【サポート優先】華開きの医将
これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。
●
「医師が武将の真似事をしていると思えば、成程そういうことか」
納得は出来ないが理解はした、といった風情で園守・風月(薔薇花園の守人・f37224)は頷いている。
何が起こったかと問えば、戦を起こすオブリビオンの城へと赴き討ち果たして貰いたいと。
「件のオブリビオンはなかなかの名医のようだ。しかしこの医師、腕は確かだが生前は医術を悪用し私服を肥やしていたようだな。何やら人の身でありながら妖狐の力を利用していたようだが、詳しいことは俺には解らない」
いずれにせよ、人を救うだけの力がありながら、私利私欲の為に利用するとは、と風月は苦々しく眉を顰めている。
と、言うのもこのオブリビオン、戦を起こすことで怪我人を生み――配下には侵攻先の民は極力殺さぬよう言い含めているようだ――その怪我人を自ら治療。対価として財産や、己の欲する何かを持つものにはそれを求め、やはり私服を肥やしているのだとか。
「所謂マッチポンプだな。許し難いことだ」
いきなり『オブリビオン』以外の横文字を使い出す侍。そう言えばこの人、ケルベロスディバイドに酷似した世界に長いこといたのだったか。
ともあれ、問題のオブリビオンは現在、周辺地域への侵攻を行っていないようだ。今の内に支配地域に向かい、城へ乗り込み、次の侵攻が行われる前に敵を討ち取る。それが今回の任務だ。
しかし城の護りは堅固で、猟兵の力を以てしても正面突破は骨が折れるだろうと言う。
「手っ取り早い方法がある。このオブリビオン、戦のない時分は強引に従わせている部下に命じて辻斬りを起こしているようだ。現場は花の咲き乱れる森の迷い路。民か旅人か、相手は問わず死なせない程度に斬りかかり、手負いとなったところを城へ攫い、治療を施しているようだ」
勿論、何かしらの対価を要求する為に。
しかし、これに便乗すれば城の護りを突破する手間は省ける。猟兵と言えども敵の目を欺くためちゃんとある程度は斬られた上で弱った演技をする必要はあるが、戦闘前にちゃんと治療はされるので、実質無傷で戦いに臨める。要求は蹴ってやればいいだけの話であるので。
そこまで舞台が整えば、後は返り討ちにするのみ。
「面倒と思うだろうが、上手くやってくれ。貴殿らの無事を祈っている」
後で全快するとは言え、確実に手傷を負わなければならない任務に皆を送り出さなければならない。それが心苦しいとでも言うような顔をしながらも、風月は|四輪の薔薇《グリモア》を咲かせる。
……何処まで本当に済まないと思っているのか解らんけれども。
絵琥れあ
お世話になっております、絵琥れあと申します。
ひっそりとサポート優先シナリオを運営させていただきます。
(勿論、通常参加も望外の喜びですので歓迎いたします)
流れと詳細は以下の通りになります。
第1章:冒険『華笑みの森に彷徨う影』
第2章:ボス戦『華岡伊良洲』
第1章では、花の咲く森を探索し、敢えて辻斬りに襲われていただきます。
回避・防御してもいいですがある程度は斬られてください。治療出来る&誘拐される程弱った演技が可能なら軽傷でもいいです。
「うっ持病が」とかやるのもアリといえばアリです。本当に患っているのなら。
(メタ的なこと言うとユーベルコードの力で本当に治療されてしまうので、RP的な観点からオススメはしません。もし健康体だったら的イフをやりたい方にはアリかも。
シナリオ終了後にユーベルコードの効力を失い結局再発した、とかは任意です)
因みに夏の花と早咲きの秋の花が見頃。
第2章では、城の主である『華岡伊良洲』の治療を受けた後、その要求を蹴っての戦いとなります。
怪我はちゃんと治って全快しますし、何か副作用などの罠が仕込まれているということはありませんのでご安心ください。
因みにこのシナリオにおいては何故か人狼、怪奇人間に対し異常なまでの執着を見せます。その性質や身体的特徴に興味があるようです。
その為、通常参加者で該当の方がいれば攻勢は激しくなりますが、興味を引きそうな話題を振れれば攻撃の手を止めるようです。
上手く利用すると相手が楽になるかも知れません。但し我欲に忠実でも医師、余りに|荒唐無稽《トンチキ》な話だと見破られます。
嘘を吐く場合、ある程度リアリティは持たせましょう。
サポート優先シナリオのため、調子や現行シナリオの進捗と相談しながら自分のペースで執筆していくことになるかと思います。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
第1章 冒険
『華笑みの森に彷徨う影』
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POW : 森の入り口から隅々まで探す
SPD : 隠れていそうな場所を探す
WIZ : 生き物とは異なる気配を探す
イラスト:シロタマゴ
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
月杜・屠(サポート)
大人びていて飄々としたタイプのくの一
臨機応変な柔軟さが信条ね
仕方ないわね、といいつつの面倒見のよさ有り
他の猟兵のフォローなども進んで行うわ
身体能力が非常に高く、忍びならではの身軽さや体捌きを重視しているわ
生業のせいか、人の生き死にに対しては割り切っていて非情な態度を取ることが多いわね
とはいえ、無益な殺生は好まず不要な争いは避ける傾向で、その辺りの搦手は、くの一的な手法を取ったりもするわ
スキルとUCは使い時には使用をためらないタイプよ
NGなし、基本お任せとアドリブは大歓迎
●
(「向日葵に千日紅、桔梗、百合、早咲きの金木犀に彼岸花」)
町娘風の出で立ちをし、花々の咲き乱れる森に足を踏み入れた月杜・屠(滅殺くノ一・f01931)。
加えて、緑と風と光が織り成す美しさ。まさに風光明媚と呼べるこの森は、知る人ぞ知る景勝地として扱われているらしい。
(「旅人がふらっと立ち寄って襲われるわけね」)
屠は納得した。くノ一として感情のコントロールは訳もない彼女だが、美しいものは美しいと率直に思う。表情に出すことは、必要に駆られない限り殆どないけれど。
と、その時だった。
「か、覚悟!」
「!」
敵意。
それから数テンポほど遅れて、物陰から斬りかかってくる影がある。屠からすれば難なく躱せる程度のものだったが、敢えて斬られろということだったので、咄嗟に庇ったという体で腕に傷を負った。勿論、掠り傷に近い軽傷である。
さて、ここからが本領発揮。
「きゃああ!!」
屠は声を上げ、慌てて飛び退くのと力なく腰を抜かす動作を混ぜたような動きで地べたにへたりこんだ。
俯き加減で恐怖を演出する。その間、ちらりと相手の様子を窺ったが、確かに兵士でこそあるものの、オブリビオンではないらしい。
ならば、よりやりやすそうだ。
「た……助けてください。命だけは……何でもいたしますから」
「……!」
潤んだ瞳で上目遣いに兵士を見上げ、無自覚といった風情でその艷やかな肢体を強調する。催眠を交えた誘惑で、か弱い娘を演じたのだ。
「ならば来い! 城主の元へと連れて行く」
兵士は無理矢理自分の肩に屠の腕を回し、しっかりと腰を抱くと城に向かって歩き始めた。チョロい。
冷めた瞳を目の潤みの奥へ隠して、屠はされるがままについて行くのだった。
成功
🔵🔵🔴
スピレイル・ナトゥア(サポート)
精霊を信仰する部族の巫女姫です
好奇心旺盛な性格で、世界をオブリビオンのいない平和な状態に戻して、楽しく旅をするために戦っています
自分の生命を危険に晒してでも、被害者の方々の生命を救おうとします
技能は【第六感】と【援護射撃】と【オーラ防御】を主に使用します
精霊印の突撃銃を武器に、弾幕を張ったり、味方を援護したりする専用スタイルです(前衛はみなさんに任せました!)
情報収集や交渉のときには、自前の猫耳をふりふり揺らして【誘惑】を
接近戦の場合は精霊の護身用ナイフで【捨て身の一撃】を繰り出します
マスター様ごとの描写の違いを楽しみにしている改造巫女服娘なので、ぜひサポート参加させてくださると嬉しいです!
●
「まあ、素敵な景色……!」
スピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)は感嘆の声を上げずにいられなかった。
まさに百花繚乱。夏の花と早咲きの秋の花が、緑の森を彩るようにして咲き誇っている。
好奇心旺盛で、様々な世界を旅することを楽しみのひとつとしているスピレイルは、依頼である以前にこの森の話を聞き、是非一度訪れてみたいという気持ちを抑えられなかったのだ。
しかし、そこで改めて思う。この美しい景色を利用している悪しきオブリビオンがいるのだと。
(「訪れる方が平穏無事にこの光景を楽しめるよう、戦わなければいけませんね」)
その為に、まずは城へ潜入を。
これ以上、オブリビオンの欲望の為に苦痛と恐怖を味わう人々を生まない為にも。
「覚悟……!」
「きゃっ」
考えている内に、目的の地点に辿り着いたらしい。何者かが物陰から、スピレイルに斬りかかってきた。
痛みに耐え、敢えてその一撃を喰らう。とは言え、流石にある程度は防御したのだが。
「うう……っ」
そのまま、スピレイルはその場に座り込んだ。身体を丸め、痛みに耐えているといった様子がこれで醸し出せればいいと思いながら。
「来い! 城主がお待ちだ」
狙い通り、負傷したスピレイルが抵抗の気力を失ったと見た辻斬り犯――兵士は、俯くスピレイルを立たせると、城へと連行して行ったのであった。
成功
🔵🔵🔴
鹿村・トーゴ
なんか回りくどい悪さしてンなァ
ま、ワザと斬られて怪我して敵の陣内入り込む、と
それまでこの道を堪能するかね
相棒の鸚鵡ユキエ『花がいっぱいね』
うん、なかなか見事だよな
花に見とれる【演技】しながら
山道を順当に歩きつつ【情報収集】
ゆーてもこの森に何が、って有るわけじゃねーだろな
まあ敵の手下の接近を知る程度かなー
飴行商の出で立ち
敵の接近を【聞き耳】で察知
深手はないが血が派手に出る箇所を敢えて斬られるよう転んだり動揺のフリ
!痛ってェ…
『いたい、いたい』(ユキエもびっくりするフリ
こんなとこで山賊?雲助?勘弁してよォ
袂裏からお金を出し
手持ち分渡すから見逃して
ホント野仏は堪忍…
連行時も怪我の演技続行
アドリブ可
●
飴行商の出で立ちで花と緑の路を歩きながら、鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は何の気なしに空を仰いだ。
「なんか回りくどい悪さしてンなァ」
白い鸚鵡が首を傾げる。思えば、旅の相棒であるユキエとの付き合いも長い。
「ま、ワザと斬られて怪我して敵の陣内入り込む、と」
本来ならば極力、敵地で負傷は避けたいし避けるべきだが、それが潜入に必須とあってはやむを得ない。
「それまでこの道を堪能するかね」
『花がいっぱいね』
「うん、なかなか見事だよな」
幸いにして咲き乱れる花々はトーゴの言う通り見事で、応援されているような心地さえする。
特に晩夏に一花咲かせんと誇らしげな夏の花は、美しくも力強く感じられた。向日葵は明るく、千日紅は鮮やかで、百合は凛として――、
「覚悟!」
「えっ」
平穏揺るがす、敵意の声。
トーゴは完全に花に見惚れており、反応が遅れた――演技をした。
実際には歩きつつ周囲を見渡すふりをしながら、聞き耳も立てつつ怪しいものがないか警戒を怠らずにいたのだ。
(「ゆーてもこの森に何が、って有るわけじゃねーだろなとは思ったけど」)
こうもあっさりと敵の接近を察知することが出来るとは。察するに一般人の兵士としてはそこそこやるようだが、埒外との戦いを繰り広げるべく鍛え抜いた猟兵には到底及ばない。
(「ま、それは仕様のないことだと思うけ、どっ」)
トーゴは慌てて、それでも反射的に身を引こうとしたと見える動作で深手を避ける。それでも、敢えて出血量の多い個所を晒して斬られ、派手に血飛沫を上げて転んで見せた。
「! 痛ってェ……」
『いたい、いたい』
ユキエもそれに倣い、驚いたように痛がる声を上げる。
歩み寄ってくる辻斬り、もとい兵士の目には痛手を負って動揺と恐怖で動けぬように映っただろう。
「こんなとこで山賊? 雲助? 勘弁してよォ」
命乞いの言葉を並べつつ、はたと思い至ったように袂裏からお金を出し、差し出すようにして見せるトーゴ。
「手持ち分渡すから見逃して、ホント野仏は堪忍……」
「それはしまっておけ、命までは取らん。この道を通る者を連れてこいとの城主のお達しだ!」
「ヒィッ、あ、痛ててて……!」
情けなく悲鳴を上げつつ、痛がる素振りも見せながら、兵士に引き立てられるままにトーゴは歩く。
兵士の目を盗んで行く先を見れば、確かにそこにはそびえ立つ城があった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『華岡伊良洲』
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POW : 常世
自身が戦闘不能となる事で、【自身を恐れている 】敵1体に大ダメージを与える。【欺瞞に満ちた愛情】を語ると更にダメージ増。
SPD : 天萬
いま戦っている対象に有効な【とある薬師の調合薬 】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : 不伝
【門外不出の医療技術 】から、対象の【醜い姿で死にたくない】という願いを叶える【治療法】を創造する。[治療法]をうまく使わないと願いは叶わない。
イラスト:otomo
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ロカジ・ミナイ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
城に通された猟兵達は、オブリビオン――華岡伊良洲の治療を受けていた。
華岡は静かに、言葉数少なく手を動かしていた。何やら薬を塗っているが、この薬こそユーベルコードなのだろう。何か毒が仕込まれている可能性もあったが、どうやら医師としてやるべき仕事はしっかりと熟す心積もりのようだ。
尤も、それは医師としての高潔な志などではなく、仕事分の報酬を得る為の最低限の働きということなのだろうが。
「治療は完了した。傷痕も残っていない筈だ」
華岡に告げられ猟兵達が受けた傷残る筈の箇所に視線を落とせば、その言葉通りに出血が嘘のように止まっている。ばかりか、本当に傷痕すら残ってはいなかった。
ここまではいい。問題はこの後だ。
「さて、治療を受けたからには対価を払って貰おうか。人は家財を売り、有り金の全てを。人ならざる者は己の異形の部位をひとつ。収めて貰おうか」
異形を切り落とすのであれば手伝ってやろうなどと、にべもなく言い放つ華岡だが。
自ら怪我人を生み、治療することで富と研究材料を手に入れ、剰えそれらを求めるのは己の欲望の為などと――そのような身勝手な要求を、呑むわけには行かない!
「そうか」
猟兵達が支払いを拒否すると見るや、華岡は徐に立ち上がった。
「ならば、その命ごと――置いて行くがいい」
樂文・スイ(サポート)
一人称:俺
二人称:君、お前
女性、子供にはくん、ちゃん付け、男性には呼び捨て
口調は~だね、~だよ系で飄々としている
人助けは完全にヒトへの好意から。
ヒトの死を見るのも好きだが、あくまで自分の手で殺してこそと思っているので敵の殺戮を許すようなことはない。立場上殺人衝動は敵を倒すことで紛らわせている(我慢してる)
表向きは人好きのする明るいお兄さんで楽しいこと大好き!なノリ
残酷な面は敵対した相手にしか見せないようにしている
攻撃としては傷口をえぐる、誘惑、威圧など
防御としては毒耐性、医術など使用
物騒なキャラだがシナリオ内で一般人や仲間に危害を加えるなど迷惑行為はしない
UCは活性化されたものどれでも使用可
●
「おっと。……なあセンセ、さっきから気になってたんだけどその骨と毛皮って、もしかして妖狐?」
自身も妖狐である樂文・スイ(欺瞞と忘却・f39286)が問う。
華岡は何も答えなかったが、その沈黙こそが肯定――寧ろ、そんなことを知ってどうすると言わんばかりの、隠す気も否定する気もまるでない顔をしていた。
怖い怖い、と全く怖がっているように見えない声音で嘯きつつ、スイは華岡のすることをただ見ていた。殺気を向けられているとは思えぬ無防備な佇まいだった。
(「あれは……毒かね」)
念動力なのか、何処からともなく現れた血が手の形を成し、薬瓶のようなものを掴んでいる。それは力強く瓶を投擲し、その中身は真正面からスイへとぶちまけられた。
落ちた瓶が割れる。スイはその身を毒に侵された――筈だった。
「……?」
しかしスイはニヤリと嗤う。どうやら訝しげな顔をする華岡も気づいたようだと悟った。
毒が、全く効いていないのだ。
「センセ、狐に化かされたことは?」
「!」
身に覚えがないのなら今まで上手くやったんだなと。
だが、それもここまで。毒素はぴこんと動くスイの耳から全て排出され、残滓すらも残りはしない。
服がびしょ濡れなことだけが少々不快だが、まあいいだろう。
殺らなければ殺られるような相手なら、遠慮する必要もないことだし。
「残念だったな、センセ」
その眼前に迫り、ひとつ刃を閃かせる。
血襖ごと、華を断つ。
成功
🔵🔵🔴
シホ・エーデルワイス(サポート)
助太刀します!
人柄
普段は物静かで儚げな雰囲気ですが
戦闘時は仲間が活躍しやすい様
積極的に支援します
心情
仲間と力を合わせる事で
どんな困難にも乗り越えられると信じています
基本行動
味方や救助対象が危険に晒されたら身の危険を顧みず庇い
疲労を気にせず治療します
一見自殺行為に見える事もあるかもしれませんが
誰も悲しませたくないと思っており
UCや技能を駆使して生き残ろうとします
またUC【贖罪】により楽には死ねません
ですが
心配させない様
苦しくても明るく振る舞います
戦闘
味方がいれば回復と支援に専念します
攻撃は主に聖銃二丁を使用
戦後
オブリビオンに憎悪等は感じず
悪逆非道な敵でも倒したら
命を頂いた事に弔いの祈りを捧げます
キノ・コバルトリュフ(サポート)
キノキノ、キノが来たから
もう、大丈夫だよ。
キノノ?キノだけじゃ心配だって?
マツタケ!キノには星霊の仲間がいるから大丈夫!!
トリュフ!!キノ達の活躍を見せてあげるよ。
シメジ?キノが苦戦はありえないけど、その時は一発逆転を狙っていくよ。
キノキノ、みんなよろしくね。
●
「キノキノ? 人間にないものが欲しいの? キノのキノコ笠も取られちゃう?」
それは大変、とキノ・コバルトリュフ(|キノコつむり《🍄🍄🍄🍄🍄》の星霊術士・f39074)は星霊達を喚んだ。スピカにヒュプノスが護るようにしてキノにぎゅっと寄り添い、バルカンが尾の炎を強めて威嚇する。
「大丈夫です、決してそのようなことにはさせません」
キノを守るようにして、シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)が進み出た。彼女自身も恐らく翼を狙われているし、それを理解もしているが、寧ろ敵の注目を自身に集め、キノや他の皆を護れれば、と。
「翼に傘か。成程」
果たして確かに華岡はシホの翼と、キノの傘をそれぞれ凝視してひとつ頷いた。表情ひとつ変えないのが逆に怖い。
しかし、戦わなければならない。奴を野放しにしてしまえば、また戦は起こり奴の毒牙にかかる新たな被害者も出てしまう。
ここで、討つのだ。
「時に青茸の娘。醜い姿で死にたくない、と考えたことは?」
「シメジ?」
華岡は恐らく、老いて死ぬことへの恐怖を問うたのだろう。キノがそれに同意すれば、オブリビオン化でもさせて活かす算段だっただろうか。その場合でも傘は切り落とされてしまうのだろうが。
だがそもそも、キノはその問いを別の意味で受け取ったようだった。
「確かにここで死ぬつもりはないかな。キノにはキノコヘイム設立っていう大きな夢があるからね」
だから、倒されてやる謂れはないと。
キノは奉納の舞を踊り始めた。それを見たシホは、あの舞こそが彼女のユーベルコードの核であると察し、聖銃を抜き放つ。
威嚇射撃を。一発、二発。
「どうかあなたの魂にも、救いの余地があらんことを」
「戯言を」
白と黒の銃口から、十字を描く発射炎と共に絶え間なく射撃を続けるシホ。光と銀の弾丸は魔を祓うものでもあり、悪しき力ごと華岡を穿つ。
だがその最中、シホは気づいてしまった。その身に穴を開けながらも華岡の周囲を漂う血が腕の形を成し、毒薬の瓶を掲げ持っていることを!
「っ!!」
シホは意を決した。キノに被害が及ばぬよう、我が身を以てその毒を受け止める。直撃した左の二の腕が焼けるように熱い。袖も少し溶けてしまっていた。
だが、キノを心配させまいと苦悶の声を噛み殺した。そして、その直後。
「マツタケ! バルくん、いくよー」
「!」
奉納の舞で火力を高めつつも己のものとした炎の力を、密かに華岡へと接近させていた星霊バルカンへと宿し。
彼がぐるぐると回れば、中心の華岡を起点にするようにして創世記の炎が渦を巻く!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ステラ・カガミ(サポート)
『よろしくね。』
人間のシンフォニア×サウンドソルジャー、19歳の女です。
普段の口調は「年相応の少女口調(あたし、~くん、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、偉い人には「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。
踊り子兼歌姫なので歌ったり踊ったりすることが大好きです。
明るく好奇心旺盛な性格で、自慢の歌と踊りで旅費を稼ぎながら世界を回っています。
戦闘では歌や踊りを使っての援護に回ることが多く、ユーベルコードもそれに準じた使い方をします。
描写NGはありませんので、あらゆる用途で使って頂いて大丈夫です。
●
「悪いけど、そんな人に払うお金なんてないのよ」
ステラ・カガミ(踊り子兼歌姫・f14046)は毅然と言い放つ。
確かに腕は良い。医師としての仕事もしている。
だが、間接的であれ自ら怪我人を生み、その為に戦まで起こし、人々を苦しめるのならば、オブリビオンであるということを差し引いても、捨て置けない!
「ならば命を置いていけ」
「殺されてたまるもんですか!」
すると、華岡の周囲に赤い霧が浮かぶ。あれは、誰のものかは定かでないが、霧散した血だ。ステラはそう直感する。
その血が人の腕の形を取り、手の中で薬――否、毒瓶をちらつかせた。あれに当たるわけには行かない。
「お金の代わりにあたしの歌を聴かせてあげるわ♪」
愛用のシンフォニックデバイスの感度も良好。すうと息を吸い込むと同時、天女の羽衣はためかせ、ステラは城の天井付近まで高く飛び立つ!
「!」
投げられた毒瓶は虚しく宙を舞い、やがて床へと落ちて割れる。
「らら〜♪♪」
「――チッ」
四方八方を舞うように飛び回るステラの歌声は、衝撃波と化して華岡の身を裂いた。
負傷する度に奴は自らを治療しているようだが、それも追いつかなくなってきている。着実に、追い詰めている!
成功
🔵🔵🔴
鹿村・トーゴ
この治療にまず礼を先生
あ。ユキエは外出ときな
でもなァ茶番にあくどい荒稼ぎ
名手荘の方々とは違って藪のよーだね?
まァ有り金置いてってもイイよ
旅暮らしで飴と10日の路銀だけど
金を置くフリで距離測り敵行動目視【だまし討ち、情報収集】
UC蜂を6匹攻撃仕掛け一匹は傍に
意外にあっさり戦闘不能になる敵を警戒
【野生の勘】で躱せるダメージは避け無理な負傷は【激痛耐性】で凌ぎ
【カウンター】即反撃
追加の騙りは話す前に傍の蜂を仕掛け針で【串刺し目潰し】視覚奪う
クナイを手に蜂に追随、接近
話す前に敵体の喉を裂き斬る【暗殺】
何の愛だか…三文芝居はもう結構
生死の術を手にしたお医者が私欲でそれ操ったら正道じゃねーもんな
アドリブ可
●
一同が支払いを拒む中、鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は座したまま華岡へと頭を垂れた。
「この治療にまず礼を、先生」
「………………」
華岡は、じっとトーゴを見下ろしている。
「あ。ユキエは外出ときな」
トーゴの肩の上から小さな重みが消え、窓の外へと飛び立っていった。
彼女は賢いから、戦いの終わりを察すれば戻ってくるだろう。
「でもなァ茶番にあくどい荒稼ぎ、名手荘の方々とは違って藪のよーだね?」
悪党としては余りに稚拙。
とは言え、民草が相手であればそれでよかったのだろう。だが今、華岡の相手は猟兵だ。
「まァ有り金置いてってもイイよ。旅暮らしで飴と十日の路銀だけど」
確かめてみるかい、と己の眼前に金を置く素振りを見せる。
ふむ、と華岡は考え込む様子を見せつつこちらに踏み込んだ。目視でその歩幅を図る。そして、己の間合いに達したその時――仕掛ける!
「七針」
放った不可視の蜂は七。傍らに一の針のみを残し六の針が音もなく華岡を襲った。
華岡は目を見開くも、声もなく苦悶の表情もなく、静かに仰のいて倒れ込んだ。
余りに呆気ない死だと、トーゴも気づいていた。
警戒を怠らず、近づく。脈を確認しようと傍らに膝を着いた、その瞬間。
「!」
華岡の周囲へと霧散した血が集まり獣の姿を成した。
化け狐にも見えるそれは、トーゴの頭を食らわんと迫る。本能的な死の気配を敏感に察知したトーゴはその顎門を避けた。重ねて薙ぎ払われる巨大な尾は急所を守りつつ、痛みを堪える。
咄嗟に放った手裏剣は避けられたが、華岡はぽつりと。
「稼ぐのみなら余りに無駄が多すぎる」
「?」
「傷つけようとも私は癒すことを選んだ。私にはそれしかない。これは私なりの、生命への――、……」
そこまで言って、華岡の言葉が止まる。
続きを言わせてはいけない。トーゴは直感し、傍らの蜂へと命じた。
「潰せ」
「っ、グ……!」
蒼炎の色宿す左眼を刺し貫く。
赤く染まるよりも速く、追随したトーゴの手に閃くは苦無。
二の句を継ぐその前に、喉笛を、掻き切った。
「か、……っは……」
ひゅう、と風の流れるような音。
華岡の迷いの、或いは思案の先に在ったのは、きっと。
「何の愛だか……三文芝居はもう結構」
その答えが何であれ、これで終わりだ。
今度こそ、どうと倒れて声を開かれた華は散る。
「生死の術を手にしたお医者が私欲でそれ操ったら、正道じゃねーもんな」
大成功
🔵🔵🔵