エンドブレイカーの戦い⑪〜対毒武装開発記
●工房の鍛冶師たち
『エンドブレイカーの戦い』。
世界に迫るこの危機に、都市国家の1つ、骸殻工房ガルシェンの鍛冶師の一団が、この事態に立ち上がった。
彼らは、11の怪物にも対抗しうる、新たな武具の研究・作成に着手したのである。
「せっかくだ、いいのが出来たら猟兵にも使ってもらおうぜ!」
「そいつは名案だ。あいつらならうまく使ってくれるはずだからな!」
猟兵への厚い信頼。しかし、鍛冶師達は、ある見落としをしていた。
それは、自分達が巨人であり、作る武具もまた、巨人用のサイズであるという事を……。
●タビタビと職人さんからのご依頼
タビタビ・マタタビ(猫勇者一歩手前・f10770)は、新たな世界の危機……『エンドブレイカーの戦い』へと猟兵達を誘った。
「今度みんなに行ってもらいたいのは、『骸殻工房ガルシェン』だよ。超巨大な獣の骨の中を中心に建設された、巨人達の都市国家なんだって」
『骸殻荒野』と称されたのも、今は昔。現在は、地上部分に工房街が積み上げられた形で、発展を遂げている。
「ガルシェンの地上部分に建てられた街には、武器とか防具とかの工房が、たくさんあるんだ。そこにいる鍛冶職人さんはみんな腕がいいから、11の怪物の中でも最強っぽい『バシュム』の毒液に対抗できる装備も作ってもらえるはずだよ!」
ただし、一つ問題がある。
鍛冶職人は巨人であり、『身長8メートルの巨人』向けの武装しか作ったことがないということ。
「ここは猟兵のみんなが協力して、いい感じのサイズで、毒に対抗できる武具……『対毒武装』を作ってもらおう!」
色々とアドバイスしつつ、自分に相応しい武器防具を発注するのだ。
鍛冶師達は巨人だが、タビタビのようなケットシーなど、小さな種族用の装備も作ることが出来るらしい。
世の中には、硬貨やつまようじサイズの、精緻な作品を作ることのできるひと達がいる。巨人の鍛冶師達も、そういった、卓越した技術の持ち主と考えてよいだろう。
「職人さんにもいろいろな人がいるから、まずは自分に合いそうな巨人さんを探すところから、だね! あと、武具にかっこいい名前を付けるのも大事だよ!」
そうしてタビタビは、猟兵達を、巨人達の住まう街へと導くのだった。
七尾マサムネ
これは「エンドブレイカーの戦い」における戦争シナリオです。
一章のみで完結します。
●プレイングボーナス
巨人の職人と一緒に、自分にぴったりの「対毒武装」を開発する。
武器か防具か、また、どんな名前や形状なのかに加え、毒を防ぐ機能についてもアイディアがあるといっそう良いと思われます。
なお、今回のシナリオの結果でアイテムが発行されることはありませんが、これを元に、皆さん自身でアイテムを作っていただいて構いません。
それでは皆様の素敵なアイディア、お待ちしております!
第1章 日常
『巨人の武器工房』
|
POW : 巨人と一緒に鎚を振るい、武装を自作する
SPD : 武装を試し振りし、使い心地を確かめて調整する
WIZ : 職人と話し合い、武装の設計を考える
イラスト:純志
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
サーシャ・エーレンベルク
世界を滅ぼすほどの毒、なんて対処法あるのかしら……。
まあ、ここは自分の得意分野を極めるのが最良よね。できるだけやってみましょう。
巨人たちに私の持ってる竜騎兵サーベルと同じ形状のサーベルを製造してもらいましょう。
製造してもらったら、刀身に極限の冷気のオーラを纏わせて、全てを凍りつかせる氷結のサーベルを作る。
あらゆる物質が分子運動を停止させる絶対零度、毒でさえも例外じゃない。
凍りついた毒には氷が纏わりついて、直接的な肉体的接触ができなくなるようにしてみるわ。
それにしても、とても器用なのね巨人のみんな。
……耐毒武装だけじゃなくて、専用武器とか後で依頼できたら良いわよね。
工房ひしめく巨人街、ガルシェンを訪れたサーシャ・エーレンベルク(白き剣・f39904)。
その表情は、怪物バシュムの恐るべき力への懸念で満ちていた。
「世界を滅ぼすほどの毒、なんて、対処法あるのかしら……。まあ、ここは自分の得意分野を極めるのが最良よね」
できるだけやってみましょう、と、サーシャが訪ねたのは、武器工房の1つ。
中からは、鎚の音がリズムよく響いてくる。
「おや、どんな武器がご入用で……と、ずいぶん小さなお客さんだ」
休憩中の鍛冶師達が、サーシャを出迎える。皆、立派な髭をたたえている。どこかドワーフ族を想起させる外見だ。
サーシャは、さっそく事情を説明した。毒を扱うバシュムに対抗するための……自分にも扱えるサイズの……武器を製造してほしいという事。
そして、サーシャが提示したのは、自身の持つ竜騎兵サーベルと同形状のサーベルだった。
「小さいサイズか。少し不慣れだが、その分やりがいのある依頼だ。任せてくれ!」
巨人の鍛冶師達は、二つ返事でサーシャの依頼を引き受けた。
彼らがいつも手掛けているものより、ずっと小型だ。だが、そこに注がれる心血と技術になんら差異はない。
むしろ普段より丁寧に……更なる精緻さを以て、依頼品は完成した。
「どうだ? 生き写しだろう?」
鍛冶師から渡された新・サーベルは、その言葉どおり、複製であるかのような出来栄えだった。
残るは、総仕上げ。
サーシャは、刀身に、極限なる冷気のオーラを纏わせた。
最後に魂を入れるが如く、サーシャによって、全てを凍りつかせる氷結のサーベルが完成した。
煌めく刀身。そこから発せられる冷気は、あらゆる物質が分子運動を停止させる、絶対零度にまで至る。物質である以上、バシュムの毒でさえも、例外ではないはず。
加えて、一度凍結された毒には、氷が纏わりつき、直接的な肉体的接触を不可能にすることまで想定してある。それも全て、巨人の確かな技術があってこそ可能となったのだ。
巨人用の試験場を借りて、試し振り。その凍結能力の確かさを実感しながら、サーシャが賛辞を贈る。
「それにしても、とても器用なのね巨人のみんな」
「まあ、これだけが取り柄だからな」
「小さいから作れません、じゃ、職人の名が泣くってもんだ」
謙遜と自信の入り混じった鍛冶師達の言葉に、サーシャが微笑む。
この剣だけじゃもったいない、専用武器とかも後で依頼できたら良いわよね、と。
大成功
🔵🔵🔵
ジークリット・ヴォルフガング
【狼ナノ】
まるで自分自身が小さくなってしまったか錯覚する巨大な工房だな
だが、巨人も手先が器用なのか我々で言えば、フィギュアを作るような繊細な技術を持ち合わせてるのは確かか
…うむ、まずはこの店から当たるか
行くぞ、ナノ
私が探し求めるのは呪的な魔力を帯びた素材を扱う工房
未知の毒液を吐く怪物が相手なら、ここの住人である職人の知識を借りねばだ
モジュラーアーマー用の換装用装甲、無毒化する力を応用して逆に自浄させる力を有した剣を一振り所望しよう
銘はそうだな…白銀の材質に因んでシロガネとでも名付けよう
職人が対毒武具を鍛造して完成するまでの暇潰しだ
端材の利用して私の可愛いサーヴァントに似合うモノでも作ってやろう
ナノ・ナーノ
【狼ナノ】
なのなのー
巨人さんが住んでいる所だけあって、すっごく大きい街なの!
ジークと一緒にボクもお店探しをするなのー
なの?
この工房にするなの?
軒先に可愛いお人形さんが何人も並んでいる工房なのー
きっと手先が器用な巨人の職人さんが居る工房で間違いないなのー
なのなの、ジークの目の付け所は良いなの
きっと良い対毒武装が出来るなのー(何かをおねだりするような眼差し攻撃
ボクの対毒武装も作ってくれるのなの?
わーい、ありがとうなのー!
ボクは異世界転生で言えば従者枠のようだけど、こう見えても魔法使いなの
魔法の杖や|お守り《タリスマン》をお願いするなの
完成したなの
オトモ装備…って、ジーク
それ以上言っちゃいけないなの
都市国家ガルシェン。
巨人達の住まう街並みを、歩き……もとい、ふわふわ進むナノ・ナーノ(ナノナノなの・f41032)が、建物を見上げて、羽をひらひらさせた。
「なのなのー。巨人さんが住んでいる所だけあって、すっごく大きい街なの!」
ナノナノのナノからすれば、超高層だ。
これだと巨人に気づかれないうちに跳ね飛ばされそうだし、そもそもその事自体にすら気づかれない恐れもある。気を付けないと。
きょろきょろするナノから目を離さないようにしながら、ジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・f40843)もまた、街並みや、そこを行き交う巨人の姿を眺めていた。
「確かに、まるで自分自身が小さくなってしまったかと錯覚する、巨大な工房だな」
さながら、ジークリット達は街を彩るミニチュアだ。
だが、この街の巨人達は、ただ者ではない。
鍛冶師としての腕の確かさ。そして何より、ジークリット達に置き換えれば、フィギュアや、その装飾品を作るような繊細な技術を持ち合わせている。
未知の毒液を吐く怪物が相手なら、ここの住人である職人の知識を借りねばならない。
武器に防具、アクセサリー。
数多並ぶ工房の中から、ジークリットは、ある一軒を選び出した。
「……うむ、まずはこの店から当たるか。行くぞ、ナノ」
ジークリットが探し求めるのは、ただの工房ではない。呪的な魔力を帯びた素材を扱う店。
「なの? この工房にするなの?」
ジークリットの目に留まった店を確かめるナノ。
軒先には、可愛い人形が何人も並んでいた。どれも人形そのものの出来は言うに及ばず、 衣服、装飾品に至るまで、技術とこだわりが見て取れる逸品だ。
「きっと手先が器用な巨人の職人さんが居る工房で間違いないなのー」
ボクの目に狂いはないの。ナノはなんだか自慢げに胸を張ると、ジークリットの背中を追って、ふわふわと入店。
「わあ、大きいなの」
ナノが、思わず声を上げるのも無理はなかった。
店内に飾られた武具類の数々もまた、巨人サイズでナノを見下ろしていたからだ。
「迂闊に触れるなよ」
ナノに釘を刺しながら、ジークリットは鍛冶師の元へ。
「いらっしゃい。どんなものをご所望かな? ……っと、アンタはもしやエンドブレイカー……いや、猟兵か?」
察してくれるのなら話は早い。
ジークリットは、ここを訪れた事情を説明すると、剣を一振り所望した。
それも、モジュラーアーマー用の換装用装甲……無毒化する力を応用して逆に自浄させる力を有したものを。
「ふぅむ。普段作ってるのと勝手が違うからな。少しばかり時間をもらうが、構わないか?」
「もちろん」
「なら任せてくれ。名剣の使い手にしてやる」
ジークリットの注文を聞いて、ナノもしきりにうなずき、感心するような仕草。
「なのなの、ジークの目の付け所は良いなの。きっと良い対毒武装が出来るなのー」
ちらちらっ。
言いながら、ジークリットに視線を送るナノ。それは、何かをおねだりするような眼差し攻撃……。
「…………」
職人が対毒武具を鍛造して完成するまでには、実際、時間がある。
そこで、ジークリットは、手すきの鍛冶師に頼むと、端材を利用して、可愛いサーヴァント……ナノに似合うモノを作り上げる事にした。暇つぶしにはちょうどいい。
それを見たナノは、ぱあっ、と笑顔の花を咲かせた。
「ボクの対毒武装も作ってくれるのなの? わーい、ありがとうなのー!」
ナノは、いわゆる異世界転生もので言えば従者枠のようなものだけど、こう見えても魔法使い。しかも、優秀な。
そこで、ナノがリクエストしたのは、魔法の杖や|お守り《タリスマン》。
作成してくれるのは、店先で見た人形を手掛けた職人だ。間違いない。
「完成したなの!」
じゃーん!
果たして、ナノ用にあつらえられたのは、なんか小さくて可愛い感じの魔法使い衣装一式だった。
似合うし、割と立派。
「ふむ、これはちょうどオトモ装……むぐ」
「ジーク、それ以上言っちゃいけないなの」
ナノが、ジークリットの口を、出来立ての杖(可愛い)でふさいだ。
「できたぞい」
やがて、鍛造を終えた鍛冶師が、ジークリットのもとに剣を持ってくる。
「わあ、ホントにジーク用のサイズなの。すごいのー」
ナノが興味津々で見守る中、立派な鞘から姿を現した剣は、まさに勇者の手に収まるべき威容。
「要望を聞き入れてくれて、感謝する」
「騎士さんの手に馴染むといいんだが」
「ああ、問題ない。銘はそうだな……白銀の材質に因んでシロガネとでも名付けよう」
ジークリットに応えるように、剣……シロガネは、きらりと輝いたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
うーん、毒に対抗する武装かー。
防ぐのに全身覆うってのは趣味じゃないし、武器の方がいいかな。
武器工房、特に生き物由来の素材の扱いが上手い所を探そうか。
さて、どんな武器にしようか。
触れたら危ない毒で体を覆う奴とかいるし飛び道具の方がいいよね。
毒霧とか毒ガスを撒かれた時は、風を起こして押し返すといいかな。
となると、投げると風で周囲の空気ごと毒を吸い込みながら飛んでいく投槍とか?
槍の表面に溝とか彫って風の渦を作る感じかな。
あ、大きさはそんなに気にしなくてもいいよ。
巨人さんが普段使ってるサイズでも多分あたし持てるし。
あとは名前かあ。
うーん、竜巻を起こす投槍……「ティフォン・スティンガー」とかどうかな。
「うーん、毒に対抗する武装かー」
ガルシェンを訪れたペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は、自分ならどんな武具がいいだろうかと、思案していた。
「防ぐのに全身覆うってのは趣味じゃないし、武器の方がいいかな」
そう決めると、ペトは、武器工房……中でも、生物由来の素材の扱いに長けた職人のいる場所を探し求めた。
巨人達への聞き込みで、希望に沿う工房を訪れたペトは、鍛冶師に、今回の依頼内容を説明した。
鍛冶師は、あごひげを撫でながら、しきりに頷いた。
「なるほどなあ。そいつは面白そうだ。で、具体的にはどうするね?」
そうだね、とペトは、思い描く武器を語る。
「触れたら危ない毒で体を覆う奴とかいるし、飛び道具の方がいいよね。毒霧とか毒ガスを撒かれた時は、風を起こして押し返すといいかな」
「ほうほう」
ペトのアイディアを、逐一書き留めていく鍛冶師。
「となると、弓矢よりは槍あたりがよさそうだな?」
「うん、投げると風で周囲の空気ごと毒を吸い込みながら飛んでいく投槍とか?」
槍の表面に溝とか彫って、風の渦を作る感じかな、と、身振り手振りで効果を表現するペト。
鍛冶師も、武器のイメージが固まってきたらしい。
ささっ、とラフな図面を書き起こすと、ペトをじっ、と見つめる。
「お前さんに合うようなサイズにするから、少し時間をもらうがいいか?」
「あ、大きさはそんなに気にしなくてもいいよ」
え? と聞き返す巨人鍛冶師に、ペトは、手を左右に振った。
「巨人さんが普段使ってるサイズでも多分あたし持てるし」
「いいのか? そんなら楽勝だが。出来上がりを楽しみにしてな」
いざ、作成開始。
鍛冶師の気合の声の後、鎚打つ音が響いたり、何やら怪しい音が鳴ったり。
きっと、魔法的な力をこめる儀式的なものの音だろう、とペトは納得した。
しばらく後、ペトの目の前には、真新しい一本の槍が置かれていた。
「どうだ? 遠慮なくワシら巨人用で作ってみたが」
ひょい、と、怪力で、投槍を持ち上げるペト。
「別に軽量化技術は使ってないんだが、スゲエな……で、名前はどうする?」
「名前かあ。うーん、竜巻を起こす投槍……『ティフォン・スティンガー』とかどうかな」
「お、そいつはいい名だな!」
ガハハ、と笑う鍛冶師。
その手より生み出された槍もまた、ペトの名づけを喜ぶように、切っ先をきらっと輝かせたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
うーん…そうだなぁ
正直僕って防御の方はからっきしなんだよね
いつもオーラ防御か武器を盾にするしかなくてちょっと心もとないから…
防御に適した装備があるといいのかも
ただ、あの、ごめんなさい
僕凄く、その…力弱くて
飛んで戦うのが主体だし、出来る限り軽いと嬉しいなぁ…って
あとは使うかわからないけど左二の腕はいつでも出せて
耳と口元はいつでも出せる形状…
例えばだけど、口元を隠したり出したり出来る羽織とかって
作れたりします?
ちょっとこの世界にある材質がまだ把握しきれてないんだけど
名前…うーん……今回はシンプルで良い気もするなぁ
浄化の衣とか
巨人さんが細かい作業してるのってとっても興味深い…
器用だぁ、すごぉい
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、ガルシェンの装飾工房のカウンターに座り、巨人の職人と対面していた。
もちろん、対毒武装の作成を依頼するためだ。
「事情はわかったよ。小型の武具を作って欲しいと。それで、どんなものがいいさね?」
依頼を承諾してくれた赤毛の女職人の問いに、澪は少し思案した。
「うーん……そうだなぁ。正直僕って、防御の方はからっきしなんだよね」
実際の戦いを振り返る。
多くの場面で、オーラや武器を盾にするケースが多いのは、少しばかり心もとなく感じていた。
それを考えると、攻撃用よりも、自身の防御に適した装備があるといいのかもしれない。
「なるほど防具か」
「はい。ただ、あの、ごめんなさい。僕凄く、その……力弱くて」
申し訳なさそうに、職人にリクエストする澪。
「飛んで戦うのが主体だし、出来る限り軽いと嬉しいなぁ……って」
「そうか。みるからに華奢だものねえ」
巨人からすれば、澪達は等しく小人なのだろうが、中でも澪は繊細な方だと感じたようだ。
「任せな、腕の見せ所さね」
それから澪は、具体的なデザインについて説明する。
左の二の腕はいつでも出せて、それから、耳と口元もいつでも出せる形状。
「例えばだけど、口元を隠したり出したり出来る羽織とかって作れたりします? ちょっとこの世界にある材質がまだ把握しきれてないんだけど」
「安心しな。もしちょうどいいのがなかったら、他の工房から融通してもらうさ」
頼もしい。
この職人達なら、どんな用途の武具……たとえば、宇宙戦用の武器も作れてしまうのでは? そう思える頼もしさである。
「あとはそうだね、いい名前を付けてやんなよ」
「名前……うーん……」
澪は思考をフル回転。
「今回はシンプルで良い気もするなぁ。『浄化の衣』とか」
「よし、それだ」
そういうと、職人は、早速作成に取り掛かった。
適正な素材のチョイスに始まり、採寸を行い、いざ着手。
手に取るのは鎚ではなく、針と糸。それも、出来る限り小さな裁縫道具。今回の為に用意されたものだろう。
作業を見ていても構わない、という事なので、傍らでじっくり観察させてもらう澪。
大きな体で、ちくちく、細かい作業に勤しむ様子は、興味深い。
「器用だぁ、すごぉい」
「そう褒めるなよ」
照れる巨人の姿は、妙に愛らしく見えた。
実質2人の合作として完成した衣は、澪の願いを叶えた、素敵な出来栄えとなった。
大成功
🔵🔵🔵
水無月・呉葉
巨人の都市だけあって何から何までデカイのう……。
(街並みを見上げながら)
そして、毒液に対抗する武具か……。
では、わしはサーコートのような
外套を作ってもらおうかの。
わしは重い武具の類は苦手なんじゃが、
外套ならばいい感じに毒液を凌げるじゃろ。
デザインは動きやすさを重視しようかの。
わしは人間サイズの種族でも小さい方なんじゃが、
ぴったり合わせてもらえると嬉しいの。
毒液だけでなく、炎や冷気も凌げればよいのじゃが。
欲を言えば、なまくらな刃では傷一つ付けられない、
とかそういうのは無理かの?
注文が多くてスマンのう……。
名前は『ブレイブ・クローク』とかどうじゃろ?
アドリブ等歓迎です。
巨人都市、ガルシェンを行く水無月・呉葉(妖狐の符術士・f41328)。
「巨人の都市だけあって何から何までデカイのう……」
発展した街並みを見上げ、つぶやく呉葉。行きかう巨人達が、呉葉に気づくと、そっと歩いてくれるのが、ありがたくもなんだか面白かった。
そして呉葉が訪ねたのは、一軒の防具工房。
毒液に対抗する武具。呉葉はそこで働く女巨人に、サーコートのような外套の作成を依頼した。
「はい、こういうものでいい?」
職人が紙におこしたおおまかなシルエットを、確認する呉葉。
「そうそう、これじゃ。わしは重い武具の類は苦手なんじゃが、外套ならばいい感じに毒液を凌げるじゃろうと思ってな」
「なら、出来るだけ軽い素材を見繕うとしましょう」
あとは、デザインを詰めていく。
「やはり重視するのは動きやすさかの。わしは人間サイズの種族でも小さい方なんじゃが、ぴったり合わせてもらえると嬉しいの」
「じゃあ、少し失礼するわね♪」
職人は、呉葉を採寸した。
なんだか人形になったみたいじゃの、と不思議な感覚になる。
「あとは、毒液だけでなく、炎や冷気も凌げればよいのじゃが。欲を言えば、なまくらな刃では傷一つ付けられない、とかそういうのは無理かの?」
「なまくらくらいなら、どうにかなるわね。素材と縫製をどうにかして……うんうん」
職人の図面が、どんどんと書き込まれていく。
「注文が多くてスマンのう……」
「巨人の服や防具を仕立てているばかりだから、たまに違うものを作るのもいい刺激よ。これくらいの方が挑戦し甲斐があっていいわ」
恐縮する呉葉に、職人はウインクしてみせた。
とんてんかん。なんて勇ましい音は鳴らず、あくまで静かに、クロークが仕立て上げられていく。
巨人にしてみれば、着せ替え人形の服を作っているようなものなのだろう。だが、そこに注がれる技術は、確かなものだ。
「はい、これでどうかしら?」
完成したクロークを試着する呉葉。
フィット感は、呉葉が想像していたとおり……いや、それ以上かもしれない。
試しとして、店にあった鋭い端材……それでも呉葉的には十分大剣だったが……で切り付けてもらったが、表面にはかすり傷1つつかない。
「あとはそうじゃな、名前か……『ブレイブ・クローク』とかどうじゃろ?」
「いいわね、これで完成ね♪」
呉葉は、得意げな表情で、くるりと回って見せたのだった。
世界に毒を振りまくバシュムとの対決。
その時は、もう間近に迫っている。
大成功
🔵🔵🔵