エンドブレイカーの戦い⑥〜謎解きと石像
古き歴史と寄り添うように、遺跡と歯車機文明が混ざりあい発展を遂げた紫煙群塔ラッドシティ。
その超巨大遺跡の1つから、シュルシュルという地を這う不気味な音が聞こえてきた。
本来ならば開くはずのない扉に、ラミアの群れが押し寄せているのだ。上半身が人、下半身が蛇のモンスターは力技で扉をこじ開けていく。
しかし、ラミアの群れがいる扉の先には特別な部屋があった。
大きく開けた空間に、四角い大理石が敷き詰められたモノトーンの部屋。両端の壁には3メートルはある大きな騎士の石像が、ずらりと列をなして鎮座しているのだ。
それも、まるでチェスの様な絡繰り仕掛けの石像が、命令を待っているかのように――。
●遺跡と謎を攻略せよ
「みなさん、エンドブレイカーの戦いはご存じかと思います。只今『エンドブレイカー!』の世界は多発的にエリクシルの襲撃を受け、脅威と戦っている最中です」
猟兵たちの活躍により、その戦いも順調だ。
しかし、まだ敵を排除できていないエリアもあるために力を貸してほしい……とレティ・ライトニング(雷光の鎧装騎兵・f41118)は頭を下げた。
「今回むかっていただくのは、ラッドシティの巨大歯車遺跡『クロノスメイズ』です。本来は12月24日しか扉の開かないこの遺跡を、ラミアの群れが無理やりこじ開け支配しようとしています」
敵の目的は遺跡を支配し、『世界の瞳』を破壊することだ。『世界の瞳』が破壊されてしまうと、猟兵がエンドブレイカーの世界に干渉できなくなってしまう。
猟兵がこの世界を守るには、世界の瞳を守るこの戦いは負けられないのだ。
「遺跡を守護する長老衆さんたちのご厚意と支援により、ラミアたちの居場所は既に特定しています。扉を破壊された直後に、敵の元へ到達することができるでしょう」
それから。レティはキリッと表情を引き締めると2本の指を立てて見せた。
「皆さんが向かうことができる部屋は、2つあります」
1つ目はラミアの群れが侵入する、チェスの部屋。
白と黒の『騎士の石像』。この部屋には王以外の騎士たちが並んでいる。侵入者を確認すると自動的に排除しようと攻撃を開始するだろう。
猟兵、ラミアを問わずに攻撃してくるので、うまく避けたり敵が攻撃されたりするよう誘導してほしい。
2つ目は王の部屋。
「王の部屋には『謎』が存在しています。謎を解くとチェスの間の『騎士の石像』に命令が出せるようになるので、ラミアのみを撃破できるようになるはずです」
どちらの部屋に向かうかは、とても重要だ。
上手く罠を使い、敵を倒すこと。それが今回の任務だとレティは語る。
「皆さんならきっと大丈夫だと信じております。遺跡の事は任せましたよ!」
●王の部屋の謎
白の王と黒の王。2つの石像がならび杯を手にしている。
そして、手前の台には以下の様な文章があった。
「白と黒の王は金の水を求め争っている。もし、王の協力を得たければ『金の水を平等に分けよ』。
ただし、分ける際に使えるのは2種類のカップのみだ」
文章の傍には、キラキラ輝く金の水が入った瓶と、大小のカップが1つずつ置かれていた。
計ってみると、金の水は600mlある。
大のカップは500mlを計ることができ、小のカップは200mlを計ることができる。
金の水をきれいに半分にし、王の像が持つ杯に注げば、チェスの部屋の石像に命令を出すことができるようになる。
さて、貴方にはこの謎は解けるだろうか?
滝谷
●プレイングボーナス
プレイングボーナス……歯車遺跡の罠に対処する/遺跡の罠を利用してモンスターを駆除する。
●一言
はじめまして、こんにちは。あるいはお久しぶりです。滝谷です。
今回は戦争シナリオをお届けします。
冒険の選択肢1つで完結です。(採用人数は3~4名程度となるかと思います)
プレイングの冒頭に、ラミア対処に『チェスの部屋』に行くのか、謎を解きに『王の部屋』に行くのかをご記入ください。
謎解きに挑戦する場合は、正解の方を優先的に採用となります。
公開と同時にプレイングの受付を開始します。執筆はゆっくりとなる予定です。
皆さんの知恵を駆使したプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『クロノスメイズの冒険』
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POW : 発見したモンスターを撃破する
SPD : 遺跡の罠を察知し、回避または解除する
WIZ : 遺跡のパズルや謎掛けを解く
イラスト:麦白子
👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
城田・紗希
【謎解き】まぁ謎自体は簡単なんだよねー。
まず500mlを測って、200mlに移す。これで500mlには300ml、つまり「元々の半分」が入ってる。
で、残りは100ml、200mlと合わせて「残り半分」が注げる…と。
…まぁどっちをどっちに注ぐかは別として、王様には「猟兵に攻撃するな」って命令しようかな?
一応、攻略中に攻撃してくるならカートゥーンで回避しようかな?
宙夢・拓未
王の部屋に向かうぜ
アドリブ・連携歓迎だ
謎解きなら任せてくれ
腕が鳴るぜ!
うーん、600mlを平等にするってことは
300mlずつに分ける、でいいんだよな?
まず、瓶から金の水を注いで大のカップを満たす
これで、大のカップの中に500ml
瓶には100mlが残ってる
あとは、大のカップから小のカップへ
小のカップが満ちるまで金の水を移す
これで大のカップに300ml
小のカップには200ml
瓶には100mlあるよな
白の王の像に、大のカップから300mlを注ぎ
黒の王の像には、小のカップと瓶から合わせて300ml注ぐ
これでイケると思うんだが、どうだ……?
上手くいったら騎士の石像に命令だ
ラミアたちだけをやっつけてくれ!
朱酉・逢真
王の部屋へ行く
心情)何ンとも、まあ。この世界は、随分といろいろな顔を持っているね。国家によって毛色が大分と違う。飽きが来なくていいな。ここに世界の瞳があるってェハナシだが、いわば|猟兵《俺ら》にとってのグリモアベースみたいなモンかな。知らンけどさ。
行動)王の部屋。大のカップで500ml量り取り、小のカップに移す。これで大のカップに残るのは300mlだし、最初の瓶に残った分+小のカップ分で300mlだ。それぞれを盃に注げば平等だろう。あとは石像サンらによろしく頼むさァ。
ウルザ・ルーナマリア
チェスの部屋へ!
クロノスメイズって謎解きとか大変だったって聞いた事あるな。
後から新領域が…ってこれ世界の瞳全体の話だっけ?
大変そうだが頑張らねえとな!
謎解きは他の猟兵が解いてくれると信じおれはラミアの撃破にかかるぜ!
騎士達の攻撃を躱しつつラミアに銛向けてUC起動、冷気を放射して氷の網で捕まえる!
迂闊にトドメさそうと攻め気に走ると石像の攻撃受けそうなので一先ずは攻撃受けないよう勘を活かして回避しつつラミアの捕縛優先。
もし謎解き完了して石像がラミアのみ狙ってくれるようになったらそれに合わせて一気に攻める!
トドメは猟兵じゃないとできないしな。背負った斧槍怪力でぶん回して倒すぜ!
※アドリブ絡み等お任せ
●チェスの部屋の戦い
ウルザ・ルーナマリア(月に泳ぐ白き獣・f39111)がチェスの部屋にたどり着くと、ちょうど扉を破ったラミアの群れが部屋になだれ込むのが見えた。
同時に動き出す騎士の石像たち。剣を持つポーンや馬にまたがったナイトが一斉に武器を構えて侵入者に向かってゆく。
「これがクロノスメイズの罠……! 昔も謎解きとか大変だったって聞いたことあるな」
一瞬、ウルザの脳裏をよぎるのは、この世界に残る英雄譚。
――『世界の瞳』を中心に構築された、超巨大遺跡『クロノスメイズ』。その中で、エンドブレイカー達も多くの挑戦に臨んだ。
過去に起きた小人の謎解き。強敵との戦い。
世界の瞳の奥地にあった、小世界へ繋がる扉の発見と、世界のエンディングの存在。
聖女や嘲う剣の話までしたら、冒険の話は尽きないだろう。
そして。今回だって――きっと大丈夫。
「仲間が謎を解いてくれると信じて、おれはラミアの撃破にかかるぜ!」
気合を入れ、ウルザが床を蹴る。
「まずは止めてやるぜ!」
襲い来る石像を次々と避けて『海獣王の三叉銛』をラミアへ振るった。三叉銛の先端から放つ凍てつく冷気が、網となってラミアを絡めとる。
動けなくなった敵は、そのまま石像が袋叩きに。
自分も巻き込まれないように、彼は立ち止まらない。クイーン像からの攻撃を回避すると、チェス盤の上を駆け回った。
●王の部屋の謎解き
猟兵が王の部屋にたどり着くと、そこには立派な王の石像が2体ならんでいた。白の王と黒の王だ。
2体は杯を持ったまま向かい合うようにして鎮座しているのを見て、闘いを予想していた城田・紗希(人間の探索者・f01927)は目を丸くした。
「あ、なるほど。王が『争っている』からその向きなのかな。まるで言い争いでもしていそうな王だね」
彼女が触って確かめてみる。冷たくつるりとした触り心地の石像は、今のところ動く気配はないらしい。
一緒に来た宙夢・拓未(未知の運び手・f03032)と朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)も安全を確認すると、『謎』の傍へと歩み寄った。
「白と黒の王は金の水を求め争っている。もし、王の協力を得たければ『金の水を平等に分けよ』。
ただし、分ける際に使えるのは2種類のカップのみだ」
瓶の中には600mlの金の水。
大のカップは500mlを計ることができ、小のカップは200mlを計ることができる。
(「何ンとも、まあ。この世界は、随分といろいろな顔を持っているね。国家によって毛色が大分と違う。飽きが来なくていいな」)
逢真が口端を持ち上げ微笑む。世界の瞳は|猟兵《俺ら》にとってのグリモアベースみたいなモンかな、と思考を巡らせて。
「謎解きなら任せてくれ。腕が鳴るぜ!」
意気揚々と握り拳を見せる拓未も、随分と自信があるようだ。サイボーグとは思えないほど表情豊かな彼の、琥珀色の瞳はやる気で満ちていた。
「じゃ、はじめちゃおうか」
3人は視線を交えると、頷いて答え合わせに入る。みんなは同じ答えを用意していた。
「600mlを平等にするってことは、300mlずつに分ける、でいいんだよな?」
「うん。まぁ謎自体は簡単なんだよねー」
紗希が瓶を手に取ると、大のカップで500mlを計る。
零れないよう丁寧に金の水を注ぐと、水面がキラキラして彼女たちの顔を映した。
「次はこれだな」
拓未は大のカップから、さらに小のカップに200ml分の金の水を移す。
これで大のカップに300ml、小のカップに200ml、瓶に100mlが残った状態となる。
「大のカップにちょうど『金の水の半分』が残ったぜ」
「じゃァ、俺は残りを合わせるか」
逢真が瓶に、小のカップの金の水を戻す。
これで、大のカップと瓶にそれぞれ300mlずつつ入ってちょうど半分に分けられた。
「カップからカップに水を移す、ってェ発想に気が付けば後は算数をすりゃァいい。最後は杯に金の水を注げばイイかな」
「これでイケると思うんだが、どうだ……?」
逢真が白の王の杯へ、拓未が黒の王の杯へと答えを同時に注ぐ。すると金の水は杯の奥へと消えてゆき、歯車の動く音が聞こえてきた。
王の石像が、動く。
咄嗟に紗希が身構えた。万が一に備えて『カートゥーン世界の顕在化』で両腕を変化させた瞬間。
――王の石像は猟兵の方へ体を向けると、深く頭を下げてお辞儀をしたのだ。
それは謎を解いたこと表す敬意の形だった。
『謎を解き者よ、貴方の指示に従おう』
重々しい声が石像から響くと、猟兵から喜びの声が聞こえた。
最初に進み出たのは紗希だ。
「猟兵に攻撃をするな。私たちの仲間がチェスの部屋にいるんだよ」
「ラミアたちだけをやっつけてくれ!」
拓未も命令を下すと、王たちが了承する。
ホッとするのもつかの間、チェスの部屋の方からウルザの叫び声が聞こえてきた。
「え、何今の?」
「何か起きたのか!?」
「……こいつは俺たちも、チェスの部屋に行った方がイイかもな。戦い方は石像サンらによろしく頼むさァ」
片手をあげて王の石像に背を向ける逢真に、2人が続く。戦っている最中の仲間の元へ急いだ。
チェスの部屋に全員がそろう頃、最後のラミアがウルザによって倒された。
テンション高めに武器を掲げる彼は、ナイトの石像の上にいる。石の馬に乗って武器を振り回すのが随分と楽しかったようだ。
「さっきの叫びは喜びの声か! 何があったのかと思って驚いたぜ」
「あァ、そーゆーコト……」
安心感に脱力する拓未と逢真の姿に、ウルザが笑って頭を掻いた。
こうして戦いが終わると、騎士の石像は並んで頭を垂れる。王の石像と同じように|仲間《猟兵》へ敬意を表した。
その間を、紗希が歩き出す。
「さぁ次へ行こう。エンドブレイカーの戦いはここだけじゃないからね」
紗希をはじめ、みんなはクロノスメイズを後にする。勝利に胸を張り、次の戦場へと向かっていったのだった。
大成功
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