スプラッシュ・サマーバケーション!
この夏、キマイラフューチャーの世界でバズりまくりなウワサのスポット。
そう――それは、激アツなレジャー施設『スプラッシュレジャーパーク』!
色々と紆余曲折があり、凶悪なヴィランであったが保護観察処分となって。
現在は、新人執事として働いているラピーヌ・シュドウエスト(叛逆未遂続きの闇執事ウサギ・f31917)であるが。
模範囚さながらな勤務ぶりが評価されて、新人執事ながらも長期休暇の仮釈放ボーナスを勝ち得たという。
だが、今は模範囚であるから……いや、模範囚であるからこそ、昔のオラオラな仲間と遭遇して何か事を起こすなどあってはならないし。
そんなことが起こってしまえば、今回の特別外出獲得に支障をきたす……という事で。
さて、ではこの長期休暇をどう過ごそうか……ということになったわけであるが。
丁度、キマイラフューチャーの世界に赴いた際に誘われたのだ。
(「すげー暇が出ちまったから、ラピーヌと一緒にレッツテーマパーク♪」)
気が合う友人である笹乃葉・きなこ(キマイラの戦巫女・f03265)に、今熱い施設『スプラッシュレジャーパーク』に行こう! と。
――というわけで!
きなこの装いは夏らしく、そしてばっちりお洒落な格好。
キュートでプルオーバーなチェック柄の、折り襟デートワンピース。
普段の服装の露出度が多いのは無頓着なためであるが、でもヒトと嫌でも関わる事が増えて、人が多い場所では服を着るようにしているし。
むしろどの服を着ればいいのか悩むくらいだけれど。折角の夏休みデートだから、お洒落してきました!
いつもは履いていない下着も、今日は履いてきたけれど……エグいのです!?
そしてラピーヌも、その美意識の高さ故に、シンプルながらもスタイリッシュなお洒落な私服。
そう、そんな彼女はナルシスト……いえ、自分の美学に生きるお洒落さんなのです。
そして、刑務所さながらに堅苦しいお屋敷勤めもかったるい……いや、そんな粛々と執事の仕事をこなしていたラピーヌにとって、この夏休みは解放感もいっぱい。
早速、施設で入場手続きを終えれば、水着にお着替えです!
そんなラピーヌは、水着もやはり手を抜きません。
「どうかな、ボクのスタイリッシュさが光る水着は。なかなか着こなすのも難しいデザインだけど、ボクなら着こなせるけどね?」
そうドヤ顔で自慢気に語るだけあり、ばっちりと着こなしているのは、体型維持してキープしているスレンダーな身体のボディラインがはっきりと分かる、レオタード風の水着。
けれど、自分一番な性格ではあるものの、彼女は美意識が高いから。
「君の水着もよく似合ってるね。君の肉体美を強調するようなクロスホルタータイプの水着に、巫女風の透けたトップス、組み紐の和風要素もなかなか洒落ているよ」
お洒落にきめているきなこの水着も、美点や長所を見つけ出してはあれこれ絶賛して。
そんなラピーヌといざ並んでパーク内に足を踏み入れたきなこが、きょろりと見回して見つけたのは。
「あ! 目玉のウォータースライダーだ!」
そう! パークの一番人気の看板アトラクション、ウォータースライダー!
そしてきなこはわくわく、自分語りしたり他の人のお洒落な点を色々と口にしている彼女へと、逸るように続ける。
「ボクが美しいのは当然だけど。君も、肌も顔も良いから、まだ化粧をする必要がないのも美点だね。リップぐらいならしてもいいかもしれないよ? それに……」
「ラピーヌ! ラピーヌ! ならぼ! ならぼ!」
初っ端からパークの目玉にいっちゃいます!
こうやって、きなこがラピーヌや他のヒトと出かける用になったも、ヒトとの付き合い方に折り合いをつけた為。
あくまでヒトの様に振る舞っている野生児であるし、根幹の行動は獣のものではあるというきなこだけれど。
でも、はしゃぐその姿が楽しそうなことには、違いない。
そんな、いの一番でまずウォータースライダーへと向かった二人であったが。
さすがの一番人気アトラクション、順番を待つ人で長蛇の列。
でも勿論その列に並んで、待っている途中。
「ジェットコースター風ロングコースとスリル満点急流コースが合わさった絶叫施設って聞いたべ、楽しみだべなぁ!」
そうきなこがうきうき口にすれば、ラピーヌはまた得意顔。
「どうせ子ども騙しだろう、ボクに取っては全然物足りないだろうけど」
調子良く語りながら鼻で笑いつつ、まぁ付き合ってあげてもいいけどね、なんてある意味絶好調。
そんな調子良い語りを聞かながら、そうだべなぁ、なんてにこにこしているきなこだけれど。
まだ続く饒舌なラピーヌの言葉は、何気にさらっと聞き流して。
(「うるせぇそう言うのを楽しむんだべ」)
ハハッ、アハハーなんて、内心毒つきながらも一緒に笑っておく。
そんなこんなで、いよいよ順番が近くなって、エレベーターをのぼった先で。
そっと地上を見下ろしてみたきなこは、ごくんと喉を鳴らして。
「愉しそう! だべなぁ! ラピーヌ」
瞳をキラキラ! 悪気なくにっこにこ♪
これから起こる、ドキドキなアドベンチャーかもしれない楽しさに、心躍らせてわくわく!
……なのだけれど。
「え、まさかこんな高さから……? そ、そうだ、そういえば準備運動をしてなかったよ」
「あれー? ラピーヌ? どうしたんだべぇ?」
先程までの余裕綽々さはどこへやら、一緒に地上を覗き込んだラピーヌの顔が、何だか引き攣っています……?
だって、何と言ってもパークの目玉。
そう――この『スプラッシュ・スゴイタカイウォータースライダー』は全高が超高層ビルに匹敵する、如何にもキマフュな巨大ウォータースライダーなのです!
そしてきょとりと自分を見るきなこへと、動揺の色を隠さないままラピーヌは続ける。
「いやぁ、ボクとしたことがうっかりだよ。ひ、ひとまず下へ戻ろうか」
あれこれと言い訳がましく逃げようとして。
そんな、順番が回ってきてもまだ懲りずに逃げようとする様子に、次第にイライラし始めてきて。
「ラピーヌ、これは子供だましなんだろ? なら、大人のラピーヌなら大丈夫だべ♪」
「ハハッ、当然。ボ、ボクにとっては子どもだましだね」
きなこはそう引き攣り笑いをする友を、送り出してあげることにする。
「なら、大人のラピーヌなら大丈夫だべ♪」
――さっさといけよやぁ!!!!!
げしいっ! と、その背中に蹴りを入れて。
ということで。
「……って、ちょ、待てやオイ!? ぎゃあああぁぁ!!?」
余裕がなくなって本性を垣間見せつつ……問答無用に、GO!
そして悲鳴と共に勢いよく落ちていくラピーヌを追い掛けるように、きなこもGO!
「ふぎゃああぁぁあ! うあああぁぁっ!! びええェッ!!?」
「わー! 凄い! たのしー! ぎやー♪ ぎゃー!」
そりゃあもうBUZAMAに泣き叫びながら滑り落ちていくラピーヌに続いて。
きゃっきゃっと幼児の様に無邪気に、目一杯スリルとスピードを楽しむきなこ。
それから、うねったり曲がったり飛沫弾けたり、スゴイタカイウォータースライダーの長いコースを猛スピードで滑り降りて。
――ばしゃあーん!!
――ざばぁんっ!!
ゴールすれば、豪快にスプラッシュ!!
そして暫く全身ずぶ濡れで茫然自失状態になるラピーヌだけれど。
何とかよろよろとプールサイドに上がれば、丁度お昼時。
ということで次は、プールサイドカフェでランチ!
……なのですけれど。
「ラピーヌどうしたんだべぇ? 子供だましなんだから、平気だろー?」
「ハハ……ソウダネ……」
そんなきなこの言葉にも、完全に空返事。
「ホントはお弁当を一緒に食べたいけど、持ち込み不可だから何かたべよー? ご飯何がいいべー? おごるべー。にくー? さかなー?」
「ウン……」
「飲み物は何がいいー? おら、レスカにするけど」
「…………」
何を食べたり飲んだりしようかとうきうき楽しむきなこの眼の前で、未だ魂が戻り切っていないようです。
そんな放心状態の彼女に色々問いかけるきなこは、自分でこのキマフュで通販サイトを立ち上げるほどの酒好きだけれど。
今回はアルコールはさすがに控えておいて、とりあえずレモンスカッシュをふたつ頼んでみてから。
ラピーヌの魂が戻って本調子になるまで、見守りながらも引き続き声を掛けることに。
それから爽やかなレモンスカッシュを飲みながら、ふと、きなこは見つける。
「ラピーヌ! あれも楽しそうだべ! 次、ならぼ!」
「……ああ……ウン……」
そう――うっかりそんな空返事してしまったラピーヌは、まだ知らない。
やはり瞳をキラキラ、きなこが見つめる先にあるのが、『スゴイハヤイ・ヨクマワル・ウォーターコースタ』であるということを。
そんなふたりの刺激的な夏休みスプラッシュデートは、まだまだこれからです!?
成功
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