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ワンスモア

#UDCアース #ノベル #猟兵達の夏休み2023

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#猟兵達の夏休み2023


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ユレル・ガランドー
🏕️
【吟遊詩人なエルフたち】
ネェル・ユピカ(何処までも旅人なエルフ・f25697)と参加するぜ。

旅をしている身だし、野営には慣れたもんだ。ただいつも1人だったから、こうやって2人で作業するのは少し楽しいかもな。
夜は焼かれるマシュマロ横目に演奏会に付き合うぜ。
最近手に入れたウクレレで演奏するか。
それにしても、同じエルフの吟遊詩人に出会った時は驚いたな。いや、俺はネェルと違って「それっぽい演技」をしてるだけの奴だがな……
褒められるのは嬉しいが、本当の俺を見ても同じように言ってくれるのだろうか?……なんてな。
まー、そんなことを考えても仕方がない。
夜はまだ長いですから、楽しみましょう?


ネェル・ユピカ
🏕️
【吟遊詩人のエルフたち】
ユレル・ガランドー(嘘つきなお兄ちゃん・f39634)と参加するよ

野営は慣れているため設営はテキパキと。ただ、行楽としてのキャンプは初めてなので新鮮な気持ちで遊べるかな。
夜になったら焚火を囲んで焼きマシュマロでもしながらちょっとした演奏会でもしよう。僕は愛用のフルートで演奏するよ。ユレルの演奏は流石の上手さだ。(初対面の時の自己紹介で吟遊詩人と言われたのを素直に信じているため、同じ演奏を好むものとして好意的に演奏技術を褒める)
あ、そうだ。焼きマシュマロを挟むようにクッキーも持ってきているんだ。あと、チョコレートも。どうせなら、思い切り楽しんじゃおう。



 野営の設営は戸惑う事もなく、テキパキともう手慣れた。ネェル・ユピカ
(何処までも旅人なエルフ・f25697)のテントの紐を引っ張る力は心強く。何時もだったら一人ですることが多いから少し楽しいと感じるユレル・ガランドー(嘘つきなお兄ちゃん・f39634)の地面にペグを打ち付ける力もまた力強く。
 今回は行楽としてのキャンプ。敵意など気にすることもない。けれども設営を緩める気配は無く。ゆったりと過ごそうとする為にも、その下準備は確りと。
 山の天気は変わりやすいとはいうけれども、今日は雨の予報は無いキャンプ日和。だから準備はてきぱきと。的確に。手早く終わらせたのなら、あとは陽が傾くのを待つだけ。

 ――陽が傾き、空に散らばる灯りが点々と光を紡ぎ始める頃。小さな木々を寄せ、集わせ、擦ったマッチに火種を灯して小さな炎が揺れ動いて次第に大きくなっていくのをその前で二人を見つめていた。
「マシュマロを串に刺して少し離すんだよね」
「ああ、じゃないとすぐに焦げてしまうらしいからな」
 ぷすり。鉄串に白いマシュマロを刺したネェルから鉄串を受け取り、ユレルは鉄串を焚き火の前から少し離れて地面へと鉄串を刺しす。
「でも待ってる間何をしようか?」
「そうだな……じゃあ、最近手に入れたウクレレで演奏するか」
 いつから持っていたのか手にしたウクレレをぽろろん、と音を響かせた。
「僕は愛用のフルートで演奏するよ」
 ネェルはフルートのリップフレートに唇を触れさせ、高らかに音色を響かせ、緩やかなウクレレの音色に合わせていく。
「――それにしても、同じエルフの吟遊詩人に出会った時は驚いたな」
 いや、自分はネェルと違って「それっぽい演技」をしているだけの偽物ではあるけれどもと口にはしなかったがユレルはネェルの音色に耳を傾けていた。
「ユレルの演奏は流石の上手さだ」
 初めて出会った時。吟遊詩人だ、とそう言われたから何の疑いもしなかった。素直に信じてしまったネェルはユレルの演奏を褒めるも彼にとってそれは“本当”を曝け出しても“本当”にそう言ってくれるのだろうかと思ってしまう。
 偽りだらけ。そこに真意などない。がらんどう。なにもないのに。ただそういう表皮だけを被って、それっぽく生きているだけ。それなのに。
 ……なんて。思ってしまっても仕方がないとゆるりと首を横に振るうユレルにネェルはどうした? と顔を覗かせて尋ねて来る。ユレルは何でもないよ、とただ微笑むだけ。
「あ、そうだ。焼きマシュマロに挟むようにクッキーも持ってきているんだ。あと、チョコレートも」
「それは良い。きっと美味しい焼きマシュマロが食べれそうですね」
「どうせなら、思い切り楽しんじゃおう」
 銀色の包み紙からクッキーを四枚。そして別の銀色の包み紙から茶色のチョコレートを二つ取り出したネェルは、鉄串に刺さったままの少し蕩けているマシュマロの間にチョコレートを挟み、鉄串からマシュマロを抜き取った。
「じゃじゃーん、特製マシュマロサンド。ユレル、どう?」
「これは美味しそうですね。頂きましょう」
 ネェルの手からマシュマロサンドを受け取ったユレルはじんわりと熱が伝わる指先に少し驚きながらも柔らかい感触を口にした。
「! 美味しいですね」
「でしょう? 前にやってみたらとっても美味しかったんだ」
 目を見開いて驚きながらうんうんと頷くユレルにネェルも彼に合わせるように首を縦に振り頷く。
「柔らかいマシュマロにチョコレートが熱で溶けて、クッキーで挟むとふわふわ甘くて……もっと欲しくなっちゃいますね」
「ふふ、じゃあもっと焼いて、いっぱい食べちゃおう」
 クッキーもチョコレートもまだまだ沢山。焚き火だってまだまだ大人しくなるつもりはまだないようで、燃え盛る炎は二人のことを光が暖かく包み込んでいた。
「これ色んなチョコレートで挟んでみたらきっと美味しいのではないでしょうか」
「良いねそれ。今回は普通のクッキーだけど、クッキーの片側にチョコレートが塗られてるのもあってそれも美味しそうだなって思ったよ」
「それだとチョコレートが要りませんけどチョコレートのごろっとした感じが良い、となるとそれもまた手放すのが惜しくなりますね」
「チョコもホワイトとかビターとか用意してみたら美味しいかな。緑のチョコレートも見たことあるけどまだ食べたことないから今度やってみよう」
「ええ是非。ですが今宵ばかりはそれらはありません。ですが、こうやって語り合うのもまた一興。――夜はまだ長いですから、楽しみましょう?」

 きっと空が真っ暗になっても。星々が照らす光はいつだってそこにある。
 話声が聞こえる距離で二人話し合えば、周りの動物たちの寝息まで聞こえてきそうな程に静かな夜になっていた事にようやく気づくかもしれない。
 タンブラーの中に入った水の色だって今は炎の色を映す透明だけれども。夜にも負けぬ真っ黒な珈琲を入れたって良い。きっと甘いマシュマロとチョコレートに合うだろうし。苦いのが苦手なら牛乳を入れたって良い。嗚呼朝まで語らって飲み干す牛乳だっていいね。――琥珀色のアルコールはユレルにはまだ少し早いからお預けで。ああでもまた何年かしたら一緒に飲めるようになるから、その時にまた一緒に飲み交わすのだっていいのかもしれない。その時はいろいろなお酒を呑もう。楽しい二人きりの宴会――いや演奏会が始まるかもしれないから。
「その時はまたユレルと一緒に楽しみたいな」
「ええ、私もです。その時はウクレレとは違うもので演奏して、セッションしてみたいものですね」

 そんな他愛の無い話をしながら、眠気眼を擦る。宴に始まりがあるように、終わりだって合わせてやってくる。それがきっと今のタイミングなのだろうと二人は顔を見合わせ頷いて、テントの中に入っていく。静かに横たわると夜の静寂さが二人を包んでいった。
「それではおやすみなさい、ネェル」
「おやすみ、ユレル」
 明日の事なんて話していない。明日朝は何をしようか。昼は何をしようか。嗚呼また夜を此処で過ごすのもいいのかもしれない。
 スモアのように「もうひとつ」と言いたくなるような時間の流れを楽しみながら眠りにつく二人の表情は穏やかに寝息を立てた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年08月24日


挿絵イラスト