エンドブレイカーの戦い⑧〜ははへささぐ宴
エンドブレイカー世界を狙う『11の怪物』、そのうち8柱が一気に動き出した。
それはつまり、今までエンドブレイカー達と猟兵達が倒した『ギルタブリル』『ムシュマフ』『ウームー・ダブルートゥ』の3体を除く、全ての怪物がこの世界に襲来してくるということに他ならない。
これを『エンドブレイカーの戦い』と称し、全猟兵達が戦力を注ぐ大決戦に発展した。
「もしも敗北すると、元々この世界にいたエンドブレイカーを含め、全ての猟兵が他の世界に放逐されちゃうよっ! そうなったら、エンドブレイカー世界は猟兵達の手が届かないエリクシルの魔神の拠点になって、各世界への侵略を本格的に開始しちゃう!」
グリモア猟兵の蛇塚・レモン(白き蛇神憑きのシャーマンクイーン・f05152)は、グリモアベースに集まってくれた猟兵達へ説明すると、今回の任務内容を話し始めた。
曰く、巨大な二本の天津太刀を頂く『霊峰アマツ』を中心に広がる、独自の文化を持つ東方の都市国家『霊峰天舞アマツカグラ』が今回の任務の舞台だ。かつてこの都市国家の地下深くに広がる『奈落』には、棘に侵され大魔女の配下にされた『|此華咲夜若津姫《このはなのさくやびめ》』が封じられていた。
人類の魔女『此華咲夜若津姫』は既に亡くなったが、彼女の“ぼうや達”に対する慈愛は今なおこの地に残されている。そのためか、アマツカグラ地下に広がる『奈落』で賑やかな大宴会を行い、彼女に猟兵達の「元気な姿」を示すことで、今後の戦いに有利に働く「何らかの加護」が得られる可能性が予知されたのだ……!
「要するに、宴会をするだけで今後の戦況が良くなるってことだよっ! これなら初心者さんでも、戦闘が苦手な猟兵さんでも気軽に参加できるねっ!」
レモンは早速、アマツカグラへの転送準備を開始する。
「この戦いに勝つために必要な宴だから、盛大に開催してほしいなっ! ただし、公序良俗違反は駄目だよっ!」
念の為に忠告をすると、レモンのグリモアが黄金色に輝くのであった。
七転 十五起
エンドブレイカー世界での戦争シナリオ第一弾です。
まずは決起集会がてら、アマツカグラで大宴会に興じましょう!
なぎてん はねおきです。
●プレイングボーナス:宴会に参加し、盛り上がる。
非常に難易度の低いシナリオですので、初心者さんや戦闘シナリオが苦手な猟兵さんでも活躍できます。
是非、お気軽にご参加いただきたいと思います。
●その他
コンビやチームなど複数名様でのご参加を検討される場合は、必ずプレイング冒頭部分に【お相手の呼称とID】若しくは【チーム名】を明記していただきますよう、お願い致します。
(大人数での場合は、チームの総勢が何名様かをプレイング内に添えていただければ、全員のプレイングが出揃うまで待つことも可能ですが、その際は参加者全員のオーバーロード投稿を強く推奨します)
なお、本シナリオは戦争の進行状況に応じて、全てのプレイングを採用できない可能性があります。
予めご了承くださいませ。
それでは、皆様の賑やかなプレイングをお待ちしてます!
第1章 日常
『奈落大宴会』
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POW : 豪勢な宴会料理を楽しむ
SPD : 宴会芸や話芸で場を盛り上げる
WIZ : 自慢の料理や飲み物を持ち込み、給仕する
イラスト:麦白子
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
箒星・仄々
そうですね
行動は心から生まれます
想いや誓いがあるからこそ
その想いに動かされてヒトは行動する
誓いを果す為に困難へ立ち向かい挑むことができる
決して諦観や絶望に苛まれず
自分と仲間を信じて未来へ進んでいく
決して諦めず魔神へ抗う
大変な状況の今だからこそ
そんな想いを確かめ
誓いを新たにする宴会が
きっと力を生むのでしょう
だから今は思いっきり弾けて楽しみます
リートを奏でて歌って踊りましょう!
今、一緒に楽しんでいる皆が
未来へと進む同志ですよ♪
此華咲夜若津姫さまへ
想いはきっと届きますね♪
テオドール・グランゼイ
いやぁ、みんな戦争で奮闘している時に宴会だなんて、なんだか悪いね。それにしても、他人が労働に勤しんでいる姿を想いながら飲む酒はどうしてこうも美味しいんだろうね?せっかくだし、|影達《げぼく》に料理でも作らせてみんなに振舞おうか。
そこの君、浮かない顔をしてどうしたんだい?なに?「みんなが頑張っている時にこんな事をしていていいのか」だって?それは間違った考えだね。俺達はこうやって飲み食いすることで、今戦っているみんなが後々楽になるように援護をしているのさ。今、俺達は戦っているのと同じくらい、いや、それ以上に頑張っていると言っても過言じゃないよ。ほら、難しいことは考えず、今は宴会を楽しもうじゃないか
アレフ・フール
宴会…か
異世界の戦争らしいが…こういう戦い方もあるのだな
…少々悔しい思いもしたからせめて食を楽しむとしよう
今回は基本的に食事を楽しむことにする
この悔しさも無念も晴らすには英気を養えばならぬからな
いずれわしが失った技能も力も…取り戻して見せん
…しかし…アマツカグラ料理というのか
美味しいものだな…
…む?(憤怒の獄炎が不意にちらりと炎を伸ばし…料理の一つだけを不意に取り込む
………………此奴…生きている…?いやまさかな…
(でも少し興味を持ってか料理を与えてみるがやはり料理だけを取り込んでいる
…まぁ良い
わしも楽しむとしよう
うむ…此処の料理は美味いな…わしに取り憑く炎さえ魅了するように…
テオドール・グランゼイ(|夜渡り《エンドウォーカー》・f41234)は荘厳で巨大な二本の天津太刀を頂く『霊峰アマツ』を背に、アマツカグラ産の米酒を桐の枡で呷っていた。
「はぁ……いやぁ、みんな戦争で奮闘している時に宴会だなんて、なんだか悪いね。それにしても、他人が労働に勤しんでいる姿を想いながら飲む酒はどうしてこうも美味しいんだろうね?」
まさに夢見心地。戦闘依頼もこなすことはこなすが、宴会するだけね後々なんかパワーアップできそうなんて話を聞いたら、断然こちらの方が効率がいいに決まっていた。
「こうして酒を飲んで美味しい料理を食べてるだけでいいなんてね。『|此華咲夜若津姫《このはなのさくやびめ》』様に感謝だね。そうだ、せっかくだし、|影達《げぼく》に料理でも作らせてみんなに振舞おうか」
テオドールは思い立ったが吉日とばかりに、早速ユーベルコード『|主から離れて影は踊る《コンビニエント・サーヴァント》』で召喚した、9体のスーツ姿の影達に調理を依頼する。
「それじゃ、後は任せたよ」
9体の影がいそいそと食材の買い出しに向かってゆく。
「あ、料理ってそこからなんだね」
テオドールは料理技能Lv.100の影達のこだわりを感じ取っていた。
アマツカグラは食材が他の地域と比べて独特であり、海産物や独自の調理法など多彩だ。
影達もそれを瞬時に理解したのか、意気揚々と市場へ向かっていったのだった。
勿論、地元の人々が猟兵達に随時食事と酒を提供してくれている。
テオドールは影達の帰りをゆっくり待つことにした。
ところ変わって、アレフ・フール(愚者・f40806)は気難しそうに顔をしかめながら宴に混ざっていた。
「宴会……か。異世界の戦争らしいが……こういう戦い方もあるのだな」
アレフにとって闘争は血で血を洗うものだ。故に、ただ飲み食いするだけで戦況が良くなるなんてムシのいい話があること自体が驚きだった。
「それに……少々悔しい思いもしたから、せめて食を楽しむとしよう」
アレフは猟兵に目覚めてからというもの、なにかと不運やトラブルに遭遇し続けてきた。
本来ならば彼はケルベロスディバイド世界で精神病棟送りだったはずだが、今回の戦争の内容がディバイド世界にも伝わったため、特例としてアレフは“釈放”されたのだ。
そんな陰鬱な気持ちを晴らすべく、目の前の重箱の中身を箸で摘まんだ。
「これは……なんだ?」
見たことのない料理に、思わずアレフは目を据えてしまう。
意を決して口に運んだ次の瞬間、彼の舌の上で味覚が爆発した。
「……っ! な、なんて美味いんだ……! こ、こっちはどうだ? んんっ! これも美味い……! どうなってるんだ? 世の中にはこんなに美味いものがあるのか……?」
アレフにはところどころ記憶の欠落が見られる。
故に、この美味なるものも以前から知っていたのかもしれない……なんて彼はふと思ってしまった。
「いずれ、記憶と共にわしが失った技能も力も……取り戻してみせん。……それにしても……アマツカグラ料理というのか、これらは。美味しいものだな……」
ひとり黙々と口に運んでいると、そこへ箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)がやってきた。
「すみません、すこしあなたの話が耳に入ってしまったので」
そう前置きを置いた箒星は、アレフへ正直な意見を述べた。
「そうですね。人というものは……行動は心から生まれます。想いや誓いがあるからこそ、その想いに動かされてヒトは行動する。誓いを果す為に困難へ立ち向かい挑むことができる」
アレフへの意見は、やがてアマツカグラの人々やその場にいる猟兵達への語り掛けになってゆく。
「決して諦観や絶望に苛まれず、自分と仲間を信じて未来へ進んでいく。決して諦めず魔神へ抗う。大変な状況の今だからこそ、そんな想いを確かめ、誓いを新たにする宴会がきっと力を生むのでしょう」
箒星はカッツェンリート……蒸気魔導機関が搭載された可変型竪琴を掲げて宣言した。
「だから今は、思いっきり弾けて楽しみます。このリートを奏でて、私は歌って踊りましょう! 今、一緒に楽しんでいる皆が未来へと進む同志ですよ♪」
箒星はユーベルコード『シンフォニック・キュア』を歌声に乗せ、聞いた人々の心身の傷を癒してゆく。
これはアレフの心の疵にも作用し、彼の内なる存在へ影響を与えた。
「なんだったのだ、あの黒猫は……ん?」
アレフは自らの意思とは関係なく獄炎が身体から放たれたことに首を傾げる。
そして獄炎が小さな手の形状に象られると、その手が重箱の中の料理を取り込むように平らげたのだ。
「………………此奴……生きている……? いやまさかな……」
自身の中には、アレフが殺したはずのオブリビオン『憤怒の愚者』を封じている。
しかし猟兵に覚醒してから、どうも『愚者』が活性化している気がしていた。
それが目の前で証明された瞬間である。
「……腹が減っておるのか? ほれ、カマボコという食べ物だぞ、食うか……?」
アレフが箸で摘まんだ紅白のカマボコを、炎の手が掴んで取り込んでいった。
「やはり……どうしたものか……」
自分の中のオブリビオンが、今後どう作用するか。考えただけでも頭が痛くなってくる。
そんな暗い空気を察知したのが、テオドールである。
「そこの君、浮かない顔をしてどうしたんだい?」
「……なっ?」
急に陽キャムーブで話しかけてきたテオドールに、陰キャドワーフ男子はしどろもどろになってしまう。
「あぁ、ああ……その、だな……? みなが頑張っている時に、わしはこんな事をしていていいのか? わしはやはり……戦いに身を投じなくては価値がないのではなかろうか……?」
自身の中の目覚めかけているオブリビオン『憤怒の愚者』の復活は、このような平穏を壊してしまうかもしれない。
ならば戦いに明け暮れ、獣のように敵を喰らい尽くすのがお似合いだ……とアレフは自嘲気味に語った。
しかし、それをテオドールは否定する。
「それは間違った考えだね。俺達はこうやって飲み食いすることで、今戦っているみんなが後々楽になるように援護をしているのさ。今、俺達は戦っているのと同じくらい、いや、それ以上に頑張っていると言っても過言じゃないよ。ほら、難しいことは考えず、今は宴会を楽しもうじゃないか」
「そうですよ。今は此華咲夜若津姫さまへ元気なところを見せないとですよ。あなたの元気な姿も此華咲夜若津姫さまは見たいはずです。きっと想いは届きますよ♪」
箒星の後押しもあって、アレフはようやく顔を上げた。
「わかった……ならば……わしも楽しむとしよう。うむ……やはり此処の料理は美味いな……わしに取り憑く炎さえ魅了するように……」
「そうそう、楽しもうか。ちょうど俺の|影達《げぼく》が買い物から帰ってきたね。みんな、ここからは俺の|影達《げぼく》が料理を振舞うから期待しててね」
テオドールの影達は大量の鮮魚と米と酢を買い込んできた。
どうやら、アマツカグラ名物のスシを握るようだ。
色とりどりのスシネタを握る真っ黒なスーツ集団とスシの歌を即興で歌い上げる箒星の異色コラボが実現。
その横でアレフが出来上がったスシをすかさず爆食いしまくっていた。
「美味い……スシ、美味すぎる……! 美味すぎて死んでしまう……! あむ、もぐ……いい加減にしろ……!」
「スシを美味すぎるからって説教する人を初めて見た! ふふふ……!」
スシの美味さにクレームをつけるアレフに、テオドールは思わず噴き出してしまった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アルマ・アルカレイト
チーム錬金術士
属性攻撃…刹那の無限回転を発動
よーしここは派手な一発芸を…はっ!
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=48093の出来事が頭に浮かんだ
…やらかした事をまたやる所だったわ
前は出禁回避したけど今度はレモンさんにまで出禁貰ったら不味いわ…!
(https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=51401の事もあるので)
新たな一発芸を考える
一発芸をしま〜す!
ちょっ?!あの時の爆破はしないわよ?!
指定UCを発動して錬金術の世界を展開する
ブルーシートの上でそこそこのサイズの氷像を作った
地味だけど…嫌われるのは、嫌だよ…
東・慶喜
チーム錬金術士
アルマ…あっあの顔はあの時見たいに爆破するつもりやないか?!
アルマが一発芸をしようとしたので止めようとすると、どうやら分かっていたようなので大人しく引き下がる
許可を貰った上でブルーシートに3体の氷像を作っていたが…
ヒサ…一緒に居たかったな
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=48485で攫われた仲間である緋智の氷像の1つにあった事に気付く
とりあえず…先にこの戦争を終わらせないとな!
俺はジュースを飲みながらこの戦争を終わらせる事を誓った
俺もちょっと空気読めるようになるか…
アルマが小声で本音を言った事は気づいていたがあえて知らないふりをした
高柳・源三郎
宴会あるところに高柳あり!という気持ちで会場に行きます。
高い宴会技能と旅芸人としての経験で宴会の場を盛り上げます。
もちろん自身が酒を楽しむのを忘れずに宴会に不慣れな人にはユーベルコード「高柳一座の小道具」で生み出した宴会用の小物(皿や器など)を待たせて宴会技能を100にして宴会を楽しむようにサポートします。
カシム・ディーン
ひゃっはー!宴会だぁ!
「ご主人サマ!アマツカグラだよ!EB世界の和風代表だよ!クロキャバでいうならジャパニアだぞ☆」
いやクロキャバだと日乃和とか日出国とか和風な国多いじゃねーか
「ライバルだぞ☆」
しかし此華咲夜若津姫か…
「何度も何度も戦ったねー☆」
色々質問させてもらったな
本来ならスケベフェスティバル開催してー処だが
「レモンちゃんにダメって言われちゃったしねー…!」
それならうめーもんカーニバルだこのやろー!
UC発動!
「「うぇーい☆ジャパニア料理の出番だー☆」」
2/3が料理開始!
料理
ソースカツ丼
上州御用釜飯
太田焼きそば
高崎パスタ
焼きまんじゅう
味噌パン
割とジャンクだな?(むっしゃぁ!
「でも美味しいでしょ☆」
んなわけ…く…このカシムさん…味覚に嘘はつけねぇ気がしてきた!
確かに美味ぇ!
残りのメルシー軍団はジャパニアの歌を歌ったりダンス!
「ジャパニア名物の天然物のスシをご用意だぞ☆」
マグロの解体ショーからお寿司を握って配膳☆
おめーが作ったスシだぁ?…く…美味ぇ…!いいネタ使ってやがる
費用は後で請求!
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は宴会と聞いて張り切って会場へ乱入してきた。
「ひゃっはー! 宴会だぁ! つまりタダ飯だぁ!」
「ご主人サマ! アマツカグラだよ! エンドブレイカー世界の和風代表だよ! クロキャバでいうならジャパニアだぞ☆」
相棒のメルシーは既にイクラとウニたっぷりの海鮮丼を掻きこんでいた。
カシムは負けじと鰻丼を見付けてバクバク食い始めた。
「いやクロムキャバリアだと日乃和とか日出国とか、意外と和風な国多いじゃねーか」
「それらはジャパニアのライバルだぞ☆」
カシムとメルシーはしばし海の幸の丼を片っ端から腹に詰め込んでゆく。
恐らく今日の食費を完全に浮かせる気でいるのだろう。
「しかし此華咲夜若津姫か……デビキン以来だな、その名前を聞くの?」
「何度も何度も戦ったねー☆」
「ああ、色々質問させてもらったな」
デビルキングワールドで猟兵と槍を交えた山を越える女巨人。それは自らを此華咲夜若津姫と名乗り、マスカレイドのデビルキングに操られていた。
彼女は自分の正気が残っている間に猟兵達の疑問に答え、この世界への道しるべを与えたのだ。
1年前の出来事とは思えないほど、遠い記憶にも感じた。
「本来ならスケベフェスティバル開催してー処だがなあ……」
「グリモアベースでダメって言われちゃったし?」
カシムとメルシーはこってりした味付けから離れ、今はお出汁のきいたうどんをすすっていた。
「それなら、もっとうめーもん喰い放題カーニバルだ、このやろー!」
カシムはユーベルコードでメルシーを143人のドラグナーガールモードも分身体に増殖させると、彼女達を顎で使って宴会を給仕させ始めた。
「おら! もっとうめーもん持ってこいやー!」
「「うぇーい☆ ジャパニア料理の出番だー☆」」
ドラグナーメルシー達が野外で一斉に調理を開始するのだった。
そんなことだとは知らないでやってきたアルマ・アルカレイト(異世界からの来訪者『無能の錬金術士』・f39594)と東・慶喜(無能の錬金術士の相棒・f40772)の『アルヨシ』コンビ。
メルシー達がじゃんじゃん料理を作っては人々に提供している様子に唖然としてしまっている。
「すごい……! あの人達、前に依頼で一緒になった人だ……うぅ、焼肉屋での出禁の記憶が!」
「相変わらずカシムって奴は派手やなぁ……!」
アルマはカシムとメルシーを見てトラウマを想起し、慶喜はその手際にひたすら感心しっぱなしだ。
「あ、どっかであったカオスの人達だ☆」
メルシーがグンマ名物焼きまんじゅうを配膳しながらアルヨシコンビに遭遇。
「アマツカグラのグンマ名物焼きまんじゅうだぞ☆ 他にもソースカツ丼や釜飯弁当、オオタ焼きそばにタカサキパスタ、ひもかわうどんにミズサワうどんもあるよ! スイーツに味噌ぱんもあるぞ☆」
「つかなんだそのラインナップ? 割とジャンクだな?」
カシム料理を受け取りに着たカシムが思わずツッコミを入れる。
「でも美味しいでしょ☆ ご主人サマ、あーん♥」
メルシーがアルヨシコンビの前でカシムへ焼きまんじゅうを口へ差し出す。
「馬鹿野郎……人前でやんじゃねぇよ! って、くっ……このカシムさん……この香ばしくも甘ったるい味噌の味覚に嘘はつけねぇ気がしてきた! あむっ! ぐぬぅ! 確かに美味ぇ!」
こうしてカシムとメルシーの主従は人前で無自覚イチャイチャを披露し、アルマの顔が真っ赤に染まってゆくのを慶喜はどうしたらいいのか困惑していた。
と、そこへ新たな宴会参加者が登場!
「宴会あるところに高柳あり! 旅芸人『高柳一座』の座長、高柳・源三郎とはわしの事じゃ!」
高柳・源三郎(幕府に目をつけられた|旅芸人《呑んだくれ野郎》・f15710)、本領発揮といわんばかりにほろ酔いで参上!
「これより皆様に披露いたしますは、世にも珍しい狸の舞いじゃ。それではご覧あれじゃ!」
高柳は狸の操り人形「たろう」と「はな」を操り、傘回しや玉乗りなど、まるで生きてるかのように操って宴会客たちを魅了してみせる。
これに触発されたのはアルマだ。
「よーし、ここは派手な一発芸を……」
「あかん! アルマ……あの顔はあの時みたいに爆破するつもりやないか!?」
そういえばつい先日、アルマはアマツカグラの縁日で屋台を吹っ飛ばした罪で拘留されていたのだ。
周囲を警護していたアマツカグラの守衛たちもざわつき始める。
しかし、アルマも流石に同じ轍を踏まない。
「はっ! 危なかったわ……! ……やらかした事をまたやる所だったわ……」
「なんやアルマ、思い留まってくれたんやな?」
慶喜は冷や汗をかきながら安堵の溜息を吐いた。
アルマも深呼吸をして落ち着かせてみせる。
「……この間の焼肉屋は出禁になったけど、もし今度やらかしたらグリモアベースを出禁にされかねないわ」
「さすがにそれはないんやないか? いや知らんけど」
「でも慶喜! 私はかくし芸や一発芸でみんなを盛り上げたいわ! それはこの間やらかしたお詫びにもつながるはずよ!」
「アルマ……お前、知らんうちに空気読めるようになったんやなぁ……」
ストッパーとして振り回され続けていた慶喜、アルマから一生聞くことのない自重の言葉に思わず感涙の泪が溢れる。
と、そこへ高柳が既に泥酔しながら声を掛けてきた。
「うぃ~、なんだかお困りのようじゃな? わしの舞台用小道具でよければかしてやってもいいんじゃが?」
まさかの天の助け!
アルマと慶喜はありがたく高柳の好意に甘える事にした。
高柳は担いでいた小道具収納箱を漁り、二人にピッタリな物を見繕い始める。
「今使えそうな小道具はっと……これなんかどうじゃ?」
差し出されたのは|鑿《のみ》と木槌だった。
「これで何か掘って、像を彫ってみるのはどうじゃ?」
「いいわね! やるわ! 地味だけど、嫌われるよりはずっといいわ!」
「せやったら、俺がでっかい氷を錬金術で作ったるわ! それでアルマが無限回転でその鑿を回転させて彫り進めてゆけばええやん!」
慶喜の提案にアルマも目をキラキラさせて乗っかる事にした。
「じゃが、ただ彫ってるところを見てるのも、やはり味気ないもんじゃな。そうじゃ!」
高柳は「たろう」と「はな」を操り、氷の彫刻を彫る2人を面白おかしく応援し始めた。
「ほれ頑張れ頑張れ! 残暑見舞いに氷の像が出来る一部始終、寄ってらっしゃい見てらっしゃい!」
高柳の見事な口上で、宴会客はアルマと慶喜の作業光景に釘付けだ!
そこへドラグナーメルシー達の一部が合流!
「残りのメルシー軍団はジャパニア歌謡曲を披露して踊れ!」
「「ラジャったよ☆」」
ただの氷の彫刻作業がド派手な演出で注目を浴びてゆく。
アルマも刹那の無限回転で錬成に必要な物質を投影召喚する世界をユーベルコードで展開し、思い通りの氷の形をイメージして掘り進めていった。
そして……。
「できたわ!」
アルマと慶喜の渾身の合作『明日の3人』!
それはアルマと慶喜と、ショートカットの女性の氷像であった。
「ヒサ……、一緒に居たかったな」
慶喜は攫われた仲間「緋智」を氷像に残し、彼女へ想いを馳せる。
そして両頬を思いっきり自ら叩いて気合を入れなおす。
「とりあえず、この戦争を勝たなあかんな!」
「そうじゃそうじゃ。こうして酒を飲んで楽しめば、此華咲夜若津姫も喜んで加護を与えてくるじゃろうからな」
高柳も酒と一緒にメルシーが配膳するアマツカグラ料理に舌鼓を打つ。
「みんなー☆ メルシー達からジャパニア名物の天然物のスシをご用意だぞ☆」
「マグロの解体ショーから切り分けて、お寿司を握って配膳するぞ☆」
「スシ食いねえ☆ スシ食いねえ☆」
ここでかくし芸に感化されたメルシー、巨大なビーム大鎌剣ハルペーを振るって巨大なマグロを解体!
流れるような作業で切り身から寿司ネタへ切り分けられてゆき、シャリと一緒にどんどんと握られてゆく。
「おめーが作ったスシだぁ? トーシロが握ったスシなんざ不味いに決まって……く……っ! 美味ぇ……! いいネタ使ってやがる! 握り加減も絶妙じゃねーか!」
いちゃもんを付ける気だったカシムは思わず絶賛する程の美味しさのスシは、アルマや慶喜、そして高柳も魅了し、宴会を盛り上げてみせるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
栗花落・澪
【豚兎】
若津姫様、戦争中はお世話になったな…
僕の歌を褒めてくれた人
本人はもういなくても
少しでも届くといいなと願いも込めて
基本は現地の料理も楽しみたいけど
こっちには大食いさんがいるから自分でもいくつか手料理を作って持ち込み
和食に中華、デザート等種類問わず短時間で量産できるものを
沢山あるし、持ち込んだ分は好きなだけ食べてもいいよ
人様の分は食べ過ぎないようにね
僕も辛味、苦味だけ避けて色々堪能
この世界には独自の食材とか料理ってあるのかな
もしありそうなら自分のレパートリー勉強のためにも優先的に
仕方ないなぁ
はいはい、僕は紅茶で失礼しますよ
コップを合わせてちょっとした乾杯を
本格的なのはお互い成人したらね
金子・諒太
【豚兎】
※のんびりで途切れ途切れの喋り方します(息継ぎの関係)
お姫様の事は、僕はあんまり知らないけど
澪が慕ってるなら、良い人なんだろうな
食べ過ぎないようにの言葉には
わかってるってー
澪の飯食えるなら、それでも充分だよ
と笑って答える
でも、多分足りないだろうなー
……ちょっとだけなら、大丈夫かな?
食べ応えあるものだったら、好き嫌い何も無いから
澪の飯だけで足りなくなったら、目についたもの色々食べたい
(無限胃袋なので澪からのストップが入るまで食べると思います)
あ、そうだ
宴会なら、僕、乾杯してみたいな
ジュースでもいいから
澪は、成人しても、飲まない方が良いと思うけどなー…(小声
※澪は匂いで酔うくらい激弱です
リカルド・マスケラス
「この世界は自分が猟兵になるきっかけにもなった世界っすからね。なんとしても守りたいんすよね」
そんな訳でやる気まんまん。【霧影分身術】で大量に分身を出してレッツお給仕☆
基本的には【料理】を作って、振る舞う!基本的にはアマツカグラの料理になりそうっすけど、頼まれれば【世界知識】も併用して他国や異世界の料理だって作っちゃうっすよ!『簡易キッチンセット』もあるんで、ある程度の調理法は対応
「やっぱり、みんなの笑顔を見るのが一番すね」
美味しく食べるみんなの様子を満足げに見つめる
「さぁーて、この笑顔を守るためにも気を引き締めないとっすね。みんなに希望を届けるヒーローマスクとして」
そう決心をして誓うっすよ
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)と金子・諒太(戦える肉団子・f12789)は、賑やかなアマツカグラの活気を肌身で感じながら、宴会会場で腰を落ち着かせた。
色とりどりの料理の数々は嗅覚と味覚を刺激し、壇上では宴会芸の披露が続いて視覚を楽しませてくれる。
戦況が本格的になっているにも関わらず、ここは信じられないほど賑やかで平和だ。
「若津姫様、戦争中はお世話になったな……僕の歌を褒めてくれた人……」
澪は1年前にデビルキングワールドで相対した召喚魔王『ゼルデギロス』……マスカレイドに操られた此華咲夜若津姫は自我を持ちつつも猟兵と戦って散っていった。しかしながら、戦いながら彼女は猟兵達の様々な疑問に答え、このエンドブレイカー世界への道を示したのだ。
そして澪にとっては命を賭して戦い、自身の歌で若津姫の心を揺り動かせた記憶は今も鮮明に焼き付いている。
――あなたは優しい子ですね。わたしのぼうや達の中にも、素晴らしい歌を聞かせてくれた子がいました。
「若津姫様、今度は僕達がこの世界を護ってみせるね」
澪が宴会会場である『奈落』で祈りを捧げていると、右手にイカ焼きを左手に焼き鳥を握り締める諒太が不思議そうに澪へ話しかけた。
「お姫様の事は、僕はあんまり知らないけど、澪が慕ってるなら、良い人なんだろうな」
モグモグと左右交互に口の中へ持っていく諒太も一緒に祈りを捧げた。
「戦争に勝って、また美味しいものを、たくさんたくさん、食べられますように」
「もう、諒太ってば大食いさんなんだから」
くすくすと、思わず笑い声を漏らす澪。
そんな腹ペコさんの事を事前に察してか、澪はカバンの中からランチボックスやタッパー等を取り出してみせた。
「諒太、僕が作った料理があるからこれ食べて。沢山あるし、持ち込んだ分は好きなだけ食べてもいいよ。その代わり、屋台や給仕されてる人様の分は食べ過ぎないようにね」
「わかってるってー。澪の飯食えるなら、それでも充分だよ」
真ん丸な顔でニカッとお日様のような明るい笑顔を諒太は咲かせた。
だが、その途端に彼のお腹がぐるるるぅぅ~と猛抗議してみせた。
「……ごめん、多分足りないだろうなー。……ちょっとだけなら、大丈夫かな?」
「わかったよ、一緒に見て回ろう?」
こうして澪と諒太は宴会会場をあちこち散策しては、料理と催し物を楽しんでいく。
「アマツカグラの料理って、和食っぽいんだね。僕も和食をメインに作ってきたけど、諒太を考えて中華や洋食も作ってみたんだけど、美味しい?」
「うん、最高だよ。澪の作った飯は、どれも美味しいに決まってるよ」
2人は再び腰を落ち着かせる場所を見つけると、そこへ澪が持参した手料理を広げて2人の宴会を開始した。
だがやはり諒太の食べるペースは澪に比べて数倍早く、あっという間に料理を平らげてしまいそうになってゆく。
「うーん、どれも美味しくて、すぐなくなっちゃうね。そうだ、僕が料理を、持ってこようか?」
さすがに食べ過ぎたのは自覚したようで、澪への料理を見繕ってくると諒太が提案する。
と、そこへ颯爽と現れたのは狐面を被った青髪のポニテ少女だった。
「ちわ~っす、リカルド・イーツっすよ。配膳なら自分にお任せっす」
リカルド・マスケラス(ロープ際の魔術師・f12160)はこの宴会に強い思い入れと意気込みで臨んでおり、みんなの役に立ちたい一心でユーベルコード『忍法・霧影分身術』で142体の霧分身に自分の仮面の分身体を被せて行動中だ。主に調理と配膳を担当し、空いた皿へお客様のニーズに応えた料理のチョイスを的確に行うサービスを独自に展開しているのだ。
「おっと、誰かと思えば有名人のつゆりんじゃないっすか。自分はリカルドっていうっす。戦場ですれ違った時はよろしくっすよ。それじゃ、お連れさんの料理を持ってくるっすね」
忍者らしくシュバババッと迅速に行動!
あっという間に諒太の前にスシ、ソバ、アユの塩焼き、ヨーカンなどのアマツカグラ名物がずらりと並んだ。
「それとお飲み物もどうぞっすよ。二人ともジュースでよかったっすか?」
「ありがとう、リカルドさん。澪は、ほら、お酒弱いからね」
諒太がちらりと澪を盗み見ながら小声でリカルドへ囁いた。
リカルドも無言で首肯すると、澪へ冷たい紅茶を注いだ木彫りのコップを手渡した。
「リカルドさんは料理を食べないの? ずっと働きっぱなしじゃない?」
澪の心配の声にリカルドはむしろ胸を張って誇らしげに語る。
「この世界は自分が猟兵になるきっかけにもなった世界っすからね。なんとしても守りたいんすよね。それに、自分がこうして動く分だけ、みんなの笑顔が見れるっすから。やっぱり、みんなの笑顔を見るのが一番すね。平和を守るヒーローっぽいっす」
と、そこへ野外調理場から別の分身体がリカルドを呼ぶ声が。
「3番、16番、22番、それと50番に料理を届けてほしいっすよ!」
厨房では50人近い分身体が、和洋中問わず様々な料理を絶えず調理している。リカルドが全てレシピを頭に叩き込んで宴会に臨んでいる証左だ。気合の入り方が違う。
「んじゃ、あとは楽しんでほしいっす。さぁーて、この笑顔を守るためにも気を引き締めないとっすね。みんなに希望を届けるヒーローマスクとして!」
再びシュバババッと宴会会場を駆け巡り出すリカルド。
その背を見送る澪と諒太は、改めてこのエンドブレイカー世界での戦いに意欲を示す。
「負けられないね。僕達も。あ、そういえばあとでリカルドさんにアマツカグラ独自の料理のレシピを聞いてみようかな。僕でも出来るものがあれば、あとで作ってみたいからね」
澪はリカルドが選んだ料理を口に運ぶ。そして目を丸くして驚いた。
(なんで僕が辛いのや苦いのが駄目だって知ってたんだろう?)
それもリカルドは分身体でお客様の同行を忍者スキルで逐次見抜いていたからだ、とは澪は知る由もないのだけど。
諒太も好みの料理ばかりが目の前に並んでいるのでテンションが上がりまくっていた。
「あ、そうだ。宴会なら、僕、乾杯してみたいな」
「仕方ないなぁ」
紅茶とジュースの入ったコップをぶつけあい、乾杯し合う2人は笑顔で料理を楽しみ続ける。
「僕が二十歳になったら、今度はオトナっぽくワインで乾杯とかしたいかな?」
「あ、澪は、ほら、成人しても、飲まない方が良いと思うけどなー……?」
お酒の匂いだけで酔っぱらってしまう澪を暗に危惧する諒太。
それに気付いた澪は、唇を尖らせて紅茶をこくこくと飲み干した。
「はいはい、僕はその時も紅茶で失礼しますよ」
澪はすねた振りして諒太を見遣る。
諒太も本気で揶揄したわけではなく、そんな澪に笑顔を向けてふざけ合うのであった。
大成功
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ユーフィ・バウム
戦友であるアルジェン(f38896)さんと
此華咲夜若津姫
素敵な方だったのですね
生前にお会いしたかったと素直な心を述べ
宴会に参加、させていただきます!
振る舞われるのは
懐石バイキング、ですかっ
あわわ、私は料理は考えたこともなく…
おにぎりくらいしか持ち込めないのが心苦しいですが
それでも美味しい料理には目移りし、
絶対全部食べますねっ!
そんな気を吐く私に微笑んでくるのは、
アルジェンさんの妻である私と同じ名を持つ「ユーフィ」さん
彼女もアルジェンさんを手伝い料理を準備したと言って傍らに
時に彼に料理を食べさせ
仲睦まじい様子を見てなんだか直視できず
ユーフィさんが
箸が止まってますよ
そう言って笑顔と共に私にも差し出したなら
躊躇いがちに口を開いていただきます
けしてけして、口には出しませんが
これが――母の味、なのでしょう
幼き日アックスウィザード世界に流れ着いた私の
知らない、故郷
同じ名前のユーフィさん!アルジェンさんも!
お料理ありがとうございます
めいっぱい味わって食べますね!
考えを吹き飛ばすように元気に挨拶しますね
アルジェン・カーム
同行
ユーフィさん(f14574
此華咲夜若津姫様に皆の元気な姿を見せるには…
「美味しいご飯!!」
UC常時
その通りですぷっさん
我が故郷であるアマツカグラに来られるのであれば持て成さねばなりません
【料理】
アマツカグラ料理を振舞います
そして…我が妻であるユーフィ(EB)にも手伝って貰います
(妻だけは呼び捨て
懐石バイキング
先付け
野菜の和え物やなます
煮物椀
鶏肉や魚の煮物汁
造り
マグロや鯛
鰆や旬の魚のお造りを用意
焼き物
鯛や鮑
伊勢海老等もふんだんに用意
存分に堪能していただきます
箸休め
海老等のお吸い物
八寸
海の幸や旬菜とお酒を用意
ご飯
筍ご飯や松茸ご飯
更にまいたけ御飯に土鍋御飯を用意
大根や沢庵等のお漬物も添えて
菓子・抹茶
お饅頭やシャーベット
お茶などを用意します
ユーフィさんもぜひ食べて下さいね(嬉しそう
うん、ユーフィさんのおにぎりはとても…ええ、とても美味しいですよ(幼い頃の娘が作ってくれたお握りを思い出す
ユーフィはありがとうございます(食べさせて貰ってやはり照れ
ええ、ユーフィさん
こうして来てくれて…ありがとう
アルジェン・カーム(銀牙狼・f38896)はここアマツカグラでコウシ御三家の皇家と呼ばれる武家の出自だ。
そんな彼が地元で執り行われる宴会に出席しないなどあってはならない。
むしろ御三家としてもてなす側だと自覚していた。
「此華咲夜若津姫様に皆の元気な姿を見せるには……
「美味しいご飯!!」
アルジェンの傍らで料理の配膳を手伝う黒髪赤眼のメイド(男の娘)、プルートーが笑顔を咲かす。
「その通りです、ぷっさん。我が故郷であるアマツカグラに大勢が来られるのであれば、コウシ御三家が持て成さねばなりません。それに今日は僕の大切な仲間も来てくれますからね」
アルジェンは当主として使用人達に調理と宴会場への料理配膳を急がせる。
その料理の数々はアマツカグラ名物ばかりである。
アルジェンのもてなしはいわゆる『懐石小鉢バイキング』だ。つまり食べ放題である。
順序良くコース料理のように様々な料理を小鉢で提供するのは同じだが、特色は来客自身が自由に食べたい物を選べる点だ。
そしてそのバリエーションも豊富である。
『先付け』として野菜の和え物やなます、煮物椀の定番は勿論、鶏肉や魚の煮物汁も用意させる。
『お造り』はアマツカグラで漁獲されたマグロや鯛、鰆や旬の魚をふんだんに使った刺身の小鉢。中には複数人とのシェア用に豪勢な船盛まで用意させ、見栄えにもこだわっている。
『焼き物』はこれまたアマツカグラ産の鯛や鮑、伊勢海老を浜焼き風に網で豪快に焼いて小鉢へ取り分けていた。
これだけでも十分すぎるラインナップなのだが、アルジェンの細かな気配りはまだまだ用意されている。
『箸休め』に海老団子のお吸い物とアサリの味噌汁を用意させて、お酒を飲む人への配慮も欠かさない。
『八寸(約24cm四方の杉で作った低いふちのある盆に盛りつけた料理)』には、アマツカグラ産の海鮮と食用菊、ミョウガ、マツタケの旬菜の天ぷら盛り合わせ、そして純米吟醸酒を用意していた。
『御飯』の用意も欠かさない。筍ご飯や松茸ご飯、更にまいたけ御飯に土鍋御飯を用意。そこに大根や沢庵等のお漬物も添えて胃もたれを軽減させる優しさもアルジェンらしい。
『デザート』にお饅頭やシャーベット、それに合うお抹茶や煎茶も完備させている。
この宴は自然発生したものであるが、いまや完全に皇家の取り仕切りなくては成立しないものになっていた。
そんな豪勢なおもてなしに感銘を受けているのがユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)だ。
アルジェンに招待され、是非会ってほしい人がいると言われて此処へ馳せ参じたのだ。
「此華咲夜若津姫、きっと素敵な方だったのですね。アルジェンさんの気合を感じます」
ユーフィは周囲の格式高い雰囲気に尻込みをしてしまう。
もっともざっくばらんに酒盛りをしている席はあるものの、彼女にとってアルジェンが用意した料理の数々はどれも佇まいを直したくなるような上品な物ばかりだった。
「か、懐石バイキング……ですかっ? あわわ、私、気軽に参加できるって聞いてましたので、おにぎり数個しか持ってきてなかったです! なんだか心苦しいです……!」
アルジェンが気合が入りすぎたのか、ユーフィがもっと気楽なイメージを想像していたのか、それは定かではないか、間違いなく2人の認識にギャップが生まれていたのは間違いない。
「ど、どうしましょう? もちろん、アルジェンさんが主催してくれた宴ですから、出された料理は全部コンプするつもりで食べますけど! でも……ど、どれから食べていいんでしょうか? 船盛なんてのもあるんですね……へ? 先付けから持っていくように? す、すいません……! えっと……!?」
慣れない懐石料理のマナーにオロオロするユーフィ。
そこへ宴会の段取りの指示を一区切りさせたアルジェンがユーフィに逢いに来てくれた。
「おや? 何かお困りですか、ユーフィさん?」
「アルジェンさん! あの、お魚食べようとしたらメイドさんに『どうぞトレイをお持ちになって先付けから順番にお願い致します』って言われまして! 先付けってどこで貰えるんですか……!?」
困り顔のユーフィにアルジェンは提案する。
「僕も今から食事にありつくところなんですよ。よければ一緒に回りましょうか」
「はい! お願いします、アルジェンさん!」
これは渡りに船、アルジェンの提案にすかさず乗っかるユーフィ。
と、ユーフィはアルジェンの隣に自分とよく似た褐色肌の女性が寄り添っているのに気が付いた。
目の色は自身と同じサファイアブルー。しかし髪色が透き通るような白銀に輝いていた。対してユーフィは赤みが差した銀髪……むしろ薄紫に近い色にも見える。
アルジェンも隣の女性を紹介しようとユーフィへ敬礼した。
「紹介します。こちらが我が妻であるユーフィです。彼女はかつて『折れぬ大樹』の二つ名で活躍したエンドブレイカーで、今この瞬間も必死にエリクシルの進行を食い止めて下さってる『伝説の勇者』ラズワルドさん……彼をマスレイド化から救った小隊に、僕と彼女はいたのです」
「えええぇぇっ!」
ユーフィはアルジェンとその妻を交互に見遣った。
「アルジェンさんはすごい方だと日々思ってましたが……本当に世界を救った凄腕のエンドブレイカーだったのですね!?」
歴史の証人が目の前にいる事実に、ユーフィは思わず膝が震える……武者震いとして。
「つまり、アルジェンさんと奥様がいなければ……ラズワルドさんは今、この時代に居なかったってことですよね? うわぁぁ……うわぁぁぁ~!」
アルジェンはエモさで打ち震えているユーフィへ、あの日を懐かしむように語り出した。
「ええ。忘れもしません。あれは2014年12月15日……仲間の槍衾に貫かれたラズワルドさんは本来、マスカレイドとして消滅するはずでした。しかし、僕の妻ユーフィはそれを奇跡的に食い止め、彼を人間へ戻したのです」
アルジェンの妻は少し恥ずかしそうに微笑んでみせた。
つまり、すごいのはアルジェンの妻であった。
そして、そんなすごい相手と同じ名前のユーフィは感激で胸の内が震えまくっていた。
「ユーフィさん! 私と同じ名前のユーフィさん……! 偶然にも同じ名前であることに、勝手に誇らしく思ってしまいます!」
「猟兵のユーフィさんも頼もしいですよ。いつも助けられていますから」
アルジェンの信頼の言葉を受け、彼の妻の手前でどう反応すべきか困ってしまうユーフィである。
そんなこんなで、ユーフィはアルジェン夫妻に教えてもらいながら無事に懐石バイキングの心得を習得。
3人は空いたテーブルに料理を置き、腰を据えて歓談に興じ始めた。
「私、もっとユーフィさんのお話を聞いていたいです!」
ユーフィは食事よりもアルジェンの妻の武勇伝に興味津々。
そんなユーフィへアルジェンは料理を差し出した。
「……ユーフィさんもぜひ食べて下さいね」
その顔は実に嬉しそうだ。
だが妻はユーフィを気遣い、ユーフィの箸を止めしまった事を詫びた。
「い、いえ! 話を聞きたいといったのは私のほうからですし!」
しかし差し出された料理に口を付けないのも失礼というもの。
ユーフィは躊躇いがちに先付けのなますから箸を付けた。
「美味しい……!」
思わず目を見開くほどの美味さだ。
「たくさん食べてくださいね。遠慮なんていりませんから」
アルジェンの言葉に、ユーフィはハッと思い出した。
「あの、アルジェン! 私の作ったおにぎり、食べてください!」
意を決してテーブルに置いた手作りおにぎりを、アルジェンは包みを解いて口に運ぶ。
「うん、ユーフィさんのおにぎりはとても……ええ、とても美味しいですよ。娘が幼い頃、僕におにぎりを作ってくれたことを思い出しました」
そう言ってまた一口頬張り、優しく微笑んだ。
その後はアルジェンと妻の仲睦まじい食事風景に、ユーフィは思わず気恥ずかしさで視線を落としてしまう。
「ユーフィ、あーん……美味しいですか? はい、次は僕の番ですね? あーん……ありがとう。美味しいですよ……ユーフィのおかげで、とっても」
これが常に繰り広げられているのだ。目のやり場に困る上に気まずいのも無理はない。
しかし、アルジェンの妻が気を利かせ、ユーフィへ料理を箸に挟んで「どうぞ」と促す。
(これ、口を開けなきゃダメですよね?)
衆人環視でホストの奥方にこんなことをさせるなんて無礼にもほどがある……なんて引け目も緊張で吹っ飛んでいった。ええいままよ、とユーフィは差し出された箸先に食いつく。
(……あれ?)
ユーフィは何故かとても懐かしい気持ちが口から心へ溢れていった。
脳裏に思い浮かぶは、幼き日アックスウィザード世界に流れ着いた私の知らない――故郷の風景。
(ああ……これが――母の味、なのでしょう)
知らない土地への望郷の想いも相まって、アルジェンの妻から与えられた料理に懐かしさを感じてしまうユーフィ。
決して口には出さないが、目の前の女性を生まれの母と重ねているのだと彼女は初めて自覚した。
「同じ名前のユーフィさん! アルジェンさんも! お料理ありがとうございます! めいっぱい味わって食べますね!」
ユーフィは頭の中のモヤモヤを振り払うべく、目の前の2人へ持ち前の元気で礼儀正しく挨拶を行った。
「ええ、ユーフィさん、こうして来てくれて……ありがとう」
かねてから戦友と妻を引き合わせたかったアルジェンは、念願が叶って密かに目尻に涙を溜めるのであった。
こうして『奈落』での大宴会は無事に大盛況で終宴した。
いつかこの祈りが、賑やかさが、戦況に良い影響を及ぼすはずだ。
それが顕れるまで、猟兵達は各地へ再び転戦してゆくのであった……。
<了>
大成功
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