばかりいては……と、顔を上げたところ。
 ふと、目に留まる姿があった。
(「……セラピアさん」)
 ダンスの輪を、何処か眩しそうに見つめる、樹霊の娘。
 思い出したのは、グリモア猟兵としての彼女の姿。人間社会に未だ慣れず、辿々しく――それでも、誠実に言葉を紡ぎ、伝えようとしていたその姿だ。
 心に澱んでいた暗雲が、晴れたような心地がした。
(「……そうね、善き人達、アステラントの方々の歓待に応えたい気持ちもあるし」)
 何より。

(「出来ないからやらない、というのは……誠実では無いわね」)

 意を決し、踏み出す。
 セラピアへと、歩み寄った。
「ねえ。良かったら一緒に踊ってくれない?」
 振り返ったセラピアは、きょとんとした顔を見せたものの。
 立ち上がり、まっすぐに、志乃を見た。
「……ワタシ、で、いいです、か?」
「こちらこそ、踊るのは苦手だけれど……それでも大丈夫かしら」
 誠実に、素直に伝える。
 セラピアも、自分でいいのかという不安があるのかも知れない。だからこそ、自分も取繕わずに伝えようと思ったのだ。
 こくこくと、何度もセラピアは頷いた。二人で手を取って、輪の中へと入っていく。
 志乃だけではなく、セラピアもまた足取りはぎくしゃく、手と足の動きがばらばら、リズム感覚もあったものではなく。セラピアに至っては、何度か志乃の足を踏みそうになり、慌てて体勢を整え何とか未遂に終わるような、そんな場面すらもあったけれど。
 ぎこちなく言葉を伝えるように、アストロールのネックレスを弾ませて、少しずつ少しずつ二人の足並みを揃えていけば。
「あ」
 セラピアが、ふと声を上げた。
 志乃と恐らく、同じことを考えている。
(「少しだけだけれど、コツが掴めてきた気がする」)
 始めたばかりの時より、気持ち程度ではあるが、幾分か踊りやすくなった。
 けれど、それよりも志乃が願うのは。
(「セラピアさんと、アステラントの方々と、何か通じるものは生まれてくれたかしら」)
 そうであればいいと、希うのだ。
 今、心から。


「……ふうっ」
 セラピアが、熱を帯びた溜息を吐いた。
 志乃の方も、流石に踊り疲れてきたところだ。
「休憩にしましょうか」
 輪から外れて、二人で交わすのはハニーレモン。
 爽やかな酸味と、ほんのりした甘さが喉を潤し、身体に行き渡ると疲労感すらも心地よいものに変えてくれる。
 そうすれば、頭の中もすっきりと、より明瞭になってくる気がした。
「……また、一緒に遊んでくれる?」
 共有したこの夜のひとときは、とても楽しかったから。
 紡いだ縁を、どうかこれからも、と願って。
「……嬉しい、です。よろしく、お願い、します」
 だから、セラピアが途切れ途切れながらも、瞳を輝かせてそう答えれば。
 志乃の心にも、温かいものが広がって――その表情を、仄かに綻ばせる。

 人々の営みを、楽しげな時間を、そこで紡がれる絆を。
 星は今夜も、優しく照らし見守っている。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年09月23日


挿絵イラスト