芽吹く葦に渡り鳥は留まる
大町・詩乃
【旅神】
せっかくの夏ですので、嵐さんと海デートを楽しみますよ♪
UDCアースにある嵐さんの故郷から少し離れた海岸にやってきました~。
服装はもちろん今年のお姫様風水着!
水着隠しのバスタオルを取って、嵐さんにお披露目です♪
「どうでしょう、似合ってますでしょうか?」
気に入ってもらえたようならニッコリ笑顔に。
そのままだと泳ぐのは厳しいので、パレオや飾りなどを外して、嵐さんと一緒に海に入ります。
一緒に泳いだり、浮き輪で海にプカプカ浮いたりして遊べたら良いな。
せっかくのデートですのでテンション高めだったりします。
夜になったら浴衣に着替えて、波打ち際で花火を楽しみます♪
派手な花火から、情緒ある線香花火まで一通り遊びますよ~。
線香花火が落ちないようにするのは得意なんです(ちょっぴりドヤ顔)。
花火が尽きたら嵐さんと夜空を眺めます。
綺麗ですね~♪と見惚れつつも、嵐さんに体を寄せて甘えてみますよ♥
差し出された手を握り、温もりを愛おしむように暫し寄り添うのでした♪
鏡島・嵐
【旅神】
詩乃(f17458)と、夏の海での思い出作り。
待ち合わせ場所はおれの故郷から少し離れた場所にある海辺。
海でデートとかガラじゃないし照れ臭ぇけど、詩乃の喜ぶ顔も見てえしな。
着慣れた水着とパーカーに着替えて、詩乃を待つ。
(詩乃の水着お披露目を見て)
……うん、こういうのを見惚れるって言うんだろうな。すげえ似合ってる。
昼間は海で水遊びだ。泳ぎはそれなりに得意なので、いろいろ試して楽しむ。
この浜は波のお行儀がいいからサーフィンとかには向かねーけど、その分安全に遊べるのがいいトコだな。
まあ、たまにはデカい波が来たりもするけどな。ちょっとしたスリルってやつだ。
日が暮れたら浴衣に着替えて、波打ち際で花火遊びだ。いろいろ揃えてきたからいっぱい楽しめるぞ。
お、線香花火得意なんか? 実はおれも。
花火が終わったら、夜空を見上げて天体観測としゃれ込む。
うん、イイ星空だ。星座もしっかり見えるし、目を凝らせば流れ星とか見えっかもな。
……ん? なんだ甘ったれ。そんなにおれにくっつきてえ?
……ほら、手。
●風と海と
眩しい、と鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は思った。
曇らぬ瞳は大人になっても変わらぬものであった。ブレないということは、芯があるということでもあろう。
故に彼の目の前に現れた大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)に対しても同じであるはずだった。
いや、違う。
こういうことを言いたいわけではない。
一夏の思い出を作るために選んだ待ち合わせ場所は嵐の故郷から少し離れた海辺。
波の音が、風の音が、今は嵐には聞こえない。
そもそもガラじゃないと思っていたのだ。
海でデートとかって、きっともっと、そう、明るい陽気な連中のやることであって自分には無縁なことであると。
けれど、詩乃の姿を見れば、そうした考えも吹き飛んでしまう。
純白の花嫁衣装のような姿。
水着であることを一瞬忘れるほどの美しさ。自分は着慣れた水着とパーカーという彼女に比べたのならば些か……という疑念は浮かべども、それさえも彼女の姿は吹き飛ばしてしまう。
「どうでしょう、似合ってますでしょうか?」
にっこりと微笑む詩乃。
その眩い笑顔を前にして、デートはガラじゃないとか、照れくさいとか、そんなのは些細な感情であると知る。
故に、嵐は息を呑み込んでから双眸をそらさずに詩乃を見て告げるのだ。
「……うん、こういうのを見惚れるっていうんだろうな。すげえ似合ってる」
その言葉に詩乃の表情はさらに華やぐようであった。
「でも、このまま泳ぐのは適さないですよね」
「おわぁっ、いきなりパレオを外すなよ! 此処で!」
慌てて嵐はパーカーを脱いで目隠しのようにして詩乃がパレオやら飾やらを外すのを他人の目に触れさせぬようにするのだ。
その様子がなんだか可愛らしいと思ってしまうのは、詩乃の心に悪戯っぽい感情が生み出される要因となってしまう。
「嵐さんがいてくださるから、安心しちゃって。ふふ、できましたよ♪ 行きましょう♪」
目隠しをしながら顔を背けていた嵐の手をとって詩乃は砂浜を蹴って波が寄せる海へと走っていく。
「引っ張るなって! 解ってるから!」
「夏は短いんですよ。早く早く、こっちです!」
詩乃のテンションはいつもより高い。わかっていたことだが、詩乃自身もそう自覚している。だって、せっかくのデートなのだ。
時間は有限。
なら、少しでも多く嵐との思い出を作りたいと思うのが自然だろう。
だから、強引でもなんでもいい。
彼を海へと連れ出して、一緒に泳ぐ。競争をしたり、冷たい海の波間に揺れて涼を取ったり、浮き輪に寝そべって太陽の光を一身に受けるのだ。
そうしていると嵐も見慣れぬ詩乃の水着姿にも慣れてくるのだろう。
いつものように自然と水遊びに興じる。
「な、ここの浜は波のお行儀がいいだろう?」
「ええ、穏やかでのんびりするにはとってもいいですね」
「サーフィンとかには向かねー……」
けど、と言い終わるより早く、嵐の言葉に異を唱えるように高い波が二人を浜辺へと押し流してしまう。
その様子に二人はまた笑いあって息を切らすのだ――。
●附する火
夏は不思議だ。
それ以上に千万変化とでも言えばいいだろうか。
日中の日照りの如き燦然たる太陽も、夜の帳が落ちれば暑さではなく涼しさを感じさせてくれるのだ。
浴衣に着替えた二人は浜辺で寄り添う。
手にしているのは線香花火。
いくつかの花火で遊んだ後、なんだかしんみりしてしまった。
終わる夏を惜しむからか。それとも隣に居る者に対して寄り添っていたいと思うからか。
「ふふ」
「お、どした?」
「いえ、私、線香花火得意なんです。落ちないようにするの」
「実はおれも」
得意なんだ、と嵐の笑む表情が火花が照らす闇の向こうに浮かび上がる。なら、と詩乃はドヤ顔をして見せる。
「じゃあ、どちらが長く……って、あ」
「くっついちまったな」
勝負に持ち込む前に二人の距離が、肩を寄せ合うものだったからか、線香花火はくっついて共に落ちてしまう。
花火のほのかな光が喪われてしまえば、周囲は闇に包まれれる。
いや、違う。
星空の明かりが二人を照らしていた。
頼りな異明かりであったかもしれない。
けれど、二人には十分だった。
「綺麗ですね~♪」
そう言って詩乃は少しばかり大胆に嵐に身を寄せる。体を寄せるぬくもりは、互いの温度を理解させるものであった。
甘えて居る、という自覚はあった。
「……ん? なんだ甘ったれ。そんなにおれにくっつきてえ?」
「はい♪」
屈託ない笑顔に嵐は敵わないと思ったかも知れない。
だって、どんなに言っても詩乃は離れないだろう。なら今度は自分が踏み込む番だ。
「……ほら、手」
その掌に詩乃は瞳を伏せながら握り、ぬくもりを愛おしむように頬を寄せる。
それから、二人は見上げる星空に互いを思うだろう。
大切に思う心がある。
そして、この温もりを見上げた星空の美しさに例えるのだ――。
成功
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