エンドブレイカーの戦い③~ダイナミック人魚すくい選手権
●不真面目人魚とエリクシルの誤算
ざっぱーん。ざざざーん、どぅわわーん。……とぷん。
押す波引く波、寄せる波。岸壁にあたって砕け散る。
ここはアクスヘイム近郊、海! それ以上でも以下でもない。
人魚たちが暮らす海も、エリクシルの邪な願いでさあ大変!
海底に沈んでいたアクスヘイムの前身、アックスヘイムという遺跡が願いの力で、
浮かび上が……上が……ああっと、浮上途中で止まったー!?
そう、本来ならエリクシルの力で水上に出てくるところ、たまたま動力源とした人魚たちが『不真面目』かつ『不純』だったために願いの力が足りず海中遺跡のままなのだ。
そんなことある!? いいえ、あります!
「だってー、あたしー、願い事とか超~めんどいし~」
「あー、メイクし忘れたー。だっるー」
さあ、ここからが本番。
たいぎぃ感じの人魚たちに、夏の何たるかを見せつけてやろうではないか!
●猟兵たるもの
もう、お分かりだと思うが。こういうお役目の時に出っ張ってくるのは、大概この人である。
「人魚さん救いに行くわよ! こう、ダイナミックにざぶーんって!」
自分が行くわけでもないのにリグは水着姿、なぜって? そういう気分だからさ。
リグの言うところを話半分に聞くと、つまりはこういう事だ。
エリクシル、海底遺跡を兵器として悪用してやるぜぐっふっふー。
人魚つなぐ! 願いの力吸収! 撃て、ファイヤー!
って浮上させようとした瞬間、止まったわ。動力はあるのに進めないー(タンタン)。
……ちょっと何言ってるかわからないだろうが、要は願いの力が足りずに海中で浮上が止まってる遺跡から人魚を救い出して元通りにしてやってくれとの事だった。
「当たり前だけど、皆も海の中に潜る必要があるから普通に遺跡に入るよりも難易度上がっちゃってるのよね……そこで、私考えたの」
きゅきゅっとリグがホワイトボードに描き出してみせるには。
1.ダイナミックなポーズで海に飛び込む
2.かっこよくエレガントに人魚助け出す
3.みんなハッピー!
……そうする必要性は、どこに?? まあいいじゃないか!
「一応、人魚さんね。けだるいムードが漂ってるけど、皆がテンション上がる事してくれたらノってくれるから救出もスムーズだと思うの! ギャルっぽい娘が多いから派手な方がウケるわよ、きっと!」
正直取ってつけたような事情ではあるが、これで幾らかは納得するだろう(するかなあ)。
説明を終えたリグは、まだ承知しかねる顔のあなたたちを海へと送り出す。
「あ、ちなみに口説こうと思ったそこのあなた! 人魚さん全員彼氏持ちだからそのつもりでね!」
そんな殺生な――と一部の者が反論しかけたが、リグはうっかり消えなくなった油性マジックの跡を何とかする方にご執心だった。ケイオス!
晴海悠
夏だ! 9月だ! 9月は夏だ! いいね!?
い い ね ? ?(有無を言わさぬ眼力)
というわけで海に飛び込みましょう。さあ行った行った!
◇依頼概要
なぜかダイナミックに飛び込みなどしつつ人魚を救出しましょう。
ハードル上がってる? 気のせい、気のせい。
プレイングボーナス……遺跡内部に囚われた人魚を救出する。
◇遺跡と人魚
遺跡がぶわわわーんって浮かんで人魚が繋がれてます。助けようね!
真面目な解説すると、都市国家近郊の海に住んでた人魚がエリクシルの願いの力の動力源として海中遺跡に繋がれてるので助けると遺跡がざぶーんってします。元通り!
なお現アクスヘイムの前身であるアックスヘイムを浮上させたとか何とかの設定もあるけど今回は深く考えなくてヨシ! 過去作わかんないよ、という方もご安心ください。
◇ダイナミック人魚すくい選手権
さあここからが猟兵たちのターン!
人(魚)命救助にしたってただじゃ終わらないのがあなたたち猟兵、のはず。高跳び、回転飛び込み、クリフダイビング、大気圏突入! あなたなりのダイナミーック! を決めて渚の視線を独り占めしよう!
一応、勇姿を見せれば人魚たちも逃げるための勇気を振り絞れるという建前もあるYO!
◇諸注意
一章のみの戦争シナリオとなります。
採用数はシナリオ成功に必要な最小人数+若干名を予定しています。許容量を超えた場合は先着順ではなく、以下基準のいずれかを満たした方から順に執筆します。
「イ カ し て た/個性的だった/技能やアイテム、ユーベルコードの活用方法が的確だった」
プレイングに問題がなくとも締め切る場合もございます。あしからずご了承ください。
それでは、リプレイにてお会いしましょう。れっつ・だいなみっく!
第1章 冒険
『人魚救出』
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POW : 遺跡をくまなく歩き回り、要救助者を探す
SPD : 遺跡の罠を見つけて解除する
WIZ : 囚われて衰弱した人魚達を治療する
イラスト:Gabriel
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アルクス・ストレンジ
チッ、こっちでも遺跡が…は?
いやそれもう放っておいても…駄目か、そうか
ちなみに、リグ
ホワイトボード専用マーカーで
油性で書いたとこ塗り潰してから
イレイザーで消してみろ
人魚の気分をアゲないと救えない
そういうことだな(大真面目)
まあ『パフォーマンス』は本業だ
やるだけやってみる
位置に付いて爆破スイッチ使用
派手な爆煙を背に
宙で一回転してからのダイビング
人魚の所へ辿り着いたら…
待てよ、コイツら意識ある状態で繋がれてたのか?
…救助前に少しサービスしてやるか
UC発動
『楽器演奏』で人魚の気分をアゲて
よりスムーズな『救助活動』に繋がるようにしとく
アンタら、捕まって暇だったろ?
今から続々と救援が来る、信じて待ってろ
出立前、アルクス・ストレンジ(Hybrid Rainbow・f40862)が返したのは至極真っ当な反応だった。
――チッ、こっちでも遺跡が……は?
浮上途中で止まった遺跡。明らかに兵器として役目をはたしていない無用の長物。放置してもいいんじゃないかと思いかけたアルクスだったが、これでも人魚は繋がれっぱなしなのでさすがに無視はできない。
ちなみにグリモア猟兵にアドバイスを授けたところ、今度こそ専用マーカーと思ったそれもマジックペンで、重ね塗りするうっかりさんを見て頭を抱えたのはここだけの話だ。
アクスヘイム近郊の海へ向かえば、海面下数メートルのところで中途半端に止まった遺跡の全容が見えている。そこまで来たなら最後まで上がれよとツッコみたくなるが、人魚たちがそういうテンションなので仕方ないね!
「人魚の気分をアゲないと救えない。そういうことだな」
大真面目に捉えたアルクスは、なぜか持っていた爆破スイッチをおもむろに握って爆煙を背負い立つ。カラフルなスモークが海風になびき、戦隊ショーのように宙がえりをした彼はざぶりと足から海に飛び込んだ。
海中を泳ぎ、人魚たちの元へ向かうと、遺跡の中の一室で尻尾を鎖につながれながら大あくびをするギャル人魚の姿。
(「待てよ、コイツら意識ある状態で繋がれてたのか?」)
遺跡が兵器として稼働しなかった以上、差し迫った命の危機はないにしても、年ごろの娘たちにとって自由を束縛される事ほど辛いものはない。
ギターを背中から下ろしてチューニングしはじめたアルクスに、人魚たちは「え、ここでギターとかマジ?」「超ウケるんだけどー」と乗り気(?)な様子だ。
「アンタら、捕まって暇だったろ?」
「ん? まあねー、やる事ねーし鎖うざいし」
「……だったら、これはオレからのサービスだ」
そういってドラゴニアンの青年は音楽を奏ではじめる。小気味のいいベースに乗って、駆け上がる音階がアップテンポなメロディを奏でる。魔空切り拓く短剣を歌った歌はギャルたちも気に入ったらしく、途中から尾びれでリズムをとる者たちも現れた。
曲を二巡し、即席ライブを終えたアルクスは、人魚たちへ向き直って鎖を外しはじめる。
「今から続々と救援が来る。信じて待ってろ」
手短にそれだけ伝えると、彼はまだ残っている人魚たちを探すべく遺跡の奥へと向かっていった。
大成功
🔵🔵🔵
四月一日・てまり
【風花】
お父さんお父さん!
人魚さん達を助けに行こう!
……え、ダイナミックに華麗に?
任せて、こう見えて新体操選手だもん
魅せ方は心得てるつもり!
というわけで|兎葵苑藐《指定UC》!
二回変身で元の身長の二倍の二倍!
さっお父さん背中に乗って乗って!
(ツッコミは全スルー)
渾身の鹿ジャンピングダーイブ!
兎だけども!
あっもしかして遺跡の一部壊れた?
………………キニシナイ!!
人命第一!!
水中呼吸技能はないからちゃちゃっと終わらせちゃおう
と言っても救助はお父さん頼みなんですけど!
私はモフってもいいのよって感じの顔しておくね
ほら、疲れてるだろうから癒しが必要かもだし?
撤収は素早く!
お父さん帰るよー、乗って乗って!
園守・風月
【風花】
……娘に言われるままウェットスーツに着替え
現場に来てみたはいいんだが
(巨大兎化する娘を前に)
……てまりよ
俺は生前父親らしいことは碌に出来なかったが
全てを肯定するのが親ではない、とも思っている
故に言わせて貰おう
その図体で新体操も何もあるか!!
(しかし全無視で急かされたので
もうなるようになってしまえという顔)
……確かにこいつは快活な性質だったが
もっとしっかりしていたと記憶していた筈だが……?
いや、この場のノリに当てられたのかも知れん
……はあ
取り敢えず荊切でも光らせておくか(指定UC)
身体から花は消えるし能力的な意味はまるでないが
この娘らは光っている方が好きそうだ(拘束を斬り砕きながら)
失意のうちに斃れた時、心残りだった家族は今や彼の享年に追いつきつつある。娘の成長は喜ばしいことだが、喜ぶ気持ちより先立って戸惑いが浮かぶこともあるのだと男は|識《し》った。
「お父さんお父さん! 見てみて、あれが海中遺跡かなあ」
いや、乗せられた自分もウェットスーツで気合い入れた姿ではあるのだが。眼前の巨大兎――もとい、四月一日・てまり(地に綻ぶ花兎・f40912)は、どう見ても海に潜る姿ではない。
「ダイナミックに華麗に? 任せて、こう見えて新体操選手だもん」
嬉々として語る、攻性植物を生やした桃色兎。二度変身を重ねて身長も二倍の二倍、体重は乙女の秘密だが増えてはいる。
こんな体で海に飛び込もうものなら、あがる水柱は確かにある意味見事だろう。「H2OhhhHHHH!!」ってな具合に。
「……てまりよ。俺は生前父親らしいことは碌に出来なかったが、全てを肯定するのが親ではないとも思っている……故に言わせて貰おう」
努めて感情を抑えた声で、園守・風月(薔薇花園の守人・f37224)は娘を一喝する語彙を探す。多少威厳たっぷりにでも言ってやらないと、このあっけらかんとした娘は止まりそうもない。
「その図体で新体操も何もあるか!!」
「さっ、お父さん背中に乗って乗って!」
なんとてまり、完全スルー。というか、何なら風月が声をかけた先にはもう姿がない。カットインが入りそうなくらいくわっと目を見開いたのに虚空へ向けて叱っているなど、父としてあまりに立つ瀬が……父親、とは。
「渾身の鹿ジャンピングダーイブ!」
「兎だろうがぼごぼ!!」
あっ、ツッコミ途中で海に引きずり込まれた。海水、気管に入ってないといいのだけれど。
ごぼごぼと泡を吐きながら水面下に潜ると、数メートル下に目指す遺跡が見えてきた。銀の気泡を毛の中に蓄えた桃色兎は、力強くぐんぐんと深みへ泳いでいく。
(「確かにこいつは快活な性質だったが、記憶が確かならもっとしっかりしていた筈だ……これは単に、この場のノリに当てられたのだろうか」)
てまり兎は背負う父親の戸惑いにもお構いなしだ。遺跡の入り口をうっかり壊し、明らかに「あっ」とやらかし顔をしている。
(「つっかえちゃった……キニシナイ、人命第一!」)
辿り着いた遺跡の一室はまだ空気があるようで、息ができる空間にたどりついたてまりは溜めていた二酸化炭素を吐き出した。
「ぷはっ。救助はお父さんに任せるわね! 私は……そうね、モフってもいいのよ?」
おみ足(兎)たらしてセクシーポーズ。人魚たちも大概ノリいいので早速モフりに来た!
「……はあ。こんな形で生前の姿を晒すのも気が引けるが」
愛刀・荊切に光をかき集め、風月は魂に残る在りし日の姿を解き放つ。眼球に芽吹いていた病の象徴たる花は消え、やせ細った腕は剣の心得があった頃の膂力を取り戻した。
「え。オジサン、なんかフツー」
「花咲いてた方がイカすのにー」
「何を言うか。というか、オジ……もういい」
無神経な言の刃に傷つきつつも、風月は人魚たちの鎖をざかざかと切っていく。
「さ、用が済んだら撤収! お父さん帰るよー、乗って乗って!」
「……まったく」
娘の変貌に慣れられるのはいつの事か。ひょっとすると彼女のノリに慣れてしまう方が致命的やもしれぬと、男は帰路の中でも葛藤した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
紫野崎・結名
アドリブアレンジokです
気持ち、上げるならこれ
どんな劇もアニメーションも、BGMはなくっちゃね
だから、音楽を鳴らすよ
事前に近くの街で、ここでの夏の定番曲やヒット曲をリサーチしておきます
セブンリーグブーツの水上歩行でポイントの上に向かって、音楽隊と一緒に演奏しながら水中にざぶん
息とかはがんばる
最初は気だるい気持ちにスッと入る、静かな曲を1分ほど
そこからアップテンポにしてスピード感をつけていく
テンポを上げたら夏っぽい曲をメドレー、人魚さんからリクエストが来たら応えます
ギャルっぽいそうなので、もしオシャレさせられそうなら戸惑いながらされるがままで
おねえさんたち、元気になった…?外に出る?
鍵盤楽器を肩から背負い、紫野崎・結名(歪な純白・f19420)は海風を浴びていた。
足元にはマリオネット人形の小さな楽隊、赤い帽子は今すぐにでもマーチを奏でてくれそうだ。
「気持ち、上げるならこれ……どんな劇もアニメーションも、BGMはなくっちゃね」
幸い、都市国家近郊での流行りはリサーチ済みだ。世界により夏の音色もいろいろあるが、この世界では弦楽やパーカッションを用いた明るい曲調のものが一般的らしい。
吹きわたる風のように水面を歩める魔法のブーツで、砂浜から潜水ポイントまで海上を歩む。隊列を組んだ楽団が後からドラムの音を響かせ、楽しげな楽曲ははるか水面下までも届いただろう。
意を決して水中にざぶんと潜れば、愉快な音楽隊も少女に倣った。届かない足をばたつかせながら、結名の率いるマーチは遺跡までの海中航路を往く。
遺跡内部に踏み入れた足は、ぴちょりと水滴の落ちる一室にて止まる。中に繋がれた人魚たちは気だるそうに手団扇を仰ぎ、陰気な遺跡の天井を呪うかのようにじっとりと睨んでいた。
(「最初は皆さんの気持ちに合わせて、静かに、静かに……」)
調律師へ捧ぐような、清らかで静かな音の階段。行きては戻りて目覚めを運ぶ旋律は、次第にリズミカルな曲調へと変わって元のマーチへと繋がっていく。
「へー、やるじゃん」
「次はもうちょい眠気吹っ飛ぶのがいいなー」
ギャル人魚たちのリクエストに合わせて調べを奏で、小さな演奏会はしばらく続いた。一頻り終えて結名が汗を拭う頃には、手の空いた音楽隊が人魚たちの鎖を外し終えていた。
と、ここへ来てリーダー格と思しきやんちゃそうな人魚たちがずい、と結名を囲む。何かされるのかと身構えていたが、顔や髪を弄った末に彼女は「目ぇ開けて」と促した。
「絶対そっちのがいいし♪」
ギャル人魚たちが施したのは、目元のぱっちりとした所謂地雷系メイク。赤みのあるリップを引いて病弱感を演出するあたり、人魚たちもなかなかに流行りを研究していると見えた。
「つまんない男引かない魔除け。ぶち可愛いしテンション上がるっしょ」
「ありがとう……おねえさんたち、元気になった……? 外に出る?」
人魚の言葉の意味まではわからなかったが、善意でしてくれた事だけは伝わった。元気を取り戻した人魚たちも仲間に加え、結名の楽団は行きよりも人数を増して再び海の中へと潜り出て行った。
大成功
🔵🔵🔵
クローネ・マックローネ
絡みOK、アドリブ歓迎だよ。
【POW判定】
一人残らず、助けるよ。
【救助活動】はワタシの得意分野だからね。
各種医療用品を大量に用意してから遺跡に乗り込むよ。
助けた人魚ちゃん達の治療はワタシに任せてもらうよ。
UCは「クローネちゃんのキラキラなお友達★」を使用。
100体を超える数のヴァルキュリアちゃんを動員して、遺跡内の人魚ちゃん達の【救助活動】を行うよ。
飛び込む時は全員同時にかっこいいポーズをとって同時に飛び込むね。
【地形の利用】と【演技】、【ダンス】、【水泳】を活かしてステキに救助してみせるよ。
見つけた人魚ちゃん達は【医術】で治療し、【優しさ】と【慰め】、【演技】で少しでも心を癒そうとするよ。
医療用具のつまったバッグを背負い、クローネ・マックローネ(快楽至上主義な死霊術士・f05148)は小舟の上から海中遺跡を覗き込んだ。
既に何か所かの遺跡で人魚の救出にあたってきたが、途中で止まってしまった間抜けなケースはもしかするとはじめてかもしれない。
自分を補佐してくれる戦乙女を無数に従え、クローネは息を深く吸い込む。
「一人残らず、助けるよ……救助はワタシの得意分野だからね」
海中へ勢いよく身を投げる瞬間決めた、全員一緒のポーズはさながらシンクロナイズドスイミング。軽く弾みをつけたつもりだったが浮かんでしまい、水の浮力の強さを知った。
息を吐き切って我慢し、海中を泳ぐ。やがて辿り着いた海中遺跡の一室では、ギャル人魚たちが退屈そうな表情で鎖に繋がれていた。
「クローネちゃんが来たからには大丈夫だよ★」
タールの肢体をくねらせ艶めかしい動きをする戦乙女たちは、なぜだかギャル人魚にはウケがよかったらしい。「ちょっと、誘惑する相手間違えてね?」「まじウケるー」と声が上がる分に、清純を装うより適度にすれた感じの方が親近感が湧くのかもしれない。
持ち前の医療技術で手当てを試みるが、遺跡の稼働していない今は幸い目立った外傷も消耗もない。それより繋がれ放置されていたことでの鬱憤の方が、彼女たちとしては問題らしかった。
「もうすぐ全員助け出せると思うから、がんばって」
励ましに背中を押され、人魚たちは次々と海中に泳ぎ出ていく。去り行く間際、
「あんがとねー」
ギャル人魚が一人、持っていたヒトデ飾りをクローネの髪にそっと飾った。
大成功
🔵🔵🔵
エルシェ・ノン
1.今年あつらえた水着に着替えマス
2.ノソリンを召喚しマス
3.よいしょとノソリンに跨りマス
これで準備はオッケー
いけ、ノソリン!
高台から水平線の彼方まで全力ダッシュだっ
そしてオレはノソリンを乗り捨て(あとでちゃんと召喚し直して全力で謝る)そのまま空中からダーイヴ!!
果たして人魚さん達はオレの決死のダイヴをお気に召してくれるだろうか?
でも、ギャルはカワイイには弱いって信じてる
そして今日のオレは最高にkawaii!
見て、このアクエリオ様風水着をっ
(精一杯翼ぱたぱた)
割と映えるとも思うんだけど、どうかなっ
よかったら砂浜で一枚描いてもらうとかどう?
ネタには全力命懸け
すげなく袖にされたら海の藻屑まっしぐら
いつの間にか設けられたウレタン製の飛び込み台と、助走用の海上通路。はるか手前の砂浜に現れたエルシェ・ノン(青嵐の星霊術士・f38907)は、意気込みたっぷりに準備体操!
「……よし、そろそろいいかな。まずは今年の水着に着替えて、と」
今年のエルシェはアクエリオ様を模したきゅーとスタイル、ビーチボールまで星霊ヒュプノス仕様の凝りっぷりだ。
「次にノソリンを召喚しマス」
「なぁ~ん」
呼び出された薄緑の生き物はノソリン、お馬さんの代わりに人を乗せて運ぶ、気立ての優しい大地の星霊だ。
「よいしょとノソリンに跨り……これで準備はオッケー! いけ、ノソリン!」
「なぁ~んっ!」
どかぱか足音を響かせて水上廊下を歩むエルシェ&ノソリン、突端まで来たエルシェはあろうことか愛騎ノソリンを乗り捨てに!
「そのままダ~イヴ! 待ってて人魚さん!」
「|な゛ぁ゛ん゛《な し て 》っ!?」
遺跡まで届けと空中をクロールしたエルシェは音を立てて水の中へ。銀の泡を上方に吐いて深く潜る最中、恨めしそうに見下ろすノソリン顔が海面に見えた。
「ナババババァン……」
あ、溺れて息吐いてる。大地の星霊だから泳げないんですね。でも生き物っていうより星霊なのできっと生きてるだろう、知らんけど。
海中遺跡まであと数メートル、微妙に遠い距離をえっちらおっちら掻いて進み、エルシェはようやく遺跡内へと潜り込む。
「ぷはっ! 長かった……でもギャルはカワイイには弱いはず。そして今日のオレは最高にkawaii! 見て、このアクエリオ様風水着べふっ!?」
「いやー! 近寄んな、キモい!」
唐突に顔面に水球浴びせられてエルシェ、卒倒。なぜか人魚はご機嫌斜め、かわいいはずの水着姿を「キモい」呼ばわりする始末。
「な、なんで……映えると思うんだけどなっ。ほら、よかったら砂浜で一枚絵ホヴァッ!?」
「きゃー! ぎゃー!! こっち来んなし!!」
金切声。近くで叫ばれ耳が痛い。ひどい、一体自分が何をしたのか。
「ちょっと……ミラ、怖いの嫌いなんだよ? いきなり来て脅かすとかありえなくない?」
「ほんっとサイテー! もう、行こ?」
叫んで暴れた拍子にいつの間にか鎖は千切れていたらしい。その程度の鎖で拘束するのもどうかと思うが、まあ自由になったならいいんじゃないかな!
で、人魚退出後のエルシェはというと。
「ひどいなぁ、いきなり……ん?」
海中へ向けた遺跡の窓を見る。窓は鏡のように室内を反射し、そこに映るエルシェの姿は。
「な……なにこれぇっ」
星霊の呪いだろうか。かわいい水着のフードにはいつの間にか、のっぺりじっとりイヤな感じの表情を浮かべたノソリンの亡霊(?)が取り憑いていましたとさ。
なぁ~ん。
大成功
🔵🔵🔵
マウザー・ハイネン
派手に…?いえ意味を考えてはいけませんね。
ここはとことんやるべき、勇気を奮い立たせる為に盛大にせねばなりませんね。
UC起動、アイスゴーレム達召喚。
さて、派手に飛び込むには舞台が重要。組体操で踏み台作って貰いましょう。
十分時間があれば飛込み台の建設もできたのでしょうが…まあこれで十分。
しかしこれだけでは足りませんよね?
ゴーレム達に其々星霊クリンとジェナス、アクアとディオスを召喚させ水芸…派手な水の輪を空中に沢山作らせます。
水の輪くぐりダイビング、ポーズはアクセルジャンプ的に限界回転で|行《逝》ってみましょう。
飛び込んだらその勢まま人魚達の下へ、感想伺いつつ救出しましょうか。
※アドリブ絡み等お任せ
感情が擦り切れたように、滅多なことでは動かぬ表情もまったくの無敵ではないらしい。
「派手に……? いえ、意味を考えてはいけませんね」
ぴくりと怪訝そうに動くマウザー・ハイネン(霧氷荊の冠・f38913)の眉。彼女の内面を勝手に代弁するなら、きっと「私の見た予知と違う」とか「ギャル、人魚……??」とかそういうのだろう。
だがこれも|歴《れっき》とした依頼。温度差こそあれ救いを求める声があるなら、無視して通り過ぎるマウザーではない。
「ここはとことんやるべき……勇気を奮い立たせる為、盛大にせねばなりませんね」
武創氷術と星霊術の応用でアイスゴーレムを作り、水際に組体操の陣をしく。時間があれば飛び込み台もと思ったが、こだわりのため時間を割けば、それだけ人魚の救出も他戦場での戦いにも影響が出かねない。
「踏み台はこれで十分……しかしこれだけでは足りませんよね?」
氷の細剣の切先をタクトのように振れば、並び出る数々の星霊たち。白熊のようなクリン、鮫のジェナス、星霊アクアにディオス……彼ら氷と水の星霊の織り成すイリュージョンが無数の水の輪を空中に映し出す。
「さて……準備は整いました。アイスゴーレム、お願いします」
最後のカギはマウザー本体。砲丸のように自身を投げさせ、空中でアクセルを決めるように回れば、世界がめまぐるしく回転して波飛沫に包まれた。
蒼の戦装束をはためかせながら海中を潜行していたマウザーは、こつんと自分の踵が岩のように硬いものに触れたと気付く。
遺跡の開口部には鎖を限界まで伸ばして覗き見をするギャル人魚の姿、退屈していた彼女たちには水上のショーはよい余興となったらしい。
「どう……でしたか?」
「んー、ん~~……4.8。技術マジヤバだけど、もうちょっと表情ほしいな~」
「そーそー、演技は感情も大事だしさ。表情出にくいならアタシらでメイクしたげよか?」
「……遠慮します」
ぱちん。静かに響く鎖のはずれる音。人魚たち、どこで見たのか意外と目が肥えていたらしい。
大成功
🔵🔵🔵
アンゼリカ・レンブラント
マントを脱げば大体水着姿、問題ない
さぁ堪能しようか
サイドトライセップス
大胸筋をしっかりアピールしつつ海に飛び込む
ダイナミックに飛び込んだら
水泳の心得で恰好よくスイスイ人魚のほうに向かい救助しよう
所謂「ぎゃる」っぽ娘さん達が多いのかな
なら我が剣を恰好よく振るい恰好よく
繋がれているところを切ろうじゃないか
我が裁きの剣に断てぬ者なし……ってな?
救出した人魚を怪力を生かしお姫様だっこで避難させていくよ
所謂「いけめんムーヴ」だ
まあ全員彼氏がいるというしお互い女性、安心だろう
脱出の際罠が私に襲いくるかもしれないが
《クラッシュ成功!》でノーダメージ。
「大丈夫かい」と人魚に歯を光らせつつ呼びかけ避難を終えよう
|終焉を砕く者《エンドブレイカー》たれば、いつでも戦う準備はできている。何も文字通りの戦ばかりでなく、身体や心……筋肉においてもそう。
「ふ……マントを脱げば大体水着姿だ。問題ないな!」
腕を後ろ手に組み、アンゼリカ・レンブラント(黄金戦姫・f38980)は片脚をすらりと伸ばして上腕三頭筋を見せつける。水滴を弾く輝かしい玉肌、健全美。そして豊かな胸を盛り上げる大胸筋、何を食べどう気を付けたらメリハリがつくのか、世の悩める女性陣にご教授願いたい。
「さぁ、行こうか!」
飛び込む間際まで余念なくポージング、のち器械体操のように倒立を決めてダイブ。優れた姿勢故に水飛沫はかえって上がらず、脂肪の少ない肉体はすぐに海中にとぷんと潜り込む。
肉体を絞るのに全身運動の水泳は欠かせず、したがってアンゼリカはすぐに遺跡へと辿り着いた。中に囚われているのは退屈……もとい疲れ切った人魚たち、心なしか肌が焼けた子が多いようで、なんというか、その、遊んでるなこの娘ら。
「待たせたな、人魚たちよ。我が裁きの剣に断てぬものなし!」
創世の輝き放つ黄金のアックスソードの斧頭で、人魚を束縛する忌まわしき鎖を両断する。一瞬怯んだ人魚たちはすぐに自由の身になったと気付き、アンゼリカの元へ歩み寄る。
「あ……あんがと」
「うむ、無事ならいい! 一人ずつ助け出すから待っていろ!」
豪気に笑い、所謂お姫様抱っこで人魚たちを救い出す。人魚も自力で逃げられるのになぜか列を作って待つ始末、後に彼女たちは「だってこれ逃がしたら滅多にないし」と夢の国のアトラクション気分だったことを白状している。
残すところ数名となった時、遺跡に激震が走り、壁面ががらりと崩れ落ちる。同時に襲い来る唐突な吊り天井の罠を、アンゼリカはブリッジ体勢でしのぎ切る。
見事腹筋だけで崩落した天井を防ぎきったアンゼリカは振り返りざま、人魚に糸切り歯を見せていけめんスマイル。
「大丈夫かい」
「……あ、あーしは別に……」
トゥンク。とか聞こえたあなたは人魚サイドに立ちすぎているので気を付けよう。そも何故吊り天井、なぜ腹筋……と考えたあなた、常識人よりなのでどうぞそのままブラウザバックして。
やがて最後の人魚が救出されたのか、遺跡は全浮上エネルギーを失い海底へ消えていく。今日の騒ぎも一夜の夢、人魚も海も元の姿を思い出してこれからの日々を送ることだろう。
だが、光あるところ闇はあり。始まりがある限り、|終焉《おわり》もまたやってくる。
マスカレイドが滅び、仮にエリクシルが去ったとしても、大地に命が溢れる限りエンドブレイカーたちの戦いが終わることは決してないのだ。
いつか訪れる、見果てぬ夢の終わりまで……頑張れ、エンドブレイカー!!
●P.S.全ての勇気ある参加者へ
今回の依頼のギャラは出ないそうです。悲しきかなヴォランティーア。
大成功
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