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ドクター/IVI/セイヴァー

#ケルベロスディバイド #黄道神ゾディアック #IVI

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●4・5・6
 湾岸の決戦都市における特務機関DIVIDEの役目は言うまでもなく宇宙からの侵略者『デウスエクス』を退けることにある。
 しかし、宇宙より飛来する『小剣』に乗って現れる『デウスエクス』を予見する術は未だ確立しておらず、どうしてもケルベロスたちは後手に回らなければならなかった。
「だがしかーし! そう! 猟兵という存在が現れた! ケルベロスの中にもグリモアの力を、予知の力を得た者だっているのだという!」
 湾岸の決戦都市の責任者である『エイル』博士は、その亜麻色の髪を揺らして、黒い星写す瞳を眼前に浮かぶホログラムディスプレイに走らせる。
「博士、ちょっと危険だと思うんですが。80%の確率で『デウスエクス』に敗北すると算出されています」
 サポートAI『第9号』の声が響く。

「ええい、そんな及び腰でどうするんだい! これまで『デウスエクス』には先手を取られ続けていた。けれど、今は違う。奴らの前哨基地を見つけたんだ。当然、これを捨て置くことなんてできないし、ケルベロスや猟兵が動く前に少しでも敵戦力を打ち倒すのは当然だろう?」
 そのための|『決戦配備』《ポジション・クラッシャー》であると彼女は言う。
 そう、ケルベロスディバイドにおいて『決戦配備』は『デウスエクス』との戦いにおいて欠かせぬものである。
 クラッシャー、ディフェンダー、ジャマー、キャスター、スナイパー、メディックの6つに大別される『決戦配備』。
 この決戦都市においては『エイル』博士が作り出した体高5m級の自律型戦術兵器『セラフィム』によってケルベロスや猟兵の戦いがサポートされることになっている。
「それはそうですが、前回の戦いでも全く歯が立たなかったではないですか」
「ふっふっふ、『第9号』君、君はわかっていないな。前回の戦いからの反省点、改善点を私がすでに克服していないとでも?」
「改良しているデータログは私に蓄積されているので、知っています。それを加味した上で敗北すると出ているのですが」
「はーはっはっは! ならば刮目してみるが良い! 我々が先んじて見つけた前哨基地! この『セラフィム』たちでケルベロスや猟兵の露払いをさせてもらおう!」
 彼女の号令と共に次々と飛び出す『セラフィム』たち。

 目指すは山林の奥に『デウスエクス』が敷設した基地。
「バリケードもなければ、障壁も用意していない! まるで素人だな! ならば、このまま――」
 確かに『エイル』博士の言葉通り山林の奥にある『デウスエクス』の基地は障害らしい障害なく丸裸であった。
 しかし、『デウスエクス』が何の備えもなく基地を晒しているだろうか?
『セラフィム』たちが基地へと飛び込もうとした瞬間、彼らの眼前に目に見えぬ障壁が立ちふさがる。
 そう、魔術的な障壁である。
『セラフィム』は魔術的な障壁に対抗する術をまだ持ってない。
 まるで急停止したように機体の動きが止まる。それどころか、『セラフィム』の中に備わったエネルギーが魔術障壁によって吸い上げられ、霧散し機能を停止してしまうのだ。

「……え」
「『セラフィム』各機、機能停止しました。基地内部より敵性『デウスエクス』の出現を確認……『セラフィム』全機沈黙……」
 唖然とする『エイル』博士の眼前で、『セラフィム』たちは同じく体高5m級のデウスエクス『ユミルの子』よって完膚なきまでに破壊されてしまう。
 其のさまを『エイル』博士はモニター越しに見るしかない。
「ふあぁん――!!」
 悲鳴が響いた――。

●ケルベロスディバイド
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回の予知でケルベロスディバイドの世界、その湾岸の決戦都市の近郊の山林に『デウスエクス』が陣取り、前哨基地を敷設していることが発覚いたしました」
 彼女の言葉はデウスエクスが思った以上に決戦都市の間近まで侵略の手を伸ばしてきていることを示している。
 しかし、特務機関DIVIDEも手をこまねいているだけではない。
 デウスエクスの前哨基地を破壊しようと決戦都市から戦力を送ったようである。しかし、そのいずれもが返り討ちにあってしまったというのだ。
 敵は強大である。
 しかし、まだ力を蓄えている段階であるのだろう。
 物理的な障害は内に等しいが、魔術的な障壁が前哨基地を守っているというのだ。

「敵は防衛魔術によって基地を守っている様子です。どうやら、この防衛魔術は障壁に触れた物のエネルギー……生命体であれば生命力を、機械であれば動力エネルギーを霧散させてしまうようなのです」
 つまり、この前哨基地を攻めるには守る防御魔術を破らねばならない。
「仮にこの防御魔術を破ったとしても、基地内部には体高5m級のデウスエクス『ユミルの子』がひしめいています」
 もとより巨大な存在である『ユミルの子』だが、この前哨基地には多く存在してるようである。
 これらを撃破しない限り、この基地の指揮官デウスエクスにたどり着くことはできないだろう。

「幸いに指揮官デウスエクスである『ブラックエクリプス』を撃破することが叶えば、この基地は崩壊していくようです。とは言え『デウスエクス』は滅ぼすことができません」
 しかし、打倒することはできる。
 時経て再来襲してくるのだとしても、前哨基地を破壊することは侵略の手を一手遅らせることになるだろう。
 猟兵たちはすぐさま状況と問題を把握し、頭を回し始める。敵基地の攻略。どのようにして防御魔術を打ち破るのか。
 そして、敵デウスエクスの守備をかい潜るのか。
 そうした戦術を彼らはすでに考え始めている。
 猟兵たちの様子にナイアルテは頭を振る。
「愚問でした。滅ぼせぬからと言って危機を見過ごす皆さんではなかったですね」
 彼女はそう言って微笑み、猟兵たちに頭を下げ、見送るのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回の事件は新たな世界『ケルベロスディバイド』。この世界における湾岸都市の近郊の山林にデウスエクスが前哨基地を築き、侵略の礎にせんとしています。
 今はまだ完璧な基地ではないため、叩くのならば今が絶好の機会でしょう。
 滅ぼせぬデウスエクスですが、基地を破壊することで敵の目論見を阻むことができます。

 ※『決戦配備』とは。
(https://tw6.jp/html/world/441_world25.htm)
 に記されたものです。プレイングの冒頭に各々の単語を書き込むことで上記のプレイングボーナスを得ることができます。

●第一章
 冒険です。
 山林の前哨基地にはバリケード等と言った物理的な障害がありません。
 木々に囲われているだけであり、近づけばそれと知れるでしょう。ですが、この基地周囲には防衛魔術が張り巡らされており、不可視の障壁に触れた瞬間、生命力や、キャバリアならばエネルギーを霧散させられてしまいます。
 この防御魔術を打ち破り、基地へと突入しましょう。

●第二章
 集団戦です。
 防御魔術を突破した皆さんが飛び込んだ基地内部には体高5m級のデウスエクス『ユミルの子』が大挙として迫ります。
 これらのデウスエクスを排除しない限り、この基地の指揮官デウスエクスの元へはたどり着けないでしょう。

●第三章
 ボス戦です。
 この基地を守る指揮官デウスエクス『ブラックエクリプス』との決戦となります。
 デウスエクスは打倒はできますが、滅ぼすことはできません。
 しかし、『ブラックエクリプス』を打倒できれば、基地は魔術的な支えを失って崩壊することでしょう。
 例え、滅ぼせなくても基地は破壊することが今回の目的です。
『ブラックエクリプス』を打倒しましょう。

 それでは、滅ぼせぬ敵デウスエクスが築く基地を破壊し、来たる襲撃を未然に防ぐために戦う皆さんの物語を彩る一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 冒険 『防御魔術を破れ』

POW   :    魔術を維持する魔法陣や魔導設備を破壊する

SPD   :    僅かな隙を見つけ出し、突破口を作る

WIZ   :    敵の魔術に魔力で干渉を仕掛ける

イラスト:純志

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「いいかい。先に言っておくよ。あの基地は無防備に一見思えるかもしれないけれど、その実、強力な防御魔術によって守られている。不可視の魔術障壁は触れた者のエネルギーや活力を霧散させてしまう。触れて動きを止めれば、基地から出てきたデウスエクスに、ぐしゃって具合さ」
 そう猟兵やケルベロスたちに伝えるのは、決戦都市の責任者『エイル』博士であった。
 彼女の言葉に猟兵たちは頷く。
 確かに、とデウスエクスの前哨基地の眼前には赤と青の装甲を持った戦術兵器『セラフィム』の残骸が転がっていた。
 いずれも魔術障壁に阻まれ、エネルギーを霧散させられて無防備なところを襲撃されて、抵抗もできずに破壊されてしまったのだろう。魔術的な備えをしなければ、抵抗することができないというわけだ。
「うわーん! そんな冷静に分析しないでおくれよ! いやでも、これで諸君らが対策を講じる事ができる情報を得られたというのならば、誇るべきだろうか!」
「機動兵器だってタダじゃあないんですよ博士」
 サポートAI『第9号』の冷静な言葉に、『エイル』博士は小さくなるしかなかった。

「だ、だけどさ! 諸君ならば、あの基地を覆う防御魔術に対する対抗策を編み出すことができるだろう? 魔術を維持する魔法陣を検知するとか、障壁の切れ目を探すとか、もしくは魔術には魔術って具合に力押しとかさ!」
『エイル』博士は猟兵たちにホログラムモニターの向こう側から呼びかける。
 つまり、自分たち次第、ということだ。
「なぁに、諸君らの要請に応じる『決戦配備』の準備は万端さ! いつでも行けるよ! それじゃあ、頼んだよ――!」
天道・あや
ふむ、成る程。そりゃ実に厄介だ。(目の前に立ち塞がる障壁へと視線を向ける)(無論、魔術の魔の字もない彼女には見えない。しかし何となく| 音色 《 気配 》は聞こえる)

うーん、これは確かにただ突っ込むだけじゃ流石に突破するのは難しいなー

(となれば、取るべき方法は)

ーー| 音色の小さい部分を見つける 《 障壁の薄い部分 》しかナッシング!

(という訳で、全神経を集中させて、歌いながら耳を澄ませる)(自分の歌から発せられるエネルギー。それがこの障壁とぶつけて、一番響く場所をーー!)【見切り、歌唱】

ーー見つけた! 右よし! 左よし! あたしよし! いざ、開門!【鎧砕き、限界突破】

そんじゃ、行ってきます!



 物理障壁であるのならば、それを突破する手立ては多く存在するだろう。
 破壊する、またぐ、登る。
 多くの障壁破りは人類の有史以来実行されてきた。
 しかし、デウスエクスの魔術。防御魔術に対しては未だ多くの関門が待ち受けている。
 目と鼻の先には前哨基地が丸裸のように存在しているのに、確かに今そこに在る、と感じられる。
「ふむ、成る程。実に厄介だ」
 視線を向けた先にある障壁の力を感じ取って、天道・あや( スタァーライト ・f12190)は思わず呻く。
 自分には魔術の魔の字もない。
 見えない。
 不可視たる壁はどこからどこがつなぎ目で、どこからどこが力を奪う領域であるのかを彼女には教えてはくれない。

 触れれば、生命力やエネルギーといった活動するのに必要なものを霧散させられ、その障壁に触れたということを感知して現れるデウスエクスに蹂躙されるだけである。
「なんとなく、だけど|音色《気配》は聞こえる…‥うーん、これは確かに突っ込むだけじゃ流石に突破するのは難しいなー」
「指向性があるわけでもなく、ただ薄く張り巡らされている。触れた存在の生命力やエネルギーを停止させるのではなく、吸い上げて霧散させるというのが気になるがね」
『エイル』博士と呼ばれる決戦都市の責任者の言葉にあやは頷く。
 デウスエクスの目的は生存エネルギーであるグラビティチェインの簒奪だ。
 なのに、霧散させる、というのは、まるで地球側の戦力を低下させるための罠であるようにしか思えない。

「となれば、取るべき方法は……――|音色の小さい部分《障壁の薄い部分》を見つけるしかナッシング!」
 喉を震わせる。
 己の口腔より放たれるは歌。
 言葉は歌に変わる。歌は音に変わる。音は波のように長さを変えて響き渡り、魔術的な障壁に確かに干渉する。
「やっぱり……薄く伸ばされているのは、瞬間的に触れた箇所に全体の障壁の魔術的な力の流れを集約させるため」
 なら、とあやはさらに己の瞳をユーベルコードに輝かせる。
「どれだけ薄く全面をカバーしているのだとしても、音がぶつかって歪むのなら!」
 あやの歌声が響く。

 苛烈にして鮮烈。
 その歌声が激突した障壁が分厚く歪むようにして魔術的なエネルギーを集約させていくのをあやは、視覚でもなければ魔術的な素養でもなく、音の響き、反響だけで感じ取るのだ。
「一番響く場所……――見つけた!」
 障壁にぶつかるたびに歌声のエネルギーが霧散していく。
 だが、障壁は歪み続ける。
 故に、音が響く箇所は歌声が当たる一点のみ。

「言葉が通じなくても〜 思いと〜ハートは〜 きいっと伝えられる〜〜! だから歌う〜よ〜〜!」
「障壁の魔力、この場合はエネルギーか! その集約した箇所を!」
「そういうこと! オープンドア!(ココロノトビラヲヒラコウ)」
 自身から飛び出した虹色の音符を掴む。
 その曲がった符尾の切っ先が歌声が激突して集約した魔術的な力場へと突き立てられる。それこそが彼女のユーベルコード。
 解錠できぬものを解錠する力。
 いや、解錠、という言葉も似つかわしい。

「右よし! 左よし! あたしよし! いざ、開門!」
 こじ開ける、という言葉が最も似合うだろう。
 こじ開けられた魔術障壁にはあやが一人が通れる分の穴が開く。
「そんじゃ、行ってきます――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
……ふーん……
取り合えず『エイル』博士がフラグを立てるだけ立ててセラフィムを無駄使いしたことはスルーする優しさを発揮するとして…(わざわざ言う)

触れると動力やら生命力やらが霧散する障壁……ね
…まあそう言うものがあると言う情報があるかないかは確かに違うかな…
…そして…目に見えない…即ち『意図的に隠している』のであれば対処法もあると言うもの…
【輝ける真実の光】を発動…意図的に隠蔽されているものに光の粒を纏わせて可視化するとしよう…
…可視化したならば障壁の配置をマッピングして把握…
…ふむ…迷路のようになってるけど出入用の隙間があるみたいだからそこを辿って通過するとしようかな…



「……ふーん……」
 見回す限り破壊の跡が残されている。
 残骸となっているのは、いずれも赤と青の装甲をもつ機動兵器『セラフィム』である。これらは湾岸にある決戦都市の『決戦配備』を担う兵器であることをメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は知っている。
 そして、その開発者である『エイル』博士のことも。
 メンカルは唯一つ息を吐き出していた。
 なんだかホログラムの向こうで『エイル』博士が、びくっと肩を震わせたように思えるのは気の所為だろうか。
「とりあえず、『エイル』博士がフラグを立てるだけ立てて、『セラフィム』を無駄遣いしたことはスルーしてあげるよ……」
「わざわざ言うことかなぁ! メンカル君!」
「……これは優しさ」
 そういうメンカルを前に『エイル』博士は言い訳を開始する。

「でもさぁ! こうして『セラフィム』が破壊されたことによって、敵基地の護りがどんなものであるかわかったのは無駄じゃないと思うんだ!」
 そう、目の前にあるのは不可視の障壁である。
 魔術的なものであることをメンカルは即座に見抜いていた。
 触れれば動力や生命力といったものを吸収し、霧散させる防御魔術。
 グラビティチェインを求めて地球に侵略してきているデウスエクスにしては、吸収しないのはなぜなのかと疑うところはある。
「でもまあ、まずはこの障壁を突破しないといけないことには変わりないよね!」
「……まあ、そう言うものがある、という情報の有無は確かに今後の状況に影響を及ぼすことには違いはないかな…‥」
「だろう!」
「……浪費した、という自覚はある……?」

 得られた情報は確かに有益だが、費用対効果というものを考えたのならば、もっとよりよいやり方が会ったのではないかという可能性は否定しきれないのである。
「……目に見えない……即ち、この魔術には発生源がある。何もないところから何かを作用させるなんて、そんなことができようはずがない。そして、不可視にしている、ということは即ち『意図的に隠している』ということ……」
 であれば、とメンカルの瞳がユーベルコードに輝く。
 掲げた掌から放たれるのは光の粒であった。
「おお、これはユーベルコードかい」
「……そう、隠蔽されたものにまとわりつく光……輝ける真実の光(グリッター・ダスト)は、隠されたものを暴くユーベルコード」
 メンカルは情報解析眼鏡『アルゴスの眼』を通して、ユーベルコードによって生み出された光の粒が何処に集約していくのかを知る。

「……ふむ、典型的なヘキサグラム……六芒星配置……となれば、常時発動しているということ」
「力が作用しあっている、ということかい。なら、守るにはうってつけだね。だが、出入りが自由ではない、というのはいささか不便ではないかな?」
『エイル』博士の言葉も尤もだ。
 守るのは容易かもしれないが、ここは敵地にある前哨基地。
 蓄えた戦力を出撃させるには、この障壁を解除しなければならない。解除する、ということは僅かな時間でも無防備な時間が生まれる、ということである。

「……それを嫌うからこそ、だよ……見てご覧よ。迷路のように経路が浮かび上がっている」
 それは複雑怪奇な迷宮じみた光の道筋であった。
 メンカルはこれを辿ろうと考えたのだろう。
「……即ち、複雑に見えてパターンがある、と見える。これは結局侵入者対策ってことになるんだろうけど……」
 とは言え、障壁に触れずに基地内部へと侵入するという静音性に限って言えば、これが最善の一手であろうとメンカルは考えるのだ。
「……じゃあ、そういうわけだから……」
「ああ、頼んだよ、メンカル君!」
「……『エイル』博士が左遷されないように、まあ、点数取り戻してくるよ……」
 そのような言葉に『エイル』博士は痛い所を突かれたようにうめきながら、メンカルを見送るしかできないのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イリスフィーナ・シェフィールド
壁があるなら打ち砕くっ……というのが基本なのですけど。
物理的に壊せるか時間がかかるかもしれませんし。
ここは別の手段を取ることにいたしましょう。

というわけでオーバー・ドライブで真の姿(イラストの2番目の真の姿参照)に変身ですわ。

エネルギーを霧散つまり無くなって動けなくなる。
即ち疲労を無効化するこの状態なら触れても動けるはずですわっ……たぶん。

見た目が卑猥?……サキュバス的なオブビリオンに
アレコレされた結果使えるようになったので致し方ありません。
オーラ防御も施してできるだけ軽減いたしましょう。

変身解除すると結果が押し寄せてくるので一気に突っ切りますわ。



 目の前に壁があるのならば打ち砕くのみ。
 それがイリスフィーナ・シェフィールド(相互扶助のスーパーヒロイン・f39772)の信条である。
 だが、今回はその信条が通用しない相手である。
 目の前にあるのは不可視の魔術障壁。
 デウスエクスの防御魔術がいかなるものであるのか理解せずに突っ込むのは下策であろう。そもそも物理的に壊せるかどうかもわかっていない。
 それに、もしも可能であったとしても時間がかかるのであれば本末転倒である。
「ならば、他の手段を取ることにいたしましょう」
「他の手段とは?」
 ホログラムの『エイル』博士が尋ねる。
 単純に疑問であったのだろう。

「わたくしたち猟兵には真の姿と言うものがございます」
 煌めく瞳。
 ユーベルコードの輝きを放ったイリスフィーナの背に黒翼が羽撃き、悪魔の尾が一瞬で形成される。
 戴くは赤い角。
 そして、普段の彼女の姿からは想像できないサキュバス然とした衣装。
「姿が変わった……? それでいったい……」
「この障壁はエネルギーを霧散、つまり無くなって動けなくなる、ということでしたわね?」
「そうだよ。エネルギーを吸い上げられた上で霧散させる」
「では、疲労した状態と言っても差し支えないですわね」
 彼女の言葉に『エイル』博士は首を傾げる。
 そこまでわかっているのならば、力押しは下策であろう。

 けれど、イリスフィーナは不敵に笑む。
 疲労するのならば、疲労しない状態になればいいのだ。
「つまり、こうするのですわっ!」
 オーバー・ドライブへと至った彼女は一気に障壁に突っ込む。同時に彼女の体からエネルギーが吸い上げられていく。
 だが、今の彼女はそうした負傷や疲労、致命傷の影響を一切に受けない状態である。
「どういうことだい!? なんでエネルギーが減らない? っていうか、なんで普通に動ける?」
『エイル』博士の疑問に応えるようにしてイリスフィーナは叫ぶ。

「真の姿に変身したことによって今のわたくしは、あらゆる負傷や疲労を一切受け付けないのです。これならば、如何にデウスエクスの魔術障壁であろうと!」
 関係ない、とイリスフィーナは障壁を突っ切って前哨基地へと突っ込んでいく。
 ただ只管に突き進む。
「変身解除してしまえば、その間の疲労や負傷が一気に襲ってきますから、解除できないのが難点でありますが!」
「つまり、一度使ったら戦いが終わるまで解除できないと!? 向こう見ずにも程があるよ!? それにその格好、なんていうか、卑猥じゃない!?」
「それはそうですとも。まあ、様々な経験の結果とでも言いましょうか。致し方ありません」
 彼女は妖艶に笑む。
 例え、この状況が罠であったとしても、それでもイリスフィーナは進むと決めたのだ。

 不利な状況であることは百も承知。
 ならばこそ、それは壁となろう。
 それを打ち砕くのがおのれであるとイリスフィーナは自身の基本に立ち返って、障壁の中を突っ切って真っ直ぐに進むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

川崎・五十鈴
決戦配備:スナイパー

エネルギーとは言うけれど、その括りはどこまで?

シンプルな物理攻撃にはどう対処する?

スナイパーに長距離ミサイル支援を要請。但し、やるのは観測まで。
長距離ミサイルを撃ち込む前段階の観測ならあの基地をかなり俯瞰的に観測できるはず。人工衛星とか使ってそう。

じゃ、セラフィム借りる。
セラフィムを重力の力で加速させて基地に向かって射出。重力の力は霧散されるかもしれないけど、加速で得た運動エネルギーは霧散できる?

とりあえず観測手から得たデータを元になんか怪しそうなところにセラフィム弾を撃ち込みまくる。
そうすればまあ、そのうち何かしらがぶっ壊れてくれるはず。
そのあと悠々と入ればいいかなって。



 デウスエクスの前哨基地を覆う不可視の防御障壁。
 それは魔術的な障壁であり、触れたものの生命力や動力といったエネルギーを吸い上げて霧散させてしまうものであった。
 言葉でそう聞くと単純であるのだが、川崎・五十鈴(エコテロリストエルフ・f41042)にとってはそうではなかった。
「エネルギーとは言うけれど、その括りはどこまで?」
 彼女の言葉に『エイル』博士は言う。
「動力、生命力、という括りだろうね。活動するのに必要なエネルギーとでも言えば良いだろうか。確かに妙だよね。デウスエクスはグラビティチェインを求めて侵略してきているのだから」
「そう。たったら、シンプルな物理攻撃にはどう対処する?」
 五十鈴は考えた。
 何を、と問われたのならば単純である。

「|『決戦配備』《ポジション》、スナイパーを要請」
「ここに来てスナイパー?」
「そう。長距離ミサイル支援を要請。ただし、敵前哨基地の俯瞰的な位置情報を得るに留める」
 五十鈴の要請によって『エイル』博士から前哨基地の位置情報が伝えられる。
 座標を見た五十鈴は、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
「ちょ、あっ、何するつもりだい、それは……!」
「『セラフィム』の残骸でしょ? これはもう使えない、そうじゃない?」
「破壊されているからと言っても、修理とか資源にとかさ……あっー!!」
『エイル』博士の悲鳴が聞こえる。
 五十鈴のユーベルコード、グラビティブレイクはその魂に強大な重力を操る力を宿すものである。
 重力によって残骸となった『セラフィム』を持ち上げた五十鈴は狙いを定める。
 座標はすでに得ているのだ。

「なら、後は打ち込むだけ」
 五十鈴は持ち上げた『セラフィム』を、まるでボールを投げるようにしてデウスエクスの前哨基地へと投げ放つ。
 その一射は真っ直ぐに前哨基地へと飛び込み、魔術障壁に触れる。
 瞬間、五十鈴の重力の力が霧散する。
「やっぱりそうね。ユーベルコードや動力、生命力なんかは吸い上げられて霧散させられてしまう。だけど、加速によって得られた運動エネルギーは」
 霧散できない。
 打ち込まれる『セラフィム』という弾丸は次々と前哨基地へと叩き込まれ、築き上げられていた基地の外殻を砕いていくのだ。

「あーっ! あー!! やめて、やめたまえよ! それ高いんだぞ!」
「どのみち、破壊されていたのなら、有効活用するまで。リサイクルってとってもエコ」
「そういう問題じゃ、あっー!!」
 やめてー! とさけぶ『エイル』博士のホログラム通信を五十鈴は切って、さらに『セラフィム』の残骸を弾丸に変えて打ち込む。
「こうしていれば、そのうち何かしらぶっ壊れる」
 なら、おのれはその後に悠々と入って行けばいいだけの話。
 簡単なことだと、五十鈴は何処か遠くで『エイル』博士が叫んでいるのを聞いたけれど、まあ、エコの前には小事であると切って捨てるようにデウスエクスの前哨基地を目指すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サマエル・マーシャー
最近キャバリアに相当する戦力を手に入れたので試せる戦場を探していたのですが…まずはあの障壁をなんとかしなければ性能試験以前の問題ですね。

生命力を霧散…噂程度に聞きかじっていた情報だとデウスエクスの方々はそういうエネルギーは回収したがると思っていましたが…。

まあ、考察は後でもできますね。まずは突破しましょう。
手の指を嚙み千切り、その傷口からユーベルコードにより高速の血液を障壁に向かって放ちます。
そして当たりさえすれば、障壁さんは私に対してめろめろになってくれるでしょう。通してくださいと頼めば私のことは通してくれるはずです。

ありがとうございます。
(通してくれた障壁さんを撫でながら軽く口づけを)



 得た力を試す。
 その行為は己の手足の長さ、筋力の高さ、能力の限界を知るには必要不可欠な行為であったことだろう。
 人は自身で思う以上に自身の体のことを理解していない。
 自身の手が何処まで届き、何を掴むことができ、どれほど持ち上げることができるのか。
 それを知りたいと思うは当然のことであったが、しかし力を試すというのには相応の場所が必要になるものである。

 つまり、サマエル・マーシャー(電脳異端天使・f40407)は己が得たキャバリアの能力がどれほどのものであるのかを知りたいと願ったのだ。
「とは言え、まずはあの障壁をなんとかしなければ性能試験以前の問題ですね」
 サマエルは不可視の障壁を見やる。
 ケルベロスディバイド。
 その世界は地球に宇宙より侵略してくるデウスエクスとの戦いに明け暮れる歴史を重ねる世界である。
「聞きかじった話では、デウスエクスというのは、生命力やそうしたエネルギーを求めているとのことでしたが……」
「存在エネルギーであるグラビティチェインだね!」
 突如としてサマエルの目の前に現れたのはホログラム。
 そこに映る亜麻色の髪の女性『エイル』博士は、自身が湾岸にある決戦都市の責任者であると名乗るのだ。

「なるほど。動力などのエネルギーとグラビティチェインは異なる可能性がある、と」
「そういうこと! 存在エネルギーというところが未だに定義が論議されるところであろうけれどね!」
「その当たりの考察は後でもできますね。まずは突破します」
「話が早くって助かるよ!『決戦配備』はいつでも君のタイミングで要請してくれたまえ!」
 その言葉にサマエルは頷き、己の指の腹を噛む。
 血が滲み、その傷口から彼女は障壁へと己の血液を放つ。

 その一撃は弾丸めいた一撃であるが、しかし不可視の障壁に阻まれてしまう。
 血の弾丸、というのは確かに奇異なる力であったかもしれない。
 けれど、それだけで打ち破れるほどデウスエクスの魔術障壁は脆いものではない。
「アザゼル・アロー……この血はあなたの|心臓《ハート》を撃ち抜きます。ええ、そうです。この障壁は打ち破る必要はない」
 サマエルはゆっくりと足を踏み出す。
『エイル』博士は、何を、と思っただろう。
 サマエルの一歩は何気ないものであった。それこそ散歩に出ようとするかのような一歩であり、気安い一歩でもあったのだ。

「ただ、一つ言うことがあるのならば」
 彼女は障壁に触れ――ない。そう、今の彼女に対して魔術障壁『事態』が何かをしようとは思わない。
「ありがとうございます」
 軽く障壁が開いた箇所を彼女は掌で優しく撫で、口づけをする。
「な、な、なー!? え、何!? どうなっている!?」
「簡単なことです。私のユーベルコードで障壁さんはメロメロになってもらいました」
「どういうこと!?」
「障壁であろうと当たりさえすれば、私にメロメロになる。そういうユーベルコードであるのです」
 サマエルは苦もなく説明する。
 だが、説明された『エイル』博士の頭上にはクエスチョンマークが無数に浮かんでいることだろう。
「それで、どうにかなるものなの!?」
 理解できないと喚く『エイル』博士にサマエルは酷く簡単なことだというように障壁の中を生命力を霧散されずに歩んでいくのだ。
 常識の外。
 それが猟兵という存在であることを様々と見せつけられたようでもあった。
 けれど、この理屈を理解できるのはサマエルだけである。
 だからこそ、彼女はちいさく呟くのだ。

「ただ、頼めば良い。通してください、と誠意を持って、ね――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

トーヴァ・バリストロム
むしろ、キャスターの術式支援で結界を何とかして欲しかったんですが…
あ、いえ、ナンデモナイデス。トーヴァ、ガンバリマス。

さてと…魔術の障壁ということなら、魔力が使われているはずです。
魔導ゴーグルで魔力の流れを可視化すれば、障壁の場所は概ね把握できるでしょう。
その上で、術式を解析して相殺…とかできたらかっこよかったんですが。
難しそうなので、普通に魔力を辿って供給源を探します。
魔術を維持する魔法陣とか、そういうのが見つかったら、適当に破壊しましょう。

それにしても、防衛魔術は一種類のみで、物理的防壁は用意なしですか。
よっぽど自信があったんですかね…?
対処しやすくて、こちらとしてはありがたいですけど…



 生命力や動力といったものを吸い上げ、霧散させる魔術障壁。
 それが今、デウスエクスの前哨基地に張り巡らされた障害である。これを突破しなければ、デウスエクスの前哨基地はさらに成長し、捨て置くことのできない戦力を築き上げていくだろう。
 そうなれば、決戦都市と言えど攻め落とされてしまうかもしれない。
 そのような事態を回避するためにも、あの前哨基地は破壊しなければならないのだ。
「むしろ、キャスターの術式支援で障壁を何とかしてほしかったんですが……」
 トーヴァ・バリストロム(光魔術師・f41134)は思わず呟いていた。
 そのための『決戦配備』である。
 要請できないものか。どうにかして、あの障壁を突破できないかと頭を悩ませているのだが、むしろ、こういう時こそ決戦配備の出番、というのは同意できるものであった。

「すまないねぇ!」
 ホログラムが目の前に現れる。
 それは湾岸の決戦都市の責任者である『エイル』博士からの通信であった。彼女のぼやき、いやつぶやきを聞いたのだろう。
「そうできればよかったのだけれど、どうにも解析が進まなくて。申し訳ない。君らケルベロスや猟兵の手を借りる事態になったこと、お詫びするよ」
「あ、いえ、ナンデモナイデス。トーヴァ、ガンバリマス」
 なぜだか急に出てきた『エイル』博士にトーヴァはカタコトになってしまう。
 内向的な彼女の性格ゆえ、どうしても臆病というか人見知りしてしまうのである。それは裏を返せば、勇猛果敢なる家族に対する引け目のようなものであったのかもしれない。

 けれど、それでも誰かの役に立ちたいと今此処に立っていることをこそ誇るべきであったことだろう。
「よろしく頼むよ、君ぃ!」
「はい、魔術の障壁ということなら……魔力が使われているはずです」
 トーヴァは魔導ゴーグルを被り、見据える。 
 前哨基地は確かに無防備に見える。けれど、不可視の魔術障壁が張り巡らされているのだ。
「薄く、伸びるように隙間なく、というように思えますね。この上で……」
 術式を解析して相殺することができたのならば、格好良かったのだけど、とトーヴァは肩を落とす。
 けれど、やれることはやる。

「やっぱり魔力の流れの大元を特定するのは難しいです」
「だろうねぇ。連中、こういう防御魔術に秀でているのかもしれないねぇ。だが、魔術である以上、起点というは存在するだろう」
「はい。だから……」
 トーヴァはゴーグルで覗き込んだ視界をくまなく探す。
 魔術であるというのならば、規則性があるはずだ。必ずある。特にこれだけの基地を覆う防御障壁である。
 必ず起点があるのだ。

「先んじた猟兵の人の話では六芒星の形になっている、とのことでしたね」
 なら、その頂点を探せば良い。
 トーヴァは魔術を維持するための起点を探し出す。魔力の流れ、そうしたものを見つけ出す。
「見つけました。でもこれって……」
「どうやら、これは先程の『セラフィム』の動力エネルギーを再利用しているようだね。循環させている」
 魔法陣を起点にデウスエクスは奪ったエネルギーを魔法陣で循環させている。
 霧散させているように見えていたのは、ブラフ。
「なら、これを破壊すれば」
 光の矢弾(ライト・ボルト)が魔法陣の一つを破壊すると、循環が揺らぐ。
 これまで奪ってきたエネルギーの総量を考えれば、障壁が消え去るまでまだ時間がかかるだろう。けれど、循環を止めたことによって無限にエネルギーを回すことはできなくなったはずだ。
「これが敵の自信の源……対処しやすかったのは、こちらとしてはありがたかったですけど……でも、破られてしまえば意味ないですよね」
 トーヴァはそう言って揺らぐ障壁をかいくぐって前哨基地へと走るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
デウスエクスの魔術体系か。興味はあるけど今は後回しね。

魔術、呪術、妖術。呼び方の違いはあれど、実際に効果があるものはユーベルコード。それなら|反《アンチ》ユーベルコードでかき消せばいい。
「範囲攻撃」で宝貝『太極図』を起動。効果範囲内の術式の存在を解体していく。ユーベルコードである限り、例外はない。

解除できたと思うけど、念のためその辺に落ちているものを投げ込んで確認。
問題なければ進むとしましょう。
ここから先は任せてもらうわよ。博士は身一つでデウスエクスと戦うなんてできないでしょ。そこで吉報を待っててちょうだい。

さて、この先はどうするかしらね。腕が鳴るわ。いざ敵地のその奥へ。



「デウスエクスの魔術体系か。興味はあるんだけれど……」
 村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)はデウスエクスの前哨基地を見つめ、その先にあるであろう不可視の障壁が生命力や動力を奪う性質を持つことを改めて思い出していた。
「まあ、彼らの魔術がどのようなものであるのか解析できたのならば、それは大きな……いや、飛躍的な前進であろうがねぇ! 遅々として進まないものなのだよ!」
 ホログラムの向こうで『エイル』博士がガックリ肩を落としている。
 彼女にとっては『セラフィム』が一切通用しないことを憂いているのだろう。
 しかし、今はそういうのにかまっている暇はないと、ゆかりは考える。

「魔術、呪術、妖術。呼び方の違いはあれど、実際に効果があるものはユーベルコードって考えられない?」
「ユーベルコードで作ったものなら、そう言えるのかも知れないが、別系統のような気がするのだよね」
「まあ、まずは試してみましょうよ。検証も反証もそれからよ」
 ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
 首にかけた太極図の立体ペンダントトップ。
 それは、宝貝『太極図』(タイキョクズ)であった。彼女のユーベルコードに呼応するようにして広がるのは、機能を持たない、涙無き終焉の冷気。
 それは一瞬で広がっていき、ユーベルコードの一切を封じる。
 維持もできなければ、使用もできず、不能たるを示すのだ。

 けれど、ゆかりは訝しむ。
「ユーベルコードじゃあない?」
「魔術であってユーベルコードにまで昇華していない、ということだろうね。ユーベルコードであったのならば、これを維持する存在がいるはずだ」
 つまり、術者のような存在がいるということだ。 
 だが、見た所それがない。
「ふむ。となれば、やっぱりアプローチすべきは魔術的な見地からってことね」
「ああ、他の猟兵達が開いた道もある。進むのは何処からでも選び放題さ! それに起点となる魔法陣も破壊されているからね!」
 先んじた猟兵達が、それを為してくれている。
 ならば、とゆかりは頷く。

「これだけ大掛かりな魔術障壁を用意していたんだもの。ただ事じゃあない量のエネルギーが必要だったことでしょう。それをまさか、障壁に触れて奪った敵から霧散しているようにブラフを仕掛けて循環させているとはね」
「こういう所が巧みな敵であるということでもある。油断しないような」
「ええ、博士は吉報を待っていて頂戴な」
 ゆかりはそう言って猟兵達が示した道を辿る。
 障壁が無効化されている道。確かにユーベルコードではない。

 ならば、後はこの先にある敵地へと進み、デウスエクスを討ち滅ぼすのみ。
 むしろ、ここからがゆかりの本領である。
「さあ、腕が鳴るわね。この先どうしてくれようかしら」
 ゆかりは薙刀を構え、前哨基地の内部へと足を踏み入れるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

廿鸚・久枝
カッハッハッ!!
これはまた、見事に罠に嵌ったのぉ。
これが人間ならさぞや悪い顔をしていただろうなぁ。

バーリオルに己を搭載。
『凪払』バーリオルに神威を纏わせあらゆる物質を透過する性質で魔術障壁に触れずに通過するぞう。
ついでに輪光の力で【マシン改造】バーリオルのレーダーを強化
【ハッキング】障壁を作動させずに魔術障壁の【情報収集】
魔法体系を解析するぞぉ。

まぁ、失敗は成功の元よ。これを糧に次に活かせばよかろうて。
……なんじゃ、ちと無責任かのう。
収集した情報、あとで送っといてやるでな。
首がまわらんでは、失敗も意味がないでなぁ。



「カッハッハッハッ!! これはまた見事に罠に嵌ったのぉ」
 盛大に響く笑い声に湾岸の決戦都市の責任者である亜麻色の髪の女性『エイル』博士は渋い顔をしていた。
 わかっている。
 敵の罠に嵌った間抜けは私です、と彼女は諦めていた。
「だ、だけどさぁ!」
「わかっておるともよ。敵の情報をわしらに齎してくれたこと、感謝しておるのよ。まあ、敵が人間ならさぞや悪い顔をしていただろうなぁ、とな」
 廿鸚・久枝(老キャバリア・f36383)は盛大に笑いながら『エイル』博士のホログラムの通信に重い腰を上げるようにして、己の重厚たる灰色の鋼鉄の巨人のコクピットに座す。

『バーリオル』と名付けられたクロムキャバリアが唸りを上げるようにジェネレーターの出力を上げていく。
「さて、敵の魔術障壁であったか」
「そうだよ。敵は生命力や動力を吸い上げて霧散させている……のはブラフで、どうやら奪ったエネルギーは魔術障壁を維持するために循環させて、さらにエネルギーを奪う機能の担保にしているようだよ」
 先んじた猟兵から得られた情報である。
 それを聞いて久枝はまた笑う。
「カッハッハッハ! ならば、対策もできようというものよな! ならば、往こうか!」
 その瞳がユーベルコードに輝く。
 己の兵装『バーリアル』に纏うは神威。
 機体はあらゆる物質を透過していく。魔術障壁を透過する機体が、ゆっくりと進む。

「ははん。なるほどのぉ。こういう魔術体系か。奪ったエネルギーを循環させる仕組みなんかは、こりゃまた複雑怪奇というものよな」
 先んじた猟兵の情報と照らし合わせてみると、この循環させる魔術体系はいくつかの大別されたものに通じるものがある。
 少ない魔力を効率的に扱うための回路とでも言うべきか。
「ふむ。これならば、わしの『バーリアル』であっても透過は可能であろうよ。とは言え、問題は敵戦力と言ったところか」
「『ユミルの子』と呼ばれる異形の巨人の存在が確認されているよ。油断無きようにね、って……私が言っても説得力無いけど!」
「まぁ、なんじゃ。失敗は成功のもとよ。これを糧に次に活かせばよかろうて」
「でもさぁ」
「言うだけ言ってというのは、ちと無責任よな。こちらで収集した情報は、あとで送る故」
 久枝はそう言って『エイル』博士に通信を入れる。

 彼女が湾岸の決戦都市の責任者であるというのならば、この情報を役立ててくれることだろう。 
 とは言え、ここからが本領にして本番。
 送る情報も持ち帰れなければ意味がない。
「生きているだけで儲けものよ。首がまわらんでは、失敗も意味がなかろう」
 失敗したのならば挽回すればいいのだと諭すように久枝は『エイル』博士との通信を切り上げ、正面を見やる。
「おいでなすったというわけだの!」
 そこにあったのは、魔術障壁の以上を感知して現れたデウスエクス……『ユミルの子』……キャバリアと同じく体高5mの異形たる存在は、敵性と認めた久枝と『バーリアル』へと襲いかからんと脅威なる運動能力で持って躍りかかるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
『セラフィム』自体はそこそこにありふれた単語ではあるけれど、
少し引っかかるわね……異世界のレプリカントも気になるし
……アルカ・スィエラ、出るわ

しかし、参ったわね。魔法はあまり得意じゃないのよ……サイキックキャバリアとも縁はないし。そうなると後は……力尽くしかないか

アルカレクスへと融合合身し……『ストライクスマッシャー』を|準備《セット》、フィールド収束……貫け、【スパイラル・ブレイカー】……!

ドリル化した両腕で突破できないかを試みるわ。直接破れれば楽なんだけど……無理そうなら地面を掘り進んで地下から突破するか、もしくはいっその事基地付近の地殻を掘り返して地盤から基地ごとぶち壊しにするか、ね



 事態はアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)が思う以上に深刻であるようだった。
 ケルベロスディバイド。
 この宇宙から迫る脅威、デウスエクスの持つ力は未だ不明な点が多い。
 生存エネルギー、グラビティチェインを求めているということはわかっている。しかし、これまでアルカたち猟兵達が戦ってきたオブリビオンと違い、デウスエクスは滅ぼせない。
 打倒することができたとしても、時を経て再び舞い戻ってくる。
 まるで終わりのない闘争に身を置くような思いであったことだろう。
 彼女の故郷でも在るクロムキャバリアとはまた違った闘争の在り方が此処にはあるように思えた。
「『セラフィム』事態はそこそこにありふれた単語では在るけれど、少し引っかかるわね……」
「そうなのかい? とは言え、頼んだよ、猟兵。諸君らの働きにかかっているんだ」
 ホログラムの通信がアルカの駆るキャバリア『プロトミレス』へと入る。
 その通信の主は湾岸の決戦都市の責任者『エイル』博士と呼ばれる女性のものだった。

「少し、というだけよ……アルカ・スィエラ、出るわ」
『プロトミレス』が着地した山林の奥にデウスエクスの前哨基地が見える。
 物理的な障壁はない。
 バリケードも、城塞めいた壁もない。
 ただ、そこにあるのは魔術的な不可視の障壁。触れれば動力や生命力と言ったエネルギーを吸い上げられてしまう。
「とは言え、参ったわね。魔法はあまり得意じゃないのよ……」
 彼女の出身世界クロムキャバリアでも古代魔法帝国やサイキックキャバリアと言った科学技術では説明できない現象を目の当たりにすることはあった。
 けれど、目の当たりにする機会があったとて、アルカ自身がそれをたぐることができるかと言われたら、答えはノーである。
「となると後は……力づくしかないか」
「だがね、エネルギー系の武装は尽くあの障壁に吸い上げられて霧散させられてしまうんだよ。おっと、霧散、というのはブラフだったね。他の猟兵達によって判明したことだけど」

『エイル』博士の通信によれば、あれは霧散させているのではなく、障壁の中で吸い上げたエネルギーを循環させているのだという。
 敵の攻撃を逆に自らのエネルギー供給源とする、というデウスエクスの魔術の力だった。
「なるほど……ならば」
 アルカの瞳がユーベルコードに輝く。
 召喚された機龍と合体し、『アルカレクス・ドラグソリス』へと姿を変える『プロトミレス』。その姿に『エイル』博士はいたく感心したようだった。
「合体した!」
「この出力なら!」
 機体の全身を覆うエネルギーフィールド。そして、そのエネルギーが腕部へと集まり、回転していく。
 回転は衝角へと変貌し、両腕より放たれる一撃は障壁ではなく地面を抉る。

「埋没した地面には障壁は確認されていないというのなら、地面から掘り進んで地下から突破するのみ!」
 アルカのやり方は力技だった。
 障壁を破るにしても、エネルギー系の武装であるがゆえに霧散させられ、奪われてしまう。
 ならば、障壁の干渉しない地面から掘り進めれば敵地へと侵入が可能になる。
 だが、障壁が地面のどこまで影響を及ぼしているかわからない。
「なら、こちらでモニタリングしておこう。君は掘り進めたまえ!」
「ありがとう。このまま地下へ穿孔を続ける」
 例え、地下の状況がわからないにしても、他者の協力があるのならば掘り進めることも可能であろう。
 そして、その狙いは正しかったと言える。
 地下に魔術障壁の干渉はない。
 アルカは『エイル』博士の言葉に答え、『ドラグソリス・アルカレクス』と共に地下を掘り進め、障壁の干渉しない大地の底から敵前哨基地の眼前へと土煙を上げながら飛び出すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクトリア・ノウェム
……またあの巨兵負けてるです……
まあこっちはこっちで依頼を頑張るだけ、です

とりあえず|銃《デビルアヴェンジャー》を撃ってみ……む?
なんだか『ミステリオン』(この間この世界で拾った種から発芽した攻性植物。ストックしてた天使核を奪って成長するも、ヴィクトリアの「天使核を動力とする物品を操作する」UCの前に屈服した)がうずうずしてるです。ご飯はまだです。……違う?……む、ならやって見せるです。

『ミステリオン』を触れさせて《魔力吸収・生命力吸収》させ、こっちからも【蒼穹の輪廻】を使って、その魔術を維持するための魔力を奪ってやる、です
一時的にでも途絶えたらその間に加速して突っ込んで中に入り込むです



 以前、ケルベロスディバイドの湾岸の決戦都市を襲撃したデウスエクスを迎え撃った体高5m級の戦術兵器『セラフィム』は、猟兵達が駆けつける前に返り討ちにあっていた。
 そして、今回も猟兵達が予知によって駆けつけるより先にデウスエクスの前哨基地を覆う魔術障壁の餌食となってしまっていた。
「……またあの巨兵負けてるです……」
 破壊された『セラフィム』の残骸がそこらに転がっているのをみて、ヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)は思わず呟いていた。
「うわーん、そんなこといわないでおくれよ! 確かに負けたよ!? 負けたけど、君たちにしっかりと敵の、デウスエクスの前哨基地に張り巡らされた魔術障壁の存在を教えることができたと考えれば、必要な犠牲であったとは言えないかな!?」
 ホログラムの通信が入る。
 そこには亜麻色の髪の女性『エイル』博士の顔があった。
 彼女が『セラフィム』の開発責任者であり、また湾岸の決戦都市の責任者でもあることをヴィクトリアは知っている。
 というか、この世界の猟兵……ケルベロスは、とても高給取りである。
 なぜなら、迫りくるデウスエクスとの戦いは死と隣り合わせだからだ。危険が伴う仕事には高い報酬が支払われなければならない。

 常に、というか万年金欠状態であるヴィクトリアにはありがたい話である。
「それはそうかもしれない、です。まあこっちはこっちで依頼を頑張るだけ、です」
 ヴィクトリアは目の前にある不可視の魔術障壁を見やる。
 エネルギーを吸い上げ霧散させる、というのことであった。むやみに接触することはできないが、しかし、どのようなものであるのかを自分で体感してみないことには始まらないだろうと『デビルアヴェンジャー』の銃口を向ける。
 すると、己が纏う飛空艇の天使核によって変異した攻性植物が疼くようにして蠢くのを彼女は感じただろう。
「……ご飯はまだです」
 ヴィクトリアはかつて、この『ミステリオン』と呼ばれる攻性植物をユーベルコードでもって屈服させた過去がある。
 それによって己の味方、または武器として扱うこともあるのだろうが、その『ミステリオン』が魔術障壁を前にして何かしようとしていることを理解して首を傾げる。

「……ご飯の催促じゃない、です? む、ならやって見せるです」
 飛空艇の装甲の隙間から『ミステリオン』の枝葉が伸びる。
 その枝葉が魔力を吸収していく。
「魔術障壁が魔力で動いているのなら、その大元たる魔力を吸い上げようというわけか。だが、拮抗していやしないかい?」
「そう、です。だから、私が、サポートする、です」
 ヴィクトリアの瞳がユーベルコードに輝く。
 不可視の障壁に放たれるはどう。
 その放出に伴う黄金の羽の嵐がヴィクトリアによって生み出され、『ミステリオン』の魔力吸収の力を底上げし、拮抗を突き崩すのだ。

 吸い上げた魔力はさらに天使の羽となって『ミステリオン』の枝葉に触れて力をましていく。
 蒼穹の輪廻(エンジェリック・リンカーネーション)とも言える、デウスエクスの魔術障壁と同じ、奪った魔力を循環させる機構を生み出したヴィクトリアはさらに力押しを強める。
「このまま魔力を奪って回せば、一時的にでも障壁に回す魔力が途切れる、です」
 その言葉通り、ヴィクトリアの眼前の障壁が薄く伸びていくのが見える。
 まるで熱を受けて溶けるような様相であったことだろう。
「これは……行けるぞ、このまま!」
「途絶えるのは一瞬、です。このまま突入する、です」
 瞬間的に障壁が途切れるのを見逃さず、ヴィクトリアは飛空艇と共に加速し、一気に障壁内部へと飛び込む。
 障壁を一時的にでも途絶えさせ、道をひらくヴィクトリアの目論見は達成され、加速するままにデウスエクスの前哨基地へと飛び込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん

まあねえ、そういう罠がある、というのがわかったのは良いことですが。
…そのための消費が大きいんですよねー…。
まあこの間、布とか譲っていただいた恩もありますのでー。

UC使用。地縛鎖刺しましてー、地面に直接、強化した呪詛流しましてー。
…ええ、その呪詛も霧散させられるでしょう…『出入り口となる通路』以外は。
そう、その道筋だけでもわかればいいんですよー。
呪詛が残っている場所は、その防御魔術がない場所ですから。
こういうの、騙すためにわざと霧散させないはないでしょうし。あちらの方が力、上なんですしー?

では、辿って参りましょうか。



 決戦都市に配備されている戦術兵器『セラフィム』。
 人型の体高5mはあろうかという鋼鉄の巨人。この湾岸の決戦都市において責任者である『エイル』博士が作り上げたデウスエクスと戦うための兵器。
 だが、その『セラフィム』もデウスエクスの張り巡らせた魔術障壁の前に動力のエネルギーを吸い上げられ、かく座し、これをたやすく撃破されてしまった。
 前回もそうであったが、デウスエクスを前にして『セラフィム』が出来得ることは猟兵やケルベロスのサポート支援くらいなものであろう。
 とは言え、『エイル』博士がケルベロスや猟兵に頼らずともデウスエクスを撃退できるようにしたいと思う心はわからないでもない。
「まあねぇ、そういう罠がある、というのがわかったのは良いことですが」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』は前哨基地の眼前に転がる『セラフィム』の残骸を見やって息を吐き出す。

「……そのための消費が大きいんですよねー……」
「う……それを言われると、そのー」
 ホログラムの通信の先で『エイル』博士が肩を落としている。
 わからないでもない。
 自律型の機動兵器でもって『デウスエクス』を猟兵やケルベロスに先んじて倒す、消耗させることができたのならば、戦いに赴く彼らや自分の疲弊を防ぐことができる。
 疲弊が減るということは、生存する確率が跳ね上がるということだ。
 故に、その思いは否定できるものではないと理解し、『疾き者』は頭を振る。
「まあこの間、布とか譲って頂いた恩もありまうすのでー」
 これは謂わば、隣人を助けるための戦いであると、『疾き者』はユーベルコードによって己の四悪霊・『界』(シアクリョウ・サカイ)を発言させる。
 結界術や天候操作、生命力吸収と言った力を底上げするユーベルコード。

 これによって放たれうるのは悪霊としての呪詛。
 呪詛は魔術障壁にあたって霧散していく。
「ふむ、やはり呪詛でもエネルギーという概念であるのならば、これを霧散させますかー……」
 その有様に『疾き者』は一つ頷いて、呪詛をさらに噴出させていく。
 広がっていく呪詛は徐々に魔術障壁に霧散させられていくが、しかし、むさんしない場所がある。
 それは出入り口となる通路。
「つまり、此処が『それ』ということになりましょうー」
 目の前には呪詛を霧散させぬ空洞めいた光景。
 先んじた猟兵も見つけたことであるが、基地内部からデウスエクスが出撃するためにはエネルギーを奪う障壁に触れてはならない。
 しかし、この障壁を解除すれば敵に攻撃の隙を与えることになる。
 ならば、通用門のように障壁の力及ばぬ細工を施すのは道理と言えよう。これを『疾き者』は呪詛でもって障壁全体を包み込んで、切れ目めいた場所を探していたのだ。

 とは言え、それは通常では不可能であろう。
 前哨基地の全周全てを包み込む呪詛などあまりにも消費が大きい。故にユーベルコードで持って底上げしたのだ。
「とは言え、これが罠とは?」
「内部は入り組んでいるようですがー……まあ、規則的な迷路ですよね、これ」
 命令を確実に実行するデウスエクスの類がいるのならば、規則性をもたせた迷路などただの手順しかないだろう。
 それ故に、これ自体が罠であっても正しい規則性を見出すことができたのならば、ただの通路と変わらない。
「では、辿って参りましょうか」
『疾き者』は呪詛を満たしながら、迷宮の如き通路の先をゆく。
 その先にデウスエクスひしめく前哨基地がある。これを打倒できなければ、決戦都市は再び戦火に燃えることだろう。

 それをさせぬためにこそ『疾き者』たちはやってきたのだ。
 人と人とのつながりは大切にすべきだし、何より恩も感じている。それを返すために『疾き者』は次々と迷宮の如き障壁なき通路めいた道を急ぐのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】
えぇ……。
最近のエイルさん、ステラさんに甘くないですか?
いいんですよ、無理しなくて。赤と青が混じってても、紫とは限りませんし……。
やべー色なのは間違いないと思いますが!

そして、どうにもステラさんとは認識の差があるみたいですね?
わたしの演奏は光の奏魔法だと何度言えば……。

って、あれ?
それって、演奏していいってことですね!
楽器返してくれるんですね!

わっかりました!
わたしの演奏なら、必ずや心の扉を開いて見せますよ!

あ、ちなみにステラさんの叫びって、
いちばんダメージ負うのエイルさんだと思うんですよね。
あれ、もすこしソフトに痛ぁ!?

は、はい。演奏します。
いっきますよー!(耳栓そっとかくして)


ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の! 香りがしまぁぁぁぁすっ!!
呼べば応えてくれるエイル様とか新鮮
エイル博士、赤と青が混ざった紫のメイドとかご入用ではありませんか!?
ええ、毎回聞いていこうと思っています
誰がやべーメイドですか

さて
ルクス様、|演奏《破壊工作》の出番ですよ
敵は防衛魔術を展開しています
対抗するには|奏魔法《触れたモノを破壊する音波》の使い手であるルクス様しか
え?私は後方から応援を
さっき叫びでダメージを与えてたんですが
お役に立てませんでした
さて
真面目にルクス様の演奏エネルギーを相殺できるモノがこの世に存在するとは思えません
クリティカルな一手だと思うのですが
問題は私たちの耳の方ですよねえ



 いつもの、と言えるほどにケルベロスディバイドの世界、湾岸の決戦都市の責任者『エイル』博士は経験を積んでいなかった。
 何の、と言われたのならば、答えはすぐにわかる。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りがしまぁぁぁぁすっ!!」
 これである。
 めちゃくちゃに叫んでいるステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の姿に、である。
「お、おおう? 私はそんなに臭うかい……? いや、ちゃんとシャワーも浴びているんだが」
「それとこれとは話は別でしょう! ああ! 呼べば答えてくれる『エイル』様とか新鮮!」
 ステラは感激していた。
 いつもは塩対応っていうか、そっけないっていうか、なんていうか。
 追えば遠ざかるみたいな感じだった己が『主人様』と呼んで止まない存在……なのかどうかはわからないが、まあ、ケルベロスディバイド世界に存在する『エイル』博士は、呼びかければホログラム通信越しではあるが、答えてくれるのだ。
 なんという至福。
「『エイル』博士、赤と青が混ざった紫のメイドとかご入用ではありませんか!?」
「え、いや、『第9号』くんがいるから、いいかな」
 さらっと断られてもステラはめげなかった。
 そう、毎回聞いていこうと思った。毎回毎回聞けば、いつかは答えてくれるかも知れない。いや、答えさせて見せる! とその意志が全身がからみなぎっていた。

「えぇ……どう考えてもやべーメイドじゃないですか」
 周知の事実である。
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)はそんなステラの様子にもドン引きしていたが、これもいつものことである。
「最近の『エイル』さん、ステラさんに甘くないですか?」
「最近も何も、出会ったばかりというか」
「いいんですよ、無理して相手しなくても。赤と青が混じっても、紫とは限りませんし‥…やべー色なのは間違いないと思いますが!」
「誰がやべーメイドですか」
 ステラの言葉にルクスは、えぇ……と改めてげんなりするのである。

 とは言え、こんなコントめいたことを続けている時間はないのである。
 そう、猟兵達はこれからデウスエクスの前哨基地を破壊しなければならない。だが、前哨基地を前に立ち塞がるのは防御魔術による魔術障壁である。
 不可視の障壁である上に、触れた者のエネルギーや生命力を吸い上げ霧散させてしまうという特性を持っているのだ。
 だが、ステラはたじろがない。
 なぜなら、こちらには最終兵器が居るのだ。
「さあ、ルクス様、|演奏《破壊工作》の出番ですよ」
「……どうにもステラさんとは認識の齟齬が在るみたいですね? わたしの演奏は光の奏魔法だと何度言えば……」
 そうなの?
「そうなの?」
 二重のツッコミである。『エイル』博士にとっては、ルクスの演奏は確かに魔法めいたものであったかもしれない。

 だが、ステラの鼓膜は幾度となく深刻なダメージを演奏によって受けてきたのである。だからこそ、わかる。
 体感したからこそ、あの演奏こそが魔術障壁に干渉できるはずだ、と。
「わかっております。|奏魔法《触れたものを破壊する音波》の遣い手であるルクス様しか対抗できません」
「……え、ていうことは演奏していいってことですね!」
「はい、存分に。私は広報から応援を」
「わっかりました! わたしの演奏なら、必ずや心の扉を開いてみせますよ!」
「あ、いや、魔術障壁をね、破ってほしいんだけど
『エイル』博士の冷静なツッコミにルクスは揺らぐことはなかった。
 演奏! 演奏ができるのである!

 なら、なんの問題もない!
「あ、ちなみにステラさん、さっきの叫びて一番ダメージ負うのって『エイル』さんだと思うんですよね」
「ダメージというか、なんか恥ずかしい。大声で名前を叫ばれるっていうのはね」
 ホログラム通信先であるけど、なんか耳にえらい響くし、と彼女は言う。
「叫びでダメージあるとは思いませんでした。自重しません」
「しましょうよ、そこは」
「いいから。はやく。勇者。約目でしょ」
 それはそうだけど、とルクスはステラにグイグイ背中を押されてしまう。

 このままだと普通に魔術障壁にぶつかってエネルギー吸い取られちゃう! と慌ててバイオリンを構える。
「それじゃあ、演奏しますよ!」
「あれ、私の耳栓知りませんか?」
「さあ?」
「Canon(カノン)――!」
 ルクスが耳栓隠したことは言うまでもない。
「え、待ってください、私の耳が」
 やばい、とステラが慌てる暇なくルクスの演奏が響き渡る。
 それは一気に、それこそ全周を巻き込む形で解き放たれる破壊魔法。あ、いや、破壊音波。いや、これも違うな。
 ええと、なんでしたっけ。
「奏魔法――!!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
…またセラフィムか
そしてエイル博士…か

「そっかー…この子達もメルシー達と一緒なんだねー☆」
…そういや神機シリーズもいろんな世界に沸いてやがったな!

(とりあえず機神搭乗

【情報収集・視力・戦闘知識・見切り・電撃】
確かダモクレスだったか…要は自律してるキャバリアか…?
「それは乱暴じゃないかなー?だけどメルシーはダモクレスなんかに負けないぞ☆」
突撃しねーからな!

結界とかふざけてるが…フィアのプレゼントで貰った刀…その力を試しますか
広範囲に電撃展開
霧散されていく電撃の中で切れ目があるかを分析
こういうタイプのバリアは完璧すぎるとコストがかかりすぎる…何処かに逃げ道を作るさ
捕捉時はUCで集中砲火で破壊



 数多の世界を見てきた。
 多くの戦乱に塗れる世界。銀河の海往く世界。大海そのものたる世界。
 数多の世界があり、そして、その数多に『セラフィム』という名の鋼鉄の巨人の姿が見受けられる。
 そのいくつかを目の当たりにしてきたカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、またか、と息を吐き出す。
「また『セラフィム』か。そして『エイル』博士……か」
『そっかー……この子達って、多くの世界にいるけど、それでも世界の一端でしかないんだねー☆』
『メルシー』の言葉にカシムは神機シリーズと呼ばれる鋼鉄の巨人たちのことを思い出す。
 あれらも同じく様々な世界に存在してた。
 無論、オブリビオンとして、であるが。

 だが、とカシムは『メルクリウス』のコクピットに座す。
「ケルベロスディバイドにおいては、『セラフィム』っていうのも、そう強力な兵器ってわけじゃあなさそーだな」
『けっこーやられてるよねー☆』
 前哨基地には猟兵やケルベロスに先んじて派遣されたであろう自律型戦術兵器である『セラフィム』の残骸が山積している。
「これをやったのは確かダモクレスだったか……要は自律してるキャバリアか……?」
『それは乱暴じゃないかなー? だけどメルシーはダモクレスなんかに負けないぞ☆』
「そういうこと聞いてるわけじゃーねーんだけどな。とは言え、突撃はなしだ」
 目の前にあるのは魔術障壁である。
 それはわかる。

 不可視であり、触れた者の動力や生命力を奪って霧散させてしまう性質がある。
「こういう結界っていうのはふざけてるが……」
 掲げた打刀より迸る雷撃が魔術障壁へと激突する。いや、障壁全体にほとばしっている。それは障壁全周を覆うものであり、また同時に切れ目を探すための方策でもあったのだ。
 破壊するためではない。
「なるほどな。こういうタイプのバリアは完璧すぎるとコストがかかりすぎる……逃げ道を作っているとは思っていたが、霧散させているように見せたのはブラフってやつか」
 カシムは笑む。
 己が放った雷撃。
 それは確かにエネルギーであり、魔術障壁の特性故に吸い上げられてしまう。
 だが、そのエネルギーの道筋をカシムは知ることができたのだ。

「循環させてやがる。敵のエネルギー攻撃を受け止めて循環させて、さらにこの障壁を維持するための動力としてやがったか」
 無駄がない、というより、こうしなければならないエネルギーの枯渇問題があるのだろう。なるほど、デウスエクスが地球侵略に躍起になるのもわかるものだとカシムは一つ頷く。
『ねー! なら後は、切れ目っていうか、つなぎ目っていうか、敵が出てくる通用門みたいな箇所に砲撃打ち込めばいいよね☆』
『メルシ-』の言葉と共に『メルクリウス』からウィザード・ミサイルが飛ぶ。
 それは魔法の矢。
 炎纏う矢はつなぎ目たる通用門めいた障壁の性質なき場所をこじ開けるように打ち込まれ、そのつなぎ目をさらに強引にこじ開け、『メルクリウス』は炎と共にデウスエクスの前哨基地へと迫るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皇・絶華
単独行動
(天より飛来する機神

うむ
私の元々いた場所とは名前こそ近いが…極めて別物だな
ポジション効果も…ヘリオンデバイスではなく本当に支援だし…これポジションの名前の意味あるのだろうか?
とはいえ頼るとしよう
クラッシャーだ
「またエクリプスとかいう生意気な野郎か…って主様!?此奴らセラフィムですよ!?なんでクロムキャバリアの奴がこんな所にいるんだ!?」
さっちゃんは知っているのか?
「何度か交戦した事があるんですよ…だが…確かに此奴らも微妙に俺らに近い気配はあった…此奴らも星の海から来たのか…?」
気になる事は多いが今は子の障壁を破壊するとしようか
…本来ならグラディウスを使って心からの叫びで破壊するのがセオリーだが…そういう訳にもいかないようだな
「いやグラディウスは彼奴らが扱ってるんじゃ…?」
何、さっちゃんの力なら壊せるだろう?
「!当然です!巨神の王にして時空を制する俺ならこの程度のバリアなんぞ!」
UC発動
【切断・浄化】
バリアの空間毎鎌剣による連続斬撃で切り刻み破壊する
「てめーらにやるENはねぇ!!」



 世界は一つではない。
 それを知るのは猟兵であるが故である。
 数多ある他世界。その一つに降り立つ機神たる連環神機『サートゥルヌス』と共に皇・絶華(影月・f40792)はケルベロスディバイドの世界へと降り立つ。
 見下ろす先にあるのはデウスエクスの前哨基地であろう。
 破壊された鋼鉄の巨人の躯が転がっている。
 同時に目の前に不可視の障壁が張り巡らされていることにも気がつく。
「うむ。私の元々いた場所とは名前こそ近いが……極めて別物だな」
 ケルベロスディバイド。
 その名前にある種の懐かしさを感じずにはイられないのかもしれない。

 己の知る世界とは多くの共通点が見受けられるが、しかし多くのことが違っていた。
「ポジション効果……ヘリオンデバイス……ただの支援というか、これポジションの名前の意味あるのだろうか?」
 とは言え、と活用できる力があるのならば、遠慮する必要はない。
「『決戦配備』、クラッシャーだ」
 そう告げられた湾岸の決戦都市の責任者『エイル』博士は頷く。突如として現れた機神めいた鋼鉄の巨人に動揺している暇はないのだ。

「わかった。だが、ええお、どうするつもりなんだい?」
「単純なことだ。障壁が阻むというのならば、これを切り裂くのみ」
『この気配……またエクリプスとかいう生意気な野郎か……』
 声が響く。
 この声が『サートゥルヌス』の自我が発したものであると理解できたのは、絶華だけであったことだろう。
『……って主様!? 此奴ら『セラフィム』ですよ!? なんでクロムキャバリアのやつがこんなところにいるんだ!? え、ていうか、なんか型式がおかしくない?」
「さっちゃんは知っているのか?」
『何度か交戦したことがあるんですよ……だが……此奴らも微妙に違う。星の海で遭遇した奴らとは違うのか……?』
 疑念が渦巻いていく。
 絶華は己の乗騎が何を知っているのかに興味はあるが、しかし、今は目の前の障壁をなんとかしなければならない。

「……本来ならグラディスを使って心からの叫びで破壊するのがセオリーだが……そういうわけにもいかないようだしな」
『いやグラディウスは彼奴らが扱ってるんじゃ……?』
「なくとも、さっちゃんの力なら壊せるだろう?」
 なら、問題はない、と言わんばかりの絶華の言葉に『サートゥルヌス』のアイセンサーが煌めく。
『当然です! 巨神の王にして時空を制する俺ならこの程度のバリアなんぞ!』
「なら、さっちゃん、お前の力を見せる時が来たぞ!」 
 煌めくアイセンサーの光はユーベルコードに昇華する。
 亜空間戦術級制圧機構『巨神の王』(キョジンゾクノオウ)としての力。飛翔する『サートゥルヌス』が構える鎌剣の剣閃の一撃が魔術障壁に激突する。

 火花が散る刹那すらない。
 それは次元転移による特殊機動であり、また同時に亜空間を切断する一撃であった。
 如何に魔術的な障壁がエネルギーを吸い上げるのだとしても。
 その鎌剣の一撃は障壁を切り裂く。
 刃の断面に纏った力場がエネルギーを吸い上げようとする力を切断しているのだ。
『てめーらにやるエネルギーはねぇ!!」
 叫ぶ『サートゥルヌス』。
 その裂帛たる気合めいた斬撃は障壁を切り裂き、こじ開けるようにして絶華は共にデウスエクスの前哨基地へと迫るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

んもーバカなのー?思いのほかバカなのー?

●一応は
おかげでボクの【第六感】に頼るまでもなくその結界の境界線はわかるけどさー
うんコスパ最悪って感じの風景だね!と残骸が並んでいる様を睥睨しよう

何もボクはいつも【第六感】に頼っているわけじゃないこうやって現物を見て情報収集をすることでその【第六感】の精度をあげているんだよ!
こう肌で感じる感覚的?空気的?なやつで!

そうやって精度を高めた【第六感】で基点の位置を感じ取ってUC『神罰』で強化した巨大[超重浮遊鉄球]くんを結界の外、上空真上からそこに落としてこう!
ドーーーーーンッ!!
まあこの子はそもそも生き物でも機械でも無いんだけど!



 博士、というのは当然賢い人のことを差すのだろう。
 けれど、ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)から見れば湾岸の決戦都市の責任者である『エイル』博士は思いの外に愚かしいなーと笑ってみていた。
『セラフィム』が魔術障壁にぶつかってネルギーを奪われ、機能停止に追いやられた所をデウスエクスに蹂躙された所なんかはコントめいていた。
 コントというのは、演じる者が真剣であれば真剣であるほどに面白みが増すものである。
 そういう意味では『エイル』博士にはコントの才能があるのかもしれないと思わないでもなかった。
「んもーバカなのー? 思いの外バカなのー?」
「やってみなくっちゃあわからないことだって世の中には往々にしてあるってもんでしょ!」
 ホログラムからの『エイル』博士の通信を受けてロニはケタケタ笑う。
「まーおかげでボクの第六感に頼るまでもなく、その結界の、ええと、障壁の境界線はわかるんだけどさー」
「そうだろうとも! ほら、無駄じゃない!」
「うんコスパ最悪の無駄じゃないって感じの風景だね!」
 見下ろす先にあるのは、『セラフィム』の残骸である。
 自律型の戦術兵器。
 その躯を晒す光景は、なんていうか、彼の言葉の通りコストパフォーマンスとしては最低の部類に入るだろう。

「あーもー! わかってるってば!」
「まあ、何にせよ待っておいでよ。あの基地をぶっ壊してくれたばいいんでしょうー?」
 ロニは集中する。
 己の第六感。
 現物を見ることによって情報を視覚から得る。聴覚から得る。触覚から、空気を、多く伝わるものを得て彼は第六感へと昇華した感覚を信じる。
「第六感というのは結局どういうものなんだい」
「言ってしまえば、肌で感じる感覚的? 空気的? なやつ!」
「余計にわからないんだが!」
「感じろっ! ってやつ!」
 その感覚はロニにしか理解できないものであったことだろう。
 言葉で説明するたびに嘘くさくなる。

 だから、示すしかないのだ。
「魔術障壁の起点は、やっぱりそこだ! 六芒星の形! その頂点が集まるのは、いつだって天頂だって相場が決まってるんだよね!」
 その言葉と共にロニが振り上げるのは、ユーベルコードによって巨大化した浮遊する鉄球めいた球体であった。
 前哨基地の遥か上空に存在する球体。
 そう、起点を破壊すれば、魔術障壁と言えど維持はできないだろう。
 故にロニは神罰(ゴッドパニッシュメント)たる一撃を叩き込む。
「ド――ンッ!!」
 放つ一撃はエネルギーでもなんでもない。

 ただの質量の塊である。
 故に魔術障壁は意味を成さない。
「この子はそもそも生き物でも機械でもなんでもない! だから、こうやってぶつければー!」
 魔術障壁をすり抜け、落ちるは前哨基地。
 その天井をぶち抜くようにして放たれた一撃が盛大な音をたて、猟兵たちに内部への突入を知らしめるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ユミルの子』

POW   :    感染拳撃
自身の【拳】を【病魔】化して攻撃し、ダメージと【侵食】の状態異常を与える。
SPD   :    苦痛の叫び
【病毒に爛れた喉】から大音量を放ち、聞こえる範囲の敵全員を【恐怖】状態にする。敵や反響物が多い程、威力が上昇する。
WIZ   :    肉片融合
全身を【自身の肉体から千切れた肉片】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:dys

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 不可視たる魔術障壁を突破した猟兵とケルベロスたちはデウスエクスの前哨基地へと突入する。
 猟兵の一撃によってきしむ前哨基地は神殿めいた様相を見せていた。
 あまりにも場違いな装飾めいた光景。
 柱にはデウスエクスの報じる神を模したかのような彫刻が華美に施されている。
 だが、その華美たる装飾とは裏腹にあふれかえるようにして飛び出してくるのは体高5mはあろうかという異形の巨人『ユミルの子』たちであった。
「あれはデウスエクスだ! あれが私の『セラフィム』をー!!」
『エイル』博士の怒り心頭な声がホログラム通信から聞こえる。
「いえ、どう考えても博士の考えなしの戦力ぶっぱのせい……」
「『第9号』くんは黙ってて!」
 確かに、と多くの猟兵たちは『第9号』の言葉に同意するだろう。あんまりにも考えなしの下策だったと。

 けれど、『エイル』博士はめげない。
「そんなこと後でいっぱい始末書書けば良いだけの話! 今はデウスエクスを倒すことに専念しなければ……! あの『ユミルの子』は雑兵みたいに数はいるが、その実、一体一体が強力なんだ! でなければ、如何に機能停止捺せられたとは言え『セラフィム』があんなに簡単に破壊されるわけが――」
 ない、と『エイル』博士が告げようとした瞬間、大挙として現れた『ユミルの子』たちの咆哮が轟く。
 それは痛みにあえぐでもなく、さりとて怒りに任せるでもない咆哮。
 そこにあったのは憎悪。
 生きとし生けるもの全てへの、その祝福を忘れた者に対する憎悪の咆哮が今、戦場に轟く。
「――ッ!!!!!!」
天道・あや
おお、こりゃまた大歓迎、満員御礼ってやつ?
ーーならアイドルとして応えないとね!

ユミルの子達よし! 博士達よし! そして、あたしよし!

んじゃま、行きまショータイム!


まずは相手の出方を伺う! という訳で相手の攻撃を避けたり、防いだりして【見切り、激痛耐性、ジャストガード、ダンス】

こりゃ実にパワフルで、デンジャラス!(成る程、これがデウスエクス。オブリビオンとはまたーー違う存在)

……とはいえ、どんな相手だろうと、あたしがやるべき事は一つ

皆が夢と未来を信じて進むための道を照らす、それだけ!

UC発動! ユミルジュニア達、あたしの歌を聴いていってね!(巨大なギターを弾いて、歌う)【歌唱、楽器演奏、情熱】



 突入したデウスエクスの前哨基地。
 言ってしまえば、これはライヴステージだと天道・あや( スタァーライト ・f12190)は感じたことだろう。
「おお、こりゃまた大歓迎、満員御礼ってやつ?」
 軽口めいた彼女のマイクパフォーマンスにデウスエクス『ユミルの子』たちは咆哮でもって応える。
 それは歓声と呼ぶにはあまりにも憎悪の色が強烈な声であった。
 いや、声と呼ぶこともできないだろう。
 そこにあるのは憎悪。
 祝福受けし生命に対する憎悪だけがこもっていた。
 飛び出すようにして迫る『ユミルの子』を前にして、あやは笑む。

「――なら、アイドルとして応えないとね!」
 彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
 SR-3-15 (ライブステージ・ギンガノハヨウソウビ)――それが彼女のライヴ衣装だった。
 銀河の果てまで歌う。歌おうぜ、と叫ぶ心がある。
 それを表現したかのようなライブ衣装が翻る。振り下ろさんとしている『ユミルの子』たちの拳をあやは見ただろう。
「『ユミルの子』よし! 博士達よし!」
「言ってる場合か! 来てるぞ!」
『エイル』博士の叫びもなんおその。あやの顔に浮かぶのはとびっきりの笑顔だった。
「そして、あたしよし! んじゃま、行きまショータイム!」
 その言葉と共に響き渡るは轟音。

 否、それは巨大なスピーカーから放たれる大音量たる音楽。
 そう、あやはアイドルだ。
 振るわれる拳なんて、ダンスのステップで躱せる。
「おう、こりゃ実にパワフルで、デンジャラス!」
 確かに、と思う。
 これがデウスエクス。拳に乗る憎悪は容易に躱したあやのいた場所を砕き切るだろう。何たる力であろうか。
 憎悪溢れる感情が波のように、あやに迫りくる。
 過去の化身であるオブリビオンともまた違う存在であると理解するだろう。

「――ッ!!!」
「熱狂的だね! そこまでの感情! その強烈さ! あたしにぶつけたいって気持ち、伝わってくるよ! でもね!」
 そう、あやには変わらないものがある。
 どんな相手であろうと己がすべきことは唯一つである。
「皆が夢と未来を信じて進むための道を照らす、それだけ! だから、一緒に見ようか! 天を超え、星をも越えたその先まで! 星天超あや、行くぜ!」
 その言葉と共に放たれる夢と未来は素晴らしいと信じる気持ちを高ぶらせる。
 どれだけ強靭な『ユミルの子』の拳が己に迫るのだとしても、己の心に揺らぐものはない。何一つないのだ。
 故に彼女は巨大なギターを振りかぶる。

 爪弾く、というよりかき鳴らす、という表現がしっくりくるギタープレイ。
 旋律は走り抜け、その音は一気に『ユミルの子』たちの巨体を吹き飛ばすだろう。
「ユミルジュニア達、あたしの歌を聴いて。そして憎悪だけに染まった心に何か一点でも残るものがあるのなら! それが!」
「これが……! これが歌か!」
『エイル』博士が目を見開く。
 響き渡る歌。それはあやの歌声であり、この世界のものではない。世俗も文化も異なる世界の歌。
 それでも、心の中に訴えかけられるものがあると『エイル』博士は心で理解したのだ。

「そう、これが夢! これが未来! これが最高だって信じる気持ちさえあれば、何処にも敵なんていないんだよ!」
 あやの歌声が前哨基地に響き渡る。
 旋律と魂揺さぶる声は、『ユミルの子』たちの足を止めさせ、あやの情熱によって照らされ、瓦解していくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サマエル・マーシャー
幾度目かの性能試験。行きますよ、|サイバー・アスモデウス《私》。
(アイテム『サイバー・アスモデウス』をUC『サイバー・アスモデウス』で召喚)
(本来必要な交渉は召喚前からアイテム『霊的サイバースペース』内で愛に侵し続けることにより省略。|交渉《洗脳》済。)

敵が心を持つ生物であるのはやりやすいですね。
心身を操る淫欲の術にも効果が見込めます。動きを鈍らせるぐらいはできるでしょう。そこに世界を焼く獄炎を叩き込みます。肉片すら焼き切ってしまえばバフもできないでしょう。

憎しみ続けるのは疲れませんか?苦痛ではありませんか?
私たちがあなたたちをその苦しみから解放して差し上げます。

私も、それは捨てましたから。



 デウスエクスの前哨基地に至った猟兵たちは次々と現れる、デウスエクス『ユミルの子』らと対峙する。
 その有様は酷いものであった。
 劣悪なる体躯。
 それをつなぎ合わせる肉片と骨。
 異形と呼ぶに相応しい姿であったし、それが本来ならば存在するであろう祝福を奪われたことを示すには十分な材料であった。
「幾度目かの性能試験。行きますよ、|サイバー・アスモデウス《私》」
 サマエル・マーシャー(電脳異端天使・f40407)の瞳がユーベルコードに輝く。
 同時に彼女の内面である霊的サイバースペースから現れるのは『サイバー・アスモデウス』と呼ばれるジャイアントキャバリアに分類される機体であった。
 本来であれば召喚に必要な交渉をしなければならない。
 だが、サマエルは、すでに己の霊的サイバースペースにて『サイバー・アスモデウス』を愛で浸し続けることによって省略しているのだ。
 交渉とは即ち『洗脳』である。

 いや、サマエルの言葉を借りるのならば、それはきっと愛。
 無限に溢れ出すサマエルの愛によって『サイバー・アスモデウス』は従うのだろう。
「敵が心を持つ生物であるのはやりやすいですね」
「そうかね。私はそうは思えないのだが」
『ユミルの子』の咆哮は憎悪しか感じられない。
 それ以外の全てをなくしたかのような咆哮。それを聞き、ホログラム通信の『エイル』博士は疑問に思うようだった。
 だが、サマエルにとっては憎悪も感情の一つである。
 そして、それしか持ち合わせていないのだとしても、サマエルには『ユミルの子』さえも救うに値する存在に思えるのだ。
 人類救済を謳ったジョークプログラム。
 さりとて、サマエルの在り方は冗談でもなければ……そう、奇跡か悪夢か。そのいずれかであろう。

 今の彼女は猟兵としての力を得た『救世主らしき何か』である。
 例え、その先に救いがないのだとしても、それでも救うという意志だけがサマエルを突き動かす。
「心身を支配する淫欲の術と世界を焼く獄炎……あなたたちはどちらがいいですか?」
『サイバー・アスモデウス』の術が走る。
 戦場に迫る『ユミルの子』たちの憎悪を前にして、淫欲の術は効きが悪いだろう。いや、だが、僅かでも『ユミルの子』たちの動きが鈍るのならば問題はない。
 放たれる世界を焼く獄炎が『ユミルの子』たちの体を焼く。
 異形たる肉体は、その傷口を埋めようとするだろう。
 だが、焼き切るかのような獄炎の勢いは止まらない。
「――ッ!!!!」
 咆哮がまた聞こえる。

 それを聞いたサマエルは心に何一つ去来するものがないことを知る。
 彼らの憎悪は、きっと。
「憎しみ続けるのは疲れませんか? 苦痛ではありませんか?」
 答えは無い。
 知っているはずだった。救済を求める声に応じるのが己である。いや、違う。救いを求めていなくても救うのが己だ。
 生来持ったであろう性根。
 それが加速していく。

 憎悪の根源は苦しみと痛みだ。
 故に『ユミルの子』たちが咆哮し続けているのは、痛みと苦しみを齎すものがあるからだ。
 故にサマエルは救うと決めた。
「私達があなたたちのその苦しみから開放して差し上げます」
 獄炎が戦場に吹き荒れ、『ユミルの子』たちの体を焼き切っていく。走る『サイバー・アスモデウス』は『ユミルの子』たちを寄せ付けない。
 傷を覆う肉片すら焼き切ってしまう彼女の炎は、『ユミルの子』たちにとって相性が最悪であるとも言えるだろう。
「――ッ!!!」
「ええ、いいのです。吐き出せば。吐き出すことは、捨てるということ。私も」
 サマエルは呟く。
 獄炎揺らめく向こう側に見る彼女の瞳は揺れることも潤むこともなく、ただつるりとした眼球を示すのみ。
 そう、吐き出して、吐き出し続けた後……人は救済される。つまり、それは。
「私も、それは捨てましたから」
 救済に憎悪は不要。
 故に、と、サマエルは憎悪たる感情を捨てたのだと『ユミルの子』たちの躯体を焼き切りながら、炎の中に佇むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イリスフィーナ・シェフィールド
見るからに危ない見た目していますわね。
何はともあれ尊いぎせいとなったセラフィム達の仇討ちと参りますか。

引き続きオーバー・ドライブ状態。
拳を受け止めると、む、何かゾワゾワしますわ。
ダメージはとりあえず無視できますがあまり受けない方が良さそうですわね。
避けるの重点で気を付けて戦いましょう。

飛び上がったところを狙えると打った拳を
尻尾巻き付けて避けたところに一撃したり。

この姿になるとちょっと荒っぽくなりますの。
やり過ぎてしまうかもしれませんけどごめん遊ばせ。



 咆哮が轟く。
 憎悪満ちた咆哮。あらゆる生命を憎むかのような咆哮をデウスエクス『ユミルの子』は上げていた。
 祝福なき存在。
 その異形たる肉体は、どこもかしこも爛れているように見えるし、また骨が見えているようにも思えた。流動的であるとも言えたことだろう。
 筋繊維の全てが腐り落ちては、また元に戻るのを繰り返すような姿。
「――!!!!」
 声無き咆哮から憎悪を感じることしかできない。
 意思などなく。
 ただ破壊を齎すためだけの存在。

 イリスフィーナ・シェフィールド(相互扶助のスーパーヒロイン・f39772)は己へと振るわれる拳を受け止める。 
 ぞわりと体の中を這うような気色の悪さを覚える。
 それは拳を病魔と化した『ユミルの子』のユーベルコードであった。
 しかし、オーバー・ドライブによおってあらゆる負傷や致命傷といったものを無効化しているイリスフィーナには影響を及ぼすことはなかった。
「うっ、なんだか体がゾワゾワしますわ……」
 見るからに危うい姿をしている『ユミルの子』。
 彼らの感情は憎悪一色である。生命あるものを全て滅ぼすと言わんばかりの攻撃的な衝動は、その迫りくる拳の強烈さを見ればわかる。
 オーバー・ドライブで負傷を無効化しているからこそ、今立っていられるのだ。

「病魔だ……! 病気の根源! 今、君はそれを受けたんだぞ!」
『エイル』博士の言葉にイリスフィーナは頷く。
 確かにぞ割とした感触があった。
 だが、イリスフィーナは頭を振る。
「なんてことはございませんわ! 尊い犠牲となった『セラフィム』達の仇討ちなのですから!」
「そんなのはいいってば! あれは作り直せばいいんだから!」
「それくらいの気概なくば敵は打ち倒せませんわっ!」
 イリスフィーナの体が黄金のオーラに包まれる。
 吹き荒れる力の奔流。
 迫る『ユミルの子』の拳の一撃を今度は受け止めるのではなく、交わす。

「強力な一撃でも当たらなければ意味がないということですわっ!」
 だが、打ち込まれた拳の衝撃は凄まじい。
 衝撃波が荒び、大地が砕ける。その衝撃にイリスフィーナは飛び、交わすが、その飛び上がった瞬間こそ隙であるというように『ユミルの子』の拳が迫る。
「単純ですわね! だからこそ、読み切れるというものっ!」
 迫る拳に尻尾を巻き付け、くるりと空中で方向転換し、一気に『ユミルの子』との距離を詰めるイリスフィーナ。
「尻尾を使った!?」
「伊達にこんな姿はしておりませんのよっ!」
 衣装が変わったこと、姿が変わったこと、それらの全てを駆使してイリスフィーナは戦う。

 躱した一撃のままにカウンターたる拳を『ユミルの子』胴へと打ち込む。
 巨大な穴が開くようにして穿たれた『ユミルの子』の巨体が傾ぎ、地面へと崩れ落ちる。
「なんだか荒っぽくなってやしないかい」
「ええ、この姿になるとどうにも気性が荒くなるといいますか。やり過ぎ、とあらば御免遊ばせ」
 そういって、イリスフィーナは妖艶に笑む。
 真の姿。
 その赤き角と黒翼、そして悪魔の尻尾を持つ蠱惑的な姿をした彼女は通信先の『エイル』博士にほほえみ、己はさらに迫る『ユミルの子』を拳で持って盛大に吹き飛ばすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
さあ…『エイル』博士が安心して始末者の山に埋もれる事が出来るように頑張るか…
…ところで今更聞くんだけどあの雑突撃で20%の勝利が約束されてたってマジ?

ユミルの子の攻撃は術式組紐【アリアドネ】で構築した結界で防ぐとして…
…ふむ…自分の肉片で傷口を覆って戦闘力を増強するのか…なんか質量保存とかその辺りの法則に喧嘩売ってそうな気配あるけど今更だな…
ならば対応はこれだね【尽きる事なき暴食の大火】を発動……
戦闘の合間で飛び散った肉片を含めて全てユミルの子に延焼させて燃やせば関係無いね…
…病毒もありそうだから復元浄化術式【ハラエド】による浄化の力を白い炎に付与して浄化を一緒に行ってしまおう…



 デウスエクスの前哨基地へと突入したメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は響く『ユミルの子』の憎悪の咆哮を聞く。
 彼女は憎悪の咆哮を前にしてもいつもの表情を崩すことはなかった。
「さあ……『エイル』博士が安心して始末書の山に埋もれることができるように頑張るか……」
「いやさぁ! 現実逃避くらいさせてくれないかなぁ!」
『エイル』博士の悲痛な叫びにメンカルは真面目な顔をして告げる。
「……ところで今更聞くんだけど、あの雑突撃で20%の勝利が約束されてたってマジ?」
「あんなチートな魔術障壁あるとは思ってなかったんだよ! 物量でゴリ押しできると思ってたし!」
 その言葉はメンカルは『セラフィム』の戦術兵器としてのスペックの高さを知る。
 確かにこの湾岸の決戦都市の『決戦配備』は全て『セラフィム』が行っている。その汎用性を考えるのならば、確かに二割ほどは勝利が見込めたのもわからないんでもない。
 だが、不確定な要素に、その二割すら食われてしまったのでは意味がない。

「……のんびり雑談している場合でもないか」
「――ッ!!」
 咆哮と共に迫る『ユミルの子』は巨人めいた体躯を持っていた。
 しかし、その体躯の殆どはツギハギであり、腐り落ちるようであり、その多くが異形としての姿を保つにとどまっていた。
 まるで自らの肉体を肉片でもってつなぎ合わせていく怪物めいた様相。
 メンカルに振り下ろされた拳の一撃を彼女は術式組紐『アリアドネ』でもって受け止めながら見据える。
「……なんか質量保存とかその当たりの法則に喧嘩を売ってそうな気配あるけど、今更だな……」
 でもまあ、とメンカルの瞳がユーベルコードに輝く。
 彼女の手のひらに浮かぶは白き炎。

 それは、 尽きる事なき暴食の大火(グラトニー・フレイム)。
 いかなるものも燃料にする白色の炎は、彼女の手のひらから離れ、『ユミルの子』へと走る。
「――ッ!!!」
 憎悪に塗れた咆哮は、あらゆるものを燃やす炎を前にしても変わらない。
 己が拳を燃やす炎を打ち消さんと大地に叩きつけられてなお、それでも炎は消えない。傷口を覆う肉片も、塞ぐ端から炎が立ち上がっていくのだ。
「……無駄だよ。それは貪欲なる炎。灯れば、尽きるまで消える。存在すらも焼く炎なのだから……」
「存在そのものを燃やすか、だが気をつけたまえ!『ユミルの子』はその肉体に病魔を宿している!」
『エイル』博士の言葉にメンカルは頷く。
「浄化術式でどうにか……」
「いや、それは病魔呪術に秀でたウィッチドクターでなければ無理だ! 今は……!」
「……大元である『ユミルの子』を叩くしかない、というわけだ」
「そういうことだ!」
「なら、任せておいて欲しい……暴食の大火に際限はない」

 メンカルの言葉と共に白き炎は次々と分裂していき、更に『ユミルの子』たちへと燃焼していく。
 燃えながらも拳を振るうことをやめない『ユミルの子』を前にメンカルは術式組紐『アリアドネ』で生み出した結界で攻撃を防ぎながら基地内部を走り抜ける。
 華美なる装飾。
 まるで神殿めいた場所であると知れるだろう。
「この奥に基地を作っているデウスエクスがいるとして……これは」
「恐らく黄道神ゾディアック、だろうね。前回の敵もそうであったが……」
「……どの道、送り込まれるデウスエクスを打倒していくしかない、ということ……」
 思索をめぐらしながら、メンカルは『エイル』博士の言葉に頷き、手繰る白色の炎と共に『ユミルの子』たちの存在を憎悪ごと燃やしていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
さっきはまずったわ。名誉回復しないとね。

「全力魔法」「精神攻撃」「範囲攻撃」で、落魂陣の呪符を前面に展開。
獣の相手をする時は魂魄を狙うに限るってね。
「レーザー射撃」と同等の「弾幕」、避けきれるかしら?

落魂陣の前には出ない、突破しようとする奴がいれば集中攻撃で落とす。今回はそれを徹底するわ。

敵の攻撃は喚び出した『鎧装豪腕』で「受け流し」、万一に備えて「呪詛耐性」を乗せた「オーラ防御」を展開して。
背後を取られないよう、柱でも背にしておきましょう。

『ユミルの子』たち、削れてきたかしら? 落魂陣の攻撃は無作為の弾幕にしてあるから、避けづらいはずだけど。
まあ、腰を据えて持久戦と行きましょう。



 魔術障壁。
 それはユーベルコードではなかった。恐らくデウスエクスが用いるユーベルコードとは別の魔術なのだろう。
 故に村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は先程の己を恥じるようであった。
 だが、恥じるだけであったのならば、彼女は凡百そのものであったことだろう。
「さっくはまずったわ。名誉回復しないとね」
 彼女はすぐに立ち直っていた。
 失敗は失敗。
 もしも、成功と失敗とを分かつものがあるのだとして、失敗を得たものは失うことを示すものであっただろうか。
 答えは否である。
 失敗からこそ多くを学ぶことができるのだ。

 ならばこそ、ゆかりは即座に動く。
「切り替えが速いのは良いことだよ」
『エイル』博士の通信にゆかりは笑む。
「褒めてもらって嬉しいけれど、そういうのは此処を切り抜けた後よね!」
 迫るデウスエクスの群れ、『ユミルの子』たちは巨人たる姿を持っている。
 それも肉片や骨片をつなぎ合わせたかのような異形なる姿。その姿を認め、ゆかりは己の瞳をユーベルコードに輝かせる。
「――ッ!!!」
 憎悪の咆哮を聞く。
 強烈なりし生命に対する憎悪。
 その憎悪を前にしてゆかりはたじろぐことなく、手にした呪符を空中に展開する。

 壁のように広がる呪符から放たれるは光線。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。心身支える三魂七魄の悉くを解きほぐし、天上天下へと帰らしめん。疾!」
 煌めく光線はユーベルコードとなって『ユミルの子』たちへと放たれる。
 病魔を宿した拳の一撃と光線が激突する。
「獣の相手をする時は、落魂陣(ラッコンジン)で十分! 突っ込んでくるだけだっていうのなら、光線の弾幕の餌食になるだけよ!」
 それでも『ユミルの子』たちは構わずに迫りくる。
 魂魄を吹き飛ばす呪詛。
 それは彼らの持つ憎悪と拮抗するものであった。肉体ではなく、魂魄、即ち魂たるを攻撃するユーベルコードは、彼らの憎悪をこそ打ち据えるであろう。

「――ッ!!」
「あら、それでも動いてくるのね」
 その一撃を『鎧装剛腕』でもって受け流しながら、迫る病魔の気配をゆかりは感じ取る。
 病魔。
 それはウィッチドクターによる病魔呪術によって打倒されることによって霧散するものである。
 ゆかりは病魔の恐ろしさを知る。
 呪術的なものであっても、そうでなくても、病である以上病魔というものは侵食してくるのである。
 あの一撃を受けてはならない。
 背後を取られぬように基地内部の柱を背にしながら、全面に張り出した呪符より光線を放ち続ける。

「馬鹿の一つ覚えで突っ込んでくるだけだけど、圧が凄まじいわね」
「これがデウスエクスの怖いところだ。滅ぼせないが故に、恐れからは程遠い。故に突っ込んでくるんだ。例え己の身が打倒されるのだとしてもね」
「なるほどね。そういう意味では厄介…‥けど、持久戦ってことなら、あたしに分があるというものよね!」
 ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
 己が得た失敗は、次に活かす。
 そのために己ができることを成し遂げる。その強固な意思こそが己の武器であると示すように、ゆかりは光線の乱舞と共に戦場を支える礎となるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トーヴァ・バリストロム
クラッシャー…!
今こそ|決戦配備《ポジション・クラッシャー》で名誉挽回のチャンスですよ博士…!
あのデカくて怖くて逆恨み激しそうな巨人たちに、|正義《セラフィム》の鉄槌よろしくです…!
っていうかぶっちゃけ私潰されそうで怖くて近寄りたくないので前衛を押し付けさせてください…!

そんなわけで取っ組み合いの喧嘩はお任せしつつ、私は空中浮遊します。
そのまま頭上からウィザード・ミサイルを放ち、敵を燃やします。
病魔とか肉片の鎧とか、色々厄介な相手みたいですが…
焼いてしまえば、どちらも効果が発揮しにくいでしょう。
逆にセラフィムは燃えても平気なはず…
むしろ武器を焼き鏝にするとか、いい感じに利用してくれるはず…!



「|『決戦配備』《クラッシャー》……! 今こそ名誉挽回のチャンスですよ、博士……!」
「わかっているとも! 要請に応じよう。なけなしの『セラフィム』だ! 有効的に使っておくれよ!」
 トーヴァ・バリストロム(光魔術師・f41134)の通信を受けた『エイル』博士は決戦都市から『セラフィム』を射出する。
 弾道ミサイルのようなポッドが空中を飛び、トーヴァの眼前に射出された攻撃力支援である『セラフィム』が、その赤と青の装甲に彩られた鋼鉄の体躯を立ち上がらせる。
「言っておくけど、以前から改良は重ねている。確かに『ユミルの子』とは恐らく互角だ。魔術障壁にさえ触れなければ、負けることはなかったはずなんだ!」
「なら、頼みます! あのデカくて怖くて逆恨み激しそうな巨人たちに、|正義《セラフィム》の鉄槌よろしくです……!」
 トーヴァの言葉に応えるように自律型戦術兵器である『セラフィム』のジェネレーターが応えるようにして戦場へと飛び出す。

 対する異形の巨人『ユミルの子』は憎悪の咆哮を轟かせる。
 生命に対する憎悪。
 ただそれだけのために『ユミルの子』たちは一斉にトーヴァと『セラフィム』へと襲いかかる。
 赤と青の装甲が展開し、『ユミルの子』の一撃を受け止め、返すようにプラズマブレイドの一撃が『ユミルの子』の腕部を切り裂く。
「……やった! でも……!」
 トーヴァの目の前で腕を切断された『ユミルの子』の腕部が肉片で持って即座に再生する。
 あれこそが『ユミルの子』たちのユーベルコードなのだろう。
「再生するか! どうする、トーヴァくん!」
「いや、ぶっちゃけ私潰されそうで怖くて近寄りたくないので前衛を押し付けただけっていうか……!」
「『セラフィム』の、ポジションの使い方としては正しいのだけれど、そんな及び腰で大丈夫かね!?」
「取っ組み合いが怖いってだけです! 私は!」
 トーヴァは空中に浮遊する。

 戦場を俯瞰して見るために必要だったのだ。
 確かに『ユミルの子』の数は膨大だ。そして『セラフィム』は僅かに一体。他の『決戦配備』のために回す余力を遺しているのだろう。
 彼女の狙い通り、一体でも何とか『ユミルの子』たちの攻撃をトーヴァに届かせないくらいの役割は果たしてくれている。
「上から見れば、まるわかりです。それに病魔とか肉片の鎧とか、厄介な機能がたくさんあっても!」
 ユーベルコードに輝くトーヴァの瞳。
 ウィザード・ミサイルが『ユミルの子』たちの頭上から放たれる。それは炎の属性を持つ魔法の矢。

 雨のように降り注ぐ百を超える魔法の矢は次々と『ユミルの子』たちを射抜き、その異形たる体躯を燃やしていくのだ。
「病魔も肉片も燃やしてしまえばいいのです。逆に『セラフィム』なら!」
 炎は肉片を焼く。
 だが、鋼鉄の躯体持つ『セラフィム』ならば炎をものともしない。
 その言葉通り、炎を纏いながら『セラフィム』のプラズマブレイドの一撃が『ユミルの子』の躯体を一刀両断にしてみせるのだ。
「あの異形の肉片を焼き鰻にしちゃえばいいんです!」
「なんか食欲わかない光景だけどね」
「そんな感じでいい具合に『セラフィム』が頑張ってくれるって信じてますから! 私はその手伝いです!」
 トーヴァは己が近接戦闘に向かぬことを知っている。

 けれど、向いていないからといって立ち向かわぬ理由にはなっていない。
 それを示すようにトーヴァは懸命に魔法の矢を降り注がせ、『ユミルの子』たちを『セラフィム』と連携することによって撃退していくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
…あれが「ユミルの子」?……単に装甲化されてないというより、なんていうか、ジャイアントキャバリアとは全然別の存在のように感じるのだけど

引き続きアルカレクスで。
相手は多分直接打撃型、相手の動きに『Eフィールド』を合わせて展開し攻撃を防ぎ、
接近を許した場合は『ストライクスマッシャー』のドリルで中枢フレーム……骨格というべきかしら、そこを狙うわ

敵のUCの性質上、中途半端な攻撃は逆効果、なら……大火力で一気に焼くしかない
空中へと飛翔し距離を取り……敵集団をフィールドで拘束してUCを!反動は甘んじて受け、威力重視で!!
ドラグカプト全展開、エネルギー収束……全て焼き尽くしなさい、【ドラグラディウス】!!



 多くの猟兵が感じた違和感。
 それはデウスエクス『ユミルの子』の名を知った時であった。
「……あれが『ユミルの子』?」
 アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)にとっては『ユミルの子』とはジャイアントキャバリアの素体となるもの。プラントより時折生み出される脳無き巨人である。
「――ッ!!!」
 生命への憎悪満ちる咆哮を聞き、アルカは訝しむ。
 単に装甲化が施されていないというだけではない。むしろ、彼女の知るジャイアントキャバリアとは書け放たれた別の存在のように感じる。
 脳無き『ユミルの子』は人が乗り込むことによって動く。
 だが、目の前の『ユミルの子』はデウスエクス。
 憎悪という感情一色に染まりきった彼らは生命である己達に牙を向くように襲いかかってくるのだ。

 機龍と合体した己のキャバリア『アルカレクス・ドラグソリス』がエネルギーフィールドでもって振るわれる拳の一撃を受け止める。
 あれを近づけさせてはならないと本能的に理解しているのだ。
「あの拳には病魔が宿っている! 汚染されればウィッチドクターの病魔呪術でなければ治らないぞ!」
『エイル』博士の通信にアルカは頷く。
 防いだ一撃にエネルギーを回転させた衝角の拳の一撃を叩き込む。
 抉るようにして放たれた一撃は『ユミルの子』の躯体を貫く。だが、貫き、大穴をうがったにも関わらず『ユミルの子』たちは肉片でもって穴を塞ぐのだ。

「骨格を狙ってもお構いなし、ということ……!」
「中途半端なこうげきは『ユミルの子』のユーベルコードで持って塞がれてしまう!」
「なら……大火力で一気に焼く!」
 アルカの瞳がユーベルコードに輝くのと同時に『アルカレクス・ドラグソリス』のアイセンサーが煌めく。
 機体から四つのドラグカプトが展開し、その開かれた顎、口腔より放たれるは殲滅の光。交錯するようにして放たれ熱線めいた光は、『ユミルの子』たちを巻き込みながら、その躯体を切り裂く。
 そして、次の瞬間、彼らの周囲は凄まじい熱量放つ爆発でもって燃え上がるのだ。
「一気に仕留めさせてもらうわ……!」
 爆発炎上する戦場。
 凄まじい熱量が吹き荒れ、『ユミルの子』たちの躯体を焼滅していく。

「なんていう熱量だい……!」
「これがドラグカプトの出力……エネルギーを収束させれば……!」
 全てを焼き尽くすのが、ドラグラディウスである。
 滅びの剣たる熱線の一撃を解き放ちながら『アルカレクス・ドラグソリス』は基地内部を走るようにして飛ぶ。
 焼き滅ぼす『ユミルの子』たちの憎悪の咆哮が未だに聞こえる。
 あれらは何をそんなに憎んでいるのか。
 祝福無き子ら。
 彼らは生命の全てを憎む。
 クロムキャバリアで見た『ユミルの子』、ジャイアントキャバリアの素体は、ああではなかった。
 あれとデウスエクスである『ユミルの子』を隔てるのは何か。
 それを思いながら、アルカはこの前哨基地を支配するデウスエクスへと至らんと熱線を放ちながら飛ぶのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクトリア・ノウェム
うぇ……なんだか不健康そうな敵、です
あと博士はもうちょっと生き方考えた方がいいです……まさか借金とかないです?

空に攻撃できなさそうな外見してるけど、戦闘力強化で空中まで食い下がられてもはっきり言って面倒、です
だから、先手必勝、エル・セプス推力全開で一気に距離を詰めて、エル・セプスパンチもとい【エレメンタルバンカー・F】を叩き込んでそのまま離脱する、です!

これで
強化度依存の燃焼ダメージ
→負傷に応じ戦闘力増強
→強化に応じ燃焼力も増強……
と悪循環、です……!!

後は飛空艇形態に変形し空中からDアヴェンジャーでの機銃掃射、ガム弾のべたべたで装甲とか足をくっつけてやる、です…!そこで燃えてろ、です



 壮麗で華美たるデウスエクスの前哨基地の内部とは裏腹なるデウスエクス『ユミルの子』たちの姿。
 それはあまりにも醜悪と言える異形たる姿だったことだろう。
 蠢くような肉片。
 骨片は歪み、それでも憎悪の咆哮だけが轟いている。
「――ッ!!!」
 きしむような音を立てながら『ユミルの子』たちは、ただ只管に生命に対する憎悪を撒き散らすばかりであった。

「うぇ……なんだか不健康そうな敵、です」
 ヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)は飛空艇である『エル・セプス』を駆りながら迫る『ユミルの子』たちを見下ろす。
 あの様子では地上戦用であろうか。
 空を飛ぶヴィクトリアには攻撃は届かないかもしれない。
 いや、油断はできない。
「……! 肉片を伸ばして……いや、これは……自分の腕、です!?」
『ユミルの子』の拳が放たれる。
 それは空中にあるヴィクトリアには届かない。けれど、次の瞬間、ヴィクトリアの眼前には『ユミルの子』の拳があった。

 それを既のところで躱し、ヴィクトリアは目を見張る。
『ユミルの子』たちは空中にある自分に対して己の『腕』そのものを飛ばしてきたのだ。引きちぎれた腕部に肉片が蠢き、塞ぎ、さらに膨れ上がるようにして腕部が形成されていく。
「はっきりいって、面倒、です」
 先手を取られはしたものの、ヴィクトリアの反応は早かった。
 敵が距離を関係なく攻撃してくるというのならば、その距離を詰めるのが己である。『エル・セプス』の天使核がうなりを上げるようにして出力を上げ、一気に『ユミルの子』の懐へと飛び込んでいく。

「鎧装形態、です!」
 騎乗していた『エル・セプス』がヴィクトリアの体に纏うように、それこそ……。
「ビーグルからパワードスーツに変形するのか!」
「そう、です! これで……『エル・セプス』パンチもといエレメンタルバンカー・F(エレメンタルバンカー・フレイム)、です!」
 どんな守りがあろうと、撃ち抜いて燃やす。
 それが『エル・セプス』の腕部に籠められた炎の精霊力による一撃。
 例え、『ユミルの子』が肉片と憎悪による肉体の教科を得ているのだとしても、それこそが彼女のユーベルコードの餌食である。

「――ッ!!!」
 燃える。
『ユミルの子』の肉体が燃えていく。
 肉片でもって塞いだ傷口も……いや、傷口こそ盛大に燃え上がるのだ。それこそがヴィクトリアのユーベルコードの力である。
 彼女のユーベルコードは、強化された存在こそ盛大に炎の精霊の力によって延焼させる力を有している。
 彼女の前で強化するということは、食い物にされる、ということでしかない。
 ヴィクトリアは鎧装形態から飛空艇形態へと移行した『エル・セプス』と共に一撃離脱の後、機銃の掃射でもって『ユミルの子』たちをガム弾でもって、その場に縫い留める。
 動けない。
 咆哮だけが響き渡る。

 動けず、さりとて肉片でもって傷を覆うのだとしても、炎の精霊はそれを許さない。
 ただ燃える。燃え尽きるまで燃えるしか無い『ユミルの子』達を尻目にヴィクトリアは前哨基地の中枢を目指して飛ぶ。
「そこで燃えてろ、です――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

わたしにはよくわからないのですけど、
ステラさんの話を聞いていると、『エイル』さまが溢れすぎてませんか?

ところでわたしとしては、
エイル博士の白衣はベーシックな大学白衣でいてほしいんですけど!

え、演奏禁止!?
わたしの存在意義はー!?
それにさすがに気合いでソナーレは動かないですよ!

って、ここで来ますか!?
途中で来ると、ヤバさが倍々ゲームで増していくんですけど!

あとやっぱりその叫び、『エイル』博士に精神ダメージだと思うんですよね。
ほら、なんかちょっと照れてるじゃないですか。

それはいいとしてー……演奏禁止だとどうしましょう。

とりあえず氷とか撒いておくくらいしかできないんですよね。
えい。


ステラ・タタリクス
【ステルク】
ふーむ、ユミルの子

確か|ユミルの子《脳なき巨人》
獣人戦線のノイン様、ナイアルテ様の名前の由来に彼女のキャバリア、そしてその世界の第9号様
まだまだ知らないエイル様情報がありそうです

時にエイル博士、白衣は萌え袖だったりしませんか?


さてルクス様
このターンは演奏は禁止です
ソナーレは気合いで動かしてください
フォル!いらっしゃい!(鳥型キャバリアを呼び寄せる

叫びなら負ける道理はありませんので!
エイル様の!香りがしまぁぁぁぁぁぁぁぁすっ!!!
いえ、麗しい香りなのでご安心をエイル博士!
その隙に【ファム・ファタール】突撃です!
その憎悪もまたエイル様に向けられたものならば
メイドが排除しましょう!



「時に、『エイル』博士」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の神妙なる声色にホログラム通信の向こう側の『エイル』博士はどうしたんだい、と緊急の事態であろうかと真摯に対応する。
 だが、安心して欲しい、とルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は思った。
 シリアスなんて無い。シリアスな状況であってもテクスチャー塗りつぶすみたいにして侵食してくるのが我等ステルクである。いや、どっちかってーと『エイル』様味をしめたステラの暴走とルクスの大音響爆裂奏魔法がっていう意味で。

「白衣は萌え袖だったりしませんか?」
「萌え、え、なんて?」
「萌え袖です」
「わたしとしては『エイル』博士の白衣はベーシックな大学白衣でいてほしんですけど!」
 ステラの言葉にルクスも乗っかってくる。
 今その情報必要?
「いや、白衣っていうか、ジャージなんだが」
 ジャージ?! なんで!? と二人は思っただろう。なんならジャージの上に白衣着ていて欲しいとすら思ったのだ。

「いや、楽だから」
 というか、今そんな話している場合ではない。
「――ッ!!!!」
 憎悪の咆哮が轟く。
 三人の会話を知ってか知らずか。いや、知っていたとて、関係ない。デウスエクス『ユミルの子』にとって生命とは須く憎悪の対象である。
 滅ぼさなければならない。
 おのれ達には祝福はない。故に生命という祝福持つ存在を赦してはおれないのだ。

「デウスエクス、『ユミルの子』……クロムキャバリアでは脳無き巨人と呼ばれていますが……」
 ステラは眉根を寄せる。
 あの異形たる姿。醜悪と言ってもいい姿。
 そのいずれもがクロムキャバリアにおけるジャイアントキャバリアの素体となる『ユミルの子』と同一には思えなかったのだ。
 そして、獣人戦線における存在。そしてこの世界における『第9号』と呼ばれるサポートAI。
 多くの謎がうごめいているが、むしろ、ステラには都合がよかった。
「まだまだ知らない『エイル』様情報がありそうです!」
 うわ、と『エイル』博士は思った。
 なんていうか、当初の印象からどんどんステラの印象がこう、その、なんていうか、やべーなって言う方向に舵を切った感があるのだ。
「わたしにはよくわからないですけど、ステラさんの話を聞いていると『エイル』さまが溢れすぎてませんか? だいじょうぶです? ステラさん破裂しません?」
 しません。
 大丈夫。やべーメイドだから。

「とは言え、敵は向かってきますからね! ここは私の奏魔法で一気に……」
「演奏禁止です」
「え、演奏禁止!? わたしの存在意義はー!?」
「『ソナーレ』があるでしょう。気合で動かしてください」
「無理ですって! あれはわたしの演奏じゃないと動かないんですよ!?」
 だが、そんな二人を前に迫るは『ユミルの子』たちである。どんなにステラとルクスが漫才コントしていても関係ないのである。
 というか、普通にピンチである。危機がピンチである。
 何を言っているのかさっぱりわからない感じになっているが、このままだと二人は揃って『ユミルの子』の拳にすり潰されて酷いことになるのだ。
「ええい、仕方ありません!『フォル』! いらっしゃい!」
 掲げた手に止まるようにして飛来するは『フォルティス・フォルトゥーナ』。鳥型キャバリアが飛来し、ステラが乗り込む。

「あっー! ステラさんずるい!」
「ずるくはありません!」
「――ッ!!!」
 咆哮と共に放たれる一撃を『フォルティス・フォルトゥーナ』はステラの体を脚部でもってつかみ上げて飛び、躱す。
「あ、あ、危なかったですよ、今の!?」
「躱せたのだから、ヨシッ! そして、叫びなら負ける道理はございませんので!『エイル』様の! 香りがしまぁぁぁぁぁぁすっ!!!」
 おっらー! と言わんばかりの勢いで『フォルティス・フォルトゥーナ』がソニックブームを纏いながら一気に『ユミルの子』たちの躯体を吹き飛ばす。

「うわー……やっぱりその叫び、『エイル』博士に精神ダメージだと思うんですよね」
「いや、普通に声量やべーな、と思っているよ」
「ほら、照れ……てはいないですけど」
「うん、というか、なんか気合入れるための、常套句か何かなのかい? そんなに私臭うのかい?」
 ちょっと心配になったジャージと白衣の『エイル』博士。
 そんな彼女にステラは頭を振り、ルクスはTanz des Hagel(タンツデスヘイル)による氷の礫を引っつかまれた『フォルティス・フォルトゥーナ』の脚部からばらまいている。

「いえ! 麗しい香りなのでご安心を『エイル』博士!」
「それもそれでなんかヤだな!?」
「ほらー、もうーそんなに香り香り言うからーレディに対して香りは結構ナイーブなんですよー」
 なんてルクスは言いながら雑に氷をばらまく。
 演奏禁止がそんなにも応えたのだろう。なんか投げやりである。投槍選手権があったのならば、レコード更新なみの投げやりさでルクスは『ユミルの子』たちを氷で打ち据えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
…ユミルの子だぁ?
それってジャイアントキャバリアじゃねーのか?
「偶然…って片付けるには面白いよね☆それにいっぱいいるなら幼女ま」
やらねーよ!

決戦配備はキャスター
之から行う魔力支援を頼みたい
そういうのってセラフィムできるのか?

あ、そうだ…エイル博士だったか…一応聞いておくが…おめ…貴方の出自作っとで良いんで教えてくれますか?
「女の子の好みも聞きたいぞ☆」

なんて言いながらUC詠唱開始
【情報収集・視力・戦闘知識・見切り・空中戦】
高速で飛び回りながら敵の攻撃を回避
此方は主に反撃はしない

中途半端に傷つければ強化されるなら…
「一気に焼き払っちゃえばいいよね☆」
【電撃】
UC発動
成長する電撃で焼き払う



『ユミルの子』。
 その名がデウスエクスにも存在していることは偶然であろうか。
 他世界を知る猟兵たちにとって、それは偶然とは言い難い必然めいたものを感じずにはいられなかった。
 クロムキャバリア。
 鋼鉄の巨人が戦場を闊歩する世界にあって『ユミルの子』とはジャイアントキャバリアと呼ばれる戦術兵器の一種の素体である。
 脳無き巨人。
 それが『ユミルの子』であり、プラントより稀に生産される存在である。

 だが、それと目の前のデウスエクス『ユミルの子』はあまりにも結びつかぬ醜悪たる姿をしていた。
「……『ユミルの子』だぁ? あれが……?」
『偶然……って片付けるにはも白いよね☆それにいっぱいるなら幼女ま」
「やらねーよ。いいか、『決戦配備』、キャスター!」
「オーケーだ。術式支援だね。可能だよ」
「それも『セラフィム』でやんのかよ」
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)の言葉に『エイル』博士が応える。無論、と言うようであった。
 弾道ミサイルのようなポッドによって決戦都市から射出された『セラフィム』の赤と青の装甲が煌めき、その胸部に備わった砲口から魔力が迸る。

 エネルギーを魔力に変換する機構が備わっているのだろう。
『メルクリウス』に接続された魔術的な繋がりが魔力を機体に流入させる。
「あ、そうだ……『エイル』博士だったか……一応聞いておくが、おめ……貴方の出自って」
『女の子の好みも効きたいぞ☆』
「出自って、この決戦都市だが? というか、なんで女の子の好みなんだい。そこは男の子だろう! ていうか、そういうのは世界が平和になってからってね!」
 亜麻色の髪の女性である『エイル』博士が通信の向こうでため息をついている。

「そうかい、『ユミルの子』だっていうんなら……!」
『中途半端に攻撃しても強化して再生するっていうなら……一気に焼き払っちゃえばいいよね☆』
『セラフィム』によって充填された魔力を『メルクリウス』が練り合わせるようにして雷へと成長させていく。
「万物の根源よ…帝竜眼よ…我が呼びかけに答え…我が力に応え…我が叫びに応え…無限に強くなり続ける可能性の竜の力を今此処に示せ…!!」
 カシムの詠唱と共に放たれる雷は瞬時に成長し、一気に増殖していく。
 まるで竜の群れ。
 いや、竜の吐息である。
 外典帝竜眼「碎輝」(ムゲンニセイチョウシツヅケルモノ)。

 それがカシムのユーベルコードであった。
 詠唱時間に応じて無限に威力が上昇するドラゴンブレス。それを一気に解き放つことによって『ユミルの子』たちが再生する暇すら与えずに焼滅していくのだ。
「成長し続ける雷だ。どれだけ強化しようが、この成長速度には追いつけねーだろう!」
 その言葉通り雷のドラゴンブレスは成長していく。
 際限なく。
 それが竜神親分の力である。
「――ッ!!!」
 憎悪の咆哮が轟く。だが、それはもはや遠雷の彼方であることは言うまでもない。

 カシムは『メルクリウス』と共に前哨基地の最奥を目指す。その先にこそ己達が倒さなければならないデウスエクスの首魁がいるのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

廿鸚・久枝
躍りかかってきたユミルの子の拳撃をシールドで【盾受け】【霊的防護】
近寄るでないわぁ!
【シールドバッシュ】で弾き飛ばし、ライフルで追撃じゃ

かぁー、病気を移されては堪らん!鴉よ、斬れい!

叫び声をマイペースに【受け流し】つつ、
灰色烏で【遊撃】内蔵レーザー砲で【レーザー射撃】を行いつつ、
ヒートブレードの身体でわしに近よるユミルの子を【切断】

まぁなんじゃ、わしに憎悪をむけられても困るが、仕方なし、
『光に呑まれてゆけ』

灰色烏でバーリオルを守り、足を止めて
【神罰】|『陽光』《ソーラー》己が神威を超熱光線と化し、ライフルから射出、【弾幕】を張る。

病毒を【浄化】し肉体を【焼却】する。
祝福と宣うには、粗過ぎだな。



 眼前に迫る異形たる拳があった。
 病魔宿ると言われる拳。『ユミルの子』と呼ばれるデウスエクスの咆哮は憎悪にまみれていた。祝福無き巨人。彼らにとって生命とは憎悪の対象でしかない。
 故に拳を振るう。
 例え、己の拳がひしゃげ砕けようとも構わない。
 目の前の生命をすりつぶす事ができたのならば、如何に腕が砕けようとも構わない。そういうかのような一撃をシールドで受け止め、廿鸚・久枝(老キャバリア・f36383)は己の乗騎たる『バーリアル』の躯体が軋むのを感じたことだろう。
「かぁー、病気を感染されては堪らん!」
 受け止めたシールドで持って『ユミルの子』の躯体を吹き飛ばす。

 体高5m級の巨人同士の激突。
 その苛烈なる戦いのさなかにあって、久枝は多数を相手取る戦い方に長けていた。シールドによる防御と敵との距離を放つ攻防一体たる動き。
「鴉よ、斬れい!」
 その言葉とともに機体から射出される灰色の小型の機体。ブレードを有した『灰色鳥』が飛翔し、『ユミルの子』の躯体を切り裂く。
 さらにレーザー射撃で持って『ユミルの子』たちを寄せ付けない弾幕とするのだ。
「――ッ!!!」
 咆哮が轟く。
 それは敵に恐怖を齎すものであった。
 久枝にとっては、身をすくませるものでもないものであったけれど、しかし、響けばどうしようもなく肉体を縛る枷となるだろう。

「――ッ!!!」
「そこまでして生命を憎むか」
 己に向けられた憎悪に理由などない。
 あえて理由をあげるのだとすれば、それは己が生命であるからであろう。生命の埒外となった今であっても、彼らには己達が生命に見えてしまうのだろう。
 憎悪の理由すら忘れてしまった『ユミルの子』らに憐れみを覚えることもあるだろう。
 だが、久枝は思う。
 その強烈なる憎悪を向けても、いわれなき憎悪に人は困惑することしかできないのだと。
「故に、告げよう『光に呑まれてゆけ』、と」
『バーリアル』のアイセンサーがユーベルコードに煌めく。

 足を止めた『バーリアル』に『ユミルの子』たちが殺到する。
 だが、それを『灰色鳥』たちがブレードで切り裂き、足を止める。
 灰色の機体より放たれるは、内部に存在するジェネレーターより無限に供給される全てを灰燼に帰す超熱光線の一撃だった。
 光の雨のごとき光景。
 乱舞する光。
 憎悪の咆哮も、何もかも光に飲み込む陽光(ソーラー)が降り注ぐ。
「――ッ!!!」
「それでもなお、生命を憎まずにはおれぬか。だが、これが貴様たちに与える、わしの祝福よ」
 降り注ぎ続ける。
 足を止めるがゆえに放たれる光線は三倍。
 憎悪を埋め尽くすように、塗りつぶすようにして放たれ続けるユーベルコードの輝きを久枝はみやる。

 そこにあったのは憎悪すら浄化していく光のカーテンめいた弾幕であった。
 だが、久枝は頭を振る。
 これで『ユミルの子』らの憎悪が救われたとは言い難いだろう。祝福無き巨人たちに祝福を与えられたとも言い難い。
 世はどうにもならないことで満ち溢れている。彼らがデウスエクスである以上、今此処で撃退できたとしても、また時を経て『ユミルの子』たちは来訪するだろう。
 いや、来襲するのだ。
 再び憎悪を撒き散らすように。
 故に、久枝は息を吐き出すように呟くのだ。
「……祝福と宣うには、粗過ぎだな――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

皇・絶華
「…ユミルの子だとぉ!?此奴らジャイアントキャバリアか!?」
此奴らは私の居た世界にもいたぞ
ミッションでも極めて恐るべき強敵だった存在だ
ミッション破壊作戦で殲滅された筈だが…

【戦闘知識】
ユミルの子の動きや攻撃の癖を分析

【念動力】
さっちゃん!念動障壁展開!
「了解だ主様!」
念動障壁で大音量を防ぎ
猿叫を使うとか…中々やるな!
「あれ猿叫なんだ!?まぁいい…恨みつらみならなぁ…この俺だって恨みマックスだごらぁ!ヘカテイアぁぁぁ!!こんな恐ろしい|奴《絶華》を冥界に送った事…絶対許さねぇ!」
さっちゃん?錯乱してるか?チョコを…(ぜっちゃんチョコを吸収させた
「ぐごがぁぁぁ!?」(強化と悲鳴
確かユミルの子は強敵だがさっちゃん
お前の力なら遅れは取らないだろう?
「ひぐっえぐっ…ぅぇえええん…!は、はい…こんな奴ら…超余裕です…!てめえらの所為だからなぁ!?」
UC発動
ブチキレさっちゃん
理不尽にユミルの子に八つ当たり

空間転移で飛び回りながら
【切断】
鎌剣で敵の居る空間ごと切り裂き破壊

「ひぐっ…俺が最強だっ!!」



 亜空間戦術級制圧機構『巨神の王』(キョジンゾクノオウ)たる連環神機『サートゥルヌス』は喚かずにはいられなかった。
「……『ユミルの子』だとぉ!? 此奴らジャイアントキャバリアか!?」
 クロムキャバリアにおけるジャイアントキャバリアの素体。
 脳無き巨人。
『ユミルの子』。それらは装甲を被せることによってキャバリアとしての体裁を整えた戦術兵器である。
 プラントより稀に生み出される存在。
 他世界の存在。名前だけが共通しているのか、それとも同一のものなのか。

 皇・絶華(影月・f40792)は己が駆る『サートゥルヌス』のコクピットで首を傾げる。
「『ユミルの子』……私の居た世界にも確認された名だな。恐るべき強敵だった存在だ。だが、殲滅されたはずであるが……」
「――ッ!!!」
 思索を中断するように『ユミルの子』たちの咆哮が轟く。
 その咆哮は憎悪一色だった。
 生命を憎む咆哮。ただそれだけしか感じられない咆哮。それだけが己たちの存在意義であると言わんばかりに異形の巨人たちは咆哮し、『サートゥルヌス』と迫るのだ。

 だが、強烈なる憎悪が彼我の戦闘力に影響を及ぼすのかと言われるのならば、『サートゥルヌス』は否と応えるだろう。
「さっちゃん!」
「了解だ主様!」
 その言葉と共に放たれる念動障壁が『ユミルの子』たちの咆哮を受け止める。だが、念動障壁をも突き抜けてくる憎悪の咆哮は、『サートゥルヌス』の躯体の動きを止める。
「猿叫を使うとか……中々やるな! 身が竦む。わかっていても!」
「あれ猿叫なんだ!?」
『サートゥルヌス』はしかし、ふつふつと湧き上がるものがあった。
 恨みつらみ。
 憎悪というのならば、己にだって多く蓄積されている。
 己の中、つまりコクピットにある絶華の存在である。己が恐ろしいと真に感じるのは彼であった。
 彼が恐ろしい。

「恨みつらみならなぁ……この俺だって恨みマックスだごらぁ!」
「どうしたさっちゃん。錯乱しているのか? 気付けにチョコを」
 絶華は錯乱したような様子の『サートゥルヌス』に超高濃度カカオと漢方配合の狂気のチョコを吸収させる。
 効果はたっぷりである。 
 だが、味が地獄。『サートゥルヌス』は思わずまた叫んでいた。いや、悲鳴だった。強化はされているが、この味を味わうのならば食べない方がいい。強化しなくっていい。
 だが、そんなのことを己が主は聞いちゃいない。
 チョコレートに対する盲信がすごいのだ。
「どうだ、さっちゃん。おちついたか」
「ひぐっ、えぐっ……うぇぇええん……!」
 吐き出さない所が意地だった。どうしてここまで底意地の悪いことを善意でやっている感じを出すのだろうか。
 正直、己の主となった絶華の味覚を疑う。これで大丈夫と思っている顔が、心底。
「だいじょうぶか、さっちゃん。お前の力なら遅れは取らないだろう?」
「は、はい……こんな奴ら……超余裕です……!」

『サートゥルヌス』は怒りに満ちていた。
 憎悪の感情に相対できるのは寛容でもなければ優しさでもない。
 対する事ができるのは憤怒である。
 怒りだ。怒りしかない。故に『サートゥルヌス』は怒りに任せてユーベルコードにアイセンサーを煌めかせながら一気に『ユミルの子』へと肉薄する。
 次元転移と特殊起動による亜空切断の一撃が鎌剣より放たれる。
「空間ごと切り裂けば、その悪趣味な姿もちったぁ、見やすくなるだろうがよ!」
 お前たちのせいだ。
 あんなチョコを食べなければならなかったのは。吸収しなければ、どうしたさっちゃん調子が悪いのか、とかそんな感じの有無を言わさない感じで詰めてくるのだ。

 どうしたって逃げられない。
 こんなの地獄である。
 故に、目の前にどんな憎悪を持つ存在がいるのだとしても、構わない。あの地獄のようなチョコを味合わされた己の恨みつらみに比べれば、憎悪など。
「関係ねぇー! ひぐっ……俺が、俺が、最強だっ!!」
 なんともコメントし難い叫びと共に『サートゥルヌス』は『ユミルの子』を切り捨てる。
「うん、わかっている。さっちゃんならできると思っていた。この勢いで、この前哨基地のデウスエクスも倒すためにがんばろうな」
 チョコはまだあるぞ、と言う絶華の言葉に『サートゥルヌス』は悲鳴を噛み殺した――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

わお!これは珍しいものが出てきたね!

●とにもかくにも
ドンドン数を減らしてかないとね!
引き続き場にさらにたくさんの彼らよりおっきな[超重浮遊鉄球]くんを呼び出して基地へ向けてゴロンゴロン転がしてこー!
荒れ場に持ち込めばこっちのもの!
【第六感】に任せてころがる球体くんたちと彼らの間をすり抜けていって隙を見つけた子からUC『神撃』でドーーーーンッ!!

そんなに泣かないでさ!もっと楽しもうよ!
うーんそんな心境じゃないって?それは残念!
じゃあきっと今はこうしてあげるのが一番なんだろうね
いつかキミたちの心臓に死がもたらされるまでは!



 憎悪撒き散らすデウスエクス『ユミルの子』。
 その咆哮はあらゆる生命に対する憎悪という感情一つに染まり切っていた。
「――ッ!!!」
 強烈なる感情。
 唯一しかないからこそ、その鮮烈なる憎悪は戦場たる前哨基地内部に響き渡る。
「わお! これは珍しいものが出てきたね!」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は異形なる巨人を見上げて笑う。
 珍しい、と評したのは恐らく他世界にも同じ名が存在しているからだろう。
「ま、とにもかくにもどんどん数を減らさないとね!」
 喚び出す鉄球じみた球体を手繰り寄せ、ロニは基地内部に迫る『ユミルの子』たちへとぶつける。
 だが、それを拳がひしゃげるにも関わらず叩き込まれる拳の一撃で吹き飛ばしながら『ユミルの子』たちはロニへと迫る。

 荒れた場。
 それはロニにとっては引き込むべき場所であったけれど、しかしそれ以上に『ユミルの子』は己の躯体が崩れるのも構わずに突っ込んでくるのだ。
 まるで何も考えていない。
 目の前に生命が在る、というそれだけが理由であると言っても過言ではないのだ。
 彼らはただ只管に生命を滅ぼさんとする。
 その憎悪の理由すらも忘れた存在は、ひしゃげながら鉄球を打ち返し、踏み込んでくる。
「どんなに叫んでも、己の心の内側にあるものを理解できないのならば、意味がないのと同じだよ。いや、意味がないということ事態に意味を見出だしているのかな。存在意義っていうやつ!」
 ロニは球体と『ユミルの子』たちの間をすり抜けるようにして走り込む。

 敵である『ユミルの子』たちは隙だらけだった。
 当然だろう。
 彼らに思考というものはない。
 ただ感情に突き動かされるままに動いているだけに過ぎないのだ。
 故にロニは笑って突っ込む。
「そんなに泣かないでさ! もっと楽しもうよ! 今在るということを!」
「――ッ!!!!」
「喚いてばかりじゃ、何も伝わらないさ。キミらの憎悪もね!」
 神撃(ゴッドブロー)たる一撃がクロスカウンターのように巨人を打ちのめす。
 信心無き者にさえ神々しさを感じさせる拳の一撃。

 問答無用の一撃。
 ああ、と思う。
 きっと『ユミルの子』たちにある感情は、恐らく憎悪以外の何物にも染まらぬものだろう。例え、己の拳が神々しさを見せるのだとしても、それは彼らの瞳に映る現象の一つにしか過ぎない。
 そういう意味では、ロニはこうするのが最も幸いであるのだと知るだろう。
「デウスエクスは滅ぼせない」
 だからこそ、こうするしかない。
「いつかキミたちの心臓に死がもたらされるその時までは、こうしてあげるのが一番なんだろうね!」
 撃退すること。
 滅ぼせずとも、この場から遠ざけることができる。

 憎悪でもってあらゆるものを滅ぼさんとするもの。
 その存在が憎悪を呼び込むだけでしか無い。そして、憎悪事態を解消する術もたぬ哀れなる『ユミルの子』らに何時の日にか救いがあるとすれば、それは完全なる死が訪れたその時であろうから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

川崎・五十鈴
お前らの憎しみなんてどうでもいい。
憎しみを抱えて生きてるのはこっちだって同じ。
ありきたりな台詞だけど…お前たちデウスエクスは父と母の仇。故郷の皆の仇。皆の家族の仇。

根絶やしにしてやる。

敵陣中央に飛び込んで全方位射撃。射撃。射撃。
敵の攻撃は踊るように躱す。
動きが速くて小回りがきく小さな生き物を捉えるのは案外難しい。
更に私の影から精製された銃弾が当たった相手は命中箇所をその影で縛られる。※【影縛り】
銃弾が当たれば当たるほど動きが鈍くなって攻撃を当てることも躱すことも難しくなるって寸法。

お前たちが滅びないことは知ってる。でも死ね。死んで死んで死に続けろ。そうでなきゃ私は許せないんだよ…何もかもが…!



 憎悪だけが戦場に渦巻いている。
 デウスエクス『ユミルの子』たちの憎悪たる咆哮。その憎悪の理由すら忘れ、祝福無き異形の巨人たちは、ただ生命を滅ぼすためだけに力をふるい続ける。
「――ッ!!!」
 その咆哮を聞きながら川崎・五十鈴(エコテロリストエルフ・f41042)は、どうでもいいと切り捨てた。
 憎しみをいだきながら生きるのは、『ユミルの子』だけではない。
 この地球においてデウスエクスを憎まぬものはいないだろう。
 どれだけ飢えがあるのだとしても、己達を、その故郷を、親族を。多くを殺したことに変わりはない。
 故に、それは獣の所業と同じである。

 だが、それを咎められる謂れなどない。
「これはありきたりな台詞だけど……お前たちデウスエクスは父と母の仇。故郷の皆の仇。皆の家族の仇」
 故に五十鈴の瞳にはユーベルコードの輝きがある。
 己はアヴェンジャーではなく。リベリオン。
 侵略に抵抗するものであるがゆえに、彼女の手にした二丁拳銃から凄まじい勢いで嵐の如き銃撃が飛ぶ。
 全方位。
 舞うような動きによって生み出される銃撃の嵐は、『ユミルの子』の異形たる肉片を貫き、その内部の骨格を突き崩す。
 崩れ落ちる躯体。
 されど、未だ息があることを五十鈴は認め、さらに飛び込む。

「お前らの憎しみなんてどうでもいい。根絶やしにしてやる」
 巨人が相手だろうが五十鈴のやることに代わりはない。
 飛び回るように、踊るように。
 彼女の動きは『ユミルの子』たちには捉えられない。銃撃だけが五十鈴の存在を知らせるものであったが、しかし、彼女の双銃は電動式である。
 発泡する音は響かない。
 ただモーターの駆動音だけが聞こえるだけだ。

「死ね死ね死ね」
 引き金を引く。
 理由があるから引き金は軽くなる。自分には理由がある。戦う理由も、『ユミルの子』の憎悪の咆哮を打ち抜くための武器も、今手に在る。
 ならば、それをしないのは死せる同胞たちへの冒涜に他ならない。
 だがしかし、デウスエクスは滅びない。
 不滅である。
 未だ滅ぼす手立てはなく。撃退して打倒した結果は残れど、時間が経てば再び小剣と共に飛来する。

 その未来を知っている。
 けれど、それでも五十鈴は引き金を引いて『ユミルの子』を打ち倒す。
「お前たちが滅びないことは知ってる。でも死ね。死んで死んで死に続けろ」
 心に灯るものがある。
 表現できない。自分の中にある怒りが、憎しみが、言葉で表現できてたまるか。
 この感情は己だけのものである。
 他の誰にも手渡すことのできない感情である。
「――ッ!!!」
 憎しみ向ける眼があろうとも、それを打ち抜く。
 ただ一つだけ確かなことがあるのだ。

「そうでなきゃ私は許せないんだよ……何もかもが……!」
 そして、許せるとも思っていない。
 例え、死に続けるデウスエクスがいるのだとしても、奪われた生命は回帰しない。
 故に、この胸にやどり続けるものは、己が死すその時まで潰えることはないのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『疾き者』にて
武器:漆黒風

あれですかー。ふむ…また厄介な。
ですが、参りましょうか。

UCを使用して…馬県認識は、陰海月と霹靂が影からしてますから。
病魔など程遠く、侵食されようがそれは『私たち』の力になる。

そうしていけば、この小さな漆黒風でも致命的なダメージを負わせることが可能なんですよー。
本当に…その憎悪の咆哮は、これ以上響かせない。
ここで終わりなのですよー。



 デウスエクス『ユミルの子』。
 あの異形たる巨人は、多少の傷など厭わない。いや、多少でなくてもまるで意に介していない。
 傷口が痛むだとか、ためらうだとか、怯むだとか。
 そうした感情は単一の憎悪という強烈なるほとばしりに塗りつぶされてしまう。
 それほどまでに『ユミルの子』たちの中を占めるのは憎悪という感情だけだったのだ。
「――ッ!!!」
 それは呪詛めいていたことだろう。
 生命を呪う。
 生命を壊す。
 ただそれだけのために『ユミルの子』たちは基地内部を走る猟兵達へと病魔宿した拳を振るう。

 叩きつけられるたびに呪詛めいたものがほとばしるのを馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は見ただろう。
「あれですかー。ふむ……また厄介な」
『疾き者』は眉根を寄せる。
 憎悪だけしか持ち得ぬ存在。
 祝福無き存在。
 言ってしまえば、それは災禍たる存在であったことだろう。
 憎悪以外の全てを忘れ、なぜ憎まねばならぬのかという命題すら忘れた存在。ならば、と彼の瞳がユーベルコードに輝く。
 振り下ろされた憎悪の鉄槌の如き一撃を受けながら、存在が霧散する。
 己という存在。

 それは呪詛である。
 オブリビオンに対する恨み。怨恨。
 そうしたものが溢れ出す。それを己達という外殻に留めるのは、相違と客観視である。己たちを己達であると認識する誰かがいなければ、己達悪霊はたちどころに『ユミルの子』たちと同じ存在へと成り果てるだろう。
 覚えていられない。
 覚えていられないほどに悲しみが心のなかに広がってしまうから。
 故に、『疾き者』は己たちを見る者を欲する。認識してくれる者たちを影に潜ませる。

 打ち据えられる肉体。
 砕ける拳。
「――ッ!!!」
『ユミルの子』たちに意思はない。あるとすれば感情のみ。
 故に己たちが封じてきた呪詛でもって、『疾き者』は自身が強化されることをしる。
「その憎悪はこれ以上響かせない」
 なぜならば、憎悪が呼ぶのは憎悪だけだからだ。
 断ち切ることは容易ではないだろう。己達でさえ、断ち切れない。呪詛の、根源の奥底にあるのは、きっと彼らと似たものであったことだろうから。

 故に、手にした棒手裏剣の一撃が『ユミルの子』たちを貫く。
 その一撃は棒手裏剣には似つかわしいものであったことだろう。それほどまでに、四悪霊・『戒』(シアクリョウ・イマシメ)の一撃は苛烈なまでに強化されていた。
「ここで終わりなのですよー」
 誰かがしなければならないことだ。
 強烈なる感情、憎悪に身を任せることは容易である。そして、誰しもが持つものであるがゆえに、止められない。
 歯止めなど効かない。 
 だが、憎悪を抱かぬことをこそ尊ぶのではない。その憎悪さえも感情の一つ。己という存在を構成する要素であるのだ。

 ならばこそ、『疾き者』は、憎悪だけを撒き散らす存在を許さない。
 如何に不滅たるデウスエクスであろうとも。
 憎悪だけを世界に満たすわけにはいかないのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ブラックエクリプス』

POW   :    カラミティザッパー
着弾点からレベルm半径内を爆破する【爆炎弾】を放つ。着弾後、範囲内に【戦闘用極小ドローンの群れ】が現れ継続ダメージを与える。
SPD   :    エクリプスブラスター
自身の【武器「エクリプスブラスター」】を【戦況に最も適した形状】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
WIZ   :    黒蝕光翼
【黒いレーザー光の翼】を生やし、レベル×5km/hの飛翔能力と、レベル×5本の【破壊光線】を放つ能力を得る。

イラスト:させぼのまり

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 デウスエクスの前哨基地の成長は最奥に至るに連れて装飾が華美に、また精緻となっていく様で見て取れただろう。
 まるで蜂の巣を作るかのような行程であった。
 最奥こそが最初に作られた、いや、作り込まれた場所なのだろう。
 神殿めいた様相を見せるのは、それがデウスエクス『ブラックエクリプス』が報じる十二剣神『黄道神ゾディアック』の存在を知らしめるものであったからだ。
「……騒々しいな。『ユミルの子』らが敗れたか。祝福奪われし神造の巨人故、か」
 他愛無い、と彼は巨人の如き体躯でもって振り返る。
 其処に在ったのはケルベロスと猟兵たちの姿であった。

「ケルベロス……そして、猟兵か」
 デウスエクス『ブラックエクリプス』はケルベロスの存在は知れど、猟兵の存在を多くは知らない。
 ユーベルコードを手繰る者であるということ。
 ケルベロスにはない予知能力めいた精度でもって己たちの企みを看破してくることを幾度かの撃退を経て理解しているようだった。
「『黄道神ゾディアック』様はおっしゃった。飢える我等の救い主か、それとも戦乱を呼ぶ凶兆か、と」
 彼は静かに手にした杖のごとき武装の柄を地面に叩きつける。
『エクリプスブラスター』と呼ばれる武装が変形していく。背に負った黒き翼はレーザーそのものたる光の翼。
 そして、周囲に極小のドローンの群れがひしめく。

「私には汝らが凶兆に思える。故に、滅ぼす。如何にこの世界に『平和』を齎す存在が居るのだとしてもだ。『勝利』すべき才能なく『敗北』だけを得ていく存在などに我等が飢えを癒やす渇望を妨げさせてなるのものか」
 広がる重圧。
 大気すらきしませるほどのすさまじい力を解き放ちながら『ブラックエクリプス』は、その名に違わぬ実力を示すようにケルベロス、猟兵達に示し魔杖『エクリプスブラスター』を掲げるのだった――。
天道・あや
救いか、凶兆。うーん、どっちだろうねえ? あたしとしては前者に一票入れたいけど、まー、未来の事なんか誰にも分かんないからなぁ

でもまあ、一つ分かってる事もある

それは

you達の飢えを満たす為にこの世界の皆さんを危険に晒すわけにはいかナッシングって事!

youの飢えが満たされるか分かりませんが、とりあえず一曲付き合って貰いますぜ?

右よし! 左よし! ブラックエクリプスよし!

そんじゃ、本日のラスト一曲、行きまショータイム!!

という訳で先ずはレガリアスで【ダッシュ】してステージと相手の把握!【足場習熟】

youの声、あたしが受け止めるぜっ!【激痛耐性、ジャストガード】

そしてこれがあたしの声!あたしの思い!



 デウスエクスは滅びない。
 オブリビオンは猟兵によって滅びを得る。ユーベルコードの煌めきが戦場を満たしていくからだ。しかし、デウスエクスはそうではない。
 不滅であり、撃退できたとしても、時を経て再び地球に来襲する。
「救いか、凶兆。うーん、どっちだろうねぇ?」
 デウスエクス『ブラックエクリプス』の言葉に天道・あや( スタァーライト ・f12190)は首を傾げる。
「あたしとしては前者に一票入れたいけど、まー、未来のことなんか誰にもわかんないからなぁ」
「その言葉を得たとして、我等が汝らを滅ぼすことに変わりはない。我等が飢えは我等にしか理解できぬ故」
 巨体たる『ブラックエクリプス』が手にした魔杖が姿を変える。
 まるでそれは大砲のような形をしていた。
 迫る脅威、ケルベロスや猟兵を薙ぎ払うのに適した形態。

 その砲口に讃えられた強大な力を前にしても、あやは頭を振ってみせた。
「でもまあ、一つわかってることもある」
 それは、と彼女は瞳を見開く。
 ピースサインを逆さにした『A』の形。
 それは『あや』を示すポーズだったことだろう。己という存在を示す。
 そして、告げるのだ。
「You達の飢えを満たす為に、この世界の皆さんを危険に晒すわけにはいかナッシングって事!」
 唯一。
 これだけがあやの行動原理だった。
 そう、何処まで行ってもデウスエクスの飢えは自分たちにはわからない。
「ならば、なんとする」
「一曲付き合って貰いますぜってこと! 右よし! 左よし!『ブラックエクリプス』よし!」
 指差し確認!

 同時に放たれる『ブラックエクリプス』の一撃。
 砲撃の光がほとばしり、あやの存在を消し飛ばそうとする。
 だが、その光はあやを照らし出すライトアップにすぎなかった。
「――……なぜだ。なぜ、我が砲撃が無力化された。貴様は、何者だ」
「あたしは――天道・あや」
 始まりは自己紹介から!(セカイニジコショウカイ)
 すでに彼女のユーベルコードは彼女という|星《スタァ》を認識したときから始まっている。

「そんじゃ、本日のラスト一曲、いきまショータイム!」
 歌って、踊って、決めポーズ!
『A』のポーズは、彼女が天道煌めく星の一つであることを示す。
 そして、彼女は歌うのだ。
 歌ことだけが彼女のという存在を知らしめる輝き。
 故に、彼女は太陽すら飲み込む砲撃の一撃を霧散させる。
「Youの声、あたしが受け止めるぜっ! そして、これがあたしの声!あたしの思い!」
 迸る歌。

 そう、知っておいて損はない。
 不滅たるデウスエクスであるのならばなおさら。
 今此処に彼女のスターダムは始まり、スタァたる輝きは世界を満たす。
「何れ|星《スタァ》になる予定の名前。覚えておいて損はないよ――!」
 あやは己の声を届けるために歌う。
 思いをと届けるために歌う。
 それがきっと多くの人の幸になると信じているからだ。故に彼女は止まらない。
 己だけではなく、皆と進む未来と夢を照らせる|星《スタァ》になるために。一歩たりとて立ち止まっている暇はないのだと、『ブラックエクリプス』の砲撃さえも封じてみせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

川崎・五十鈴
対話の道を捨てた侵略者が救いなんて求めるな。
地球人は愚かで弱くて醜い。
対話の価値なんてないと思ったのかもしれない。でも、それ以上に地球人は優しい人たちだ…!
お前たちが頭下げて共存の道を選んでたら今頃お前は飢えへの恐怖なんてなく私と一緒にお茶でも楽しんでたのかもしれない。
でも、そんな未来はお前たちが壊した!私たちにあるのは、お前たちが私たちを喰い尽くすか!私たちがお前たちを飢えるまで殺し尽くすか!それだけだ!
心ある生き物みたいにごちゃごちゃ語らず涎垂らして喰いついて来い!奪うことしか知らないケダモノどもめ!

高重力で爆炎弾もドローンも全部落とす。
そして高重力を纏った鎖の連続攻撃で敵を叩き潰す。



 飢えているのならば、奪うしかなかったのかと問う心がある。
 憎しみに、復讐に、怒りに塗れた心にあるそれは光明にも似た考えであったことだろう。
 なのに。
 それでも、混血妖精(ハーフエルフ)は許せなかった。
 デウスエクスは侵略する。
 存在エネルギー『グラビティチェイン』を求めて他者を滅ぼす。対話など無い。侵略者の言葉はいつだって正義に酔いしれたものである。
 他者にも正義が存在すると信じない。
 己のみが。己の行いのみが正しいのだと信じ切っている。
「地球人は愚かで弱くて醜い」
「だとしたら、どうだちうのだ」
 デウスエクス『ブラックエクリプス』は、川崎・五十鈴(エコテロリストエルフ・f41042)の言葉を前にして、応えない。
 極小のドローンがまるで霧か靄のように立ち込め、火炎弾が放たれる。

 その炎を前にして五十鈴は走る。
「対話の価値なんてないと思ったのかも知れない。でも、それ以上に地球人は優しい人たちだ……!」
 己達が証明だった。
 存在エネルギーの枯渇は最優先で解決されるべき問題だった。
 故に自分たちがいる。
 地球人でなくても、対話の道をたどるのならば、『ブラックエクリプス』たちであっても、共に共存する道さえ模索できたはずなのだ。

 それを。
「問答無用で侵略したのは!」
「滅びるべくして滅ぼされるものがある。日輪の輝きが蝕によって陰るのと同じように」
 迫る極小ドローンの群れ。
 火炎弾の着弾地点をマーカーとしているのだろう。
 故に五十鈴の瞳はユーベルコードに輝き、その身寄り噴出する強力な殺界によって『ブラックエクリプス』の足を止める。
 そして、全身から迸るのは強大な重力を操るグラビティチェイン。
 鎖がほとばしり、『ブラックエクリプス』の巨体をつなぎとめる。

 もしかしたら、あったのかもしれない、と五十鈴は思う。
 共に笑い合う未来もあったのかもしれないと。
 だが。
 在りもしない夢想だと切り捨てられる。現状が証明だ。彼らが壊した未来だ。己達が手を伸ばせたかも知れない未来だ。
 故に。
「私達にあるのは、お前たちが私達を食い尽くすか! 私達がお前たちを飢えるまで殺し尽くすか! それだけだ!」
 五十鈴にとって『ブラックエクリプス』の言葉は、まるで心がある生物のように見せかけた存在であることを示すものだった。
 どんなに言葉でもって、知性でもって語りかけるのだとしても。
 結局のところ、『ブラックエクリプス』は奪うだけだ。
 この前哨基地もそのための装置にすぎないのだ。

「奪うことしかしらないケダモノどもめ!」
 高重力がほとばしり、極小ドローンの靄が地に失墜する。さらに走る鎖が、重力を纏って『ブラックエクリプス』の巨体を鞭打つように打ち据えるのだ。
「……ッ! 獣と我等を謗るか」
「その通りだろう! ごちゃごちゃと語るふりをしているだけのケダモノ! グラビティチェインを得るためならば、対話すら捨てた侵略者が言うことか!」
 激情があった。
 五十鈴にとって、目の前の存在は己たちを助けてくれた者たちを愚かで醜い弱者として切り捨てた存在。
 あの優しさを。
 弱さと言い切る者たちを前にして、五十鈴は怒りを忘れることなどできやしなかった。

 走るグラビティチェインは、その弱さと優しさを履き違えた者の罪をさばくように打ち鳴らされ、『ブラックエクリプス』の巨体を打ち倒すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
ポジション:スナイパー
…凶兆と判断する事は正しいね…今からお前達を徹底的に打ち据えて敗北を届ける存在だからね…侮ってると痛い目を見るよ…

破壊光線を歪曲障壁を張って逸らしつつ【星を墜とす大地の手】を発動…
…まずは空から叩き落す…
…疑似重力術式に捕まって地面に叩き付けられたなら破壊光線の射線から逃れるように動いて『エイル』博士に長距離ミサイルや砲撃による支援を要請しよう…
…高速飛翔されたら当たらないかも知れないけど…今ならただ固定目標に砲撃するだけだからね…
……うん、『私では決め手がなかったが『エイル』博士の支援により敵に痛撃を与える事が出来た』と言う事で…左遷を免れる事が出来れば良いね…



 猟兵の放ったグラビティチェインを引きちぎるようにしてデウスエクス『ブラックエクリプス』は黒いレーザーの翼を羽撃かせ、飛翔する。
 壮麗なる神殿の如き様相を見せる前哨基地内部にも関わらず、基地内部は飛ぶに十分な空間を有していた。
  謂わば此処で侵入してきた敵を仕留めるために存在しているかのような空間であるとも言えるだろう。
「我等が凶兆。やはり猟兵、汝らは…‥!」
 放たれるレーザーの雨。
 降りしきる黒き光線は、迫る猟兵たちを寄せ付けることを許さないかのような弾幕であった。

 だが、その光線の一撃を障壁で歪めながらメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)の瞳がユーベルコードに輝く。
「……凶兆と判断することは正しいね……私達は今からお前たちを徹底的に打ち据えて敗北を届ける存在だからね……」
「不滅たる我等デウスエクスに敗北はない。汝らには滅びを遅延する術しか無い。我等は必ずや地球を手に入れる。いかなる打倒を積み重ねようとも、終わりは必定なのだ」
 その言葉にメンカルは、その瞳をもって見据える。
「……幾ばくかの勝利に酔って……侮っていると痛い目を見るよ……」
 煌めくユーベルコード。
 そのユーベルコードが見せるのは星を墜とす大地の手(スターライト・フォール)。
 空にあるものを天から地へと引きずり下ろす疑似重力術式。
 放たれたそれは、飛翔する『ブラックエクリプス』の躯体を捉え、地面へと引きずり降ろし、縛り付ける。

「……この、私の躯体を捉える、だと……!?」
「……そう、重き力。つかみ、落とす。これが重圧。天より墜ちることを知るがいいよ。この昏き腕。その力は如何に飛翔の力とて、引きはがすことなんてえきない……」
「いよーし! メンカル君、そのまま縫い止めておいてくれたまえよ! 座標ロック!」
 メンカルが『ブラックエクリプス』を地面に引きずり降ろした瞬間、ホログラム通信から『エイル』博士の声が聞こえる。
 なんだか意気揚々としているのは気のせいだろうか。
 いや、気の所為ではない。
 メンカルは先んじて『エイル』博士にミサイル攻撃に寄る支援を要請していたのだ。
 敵を縫い止め、その地点を教えさえすれば決戦都市から『セラフィム』が飛び立ち、ミサイル装備の彼らが座標めがけて攻撃を開始するのだ。
 例え、それが前哨基地に覆われていても、だ。

「……高速飛翔されたらミサイルも躱されるし、迎撃もされるだろう……けれど、今ならば」
「……ッ! まさかこのための布石と!」
「……言ったよね。侮っていたら痛い目を見る、と……」
 メンカルの言葉に『ブラックエクリプス』がもがく。
 だが、もう遅い。すでにミサイルポッドによって決戦都市から飛来した『セラフィム』が送られてきた座標に装備したミサイルの照準を定める。
 もはや止められる術はない。

「これなら確実に当たるよ、メンカルくん!」
「……うん。これなら『私では決め手がなかったが、エイル博士の支援により敵に痛撃を与えることができた』という事実ができるね……」
「あ、それは言わないでくれたまえよ! というかだね、きみぃ。私のような優秀な科学者が? そう簡単に? 首を切られるほど余裕ある状況じゃないんだよ地球はねぇ!」
 アッハッハ! と笑う『エイル』博士にメンカルは息を吐き出す。
「連戦連敗重ねてたら、いずれは切られるでしょ……」
「どうしてそんな怖いこと言うの!?」
「……ま、首は切られないでも左遷されることはあるでしょ。今回のことで免れる事ができたら良いね……」
 メンカルの言葉に『エイル』博士の悲鳴が聞こえた気がしたが、彼女は聞かなかったふりをした。

 なぜなら、己が押さえつけた『ブラックエクリプス』へと『セラフィム』のはなったミサイルが飛来し前哨基地の天井を穿ちながら、爆風で持って、その躯体を打ち据えるのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
今度こそ、「全力魔法」虚無の「属性攻撃」「範囲攻撃」「封印術」で太極図!
これでユーベルコードは封じた。後は『それ以外』の勝負ってね。

来なさい、『鎧装豪腕』。これを「式神使い」で操り、敵の武器を「盾受け」「受け流し」させる。
受けてばかりじゃやられるだけ。「オーラ防御」を張って敵の太刀筋を「見切り」ながら、薙刀で装甲が薄い関節部を「貫通攻撃」「串刺し」にしよう。

格上相手にユーベルコード無しで戦うんだから、一撃たりとももらうわけにはいかない。
今まで重厚そうに見えてもそれを覆してくるような相手ばかりだった。あなたもそうでしょ。敵の機動力を越える動きをしなきゃ。
勝機は一つ。ユーベルコード無しで戦えるか!



 決戦都市からの支援。
 ミサイル攻撃によってデウスエクス『ブラックエクリプス』は痛撃を受ける。
 しかし、爆炎の中から揺らめくようにして『ブラックエクリプス』は、その瞳を輝かせる。
「小癪な手を使う。だが、この程度で私を滅ぼせるとでも思うか」
 魔杖『エクリプスブラスター』を構える。
 しかし、その魔杖が変形することはなかった。砲撃の形態へと変貌することは封じられた。けれど、他の形態へと変貌することは封じられていないはずだった。
 反応がない。
「なぜだ……?」
「それはね!」
 その疑問に応えるように飛び込んでくるのは、村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)の薙刀の一撃だった。

 激突する薙刀の刃と魔杖『エクリプスブラスター』。
 未だユーベルコードが発言しないことに『ブラックエクリプス』は訝しむ。
「これぞ、宝貝『太極図』(タイキョクズ)! 万物の基は太極。即ち、あたしのユーベルコードは終焉の冷気と共に全てのユーベルコードを封じるもの!」 
 不意に放たれた薙刀の一閃が『ブラックエクリプス』の胴を薙ぎ払う。
 しかし、その一撃を受けてなお『ブラックエクリプス』はゆかりの横っ面を打ち据える。いや、違う。
 彼女の頬を打ち据えたのではない。
 ゆかりの眼前に在ったのは己の式神でもある『鎧装剛腕』であった。魔杖の一撃を受け止め、軋む装甲。
 だが、受け止められた。
「ユーベルコードが封じられていたのなら、デウスエクスと言えどこの程度!」
「我が地力を侮るか」
「格上相手なのは重々承知! でもね!」

 ゆかりは躊躇いなく薙刀を振るう。
 打ち付けられることによって弾ける火花。
 ユーベルコードを封じられた互いの武装は唯一。
 魔杖と薙刀。
 撃ち合うたびに骨身が軋む音が響くようだった。
「今までも、格上との戦いを制してきた。地力というのならば、此方も舐めないでよね!」
「格上と認識してなお、迫るか!」
「ええ、それが猟兵というものでしょう!」
『鎧装剛腕』が走るようにして『ブラックエクリプス』へと飛翔し、その眼前を覆う。ユーベルコードに寄る互いのユーベルコードの使用と維持を不能とする力。
 その効力が切れる前にゆかりはなんとしても『ブラックエクリプス』に一太刀浴びせなければならない。

 故に、彼女は限界を超える。
 機動力が己より上なのならば、それを超える。防御力がこちらの攻撃力が上回るというのならば、それを超えるまで。
 そうして今まで戦ってきたのだ。
 その積み重ねの一つ一つが無駄にはなっていない。
「……っ! 邪魔だてを」
「ユーベルコードがなければ戦えないなんて、そんな泣き言なんて猟兵が吐くとでも思って!」
『鎧装剛腕』が『ブラックエクリプス』の持つ魔杖を打ち上げる。
 ガードをこじ開けた瞬間、ゆかりの薙刀の一閃が走る。
 勝機は二つあった。
 一つは手数の多さ。
 もう一つは薙刀が長物であったこと。
 リーチを補うように伸びた柄は、例えこじ開けられたガードを再び閉じようとしても無意味だった。
 そして、長物であるがゆえの遠心力。
 全ての動きの起点は円。始まりと終わり。
 故に、ゆかりの薙刀の斬撃は見事な弧を描くようにして『ブラックエクリプス』の胴を薙ぎ払うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トーヴァ・バリストロム
ジャマーお願いします…
今度の敵は正面から相手するとやばそうですし…
煙幕を吹き付けたり、電気ショックで麻痺させたりで、妨害に徹して頂ければ…

私自身は、敵の攻撃を飛び回って回避しつつ、ウィザード・ミサイルでちまちまと攻撃します。
今度は敵の方もメカっぽい感じですが…
集中攻撃して内部まで熱が通れば、ダメージはあるはずです。
なんか出力高そうなビーム撃ってきてますが、ホーミングのない直線の攻撃です。
飛び回っていればそうそう当たらないでしょう…多分…

そういえば、何か凶兆とか色々言ってましたが…
ごめんなさい、小難しくてあんまりよくわからなかったです…
えっと…自分は正しいんだーって、主張したい感じですかね…?



 ユーベルコードを封じるユーベルコードの効力が切れる。 
 だが、此処までの道程に置いて猟兵たちの力は不滅たるデウスエクス『ブラックエクリプス』に届いていた。
 刻まれた傷跡がそれを知らしめる。
 故に、トーヴァ・バリストロム(光魔術師・f41134)は今こそ押し込むべきだと理解した。
「『決戦配備』――ジャマーお願います……」
「合点承知さ!『セラフィム』!」
 その言葉に『エイル』博士が応える。
 支援に飛んできた『セラフィム』の腕部から電極の如き筒が展開し、雷撃が迸る。その一撃が『ブラックエクリプス』の体へと叩き込まれ、その動きを止める。

「……ッ、電撃……! これは私の動きを……!」
「デウスエクスとは言え効くだろう!」
「煙幕を!」
 トーヴァの言葉と共に『セラフィム』からスモークディスチャージャーが展開し、煙幕が張り巡らされる。 
 戦場の視界を奪う煙幕の最中をトーヴァは走るようにして飛ぶ。
「小手先を!」
『ブラックエクリプス』はユーベルコードを封じられていた。
 だからこそ、彼は知らなかったのだ。
 効果が切れた、と体感できるのはユーベルコードを使用すること。
 ならばこそ、彼は未だにユーベルコードが使用できないと思いこんでいる。この齟齬は大きい。さらに煙幕、麻痺といったジャマーの決戦配備の支援によってトーヴァは己の有利な状況へと『ブラックエクリプス』を引きずり込んでいたのだ。

「徹底的にお願いしますね……」
「ああ、任せ給えよ。だが、長くは持たないぞ。やつもユーベルコードが使用可能になったことを気がつく。そうしたのなら」
 敵の苛烈なる一撃が飛んでくる。
 故にトーヴァは頷き、飛び込む。
「今しかないというのなら、そうします! ウィザード・ミサイル!」
 放たれる炎の魔法の矢。
 その一撃は『ブラックエクリプス』の装甲を溶かしながら、内部へとダメージを及ぼす。こと、此処に至って『ブラックエクリプス』はようやくにして理解するのだ。

 己が嵌められたことに。
『セラフィム』によるジャマー支援。
 それによって未だユーベルコードが猟兵ともに使用できないと思い込んでいたのだ。その不意を打つ一撃に『ブラックエクリプス』は怒りが頂点に達する。
「この私にブラフを……!」
 レーザーの黒翼がほとばしり、その一撃がトーヴァへと迫る。
 だが、トーヴァは『セラフィム』による妨害支援を受けている。無闇矢鱈に、それこそ直情的に撃つのだとして当たるわけがない。
「そういえば、何か凶兆とか色々言っていましたが……」
 そこにトーヴァはダメ押しをする。

 敵は今まさに直情的になっている。
 冷静ではないのだ。
 ならば、その茹だった頭に煮え湯を浴びせる。
「ごめんなさい。小難しくてあんまりよくわからなかったです……えっと……自分は正しいんだーって主張したい感じですかね?」 
 それは煽る言葉であった。
 だが、トーヴァ自身は至って真面目だった。それがさらに『ブラックエクリプス』の神経を逆なでするのだ。
 益々持って攻撃が直線的になったのをみやり、トーヴァはさらにウィザード・ミサイルを乱舞しながら、『ブラックエクリプス』を翻弄し続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イリスフィーナ・シェフィールド
決戦配備:メディック

侵略者が戦乱を呼ぶとか言ってるのブーメラン刺さってますわ。
話すこともないですしさっさとお帰り願いましょう。
バラバラにしてすり潰しても死なないあたりゾンビより性質が悪いですからね。
というか無限再生するなら餓死してもよろしいじゃありませんの。
他の平和の尊い犠牲になっては、知性があるなら。

何かもう上から目線なのが苛つきますわ、コードの副作用かもしれませんけど。
こういうのは心をへし折るべきですね、復活しても二度と来たくないと思わせなくては。

爆炎弾を突っきって殴り合いと参りましょうダメージは度外視ですわ。
あ、メディック用意願いますね、たぶんコード解除したらばったり倒れますわ。



「この私をおちょくるか、猟兵!」
 ブラフに重ねた挑発によってデウスエクス『ブラックエクリプス』の怒りは頂点に達していた。もはや冷静な判断はできないだろう。
 だが、彼は理解している。
 己は不滅。 
 例え打倒されるのだとしても、問題を先送りにしただけに過ぎない。
 勝利はおのれ達に約束されている。
「何処まで行っても汝らは我等に勝利はできない。一時の勝利を得て、偽りの安寧を得るがいい。戦乱は常に汝らの背後にあるのだ!」
 その言葉と共に爆炎弾が吹きすさぶようにして、猟兵達へと放たれる。

 さらに靄のような極小のドローンたちが飛び立つ。
 だが、その最中をイリスフィーナ・シェフィールド(相互扶助のスーパーヒロイン・f39772)は走る。
「侵略者が戦乱を呼ぶ。あなた方自身が争いの種でありながら、それを説くとは。もはや話すことなどなし。さっさとお帰り願いましょう」
 イリスフィーナの瞳はユーベルコードに輝いている。
 赤い角、黒翼と悪魔の尾。
 その姿である限り、オーバー・ドライブは続いている。
 イリスフィーナは今の負傷を先送りにしている。つまりは、不滅たるデウスエクスと問題が逆転している状態である。

 デウスエクスは今、打倒されても復活できる。
 されど、イリスフィーナは今、打倒されることはない。だが、今受けたダメージや影響はオーバー・ドライブが効果を終えた時遅いくる。
 だからといってイリスフィーナがそれを恐れているわけではない。
「というか、無限再生sれるなら餓死してもよろしいじゃありませんの」
「滅びを肯定するなど。言語道断である。滅びぬためにこそ存在エネルギーであるグラビティチェインが必要なのだ。そのために我等は奪うのだ。汝らは奪われるだけの存在であると知れ」
 放たれる爆炎弾がイリスフィーナを襲う。
 だが、それでも彼女は飛び込む。

「何かもう上から目線なのが苛つきますわ」
 これがユーベルコードの副作用であったのならば、きっとそうだと彼女は思うことにした。己の姿形に中身が引っ張られている。
 故に、荒々しくも彼女は『ブラックエクリプス』を正面から打ち据える。
 叩きつける拳の痛みなど感じない。
 どんなに爆炎が彼女の体を吹き飛ばさんとするのだとしても、彼女は構わなかった。
「このためのメディック要請かい! 無茶をする!」
「効果が切れた後のことまで気を回して戦わなければならないのです。致し方のないこと。ですが、それ故に今全力を持って敵を打倒することができるのですわ!」
『エイル』博士の通信にイリスフィーナは応える。
 ユーベルコードを解除するまでという時限。
 けれど、その効果は絶大だった。

「なぜ、倒れない!?」
「お教えする必要、あります? 他の平和の尊い犠牲になっては如何です。知性ありきと他者を見下ろすことしかできないのならば!」
 振るう拳の一撃が『ブラックエクリプス』の顔面を捉え、吹き飛ぶ。
 どんな状況にあっても勝利を目指す。
 例え、この先にまつのが耐え難い苦痛であるのだとしても、イリスフィーナには恐ろしいとは思えなかった。
 彼女が恐ろしいと思うのは、己が恐れ、たじろぎ、慄くこと。
 ただそれだけだ。

 故に彼女は裂帛の気合と共に拳を叩きつけ、戦いが終えた後、メディックによって収容され傷を癒やすことになるのだが、それはまだ先の話である――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクトリア・ノウェム
……別にその場で即復活とかしないのなら不滅だろうとそんな困らないです
むしろ何度でも撃退して報酬をもらうです

いくです、エル・セプス…!
外装形態でケルベロスファングを放ち、ファングが敵本体に当たればそのまま振り回し叩きつけ、そうでなければ柱や壁に食い込ませ姿勢制御に利用、最高速度で負けてても、こういう施設内なら推力移動とアンカーを使っての小回りで勝負、です

それに、こっちにばかり気を取られてると痛い目見る、です……!
ほら予備の天使核を盗った分、しっかり働くです、【アウェイク・ミステリオンEX】……!
ミステリオンを戦闘機形態に変え、二機で連携を取り、魔導砲とファング、機銃と蔦槍で攻めていく、です……!



 猟兵の渾身の拳の一撃がデウスエクス『ブラックエクリプス』の躯体を吹き飛ばす。
 何たる光景であろうか。
 デウスエクスは不滅。
 強大な力を行使して迫る彼らの強大さは言うまでもない。
 だというのに猟兵たちはためらわない。
「徒労に終わると知りながら、それでも勢いが衰えないとは……!」
『ブラックエクリプス』はレーザーの黒翼でもって飛び立とうとする。だが、その飛び立とうとする彼をさらに頭上から抑え込むようにして三つの鉤爪の鎖が飛び、躯体を抑え込む。
「――っ、何……!?」
「……別にその場で復活しないのなら不滅だろうと、そんな困らないです。むしろ」
 三つの鉤爪。
 ケロベロスファングの主であるヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)は鎧装形態へと変貌した『エル・セプス』と共に『ブラックエクリプス』の頭上から襲いかかる。

 鎖を握りしめる。
 くらいついた鉤爪は引き抜けることはない。食らいつくようにして突き立てられているからだ。そして、『エル・セプス』の内部ジェネレーターがうなりを上げ、『ブラックエクリプス』を鎖ごと振り回し、まるで鉄球のように壁面へと叩きつけるのだ。
「何度でも撃退して報酬をもらうです」
「即物的な考え方しかできぬ者が!」
「だったら、なんだというのです。戦う目的に貴賤なし、です。誰がために戦うことと、自身のために戦うこと。デウスエクス、あなたたちを撃退することに違いはない、です」
 故に、とヴィクトリアは振り払われた鎖を振り回し、さらに基地内部の装飾にケルベロスファングを食いつかせ、変幻自在たる機動でもって『ブラックエクリプス』へと躍りかかる。

 そう、鎧装にも変形する飛空艇『エル・セプス』はヴィクトリアの乗騎でもあり、鎧でもあるのだ。
 この鎧装形態は小回りが効く。
 そして、推力に回していた出力を鎧装の防御力へと回すことができる。
 何せ、このような周囲を覆われた状況であれば推力は必要ない。最低限で良いのだ。ケルベロスファングによって遠心力を利用した機動でもって十分翻弄できる。
「卑しきものが! この私を打倒しようなど……」
「こっちにばかり集中していていい、です?」
 その言葉の意味を『ブラックエクリプス』は理解できなかっただろう。何を言っているのだと訝しむ顔をヴィクトリアは見つめる。
 本当にわからないのか、と問うような瞳に逆に『ブラックエクリプス』がたじろぐ。

「なに、を……!」
「こういうこと、です!」
 アウェイク・ミステリオンEX(アウェイク・ミステリオンエクス)。
 己の飛空艇『エル・セプス』に内在する攻性植物『ミステリオン』。天使核のエネルギーを得て成長した攻性植物は戦闘特化状態へと至り、戦闘機さながらに宙を舞うのだ。
 放たれる種子の機銃に蔦槍が『ブラックエクリプス』へと叩き込まれる。
 そして、ヴィクトリアと『ミステリオン』の二機による同時飽和攻撃は、『ブラックエクリプス』にとって悪夢の如き光景であったことだろう。
 ヴィクトリアと『ミステリオン』の連携が緻密だった。
 あの変幻自在な動きに『ミステリオン』は追従し、ヴィクトリアの死角を埋めるように機銃でもってこちらの動きを制してくるのだ。
「この私が……翻弄される、など……!」
「その調子、です『ミステリオン』。自分の食い扶持は自分で稼ぐの、です」
 応えるように『ミステリオン』の機銃が種子を放ち、『ブラックエクリプス』の体を打ち据える。
 さらにヴィクトリアの魔導砲が放たれ、『ブラックエクリプス』はその躯体にさらに傷を刻むしか無いのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
引き続きアルカレクスで
相手の攻撃は『Eフィールド』を最大出力で対抗する!
…この状況なら攻撃力(バリアを破れなくなる)も攻撃回数(避けられた時が厳しすぎる)も捨てるとは思えない
なら犠牲にするとしたら射程・装甲・移動力のどれか。そしてこの施設内ならどれであっても問題はないわ

……博士!(心情的に複雑なので「エイル」とは呼ばない)この基地は“潰れて”も問題ないわよね!?
……兵の不死不滅程度で猟兵相手にどうにかなると思ってるなら、その甘い考え、基地に費やした資源や時間ごと圧し折らせてもらう……!!
…いくわ、リミッター解除、限界突破最大出力での無差別【Gプレッシャー】……!超重獄へと、落ちなさい……ッ!!



 猟兵たちの攻勢によって傷負うデウスエクス『ブラックエクリプス』は魔杖『エクリプスブラスター』を掲げる。
 傷負うのだとしても、不滅であるのだとしても。
 この前哨基地を失うわけにはいなかった。
 時はデウスエクスに味方している。
 地球は撃退しても間を置いて再び襲来してくる不滅たる存在を滅ぼす術を持たない。
 じりじりと消耗させていけば、いずれ支配することも可能だろう。だが、それは足がかりがあればこそである。
 故にこの前哨基地は失えない。
「『エクリプスブラスター』! 応えよ!」
 変形する魔杖。
 それは巨大な刀身へと変形する。その刃渡りの長さは尋常ではないものだった。さらに迸る力。エネルギーの奔流はどれだけ離れていたとしても、迫る猟兵に届くだろう。

「切り裂け、『エクリプスブラスター』!!」
 放たれた斬撃が全周を切り裂く。
 その一撃をアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)の駆る『アルカレクス・ドラグソリス』はエネルギーフィールドで受け止める。
 火花散るようにエネルギー同士が相殺され、砕けていくフィールドをアルカは見ただろう。
「やっぱりこの状況になって攻撃力を損なうことも、攻撃回数を捨てることもない……! 犠牲にしたのは!」
「そうよ! 汝らを撃つために必要なのは力!」
 犠牲にしたのは移動力。
 足を止めて刀身を伸ばしたのが証拠だった。ならば、とアルカの瞳がユーベルコードに輝く。

「……博士!」
「んっ!? 私!?」
「あなたしかいないでしょう! この基地は“潰れて”も問題ないわよね!?」
 アルカは『エイル』博士を名前で呼ぶには複雑な心境だった。故に、博士と呼ぶ。
 そして、彼女の問いかけに『エイル』博士は頷く。
「むしろ、ぶっ潰してくれ!」
「了解……! 対象設定!」
『アルカレクス・ドラグソリス』のアイセンサーが煌めく。
 それはユーベルコードの輝き。

「フィールド構築」
「何をしている……ぬっ、これは……『エクリプスブラスター』が重たく……いや、私が重たくなっているのか……!」
「そのどちらも誤りよ! 重力制御開始……! 押しつぶしなさい、Gプレッシャー(グラビティプレッシャー)!!」
 咆哮上げるようにして『アルカレクス・ドラグソリス』より放たれるユーベルコード。
 それは前哨基地を対象とした領域に加わっている重力の大きさを、巨大化する。
 手段を選ばぬ呪力制御によって、対象領域に在るもの全てに荷重がかかるのだ。
「ぐっ、おおおおっ!!!」
「不死不滅程度で猟兵相手にどうにかなると思ってるのなら、その甘い感g苗、基地に費やした資源や時間ごと圧し折らせてもらう……!」
 リミッター解除されたジェネレーターから生み出される重力は『ブラックエクリプス』を押しつぶさんとのしかかる。

「超重獄へと、落ちなさい……っ!!」
 アルカは告げる。
 ここが終着であると。何処まで行っても地球は侵略させない。その意志を見せるように例え、オブリビオンが相手ではなくとも。
 不滅たるデウスエクスであろうとも関係ないと操る重力で持って『ブラックエクリプス』を基地ごと押しつぶすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

廿鸚・久枝
わしの居た世界もそうだったが、飢え苦しみは容易に判断を狂わせる。

シールドに掛かった祝福で【オーラ防御】遠距離攻撃を【盾受け】
【索敵情報収集】センサーで相手を常に捉え、グレイキャノンで【砲撃】
ちょっとやそっとの攻撃力で、この守りを崩せるとは思わんでもらおうか。

もうちょっとどうにかなったんじゃなかろうかと思う事で世は一杯じゃ。
判断を下すには速過ぎやせんか?

エクリプスブラスターの近接攻撃を盾で受け、
|『転身』《ワープ》バーリオルを出で、0秒攻撃。
超高熱の灼光棒鎚で【焼却重量攻撃】

……世知辛いのう。
その場その場の勝利が、生存に繋がるとは限らんぞ?

バーリオルのキャノンを【念動力】で作動、不意討ち【追撃】



 生命は飢える。
 活動するのだから当然である。飢えを癒やすためには食らわねばならない。他者の生命を。持っている者から奪う。
 それが摂理であるというのならば、悲しいことだと思えること自体が幸せなことであったのかもしれないし、不幸でもあったのだろう。
 意志をもつが故に。
 悪心と善心を持つがゆえに。
 揺れる心に生まれる良心があるがゆえに。
 苦しまなければならない。
「わしの居た世界でもそうだったが、飢えや苦しみは容易に判断を狂わせる」
 廿鸚・久枝(老キャバリア・f36383)は『バーリオル』の灰色装甲を基地内部へと走らせる。

 猟兵のユーベルコードが炸裂し、基地を圧潰させながらデウスエクス『ブラックエクリプス』を追い詰めている。
「私が判断を誤ったとでも言うか!」
 手にした魔杖『エクリプスブラスター』が砲身へと姿を変え、放たれる熱線のごとき一撃が『バーリオル』を襲う。
 重装甲たるシールドを構えた『バーリオル』がその一撃を弾きながら、しかしあまりの熱量に装甲が溶解していくのを久枝は理解しただろう。
 オーラ防御を重ねた上で、この威力である。
 殺しきれない。
「見事な一撃であるがな! この護りを崩せるとは思わんでもらおうか」
「ならば、幾度でも打ち込むのみ!」
 接近を許さぬとばかりに第二射が放たれ、シールドが吹き飛ぶ。

 次なる一撃で確実に『バーリオル』を打ち抜くことができるとわかるには十分なものであった。
「もうちょっとでどうにかなったんじゃなかろうかと思うことで世は一杯じゃ」
「何の話をしている!」
「いやなに。お前さんたちのことよ」
 久枝は思う。
 もしも、という仮定が許されるのならば、この地球に住まうかつてデウスエクスであった者たちと動揺に、『ブラックエクリプス』や『ユミルの子』らであっても共存することが可能であったのかも知れないと。
 共存を選ばなかったのは飢えによるものであったのかもしれない。
 そう思うのならばこそ、久枝は思わず言葉をはきだす。

「……世知辛いのう」
 放たれる『エクリプスブラスター』の一撃が『バーリオル』へと叩き込まれる。
 装甲が溶解しながら内部にある己に迫っている。
 だが、彼女の瞳はユーベルコードに輝く。
「バーリオル』は巨大なキャバリアである。通常のキャバリアよりも巨大な装甲だけはない。サイズ自体も一回り大きい。
 なぜ、と問われたのならば、その答えが此処にある。

 転身(ワープ)。

 ユーベルコードの輝きと共に『バーリオル』の『中身』が一瞬で殻を脱ぐようにして宙に飛び出す。
 その姿を『ブラックエクリプス』は見上げることしかできなかっただろう。
 目の前に在ったのは小型キャバリア。
 サイキックキャバリアである機体は久枝の『セイズ・フリーン』。
 その矮躯とも言える体に秘めたるは神の力と久枝の魂。
「その場その場の勝利が、生存に繋がるとは限らんぞ?」
 熱線の一撃を受けて砕ける『バーリオル』の武装、グレイキャノンを念動力で持って『セイズ・フリーン』が作動させる。

 天頂から襲い来る一撃。
『ブラックエクリプス』は躱すことも防御することもできなかった。
 僅かな刹那。
 刹那にも満たぬ一瞬。
 久枝の一撃は不可避たる一撃となって『ブラックエクリプス』の躯体を打ち抜くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

ジャージはいいですよね!
で! で! もちろん袖まくりはしてますよね!
捲ってないなら捲りますよ!

アッハイ。いまそこじゃないですね。

それでステラさん……あ、あれ?(ぽっつーん)
あ、あのですね?あのゴーレム……。(ぽっつーん)
ス、ステラさん!わたし演奏して……(ぽっつーん)

……(えぐ)
いーもんいーですもん。
解ってはいますけど、あそこまで放っておくことないじゃないですか。

ソナーレを喚んでコックピットに潜り込んじゃいます。
えぐえぐしていたら、【勇者の憂鬱】が自動発動していました。

『いました』……?
ずっといましたよ?(にっこり)

ソナーレの外部スピーカーをONにして、思いっきり演奏しちゃいます!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
まさかのジャージッ!
もしかして芋ジャージですか!?萌え!!

なるほど
女性のエイル様にどういう意味があるのかと思っていましたが
そうですか…反転している、ということですか
エイル様は平和の為に戦いを呼び、そして勝利する
ですがエイル博士は平和の為に戦い、そして敗北しながらもなお平和を求めて戦い続ける
結果的にデウスエクスの邪魔をしているのは流石というべきか
まぁ負けたメリサ様もいますし
エイル様の多様性はもっとあっても良いのでは?

さて
赤と青で似非セラフィムっぽい感じですが
とっとと退場いただきましょう
フォル!
【アン・ナンジュ・パス】で仕掛けます!
あ、ルクス様いました?
すみませんエイル様に夢中でした



 ジャージとは伸縮性に優れた着衣である。
 動きやすく、汚れても構わない。
 それでいて機能的。正直に言うと、もう全部これでいい。そう『エイル』博士は思っていたのだ。
 別に特別でもなんでもない。
 だがしかし。
「まさかのジャージッ!」
「ジャージはいいですよね!」
「もしかして芋ジャージですか!? 萌え!!」
「で! で! もちろん袖まくりはしてますよね! 捲くってないなら捲くりますよ!」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)とルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)の食いつき様は異様だった。
 あまりにも異様だった。
「こわぁ……」
『エイル』博士はホログラム通信で本当によかった、と思った。
 直にこの二人の勢いに触れていたのならば、正直ドン引きしていたに違いない。だが、通信という距離があるのならば、まだなんとか大丈夫であった。

「アッハイ。いまそこじゃないですね」
 ルクスは我にかえる。
 そう、今はデウスエクスの前哨基地での戦いである。先んじた猟兵たちのユーベルコードが煌めき、基地を圧潰させながらデウスエクス『ブラックエクリプス』を打倒せんと攻撃を叩き込んでいるのだ。
 この攻勢を緩めるわけにはいかない。
 その最中、ステラは勝手に考察を進めていた。もっと他にやることないかなってルクスは思ったかも知れない。
「それでステラさん……」
「なるほど。女性の『エイル』様にどういう意味があるのかと思っていましたが、そうですか……反転している、ということですか」
「あのー……」
「『エイル』様は平和の為に戦いを呼び、そして勝利する。ですが、『エイル』博士は平和の為に戦い、そして敗北しながらもなお平和を求めて戦い続ける」
「しれっと連戦連敗ってディスるのやめてくんないかなぁ!」
 ステラの考察にルクスも『エイル』博士も突っ込む。
 だが、しかし!

 こと『エイル』絡みになるとステラは止まらない。
 丸メガネのインテリジェンスは何処に行った!
「結果的にデウスエクスの邪魔をしているのは流石というべきか。まぁ、負けた『メリサ』様もいますし。『エイル』様の多様性はもっとあっても良いのでは?」
 多様性で片付けられた。
「あ、あのですね? あの、ゴーレム……」
 だが、ルクスは置いてけぼりである。そろそろ『フォルティス・フォルトゥーナ』からおろしてもらえないかなーってルクスは思っていた。
 今もぶら下がっている真っ最中である。
 というか、これでは演奏もできないんですが。

「ス、ステラさん! わたし演奏して……」
 ぱっと離されるルクス。
 地面に着地してルクスは唖然としてしまう。『フォルティス・フォルトゥーナ』に乗り込んだステラは考察するあまりにルクスの存在を忘れてしまったようである。
「不憫が過ぎない?」
『エイル』博士の言葉も尤もである。もっと大事にして。
 ぽつーんとルクスは立ち尽くすしかなかった。
「さて、赤と青で似非『セラフィム』っぽい感じですが、とっとと退場いただきましょう。フォル!」
 ステラはもうなんていうか、止まらない。
 眼鏡かけているせいか視野狭窄になっているのかもしれない。ユーベルコードに輝く瞳とアイセンサーが高速機動マニューバと共に『ブラックエクリプス』を法論沿いながらキャバリアに搭載された武装を一気に解き放つ。

 爆風が荒ぶ。
 その最中、ルクスは拗ねた。拗ねに拗ねた。
「いーもん。いーですもん。解ってはいますけど、あそこまで放っておくことないじゃあないですか」
 ぐすんぐすん。
『エイル』博士はなんて言っていいかわからなかった。
 基本サポートAIとばっかり話してるし、そのAIにすら適当にあしらわれたり、ディスられたりしているのでルクスにはシンパシーめいたものを感じていたのだ。
 こういう拗ねた時は放っておいてほしいのだ。うそ、でも放って置いてほしくないという気持ちもまた内在しているから厄介なのであるが。
 爆風荒ぶ戦場の最中、ルクスはえぐえぐしながら『ソナーレ』のコクピットに乗り込んでメソメソしている。
 
 勇者の憂鬱(ユウシャノウラノカオ)は伝播する。
 具体的には、『ブラックエクリプス』の運気、元気、やる気を削ぎ落とすのだ。
「――、ぬぅっ、何だ、この感情は……! 倦怠感、だとでもいうのか!」
「あ、ルクス様いらっしゃったんですね」
「『いました』……?」
『ソナーレ』のコクピットの中でルクスは、にっこりと笑顔になる。
 ようやく見てくれた、という理由ではない。
 別に笑顔は嬉しいときにだけ浮かぶ表情ではないだろう。

 それは即ち。
「すいません。『エイル』様に夢中でした」
「勇者だってストレス貯まるんですからね――!」
 外部スピーカーがオン担ったことを示すようにルクスの叫びが迸る。
 その叫びに『エイル』博士はホログラム通信を一時的に切る。なんで切るのかってもうおわかりですよね。
 ステラの鼓膜と『ブラックエクリプス』のなんかこういろんな者をぶっ飛ばす爆音演奏が始まるのである――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
予算使い込み疑惑でエイル博士が背任罪で問われそうになっていると聞いて、
お助けに参上しました~!

バニーの紋章さん、発動してください。
(巫女姿から敏捷性に溢れたバニーガール姿に変身)

そして《神力軒昂》発動。
ここはデウスエクスの基地内。
そのような場所で最大攻撃力を持つトップのブラックエクリプスさんが自身の力を制御できなくなれば基地崩壊しちゃうんじゃないかな~?

巻き添えを受けないように、結界術・高速詠唱で防御壁を展開したり、
天耀鏡の盾受け・カウンターで光線を跳ね返したり、第六感・心眼で
攻撃予測して見切り・ジャンプで躱したりと。

煌月に神罰・雷の属性攻撃を籠めて、衝撃波・鎧無視攻撃で斬りましょう!



 大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)には、事態をまるっとつるっとくるっとお見通しであった。
 なにが、と問われたのならば湾岸の決戦都市の責任者、亜麻色の髪の女性『エイル』博士が予算の使い込み疑惑で背任罪に問われそうになっていることに、である。
「えっ!?」
『エイル』博士はそんなことになってるの!? と驚愕する。
「ちょ、ちょっと待って! なんで!? 使い込みって言っても『セラフィム』を完成させるのは人類のためだよ! 人類のため! デウスエクスをぶっ飛ばすためだから!」 
 だから予算をたくさん必要とするのは仕方のないことなのだと彼女は言う。
 だが、詩乃は頭を振る。
「でも、連戦連敗なんですよね?」
「う」
「今回も負けちゃったんですよね? 壊しちゃったんですよね?」
「そ、それは、その……」
 そうだけど、とちいさくなる『エイル』博士に詩乃は微笑む。

「そんな『エイル』博士をお助けに参上しました~! バニーの紋章さん、発動してください」
 その言葉と共に詩乃は何故かバニーガール姿に変身していた。なんで?
「なんでバニーガール?」
「紋章の力を使うためです。バニーは敏捷性に優れていますから」
「だからってなんでバニーガール!?」
 関係なくない!? という『エイル』博士の冷静なツッコミを詩乃は無視してユーベルコードに瞳を輝かせる。
「世の為、人の為、これより私の神力全開でお相手いたしましょう」
 戦場に突如として現れたバニーガールの姿にデウスエクス『ブラックエクリプス』も驚愕しきりであった。

「なんだこれは……私は幻覚でも見ているのか……?」
「いいえ、幻覚ではありません。これこそが、神力軒昂(シンリョクケンコウ)」
 若草色のオーラが迸る。
 そのオーラは『ブラックエクリプス』にさえ作用するだろう。そして『ブラックエクリプス』は己の力が制御できなくなっていることを知る。
「……どういうことだ、これは……! この溢れる力は……私の制御機能を、超えている……!?」
 膨れ上がっていく力。
 まるで制御できない。
 詩乃を見やる。彼女は微笑んでいる。バニーガール姿で。いまいち締まらない。というかどれだけ問いかけてもきっと詩乃は微笑むだけだっただろう。

「力が……!」
 抑えきれぬ力を発露するように放たれるレーザーの黒翼。
 迸る力は熱線となって、狙い定まらぬ砲撃は基地内部を更に崩壊に導くだろう。
 乱射、と言っても良いほどのレーザー攻撃。
 それはともすればバニーガール詩乃にも届くものであった。だが、このときのため俊敏性を上げていたのだというように詩乃は軽やかにレーザー攻撃を躱していくのだ。
「まさか、この力の暴走は……!」
「ええ、そうです。あなたの力はあなたでは制御できない領域まで、私が強化しました。この前哨基地は徹底的に潰させていただきます。そのために」
 詩乃は跳ねるうさぎのようにレーザー攻撃を躱しながら、飛ぶ。

 その手にあるのは神力籠められし薙刀。
 雷の力を籠めた神罰の一撃が今、振り下ろされる。
「あなたにお仕置きをいたしましょう! うさぎだけに月に代わって!」
 それ以上はやばい! バニーガール姿でもやばいのに、さらに上乗せしてくる詩乃の神性としてのハチャメチャ具合を示すように一閃が『ブラックエクリプス』を天頂から振り下ろされるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
決戦配備:スナイパー
引き続き『疾き者』にて
武器:灰遠雷

ふむ、なるほどねぇ。
少なくとも、あなた方にとっては凶兆でしょうねー。
…『私たち』は、あなた方を許しませんしね。

何を強化しようが、無駄と知りなさい。
攻撃は今まで得た戦闘知識で見切って避け、さらには攻性結界にした四天霊障で弾いていく。

さて、まあ決戦配備を要請したのには理由がありましてー。遠距離攻撃の方が、安全かと。
このUC。どこまでも追い続けるこの矢こそ…あなたの力を削ぐのです。
さらに、矢には雷属性ついてますから、一瞬でも痺れれば…スナイパーの攻撃も当たっていくのですよねー。

エイル博士の方にも、花を持たせませんとねー。



 デウスエクスは不滅である。
 言うまでもないことである。猟兵であっても滅ぼせない。オブリビオンを滅ぼすことのできる力を有していたとしても、だ。
 これは変わらない。
 余程、宿縁に恵まれぬ限りは滅ぼすことができないのだ。
 故にデウスエクス『ブラックエクリプス』は、どれだけの劣勢に立たされようとも力を振るうのだ。
 魔杖『エクリプスブラスター』を掲げる。
「無駄だ。どれだけの凶兆があるのだとしても! 私達が勝利する未来は変わらぬ! 不滅たるデウスエクスは!」
 掲げた魔杖より放たれる熱線の一撃が広範囲に渡って走る。

 その一撃を受け止めながら馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』は雷の力籠められし強弓を引き絞る。
「ふむ、なるほどねぇ。少なくとも、あなた方にとっては凶兆でしょうねー」
「そうなのだとしても、私達は!」
「デウスエクス……オブリビオンではない。だとしても……『私たち』はあなた方を赦しませんしね」
 放たれる光線。
 その光線に合わせるようにして呪詛纏う強弓から放たれる矢は一気に空中で分裂し、光線と激突して相殺される。
「相殺だと……!?」
「何を強化しようが、無駄と知りなさい」
 霊障の結界が走るようにして広がっていく。

 どれだけ光線が分裂する矢よりも多くあるのだとしても、『疾き者』は己たちの霊障結界で弾くのだというようにして戦場を入る。
「決戦配備の準備はよろしいですかー?」
「ああ、任せ給えよ!『セラフィム』!」
 通信の先にある『エイル』博士が頷く。その言葉と共に赤と青の装甲を持つ『セラフィム』が戦場に飛び込んでくる。
 その手にしたのは巨大な砲身。
『決戦配備』――スナイパー。そのポジションを示すように砲身、その砲口にエネルギーが充填されていくのが見える。

「木偶人形がどれだけあろうが!」
『ブラックエクリプス』より光線が解き放たれる。だが、それらの全てを四天境地・雷(シテンキョウチ・カミナリ)は撃ち落としていく。
「……ッ! 全て、撃ち落とされる、だと!」
「悪霊からは逃げられない。そういうことになっているのです。そして……」
 相殺する端からさらに矢が分裂していく。
 標的と定めた者を追い詰める矢は『ブラックエクリプス』を取り囲むようにして放つ。

 まさに雷の檻とも言うべき無数の矢が『ブラックエクリプス』の動きを封じるようにして一気に叩き込まれるのだ。
「……このっ、私が!」
「一瞬でも当たればいいのです。そして、その一瞬を見逃さぬものがいることをあなたは知るべきなのです」
 その言葉と共に『セラフィム』より放たれるは高エネルギーの一射。
 光条が走り、『ブラックエクリプス』の躯体が貫かれる。
 膨大なエネルギーを籠められた一撃であるからこそ、『ブラックエクリプス』の装甲を貫通するのだ。
 凄まじい爆発が巻き起こる。

「『エイル』博士の方にも、花をもたせませんとねー」
『疾き者』は軽く笑っていう。
 彼女は連戦連敗である。その事実は変えられない。けれど、ケルベロスや猟兵たちにとって得難い助力であることに違いはない。
 故に彼女の評価を損なわぬためにこそ『疾き者』は『セラフィム』を利用し、戦果を示すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
此方のエイルは今度は女かよー!?

やはりエリクシルとかの仕業で巡り巡って沸いたのか…?

まあいい…彼奴をぶちのめせば博士から素敵歓待してくれるってわけだな!

「ひゃっはー☆」

決戦配備
スナイパー

ユミルの子のボスがコイツか…
なんか自律してるオブビリオンマシンっぽいな?

「メルシーは神機だよ☆」

【戦闘知識・情報収集・視力】
敵機の動きと変形武器の性質を細かく把握

【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源隠蔽

【空中戦・念動力・弾幕・電撃・スナイパー】
UC発動
超高速で飛び回りながら念動光弾を乱射して蹂躙
動きを止めて決戦配備の支援砲撃を叩き込ませる

中々便利と言うかこの世界の連中は逞しいな!
「こんな絶望的な相手なのにね☆」

まあ
最強無敵のカシムさんがついてる時点で勝利確定ってな!

何て軽口叩きながらも油断なく敵機の状況把握

【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
超速で切り刻み武装や何やらを強奪!

おめーいいもん持ってるじゃねーか?
リサイクルするから寄越しやがれーー!
「ひゃっはー☆」



 神速戦闘機構『速足で駆ける者』(ブーツオブヘルメース)は戦場を疾駆する。
 その速度はデウスエクス『ブラックエクリプス』にとっても驚愕せしめるものであったことだろう。
 加速装置による機動によって残像すら残す速度。
「――なんたる速度……!」
 放たれる魔杖『エクリプスブラスター』が掲げられ、無数の光線が放たれている。
 猟兵とケルベロスたちによる飽和的な攻撃にさらされている『ブラックエクリプス』にとって、攻撃の回数は抑えられない。犠牲にできない。
 敵を寄せ付けぬために弾幕を張る、という意味では魔杖『エクリプスブラスター』の使い方は正しい。

 しかし、その弾幕をかい潜る者がいることを彼は知るべきだったのだろう。
「これだけの光線の中を……!」
『ひゃっはー☆』
 そんな中、戦いに似つかわしい声が響き渡る。
「『ユミルの子』のボスがコイツか……なんか自律してるオブリビオンマシンぽいな?」
『メルシーは神機だよ☆』
「言ってる場合かよ! ほんと、どーなってやがんだ! この世界の『エイル』は女で、エリクシルか? やっぱりエリクシルがどうにかこうにないらんことをしでかしてくれたってことか!?」
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は状況と事象を前にして混乱している。
 さらに『メルシー』の喚くような言葉にも翻弄されっぱなしである。
 弾幕の光線を、そんな状況にあって躱すことができているのは、彼の操縦と『メルクリウス』のユーベルコードが在りきであっただろう。

「まあいい……彼奴をぶちのめせば、博士から素敵歓待があるってわけだしな!」
「そんな約束してないけど!?」
『エイル』博士の声が聞こえるが、カシムは聞こえないふりをした。
『ひゃっはー☆ 光学迷彩でいっくよー☆』
『メルシー』の言葉と共に機体の姿が消える。熱源を感知させぬ水と光の属性に寄る光学迷彩。
「姿が見えずとも! 絶え間ない弾幕であればな!」 
 さらに苛烈さを増す『エクリプスブラスター』の光線の雨。
 そのさなかを『メルクリウス』は超高速で飛ぶ。
「『メルクリウス』……お前の力を見せてみろ!」
 アイセンサーが煌めく。
 迸るは加速装置の機能をさらに三倍にまで引き上げる超高速機動。そして、その機動に載せる鎌剣の斬撃の嵐であった。

 光線を切り裂き、弾き、さらに飛ぶ。
 踏み込む。
 その踏み込みは恐ろしいほどに早かった。
「速い……ッ! だが!」
『ブラックエクリプス』が振るう魔杖の一撃が『メルクリウス』を捉える。
 だが、その一撃は虚空を切る。
 残像である。一拍遅れて『ブラックエクリプス』の躯体が弾かれるようにして吹き飛ばされる。

「おっせーんだよ! スナイパー! 頼むぜ!」
「任せ給えよ、『セラフィム』!」
『エイル』博士の通信により『セラフィム』が長大な砲身を掲げ、その充填されたエネルギーを開放して光条の一撃を『ブラックエクリプス』へと叩き込む。
「ぐっ、だが、この程度で……私が!」
「はっ、中々に便利っていうか、この世界の連中のたくましさが知れるな! おめーらみてーなぶっ飛ばしてもぶっ飛ばしても懲りずにやってくるデウスエクスを相手にしてるんだ!」
『ねー絶望的な相手なのにね☆』
 そう。
 デウスエクスは滅びない。
 不滅である。猟兵であっても滅ぼせないのだ。だが、それでも地球に生きる人々は侵略に対して心折れることなく決戦都市や決戦配備でもって抵抗し続けている。

「まあ最強無敵のカシムさんがついてる時点で勝利確定なんだがな!」
 軽口を叩きながらカシムは『メルクリウス』と共に残像を生み出しながら『ブラックエクリプス』を翻弄し、踏み込む。
「おめーいいもん持ってるじゃねーか?」
「汝らは!」
「リサイクルするからよこしやがれ!」
『ひゃっはー☆』
 緊張感のない叫び。
 その言葉と共に放たれる斬撃が、ついに『ブラックエクリプス』の手にした魔杖の戦端を切り裂き、宙に舞いながら地面に墜ちるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皇・絶華
うむ
ユミルといいエクリプスといい私が知るものも多いな此処は
「彼奴はこの間やりあった奴だ!性懲りもなくまた沸きやがったな!てめーのお陰で地獄見たぞ!?どうしてくれやがる!?」(八つ当たり!主は…うん、一応復活させてくれたし…屈服させられたし…恩義もあるにはあるし服従誓ってしまってた。ノベル参照!)

【戦闘知識】
敵機の動きを見据え以前との差違も分析


決戦配備
ジャマー

動きを止めて貰う

UC発動
【念動力・乱れうち】
高速で飛び回っては次元転移も交えながら念動光弾を乱射して叩き込み

【二回攻撃・切断】
敵機の空間ごと鎌剣で切り刻み破壊する

「何度だってぶちのめして教えてやる!俺こそがさいきょうだってな!!」



 多くの名がある。
 多くの意味がある。
 意味を見出すことができたのならば、それはいかなる定義を生み出すものであろうか。名に意味はないと言うものがいるのだとしても。
 それでも関連性を見出すことによって、引き出すことのできる真実がある。
 少なくとも皇・絶華(影月・f40792)は、そう考える。
「うむ。『ユミルの子』といい『エクリプス』といい。私の知るものも多いな此処は」
『彼奴はこの間やり合ったやつだ! 性も懲りなくまた沸きやがったな!』
 絶華の言葉に『サートゥルヌス』が喚く。
 あいつのせいで酷い目にあったのだ。
 地獄を見たのだ。具体的に言うことさえ憚られる。まあ、色々あったのである。
 それはもう、色んな意味でこう、ごっちゃな感情が湧き上がるほどには。

「私はデウスエクスだ。滅びとは無縁。故に!」
 切り裂かれた魔杖『エクリプスブラスター』が姿を変えていく。
 対する相手に応じて姿を変貌させる武装。 
 如何に魔杖の戦端を切り裂かれていたのだとしても、その機能が変わることはない。切り裂かれ、分断された先端も形を変え、二刀の長剣へと姿を変えた『エクリプスブラスター』がエネルギーの奔流をたたえながら、無数の斬撃波を解き放つ。
 乱舞するようにして打ち込まれる斬撃波を『サートゥルヌス』はやっかいなことだと亜空間戦術級制圧機構『巨神の王』(キョジンゾクノオウ)たる力を示すように次元転移でもって躱しながら、亜空切断の鎌剣の力でもって打ち払う。

「敵も速いな……決戦配備を。動きを止めて貰えるか」
「任せてもらおうか! こんな時のために!」
『エイル』博士の言葉に反応して赤と青の装甲もつ戦術兵器『セラフィム』が戦場に駆け出す。
 確かに性能で言うのならば『ブラックエクリプス』やデウスエクスに及ばない。
 しかし、多彩な『決戦配備』に対応することができるように汎用性が高められた機体は、その腕部から電撃解き放つ筒状の武装を展開させる。
「動きを止めるだけならば、簡単にできるのだよ!」
 放たれる電撃。
 だが、その一撃を切り裂くようにして『ブラックエクリプス』は二刀の斬撃波を放ち『セラフィム』の躯体を斬りつける。
「無駄だ! この程度で私を!」
 止められるわけがない、と豪語する彼の体を掴む『セラフィム』の腕部。ゼロ距離。敵がこちらの雷撃を阻止せんと接近するのを待ち構えたような動きだった。

「肉を切らせて骨を断つ、か。見事だ。礼を言おう」
 絶華の言葉に『サートゥルヌス』が頷く。
「何度だってぶちのめして教えてやる!」
 念動の光弾が乱舞するようにして雷撃によって動きを止めた『ブラックエクリプス』へと叩き込まれる。
 嵐のような攻撃。
 鎌剣を構えた『サートゥルヌス』が次元転移による瞬間移動で持って『ブラックエクリプス』の懐に飛び込む。
「さっちゃん!」
「主様! よーく見とけ! 俺こそがさいきょうだってな!」 
 瞬時に刻まれる十字傷。
 それは『ブラックエクリプス』の躯体に刻まれた最強の証。
『サートゥルヌス』による目のも止まらぬ亜空すら切断してみせる絶技の証だった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

ポジション:クラッシャー

勝ちだの負けだのこだわってどうするのさ
それでお腹は膨れないよ!

●人(機)海戦術
さあ立ち上がってボクの役に立つんだよー!っと博士に追加のロボットをじゃんじゃん要請しよう!
今年度の予算がゼロになるより大事なのは明日のクビでしょ!
ファイトファイト!

とロボットくんたちが突っ込んでる間に力を溜めて膨れ上がらせたマックスパワー[超重浮遊鉄球]くんを戦場に向けてドーーーンッ!
ロボットくんたちもまとめて吹っ飛んでる中、崩れて飛び散る基地の残骸も【第六感】に任せてすり抜けて…
UC『神撃』でドーーーンッ!!

任せてよ!ボクは凶兆よりも希望の押し売りの方が得意なんだ!



 戦いにおいて勝敗が決することは戦いが終わることを示す。
 当然のことだ。
 勝者と敗者が生まれるのが戦場である。
 そして、そのためにこそ死力を尽くすのだ。滅ぼされぬために。滅ぼすために。多くの力を他者から奪って。
 だが、ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は笑う。
「勝だの負けだのこだわってどするのさ! それでお腹は膨れないよ!」
 彼の言葉は真理を突いていたことだろう。
 デウスエクスが求めるのは存在エネルギー、グラビティチェインである。それが枯渇しているために彼らは宇宙よりグラビティチェインの存在する地球へと侵略を開始する。

 それはわかる。
 資源が枯渇しているのだ。奪うしかないだろう。支配するしかないだろう。
 だが、現状の地球を見ればわかる。
 かつてデウスエクスであった者でさえ、不滅性を差し出しさえすれば飢えることはないのだ。
 なのに。
「だったらどうだというのだ! 奪えなければ、飢えるだけだというのに!」
 デウスエクス『ブラックエクリプス』は猟兵たちの攻勢に晒されながらも、その力を発露する。
 爆炎弾がほとばしり、ロニを襲う。
 凄まじいほどの数が降り注ぎ、前哨基地の内部を炎の海へと変え、さらに靄のような極小のドローン郡が戦場を埋め尽くしていく。
「博士ー、追加のロボットじゃんじゃんよろしく!」
「いやー結構ボコスカ壊されちゃったんで、そんなにじゃんじゃんは無理!」
『エイル』博士の言葉にロニはえーって顔をする。
「なんでさー! 今年度の予算がゼロになるより大事なのは明日のクビでしょ!」
「それはそうだけど、無い袖は振れないでしょうが!」
「ファイトファイト!」
「応援されて出せるのは気合だけ! 無理! 一騎で我慢して!」
 その言葉とともに『セラフィム』がロニの傍らに立つ。

「んもー、根性なし! でもまあ、がんばればどうにかなるよね。ロボット君、よろしく頼むよ!」
 その言葉と共に『セラフィム』が駆け出す。
 迫る極小ドローン。僅かな時間しか耐えられないだろう。けれど、それでいいロニにとっては十分だった。
 わずかでも時間を稼げたのならば、己が生み出す球体の上に飛び上がり、蹴ってさらに空へ飛ぶ。いや、違う。彼が高く飛び上がったのは、力を溜めたからだ。
 自身の拳に、ではない。
 己が蹴った球体に、である。
 最大限にまで膨れ上がった球体をロニは持ち上げる。前哨基地の内部空間すら砕きながら球体が持ち上げられる。

 その光景はデタラメそのものであったことだろう。
『ブラックエクリプス』は見上げることしかできなかった。
「なっ……」
「な、なにしてんだい君はー!?『セラフィム』ごと、まさか……!」
「もう遅いってば! 壊れちゃってるもん! 彼は彼の役目をきっちり果たしてくれたんだよ!」
 だから、とロニは笑う。
 掲げた球体の巨大さは言うまでもない。その圧倒的な質量を前にして防ぎ切ることなどできようはずはない。
 放たれるドローンも爆炎弾も球体を突き崩すには至らない。
「任せてよ! ボクは凶兆よりも希望の押し売りの方が得意なんだ! だから、キミも嘆く必要なんてどこにもないよ!」
 滅びぬこと。不滅であること。
 その何れもが飢えを満たすものではない。だからこそ、ロニは振るい上げた球体の一撃を持って『ブラックエクリプス』へと神撃(ゴッドブロー)たる一撃を叩き込むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サマエル・マーシャー
話には聞いていましたが…なるほど。
あなたたちもまた、救いを求める存在なのですね。では、まずは私があなたを救って差し上げましょう。(機体を送還してUC発動)

以降、この戦場では新たなものを呼び出すことは禁止です。何かを生やそうとしたようですが、それも駄目です。無理に押し進めても構いませんが、きっと全てが上手くいかなくなりますよ。あと、当然ながら攻撃も禁止です。

さあ、愛し合いましょう。それがあなたへの救いとなります。

相手に『神の悪意』で『盲目的で破滅的な愛』を直接注入し、愛し合います。これは攻撃ではありません。彼の心を救う医療行為です。

滅びへの恐怖を忘れ、私に溺れてください。
大丈夫。安らかに…。



 デウスエクスが地球を侵略する理由は明快である。
 存在エネルギー『グラビティチェイン』。その枯渇故に、グラビティチェインが存在する地球を侵略するのである。
 全ては飢えである。
 たった一つの単純明快たる理由。
 最も原始的な欲求の一つ。食。そのためにデウスエクスは地球に幾度となく侵略を敢行するのである。
 不滅であるデウスエクスにとって、飢えとは最も恐れるべきものである。
 故に、サマエル・マーシャー(電脳異端天使・f40407)は理解する。
 話に聞いてはいたのだ。
 デウスエクスたちの目的を。

 その目的をサマエルは。
「あなたたちもまた、救いを求める存在なのですね。では、まずいは私があなたを救って差し上げましょう」
 彼女は己の乗騎たる『サイバー・アスモデウス』を送還し、己の身一つで戦場に降り立つ。
 すでに前哨基地の内部は崩壊しかけていた。
 度重なる猟兵たちのユーベルコードが煌めき、決戦配備の戦術兵器『セラフィム』の残骸と共にデウスエクス『ブラックエクリプス』を追い詰めていたのだ。
 サマエルの瞳にユーベルコードが輝く。
「私を救うだと……? 笑わせるな!」
 背に黒翼たるレーザーの翼が羽ばたこうとして、動きを止める。
 羽撃かない。
 またユーベルコードを封じられたのかと『ブラックエクリプス』は訝しむ。いや、発動はしている。だが、黒翼が羽撃かないのだ。

「どういうことだ……!これは……!」
「以降、この戦場では新たなものを喚び出すことは禁止です。羽ばたこうとしたようですが、それも駄目です。無理に推し進めても構いませんが、きっと全て上手くいかなくなりますよ」
 うろたえる『ブラックエクリプス』の前にサマエルは一歩を踏み出す。
 戦いに赴く者の足取りではなかった。間合いを詰めるための歩法でもなかった。理解ができない。目の前の猟兵は何を言っているのか『ブラックエクリプス』は理解できなかった。
「な、何を」
「さあ、愛しあいましょう。それがあなたへの救いとなります」
「あ、い――!?」
 理解できない。

 目の前の猟兵はなんだ。
 意味がわからない。愛と言った。サマエルの言葉に『ブラックエクリプス』は当惑するばかりだった。
 敵のはずだ。なのに、目の前の猟兵は、サマエルは愛し合うという言葉を用いた。
「無論、攻撃も禁止です」
 サマエルは指を己の唇に運び、咥える。ゆっくりと引き抜かれた指先は唾液に塗れていたことだろう。
 だが、それは唾液と呼ぶにはあまりにも破滅的な因子を有するものであった。
 電子体液。
 サマエルが愛した者に快楽以外の全てを捨てさせ、貶める毒。
 それが塗れた指先を『ブラックエクリプス』へと塗りつけるように、ゆっくりと滑らせる。

「装甲が、意味をなさない、毒、だと……!? これが……!」
「これは攻撃ではありませんよ。あなたの心を救う医療行為です」
 ヤルダバオート・ジェネシスは此処に楽園を生み出す。
 世界を置換するユーベルコード。
 あらゆる分身、召喚、作成、憑依、攻撃。その全てを禁じる。ただ愛し合うためだけの空間。
 そして、それに抗おうとするものは須くサマエルの掌の上に墜ちる運命。
 故にサマエルの指先は『ブラックエクリプス』の装甲すら透過して、その毒を。否、愛を染み込ませていく。
「お、お、おおお、馬鹿なっ、この私に、っ、入り込んでくるものが、ある、だと!?」」「滅びの恐怖を忘れ、私に溺れてください」
 変わらぬ表情。
 されど、此処に人目を憚る必要性はない。
 すでに世界は書き換えられている。ここに在るのは、ただ二つの個のみ。
 愛を育む楽園しかない。

 介在を許さぬ空間に置いてサマエルは『ブラックエクリプス』を溺れさせる。満たされた愛で。毒で。全て溶かす。
「大丈夫」
 平坦な声色さえも蠱惑的に『ブラックエクリプス』には感じられたことだろう。
 なにもかんがえられない。
 不滅たるデウスエクスに対する毒。
 飢えへの根源的な恐怖すら、サマエルの愛が塗りつぶしていく。

 置き換わった世界が霧散した時、そこにあったのはサマエルだけだった
 前哨基地も『ブラックエクリプス』を撃退したことにより、崩壊していく。その崩落していく最中、サマエルはちいさく呟く。
 滅びを持たぬ存在に、一時の眠りを。
 その眠りが……。
「安らかに」
 そうあれかしと――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年08月20日


挿絵イラスト