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エンドブレイカーの戦い⑨〜戦場を征く

#エンドブレイカー! #エンドブレイカーの戦い #山斬烈槍ランスブルグ

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 巨人が、道を行く。
「オオオォ……オォオ……」
 咆哮とも、体の軋みともつかぬ声をあげ、腕を振り回す。振り回すと同時に、石で作られた家が砕け、その欠片が周囲に降り注いだ。
「きゃ……!」
「うわ……!」
 悲鳴が上がる。市街地にはまだ人が残っていた。母親は子供の手を取り、父親は妻と娘を守りながら必死に逃げる。
「オォォ……!!」
 だがしかし。そんな光景などお構いなしに巨人は腕をぐるぐると振り回されながら前進した。崩れ落ちる時計塔。行く当てなどないとでもいうように、家々を踏み潰し、破壊し、たださまようように、進む巨人。
「そこまでです!」
 そして、女王ジョナ一世の要請のもと、騎士たちが事態の収拾にあたっていた。
「カレン・フォステリー。引退した身なれど、故郷の危機と知り参上いたしました!」
 星霊グランスティードに騎乗し、現れた騎士たちの中で、一番年上の女性がそう声を張り上げる。背の高い、長い金髪の女性であった。30代ぐらいだろうか。真っ赤なドレスにハイヒールといういでたちでグランスティードにまたがり、炎の剣を構え声をあげる。
「皆さん、ここはもうだいじょうびゅ……っ!」
 噛んだ。大事なところで盛大に噛んだ。周囲の麾下の者たちが生暖かい目で彼女を見ている。彼女は一度、深呼吸をして。長い金髪をばつが悪そうに己の指先で弄んだ。
「と、とにかく! 私、ぶん殴るのは得意なんですけど、壊せるんでしょうか? あれ」
「わかりません! 矢が効いている気配はないのですが……」
「わかりました。とにかく殴ってみます!」
 周囲の者を破壊しながら、宛もなく行進する巨人を、彼女は追いかけた。
 巨人がこちらを向く。意思がないように見えるが、自分に向かってくるものをとらえることは出来るらしい。
 巨大な腕が振り下ろされる。周囲の地形を考えないそれは、手近にあった大木をなぎ倒しながら騎士たちへと向かっていった……。

「はっはっは。伯母上殿は幾つになっても壮健であらせられる。うむ、元気なのは善いことだ!」
 ベイゼル・フォステリー(紅蓮の天誓騎士・f39007)はなんだかご機嫌に笑っていた。
「とはいえ、元気だけでは乗り切れぬものもある! 此度の山斬烈槍ランスブルグに現われた巨人の敵は、どうやら「実験都市オペレッタグラン」とやらで創造されたものらしい」
 そこまで言って、ベイゼルはうん、と腕を組み何やら訳知り顔で一つ頷く。
「知っているかと思うが、このたびエンドブレイカーの世界は11の怪物とやらの襲撃を受けている。万能の魔神エリクシルを創造し、大地母神殿の殺害を目論む輩の一手というわけだ」
 無論、とベイゼルは話を続ける。
「ランスブルグは騎士の国だ。女王ジョナ一世の指揮のもと、この戦いに対しても奮闘していたのだが、どうにもやつら、恐ろしい一手を放ってきたようでな……」
 いわく。今回の敵は「実験都市オペレッタグラン」で万能の魔神エリクシルを素体とし、改造を施された「ほぼ無敵」の生き物であるらしい。
「普段の敵ならば、猟兵でないエンドブレイカーたちの攻撃では倒せないにしても、それなりにダメージは与えられるはずだ。だが、今回の敵は「ほぼ無敵」……。攻撃を通さないつくりとなっている」
 ほぼ。ベイゼルはそこを強調する。一呼吸置いたのち、ベイゼルは頷いた。
「しかしながら改造の反動で時間経過と共に肉体が崩壊していき、最後には自滅するという。故に、放っておけば自然と倒れる類の相手なのだが……今回は場所が悪かった。敵の巨人は、街を蹂躙しながら進んでいる」
 歩くだけで建物が壊れるので、それによる被害が深刻なのだとベイゼルはそう述べた。
「幸いに知能はさほどではないらしい。動くものを追撃してくる性質を持っているので、目の前をうろつき、耐えるのがベターだろう。ただし、移動するだけでそれなりに被害が出るし、敵の攻撃が全く届かない範囲まで逃げてしまうと、敵もまた貴殿らを追いかけるのをやめてしまう可能性がある」
 なので、攻撃を受けながら、周囲に気を配らなければいけない戦いになると、ベイゼルは告げた。
「周囲に騎士たちがいるから、上手く声をかけて使うことも可能だ。なるべく被害が出ぬように、頑張ってほしい」
 もちろん、貴殿らにもけががないようにな。と、ベイゼルはそう笑って、話を締めくくった。


ふじもりみきや
いつもお世話になり、ありがとうございます。
ふじもりみきやです。

=============================
プレイングボーナス:超生物の超攻撃に耐える/ひと気のない場所へ敵を誘導する
=============================

状況は大体ベイゼルが言った通り。
今回は、耐久戦+避難誘導です。
戦場は市街地です。人気のない路地とかあるけど、巨人が踏みつぶしちゃえば人気のある路地の方にも瓦礫が飛んでくるな、ぐらいのごみごみしたイメージです。
周囲には騎士がいて、声をかければよほど変でない限りは指示に従ってくれます。(必須ではありません)
POW等はフレーバーです。
プレイング募集期間はタグに記載します。


それでは、良い一日を。
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第1章 ボス戦 『金剛石の巨人』

POW   :    オオオォ……オォオ……
【巨体】を構える。発動中は攻撃できないが、正面からの全攻撃を【金剛石の体】で必ず防御し、【剛腕】で反撃できる。
SPD   :    ォォオオォオオ……
【全身から放つ光線】が命中した敵を【金剛石の体】で追撃する。また、敵のあらゆる攻撃を[金剛石の体]で受け止め[全身から放つ光線]で反撃する。
WIZ   :    ォォォォオオオオオォオオオオ
【体】が砕ける度に【より強固な体】に変身する。変身の度に自身の【防御力】と【反射装甲】の数と身長が2倍になり、負傷が回復する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は襞黄・蜜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と参加

自壊を待てばいいとはいえ
一般人への被害が出るのは許せない
この世界を破壊させないためにも
少しでも人々が避難し
少しでもこの巨人を人気のない方向へ誘導を
「時人!合わせて行くぞ!」

転送と同時に【戦文字「昇龍」】を使用
黒龍の背に乗ってすぐに巨人の目前へ
空を駆けながら街の状況も確認し
相棒にもハンドサインで向かう方向を伝える
「さぁ、気合入れて行くぞ!」

一般人の保護は騎士達と時人に任せ
俺は只管、巨人の攻撃を縫うように避けながら
絶対に人のいない方向への誘導を止めない
一人だけならこの攻防にも限界はあるかもしれないが
今は二人でだから、飛び続けられる
「こっちだ、うすのろ!」


葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と

被害は出させない
この世界は一度は悲劇を回避したはずだ
こんな暴虐で壊させてなるものか

相棒と同じUCを整えてあるし
戦場での同期飛翔も幾度もしている
だから長時間の足止めは、正に
「うってつけだからね!」

UC白燐武空翔詠唱
直ぐ荒々しく戦意満ちた大|白燐蟲《ククルカン》が
現出する
何時も通り首を叩き指示を
「今日は攻撃は抜きで、ただただヤツの前を飛び回って!」
一声大きく鳴いて軽やかに舞い上がる蟲に騎乗し
陸井と声を掛け合い連携しつつ全力で足止めを

万一誰か踏まれそうなら全速で急行しすくい上げ
騎士たちに預けよう
その時も即目の前に戻り絶対無視できない目の前で
飛び続け目移りなんかさせないよ!



「さぁ、その黒き身で空を駆けろ。昇龍」
 凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)が空中に文字を描く。「昇龍」。その文字を描いた瞬間、文字は速やかに墨で形成された黒龍へと変じた。
「時人」
 よし。
 作り出された墨の竜は確かな存在感をもってそこにある。陸井はそこに騎乗する。ちらりと隣を顧みると、
「輝けるその白き翼もて征け……ククルカン!」
 葛城・時人(光望護花・f35294)もまた、己が身の内から荒ぶる巨大な白燐蟲、ククルカンを召喚したところであった。
 時人もまたその白燐蟲に乗りながら、声に応えるよう隣を見る。……二人の目が合った。
「……」
「……」
 思わず、互いに無言。ほんの一瞬のことであった。
 そして一度、うなずき合い、彼らは天高く空へと舞い上がった。
 大きく白燐蟲がひと声、鳴く。軽やかな上昇が、闘いの合図であった。

 オォ……。オオオォォォォォォ……。
 戦場ではすでに巨人の蹂躙が始まっていた。
 咆哮と呼ぶにはどこかうつろな声を発する巨人が、石造りの町をただ歩いている。歩くだけで街が崩れていく。
「時人! 合わせて行くぞ!」
「ああ!」
 陸井が声をあげる。時人もまた声をあげてそれにこたえた。黒と白の二人は左右から巨人の前を飛行する。まるでその動きを誘導するように。
「こういうのも、俺たちにはうってつけだからね!」
「あぁ、気合入れて行くぞ!」
 時人が声をあげるころ、陸井も声をあげていた。上空を高速で飛び回っているため、旨く互いは互いの声は聞こえていない。動作の細かいところは主にハンドサインで行っている。そのはずなのに、なぜだか二人の会話はぴったりと合っていた。
「上空……避難が遅れてるな」
 一度。鬱陶しそうに腕をぶん回す巨人を回避して上空に上がった陸井が思わず呟く。
 自壊を待てばいいとはいえ、一般人への被害が出るのは許せない。
 護ること。それを大切にしてきた陸井は、たとえ自分と住む世界が違ってもその場所にいる人を守りたいと思ったのだ。
「この世界を……破壊なんてさせられないだろう」
 黒龍の背を叩く。黒竜は心得たとばかりに急降下した。
 同時に時人は天を仰ぐ。
「今日は攻撃は抜きで、ただただヤツの前を飛び回って!」
 そう頼んでいた白燐蟲を、陸井と挟むよう地面すれすれに飛ばしていたのだ。
「陸井……!」
 相棒の意図を察して、時人は思わず声をあげる。その瞬間、悲鳴が響き渡った。
「……!」
 母と娘が、巨人の足元にいる。転んで立てない母親を、必死で子供が手を引っ張っている。
「被害は……出させない! こんな暴虐で壊させてなるものか!」
 一度は平和を取り戻した世界を、もう一度壊すことなんてできない。叫ぶと同時に、時人は動いていた。白燐蟲を地面すれすれに低空飛行させる。
「捕まって……!」
「は、はい……!」
 身を乗り出して手を伸ばす。それに気づいて手を伸ばした母親の手を取り、子供ごと掬いあげる。
「オォォォォォ!!」
 巨人が咆哮する。足元の白燐蟲を煩わしく感じたのか。それとも、既に意志などなくたまたまなのか。巨人の足が時人の真上に迫る。そのままためらいなく、踏みつぶそうとして、
「こん、の……!」
 黒龍がその足に体当たりした。足の軌道が逸れる。衝撃で隣の民家が吹っ飛ぶ。降り注ぐ瓦礫を、時人は親子を抱えながら高速で避ける。
「こっちだ、うすのろ!」
 とにかく……人のいないところまで! 衝撃をものともせず、陸井はすぐさま巨人の正面に躍り出た。さすがにそれを、深いと認識したのだろう。巨人が陸井の方に意識を向ける。
「一人だけならこの攻防にも限界はあるかもしれないが……」
 振り下ろされる拳を紙一重で避け乍ら、陸井は再び巨人の頭上付近を飛行する。ちらりと一度、視線を地上の方に向ける。
「ごめん、こちらの二人の保護をお願いしていいよね?」
「はい、必ずや!」
「ありがとう……!」
 一方。時人は保護した母娘を騎士たちにひとまず預けて、会話もそこそこに再び上昇していった。何度も白燐蟲の首を叩き、細かく指示を出す。
「陸井、東だよ。そっちの方がさびれた地域みたい。……換わる」
「さすが時人。……了解だ」
 ハンドサインで会話をしながら、再び巨人の腕を紙一重で避けて陸井は時人と場所を後退し再び上昇した。
「目移りなんかさせないよ!」
 こっちだ。とばかりに時人が巨人の前を飛び回る。陸井が上昇して再び移動の確認をする。
「今は二人でだから、飛び続けられる」
 小さく、呟いた言葉は心から。
 頼もしい相棒の声に目を細めて、陸井は再び巨人の元へと戻るのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ソフィア・アンバーロン
引き続きエリクシルとのおいかけっこを楽しもう

呼び出した、シルヴィア(星霊スピカ)を胸に入れてと

通路上の破壊可能なオブジェクトは貫通攻撃で破壊して通るよ

どうせ、あれ(エリクシル)が破壊するだろうし

騎士団の人に人がいなくなって避難が完了してる領地を確認するよ。

エリクシルに呪殺弾を打って攻撃、エリクシルの注目を私にして囮になるよ

後は体力が続く限り猛ダッシュだよう
体の傷はシルヴィアにお願いして回復してもらうよ

エリクシルの興味が他に行かないように時々呪殺弾を撃ち込むのも忘れずにね

相手の攻撃は霊的防護(と幸運)で避けたり防いだりするよ。そう、運任せ!

まさにあれだよUDCアースでいうデスゲームって奴だね!



「……っ、と!」
 どぉん。
 目の前に拳が落ちた。
 拳と言っても、ソフィア・アンバーロン(虚ろな入れ物・f38968)の伸長と同じほどの大きさがあった。
 その余波で爆風とともに、砕かれた建物のがれきが飛び散る。
「うっわー……」
 思わず。目の上に手のひらをかざして、ソフィアは呆れたような声を発した。
 胸に入れていた星霊スピカ、シルヴィアが「大丈夫?」という目でソフィアを見る。
「だーいじょうぶ! 心配しなくても、平気平気!」
 当たらなければどうということもない! と拳を握りしめる声に気付いたように、
「オォ……」
 じろりと、巨人が、ソフィアを見た。
「おっと!」
 先ほどまで医師も知性もなさそうだった巨人が、一時ソフィアを獲物に定めたことを素早く察知し、ソフィアは走り出す。
「どけどけどけ~!」
 呪殺弾を打ち出して、周囲の建物を壊しながら(巨人に壊されるんだから、壊してもいいよね、と事前にちゃんと許可は取った)、ソフィアは一目散に逃げだすのであった。

 あとは、体力勝負である。
 うまくよけきれて、次の人にバトンタッチできればソフィアの勝ち。力尽きてうっかり転んだらソフィアの負け。
「せっかくのおいかけっこ、楽しもうよう」
 そんな風に走るソフィアの、目だけが微かに笑っていた。
「次は……こっち!」
 振り向きざまに杖を振るい、呪殺弾をを打ち込む。
「オォォォォォ……!」
 巨人が怒りの咆哮をあげる。拳がソフィアのすぐそこを掠めた。
「いった。ちょっと当たったよう……」
「!」
 直撃は避けたが爆風と共に飛んできた瓦礫にあたった。思わず声をあげた瞬間、シルヴィアがその傷口を確認して舐め、傷を癒す。
「わー。ありがとう~」
「♪」
 誉めて、とばかりに得意げな顔をするスピカに、思わずソフィアが声をあげた。……今更だが、ソフィアはシルヴィアが大好きなのだ。
「うーん。ある程度防御はしてるけど、なんていうか、……っ!」
 背後。お感がして飛びのく。巨大な足がすぐ後ろを踏み抜いた。背後から飛ぶ瓦礫を、さらに足蹴にして跳躍し、前へと進む。
「そう、運任せ! まさにあれだよUDCアースでいうデスゲームって奴だね!」
 本当に紙一重だった。どことなくその運任せを楽しんでいるようなソフィアの口調に、心配そうにシルヴィアがソフィアを見る。
「あっ。かわいい……!」
 その顔にやられた。と胸を抑えるソフィア。
 楽しい鬼ごっこは、もうしばらく続けられそうである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マウザー・ハイネン
…変わりませんね、カレン様。寧ろ安心します。
無敵の敵だろうとええ、何とかしますとも。

カレン様を守るように…いえ、戦友として共に戦います。
かつて誓いました通り馳せ参じました。
このランスブルグを派手に砕かせはしませんから。
下手に動かせないなら動きを鈍らせる事が重要でしょう。
UCの吹雪で巨人の四肢、関節を凍らせ物理的に動きを縛ります。
鈍れば攻撃も見切りやすい、注意して拳や踏みつけを躱しつつ砕かぬ程度に攻撃を加え注意を惹きつけますね。
…巨大化を防ぐため向こうが砕けそうな攻撃は避けます。
氷細剣突きたて直で冷やし足を凍らせたり、もし傷ついた仲間がいれば星霊スピカ召喚し癒やしましょう。

※アドリブ絡み等お任せ



 騎士たちが星霊に乗り駆けていく。
 その隣を、同じ速さで疾走する姿があった。
「……変わりませんね、カレン様。寧ろ安心します」
 マウザー・ハイネン(霧氷荊の冠・f38913)は騎士の一人。カレンに向かって語り掛ける。あら。とまたカレンも笑った。……今となっては見た目の年の差は激しいが、その瞬間、カレンも少女のように笑った。
「マウザーさんもお変わりなく。お元気そうで何よりです」
 踏み倒しにいらしたんですか? なんて、冗談めかしてカレンが言うと、
「無敵の敵だろうとええ、何とかしますとも。何せ、通った後は草一本生えないと言われた我々ですから」
 そうして、マウザーは騎士の礼を取る。
「マウザー・ハイネン。かつて誓いました通り馳せ参じました。行きましょう、カレン様。このランスブルグを派手に砕かせはしませんから」
「はい。よろしくお願いいたします」
 ふわりと笑ってカレンはそれにこたえる。それで一段、マウザーは走る速度を上げた。
 前方、足音を立てながら歩く巨人の姿がある。
 歩くだけで建物に影響が出てくるのは、もはや防ぎようはない。
 即座に、マウザーは視界を切り替える。
「……下手に動かせないなら動きを鈍らせる事が重要でしょう」
 アイスレイピアを振るう。吹雪が巨人に降り注ぐ。
「カレン様は」
「はい、正面からぶん殴ります!」
「ですよね」
 知ってた。という顔をマウザーはして、
「では挟み撃ちにしましょう。ある程度攻撃を分散させた方がよいかと」
「了解です!」
 行って、二手に分かれる。マウザーは巨人の背後からその傍らをすり抜けて、正面に出る。吹雪で足を鈍らせる巨人の足を、サラにアイスレイピアを突き立てて縛る。
「面倒ですね。砕けてもいけませんから……!」
 巨人の拳がうなる。足元をチクチクするマウザーを苛立たしげに巨体で叩き潰そうとする。
「遅いうえにその雑な動きにつかまる私ではありません」
 避ける。避けると同時にその腕にも氷の剣を突き刺した。
「えいっ。その隙に……!」
 カレンが背後からフレイムソードを振るう。ぐりん、と巨人は首を回す。どちらを先に攻撃すべきか悩んでいるようだ。
「カレン様、いざとなればスピカがいますから」
「あれ、マウザーさん、いつの間にスピカを?」
「まあ……いろいろあったのです、私も」
「そうですか。昔からマウザーさん、もふもふしたの好きでしたからね」
「……」
 微笑まれて、マウザーは軽く頬を掻く。そういう所昔から変わってない。そんなささやかな言葉に、なんとなく照れたのだ。
「カレン様のことも、昔からお慕いしておりましたよ」
「まあ、嬉しい。私もですよ」
 瓦礫降り注ぐ中、明るい会話が続く。
 厳しい戦場の中で、その時だけは。ぱっと花が咲いたかのようであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西条・霧華
「自壊を定められたと思えば、相手もまた被害者であるのかもしれません」

それでも私は、いえ…
だからこそ、私はあなたに誰も殺させはしません
それがあなたに示す私の、守護者の【覚悟】です

天誓騎士団の皆さんには逃げ遅れた方が居ないかの確認と避難誘導をお願いします

纏う【残像】と【フェイント】で巨人を眩惑しつつ、【斬撃波】を用いて人のいない方へと【おびき寄せ】ます

敵の攻撃は高めた【集中力】と【視力】を以て【見切り】、【残像】と【フェイント】を交え回避
避け切れないと判断した時は【オーラ防御】と【覚悟】を重ねた『無名・後の先』を以て受け止めます
何れの場合も【カウンター】を狙い、私への敵意が途切れない様に注意します


紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
藍ちゃんくん、藍ドルでっすのでー!
目を引くのは得意なのでっすよー?
というわけで歌って踊って付かず離れず藍ちゃんくんの方におびき寄せちゃいましょう!
街の人々ももう大丈夫なのでっす!
この街は既に藍ちゃんくんのステージでっすのでー!
破壊行為などというライブにそぐわぬ行いは弱体化待ったなしなのでっすよー!
ですからどうか、皆様、お見送りを!
騎士の皆様は警備員のお勤めお疲れ様なのでっすということで!
皆々様の花道を歩いて藍ちゃんくん、巨人さんを人気のない所まで誘導しちゃうのでっす!
藍ちゃんくんのプライベートライブ、時間いっぱい楽しんでくださいなのでっすよー!



 西条・霧華(幻想のリナリア・f03198)は走っていた。
 思えば、いつも走っているかもしれない……。そんな益体のないことを霧華は思う。
 翼持たない彼女はいつだって、己の足で前に進んでいかなければならないからだ。
(「自壊を定められたと思えば、相手もまた被害者であるのかもしれません」)
 だから。
 あてもなくさまよう巨人に、霧華はそんなことを思うのだろうか。
 霧華は一度、深呼吸する。……もう一歩踏み込めば、巨人の間合いに入る。
 そう思って、地を蹴ろうとした。……その時、
「藍ちゃんくんでっすよー!」
 すさまじい大音響が、周囲に響き渡った。
「藍ちゃんくん、おん、ステージ、始まるよー!!」
「え……!?」
 目の前で、声をあげた少女……いや、少年(?)、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)の姿に、霧華は思わず瞬きをした。
「大変! あなた、危ないですよ……!?」
「藍ドルでっすのでー! 目を引くのは得意なのでっすよー?」
 あいどる。霧華は口の中でその言葉を転がす。
 だがどうやら藍が自分と同じ猟兵であるということは理解した。霧華は素早く思考を切り替え、己の刀を握りなおす。
「わかりました。では協力して、敵を誘導しましょう」
「は~い。歌って踊れる藍ちゃんくんにお任せ~!」
「退避先に宛はありますか? なければ……」
「うん、臨時マネージャーさんにお任せしちゃうでっすよー!」
 目の前を手を振りながら歩く藍。
 こっちです。と霧華はそれ以上のコメントは差し控えて先行する。
「街の人々ももう大丈夫なのでっす! この街は既に藍ちゃんくんのステージでっすのでー! ひゃー! 応援ありがとうでっすー!」
「! 危ない!」
 さすがに攻撃圏内に歩く二人に気を取られたのであろう。ふらりと巨人は二人の方へと向きを変える。……すでに藍の能力は発動していた。藍の周囲はすでに『藍のライヴ会場』としての特性を持っていたのである。それはライヴをするという行為以外を弱体化するというものであったが……、
「……っ!」
「ひゃー!」
 無言で、霧華が藍と巨人の前に飛び出す。オーラで包み、強化した愛刀・籠釣瓶妙法村正でそれを受けた。
 あらゆる攻撃に無敵となるとされるこの技でさえ。拳を受け止めることによる衝撃で、前進に痛みが走る。
「さーっすが、無敵の巨人さんっすね!」
 「まあ効かなくとも藍ちゃんくんは歌って踊り続けるつもりでっすけど!」と、藍は笑顔のままで巨人を見上げる。……たとえ全く通用しなくとも、ライヴを放り出して逃げたりしない。そんな顔をしていた。霧華はふるふると首を横に振る。
「っ、え、ええ。……でも、作用しないわけじゃありません」
 ぎりぎりと刀を押し返す霧華。まったく聞かないのであれば、既にこの腕は折れていただろう。きちんと弱体化され、そしてその防御で押し返している……、
「……ですから、続けてください」
 故に霧華は、刀で弾いて即座に後退した。拳が地面にのめりこみ、瓦礫を飛ばす……はずが、巨人の拳は強く地面を叩いただけにとどまっている。
「りょ!」
 その様子に、きゅぴっ、と藍は可愛くポーズを決めて頷いた。
「藍ちゃんくんのお仕事は~。歌って踊ってみんなを幸せにすることでっす! あっ、騎士の皆様は警備員のお勤めお疲れ様なのでっす!」
 巨人の気配を感じて駆けてきた騎士たちにも、藍はくるりんと回ってポーズを決める。
「ではではこれより皆々様の花道を歩いて藍ちゃんくん、巨人さんを人気のない所まで誘導しちゃうのでっす! 藍ちゃんくんのプライベートライブ、時間いっぱい楽しんでくださいなのでっすよー!」
 「ですからどうか、皆様、お見送りを!」そう言いながら、徐々に徐々に、移動していく。勿論向かうは人気のない方向だ。
「天誓騎士団の皆さんには逃げ遅れた方が居ないかの確認と避難誘導をお願いします」
 霧華もじりじりと藍に合わせて後退しながら声をあげる。相変わらず、敵は弱まったとしても腕を振り回し、二人を踏み潰そうと進んでいく。それを間断なく霧華が止め、守り、そして時には反撃を行う。
「オォォォォォォ!」
「おー! ナイスな声援ありがとでっす!」
 咆哮すら声援に変えて歌って踊る藍を霧華はちらりと見やる。
 それから、それでもなお動き方を変えられずにさまよう巨人に視線を移す。
「それでも私は、いえ……」
 その、生き方を変えられない姿がなんとも言えなくて。霧華は思わずつぶやいた。
「だからこそ、私はあなたに誰も殺させはしません。……それがあなたに示す私の、守護者の覚悟です」
 そうして、ふと。
「それから……臨時マネージャーの覚悟でもあります」
 そんなことを呟いて、微笑むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
ごめんなさい騎士さん達!
仕込みの間だけでも時間稼ぎお願いできると助かります!

いつでも攻撃回避、死角に回れるよう空中戦
激痛耐性を乗せたオーラ防御を纏い
催眠術を乗せた歌唱をマイクで拡声しながら彩音発動
音量分巨大になった歌詞(物理文字)と
メロディライン(五線譜のロープ)をそれぞれ操りつつ
歌い続けて共に量産
聴覚はあるかな…
運良く催眠術が効けば足止めにもなるかも

文字を敵の目の前で素早く動かし注意を引く誘惑と同時に
時折ロープで縛り苛々で集中力を奪う
光線も文字の陰に入り回避
興味が逸れたら死角から高速詠唱で紡いだ植物魔法の属性、範囲攻撃
花弁の嵐で一瞬(暴れまわらない程度に)視界を奪い
気を引いて再度文字攻撃



「うわー」
 おっきい。思わずそんな素直な感想が漏れて、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)ははっ、とした。
「ごめんなさい騎士さん達! 仕込みの間だけでも時間稼ぎお願いできると助かります!」
 いけないいけない。頑張らなくちゃ。
 澪は翼をはばたかせて速度を上げる。すり抜けざまに騎士に声をかけると、お任せください! という頼もしい声が返った。
「今のうちに……」
 高く、上空を飛ぶ。騎士たちが巨人に攻撃を仕掛け、意識を引き付けている間に、澪はまずオーラの防御を全身にいきわたらせた。激痛にも耐えれるよう、深呼吸。
 そしてマイクを両手に握りしめると、
「教えてあげる。世界に溢れる鮮やかな音!」
 澪は歌を歌い始めた。歌と同時に、文字通りそのまま、巨大な歌詞とメロディラインを現す五線譜のロープを作り出す。
「これを……このまま……聴覚はあるかな……?」
 催眠術を折り曲げて作りあげたそれを、いくつもいくつも空中に並べて澪は一人ごちる。
 少し観察すると、意思がなさそうなので意味は解していないだろうが、音として拾って入るだろう、という結論に達した。
「……じゃあ、そこは運任せってことで……お待たせだよー!!」
 頭上から、澪が叫んだ。その言葉と同時に、ぱっ。と騎士たちが道を開ける。
「えいえいえいえいえいえいえい!」
 作り出した文字を、次々に巨人に向かって投げつけていく。
「オォ……オ……?」
 目の前に飛び回るその文字を、巨人は反射的に追った。足を止めて、腕を振り回す。……効いている。
「!!」
「ひゃっ!!」
 飛び回る文字たちに苛立ったのか。巨人が全身から光線を放つ。それを文字を盾に回避して、澪はどんどん文字を動かした。同時に己は、少しでも動きを封じようとロープを投げつける。
「こっちだって……負けてないんだよ!」
 文字を遮蔽に取り、澪は花弁を魔法で作り出す。顔面目掛けて花吹雪をぶつければ、忌々しげに巨人は腕を振り回そうとした。上手く行かずもどかしげに暴れる巨人に、
「おっきくても……僕だって負けてないんだからね!」
 澪は手を緩めることなく、攻撃を続けるのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レオンハルト・シャルラッハロート
絡み/アドリブ共に可

ヴァルター(f40571)と共に行動

ボクはランスブルグの一領主だ。故郷の危機は看過できない。
ボクらも参戦させてもらおう。

戦場に転送したら、まず騎士達に自分の身の内を明かし、
冒頭の思いを伝えて自分も協力すると伝えます。
(この時にヴァルターに命令。「(騎士達と共に)救助活動に専念してくれ」)

「忌まわしき巨人が-これ以上好きにはさせない!」
その後にUC発動し、挑発を交えつつ敵の攻撃を一身に受ける。
「-鈍い!貴様如きの攻撃で我が守りは打ち崩せん!」
(フェニックスとグリフォンで死角を警戒)
敵が自壊するまで耐え続ける。

敵が倒れたら兜を脱いで一礼し、余裕があれば復旧作業に手を貸します。


ヴァルター・シュヴァルツェ
絡み/アドリブ共に可

レオンハルト(f38951)と共に行動

レオンハルトの命令を受諾しUC発動。
「-どうかご武運を」<主から離れる前に
その後は『全技能レベル100』状態である事を活用。

若君様の事が気掛かりですが…主の命令とあらば。

まずは周囲の地形を把握し、避難地までの道筋を検索。
騎士達に呼びかけながら避難誘導に徹しましょう。
自力で避難できない人を見かけたら私めが手を貸しますね。
「ご安心を。猟兵が来たからにはもう心配はいりませんよ」

避難誘導が完了したなら、主人が戦っている所へ引き返します。
直接戦闘には参加しませんが、敵が主人の死角を狙ったらそれを阻止するために飛び入ります。
「若君様、ご無事ですか」



「ボクはランスブルグの一領主だ。故郷の危機は看過できない。ボクらも参戦させてもらいたい」
「まあ! ともにランスブルグのために戦っていただけること、有り難く思います。よろしくお願いいたしますわ!」
 レオンハルト・シャルラッハロート(不死鳥の天誓騎士・f38951)はまずは己の実の内を周辺で事態の収拾にあたる騎士たちに明かし、その思いと協力する旨を伝えた。
 もちろん、騎士たちに否があるはずもない。歓迎する騎士たちと手早く敵や周囲の地形等の情報交換を行い、話がひと段落ついたところでレオンハルトを振り返る。
「ヴァルター。巨人のことは任せて、救助活動に専念してくれ」
 言われて、ヴァルター・シュヴァルツェ(シャルラッハロート家の執事・f40571)は瞬きをする。
「若君様の事が気掛かりですが……」
 シャルラッハロート家の執事としては、レオンハルトの言葉は「やはり」と思わなくもない。そういうと思った。それと心配しない、ということは話は別だが……、
「主の命令とあらば。」
 だが、良い執事とは主君に忠実なものだ。ヴァルターは胸に手を宛てて一礼する。それと同時に具現化された闇がヴァルターを取り巻いた。……彼の、命令を忠実に守るという意思の表れである。だというのにレオンハルトは思わず声をあげて笑った。
「そんな顔をしないでくれ。大丈夫、無茶をするつもりはないから」
「――どうかご武運を」
 信じてくれた隠れなかったかはわからない。ヴァルターは完璧な無表情で一礼し、レオンハルトは片手を挙げて軽く手を振って走り出す。
「さて……」
 探さなくともわかる。街を破壊しつくす巨人が目の前にいた。即座にレオンハルトの身が紅い霧に包まれる。……創造神の紅い霧。敵から身を護るためのものである。
「忌まわしき巨人が――これ以上好きにはさせない!」
「オォォォォオオオオ……!」
 レオンハルトの声をかき消すように、巨人は咆哮する。どこか意志を感じさせない空虚な声に、負けじとレオンハルトは声を張り上げた。
「いざ……参る!」

 戦いが始まった。
 派手な音を聞いてヴァルターはそう思った。
 まずは周囲の地形を把握し、巨人の進路を見る。
「どうにも、足止めしても進んでいくようで……。いえ、宛はなさそうなんですけど」
「わかりました。では、なるべく人の少ない方に誘導し、避難を……」
 避難に適した場所。それまでの道筋。そんなこまごまとしたことを相談する。
 そして実際に動き出す。ヴァルターの手際は恐ろしく、良かった。
「そこのご婦人。私めが手を貸しますね」
 最後に、避難民の中で足の不自由な人を助けて、ヴァルターの仕事はひとまず終了した。
「ご安心を。猟兵が来たからにはもう心配はいりませんよ」
 声をかけるのもそこそこである。最後まで完璧な働きを見せ、そして完璧な礼を見せ、表情を全く変えず、しかしながら全速力で彼は戦場に向かう……、

 ギィィッ! と、金属と石がぶつかるような音がした。
 体が揺れる。攻撃は完全に防いだが、その衝撃だけでも腕がもって行かれそうになった。
「――鈍い! 貴様如きの攻撃で我が守りは打ち崩せん!」
 だが。紅い霧を纏った盾で拳を受け、なお押し返しながらラインハルトが叫ぶ。
「オォォォォォ……!」
「ああ。たまにはいい声を出すじゃないか……!」
 もう一撃。さすがにラインハルトに苛立ったのか。次いでの咆哮は力がこもっている気がした。ふみだし、踏みつぶそうとするその足を、ラインハルトは盾と全身で押し返す。
「く……っ。転ばせたら、さすがにまずいか……!」
 これは押し返して転倒させてもまずい。いやラインハルトと巨人には何の痛痒もないかもしれないが、周囲の被害がまずい。死角を警戒しているフレイムソードにやどるフェニックスや、黒い体表のグリフォンも心配そうに主人と巨人を見上げている。
「若君様、ご無事ですか」
「いいところに……! この辺りはもう大丈夫なのか?」
「はい。周囲には人はいません」
「よかった!」
 いうや否や、ラインハルトは盾で巨人を押し返す。バランスを崩して転倒する巨人は、
「なるほど。少し体が欠けている気がします」
「そうか……先は長そうだな!」
「死角はお守りいたしましょう。今しばし」
「ああ! もちろん、諦めるわけにはいかないさ!」
 派手に瓦礫をまき散らしながら、立ち上がろうとする敵をラインハルトは強く、見つめるのであった。

 なお、戦闘後。
 敵が倒れたら兜を脱いで一礼し、復旧作業を手伝ったラインハルトは、少し疲れた顔をしていたけれども……どこか晴れやかな表情をしていたという。
 そしてそれを勿論完璧に手伝ったヴァルターは、助けたおばあちゃんから花を貰っていたのはまた、別の話。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
万能の魔神だかなんだか知らないが、無敵の生命体を量産されてはたまったもんじゃないというか……
だが、文句を言った所で敵が存在する事は変わらない。どうにか凌いでいくとしよう

利剣を抜いて、一足一刀の間合いで敵と相対
注意を引き付ける必要もあるし、様子を見ながら一度は切りかかっていく。関節部など比較的脆い筈の場所を狙ってみるが、やはり無理か

そうと分かればあとは耐久。回避と刀で受け流して時間を稼ぐ。
相手の攻撃がどれほど強力であっても、受け流す事だけに注力すれば凌げるだろう

時間を稼いで肉体が崩壊していけば攻撃が通じるようになるかもしれないが、欲を出す必要はないだろう
最後まで確実に時間を稼ぐのみだ


イウェイン・マクリエンス
<アドリブ/連携歓迎>

これはまたずいぶんなデカブツだな……

天槍騎士団の面々には、周囲に取り残された者がいないかなどを確認、
避難誘導を行ってもらうよう助言しておこう。

敵に対しては、足にわざと目立つように剣を振るう、
軽業の身のこなしを利用して動き回る、
などで存在感を示しながら、出来るだけ人気の少ないところへ移動する
ように陽動を行う。

踏み潰しなど超重攻撃に対しては全力でダッシュし
直撃しないように躱しつつ、UCを展開。
オーラの城壁で衝撃を軽減しつつ、俺自身は突進して飛散する
石やら木の欠片やらを出来るだけ食い止めるとする。
周囲の猟兵や天槍騎士団員にそれらが飛ぶ場合は、
優先してカバーリングを行う。



「これはまたずいぶんなデカブツだな……」
 思わず出たイウェイン・マクリエンス(騎獅哮牙・f39049)の呟きに、腕を組んで夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)もうん、と大きく頷いた。
「万能の魔神だかなんだか知らないが、無敵の生命体を量産されてはたまったもんじゃないというか……」
「これが量産されて同じ戦場に投げ込まれたりなどしたら、ぞっとするな」
「……うわ。それは笑えないだろう」
 冗談でもなく割と本気で言ったイウェインの言葉に、鏡介は両手で己の両腕を軽くこする。想像したら、割と洒落になりそうにない雰囲気だった。
「ま、文句を言った所で敵が存在する事は変わらない。どうにか凌いでいくとしよう」
「ああ」
 気分を変えるように言う鏡介に、小さくイウェインは頷く。そのまま戦場を走る騎士たちに声をかけに行ったのは、周囲に取り残されたものがいないかなどの情報を確認するためだった。
「東だな。……西の方に、年寄りが多く住む区画があるらしい。動けぬものが多いので、避難が遅れているようだ」
「あー。なら確かに誘導は東だな。了かい」
「ああ。こちらが陽動に回ると伝えたから、避難を優先してくれるだろうが、念のため反対側に誘導した方がいいだろう」
「うん、それじゃあ……」
「ああ。行くか」
 二人して顔を見合わせ、一度頷く。
 そんな二人の会話を知ってか知らずか、巨人が咆哮をあげた。

「さて、それじゃあ……」
 一手。淡紅色に輝く破魔の力を宿す刀を構えて、鏡介は目を細めた。
 澄んだ音が響く。聞かないと事前に話は聞いていても、自ら確かめるのが鏡介である。呼吸を整え、跳躍。腕の関節らしきものの場所に刀を振り落とし……。そして音を立てて弾かれた。
「やはり無理か」
 わかっていたことだ。即座に鏡介が飛びのく。その瞬間、鏡介がいた空中を、すさまじい速さで拳が通り抜けた。
「では……これでどうだ!」
 同時に、叫ぶと共にイウェインが突進する。オーラの城壁を展開しながら、騎獅剣“断蛇”を構え、
「これぞ攻防一体、騎獅の城壁だ。止められるか?」
 気合の声とともに、巨人に突進した。
「オォォォォ!」
 巨人が揺れる。押す力にわずかに体を揺らしたが、傷ひとつ付けられない。構わずイウェインは剣を振るう。
「こちらだ!」
「こっちも、疎かにはできないだろう?」
 わざと大きな音を立てて、巨人に突進するイウェイン。そのたびに大地が揺れる。
 同時に、鏡介は変幻自在に巨人の眼前と飛び回る。巨人の動きに合わせて敵の腕を回避し、
「このまま……出来るだけ人気の少ないところへ移動する」
「りょうか……おっと」
 ぶんっ。振られた拳をぎりぎりで避けて、鏡介は頷く。
「相手の攻撃がどれほど強力であっても、受け流す事だけに注力すれば凌げるだろう」
「ああ!」
 欲を出す必要はない、という鏡介に、応えてイウェインは頷く。……と、
「オォォォォォォォォ!」
「……っ!」
 突然、巨人が咆哮を発した。腕を振り回しながら、イウェインを踏み潰そうとその足が下ろされる。
「これしき……!」
 受けることもできた。けれども受ければ巨人自体がバランスを崩して倒れかねない。……そうすれば周囲に影響が出る。
「この騎獅の爪牙、悲しみを引き裂こう。人々の暮らしを、守ってみせる……!」
 誰かが住み、暮らした家だ。無暗に壊したくはない。イウェインはぎりぎりで飛びのく。巨人の足が鼻先に落ちる。飛び散る瓦礫に、イウェインは走った。突進を利用して、己から瓦礫にあたり飛び散る瓦礫の勢いを吸収する。
「こっちだ!」
 鏡介が巨人の鼻先にひらりと現れる。不愉快そうに、まるでかでも潰すように払われたそれを、鏡介はさっと避ける。さらに不愉快そうになる巨人に、
「……なかなか厳しいけど、あとは耐久だ。時間を稼ごう」
 鏡介は静かに言った。それしかない。イウェインも頷いた。
「ああ。いくらでも。……根競べは嫌いじゃない」
「頼もしいな。……俺もだ」
 イウェインの言葉に、鏡介もわずかに頷く。
 巨人の咆哮が響く。戦いは……まだ少し、続きそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロービス・ノイシュタット
金剛石かぁ…
勿体無い使い方するなぁ
世界、都市、命――
連中つくづく、大事だとか価値ってモンが解って無いらしい

やって来た側が、既に壊されてるし
避難もより進んでると思う…けど
他の味方の方針に反するなら、避難者が少ない方や、味方が多い方へ向かう
騎士の皆へは…
攻防に集中すると、避ける以外の避難誘導の手段が取り難くなってしまうから
出来れば、彼らを護って欲しい

敵の視界内とくれば
光線…は、体の輝きや事前の行動から兆候を見切り
飛来物は、踏んだ角度から推測して
天賦の才に軽技も活かして、回避したいし
足元など死角を取れれば攻撃、意識を引き付け続けたい
味方が近くに居ればタイミング合わせも

偽りの宝石など
とっとと塵に還なよ


ルシエラ・アクアリンド
求めれれば何かを失うのが大抵で
完全というのは難しいと思う
其処まで考え及ばぬ方法を取った時点で多分勝敗は分かれたのだと思う。


要するに付かず離れずの距離で対処しなければってところかな?
ならばその範囲ぎりぎりを見切り、自前の身軽さと空中機動を生かし対応

UCを使用し敵の動きを阻害しつつ同時に周りの人の回復支援を行なう
立て続けに弓で不意打ちや矢弾の雨を降らせ此方に有利な位置取りを。
攻撃の気配には気を付け避けてゆきつつ回復は風任せ
必要あらば援護射撃で味方の援護にも心配りを

結界で辺りを護りつつ避難誘導を
誰かが引きつけている様なら誘導優先で
出来る限り歩きやすく且つ最短ルートを探し
もう大丈夫と安心させながら誘導



「金剛石かぁ……勿体無い使い方するなぁ」
 思わず、というようなクロービス・ノイシュタット(魔法剣士・f39096)の呟きに、ルシエラ・アクアリンド(蒼穹・f38959)はちらりとそちらに目を向けた。
「世界、都市、命――。連中つくづく、大事だとか価値ってモンが解って無いらしい」
「ああ……そうだね。不思議なことに、価値観が違うのじゃないかな」
 不思議なのは、どうしてそんな風に違ってしまうのかだと、そんな思いが二人の胸をよぎる。
 目の前の巨人は、既に自壊が始まっていた。ボロボロと体の一部が崩れ、それがまた地面に落ち、被害を増やしている。
「求めれれば何かを失うのが大抵で……完全というのは難しいと思う。其処まで考え及ばぬ方法を取った時点で多分勝敗は分かれたのだと思う。それと同じ。……考えが、及ばない。……そういうことだろうね」
「そっか。じゃあ……」
 呟いて、ふらりと。
 クロービスは一歩、踏み出した。
「なるべく北側の方が迷惑は掛からないかな?」
「そうかもしれない」
 クロービスの提案に、ルシエラは頷く。しかしふと、
「でもなんというか、破壊したい気持ちとかがあるならやっぱり建物があるほうに行くのかな……とも思わなくもないよね」
「……あ、そうかも」
 二人は顔を見合わせる。そして、
「「まあ、やってみようか」」
 声がそろった。もう一度二人顔を見合わせて、小さく頷いた。

 クロービスとルシエラは巨人の目の前に踊り出る。
「オォ……オォォォォォォ!?」
 最早体の半分ほど崩れている巨人が、それでもかろうじて残った腕を振り上げた。
「……っ、こっちだ!」
 たたき落とされる。拳は民家に叩きつけられ、巨人の腕の破片とともに瓦礫が四方へと飛び散った。
「そのまま……後ろだよっ」
 わかるだろうか。ルシエラがひらりとその眼前をかける。クロービスはほんの少し遅れて、もうちょっとで手が届きそう、とでもいうような風体で巨人の前を駆けた。
「オォォ!!!」
 咆哮。方向とともにぐるりと巨人は巨体を方向転換する。想定よりも早く動いたのは、体が削がれて重量が減っているからだろうか。クロービスは目を眇め、敵の動きのシミュレーションを修正する。
「こっち……だよ!」
 踏みつけ攻撃を紙一重で避ける。避けると同時に敵が意識を逸らさぬようにその足にアイスレイピアを突き立てる。
「どうか力を貸して頂戴ね」
 ルシエラは小さくつぶやいて、蒼い空間の檻を周囲に作り出した。涼やかな風が吹き、辺り一帯に癒しを与えていく。
「……あなたには、あげられないけれど」
 そして同時に、己は弓を射った。クロービスと合わせて、攻撃を重ねていく。
……咆哮。それは断末魔に似ていた。自壊は、近いのだろう。
「誘導、効きそうだよ」
「ああ。そのまま……」
 後ろに誘導して倒そう。言いかけて、ルシエラは固まった。
 クロービスもそちらに目をやり、思わず目を見開く。
「……俺がひきつける」
「任せたよ!」
 すぐ近く。瓦礫を必死にかき分けている子供の姿が目に入った。何か、壊れてしまった自分の家で、大事なものを探しているような……、
「君!」
「出来れば、君たちも避難者を護って欲しい。いったん避難した人が戻ってくる人がいないか、気を付けて」
「わかりました!」
 ルシエラが走る。クロービスも即座に声を張り上げて、周辺で警戒している騎士たちに声をかける。
「こ……の!」
 そんな彼らに構わず、巨人はその巨体を振り回す。少し後退したため、建造物はないけれど、瓦礫がさらに砕かれて細かくなって周囲に飛び散った。……小さい分だけましだと、思う。
 ルシエラは走る。クロービスが敵を足止めしている間にかけ、瓦礫をほる少女を問答無用で抱き上げる。
「おかあ、さん、の……!」
「大丈夫よ。後で、一緒に探してあげる」
「ほんと?」
「うん、本当。安心して」
 できればすぐにでも手伝いたいが、状況が許さない。ルシエラの言葉に、少女は約束、と小さく頷いた。それを聞き届けて、ルシエラは駆ける。
「まったく」
 それを背中で見送り、クロービスは目を細めた。言葉は、もはや崩れ落ちそうになっている巨人に向けて。
「偽りの宝石など……とっとと塵に還なよ」
 その言葉が……聞こえたわけではないだろうけれど。
 巨人の体が、ひび割れた音を立てて真っ二つに、割れた。
 そして……、
「どうやら……追撃は必要ないようだね」
 つんつん。まき散らされた破片をつついて、ルシエラがそう言った。「崩れる時は一瞬だったねえ」なんて。クロービスは足元に転がった石を手に取る。
「あ」
 そして言葉通り。その石もさらさらと塵になって消えていく。
 あとにはただ、瓦礫と化した街のみが残された。
「……どうせなら、後片付けもしていってほしかったよね」
 思わずつぶやくクロービス。それにルシエラはほんの少し、笑うのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年09月09日


挿絵イラスト