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玉響の國(作者 秋月諒
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●赤き鳥の囁き
 ——この地には、象徴が必要だ。
 国を纏め、国のように愛される象徴が。
 革命により得た勝利は、喝采と共に受け入れられても流した血の量は変わらない。事実というものは、後になって我々の前に立つ。
 これが貴様達の成したことだ、と。
「——あぁ、そうだとも。我等は革命を成した。この国の為に。そう、この国が国として歩み出す為に全て必要だったのだ」
 ドーム型の天井に男の声はよく響いていた。煤に汚れた天井画には最早天使の姿は無く、柱の女神たちはその顔を砕かれていた。
「だが、私達は、私はその全てを受け入れて来た。その上で、相応しき象徴が必要なのだ。ただ生き残っただけの奴よりは相応しき。——あぁ、君もそう思うだろう?」
 男は虚空に微笑む。影の向こう鳥の囀りとも、美しい女の囁きとも聞こえる「音」がする。——そう、声では無いのだ。聞き取れない、それを「言葉」として認識していたのは男だけであった。今し方、骸の山へと変えた同僚たちも、軍部の人間も男達も分かりはしなかったのだ。
『貴方の願いを。望みを叶えましょう。尊き願いを、尊き思いを叶えましょう』
「あぁ、この国は生まれ変わる。美しき象徴を得て、正しく生まれ変わるのだ。その為に……」
 骸の山を一瞥する。流れ落ちる赤が、檻の中に届く。
「お前には大統領を降りてもらうさ。最も劇的な形で。——彼女の、導きのままに」

●玉響の國
「革命が成功した国で、邪神復活の予兆が確認されました。彼らはもう一度、国をひっくり返すつもりのようです」
 ルカ・アンビエント(マグノリア・f14895)はそう言って、猟兵達を見た。
 独裁国家であったその国が革命を成して数ヶ月。嘗てを思えば、革命時に流れた血は少ない——と海外から評された国は、再び平穏を破られようとしていたのだ。
「詳細は不明ですが、所謂反政府派——まぁ、現大統領を認めてはいない、という派閥に邪教が絡んでいるようです」
 邪神教団の信者に唆されたか、自らその道を選んだか。実際、負けが見えていた反対派は邪教の協力もあって息を吹き返している。
「多くは、自らの力と信じているでしょう。実際は、邪教集団の力であり、信者となった者は邪神を復活しようとしています。
 強い国になる為には必要なことである、と。
「国を纏め、国のように愛される象徴が必要だ。——それこそが、邪神であると信じて」
 唆したのは邪神側だろう。だが、魅入られたのは人だ。
「大統領を連れ去り、邪神復活の儀式の生け贄とするつもりです。何処に連れ去られたのか、儀式場の場所が何処なのかを探るために行って貰いたい場所があります」
 そう言ってルカが見せたのは白い便箋——招待状だ。
「パーティーが開かれます。表向き、大統領は革命時の怪我の療養中で欠席。お偉方は欠席も目立ちます」
 身分を偽って潜入するには持ってこいだろう。
「情報を収集してください。
 反対派と賛成派の存在は周知の事実ですが——誰も、反対派の中に邪教集団が潜んでいるとは知りません」
 信者となった者以外は。
 それと知らずに邪教集団の手助けをしていたり、何か情報を持っているかもしれない。
「——ですが、できる限り邪教の存在は彼らに知られないようにしてください。両派閥が激突する理由を与えることになりますから」
 血が流れれば、それこそ復活を狙う側のもくろみ通りだ。邪神の完全復活が、この国を苗床にして行われてしまうかもしれない。
「この国のことは、この国の方に。皆さんは秘密裏に事をなしてください」
 案内役のオラトリオが翼を広げ、グリモアの淡い光が灯る。
「では、行きましょうか。道は俺がつけます。ご武運を」





第2章 冒険 『怪しげな積荷を追え』

POW身体を使い虱潰しに街を捜索ないし追走する
SPD速い移動手段や道具を用いて追走ないし追跡する
WIZ情報を集めて移動ルートを予測し待ち伏せする
👑11

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●革命の墓場
 紅き星の鳥。
 それは、この国にて絶滅した鳥の名であり、革命軍の象徴であった。
「ああ。我ら、燃え尽きるともこの地に太陽を取り戻す。……そう、燃え尽きるほどの覚悟が必要なのだ。守るばかりで何が成せる。牙をもぎ何が守れる」
 スーツに身を包んだ男が、空を仰いでいた。紅い空だと男は言う。吹き抜ける風が、囁きだと笑う。
「ランベルト・ダニエリ大統領。お前の時代は終わる。せめて劇的に散れ」
 踵を返した男の頬を、風が撫でた。銀色の髪が揺れれば、頬から首筋へと伸びた傷が晒される。
『もうすぐよ。もうすぐよ。
 もうすぐあなたの夢が叶いましょう』
「あぁ。もうすぐ、もうすぐだ」
 銀色の髪が紅く、紅く染まっていく。宙より現れた女が、男の顎を掬っていた。深紅の衣。美しいドレスの下は奇妙に蠢いていた。
「あぁ、美しき紅」
「全てはこの日の為に! 我が同士、テオ副大統領。残る舞台の準備を終えましょう」
 深紅の衣を纏う邪教の信徒達が次々と歓喜の声を上げる。
「あの日、貴方に声を掛けたのは間違いでは無かった」
 さぁ、と信徒達が誘う。姿を見せた軍人達の瞳に宿るのは、革命の熱狂か、邪神に狂ったそれか。
「我らの覚悟を示しましょうぞ! テオ副大統領——いえ、大統領!」
 やがて、足跡は遠ざかっていく。
「——み、は、それで」
 浅く、薄く落ちたランベルトの声など、最早副大統領には届いていない。何に向かって話、何の言葉を話しているのかさえも。
「いいのか、テオ・アディノルフィ——……!」

●金色の黎明
 列車の墓場、と言われる場所がこの国にはある。古い車両置き場は、革命時は旧政府側にあった施設であった。街中をぐるっと駆け抜ける線路自体は、未だに輸送に使われていた。
「……よし、武器の積み込みも進んでいるな」
 その列車の墓場には、今、多くの武器が詰め込まれたコンテナ車が着いていた。
「お前も随分やる気だな。紅い鳥を掲げるのは、間違いでは無いが……ん? 朝でも無いのに鳥の囀りが聞こえるな」
「なんだ。今まで聞こえてなかったのか? 紅き鳥の囀りさ」
 笑うように同輩が告げる。そうか、と若き将校は笑った。
「革命の印たる紅き鳥も俺たちを祝福しているのか……! あぁ、やはりテオ・アディノルフィこそ大統領に相応しい。ダニエリ大統領に退任を」
「我らが紅き鳥の羽ばたきと共に!」
 革命の意思に潜む邪神の狂気が、美しい鳥の声が鳴いた。

 ——古い列車置き場の場所を、猟兵達は知るに至った。パーティーで猟兵達が仕入れた情報によれば、多くの武器が列車に詰め込まれ輸送されるのだという。列車の使用そのものが不思議がられないのは、病院のほど近くを通り物資を運んでいたからだろう。
『なるほど、今回もまだ何か運んでいるのか』
 という程度だ。
 列車の墓場と言われるその場所の入り口は見えている。四方を囲む高い壁を越えていくか、将又何らかの方法を使い正面から入るか。中には多くの軍関係者の姿が見える。紅い鳥のマークがその印だろう。中に数人、様子がおかしいものがいれば注意すべきだ。
 此処には、邪神の気配がある。
 信者が数名、そして精神を支配された者がいるのが猟兵達には分かった。本体に準ずるものは、儀式会場だろう。
 ——目的は『列車の行く先』だ。
 バレることなく、あの列車に乗り込む必要がある。
 動き出した列車に乗り込むか、追いかけるか。
 詰め込まれた武器を下ろす場所こそ、パーティーで言われていた大統領の就任挨拶を行うセレモニーの場だ。
 この列車の墓場から乗り込んでも良いだろう。
 何らかの手段を用いて、動き出した列車を追跡するのも良いだろう。
 追跡の場合、何処から始めるかは君達の自由だ。
 上手い関係を築けていればパーティーで出会った誰かの手を借りることもできるだろう。

 さぁ、どうやってあの列車に乗り込み、ばれる事無く行き先を見つける?

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プレイング受付期間:7月12日(日)〜7月15日(水)

*列車に任意のタイミングで乗り込み→儀式会場の場所を突き止める が目的となります。乗り込めれば成功です。

1)列車の墓場から侵入・乗り込み

2)任意のポイントから列車を追跡・乗り込み

 列車の墓場周辺情報
 →列車の墓場で武器の積み込みを行っている軍人がいっぱいいます。一部邪神の強い影響下にある軍人、邪教の信徒が数人潜んでいます

 列車の動き
 →街中をぐるっと移動するようです。複数の病院の横を抜けていきます。

*1章で得た人脈の使用も可能です。
 移動手段を用意してくれたり、潜入手段を整えてくれたりするかも知れません。
 人脈を使用した結果による、相手の死亡はありません
 (この依頼が失敗した場合、国が滅びるので死亡します)