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川辺のスタイリッシュ・カッパ・アクション

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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「ピピッ、ピッ、ピー!」
「キュキュッ、ピー!」
 川辺では、何羽もの文鳥が羽をパタパタとさせていた。
 かわいらしく戯れているのかと思いきや、どうにもその文鳥たちはサイズがちょっと大きすぎる。
 もふもふぴっぴとしてかわいいのだが、明らかに普通の文鳥ではない。
 その証拠に、文鳥たちは何故か人間たちを襲っているではないか。
 といっても、攻撃しているわけではなかった。
「ピピッ、さぁさぁ帝王様のお相手をするピ!」
「帝王様と戦うのはとっても名誉なことなんだッピ!」
 雑な語尾で、川辺にいた人々にそう迫っているのである。
 文鳥たちが『帝王様』と呼ぶのは、果たして何者なのか?
 恐らくは文鳥たちを束ねる文鳥のリーダーのようなものなのだろう。
 そう誰もが思った時である。
 ザバァッ!!
 と、音をたてて川の中から何かが現れた。
「ふ……ふふふふ……はははは……はーっはっはっはぁ!」
 川から飛び出すなり川辺の石の上につま先立ちで降り立ち、高らかな笑い声をあげるのは――白い洒落たスーツに身を包み、涼やかな目元のイケメン――ならぬ、イケカッパ。
 緑に輝く皮膚に、クチバシ。美しいバラを持つ指には水かきが。
 きわめつけに、頭頂部を飾るのは金色に輝く皿である。
 どこからどう見てもカッパだった。
「そこな文鳥の言う通り、我こそはフットサラの帝王である! 人間たちよ、我に挑む栄誉を与えよう!」
 前髪をキザな仕草でかきあげ、さながらカメラに向けてウィンクするが如くキメた角度と表情とポーズでカッパはそう告げてくるが、たまたま川に釣りやら洗濯やら遊びやらに来ていただけの人間には何のことやらわからない。
「フットサラこそは至高! 魂と誇りをかけた絶対にして神聖なる決闘(デュエル)にして格闘技にしてスポーツ。その帝王が、貴様ら人間たちの相手をしてやろうというのだ。喜び咽び泣いてこの栄誉にあやかるがいい」
 やはり何を言っているかわからないし、どうしてここまで偉そうなのかも不明だが、どうやら『フットサラ』とは格闘技のようなものらしい。
「どうした? 早くせよ。まさかフットサラができぬとはいわんだろう?」
 まるで洗濯もできないのかと言うような当然さで不可解な顔をするカッパ。
 男ならラップができて当たり前の世界はあれど、フットサラができないなら人権ならぬカッパ権のない世界が存在しようなど思いもしないであろう。
 ぽかーんとしている人々を前に、カッパはやれやれとわざとらしく肩を竦めて溜息をつくと、文鳥たちに指示を出す。
「仕方あるまい。下僕どもよ、無知なる人間たちにフットサラのなんたるかを教えてやれ」
 何かを払うような仕草をしたカッパは、そのまま川辺の大きな岩に偉そうに足を組んで座り見物の姿勢。
 一方で文鳥たちは張り切ったように羽をパタパタとさせ、川辺に居た人々へと迫っていく。
「ピピッ! 了解ッピ!」
「人間ども、帝王様の前に我々がいっちょもんでやるッピ!」
「フットサラも知らない田舎者に、教えてやるッピ!」
 そうしてやはり雑な語尾でもってそう宣言すると、人々に襲い掛かるのであった――。


「すまんが、どうにかしてほしい」
 蓮賀・蓮也(人間のガジェッティア・f01921)は、どこか苦々しい顔でそう言った。
 一度大きく溜息を吐いてから、頭痛をこらえるようにこめかみをもみほぐし、やはり溜息と共に言葉を紡いでいく。
「サムライエンパイアのとある川辺にオブリビオンが現れたので、これを退治してきてもらいたい」
 簡潔にそう言った後で、かなりためらいがに蓮也は詳細を語りはじめた。

 川辺に現れたのは、配下として白い文鳥たちを連れたカッパ型のオブリビオン。
 付近に居た人間たちを襲っているのだが、その襲い方に少々特徴があるという。

「こいつらは、よくわからん『フットサラ』とかいう競技の相手をしろと迫っているらしい」

 フットサラ。
 フットサルの誤字ではない。
 それは、カッパ界において絶対とされる神聖な決闘(デュエル)にして、格闘技にして、スポーツ。
 わかりやすく書くと、Foot皿。

 カッパの頭の皿はとても重要なもの。
 彼らの命にして魂の在処にして誇りの象徴だ。
 その頭の皿を懸け、頭の皿を用いて行う競技が『フットサラ』である。
 カッパの頭の皿を模した『跳皿(とびざら)』を蹴り合い、自分の頭の皿を守りつつ相手の頭の皿を割った方が勝つという、なかなかにデンジャラスな競技だ。

「競技の内容は正直どうでもいいんだが……」
 命に別状はないとしても、普通に迷惑なので退治してほしいと蓮也は言う。

「カッパは自分を帝王として慕う文鳥たちを連れている。数が多いので、カッパと戦う前にこいつらをまず片付ける必要がある」
 大して強くないが、数が多い。
 そしていざとなるとそのかわいさを武器にしてくるので注意した方がよさそうだ。
 何故かカッパを帝王として崇拝しており、猟兵たちにもフットサラをするよう言ってくるだろう。
「付き合う必要はないが、興味があるならそれっぽいことを言ってフットサラの一貫だと思わせれば隙をつけるかもしれない」
 文鳥たちは個々が弱いのでそこまでする必要はないが、フットサラっぽさを出せば行動を多少誘導できるのはカッパも同じらしいので、余裕があったら狙ってみるのもいいかもしれない。
 フットサラの詳細は前述の通りだが、つまりは皿を頭にのせて皿を蹴り合う競技なので、皿を頭にのせたり皿を蹴ったり、皿っぽい何かで気を引いたり、そうしたことをしなくともフットサラ勝負を挑むと言えば意識はそちらに向くし、攻撃よりも競技を優先するという。
「いないとは思うが、純粋に競技を挑みたいならそれも有りだ。何しろ魂と誇りのぶつかりあいらしいので、相手は疲弊するからな」
 まったく無視して普通に戦闘しても当然、構わない。

「ああ、そうだ。言い忘れたが、カッパを倒してしまえば後は平和な川辺なので、川で遊んでくるのもいいんじゃないか?」
 川の周辺の村では祭りや季節の行事の際にトンボ玉を川に流す風習があるらしく、川底にはたくさんのトンボ玉が沈んでいるという。
 行事が終われば子供達が遊びの一貫で拾ったりするので、特に問題ないらしい。
 それどころか適度に拾わないといつの間にかトンボ玉だらけになるので、遊びに来た人が拾ってくれが方がありがたいそうだ。

「川遊びはともかく、敵はその……なんというか……意味不明だとは思うが、よろしく頼む」
 そう言って頭を下げた蓮也は、なんだか胃の辺りを押さえているようだった。


江戸川壱号
江戸川壱号です。
だいぶ今更感がありますが、念願の河童シナリオです。
よろしくお願いします。

<構成>
●第1章:ぶんちょうさま戦
●第2章:カッパ戦
●第3章:川でトンボ玉拾い
という流れを予定しております。

<フットサラについて>
ボールではなく皿を蹴り合い、相手の頭の皿を割った方が勝ちというカッパ界の謎格闘技です。
自分の皿が割れたら負けです。
遠距離皿河童空手みたいなものだと思ってください。
もしフットサラを挑んだりフットサラぽいアレコレで気を引く場合、前述部をふわっと把握していただいた後は基本的に言ったもの勝ちなのでノリで適当にどうぞ。

<第三章について>
お友達と参加される場合は冒頭に同行する相手のIDを全て書くか、グループ名を【】でくくってお書きください。
また、なるべくプレイング送信時期を合わせていただけると助かります。

<プレイング受付期間等について>
第一章は4月8日(月)8:31から受付開始とします。
また二章以降についてもスケジュールの都合で、受付期間を指定している場合があります。
万全を期したい方は、プレイング送信前にMSページ冒頭をご参照ください。
再送は大歓迎です。
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第1章 集団戦 『ぶんちょうさま』

POW   :    文鳥三種目白押し
【白文鳥】【桜文鳥】【シナモン文鳥】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD   :    文鳥の海
【沢山の文鳥】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    魅惑の視線
【つぶらな瞳】を向けた対象に、【嘴】でダメージを与える。命中率が高い。

イラスト:橡こりす

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

虚戯・禊
んむ……とりあえず斬れば良いんだよね……?

フットサラとか言われても良く解らないしかわいいとか自分には関係無いし、普通に【怪力】と【ダッシュ】で【巨刀・巌鉄】を用いて接近しながら凪ぎ払うのを繰り返せば終わるかな?

文鳥の攻撃に関しては相手の動きを【見切り】、【第六感】と【野生の勘】で察知して回避する。

ユーベルコードは必要であれば剣刃一閃でも叩き込んでおこう。

「……鳥……焼いて食えば旨いかな?」




「……鳥……焼いて食えば旨いかな?」
 わらわらといる文鳥をみて、虚戯・禊(薩人ドラゴン・f05214)の口からはそんな言葉がこぼれ落ちる。
 大きいだけに食べ甲斐はありそうだが、はたして美味しいかどうかは定かではない。
 その前に倒した後に肉が残るかどうかの方が問題かもしれないが。

「ピッ? なかなかやる気がありそうなやつッピ!」
 まさか味について考えられているとは知らず、文鳥たちは雑な語尾で囀りながら禊の方へと寄ってきた。
 どうやら禊の戦闘態勢をフットサラへのやる気と勘違いしているらしい。
 その小柄な体に不似合いな巨大な刀を手にしているせいか、確かにやる気はありそうだ。フットサラへのやる気ではないけれども。
「フットサラ……?」
 こてりと首を傾げる様はとても巨大な刀を手にしているとは思えず、年齢よりも若干幼く見えるくらいだ。
 しかしその(胸元を除けば)幼ささえ感じさせる体に似合わぬ戦闘力を禊は秘めている。
「さぁ、かかってくるといいッピ!」
「かる~く揉んでやるッピ!」
 文鳥たちはこれで飛べるとはとても信じられない短い羽を器用に動かし、挑発するように手招いてみせたが――そんな態度がとれたのはそこまでであった。
 禊が傾げていた首が戻るのにあわせて、実に気軽く巨刀が動く。
 目の前のことをただ受け止める極自然な表情のまま、小さな足が軽く地を蹴って、巨刀ごと小柄な体を飛ばした。
 宙に浮いた体は、勢いのまま前に。
 挑発してきた文鳥どころか、その周囲にわらわらといる多数の文鳥たちまでが既に射程範囲だ。
 わずかの距離の先へ着地するのを待たず、まるでモップのような気軽さで巨刀が背後から前方へと半月を描く。

 一閃。

 それだけで、禊の前にいた文鳥だけでなくその周囲半径数メートルにいた文鳥たちが根こそぎ霧散した。
「ピッ!? いきなり斬るとか酷いッピ!」
「スポーツマンシップに反してるッピ!」
 射程外にいた文鳥たちは喚くが、残念ながらこれは戦闘なのであった。

「んむ……?」
 敵であるのだからとりあえず斬ればいいのだろうと思ったのだが、違ったのだろうか。
 禊は再びこてりと首を傾げるが、文鳥たちが喚きつつ反撃してきたのでやはり合っていたのだと判断し、再び鉄塊のような刀というか刀のような鉄塊である巨刀を振り回した。

成功 🔵​🔵​🔴​

アテナ・カナメ
偉そうな河童にたくさんの文鳥…色々ふざけた相手ね…フットサラもやらなきゃだけどまずは文鳥ね。…正直可愛いけどアイツらはオブリビオン。倒さないと!

【作戦】仲間と連携。「燃える正義の炎!アテナマスク見z!…ってちょっ!いたた!つつかないで!名乗りぐらいさせなさいよ!フットサラはそんなに卑怯なスポーツなの!?」
敵の攻撃は【見切り】と【怪力】で対処。「当たらないわ!」。そして「ほらほら、こっちよのろまな鳥さん達」と【挑発】し、近づいてきたところをフレイムショットで燃やすわ。「焼き鳥にしてあげる!!」
【その他】つぶらな瞳で見つめられたら「か、かわいい…」と一瞬攻撃を躊躇する


アルバ・アリエスティーニ
ヒーローズアースでも色んなものがありますが…知らないことがまだまだ沢山ありますね…世界って広い…
ブンチョウ…鳥なんですよね?
一体どんな…(もふもふぴっぴな姿に)
こんな可愛い生き物がいるのか…(仕事モードの口調が思わず本来の姿に戻ってしまった)

おっと…いけない…
相手はオブリビオンですからね…倒さなければなりません…
決して私のリゾートで売り出せば集客が…とか考えてませんから

UCでビリヤードボールを出したら、custom cueを構えてショットします
目には目を歯には歯を、数には数を
ビリヤードってメンタルゲームですからね
惑わされないよう心を鬼にしてブンチョウたちを迎え撃ちましょう

アドリブ・共闘歓迎




 川辺を埋め尽くすような文鳥を前に、アテナ・カナメ(アテナマスク・f14759)は一度ぐっと拳を握りしめた。
(「……正直可愛いけど、アイツらはオブリビオン。倒さないと!」)
 それがどんなにふざけた相手――例えばやたら偉そうに妙な競技を挑んで来る河童だとか、雑な語尾ながらつぶらな瞳のかわいい鳥だったとしても、退治するのが猟兵の、そしてヒーローたる者の役目。
 アテナは文鳥にときめく心を押し隠し、ヒーローらしく毅然とその辺の岩の上に立つと、正々堂々名乗りを上げる。
「燃える正義の炎! アテナマスク見ざ……って、ちょっ! いたた、いたいっ。つつかないで!」
 ところが名乗っている最中にも関わらず、文鳥たちはアテナを取り囲みかわいらしいクチバシでピッピッとつついてくるではないか。
「名乗りぐらいさせなさいよ! フットサラはそんなに卑怯なスポーツなの!?」
 それは攻撃というほどのものではなかったが、なにしろアテナがまとうのは服というのをためらうくらいに布面積が少ない水着めいた衣装のため、ダメージ関係なしに突かれればチクチク痛いのだ。
 アテナの抗議に文鳥たちは首を傾げるような仕草をする。
「フットサラするッピ?」
「でも皿がないッピ」
 そして何羽かが顔を見合わせて相談した結果、やはり競技参加者ではないと結論づけたようで、再び一斉に襲い掛かってきた。

 その少し前。
 もう一人のヒーローであるアルバ・アリエスティーニ(Break shot・f16616)もまた、もふもふぴっぴしている文鳥たちを前に色々な意味で衝撃を受けていた。
 一体どんな姿なのかと思っていたが、実際に目にした『ぶんちょうさま』は想像していたどんな姿よりも可愛かったのである。
「こんな可愛い生き物がいるのか……」
 かわいさという衝撃に、思わず口調も仕事モードからプライベートモードに戻ってしまうというもの。
「おっと……いけない……」
 咄嗟に口元を押さえて心を落ち着ける。
 そう、どれだけ可愛くてもオブリビオン。猟兵としてヒーローとして倒さねばならない。
 決して自分のリゾートで売り出して集客アップ! とか狙っていない。
 文鳥たちによるかわいいを極めたショーだとか、かわいさで客を虜にする文鳥ディーラーだとかは考えてもいない。
 頭を振って雑念を振り払うと、アルバは専用のビリヤード・キューである『custom cue』を手でくるりと回してから構えた。
 カジノゲームもビリヤードも技術は勿論だがメンタルが物をいうゲーム。
 愛用のキューを構えエネルギーを籠めたビリヤードボールを宙に配置すれば、自然と心は落ち着いて意識が研ぎ澄まされていく。
 狙う先には数多の文鳥。
 ひとつふたつの攻撃で消える量ではないが、目には目を、歯には歯を――そして数には数を、だ。
「……散れ」
 狙い澄ましてボールを突けば、真っ直ぐに飛んでいって密集している文鳥の突端に綺麗に当たり、もふもふした体を吹き飛ばしていく。
 吹き飛ばされた文鳥は隣の文鳥にぶつかって吹き飛ばし、吹き飛ばされた文鳥はその先でさらに別の文鳥を吹き飛ばし……と、次々連鎖して吹き飛んでいく様はまさにビリヤードだ。
 そして飛ばしに飛ばされた最後の文鳥が飛び込む先はコーナーポケット――ではなく。
 アテナをつついていた文鳥たちの一団であった。

 もふもふ団子の中に詰められているような状態だったアテナは、この援護でようやくちょっぴり幸せな窮地を脱する。
 感謝の言葉をアルバへと投げたアテナは、さっそく得意の炎をまとって文鳥たちを退けた。
 一度抜けてしまえば、文鳥たちはさほど素早くも強くもない。
「ほらほら、こっちよ。のろまな鳥さん達!」
 囲まれないよう距離をとりつつも挑発して動きを誘導し、近寄ってきたところを炎に飲み込ませる。
「焼き鳥にしてあげる!!」
 次々と宣言通り焼き鳥にされる仲間を見てこれは危険と悟ったのか、文鳥たちはすかさずつぶらな瞳でアテナを見つめてその注意を逸らそうとした。
「く……っ、こんな攻撃……! ……でも、か、かわいい……!」
 かわいさに手が止まった隙を見て、襲い掛かる文鳥。
 
 このピンチを救ったのもまた、アルバのビリヤード術であった。
「キュピ!?」
 つぶらな瞳でかわいさを訴える文鳥を、横合いからビリヤードボールが跳ね飛ばしていく。
 ビリヤードやカジノで鍛えたアルバの精神力をもってすれば、かわいい文鳥の誘惑に耐えることなど簡単……とはいかなくとも可能だ。
 サイズはちょっと大きいしなんだかもふっとしているが、丸いし、ビリヤードボールのようなものだと思えばいい。
「さぁ、ゲームはまだ始まったばかりですよ」
 アルバは心を鬼にして、文鳥たちを次々と撃ち飛ばしていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

グロリア・グルッグ
「話は全て聞かせてもらいました! フットサラの帝王、あなたの時代はここまでです!」
「さぁやってしまいなさいゴーストさん! 彼らのサラを割るのです!」

新進気鋭な挑戦者的ムーブでフットサラ競技を挑みます。
ユーベルコードで格闘技術に優れた宿敵の霊を呼び出して、私の代わりに戦ってもらいましょう。
頭にのせるお皿は電脳魔術で表示させ、体の動きや敵からの攻撃を反映するようにしてちょっとだけ頑丈な割れないやつを用意します。
私は後ろの方で高みの見物をしつつ、電脳魔術を介して敵の動きを伝えるなどのサポート役に回りますよ。
つぶらな瞳を向けてきた時がチャンス、嘴で突きに来た所にカウンターで皿を叩き割ってやりましょう。




 混戦状態となった川辺に颯爽と現れたのは、ユーベルコードにより呼び出した電脳機兵を伴ったグロリア・グルッグ(電脳ハッカー・f00603)である。
「話は全て聞かせてもらいました! フットサラの帝王、あなたの時代はここまでです!」
 大量の文鳥の奥、大きな岩に偉そうに座る自称帝王は興味を惹かれたように片眉をあげてみせた。
 これが特定種別の小説であったなら「へぇ、面白いやつ」とでも言いそうな表情である。
 グロリアが召喚した霊の頭部には既に電脳魔術で皿をセット済み。
 そこへこの台詞だ。
 文鳥たちはグロリア達をフットサラ挑戦者と認定し、瞬時に試合モードに入る。
「帝王様に挑む実力があるかどうか、我々が確かめてやるッピ」
 対戦相手となった文鳥は丸い頭に皿をセットし、その短い羽にも皿を持って構えた。
 互いに準備は万端。
 審判役の文鳥が白い皿を空高く投げ――それが地面に落ち、割れた瞬間が試合開始の合図となる。
「さぁやってしまいなさいゴーストさん! 彼らのサラを割るのです!」
 高らかに手を掲げ、霊に指示を出すグロリア。
 このために呼びだした格闘技術に優れた霊だ。さらに電脳魔術を介してグロリアがサポートすれば遅れをとることはない。
 なにしろ文鳥たちの脚はあまりにも短い。
 皿を脚で蹴るフットサラには不向きなのである。
 短い脚で頑張って蹴った皿が飛んでくる起動を計算して伝えれば、ゴーストは苦も無く蹴り返してみせた。
 そして相手に皿が戻る前に、こちらの跳皿で攻撃に出る。
「は、速いッピ!?」
 自分の皿と相手の皿がほとんど間をおかずに飛んできては、迎撃する皿がない。
 文鳥は必死で短い羽をパタパタとさせ、体ごと皿に飛び込むようにしてなんとか自分の跳皿を蹴り、ゴーストの皿を弾いた。
 ファースト皿はイーブン。
 内容は圧倒的にグロリアたちが上だが、油断はしない。
 グロリアは空中に浮かべた電脳モニタでデータを確認しつつ、後方から的確にゴーストをサポートしていくが、決着がつくのは予想以上に早かった。
 三度まではギリギリ防いだものの、飛ぶ力すら残っていなかった文鳥が己のつぶらな瞳に懸けたその瞬間――つまり、フットサラとしての勝負を捨てた時点で、試合の結果は決まったのだ。
 力なく飛んできた皿を強烈な蹴りで返した皿カウンター。
 グロリアのサポートにより完璧な軌道を描いたそれは、文鳥をその頭の皿ごと叩き壊したのである。

成功 🔵​🔵​🔴​

クロエ・ウィンタース
【白狼館】
クリスめ、珍妙なものに興味を持ってからに
フットサラなんぞ聞いたことが無いぞ

>行動
【SPD】アレンジ歓迎。他フットサラ参加者とも共闘歓迎
ぶんちょうさまはもふもふしているので斬るには微妙に消極的
クリスの詐術に任せよう
敵が頭に皿を載せたらきゅんとしつつ自分も皿を載せてフットサラに参加
仕方がない、可愛いしモフモフしているしな
そのあと皿を割に行く。頭に皿を載せても動きには支障ない
ちょっと邪魔なら首の力でぽんと宙に浮かせて攻撃した後、頭でキャッチ
【フェイント】を織り交ぜ【2回攻撃】で皿を狙う
相手が負けを認めない、煽りがひどい場合はモフモフでも容赦はしない
ざっくり斬るぞ。可愛くても限度があるのだ


クリストファー・ブラックランド
【白狼館】
ああ、フットサラだろ。知ってる知ってる。
俺、フェアリーでライセンス持ってるし。
田舎のファッションリーダーみたいな河童なんか
世界レベル知らん草フットサルだろ(←知ったかぶり全開)
準備するもの:皿(妖精サイズも)
河童の皿割れるよう、踵に鉄板入れた靴。

■対文鳥
「おう、お前ら。フィールド入ってんのに何で皿付けねえんだよ。」
と文鳥に皿着用を強いるフェアリー(頭に皿着用済)
スポーツマンシップ溢れる紳士の笑顔で、
しれっと大き目な皿を差し出し、
ぶんちょうさまの頭周りを重くし、機動力を削ぐ。

非常時は自分の皿を守り、ジャッジメントクルセイド。
情熱やら想いを乗せたフットサラビーム(テキトー)で敵を薙ぐぜ。




「おう、お前ら。フィールド入ってんのに何で皿付けねえんだよ」
 仕掛けられる前に自分からフットサラを仕掛けにいくという勇気ある行動をとったのは【白狼館】の二人――クリストファー・ブラックランド(ホロウブラック・f04805)とクロエ・ウィンタース(刃狼・f15418)であった。
 二人の頭部には、もちろん既に皿がセットされている。
 しかも今日初めて載せたとは思えぬ安定した皿っぷりである。
 そのベテランの風格にざわつく文鳥たち。
「お前たち……素人じゃないッピ?」
「まあな。俺、フェアリーでライセンス持ってるし」
 クリストファーが誇るでもなしにサラリと言い切ったため、文鳥たちは更にざわついた。
「ぷ、プロのフットサラ選手ッピ!?」
 果たしてそんなものが存在するかは不明だが、文鳥たちは二人をプロフットサラ選手と認識したようだ。
 それについては否定も肯定もせず、ちらりとカッパの方を見て肩を竦めてみせるクリストファー。
「あんな田舎のファッションリーダーみたいな河童なんか、世界レベル知らん草フットサラだろ」
「帝王様を侮辱するなッピ!」
 二人の風格に怯んでいた文鳥たちだが、帝王を馬鹿にされるのは許しがたいらしい。
 羽を激しくバタつかせて抗議する文鳥に対し、クリストファーはスポーツマンシップ溢れる紳士的な笑顔を浮かべながら、自らが用意した――文鳥には少々大きめの皿――をそっと載せてやる。
 とても靴の踵にカッパの皿をかち割るための鉄板を仕込んでいるようには見えない。さすがクリストファー、容赦がないぞ。
「勝負はフィールドで、だろ?」
「の、望むところッピ!」
 不利な皿を載せられたとも知らずプロの皿を借りちゃったッピと嬉しそうな文鳥を相手に、クリストファーは内心でほくそ笑み、一方でクロエはその少々ヨタつく姿にキュン……とトキメいていた。
 聞いたこともない『フットサラ』なる珍妙な競技にクリストファーが興味を引かれた時にはどうしたものかと思ったが、このような可愛らしいもふもふと戯れられるのなら悪くはないかもしれない、とクロエは思う。
 彼の準備と口車のおかげですんなりとフットサラ勝負に持ち込めたため、もふもふといきなり斬り合うことにならなくて済んだのも幸いだ。
 それにしても、よくあれだけサラサラとないことを言って堂々としているられるものだと、妙な感心さえしてしまう。
 ともあれ、ついにフットサラだ。
 聞いたこともなかった謎競技。不安はあるが、考えても仕方のないことなら考えないのがクロエの性分である。
 剣を振るうために鍛えた体は体幹もしっかりしているせいだろう、皿を載せていても動作に支障はない。
 しかも相手は可愛いもふもふだ。相手にとって可愛さに不足なし。

 まさかのプロの参戦に文鳥たちが協議したした結果、ハンデとして2対多数の試合となったが【白狼館】の二人にとってみれば何の問題もない。

 試合開始の皿が投げられ、割れた瞬間にクロエは動き出した。
 文鳥たちが短い足でなんとか皿を蹴ろうとしている姿を目に焼き付けつつも、容赦なく頭の皿を狙いにいく。
 こちらに向かってきた皿も余裕を持って蹴り返し、あっという間に2話の文鳥の皿を割ってみせた。
 クリストファーもまた自分が与えた皿をのせた文鳥を狙い、皿を割ることに成功している。
「さすがプロ……ッピ!」
 2対多でありながら一気に複数をファースト皿で決着せしめた二人に、文鳥たちはおののくしかない。

 クロエは剣士としての安定した動きで自在にフィールドを駆け、自分の皿と相手の皿を巧みに利用して時に惑わせつつも次々と攻撃を繰り出していった。
 見る間に文鳥たちの皿は割れていくが、さすがに多数を相手にしていれば自皿に危険が迫ることもある。
 クロエはそれもことごとく避けてみせたが、中でも首の力で反動をつけ頭に載せた皿をポンと宙に浮かせて敵の皿を避け、また頭でキャッチするという曲芸じみた技には文鳥たちからも拍手が起こり、偉そうなカッパでさえも口笛を吹いたほどであった。
 クロエの動きもプロの貫禄を醸し出していたが、クリストファーももちろん負けていない。
 体が小さかろうと皿が小さかろうと、猟兵にとってそんなものは障害ではないのだから。
 最初の一匹以外でもプロの皿を借りたいという文鳥に皿を渡していたこともあって、動きのにぶい文鳥を相手を遠慮なく狙っていった。
 とはいえ途中でたくさんの文鳥を相手にするのがめんどくさくなったのだろうか。
「これで最後だ。情熱やら想いやらを乗せた、フットサラビームをくらえ」
 かなり適当に棒読みで言って、残った文鳥たちはジャッジメント・クルセイドでさっくりと薙ぎ払う。
 文鳥たちからはプロの技はすごいという驚愕と賞賛のみで、特に抗議はなかった。
 チョロい。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

御宮司・幸村
【WIZ】
ベル君(f12926)と共闘

わぁ、ベル君…かわいいねー?
おじさん、ああいう生物好きなんだー
語尾に「ッピ!」とか付ける所も良いよねー!

(耳打ち)うん…倒すの簡単そうだけど、ここはひとつ、かわいがってからにしない?

そう言う訳で、発動!パラサイトパラライズ!

敵の動きを封じたら、思う存分ふわもこを満喫するよー
ベル君もおいでよ、動かないから怖くないし

一頻りふわもこを堪能したら、【鎧無視攻撃、鎧砕き】で敵の防御を無効化した後
タクティカルタッチペンを【武器改造】、【怪力】を乗せて【傷口をえぐる】ように攻撃をするよー

…どんなにかわいくても、未来を脅かす過去を排除するのが、猟兵の役目だもんねー


アルベルト・サーシェス
【WIZ】
ぐっさん(f02948)と一緒に

とても小さくて……食べる箇所は余り無さそう…え、あ、はい。可愛いですね!

わかりました、ぐっさんが堪能し終わるまで邪魔が入らないようにするので、心置きなく楽しんで下さい!

【水ノ檻】で敵を捕獲し、動きを封じて、ぐっさんが堪能し終わるのを待ちます。

ぐっさんはふわふわで、語尾に「ッピ」を付ける方が好み…だとすると、ハーピー型キマイラさんが好みなのでしょうか。

あわわ、僕は別に怖いからそっちに行かないわけでは…わかりました、行きます。
……ふわふわだぁ。

堪能したら『怪力』で片っ端から倒します!
水ノ檻ごと握り潰せたら良いのに…

可愛そうですが、悪は悪なので…すみません。




 川辺はなかなかにカオスな状態になっていた。
 一角ではざっくざくと文鳥たちが戦いによって倒され、またある一角ではフットサラの勝負が行われている。

 そんなカオスにいま、新たにもうひとつの要素が誕生しようとしていた。

「わぁ、ベル君……かわいいねー?」
 わらわらと川辺を埋め尽くす文鳥を眺め、のんびりとした口調で同行者に声をかけたのは御宮司・幸村(いいかげんサマナー・f02948)である。
「おじさん、ああいう生物好きなんだー。語尾に『ッピ!』とか付ける所も良いよねー!」
 自らをおじさんと称する通りパッと見は渋めのおじさんといった風体だが、その気になればハードボイルドな雰囲気を醸し出しそうな顔も今はにこにこと緩んでいた。
「……え、あ、はい。可愛いですね!」
 話かけられたアルベルト・サーシェス(泡夢・f12926)が慌てて同意したのは、話を聞いていなかったのではなく最初に文鳥たちを見て抱いた感想の内容のせいだろう。
(「とても小さくて……食べる箇所は余り無さそう……」)
 と思っていたことは内緒だ。
 アルベルトがあわあわしていると、幸村はその耳元へと顔を寄せてこっそりと耳打ちしてくる。
「うん……倒すの簡単そうだけど、ここはひとつ、かわいがってからにしない?」
 文鳥たちを横目で見つつの提案に、アルベルトは一転して決意に満ちた表情でこくりと頷いてみせた。
「わかりました、ぐっさんが堪能し終わるまで邪魔が入らないようにするので、心置きなく楽しんで下さい!」
 意気込んだ同意に幸村は嬉しそうに目を細めてから、思う存分もふもふを堪能する場を作るため、ユーベルコードを発動する。
「地獄に住まう虫達よ、我に仇なす者の動きを止めよ――パラサイトパラライズ!」
 特に密集しているあたりを狙って放つが、何かが起きた様子はない。
「? なにしたッピ?」
「なにも起きないッピよ?」
 だがそれは、見た目だけのこと。
「……ピ!?」
 幸村が麻痺を引き起こす寄生虫を召喚したのは、文鳥たちの体内だ。
 何も起きなかったと油断したところで体が動かないことに気付くという恐ろしい技だが、今は文鳥たちを思う存分もふるため、というとても平和的な使い方である。
 アルベルトもまた意気込みのままに水を喚んで文鳥たちを囲い込み、その動きを封じていった。
「洗濯機の中みたいッピ!?」
 多くの文鳥たちが動きを止めたのを見て、幸村は機嫌良さそうにもふりに近づいていく。
 その背中を見ながらアルベルトが思うのは、さきほどの幸村の言葉だ。
(「ぐっさんはふわふわで、語尾に「ッピ」を付ける方が好み……だとすると、ハーピー型キマイラさんが好みなのでしょうか……」)
 嬉しそうにもふもふと戯れ、もふもふを堪能している幸村を見守っていると、どうしてかそんな考えが浮かんでくる。
 愛でるかわいさと好みは別かもしれないし、だからなんだということでもないのだけれど。
「ベル君もおいでよ、動かないから怖くないし」
 ぼんやりとそんな思考に囚われていたアルベルトの引き上げたのは、もふもふの園へと誘う幸村の声だった。
「あわわ、僕は別に怖いからそっちに行かないわけでは……」
 慌てて弁解するけれども、きっと幸村はぼうっとしていたことや自分の性質を気遣ってくれたのだろう。
「わかりました、行きます」
 焦る気持ちを抑えて眉を下げた笑みをみせたアルベルトはゆっくりとそちらへ近づいて行き、勧めに従ってもふもふを堪能することにした。
「……ふわふわだぁ」
 動けない文鳥はつぶらな瞳をうるうるとさせているが、この際なのでそれは気にしないことにして、その白くてふわふわな羽毛に頬ずりする。
 何もかも包み込むようなその感触は心まで温かくなるようで、幸村もアルベルトも、気が済むまでもふもふを堪能するのであった。

 もちろん二人は猟兵なので、堪能し終わった文鳥たちはきっちりと退治するのも忘れない。
「……どんなにかわいくても、未来を脅かす過去を排除するのが、猟兵の役目だもんねー」
 幸村は傷口を抉るようにタクティカルタッチペンのペン先を操って容赦なくふわふわごと貫き。
「可愛そうですが、悪は悪なので……すみません」
 アルベルトは『水ノ檻』ごと握りつぶせたら楽なのにと思いながら、その優しげな顔に似合わぬ怪力でもって片っ端から叩き潰していった。

 どんなに可愛くても、オブリビオン。
 せめてふわふわを味合わせてくれた分、苦しまぬように骸の海へと送ってやるのが仏心というものだろう。
 多くが動けない状態だったこともあって、すんなりと戦いは進み――気が付けば、川辺を埋め尽くすようだった文鳥たちは随分とその数を減らしているようだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

タビタビ・マタタビ
【SPD】(UC)で判定

フットサラ……世界は広いなあ……決闘の方法色々ある……

ボクは河童じゃないから、皿の代わりに、このねこ王冠を賭けるよ!
ほらほらぶんちょうさま~、こちらだよ~

まんまとつられて跳皿を蹴って来たら、それをかわして剣の【二回攻撃】。
……え、騙しうち? 武器を使うなんてずるい、だって?
何を言うのさ、フットサラは非情な決闘でしょ? 君の皿を割らないでおいてあげただけ、慈悲深い猫だと思って欲しいなっ!(自分でも何を言ってるかわかってない)

ボクの話やら何やらで隙が出来たら、フットサラはおいておいて普通に【駆猫鋭爪】でぶんちょうさまにアタック。
しゅばばーっと爪で切り裂くよ!皿じゃなく体を!




 川辺の一角では、かわいい決定戦が行われようとしていた。

 対峙するのはもふもふぴっぴな文鳥と、もふもふ毛並みの少年騎士ケットシー、タビタビ・マタタビ(若き猫黒騎士・f10770)。
 かわいいもふもふが二倍。まさにかわいい決定戦である。

(「フットサラ……世界は広いなあ……決闘の方法色々ある……」)
 タビタビは油断なく剣を構えながらも、感慨深く対戦相手たる文鳥たちを見やった。
 騎士にとって決闘はつきものだが、初めて聞いたこのフットサラという決闘はだいぶ変わっている。
 しかも、かなりゆるい。
 なにしろ――。
「ボクは河童じゃないから、皿の代わりに、この『ねこ王冠』を賭けるよ!」
 とタビタビが言ってみたところ、すんなり通ったくらいだ。
「王冠ならば仕方ないッピ」
「皿に負けずとも劣らぬ誇りの結晶ッピ」
 その流れで、騎士に剣はつきものということで剣も許された。
 足のかわりに剣で皿を跳ばす前提のようであったが、持ったままの状態で試合が始まってしまえばどうとでもなる。

 ともあれここに、フットサラかわいい決定戦の火蓋が切られたのであった。
「ほらほらぶんちょうさま~、こちらだよ~」
「余裕ぶっていられるのも今のうちッピ!」
 剣を振って催促すれば、文鳥たちは張り切った様子で跳皿を蹴ってくる。
 フットサラの試合と考えればここは受け止めて蹴り返すところだが――タビタビはすっと皿を避けると、自らの皿を剣で叩き飛ばすこともなく、そのまま剣で文鳥たちを素早く斬りつけたではないか。
 皿を割られるまでもなく本体をスッパリと斬られて消えていく2羽を見て騒ぎだす文鳥たち。
「ひ、卑怯ッピ!」
「騙しうちッピ!」
「……え、騙しうち? 武器を使うなんてずるい、だって?」
 パタパタを短い羽をさかんにパタつかせて抗議する文鳥たちに、タビタビは臆することなく答えてみせる。
「何を言うのさ、フットサラは非情な決闘でしょ? 君の皿を割らないでおいてあげただけ、慈悲深い猫だと思って欲しいなっ!」
「な、なるほどッピ!」
「勝負の世界は非情ッピからね……」
「仁義なき決闘(デュエル)ッピ……」
 まさかのチョロさにより納得された。
 なので遠慮なくフットサラを放り投げ、かわいいけれども鋭い爪で、しゅばばーっと文鳥たちをさくさく退治していったのであった。

 ――合掌。

成功 🔵​🔵​🔴​

リア・ファル
共闘・アドリブ歓迎

【心情】
人を襲うのは感心しないね、じゃあボクがその『フットサラ』に付合ってあげるよ
まずは文鳥達と戯れようか

【行動】
ざっくり情報収集してフットサラの概要は掴んだ
え…ボクが独りで戦うつもりかって?
足りない人数はUC【召喚詠唱・楽園の守護者たち】を使用した
アニマロイズ達で補うから数的不利はないよ

対戦相手の文鳥達は皿を付けてるんだね
ならば跳皿をシュートして文鳥達の皿を破壊することを狙おう
「軌道、敵の行動予測演算! いくよ!」

浮き皿となった跳皿に、鋭い縦回転のシュートを放つ!
(リアの背後に浮かぶ、文鳥のイメージ)
「これがドライ文鳥シュートだ! イケェーっ!」




 これまでの試合やら戦闘やらをへて川辺の文鳥たちは次々と数を減らし、いつの間にやら残るは10体ほどとなっていた。
 それでもフットサラを嗜む者としての矜恃からか、文鳥たちは最後まで戦い抜くことを誓って頭に皿をのせる。
「なんとしても一矢報いてやるッピ」
「勝負だッピ!」
 これと向き合うのはリア・ファル(三界の魔術師/トライオーシャン・ナビゲーター・f04685)と、そのユーベルコートにより召喚されたアニマロイズたちだ。
 リアにとって、どんな競技であれ他者に強要し襲いかかるというのは感心しないことである。
 だがまぁそれだけ競技に思い入れがあるのならば、多少付き合ってあげようという気持ちもあった。

 フットサラなど初めて聞いたが、元々は宇宙船の中央制御ユニットであり電脳魔術士として活躍するリアにとっては調べることなど造作もない。
 競技の概要は勿論のことルールやマナーも把握済みで、アニマロイズたちがいれば数の不利も覆せる。
 となればもはや障害はなく、リアは余裕をもって試合に臨んだのであった。

 リアが選んだのは積極攻勢だ。
「軌道、敵の行動予測演算! いくよ!」
 演算は一瞬。
 敵の行動予測も加えて、最適な蹴り方とルートを弾き出す。
 完璧に近い命中率を示したそれに従い、リアとアニマロイズたちは空高く皿を放り投げた。
「どこを狙ってるッピ?」
「素人の蹴りだッピ」
 その行動の意味するところも知らず、宙に浮いた皿を見て余裕の態度を見せる文鳥たち。

 だがそれに構うことなく、リアは計算に従って体を動かしていく。
 高く浮き上がった跳皿をめがけ、己も高く飛び上がって放つのは鋭い縦回転のシュートだ。
 皿に対し、リアの足が計算通りの威力と位置でもって重なる。
 ――インパクト。

 その瞬間、皿とリアはひとつの『力』となり――巨大な文鳥がその背に浮かび上がった。

「これがドライ文鳥シュートだ! イケェーっ!」
 一瞬のタメの後、全ての力を余さず身に受けた皿が羽を広げた巨大な文鳥の姿となって、対戦相手である文鳥たちに襲い掛かる。

「こ、これは……!?」
「まさか、伝説の……!」
「ドライ文鳥シュート……ッピ!?」

 文鳥たちは驚愕のまま凍りつき、反撃の皿を蹴ることもできず――襲いかかる文鳥の幻影をまとった皿によって、命と誇りを懸けた皿を割られたのだった。

 だが、伝説の技で倒された彼らの最後の表情は、どこか幸せそうであったという――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『サムライエンパイア絵巻『河童の怪』』

POW   :    『私の華麗なる一撃を受けよ!』
【 スタイリッシュな蹴り】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    『水も地も、空さえも克服した私に不可能は無い!』
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ   :    『誰がNo.1か決めようじゃないか!』
【『河童には負けられない』】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【特設ステージ】から、高命中力の【No.1決定戦への招待状】を飛ばす。

イラスト:鳥季

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は雛月・朔です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


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●第二章のプレイングについて

4月14日(日)8:31

から受付開始とさせていただきます。

普通に戦ってもフットサラを挑んでもどちらでも構いませんが、普通に戦う場合は少し時間を置いてから送っていただけると、状況的に描写がご希望に添いやすくなるかと思います。

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 こうして数多いたぶんちょうさまたちは、全て敗れ去っていった。
 残るは自称・フットサラの帝王であるカッパのみ――。

 随分と静かになってしまった川辺を見渡し、帝王はフ……ッとキザな笑みを浮かべて、腰掛けていた岩から立ち上がる。
「面白いではないか」
 そして白いスーツのポケットから金色に輝く皿を出し、その手に構えた。
「いいだろう、人間ども! 我に挑むだけの力があると認めよう!」
 シュバッとやたらキレのある動きで皿を持った手を掲げると、カッパは猟兵たちへ向けて宣言する。
「我こそはフットサラ界の帝王! その称号が欲しくば、かかってくるがいい!!」
 割とどうでもいいことを、だ。
 恐らくだが、ほとんどの猟兵はこう思ったのではないだろうか。
『そんなもん、別に欲しくない……』
 と――。

 ともあれオブリビオンはやる気満々で目の前にいる。
 フットサラを挑むかどうかは個々の自由だが――なんにせよこの迷惑なカッパは退治せねばなるまい。

 川辺の平和と常識は、猟兵たちの肩にかかっている――!
セツナ・クラルス
…うわぁ…!
一挙手一投足全てにキラキラした何かを撒き散らす人を初めて見たよ…!
ああ、あなたは人でないのか
ふむ、…かっぱ?
かっぱという種族を見るのも初めてだよ
カッパ様に完全に魅了されているらしく
きゃっきゃっとはしゃぎながら彼の姿を見つめる

No.1を決める?
何故?
私はあなたと張り合うつもりはないよ
あなたこそふっとさらの頂点に立つ人
それでいいのではないのかな
本心から言っているので、コードの条件を満たすことはない(はず)

ところで
カッパの皿は弱点だと聞いたことがあるのだが
…えい!
(こっそり出現させた灯火で皿を炙ってみる)
あっ、やはり熱いかな、すまない
こういうことをしても許されるような気がしてつい…ね?




 本人――否、本カッパ的には最高にキメたつもりだろうポーズで宣言したカッパに対し、まず贈られたのは拍手であった。
「うわぁ……! 一挙手一投足全てにキラキラした何かを撒き散らす人を初めて見たよ……!」
 本気で感心しているらしい声をあげ、拍手をしていたのはセツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)だ。
 仕方ない、例えカッパでもイケメンには風が吹き花が舞い光が飛び散るものなので。
「……ほぅ。お前、なかなかに見る目があるではないか!」
 他意のない賞賛にカッパもご機嫌なようで、頭の皿の輝きも増し増しである。
「ああ、そういえばあなたは人ではなかったね。かっぱという種族を見るのは初めてだよ」
「そうかそうか。人間ごときの前には滅多に姿を見せないからな。良いぞ、拝謁を許そう! 存分に愛でるがいい!」
 はしゃぐセツナにさらにカッパは調子にのり、滔々とフットサラの素晴らしさやこの戦いの意義などについて語りまくった。
「――というわけで、我は全世界のフットサラNo.1の座を確たるものにすべく、出陣したというわけよ」
「No.1を決める? 何故?」
 素直に話を聞いていたセツナが疑問を挟んだことに、カッパもまた不思議そうに首を傾げた。
「何故とは? 我こそが頂点と万民にしらしめることは重要であろう」
「私はあなたと張り合うつもりはないよ。あなたこそ、ふっとさらの頂点に立つ人。それでいいのではないのかな?」
 キラキラとした光を放ちそうな清い言葉と態度に、カッパも思わず感動した様子である。
「人間……! そなた、わかっているではないか……!」
 まさかこんなところで理解者と出会えるとは。
 感動しているカッパだったが、その時セツナの思考を占めていたのは別のことであった。
(「カッパは頭の皿が弱点と聞いたことがあるのだが、本当だろうか」)
 なんだかこのカッパなら許してくれそうな気もして、セツナはつい出来心で、その金色の皿をこっそり呼びだした灯火で炙ってしまったのだった。
「あつぅうううッ!?」
 当然、突然の熱さにカッパは飛び上がる。1mくらいは跳んだ。
「あっ、やはり熱いかな、すまない……」
 肩を落とし本気で申し訳なさそうにしていたからだろうか。
「く……っ、火の扱いには気をつけろよ、人間……!」
 意外にもセツナは許された。
 このカッパもチョロイのかもしれなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

タビタビ・マタタビ
※他の猟兵さんとの連携歓迎です

て、帝王……(きらきらオーラに素直におののく)

騎士としてフットサラは受けて立つ覚悟だけど、かなう気がしない……
なのでここは自分に【猫の毛づくろい】!
全身をつやさらにして跳皿を受け流す作戦。防御に徹して、カッパの体力の消耗を誘うよー。
……ボクの体力が先に尽きちゃったらどうしようとかは考えない方向で!(きりっ)

「さあ、かかってきなよカッパさん!」
しゅしゅっ、と華麗なステップで皿を受け流しながら「これぞケットシーだけに許された伝説の歩法、ザ・キャットウォーク……!」(でまかせ)
そもそもボクはちっこいから当たりにくい!はず!

その間に誰かがカッパに逆襲してくれたらラッキー?


アテナ・カナメ
ふぅ…真の姿(イェカの通り、髪や服装がオレンジ色になり周囲が燃える)初披露ね。まあ、フット皿だっけ?せっかくだからやってあげようかしら

【作戦】頭に皿をおき、「さあ、偉そうなカッパさん!かかってきなさい!」と【挑発】(ペンペンと皿部分を叩く)
食いついてきたらカッパの攻撃を【見切り】と【怪力】で防ぐ。そして、フレイムスラッシュでできた剣をカッパの皿目掛けて足で蹴るわ!「え?蹴ってるでしょ?武器駄目なんて聞いてないわ。あと、それ炎だから正確には武器じゃないけどね」


アルバ・アリエスティーニ
フットサラの帝王…カッコよくはない称号ですね(ずばり)
しかしフットサラで挑んだ方が相手も油断しそうなので、ここは基本的にフットサラの勝負を受けましょう

勝負が始まる前にUCを使って見えないボールを召喚して相手を追跡
もし押され気味だった場合はボールたちを河童にぶつける
あくまでフットサラでやる気満々になっている河童の体力を奪うように動く
相手の動きが鈍くなってきたら、キューを構えて杖術でさらに追い打ち

貴方のフットサラ、悪くはないかもしれませんが…
川辺で遊ぶ子供たちの楽しみの場を奪うのは競技者として如何かと思いますよ?

共闘歓迎



●第一試合
「この人間の言うことも一理あるが――皿を懸けた者がいるからには、帝王として勝負を受けるは必然。さぁ、試合開始というこうか」
 皿の火傷などなかったかのような顔をして、無駄に格好つけるカッパ。
「て、帝王……」
 タビタビはそのきらきらしたオーラにおののいて、もふもふの毛並みを震わせていた。
(「かなう気がしない……!」)
 帝王と同じく、騎士にとっての決闘とはその矜恃に懸けて逃げることなど許されないもの。
 フットサラを受けて立つ覚悟はあるが、まだまだ少年騎士のタビタビにとってカッパの貫禄は怯むに充分なものであったし、フットサラへの経験値も違う。
(「でも、ボクなりの戦い方がある、はず!」)
 おののく心を決意で押し留めて、タビタビはペロペロと毛繕いを始めた。
 ユーベルコードとしての毛づくろいはタビタビの全身をつやさらにして、摩擦抵抗を極限まで減らす。
 これにより跳皿を極力受けしながら防御に徹し、カッパの体力を消耗させようというのだ。
(「……ボクの体力が先に尽きちゃったらどうしようとかは考えない方向で!」)
 前向きに決意したタビタビは、きりっとした目でカッパに向かって言い放つ。
「さあ、かかってきなよカッパさん!」
「ほぅ……良い覚悟と目だ、人げ……いや、猫? ……なんだ、その、少年よ!」
 ケットシーのタビタビをどう呼んでいいか困ったらしいカッパは、最終的に今までの呼び方を放棄してそんな呼び方にしたようだ。

 ともあれ皿は投げられ――試合開始である。
 ちなみに試合はカッパが帝王らしい余裕を発揮して、2~3人ずつと行うことになっていた。
 第一試合にはタビタビ、アテナ、アルバの3人が出場している。

「ふはははは、帝王たる我の皿さばき、とくと見るがいいわ!」
 フットサラの帝王を自称するだけあって、カッパが華麗にスタイリッシュに投げてくる金の皿の速度と威力は凄まじいものがあった。
 コントロールも抜群で、皿がどうやったらこんな軌道を描くのかという位置から飛んでくる。
 だが猟兵達も負けてはいない。
 様々な世界で戦う猟兵たちにとって、フットサラそのものは大して難しいものではないからだ。

 飛んでくる皿をしゅっしゅっと華麗なステップで受け流していくタビタビには、試合開始前の怯んだ様子はどこにもない。
 自分が注意を引き付け、回避し、敵の体力を削っていくことによって、仲間が逆襲するチャンスを生むはずと信じて、カッパと皿の動きに神経を集中させている。
「我の皿をことごとく避けるか、少年!」
「ふふ、これぞケットシーだけに許された伝説の歩法、ザ・キャットウォーク……!」
「はっはっは、その技、覚えておこう!」
 でまかせの技名だったのだが、そんなことカッパには知るよしもない。

 タビタビが金皿をことごとく避けられているのは、アルバによる影の支援のおかげでもある。
 アルバは試合開始と同時に見えないビリヤードボールを召喚し、カッパを追跡させていたのだ。
 目に見えるボールで皿を防ぎ、皿を狙い。
 その一方で見えないボールを操ってタビタビに向かう皿の軌道を逸らし、アテナの皿を後押しし、時にカッパの意識を引き付けるために不意を打つ。
 まさに八面六臂の活躍だ。
「面白い、いかなる技か知らぬが、見えない手を使うとはな!」
 カッパは好敵手に燃えるタイプらしく、時折の不意打ちに対しても肯定的である。
 普通に戦っても問題なかったが、フットサラで挑んだ方が油断しそうという理由で勝負を受けたのは間違っていなかったようだとアルバは頷いた。
 倒しきるところまで一気に持っていけなかったとしても、試合ならば猟兵たちにとってダメージはゼロと言ってもいいくらいだ。
 疲労はあるだろうが、それも1人で複数相手の試合を何度か重ねるカッパの比ではない。
 フットサラの帝王を名乗るカッパとしてはフットサラができて嬉しい、猟兵達からしてみれば安全に敵を追い詰められてお得。
 これこそwin-winというやつだろう。
 さらにアルバはカッパの体力を奪うことを意識して戦っている。
 可視不可視のボールを使いわけた援護は、ひとつひとつは小さくとも後に与える影響は決して小さくはない。
 何気なく打っているようで全ては後の一打への布石とするビリヤードのように、アルバの玉は確実にカッパを追い詰めていた。
 それにしても、と思わずにいられないのは――。
(「フットサラの帝王……って、カッコよくはない称号ですね」)
 という感想だ。
 本人ならぬ本カッパにずばりと直接言わないだけアルバは優しいと言えよう。

 タビタビが回避に専念してカッパの意識を引き付け、アルバが攻守にわたって援護を行う中で、攻撃を担ったのはアテナだった。
 頭にはちゃんと皿をのせ、タビタビが受け流してきた皿を蹴り返したり、アルバのボールに合わせて攪乱しながらこちらの跳皿を蹴ったりと、フットサラにも律儀に付き合ってあげていたアテナは、敏感にカッパの動きの変化に気付く。
 大きな変化ではない。
 けれど確実に試合開始の頃よりカッパの動きは鈍くなってきていると。
 ここが勝負どころと察したアテナは、口元に笑みを浮かべると己の力を解放していった。
 アテナの真紅の髪がざわりと広がったかと思うと炎のように揺らめき、炎が温度をあげていくように徐々にオレンジ色へと変わっていく。
 それだけではない。炎のように見えた髪から、比喩ではなく本当にオレンジ色の炎がゆっくりと広がって、全身を取り巻いていった。
 炎に包まれるに従ってアテナの纏う扇情的なスーツも炎と同じオレンジへと色を変えていく。
「ふぅ……真の姿、初披露ね」
 ばさりと肩にかかる燃えるオレンジの髪を払ってみせたアテナは、全身で『燃える正義の炎』を体現しているかのようだ。
 その姿は神々しささえ感じるもので、頭にフットサラ用の皿がのっているのが勿体ないくらいである。

「さあ、偉そうなカッパさん! かかってきなさい!」
 頭にのせた皿を、割れるものなら割ってみろとばかりペンペンと叩いて挑発してみせるアテナ。
 さすがのフットサラの帝王もアテナの真の姿とそこから感じ取れる力には驚いたのか、笑みは消さないまでも、その眼差しが真剣なものへと変わった。
「フン……、言われるまでもない!」
 やはりキメたポーズでカッパが投げてきた金の跳皿を、アテナは余裕の表情で見切って避ける。
 そして炎で剣を作り出すと、返す皿ごと自ら飛び込んでいき――カッパの頭部に輝く金の皿めがけて炎の剣を蹴りつけた。
「な!? 貴様……剣で皿を!?」
「え? 蹴ってるでしょ? 皿も一緒だし。あと、それ炎だから武器じゃないわ」
「く……っ、屁理屈を……!」
 焦げて煙をあげる皿をかばいながら反撃に出ようとするカッパだったが、その動揺の隙をアルバは見逃さない。
 キューを杖術のように扱いながら肉薄し、跳皿を弾くと同時――見えないボールを金の皿へと叩き込む。
「貴方のフットサラ、悪くはないかもしれませんが……川辺で遊ぶ子供たちの楽しみの場を奪うのは競技者として如何かと思いますよ?」
「ぐぅ……ッ」

 第一試合、一枚目――撃破。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​


 カッパの金色の皿は破壊された。
 だが、安心(?)してほしい。
 フットサラの全国大会では団体戦も個人戦もある。
 地方大会や予選では連続して戦うことも珍しくはない。
 つまり――予備の皿を用意しておくのは当たり前。

「ふはははは! まさかこの我に二皿目を使わせるとは――やるな、やるではないか、人間! だが我とてフットサラの帝王と呼ばれたカッパ。一度は破れたが、故に油断はないぞ!」
 負けたのに偉そうに宣言するカッパ。
 意外と打たれ強いようだ。
 こうなったら、とことん凹まし続けるしかないだろう。

 第二試合――二皿目、開始である!
アルベルト・サーシェス
【POW】
ぐっさん(f02948)とタッグです

勝負は勝ち負けも大事ですが、楽しむのも大事だと思います。
なので、僕はフットサラを目一杯楽しみますね。

それにしても、怪力(lv21)で攻撃したら敵のお皿より頭へのダメージは大丈夫でしょうか…
上手くお皿だけを狙えたら良いのですが…すみません。

(ちょっとだけ練習にその辺の岩を対象にユベコを使用)
よし、大丈夫そうですね!

『目立たない(lv21)、逃げ足』で敵の攻撃を避けて、頭のお皿を守り、
水中に逃げて敵が自分を見失ったら【飛魚の如く】で攻撃します。

それにしても、水辺だと安心感が違いますね!

あわわ、ぐっさん!そんな事を言って僕のハードルを上げないで下さい!


御宮司・幸村
【SPD】
ベル君(f12926)とタッグ

いざ、皿を付けて正々堂々と勝負!

フフン、フットサラか…(HMDで検索)
なるほど、様は頭上を取られなければいい訳か
んじゃあ、UC発動!
多段ジャンプ?こっちは飛翔ですが、何か問題でも?
居るよねーマイナー競技で天辺取って天狗になる奴
あっ、カッパだったっけ

さて、おじさんはこれで制空権を得て余裕だけど
ベル君はどうだろう…
むしろ水を得て生き生きしてる?

心配になってきた、カッパが
おい…カッパ、悪い事は言わない、俺の相手をした方が良いぞ
ベル君が弱いからじゃない、強いから親切で言っている

ベル君の尾びれ、直撃したら皿ごと頭かち割れるぞ!?
早く俺に素直に割られた方が良いぞ!



●第二試合
 第二試合に挑むのはアルベルトと幸村の二人だ。
 幸村はあらかじめ愛用のヘッドマウントディスプレイで詳細を検索していたため、フットサラの準備は万端である。
 要は頭上を取られなければいいと理解し、ならばと幸村はユーベルコードを発動して飛翔能力を得ることにした。
 一方で共に参加したアルベルトは、自分の尾びれの動きを気にしている様子。
(「僕の力で攻撃したら、敵のお皿より頭へのダメージが心配なのですが、大丈夫でしょうか……」)
 どうやら怪力を持つ自分が尾びれで皿を狙った場合、頭部ごと粉砕しないかを心配していたようだ。
 相手はオブリビオンなので粉砕してしまっても別に問題はないのだが、気が弱く心優しいアルベルトは簡単に割り切れないのかもしれない。
(「上手くお皿だけを狙えたら良いのですが……」)
 動きを確認するためか、アルベルトは試しに近くの岩にユーベルコードとしての尾びれの一撃を加えてみる。

 ズグガシャァアッ!

 ――凄い音をたてて、岩とその周辺の地形が粉砕された。

「よし、大丈夫そうですね!」
「!?」
 さすがの帝王も目をむいており、いったい何が大丈夫なのか真意が気になるところである。

 カッパの皿というか頭部は、果たして生き残れるのだろうか。
 そんな懸念を抱えたまま始まった試合は、なかなかに激しいものになった。

 飛ぶ幸村に対し、カッパはスタイリッシュ多段ジャンプを用いて対抗するが、どうしても空中での動きの自由度には劣る。
 それを皿のコントロールと威力で補うも、なかなか有利をとることができていない。
「まさか空を飛ぶとはなッ」
「フフン、何か問題でも?」
 カッパの皿攻撃にはヒヤリとさせられることもあったが、さらに高度をあげることも横移動も可能な幸村にとってはどうにかなる範囲だ。
 忌々しそうな様子のカッパに、余裕の笑みで返してみせる。
「居るよねー、マイナー競技で天辺取って天狗になる奴。――あっ、カッパだったっけ?」
 工夫を凝らした技には感嘆するカッパも、まともに戦える土俵にないというのは腹立たしいのか、表情が険しい。
 しかも相手は幸村だけではないのだ。
 幸村が空から縦の空間を使って攻撃するならば、アルベルトは川の中から横の空間を使っての攻撃である。
 向こうはどんな様子かと幸村が視線を向けてみれば、そこには普段よりもむしろ活き活きと動いている相方の姿があった。
 下半身が魚ゆえに地上が苦手なアルベルトからしてみれば、川辺というのは絶好のフィールドだ。
 カッパも水は得意だろうが、幸村が空から牽制しているため、水中まで追ってくる余裕がないらしい。
 目立たず動くことも得意なアルベルトは隙を見ては川の中に逃げ、こちらを見失って幸村へと意識を向けたところをさきほど岩石を砕いた技でもって襲い掛かるという戦い方をしていた。
 空と川。縦と横。
 全く違うフィールドからの波状攻撃はさしものフットサラの帝王といえども手に余ったようで、なかなか攻勢に出ることができない。
「それにしても、水辺だと安心感が違いますね!」
 比べて、アルベルトはまさに水を得た魚である。
 彼が活き活きしているのはいいことだが、一方で幸村は急にカッパが心配になってきてしまった。
 なにしろとても動きがいいし、尾びれのスナップがいつも以上に効いている。
「おい、カッパ。悪い事は言わない、俺の相手をした方が良いぞ? ベル君が弱いからじゃない、強いから親切で言っている」
「あわわ、ぐっさん! そんな事を言って僕のハードルを上げないで下さい!」
「フン……仲間を庇うか? だが我は帝王。誰であれ全力を尽くす!」
 アルベルトの恥ずかしそうな声とカッパの断言が重なり、幸村の顔には本気の焦りと心配が浮かんだ。
「ベル君の尾びれ、直撃したら皿ごと頭かち割れるぞ!? 早く俺に素直に割られた方が良いぞ!」
 幸村の忠告が真実であることはカッパにも分かっている。
 だが帝王として勝負に背を向けることはできないようだった。
 恥ずかしさを誤魔化すためかこれ以上ハードルをあげないためか、アルベルトは既に尾びれをビチッとさせて攻撃態勢に入っている。
「舐めるなよ、人間共!」
 だがそこで、カッパはスタイリッシュな蹴りで皿を放つと同時――当たれば粉砕という尾びれの一撃に真っ向から飛び込んでいったではないか。
「え……っ?」
「何……!?」
 アルベルトの尾びれはカッパの皿を粉砕したが、敵が自ら飛び込んできたことにより最高威力のタイミングと位置よりかなり手前での打撃となった。
 結果として皿は割れたが頭蓋は無事であり、そして――。
 カッパが直前に蹴っていた皿はアルベルトではなく、心配して近くに来ていた幸村の皿を割ったのである。
「帝王は……敗れても決して引かぬと知れ……ッ」

 カッパの捨て身の攻撃により、第二試合、二皿目――引き分け。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



 頭蓋は無事だったとはいえ、二人との戦いとアルベルトの一撃はカッパに大きなダメージを与えていたようで、三枚目の皿を頭にセットするカッパの顔色は冴えず、呼吸も乱れている。
 それでも試合を放棄するつもりはないのか、白いスーツの皺をのばしたりポケットから櫛を出して髪をとかしたりして身形を整えてから、改めて猟兵たちの前に立った。
 当然、キメキメにキメたポーズで、である。
 かなり疲れているはずだが、カッパの目だけは何故か充実に輝いていた。
「ふふ……久しぶりだ。こんなに昂揚するフットサラは……! 感謝するぞ、人間。さぁ次だ、次なる試合をしようではないか!」
 負けてもなお、やる気満々のようである。
リア・ファル
フットサラで勝負

成程、帝王を名乗るだけあって、
ボクのドライ文鳥シュートも止めてきたね…!

しかし、ボクの演算能力はリアルタイムで更新中
UC【慧眼発動】を使って、相手の攻撃は回避かブロックして
「時間稼ぎ」、自身の皿は割らせない

狙うのは、一点突破の「カウンター」攻撃
相手のクセや動きを「情報収集」してタイミングを測る

相手の空中シュートの瞬間に合わせて、
自分もシュートコース上に飛び込んで、シュート仕返す
「キミのシュートの縦回転にボクが横回転のボレーシュートをカウンターすることで、
激しい螺旋の渦となったシュートが完成する! これが! スパイラルボレーシュートだ!」

渦巻き回転で、流石に帝王も川流れってね!


グロリア・グルッグ
河童が空を飛ぶですってー!?
くっ、騎兵たるもの空中戦で河童に後れを取るわけにはいきません!
どちらが真の空中巧者であるか、白黒付けてやりますよフットサラの帝王!

騎兵走法を使い空中戦でのフットサラを挑みます。
ジャンプやダッシュなどの移動系技能もフル活用しますね。
武器のサイバーロッドの封印を解き、雷の精霊を自分にエンチャントする感じで纏いましょう。
属性攻撃的には雷になるので、水棲生物の気がある河童氏にはよく効くと思います。多分。
あ、自分のお皿(金色)も電脳魔術でフェアに表示しておきますね。
これは猟兵とオブリビオンの戦いであると同時に、騎兵と帝王のプライドを賭けた魂のデュエル…!!



●第三試合
 飽くなきフットサラへの情熱でもって第三試合に臨んだカッパの対戦相手は、リアとグロリアの二人だ。
 互いに同じ音を名に持つ二人は、電脳魔術士という点でも共通点がある。
 演算に長け、かつフットサラへの理解が深い二人とカッパの戦いは、最初からクライマックスを迎えていた。

「ドライ文鳥シュートッ!!」
「一度見た技が我に通じるとでも思ったか!」
 文鳥たちを一網打尽にしたリアの伝説のフットサラ技が、多段ジャンプによって高く跳び上がったカッパによりあっさりと止められてしまったのである。
「成程、帝王を名乗るだけあるね……!」
 シュタッと着地して態勢を整えたリアの表情は真剣なものだったが、そこに悲観はない。
 何故ならこれもまた、己の演算精度を上げるための材料のひとつに過ぎないのだから。
 リアは常にリアルタイムで情報を更新し続けている。
 それはユーベルコードにより仮想領域で模擬演算され、未来予測として敵の動きを導き出し続けるのだ。
 相手のクセや動きを観察して把握することは勿論、未来予測に従ってカッパの皿を受け、返し、避けていきながら、それさえも新たなる未来予測へとフィードバックしていく。
 すべては本命たる必殺の一撃のため。
 相応しい時期を待つ間、己の皿を守り時間を稼ぐ意味もあり、その一撃の精度を高めるためでもあった。

 カッパがリアの技を止めたことへの衝撃は、リアよりもグロリアの方が大きかったかもしれない。
(「河童が空を飛ぶですってー!?」)
 止めたことというよりは、その方法に対してのようだったが。
 グロリアは電脳魔術士でもあるが、鎧装騎兵でもある。
 文鳥戦では見事な電脳魔術によるサポートを見せたが、カッパ戦では騎兵としてのプライドを刺激されたらしい。
「くっ、騎兵たるもの空中戦で河童に後れを取るわけにはいきません! どちらが真の空中巧者であるか、白黒付けてやりますよ、フットサラの帝王!」
 電脳魔術で金色の皿を頭部に表示したグロリアの宣戦布告に、カッパは愉快そうに口の端を吊り上げる。
「飛びながらも、真っ向勝負を挑むか! 良い、実に良い! 誇りを懸けるのがフットサラなれば、貴様も騎兵としてのプライドを懸け、全力で挑むがいい!」
 悦に入った様子でいうと、カッパはリアへ皿を蹴り返すなり多段ジャンプで空中へ飛び上がり、グロリアと相対した。
「ええ。これは猟兵とオブリビオンの戦いであると同時に、騎兵と帝王のプライドを賭けた魂のデュエル……!!」
 二人の魂が、空中でぶつかり合う。
 あくまでも蹴りを主体とした多段ジャンプを用いるカッパに対し、グロリアが用いるのは騎兵走法だ。
 星の海を走る鎧装騎兵ならではの動きは、カッパと似ているようでやはり違う。
 ジャンプという点と点を繋ぐものではなく、宙を自在に駆ける流れるような動きだ。
 異なる線を描きながら、二人は空中を駆け、飛び、皿の応酬を繰り返す。
 グロリアは己の武器の封印を解いて雷の力を体に纏わせているため、離れたところからは星が宙を飛び回っているように見えたに違いない。
 しかもグロリアが打ち返す皿は自然と雷の力を帯びることとなるため、こちらも僅かにバチバチと光を発し、皿に当たらないまでもじわじわとカッパにダメージを与えることに成功していた。
「く……っ、なるほど。たしかに貴様は空中巧者よ。認めよう、空でのフットサラにおいて、貴様ほどの使い手はそうそうおるまい……」
 皿を蹴り返して痺れる足を振ってカッパはグロリアを認め、尊大な彼にしてはかなり素直な賞賛を述べる。
 だが負ける気は毛頭ないのか、再び多段ジャンプで空中へと踊り出ると、グロリアとリアの二人に対して自らの皿を蹴って更なる攻勢に出た。

 ――その瞬間である。

(「……ここだ!」)

 情報を蓄積し演算を繰り返していたリアが導き出した、最後の一撃のための最高のタイミング。
 それがやってきたのだ。

 空中から放たれるカッパの皿シュート。
 そのシュートコースに飛び込んだリアは、飛んでくる皿に向けて自らの皿を蹴り込んだ。
 全ては計算通り。

「キミのシュートの縦回転にボクが横回転のボレーシュートをカウンターすることで、激しい螺旋の渦となったシュートが完成する!」
「なにっ!?」
 リアの解説通り、縦回転するカッパの皿に横回転のリアの皿がぶつかると、二枚の皿は互いを追いかけ合うように、巻き込むようにして螺旋を描きだす。
 ほんの一瞬、渦を描きながらも位置を止めた皿が最終的に得た方向性は――上。
 リアのシュートの威力が勝っていた証だ。
 二枚の皿は、描き出す渦の威力を増しながらカッパに向かっていく。

「これが! スパイラルボレーシュートだ!」
「こ、こんな……こんな技、がァアアアッ――!!」

 リアの新たな必殺技は爆発的な威力でカッパを川まで吹き飛ばし、その頭上の金の皿までも割ったのだった。
「渦巻き回転で、流石に帝王も川流れってね!」

 第三試合、三皿目――撃破!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



 川に吹き飛ばされ少し流されたカッパは、やがてざっぱざっぱと華麗に泳いで戻って来た。
 全身びしょ濡れな上、これまでの戦いの激しさを物語るように真っ白でパリっとしていたはずのスーツは随分とくたびれている。
 それでも川から上がり、猟兵たちの方へと歩いてくるカッパは実に楽しげで嬉しげで、やる気に輝いているようだった。

「素晴らしい! いいぞ、人間ども。もっと我を楽しませよ! これだ、これこそがフットサラよ! 全身全霊をかけ、魂を削るような戦いを我に!」
 両手を広げ、天に感謝するように仰向いて歓喜の声をあげるカッパ。
 明らかに劣勢だが、それでも強敵を相手に全力で戦えることが嬉しくてならないらしい。
 バトルジャンキーならぬフットサラジャンキーである。
「個人戦、ダブルス戦、団体戦に一枚ずつ。そして念のための保険としてもう一枚。――まさかこの我に、最後の一枚を出させるとはな……。どんなカッパにも成し得なかった偉業を誇るがいい、人間」
 誇れることかどうかは不明だが、なんにせよカッパは最後の皿を頭にのせた。

 彼の全てが籠められた金色の皿は、泣いても笑ってもこれが最後の一枚。
 魂と誇りをかけた絶対にして神聖なる決闘(デュエル)、フットサラ。

 第四試合――最終皿、開始である!
クリストファー・ブラックランド
【白狼館】
プロになってしまった!
ボロが出る前に何とかせねば。
でもマウント止められない。

■対帝王
舌戦。
「自称帝王とか。これだから田舎者は。フットサラワールドリーグで大統領と言われた俺を知らんとは田舎だし仕方ないか」
田舎者連呼する田舎者。
ルール等齟齬はグローバルルールって事で捻じ曲げよう。

■フットサラ
体格差あるし、基本はクロエに頼ろう。
俺個人は空中戦だ。UCでダガー投げつつ、隙あらば靴の踵で皿を狙う。

■奥の手
投擲ダガーの中にきゅうりを紛れさせ、頭・視線を下に誘導→メイス殴打。

「お前の敗因はチームプレイの無さだ。チームメイトを見捨てた時点でお前の勝ちは無かったんだよ」ダーティプレイを棚上げしドヤ顔で


クロエ・ウィンタース
【白狼館】
クリスの言ってることは流石に嘘だと察したが
空気を読んで黙って置く。
もふもふが居なくなってしまったので
フットサラとやらに付き合う義理がなくなってしまったが。
まぁ、よい。河童の癖に天狗になっている奴の鼻っ柱を折ってやるのも一興だ。小指立ててるのもなにか勘に触るしな。

>行動
【SPD】
別のフットサラ参加者との共闘、アレンジ歓迎。
俺は前衛に。一応頭に皿を載せて置く。
【フェイント】を織り交ぜ【2回攻撃】だ。皿を狙うように見せかけて足を打つ。機動力を削いでいこう。反則?知らんな。
敵の攻撃は【見切り】【カウンター】を入れるぞ。
相手のジャンプ攻撃はUC【無銘・壱の追】で叩き落そう
そこはまだ俺の間合いだ



●第四試合

 最終戦の対戦相手はもちろん、プロフットサラ選手(と文鳥とカッパが勝手に思い込んでいる)クリストファー&クロエ組だ。
 プロと勘違いされた挙げ句の目玉試合扱いに、ちょっとマウントとるだけのつもりだったクリストファーは内心少しばかり焦っていたのだが、ここで撤回するわけにもいかない。
「フットサラワールドリーグで大統領と言われた俺を知らんような自称・帝王の田舎者に、誇れと言われてもな。お前こそ大統領と戦えた栄誉を誇れよ」
 ボロが出る前になんとかせねばと思いつつも、つい端からマウントをとってしまうクリストファー。
「言うではないか。ならばその実力、見せてみよ!」
「ワールドクラスのフットサラに、お前がついてこれるならな」
 尊大な態度に対し、僅かな呆れと同情さえも滲ませた様子での更なる上から目線は説得力を高めたのか、カッパも警戒気味だ。

 相方のクロエはそんなクリストファーの大胆すぎる嘘にヒヤリとするも、なんとか平静を保ち空気を読んで黙っておくことに成功する。
 もふもふな文鳥たちがいなくなってしまった今、クロエとしてはやる気がだいぶ減退していたのだが、乗りかかった舟だ。
 カッパのくせに天狗になっている奴の鼻っ柱を折ってやるのも一興と、最後まで付き合うことを決めている。
(「キメポーズでいちいち小指立ててるのもなにか勘に触るしな」)
 薔薇を持つ時に小指を立てているカッパは、跳皿を持つ時にも当然のように小指を立てているので、クロエの反応も仕方ない。

 試合の序盤は、カッパがプロの技を警戒したのか、比較的静かに進んだ。
 フォーメーションはクロエが前衛として前に出て、クリストファーが後衛として後方上空を跳ぶというもの。
 最初は探り合うような皿の蹴り合いが幾度か続き、その後で特殊なことをしてこないことに安心したのか、カッパが積極攻勢に出てくる。
「ワールドクラスとやらの技はどうした?」
「焦るなよ。余裕がない証拠だぞ」
 どこまでもマウントを崩さないクリストファーが意味ありげに微笑んでみせたところで、クロエが動いた。
 カッパが蹴った皿を狙うと見せかけて、カッパの足を直接狙っていく。
 皿ではなく、手にした刀で、だ。
「!? 貴様ら、プロでありながらフットサラを捨てるか……ッ!」
 フットサラを何より愛するカッパの激昂に、対応するのはやはりクリストファーである。
「これだから田舎者は。グローバルルールも知らないのか? フットサラの帝王を名乗るくせに、皿を蹴ることしか能が無いとは、呆れるな。武器で戦いながらフットサラができずにプロを名乗れるわけないだろう」
 これまたサラリと嘘八百を並べたててみせた。
 グローバルルール、便利な言葉である。
「く……っ、まさか武器で戦いながらフットサラをするルールがあるだと!?」
 しかもカッパはあっさり信じた。
 尊大な割りに、やはりどこかチョロイカッパである。

 マイルールが通ったからには、遠慮はいらない。
 クリストファーが上空からダガーを投げて援護する中、クロエがいよいよ本領を発揮して刀を大胆に振るった。
 とんでくる皿や躊躇いがちなカッパの攻撃を見切り、足を狙って機動力を削ぎ、時には頭上の皿も狙うフェイントを織り交ぜて、対応する間や考える余裕をカッパから奪っていく。
「これが……プロの戦いか……!」
 本気で驚愕し悔しそうにしているカッパに、さらなるクリストファーの巧妙な策が襲い掛かった。
 牽制のために放っていたダガーの群れに、きゅうりを紛れ込ませたのである。
 汚い、さすがクリストファーきたない。

 例えカッパがきゅうりにどうしようもなく惹かれてしまうのが必然であったとしても、フットサラ中のカッパがきゅうりに目移りすることなど、本来ならばなかっただろう。
 だがいつもと勝手の違う武器・本体攻撃ありのプロフットサラルール、立て続けの激しい試合の中での最終戦――いくつかの要因が、カッパのフットサラに対する集中をほんのわずか乱していた。

 降り注ぐダガーを防ぎ避けようと見上げた先に混じる、鮮烈な緑。
 ほんのわずかの隙に滑り込んだその色が、カッパの視線を誘導する。
 きゅうりへ。その落下先へ。
 つまり――下へ。
 視線と共に、自然と頭も下を向き――金の皿が輝く頭部が無防備に晒される。
 そこへクリストファーが真っ直ぐに飛んでいき、落下の勢いに任せて鉄板入りの靴の踵を叩き込んだ。
 ピキリと入る罅。
「……グ……ッ!」
 だがカッパはその直前には我に返っており、咄嗟にクリストファーの小さな体を手で払いのけ、一命ならぬ一皿をとりとめる。
「小細工を……!」
 咆吼し反撃に出ようとするカッパだったが、既に策は成った後だ。
 クリストファーへの怒りに突き動かされ、一矢報いるべく宙へ飛んだカッパを待ち受けていたのは――。
「そこはまだ、俺の間合いだ」
 クロエの居合い斬りによる一閃であった。
「……ッ!!」
 一刀の下に叩き落とされた罅入りのカッパの皿はその衝撃に耐えることができず、音をたてて割れたのだった。

「お前の敗因はチームプレイの無さだ。チームメイトを見捨てた時点でお前の勝ちは無かったんだよ」
 倒れ伏したカッパに向けて、クリストファーがドヤ顔で言ってのける。
 もはやカッパは、言葉を返すこともなく倒れふしていた――。

 第四試合、4皿目――決着!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

虚戯・禊
「ん……終わった?……終わったなら……その首おいてけ」

先ずはフットサラとやらを他の人がやるようなら、とりあえず傍観。
その後で攻撃を始めようかな。

武器は巨刀・巌鉄から八馘落に持ち替えて【ダッシュ】で接近。
そこから【殺気】を向けて対象の動きを制限しようとしつつ、対象の動きを【見切り】確実に攻撃を当てに行く。
相手の攻撃に関しては動きを【第六感】と【野生の勘】を用いて【見切り】回避しよう。

あとはスタイリッシュな蹴りとやらには【葬天・刹那】で迎撃かな。

「んむ……フットサラとやら……見るのはちょっと楽しかったかも?」



●決着
「ん……終わった? ……終わったなら……その首おいてけ」
 フットサラの試合を少し離れた岩の上で見学しつつ終わるのを待っていた禊は、決着がついた様子に気付いて立ち上がった。
 激しい試合を重ね全ての皿を失ったカッパは瀕死なのか倒れたままであったが、とどめは刺さなければならないだろう。

 だが禊がダッシュで近づこうとしたその時――カッパが突如として跳ね起きたではないか。
 白いスーツは無惨に汚れて裂け、キザに整えていた髪は乱れ、金の皿も割れ砕けて欠片が残るだけという状態にも関わらず、カッパは起き上がった。
「……」
 突然の変化を前にしても、禊に動揺はない。
 起きていようが寝ていようが『斬る』ということに変わりはないのだから。
 禊がカッパの変化に対して示したのはほんの少し眉をあげる、という動きだけだった。

 とはいえ起きて動いているならば斬り方は変わる。
 無言のまま殺気を放って圧をかけつつ、カッパの動きを注視した。

「我の負けだ、猟兵たちよ」
 立ち上がったカッパは、満足し、やりきったような、どこかすっきりとした表情で立っている。
「再びこのような、誇りと魂を懸けた熱きフットサラができようとはな……。感謝しよう」
 感謝の言葉を口にして、反撃する様子もない。

 不思議に思いながらも、禊は油断なく意識と勘を研ぎ澄ませてカッパへと向かった。

「フットサラに生きて、フットサラに死ぬのが我よ。良い、この首持っていけ」
 最後にカッパがとった行動といえば、やはり反撃ではなく。
 いつぞやのようにスーツの皺をのばし、髪を整え、ポケットチーフを直し、手に薔薇と跳皿を持ってビシりとスタイリッシュなポーズを決めることであった。

 反撃がないことは少々物足りなく感じたが、首をとれというのなら、そうするまで。
 禊は鞘に入ったままの『八馘落』を構え、カッパの懐近くへと飛び込んでいく。
 戦いの中に身を置いてきた禊が放つ一刀は、視認すら難しい域。
 鞘から抜き放つという一動作が、即ち必殺の一撃となる。

「今日よりフットサラの帝王の称号は、貴様らのものだ!」
 そうして禊の放つ居合い斬りの一閃により、カッパは清々しい表情で三途の川の向こうへと旅立ったのだった。

「んむ……フットサラとやら……見るのはちょっと楽しかったかも?」
 消えていくカッパの姿を見下ろしながら、禊は少し首を傾げてそんな言葉をこぼす。
 もっとも、『フットサラの帝王』などという称号をほしいとは欠片も思わなかっただろうけれども。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『水底の玉』

POW   :    川の中に入って水底のトンボ玉を素潜りで拾い集める。

SPD   :    釣り竿や網を使って船の上からトンボ玉を釣る。

WIZ   :    川の流れを読んでトンボ玉の流れ着きそうな河原を予測する。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 川辺でフットサラを強要していた迷惑なカッパたちは消えた。
 元の穏やかな日常を取り戻したこの川で、少しばかり遊んで帰るだけである。

 あんな奇妙な戦いの後ではあまり寛げないかもしれないが、気にせず楽しんでほしい。


==================

●第三章のプレイングについて
 少し間があきますが、下記の時間から受付開始とさせていただきます。

4月21(日)8:31

また、場合によってはスケジュールの都合で再送をお願いすることがあるかもしれませんが、ご協力いただければ幸いです。

==================
クロエ・ウィンタース
【白狼館】
なにやら一癖も二癖もあった戦いだったが無事に済んで何より、だな。
トンボ玉…なるほど。粋な風習があったものだ。
折角だ、寛いでいくとしよう。
>行動
【SPD】アレンジ、船に乗る人と一緒の描写歓迎。
船と網を借りよう。
潜って水中から見るのも悪くはないが、
船上から見下ろし日の光を浴びて
水に沈んだ様々な形や色のトンボ玉が輝く様を眺める方が
俺としては楽しめそうだ。
あとはのんびり景観を…って。
…おいクリス、年上。もうちょっと落ち着きをだな。
ああ、わかったわかった。どれだ?魚もか。
ええい落ち着け。水を掛けるな。こら。
言われるままに網でトンボ玉と魚を掬おう。
俺の分は澄んだ青色のトンボ玉を一個だけ頂戴しよう


クリストファー・ブラックランド
【白狼館】アレンジやら他の参加者との合流もおっけー。

フットサラの王座統一してしまった。
要らぬ肩書は孤立を招き、不幸しか招かない。
かの河童の生き様を我々は反面教師とせねばな(全力で棚上げ)

■トンボ玉
WIZでクロエにトンボ玉転がってそうなあたりを誘導。
いやいや、この歳で川遊びとかそんな子供みたいな事…するわけないじゃないですか(うっきうきでブーツ脱ぎながら)

「クロエクロエ、トンボ玉取ってくれ。魚泳いでるすげえ。超水つめてえ!羽濡れるけど気持ちいい!」
まったりしてるクロエにびっすびっす水蹴り掛けながらテンション高めで絡みだすおっさん。




 さきほどまでフットサラなどという珍妙な競技で大騒ぎだったとは思えぬほど穏やかな空気に満ちた川の上を、一隻の小舟が流れていく。
「フットサラの王座統一をしてしまったか……。しかし要らぬ肩書は孤立を招き、不幸しか招かない。かの河童の生き様を我々は反面教師とせねばな……」
 舳先側に座り、川下を眺めながら感慨深げな様子を作ってそう言ってみせるのはクリストファーだ。
 自分のことを棚上げしたかどうかはさておき、今のところ孤立とは無縁そうなクリストファーは、後ろで櫂を操っているクロエを振り返って操船について指示を出す。
「おっ、あの辺なんか光ったぞ。あっちあっち!」
「焦るな。舟はそう自在に動かん」
 流れる川で舟を操るのは、なかなか難しいものだ。
 それでもクロエは器用に櫂を操りながら、はしゃいだ様子のクリストファーが指差す方向へと舟を動かしていく。
 側にちょうど良さそうな岩があったのでそこに縄を引っかけて一時的に舟を止めてみれば、川面が虹色に輝いているようにも見えた。
 川底を覗けば色とりどりのトンボ玉が沈んでいる光景が、川面を見れば水面を彩る虹色を見ることができそうだ。
 潜ってトンボ玉をとるより、こうして眺めているほうが楽しいかもしれない。
 舟も停められたことだし、のんびり周囲の自然とトンボ玉が織りなす光の競演を眺めていよう。
 そう思ってクロエはまったり鑑賞態勢に入ったのだが――。
「クロエクロエ、魚泳いでるすげえ。超水つめてえ! 羽濡れるけど気持ちいい!」
 目を輝かせテンション高めにめいっぱいはしゃいでいる相方に、水をばっしゃばっしゃとかけられて中断を余儀なくされてしまうのだった。
「……おいクリス、年上。もうちょっと落ち着きをだな……」
 顔にかかった水を拭いながらそちらを見れば、クリストファーはいつの間にやらブーツも脱いで船縁に腰掛け、足を川に浸してびっすびっすと水を蹴って遊んでいるところ。
 フェアリーの上に幼い容姿で騙されがちだが、クリストファーはクロエより遥かに年上である。
 自分の倍以上も年上の友人に落ち着くよう諭しながらも、既にクロエは諦めぎみだ。
「クロエ、トンボ玉取ってくれ! あれあれ。あとあの魚も!」
「ああ、わかったわかった。どれだ? 魚もか」
 ひとつ溜息を吐いてから側へ行き、川底を覗き込むようにして問いかける。
「ええい落ち着け。水を掛けるな。こら。トンボ玉はともかく、魚が逃げる」
「なんだよ、お前もテンションあげろよ。若者」
「だからお前はもう少し落ち着けと言ってるだろう、年上」
 軽口を叩きながらも、クロエは借りてきていた網で川底を攫ってトンボ玉と魚を順番にとっていった。
「おお、すげぇ! やるなクロエ」
 振り回されている気はするが、素直な賞賛は悪くはない。
 せっかくとったのだからと、クロエは網にかかったトンボ玉のうち、澄んだ青色のトンボ玉をひとつ選び、それを土産にすることにした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リア・ファル
共闘・アドリブ歓迎
SPD

船に乗り、船頭役を買って出て、櫂を握る
激闘の後だから、受ける川風がひんやり気持ちいい

水面からの光を受けてキラキラと光るトンボ玉は、本当に綺麗で。
こういった風景を、ひとつひとつ心に納めるのは、本当に楽しい。
(ディープアイズで撮影、記憶の底に残していく)

これだけ綺麗なら工芸品として売れるかも…
と考えなくも無いけど
止そう、そういう話を持って行くにしても今日じゃあ無いね

無粋も野暮も引っ込めて…(にやり)
櫂はヌァザ(猫形態)にバトンタッチして、
年相応の14歳らしく子供達と水遊びでもしようか!
(水鉄砲を取り出して、はしゃいでる集団に突撃)

タオルとドライヤーは準備済みだ、
いくよー!


グロリア・グルッグ
「トンボ玉とは? と思って電脳検索してみたら、ガラス玉のことだったんですねぇ」
「それを川に流す風習があると。ははぁなるほど、これがいわゆるワビサビって奴……ですね?」

POW行動

素潜りで川の中に入ってトンボ玉とやらを探して遊びましょう。
フット皿でいい汗をかけたので、川の中がちょうどいい冷たさですね。
いい感じのトンボ玉を拾えたら後はだらーっと川の流れに身を任せます。
これぞ河童の川流れ……ってね!

普段は宇宙船暮らしなので、こうやって自然と触れ合うのは貴重な体験なんですよ。
フット皿という謎の競技も新しい文化との出会いだったと思いながら、川に流されるというレアな経験を楽しみますね。


アテナ・カナメ
ふぅ…全くふざけた相手だったわね。…せっかくだし釣りでも楽しもうかしら。たまにはいいわよね。

【作戦】私服に着替え(デザインはおまかせします)船から釣り。「ここのところ戦い続きだったからたまにはこういうゆったりしたのも良いわよね…おっとかかったわ」ゆっくりしつつ次々とトンボ玉を釣っていくわ。「まあ、フット皿…意外と楽しめたわね」とぼそりとつぶやくわ




 フットサラを強いるカッパと文鳥たちがいなくなったことに気付いたのか、川辺には付近の住民が少しずつ戻って来ていた。
 彼らは寛いだり遊んだりしている猟兵たちの姿をみて安心したようで、本来の用事に取りかかっている。
 子供達は川原で遊べるのを心待ちにしていたようで、歓声をあげてまだ冷たい川の水に飛び込んだり、川辺にトンボ玉が落ちていないか探していたり、舟を興味深げに見たりと様々だ。
 舟を借りてきたリアは、そんな舟に乗りたそうだった幾人かの子供達と、グロリアとアテナを乗せて川をゆっくりと下っているところ。
 複雑な皿の動きの軌道計算も難なくこなしたリアにとって、川の流れを計算して漕ぐことも容易い。
 同乗者たちの希望を満たす場所を探し計算しながらも、風と景色を楽しんでいた。
 舟の上で受ける川風は春とはいえまだ少し冷たかったけれど、激闘の後のせいか気持ちよく感じる。

「トンボ玉とは? と思って電脳検索してみたら、ガラス玉のことだったんですねぇ」
 リアが爽やかな風に目を細めている横で、トンボ玉のことをラプラスで調べていたのはグロリアだ。
「それを川に流す風習があると。ははぁなるほど、これがいわゆるワビサビって奴……ですね?」
 ふむふむと頷いて理解を示すと、グロリアはリアに水深の深いところで下ろしてくれるように頼む。
 せっかくなので、川遊びも楽しもうというのだ。
「この辺が良さそうだよ」
 リアが勧めてくれたポイントはかなり水深が深いようで、そのあたりだけ水の色も違って見える。
 誤って子供たちが飛び込まないように止めているリアにお礼を言って、グロリアはさっそく川の中へと飛び込んだ。
 春の川の水はやはり冷たかったけれど、この辺りの気候が穏やかなのか思ったほどではない。
 フットサラ2連戦でいい汗をかいた後の体には、ちょうどいいと感じる。
 少し体を慣らしてから、グロリアはトンボ玉を拾うために川底をめがけて潜っていった。
 器用に川の流れも利用しながらトンボ玉を探して川の底を少しずつ移動していくと、思ったとおり幾つものトンボ玉が転がっているのを見つける。
 急に深くなっているので、一度落ちるとなかなか他へ流れていかないのかもしれない。
 随分と古そうなもの、欠けているもの、新しいもの、色々なトンボ玉があったが、グロリアはせっかくなのでピンク色っぽいものをひとつを選んで水面へと戻る。
 ぷはっと息をしてから改めて日の光に翳してみると、そのトンボ玉は透明感のある桜色で、金色の流線形の模様が幾筋か入っているものだった。
「なんだか私みたいですね」
 ワビサビも悪くないと笑ったグロリアは、拾ったトンボ玉をしっかりしまうと、舟に戻ることはせずに川でだらだらすることに決める。
 もう少し流れのゆるやかな辺りまで泳いでから体の力を抜いて水に浮くと、川の流れに身を任せたのだ。
 ゆらゆらと流されながら、川の音や風の音をBGMに目を閉じる。
 普段は宇宙暮らしのグロリアにとって、本物の自然と触れあえる機会は貴重なもの。
 五感の全てで自然を満喫できるというのは、とても贅沢なことなのだ。
 フットサラなんていう謎な競技も、新しい文化との出会いと考えれば貴重な体験だったと言えよう。
 そういえば、こうやって川に流されているのは――カッパの川流れ……と言えるのだろうか?
 さきほどまで戦っていたカッパを思い出して、グロリアはそんなことを考えてくすりと口元に笑みを浮かべる。
 
 グロリアを下ろしてからも舟を漕いでいたリアがそろそろかと川底を覗きこんだのは、川幅が広くなり流れも随分とゆるやかな場所だった。
 予想通りこの辺りは川が浅くなっており、底にはたくさんのトンボ玉が沈んでいたのだが、水の流れに揺れるトンボ玉の美しさもさることながら、水面から差し込む光を反射した輝きもまた美しい。
(「こういった風景を、ひとつひとつ心に納めるのは、本当に楽しいな」)
 不可視のARディスプレイの機能で気に入った風景を幾つも撮影したリアは、己の記憶領域の底へと蓄積していく。
 キラキラとした思い出が記憶と記録で残り増えていくのは、それだけでもなんとなく心が浮き立つものだ。
 トンボ玉がこれだけ綺麗なら自営のECサイトで工芸品として売れるかも……といった考えが浮かばないわけではなかったけれど。
(「止そう。そういう話を持って行くにしても、今日じゃあ無いね」)
 今はそんな無粋や野暮は引っ込めて――この美しい景色と、せっかくの機会を楽しもう。
 軽く頭を振って雑念を払ったリアが浮かべた表情は、ニヤリという少しばかり不穏で楽しげなもの。
 電脳魔術製の銀虎猫を模した3Dキャラ型デバイス『ヌァザ』に櫂を任せると、待ちかねていた子供たちに号令をかけて舟の外へと一緒に飛び出していく。
 ざぶんと川に飛び込んでも、水深が浅く流れがゆるやかなここなら水遊びするにも支障はない。
 随分と大人っぽく見えていても、リアだってまだ14歳。子供といってもいい年齢だ。
 さっそく水をかけあったり潜ったりしてはしゃいでいる子供たちに、水鉄砲を手に突撃していく。
 遊んだ後に濡れた体を乾かすタオルとドライヤーの準備も整えているので、後顧の憂いはなにもない。
「さぁ、いくよー!」
「へっ、かかってきなー!」
 ひとり目がけて水鉄砲を放てば、むこうも負けるものかと水を蹴ってきて、あとはもう大混戦。
 楽しげな歓声と絶え間なくあがる水しぶきは、トンボ玉にも負けないくらいキラキラと川辺を彩っていた。

 一方、リアの残したヌァザの操船でもう少し先まで舟を進めたアテナは、舟の上から釣り糸を垂らしていた。
 ちなみに服装は戦闘中に見せた大胆すぎるスーツから露出度も高くない普通のものに着替えている。
 水に入っても大丈夫という速乾性の素材で作られたハーフパンツに、赤いキャミソール、パーカー風のラッシュガードという出で立ちだ。
 ハーフパンツとラッシュガードはどちらも白だが、普段のヒーロースーツと同じ炎を示す柄が入っているる。
 服のような水着なわけだが、水着の方がヒーロー時のスーツの何倍も露出度が低いという謎な結果となった。
 川は岩や砂利などで怪我をする可能性が高いので、肌の露出は危険なのである。
 スーツ並の大胆な水着は、夏の海に期待しておこう。
 
(「ふぅ……全くふざけた相手だったわね」)
 釣りで待ちの態勢に入りようやく落ち着いたアテナは、先程までの戦いを思い返してやれやれと溜息をつく。
 普通の戦闘と違い肉体ではなく精神的に疲れる敵だったので、川で遊んで帰るという勧めに従ったわけだが、正解だったかもしれない。
 せっかくだしたまには釣りでも楽しもうと思ったのだが、こうして糸を垂らしている時間というのは考えごとをするにも心を落ち着けるにも最適といえた。
 魚を釣るなら反応を見逃さないために緊張もあるが、今回狙っているのはトンボ玉である。
 針の代わりに小さな籠のようなものをつけていて、それで川底のトンボ玉をひっかけて釣るのだ。
 川の流れのせいもあってヨーヨー釣りのようにはいかないため、無機物ながらこれでなかなか思ったよりも釣り感はある。
 そのうえ魚ではないのであまり気をつかう必要もなく、気楽にできるところがちょうどいいというわけだ。
「ここのところ戦い続きだったから、たまにはこういうゆったりしたのも良いわよね……」
 改造釣り竿でトンボ玉を探りながら、アテナは久しぶりに穏やかな時間が過ぎるのに身を任せる。
 糸の先の籠に硬質な手応えがあったら竿を動かしてトンボ玉を掬い取り、引き上げては魚籠に入れていく――という作業を繰り返していると、身も心もリラックスしていく気がした。
 そうしてゆったりしていると、不意にあの奇妙な戦いのことがまた思い起こされてくる。
 ぶんちょう、カッパ、フットサラ。
 思い返しても奇妙極まりない戦いだったけれど。
「フット皿も……まぁ、意外と楽しめたわね」
 喉元過ぎれば、というやつかもしれないけれども。
 なんだかんだ楽しめたとつぶやいたアテナの表情は、随分と柔らかい。
「おっと、またかかったわ」
 そうしてまったりした時間を過ごした結果――アテナは魚籠をいっぱいにするくらいトンボ玉を釣り上げたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

御宮司・幸村
【POW】
ベル君(f12926)とトンボ玉拾い
いやあ…モフモフとフットサラ、満喫出来たねー!
ベル君、楽しかったー?

そうそう、ベル君、トンボ玉って知ってるー?
えっ、知らない?
うん…トンボ型のオブビリオンが封印された玉なんだー
いや、ウソだけどー

トンボ玉って言うのは、ガラスで作った綺麗な細工玉なんだー
川底のトンボ玉を拾うと良いんだってー

でも、おじさんはどうしようかな…
おじさん、HMDを取るとしゃっくりが止まらなくなって3時間後に死んでしまう奇病にかかってて外せないんだ…
だから、ベル君がおじさんの分も取ってきてくれるかなー?

えっ?こんなに!?(アカン)
う、うん、ウレシイナー(幾つかコッソリ沈めておく)


アルベルト・サーシェス
【POW】で、ぐっさん(f02948)と参加です。

今日は沢山思い出が出来ました!
とても嬉しいです!

トンボ?玉?
最後にそのトンボ玉という敵を倒せば良いんですね?
えっ…違うんですか?

なるほど、なら水中で光を反射しているのがトンボ玉かもしれませんね。

あわわ、ぐっさんにそんな病気があったなんて!
全然知りませんでした、すみません…。
ぐっさんが死ぬのは嫌なので、僕がぐっさんの分まで集めてきます!
どれがトンボ玉なのか、ちょっとわからないので、とりあえずそれっぽいのを集められるだけ集めるので、選別はぐっさんにお願いしても良いでしょうか?お手を煩わせてしまってすみません…。




「いやあ……モフモフとフットサラ、満喫出来たねー! ベル君、楽しかったー?」
 川辺にあった大きな岩に座った幸村は、ぐっと伸びをした後で隣に座るアルベルトに問いかける。
「はいっ。今日は沢山思い出ができました! とても嬉しいです!」
 胸のあたりで掌を合わせて楽しそうに答える姿を見れば、一緒に来た甲斐もあるというもの。
 うんうんと頷いて噛みしめている幸村の視線の端で、川面が複雑な光に揺らめくのが見えた。
 トンボ玉が底に沈んでいるのだろうか?
 そういえば出発前にそんな話を聞いた気がする。
「そうそう、ベル君。トンボ玉って知ってるー?」
「トンボ? 玉?」
「えっ、知らない?」
 きょとんとした表情で首を傾げるアルベルトの姿に、これは本当に知らなさそうだと思った幸村の心にむくりと沸き上がってきたのは、ちょっとした悪戯心だ。
「そっかー。トンボ玉はねー、トンボ型のオブビリオンが封印された玉なんだー」
 様々な色を反射する川面を指差して言ってみせると、途端にアルベルトはキリッと真剣な表情をみせる。
「なるほど。最後にそのトンボ玉という敵を倒せば良いんですね?」
 任せてください! とすぐにも川に飛び込みそうな様子を可愛いなーと思いつつ、一応ちゃんと訂正をいれてみた。
「いや、ウソだけどー」
「えっ……。違うんですか?」
 スン……と岩に座り直したアルベルトは少しばかり残念そうだ。
 騙して申し訳ない気持ちもあるけれど、純真ゆえの反応が可愛らしく、それを見るのが楽しくて、ついついからかってしまう幸村である。
「トンボ玉って言うのは、ガラスで作った綺麗な細工玉なんだー。川底のトンボ玉を拾うと良いんだってー」
 この付近の風習なども合わせて説明すると、川面に目を向けたアルベルトが納得したように頷いた。
「なるほど、なら水中で光を反射しているのがトンボ玉かもしれませんね」
「でも、おじさんはどうしようかな……。おじさん、HMDを取るとしゃっくりが止まらなくなって3時間後に死んでしまう奇病にかかってて外せないんだ……」
 一度嘘をついた後、正しい情報を出して油断したところにこれ。
 幸村、なかなか悪い大人である。
「あわわ、ぐっさんにそんな病気があったなんて! 全然知りませんでした、すみません…」
 しかもアルベルトはすんなり信じたばかりか、涙目だ。
「だから、ベル君がおじさんの分も取ってきてくれるかなー?」
 そこへニコっと笑ってお願いするので、ますます幸村の悪いおじさん感がアップする。
「はい! ぐっさんが死ぬのは嫌なので、僕がぐっさんの分まで集めてきます!」
 まだわずかに目を潤ませたままぐっと掌を握りしめて宣言するアルベルト、純真すぎて悪い人に騙されないか不安だが、もしかしてこれは現在進行形で悪い大人に騙されている図なのだろうか。
「いってらっしゃーい、ベルくんがんばってー!」
 ひらひらと手を振る幸村の声援を受けて、アルベルトは川の中へ飛び込むと、気合いを入れて川の底へと潜っていく。
 なにしろ下半身が魚で人魚形態のアルベルトだ。水の中を泳ぐのも潜るのもお手の物で、陸上で拾って歩くよりも容易い。
 トンボ玉を見たことがないので分かるかどうか不安だったけれど、幸村から教わった『ガラスで作った綺麗な細工玉』らしきものはすぐに見つかった。
 なにしろたくさんのトンボ玉が沈んでいるので、少し移動すれば必ず行き当たるらしい。
(「わぁ……綺麗ですね……!」)
 水の中に馴染みのあるアルベルトにも、その光景は珍しく映った。
 日の光を受けて反射する輝きと、水の動きに揺れる煌めき。空の星が川の底へ落ちたかのような光景に目を瞠る。
 トンボ玉なのかどうかの確信は持てなかったが、あとは持って帰って幸村に判断してもらえばいい。
 そう判断して、アルベルトは見つけた丸い輝きを拾い集めていく。
 なにしろ量があるのでさすがに全ては拾いきれなかったが、尾びれをぐるりと巻くようにして拾った玉をまとめて掬い上げて水上へと戻った。
「ぐっさん! ただいま戻りました!」
「おかえりー、ベルくん。どうだった?」
 出迎えてくれた幸村に向ける表情は、やりきった笑顔で眩しい。
 戦果を聞くと、アルベルトが恥ずかしそうに川原の上で尾びれを解いて見せた。
 現れたのは、高さが30センチ以上もある『トンボ玉の山』とも言うべきものである。
「えっ? こんなに!?」
「どれがトンボ玉なのか、ちょっとわからなかったので……。とりあえずそれっぽいのを集められるだけ集めてみました」
 さすがに幸村も目を瞠るが、アルベルトは至って大まじめな様子だ。
「選別はぐっさんにお願いしても良いでしょうか? お手を煩わせてしまってすみません……」
 照れた様子なのも、どうやら手を煩わせることに対してらしい。
「う、うん、ウレシイナー……」
 アルベルトの素直さと真面目さを舐めていたようだ。
 純真な子を愛を持って騙すちょい悪おじさんは、時にその純真さに敗北するらしい。
 まさか山ほど取ってくるとは思わなかった幸村は、少しばかり引きつった笑みでお礼を言いながら、あとで少しずつ川の底へ戻すことを心に決めたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

虚戯・禊
アドリブ・その他歓迎。

「……んむ」

とりあえず殺意多めで参加してたからちょっと居づらいかな。
と言う訳で、自分は少し離れた場所で遊んでる皆を眺めながら巌鉄と八馘落の手入れでもしておこう。




 川縁から少し離れた木の陰に、禊の姿はあった。
 春とはいえ少しずつ日差しは強くなっている。日の光を反射する水面の輝きは綺麗だけれど、ずっとみているのも眩しいものだ。
 木の幹に寄りかかって座り込んだ禊がそんなところで何をしているのかといえば、愛刀たちの手入れである。
 戦いに生きる者にとって武器は命綱であり、最も頼りとするもの。戦いの後の手入れは必須で、それは早ければ早いほどいい。
 文鳥たちと戦った時の『巌鉄』は刀というより鉄の塊といった方が近い形状だとはいえ、錆びては大変だ。
 汚れを拭って、磨いて、欠けがないかを確認していく。
「……んむ」
 ゆっくりと時間をかけて丁寧に作業を終えると、次はカッパを斬った『八馘落』だ。
 幼少の頃からずっと共にある刀が相手だからだろうか。扱う手つきも慣れたもので、その動きに淀みはない。
 鞘を払い、刀身をよく見て、汚れを丁寧に拭っていく。
 幸いカッパ相手にこの刀を振るったのは、既に覚悟済みの敵を切り伏せた介錯に近い一閃のみだ。
 皿を斬ったわけでもなく、強固な防具を着込んでいたわけでもない相手なので、刃こぼれも見当たらない。
「んむ」
 納得したのか、もう一度深く頷いてから禊は丁寧に刀を鞘に納めた。
 ふぅ、と軽く息をついて目を閉じる。
 川が近いせいか少し冷たくも感じる風が頬を撫で、木漏れ日が葉の陰を瞼に落とすのが分かった。
 耳には、川原で楽しげに遊ぶ子供たちや猟兵たちの声が聞こえる。
 楽しそうだな、という感想はあるけれど。
 なんとなくそうした中に居づらさを感じてしまうのは、物心つい頃からずっと戦いの中で生きてきたからだろうか。
 オブリビオンと戦うこともそれを倒すことも猟兵としては当たり前のことなので、禊が居づらさを感じる必要はどこにもないのだけれど。
 どんなものを楽しみとするのかも、どんな風に楽しむのかも、全ては人それぞれ。
 戦いのあと、丁寧に武器の手入れをして。
 自然をゆっくりと味わいながら、あちこちで遊んでいる人達の姿や声を楽しむのも、またひとつの余暇の過ごし方だろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルバ・アリエスティーニ
いやだからその称号はいらないって…って消えた相手に言っても仕方ないですね…(ため息)

何はともあれ、川の平穏は取り戻せましたし…トンボ玉?でしたっけ?
探してみましょうか

【WIZ】
この格好(カジノディーラー服)では流石に泳ぐのは躊躇いますね…
ここは流れを読んでみましょうか
ビリヤードの玉とは違いますが、先程のぶんちょうたちだって玉と思って攻撃出来ましたからね…軌道さえ読めれば大丈夫でしょう…

トンボ玉を拾えたら空にかざして見てみる
キラキラとして綺麗ですね

(でもあのぶんちょうたち…口惜しいですね…きっと人気になったでしょうに…)

アドリブ歓迎


タビタビ・マタタビ
【WIZ】で行動

わー川だー……って
ボク、水苦手だった
フットサラの帝王なのにー(関係ない)

フットサラ大会で逃げてた人たち、川辺に戻ってきてないかな?
もしいたら、トンボ玉が溜まってそうな場所を聞き出してみようかな
人気が無ければ、川沿いに歩くとかして地道に流れを読んで、たまり場を見つけ出すね

トンボ玉を見つけられたら実物のキレイさに感動
色んな模様のがあるんだねー!

ボクの目の色みたいな玉があったりしないかな?
あとは刀とか槍とか、武具っぽい模様のを探してみる
他の猟兵さんがボクの欲しそうな柄のを持ってたら、交換をお願いしてみたり。
代わりに、ボクが拾ったので欲しいのがあればお譲りするよ!




「わー、川だー!」
 きらきらと光る川面を見つけて走りかけた足を、タビタビは水の目の前でピタリと止めてしまった。
「……って、ボク、水苦手だった……」
 猫……というかケットシーなので、そういう子もいるだろう。
「うぅ、フットサラの帝王なのにー」
 しょんぼりとヒゲが垂れてしまったタビタビは、仕方なく川の流れにそって歩き出す。
 たまりのような場所があれば、水に入らずにトンボ玉が拾えるかもしれないと思ったのだ。
 とてとてと歩いていると川原で遊んでいる子供たちが見えたので、その子らに話を聞いてみる。
「ねぇねぇ。この近くにたまりとか、川に潜らなくてもトンボ玉が拾えそうなところはないかな?」
「おれ知ってる!」
「少しくだったところにねぇ、池みたいになってるとこ、あるよ」
「トンボ玉なら、たまに川原にも落ちてっぞ」
 やっと川で遊べるのが嬉しいのかどの子供も楽しそうで、競うようにして知っていることを教えてくれた。
「ありがとう! 探してみるね」
 子供たちにお礼をいって、改めて探しにいく。
 川に入らなくても拾える可能性が高いならば、やる気も増すというもの。
 ふんす、と気合いを入れたタビタビは、気分だけなら伝説の秘宝を探す勇者だ。
 足場の悪い砂利道を抜けて、険しい岩場へ。
 そうして辿りついたのは、穏やかな支流のさらに端。川の流れから取り残された大きなたまりだった。
 しかも思ったよりたくさんのトンボ玉が転がっている。
「ふわー、たくさん!」
 水につからないよう慎重にちょこちょこと寄ってから、そうっと取り上げたトンボ玉を日に透かして見ると、キラキラと輝いて本物の宝石のようだ。
「きれー! 色んな模様のがあるんだねー!」
 ガラス玉でも工夫を凝らした細工玉は充分に宝物で、タビタビはひとつずつ拾ってはじっくりと眺めて楽しみ、どれをお土産にしようかと頭を悩ませる。
 ひとつは自分の目の色そっくりの、金色に光るトンボ玉。これは絶対はずせない。
 それから、武器っぽく見える模様のトンボ玉はないかと探して見つけたいくつかのもの。
 しゅんっとした三日月型の模様は剣のようだったし、矢印にも見える模様は槍っぽい。
 探していると、どんどんそんな風に見えてくるから不思議だ。
 気に入ったトンボ玉を手に入れてほくほく顔のタビタビは、どうせなら他の人が拾ったものを見せてもらって、互いに気に入るものがあれば交換してもらうのもいいかもしれない。
 そんな風に考えたタビタビは、人を探しながらとてとてと来た道を戻っていった。


 その少し上流で、アルバは疲れたというか、辟易とした表情でカッパの消えた後の地面を見下ろしていた。
『今日よりフットサラの帝王の称号は、貴様らのものだ!』
 などと言って満足して死んでいったカッパだが、『フットサラの帝王』なんていう称号など普通にいらない。
 けれど拒否しようにも文句を言おうにも、当人ならぬ当カッパはもういないとくる。
 なんだか勝手に押しつけられてしまったのは釈然としないが、いない相手に文句を言っても仕方がない。
 大きな溜息と一緒にもやもやした気持ちを吐き出すと、アルバは気分転換代わりに事前に聞いていたトンボ玉とやらでも探してみるかと川原を歩き出した。

 そのうち川面が複雑な色にきらめいているのが見えたので水際まで近寄ってみたものの、自分の服装を見下ろしてしばし逡巡する。
「この格好では、流石に泳ぐのは躊躇いますね……」
 なにしろアルバが着ているのは、カジノでよく見るディーラー服。
 よく似合っていたが、川に入るには向かない服であることも確かだ。
「……ふむ。ここは流れを読んでみましょうか」
 顎のあたりに手をあてて束の間考えこんでいたアルバは、顔をあげると手に愛用のキューを持って構える。
 ビリヤードで培った技で、川に入らずにトンボ玉をとろうというのだ。
(「ビリヤードの玉とは違いますが、先程のぶんちょうたちだって玉と思って攻撃出来ましたからね……。軌道さえ読めれば大丈夫でしょう……」)
 トンボ玉の位置を予測し、川の流れを把握して、己のボールの軌道を読む。
 セットしたボールをキューでつけば、それは川をものともせず飛んで底にあるトンボ玉へと向かっていった。
 文鳥の時のようにボールの衝撃がトンボ玉の同士を次々と連鎖して弾いていき――そうしてめぐりめぐった結果として、アルバの手の中に幾つかのトンボ玉をもたらしたのである。
「うん、計算通りです」
 手に入ったトンボ玉を空にかざして見てみると、キラキラと輝いていてなかなか綺麗だ。
 ガラスの中に見える模様も様々で、どれひとつとして同じ物がない。
 ひとつずつ確認していると、不意に目線より下の方から声がした。
「おねーさん、武器みたいな模様のトンボ玉、持ってないかな?」
 目を向けると、そこに居たのは一緒に戦っていたケットシーのタビタビである。
 どうやらトンボ玉の交換をしてほしいということのようだ。
「武器ですか……そうですね、これなどはどうでしょう?」
 手に入れたトンボ玉の中から、アルバは手裏剣に見える模様のものをタビタビに差し出す。
「すごーい! あ、代わりにボクが拾ったので欲しいのがあればどうぞ!」
 せっかくなのでタビタビのトンボ玉も見せてもらうと、なんだか白い文鳥のような模様のトンボ玉を見つけて、アルバの口元が綻んだ。
「ふふ、では代わりにこれを貰いましょうか」
「ありがとう、おねーさん!」
 嬉しそうにとてとてと走っていくタビタビを見届けてから、交換してもらったトンボ玉をゆっくりと眺める。
 やはりあの文鳥にそっくりだ。
(「あのぶんちょうたち……惜しいですね。きっと人気になったでしょうに……」)
 ついそんな未練が頭をよぎったけれど、叶わぬ願いなのは分かっている。
 代わりにこんなお土産が手に入ったのだ。リゾートを盛り上げる人気者もきっと他に良い候補が見つかるだろう。
 そう思うことにして、アルバは文鳥模様のトンボ玉をそっとポケットへとしまったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年04月26日


挿絵イラスト