夏休み。それは行楽の季節。日向・向日葵（オラトリオの迷い人・f40855）もそれを満喫すべく外に出ようとしていた。
もちろん一人で楽しみたいなら勝手に出ればいいだけの話。だが、彼女にはこの夏をともに楽しみたい相手がいたのだ。
「ぐーちゃん、たまには外に出ないと」
「めんどくせぇっす。金かかるし」
同居人であるドワーフの少女。猟兵でない上ダウナーで守銭奴な彼女を何とか強引に外に連れ出し、
戦闘時は肌色のフィルムスーツを着る向日葵だが、今日その豊満な体に纏うのは一般的な服。同居人も『仕事』用の特徴的な服ではなく幼い少女向けの服を無理矢理着せていた。
その状態で、彼女と楽しみたい店に引っ張り込んで色々試してみるが。
「他にも可愛い洋服とかあるよ？」
「仕事以外で余計なもん着たくないっす」
仕事で他人に見せる以外は『普段着』以外は必要ないと言い。
「荷物重いから宅配お願いしよっか」
「力強い方なんであっしが持つっす」
配達にかかる送料を惜しみ、ドワーフ特有の小柄な体に秘められた筋力を使って持ち上げてしまい。
「おしゃれなカフェで休憩しよう？」
「水でいいっす」
休憩しようとカフェに連れ込めばなるべく金を使わないようにする。
そう言う性格だと分かってはいるが、なかなか財布の紐の緩まない相手に向日葵も少し焦れてしまうのは仕方ないところであった。
「せっかくの夏休みなんだしもうちょっとお金使ってもいいんじゃない？」
カフェの席でそう言ってみると、相手は少し考えて答える。
「いや、でも猟兵でしたっけ？ 向日葵さんまためんどくさい仕事始めたみたいだし、あっしだけ遊んでらんねぇっすよ」
この夏から、異世界まで戦いの場の広がった向日葵。それに対し彼女の方はその力に目覚めることもないし己の戦いは終わっている故に、もう積極的に戦場に出ることもない。それに気を使っているのかと思い当たった向日葵だが、それならばと自分の意見も伝える。
「でもそれなら、一緒に遊んでくれた方が僕は嬉しいなぁ」
「そうっすか、それなら」
向日葵の飲んでいたグラスにストローを入れ、同じドリンクを二人で飲むような形に。
「こうやって楽しんで貰えりゃ幸いっす。あ、貰ったんでここの支払いはあっしが出してあげますよ」
つり目の幼い顔でニヤッと笑う少女。
「ぐーちゃん、大好き！」
その少女を、向日葵は豊かな体で包むよう抱きしめ夏の楽しみにするのであった。
成功
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