エンドブレイカーの戦い⑥~紫煙群塔の希望
●紫煙群塔ラッドシティ
――捧げよ。捧げよ。捧げよ。
――その生命、その知性。我が奉じる8柱に捧げよ。
ラッドシティの「世界の瞳」を狙って、強大なるエリクシルの魔神が迫る。
エンドブレイカーでも猟兵でもないものたちがみな怯んで立ちすくむ中、飛び出したのは、この地を守護する「長老」たちであった。
「お前達など、エンドブレイカー様や猟兵様の敵ではないわ!――さあ皆の者、武器を集めよ!このラッドシティを守るため……エンドブレイカー様と猟兵様たちにこのラッドシティが誇る武器たちを使っていただくのだ!」
●ゼロイチマルマル、グリモアベース
「やあ、来てくれてありがとう。エンドブレイカーの世界で始まった戦争のことは、もう知っているね?」
贄波・エンラ(Liar Liar Liar・f29453)は、自らの呼びかけに応じた猟兵に対して礼を述べると、咥えていた煙草を口から離し、ふぅと紫煙を吐き出した。ぷかぁとまるい煙が浮かぶ。
「皆に行ってほしいのは、エンドブレイカー世界の一角、歯車機械文明に支えられた都市国家、紫煙群塔ラッドシティ。そこに併設された――正確には、ラッドシティの方が後から出来たのだけどね。超巨大遺跡「世界の瞳」だ」
エンラによれば、「戦女神ラーディス」を名乗る強大なエリクシルが「世界の瞳」へと侵攻し、その先へつながる小世界群を掌握しようとしているのだそうだ。
「勿論、エリクシルに「世界の瞳」を制圧させるわけにも、小世界への進出を許すわけにもいかない。……幸い、ラッドシティの「長老」たちは大のエンドブレイカー贔屓の上、猟兵にもひどく好意的だ」
この戦場に布陣する猟兵には、長老衆から特注の紫煙銃やガンナイフをはじめとする「ラッドシティ製の最高級武装」を貸し出してくれる。
「貸与してくれる武器は、君たちの持つ武器の種類だけあるようだよ。……それから、小世界だ」
過去にいずれかの「小世界」を救う冒険に参加していた猟兵は、かつて助けた小世界の人々の希望と想いが「何らかの奇跡の一瞬」をもたらしてくれるだろう、そうグリモア猟兵は言った。
「戦うことになるエリクシルの名は「戦女神ラーディス」。小世界の神に匹敵する力を持つ、無慈悲な戦いのエリクシルだ。どうやら「11の怪物」に知的生命体を捧げるため、小世界の知的生命体を幾つも絶滅して来たようでね。……まあ今回は小世界で戦うんじゃなく、ラッドシティでになるわけだけれど」
戦女神ラーディスは自身の6つの手に握った武器である願望宝石エリクシルで出来た剣、鉾、刀、槍などを願望実現武装に変え、「回避したとしても攻撃が当たる【必中能力】」や「オーラ防護や結界などを貫く【防御貫通能力」」を追加する、装備武器と自身の鎧兜・具足である願望宝石エリクシルから「戦いに勝ちたい」という願いを叶える「エリクシルウェポン」を創造する、自身のレベルと同じだけの願望宝石エリクシルを召喚し、「投擲武器・時限爆弾・自身の立体映像」のどれかに変形させるといった能力を持つ。
「勿論、仮に|君たち《猟兵》がユーベルコードを一切使わずに自身の技能とアイテムだけで戦ったとしても、何も出来なくなるわけじゃあない。3対6本の手にしたエリクシル製の武器でもって戦うよ。ユーベルコードさえ使わなければ棒立ちになる、なんてことは期待しないほうがいいね」
そう言うと、エンラは再び口から紫煙を吐き出し、猟兵たちに微笑みかけた。
「戦場までの転移は僕が受け持つからさ。現地での戦いは、君たちに任せたよ。準備が出来たら、僕に声をかけてくれ」
遊津
遊津です。エンドブレイカーでの戦争シナリオをお届けします。
ボス戦一章のみの構成となっております。
当シナリオには以下のプレイングボーナスが存在します。
※プレイングボーナス:ラッドシティの最高級武装を駆使して戦う/助けた小世界の人々のことを思い出し、彼らの想いに応える。
「戦場について」
エンドブレイカー世界に存在する。紫煙群塔ラッドシティの最も拓けた場所を長老衆が用意しておいてくれます。
太陽の光が照らしており、暗闇ではありません。既に避難誘導は終わっており、戦闘の邪魔になるものは一切ありません。戦いに利用できそうなものは歯車機械文明の発達した都市の中にあるものならば存在します。「何を」「どうやって」使うか明記してください。
上層部との間は充分に開いており、広範囲攻撃や空中戦を行うことも可能です。
リプレイが始まってすぐに戦闘となるので、技能やユーベルコードによる事前準備を行っておくことはできません。(体の「パフォーマンス」を良くしておく、など)。何らかの事前準備が必要な場合は、戦闘と並行して行うことになります。
「ボス敵・戦女神ラーディスについて」
小世界の神に匹敵する力を持つ、無慈悲な戦いのエリクシルです。11の怪物に知的生命体を捧げるため、小世界の知的生命体を幾つも絶滅して来ました。
鎧兜や具足、3対6本の手に握られる武器は全て願望宝石エリクシルで出来ています。
猟兵が一切ユーベルコードを使用せず、技能とアイテムだけで戦った場合でも、槍や鉾、刀などの武器で戦います。
当シナリオのプレイング受付開始は、このシナリオが公開され次第即時となります。
諸注意はマスターページに書いてありますので、必ずマスターページを一読の上、プレイングを送信してください。
また、送られてきたプレイングの数によっては全員採用をお約束できない場合がございますので、あらかじめご了承ください。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『戦女神ラーディス』
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POW : 願望実現武装
自身の装備武器を【願望実現武装】に変え、【必中】能力と【防御貫通】能力を追加する。ただし強すぎる追加能力は寿命を削る。
SPD : エリクシルウェポン
【願望宝石エリクシル】から、対象の【戦いに勝ちたい】という願いを叶える【エリクシルウェポン】を創造する。[エリクシルウェポン]をうまく使わないと願いは叶わない。
WIZ : 戦女神の武器
レベル×1個の【願望宝石エリクシル】を召喚する。各々、「投擲武器、時限爆弾、自身の立体映像」のどれかに変形できる。
イラスト:そは
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
木々水・サライ
へえ、武装を借りられるのか。
それなら……いや、もう刀でいいな。刀ある? たくさん欲しい。
なんてったってUC【無謀な千本刀の白黒人形】は相手より武器が多ければ有利取れるんでな。
……奴さんの召喚した宝石が武器になる、か。
だったらそれを超える本数の武器を貰えりゃ、こっちの有利は変わらねえ。
俺が元々持ってる12本の刀にちょっと武器が増えただけだ。
戦い方はいつも通り、連続で叩き込んでいくだけのこと(2回攻撃&残像&切断)
たまに相手が立体映像になるかもしれないが、まあ叩き割れば勝ち。
にしても、普段12本でも楽しいのに、ここまで武器増えるともう楽しくてしょうがねえや。
本当に千本刀になっちまったな、これ。
●
『――捧げよ。――捧げよ。――捧げよ』
『その生命、その知性、捧げよ』
『我は戦女神ラーディス。その知性と生命を、悉く殺し尽くす者なり――』
紫煙群塔ラッドシティに、エリクシルの魔神が襲い来る。そのふくよかな胸以外を覆う鎧、兜、具足、そして三対六本の手に持つ武器の全てが真紅の願望宝石エリクシルで出来ているそのいでたち。願いを歪曲して叶えるエリクシルの魔神であり、そして小世界の神に匹敵する力を持って小世界群の知的生命体をいくつも絶滅させてきた戦女神だ。
「はっ、六本腕に武器が六振り? 少ねえ少ねえ。俺をぶち殺したきゃあ、その百倍でも足りねえな!」
そう笑ってみせるは木々水・サライ(|白黒猫使い人形《モノクローム・ドール》・f28416)。彼はラッドシティから貸し出された最高級品質の武装の中でも、刀ばかりを999振り背中に背負っていた。アース系世界の日本の伝説に伝わる僧兵・弁慶もかくやのいでたちだ。そしてその両腕には既に二振りの刀、黒鉄刀と白銀刀とを握りしめている。
「ははっ、普段12振りでも楽しいのに、ここまで武器増えるともう楽しくてしょうがねぇや。本当に千本刀になっちまったな!」
サライのユーベルコード、【|無謀な千本刀の白黒人形《レックレス・モノクローム》】は敵よりも自分が使用している武器の数が多い場合に敵に対する命中率と回避率とダメージが三倍になるという効果を持つ。そしてそれは既に発動されている!
『考えたものだ。だが、それだけの武具を背負ってなお使いきれるか、人の子よ』
戦女神はその場に123個の願望宝石エリクシルを召喚してみせる。それが投擲武器になるか、時限爆弾になるか、それとも戦女神の立体映像となるかは彼女の思うがままだ。――もっとも、999の刀を背負った所で、サライの戦い方は至極いつも通り!
「まずは、黒ォ!!」
右手に持った真・黒鉄刀での一撃。そして左手に携えた真・白銀刀でもって追って斬りかかる。
「次いで白を用いて――紅で、描き!」
高く飛び上がりながら、999振りの刃の中から正確に引き抜いた紅玉刀を握り直して追撃し、更に蒼玉刀、翠玉刀、琥珀刀と続けて引き抜きながら、投げつけられる願望宝石を軽々と避ける。互いに互いの攻撃を避けるうち、足場は上へ上へと駆け上がっていく。
「蒼を用いて、翠を走らせ、琥珀を用いて――灰を、作る!」
燐灰刀が戦女神の胸を斬り裂いた。
さあ、まだまだ刀は残っている。背負った999振りの刃は、サライの攻撃を決して外させないし避けさせない。
兜の下の戦女神の表情は読めなかったが――
「さあ、まだまだやれるぜ、アンタはどうだ!」
そう言って、サライは不遜に笑ってみせるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
シン・コーエン
長老衆から紫煙銃を借りる。
右手に灼星剣、左手に紫煙銃。
ラッドシティで生まれ、別世界に行って猟兵に覚醒し、ようやく戻れたこの故郷、お前達に好き勝手などさせん!
強敵だが、武器に依存するのなら、やりようは有る!
UC:灼星炎渦を使用。
炎のダメージを与えつつ武器溶解でエリクシルウェポンをうまく使えない状態に。
相手の攻撃は第六感・心眼で読んで、見切りで回避したり、武器受けで防御。
オーラ防御も展開。
念動力・捕縛で相手の動きを封じ、紫煙銃を防具の無い箇所に向けて連射(2回攻撃・スナイパー・貫通攻撃)。
更に灼星剣に陽光の魔法を纏い、斬り下げ斬り上げの2回攻撃・斬撃波・鎧無視攻撃、即ち”デイブレイクソード”で斬る!
●
シン・コーエン(灼閃・f13886)はこのラッドシティで生まれた。彼にとって故郷とは紫煙と隣り合わせのものであって、歯車機械文明はごく自然に存在するものだった。エンドブレイカーに覚醒した後に一つの町の領主となった彼が、別世界へと飛ばされて幾年が経ったか。ようやく戻れたこの故郷を愛する気持ちは未だ健在だ。
「そう、この|街《ラッドシティ》をお前たちなどに好き勝手などはさせん……!」
手に馴染んだ灼星剣を右手に、長老衆から借り受けた紫煙銃を左手に構え、シンはエリクシルの魔神「戦女神ラーディス」の襲来を待ち構える。豊満な胸部以外を真紅の願望宝石エリクシルで覆った戦女神は、その願望宝石から「エリクシルウェポン」を作り出す。それは真紅に輝く凶悪なフォルムをした大剣。五本目の腕に握ってそれを振り回す戦女神は、血の生贄を求めていた。
『――捧げよ。――捧げよ。――捧げよ』
『その知性、その生命、我が奉じる八柱に捧げよ』
「断る!」
振り下ろされた刃を灼星剣で受け止めて、シンは真っ向からラーディスの言葉を拒絶する。
(強敵だが――武器に依存するというのなら、やりようは、ある!)
「……“我が剣よ”!!!」
シンが手にした灼星剣から、戦場全体に紅く煌めく|星炎《プロミネンス》の渦が巻き起こる。それは敵味方を識別する炎の渦。肉薄していた戦女神に燃え移った炎は消えない炎。そして、|武装を熔解させる《・・・・・・・・》プロミネンス。これぞシンの絶技【|灼星炎渦《しゃくせいえんか》】!
エリクシルウェポンはどろりと溶解し、その切れ味を鈍らせる。それでも戦女神にはまだあと四つもの武器がある。槍で、剣で、鉾で、刀で突きかかり斬りかかってくるその剣戟をこれまでの戦いの中で研ぎ澄ませた心の眼で読み切り、見て躱し、灼星剣によって受ける。己の肉体の表面に防護の膜を張り、戦女神の猛攻を凌ぎきると、シンは攻勢に出た。
念動力と捕縛技能によって戦女神の動きを一瞬封じると、左手に握った紫煙銃で彼女の防具に覆われていない箇所――その豊満な胸を幾度も撃ち抜く。ラーディスが兜の下でうめき声をあげた。シンは灼星剣に陽光の魔法を纏わせ、逆袈裟に斬り上げた次の瞬間刃を翻す。刀身からは斬撃の波動が生まれ、願望宝石エリクシルで出来た鎧をも破壊しながら戦女神の体を肩から袈裟斬りに斬り下ろす――それこそが、“デイブレイクソード”――夜明けを齎す、夜魔斬りの一撃である!
大技を放った後も、シンは気を抜くことなくまっすぐに戦女神ラーディスを睨み据えるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
リカルド・マスケラス
美人でも、恐ろしい相手はNGっすよ
「ちょっと、戦うために力を貸して欲しいっすよ」
【コミュ力】で協力を取り付けたNPCに憑依して、リカルドの能力値と技能で戦う。向こうの攻撃のダメージは『ブラックコート』の効果で自分が請け負う
「ラッドシティの最高級武器の威力、見せてもらうっすかね」
鎖分銅を【ロープワーク】で拘束したり武器を弾きとしたりで武器をうまく使わせないよう立ち回り、鎌で切り裂く【2回攻撃】を行う
「本来は大鎌のアビリティっすけど、行くっすよ!」
UC発動。鎖分銅に呪殺弾を纏わせ、スリングのように飛ばし、そこから更に鎌から斬撃を飛ばすなり直接当てるなりして四連撃喰らわせる
「さ、おかえり願うっす」
●
「おっと、美人でも恐ろしい相手はノーサンキューっすよ」
そう言ってエリクシルの魔神・戦女神ラーディスに相対するのは、この紫煙群塔ラッドシティの冒険者――に見えた。だが、その|中身《こころ》は違う。斜めにかぶった仮面こそがその精神の中身。ヒーローマスクであるリカルド・マスケラス(ロープ際の魔術師・f12160)である。事前に声をかけ、そのコミュニケーション能力でもって自分を装着させることを是と言わせたのだ。
「それじゃあ、ラッドシティの最高級武器の威力、見せてもらうっすかね」
長老衆から借り受けた鎖分銅と鎖鎌を構えるリカルドの前で戦女神はその三対六本の腕に握った武器――願望宝石エリクシルを凶悪なフォルムの大剣、エリクシルウェポンに変えていく。それは彼女の「戦いに勝ちたい」という願いを叶えるべく想像された武器。弱点があるとすれば、それはその生み出されたエリクシルウェポンそのものを上手く使わなければ願いはかなわないということだろうが――。
「なら、“上手く使わせない”に越したこたねーっすよ!」
じゃらり、鎖の音が鳴る。元より鎖分銅も鎖鎌も、リカルドの愛用している武器だ。それがこのいっときラッドシティ製のものに変わっただけにすぎない。操り方はよくよくその身、いや仮面が覚えている。鎖は戦女神の六本腕の一本に絡みつき、体勢を崩させる。そのままリカルドは鎖鎌を器用に操って、曝け出された戦女神の豊満な胸を一度、二度と斬り裂いた。
「さあ、本当は大鎌のアビリティっすけど……行くっすよ!ここはいっちょ、豪快にッ!!」
鎖分銅を振り回すことによって、分銅の先に纏わせた呪詛を弾丸としてスリングのように飛ばす。戦女神はそれをエリクシルウェポンで薙ぎ払わんとする。その隙に間合い内に踏み込むと、同じように呪毒を纏わせた鎖鎌の斬撃を放っていく―—一度、二度、三度。それはリカルドのユーベルコード【|四連黒死弾《しれんこくしだん》】。あと一撃を食らわせれば、相手は――死ぬ!!
『オオオ……おおおおおおおおおォォォォッ!!!おのれ、原住民がァァ!!』
戦女神、ラーディスは咆哮を上げた。己が身に迫った死の運命を察したのか、鎖に絡めとられた己の六本腕のひとつをエリクシルウェポンでもって斬り落とし――鎖の束縛から逃れ、死の四撃目を伏せて躱した。ここで死ぬよりは、腕を失う方が得策と考えたのだろうか。ぼたぼたと真っ赤な血を地面に垂らしながら、ラーディスはリカルドを兜の下から睨みつける。
「おお、おっかね。ま、今のを躱したとしても……もっかい、何度でも殺して見せるっすけど!」
リカルドは不敵に笑って、両の手の武器を構えなおすのであった。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
俺の持っている武器だってそう劣るものではないと思うけど
まあ、使えるものは使わせてもらうとしよう――という事で、刀を借りる
結局は使い慣れた武器が一番だ
刀を持って、捌の型【水鏡:流】。自身の動き、視線、気配。諸々の要素で相手の動きを誘導して、それに対応する構えを取る
防御貫通に必中とは随分な能力だが、「必ず当たる」太刀筋で来るなら動きは分かりやすいし、更にこちらに都合の良い形で動きを誘導しているから、更に読みやすい
借りた刀に慣れる必要があるので、まずは相手の動きを確実に潰す所から
十分に慣れたなら、動きを潰した上で反撃を繰り出していく
……きちんと武器を振るえなければ大層な能力も効果を発揮できないだろう
●
「ラッドシティ製の最高級品質武器……か。俺の持っている武器だって、そう劣るものではないと思うけれど」
まあ、使える物は使わせてもらうとしよう。そう言った夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)の腰には、ラッドシティ製の刀が佩かれている。結局は使い慣れた武器が一番だ、というのは彼の弁だ。
『――捧げよ。――捧げよ。――捧げよ』
『その生命、その知性、我が奉じる八柱に捧げよ』
エリクシルの魔神・戦女神ラーディスが近づいてくる。既に猟兵と激しい戦いを繰り広げたのだろう、彼女の三対六本の腕は一本失われ、むき出しのふくよかな胸はずたずたに斬り裂かれている。それでも戦女神は己が役割を果たさんとして、ラッドシティを――正確には、ラッドシティが併設されている巨大遺跡群「世界の瞳」から小世界を蹂躙せんとしている。
そうはさせるものか。鏡介は刀を抜くと、構えを取る。
「“我が太刀は流れる水にして、鏡の如く――捌の型【水鏡:流】”」
【|捌の型《はちのかた》【|水鏡《みずかがみ》:|流《ながれ》】】。自身の動き、気配、視線―—諸々の要素をもって相手の動きを誘導し、それに対応する構えだ。
鏡介が行動を起こしたのを確認した戦女神は今や五つとなった手にした槍、剣、刀、鉾の願望宝石エリクシル製の武器を重ね合わせ、「願望実現武装」とする。その効果を、鏡介はグリモア猟兵から聞いていた。
(防御貫通に必中とは随分な能力だが――「必ず当たる」太刀筋で来るなら、動きはわかりやすい。それに……)
戦女神ラーディスは四振りの武器を手に鏡介へと斬り、あるいは突きかかる。「必中」の能力を得た願望実現武装。それゆえに、鏡介に「必ず当たる」。それはつまり鏡介にとっては「お手本通り」というわけだ。四人から一度に攻撃されることへの対処なら、鏡介はこれまでの戦闘訓練の中で熟している。そして今は、【|水鏡《みずかがみ》:|流《ながれ》】の効果によって相手の動きを誘導している最中。つまりラーディスの攻撃は、最初から鏡介の掌中にあるというわけだ。
(とはいえ。まずは借りた刀に慣れる必要がある)
ラッドシティ製の刀を振るいながら、鏡介はラーディスが繰り出してくる猛攻をきっちりと要点要点で止め、払い、躱して行く。さて馴染んだか、と納得がいくまで、念入りに。その頃には、ラーディスの根気も尽きかけ、動きは散漫になってきていた。
「……どうだ。きちんと武器を振るえなければ、大層な能力も効果を発揮できないだろう」
そうして鏡介が繰り出した一撃は、彼に誘導されきった戦女神の四本の武器の軌道をすり抜け、更に一本、正確に彼女の腕を斬り落とした。
大成功
🔵🔵🔵
褐返・紫黒
初世界の初仕事だけどしっかりとやり遂げるよ。
ありがたいことに武器を貸してくれるっていうじゃあないか。
刀剣…可能なら脇差のような短い刀を貸してくれると助かるよ。
太刀や大太刀も十分に扱えるけど脇差の方がしっくりくるからねぇ。
細かい注文を色々とつけちまって申し訳ないけどよろしく頼むさね。
さて。まずはこの猛攻を避けつつ身体調整をするとしようかね!
回避しながらはちょいとキツイが…まあなんとかなると思うよ。
限界突破後の多重詠唱をしながら【神薙 壱之型『建御雷』】。
そうそう。技の速度維持のために継戦能力も使わないとねぇ!
準備が整ったらこっちから行かせてもらうよ。
得物は初めて手にするモノだし肩慣らしから始めた方がいいかね。
…妙な力を加えちまって壊したら目も当てられないからねぇ…。
速度でラーディスを翻弄して斬撃に早業を付与して斬りつけるよ。
得物に慣れてきたら速度を徐々に上げていこうかね。
相手さんだって速さに慣れてきたころだろうからねぇ…本気でいく。
斬撃時に早業とフェイントをつけて腕を斬り飛ばす気で戦うよ。
●
「さぁて。これが初めて訪れる世界の初仕事になっちまうなんて皮肉な話だが、引き受けたからにはしっかりとやりとげなけりゃあねえ」
そう言って番傘を差すのは、二色の毛並みを持つケットシー、褐返・紫黒(人形廻し・f23260)。
粋で鯔背な猫一匹、その腰にはラッドシティの長老衆から借り受けた脇差が差してある。ケットシーたる紫黒には太刀や大太刀は少々大きすぎる。「十分に扱えるけれど使い慣れた愛用の得物に似た脇差の方がしっくりくる」とは彼女の弁だ。「細かい注文を色々とつけちまってすまないね」と言う紫黒に、ラッドシティの武器商人たちは慣れたことだと笑った。
――さて、そんな商人町人や長老衆も戦場からは遠く避難が済んでいる。ここにいるのは紫黒と、そしてエリクシル「戦女神ラーディス」のみ。既に猟兵たちの猛攻を受け、彼女の三対六本あった腕は二本ほどどこかに千切れ飛んでいた。
戦女神は戦場に110ほど願望宝石エリクシルを呼び出す。おびただしい数の真紅の宝石が投擲武器に、時限爆弾に、或いはラーディスの立体映像にと変化することは事前にグリモア猟兵から聞いて知っている。
宝石が鋭利な弾丸となって矢のように浴びせかけられる中、ラーディスは刀、剣、槍、鉾と握った四本の真紅の武器をとり回して紫黒に斬りかかり、突きかかってくる。それらを避けながら、紫黒は自身の体の限界を解き放つ。全身の血が沸騰するように熱い。末端の血管が千切れるぶちぶちという音が耳の奥から響いてくるようで、そして目の中の毛細血管が切れたのか、目の前が真っ赤に染まる。喉の奥からは鉄錆の味がする。さもありなん、何の犠牲も代償もなく限界を超えることなどできはしない。自身の肉体に無意識にかけていたリミッターを意識的に無理矢理解除した結果がこれだ。せり上がってくる赤いものを飲み込みながら、紫黒の舌は器用に動いて幾重もの詠唱を可能とする。今より用いるは紫黒の絶技【|神薙《かみなぎ》 |壱之型《いちのかた》『|建御雷《たけみかづち》』】。詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する斬撃を放つ剣技である。
猫の脚でひょいひょいと高所を器用に飛び回り、紫黒は戦女神の斬撃刺突を避け続ける。長く戦い続けるための術ならば、紫黒も身に着けている。対する戦女神は息こそ上がっていないものの、ちょこまかと躱し続ける紫黒の動きについていけなくなり始めていた。さもありなん、紫黒のよけ続ける速さは紫黒が意識的に速度を徐々に上げていっていた。
使い慣れたものとよく似た脇差であっても力加減を間違えて借り物の武器を壊してしまっては目も当てられないと言いながら、紫黒は高速でラーディスを翻弄しつつ刀を振るう。稲妻が走ったかがごとき速度で放たれた斬撃は、エリクシルの爆弾を斬り裂き降りかかる宝石の弾雨を弾き飛ばす。やがて紫黒がラッドシティ製の脇差の扱い方に慣れてきた頃、ラーディスも紫黒のスピードに追いついてきた。
「あっは!さすがは戦女神だと名乗るだけあるね、もう追いついてきやがったのかい!」
ひゅうと笑った紫黒の目が細められる。このままもう一二本ほど腕を斬り落としてやろうと思っていたが、ここまで来るのにかなりの時間を使ったと判断する。ならば紫黒がやるべきは敵の戦力をそぐことではない。
「“雷神の名の元に”!」
――そっちが戦女神を名乗るのならば、こっちは雷の神の力を借りんと。雷鳴の速度ではなたれた斬撃、それを囮にして紫黒はラーディスの元へと肉薄する。あまりの近さに、ラーディスは攻撃を避けるタイミングを見誤る。そして、それを見落とす紫黒ではない。
――|斬《ざん》。刃は一閃し、周囲に血飛沫を飛び散らせて――兜ごと、戦女神の首は斬り落とされる。
頭部が赤黒い血を撒き散らしながらごろりと転がって、そして胴体がずしゃりと|頽《くずお》れた。
そのままラーディスの体は塵となって消えてゆく。最後まで抵抗するかのようにエリクシル製の鎧兜と武器、具足が残り、それもどろりと溶けて何処かへと消えた。
「さあて。借り受けたもんは無事かねえ。傷の一つもついてないといいんだが!」
紫黒はそう言って番傘を開き、消えゆく骸を一瞥もすることなく去って行った。
大成功
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