エンドブレイカーの戦い②〜地の底からの行軍
「弓兵、撃て! 矢を絶やすな」
「さあさあ、ここが正念場だよ!」
金髪の、いかにも勇者然とした青年が声を張り上げ、そして隣ではいかにも商売人のおばちゃん、と言った風体の女が剣というにも物騒な剣をぶん回していた。
声に備えて、背後に控えていた弓兵が弓を射る。それで前を行く敵の何体かが倒れ伏したが、かまわずその後ろから、まったく同じ姿かたちをしたそれが行進してきていた。
「こいつら、どんどん増えて……!」
「ひぃ、倒したはずなのに、起き上がってくる……!」
そして倒れた敵もまた、再び何事もなかったかのように身を起こし進んできた。甲冑を着た騎士の群れは、まさしく軍隊そのもののようであった。
「ちぃっ! 崩れ出したね。アンタ、ちょいと喝入れてくるからあとは任せたよ!」
女が、リリアナが、青年の回答を待たずに走り出す。それを目だけで追うて、青年は、勇者ラズワルドは正面の敵を見据えた。
「どれほど倒そうとも、とどめを刺すことはできないか……!」
腕には自信があった。けれども、ラズワルドにこの敵は倒せない。際限なく地の底から湧いてくるかのような敵たちは、せいぜい彼らにはおしとどめることで精いっぱいだ。
悔しいと、思わないわけがない。歯がゆくないわけがない。……けれど、
『私達は決して負けません!』
ふと声が蘇る。……ラズワルドは今確かに、過去の声を聞いた気がした。最早遠くなった戦争の時、最後まで強敵である自分に立ち向かい、倒れていった者たちのことを。
彼ら、彼女らは。エンドブレイカーたちは、最後まであきらめなかった。自分が倒れても、必ず、自分の仲間たちが目的を達してくれるであろうと信じていた。そのためにどんな逆境であっても最後まで戦った。……目的が果たされる保証など、どこにもなかったのに。
「ならば私も、そのように戦おう。私たちは、決して負けぬ!」
ラズワルドの言葉に、周囲の勇士たちもまた己を鼓舞するように声をあげる。
そして対する騎士たちは変わらず。一言も発することなく、粛々と行軍を開始するのであった。
「諸君、闘いである!」
ベイゼル・フォステリー(紅蓮の天誓騎士・f39007)は高らかにそう宣言した。まるで役者の開幕の合図のように、堂々とした口ぶりでベイゼルはそう告げて、
「ならば語るも無粋。いざ参り敵を圧し潰さん!」
さあ、今にも行くと、と言い出しそうな口調であったので、思わず誰かがもう少し説明を、と申し出る。それでああ、とベイゼルも頷いた。楽しげな表情を一転、引き締める。
「それもそうだな。……さて」
しばし、ベイゼルは考え込む。
「まず、我らがエンドブレイカーの世界に危機が訪れている。その危機とは、『11の怪物』と呼ばれる怪物たちのうちの8柱である。奴らは眠れる『大地母神』を殺害する事にある……と言われているな」
実際のところ、もう少し戦況が明らかになれば詳細がわかるかもしれないし、何か別の事実がわかることもあるかもしれない、とベイゼルは付け足す。
「今の所は軍勢に対して各々対処していくしかない、という感じだろう。なお、この戦いで敗北すれば、我々猟兵はエンドブレイカーの世界からはじき出されるらしい」
私は、仕事を失う。割と真剣な顔でベイゼルは付け足した。
「今回私がもってきたのは、そのうちのグレイトウォールに関する闘いについてだ。かなりの数の敵との闘いとなる」
そこでは、万能の魔神エリクシルが作り出した大軍勢が侵攻を仕掛けているところだという。
「エンドブレイカーの戦闘集団、「新たなる勇士の軍団」が指揮官の「伝説の勇者ラズワルド」殿とともに押しとどめているが、残念ながら彼らでは今回押し寄せた敵にとどめを刺すことができぬのだ。何をされても起き上がってくる軍隊を、永遠に相手にすることは難しかろう。いずれは崩壊するものだと思われる」
冷静に、ベイゼルはそう分析する。「子供の御伽噺では大人気だったラズワルド殿だが、さすがに分が悪いなあ」なんてほんの少しぼやいた後で、
「……ラズワルド殿は、我らを待っているらしい」
そう、まるで世間話の次いでのような口ぶりで言った。
「彼は子供にとってはおとぎ話のような英雄であるが……もしかしたらそれを助けた我らも、いつか子供の御伽噺の英雄になるかもしれぬなあ」
まっ、この戦争に勝ったら、の話だが。
ベイゼルはそうからりと笑って、話を締めくくった。
ふじもりみきや
いつもお世話になり、ありがとうございます。
ふじもりみきやです。
状況は大体ベイゼルが言った通り。
●お知らせ
プレイングボーナス:ラズワルドと連携して戦う
あくまでボーナスなので、必須ではありません。一人で戦うってしても、ペナルティとかはありません。
ラズワルドは結構強く色々手伝ってはくれるのですが、敵にトドメはさせません。
基本は皆さんの盾になって、敵を牽制するイメージですが、要望を伝えれば割と何でもします。
特にお声かけ・指定がなければ無理に出しては来ません。無理にプレイングに組み込まなくとも大丈夫です。
POW等の選択肢は飾りなので、皆様お好きなように好きな感じで戦ってください。こちらも、好きに戦います。
●スケジュール
OP公開時より募集し、〆る時はタグで〆ます。
あんまりたくさん採用できないと思います。ご了承ください。
受付時でも、間に合いそうになければお返しすることになると思います。再送はありません。
それでは皆様、良い一日を。
第1章 ボス戦
『戒律騎士スフィクス』
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POW : シールドコンボ
【盾を構えての突撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【盾表面からのビーム】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 葬送乱舞
【大鎌を用いた乱舞攻撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : スフィクスの血統
自身の分身を1体召喚する。分身は自身より【調査能力】に優れ、【処刑能力】に劣る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
セレナリア・アーチボルト
さあさあ、お待たせいたしました!
エンドブレイカーたる者、いかなる絶望もひっくり返してなんぼのものですよ
ましてや伝説の勇者であるラズワルド様がおられるのですから負けるわけがありません!
……と、おだてた所でラズワルド様にはもう暫く時間を稼いで頂いてもらえません?
アレらを一掃する力を溜めるのに少々時間が欲しいところでして、
数千年とは申しません、ほんの少しですほんの少し。
いざ、神火を解放いたしましょう!
【UC神火斬妖剣】の極大成長能力によるプラスワンプラスワンプラスワン……
準備は万端、ラズワルド様!行きますよ!
今必殺の、業焔薙ぎ払い!
いえーい!よその世界ではこういうときはハイタッチですよハイタッチ!
ヒース・サーレクラウ
助太刀します、勇者殿
お目にかかるのは初めてですが、書物などでお名前はかねがね
両親は大魔女と戦ったエンドブレイカー
……とはいえ、おれ自身は微力ではありますが
それでも、この世界を守る為に力を尽くしましょう
グランスティードに騎乗して戦います
敵の勢いを押しとどめていただけますか
速度を活かし
相手の狙いを外すように動きます
突っ込んで来る様子が見えれば高速移動で回避
突撃にさえ当たらないのならば
次撃を受ける隙を見せることもないでしょう
こちらは逆に相手の攻撃直後の隙を狙って、横や後背から攻撃を
……止めは、おれ達猟兵が刺さなければいけないのでしたか
僭越ながら担いましょう
フレイムソードで相手を切り裂いてゆきます
地を行く騎士の群れを、或いはセレナリア・アーチボルト(鉄壁のお手伝いさん・f19515)は知っていたかもしれないし、知らなかったかもしれない。
嘗てエルフヘイムでの戦いで敵となり立ち塞がった戒律騎士スフィクス。その者がセレナリアの眼前には広がっている。
「うーん、これは凄いことになってきました!」
「そんなに……すごいのですか?」
感嘆の声をあげるセレナリアに、思わずヒース・サーレクラウ(凍てる月焔・f39546)はそう尋ねた。その大人びた少年は、いかにもお喋りを好むようなたちには見えなかったが、両親がエンドブレイカーとして大魔女と戦っていたことを知っている。現役のエンドブレイカーの言葉に、思わずそう聞いてしまったのかもしれない。
「すごいですよ。何より、いっぱいいます」
「いっぱい……」
「ええ。私たちが戦ったときは、いっぱいいませんでしたからね!」
「なるほど?」
わかったような。わかってないような。ヒースは穏やかに頷いた。そしてでは、と声に出す。
「いっぱいいるなら、大変でしょう。……行きましょう」
「ですね!」
そうして二人は敵の押し寄せる戦場に、足を踏み入れたのであった。
押し寄せる敵、敵、敵。
いかに強き星が輝いていたとしても、たった一つではその闇を押し返すことは出来ない。
すでに後方は戦う勇気を失いつつあった。……そんなとき、
「さあさあ、お待たせいたしました! エンドブレイカーたる者、いかなる絶望もひっくり返してなんぼのものですよ!」
颯爽と翻るメイド服。正面に躍り出たのはセレナリアだった。大きく声を張り上げるとともに、周囲がざわめく。
「誰だ……?」
「猟兵……?」
「猟兵にてエンドブレイカーの私たちが参ったからには、もう心配はありません! ましてや伝説の勇者であるラズワルド様がおられるのですから負けるわけがありません!」
声をあげて周囲を鼓舞するセレナリア。その傍らで淡々とヒースは足元に転がっている敵の騎士にとどめを刺している。グランスティードに騎乗したヒースは手早く戦場をかけて、ひとまず掃除できそうな敵に淡々ととどめを刺していくと、あれだけ起き上がっていた敵は鈍い音を立てて動かなくなった。
「助太刀します、勇者殿。……お目にかかるのは初めてですが、書物などでお名前はかねがね」
そしてヒースはラズワルドに言葉少なく挨拶を。派手なことは得意ではないけれど、フォローはうまいのである。そしてラズワルドも最初はほんの少し驚いていたが、すぐに状況を飲み込んだ。
「両親は大魔女と戦ったエンドブレイカー。……とはいえ、おれ自身は微力ではありますが、それでも、この世界を守る為に力を尽くしましょう」
「なるほど。いや……」
言って。
そしてほんの少し、沈黙し。ラズワルドは笑ったようであった。
「そうか。もうそのような時間が経ったのか」
「あ、いえ……」
「両親と聞いて、少し言葉をなくしてしまった。宜しければご両親の名を……」
「ラズワルド様! 懐かしいのはわかりますが、もう暫く時間を稼いで頂いてもらえません?」
話が長くなるのを察したのか、それともヒースが困惑しているのを察したのか。セレナティアが声をかける。
「アレらを一掃する力を溜めるのに少々時間が欲しいところでして、数千年とは申しません、ほんの少しですほんの少し」
「お願いします。敵の勢いを押しとどめていただけますか」
言葉通り、目の前の敵は些か数が多いだろう。セレナリアの言葉にヒースは言葉を付け足した。ほんの少し緊張したヒースの言い方に、ラズワルドもまた、剣を持ち直す。
「ああ……了解した!」
「はーい。それでは燃え上がれ、私の忠義!」
声をあげるとともに、セレスティアの持つ包丁が神火を纏った剣へと変わる。「プラスワンプラスワン」などと呟くと、炎がどんどん大きくなっていく。
「……援護します」
それを確認してから、ヒースもまた敵の中へと突っ込んだ。
騎士が巨大な鎌を振りかぶる。ひゅっ、とヒースは目を細める。それはかつて、彼と戦ったときのことを両親から聞いていたからかもしれない。
「……」
だがしかし、目を眇めてヒースはそれを紙一重で避ける。
「突撃にさえ当たらないのならば……次撃を受ける隙を見せることもないでしょう」
次の瞬間、まるで地響きのような剣戟がヒースのすぐ真横を通り過ぎた。ラズワルドの剣戟だ、と気づくまもなくそのまま高速でヒースは体勢を崩した敵の背後に回り込んだ。鋭い一撃は敵を鎧ごと粉砕するように見えた……が、鎧を粉砕されてもなお、敵が動こうとするのを、察する。
「そうだ。……止めは、おれ達猟兵が刺さなければいけないのでしたか」
それで彼は気付く。気づくと同時にその手が動いていた。グランスティードが駆ける。尋常ではない一瞬で、
「僭越ながら」
フレイムソードで首を刎ねる。そうしたらどうと敵は倒れ、そして動かなくなった。
「有り難い」
敵の向こう側から、ラズワルドが破顔したのでヒースはぺこりと一礼した。二人ともその間にも、腕を動かすことは忘れない。
「準備は万端、ラズワルド様! 行きますよ!」
そしてセレナリアもまた、剣を掲げる。
「今必殺の、業焔薙ぎ払い!」
解放された炎が、一気に騎士へと降り注いだ。
炎に巻かれ、敵たちが鎧ごと焦がされていく。
敵の数も多いが、時間をかけていけばそうして数を減らしていけるだろう。
訪れる敵の数は無数に近い。それでも、いつか倒しきることができると信じて……。
「いえーい! よその世界ではこういうときはハイタッチですよハイタッチ!」
「……うん? こうかな?」
「え。おれも……ですか?」
最後に、すべてが終わったら。
そんな一幕も、あったに違いない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ロージー・ラットフォード
今回の任務は戦闘の加勢か
世界を護るために、頑張ろう
ラズワルド…勇者さんたちには前衛、盾になって貰おうかな【集団戦術】
大鎌とかあたしの代わりに受けておいてね
よろしく
あたしは後方からいくよ
こちとら可愛いネズミちゃんなんでね、か弱いんだ
すごい大きな盾だね
でもあたしの呪いには関係ないよ【呪殺弾】
着弾箇所から広がる呪いは、氷の棘となって全てを凍らせていく【凍結攻撃】
この薔薇は心の臓を狙って這い回る【急所突き】
たとえあんたが増えたとしても、ね
マウザー・ハイネン
ラズワルド様とまた肩を並べて戦える日が来るとは…感慨深いですね。
ええ、私達エンドブレイカーは必ずやってきます。絶望の終焉を砕く為に…全力を尽くしましょう。
ラズワルド様の援護中心に戦います。
倒せない事以外、実力は間違いなく私より上ですし彼が戦いやすいようにした上でトドメは任せてくださいと。
UC起動、魔の吹雪を戦場に招きます。
幾ら数が多くとも戦場全体の敵に公平に襲い掛かり四肢を凍てつかせる、動きが鈍ったなら今ですラズワルド様…と、言うまでもなく豪快にぶっ飛ばしていきますね?
飛来した聖剣も活用されてますし。
私も負けられません、と弱った敵の間を駆け抜けつつ氷細剣で確実にトドメを。
※アドリブ絡み等お任せ
「ふぅん。今回の任務は戦闘の加勢か」
ロージー・ラットフォード(snuffed it・f40203)が目を開ければ、既にそこは戦場であった。……問題ない。いつものことだ。
「……世界を護るために、頑張ろう」
無表情に淡々と、いつもと同じようにハツカネズミの銃兵は銃を手にした。
「あなた、あの人の知り合い?」
そしてふと、ロージーは隣の青いドレスの女に声をかける。女は。マウザー・ハイネン(霧氷荊の冠・f38913)は、僅かに微笑んだ。
「知り合い……ええ。そうですね。知り合いです」
「じゃあ、ラズワルド……勇者さんたちには前衛、盾になって貰おうかな。それでもいい?」
「ええ。ええ。勿論のことですよ」
ロージーの考えに、マウザーは簡単に頷く。そんなに簡単に頷いていいの。と、ロージーはちらりとマウザーを見る。言葉にはしない。だがマウザーは真剣な顔をして頷いた。
「他の世界では人間以外の方とも共に戦えるのですね……かわいい……」
「ん?」
ものすごく興味津々なマウザーの呟きは小さすぎてロージーには届かなかった。届いたら若干嫌な顔位はしたかもしれない。聞き返したロージーにマウザーは咳払い。
「お任せ下さい」
「そ? どうも」
言って。ロージーは走り出す。マウザーも表情を引き締めて、その後を追った。
戦いは続いていた。倒しても倒しても押し寄せてくる騎士の群れ。疲れ見せぬ勇者と、疲労の色濃い勇士たち……。
「大鎌とかあたしの代わりに受けておいてね。よろしく」
その傍らを、ロージーは駆け抜ける。一応声をかけると、「承った」と返事がある。
「あたしは後方からいくよ。こちとら可愛いネズミちゃんなんでね、か弱いんだ」
「なるほど、了解した」
冗談めかした彼女の言葉。返事と共に駆け抜けるロージーを突き刺そうとした鎌が払い落とされた。……これがラズワルドか。と、ロージーは思う。真面目だね、というのが感想だった。
「ラズワルド様とまた肩を並べて戦える日が来るとは……感慨深いですね」
鎌を払い落とすとともに剣を振り戻して敵の腕を粉砕する。同時に目にもとまらぬ速さで首を落とす。そこまでしても死なない敵は、首なしのまま立ち上がろうとする。それを、レイピアが串刺しにしてとどめを刺した。とどめを刺すと同時に放たれたマウザーの言葉に、ラズワルドは苦笑する。
「私もです。楽しみである反面、このような日が来なければいいとも思っていました」
「でも、信じておられたのでしょう?」
「その日が、来たからには」
当たり前のようなマウザーの言葉に、ラズワルドがうなずく。その言葉を聞き、マウザーは剣を掲げた。
「ええ、私達エンドブレイカーは必ずやってきます。絶望の終焉を砕く為に……全力を尽くしましょう」
アイスレイピアから冷気が下りる。倒せないとはいっても、ラズワルドの技量を捨て置くつもりはない。故に、
「どきなさい、私の邪魔をするなら排除します」
魔の吹雪をマウザーは召喚する。降り積もる吹雪は敵の動きを鈍らせて、そうして祝福を与えた。
「なるほど。援護を感謝します」
いうなり、剣が次々に目の前の敵を粉砕していく。その様に、
「あなた様にそんな風に丁寧に言われると、少し戸惑いますね……」
思わずマウザーが呟いた。その顔に少しラズワルドは笑って、
「そうか。リリアナ殿と同様、私にとってはあなた方も尊敬すべき人々だからな」
笑いながら敵をまとめでぶん殴っていくので、マウザーは肩を竦めた。
「ああ。そういう感じの方がありがたいです」
動きが軽くなる味方とは裏腹に、明らかに、敵の動きが鈍る。どう見ても寒さなど感じなさそうな体なのに、鎌の筋が鈍ったのを確かにロージーは感じた。
「これなら……」
目の前の敵がロージーに気付く。すかさず鎌を振りかぶるも、一瞬後にそれは叩き落される。遠くから剣振っただけで落とすなんてどういうことだろう。と思いながらも、スナイパーとしてこんなに安心できる盾はない。
「すごい大きな盾だね。……でもあたしの呪いには関係ないよ」
これだけ広いなら、逆に狙いを絞らなくていい。……なんて。
思いながら、ロージーは呪術紋様が銃身に刻まれたライフルを撃った。
「戦場の花を」
囁くような声。それとともに弾丸が盾へとぶち当たる。盾が割れるような音がする。……貫通しない。でも、それでいい。
「この薔薇は心の臓を狙って這い回る。……たとえあんたが増えたとしても、ね」
吹雪の中、氷の花が咲く。盾に咲いた花は、一気に立て銃を這いまわり。そしてそれを持つ敵の腕へと走り、心臓を探す。躊躇いなくその心臓を貫くために。
周囲の敵が吹き飛ばされる。ラズワルドが一体の敵を撫で切りにしたのだ。すかさずロージーは弾丸を叩き込む。
「私には……ただ一つの掠り傷でいい」
どれだけ強くてもトドメがさせぬのと正反対の戦い方で、ロージーは着実に敵を屠っていった。
「なるほど……私も負けられません」
そしてまたマウザーも。レイピアでとどめを刺しながら、戦場を駆けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヘーゼル・ナイチンゲール
英雄になるつもりはないが、相手にとって不足無し。
戦場に、不足があろうか。
助太刀する、とだけ声をかけ、合流。
バトルアーマーにて無敵を得、正々堂々前から挑もう。
盾の突撃だろうが、ビームだろうが、大鎌だろうが受けて立つ。
ラズワルドや、猟兵にスフィクスの背後をついてもらう。
ただ、攻撃を凌ぐばかりではなく無論、私も長柄斧で攻撃を仕掛ける。
できれば守りを崩したいところだが、欲は出さぬ。
注意することは、視界からスフィクスを逃さぬ事。
可能な限り攻撃を続ける。
絶えず斬りつけ続ければ、いずれ、その盾、鎧も叩き割れよう。
何度立ち塞がろうとも、我らが終わらせる。
この世界を生きる者達ために、戦い続ける誓いを果たす。
ヘーゼル・ナイチンゲール(葬送の城塞騎士・f38923)がその場を訪れた時、闘いに疲れたある勇士は地に膝をつき、それを守りながら闘う勇士もまた疲労の色濃く残っていた。
「……」
また数歩進むと、最前線に出る。そうすると喧噪がまた強くなった。
「諦めるな! 負傷したものは下がれ!」
勇者ラズワルドが最前線では声を張り上げている。ヘーゼルはそちらにちらりと目をやる。挨拶をする気はない。無論向こうもそれを要求しない。倒れた勇士にとどめを刺そうとしていた敵の脳天に、ヘーゼルの長柄斧が叩きつけられた。
「助太刀する」
それだけで。何をしても死ななかった漆黒の騎士がどうと倒れる。砂のように形を崩して消えていく。
「ありがとう。助かる」
向こうも言葉少なに、それだけ答えた。それ以上の会話は、なかった。
……だが、ヘーゼルにとってはそれで充分であった。
敵の方も、ヘーゼルを己を滅ぼすものと認めたのであろう。わらわらと彼を取り囲むように集まってくる。……不快げに、僅かにヘーゼルは眉を寄せた。
「英雄になるつもりはないが、相手にとって不足無し」
戦神の鎧をまとい、ヘーゼルは斧を天に掲げる。
「戦場に、不足があろうか」
受けて立つ。と、そう声をあげた瞬間、
一斉に、周囲の敵が襲い掛かった。
おのが振りかぶられる。それをヘーゼルは鎧で受ける。
「……ふっ!」
呼吸を一つ。それと同時に長柄斧が旋回して正面の敵の首を刎ねた。
「!」
左右から盾を持った敵が突撃してくる。全く同じ姿全く同じ動きで左右から押しつぶさんとする。
「……」
来い、とは声に出しては言わない。声に出さなくともそのまま受ける。無敵の鎧でも衝撃がないわけではない。吹き飛ばされぬよう踏ん張りながら、ヘーゼルは長柄斧を旋回させた。
「あそこだ!」
勇士の一人が、その隙に回り込んで敵のわき腹を刺す。体勢を崩すと同時にヘーゼルの斧が旋回し、その首を刎ねた。
「ラズワルドさん、あそこです!」
「ああ!」
ヘーゼルの方を指さす勇士たち。ちょうど正面の鎌を小手で守られた手でつかみ、動きを封じたところであった。ラズワルドの剣戟がヘーゼルに群がる敵を薙ぎ払う。その隙を狙って、ヘーゼルがその首を刈り取った。
「私は、耐えられる。できれば守りを崩したいところだが、欲は出さぬ。故に己の安全を、まずは考慮して欲しい」
敵を視界に入れている限り、倒れはしない。油断なく周囲を見回しながら、ヘーゼルはそう告げる。
「絶えず斬りつけ続ければ、いずれ、その盾、鎧も叩き割れよう。……何度立ち塞がろうとも、我らが終わらせる。そのためならば、いつまででも戦える」
ともすれば何千年とて、戦い続けられるであろう。そんな、冗談のような本気の言葉をヘーゼルは述べ、
「尤も……この戦いはそう長くは続かなかろうが、な」
この世界を生きる者達ために、戦い続ける誓いを果たす。
そして、終わらぬ戦いなどないのだと。ヘーゼルは長柄斧を振り回しながら、そう、思うのであった。
大成功
🔵🔵🔵
クヤク・サンガ
※人に話しかける場合は敬語交じりの口調になるので適宜変更願います
リリアナさん…ロックリムラウンダーで何度お手合わせ願ったことか
あのくそ重い一撃は忘れようとも忘れられない
商人としても魔獣戦士としても、心の師匠と思っていた
ご健在で何より
…御年お幾つなんだろう
前線は勇者殿と他の方々にお任せしようと思う
俺は彼女の方に、共に戦う勇士たちの助太刀に行きたい
カレルヴォの紋章で皆の力を底上げするから、存分に戦ってほしい
止めだけはエンドブレイカーと猟兵でやる
吹き飛ばしや範囲攻撃で皆が戦いやすい環境にすることを主に行動
状況に応じて攻撃主眼に転じる
やれるものが、やれることを
英雄は一人じゃない
俺たちの世界、守り抜こう
クヤク・サンガ(徒人・f38921)には、気になる者がいた。
「リリアナさん……ロックリムラウンダーで何度お手合わせ願ったことか」
思い出しても背筋が震えるというものである。あのくそ重い一撃は忘れようとも忘れられない。あれで一般人で商人だというのだから笑えない。ついでに魔獣戦士としても、クヤクは秘かに心の師匠と思っていた。
「……」
故に。前線は勇者殿と他の方々にお任せしようと思う。
戦場に行った時から、クヤクはそうしようと思っていた。
「……いた」
戦場について、周囲を見回す。
目的の人間は。リリアナは。すぐにどこにいるのか知ることができた。
「あん? 立てない? 馬鹿をお言いでないよ! 立てないなら、立つんだよ!」
無茶苦茶である。無茶苦茶なことを言いながら周囲に檄を飛ばしている。周囲は半泣きになりながらもそれで何とか立ち上がる。……ああ、なんだか安心できる光景だと、クヤクは思った。
その背後に、敵が忍び寄る。リリアナは多分気付いている。けれども、けがをした仲間を守るので手いっぱいで動けそうにない……!
「……!」
とっさに。
クヤクは手にしていたアックスソードをぶん投げていた。ちょっと重かった。
リリアナの背後を取ろうとした敵は顔面に斧の刃を受け、どうと倒れる。
「……」
「……」
前言撤回。
ちょっと重いアックスソードをぶん投げるのは、結構重かった。
「ご健在で何より……です」
思わずクヤクを見るリリアナに、クヤクもぺこりと頭を下げる。それでようやく、リリアナは豪快な笑い声を立てた。
「ああ。そっちも元気そうだね! 良い投げっぷりだったよ!」
「(……御年お幾つなんだろう)」
「女に年齢を聞くなんて、野暮なことするんじゃないよ!」
ウインクされた。口に出してないのにどうにも心を読まれた。クヤクは軽く頭を掻く。
正直な話、あんまり嫌な気はしなかった。
「リリアナさん。えーっと、手伝いに、来ました。……共に」
戦おうと思って。そういうと、あちこちから歓声が上がる。「有り難いねえ!」とリリアナも返すので、そんな声に励まされるようにクヤクは名将カレルヴォの紋章を描き出した。
「皆の力を底上げするから、存分に戦ってほしい」
「おや。あんたたちでないと倒せないんじゃなかったっけ?」
「止めだけはエンドブレイカーと猟兵でやる……です」
呟きに、冗談交じりで返されて。
クヤクは苦笑した。
「なんだ。あんたがてっきりばったばったとなぎ倒してくれるものかと」
「……もう隠居ですよ、俺も」
養子に白い目で見られてます。なんて言葉も若干の楽しさが混じっている。混じりながら、クヤクは仲間たちの能力を強化していく。……トリガーは、仲間内で目的を同じくすること。この戦場で、これ以上にやりやすいトリガーはない。
「了解。それじゃ、もうひと頑張りするよ、あんたたち!」
「おー!」
周囲の歓声を聞きながら、クヤクもまたアックスソードを持ち直す。とどめを刺すのはもちろんだが、皆が戦いやすいように戦場を整えるのがクヤクの仕事だ、
「やれるものが、やれることを。……英雄は一人じゃない」
クヤクの呟きは、勇士たちの声にかき消された。けれどもクヤクはそれでもよかった。
「俺たちの世界、守り抜こう」
彼らの中には、同じ目的があったからだ。
大成功
🔵🔵🔵
レミィ・レミントン
ティアリアさん(f38962)と共に
ラズワルド様と共に戦えるなんて…昂揚いたしますわねっ
お伽噺の勇者には、わたくしも沢山勇気づけられたのです
幼い頃は憧れと恋心もなんて…やだわたくしの秘密!
ええ、ええもちろん、お互い内緒ですわよティアリアさん!
こほん、かの方の前で無様な姿はさらせません、しっかり倒していきますわ
ティアリアさん、参りましょう!
ラズワルド様、敵をひきつけて押さえてくださいませ
あの盾での突撃はさすがに吹き飛ばされてしまいそう
正面きって刃を交えるような戦いもできなくもないのですが
邪悪なる輩には裁きの剣の雨を
この場で邪悪たるはエリクシルの軍勢のみ
その雨はあなた方の上にのみ降り注ぎますわ!
ティアリア・ローゼス
レミィさん(f39069)と
あの勇者ラズワルドと肩を並べて戦えるなんて……ちょっと緊張するわ
私も寝物語によくねだったもの
ふふ、子どもなら誰だって勇者様に憧れるわよね
私だって小さな頃は勇者の仲間になった自分を想像して、家族に話したりして……
っと、口が滑ったわ。ええ、レミィさん、この話は二人だけの秘密にしておきましょう
緊張もするけれど、同時にとても心強いわ
隣にはレミィさんもいるし、ね。さ、いきましょう!
星霊バルカンで攻撃
勇者様に敵に向かってもらって、後方より火炎球でとどめをさしていくわ
時間差で炎を飛ばして敵を撹乱しましょう
あなた達に、この世界を壊させはしないわ
私達は、エンドブレイカーなのだから!
戦場は猟兵たちの到着により、少しずつ持ち直してきていた。
それでも無限といっていい数が押し寄せるそこでは、だれもが天を仰ぎため息をつく。いかに強くとも、人は永遠に戦い続けることは、出来ない。
そんな、静かなあきらめのような絶望が降り積もる戦場に、
「ラズワルド様と共に戦えるなんて……昂揚いたしますわねっ」
花のような明るい声が響いた。
レミィ・レミントン(紫煙銃の城塞騎士・f39069)の声であった。
「あの勇者ラズワルドと肩を並べて戦えるなんて……ちょっと緊張するわ」
レミィに続いて戦場に足を踏み入れたのは、ティアリア・ローゼス(青薔薇の星霊術士・f38962)だ。朗らかなレミィに対して彼女の声はどこか緊張をはらんでいる。真面目さが言葉の端々から感じられた。
そんなティアリアを振り返り、レミィはちょっと、唇に人差し指をあてる。
「お伽噺の勇者には、わたくしも沢山勇気づけられたのです」
「ええ、そうね。私も寝物語によくねだったもの」
「幼い頃は憧れと恋心もなんて……やだわたくしの秘密!」
きゃー。自分で言っていて両頬に手を宛てて照れるレミィ。自分はどうだっただろう。ティアリアはほんの少し、己の昔を振り返る。
「……ふふ、子どもなら誰だって勇者様に憧れるわよね。小さな頃は勇者の仲間になった自分を想像して、家族に話したりして……」
振り返る。振り返ると何とも幼い子供時代を思い出し、ティアリアの頬もほんの少し、赤くなった。
「っと、口が滑ったわ。レミィさん、この話は二人だけの秘密にしておきましょう」
「ええ、ええもちろん、お互い内緒ですわよティアリアさん!」
額を突き合わせて、小さな声で言いあう二人。……声は聞こえない。聞こえないけれども、何を言っているのか周囲はなんとなく、わかって。
そんな、ささやかな二人の会話に周囲がどれだけ救われたか、きっと二人は知らないだろう。
戦場に届く明るい声に、あるものは気力を取り戻し、あるものはそっと道を開けた。
「……こほん」
なんとなく生暖かい気配を感じる。とレミィは一つ咳払い。
「かの方の前で無様な姿はさらせません、しっかり倒していきますわ。ティアリアさん、参りましょう!」
「ええ! 緊張もするけれど……」
「けど?」
「同時にとても心強いわ。隣にはレミィさんもいるし、ね」
「ふふっ」
軽く片目を瞑って見せるティアリアに、レミィは頷く。そうして二人は走り出した。
「さ、いきましょう!」
ティアリアの言葉とともに、目指すは、最前線……!
「ラズワルド様、敵をひきつけて押さえてくださいませ!」
勇士たちを追い越して、時には黒い騎士をぶちのめしながら、レミィたちは最前線に躍り出た。
目の前にひしめく顔、顔、顔。
「兜鎧があるだけ、まだましよね……」
ティアリアの表情が、僅かに引きつっていた。同じ顔の騎士が押し寄せても、顔までは見えないのだからまだいいだろう。即座に彼女は星霊バルカンを召喚する。
「さあバルカン」
「!」
ティアリアの動きに気付いたのか、黒の騎士もまた鎌を掲げ、或いは盾を手にそちらを剥く。しかし一歩踏み出したところで、
「させぬ。……足を止めれば、それで構わないか」
「! はい。正面きって刃を交えるような戦いもできなくもないのですが、あの盾はさすがに……」
「わかった。頼まれたからには、一歩たりとも」
ラズワルドの剣が薙ぎ払われる。それだけで周囲にいた騎士の鎧がひしゃげた音を立てて粉砕された。しかしながら敵も、鎧の形すら変わっても構わず体を起こす。そのまま、前進を再開する。
「うー。まさに邪悪! ですわね」
首が折れながらも向ってくる騎士は亡霊めいていてちょっと怖い。とはいえその一瞬の隙を逃がしたりもしない。レミィは片手を掲げる。
「邪悪なる輩には裁きの剣の雨を!」
声と共に手を振り下ろす。レミィの言葉に合わせるように、天から光輝く県が飛来した。雨となり黒の騎士に降り注ぐ。
「やりましたわ……!」
「まだ、油断しないでちょうだいね」
剣は鎧を貫き、今度こそ消滅させる。同時にティアリアはそう言った。それはレミィではなく……敵に向けて。雨が止んだ後、目の前が開いたとばかりに当然のように行軍してくる敵に対して。
盾とともに突撃してくる騎士をラズワルドが即座に止める。腕を切り落とし首を刎ね。それでも敵は前に進もうとしてくる。……だが、
「燃やしてちょうだい」
ひと声。ティアリアが発すると同時に火炎弾が敵へと降り注いだ。バルカンが生み出した炎は、足止めを喰らった騎士たちに激突する。激突すれば先ほどまで、何をしても起き上がってきた騎士がどうと倒れ、散りとなって消えていく。
「あなた達に、この世界を壊させはしないわ。私達は、エンドブレイカーなのだから!」
「ええ! 邪悪たるエリクシルの軍勢よ。裁きの雨はあなた方の上にのみ降り注ぎますわ!」
火炎弾が切れるころには、再びレミィが光の剣を召喚する。
黒い戦場で、炎と光が闇を打ち払うのに、そう長くはかからなかった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
クロービス・ノイシュタット
はろー、マイフレンド。おまたせっ
…ん?
ラズワルド、いつぞの大祭の日に友達なったじゃん!
忘れてないよね?ねっ!?
なんて。お約束?はさて置き
さぁ、行っておいで
UCの標的は、
味方と交戦している者・遠距離から狙う者>
倒し易そうな者・ダメージの大きい者>
近い者>その他…の優先順
前衛であれば連続斬
中ほどの敵なら直撃爆破で周囲巻き込みも図り
一機で足りぬなら複数機で同時攻撃
一度でより多くへとトドメを刺したく
数、多いねぇ…尤も
こっちも負けちゃいないけど
彼の強さならよく知ってるよ
戦いも…その願いの強さも
倒せなくとも、これでもかって弱らせてくれてる…でしょ?
トドメ搔っ攫いにきたみたいで、ちょーっと気は引けるけどね!
アンゼリカ・レンブラント
「私が負けても、私達は決して負けない」
あぁそうだ。友を信じ、繋がりを感じる限り
絶望はけしてない、必ず勝利に届く!
ラズワルド、大魔女の時ほど待たせはしない
勇者達に犠牲を強いる歴史などもうこの先はないよ
私達は、もうここに来た!
宣言と共に光剣を手に戦線に入る
ラズワルドとは積極的に連携を申し出
盾となってくれるのもありがたいが、敵陣を崩すのに
ブレイドタイフーン、頼めるかな!
プラスワンで多くの敵を消耗したところに、
《真・断罪閃光剣》のなぎ払いを叩き込んで多くの敵を屠る
トドメの役割を心がけ、弱っている敵を優先的に倒す
他、ピンチに陥る勇士の軍団がいれば救援に入るよ
誰も犠牲になんてさせない
みんなで勝利を掴むのさ
厳しいな、と戦場に訪れた時クロービス・ノイシュタット(魔法剣士・f39096)は思った。
厳しいと思ったのは、戦場のことだ。倒しても倒しても倒しきれない敵。それと闘う勇士たち……。その先頭に立つ男を見つけ、クロービスは足早に歩み寄る。
「はろー、マイフレンド。おまたせっ」
言葉遣いは、ことさら明るく。
「……ん? ラズワルド、ほら、俺だよ俺。いつぞの大祭の日に友達なったじゃん! 忘れてないよね?ねっ!? ……なんて。お約束? はさて置き」
返事を待たずに一気にクロービスは語り掛ける。相手が反応する暇を与えない。軽くウィンクしたところでようやく会話が途切れたので、ああ、とラズワルドは一息ついた。
「御助力感謝する、わが友よ。友が来てくれたならば、私はいつまででも戦い続けられる」
こちらもまた、冗談とも本気ともつかぬ口調で。だが表情は至極真面目に一礼するので、クロービスは笑いながらその背を叩く。
「うんうん。千年だろうが一万年だろうがまっかせておいて」
「ははっ。そこまで……大魔女の時ほど待たせはしない」
そんな2人の会話に思わず笑いながら口をはさんだのはアンゼリカ・レンブラント(黄金戦姫・f38980)だ。昔から変わらぬ、力強い表情で。
「ラズワルド、勇者達に犠牲を強いる歴史などもうこの先はないよ。……私達は、もうここに来た!」
ばっちりだ、と親指立てるアンゼリカ。どこか頼もしげな表情に、なんとなく習うようにクロービスも親指を立ててみた。ラズワルドは目を細める。
「ああ……。頼もしいな、本当に」
不意に。それは本当に、心から。安堵したような声だった。
……自分一人なら、いくらでも戦えた。
それでも、周囲の勇士たちが一人、また一人疲れ果てていく姿を見るのは恐ろしかった。
「……信じることは、難しいな」
沈黙ののち。不意に言われたラズワルドの言葉。それは彼が思っている以上に、周囲に重く響いた。アンゼリカはそうだな、と軽く首をかしげて、頷く。
「私が負けても、私達は決して負けない」
そうして彼女はその言葉をそらんじる。……かつての、その、言葉を。
「難しい……あぁそうだ。難しい。だが、友を信じ、繋がりを感じる限り。絶望はけしてない、必ず勝利に届く! 私たちは……必ず応える!」
とん、と胸をたたき高らかに宣言する。黄金の女騎士は光の剣を掲げて、
「私たちは、絶対に、負けたりなんかしない! お姉さんたちに、任せておけ!」
「あはは。草の一本も残さず殲滅しちゃおうかなっ」
冗談めかしてアンゼリカの言葉にクロービスが話を続け……そして不意に、何かを振りかぶるような仕草をした。
「さぁ、行っておいで」
「ああ。来たな!」
「まったく。折角の再会なのに、ゆっくりさせてほしいよね!」
クロービスの言葉とともに、自動戦闘光輪が出現する。それがすさまじい勢いで周囲に飛んでいく。傷つきながらも目の前に迫っていた騎士を斬り潰した。
「では行くぞっ。ラズワルド、突撃だな!」
「ああ。心得た」
「俺は後ろから援護するよー。トドメ搔っ攫いにきたみたいで、ちょーっと気は引けるけどね!」
「問題ない。頼りにしている!」
前線で、既に倒れ、起き上がろうとしている騎士たちの首を天地開闢の力を宿す聖なる剣が狩る。同時にクロービスの光輪が弱った敵を薙ぎ払う。
敵が砂となって消える。消えればまた、新たなる敵が現れる。……何度でも、何度でも。蘇るのと同じことのように、敵は地の底から湧いてくる。
「ラズワルド。盾となってくれるのもありがたいが、敵陣を崩すのに……あれ、頼めるかな!」
あれ。天に指を掲げるアンゼリカ。それに気づいたのか、ラズワルドは任された、と返答をする。体験を振るうと同時に、その剣圧が竜巻となり、周囲の敵を吹き飛ばしていく。
「うん、結構見通し、良くなったね」
「よくなっても見えるのは黒い騎士ばかりだな!」
クロービスの軽口にアンゼリカは答え。そして光の剣を傾けた。
「裁きの光よ、我が身に集いて剣となり全てを切り裂け!」
風圧で飛ばされ、転がり。あるいは鎧がひしゃげながらも、かまわず進軍する騎士たち。倒れない敵は、即座にアンゼリカが光の剣を薙ぎ払い、とどめを刺していく。
「うーん。相変わらず強いなぁ。知ってたけど。倒せなくとも、これでもかって弱らせてくれてる」
そんな様子を見ながら、クロービスも光輪を操る。光輪は高速で飛び、カーブを描き、次々と敵の首を刎ね。あるいは爆発し、倒していく。……彼の強さならよく知ってる。戦いも……その願いの強さも。
「あんなこと言ってたけど、きっと本人は一人で何年でも戦えちゃうんだろうな。……だからこそ、助けが必要だよね」
そして倒した屍を超えるように、また新たな敵が湧く。ちょっと滅入るような気がするけど……うん。
「数、多いねぇ……尤も、こっちも負けちゃいないけど」
でも、言葉通り。何千年でも戦えると言ったのは、嘘じゃない。
「誰も犠牲になんてさせない……。みんなで勝利を掴むのさ」
クロービスの声に気付いたように、ふいにアンゼリカが行った。顔を上げるとアンゼリカはクロービスに向けてブイサインをしているので、思わずクロービスは「気が早いよ」なんて笑うのであった。
どれだけ辛くとも、苦しくとも。
仲間と共に戦えば、きっと必ず勝てると、信じて……!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵