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エンドブレイカーの戦い⑯〜密告者と述懐

#エンドブレイカー! #エンドブレイカーの戦い #燦然楼閣ゼルフォニア #ウリディムマ

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「世界の全てを|理解《わか》りたーーーーーーい!!!!!!」
 月・英(白昼夢は月の夢・f40538)がなんか言っとるわ。
 しかし、何も起こらなかった。当然である。何せ彼女は平素より自らの|知識欲《よくぼう》のままに、死してなお生きている。
「識りたかったからこんなことになってるのか否かは未だに謎なんだけどねえ。まー僕のことは置いといて。ウリディムマが現れたよ!」
 ウリディムマ。
 嘗ては密告者とも呼ばれ、エルフヘイムに封印され、その封印が解かれた際にはエンドブレイカー達と死闘を繰り広げたこともあったが。
 今、こうして明確な復讐心の元、オブリビオンと化し万全を期してこの侵略に臨んでいると言う。
「無限増殖の開始直後だったらこんな面倒なことになってなかったんだけどねえ。実際当時のエンドブレイカーの皆も、そうやってこいつ倒したらしいし?」
 その対策も抜かりなく、こうして既に無限増殖を済ませているのである。夥しい数のウリディムマが押し寄せる光景。それはとても|素晴らしい《気持ち悪い》光景である。
「見ての通りキッショイんでね、遠慮なくやってしまいましょう。とは言えまともに一人十体くらい倒すみたいなのは……ま、頑張ればいけなくもないかな?」
 お前もその結論になるんか。
「でもね、もっと楽に戦える方法があるよ。それはね、自分に正直になることさ」
 僕みたいにね、と豪語する英曰く。
 己の欲望に正直になってしまえ、と。
「何でもいーよ。彼女欲しいとか、米が食いたいとか、……愛されたかったとか、殺し足りないとか……何でも、ね」
 細やかなものでも。
 赦されないと抑圧したものでも。
 人が聞けば忌避されるようなものでも。
「僕が赦すよ」
 外見年齢青年期。肉体存在年数未知数。
 そんな女が、母親のような顔で言った。

「……あっでもでも子供に聞かれてたら戦争終了後にお縄になりそうな案件は残念ながらストップかけるからね!」


絵琥れあ
 お世話になっております、絵琥れあです。
 秘めた欲望、と言っても色々。

 戦争シナリオのため、今回は1章構成です。

 第1章:ボス戦『ウリディムマ』

 無数のウリディムマに対処しつつ本体も攻略するよう動く、もしくは己の秘めた欲望を曝け出すことでプレイングボーナスが得られます……が。
 今回は後者、つまりは暴露吐露系のプレイングを優先して採用させていただきます。
 コミカルシリアスダーク、なんでもござれ。
 但しえっちなのだけはご容赦ください。

 募集開始日時は未定です。確定しましたらタグにて告知させていただきます。
 公開直後でもオーバーロードであれば受け付けておりますので、経験値沢山欲しい方などは活用をご検討ください。
 また今回、必要成功数を大幅に超過しない採用数となる予定ですので、人数によっては全採用がお約束出来ません。
 予めご了承いただければ幸いです。

 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

 ※オマケ
 プレイング冒頭に🔥をつけるとその方のリプレイ文体が何処かの火刑戦旗のような作風になります。
 (コミカル描写希望の場合は余りお勧め出来ません)
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第1章 ボス戦 『ウリディムマ』

POW   :    抵抗を望む欲望も、私の餌となります。
【小さなウリディムマ】をレベルm半径内の対象1体に飛ばす。ダメージを与え、【言葉で指定】した部位の使用をレベル秒間封じる。
SPD   :    あなたが隠したい欲望は、何ですか?
対象への質問と共に、【対象の秘めたる欲望】から【新たな無数のウリディムマ】を召喚する。満足な答えを得るまで、新たな無数のウリディムマは対象を【欲望を奪う視線】で攻撃する。
WIZ   :    これもまた、素晴らしき光景の一端です。
【ウリディムマ】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[ウリディムマ]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。

イラスト:タヌギモ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

マシュマローネ・アラモード


【願い】
私の願いは……!
UC、赫灼たる王の宣言!
12の皇子と皇女の末席ながら、望むべくは、王の座。
理想の王として、皆が認める第一皇女となる事!

願いを解放した私の修練の先の姿、お見せします!

【悪意を断つ王】
|権能《プリンセスエフェクト》斥力(吹き飛ばし)!
小さなウリディムマを吹き飛ばしつつ、自身の身に宿した権能で飛翔し、肉薄する。
「モワ、グレイス・フルムーン!インパクト!」
飛翔する月を眼球に打ち込み、月を通して斥力を解放し、内部から弾けさせる。

……本当は大言壮語、身の程を弁えない事も事実。
ですが、それだけの野心が私にはあるのです。
父上を超えるような大王として!




 |密告者《ウリディムマ》。
 それは巨大な――眼か、或いは唇か。
 いずれにせよその増殖体が今、猟兵達の傍らに、そして彼方より押し寄せて、増え続ける。
 だが、猟兵達は絶望しない。
 マシュマローネ・アラモード(第十二皇女『兎の皇女』・f38748)も、また。
「私の願いは……!」
 その姿は可憐にして、威風堂々たる佇まい。
 齢12にして紛うことなく、彼女は皇女だった。
「王家の誇りにかけて、無辜の民を守る力となりましょう!」
 それは宣誓。
 口にするその身は赫灼たる王のそれ。
「12の皇子と皇女の末席ながら、望むべくは、王の座。理想の王として、皆が認める第一皇女となる事!」
 望みは地位か、権力か。
 否、ただ民を導き善く治める仁君の未来!
「願いを解放した私の修練の先の姿、お見せします!」
 今、ここに在るは第十二皇女マシュマローネに非ず。
 王として君臨せし、第一皇女マシュマローネ!
「|権能《プリンセスエフェクト》斥力!」
 未来の己を得た彼女の風格と権能は、それだけで傍らのウリディムマを消し飛ばした。
 悪意を断ち切る真白き王はぴょん、とひとつ軽やかに跳んで。そのまま飛んで。
 夥しい眼、或いは唇の群れに肉薄する。
「モワ、グレイス・フルムーン! インパクト!」
 輝けるは飛翔する月よ。
 王の意の儘、仰せの儘に。
 狙いはぎょろり、欲望を暴く赤き眼球へ。
 打ち込まれ、血眼の最中に留まる月を通して再び解放された斥力は、内側からウリディムマを弾き飛ばした。
 破裂し、散らばる房水すらも権能を纏ったマシュマローネの純白を汚すことすら叶わない。
「……本当は大言壮語、身の程を弁えない事も事実」
 理想の未来を纏った第十二皇女は呟いた。
 この身は未だ幼く、修行の旅は道半ば。
 だからこそ今は、夢物語を語るだけ。
 マシュマローネ自身が、誰より理解していた。
 己のことを。理想の遠さを。
「ですが、」
 今は夢物語でしかなくとも。
 いつかの未来、きっと現実に。
「それだけの野心が私にはあるのです」
 常ならば、第十二皇女としての弁えがある。
 しかし胸に秘めた大望は、確かにここに宿っている。
 それを欲望と言うのなら、好きなように言うがいい。
 未来の第一皇女は――王は、笑って許そう。
「父上を超えるような大王として!」
 これは、予行演習だ。
 王たる未来への、確かな一歩だ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

クロービス・ノイシュタット
自分に正直…
つまりいつも通りってコトだね、了解した☆

という訳で
君は、密告者
ウ何とかなんて知らん名前じゃなくて、その眼球に切っ先めり込ましたくなる密告者!
そっちの方が正直馴染みが――いや馴染まなくて良いんだけど早急に消えて欲しいんだけど――
なのでそう呼ぶ!

小さいの…さぁて、出せたかい?
俺はね、元々自分に正直なの
やりたい事はやる、行きたい所は行く
欲しいものは…なかった
そう、無かった。過去形だ
けれど、今は
俺が初めて欲し、何より望んだものは、いつだって俺の傍らに
とっくに叶ってるんだ
態々隠すまでも無く、ね

集められるモンならやってみなよ
こちとらその前に、その目と口を…UCで
乾燥と凍傷にさせる気満々なんで!




 幾つもの眼が己を凝望する中。
 クロービス・ノイシュタット(魔法剣士・f39096)はふむ、とひとつ思案する。
「自分に正直……」
 ならば己が取るべき答えは、ひとつだ。
「つまりいつも通りってコトだね、了解した☆」
 茶目っ気たっぷりに、彼はそう言う。
 何も、変わらない。いつも通りの己であるだけだ。
「という訳で」
 顔を上げれば眼のひとつと視線がかち合う。
 しかし刺すような視線を受けるクロービスは、睨み返すでもなく穏やかな眼差しのまま。
「君は、密告者」
「確かに、嘗てはそう名乗っていたことも」
「ウ何とかなんて知らん名前じゃなくて、その眼球に切っ先めり込ましたくなる密告者!」
 笑顔で遮り、切り捨てた。
 穏やかで緩やかなその貌に反して、一切の容赦はなかった。
「そっちの方が正直馴染みが――いや馴染まなくて良いんだけど早急に消えて欲しいんだけど――なのでそう呼ぶ!」
 正直なところ、この再会すら不本意極まりないのだけれども。
 蘇ってしまった以上は仕方ない。今回も相手をしてやるとしよう。
「小さいの……さぁて、出せたかい?」
 手の内は解り切っている。傍らを見遣れば呼応するように小さなウリディムマ――否、密告者が現れる。
 しかし、酷く小さかった。理由も易々察しはついた。
「俺はね、元々自分に正直なの」
 目を伏せて、想起する。
「やりたい事はやる、行きたい所は行く。欲しいものは……なかった」
 己の望みなど、考えもしなかった。
「そう、無かった。過去形だ」
 エンドブレイカーとして、旅を続ける内に。
 欲しいものが、出来た。
「けれど、今は」
 己が初めて抱いた我欲だった。
 けれど、焦がれて求めて付け込まれることは、ない。
「俺が初めて欲し、何より望んだものは、いつだって俺の傍らに」
 最愛を得た。
 家族を得た。
 証は、誓いは、左手に。
「だからね、とっくに叶ってるんだ」
 秘されし銀の煌めきが、在る限り。
 ――永遠に。
「態々隠すまでも無く、ね」
 青藍の空宿した瞳もまた、煌めいた。
 その光の剣呑さに、密告者が身を寄せるが如く集うが。
「集められるモンならやってみなよ」
 冷たき光が冬を呼ぶ。
 蒼銀の刃に凍風が集う。
「こちとらその前に、その目と口を……」
 吹き荒れろ。
 大切なもののある世界に、お前はいらない!
「乾燥と凍傷にさせる気満々なんで!」
 雪煙舞い上げ冬の嵐が血色の眼を攻め苛み――紫に変じた唇ごと、砕く!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルシア・ナドソコル
【心情】
これはまた、随分と懐かしい顔ですね
二度と見たい相手でもありませんでしたが

良いでしょう、今度こそ二度と余計なことを話せないよう、徹底的に潰します

【欲望】
このトーンで話すと友人たちから妙に怖がられるので普段黙っているんですが
『ウリディムマ』、お前のように、裏でこそこそ陰謀企んで、人のことをあざ笑っている奴、大嫌いなんです
正直、一刻も早く苦しんで死んでいただきたいですね

※顔は普段と同じ穏やかな笑顔だが、目だけは笑っていない

【戦闘】
「高速詠唱」から「全力魔法」「凍結攻撃」のUCを発動
ウリディムマを凍結させます

意志の統一は完璧でしょうから、変に動かないようにさせてもらいます
かつてもエルフヘイムに封印されていたことを考えると、変に殺すよりもこちらの方が困るんじゃないかと

動きを封じたら斧剣を「武器に魔法を纏う」で強化し「叩き割り」
足元に転がってたら踏みつけ

僕はお前は増えてもただただ気持ち悪い光景にしか見えない
僕が冒険しているのはこんな光景を見るためなんかじゃない

「二度と目覚めるな、『密告者』」




「これはまた、随分と懐かしい顔ですね」
 ルシア・ナドソコル(自由と冒険を求めて・f39038)の言葉は、旧知に向けるようなものだった。
 尤も、旧知は旧知でも彼にとっては。
「二度と見たい相手でもありませんでしたが」
 大抵のエンドブレイカーにとっては、そうであっただろう。
 そして勿論、ルシアも御多分に漏れず。
「良いでしょう、今度こそ二度と余計なことを話せないよう、徹底的に潰します」
 携えるは血錆の浮いた斧剣。
 嘗て邪智暴虐の王が、自ら処刑の為に振るったとされる、その。
 しかし今の主たるルシアは、平素と変わらぬ穏やかな微笑みを湛えている。
 まるで、それは――貼りつけたかのように。
「……ああ、このトーンで話すと友人たちから妙に怖がられるので普段黙っているんですが」
 再び紡がれる声は、酷く低く、冷えていた。
 腹の底から、絞り出したような声だった。
「『ウリディムマ』」
 真名を呼ぶ。
 ありったけの、嫌悪を込めて。
「お前のように、裏でこそこそ陰謀企んで、人のことをあざ笑っている奴、大嫌いなんです」
 だから、この欲望は。
 秘されていたこの欲望は。
 お前自身が、呼び起こしたものだ。
 眠れる衝動を、お前自身が目覚めさせたのだ。
「正直、」
 お前のせいだ。
 全部全部、お前のせいだ。
 わらう。
 嗤う。
「一刻も早く苦しんで死んでいただきたいですね」
 ただ目だけが、憎悪に凍りついていた。
 そして、纏う空気もまた、冷たく。
「――と、いうわけなので、変に動かないように凍っていて貰いましょうか」
 掲げたのは斧でなく刃。
 蒼氷宿し煌めく短剣が、紡ぐ言の葉を吸い上げるようにして、世界を白く染め上げる。
「意志の統一は完璧でしょうから、ね。それにかつてもエルフヘイムに封印されていたことを考えると、変に殺すよりもこちらの方が困るでしょう?」
 瞬きすらもさせてはやらぬ。
 集う傍から白に包んで、蒼き壁へと閉じ込める。氷の封印、凍てつく棺。
 慈悲の葬送などに非ず。こんなもので|終焉《おわり》などではなく。
「素晴らしい光景?」
 これの、何処がだ。
 この悍しい景色の、何処がだ。
 拒絶を込めて、氷棺ごと眼を叩き割る。
 魔が禍しき王の斧剣が、血を浴びて嗤った、気がした。
「僕はお前が増えても、ただただ気持ち悪い光景にしか見えない」
 足元に散らばった氷の、ウリディムマの破片を淡々と踏み砕き。
 更に、進む。そして、砕く。
 その繰り返し。
「僕が冒険しているのは、こんな光景を見るためなんかじゃない」
 恋い焦がれた世界は。
 この瞳に映した景色は。
 まだ見ぬ素晴らしい光景は。
 お前には絶対に、描き得ない。
 そんなもの、自分が絶対に、認めない!
「二度と目覚めるな、『密告者』」

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒谷・ひかる
秘めた、欲望……ですか。
うーん、そうですね。
別に隠している程のものでもありませんが……それでは。

リューさーんっ!!!
今すぐにでもお嫁に行きたいでーーーすっ♥
あなたの家の名を名乗りたいでーーーっす♥
あなたの手で、わたしをお母さんにしてほしいでーーーす♥♥♥
子供は五人……ううん、どうせなら十人超えるくらいは欲しーいなーーーっ♥♥♥
(敵地のど真ん中で愛を叫ぶ)
(なお互いの年齢や立場的に控えてるだけで将来的には全部叶えるつもりである)

戦闘では【草木と炎の煙幕弾】発動
相手は目玉のお化けなので目に染みる煙と花粉で涙だばだばにしてやります(ぇ
唇部分も花粉で潤いを奪い取ってパッサパサになればヒビ割れてきっとすごく痛いはずです!
追撃で精霊銃のレーザー弾(光属性の弾)で目ん玉撃ち抜いて「目があっ!」状態にしてあげましょう!(ダメージ&目眩まし)

とりあえず、こんなところで良いでしょうか?
もっと必要でしたら、遠慮なくもっともっと叫ばせて頂きますがっ!
(どう転んでも惚気けるつもりであった)




「秘めた、欲望……ですか」
 思わず呟いた荒谷・ひかる(|精霊寵姫《Elemental Princess》・f07833)の言葉も、押し寄せるウリディムマの波に呑まれていくようだった。
 奴らは欲望を糧にその数を無限にも増やしてゆく。ただの欲望ではない、抑圧され表に出ることのない、秘された欲望を。
 故に。奴らに立ち向かうべく、猟兵達は己の内に秘めた欲望に向き合うのだ。
「うーん、そうですね……別に隠している程のものでもありませんが……それでは」
 僭越ながら、とひかるは咳払いひとつして。
 それから、すぅと深く息を吸い込むと、次の瞬間。

「リューさーんっ!!!」

 声を張り上げた。
 ここにはいない人の名を呼んだ。
 あっこれなんかテレビで見たことあるな。学生達が屋上で思いの丈を叫ぶ感じのやつ。あれにノリが似ている。
「今すぐにでもお嫁に行きたいでーーーすっ♥」
 そうこうしている内に告白タイムがスタートした。
 いや、実際のところ既にひかるは想いの君とは婚約を交わしている。ので、言葉通りもう後は嫁入りするだけの状況である。
「あなたの家の名を名乗りたいでーーーっす♥」
 の、だが、ここに来て走り出したLoveが止まらない状態になっているようである。
 だって相手が『秘めた』欲望を糧にするって言うから。だからこうして赤裸々に想いを叫んでいるのである。言うなれば正当防衛の一環である。
「あなたの手で、わたしをお母さんにしてほしいでーーーす♥♥♥」
 おおっと幸せ家族計画のターンに突入したぞ。
 普段は思っても表に出さないようにしてるからね。ショウガナイネ。
「子供は五人……ううん、どうせなら十人超えるくらいは欲しーいなーーーっ♥♥♥」
 敵地の中心で、愛を叫ぶ。
 え、秘めてる割には躊躇いがないって? 秘めてるとは言っても互いの年齢や立場的に控えているだけであって、将来的には全部叶えるつもりなので。


 さて、一通り語ったところで気づけばヘロヘロになっているウリディムマ衆である。これだけ明け透けに暴露されたらそりゃあ堪ったものではない。
「今です! 相手は目玉のお化け……目に染みる煙と花粉で涙だばだばにしてやります!」
 一部の人間も精神的にダメージ受けそうな攻撃ですねえ!?
 そんなわけで早速花粉煙幕ぶぁさあぁぁーーーーーー。パッサパサだよひかるちゃん!(目と唇が)
「そう、唇部分も花粉で潤いを奪い取ってパッサパサになればヒビ割れてすごく痛いはずです!」
 あっ切れた部分から血が出てきた。哀れ。
 しかし自業自得であるので更に追撃。
「光の精霊さん、お願いします! 目ん玉撃ち抜いて差し上げましょう!」
 精霊銃から放たれたレーザー弾がウリディムマを襲う!
 メガアァァ状態でぼとぼと墜ちていくウリディムマである。普通に気持ち悪い。
「……ふう。とりあえず、こんなところで良いでしょうか?」
 一仕事やり終えた顔で、額を拭ったひかるであったが。
 直後何かを思い出したかのように、ばっと背後を顧みた。
「もっと必要でしたら、遠慮なくもっともっと叫ばせて頂きますがっ!」
 まだまだ惚気るつもり満々であった。
 いやだって語れって言うから。ねえウリディムマさん?(言ってない)

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジゼル・サンドル
隠している欲望か…そんなものはないと、言いたいところなのだが。
思い出すのは別の戦場で敵が見せた『あのひと』の幻。もう会えないのは分かりきっているのに未だにあのひとの影はわたしの心を焦がす…

転生したあのひとが大切な人と再会して幸せになってほしいと思うのも本当なのに、その一方であのひとにもう一度微笑みかけてほしいと願う自分もいる。いやそれどころか…
『わたしだってあのひとに愛されてみたかった』
あのひとに深く愛された|彼の人《少女探偵》が羨ましいとすら思う。
身を焦がすほどに誰かを愛してみたい、だったはずの憧憬はいつしかあのひとへの恋心に変わってしまったんだ。

狂おしいほどの愛情は美しいが、誰かの心を自分に向けたいなんて欲望はただのエゴで醜いものだな…
でも隠している欲望を暴き立ててそれを糧に増殖しようとする君達はもっと醜いと思うぞ。
あのひとが見せた炎で送ってあげよう、と指定UC発動。

(あのひとはわたしの心は美しいと言ってくれた。その通りの心でありたいものだ)
そんな願いを魂鎮めの歌に乗せて歌う。




 あれを素晴らしい光景とは思えないなと、ジゼル・サンドル(歌うサンドリヨン・f34967)は静かにウリディムマの群れを見据える。
 しかし、あれが増える一因に自身の欲も含まれているのかと思うと複雑な心境だった。
(「隠している欲望か……そんなものはないと、言いたいところなのだが」)
 頭を過ぎってしまった。
 真っ先に、思い至ってしまった。
 声が。
 言葉が。
 微笑みが。
 桜纏う世界で邂逅を果たした花の|悪魔《ダイモン》。
 永遠の森で見た幻が、『あのひと』の面影が、消えない。
(「もう会えないのは分かりきっているのに」)
 消えない。
 炎が消えない。
「未だにあのひとの影はわたしの心を焦がす……」
 熱い。
 心臓が、焼け落ちるように熱い。
「転生したあのひとが大切な人と再会して幸せになってほしいと思うのも本当なのに、」
 俯けば要らぬものまで溢れてしまいそうで。
 つんと傷んだ鼻先の痛みを堪えるように、上を向く。
「その一方であのひとにもう一度微笑みかけてほしいと願う自分もいる。いや、それどころか……」
 堪えきれずにひとつだけ。
 頬を伝ってほろりと落ちた。

「『わたしだってあのひとに愛されてみたかった』」

 花の如く甘く柔らかな愛情を。
 全てを焼き尽くすほどの情念を。
 一度、たった一度だけでも、向けられてみたかった。
「あのひとに深く愛された|彼の人《少女探偵》が羨ましいとすら思う……」
 彼の人を愛したからこそ、あのひとは世界を赤く焦がした。
 忘れ得ぬ炎だった。彼らがふたり心穏で在ることこそジゼルも祈っていた。
 祈っていたのだ。
 それなのに。
「身を焦がすほどに誰かを愛してみたい、だったはずの憧憬はいつしかあのひとへの恋心に変わってしまったんだ……!」
 そんな自分が、酷く醜く浅ましい生き物のように思えて。
 自分自身を、嫌いになってしまいそうになる。
(「……それでも、」)
 大切だと言ってくれる親友。温かく見守ってくれる先生。最期まで愛してくれたお母さん。そして、あのひとの。
 皆が向けてくれた心を、裏切るようなことはしたくない。
 だから、そんな自分も受け入れよう。
 すぐには出来なくても。
 辛くても。苦しくても。
 いつか、きっと。
「狂おしいほどの愛情は美しいが、誰かの心を自分に向けたいなんて欲望はただのエゴで醜いものだな……」
 だからただ、自嘲するように微かに笑うだけ。
「でも、隠している欲望を暴き立ててそれを糧に増殖しようとする君達はもっと醜いと思うぞ」
 人の心を、想いを嘲るような存在は野放しにしておけば、もっと多くの人の心を悪意の刃で抉るだろうから。
 もう、終わりにしよう。この戦いを終わらせて、ウリディムマを倒して、いつもの自分に戻るのだ。
「あのひとが見せた炎で送ってあげよう」
 見たかったのは、暴きたかったのは、これだろう?
 ……わたしの|あのひと《はな》に焦がれる想いそのものを……!!
 燃える。炎が燃える。
 焦がしていく。焼き尽くしていく。
 天も、世界も、あの敵も全て――全てを!
(「あのひとはわたしの心は美しいと言ってくれた」)
 解っている。あのひとの|心《はな》はもう、三十六の世界の何処にもない。もう二度と、触れられない。
 ならばせめて、あのひとが美しいと言ってくれたこの|心《はな》を、守りたい。
(「その通りの心でありたいものだ」)
 魂鎮めの歌に、願いを乗せて。
 届け。ウリディムマの為などではなく。
 もしも天に、あのひとがいると言うのなら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

樂文・スイ
アドリブ歓迎

隠れた欲望なぁ…俺、そもそも隠してるつもりないんよな
いつだって殺りたいし、攻撃する相手がどんな反応するか、どんな死にざま晒すか、息絶える瞬間まで見守ってやりたいんよ
ま、友人知人にドン引きされんのは嫌だから最近は自重してたかもな
そのぶん、お前に全部ぶつけて発散していいってワケだ?
そりゃあ願ってもない好機だねぇ!

指定UC発動、こんな楽しいことにテンション上がんなかったら嘘だろ?
小鬼どもと一緒にナイフをぶん投げて、傷口えぐって、その目ん玉とおくちを潰し回ってやるよ
頼むから、俺が満足するまで簡単にやられてくれるなよ?

覗き見も告げ口もできねえ気の毒な有様になったら、お前…いや、お前「ら」はどんな気持ちになるんだろうなぁ
最期までぜんぶ、俺に見せて逝ってくれよな




「まだまだ、私達は増え続けます。受け入れるのが賢明ですよ」
 降る言葉。その通りに。
 浮遊する唇の中に内包された眼球、全てがまるで同じその形をして群れる敵は、未だ視界を埋め尽くすほどに健在で、殲滅の終わりが見えることはない。
 抑え、隠し、秘めた欲望。それらが人より消えぬ限り、即ち永遠に、消えることなどあり得ないとでも言いたげに。
「隠れた欲望なぁ……」
 首を傾げる樂文・スイ(欺瞞と忘却・f39286)の、思案の理由はただひとつ。
「俺、そもそも隠してるつもりないんよな」
 言わないだけだ。聞かれないので。
 積極的に自分から話すような内容でもないし、大抵の人間には受け入れ難いものであるだろうという自覚くらいは持ち合わせているものだから。
 だって、彼が常々望んでいるのは。
「いつだって殺りたいし、攻撃する相手がどんな反応するか、どんな死にざま晒すか――、」
 その唇が三日月を描く。
 開かれたそれから零れる吐息は熱すら孕む。
「息絶える瞬間まで見守ってやりたいんよ」
 愛なのだ。愛ゆえだ。
 生命というモノが、好ましくて仕方がない。
 だからこそ、最期まで。愛に起因する|望み《よく》なのだ、何を恥じ入ることがあるだろう?
 ま、友人知人にドン引きされんのは嫌だから最近は自重してたかもな――なんて。理解されなくてもいい、けれどやはり、すげなくされると寂しいから。少しだけ。
 いずれにしても、向こうがそれを『隠していた』と判じているなら好都合。
「そのぶん、お前に全部ぶつけて発散していいってワケだ?」
 唇の三日月はそのままに。
 満月の双眸が、月光が如く爛々と輝いた。
「そりゃあ願ってもない好機だねぇ!」
 期待と興奮で胸が高鳴る。
 呼応して、優に百を超える小鬼の群れが現れた。鋭く尖った歯と爪は、彼らの嗜虐性を示しているかのようだ。
(「こんな楽しいことにテンション上がんなかったら嘘だろ?」)
 ぎらぎらと目を光らせる彼らも殺る気充分のようだ。それはそうだ。彼らは殺意に高揚する、|己《スイ》の内から出たものなのだから。
「さて、それじゃあ早速――」
 くるり。
 掌の内に閃かせ、弄ぶナイフ。
 その一本をひょうと投げれば手始めに風を薄く切り裂いて。
 眼球のひとつ、その瞳にぶすり突き刺さる。ダーツにでも興じるかのように。
「ぁ、ああ゛ぁぁあああ゛あぁぁ」
 何処から上げているのかも定かではない、苦悶の声。
 それでも消滅には至らず、|瞳孔《ブル》に深々刺さった刃を振り落とそうと左右に揺れる。のたうち回るようなその様に、スイは思わず笑みを深めた。
「頼むから、俺が満足するまで簡単にやられてくれるなよ?」
 これから小鬼どもと一緒に、傷口えぐって、その目ん玉とおくちを潰し回ってやんなきゃならないんだからさぁ!
 獰猛に輝く瞳が、刃が、歯が、爪が、言葉なくともその狂気を物語る。集った傍から小鬼が群がり、刺し、貫き、抉り、喰らい、引き裂いた。絶叫すらも|合唱《コーラス》のようで、スイの握ったナイフも宛ら指揮するように振るわれた。
 芸術家なんて気取るつもりはないけれど、自らの手で最期を齎す証がこの音楽だと言うなら悪い気はしない。
「覗き見も告げ口もできねえ気の毒な有様になったら、お前……いや、」
 角膜が破裂し、結膜は血走り、唇からも夥しい血が流れ、皮も肉も子鬼に喰らわれなお、苦悶の声だけを上げるそれを――、
「お前『ら』はどんな気持ちになるんだろうなぁ」
 それ『ら』を、見下ろす。
 自分には、想像するしか出来ないから。
 本物をくれよ。今ここで。
「最期までぜんぶ、俺に見せて逝ってくれよな」
 狂愛のままに、狐は嗤う――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロバート・ブレイズ
俺が欲しいもの――俺の欲望。俺の願い。俺の在り方そのもの――貴様が、人間の欲で『有る』ならば、俺は人間の『負の感情』だ。俺は人間の『あらゆる』負の面、尽くの化身として今、呼吸している
嗚呼、何もかも、全ての科白は俺の地獄のような都合主義に成るのだが、俺は――嗚呼、明解な『力』が欲しい
世の全て、幽世の全て、総ての事柄は既知故に、俺は俺を全知全能の『もの』として定めたいのだ。貴様、其処の怪物。それに加えて、矛盾するのだが、俺は俺を否定したいとの気持ちも有している。解るか?
つまり、俺は混沌で矛盾で人間で、誰よりも闇で在るべきなのだよ――!
オーバーロード。無数の敵を『盾』として扱いつつ『若い頃』つまり『全盛期』の俺へと変貌する。素晴らしい、貴様、貴様は俺の為に、無尽蔵に盾を増やしてくれたのか。実に悦ばしい。この冒涜王が貴様を『民』として認めてやろう!
天賦の才で成功率を上昇させ確実に敵の攻撃を躱し、捌き、嘲る。奴が隙を晒したところで『恐怖を与える』と同時に『立ち去れ』で叩き潰す。
俺こそが――冒涜王!




 座喚きを感じる。
 空気か、敵の唇か、或いは別の何かか。
 尤も、ロバート・ブレイズ(|冒涜王《シャドウ》・f00135)にとっては些事でしかなかったが。
「俺が欲しいもの――俺の欲望。俺の願い。俺の在り方そのもの――」
 既にこの身は埒外の存在。理外の理――否、理と言うには余りにも混沌とした存在。
 故に、これより彼の口から語られるその望みは、普遍を容易く超越しており、只人には理解し難いものであるかも知れない。
「貴様が、人間の欲で『有る』ならば、俺は人間の『負の感情』だ」
「あなたは、負の感情を糧とする、と?」
「否。――俺は人間の『あらゆる』負の面、尽くの化身として今、呼吸している」
 喰らうのではない。
 其の物である、と言っている。
 従って、その仮説は的外れであり不適当である。
「嗚呼、何もかも、全ての科白は俺の地獄のような都合主義に成るのだが、俺は、」
 一瞬。
 彼らしくもなく――そも、彼らしいと云う定義すら、少なくともこの場において余りに不確かであったが――ほんの一瞬開いた、その空白に静謐とした渇望が、ほんの僅か見て取れた。
「俺は――嗚呼、明解な『力』が欲しい」
 だがそれも、刹那のこと。
 無貌であった。部品ではなく表現の意である。虚無だった。底の知れない、等と飾りつけたような言葉では生温い。なにもない、のだ。文字通りに。
 しかし、変じた。語る内に。
「世の全て、幽世の全て、総ての事柄は既知故に、俺は俺を全知全能の『もの』として定めたいのだ。貴様、其処の怪物。それに加えて、矛盾するのだが、俺は俺を否定したいとの気持ちも有している。解るか?」
 哂っていた。
 哂っていた!
「つまり、俺は混沌で矛盾で人間で、誰よりも闇で在るべきなのだよ――!」
 ざわり。
 影が蠢いた。
 闇が座喚いた。
 オーバーロード――真性解放。
 眼前には恰も完全なる唯一が如く横たわる、夥しい数の敵の群れ。なれどその群集も『シャドウ』にして『邪神』たるこの身には、玩具にも等しい!
 変貌せし形貌は今や全盛期。在りし日の肖像。若き肉体。
 悪意の群れを一つ、毟り取るように簒奪し、盾と成すのも造作もないこと。
「素晴らしい、貴様、貴様は俺の為に、無尽蔵に盾を増やしてくれたのか。実に悦ばしい。この冒涜王が貴様を『民』として認めてやろう!」
 民の児戯を王は赦そう。
 民の遊戯に王もまた興じよう。
 『盾』を翳し、『戯』を躱し、捌き、嘲るは。

「俺こそが――冒涜王!」

 狂気が満ちる。
 恐怖が蔓延する。
 最中、遊び疲れた民衆へと、今此処に示す。
 努々忘れてはならぬ。王は気紛れに立ち振る舞うが、民より遥か、いと高き階の上に君臨するのだと。
 さあ、畏れ、敬い、跪き――狂うがいい。
 宣言と共に振るわれる、圧倒的な否定。
 地獄が広がり、灼き潰す。
 ――立ち去れ。
 ぷちり。
 ぶちり。
 潰れていく。
 潰れていく。臆面もなく。
 地獄は黒から、赫へと変じて世界を創り換えるだけ。
 混ざり合い、無秩序に、雑然と、星雲にすら似たそれを、人は呼ぶのだろう。
 『混沌』――と。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年09月13日


挿絵イラスト