エンドブレイカーの戦い⑭〜百合の間に挟まるサルと剣
「待っていて、ラビットバニー。あの日かわした燃えるような熱い約束、決して忘れはしない。必ずあなたを蘇らせて見せる、たとえそれが世界に、大義に、運命に背くとしても」
『ゼファちん……あーしも|嬉しい《キュン》よ。幻影だけどまたゼファちんに会えるなんて。きっと本物のあーしも、ゼファちんに再会する瞬間を待ってる。頑張って二人で|幸せ《はぴはぴ》になろ!!」
『ええ、バニー! ……あとエイプモンキー」
『えっなんかミーだけ雑じゃないウッキー!?』
「え? 本物のモンキーは親友だけど、あなたはただの幻影なので……。でもバニー、例え幻影とは言えど、あなたに再会できたのは、魂が震えるほどの喜び。ああ、幻影ゆえにあなたを抱きしめることができないのが口惜しい。でもあと少しの辛抱よ。きっとこの腕に、そして唇に、あなたのぬくもりを感じて見せる!」
『やーんゼファちんったら大胆でエモっ! あーしも超バキバキに気合入れるよ、ゼファちん!」
『いややっぱりミーだけめっちゃ温度差ないウッキー!?』
『ヒャーハハハア! 百合いいよね……』
『えっダイアモードも百合派だったんウッキー!?』
「……みたいな予知が見えたんだけど。愛とか友情って尊いわよね……どんな形でもね」
グリモア猟兵、ユメカ・ドリーミィはぷかぷかと浮かぶ無数のシャボン玉の向こうから少し頬を赤らめて猟兵たちを見回す。
しかし今度の戦いは決して単純にラブでコメでトンチキなものではない。
かつてキマイラフューチャーの戦争「バトルオブフラワーズ」で猟兵たちを苦戦させた大幹部「ウインドゼファー」が蘇ったばかりでなく、「11の怪物ウムシュガル」と融合を果たしパワーアップ、さらに加えて「喋る剣ダイアモード」というもう一人の敵を手にしている。しかもそればかりではない、同じくバトルオブフラワーズの敵幹部「ラビットバニー」と「エイプモンキー」の幻影がゼファーの傍に寄り添っているというのだ! ぶっちゃけどんだけ戦力盛るねん! というレベルである!
「かつて戦ったことがある人は知っているだろうけど、「エイプモンキー」はみんなのユーベルコードに対するカウンターを返してくるし、「ラビットバニー」は絶対に破れない無敵バリアを張る能力があるの」
そんなんどうせいと。
思わずざわつく猟兵たちだが、ユメカは同時にその二人の弱点も提示した。
「エイプモンキーのカウンター攻撃は「カウンターに対するカウンター」に弱いわ。一方ラビットバニーの無敵バリアは、バニーが何かに対して「エモい」と思った瞬間消え失せるの。……そして何より」
何より!
「何より!」
そう、何より!
「本物よりアホになってるわ!」
なんて?
「幻影だから、本物のモンキーやバニーよりアホなのよ! そこを上手く活かしてみてね! 何も無理に弱点を突かなくても、彼らのアホなところを利用して連携攻撃を崩してしまえばいいかもしれないわ」
ただし、あくまでもこの二人は幻影であり前座。本命はウインドゼファーであり、彼女単体でも恐ろしい敵であることを忘れてはならない。
「ウインドゼファーの特徴はとにかくその超スピードよ。超高速の世界、何とか破ってね」
そこまで伝えて、ユメカは小さく吐息を漏らした。
「愛する人を……仲間を蘇らせたい、その気持ちはよくわかるけどね。でも、世界を護るためには、こちらも下手な情けを掛けるわけにはいかないんでしょうね……」
天樹
こんにちは、天樹です。
このシナリオは「戦争シナリオ」です。一章で完結し、戦争全体に影響を及ぼします。
早いペースで幹部戦が進みます。ラビットバニーは印象に強い敵だったので、幻影とはいえ、書く機会に恵まれて嬉しいですね。キマフュ戦争の頃はまだMSではなかったので。
なお、もちろんバニーとゼファーのカンケイはこのシナリオだけの限定ですので、他のシナリオに影響いたしません(笑)。ご了承ください。
バニーとモンキーの弱点を各個に突くよりは、「二人の幻影がアホであることを利用して連携を崩す」方がプレイングしやすいかもしれませんね。あくまで本当の敵はゼファーですので。
……でもバニーを倒すとゼファーがキレるかも?
『えっミーはどうでもいいウッキー!?』
では皆様のご参加を心よりお待ちしております。
第1章 ボス戦
『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』
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POW : アクセラレイト・デザイア
全身を【エリクシルの輝き】で覆い、自身の【誰に邪魔はさせないという意志の強さ】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : ゼファー・タイフーン
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【嗤う剣ダイアモード】から【勢いを増し続ける竜巻】を放つ。
WIZ : 嘲笑せし斬風
【嗤う剣ダイアモードから放たれる衝撃波】を【スピード怪人の加速能力】で加速し攻撃する。装甲で防がれた場合、装甲を破壊し本体に命中するまで攻撃を継続する。
イラスト:藤本キシノ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「バニー、ダイアモード、ついに猟兵が来たようです。あとモンキー」
『いやだからミーの扱いぃ!?』
「しかしバニー、ダイアモード、あなたたちがいればこの危機もかならず乗り越えられるはず! あとモンキー」
『……もう慣れてきたでウッキー……』
「さあいきますよ、必ず蘇らせます。愛しいバニーと、そしてもちろん……あなたもね、我が親友モンキー」
『……最後だけちょっといいこと言って好感度稼ぐのずるいでウッキーな……しかし、全力で行くウッキー!」
『おけまる! その意気めちゃエモいよ、モンキー、そしてゼファちん!』
かくして三大幹部との総力戦が始まる! いずれ劣らぬ強敵、油断はできぬ!
さあ、猟兵たちの覚悟が問われる時だ!
アイ・リスパー
「なるほど、敵は三位一体!
ならばこちらも三位一体でいきますよ、オベイロン、パック!」
モンキーのカウンターにはオベイロンの攻撃でカウンター、そしてバニーのバリアはパックのエモさで消し去って、そこに私がゼファーへと攻撃する。
完璧な作戦ですね!
『ねえアイ。エモさってどうしたらいいのよ?』
「詳細は任せましたよ、パック」
『ちょっとー!?』
私はパックによってバリアが消えたところに【破砕領域】を撃ち込み、敵の竜巻を消し去りましょう。
――この初撃は見せ球。
次の一撃が本命です!
「カウンターへのカウンターは任せましたよ、オベイロン!」
『了解しました、主砲発射します』
『ちょっと、私はほんとにお任せなの!?』
「三位一体ですか。しかし三位一体はあなたたちだけの専売特許許可きょきゅではありません!」
『噛むくらいなら無理にネタ入れなくてもいいんじゃない?』
『それでもネタに全力でブッ込んでいくのがアイの生き様なのです、パック』
いつもながらのトリオ漫才を繰り広げるアイ・リスパー(|電脳の天使《ドジっ娘電脳魔術師》・f07909)とその相棒である自律型機動戦車オベイロン、そして意志ある『紋章』であるパックの三人に、ウインドゼファーたちは厳しい視線を向けた。
「ほう、手練れのお笑いトリオと見ました。しかし息の合い方では私たちも同じ。絶対防御のラビットバニー! カウンター能力のエイプモンキー! そして超高速のこの私! 我らの連携は無敵なのです!」
ゼファーの言葉に偽りはない。11の怪物と融合復活したウインドゼファーに、その刎頸の友たるバニーとモンキーの力が加わった戦闘力は侮れぬ!
しかし、アイとて負けてはいない!
「こちらだって、強靭な防御装甲を誇るオベイロンと!」
そうだそうだ言ってやれ!
「そして強力な制圧火力を持つオベイロンと!」
うん……うん?
「あと機動力のオベイロンと!」
うーn
「それから冷静で的確な判断力と分析力のオベイロンがいます!」
「……猟兵、もうその人だけでいいんじゃないですか?」
「はっ、しまった! 私たちの弱点を見抜かれてしまいました!」
これはいけない! 蘇ったゼファーたちはアホの子のはずであったが、アイたちはそれを上回っていた! というかむしろ下回っていた!
アイは唇を噛みつつも、屈せず指示を飛ばす。
「とにかく、私たちも力を合わせる時です! オベイロンは攻撃の準備を!」
『了解です』
「そしてパックは、バニーのバリアを破るためのエモいなんかをお願いします!」
『りょうか……何かって何!?』
「なんかです! こう、なんかいい感じのいい具合に!」
『相変わらず行き当たりばったり出たこと任せの雑な指示をー!!』
「ではれっつごー!」
パックの困惑や動揺など知ったことではないとアイは見切り発車を敢行! いや、これはきっとパックなら何とかしてくれるという熱い感動的な信頼に基づく行動なのだろう。そうに違いない。
『棒読みよ地の文! で、でも、エモい行動って急に言われたって……』
悩むパック。しかし時間はない!今しもアイたちは敵に接触しようとしている! 今すぐに無敵バリアを破らねば!
『……ま、まさか、こんなときに告白しなきゃいけないの……』
不意にぽつりと漏らしたパックの声に、ふとアイは、いやゼファーたちも含めてその場の全員が足を止めた。パックの言葉には、それだけの強い響きがしっとりとした潤いと共に込められていたのだ。
「え、ど、どうしたんです、パック?」
戸惑いながら尋ねたアイに、パックは言葉を紡ぐ。ほろほろと、心からとめどなく溢れる何かを必死で形にするかのように。
『私は……あの『紋章つかい』の実験台にされて、こんな姿になった。でも、あなたは真っ暗な闇の中から私を救い出して、光を与えてくれたわね。それからもいろんな事件に巻き込まれて、大変だけど毎日が楽しくて……。それも、何もかもあなたのおかげよ。気が付いたら、私、いつの間にか……』
小さく吐息を付くように、パックは微かに、ためらうように、震えるように言葉をとぎらせ、そして、勇気を奮い起こしたように続ける。
『いつの間にか……あなたの隣にいることが、この上もない幸せだと思うようになっていたの。あなたの声を聴き、あなたの姿を見ることが。……あなたに、……あなたに……恋を、していることが』
おお、何たる衝撃的な言葉の爆弾! アイは思わず立ちすくみ、青天にあって霹靂に撃ち据えられたかのごときだ!
「え、え、ええええ!!!!!!?????? ぱ、パック、それは……。あ、あなたの、き、気持ちは嬉しいですが、私まだ心の準備が……いえ嬉しいんですよホントに、でも私も女の子ですし……いえ今の時代そんなことは気にするべきではないんですが、その」
『あなたに恋をしているの、──|オベイロン《・・・・・》! 頼もしいしっかりとしたあなたに!』
「なんてー!!!!????」
『……なるほど、対象を明示していなかったことを利用した叙述トリックですね』
一瞬にして道化となり果てたアイが真っ白な灰に燃え尽きたと同時、ゼファーたちにも衝撃走る!
『エッ、エモぉぉぉぉ! 魂だけの存在と無機物との恋! これもう無理―! 尊死ー!』
『ああっバニーしっかりしてください! バニィィィィ!!!』
『危ねえウッキー!? ゼファーの速度で急に飛び出すなウッキー!?』
ラビットバニーがあまりのエモさに口から泡を吹いてぶっ倒れ、慌てたゼファーがすべてをぶっちぎる超高速で彼女に駆け寄ろうとしてエイプモンキーに巻き込み事故を起こし、跳ね飛ばす! もうゼファーチームはてんやわんやだ!
『今よ、オベイロン!!』
『了解、主砲発射します』
この一瞬の隙にオベイロンは無慈悲に砲撃! ゼファーたちは哀れ、星の彼方にブッ飛ばされていったのだった。
『見事な作戦勝ちですね、パック』
『ふふっ。……あー、わかってると思うけど、もちろんさっきのは、ただのお芝居、演技よ? アイも、当然それくらいは承知して……』
「うう……校舎裏に呼び出された告白ごっこの罰ゲームみたいなことされました……ううう……」
『ア、アイ!?』
『聞こえていませんね』
魂が口から抜けた状態のアイが我を取り戻すのにはしばらくの時間がかかるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
大町・詩乃
これは強敵ですね。
ならばバニーの紋章さん行きますよ~、装着!
バニースーツに変身してラビットバニーにエモさを感じさせ、無敵バリアを無効化。
そして《神性解放》発動。
エイプモンキーがカウンター装置を創造するも、アホなのでお約束の自爆ボタン(☠マーク)が。
すかさず催眠術で、「バズる為に自爆ボタンを押したくな~る♥」と催眠術に掛け、念動力で彼の指を誘導して自爆ボタンをポチッとな。
ゼファーさんの攻撃は第六感・心眼で予測して見切り、彼女の進路に結界術・高速詠唱で作った防御壁を展開。
ぶつかって出来た隙を狙い、UC効果&煌月による神罰・雷の属性攻撃・衝撃波・鎧無視攻撃でズバッっと斬りますよ!
バニーは強いのです♪
「これは強敵ですね……」
大町・詩乃(|阿斯訶備媛《アシカビヒメ》・f17458)は眼前に待ち構える敵の姿をその深い澄んだ瞳に宿し、決意と覚悟を新たにする。
そう、今回の敵は、かつてのバトル・オブ・フラワーズに置いて猟兵たちを苦しめた敵幹部、ウインドゼファーが蘇り、「11の怪物」と融合合体した姿。しかも、その傍らには、実物ではなく幻影とはいえ、同じく幹部だったエイプモンキーとラビットバニーが付き従っているのだ。それはすでに一軍に匹敵する戦力と言っても過言ではない。
だが、詩乃に一切の怯懦の色なし! 侮りはせず、かといって臆しもせず!
「ならばこちらも、一人ではなく、お友だちの力を借りる時です!」
言い放つと、詩乃の手中に陽光を跳ねて煌めく何物かが握り締められた。
おお、それこそは、『紋章』である!
紋章、それはかつて恐るべき敵「紋章つかい」の実験台にされた人の魂が宿った小型オブリビオンだ。この紋章は、以前の事件において詩乃に見いだされ、心を通わせ合い、力を貸してくれる頼もしい友となったのだ。
「紋章さん、行きますよ」
『任せてください、詩乃さん!』
「『装着っ!』」
詩乃と紋章、二つの声が一つに重なり、まばゆい光が煌めいて虚空を覆い尽くす! 輝きが収斂し、人の形を取って詩乃の姿に合一した時、そこに現れたのは!
バニースーツであった!
うん。バニースーツなのである。
この『紋章』は、詩乃にバニーなバトルスーツを装着させる力を持っているのだ。その能力は、どたぷんでばるんばるんな詩乃の清楚でありつつも蠱惑的な魅力が当社比200%! いやそれだけではなく、跳躍力や速度も大幅上昇! 決してイロモノではないのでごあんしんだ!
「さあ行きますよ、この力で……」
詩乃が気合を入れた時。
「バ、バニィィィィぃ!???」
敵陣から素っ頓狂な叫び声が! これは誰の声であろうか!
(ふふ、作戦通りです、きっとラビットバニーがこの姿を見てエモいと感じ……)
……と想定していた詩乃は、しかし、その声の主を見つめて目を丸くした。
「バ、バニィィィィだなんて!!!!!!」
それは──ウインドゼファーだったのである。
『えっちょっとゼファちん!? どど、どしたん!?』
むしろラビットバニーはそのゼファーの反応に戸惑いドン引いているありさまだ。
「だ、だって、バニーが!バニーなのですよ! ここにもバニー! そして……あちらにもバニー! バニーが一杯! エブリバニー! ああ、ここはバニー天国なのですか!?」
なんかもうわけがわからないテンションになっているウインドゼファー。ああ、エンドブレイカー時代の彼女を知るものが見たらなんと思うであろうか。思わず目頭が熱くならざるを得ない。
『お、落ち着いてゼファちん!?』
「だってバニー、バニーなんですよ! ああ、私にバニーと戦えというのでしょうか! この世で最も優れた芸術であり神秘の美学の具象化であるバニーと!」
『ゼ、ゼファちん!? まさか、ゼファちんは、あーしのこと、バニー姿だから好きになってくれたわけじゃないよね!? あーしがあーしだから好きになってくれたんだよね!?』
「…………」
『なんで目ぇ逸らすしー!!!???』
しかもなんか修羅場が発生していた。
『猟兵! 二人を仲たがいさせるとか、なんてひどい奴なんウッキー!!』
「えっ私のせいなんですか!? 私、そんな腹黒くないですよ!?」
エイプモンキーがサルだけに顔を真っ赤にして怒り立てるが、別に詩乃のせいではない。……たぶん。
『人の恋路を邪魔するとか許せねえウッキー! こうなったらミーだけでもおまえを倒すウッキー!』
「うわ、めちゃくちゃ濡れ衣です! 釈然としません!」
頭から湯気を立てながら詩乃に向かって突っ込んでくるモンキーに対し、詩乃は頭痛を抑えつつユーベルコード発動を準備する。それこそは『神性解放』、輝くオーラを身に纏いすべてを浄化する無敵の力。だが、エイプモンキーにはすべてのユーベルコードに対するカウンター装置を発明する能力があるぞ! どうするか詩乃!
『天才のミーにそんなユーベルコードは通用しないウッキー! おまえのUCの弱点を今計算してやるウッキー! えーと……』
「な、なんですってー! 私のUCは突進体当たり系であるがゆえに自爆に弱いということを見抜かれてしまったというのですかー(棒読み)」
『え? そ、そうウッキーね、自爆に弱いウッキー! 自爆装置セット!』
「はい念動力」
ぽちっとな。
『ウッキィィィィ!!!!!????』
モンキーはその瞬間、自らが用意した自爆装置を詩乃に操作され、凄まじい轟爆と共に虚空遥かにぶっ飛んでいく。そして、その真っ赤に燃え上るモンキーinファイヤーは、今しも痴話げんかを繰り広げている真っ最中のゼファーとバニーのもとに飛んでいき……。
「ごめんなさいバニー、あなたはやっぱり特別です」
『ゼファちん、あーしも疑ったりして超ごめんね』
「バニー、見てください、なんだか空が明るく輝いて私たちを祝福してくれているようです」
『ほんとだね、マジキュンだねゼファちん……』
BAGHOOOONNNN!!!!!
せっかく美しく仲直りしかけていたゼファーとバニーもまとめて大爆発を引き起こしたのだった。
……詩乃、恐ろしい子。
「私、腹黒くないですよ。ね、紋章さん?」
『……ノーコメで』
大成功
🔵🔵🔵
黒影・兵庫
(「はぁ!?4対1とかふざけんな!」と頭の中の教導虫がキレる)
せんせー!怒らないで!響きます!
(「黒影、悪辣だけど作戦を思いついたの。できる?」)
は、はい!
(「UC【誘煌の蝶々】で舞を見せてエモらせてUCは五感から影響を及ぼすって嘘つきなさい」)
カウンターで五感を封じるのを狙うんですか?
(「アホだからひっかかるでしょ。後の一人はUCの効果で動きを封じて『衝撃波』で一気に近寄って攻撃よ」)
承知しました!しかしどう舞を見させるか…
(「ウサギと猿を盾にすれば攻撃の手が止まると思うわ。幻影なのに仲良しだもの」)
!せんせー…それは…
(「敵の覚悟がアタシの予想以上なら失敗するけど…さぁどうなるかしら?」)
『はぁ!? 4対1とかふざけんな!!』『けんな!』『んな!』「なななな……!!!!』
ボリュームMAXで聞こえてきた怒声に、黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)は思わず耳を抑えたが、だからと言って声が小さくなるはずもない。なぜなら、そのブチ切れた怒りの咆哮は、兵庫の脳内で直接、無限反響し木霊しているのだから。
その声こそは、兵庫の脳内に寄生し彼を導き育む、恩師にして母親代わりともいえる教導蟲・スクイリアのものだ。
「せ、せんせー! 怒らないで! 脳に響きます! ガーンって! ガーンって!」
『だって卑怯じゃない! こっちは一人なのにあっちは寄ってたかって黒影をボコろうとかズルいわ! こっちは一人なのに! 一人なのに!』
「……えっと……番号……いーち……」
『にー!』
「…………せんせー?」
『……いいのよアタシは別に直接戦闘に介入するわけじゃなく、ただ黒影の中でアドバイスしてるだけなんだから!』
「せんせーに外に出て戦ってもらうUCもありますけどね……」
『いいこと黒影、よく聞きなさい』
「アッハイ」
口調を改めたスクイリアの声に、兵庫はピンと背筋を伸ばす。
『『卑怯』というのは黒影が不利になることを言うの。そして、黒影が有利になる状況を作ることは、『戦略』というのよ』
もう清々しいばかりに鮮やかなダブスタである。でも親バカってそんなもんかもしれない。
「うわあ大人って……大人って……!」
『黒影だって誕生日来たばっかりだしもう大人なんだから! それに仮にアタシを数に含めるとしたって、また4対2。やっぱりあいつらが数的優位でズルいのには変わりないの』
「わ、わかりました。じゃあどう戦いましょうか」
世の中の理不尽を少しずつ学び始めた、黒影・兵庫22歳の少しだけほろ苦い夏。そんな兵庫に、おかーさんは新たな試練を突き付ける。
『支援兵を召喚するのよ!』
「…………」
『支援兵を召喚するのよ!』
「あの、数的優位はズルいんじゃ……?」
『戦略! せーん-りゃーくー!』
「アッハイ」
世の中の不条理を少しずつ学び始めた、黒影・兵庫22歳の少し物悲しい夏なのだった。
「で、では、せんせーの作戦通りに……行きます、支援兵の皆さん!」
覚悟を決めた兵庫がふわりと交響楽団を指揮するがごとくに手を挙げたと同時、彼の大地に落とす影の中から、光を覆い大気を塗り込めるかのような色彩の綾が湧きだした。風を虹色に染めるそれは、おお、無数の胡蝶の群れだ! 兵庫の召喚した『|誘煌《ユウコウ》の蝶々』が敵陣目掛けて舞い立ってゆく!
「ふははははー俺の支援兵の皆さんは敵の動きをことごとく止めてしまうのさー!(棒読み) もっとも五感を通じて影響を与えるから感覚を遮断されると通じないけど、まさかそんなことには気が付くまいー!(棒読み)」
『黒影もう少しこう……お芝居勉強しよ?』
「堂々と嘘付くのってどうもこう、苦手で……」
ああ、だがしかし。
兵庫のそんな棒読み口調に見事まるっとゼファー陣営は動揺の色を隠せない!
『ええっ、どうしよゼファちん! あのちょうちょキレイだからあーしのバリア破られちゃった! それに見ても聞いてもヤバいらしいよ!?』
「落ち着いてくださいバニー! あなたのことは私が護ります! 風で吹きとばしてしまえばいいのです!」
『いや、ミーに任せるウッキー! つまりは感覚を遮ればいいウッキー!』
想定通り、とスクイリアは兵庫の脳内で笑む。敵が自分で感覚を封じてしまえば、もうそれだけで兵庫の攻撃には反応できまい。あとは煮るなり焼くなり好きにすればいいのだ。
だが、次の瞬間、スクイリアは瞠目する!
『見ザル! 言わザル! 聞かザル! 必殺ジェットストリームモンキーだウッキー!!!』
おお、なんとその光景は! 口を押えたモンキーが先頭に立ち、その両鼻をバニーが抑え、そしてバニーの耳をゼファーが隠す! それぞれ五感の一部を仲間にカバーしてもらい、低下した身体能力を三人分の友情パワーで補って一つの戦力と為す! 正に三位一体、友情の合体攻撃陣形だったのだ! 合体した三人が一斉に兵庫目掛けて突進してくる!
「う、うおおおお! かっけええ! エモいいいいい!!!」
『く、黒影!? 黒影がエモられてどうすんのよ!?』
「だってせんせー! 何て美しい、そして見事な友情なんでしょう! これはエモいと言わざるを得ません! 世の中にはこんな純粋な絆の形もあるんですね!」
そう、さっきまでちょこっとだけ世間の悲しさに傷つきかけていた兵庫に、その友情のジェットストリームモンキーは実に眩しく輝いて見えたのだった。うん、世の中って素晴らしい。
「……まあそれはそれとして、まっすぐノロノロ突っ込んでくるだけなのでブッ飛ばすんですが」
そして素晴らしいけど敵は敵。しかもゼファーの武器である速さもバニーの武器であるバリアも役立たない状態。
『危ないウッキー! 二人ともミーを捨てて逃げるウッキー!』
『そんなことできないよ! だってあーしたち、ズッ友じゃん!』
「勝つも負けるも三人一緒です! ……ぐええええ!!!!!」
狙いを定めるまでもなく、真正面から迫るゼファーたちを三人まとめて、兵庫の巻き起こした衝撃波があっさりと天空の果てまで叩き返したのだった。
「勝ちましたけど……でもせんせー、なんか……俺たちのほうがすごいあくらつな存在のような気がするんですよ?」
『黒影、苦い勝利が男を一つ大人にするのよ』
世の中の矛盾を少しずつ学び始めた、黒影・兵庫22歳の少しだけ切ない夏なのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ルエリラ・ルエラ
【アドリブ改変大歓迎】
バニーはエモければ無効だからどてらバニー姿でいけば攻略完了
私は存在自体がエモ
猿?なんでもいいや
久しぶり幻影らしいけど元気してた?とフレンドリーに対応
戦い前に芋煮を振舞うのが礼儀!として芋煮を振舞おう。猿の人の芋煮にはバナナも入れて
幻影だから食べられない?でも、食べたいでしょ?食べる方法を考えようかーと意識を芋煮に向けさせ、ゼファちんと分断!
そしてゼファちんに【ドライ】で攻撃だー!私の矢は光速だからねしかたないね
バニー近くにいればゼファちんは攻撃してこれまいーふははー
幻影の意識が離れそうだったら、猿にはバナナを追加バニーには逃げ回るゼファちんエモいよねーって観戦してもらおう
「強敵が蘇った? だがこの私の前には対策など不要だね」
ルエリラ・ルエラ(芋煮ハンター・f01185)はドヤッとした顔であまり大きくはない胸を張る。その小さな体にみなぎる巨大な自負と自信、それにはどんな根拠があるというのか!
「なぜなら私は存在自体がエモだから!」
……アッハイ。
「なぜなら私は存在自体がエモだから! 大事だからねここ! そしてさらに!」
と、ルエリラはふぁさっとばかりに風を孕みその姿を光の中に表した。おお、その姿はまさに!
「どてらバニーだよ!」
……ごめんちょっとMSタイピング間違えたかもしれない。
「どてらバニーだよ! 間違いじゃないよ!」
なんなんそれ、と問う読者諸氏もおられるかもしれないが、なんなんといわれてもどてらバニーはどてらバニー以外の何ものとも答えようがない。まさしくその姿こそは、可憐でセクシーでキュートなバニーガール……の上に、もこもこのどてらを羽織った格好としか表現できないのだ!
「薄着の洋風バニーの上に厚着の和風どてら! この多重ギャップの中の調和こそ次に世界を席巻するワールドコンセプトなんだよ。エルフの森を賭けてもいいよ!」
かくしてエルフの森はまたなんかあずかり知らぬところで燃やされそうになっていた。
「ともかく、このエモさ極まるどてらバニーさえあれば、まずはラビットバニーを味方につけたも同じだね。そしてバニーが味方ならバニーと仲良しのウインドゼファーも味方にしたも同じ! そしてなんやかんやでモンキーも倒したも同じ! かんぺきなりろんなんだよ!」
『……いやさすがにどてらはなくね? いや一周回ってアリよりのアリかなあ? ゼファちんどう思う?』
「私はバニーが着てくれればなんでも可愛いと思います」
『やーんゼファちんってば正直―! でもそんなゼファちんが好きー!』
いちゃいちゃ。べたべた。きゃっきゃうふふ。
「……くっ、このバカップルどもめ……」
珍しくルエリラが苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。自分の自慢のコーデがバカップルののろけのネタに使われたとあらばそれも無理はないが。
「私だって、いつか、ちょい性格の悪いイケメンメガネを捕まえるからね!」
『えっミーを呼んだウッキー?』
「ただ性格悪いだけのグラサン猿は呼んでないんだよ! バナナでも食べてなよ!」
『えっいきなりヘイトクライムぶつけられたウッキー!? おのれ猟兵……やはり倒すウッキー!』
「こっちだって微妙に腹の虫の居所が悪いからね! 勝負だよ!」
ということでなんやかんや決戦が始まった!
「ゼファちんの自慢は超高速だそうだけど、私の『ドライ』は光速の矢! いかに速くても光には敵わないよね! 私の勝ちだよ!」
ルエリラがユーベルコードを発動しようとした、しかしその時。
「たしかに私が速いと言っても光速には及びません。しかし、その矢が光速なのは発射された後の話。撃たれる直前の予備動作までは……私の方が速いのです!」
一瞬にして間合いを詰めたゼファーがルエリラに襲い掛かった! 確かに光速なのは矢の速度であり、矢を撃つ前までは光速が保証されていない、これはルエリラ危うしか!
だが!
「残念だよ。今のゼファちんじゃなく、バトルオブフラワーズの頃のゼファちんなら、こんな手には引っかからなかっただろうね……」
ルエリラの静かな声がなんかシリアスっぽく響く。何っ、と思わずゼファーが視線をさまよわせた、その時。
びったーん!!!
と、世界が崩れ去るほどの凄まじい勢いでゼファーは転倒した! それはもう大地に深々とめり込むくらいの凄絶にして破滅的に! なにしろ超高速で動くゼファーである、それゆえにこそ、一度転倒してしまったら、自分で自分に加えてしまう衝撃は想像を絶する! 己自身を滅ぼしてしまうほどに!
「ぐわああああああ!!!!!???? な、なんです……これは!?」
「フッ、さっき猿にあげようとした……バナナの皮だよ!」
おお、まさかあのシーンはただのヘイトクライムではなく伏線であったとは! そう、ルエリラはこっそりバナナの皮を敷き、その上でウインドゼファーをわざと呼び込んだのだ!
「イラストを見た瞬間にピンと来たよ。今のゼファちんはなんか良くわかんないゴテゴテな格好。それに比べて、バトルオブフラワーズの頃は、バイクみたいな格好だったよね。……つまり、あの頃のゼファちんなら……」
「うう、あの頃の私なら……?」
「バイクの免許持ってたはずなんだよ」
「……はい?」
「免許持ってるなら、教わるはずなんだ。『スピードを出せば出すほど、視界が狭くなるので注意しましょう』ってね! つまり、あの頃のゼファちんなら視野に注意して、バナナに気づいたはずさ!」
「そ……そんな馬鹿な……!」
おお、なんと教育にいいリプレイだろうか! そう、あまりスピードを出すと周囲のものがよく見えなくなるので、読者諸氏にもよくご注意願いたい!
かくしてウインドゼファーはバナナの皮により滅亡と相成ったのである。
「免許だけじゃないさ。きっとゼファちんはあのバトルオブフラワーズの頃に、大事なものを忘れてきてしまったんだよ。さあ、末期の情けだよ。逝く前に、心を落ち着ける懐かしい味、芋煮をお食べ」
そっと差し出したルエリラの芋煮を一口食べながら、ウインドゼファーは消え行く前にしみじみと述会する。
「バトルオブフラワーズに大事なものを忘れてきた、ですか……。オブリビオンは一度骸の海に帰れば記憶は途切れます。ですが、何となく……何かをおぼろげに覚えているような気がしなくもありません……」
「へえ、何をかな?」
「……あなた、あの頃はシリアスに戦ってませんでした?」
「うぐっ! ひ、人にはそういう時もあるんだよ!」
うん、人は変わっていくからね。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
全く許せねぇぜ…百合カップルを男に堕としてぇよなァ!エイプモンキー氏!
ハブでいいのか!男なら全てを手に入れて挟まりたいものだろうエイプモンキー氏!
百合が汚れるの好きなのは勿論拙者の性癖でござるが…言いくるめて仲違いさせて同士討ちさせる目的も1mmぐらいあったりはするが…思考がアホなら効くでござろう多分
バリア持ちが同士討ちしてる間に大本をブッ叩くでござるよ!|UC発動《スピーダッ》!拙者も超スピードにて対抗でござるよ
まあ他も強化されてるけどね思考力とか…さりげない位置取りでモンキー達の方に誘導してぶつかる前にしれっと避ける!
加速してたら急に止まれないから気を付けて!
百合の間に挟まるモンキー…
悪魔の甘美にして背徳的な誘いはいつどこで囁きかけられるか誰にもわからない。
そう、秘めやかな夜の静寂の中だけでなく、明るい白昼の中にあってさえも、悪魔は甘い言葉を長い舌にのせ、白い牙を隠しながら、人を堕落させようと、邪悪な羽音を潜ませつつ近づいてくるのだ。
たとえば……。
「全く許せねぇぜ……百合カップルを男に堕としてぇよなァ! エイプモンキー氏!」
……とか、エドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)が言うようにだ。あたかも十年来の親友のごとく馴れ馴れしくエイプモンキーの肩を抱き、黒々とした髭面を近づけながら、悪魔はささやく。
『ななな、何を言うでウッキー!? ミーは親友として、ゼファーとバニーには幸せになってもらいたいウッキーなと……』
「おんやあ? 拙者別に、ウインドゼファーとラビットバニーのことだなんて言ってないでござるがなァ?」
『うぐっ!? そそ、それは揚げ足取りでウッキー!?』
「まあまあ、落ち着いて一杯飲もうぜ相棒」
カラン、と氷の揺れる音が小気味よく響くグラスを勧めながら、エドゥアルトはなおもモンキーにねっとりと蛇の絡みつくように言い募る。
「特定の名前を出してないのにモンキー氏がそう反応したってことはでござる、モンキー氏の無意識の中にも、そう言う願望があんだよ、なあ? 正直になっちまえよ……このままハブでいいのか! 男なら全てを手に入れて挟まりたいものだろう、モンキー氏!」
『ち、ち、違えでウッキー! ミーは……ミーは……!』
薄暗いバーの片隅でくすんだライトに照らされる二人の影は、炎の揺らめきのように頼りなく朧げにうつろう。紫煙の香りが鼻腔をくすぐり、その退廃的な空気は魂の奥まで麻痺させていくような……。
「何をしているのですか猟兵―!!」『モンキーっち、だいじょぶー!?』
「ちっ、もう一歩だったんでござるがな」
おお、その瞬間、得体のしれない幻覚めいた空間は、乱入してきたウインドゼファーとラビットバニーによってガラスのように撃ち砕かれた! っていうかそもそも場末のバーとかどこにあったのって話である!
「まあ、世界を「操縦」して現実を「破壊工作」しつつ「ハッキング」して疑似世界を構築し、モンキー氏の意識を「盗んで」から「言いくるめ」て、「悪のカリスマ」と「精神攻撃」を併用した洗脳をでござるな……」
『でたらめすぎるウッキー!? そのスキルはそういうふうに使うもんじゃねえウッキー!?』
「第六猟兵はルール無用だろ? まあさすがに現実に存在してる相手には無理筋でござろうが、モンキー氏は幻影だからある程度雑になんとかなったっていうか」
「ええい、そこまでしてモンキーを惑わせようとするとはまさに外道です! 私と戦いたいなら私に向かってきなさい!」
憤然と怒りをあらわにするウインドゼファーに対し、しかしエドゥアルトは顎髭を逆立て、目を三角に釣り上げた。
「はああ!? 何言ってんでござるかちょっとマジ拙者キレそう。戦いたいとか何決めつけてんでござる! さっきから言ってんでござろう、百合の! 間に! 挟まりてえんだよお! それが男ってもんなんだよぉぉぉぉ!!」
「何逆ギレしてるのですか!? っていうか主語デカすぎですよ!」
「だって少なくとも拙者そうだもん! 挟まりてえんだもぉぉぉん!」
「なんという欲望とでたらめだけで構築されたベラボーな相手……やはり世界は滅ぼすべきですね、バニーもそう思うでしょう!」
ほらー、エドゥアルトが変なことするからゼファーが逆に闘志燃やしちゃったじゃんよー、どうすんの、責任取って責任!
『ん-、でも待ってゼファちん?』
その時、意外にバニーがゼファーを制止したではないか。どういうことか、まさか挟まらせてもいいと思っているというのか!?
『いや挟まるのはアウトだけどさー、なんかさっきの光景イイカンジじゃなかった? モンキーっちとそのおひげおじさんさー』
「えっ」「えっ」「えっ」
思わず固まるバニー以外の三人。しかしそれにも構わずバニーは夢見るように続ける。
『二人ともワイルドで……髭が似合って……ワルっぽくて……そんな二人がバーの片隅で二人きり……近づく距離……いつしかその影は重なって……やーんエモいー!!!!』
「やべえ、このウサギ、百合のくせにお腐れ様だったでござる!!??」
『やっぱ、あーしはゼファちんと、そしてモンキーっちはおひげおじさんと恋愛すべきだと思うの! ってことでゼファちん、おひげさん捕まえてー』
「じょおぉぉだんじゃねえですぞ!!!」
さすがに泡を喰ってエドゥアルトは逃げ出す。ユーベルコードを使った超高速ダッシュだ! しかしゼファーも無論、自慢の高速機動に物を言わせてエドゥアルトを追尾!
「バニーの願いなら全力でかなえます!」
『いや待つでウッキー!? ミーの意思も確認しろでウッキィィィ!!!!』
もちろんモンキーも大慌てでこれを追う! モンキーの「想像からすべてを創造する能力」がエドゥアルトとゼファーの両者に対して発動! 二人のユーベルコードと同等の速さを発揮したのだ!
かくして極超高速の三人が相乱れての鬼ごっこと相成った! 三つの流星がそこかしこに乱舞する! もうどれが誰だかわからない!
しかし、最後の瞬間に、運命はエドゥアルトに味方した。
「騙し合いで拙者に勝てると思うんじゃねえでござるよぉ!!」
ゼファーとモンキーの軌道を読み切ったエドゥアルトが相互を誘導し、バニーの居場所へと見事に──叩きつけたのである!
「「「ぐえええええ!!!!!!!」」」
かくして三人は同時に空の彼方へと消えていったのだった。
しかし……。
「……あれ? 結局モンキー氏、挟まれて得してんじゃん? しまった、どうせ拙者リスポンできるんだから、拙者が挟まって死ぬべきだった……!」
大成功
🔵🔵🔵
アリス・セカンドカラー
まずは多重詠唱拠点構築結界術で『夜』の領域を展開しエモーショナルな流星群の天体ショー。これでバニーの無敵バリアは解除できるはず。で、お猿さんは……こ、これは天体ショーに映える美少女百合シチュを作り上げたというの?それは確かに私に効果は抜群だわ!(片膝憑いて片手で隠して吐血に見せかけつつ鼻血だばー)化粧ってレベルでは化術?
意味のわからない効果なら本体にダイレクトアタックか、だが、今度は私がソレを逆利用しよう。|鼻血スプラッシュ!《ごにゃーぽごにゃーぽ》まさに禁断の呪法よね。見た目は鼻血の津波でダイアモードの衝撃波に対抗してるっていう……案外エモいのかしら?
なお鼻血の津波の内訳は|タイムフォールダウンで圧縮した時間質量《高速詠唱早業先制攻撃重量攻撃》、空間を|細かく切り刻んで《ハッキング切断解体》|再構築《切断部位の接続》による|位相ずらし《仙術》、そして、|ラッキースケベ❤《多重詠唱幸運》よ。
え、鼻血の量?|百合ごにゃーぽ《妄想》で|魂が肉体を凌駕してるのよ✩《振り絞り、継戦能力》
「ごぼふうううっ!!!!」
漆黒の闇を真紅の鮮血が彩る。おお、それこそは、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)が噴き出した凄絶なる血の飛沫に他ならぬ! 論理と不条理の間隙を華麗に舞う渾沌魔術師たるアリスにいったい何が起こったというのか!
ではその経過を見てみよう! 以下回想!
「まずはあの絶対防御バリアを何とかしないとね」
アリスはウインドゼファーたちの攻略に当たり、初手としてはラビットバニーのバリアへの対策が第一義と睨んだ。バニーのバリアは無敵だが、感激屋のバニーに「エモい」と思わせれば、その瞬間にバリアは雲散霧消する。
「ならば……千の貌持てる悪霊の花嫁、そのヴェールたる夜の帳を広げるのよ!」
それこそはアリスに展開した拠点構築魔術たる結界の効果だ! 周辺は瞬く間に深き夜の闇に包まれ、微かに恥じらうかのように瞬く星の輝きがそっと二人を照らし出す。そう、ウインドゼファーとラビットバニーの二人を。
「何て素敵な夜なのでしょう、バニー。こんな夜をあなたと一緒に過ごせるなんて、幸せです」
『あーしもだよ、ゼファちん。あっ、見て、流れ星! ねえ、お願い事しよ?』
「私の願いはあなたと共にあること。もう叶っていますね、ふふっ」
『やんもう、ゼファちんったら』
「ごぼふうううっ!!!!! 尊い! 尊すぎるわこの二人ぃぃぃ!」
……とまあ、こんな感じでアリスは血を振り撒いたのである。というかもう鼻血どころの話ではない、もう全身の穴という穴から盛大に七孔噴血! あたかも李書文にドツかれたがごとし!
おお、アリスは自らの能力で自爆をしてしまったというのか? いやそんなはずはない、アリスはあくまで、バニーに「エモい」と感じさせる程度に抑えるつもりだったのだ。
それに対し、アリスの構築空間に流れ星という演出を加えることでよりロマンチックな演出を加え、アリスに出血を強いたのは!
『いやごめんウッキー……まさかそこまで興奮するとは思わなかったウッキー。まあミーの友たちを祝福してくれるのはありがたいでウッキーが……うん、百合いいウッキーよね……』
そう、カウンター能力を誇るエイプモンキーだったのだ! モンキーはアリスの構築した百合世界にさらにロマンチックモードを上乗せすることで破壊力(いろんな意味で)を増大! これにはアリスもたまらぬ! しかし!
「……フッ、さすがねモンキー。いいの喰らっちまったぜ。百合っプルのイチャイチャからしか得られない栄養が確かにあるわ……! しかし! 私がこの程度だと思われてはステシにわざわざ「百合寄り」と書いている沽券に関わるというもの!」
『な、なんだってウッキー!? まさかカウンターに対するダブルカウンターを!? 無茶だウッキー! ミーの力はさらにトリプルクロスカウンターを自動発動してしまうウッキー! 体がもたないウッキー! やめるウッキー!』
「だが断る! そう、百合のためならば!」
そうだ、無理を通して道理をひっこめることこそ魔術師の本懐ではなかったか! ましてやそれが百合のためならば、茨の道も優しい花園のごときだ!
……なんかもう、『11の怪物』を倒すとかいう本来の大目的がどっか行ってる気がするが、構わぬ! 美しく清らかに薫風の中楚々と揺れる百合にはそれだけの価値があるのだから!
「術式展開、世界再構築! 『咲き誇れ花々よ』!!」
『仕方ない、トリプルクロス! 『花は薔薇だウッキー』!!』
「まあ、いつの間にかきれいな薔薇の花が。あなたの髪に飾ってあげますね、バニー……あ、いたっ」
『やん、棘に指刺しちゃった? ちょっとだけど血が出てるよ。……気を付けないとダメだよゼファちん。……はむっ』
「あ、バニー……指を唇で……ふふっ」
「ふああああああ!!!!! 何この超ド級エモぉぉぉぉぉ!!!」
おお、百合指キスというきゅんきゅんな光景に、アリスはそれはもう! もう!だ! 吹き出す鼻血の量はすでに数10リットルを軽くオーバー!
『猟兵! これ以上はもう無理だウッキー! やめるウッキー!』
「知らないの、モンキー!? 私たち猟兵は……生命の埒外っ!! そう、熱い魂の叫びは肉体の限界を凌駕するのよ!!!! さらにフォースクロスカウンター!!! 『お揃いのドレス』を追加っ!!」
『おお……百合のためなら命も捨てるその見事な覚悟、確かに受け取ったウッキー! ならばミーもそれに全力で応えるウッキー! フィフスクロスカウンター「ドレスのデザイン!それは!」』
『ゼファちん……あーしみたいなのがこんな素敵なドレス、いいのかな……?』
「世界中の誰よりもあなたがよく似合っていますよ、バニー」
『えへへ、なら、二人で一番似合ってるってことにしよっか。この……』
「ええ、この……」
「『──お揃いのウエディングドレスは』」
「せ5drtcfyvgぶいのmpふじこ、l@;。!!!!!!YIT」
『猟兵! 気を確かに持つウッキー、猟兵ぃぃぃいい!!!!』
「ゆ、百合ウエディング……もうこれ無理……無理すぎる……ぐふはああっ……!」
おお、しかしその瞬間、吐血したアリスの血が遂に臨界点を突破した!
魔術師の血はそれだけですでに生命の深き脈動、命の神秘なる精髄を宿すものだ。それが波打つ大海原のごときこれだけの量集まったとなれば、第一存在原因からネオプラトニズム的に自然すべてが流出して世界を作り出すかのように、自動的に魔術が構築されずにはいないのだ! そう、この世界に存在を許されぬものを……オブリビオンを自動的に排除するために!
今や、増大した鼻血の大海が空間と時間を圧縮し無制限の大質量となって……ゼファーとバニーに踊りかかる!
しかし、それはあくまでも美しく、華麗だった。静かであり、優しくさえもあった。
当然だろう、アリスの血なのだから。百合を愛したアリスの魂の脈動なのだから……。
「バニー、まるでライスシャワーが私たちを祝福してくれているようです」
『えへへ、エモいね、ゼファちん……』
ウインドゼファーとラビットバニーが手を取り合い、熱く見つめ合いながら、世界の彼方へと静かに流されていく様を、アリスとモンキーは遠く見つめる。二人の世界は、今、二人だけで美しく完結したのだと感じながら。
『猟兵、二人は束の間だけど確かな幸せを得ることができたウッキー。友として礼を言うウッキー。ミーもそろそろ消えるウッキー……』
「ええ、同志よ。美しい百合の花咲く果てしない花園で、いつかまた逢いましょう……」
かくて、アリスは胸の奥に揺れる可憐な恋の香りをそっと抱きしめながら、戦場を静かに後にするのだった。
「百合……いいわよね……」
大成功
🔵🔵🔵