エンドブレイカーの戦い④〜黒獣の焔
●黒獣の焔
燃え上がる。炎が――黒く鈍く、燃え上がりすべてを焼き尽くそうとする。
逃げ惑うエルフたち。叫び声もなにもかもが心地よい。
己にかかってくるものはいないのかと黒獣が重い吐息を落とす。
叶わぬとしったエルフたちは早々に向かってくるのをやめ、火を消しながら逃げることに徹していた。
「アァ……まだ足りねえな」
この場の全てを、破壊し奪い尽くさねばならない。
『黒きバルバ』ザラームはその口端を上げてその牙見せ嗤う。慾の底は見えず、ただ悪辣に蹂躙することを悦とする。
己の飢えたものを満たすために――いや、満たぬ事を知りつつも、ただこの簒奪を楽しむためだけに。
●エルフヘイムへ
エンドブレイカーの世界で始まった戦い――終夜・嵐吾(灰青・f05366)は集う者達へと、エルフヘイムという場所へいって欲しいと紡ぐ。
「そこは数千mを誇る巨大樹木群を基に形成された、古く美しき森の都市国家なんじゃって」
その名の通り、住民の多くは町名のエルフ。各地の自警団が故郷に襲い来るエリクシルの迎撃を行っているという。
だがそのエリクシルの狙いは、エルフヘイムの町や村を炎で包み、エルフ達を一挙に殺した上で配下として蘇生すること。
「緑豊かな世界は今、炎に包まれておる。自警団のものたちが協力して消火や救助を行っているが、元凶であるエリクシルを倒す力は無い」
それを倒すことができるのは猟兵以外にいないのじゃと嵐吾は紡ぐ。
だから、やることは一つ――これから送る場所を襲っているものを倒すということ。
その敵はあらゆる悪辣で己の慾を満たすべく奪い、喰らう黒獣。
焔が森を焼きつくす前に――『黒きバルバ』ザラームのもとへ。
そう言って、嵐吾は手の内のグリモアを輝かせるのだった。
志羽
御目通しありがとうございます、志羽です。
詳細な受付期間については【マスターページ】【シナリオ上部のタグ】で案内しますのでお手数ですが確認お願いいたします。
プレイングが送れる限りは送って頂いて大丈夫ですが、すべて採用となるかどうかはわかりません。
オーバーロードの場合、いつでも、送れる限りは送っていただいて大丈夫です。
●シナリオについて
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンドブレイカーの戦い」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●プレイングボーナスについて
プレイングボーナスは『燃え盛る森の危険に対処する/周囲の火を消し止める。』です。
ひとことでも、火を処す的なことがあれば大丈夫です。
緑豊かな世界が燃えていく。はたまたこの状況への想いなどもなにかあればどうぞお好きに詰め込んでくださいませ。
また敵の『黒きバルバ』ザラームは己に向かってくるものには容赦なく。
ざっくりと深めの負傷をすることもあるかと思います。つまり血まみれ戦闘になる可能性があります。
負傷描写絶対ヤダ、血まみれNGという場合はプレイングの最初か最後あたりに【×】を入れていただけると配慮します。
●お願い
グループ参加などの場合は、ご一緒する方がわかるように【グループ名】や【ID】を記入していただけると助かります。また、失効日が同じになるように調整していただけると非常に助かります。
プレイング受付についてはマスターページの【簡易連絡】にて案内いたします。
受付期間外に送って頂いたプレイングについてはお返しします。受付期間中であれば再送については問題ありません。
また、団体さんについては人数によってはお返しとなる可能性がありますのでご了承ください。
以上です。
ご参加お待ちしております。
第1章 ボス戦
『『黒きバルバ』ザラーム』
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POW : ジ・エンド
【巨躯を持つ"燃えさかる黒炎の獣"】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : バッド・エンド
【エリクシルが齎す赤き絶望のエネルギー】に覆われた真の姿に変身し、筋肉・骨・神経・臓器のどれかを激しく損傷する度に追加攻撃ができる。
WIZ : デッド・エンド
【弱き者どもの血が滴る"黒き獣爪"】【巨大化した獣腕での"握り潰し"】【敵をも服従させる"王者の咆哮"】で攻撃し、ひとつでもダメージを与えれば再攻撃できる(何度でも可/対象変更も可)。
イラスト:あま井
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ヲルガ・ヨハ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
クローネ・マックローネ
絡みOK、アドリブ歓迎
【WIZ判定】
普段の口調は「クローネちゃん(自分の名前+ちゃん、相手の名前+ちゃん、だね♪、だよ!、だよね★、なのかな?)」
真剣な時は「クローネ(ワタシ、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」
今回は真剣口調で話すよ。
まずは火を消さないと。
アイスエルフちゃん、消火お願いね。
UCは「クローネちゃんのヒエヒエなお友達★」を使用。
攻撃の合間にアイスエルフちゃんの氷の力で火を消し止めるよ。
攻撃はアイスエルフちゃんの氷結輪と氷の力で行うね。
攻撃はアイスエルフちゃんに任せて、ワタシは【救助活動】を行うよ。
血まみれOK。
痛みは【激痛耐性】で耐えて表向き平然と振舞うよ。
炎は苛烈にあたりを浸食していく。
その様を目にクローネ・マックローネ(快楽至上主義な死霊術士・f05148)は、まずは火を消さないとと動き始める。
「アイスエルフちゃん、消火お願いね」
クローネが召喚するのは、デウスエクス『アイスエルフ』の女性の霊。
これは冷気を帯びた戦輪『氷結輪』を持ち、氷像化する程に強力な氷の力を持っているのだ。
周囲の火を彼女の力を借りながらおさめつつクローネは森の奥へと進んでいく。
「アイスエルフちゃん、ここをお願い」
時には炎に震えていたエルフを見つけ、あっちへと逃げる方向を示したり。
倒れたものに挟まれ動けないものを助けながら、森の奥へ。
すると――焼け爛れた中に、その姿を見つけた。
あれが、とクローネは走る。
先に氷結輪を投げ放ったアイスエルフの霊。そして氷結輪が先に駆け、強力な氷の力が放たれた。
「ハハ……熱を冷ますって、いうのか?」
上等だ、面白いというように『黒きバルバ』ザラームは吐息を吐き散らす。
そしてその黒き獣爪を向け、クローネの身を貫いた。
その身を割く鋭き一閃。ブラックタールの身をこそいでいくようで痛みは確実に募る。
けれどここで引けないとクローネは痛みに耐えながら紡ぐ。
「大したことないね」
それは平然と。面白いというように猛るザラームが咆哮して、空気を震わせた。
いつも、その言の葉は弾けるように紡がれる。けれど今は真剣そのもの――この相手は、これ以上行かせてはならないのだと、思えた。
大成功
🔵🔵🔵
アルゲディ・シュタインボック
私はこの世界の生まれじゃ無いけど…
同じエルフの名を冠する種として、この狼藉は許し難いわね
つーか燃やすにしても規模半端無いわね!?(大樹見上げ
まずUCで水属性の突風を
一気に火を消し飛ばす勢いで消火
残暑厳しいのに蒸し暑いったら無いわ!
出て来たわね狂犬
思ったよりイケ狼だけど今の私はご機嫌斜めなの
向こうから出来るだけ距離を保ち、間合いから逃れながら雷属性の巨大な雹を叩き付ける
咆哮は耳栓してきたけどどこまで防げるかしら
服従なんて!絶対にしないけど!(強い心)
向こうの攻撃が届きそうになったら光の鎌鼬を自分の周囲に展開
乙女の肌に傷を付けようなんてタダじゃあ済ませる気もないの
どうせ傷つくなら巻き込んでやるわ!
木々が重なる世界――その緑は本来ならば豊かなものなのだろう。
しかし今は、炎に抱かれごうごうと燃え、そして崩れていく。
この世界の代わりようにアルゲディ・シュタインボック(白金の癒杖・f03929)は息をのむ。
「私はこの世界の生まれじゃ無いけど……」
緑あふれる世界は美しいものだっただろう。できればその姿を、見たかった。
「同じエルフの名を冠する種として、この狼藉は許し難いわね。つーか燃やすにしても規模半端無いわね!?」
大樹見上げればそこかしこが燃えている。これだけ広い範囲をとアルゲディはきゅっと表情引き締めた。
水を纏う突風をここへ――燃え盛る火を消し飛ばす勢いでおさめていく。
けれど炎に水――むわっと熱を帯びた空気に満たされてその表情は曇る。
「残暑厳しいのに蒸し暑いったら無いわ!」
この蒸し暑さ、本当に最悪というようにアルゲディは零して森の中を進む。
この惨劇を引き起こしているものに出会うために――
「出て来たわね狂犬」
「あァ……次の獲物かァ」
楽しげに、獣の吐息は重く。これがザラームとアルゲディは杖を握る力強めた。
「思ったよりイケ狼だけど今の私はご機嫌斜めなの」
近づかれたならその爪や牙にやられてしまいそう。アルゲディは距離を保ち、間合いから逃れるように動くことを心掛ける。
巨大な雹をザラームへ。それが帯びる雷の属性がその腕を鈍らせるはず。
それをも楽しそうに受けて、ザラームは猛々しく吠える。
「まだまだ足りんなァ!!」
「っ!!」
笑いながらとびかかって距離詰めてくる。その黒爪が薙ぎ払われ、アルゲディの身を斬り咲いた。
咆哮は耳栓をして僅かに和らいだが、防ぎ続けるのは難しそうと思う。
「服従なんて! 絶対にしないけど!」
けれどその咆哮に立ち向かう。強い心で――乙女は立つのだ。
「乙女の肌に傷を付けようなんてタダじゃあ済ませる気もないの」
ザラームが再び踏み込んでくるその瞬間を狙って。
「どうせ傷つくなら巻き込んでやるわ!」
光の鎌鼬が展開され、互いの身を斬り咲く。
血の色が飛ぶのも構わず、アルゲディはただまっすぐ、目の前のザラームを射抜くように睨みつけていた。
そして傷を負ったザラームは――それをまた、歓ぶ。
己の欲が少し満たされたと黒き獣爪を振り下ろした。
大成功
🔵🔵🔵
ディフ・クライン
森に降り立つと同時に召喚の魔法陣を描く
おいで、ユーラ
雪解水の矢を雨として炎に放つ
肌を焼く熱気に眉潜めるのは
ただこの惨状への静かな怒り
森に火を放つなんて
長い年月をかけて育まれた森の悲鳴や
エルフたちの嘆きが胸を締め付ける
此処は愛しい人の故郷だ
守る為、全力で
悪い子だね
森で火遊びをしてはいけないと、誰かに教えられなかったのかい
見据える黒きバルバにも怯まず
水精と共に数多の水矢をつがえる
迫る爪や獣腕を百と纏めた水矢で弾き、叩き落とし
咆哮にはその口に水を呑ませてやろうか
避けきれずに魔力循環液の赤が血の如く飛び散ろうとも
何ともないと装って
けれど無謀はしない
悲しむ人が居るんだ
森もエルフも必ず守りきってみせるから
何もかもを燃えつくさせて、森の焼ける匂いだけがひどく。
その痛ましさにディフ・クライン(雪月夜・f05200)は僅かに表情歪め、召喚の魔法陣を描く。
「おいで、ユーラ」
雪解けに湧きだす清き水の精――この燃え盛る場所をおさめるために、君の力をオレに貸してと紡ぐディフ。
雪解水の矢が雨のようにこの場所に降り注ぐ。ごうごうと盛っていたそれは静まり始め、そしてやがて、燻る黒へとなり果てていく。
けれどこの森を焼いた熱は燻り続ける。肌を焼く熱気に眉顰め、胸の内に抱くは――静かな怒り。
「森に火を放つなんて」
長い年月をかけて育まれた森の悲鳴。焼け落ちる木がつんざくような音立てて割れて、倒れていく。
悲鳴のような悲しみの声はエルフたちのもの。それがディフの耳を撫でるためにぎゅっとその胸は締め付けられ続ける。
どうにかしようとしているエルフを見つければ、逃げるように促して。
どうしてこんな酷い事ができるのか――ディフの心は痛むばかりだ。
それに此処は、緑美しきこの都市国家は愛しい人の故郷。
この地を守る為、全力で対する――この周辺に炎を撒いたザラームへと。
黒き獣は傷を負っていた。すでに誰かと戦い合ってきたのだろう。しかしまだ足りないのだと舌なめずりをしながらその獣爪を鳴らしていた。
「悪い子だね」
ただ冷やかに、淡々とディフは告げる。
「森で火遊びをしてはいけないと、誰かに教えられなかったのかい」
見据える黒きバルバにも怯まず、ディフは水精と共に。
水矢つがえて向ければ、ザラームは笑い零して正面から突っ込んでくる。
黒き獣爪がいいだろうか、それとも巨大化した獣腕で握りつぶすか、それとも咆哮を浴びせるか――そのどれもだというように畳み掛けてくる。
伸ばされた腕を百と纏めた水矢で弾きその狙いを変えさせる。わずかにディフの身を掠っていく爪先は多くの血を今まであびてきたもの。大きく口開けば来るのは咆哮。であればとその口へと水を叩き込む。
「がふっ! ハハ、ハハハ! こんな防がれ方は初めてだ」
面白い面白いとザラームの猛りがディフへと向けられる。
「っ!」
その爪先が少しずつその身に届き始めるが、ディフとて決してダメージを与えていないわけではない。
痛みはあるけれどなんともない風を装って。けれど無謀はしない。ディフが怪我をすれば悲しむ人が居ることは知っているから。
ザラームがその巨腕を振るう――避けることはできた。
できたのだけれど、視界の端に逃げ遅れ隠れていたエルフをみつける。良ければ、危ないと思った瞬間、ディフは守ることを選んだ。
この森と、そしてエルフたちを必ず守り切ってみせるとザラームへと水矢を束として奔流とする。矢の奔流に押し流されてザラームは離れていく。
いや離されたという方が正しい。見失っているうちに早くとエルフを助けディフもこの場を離れる。
倒すことよりも、この森に生きるものを助けることを選んだ。
他の猟兵たちがいることも、また知っているから――任せたと森の奥へと一瞥を。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
翼の空中戦で移動
高速詠唱、多重詠唱で水、氷魔法の属性攻撃、範囲攻撃を紡ぎ
水による炎の消火と、自然の一時的な凍結で燃え広がるのを防ぐ
敵とは一定距離を保ちつつ
激痛耐性と風魔法を乗せたオーラ防御を纏い
周囲に風を起こし続ける事で熱からの保護と同時に音を緩和
更にマイクで拡声しながら催眠術を乗せて全力歌唱し咆哮をかき消したい
獣は耳が良いし、ついでに催眠術で集中力を乱し攪乱出来れば
爪、腕での攻撃は回避に専念+氷魔法で生成した氷塊を身代わりに
仮に傷を受けても致命傷でさえなければ耐えてやる
そろそろ、僕の一撃も受けてみてよ
紅色鎌鼬発動
周囲の自然を傷つけない程度に量産した鎌を操り一斉になぎ払い
お代わり、いる?
「こんなに広がってる……!」
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)の目の前に広がる光景。
燃え上がる炎へと向けて、澪は氷魔法を放つ。
しばしの間でも、炎をおさめて。氷が解けた場所あればまた放ってと燃え広がるのを防いでいた。
その間に、まだ炎を消そうと頑張っていたエルフたちへも声をかけ、逃げてと促す。
この炎を諫めるにはやはり現況を、炎の中心で暴れているものをまず倒さなければいけない――澪は翼を広げ、空を駆ける。
どこにいるのかと燃え盛る森の中を進んで――そして、獲物はいないのかというように探しまわっているようだった。
そして敵たるザラームを見つけたなら、一定の距離を保った。
まだ、あちらには見つかっていない――その獣爪は鋭く、多くの者を引き裂いてきたのだろう。
守りを厚くし、澪は風を起こし続け、炎の熱から自らを保護すると同時に、敵の方向を緩和する狙いを持ってかけた。
そしてその口からは歌を紡ぐ。マイクで覚醒しながら歌に乗せるのは催眠術。
「おお! 俺の咆哮への反逆か、面白い、面白い!」
ならば俺も咆哮で返そうかとザラームが吼える。そののど震わせて――澪はその咆哮に僅かにバランス崩す。
緩和していても、それでもなお襲い来る音の衝撃。
そして吠えながら駆け、澪へとその獣爪を振り下ろした。
「っ!」
それを喰らえば深い傷を負うとわかる。だから、ザラームと自分の間に氷塊を生み出し壁とした。
爪が、その氷に突き刺さった。しかし氷もすぐ砕けてしまいそうな気配に澪は歯噛みする。
あの獣爪をくらっても、致命傷でなければ耐えてやるときっと澪はザラームを睨む。
「そろそろ、僕の一撃も受けてみてよ」
これでも鎌使いなんだよね――紅色に澄んだ美しき鎌が澪の周囲に踊る。
その刃はすべてザラームへと向けられる。
一斉になぎ払われえたそれがザラームの身を斬り裂いて血飛沫を飛ばした
「お代わり、いる?」
まだいけるよと澪は再びその鎌を操る。ザラームはいいぞとその爪を再び向けてくる。
戦うことに愉悦を見出して、ただその黒きバルバは笑っていた。誰かと戦ってきたのはわかるというのに、まだその勢いは衰えない。
大成功
🔵🔵🔵
サツキ・ウカガミ
いつもながら、ひどい奴がいるもんだね……
消火活動をしながら、ザラームを探すよ。
豊かな森を、こんなにするなんて……!
ザラームを発見したら、ちょっと挑発しようか。
これはまた、単純そうな悪者が出てきたね?
キミみたいなのは、与しやすいから助かるよ。
向かってきたら、[見切り]つつ
【瞳術『忍夜皐曲者』・鏡魔眼】で敵意を反射。
自傷しててもらおうかな。与しやすいって言ったでしょ?
何かを傷つけたい欲求は、自分の体で満たしときなよ。
自傷の隙に、[ダッシュ]で近づいて[居合]。
続けて[2回攻撃]の[急所突き]で追撃。
思い通りもここまでだよ。
綺麗なエルフヘイムの森を燃やした責任は、取ってもらう!
緑豊かな世界が燃え落ちていく。この元凶はエリクシル――サツキ・ウカガミ(|忍夜皐曲者《しのびよるめいはくせもの》・f38892)は眉を寄せ苦々しく零す。
「いつもながら、ひどい奴がいるもんだね……」
炎は燃え盛りサツキの往く手を塞ぐ。森の消火を手伝いながら、サツキはエルフたちにも逃げるよう声かけて森の深くへ。
「豊かな森を、こんなにするなんて……!」
美しい森だったのがわかる。それが今は、こんなにも焼け落ちて――鳥や動物の鳴き声もしない。
聞こえてくるのは炎がごうごうと燃える音、木々が焼け落ちて倒れる音。
エルフ達の悲鳴も混じっている。
これを起こしているもの――ザラームを追ってサツキも森の奥へ。
すると戦いの音が聞こえてきて、先にザラーム見つけていた者もすでに傷だらけ。
ザラームの気を引くようにサツキは挑発を駆ける。
「これはまた、単純そうな悪者が出てきたね?」
キミみたいなのは、与しやすいから助かるよとサツキは挑発し、太刀の柄に手をかけた。
「ああ、単純そうだと? ハハ、単純に食い潰しているからな!」
サツキへとザラームの意識が向く。もうその眼中に映すのは一人というように。
攻撃の意識が、サツキへと向いている。
黒き獣爪がサツキの瞳を抉らんと突き出される。その光景を瞳に映して、向けられた敵意をサツキは反射する。
「ボクの眼をもって命ずる、その攻撃は己に向けよ!」
「!!?」
サツキを狙ったその動きが、止まる。どういうことだとザラームが見せる逡巡にサツキはふと笑み向けた。
「自傷しててもらおうかな。与しやすいって言ったでしょ?」
サツキを狙っていた獣爪で自分の身を抉るザラーム。しかしなんだこれは面白いとザラームは笑うのだ。
「何かを傷つけたい欲求は、自分の体で満たしときなよ」
その爪で自分の身を抉っている、その間に。
サツキは水面の月すら斬れるという鋭い白刃の太刀を抜き放った。
一閃、真横にザラームの上を走る軌跡。さらに急所狙って突き放ち追撃をかける。
「思い通りもここまでだよ」
これ以上好きにさせないとサツキが向ける太刀。
ザラームは楽しくなってきたなとその刃を受けて、咆哮をサツキへ。
空気が震えるほどのそれを正面で受けて、その足元はぐらつくけれど。
「綺麗なエルフヘイムの森を燃やした責任は、取ってもらう!」
サツキは真っすぐ見据えて言い放ち、ザラームを魔眼で射抜きふたたびその主動を握る瞬間を待つ。
大成功
🔵🔵🔵
クロービス・ノイシュタット
古く美しき森の都市国家――
うん、その通り
リヴァイアサンに抱かれた、多くのエルフの故郷
エリクシル風情が手を出して良い場所じゃ無い
道中はサバイバルの経験活かして風を読み、
消火に当たる自警団へ先んじて消しておいた方が良い方角を伝えて
こういう時、俺もアクア喚べればなぁとは思うけど…
それは後々!
足りない、か
じゃあ、存分に喰らいなよ
UCで敵までの道程を一気に滑り易く凍らせ、
己は一息に肉薄出来る様
また敵の足元を不安定に出来る様
狙うは…自壊
見切り、回避は試みるけど
押し負けるとしても負傷を浅くすべく鞘で受け止め
――損傷が重なったとみれば渾身のカウンターを
肉を切らせて骨を断つ
なぁ、破壊者
君にその覚悟はあったかい?
古く美しき森の都市国家――緑生い茂るこの場所の姿をクロービス・ノイシュタット(魔法剣士・f39096)は知っている。
「うん、その通り」
リヴァイアサンに抱かれた、多くのエルフの故郷。
その場所は今、災禍に見舞われ炎舞い踊る死地となろうとしている。
それを起こしている者を、クロービスが許すことは無い。
「エリクシル風情が手を出して良い場所じゃ無い」
そう呟いて、走る。
風が来る方向をクロービスは読む。途中、すれ違う自警団に先んじて消しておいた方が良い方角を伝えて、燃え盛る炎を踏み砕いて消していく。
「こういう時、俺もアクア喚べればなぁとは思うけど……」
その力があれば水を喚んで火も消せただろうか。
けれどそれは後々――今は、この地に居るエリクシルを倒すべく駆ける。
燃え盛る森の奥、そんな相手がいたならエルフ達も此処まで消火にはこれないだろう。
戦いの音が聞こえてくる――まだ足りないと嗤う声が聞こえてくる。
「足りない、か」
その楽しそうな声にクロービスは蒼銀の刃を手に。
「じゃあ、存分に喰らいなよ」
刃突きさした場所から、ザラームへと真っすぐ凍てた銀盤が走る。
その上を一気に滑り駆けて、一息。
ザラームの懐へと飛び込んだ。
足元がつるりと滑る。態勢崩れたザラームへとクロービスは蒼銀の刃で斬りつける。
それと同時にザラームをエリクシルが齎す赤き絶望のエネルギーが覆う。
その姿を変えながら、迫ったクロービスへとザラームの攻撃がくる。
その攻撃の鋭さ――回避、いや間に合わないと体が先に動く。
鞘を振り上げその獣爪を受け止めたが力任せの攻撃にクロービスは傾ぐ。ザラームはもう一度だと高らかに笑って己の身を自分で抉り、再度仕掛けてきた。
二度目――その動きを身を低くして、凍れる足場を持って滑り逃れる。
ザラームの爪が地面に突き刺さったと時には、後ろに回り込んだ。
自壊を狙って――どれほど長く戦っていられるか。
クロービスは後ろより斬りつけザラームの意識をさらに引く。
逃げるなら追うというように、赤き色を纏うザラームが巨腕伸ばして叩き潰すように振り下ろした。
爪先が掠る、抉っていく――クロービスの肩を抉るそれ。
けれど、これも狙いの内。
肉を切らせて骨を断つ――己の身をもっていかれる程度、どうってことはない。
「なぁ、破壊者」
君にその覚悟はあったかい? とクロービスは笑って、氷結の細剣をもって渾身の一撃を見舞った。
大成功
🔵🔵🔵
ルシエラ・アクアリンド
碧が好きで
風が好きで
動物たちが好きで
そして大切な人たちと古いエルフの友人が暮らしているのこの森には
お願いしてもその行動を止めてはくれないのでしょう?貴方は
ならば私もそれなりの行動を示すのみ
燃えている木は申し訳ないけれど最小限に止められる程度
魔導書の風で凪払わせて貰いつつ進み延焼を止めるようにしつつ進む
容赦しなくても結構
私もそのつもりで行くから
初手UCを発動し少しでもザラームの足止めを狙いたいから精神攻撃を組み込む
周りのものを利用しつつ空中機動、第六感で致命傷を避け
追加攻撃に留意しつつもフェイントや範囲攻撃で羽根を纏わりつかせ生命力を奪う
押される様なら奪った生命力を自分の物にするけど基本構わない
碧が好きで。
風が好きで。
動物たちが好きで。
けれど碧は炎にまみれ、風は熱をもち荒々しく。動物たちも今はこの場から離れてしまっている。
燃え盛る炎はすべてを飲み込んで奪おうとしているのだ。
そして、ルシエラ・アクアリンド(蒼穹・f38959)にとってこの地は、大切な人たちと古いエルフの友人が暮らしている場所。
燃えている、どこまでも燃えている。
古き亡国の姫君の物語綴られるそれは魔導書。それより招いた風が炎をなぎ払い延焼を止めるように吹きすさぶ。
「お願いしてもその行動を止めてはくれないのでしょう? 貴方は――」
この先にいるザラームのもとへルシエラは向かう。
エリクシルの敵を倒さねば、たとえ火を消し止めたとしても安寧などないのだから。
敵意を振りまくように炎を燃え上がらせている敵、ザラーム。
ならば私もそれなりの行動を示すのみと、その瞳には強い意思を宿らせてルシエラは駆ける。
燃え盛る森の中、その姿を見つければすでに戦って――その身に傷を負っているというのにぎらぎらとした気迫。
戦いを楽しんでいる。ルシエラは目の前へとたって敵意を向ける。
「容赦しなくても結構、私もそのつもりで行くから」
舞うは風より生まれた翼の欠片――紡ぐ言葉と共に風が生じる。そして淡い光の羽根がザラームに触れたなら異変は起きる。
その精神に響く幾つかの状態異常にザラームは捕らわれたのだ。
唸りながらそれでも攻撃を向けてくる。黒き獣爪が空を斬って襲い来る。
爪先はルシエラを掠り、続けざまに巨大化した獣腕が掴みかかってくる。
捕まる――その前に、後方に跳躍してその手から逃れ、ルシエラは舞う羽根をザラームへと纏わりつかせた。
それは生命力を奪うのだから。
膝が地面に落ちる。それでもザラームは攻撃かけて気を抜けば押されそう。ルシエラは地を蹴って、ザラームと距離をとる。
その動きに衰えが見えてきた。けれどまだ、ザラームは戦いの中にありたいようで、猟兵たちへと容赦なく攻撃仕掛けてくる。
「ハハハ! いいぞ、いいぞ! もっとだ、もっと殺し合おうか!」
ザラームは高らかと、楽し気に嗤う。まだ戦い続けるのだと、滴る地など気にせずに。
大成功
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タルパ・カルディア
ゾルバ(f40913)と
並び立って戦うのは随分久しぶりだけれど
大丈夫、互いの勝手はちゃんと覚えてる
森が、生きとし生きる者が泣き叫ぶ声がする
どうにかしなきゃと思うより早く身体が動いた
――ゾルバ!俺が『喰う』!
インフェルノ・レイジ
首裏と胸に宿した地獄から炎を噴き上げ人のかたちをかなぐり捨てて竜の姿へ舞い戻る
火炎耐性の力をそのままに宿した地獄に森に放たれた炎を吸わせて喰らっていこう
火の勢いを緩められたなら敵と相対する友の元へ
滑空からの急降下、命を狩るべくして尖らせた爪で以って黒き獣を引き裂こう
ああ、けだものってんなら俺もそう変わらないのかもしれないけれど
今も昔も、ずっと――俺は守る為に戦ってるんだ!
ゾルバ・ザマラーディ
タルパ(f41139)と
ゲートの外での初仕事だ
知らん仲ではないが気を抜かずに掛かろう
分かったとだけ応じて
初手は任せる
…そんな真似ができたとは知らなんだが
俺は燻り残った火を大斧の剣圧で潰しつつ黒狼の元へ
奴がタルパを狙うなら、妨げる
あれには大切な仕事(火消し)があるのでな
邪魔をしないで貰おう
斧は刃であり、盾でもある
爪も牙も斧刃で受け止めるが、防ぎ損なったとしても
この森に暮らす者達の痛みに比べればどうということはない
タルパが敵を狙うなら、機を見計らって斧を叩きつける
守るため、か
誰かが守ってやらねばただ生きることさえままならぬ者達がいる
きっとこの世界にも
ならばそれを守るため、けだものとなるも一興だろう
男が二人、燃え盛る森を走る。
鎮火されつつある場所もあった。しかしまだ、森の奥深くは変わらず。
燻る炎を踏み砕いて、深き場所へと向かうタルパ・カルディア(土竜・f41139)の心には、昂揚が宿る。
それはゾルバ・ザマラーディ(翠嵐・f40913)と並び立って戦えるから。
嘗て共に戦い――そして此度、戦場を共にするのは随分と久しぶりの事。
けれど、心配はなにもない。駆ける今だって、それを確認するかのようだ。
互いの勝手はちゃんと覚えてるとタルパの口端には笑みが乗る。そして知らん仲ではないが気を抜かずに掛かろうとゾルバもまた並び駆ける。
そして二人の前に立ちはだかるは炎。
この緑豊かなエルフヘイムを滅ぼしていくそれが往く手を塞ぐ。けれど構わず――迷いなく、進む。
森が、生きとし生きる者が泣き叫ぶ声がする――どうにかしなきゃと思うより早く、タルパの身体は動いていた。
「――ゾルバ! 俺が『喰う』!」
その声に分かったとだけ応じて、僅かに速度緩めゾルバを追い越しタルパが猛る。
首裏と胸に宿した地獄が炎を噴き上げる。それはタルパの身を包み込み、真の姿へと――竜の姿へと舞い戻った。
炎への耐性をそのままに宿した地獄へと、周囲の炎を吸わせて喰らっていく。周囲の火は鳴りを潜めるように弱くなっていた。
「……そんな真似ができたとは知らなんだが」
その様にゾルバは小さく零して、タルパが開いた道を駆ける。
燻り残った火を大斧振るいゾルバは消し開いていく。
そしてその先に――ザラームの姿を見つけたなら駆ける勢いも乗せてただ大斧を振り下ろす。
大地を砕く一撃を受けたザラームは僅かにうめき声をあげた。
今まで幾人もの猟兵と戦ってきたのだろう。さすがに負荷もかかっている様子。
攻撃を受けたザラームは巨躯を持つ燃えさかる黒炎の獣に身を変えて襲い掛かってくる。
ゾルバはその爪を大斧で受けて、弾く。
斧は刃であり、盾でもある。己の身と同じように自由に振るえるそれ。
その身に爪と牙が届きうることもあるかもしれないが、しかしそれをどうということはないとゾルバは思うのだろう。
この森に暮らす者達の痛みに比べれば――と、己の秤にかけて。
そしてザラームの目が、自分ではなく後ろで火を消しているタルパへも向いたことを瞬時に察する。
ザラームとゾルバが動くのは同時――タルパへと飛び掛かろうとしたその胴を、大斧でとらえて地へと叩きつけた。
「あれには大切な仕事があるのでな、邪魔をしないで貰おう」
ごふっと口から血を吐き出して、それでも獣たるザラームは四肢をもって立ち上がる。
もう一撃とゾルバは大斧握るが、しかし背後からの気配に一歩引いた。
その開けた場所を、滑空からの急降下――その命狩るべくして尖らせた爪でもって黒獣を引き裂いていくタルパ。
肉を持っていく感覚――黒獣は呻き散らしその牙を向けてくる。
けれどそこにはゾルバがいて、一歩踏み出すと同時に薙ぎ払って防いでみせる。
竜の男たちは並んで、黒き獣を挫くべくその武器を構えた。
爪を、牙を、その大斧を。
「ああ、けだものってんなら俺もそう変わらないのかもしれないけれど」
黒獣よりも鋭く、その爪を閃かせて言い放つタルパ。
「今も昔も、ずっと――俺は守る為に戦ってるんだ!」
守るため、か――とゾルバも大斧を握り直し、じりと地を踏みしめる。
「誰かが守ってやらねばただ生きることさえままならぬ者達がいる」
きっとこの世界にも――過去、守った世界と同じように。
「ならばそれを守るため、けだものとなるも一興だろう」
黒獣とは違う生き様の、けだものとして。
ゾルバとタルパは黒獣を翻弄して攻撃を加える。互いに守るように、互いに攻めるように。
傷が増えていく黒き獣、ザラームは不利を悟る。このまま戦っていていいのかと僅かの逡巡の間に、振り下ろされた大斧がその身を大きく削いだ。
「っ!」
黒炎の獣が、人のように2本脚で立つ姿に戻り傷を抑える。
唸りながら睨みつけてくるその表情は、ザラームの愉悦の時間の終わりを告げていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ユヴェン・ポシェット
嫌いなんだよ。
奪う為の炎ってのが。なんて…わざわざ言葉にする必要もない事で、嫌いじゃない奴なんざ頭のイカれた者だけだ。
それでも。込み上げてくる想いを抑える為に、行き場のない感情をその言葉に落とし込む。
この地に縁もなければ特別思い入れがある訳でもない。だが燃えるその姿に、かつて灰になってしまった森の…友の姿が重なる。じっとしていられる筈ないだろ
許せない、無力な自分自身も含めて。もう二度と…炎によって奪われたくはない。そんな俺の想いを汲み、打たれた刀が“炎氷削水『青凪』”。熱気や冷気を吸収し、水へと変換する刃を持つ俺の刀
さぁ『青凪』、ご馳走だ。食らいつくしてやろうぜ。
青凪により炎を吸い、水刃を放つ。それをUC「aallotar」により動きを操る。森を傷つける為でなく守る為の刃を辺り一面に。
この刀で斬るのはそう、ザラームという者。
俺は森の悲鳴を止める事ができるなら、自分が割れようが砕けようが、んな事どうでも良い。そのくらいの覚悟で来てんだ。
お前が生んだ炎は俺の刃となりお前に…返してやる。
森が燃えている――その様にユヴェン・ポシェット( ・f01669)は歯噛みする。
「嫌いなんだよ」
ユヴェンの声は張りつめて。燃え広がる光景へと向けて落とされた。
何が嫌いか――それは。
「奪う為の炎ってのが」
わざわざ言葉にする必要もない事で、嫌いじゃない奴なんざ頭のイカれた者だけだ――そう、想いユヴェンはこの惨状に心痛めるのだ。
込み上げてくる想いを抑えるために、行き場のない感情をその言葉に落とし込んで。
この地に縁があるわけではない。特別思い入れがある訳でもない。
けれど、ユヴェンの瞳に映るこの光景は、心悼ませる。
かつて灰になってしまった森の――友の姿が重なって。
ユヴェンがじっとしていられる筈がなかったのだ。
その心に許せない、と痛みがある。それは無力な自分も含めて。
かつて、それを受け入れるだけしかできなかった。けれどもう二度と、と強き意志がここにある。
もう二度と、炎によって奪われたくはないと。
そしてその想いを組み、撃たれた刀が今その手にある。
炎氷削水『青凪』――熱気冷気を吸い『水』に換える刃を抜き放てば、不思議とその刃が呼吸しているような心地さえ受ける。
熱い。吸い込んだ息が、熱い。肺の内から焼こうとしてくる熱さはしかし、この『青凪』にとっては。
「さぁ『青凪』、ご馳走だ。食らいつくしてやろうぜ」
周囲の火炎を『青凪』は吸い上げていく。その火を、水として、刃と成してユヴェンは放つ。
放たれたそれの水刃をユヴェンは操る。森を傷つける為ではなく、守る為に。
燃え盛る炎の壁を切り裂けば、弾けるように消えていく。幾重にも重なる炎の壁が、ユヴェンの放つ水の刃で持って断ち切られていく。
切るのは、森の命を奪おうとするもの、炎を、そして――いた、とユヴェンはその姿を捉えた。
この刀で斬るのは、ザラームという者。
身体が考えるよりも先に動く。
ザラームはすでに傷を負っている。ユヴェンに気付き、自分の方へ来るのを察して構えた。
その姿に余裕はすでに、見られない。
同じように、この森を守ろうとするものたちが戦ってきたのだろう。
(「森の悲鳴を止める事ができるなら、自分が割れようが砕けようが、んな事どうでも良い」)
そのくらいの覚悟をもって、この場に来ているのだから。
「お前が生んだ炎は俺の刃となりお前に……返してやる」」
炎を捉えて、刃として。『青凪』を握る手に力がはいる。水の刃が、ザラームの身を一閃する。
エリクシルが齎す赤き絶望のエネルギーに覆われたザラームは一閃に呻くと共にその爪を向けてユヴェンの身を抉った。
けれどそんな痛みはなんともない――その瞳に宿る強さは揺るがない。
ザラームは気圧された。だから鈍る体がそれに反応しきれない。
ユヴェンが『青凪』を翻して、再度放った水刃はその身に深い傷を刻み込んだ。
黒獣は思うのだ。こんなはずではなかったのだと――己を満たすためだけにここにきたのに、このようなと。
大成功
🔵🔵🔵
叶・灯環
【月環】
随分と悪趣味な嗜好をお持ちのようで
森林破壊良くないですよ。自然を大切にって教わりませんでしたか
居合の要領で刀を勢いよく抜き初手の斬撃を放つ
剣技を繰り出す際の冷気で燃え盛る木々を凍らせ対処
多少なりと消火活動の手助けになるだろ
アイツを斬りますよ、ユア
俺たちであのイカれたワンコの性根を叩きのめしましょう
ユアの連撃に続くよう死角から《不意打ち》で刀を振るう
敵の猛威は回避行動優先
止むを得ないものは無理に回避せず刀で《武器受け》し乍ら受け流し《カウンター》で凍気を纏う斬撃を放つ
簒奪の何が楽しいんだか
生憎とそんな趣味を俺は持ってないですが
アンタに奪われる側の気持ちを教えてあげますよ
血を流そうが怯むつもりはない
痛みで蹲るほど軟に鍛えられてねえんだよ
目の前の敵を屠る、其れだけ
こんな所でくたばる心算は毛頭ない
感覚を唯々研ぎ澄ませていく
タイミングを見計らい一気に距離を詰め
ふたりの攻撃で蓄積された部位へ刀を滑らし《解体》の要領で《切断》
一瞬で良い
その瞬きひとつの隙でも十分だろ
――ユア、ぶった斬れ!!!
月守・ユア
【月環】
ああ。悪趣味な奴らだね
こんなに美しい自然を燃やすなんて
自然の代わりに罰を下してやろうか?
”月呪刀”を抜き一振り…呪詛を乗せた斬撃を放つ
燃え盛る炎に呪いが降りかかればその勢いを殺そう
灯環さんの技に連携するようにその呪いは冷気の力を押し上げる
――悪しき炎よ、呪われてあれ
悪いワンちゃんは確りお仕置きしてやらないとね?
にんまり笑うは戦好きのする獰猛なそれ
先制攻撃
一目散に切り込んでいくよ
この刀は呪詛の塊
一太刀あびりゃ敵の体を蝕む”毒使い”となろう
――痛み狂えや
思考を蝕む”精神攻撃”
己が傷など構わない
この心は痛みより闘争心が滾る
守る為に戦う為に生まれた殺戮者は
敵の全てを奪うまで止まらない
灯環さんが敵にカウンターをした隙を見て更なる斬撃を試みる
常に彼に合わせて連携し敵の傷口を抉る
確実に討つ為に
彼との共闘は爽快だ
心地よく戦いを愉しませてくれる
名を呼ばれたなら不敵に笑み
――お任せあれ♪
”殺戮ノ呪歌”
――ホントの蹂躙と破壊を教えてあげる
自らの死を味わえ
生命力を喰われ
魂を呪われ
後悔もする間もないくらい
焼けていく匂い、炎がくすぶる匂いが鼻を刺して心地よいとは言えぬ状況。
盛る焔の光景に叶・灯環(あまつかぜ・f38935)は眉寄せてその唇動かす。
「随分と悪趣味な嗜好をお持ちのようで」
「ああ。悪趣味な奴らだね」
その言葉に月守・ユア(月影ノ彼岸花・f19326)は頷いていた。
こんなに美しい自然を燃やすなんて――この光景の傷ましさにユアは金眼を細める。
「自然の代わりに罰を下してやろうか?」
ユアは月呪刀――月守の番人の魂欠片を溶かして打たれた大太刀を抜いてひと振り。
呪詛乗せた斬撃を放つ。燃え盛る炎に呪いが降りかかればその勢いは殺される。
そして、重ねて。
「森林破壊良くないですよ。自然を大切にって教わりませんでしたか」
灯環もまた居合の要領で勢いよく抜刀し斬撃を放つ。
盛る炎を一閃するそれは、神殺しの凍てつかせる風撃。それにあわせてユアも再び、その大太刀を振るう。
振るわれた呪いは冷気の力を押し上げるように力を満たしていくのだ。
「――悪しき炎よ、呪われてあれ」
炎が凍り落ちていく。燻る音と共に焔はなりを潜め、ユアと灯環が進む道を開いていく。
炎が静まった先をふたりは駆ける。この先に敵がいると――黒きバルバ、ザラームを追って。
そしてその姿を捉える。すでに幾人とも戦っていたのだろう。傷を負って満身創痍であるが唸り声を喉で燻らせている。
「アイツを斬りますよ、ユア」
「悪いワンちゃんは確りお仕置きしてやらないとね?」
灯環の声に笑って返すユアの軽さ。けれど、それでいいのだと灯環も笑みを口の端に。
「俺たちであのイカれたワンコの性根を叩きのめしましょう」
にんまりと、ユアの口端も弓引いて笑みを象る。
それは戦好きのする獰猛なそれ――ザラームがその表情を目にする前に、一足距離詰める。
翻す太刀の閃きは月の色か。それとも呪詛の色を乗せたか。
いやそもそも、それは呪詛の塊であるのだ。
「――痛み狂えや」
歌う様に紡ぐユア。
それは一太刀浴びればその身を蝕むものたりて。その思考を阻み蝕むものとして――死の力を纏わせた斬撃と共に。
ザラームのみの上を走る一閃。その勢いの儘に赤い色が跳ねる。
「っ!! この……!」
そして一撃を見舞われたザラームは、エリクシルが齎す赤き絶望のエネルギーに覆われた真の姿を晒しその爪を向ける。
振り下ろされたそれはユアの身を削いでいく。
けれどそんな傷を負うことを恐れはしない。ユアの心には傷の痛みより、闘争心が滾る。
守る為に戦う為に生まれた殺戮者は、敵の全てを奪うまで止まらないのだから。
そしてまた、一人ではない。
続けて振るわれようとする一撃を灯環の不意打ちが遮る。見えぬ角度から、刀でその爪の軌道を歪ませれば地面を抉ることに。
もう一人が邪魔をと向けられるザラームからの敵意。
そちらへと意識が向いた瞬間に、ユアは切り返す。再び傷口撫でるように抉って、拡げて。
どこから斬撃がくるのか。ザラームはどちらにも気を払わなければならない。
けれどユアと灯環は、ザラームにだけ対処すればいい。息など合わせずとも合うものなのだから。
くそ、と悪態つくザラームの声色に滲むのは焦りか。
「簒奪の何が楽しいんだか」
灯環は理解できないと零す。けれど――今は。
「生憎とそんな趣味を俺は持ってないですが、アンタに奪われる側の気持ちを教えてあげますよ」
ザラームを切り伏せるように灯環は凍てる風撃を放った。それはその腕を凍りつかせ、その場に縫いとめる。
それにあわせてユアが振るう刃が美しい孤を描いていた。
灯環と共に戦う――その中でユアが感じるのは爽快さ。
心地よく戦いを愉しませてくれるのは、視線ひとつでその思う所を察することができるからだろうか。
ザラームが苦し紛れに放つ攻撃をいなして、かわして。
けれどそれがその身を削ることだってある。
灯環はしかし、血が流れおちても怯むことなく次の動きに移る。
「痛みで蹲るほど軟に鍛えられてねえんだよ」
目の前の敵を屠る、其れだけ。こんな所でくたばる心算は毛頭ないと灯環の意識は冴える。
研ぎ澄まされ、どこを狙えばいいのか自然とわかる。
タイミングを見計らい一気に距離を詰める灯環。
刀を滑らしその肥大化した真の姿たる赤き腕を灯環は切断する。
「――ユア、ぶった斬れ!!!」
一瞬で良い。その瞬きひとつの好きでも十分なことを灯環は知っている。
名を呼ばれたなら、不敵に笑み浮かべてユアは応える。
「――お任せあれ♪」
哀しみを捨て、想いを黒に染め…この身はキミを奪う死となろう――紡ぐは殺戮ノ呪歌。
――ホントの蹂躙と破壊を教えてあげるとユアが踏み込む。
自らの死を味わえと、生命力を食われ、魂を呪われ、それは――後悔もする間もないくらい。
波紋音のオーラが歌声と共に輝いて、死の力をもった斬撃が重ねられる。
ザラームが今まで受けた傷をさらに大きく切り開いてユアがもたらすのは死。
今際にザラームの瞳が暗澹たる光宿してユアと灯環の姿捉える。その口から怨嗟を吐き落としながら、その黒きバルバは瞳の光を失いながら倒れ落ちた。
エルフヘイムへ炎と虐殺をまき散らしたものは滅んだ。やがて森には静けさが戻ってくる。
大成功
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