映える写真しか許さない!
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アスリートアースには様々な競技が存在する。今、とある野球ドームの片隅でカメラやスマホを持つ集団もその一つだ。
「それじゃあ皆さん、今日のイベントの趣旨をおさらいしましょう」
一眼レフを持つ30代の男、『|樹野・光《きや・ひかる》』は目の前の老若男女に穏やかに語り掛ける。
「今日のスポーツフェスの会場はこの野球ドーム。この内でしたらば何を撮っても大丈夫です。普段入ってはいけないの所も大体は入れます。ただし、練習が行われている球場には入ってはいけません。そしてこのフェスに置いての勝利条件は「『好き』を撮る」……」
「いいや、好きに撮るなんて認めないぜ」
話を遮る声は球場にいる選手から発せられた。
「俺たちを差し置いて写真を撮る事なんて許さねぇ! 俺たちは遊びで野球やってんじゃねぇんだよ、お前たちも真剣にやれ!」
そして観客席にいた集団――『フォトグラファー』たちに一喝を浴びせた。
「何を言っているんですか、それはイベントの趣旨に反しています! そもそもこのイベントの趣旨は皆さんも了承の上で行われているのをお忘れですか!?」
光が抗議する間にも他の参加者は身を縮め沈黙。そして、
「そ、そうよね。選手は真剣にやってるのに私達だけ軽い気持ちでやっちゃ駄目よね……」
「選手のカッコいい所をとらないと……!」
「ええ~僕誰もいないドームの写真撮りたい~!」
「おもしろくないよぉ!」
参加者からは戸惑い、強迫観念、嘆き――様々な感情が渦巻いていたのだった。
●
「皆は『フォトグラファー』って知ってるか?」
集まった猟兵にエスクルールはそう問いかければ、猟兵達は様々な反応を示す。
「『フォトグラファー』はその名の通り写真家、カメラマンだな。普段はアスリートアースで活躍する選手の写真を撮って広報活動をしているんだけれど、最近そういった活動を競技にしようかっていう話が出ているみたいなんだ」
他の競技選手の輝く一瞬を写真に納めるのはもちろん、街や海を会場にしてパルクールやダイビング、ドローン技術等を駆使して一般の人では納めることができない素敵な写真を撮る事を競う『フォトグラフィ』という競技があるのだとか。
「といってもまだまだ競技人口が少ないし、ルールもふわっとしてるんだけどな!
と、話を戻すぞ。
この『フォトグラファー』を増やすのと写真を撮る楽しみを知って欲しいって事で、とある男性が野球選手が練習するドームで写真を撮ろうっていうスポフェス――スポーツフェスを開催するんだ。野球選手の練習風景をもちろん、ドーム内ならばどこを切り取って写真に納めても良いって初心者向けのルールでな。けど……」
少年が肩を竦めるのに合わせ頭の上のひよこが「ぴよー」とやれやれといった表情を浮かべる。
さて、ここまで話せばこの少年が何を言いたいのか、察しのいい猟兵なら分かるのではないだろうか。
「ドームで練習する野球選手がいきなり『俺らをかっこよく撮らないとは許さん! 真剣にやれ!』みたいな感じに怒っちゃってさ。それに焚きつけられた未来のフォトグラファー(仮)が良い写真を撮らないといけないって思い込んじゃうんだ」
初心者、それもお試しでと参加している人からすれば撮影対象を固定された良い写真を撮る事を強要されれば、今は良くても長続きはしない事は目に見えている。これは先のスポーツ界を彩る将来の芽を潰すことになりかねない。
「ということで君たちにはこの野球選手――ダークリーガー達と……野球勝負をしてもらいたいんだぞ!」
フォトグラファーどこ行った。そんなツッコミにエスクルールはちっちっちと指を振ってどや顔で応える。
「野球選手たちと死闘を繰り広げる事で未来のフォトグラファーたちの『良い写真を撮らないといけない』っていう強迫観念を取り除いて自然とカメラを向けて楽しく写真を撮ってもらえるんだ。大事な一戦だぞ~」
基本的なルールは野球と一緒。相手のチームと熱い戦いをしてもらえば、ダークリーガーたちも目を覚まし、フォトグラファーも楽しみながら写真を撮ってくれるだろう。
「ちなみに野球じゃなくてフォトグラファーの意識を野球以外に逸らす活動もとってもいいぞ。一緒に写真撮るのを楽しんだり、選手のアピール無視してドームの中を撮ったりとかな。自分たちが構ってもらえなければ野球選手は冷静になってくれるぞ。
そうこうしてダークリーガーたちの企み(?)を退けられればフェスの最後にはちょっとした打ち上げ会が待っているぞ。遊んだり競技者と話したり好きに活動してくれよな~」
一通りの説明を終えた少年がグリモアを起動させながら、疑問を一つ零す。
「でもこのイベントってドームの持ち主や球団、参加選手たちも快諾した上での開催だったらしいのに……急にどうしたんだろうな?」
少年は首を傾げながらもグリモアを起動し、猟兵達をドームへと導くのであった。
遭去
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遭去です。その他スポーツ……スポーツ?の『フォトグラィ』。その選手である『フォトグラファー』達に降りかかった災難を助けする依頼になります。
1,2章は闇堕ちした野球選手と戦いながらフォトグラファーの皆さんに写真を撮る楽しみを教えてあげてください。
お声がけやフォローがなくてもフォトグラファーは野球をする猟兵達の姿を見ればワクワクして自ら写真を撮ってくれます。
また、OPでも言及していますが野球に参加しないでフォトグラファー側から写真を楽しくとる姿勢を見せると同じように楽しんで写真を撮ってくれるようになります。
3章は打ち上げです。輪投げや射的といったミニゲームに興じても良し、フォトグラファーの皆が撮った写真を楽しむ内容の予定です。詳細は3章冒頭に記載します。
第1章 集団戦
『ダークフィールダー』
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POW : 秘打ミラクルハリケーン
【その場での一本足高速回転】で超加速した武器を振るい、近接範囲内の全員を20m吹き飛ばし、しばらく行動不能にする。
SPD : レーザービーム投法
速度マッハ5.0以上の【殺人レーザー】で攻撃する。軌跡にはしばらく【質量を持つ光】が残り、追撃や足場代わりに利用できる。
WIZ : 球場大乱闘
攻撃が命中した対象に【狂乱の刻印】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【狂乱した周囲の人々の乱闘】による追加攻撃を与え続ける。
イラスト:皿田
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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観客席側から言い合う声が聞こえる。
『やだやだ! オレ今日はドームの中を探検して写真撮るって決めてたの!!』
『で、でも野球選手の皆さんがああいってるし撮ってあげないと……!』
姉弟なのだろうか、少年の言葉を女の子が諫める。
少年のいう事はワガママであろうか。否。今日は何でも撮って良い日であるのにいきなり被写体を限られてしまったら少年でなくてもそういう人は出ただろう。
そういった会話が響くなか、突如、今いるメンバーとは違う色のユニフォームを着た十人単位の集団がグランドに入ってくる。
『イェーガーシックス』と後ろに書かれた彼らを認め、ダークリーガーたちは笑う。
『良いじゃねぇか、勝負だ。俺達のワンサイドでアイツらに否応にでも俺達がカッコいい写真を撮らせてやる』
こうして非公式ながら夏の野球戦が始まったのだった。
――プレイボール!
雁帰・二三夫
「格好いい写真、ですか」
「貴方達はアスリートアースのプレイヤーなのに、大事なことを忘れてしまったんですねえ」
「泥臭くカッコ悪いことほどカッコいい。強要されて作られた格好良さなど足元にも及びません。わたくしはロートルに過ぎませんが、貴方達に先達として教えて差し上げます」
ピッチャーゴロで敵を近接距離に誘導
敵UC発動前に先制攻撃で敵をボールごとUCで弾き飛ばす
「同じ近接距離なら、熱血バットで弾き飛ばせないものなどありません。それは何千回何万回と素振りをすればこそ。素振りは格好悪いですか。ボールに喰らいつき弾き飛ばされる貴方は格好悪いですか。貴方が考え違いを正すまで、何度でも教えて差し上げます」
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「格好いい写真、ですか」
小麦色の肌の男、雁帰・二三夫(引きこもりたい住所不定季節労働者・f37982)はバッターボックスに入ると投手を真っ直ぐ見据える。
『このホームに来てプレイするならどこをとっても、誰が見ても俺達がカッコいいと思われるような写真じゃないと許せねーじゃねか! アンタもそう思ったことがあるだろう!?』
野球のグラウンドとは聖地であり晴れの大一番。彼らのいう事は一理あるかもしれない。
二三夫は野球ではないがアスリートである二三夫は――首を横に振って否定する。
「貴方達はアスリートアースのプレイヤーなのに、大事なことを忘れてしまったんですねえ」
『なんだと……!?』
「泥臭くカッコ悪いことほどカッコいい。強要されて作られた格好良さなど足元にも及びません。
わたくしはロートルに過ぎませんが、貴方達に先達として教えて差し上げます」
はぁと失望まじりのため息をつくと二三夫はバットを握り直す。一方で投手は笑いながらボールを握る。
『時代遅れの考えありがとよオッサン! その考えでプレイして腰痛めねーように気を付けな!!』
ダークリーガーは大き振りかぶり――投げる!
目立つ一撃、豪速球のストレート!
「お見せしますよ、泥臭い戦いを」
二三夫はバットの角度を調整、ヘッドを立ててボールを振るう!
キンッと硬い物がぶつかる音が響く。ボールはバウンドし—―投手側へと転がっていく!
(『内野ゴロ! 確実に塁に進みたいんだろうが、そうはさせねぇよ!』)
ダークリーガーがそう思った瞬間、ボールと共に現れた衝撃波に投手もろとも捕手陣が弾き飛ばされる!
「素振りは格好悪いですか」
一塁。
「ボールに喰らいつき弾き飛ばされる貴方は格好悪いですか」
二塁。
吹き飛ばされた投手が復帰しボールを捕まえるも、男の軽快な足取りは既に三塁を通過した後。
『クソ!』
吹き飛ばされ捕手が居ない本塁に戻ろうとした二三夫に投手が駆ける。
「そうではないでしょう。カッコいいとはお綺麗な戦いだけではありません」
スライディングで滑り込む二三夫に、ボールを持つ腕が触れる――!
「――貴方が考え違いを正すまで、何度でも教えて差し上げます」
――セーフ!
審判の口から出た言葉に、猟兵のベンチから一拍おいて歓声が上がった!
一回表、猟兵側がリード!!
『か、かっこいい……!』
そして観客席側。小さな男の子の視線が自然とグラウンドへと向けられていた。
ホームランでもフライないゴロ。地味であるが確実なその一手は小さなフォトグラファーの心にも小さな影響を及ぼしていた。
大成功
🔵🔵🔵
グレナディン・サンライズ(サポート)
『ここはこの年寄りに任せてもらおうかね?』
『こう見えても、まだまだ衰えちゃいないよ』
年齢3桁の婆。
スペースシップワールド出身の元宇宙海賊。
主な武装はフォースセイバーとブラスター。
戦闘スタイルは基本的には前衛遊撃。敵を翻弄するような戦いを好む。
グルメではない酒好き。
年齢なりの経験を積んでいるので、冷静さと余裕をなくすことはない。
口調(あたし、あんた、だね、だよ、~かい?)
●
老婆がベースボールのスタンドに立っている。そのあまりの不似合いさに投手側のダークリーガーが思わず息をのむ。
この老婆の名を、グレナディン・サンライズ(永遠の挑戦者・f00626)という。
「あたしが知っている戦場とはちょいと違うみたいだが、まぁやってみるかね」
現役の猟兵であるグレナディンは足腰はしっかりしているとはいえ、御年104歳、誕生日が来れば105歳である。
『おいおい婆さん。ここをゲートボール場と間違えてねぇか? もっと若い奴にやってもらいな』
流石のダークリーガーも彼女が立つことに驚き、代打を頼めと言うが――。
「敵に構いすぎんなさんな。ほら、さっさと投げな」
『――っ、後悔すんぞ婆さん!』
投手がボールを投げた。
曲線を描きながらホームへと飛び込んでいくそのボールに、グレナディンは――。
「――ふっ!」
短い息を吐く音と共に振るわれたバットによって捉えられたボールは高く飛び上がる。フライボールだ!
捕手陣が取ろうと意識が行っている間にグレナディンは年を全く感じさせない走りで塁を駆け抜ける。
『あれが本当に婆さんの走りか!? 下手な選手よりはえーぞ!』
野球において打ち上げられたボールを地につかないで取れば、打者側がアウトになる。そのルールがあるからこそ焦りながらも捕手の一人がフライボールの下へ入りグローブを掲げる。
捕手の読み通りボールはグローブの中に納まる――はずだった。
乾いた音と共にボールがあらぬ方向へ飛んでいったのだ。
「おやおや、|運が悪かったねぇ《 ・・・・・・・・》」
3塁側に入ったグレナディンが不敵に笑う。
彼女の周りには硝煙の匂いがうすらと漂っていた。
成功
🔵🔵🔴
エイベル・シュテンレー
確かに真剣にやるのも大切っす
でも約束破ってフォトグラファーの人たちを怯えさせるのはダメっすよ!
というわけで、あっしがまず楽しく撮影する手本を見せるっす!
ふむふむ。フォトグラフィって撮影にドローンOKなんすね?
ならあっしとキラキラコウモリくんが飛んで、球場に入らないようにしつつ色んな方角からドームを写したりするっす! 【空中機動】なら任せるっすよ! くるくるーって飛びながら撮るっす!
そういうのを【パフォーマンス】みたいにしていって皆さんに撮影する姿を提供するっすけど……もちろんそんなの真剣に撮って欲しい選手さんたちは楽しめないっすよね。そこで【ショータイム★アワーイーター】発動っす!
レーザーの速度を遅くして【軽業】をやるみたいに避けたり、足場になった軌跡に乗ったりして、ドキドキハラハラしてるフォトグラファーの人たちもパシャリ★っす!
と、こんな感じにスリリングでアクロバティックな撮影ショーを披露して、フォトグラファーの人たちには楽しく撮れるような気持ちになってもらいたいっすよ!
●
『ああ、どうしよう……』
フォトグラフィのスポーツフェスの開催者、樹野・光は頭を抱えていた。
猟兵達とダークリーガーたちによる戦闘もとい試合が始まったことで先のようにリーガーたちがフォトグラファー達を煽ることは無くなった。が。
『いけーイエーガーシックスー!!』『カッコいいー!』『キレッキレだよ!!』
度重なる猟兵達の華麗なる猛攻のおかげで今度はそのフォトグラファーが写真そっちのけで観戦を始めてしまったのだ。
先程の空気よりは断然良いのだが今回のスポーツフェスの目的とは大きく食い違ってしまう。
(『引き戻すにもこの空気を断ち切ってまでできるか……?』)
「おおー随分盛り上がってますねぇ」
光の悩みを遮るように明るい声が響いた。
フォトグラファーの様子を見てそう言葉を漏らしたのは、エイベル・シュテンレー(きらきら光る星蝙蝠・f37371)。オレンジ色で統一された彼は目をキラキラと輝かせ球場と観客席に視線を行ったり来たり。オレンジの瞳が光を捉えると、エイベルは彼に近づき、にっと笑う。
『君は……』
「どもっす、エイベルっていいます! あっしもフォトグラフィやってみたいんですけれど、途中参加OKっすか!?」
『……もちろんだとも! カメラかスマートフォンは持っているかい?』
「もちっす!」
「……という感じだよ。分かったかな?」
写真の綺麗な撮り方を教えてもらったエイベルはカメラとキラキラ蝙蝠くんを交互に見やり、やがて納得した様にサムズアップ。
「わかりやすかったっす、あざっす! ところでフォトグラフィって撮影にドローンOKなんすね? てっきり自分の能力だけでやるもんだと思ってたっす」
周囲をきぃきぃと鳴きながら飛ぶキラキラコウモリくんを見ながらエイベルが問いかける。キラキラコウモリくんは羽が輝く蝙蝠の姿を模しているが、実際はドローンなのだ。そんなドローンを使うのは競技として有りなのか?と意味を含めれば光は笑顔で首を縦に振る。
『技術は僕たち人間が今まで見られなかった世界を見せてくれるからね。この子達がどんな写真を撮るのか、今からとても楽しみだよ』
風景、視線、熱情。見えない物も、見たことがない物を写したいものだよね、と光は穏やかに告げる。
「了解っす。んじゃ、楽しく映して見せるっすよ!」
再び屈託ない笑顔を見せて、エイベルは観客席を踏み、軽やかに宙を飛ぶ。
「キラキラコウモリくん、皆のお手本になるようなのひとつ、よろしくっすよ!」
任せろと言わんばかりにキラキラコウモリくんも羽を輝かせ、空を舞う。
天井に近い空高く。
球場内に入らない際。
観客席を越え解説席。
彼らは至る所に入り込み、写真を撮っていく。
自分も負けられないと観客席の際からエイベルもカメラを構える。
(「えーっと写真を撮るには――」)
露出、ピント、ISO――写真を撮るには様々な要素を考える必要がある。と、先ほど樹野は言っていた。
が、それと同時にもう一つ大事な事も教えてもらった。
(「楽しく、自分が良いと思う場面を撮る!」)
今回は|機械の叡智《オート補正》を拝借して野球の一場面をパシャリ。
(『くそっ、ふざけんなよ……!』)
|フォトグラファー《観客席》側の空気が変わったのが気に食わないからか、それとも猟兵達に押され始めている事に焦りを感じたのか、ダークリーガーは苛立ちが募らせながら投手が盗塁を試みる猟兵に向けて球を投げた。
本来は捕手の手に入るはずのボールは弾は3塁側の捕手のグローブを軽々と飛び越え――スタンドの際を移動するエイベルへと一直線に飛んでいく!
『やばっ……』
苛立ちのあまりか、焦りゆえか。何にしろ不本意な大暴投に投手は顔が青くなる。質量を持った光の軌跡を描きながら飛ぶその弾が直撃すればただでは済まない事は彼も分かっている。
マッハ5を超えるその暴投球。それを認めたエイベルは僅かな時間きょとんとするも、すぐに太陽のような笑みを零し――。
「ほらほら、カリカリしないで楽しいことしましょう!」
くるりと一回転しながらその場でぱちんと指を鳴らす。
途端に光線の速度ががくりとおちたその球を、それをエイベルは可愛く首を傾げて弾を避ける!
彼の放つユーベルコード『ショウタイム★アワーイーター』がかの攻撃の速度を5分の1にまで減衰させたのだ。とはいえマッハ1ではあるのでそれを避けるのは彼の実力の高さ故。
そのまま観客席の壁にぶつかり質量を持つ軌跡と共に跳ね返るボール。風圧で吹き飛びそうになったオレンジ色のシルクハットを整えながらその様を見たエイベルはぴこーんと何かを閃いた顔をして。
「どっすか?」
そのまま光線を足場にして器用に踊り始める。
『すごー!』『楽しそうー!』『待ってかわいい。君の写真撮って良い!?』
星の様にキラキラしたパフォーマンスを見てフォトグラファーたちは自然に、楽しそうにカメラのレンズを目の前のオレンジの青年へと向けてその勇姿を収めようとしている。
フォトグラファー達が猟兵に、野球に、そして自分に向けてくれる笑顔。
笑顔。
それはエイベルがとても大事にしており、欲しいものだ。
笑顔を届けるために、彼は暗くても良く見える輝ける一等星になった。
「――♪」
エイベルもくるっとのその場でバク転をしながら、笑顔でフォトグラファー達にカメラを向けた。
悪意も何もなく、ただただ純粋に楽しそうに笑いながら宙を舞うエイベルに、ダークリーガーも毒が抜けた様で。ただ彼の流れ星の様に翔る様を見ていたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
全員リクエストによる、各シナリオへの救援プレイングです。
長らく滞っていたり人手が足りてない時など、ご自由にご利用ください。
アレンジ、アドリブ、連携歓迎。自作PBWも採用歓迎です。
ユーベルコードも指定外の、公開中から適当なものを使用してもらって構いません。
HAHAHA!
グリモア猟兵殿の要請に応じて参上デース!
お困りのようデスネー? ドントウォーリー! ワタシが手伝いマスヨー!
アタック、ディフェンス、他の方への支援! おまかせくだサーイ!
白兵戦、射撃戦、集団戦もボス戦もオーライ!
冒険の踏破や日常への奉仕活動も得意であります!
|臨機応変に対処可能《好きに動かしてOK》デース!
よろしくお願いしマース!
●
「HAHAHA! お手伝いしますヨー!」
『その格好でやるのか……』
元気はつらつに言葉を紡ぐバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)の姿にダークリーガーは困惑した表情を浮かべた。
だってバルタンの姿はユニフォーム……ではなくメイド服。しかしちゃんとミットを付けて気合は十分だ。
さて現在はイエーガー側は守りについている。守備位置に着いた他のメンバーの動作を確認したがらバルタンはレフトに着いた。
ピッチャーがボールを投げた。
――キンッ!
乾いた音がしたのと、地面をバウンドしながらボールがバルタンの元へと飛んでいくのはほぼ同時だった。
地面にバウンドしながらとはいえ豪速のその球をバルタンは――
「よっと」
なんなくミトンの中に納め、回収する。
それもそのはず、バルタンは可憐な女性の様に見えるが実はサイボーグにして歴戦の戦士。ダークリーガーが打った球が遅いとは言わないが、これよりも早い球は見てきた彼女にとって野球の球を取るのは、さほど難しい物ではない。
「さぁて相手は……二塁に向かう途中ですね、OKー!」
バルタンは二塁へと球を送るが――彼女が全力でボールを送ればどうなるだろう?
――ごうっ!
バルタンの手から離れた球は土煙を上げながら真っ直ぐにセカンドにいるメンバーへ向かっていく。
『なっ、は?えっ!?』
『そうはなんだろう!?』
二塁に進んでいたダークリーガーはもちろん、セカンドにいた猟兵もバルタンが放った球の速さに驚きを隠せない。
しかし猟兵も様々な経験を積んできている猛者だ。しっかりとボールを取ると、二塁に駆け込んだ選手にすかさずタッチ、アウトを獲得したのだった。
「HAHAHAHAHA!! ナイスですヨ、この調子でいきましょウ!!」
その光景を確認するとバルタンは笑顔で仲間に感謝の意とエールを送ったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『邪悪ラビット』
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POW : 賛否両論! 金満チームの本気
自身の【所属チームが誇る潤沢な強化資金 】を代償に、1〜12体の【強奪した他チームの主力選手】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
SPD : 都市伝説? ドームゲイル
戦場全体に【魔改造した空調設備から放たれる強風 】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【風向き自由自在な強風の後押し】による攻撃力と防御力の強化を与える。
WIZ : 贔屓判定!? 邪悪アンパイア
戦場内の味方の、10秒以内の【自軍に不利な判定 】を無効化する。ただし、自身の幸福な記憶ひとつを心的外傷に改竄する。
イラスト:もりさわともひろ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ゴッド・ゴッダー」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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――ダークリーガーとの戦いもちょうど折り返し地点といった所だろうか。
現在は猟兵側が圧倒している状況だ。33-4まではいかないが猟兵対ダークリーガーの成績は10-1と大幅に差をつけていた。
萎縮していたフォトグラファーたちもキラキラと輝く蝙蝠の少年の活躍を見て猟兵達の活躍の応援や、本来の目的である写真撮影を始めている。
もう圧倒じゃない?試合終わらせようぜ、なんて思ったその時だ。
「うーさうさうさ! なんだお前ら情けねぇうさねぇ!」
突如ドーム内にロックをBGMとした音楽が流れるのと同時に現れたのは――ウサギの着ぐるみだった。
「あ、あれは……ラビットくん?」
光の言葉の通り、うさぎのマスコットキャラクターはこのドーム、もとい球団のマスコットキャラクター『ラビットくん』だ。
普段は試合の合間合間にスタジアム内でパフォーマンスを魅せ、ある時は球団の助っ人に入り、時には選手をいじって場を沸かせる人気キャラクター。その人気は彼を目当てに球場に足を運ぶファンもいるという程だ。
「うーさうさ! ここ最近球団の成績落ちまくってるじゃんうさ! 部外者入れてワイワイやる暇あるならその分ガチ錬に励むうさ!」
ラビットくんが指を鳴らす。球状に入って来たのは様々な歩ユニフォームを着た野球選手たちを。その選手たちを見てフォトグラファーの一部が歓喜の声をあげた。
「おーすげー! メジャーリーガーいっぱいいる!」
「こんな所で推しに会えるなんて―!やだっ、応援したい!!」
「ふっふっふ……僕のコネクションと球場のお金があればこれくらい余裕うさよ」
その声に満足気に頷きながら、ラビットくんはびっと指をイェーガーたちにつきつけ、
「非公式とはいえ試合で負けるのもダサすぎるうさ! せーっかく客入れてるうさ、どんな手でも使って華やかな勝利の場面を写真に残させるうさ!!」
ラビットくんもとい『ダークラビット』くんは猟兵達に宣戦布告したのだった。
『えっ、どっちを応援すればいいんだ……』
『やっぱ推しのカッコいい写真撮らないといけないかしらね……』
観客席のフォトグラファー達から困惑の声が響く。
(『まずいな、撮りたいものを撮る。それは良いけれどそうなると最終的に固定化される可能性もある……』)
最初は自由に撮らせていても任意は義務になり、最後にはカッコいい・映える写真しか撮ってはいけないという認識を持ってしまうかもしれない。
しかしここで写真を撮るな、というのも今回のイベントの趣旨とは異なってしまう。
光が悩む間にもゲームは進行していく――。
雁帰・二三夫
「…マスコットキャラ(仮)なのに、随分|殺《や》る気に満ち溢れてませんか?いえ、未来の写真家さん達のために頑張りますけれど」
おっさん、敵の両手のサイン見て慄いた
「野球は確かに個人プレーとチームプレーの組み合わせですけれど。写真はそうじゃありません。撮りたいものを撮りたいように伸び伸びと撮った先に、見た人の心にも訴えかける作品が出来るのです。自分の感動と想いの先にしか、名作は生まれません。その萌芽すら摘み取ろうとする貴方達をのさばらせないのが、わたくし達大人の役目です」
おっさん、ホームラン予告のポーズを取った
「来なさい、ダークブリンガー!」
おっさん、熱血バットで召喚選手達を100m弾き飛ばした
●
『うーさっさっさ! さぁ完全勝利Vを狙うウサよ!』
「…マスコットキャラ(仮)なのに、随分|殺《や》る気に満ち溢れてませんか?」
猟兵に向かって右手は|サムズダウン《地獄へ落ちろ》に、左手は中指を立てる|中指を立てる《フ●ッキン》と邪悪ラビットはマスコットキャラらしかぬ満ち溢れた|サイン《殺意》に雁帰・二三夫は慄いた。
「大丈夫ですかね? 球団のイメージダウンになりかねないのでは?」
とはいえ二三夫とて、引きはしても退く選択は取らない。
「いえ、未来の写真家さん達のために頑張りますけれど」
バッターボックスに入ると二三夫はバットの先を天高く持ち上げる。
いきなりのホームラン予告に味方と観客席から息をのむ音と、敵陣からは失笑と対称的な音が発せられる。
『うーさささ? さっきの動き見てればなかなかやるよううさが、今度の相手はオッサン相手じゃいけるわけないうさよ!』
マウンドには潤沢な金を使って呼び出した超有名なメジャーリーガー。肩幅が常人より広く、そして筋肉がついているのはユニフォーム越しでも分かる。
片やバッターボックスに入っているのは野球の中では無名の男。鍛えてはいるが、メジャーリーガーの外見と比べるとどうしても見劣りしてしまう。
「ラビットとやら、野球は確かに個人プレーとチームプレーの組み合わせですけれど、写真はそうじゃありません」
『同じうさ、活躍するチーム! それを自チームの活躍を指定通りにかっこよく撮ってSNSにばらまいて知名度アップ! お前が言う個人プレーとチームプレーの組み合わせって奴うさ!』
「いいえ、同じではありませんよ。撮りたいものを撮りたいように伸び伸びと撮った先に、見た人の心にも訴えかける作品ができるのです」
多くの人が感動する構図というのは案外決まっている。それが分かっているのは写真機の性能向上はもちろん、今まで試行錯誤してきた人々がいたからこそ。
そして自分の納めたい|光景を、物《感動》を収めるために、試行錯誤の末に綺麗にそれを一枚の写真に収めた時。その彩度と喜びはきっと他を魅了する。
「自分の感動と想いの先にしか、名作は生まれません。その萌芽すら摘み取ろうとする貴方達をのさばらせないのが、わたくし達大人の役目です」
『かーっ! 雑魚のお説教なんていらないうさ! おいっ、あのカッコつけグラサンに空振り三振決めてやるやれうさ!』
ラビットの言葉にへいへいとメジャーリーガーが振りかぶり、ボールを投げる!
先とは全く違う速さ、ボールのスピン。常人ならば見送り、良くてファールボウルだろう。
だが、二三夫のサングラス越しの瞳は撃つべきタイミングを逃さない!
「来なさい、ダークブリンガー!」
炎が灯るバットが軌跡を描きながら振るわれた!
――キンッ!
バットとボールがぶつかる音が響き渡る。
『うっさ、マジで刺さりそう! だが空調操ればあっつぅあ!?』
二三夫が打った球が本当にホームランになりそうと見たラビットは空調を操りボールを落とそうとする。
しかしそれは二三夫の先に振ったスイングの衝撃波で吹き飛ばされたピッチャーがぶつかった事によって不発に終わる。
二三夫の打ったボールは宣言通りにホームへと刺さり、見事『イェーガーシックス』は一点をとったのだった!
一方、観客席側。
『ホームラン! やっべぇあの選手かっけぇ!』
『あの炎すごっ、ピッチャーばかり見てた……あー写真撮っておくんだった』
『ノーマークだったな……』
『実は撮ってた』
『『『見せて見せて!』』』
複数人のフォトグラファーが二三夫の一枚を見るべく、ひとりのフォトグラファーを囲み始めていた。
大成功
🔵🔵🔵
天山・睦実
●SPD
かー、出おったなラビットくん!
うちら関西野球ファンにとっては、関東野球のマスコットとは言え不倶戴天の敵さかい
…せやけど、流石にラビットくんのぬいぐるみを紐で結って引き回すのは流石のうちでもやらへんわ
正々堂々と勝負して勝ってこそ、関西野球ファンっちゅうもんや!
ダークリーガーもぬいぐるみを着はったままやったら、そんな剛速球は投げれんはずや
しっかりと球を見切って…打つ!
ホームランはならへんけど、外野まで行けばバトロワで鍛えたうちの疾さでホームインはイケるはず…やわー!?
急に空調が暴風になるとか、関東野球汚いわ!
こうなったらうちの『火事場のアホ力』で走り切ったるわ
関西野球魂、甘く見たらアカンで
●
「かー、出おったなラビットくん!」
西の言葉を操りバチバチに戦意を示すのは、天山・睦実(ナニワのドン勝バトロワシューター・f38207)。お分かりの通り関西人だ。
そして関西人と言えばそう、虎のあのチームである。今年アレ(意味深)したチームで、睦実も大好きである。なので関東野球のマスコットキャラのラビットは端的に言うなら敵である。
「うちら関西野球ファンにとっては、関東野球のマスコットとは言え不倶戴天の敵さかい。ラビットくんのぬいぐるみを紐で結って引き回して……」
『市中引き回しはピエロか白いおじさんだけにしてくれうさ』
ラビットが身震いしながらちょっと距離を取った。
関西チームがアレ(意味深)になると、街中はお祭り騒ぎなんてレベルじゃない位凄いのだ。
「っは! せやけど流石に引き回すのはうちでもやらへんわ。正々堂々と勝負して勝ってこそ、関西野球ファンっちゅうもんや!」
野球で戦ってこそ野球以外の行為で張り合えるという物。野球で負けて場外行為で野球チームを害してしまったら、自分はもちろん応援するチームも野球に触れてはいけなくなる。
そこを心得る睦実は、ビッとホームランの予告を示したのだ!
ピッチャー交代のお知らせのアナウンスが響き、ここでラビットがピッチャーに登板する。
「あんたが投げるんかい!」
『あたりまえうさ、ボクはなんでもできるさよ』
ラビットが普段から様々なポジションに入ってるからこそできる技であろう。
そしてラビットが剛速球を投げるが、バトロワシュータが本業である睦実にとって見切るのは動作でもない。
「この球なら――どりゃあっ!」
キンッ!
乾いた音を立てて球がドームの上空へと軽やかに飛び上がるのと同時に睦実が駆ける!
(「ホームランにはならへんな。でも、あのくらいの距離まで撃てれば」)
彼女の脚力をもってすればホームに入れる――、
『そーーーは問屋が卸さないうさ~~~!!!』
ラビットがそう叫ぶとドームに風が吹き抜け、綺麗な放物線を描いていた弾が不自然な動きをしながら失速、地面に近づいて行く。
「は、はああ~~~!!?? 急に空調が暴風になるとか、関東野球汚いわ! 後でガチでぬいぐるみ引き回したろか!?」
なんて言いながらもボールの着地点に野手が走るのを見て、彼女の額に汗がにじむ。
「あかん、このままじゃアウトやん……! ごっつ身体がバキバキなりおるけど、背に腹は代えられんわ!」
このままではアウトになるが、意を決して睦実は火事場のバカ力を発揮する。
先ほどまで細かった足は筋肉が盛り上がり、同時に掛けるスピードは先の数倍へと達した。
――正直言うならば野手がノーバウンドで取れば即アウトゆえに、このまま走る理由はない。
だが、睦実はそれにも構わず全力で走る、それが睦実の流儀!
(「頼む、取らんで……!」)
『あっ、落ちた!』『走ってー!』
観客席から声が上がる。
ドームに吹き荒れた急な風に焦ったのは野手も同じだったようだ。
正確な落下位置上手くとることができずに、ミットからボールが落ちたのだ。
「……だりゃああああああああ!!!」
観客席からの歓声を耳にした睦実は笑みを浮かべ駆ける!
送球されるのを感じながら、ホームへと駆けていく!
『うおおおおおお走れ走れー!』
『イェーガーさん早くー!』
『くっ、送球まだかうさ!?』
ラビットの焦りが混じった声は観客席からの声援によってかき消される。
中継のラビットがボールを受け取りすぐさまキャッチャーに返球。キャッチャーが球を受け取った瞬間、する音と共に砂埃が舞い上がる!
「へへっ、見たか?これがタイガーの魂やで」
砂埃が収まった、ホームには睦実の脚がたしかに乗せらていた。
大成功
🔵🔵🔵
メロディ・シエルティ
皆映える写真が撮りたいんだ!
格好良く撮ってあげたいよね。分かるよ。大好きな推しなら尚更、最高の写真を撮りたいもん!
夢中になれるのは素敵なこと。
その気持ちにはいっぱいの好きがあるから、きっと楽しいよね。
でも義務になっちゃったら楽しくなくなっちゃう…!
偶には休憩も大事だよ。
甘いものを食べたり紅茶を飲んだりして、リラックスしてね。
さて…
私も打席に立っちゃおうかな?!
ラビットくんっていうんだ!かわいいー!
メロディだよ♪ 宜しくお願いしまーす!
(見かけによらずパワフルフルスイング。ボール球でも豪快に振りにいきます。豪快ぶりのコメディ路線歓迎。結果お任せです。)
●
『がんばれがんばれりょ~へい!』
『いや、推しも負けないでー!』
わいわいがやがや。白熱する野球の試合を前に、フォトグラファーたちの応援にも熱が入っていた。
そして彼らの手に必ずと言っていいほど握られているのはスマホかカメラ。そのレンズはほぼ全てグランドへと向けられ、シャッター音がひっきりなしに響く。
「皆映える写真が撮りたいんだ!」
観客席で応援するフォトグラファーのたまごたちの熱いエールに少女、メロディ・シエルティ(不思議の子のアリス・f37276)は目を輝かせる。
『おねーちゃんはどっちが応援したい? りょうへいのほう?』
『ラビットくん側だよね?』
「うーん、なやんじゃうなぁ」
うむむと腕を組み悩むメロディ。
だってどっちも頑張っているから、そして二チームを応援する皆が彼らを好きだってわかるから。
どっちかを選ぶというのもなんか違う。
「どっちも応援したいなー」
『虹色の答えだなー』
『でも確かに、どっちも応援すればどっちも撮れるわね』
『そもそも写真撮るのに、どっちかを応援しなければいけない訳じゃないしね』
メロディの答えにフォトグラファー達がうんうんと頷いて納得した様子。
「でも取るのも応援するのも義務になっちゃったら楽しくなくなっちゃう……! 偶には休憩も大事だよ」
そう言って彼女が持って来た甘いお菓子や紅茶の差し入れにフォトグラファー達から嬉しそうな声が上がった。
ドーナッツ、クッキー、マフィンにスコーン、そして紅茶。
これらを口に頬張れば、先ほどまでピリピリしていたムードがふわと和らぐ。
そうしていくばくか経ったか。アナウンスが響くとメロディはすくっ、と立ち上がる。
「さて……私も打席に立っちゃおうかな?!」
『お姉ちゃんも立つの?』
『可愛いお姉ちゃんがんばってー! 素敵な写真撮るから~!』
フォトグラファー達の声援に応えながら、とうっ!という掛け声とともに、メロディはドレスの裾をひらりと揺らし、グラウンドへと降り立った。
「ラビットくんっていうんだ!かわいいー!」
『う、うさ?なんだおめーは』
「メロディだよ♪ 宜しくお願いしまーす!」
ラビットと周りにいるダークリーガーにぺこりとお辞儀をすると、メロディはバッターボックスへと入りバットを握る。
『う、うさっ!?お前に見たいなきゃんわいい女の子に野球なんてできーねーうさよ!』
不思議の世界から抜け出したかのような――実際、彼女はアリスラビリンスから来ているが――ホワイトドレスに身を包んだ少女。
こんなかわいい子、応援席では見る事があるが、野球ができる筈がない。
でも変化球投げて打てないまま終わらせるのは可哀そうだし、ここはボールで一塁走らせるか、なんて思いながらストレートのボールを投げる。
だが、彼は判断を誤ったのはこれから証明される。
「むむっ……とりゃー!」
カキーン! メロディの細い腕が振るったバットはボールを見事に捉え、フルスイング!
ボールは綺麗な放物線を描いて飛んでいき――。
『ほ、ホームラン……?』
『うっそだろおまえ……うさ』
見た目からは予測もつかない豪快なスイングから放たれたホームランにラビットも呆然とするしかない。
「……あっ、観客席にボールが落ちた! えへへっ、さっきの子達に届いたかなぁ?」
メロディは純粋にホームランに喜ぶと、お散歩をするかのように、軽やかな足取りで一塁へと走っていった。
大成功
🔵🔵🔵
ドリット・パーター
完全お任せプレイングやで
ユベコは活性化済みのどれでも使こてもろてOKです
韓信大将軍のシナリオの増援にでも使ったって下さい
アドリブ連携大歓迎やけど公序良俗に反する行動・エロ・利敵はNGや!
アイテムを使った戦法は
サイコエネルギーで特殊な遠距離攻撃(掴むとか投げるとか)
あめちゃんシューターネオで属性弾の遠距離攻撃
スナネコちゃんは偵察用、ゴーストチャリは移動用に
あずきツヴァイヘンダーは近距離用や
困った時はUC「ラッフル・ボックス」でええ感じのUC引いてもろて下さい
成功~大成功時採用希望
●
敗戦濃厚
『うさ……こんな、こんな事になるなんて……』
試合も終盤。そんな際にラビットくんは膝を地に付け絶望の淵に立っていた。
それもそうだろう。ラビット側のチームは勝つために選んだ野球界のスター選手だらけのドリームチーム。片や相手は(選手によって差はあるが)野球が本業ではない素人ばかり。負ける要素などどこにもない。
だというのに、こちらがボールを投げれば気持ちよく打たれ、こっちが攻めに回ってもあっけなく防衛されて終わるが繰り返され……今や点数は25-4。シーズンで実際にこの数字が出たら野球ファンが失神するレベル。
もう嫌だ――そんな雰囲気はラビットだけでは無くドリームチームの方にも伝播し空気は淀んでいる。
「……おーおー、俺野球に来たのになんやこれ」
バッターボックスに入ったドリット・パーター(ゆるふわ★なにわ幽霊・f41691)が、ダークリーガーのお通夜状態の雰囲気にため息を漏らす。
「葬式に来たかのような静けさやなぁ。バットは持ってるけど香典は持ってへんで?」
ドリットは霊体なのだが、幸いな事にバットは持てたのでそれを見せつけるようにバットを振って軽く挑発するも。
『何言ってるウサ……ああ、もういいやさっさとやるウサー』
挑発に乗らず、どこか投げやりにピッチャーに指示を出すラビットを見て、ドリッドはまぁまてと投球を静止する。
「そんなので打ってもつまらんわ……ええかー、よーく見とけ!」
ドリッドはバットをひと回しして先端を観客席へと突きつける。
『いやもう見せつけられた……』
「違うちがう。バットの先、観客席をよーみてみぃ!」
ドリットに促され観客席へと目線を向けるラビット。
『がんばれー!』『最後まで諦めないでー!』『まだまだいけるよー!』
そこにはスター選手を、自身を応援する|フォトグラファー《ファン》の姿。
絶対に勝てない力の差を見せつけられても、なお自分たちを支えようとする真っ直ぐな姿勢。
『……そううさ、勝ち負けとか、金とかは超大事だけど……それよりももっと大事にしないといけない物があるうさ……』
大事な事を思い出し、憑き物が落ちたかのような声を上げるラビット、そしてダークリーガー。
彼らが支えてくれるのに、どうしてその応援に応えることなく諦めてしまうのか。戦況を変えられるは自分だけだというのに!
『恩に着るウサ、ボクらは最後まで全力で戦うウサ!』
一気に士気が上がったドリームチームに、ドリットはニッと笑うと再びバットを握り直す。
「さぁ来いや、ホームランうったるで!」
ストレート、フォーク、変化球……士気が上がったピッチャーから、最初の頃の様に精度と速度が上がったすさまじい球が放たれる。
一方ドリットの方も有効打は出ないものの、見送る球はしっかり見送り打てる偶にはしっかりと食らいついていく。
『粘れー!』『いけいけー!』
その様を見て、フォトグラファーは応援を続ける。
観客は通常よりほんの僅かだというのに、互いを応援する声が、シャッター音が会場に響き渡る。
『これウサ、これが野球ウサ……!』
ラビットが支持を出しながら感動に震えた。
『だけど油断するなウサ、慢心すると某チームみたいになるウサよ~!』
投球と共に、某チームの名前が出た瞬間。
ドリットの目が『カッ!!』と大きく見開かれる!!
「――なんでやねん!! アレは関係ないやろ!」
言霊は力となり、霊力を帯びたバットがボールを捉えた。
――ッキーン!
綺麗なツッコミと共に、ボールは綺麗な弧を描き、反対側に掲げられた広告へと突き刺さっていった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『ごめんなさい屋台村』
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POW : 屋台料理の全制覇を目指す
SPD : 射的やわなげの屋台で新記録に挑戦する
WIZ : スポフェス参加者達と乾杯し、ご歓談を楽しむ
イラスト:十姉妹
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
色々あったが、フォトグラファー達のスポフェスはひと段落。イェーガーのおかげでフォトグラファー達は写真を楽しく映すことができたし、良い写真だけ撮らないとという強迫概念を持つことなく無事にイベントを終了することができた。
残すところは打ち上げだ。フォトグラファーの卵たちが撮った写真や動画を見ながら野球選手と交流を楽しむ、あとほんの少しの軽食を用意する……本当にささやかなイベントで終わるはず、だった。
「お願いしていた物より些か豪華なような……」
「光さん、些かで済む話なの?」
木野はじめフォトグラファーとイエーガー達の目の前には、ドーム名物の屋台がずらりと並んでいる。
屋台にはラビットジャンボハンバーガーにジャンボ焼き鳥、かつ丼やアイスクリームなど、多種多様のメニューが用意されているのが見て取れた。
「うさ、僕のマネーも入れてちょっと豪華になったうさ」
ちょっぴり申し訳なさそうなラビットとダークリーガー達が、これは自分たちの提案だと教えてくれた。
「お前達には迷惑かけただけでなく、僕たちに大事な事を思い出させてくれたうさ。詫びや罪滅ぼしにはならんと思うけど、楽しんでくれうさ」
================
この章では皆さんの活躍が映された写真を見ながらフォトグラファーや選手たちとの交流を行うことができます。
フォトグラファーは目を輝かせて皆さんとお話しするのを楽しみにしているようです。
また、「リプレイで書いていない(プレイングに書けなかった)けどこういうシーンもあったよ!ここにも触れて欲しい!」っていうシーンがありましたらプレイングに記載くだされば採用させていただきます。
また、屋台も楽しむことができます。屋台のメニューは一例ですので他にこういうの食べたいとありましたらプレイングでご記載ください。
●メニュー
ラビットのハンバーガー……ドーム名物、ラビットくんの串がハンバーガーに刺さっている、超分厚いハンバーガー
焼き鳥……モモ肉とムネ肉が交互に刺さった超ビック焼き鳥。塩、たれ、唐辛子でお楽しみできます
カツ丼……ゲン担ぎにぴったり!肉厚カツととろとろ卵の組み合わせ
もりもりスナックセット……フライドポテト、ソーセージ、ナゲットの詰め合わせ
アイスクリーム……バニラ、チョコ、ストロベリー他、様々なフレーバーがあります。小さなつぶつぶのアイスクリームも
飲み物……ビール、お茶、ジュースは一通り揃っています
雁帰・二三夫
「マネー投入…」
胸を押さえて蹲る
「子供に札束で夢を見させるのも大人の義務で夢です。貴方達は!わたくしよりずっと立派で大人でいらっしゃるっ!」
滝涙で鼻をズビズビ啜りつつラビットさんやダークリーガー達全員と固く握手
子供達に
「みなさんもお友達と言い争いになることはあるでしょう?カブト虫とクワガタのどちらが格好いいかとか、どのスーパーカーが1番だとか。でも他人を言い負かして1番を主張するより、みんなの好きなところをみんなで順に褒め合う方が楽しくて全員笑顔になれると思いませんか?ラビットさんもリーガーさん達も、みなさんと仲直りしたいそうですから。一緒にみんなで回りせんか?」
子供順に肩車しつつ屋台全制覇
●
「マネー投入……」
目の前の屋台を前に呆然とした風に呟くと、突如胸を押さえてうずくまる雁帰・二三夫に、周りはどうしたと彼を囲み始める。
『さっきの試合で無茶したうさか……?』
『大丈夫ですか!?』
「――で、いらっしゃる」
『は?』
声を絞り出しながら立ち上がり――。
「子供に札束で夢を見させるのも大人の義務で夢です。貴方達は! わたくしよりずっと立派で大人でいらっしゃるっ!」
滝のような涙を流し、鼻をすすりながら、ぐわっしぃ!ラビットの手を握ると固く握手を交わす。
『う、うさ……ありがとう? だけど僕らも金に目が眩み想いを二の次して、さっきみたいな事して子供たちを傷つけようとしたウサ。おまえの、猟兵達のプレーに目が覚めたうさ、ありがとううさ』
手を握り返すラビット。その和解のシーンをカメラが収めていく。
「先の投球も素晴らしかった! あとライトさん、送球が的確でした。生であのボールを見られてたのは本当に感激です!」
『ありがとう。あなたの守備も素晴らしかった』
二三夫は一人ひとりにコメントをつけながら(元ダーク)リーガーにも握手を求めていいくと、リーガーたちも手を固く握り返す。そこには戦った同士だからこそ芽生える熱い思いがたしかに存在していた。
『ふみお、まず顔どうにかしようぜ』
「おう、す゛み゛ま゛せ゛ん゛……!」
感涙しながら握手していく、二三夫にリーガーの一人がティッシュを差し出した。
『あははっ、二三夫すげー泣いてるー! 写真撮って良いー?』
『やめなさい』
二三夫にカメラを向けた少年が光に止められていたのは二三夫は知っていたか知らないか。
「ふぅ、落ち着きました。皆さんありがとうございます……!」
天井に顔を向け涙が収まったことを確認すると、いつものサングラスを付けて気恥ずかしそうに笑みを浮かべる。
『あたしの撮った方がカッコいいと思うんだけど!』『いーや俺のだね!』
突如響いた言い争う声に皆が視線を向けると、展示された写真の前で言い争う10歳ほどの子供たちの姿。
『ねぇねぇ二三夫さん! あたしの撮った写真の方が素敵でしょう!?』
『俺のだろう!?』
二三夫に気付いた二人はそれぞれ別の写真を指さす。
「ふむ……どちらも素敵ではないですか」
少女の撮った写真は二三夫がホームランを打った所で、少年の方は3塁からホームへと戻るシーン。どちらの写真も7,8歳の、初心者がとった物とは思えない素晴らしい物だ。
だが、素晴らしい物と思うからこそ二人は二三夫の乾燥に納得がいかないようで、不満に満ちた目線を向けていた。
「そうですね。みなさんもこれ以外でもお友達と言い争いになることはあるでしょう? カブト虫とクワガタのどちらが格好いいかとか、どのスーパーカーが1番だとか。
でも他人を言い負かして1番を主張するより、みんなの好きなところをみんなで順に褒め合う方が楽しくて全員笑顔になれると思いませんか?」
『そうかな?』『でも良いとこ探しの方が楽しいかも?』
言葉だけでは完全には納得はしていないようだが、実際に写真の良い所を探していけば、理解できたようで。
ここが良い、あそこが素敵と褒め合う微笑ましい子供たちの姿に二三夫と光は内心ほうと胸をなでおろす。
「さて、ラビットさんもリーガーさん達も、みなさんと仲直りしたいそうですから。一緒にみんなで屋台を回りせんか?」
『良いの? やったー!』
屋台巡りの申し込みに、皆が湧いた。
二三夫の近くにいた先の少年に強請られ肩車すると、少女はむぅと唇ととがらせた。
「次、必ず載せますから」
『本当? 嘘じゃない? 次あたしね?』
『うっさ、それまでボクと手を繋ぐさ』
ラビットくんが少女に手を差し出すと……少女はすすすっと二三夫の近くに寄り、手を握った。
どうやら、きぐるみの彼は怖い様だ。
大成功
🔵🔵🔵
メロディ・シエルティ
ラビット君とダークリーガーさんってツンデレなんだ〜!
(豪華な屋台飯に至る迄の流れを見た感想)
皆仲直り?
じゃあお友達になってくれるの?
やったぁ♪
一緒に食べよ♪
でもその前に、皆の撮った写真も見てみたいな
猟兵や選手の皆が活躍してる写真を見て
此処格好良かったねと思い出を振り返ったり、皆の好きを撮った写真を楽しめたら嬉しいな
野球、楽しかった!
(ある写真を見て)ん?この首から下はラビット君のこの人は誰?
大きいハンバーガーだ!
ナイフで二等分にしてから、かぶりついちゃうよ
美味しいー♪
焼き鳥ー!(両手で1本ずつ持ち)
アイスー!(粒々)
試合終了後は敵も味方も無くなるノーサイド
いっぱい食べて皆で打上げを楽しもう♪
●
「ふむふむ、なるほど……」
豪華な屋台、それを提供したラビットくんとダークリーガー。
これらの要素からメロディ・シエルティが導き出した答えは――。
「ラビット君とダークリーガーさんってツンデレなんだ〜!」
『どうしてそうなるうさ!?』
メロディの答えにラビットくんとダークリーガたちがはその場でずっこけて。それを見ていたフォトグラファー達から小さな笑いが起こる。
だって素直にごめんなさいって言えばいいのにそれを言わないで。でもごめんなさいを伝えたいから屋台を用意してなんて、メロディからは素直じゃないと見えたのだ。
「それで……皆仲直り?」
『おう、もちろんうさ』
「じゃあ、皆、私のお友達になってくれる?」
メロディの問いに、ラビットをはじめフォトグラファー達も、ダークリーガー達も頷いてその答えを返せば、メロディはやったぁとその場で小さくジャンプ。
「それじゃあ、皆で食べ回ろう!」
早速美味しそうな料理が並ぶ屋台に……する前に。メロディはフォトグラファー達が撮った写真を見るべく写真が貼られたボードの前へ向かう。
ボードには多数の写真が整然と並べられている。フォトグラファーが撮った写真のうち選りすぐった物だけプリントアウトし展示しているというが、それでもミニ個展が開けそうな程の写真の数だ。
「いっぱい写真が撮れたんだね」
『とはいえこれでも厳選しました。今回は皆さんの勇姿を中心に掲示していますが、他の物も近い内に公開したいです』
光の真っ直ぐな視線を受け止める写真達に、メロディも視線を向けた。
「あっ、これ私がホームラン打ったところだ!」
『良いでしょこれ!』『凄かったよな、カッキーンって撃って! あの時の皆の顔、本当にポカーンって感じで面白かったな~』
メロディのホームランを打ったシーンを写真に収めたであろう少年少女たちが、先の野球のシーンを楽しそうに語る。
試合で起こったあの出来事、知らなかった一瞬が収められた写真の数々は全てキラキラに輝いて見えて。
(「皆はこんな風に私たちとこの試合を見てくれていたんだなぁ」)
目を輝かせながら写真を眺めるメロディの目にふと、気になる写真が一枚。
「ん? この首から下はラビット君のこの人は誰?」
指さした写真にはラビットくんが今しがた着ている衣装を着た男の――。
『それ以上はいけないうさ』
『嬢ちゃん、このハンバーガー食べないかい? このスタジアム限定の特製ハンバーガーさ!』
「いいの? わぁ、とっても大きいハンバーガーだね!」
ダークリーガーの手からラビットくんのピックが刺さった超分厚いハンバーガーを受け取ると、メロディは半分に切ってから食べるために一度展示スペースから離れ、ラウンドテーブルへと歩いていった。
――どうやらラビットくんの真実からは目を背けられたようだ。
さて、メロディが席に座りハンバーガーにナイフの刃を入れる。断面には新鮮なレタスとトマト、ピクルス、そして肉厚の牛肉パティが2枚も重なっていた。
片割れを手に取り、ちょっとだけ構え――そのままガブリ!
ハンバーガーに挟まられた具材によって齎される味と食感はたちまちにメロディを虜にしてしまう。メロメロになってしまったメロディは美味しいと口にするとまた一口、もう一口とかぶりついていった。
『おっ、嬢ちゃん。良い食べっぷりだね。こっちの焼き鳥食べねぇ?』
『アイスもあったよ!』
「わーいいの!? いっただきまーす!」
モモ肉を贅沢に一本に一枚使って焼いた焼き鳥は食べ応え抜群。
つぶつぶアイスは口に入れれば粒上のアイスがほろほろと溶けていく感覚がたまらない……口の中でちょっとくっつくのはご愛敬。
「どれも美味しかった~!」
一通り食べて満足したメロディが食後の紅茶を飲みながら辺りをぐるりと見渡す。視線の先には猟兵達とフォトグラファー、ラビットくん、ダークリーガー。敵味方なく屋台飯を頬張り、写真を見ながら会話に華を開かせている。
その様子がとっても楽しそうでメロディは目を細めた。
「試合終了後は敵も味方も無くなるノーサイド。
いっぱい食べて皆で打上げを楽しもう♪」
――こうしてフォトグラファーのスポーツフェスの打ち上げは賑やかに、和やかに過ぎていったのだった。
大成功
🔵🔵🔵