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男子高校生の正しい夏休み~宿題の進め方

#UDCアース #ノベル #猟兵達の夏休み2023

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知花・飛鳥



一ノ瀬・帝




 蝉の声すら遠くからしか聞こえないような、そんな暑さを増す夏の盛りのとある日に一ノ瀬・帝(素直クール眼鏡男子・f40234)は知花・飛鳥(コミュ強関西弁男子・f40233)の家へと訪れていた。
 特に色気のある話ではなく、夏休みの宿題を教えて欲しいという至極高校生らしい理由からだ。
 飛鳥の弟妹達は市民プールへ出掛けていて、二人がいる部屋はエアコンの冷えた空気を循環させる扇風機の音、それから――ノートの上を走るシャープペンシルの音が静かに響いていた。
「飛鳥、そこ間違ってるぞ」
「え、どれ? ここ?」
「ああ、ここだ」
 とん、と指で示された問題を解いた式を飛鳥が確認し、ぜーんぜんわからん、みたいな顔をしてノートと睨めっこをしている。
「……これはな」
 さっきも説明した気がすると思いながら、公式に当て嵌めながら説明して、ちらりと飛鳥を見る。
「わかったか?」
「……たぶん?」
 自信なさ気な顔でノートから視線を上げて、飛鳥が帝を見た。
 可愛い、と口走る前に麦茶を一口飲んで、帝がどれと飛鳥が解いた問題を覗き込んだ。
「正解、やればできるじゃないか」
「マジ? あってたん?」
 赤で小さく花丸が描かれた正解に、子どもとちゃうんやからと飛鳥が笑う。その笑みは昔から変わらない人懐っこい笑みで、きっとどれだけ年齢を重ねても変わらないのだろうと思いつつ、帝は次の問題だと飛鳥を促した。
 飛鳥はまだまだやらねばならない宿題が積み重なっていたが、帝はほとんど終わらせていたので後回しにしていた読書感想文を書く為の小説を読みつつ、飛鳥がサボらないように見張りをしているようなもの。真剣な顔もいいな、と思いつつ小説の文字を追っていた。
「ミカー」
「ん、終わったか?」
「まだ~、その本おもろい?」
「読み終わったら貸そうか? 読書感想文もまだだろ」
「う……っ」
 図星を指されたのだろう、飛鳥が胸を押さえてぱたりと床の上に倒れる振りをする。
「で、おもろいん?」
「俺は面白いと思う、比較的短くて読みやすいから頭にも入りやすい」
「んー、後で貸して」
「わかった」
 きっと感想文も最終的には自分がチェックする事になるのだから、同じ本であれば修正もしやすいだろうと帝が頷く。
「ほら、数学はあとちょっとだろ。もう少し頑張れ」
「うう」
「終わったら、土産に持ってきたアイス食べるんだろ」
「アイス! せやった、頑張るでー!」
 床と同化しかかっていた飛鳥が起き上がり、アイス! と数式を解き始めるのを見て、ファミリーパックのアイスでやる気を出してくれるなら、宿題が全部終わったら普段は高くて手の出ないカップアイスでも買ってやるかと帝が唇の端を緩めた。
 帝が小説を読み終わるのと飛鳥が終わった! と万歳したのは、ほぼ同時で帝が顔を上げる。それから、飛鳥のノートを手に取って答え合わせをしていく。
「これと、あとはここ。全部惜しいって間違いだから気を付けて解けばできると思う。あと、見直しはしろ」
「えぇ~めんどい……」
「見直しをしていれば気が付く間違いだから、勿体ない」
「は~い……」
 今後も見直しはしなさそうだなという返事をしつつ、飛鳥がチェックの入った箇所を再び解き直し、これでどうや! と帝に渡す。
「うん、出来るじゃないか」
「よっしゃー、これで今日は終わり! な!?」
「終わりには出来ないが、休憩にはしようか」
「ぐえ~」
 水滴の浮いたグラスを手にし、麦茶を飲めば溶けかけの氷がカランと鳴った。
「なー、ミカー」
「何だ?」
「休み明けの実力テストでな『点数で負けた方が勝った方の言うことを何でも聞く』って条件で勝負しよ!」
 キラキラとした笑顔を浮かべ、飛鳥が提案する。
「勝負を受けるのは別にいいが。普通にやったらいつものようにお前が負けるだろう」
「ちょっ! やってみな分らんやろ!」
 前回もそうだったと帝が言うと、う……っと飛鳥が怯む。
 テストの度にこの勝負を持ちかけて毎回飛鳥が負けるというのが恒例で、帝は何故あの成績で毎回勝負を挑んでくるのか不思議に思いながらも受けていたのだが、さすがに毎回勝ってばかりではネタも尽きるというもの。
「そこでだ。お前の唯一の得意科目である国語のみで勝負するのはどうだ」
「国語で?」
「ああ」
 確かに、過去のテストで何度か帝よりも良い点数を取った事がある国語ならば勝機もあるのでは、と飛鳥が顔をガバッと上げる。
「お? ええんか、そんな約束して~」
「構わない、じゃあ国語で勝負だな」
「なんか今回こそいける気ィしてきた! 絶対ミカに言うこと聞かせたるからなー!」
「はいはい」
 別に勝負などせずともしょちゅう言うことを聞いているのだが、と帝が麦茶を飲んで飛鳥を見遣る。既に勝った気でいるのか、何聞いてもらおうかな~とご機嫌だ。
 実際、もしも飛鳥が勝ったならば自分にどういう命令をしてくるのかという興味もあって帝は国語だけでと提案したのだが――どう転がるか楽しみだな、と思う。
「前言撤回はなしやで!」
「安心しろ、そんな真似はしない。じゃあ次は国語の宿題にするか」
「ええで! 俺の実力ってもんを見せたるからな!」
 機嫌がよくなった飛鳥は文句も言わずに国語のプリントを広げ、積極的に漢字や読み仮名の問題を埋めていく。それから、文章問題を解き古文などにも手を付けるという意欲を見せた。
 これはもしかしたら本当に負けるかもしれないな、と考えつつ答え合わせをしていけば、ケアレスミスはあったもののほぼ正解で飛鳥はどや! と得意気な顔をしている。
「これは勝ったも同然やな……! 悪いな~ミカ~」
「調子に乗ってると足元掬われるぞ」
 と言いつつも、帰ったら国語の復習をしようと心に決めて帝は飛鳥にプリントを返した。
「よっしゃ、こんだけやったらアイス食べてもええよな? な?」
「まぁ……いいか」
 まだ英語が残っているのだが、根を詰めすぎても逆効果だなと帝が頷く。
「やった! どれにしよかな、やっぱイチゴかな~メロンもええよな」
 立ち上がり、階下へ向かおうとしたところで玄関の方から複数のただいまの声が聞こえ、二人が顔を見合わせる。
「帰ってきたみたいだな」
「もうそんな時間なん? めっちゃ勉強したやん俺」
 偉すぎるな……と言いながら飛鳥が階段を降り、弟妹たちにおかえりと声を掛けた。
「いっぱい泳いだかー? 帰り暑かったやろ、アイスあるで! ミカのお土産やけどな!」
 アイス! とキャアキャアはしゃぐ小学生の弟と妹が真っ先に冷蔵庫へと向かうのを見送って、飛鳥が中学生の弟に笑みを向ける。
「おつかれさん、澄春もアイス食べてき」
「うん、ありがと帝にぃ」
「俺に言うとこちゃうん!?」
「くれたん、帝にぃやろ」
 ぺこ、と頭を下げた澄春にどういたしましてと頭を下げ返すと、弟妹達を追い掛けるように彼も冷蔵庫へと向かう。
「しっかりしてるな」
「ほんまやで、誰に似たんやろな」
「……おばさん、かな」
「それはそう。俺らもアイス食お、なくなるで!」
 一人一本やからなー! と声を張り上げる飛鳥に続き、帝もご相伴に上がるべく冷蔵庫へと向かうのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年08月25日


挿絵イラスト