エンドブレイカーの戦い⑲〜知略のち喝采
エリクシルの赤とは異なる、なれど赤みを帯びた膚を持つ蛇の名は『バシュム』。
「11の怪物」の一柱でありながら、誰とも融合せず、11の怪物の中で唯一、配下のエリクシルを作る能力を持たぬ蛇だ。
しかし蛇は、「毒液を吐く能力」だけで11の怪物最強の座に在る。
蛇が毒液を吐き続ければ、大地母神が死するのは勿論、この世界全てがバシュム以外のあらゆる存在を殺す「単一世界バシュム」と化すが故だ。
単一世界バシュムに於いては、生物は無論の事、死者やオブリビオンも存在する事は能わぬ。
文字通り、|蛇《バシュム》単一の世界。
他は、何も無い。
●知略のち喝采
「正直、頭を抱えたくなる状態デス」
実際に頭を抱え、少しおどけた口調でエルシェ・ノン(青嵐の星霊術士・f38907)は言う。いわゆる“お手上げ状態”で、“笑うしかない”という心理なのだろう。
だが、現実はどれだけ逃避していても、待ってはくれないし、勝手に良い方向に変わりもしない。
だから、ため息ひとつでエルシェは気持ちと表情と姿勢を切り替えた。
「バシュムは口から吐く、大量の|毒液《ポイズンブレス》で皆を襲うよ」
この|毒液《ポイズンブレス》の厄介さは、通常のユーベルコードとしての効果の他に、『大気を毒に変え』『大地を腐らせ』『魔法や超常の護りも溶かす』という特性があることだ。
「毒になった大気は勿論、有害だ。腐った大地は、地形から原形を奪う。ついでにUCや技能を駆使しての|護り《遮断》も意味を為さない――これでいったいどうしろって話ではある。うん」
要は、抜本的な対策が必要ということ。なお、通常の対毒スーツや、毒耐性がどこまで通じるかも不明だ。
「そういえば、ガルシェンでそういう武装を作ったりしてたっけ……」
|そういうの《・・・・・》があればなぁ、と自分が持たぬものに無責任な期待をおしつけつつ、エルシェは改めて猟兵たちと向き合う。
「もちろん、何か考えがあるなら迷わず試して欲しい。命を大事に、は絶対だけどね。逐次変化する足元にも十分、気を付けて」
一度まき散らされた|毒《ポイズンブレス》は、バシュムを倒したところで消えることはない。
穢れた大地を増やさぬ為にも、バシュム討伐は急務である。
七凪臣
お世話になります、七凪です。
私自身は割と脳筋で生きています。きっと対バシュムでは生き残れません。
ですが猟兵の皆様ならば――っ(祈る心地)。
●プレイング受付期間
タグならびに個別ページにてご案内致します。
受付締切は任意のタイミング。此方もタグと個別ページにてお報せします。
●シナリオ傾向
頭脳プレイ8:戦闘2。
●プレイングボーナス
対抗方法が不明な毒液への対抗方法を考える(敵は必ず先制攻撃してきます)。
●採用人数
👑達成最低限。
増やせません(採用は先着順ではありません)。
●同行人数について
ソロ推奨。
●他
完結を優先させるので、オーバーロードは非推奨。
文字数・採用スタンス等は個別ページを参照下さい。
皆様のご参加、心よりお待ちしております。
宜しくお願い申し上げます。
第1章 ボス戦
『バシュム-ポイズンブレス』
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POW : ポイズンブレス
【口 】から【毒液】を放ち、近接範囲内の全てを攻撃する。[毒液]は発動後もレベル分間残り、広がり続ける。
SPD : ポイズンブレス
【口 】から【毒液】を放ち、近接範囲内の全てを攻撃する。[毒液]は発動後もレベル分間残り、広がり続ける。
WIZ : ポイズンブレス
【口 】から【毒液】を放ち、近接範囲内の全てを攻撃する。[毒液]は発動後もレベル分間残り、広がり続ける。
イラスト:カツハシ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
菱川・彌三八
ちぇ、あすこでつくった武具は此れの為かよ
そういやそんねへな事云ったかね
造ったなァ鋼の如く硬く羽根が如く軽い手甲と脚絆
手甲は肩迄覆う形だが、軽くて良く動く
刻んだもようは己の身に刻むのと同じ
牡丹にゃ癒しの加護もあるってね
ふむ…顔を覆う物もつくるべきだったか
御業での護りが効かねェってンなら、物で如何にかするしかねェ
すんなら速さを活かす
毒に捕まらねェ様飛び、先ずは霧のない処迄
大きく息吸って、後はいっち速く奴の元へ
手甲は飛んでくる毒の水をほんのひととき払うため
刹那ならもつな
音に近い速さで迫り、勢いに乗せた蹴りをくれてやる
出来ねェなんて事ァねェ
此の地だって如何にか出来る筈だぜ
先ずァ此奴
とっとと片ァつけるぜ
(……ふむ)
鋼が如く硬く、なれど羽のように軽い手甲と脚絆を身に付け乍ら、菱川・彌三八(彌栄・f12195)は先だって訪れた骨の天井に覆われた都市国家での出来事を思い出す。
――『バシュムの毒液に対抗できそうな装備』を開発してもらえるよ。
奇々怪々な羽を背負った男は、確かにそういっていた。
だが彌三八が追及したのは、ざっくり言って|漢《おとこ》の浪漫だ。
ちいとばかししくったか、と舌を打ちたい気持ちが、無いではない。とはいえ、やはり彌三八は江戸っ子。
浪漫なくして戦なし。どうせ宵越しの銭は持たぬ身だ、出たとこ勝負上等である。
翔ぶ、翔ぶ、翔ぶ、翔ぶ、疾く疾く翔ぶ。
空翔く鳳凰と化した彌三八は、音の早さを超えて赤き空を|劈《つんざ》いて征く。
気の利く職人が施してくれた加護が、今の彌三八の頼みの綱だ。だが我が身も背負う牡丹をよくぞ刻んでもらったと、彌三八は少しばかり鼻を高くする。
何故なら艶やかな大輪は、癒しの花だ。穴という穴から忍び入らんとする猛毒を、腕と足元から放つ香気が幾らか遠ざけ、彌三八を守る。
そして喧嘩上手の彌三八には、そのささやかな加護で十分。
毒の及ばぬ地で膨らませるだけ膨らませた肺は、それでも保って一分少々。粘って二分が限界だ。
無論、成し遂げない彌三八ではない。
(俺に出来ねェなんて事ァねェ!)
ご丁寧に直上へと吹き上げられた猛毒の息を、彌三八は肩まで覆う手甲で斬、と薙ぎ払う。
あとは鳳凰の羽搏きに重力を加えて、ただ降った。
あつらえたばかりの|武具《一張羅》が、見る間に草臥れた色に変わってゆく。それだけの無理が生じているのだ。
なれど息と武具が朽ちるより早く、彌三八の爪先は地面よりうんと高い位置に在る何かを捕えた。
(やわいんだか、かてェんだかわかりゃしねぇ!)
吐く気勢は、あくまで裡に。
それにこんな苦境はいまさらだ。いつだって如何にかこうにかやってこられた事が、此処に限って出来ぬはずがない。
「てめぇの頭、カチ割ってやらあ!!」
膨らみに膨らんだ頬を己が気魄でバチンと割って、彌三八は脚絆で包んだ足をバシュムの脳天にめりこませる。
引き抜くことまでは考えていない一蹴に、稀代の怪物の頭からも毒の噴水が上がった。
大成功
🔵🔵🔵
三上・くぬぎ
職人さんに作ってもらったぼうしの出番ですね!
カンカン帽をマスク代わりにして毒を吸い込まないようにして、体はマントで覆うです。こっちは普通のマントだから長持ちしなそうですけど…
地面の毒は、くぬぎはモーラットだから空中を移動するですよ。さわらないようにするです
毒耐性には自信があるですけど、油断大敵、くぬぎも毒を使うからこわさはよくわかってるです
つらくなったら最後の手段、注射器銃で調合した毒を自分に打つです
中和できたら一番いいですけど、症状の進行が遅くなるだけでもじゅうぶんです。痛いのもがまんです
あとはUCでバシュムの健康…つまり毒への耐性とか抵抗力をいっぱい吸い取るだけです!
お注射ですー!
蜜色の長いリボンをぐるりと頭に回し、三上・くぬぎ(アウトドア派・f35607)は先だってガルシェンの素敵な職人さんに作ってもらった秋色カンカン帽をマスクに見立てる。
ちょうど目元にきた金色の魔金糸で縫い取られたスズメバチが、なんとも頼もしい。
あとはいつものマントで身体をすっぽり覆えば準備完了だ。
そうしてくぬぎは、ふわわと赤い空の下を漂いながらバシュムを目指す。モーラットであるくぬぎには、人間の一歩も十数歩かかる。が、絶え間なく足元が形を変える今、地面を踏むことなく移動できることはとてもありがたかった。
(――わあ、です)
目的地まで、あともう少し。といったところで、バシュムの頭から上がった噴水に、くぬぎはマントの隙間から覗く円らな瞳をパチパチと瞬く。
大きな鳥の形になった誰かが、バシュムの頭をずぶりとやったらしい。
しかもずうんと撓り倒れた蛇は、一足飛びにくぬぎの間合いに飛び込んできてくれた。
(くぬぎもチクンとするです!)
思わぬ好機に、くぬぎはたくさんあるポケットの中から、おもちゃのような可愛らしい注射器銃を取り出す。
しかし鋭い先端を鼻先につぷんと突き立てる間際、バシュムが大きく口を開く。
どぷりと吐き出された毒液は、くぬぎにとっては激流に等しい。
(負けないのです……!)
毒には強いがガルシェン製ではないマントは、ポイズンブレスに溶け始める。けれどそれもくぬぎにとっては想定内。
ぎゅぎゅっと身を縮こまらせ、無事な部分で尚も身体を覆い、くぬぎは毒液の滝を上へ上へと必死に泳いだ。
(油断はこれっぽっちもしていないのですっ)
例えマントが溶け落ちても、毒の扱いに長けたくぬぎには、自らの毒耐性がある。何より、カンカン帽がくぬぎを致命傷から守ってくれる。
そうして、ぽこん。ついにくぬぎは毒の海の上へ出た。
「お注射ですー!!」
力の限り流れに抗ったせいで、勢いよく宙へ弾んだくぬぎは、颯爽と降り征き、自重も味方に今度こそバシュムの鼻(?)へ注射器銃の針先をぷっつりと突き立てる。
ちゅー。
注ぎ入れるは、くぬぎ特製の敵の耐性やら健康やらを奪う|きらきらワクチン《killer killer vaccine》。
毒を以て毒を制するとはまさにこのこと。
斯くてくぬぎは、毒がバシュムの専売特許ではないことを「11の怪物」の一柱へ知らしめたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ゾルバ・ザマラーディ
災厄の蛇か
確かに大きいが、退く理由にはならん
身に纏う耐毒性の外套は、巨人の街で手に入れた物らしい
らしい、というのは
俺にこれを押しつけた奴がそう言っていただけなのだが
…まあ、信じるとしよう
この戦は流石に荷が勝つだろうと
本人は置いてきたが
託されたからには、務めは果たす
毒液への対処は単純だ
ただ、触れなければいい
初手、蛇が動く素振りを見せたら|翠嵐《かぜ》を起こして瘴気を吹き飛ばし
風の通り道を辿って接近
戦斧で斬りつける
危ない時は遠慮なく、この外套を使わせて貰う
折角平和になったのに厄介事に首を突っ込むなど…とあいつは言うが
この性分は直らんな
誰かが助けを求めるならば、応える迄
たとえそれが見知らぬ世界でもだ
――どうせ、アンタのことだからろくな考えもなく突っ込むんだろ。
ツンとそっぽを向いた横顔を思い出しつつ、ゾルバ・ザマラーディ(f40913)は匣竜のヒューイへも揃いの外套を纏わせる。
年下の同胞の機嫌が斜めに傾きがちなのはいつものことなのに、差し出された贈り物を受け取った時、何故だかゾルバは「無策ではない」と言い返さなかった。
「征くぞ、ヒューイ」
どうせ為すべき事に変わりはない――与り知らぬ機微を置き去りにするよう、ゾルバは災厄の蛇を目掛けて走り出す。
|形《ナリ》は、巨躯揃いの人型ドラゴニアンであるゾルバの目にも大きい手合だ。だが倒すべき敵である以上、ゾルバに退く理由はない。
「随分と薄ノロだな」
手酷くやられているのか、緩慢な動きで頭をもたげるバシュムに、ゾルバは些か拍子抜けする。なれど金の眼光は一分の隙なく鋭いままだ。そして――。
「吹き散れ」
来ると分かっていた毒液の奔流へ、ゾルバは左腕を薙いで生じさせた翠色の嵐をぶつける。
斬、と。不可視の刃が毒液の波を裂く。ずうう、と。続く風の圧が毒液の海を押し返す。
バシュムのポイズンブレスは毒液だ。つまりは、液体。
(触れなければいい、単純な話だ)
纏う風で、ゾルバはひたすら押して、圧して征く。
進む先は、一度は毒に濡れた大地。足元は不安定極まりないが、質量のある尾でバランスを取って懸命にいなす。
万全の策でないのは百も承知だ。霧散し、大気に混ざって忍び寄る濁りは、真新しい外套で払い除ける。
ゾルバは己が口許を守るよう、ガルシェンの職人によって施された細やかな刺繍を翻す。
途端、我が身の無事を案じる願いを強く意識した。
(せっかく平和になったんだから厄介事には首を突っ込むな――と、あいつは言うが)
どれだけ齢を重ねようと、自分の性分が改まらないことをゾルバはよく知っている。
誰かが助けを求めるならば、応える迄。例えそれが、見知らぬ世界であったとしてもだ。
しかし、雪割草の花を髪に咲かせた青年を、|此処《戦場》へ伴わなくてよかった、とも心の何処かで思う。
「――あいつには、荷が勝つ相手だ」
誰に聞かせるでもなく呟き、何かをかなぐり捨てるが如き力押しで、ゾルバはついに毒液の分厚い壁を掻き分けきった。
灯台の火めくヒューイが、先に飛ぶ。そこに合わせて、ゾルバは無骨な戦斧を振り被り、叩きつける。
闇雲に走り抜けた男の一撃は、躱そうにも巨体が徒になったバシュムの腹を、ほぼ二分した。
大成功
🔵🔵🔵
リィンティア・アシャンティ
「11の怪物」の一柱
最後に自分しか残らない世界は寂しくはないのだろうかと、毒液を吐く蛇を見て思います
私はきっと寂しいと思いますし、そんな蛇さんに消されてしまうのは嫌ですので
がんばって止めるのです
大地を毒だらけにしないためにも急ぎましょう
既に穢された大地を踏まないよう、ルノの力を借りて飛んで行きます
ガルシェンで巨人のおじいさんとどんぐり栗鼠さんが作った素敵な杖は
しっかり水の球で毒液を包み込んで浄化してくれるはず
毒液の方へ水球を沢山連ねて出して、対処を
もしもの時は星霊のガーランドに助けてもらい……なんとか
耐えることが出来たなら、次の毒液が放たれる前に
上空から蛇に向かって思いきり一撃を加えましょう
単一世界。
他には誰もいない、自分だけの世界。
(ルノも、りすさんも、……イスラさんも――)
たった一人の世界を想像し、リィンティア・アシャンティ(眠る光の歌声・f39564)は鮮やかな蜜色の眸を潤ませる。
自分なら、きっと寂しくて耐えられない。「11の柱」の一柱とはいえ、バシュムは違うのだろうか?
(……違うから、こんな風に世界を変えてしまうのでしょう)
立ち尽くす足元まで、今にも及びそうな毒液の波を見つめ、リィンティアは唇を噛み締めると、寄り添う妖精のルノに助力を請う。
すると、リィンティアの身体はふわりと宙へ浮いた。
「がんばって、止めてみせるのです」
踵のすぐ下を流れた毒を見止めて、リィンティアはガルシェンで作ってもらったトネリコの魔杖をぎゅっと握り締める。途端、キュートな星霊ディオスが彫られた硝子球が淡い光を放ち、まあるい水の珠を宙へ結ぶ。
ついと水の珠が空を游いで広がる。そうして毒液を掬い上げた水は、また綺麗な球状へ形を整えると、抱いた毒を綺麗に消し去った。
(これなら――いいえ、必ず)
ガルシェンの職人と、どんぐりが大好きな繰鼠が一緒に作り上げてくれた魔杖の効果にリィンティアは胸を撫で下ろし、今度は幾つもの水珠を編み出し連ねる。
浄化の盾を手に入れたリィンティアを、バシュムの毒が侵すことはない。或いは、戦いを終えた後にも役立つかもしれない。
膨らむ期待に胸を満たし、リィンティアは空の路を歩む。
寂しいのは、嫌だ。それを理解できない|蛇《バシュム》に消されてしまうのは、もっと嫌だ。
リィンティアの想いに応えるように、水珠たちは波濤が如く押し寄せる毒液を洗う。とは言え、その力は万能ではない。一帯を覆うほどは強くなく、リィンティアを守るのが精一杯。
でも毒液の波を越えきることが出来るのなら、リィンティアには十分だった。
「力を合わせて……」
耐え凌ぎ、ついにバシュムの元へ至ったリィンティアはルノへ手を伸べる。
「がんばりましょう!」
澄んだ水色の乙女の指先と、リィンティアの指先が触れ合った瞬間、リィンティアはルノと融け合い、エルフヘイムの妖精と化す。
あとはもう、強く強く羽搏くだけ。
「さようなら、さみしい蛇さん」
一度高く舞い上がったリィンティアは、いつか見た光とよく似た輝きを宿す|刃《ソードハープ》を振り翳し、バシュムへ降る。
既に幾重にも傷付いた厄災の蛇に要するのは、一閃のみ。
然して毒の淀みの一切を断ち切るが如き鮮やかな太刀筋に、バシュムは身じろぐことさえ出来ぬまま首を堕とし――滅びの大地に斃れ逝った。
大成功
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