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エンドブレイカーの戦い⑧~奈落に花咲く

#エンドブレイカー! #エンドブレイカーの戦い #霊峰天舞アマツカグラ

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●咲くや大輪、宴の彩
 エンドブレイカー世界に、8柱の怪物が押し寄せてきている。
 世界を終わらせるための襲撃の最中ではあるが、いつだって、世界は絶望だけを見せてはいない。
「『奈落』と呼ばれる場所で、宴会が行われているそうです」
 かつて大魔女に支配されこの地に封じられていた人類の魔女、『此華咲夜若津姫』。
 いまはもう亡くなってしまった存在である彼女へ捧げる、慰霊の宴だ。
「『ぼうや達』への慈愛の残るこの地で、猟兵達の元気な姿を見せることが目的です。それによって、何らかの加護が得られる……と、予知できていまして」
 曖昧な話だが、今後の戦いが有利になるのならば、それに乗らない手はない。
 すでに奈落の一角に、都市国家『霊峰アマツ』の人々によって、様々な食べ物や飲み物の屋台が並べられている。
 雰囲気としては縁日に近く、気軽に食べ歩けるような串物、片手で食べられるような甘味といった品が多い。
 勿論腰を落ち着けて飲食できる場所もあり、その付近ともなれば汁物や鉄板焼系の食べ物も並んでいる。
 甘い果実酒や、風味が同じ果実ジュースも取り揃えられているので、未成年から大人まで、楽しく騒げることだろう。
「あと、これは同僚に聞いた噂なんですが……」
 興味深そうな顔をして、ルクアスは楽しげに語る。
「宴会場となっている屋台街のどこかに、変わった味のかき氷が楽しめる足湯があるらしいですよ」
 変わった味、とは。
 首を傾げる者の疑問に応えるのは、にっこりとした満面の笑み。
「雑草味だそうです。決して美味しくはないですけど、愉快な思い出としては丁度良いかもしれませんよ」
 面白い味でした、と告げるルクアスは好奇心のままに食べたのだろう。
 幸い、口直しになる美味はたくさんあるのだから。気軽に挑戦してみて欲しいと笑顔が見送った。


里音
 奈落で宴会って聞くとしみじみした気持ちになる里音です。
 日常章のみ、のんびりシナリオです。

 当シナリオでは宴会に参加し盛り上がることでプレイングボーナスが得られます。
 楽しく飲み食いして頂くだけで大丈夫です。
 食べ物のご指定はそれっぽいものをチョイスしていただければだいたいあると思います。
 また、ちょっとした愉快な思い出づくりとして変わった味のかき氷が楽しめる足湯がご用意されております。
 おまけ程度の要素なのでお試しもスルーもお気軽に。

 日常章なのでルクアスを始めとする里音のNPCにお声がけ頂いた場合、少しお顔を出すことも可能です。

 OP公開後、【9/3の8:31~】プレイングを受付開始します。オーバーロードの場合はいつでも問題ありません。
 全採用はお約束できませんが、のんびり目に進めて、なるべく沢山のプレイングを採用できたらなと思っております。

 皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『奈落大宴会』

POW   :    豪勢な宴会料理を楽しむ

SPD   :    宴会芸や話芸で場を盛り上げる

WIZ   :    自慢の料理や飲み物を持ち込み、給仕する

イラスト:麦白子

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フェリチェ・リーリエ
え、雑草味のかき氷…だべか?自由農夫として草むしりはしょっちゅうやってるけども雑草味ってどんな味なんだべ…!?
農夫としても料理人としても気になるその味を求めて足湯ヘ。

抹茶味に見えなくもねえけど…
一口ぱくり、なんとも言えない味に青臭さと土の匂いが思い起こされて。…うん、なんつーか…食えなくはねえけど…

せっかくかき氷として出すんならもっと美味しくする工夫はできねえもんかなー。
店主に頼んで厨房に入り作り方を見せてもらい改善点を考えてみる。野草はしっかりアク抜きしたり苦みの少ないやつ使ったり…
あとはあんこや団子トッピングするとかどうよ?香ばしく炒ったナッツとコバンソウなんかも意外と合うかもしれないべ。




 フェリチェ・リーリエ(嫉妬戦士さんじゅうはっさい・f39205)は衝撃を受けた。霊峰天舞アマツカグラの美食が並ぶこの屋台街の何処かに、雑草味のかき氷なるものが提供されていると聞いたがために。
「自由農夫として草むしりはしょっちゅうやってるけども雑草味ってどんな味なんだべ……!?」
 農夫としても、料理人としても、その味は気になるものだ。美味しくはないとも聞いていたが、好奇心には勝てずに。フェリチェは件の足湯へと赴いた。
 少しぬるめの足湯で足先をのんびりと温めながら受け取ったかき氷は、かなり、控えめに言っても毒々しい色をしている。
 抹茶味ですと言われて提供されても、いやこれは流石に騙されないぞと言える色だった。
 まじまじと眺めて、そぅっと匙を突っ込んで、一口。
「……うん、なんつーか……」
 食べられなくはない。しかし、口の中に広がるのはいかにも雑草と言う感じの青臭さと、土の匂い。
 端的に言って不味い。薬膳と言われればかろうじて納得できるが、好き好んで食べたい味では、決してなかった。
 出されたものなのだからときちんと完食すべく食べ進めながら、フェリチェは思案する。
 この絶望的にお勧め致しかねるかき氷を、なんとか、美味しく出来ないものかと。
「ちょっと厨房を見せてもらえないだべか?」
 快く了承してくれた店主の後ろから作業工程を眺めて見ると、なんとびっくり。何の処理もせずただ純粋に雑草のエキスを抽出しただけではないか!
 これでは美味しくなるわけがない。少々呆気にとられつつも、フェリチェは店主に提案してみる。
「野草はしっかりアク抜きした方が苦味が少なくなりそうだべ。あとはあんこや団子をトッピングするとかどうよ? 香ばしく炒ったナッツとコバンソウなんかも意外と合うかもしれないべ」
 フェリチェの提案を、店主はニコニコと聞いてから、ふふ、と思い起こすように微笑んだ。
「いいんですよ、これは、この味で」
 その言葉に瞳を丸くしたフェリチェに、店主は語る。
 いわく、このかき氷はこの奈落において、『此華咲夜若津姫』を開放する冒険に挑んだ者達が作り出したものなのだそう。
 サバイバル生活の記録そのものでもある雑草の味をそのままにしたかき氷は、改善の余地があることは重々承知の上。そのうえで、密かに残し続けて来たのが、この奇特な店主なのだ。
「奈落名物、ですから」
 店主の言葉に、ははぁ、と納得したような声を漏らしたフェリチェ。
 それでも、おかわりのお伺いは丁重にお断りしたそうな。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リカルド・マスケラス
「みんなで美味しいものを食べて盛り上がるっすよ!」
UCで分身を使って【料理】でもてなすっすよ〜
「さあ、じゃんじゃん食べてってほしいっすよ〜」
更にはビュッフェとかのアレみたいに炎の分身を利用した、目の前で串焼きとか焼き物料理を焼いてくパフォーマンスで場を盛り上げる。
「みんなの笑顔を見るのが一番っすからね〜」

そんな感じで美味しく料理を楽しんでいる人達の様子を見ているっすよ〜
「この世界は、個人的にも色々と思い入れがあるんでね。エリクシルの好きになんてさせないっすよ!」
と、決心を新たにしておくっすよ。ヒーローマスクとして


高柳・源三郎
宴会ならば場を盛り上げんとのう、という気持ちで宴会に参加します。
自身は酒を飲みながら楽しみ、程よく酒が回ったらユーベルコード「源三郎の人形劇」を使って周りの無機物をたくさんのたぬきの操り人形に変えて、たぬき人形のたろうとはなと一緒に宴会の場を盛り上げます。




「宴会ならば場を盛り上げんとのう」
 片手に持った盃をぐいと煽り、高柳・源三郎(幕府に目をつけられた旅芸人・f15710)は旅芸人としての矜持に笑みを称える。
 屋台街を行き交う誰も彼もが、美味しそうな物を手に持ち、好き好きに食を楽しんでいて。その光景だけでも、酒の肴に十分なようにも思えたけれど。
「みんなで美味しいものを食べて盛り上がるっすよ!」
 源三郎と同じように、盛り上げる役目を担おうと努めるリカルド・マスケラス(ロープ際の魔術師・f12160)が屋台の一つで調理の腕を振るっているのを見ると、自身も振る舞う側にと意気込めた。
 丁度、程よく酒も回ったことだし。焼き鳥の串を片手に、源三郎は相棒の人形である『たろう』と『はな』に目配せをする。
「人形劇の開演じゃ!!」
 ぱっと力を振るえば、周囲の無機物がたぬき人形に姿を変えて、ぴょこ、ぴょこと踊りだす。
 その様子は、まるで物に化けていた狸たちが楽しげな宴につられて次々と正体を表したようで。不思議で愉快な光景に、人々は楽しげに見入っていた。
「おお、これは良い余興っすね~」
 鉄板の上で焼きそばを踊らせながら、リカルドはたぬき人形達を興味深げに見つめて。
 食の楽しみも負けてられないな、と。自らが呼び出した炎の分身達をぐるり見やった。
 熱を持たぬように調整した人型の炎の分身達は、アマツカグラの食材を次々と絶品料理に変え、人々に振る舞っていく。
 目の前で調理される料理を楽しむのは、屋台の醍醐味。じゅうじゅうと音を立てて香ばしい匂いを漂わせる肉や魚、ふわっと焼き上がるお好み焼きやたこ焼きなどを眺め、どれを食べようと吟味する人々の表情に、リカルドは表情をほころばせた。
「さあ、じゃんじゃん食べてってほしいっすよ~」
 時折、甘いものやスッキリとした飲み物で箸休め。
 たぬき人形達も時折宣伝するように屋台の前で跳ねていたりして、リカルドは果実ジュースで水分補給しながら、愛くるしいさまにほっこりしていた。
「みんなの笑顔を見るのが一番っすからね~」
「そうじゃのう~」
 同意と共に、のんびりと果実酒を煽った源三郎は、そのままたぬき人形を引き連れて屋台街を巡っていく。
 その背を眺め見て、リカルドは改めて奈落に広がる宴の光景を見渡した。
 ここは、リカルドにとって個人的に思い入れのある世界。それが、エリクシルの暴虐によって荒らされようとしている。
 この、賑やかな光景が脅かされようとしている。
 ――そんなこと、絶対にさせはしない。
「ヒーローマスクとして、エリクシルの好きになんてさせないっすよ!」
 決意も新たに呟いた直後に。屋台の前に駆け込んできた少年に、できたての串焼き肉を差し出して。嬉しそうに頬張る姿を見送るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
ルクアスさん、ご一緒しましょう!
こういう機会でもないとあんまりお話出来ないし
折角なら仲良くなりたくて

飲み物は果実ジュースを
甘味好きとしてはデザート系の屋台は外せないけど…
かき氷…ちょっと気になったりして
お付き合いしてもらってもいいですか?

野菜的な風味じゃなくて、いかにも雑草!って感じの味なのかな
先にかき氷食べて、それから美味しいもの巡りしよう

わぁすごい、溶ける草だ
ふふ、確かにちょっと面白いかも
家で再現しようとしても難しそう
記憶に残る味ですね
材料、気になる…

足からあったまったら甘味を主体に屋台巡り!
でも串焼きも美味しそう…
半分こ出来るものは半分こしません?
そういうのも2人でいる時の醍醐味だよね




「ルクアスさん、ご一緒しましょう!」
「はい、喜んで」
 猟兵とグリモア猟兵として話を聞くことはあれど、ゆっくりと話す機会は多くない。
 折角だからと声をかけた栗花落・澪(泡沫の花・f03165)に、ルクアスは笑顔で応える。
 未成年なので飲み物には果実ジュース、甘味好きとしてデザート系の屋台は欠かせない。並ぶ屋台を見ながら、あれも、これもと計画を立てる澪だが、一つ、例外的に気になるものが、あった。
「雑草味のかき氷があるって、言ってたじゃないですか。あれが、ちょっと気になったりして」
 お付き合いしてもらってもいいですか? とおずおずと尋ねる澪は、ルクアスがめちゃくちゃいい笑顔で応じたのを見て、やめとけばよかったかなってちょっとだけ思ったとか思わなかったとか。
「や、野菜的な風味じゃなくて、いかにも雑草!って感じの味なのかな」
「食べてみればわかりますよ」
「ん~~~じゃあ先にかき氷食べて、それから美味しいもの巡りしよう」
 口直しを楽しむために、やばい好奇心は先に片付けておくとしよう。
 それがいいでしょうねと楽しげに笑ったルクアスの案内で、噂のかき氷を楽しめる足湯へと訪れた澪は、提供された毒々しい色のかき氷に、瞬間的に全てを悟った。
 そこそこ覚悟をして、一口、ぱくり。
「わぁすごい、溶ける草だ。ふふ、確かにちょっと面白いかも」
 青臭さと苦味がじゅわっと口の中に広がって、思わずぎゅぅっと眉の根が寄ったが、食べられるようには出来ているし、面白い、と思えばついつい笑みもこぼれてくる。
「家で再現しようとしても難しそう。記憶に残る味ですね」
「おや、もう少し悶絶してくれるかと思ったのですが」
「わあ、ひどい。意外と食べれますよ。それにしても、材料、気になる……」
 しゃくしゃくとかき氷を食べきり、程よく冷やされた体と足湯で程よいぬくもりを得た澪は、ここからが本番とばかりに屋台街へと戻ってきた。
 目星をつけておいた甘味系。アマツカグラらしい和風の甘味はあんこの風味が多めで、さっぱりした果実ジュースと相性ばっちり。
 でも、鼻腔をくすぐる香ばしい匂いが漂ってくると、串焼きも気になってしまう。お腹に入る量には限りがあるというのに。
 こんな時には――。
「半分こ出来るものは半分こしません?」
 ちら、と見上げ、伺えば。ルクアスは少し意外そうな顔をしてから、構いませんよと微笑んだ。
「こういうのも2人でいる時の醍醐味だよね」
「確かに、そうかも知れませんね」
 見守ることが常の従者にとっては、あまり慣れないことだけど。
 これもまた、折角の機会というやつなのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エステレラ・ピスカピスカ
※セリフは全て平仮名とカタカナです

ルア、ルア!ご飯の気配です!
宴会というのはあれですよね、パーティ!
魔王につきもののパーティです!
慰霊の宴ですか?くふふ、わたくしの威厳を示す良いチャンスです
わたくしも魔王として社交をせねばなりませんから!

ええっと、元気にご飯を食べればいいのですか?
なんと!わたくしそういうの得意です!知ってましたか、ルア!
わたくしにはお口がみっつもあるので、三倍……うーん、もっと食べれるかもです
わたくしは成長期ですのでお腹がいっぱいすくのです(ただ燃費が悪いだけ)
すくすく大きくなって、ルアを追い抜くのも近いですよ!

まあ、ルア
先日のとは違う変わったかき氷?
わたくし気になります!




 屋台の並ぶ一角を興味深げにきょろきょろと見渡しながら、エステレラ・ピスカピスカ(ぜったいくんしゅ・f31386)は当然のように背後に控えているルクアスを振り返る。
「ルア、ルア! ご飯の気配です!」
 あっちからあっちまで、ぜんぶ! 大きな異形を携えながらも小さな少女は、背伸びをするように身を乗り出して瞳を輝かせていた。
「えんかいというのはあれですよね、パーティ! まおうにつきもののパーティです!」
「ええ、そうですね。今回は慰霊の宴となりますが、盛大なことに違いはありません」
 慰霊、と聞いて、エステレラの表情は不意にキリッと引き締まる。
 背筋を正して胸を張り、くふふ、と愛らしく……もとい、不敵に笑うエステレラ。
「わたくしのいげんをしめすよいチャンスです。わたくしもまおうとしてシャコウをせねばなりませんから!」
 楽しい宴にだって、己が立場を忘れはしない立派な陛下の姿に、配下が感涙と共に拍手を浴びせるいつもの光景を挟みつつ。
 エステレラは意気揚々と屋台巡りを開始した。
 社交と乗り出しはしたものの、元気に美食を楽しめばそれでいいとのこと。
「なんと! わたくしそういうの得意です! 知ってましたか、ルア!」
「流石は我らが魔王陛下。その秘訣をお伺いしても?」
「くふふ、わたくしにはおくちがみっつもあるので!」
 三倍、いやもっと食べれるだろうと思案するエステレラの両手が、下半身の異形を示す。がお、と主張するように開いた二口は食べ歩きの強い味方だ。
「わたくしはセイチョウキですのでおなかがいっぱいすくのです。すくすくおおきくなって、ルアをおいぬくのもちかいですよ!」
 成長期というよりは燃費が悪いだけとも言うが、いっぱい食べる幼女は可愛いから何も問題ない。
 魔王という種族特有の身長を考えれば、次の誕生日がくる頃にはもしかしたら本当に自分を抜いているかもしれないなぁ、と思案しながら、ルクアスは柔らかに瞳を細める。
「その時を楽しみにしておりますよ、陛下」
 父性的な敬意を胸に、ほっこりとエステレラの食べ歩きを見守って本日の任務終了となる――はずだったのに。
「まあ、ルア。せんじつのとはちがうかわったかきごおり? わたくしきになります!」
 俺の馬鹿ーーーーーー!!!!!
 全力で止めたい気持ちはあれど、親愛なる魔王陛下のご要望とあらば、行かぬ訳には行かぬのが従者の性。
 甘い菓子類をしこたま買い込んで、口直しの準備を万端整えて挑んだ|変わった《雑草》味のかき氷。
 ――興味津々キラキラお目々が虚無に変わってから光を取り戻すまで、それはそれは苦労したそうな。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルジェン・カーム
UC常時
うん
こうして我が故郷の天津神楽が盛り上がるのは何だかとても喜ばしくもあります
少し不謹慎ですが
「そんなことないよ!楽しむほどここの力が高まってるよ!」(メイド服の男の娘
それはよかった
では今宵も楽しみましょう
屋台街をぷっさんと歩きましょう

ぷっさん
色々美味しそうなお好み焼きとか汁物楽しませてもらいます
NPC登場はお任せ
少し一緒に食事を楽しんでいただければ幸いです

僕はお酒も嗜むとしましょう
程よく体が温まるのです

そして足湯も楽しむ
ふふ…こういうのも悪くはありませんね

噂のカキ氷を一緒に食べ
「ぐぇぇぇ…まっず!!」
まぁ美味しくはありませんね…
「アルジェン平気なの!?」
僕の双子の兄が振舞う漢方料理よりはましです
「アルジェンのお兄さん何者!?」

皇・絶華…僕の双子の兄にして皇家を裏から支える忍者の主でもあります
根はとても素直なんですが…健康志向すぎて漢方を多分に含んだ料理をふるまわれましてね…何だか慣れてしまったようです(とても…とても遠い眼
今もEBとして…勇士として頑張ってますよ




 屋台が並び、人々が楽しそうに食べ歩きながら行き交う、賑やかな光景。それを見つめ、アルジェン・カーム(銀牙狼・f38896)はしみじみとしたように瞳を細める。
「――うん。こうして我が故郷の天津神楽が盛り上がるのは何だかとても喜ばしくもあります」
 この状況が生み出された理由が、この世界を脅かす脅威への対抗も兼ねていることを考えると、少し、不謹慎なような気もするけれど。
 なんて、ほんの少し眉を下げて呟けば、黒髪に赤目でメイド服を着込んだ少女(少年)がぶんぶんと傍らで首をふる。
「そんなことないよ! 楽しむほどここの力が高まってるよ!」
「……それはよかった」
 自らの魔力を回すことで男の娘に変化させたキャバリア『プルートー』――通称ぷっさん――の言葉に、アルジェンはアンドも交えた表情で微笑んで。
 素直に、この賑やかさを享受するために歩み始める。
「では今宵も楽しみましょう」
 一人では、遠巻きに見ていたかもしれない喧騒へ、二人で。
 プルートーは美味しそうな屋台料理に興味津々で、あつあつのお好み焼きを頬張ってみたり、暖かな汁物で一息ついたりと存分に食を楽しんでいる様子。
 その様子を微笑ましく見守りつつ、途中で遭遇した案内人であるグリモア猟兵のルクアスに声をかければ。身軽な男は快く応じ、テーブルの上に並べられた食べ物を共に楽しんだ。
「ご相伴に預かり、光栄でした」
「こちらこそ。それじゃあ、僕達はまた色々と見てきます」
「お互い楽しんでこうね~」
 甘い果実酒を食事とともに腹に収め、ほっこりとした気分に心も体も温まったアルジェンは、ぺこりと互いに会釈を残し、束の間の邂逅を終える。
 新鮮な心地を伴いながら、ふらり、立ち寄ったのはルクアスに聞いていた、足湯だ。
 気軽にアマツカグラの湯を楽しめるスポットは良いもので。少しぬるめの湯がじんわりと体を温めてくれる感覚に、プルートーと共に、のんびり、浸る。
「ふふ……こういうのも悪くはありませんね」
 しかしながら、この足湯に赴いた真の目的は、噂に聞く雑草味のかき氷。
 提供されるそれは、見た目からして毒々しいし、何なら匂いもそこそこえげつない。
 本当に食べ物か? と訝るような目をしつつも、意を決してせーので一口。
「ぐぇぇぇ……まっず!!」
「まぁ美味しくはありませんね……」
 かき氷として出すレベルの味ではないのは、確かで。
 しかしながら、しゃくしゃくと咀嚼している内に溶けていくのが幸いとばかりに、青汁でも飲み干すように無理やり喉奥に流し込んだプルートーに対し、アルジェンは味わいを確かめるようにゆっくりと食べている。
「アルジェン平気なの!?」
「僕の双子の兄が振舞う漢方料理よりはましです」
「アルジェンのお兄さん何者!?」
 プルートーが赤い瞳をまん丸にして仰天する。まぁ、妥当な反応だろうなとアルジェンは納得したように頷いた。
 色んな驚きが重なっての叫びに、しゃくしゃく、かき氷を突きながら、アルジェンは思い起こすように少し視線を上げて。
「皇・絶華……僕の双子の兄にして皇家を裏から支える忍者の主でもあります」
 悪い人間ではない。二人の間に確執もない。だが、アルジェンは兄を思い起こす時、どうしても遠い目をせざるを得ない。
「根はとても素直なんですが……健康志向すぎて漢方を多分に含んだ料理をふるまわれましてね…何だか慣れてしまったようです」
「それは……ご愁傷さま……?」
 雑草味のかき氷をしゃくしゃくとなんでも無いような顔をして食べられるレベルの漢方料理とは、一体。
 想像して、すぐにやめて。プルートーは文字通り苦い思い出に逐一顔をしかめながら、かき氷を食べ進める。
 その言葉と様子に苦笑して、けれど、すぐに懐かしむような眼差しになったアルジェンは、その口元に穏やかな笑みを湛える。
「今もエンドブレイカーとして……勇士として頑張ってますよ」
 猟兵ではない彼も、きっと、この戦いに身を投じているのだろう。
 その意志に応えるために今できることは、楽しむことなのだ。
 口直しを要求するプルートーに笑顔で頷いて、アルジェンは再び、賑やかの中に戻っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エルシェ・ノン
ビス(f39096)と

「ありがとう、フロル」
ずっと来たかったピュアリィのお墓参りをまずは済ませ、宴会場へ

道すがら、ここに塒を作った転送陣の使い手のこと等を思い出す
みんな、元気かな

心配を重ねた日々は、まだ心に生々しい
でも今なら聞ける気がして、傍らへ
「あの時は、どんなだったの?」
訊いたからにはちゃんと聞く
大丈夫、きっと冒険譚に胸躍らせる少年の心地でいられる

貴重な話の礼は、やはり美味い飯
肉料理を片っ端から買い求め、腹がくちくなるまで食べさせたい気分
そして口直しと称し話題のかき氷を、必殺お口あーん
腹の底から笑い合いたくて仕掛けた悪戯
しかし本家と聞いて暫し悩み、自分もひと口
……改良の余地あり、だね(げふ


クロービス・ノイシュタット
ルーチェ(f39096)と共に

此処は…奈落は
思い入れってものが滅多に抱けない俺でさえ、
やはり思い出深い地で
いつか俺らの命を繋いでくれたあの娘を、思うだけで
つい昨日の事の様で
…うん。元気にやってるよ。きっと
皆の事を
何の確証も無いのに、確信を持ってそう思える
だから、ね
何から話そうか、なんて笑って迷えるんだ

…に、しても、だ
エルシェ…流石に食べ過ぎなんじゃ…?
彼が平らげるのかと戦々恐々――
えっ
雑草味かき氷…?
…(無言
……(目を逸らし肩を震わせ

…ふっふふふ…
良いね!実にいい!!
こちとら本家本元発祥由来、アイスレイピアの魔法剣士!(※製氷担当
あの時の味、今に如何伝わっているか、たーんと頂いて行くともさっ☆




 霊峰天舞アマツカグラの地下に広がる奈落。その地に封印されていた『此華咲夜若津姫』を開放するための冒険には、一人、欠かせぬ存在が居た。
「ありがとう、フロル」
 小さな小さな墓へ向けて、エルシェ・ノン(青嵐の星霊術士・f38907)は少しの寂しさを含んだ感謝を伝える。
 バッドハーピーの少女、フロル。旅路の途中で仲間にした彼女の功績は大きく、彼女が居たからこそ姫の救出部隊は――クロービス・ノイシュタット(魔法剣士・f39096)は、生還することが出来た。
 当のクロービスも、もう随分と昔のことだと言うのに、小さな墓を前に懐かしい姿を浮かべるだけで、昨日の事のように思い起こせてしまう。
(思い入れってものが滅多に抱けなかったのに、な……)
 宴を催せるくらい、整えられたこの地は、それでも、見上げた景色は変わらなくて。
 懐かしさに瞳を細めるクロービスの横顔を、ちらり、エルシェは見やった。
「ずっと来たかったとこにはこれたし、宴会場の方行こっか」
「ん、そうしよ」
 踵を返して、並んで歩く。その道すがら、エルシェはクロービスと共に奈落に旅立った面々の顔を、一人ひとり、思い起こしていく。
 奈落への転送陣を得た者、マスカレイドの棘の力を払う力を得た者。彼らの意志に、追随した者――。
「みんな、元気かな」
「……うん。元気にやってるよ。きっと」
 会って、話すなんてことは、そうそうなくて。
 どう過ごしているかなんて、本当は知らないけれど。不思議と、確信を持ってクロービスは口にしていた。
 みんな、元気なのだろう、と。
 ぽつりと零しあった言葉の次に生まれるのは沈黙。そこには、エルシェが当時抱いた心配の名残が滲んでいるようで、少しだけ、重くて痛い。
 だが、隣の男の顔は晴れ晴れとしている。エルシェもまた、一つの区切りをつけたことで、生々しく残っていた感情が霧散しているような気がして。
 今なら、聞ける気がした。
「あの時は、どんなだったの?」
 サバイバル生活だったと、聞き及んではいる。けれど、どんな場所で、どんな気持ちで、どんな景色を見て、どんな話をしたのか……聞いたことのない色々が、たくさんあった。
 機会なんていくらでもあったはずなのに、今、こんな時にだなんてと思わなくはないが、思案するように少し視線を上げたクロービスの横顔は、やっぱり、晴ればれたとしていた。
「何から話そうか」
 笑って、楽しげな様子で話題に迷う男の顔に、エルシェもつられて、笑っていた。
 ずっとずっと、怖い話だと思いこんで開けなかった、冒険譚。開いたからには、胸踊らせる少年のような心地で、全部きちんと受け止めてやろうじゃないか。
 賑やかな屋台街から少し外れたその場所で、長くて短い話は語り綴られる。
 大幅に端折った部分は多かれ少なかれ存在するが、克明な記憶をなぞり終えて、クロービスは少しばかり満足げな顔をしている。
 そんな貴重な話を一つ一つ噛みしめるようにして聞いていたエルシェは、ゆっくりと瞳を細め、一度伏せてから、パッと開いてクロービスの手を取った。
「話してくれてありがとう」
 お礼とするのは、屋台に連なる美味い飯。串焼きから鉄板焼きまで、目についた肉料理を片っ端から買い求めるエルシェに、クロービスは目をパチクリとさせて付き添った。
「エルシェ……流石に食べ過ぎなんじゃ……?」
「これはビスが食べる分だけど?」
「僕が!? 流石に全部は入らないよ!?」
 ひもじい思い出を塗り替えるくらい、腹一杯になれば良い。
 そうして、なんだかんだときちんと食べきってくれる――自分も勿論一緒に食べたが――クロービスに、止めに差し出すのは話題のかき氷。
「はい、あーん」
 にっこり、満面の笑顔で毒々しい色のかき氷を掬って差し出せば、クロービスはふわっと微笑んで、そっと目を逸らす。
 追撃のダメ押しが必要か? それともここで笑って「なんてね!」なんて引き戻すか?
 思う存分笑って過ごすためのちょっとした悪戯の引き際を見極めていたエルシェの眼前、目を逸らした男は、ふるふると肩を震わせ、笑っていた。
「……ふっふふふ……良いね! 実にいい!!」
 何を隠そう! このクロービスこそが! 雑草味かき氷の本家本元発症由来。製氷担当と化したアイスレイピアの魔法剣士だったのだ!
「あの時の味、今に如何伝わっているか、たーんと頂いて行くともさっ☆」
 あーん、のおまけつきなのだから、ちょっと美味しい気がしなくもないかも? なんてウィンクして見せるクロービスに、今度はエルシェが瞳を瞬かせた。
 そうして、本家がクロービスと聞いて、暫し(たっぷり)悩んで、悩んで……ついに、居を決して一口行った。
「お味のほどは?」
「……改良の余地あり、だね」
 口の中は苦味でいっぱいだけれど、顔を合わせて大笑いする当初の目的は、果たせていた。
 奈落の宴は、賑やかに続く。絶えぬ笑顔に、姫君の慈愛を満たしながら――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年09月07日


挿絵イラスト