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きみや、こんこ。

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●はるなんてだいきらい
 きらい、きらい、きらい。
 はるなんてきらい。
 暖かくなるなんて、望んでないわ。
 火も陽も必要ないわ。
 雪と氷に閉ざされた世界で、飛び跳ねて、躍って、踊るの。
 はるなんて来なくていいの。
 だから、ねえ。
 雪や、こんこ。────きみや、こんこ。

●きみや、こんこ。
「やー、少しはあったかくなってきましたね。『転校生』サン」
 グリモアベース──今はアルダワ魔法学園の、どこかの喫茶室に様相を変えているそこのテーブル席で、セロ・アルコイリス(花盗人・f06061)は言葉とは裏腹に「でも」マフラーを引き上げた。
「残念ながら寒いトコに行ってもらいてーんですよ。雪うさぎな災魔の退治に、迷宮探索ってヤツです」
 息も白くなるし指先はかじかむし、身体の震えは止まらない。きっとそんなに違いないと、結構な私見も含めながら彼は言う。
「だからまずは、寒さに耐えられるよーなモンを備えて行きましょう」
 まず落ちる階層は、魔法の力で青く晴れた空が広がり、太陽が輝いている。
 そこは青々と緑が茂り、茂り過ぎていて、熱帯の樹林や沼地の様相を呈しており。
 そして下の階層から這い上がる冷気に負けぬよう熱を蓄える植物の実がたくさん生っているのだと言う。
「持ってりゃあったかい実とか、食べりゃあったまる実とか、果汁が油みたいになってて、燃える実とか──バクハツする実とか?」
 詳しくは知んねーですけど。へらりと笑って彼は指先に浮かべたグリモアを消す。
「樹に生ってるヤツに草陰に生ってるヤツ。色々ありますけど、気は抜かねーでくださいね? 実が生るってことは、それを喰いモンにしてる存在もあるってことですから」
 猛禽、蛇、虫にエトセトラ。苦手ならば対策は重要だろう。
 もちろん、果実に頼らずとも災魔の前に躍り出ることは可能だ。ただし、果実があった方が有利に、思うように戦闘に集中できるのは確実である。
 東雲色の瞳で猟兵達をひと巡り。そして「あ」とセロは思い出したように間抜けな声を零した。
「そうだそうだ。下階に落ちるための穴も一緒に探してくださいね。じゃねーといつまで経っても降りらんねーですから」
 そこまで言い、彼はようやく猟兵達の間に流れる微妙な空気に気付いたように笑った。
「……え? 『落ちる』? あっはは、当たり前でしょ?」

 うさぎに会うなら、穴を落ちなきゃ!


朱凪
 目に留めていただき、ありがとうございます。
 暑いよりは、寒い方が好き。朱凪です。

 迷宮散策をお楽しみください。
 1章目はジャングルの中で果実探し。どんな果実を、どんな方法で探しましょう?
 それがどんな果実だと、どうやって確かめましょう?
 未知の食べ物には、充分ご注意を!

 2章以降のプレイングを送信いただくタイミングは『新章OPが公開された翌朝8時半以降』だととてもありがたいです。
 もちろん強制するものではありません。時間切れで返却されちゃってもお気持ちにお変わりが無ければ再度投げていただけたらとても嬉しいです。
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第1章 冒険 『迷宮の中の植物採取』

POW   :    休まず元気に採取する。

SPD   :    丁寧に素早く採取する。

WIZ   :    効果が高そうなものを目利きしながら採取する。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

草野・千秋
三寒四温といって、雨が降るごとに暖かくなる、とはいいますが
この世界でもそうなのでしょうか?
春は出会い、別れ、芽吹き、色々ありますね

耐熱保温ポットに暖かいスープを用意
【POW】
休まず探索しますよ
僕はサイボーグ、ヒーローです!
体力でしたらおまかせ下さい!
勇気もりんりん!
探してはみますが……色々な花と美がありますね
あれこれ美味しそうな色です
勇気をもって食べてみよう
(ぱくっ)
んんんんん!?!?
珍妙な味が!?
毒とか入ってないといいのですが……
探索ついでに緑も楽しむ

アドリブ絡みなど歓迎


岡森・椛
ジャングルの鮮やかな色彩に感激
私もアウラもワクワクが止まらないの

まずは果実を探すね
持ってるだけで温かくなる実がカイロみたいでいいな
やっぱり温かそうな色をしてるのかな?
それらしい果実を【視力】を駆使して探す
高い場所はアウラに探して貰うね
【地形の利用】で木に登ったりしながら果実を採取
見るからに怪しい果実は、まずは棒でつついてみようかな…
【勇気】を出して色々挑戦!

動物と遭遇したら【動物と話す、コミュ力】で対話を試みるの
私は敵じゃないよ
会話できたら【情報収集】で果実について聞いてみる
会話不可で戦闘不可避なら【常初花】で追い払う

入手後は探した穴にダイブ!
うさぎさん、待っててね!

※アドリブ、アレンジ大歓迎


アビ・ローリイット
【POW】

うさぎとの遊びってぴょんぴょんあったかそー
俺ちょい寒いくらいがちょうどいんだけど
んー
『ダッシュ』『野生の勘』と『物を隠す』ときの要領でさ、動物が好んで集めてる果実でも探してみよ
別に腹壊したりしないけど(少なくとも内臓は地獄の炎化)
先に鳥なんかが食べてたらまぁ死にはしないよな
食べかけのとか食べてる最中とかでもよし。やっほーうまい?
怒んなって、それ硬そうだし割ったげるようんうん(【格闘】)
色が暖色系のとかぽくね。食えるやつどんどん食ってったらどれかは当たるっしょ
あと穴っけ
下に空間があんだよな
食後の運動で地面に【グラウンドクラッシャー】してたらそのうち繋がったりしない? だめ?

アドリブ歓迎


紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
穴にうさぎと来ればエプロンドレスな藍ちゃんくんなのでっす!
アースのお話のあのおじょーさんも不思議な薬やケーキを食べて、てんやわんやしてましたねー!
というわけで! 先達を見習って藍ちゃんくんも身体でぶつかってくのです!
わくわくのどきどきを味わうのでっす!

というわけで!
ジャングルの動物さんたちを驚かさないよう迷彩黒子な皆様にこっそりと採取お願いするのでっす!
お陽様みたいに光ってる方や暖色系の方、暖かそうな方はいらっしゃいませんかー!
集め終わったら黒子の皆様と一緒に触ったり食べたり身体を張る時間なのでっす!
なにせ感覚共有してますからねー!
一人リアクション大会なのでっすよー!


ブク・リョウ
おれは食事しないタイプのUDCなので、
カイロみたいな実を沢山集めて
ポケットや懐に忍ばせたいなぁ。

蛇も虫も平気だけれど、
猛禽類の嘴とか足の爪はとっても痛いのさ。
あんまり目立たないように
周囲を警戒しながら実を探そう。

何かの実を見つけたらまずは観察。
周囲の安全を確認してから
拾った木の棒で軽くつついて
実を落とせないか試してみるのさ。

うーん。実を餌にしてる動物がいるなら、
一か所で取り過ぎるのはよくないよね。
他の実も気になるし穴も探さなきゃだし、
幾つか取らせてもらったら別の場所へ移動しよう。

穴を探す際は
植物が生い茂って地面が隠れてるところとか
幹の洞なんかを特に入念に。
怪しい箇所は木の棒でツンツンするのさ。


葦野・詞波
WIZ
まさか、実の採取からとは。
もっとも、ここ最近依頼をこなすばかりだった。
果物狩りの休暇も悪くはない。

幼い頃、食べ物に困った時は良く森の中を探したが。
今は物が溢れて飢える感覚にも乏しい。嗅ぎ分ける鼻も衰えた。
昔取った杵柄がどこまで通用するか。

食えるか食えないか。安全か安全ではないかの区別は
虫や蛇、猛禽が知っていそうだ。
奴らが近づかない実は危険だろう。逆に、わんさかいて
食らいつかれているような実は安全な実、だろうか。
最後は食べてみるとしよう

虫や蛇は恐れることもないが。
苦手な者はとことん苦手らしいな。
苦手にしている者がいれば払って導いてやるのも情けか。
下への道は、風の流れを探りながら探すとしよう


シェーラ・ミレディ
人形とはいえ、僕だって暑さ寒さは感じるのだ。
個人的に言うなら暑い方が好きなのだが……全く、雪うさぎの災魔とは!
対策は万全にしなければな。

さて、まずは果実探しか。持つと温まる実を探そう。
世界知識、学習力でそれらしい実の知識を事前に得ておき、第六感や情報収集で探し出すぞ。確認はー……まぁ、念動力で近くまで持ってくればわかるだろう。
獣は殺気で追い払い、虫相手には念動力で薄い膜を作って対応だ。

嗚呼、勿論。果実を探すついでに、下階に繋がる穴も探しておこう。
ふいに落ちても「双宿双飛」で戻れるからな。躊躇なく動き回るぞ。

※アドリブ&絡み歓迎


リティ・オールドヴァルト
【POW】

さむいのはちょっとにがてなので
がんばってさがすのですっ
リリィも手伝ってくださいねっ

ぼくはぼくの見える範囲
リリィには高いところから探してもらうのです

あったかい実…あったかい実…
他の生き物が食べる実ならぼくもたべられそうなのですっ
よーく観察して他の生き物が食べている実を探して採取
食べた生き物がぽかぽかし出したとか
そんな様子が伺えれば一番なのですけどもっ
わからなかったら味見するしかないのです
むむ…この赤い実は…
ってからいっ…
でもあったまる…でもからいのです…
涙目

何ですか、リリィ?
白い湯気が上がっている実がある?
わわっおっきい
つんつん
たぷたぷします?
お湯が入ってるみたい
温かいのですー
ほっこり


海月・びいどろ
魔法の世界で、みどりの匂い…
何だか、ふしぎだね?

ヘビとか虫とか、いるみたい
…格好良いと、思うのだけど
噛まれないように気をつけないと、毒があるから
慎重に、ね

海月たちを喚び出したら
情報収集をお願いするね
中身が詰まっていそうなものとか
真っ赤な実とか、高いところになってるのは
取って来てもらおうかな

もし、鳥たちがおいしそうに食べてる実を見つけたら
それを分けてもらおう
食べてるってことは、いきものが食べても平気、かも
……毒耐性あったら、すこし食べても
だいじょうぶ、かな?

足元、ご注意
うさぎの穴が、もし開いてたら
他の猟兵たちにも教えなきゃ

誘われたなら、お呼ばれしないと
遅刻してしまうもの


ナイ・デス
寒いとこ……ソラ(f05892)銀河帝国攻略戦でも使った、高機能宇宙服で、どうにかなると、思うのですが
……そうですね。未知を求める、冒険ロマン、大事
木の実、非常食にも、何かそれ以外にも、なるでしょうし
私も、集める、です

獣、蛇などは【動物と話す】【生まれながらの光】での治療で、仲良しに
にゃーん
現地のことは、現地のこに
実や、下層への穴について何か、知ってること、あるでしょうか?
色々な実を集め、穴に向かいます
話を聞いてくれないこは【暗殺】剣で、刺します
【鎧無視攻撃】で刺して【生命力吸収】で命を奪う

虫は、平気ですが。ソラのため
全身から【生命力吸収】の光を発して【範囲攻撃】近くの虫だけ、殺し、塵にします


ソラスティベル・グラスラン
多種多様な植物が茂る密林!見たことも無い果実が沢山!
うふふ、此度の冒険もとても心躍りますっ
行きましょうナイくん(f05727)!いざ新たな未知を求めて!

キラキラ目を輝かせて、体力と勇気は溢れんばかり!
高い場所の実はわたしが翼でひとっ飛び
沼はナイくんを抱えて一緒に飛んでいきましょう!
わひゃあ!む、虫はナイくんにお任せしますっ

【第六感・勇気】の向くままに見つけたのは
太陽の光を溜めたように熱く、強く光る二つの木の実さん
何故でしょう、暖かいだけではありません
光を見ていると熱い気持ちが湧いてくる…
そう、言わばこれは『勇気の実』!

ナイくんが探してくれた下への穴
また翼で飛びこみます、掴まっていてくださいね!


泉宮・瑠碧
暑い地域の森林は知らないが
こういう感じなのか

猛禽類や蛇は別に大丈夫だが…虫はな…
長い手袋やブーツ等で覆い、フードも被っておく
虫除けのハーブをオイルにして着用する物に振り掛けておき
ポプリは…日常持っている

食べると暖かい実が手足の末端まで動き易そうだが…
持っていれば暖かい実の方が、触れて探し易いだろうか

虫食い等の食べた痕跡のある実の種類も調べておく
爆発や害のある物なら彼らは食べたり近寄らないからな

猛禽類にも動物と話すで頭を下げて情報収集
此処の者が寒さに負けない様に食べる実はどれだろうか
不明なら持っていれば暖かい実を探す

正解が分かれば他の者にも伝えておく

穴は強い冷気を辿るか
此処の者が近付かない方向か


雨糸・咲
植物にはある程度詳しいつもりでいたのですけれど…

見たことも無い密林の風景
そこに生い茂る花や実に興味津々
鳥も蛇も虫もひとと同じく生き物なので
大袈裟に驚くことはありませんが、

あっ
私、今踏みました?大丈夫ですか?
すみません、お邪魔してます
食べ物、少し分けて下さいね

言葉が通じるわけではないけれど
見かけるとつい、声をかけてしまいます

第六感に従い、
日当たりのあまり良くない涼しそうな場所を
重点的に探してみましょう

硬い殻に覆われたもの
イガイガした不思議な形のもの
…どちらが良いのかしら?

ふと思い付き、
伴に連れる氷の精霊へ差し出し、嫌がる方を持って行くことに

意地悪じゃないのよ?
ごめんね、雪霞

※アドリブ、絡み歓迎


ユキ・スノーバー
結構、寒いの残念って思う人多いよね…(しょんぼり)
逆にホイホイされたぼくは、珍しい方なのかな?
寒くて動きの鈍っている人の助けになりながら、実を探すよー!
手が冷えやすい人はねー手をぐー、ぱー、ぐー、ぱーって(実演は出来てない)するとね、手が温まりやすいんだよ!
暖色系の実なら、ぽかぽかあったかくなると思うんだー♪
見当たらなかったら、皮(若しくは殻)が硬い実を探して
(しゃきーんとアイスピック用意)これで突いて開けちゃうぞー!

穴も探さないとだけど、下の階から冷気が来てるって事だから…
すごーく寒くてガタガタ震えそうな所に開いてる筈!
植物も育つのを忘れちゃいそうな所とか
白くなってパリパリになってる所とか?


花咲・まい
落とし穴探しですか、面白い探し物になりますですね。
しかしまあ、ひとまずは。
まず落ちた先で困らぬよう私も寒さ対策の実とやらを探しますです!

探しやすいのは、やはり持ってるだけで温かい実でしょうか。
でもでも、私としては食べてあたたかーい実が気になるところ……!
ここらで生息している猛禽や蛇の動向から【情報収集】するのが良いかと思いますです。
勝手知ったる彼らなら、危険物には近寄らないでしょう。

棲み処を荒らす気も戦う気もありませんが
もしそうなってしまった場合には【なぎ払い】でちょちょいと。
用があるのはこの下ですから。落とし穴を見つけたらササッとおさらばしますですよ!

*アドリブ、連携はご自由に


赫・絲
虫除けスプレーをしっかり全身に振りかけて準備完了!
虫だけはどーしても会いたくないもん!

まずは周囲をよく観察して【情報収集】
動物だって寒いのは一緒だろうし、鳥とか見かけたら気づかれないように後を着いてってみようかな

追いかけた動物が食べてる実を見つけたら、とりあえずもいで割って香りを確かめる
うーんよっぽど腐った感じの匂いじゃなければお腹壊したりはしないと思うんだよね!
まずかったら悲しくなるけど……でもきっと、動物だってまずい実なんて沢山食べたくないはず
沢山食べてたやつを狙ってみようかな

食べたらちょっと待って効果が出るか確かめるよー
その間は下に続く穴探し
不自然に冷気が強いトコの近くとか、怪しいかな?


クレム・クラウベル
果実と言えども、見知った物は随分と性質は違いそうだ
地道に調べるしかなさそうだな
戦うことも考えると手を空けられるものが良い
食べてあたたまるものか
或いは邪魔にならないサイズの触れていてあたたかいものか
探すのはその辺り

食べて効果を為すものなら
虫や動物が齧った実を目安にするのも良さそうだ
かじった途端に爆発も笑えないのでナイフで軽くつついてから
同種の綺麗なものを一欠片
飲み込む前に舌の上で違和感がないか確認
最悪毒耐性に心得はあるが、もしもに備えてまずは少量
望む効果だと判別付けばそれをいくつか採取し革袋へしまう

下階への穴は……さて、実を探してる内に見つかれば良いが
なければ足元を見ながら地道に歩き回ろう


静海・終
まてまて~と、兎を探しにやって参りましたよ
可愛い女の子ではなく野郎に追いかけられるとは
夢にも思っていないでしょうが容赦なく探しますよ、えぇ
の、前に果実探しでございますね
出来れば持っていて暖かくなるものがいいですねえ

相棒のドラゴンランスを子竜に変えて肩にのせて歩き
高い位置の果物を探して見つければ涙にとってきてもらう
陽を目指す果実にはぬくもりが宿っていないでしょうか
触ってみたり、試しにかじってみたり
…涙、虫とか口に入れたらダメですよ
他の猟兵にも情報共有していきましょう

さて穴は…開いてるもんなんでしょうかねえ…
アリスの落ちた穴と言えば木の根でございましょうか
果実を探すついでにガサガサしておきましょう


オルハ・オランシュ
熱を蓄える実かぁ
ざっと見た感じ種類も多そうだけど
セロが言ってた『バクハツする実』だけは勘弁だよ!

実探しの前に穴探し
今は敢えてコードを脱いで、くまなく歩き回ったら
冷気の漂う場所……つまり下への入り口が見付かるかも
他の猟兵とも協力しよう

虫対策には効くかわからない虫除けスプレー
蛇からは距離を置く

猛禽類を敢えて探したら気配を殺して後を追って
その子が啄んだものと同じ実を採取

ナイフで真っ二つにして断面を見ようかな
わ、中は真っ赤だ
まずは小さく一口
どんな味がするんだろう?
いけそうなら平らげちゃおう
身体の芯から温まるような実があればベストだよね
さっきと同じ方法でいくつか食べ比べてみよう
不味くても我慢しなきゃ……


都槻・綾
※絡みアドリブ歓迎

気温差で痛手を受けそうですねぇ
折角ですので食べ物を探したいところ

優雅な佇まい乍らも健啖家
珍味に興味津々
未知を識れる喜びに笑み浮かぶ

取り出す和綴じ帳面と筆記具
植物観察の記録簿
勿論、此度の採集を記す為
字は整えども画は残念な有様
本人は全く気にせず飄々

植生、動物生態など近しきを世界知識に照らし合わせ
皆と情報交換
爪痕、老廃物、食べ残し等を探索
序でに
茂みの下や樹虚に下層へ至る穴がないかも調査

樹下に食事跡
見上げる先、掌に収まる位の黄色い果実を発見
背伸びで届く距離

甘やかに馨しく
掌に包めばほんのり温か
割ればお茶ほどの温度

未発見者へもお裾分け

動物達が警戒心を露わにするなら
笛音の楽奏
騒がせた詫びを


サラサ・エピドウント
こんこ、こんこ。
雪うさぎさんに呼ばれているのね。
ぜひサラサも会ってみたいわ。

WIZ
迷宮なのにジャングルとか雪原とか、面白いところね。
果実探し?植物採集?
見たことのない植物いっぱいで、ドキドキわくわくなの。
木の上や根元、草の陰なんかをきょろきょろ見て、
可愛さを感じた植物たちを探すのよ。
観察して、手に取って、食べられそうなら試してみちゃお。
何かに使えるかな?

蛇さんや虫さん?襲ってこないなら気にしないの。
むしろ、何が使える植物か観察してみるのよ。

あ、落ちる穴も探さなきゃね。
地面を探すときには(覚えていたら)気にしつつ、
冷気を感じたりする場所があったら近づいてみるのよ。


アレンジ協力などなどおまかせよ。


トーア・ローウェン
ひひっ、穴に落ちるとかさいこーかよ

セロの笑い声思い出し笑いながら穴へと体を滑らせよう
アナグマ…じゃねーか、うさぎになった気分ー
進む足取りはぴょんぴょん軽やか
警戒する動物が逃げるのもなんのその
生き物が溜まってる場所には食いもんがあるもんだよなー
実の種類はわっかんねーけど
俺には文明の利器(スマホ)っつーつえー味方もいるし100人力!
操作は覚束ないが覚えたばかりの声認証で『暖かい』『実』と検索
情報収集を元に第六感で辺りをつけ裏表確認しつつ採取
虫や動物にも必要なもんだろーから全部採りゃしねーよ
俺にも一つくださいなー
つえーのに攻撃されたら無敵城塞で自衛
ひひっ、餌場荒らしてわりーな

絡み、アドリブお任せ


リル・ルリ
■オズ(f01136)と一緒
アドリブ等歓迎

「オズ、オズ。こんなに植物がたくさん
僕は初めてだ」
じゃんぐる、というの

「虫は、あまり見た事がないんだ。けれど……刺したりしてくるのは嫌。オズは?すき?」
オズが持ち上げてくれたお陰で游ぎやすくなったと礼を言い微笑んで

「虫で果実が食べられるのかわかるんだね。オズ、頭良い」
すごいと感心
ばくはつする実は少し怖いかも
オズが見つけたなら
そろそろと手を伸ばし仄かに暖かい果物をとる
「これ、平気かな?……甘くて美味しい。オズのも美味しい?僕にも頂戴?」
僕のもあげる

穴があったら落ちてみよう
差し出された手を握り笑い返す
大丈夫、僕は飛べる
よくつかまっていて

行こう
僕も、楽しみだ


オズ・ケストナー
リル(f10762)と

リルは虫とかだいじょうぶ?
きれいな虫もいるし、わたしはすき

進む先、枝を持ち上げ
リルのきれいな尾が傷つかないように

あぶない実のまわりはいきもの少ないだろうし
食べられる実のまわりは虫もいると思うんだ
褒められてえへん
みつけたらそっと触って
あったかい実がいちばんわかりやすいんだけどなあ

いきものが食べてる実をみつけたらわたしも挑戦
だいじょうぶ、ばくはつする実じゃないのはもう見たもの
あれ、おいしい
うんうん、こうかんっ

下に落ちる穴を見つけたらリルと顔合わせ
ここから落ちればいいのかな
決心したら笑って手を差し出し
リル、飛べるの?
すごい、かっこいい

いこうっ
ふふ、リルといっしょならこわくないね


ルミ・エアイン
【信号機】

僕はまず、果物の採取に行ってきますね。
高い木に生っている実はグラートに任せます。
綾華さんありがとうございます。

グラートが落とした果物は僕がキャッチしますね。

途中で生き物さん達が攻撃してきたら皆さんを綿雪でガードします。

螢さん凄いです。
一瞬で動物さん達のけいかいしんをなくしましたよ。

僕もバレない様にこっそりと……。
なんか、サバイバルみたいで楽しいですね。
大丈夫そうな木の実は螢さんに
お渡しして、交渉材料にどうぞ。

あ、綾華さん食べても大丈夫ですか?
大変です、どうしましょう?

よ、良かったです。
びっくりしました。

僕も一口、本当ですね。甘くておいしいです。
僕も螢さんの紅茶飲んでみたいです。


浮世・綾華
【信号機】 
採取しつつ地形を観察
下層への穴付近は植物生態も違うかな

ルミの竜が果実を見つければ
絡繰ル指で複製した鍵でつついてみる
一応な、爆発怖いし
よし、大丈夫そ
ルミ任せた

へえ、交渉上手
俺まで誘惑されちゃいそーなんデスケド
ふふ、なんか分かった?

猛禽類とかに見っかったら
集めた果物で引き付け一旦隠れ
黒猫道中で追跡
よろしく、ヒカゲ
動物が食えるなら多分安全っしょ
案内後はごめんなと退治

旅日記(世界知識)に載ってたっけ
取り出した本を捲り色や匂いを確認
二人より先に毒味

――うっ
と胸を抑え
なんつってー
ルーミ、じょーだん
遊び心は大事でしょ

ふ、甘くてうまいよ
こっちは酸っぱくてさっぱり
螢ちゃんの入れる紅茶
飲んでみてーな


如月・螢
【信号機】



私は下階への穴探索をしよう
此処を住処にするモノに尋ねるのが一番だ
交渉(動物と話す・コミュ力)出来得る大丈夫そうな子探し
…Umm,あの子にしよう

決めたはいいが
紅茶用の蜂蜜だけでは交渉材料になるか解らない
Oh,ルミ丁度いい…ありがとう!この木の実も使わせてもらうよ

怖がらせないように近づきしゃがむ
反応を見ながら触れ(手をつなぐ)
交渉開始

Hi,キミに頼みたい事があるんだ
此処にある下階への穴を知らないかな?
ヒントだけでもいい…知っていたらお礼に木の実をあげよう
道案内してくれるなら――果実より甘い黄金の蜜(誘惑)はいかがかな?

ふふっ綾華はお茶目だ
私も頂こう。ん、甘い…どちらも紅茶に合いそうだ


アルファルド・リヤ
【凹】

事前に情報収集で知識を蓄えておきます。
熱い物は得意ではありませんのでひたすら実を集めると致しましょう。
これは……見たことのある実のような気がします。
ですが食べたことはありませんので。
手当たり次第集めましょう。

お二人も良い収穫はありましたか?
自分は手当たり次第ではありますが沢山集めましたよ。
おや、頼もしい。味見は任せて下さい。
温かい物を含むと溶けてしまうので冷ませば良いでしょうか。

食感を楽しみながら、美味しい実があれば
これが美味しかったと二人にオススメ致しましょう。


隠・イド
【凹】
*仲間と居る時は人間のフリ

なるほど、地下にこのような迷宮とは…
異世界の文明もなかなかに面白いものですね

取り敢えず目に付いた実をひたすらに集まるスタイル
ひとつの実を沢山、というよりは種類を豊富に揃えたい

持っていて暖の取れそうな実と食べて温まりそうな実
襲いくる猛禽類が居れば、ナイフで脳天を貫き確保
後で食材にでもなっていただきましょう

実を集めたら仲間と合流
鑑定大会
温かい実は温かいでしょうし、私はひと通り味見をして判別

後は野営で手に入った食材を調理し下層に備えましょう
それなりに器用に調理し、アルファルドくんやニケさんにもお裾分け


ふたりに隠れ、危険な実を含めひと通り殺戮捕食態にて捕食
後の役に立てば


ニケ・セアリチオ
【凹】
まぁ、とても暖かいのね!
この下が北国の様うに寒いだなんて
迷宮って不思議だわ

熱帯地域に似た区域なのよね
実が生りやすい場所などあるかしら?

探索前に助言を仰ぎつつ
第六感にも頼って探します

目指すは『触ると温かい実』と『辛そうな実』
導の鳩達にも頼み範囲を広げて
草葉の間を縫い探索を


実を集めたら合流
好奇のままに摘まんでみて
甘い……こちらは苦い、かしら?
! ぴりっと、ぴりりと来ました!

あ、私もお手伝い致します!
でも刃物を扱う手は拙くて
器用な手捌きには感心するわ

アルファルドさんは、普段は氷を扱われるのよね
寒さにもお強そう、とても心強いです
ね、イドさん!

あら、あら?
集めた実って、このくらいだったかしら……?


黒江・イサカ
春なんて来なくていい、ねえ
気持ちはわかるな、僕も暑いより寒いのが好きだから
その童謡も好きなんだ
もしかしてこれで踊ってくれるのかな

……うん
逢いにいこうか

持っていくなら持ってるだけであったかい実がいいなあ
変に腹にもの入れると、やる気なくなるんだよね
そんな珍妙なものは木になってるに違いないよ
何せ、木になるものが果物らしいから
野菜より果物の方がいいよね、当然

しかし、蛇とか傍にいるかもしれないね
奴ら、変温動物だからあったかい実とか好きかもしれないし
邪魔されたらナイフで狩っちまおう
こう見えて、僕もそれなりに野生でね

……あと、あー、身体が軽くなる実とか、ない?
穴落ちてくんでしょ?
どっかぶつけたらやだなあ


ボリス・ルーシア
一面の雪景色、の前にジャングルかぁ…
ふふ、綺麗で面白そうだけど、防寒対策必須、ね
着込めるモノも持っていかなくちゃ

SPD
あれ、ジャングルのエリアにも落ちていく、のね
浮遊感や初めて訪れる迷宮の構造を楽しみながら
[視力]で目を凝らして植物の実を探して歩くよ
効果がわからないし、目についたものをサクサク集めながら、ね
さらに下へ落ちる穴は、[第六感]とかで見つからない、かな

猛禽かぁ、襲ってきたら退治しなくちゃだし
基本的には見つからないように気を付ける
協力して採取できたらいいんだけど、な

他の猟兵さんと、実の効果が確認できたらいいな
わからない実は…試してみるしかない、よね(ドキドキ)


*アドリブや絡みも歓迎です


ルーナ・リェナ
【ほしのたね】のみんなと一緒
 
うー……寒いのは苦手だけどそのさきにあるものは気になるしなぁ
防寒着をしっかり着込んで、もふもふマフラーをぐるぐるに

近くにいる動物と話して、役に立ちそうな実がある場所を聞き込んでみる
嵐も話せるなら手分けしよっか
わたしは鳥とか、飛んでる生き物に訊いてみるよ
そのあとはみんなで探して、高いところにあるのは採るから言ってね
採れたものはバスケットに入れて保管

下に続く穴は地形の利用から見つけられないかな
あ、飛び降りるならみんなとはぐれないようにリュカのマフラーにつかまる


鏡島・嵐
判定:【WIZ】
【ほしのたね】グループで参加。

寒さ対策になる実か。……寒いとこ旅する時にあったら便利だろうなぁ。
幾つか余分に持って帰って今後の旅に役立て……ってのはちょっと欲張りすぎか。

まずは防寒着を準備。他の皆にも分けられるように、使い捨てカイロとかも幾つか持っていこう。
情報収集のため、件の実を餌にしてる〈動物と話す〉。どんな形で大きさはどのくらいか、どこに生ってるのか、効果が高そうな実を見分けるコツでも教えてもらいてぇな。
実の採取は〈野生の勘〉を働かせて、教えてもらったコツ通りに良い効果がありそうな実を見分けて採っていく。

下層への穴は、〈視覚〉と〈第六感〉を動員してそれっぽいのを探す。


終夜・嵐吾
【壱七〇】

果物探しはまかされた。ユルグ君と黒羽君も穴探しがんばってな!
さて、お仕事じゃ。足元も気を付けつつ、探していこ。
くるりとあたりを見回し、果実を探そう。
見当たらなければ周囲の匂いに注意し甘い匂いすればそちらへ。
目線より上にあるものを探していこう。虫やなにやらは、平気なので気にせず。
持っていればあったかいのがある、と聞いたがそれは触ればわかるじゃろな。触れてみて、あたたかければ採取を。

幾つかみつければ集まって。ふたりはどんなんみつけたん?
よしわしが見てみよ!匂いやら手触りやらで確認して。
謎の果実は注意して割ってみよ。何が出るかはちょっと楽しみ。
割ってみれば使えるものもあるかもしれんし。


ユルグ・オルド
【壱七〇】
嵐吾の収穫に期待しつつ
なるべく美味そうなのにしてね
迷路行くにゃ出口がねぇとな
……ってことで黒羽と穴探し
たとえば冷気の傍だってんなら
植物も自身を守るべくあったかめにしたいもんでない
と、期待して冷気の出処を探すとすっかね

地面の傍にそっと手翳して空気の温度を追ってみよう
飛び込んでった足取りも追跡できるかと
茂みを掻き分け足で払いつつ
んん、黒羽はこれ通る自信ある?
示しながらも、そっちは何か良い話は聞けたかい

収穫合わせにゃ色合い好さげ、で摘んだ実持ち寄って
嵐吾これいけると思う
ほらなんか、……イイ感じの色
割って何が出るかな、って宝探しみたいで良いねェ
冒険譚に思わず、声も弾むよう


華折・黒羽
【壱七〇】

果実探しはひとまず目利き出来る嵐吾さんに任せ
俺はユルグさんと穴探し
一般的には大体兎は自分が食べる為の草の近くに巣穴を作るって本で読んだ事あるけど、今回の雪兎にも当てはまるのか…?
果実が多く実る箇所の近辺を中心に探しつつ[野生の勘][追跡]
無害そうな動物が居たら聞いてみるのも一つの手[動物と話す]
道中良さげな果実みつけたら採取
ユルグさん、それっぽいのありましたか?

目星がついた所で一旦集まって果実の選別
食べても大丈夫そうなのはどれか嵐吾さんに聞いてみよう
ついでに俺のも目利きしてほしいです

危害を加える生き物と出くわしたらそれなりに応戦
他の生き物に気付かれるのも面倒だし迅速に、静かに仕留める


ヴィクトル・サリヴァン
寒さかー。南国育ちだけどそこまで苦手じゃないかな。
と言っても支障出るのも困るし頑張って探そうか。

食べたら温まる実を探すね。
燃えるのは扱い難しそう、持ってて温かいのは俺には少々物足りない。
探すのは高い所に生る実。熱を蓄えるなら冷え難い所にありそう。
何かの齧り痕があるならまあ、毒の可能性は低いかな?
確認手順は軽く果汁を絞って匂い確認。燃料系の匂いのはパスで。
そして次に手の甲とかに塗って感覚を。じんわり暖まってくるなら体に入れても…?
痒みとか感じたら次の実へ。
問題なければ少しずつ毒見。安全そうならごー。

一応調べた実はスケッチし特徴をメモ。
目的のを見つけたら他の人にも情報を共有。

※アドリブ絡み等お任せ


リュカ・エンキアンサス
【ほしのたね】のみんなでいく
果実……果実、ね
採取はたまにするよ
…………
大丈夫、こう見えて医術の心得はあるんだから。お腹を壊しても大丈夫だ。

ひとまずそれっぽいものを探す。情報収集するならついていく
いざとなったら怪しげなものをとりあえず少し食べてみようか。流石にそこは俺がするよ
見つけたら穴探しか
地形…とくに水の流れや植物の生え方を読んでもぐりこめる場所を探そう
後危険があるならさくっと容赦なく排除するために気は抜かない
それにしても嵐お兄さんは謙虚だな(当然のごとくいくつか保存用袋に投げ入れながら
ん。勿論、大丈夫だよ。ほら、おいで(ルーナお姉さんに手を差し出し
基本楽しそうにしてるけど気は抜かない



●むせ返る緑
「ひひっ、穴に落ちるとかさいこーかよ」
 耳の傍を風が切り、金の髪をなぶって過ぎる。
 ほんの僅かな浮遊感と圧倒的な落下感を全身に味わって、頬にハートを持つグリモア猟兵の楽し気な笑い声を思い返して自らも笑いつつトーア・ローウェン(回帰の門・f14155)が、ざざっ、と音立て降り立った先。
 視界に飛び込んで来たのは鮮やかな藍色の長い髪と、ふわり揺れるエプロンドレス。
「お。藍ちゃんくんじゃね?」
「はーい! 藍ちゃんくんでっすよー! 藍ちゃんくんなのでっすよー?」
 ほとんど反射のように返してくるんと振り向いたのは紫・藍(覇戒へと至れ、愚か姫・f01052)。それは互いに見知った顔で、
「おっやー? おやおやおっやー? トーアのおにーちゃんでっすねー!」
 奇遇でっすねー、といつも通りな藍こと藍ちゃんくん──紹介が逆だって? 考えるな、感じるんだ──の笑顔に、トーアもいつも通りにひひっと笑った。
「アナグマ……じゃねーか、うさぎになった気分だったー。んで、藍ちゃんくんその服も似合うじゃん?」
「ふっふー! さすがトーアのおにーちゃんお目が高いのでっす! 穴にうさぎと来ればこの服なのでっすよー! アースのお話のあのおじょーさんも不思議な薬やケーキを食べて、てんやわんやしてましたからねー!」
 先達を見習って藍ちゃんくんも身体でぶつかってくのです! と胸を張ってスカートの裾をひらめかせ、駆け出す姿はまさしく物語の中の姿のようで。
「ひひひっ、」
 まるでうさぎのダンスみたいな跳ねる足取りで、トーアもそれを追っていく。
 だけど広がる世界は童話の世界とはまるで違っていて。
 落下の最中に乱れた金髪を整えて、ボリス・ルーシア(瑠璃夜天・f09721)はその光景に思わず笑みを零した。
「ふふ。一面の雪景色、の前にジャングルかぁ……」
「オズ、オズ。こんなに植物がたくさん僕は初めてだ」
「うんっ。すごいね、きれいだねっ」
 じゃんぐる、というの。普段は凪いだ湖面のような薄花桜色の瞳に、光が差し込んだみたいな煌めきを宿してリル・ルリ(瑠璃迷宮・f10762)が言えば、オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)はふにゃりと破顔する。
 ゆるり、海月・びいどろ(ほしづくよ・f11200)も立ち上がって見上げたのは、一面の緑。大きく葉を広げる木々の枝ぶりに、地を覆い尽くすシダ。
「魔法の世界で、みどりの匂い……なんだか、ふしぎだね?」
「ええ。私も植物にはある程度詳しいつもりでいたのですけれど……」
 頬に指先添え、胡桃色の瞳をおっとりと瞬いて雨糸・咲(希旻・f01982)も見渡すのは、彼女にとっては見たこともない密林の風景。
 森林系の香料よりも濃密で、水気を感じる香が土の香りと混ざって届く。
「果実と言えども、見知った物は随分と性質は違いそうだ」
 方々に生っているはずの熱を持つ実の効果なのか、それとも木々そのものが生み出すのか判然としない熱気に、小さく息を吐きつつクレム・クラウベル(paidir・f03413)はその黒い祭祀服の襟元を軽く引いた。
「地道に調べるしかなさそうだな」
「うん、そうだね。でもこのぶんなら、下への入口は結構すぐ見付かるかも」
 オルハ・オランシュ(アトリア・f00497)もきちんと備えて羽織ってきたコートを脱いでぱたぱたと揃えた指先で顔を扇ぎ、都槻・綾(夜宵の森・f01786)はくすと小さく微笑を浮かべた。
「気温差で痛手を受けそうですねぇ」
 きちんと準備をしなくては。そう告げた彼の言葉に猟兵達が肯く向こう側で、
「まぁ、とても暖かいのね! この下が北国のように寒いだなんて迷宮って不思議だわ」
「なるほど、地下にこのような迷宮とは……異世界の文明もなかなかに面白いものですね」
 素直に感心するニケ・セアリチオ(幸せのハト・f02710)と、隠・イド(Hermit・f14583)。
 歩き出したユルグ・オルド(シャシュカ・f09129)は終夜・嵐吾(灰青・f05366)に向けて軽く手を振る。
「なるべく美味そうなのにしてね」
「おお、果物探しはまかされた。ユルグ君と黒羽君も穴探しがんばってな!」
 嵐吾もへらり手を振り返せば、猟兵達はめいめいに密林の中へと消えて行った。

●ニガテなものは、ニガテなんです
「まさか、実の採取からとは」
 ふたつ名どおりの赤を揺らし、小さく嘆息零して葦野・詞波(赤頭巾・f09892)は周囲へとどこか懐かしむような視線を向けた。
 近頃の彼女と言えば、娯楽のための狩猟を妨げ、死霊の兵を薙ぎ払い、大火を起こす蜂を打ち倒し。武力を以て依頼をこなしてきていた。だから。
──果物狩りの休暇も悪くはないか。さて、昔取った杵柄がどこまで通用するか。
 割り切って顔を上げる。幼少の頃は、食に困ればよく森の中を散策した。けれどありがたくも今の彼女が暮らす環境ではものが溢れ、飢える感覚も遠い記憶となっている。
 嗅ぎ分ける鼻も衰えたか。
 ついでのように吸い込んでみた空気の中に、つんと微かに鼻を刺す香り。「、」思わず瞬いた。これは虫が嫌うとされる香草のそれだ。
 そしてそれは、傍を行く青いエルフの娘から漂っていた。
──暑い地域の森林は知らないが、こういう感じなのか。
 流水の髪をしっかりとフードの中へと仕舞い込み、ブーツの足を踏み出す泉宮・瑠碧(月白・f04280)はさりげなく手袋をはめ直す。

 ぷしーーー。

「!」
 出て来やしないか。飛んで来たりはしないか。気を張り詰める彼女の耳に届いたのは、なんとも間抜けな音。
 咄嗟に振り向いた瑠碧へ、
「ん? 使うー?」
 に、と口角を上げて赫・絲(赤い糸・f00433)が小さな円筒型の缶を差し出す。周囲に漂う香りは、瑠碧が身に纏う香と似ていた。
「虫除けスプレー。虫だけはどーしても会いたくないもん!」
「効くかわからないけどね」
 胸を張る絲に、同じようにスプレーを使用したオルハが笑って続けた、その矢先。
 ぶぅう……ん。
「「「……」」」
 ううんだいじょうぶ、あれは遠いよ。そうだよねだいじょうぶ居ないよ。ちゃんと効くとも問題ない。大きくなんかないとも。そうそう問題ないよ。
 ……。……。……。

 ぷしーーー。

 そんな彼女達を見かねた詞波が、しばしの露払いならぬ虫払いの救いの手を差し伸べたのは、そのすぐあとだった。

●ニガテなものは、ニガテなんです2
「あったかい実……あったかい実……リリィ、なにかみえますか?」
 小型のドラゴン──のはずが、ほとんど同じ身の丈である相棒のリリィが飛ぶ後ろをちょこちょこと追っかけて、リティ・オールドヴァルト(天上の蒼・f11245)は問う。
 けれど相棒がまず見付けたのは、その美しい貌に、肢体に、傷ひとつ付けることのないよう小刀で道なき路を切り拓いて進みながら憤慨しているシェーラ・ミレディ(金と正義と・f00296)だった。
「人形とはいえ、僕だって暑さ寒さは感じるのだ。個人的に言うなら暑い方が好きなのだが……全く、雪うさぎの災魔とは!」
 無駄のない早業でしゅぴしゅぴと小枝や蔦を斬り払って進む姿は見事としか言いようがない。思わずそれに見惚れてしまってから、少し遅れて彼の愚痴の中身を呑み込んで、ふふ、とリティも笑みを零す。
「ぼくもさむいのはちょっとにがてなので、わかるのです」
「……結構、寒いの残念って思う人多いよね……」
 そんな子猫と肩を並べてしょんぼりと肩を落としたのはユキ・スノーバー(しろくま・f06201)。
 逆にホイホイされたぼくは、珍しい方なのかな? と告げる彼はいつもどおりのもこもこコートに雪の結晶を映したまるい耳。白い液晶画面の顔には今は汗のマークも表示されている。雪国育ちの彼には、この蒸す気候の方がつらい。
 そんな彼の傍で、ゆるりと瞬いて「いいや」と黒江・イサカ(カミノテ・f04949)は軽くかぶりを振って呟く。
「春なんて来なくていい、って雪うさぎの気持ちもわかるな。僕も暑いより寒いのが好きだから」
「寒さかー。南国育ちだけど俺もそこまで苦手じゃないかな。と言っても、戦闘や行動に支障出るのも困るし頑張って探そう」
 しょげたユキの肩を、六倍近く高い背を屈めてヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)が軽く叩けば、「……うん、そうだね」ユキも肯いて顔を晴らし、
「あ! あのね、手が冷えやすい人はねー手をぐー、ぱー、ぐー、ぱーってするとね、手が温まりやすいんだよ!」
 隣のリティへと寒さをしのぐ術を教えてあげる。ぐー、ぱー。繰り返す彼のお手てにはなんら変化はないけれど、
「ぐー、ぱー? こうですか?」
 子猫の手がにぎにぎされるのを一瞥し「……ふん」再びなにごともなかったかのように前を向いたシェーラの左手も、そっと握って開かれたのだった。
 小さく笑ったイサカの脳裏には、雪うさぎを彩るとある場所の童謡。それに合わせて、躍り踊ってくれるだろうか。
「……うん。逢いにいこうか」
 こんこときみが誘うなら。

 寒いとこ。
 想像を巡らせるナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は、鮮やかな緑の中にいっそう映える夕焼け色の髪を眺めながらぽつり、言う。
「銀河帝国攻略戦でも使った、高機能宇宙服で、どうにかなると、思うのですが」
 宇宙が暗いのは太陽のような温かく強い恒星の光が届かないから。それはつまり、極寒を意味しており。
 けれど彼の呟きを聞き逃すことなく、くるんっと紋様のような柄の浮かんだ翼を翻しソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)は「ダメですよナイくん!」びしっとひと差し指を立てた。
「見てくださいこの多種多様な植物が茂る密林! 見たことも無い果実が沢山! 行きましょうナイくん! いざ新たな未知を求めて!」
 言うが早いか、彼女はまた身を翻してキラキラした目で冒険へと飛び込んでいく。
 その後ろ姿にナイもひとつ小さく肯いて、軽い足取りでそれを追いかけた。
「……そうですね、ソラ。未知を求める、冒険ロマン、大事」
「うふふっ、さすがはわたしの小さなパートナーさん。よく判ってますね!」
 たくさんの世界を、ひとりずつで巡らざるを得なかったから。
 今度はふたりで、たくさんの景色を冒険しよう。

●密林の探索
「迷宮なのにジャングルとか雪原とか、面白いところね。見たことのない植物いっぱいで、ドキドキわくわくなの」
「ふふ、そうだね」
 ふより、ふより。湿度の高い空気の中を、サラサ・エピドウント(空を泳ぐ更紗・f14619)は泳ぎ、『可愛いもの』を探して紫水晶みたいな瞳をきょろり、きょろり。
 木々の枝の先を覗きに行ったかと思えば、草陰へ、えいっとその細腕を突っ込んだり。
 隣の楽しそうな姿に最初の穴での落下体験を思い出しながらボリスも目を凝らし──目についた木の実をぷちりと千切ってみる。真っ赤っかなまるい実は、彼女の基準からすると『可愛い』だろうか。硬めの皮は温かくもなくて、食べたらどうなるのかは全く想像もつかない。
 一応は猛禽などに警戒して僅かな迷彩を纏うボリスの隣で、木苺みたいな粒を見付けたサラサは「襲ってこないなら気にしないの」と全くのマイペースで、なんだかボリスの肩の力も抜けてきた、そのとき。
「!」
 目の前の倒木がずず、と動いて、ふたりは目を丸くして足を止めた。そこにひょこりと顔を出したのは、ミルクティ色の髪の柔和な表情の男だった。
「あ、驚かせちゃってすみません! ちょっとだけ見やすくしようと思って」
 そう言った草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)の後ろには、和綴じの帳面を手にした綾が同じように謝罪を口にする。
「申し訳ありません。その倒木に刻まれた爪痕が、木の実を好む小動物のものではないかと首を捻っておりましたら、千秋さんが手を貸してくださいまして」
「はい、困っているひとを助けるのはヒーローの役目ですから!」
 胸を張って淡く花咲くような笑顔で当然のことと答える千秋と、優雅な佇まいながらも隠し切れない未知への好奇心に青磁色の瞳に輝き灯す綾の姿に、ボリスとサラサもふふりと笑みを零した。
「それにしても、色々な花と美のある場所ですね。誰かも言っておられましたが、本当にこの下に春を嫌がっている雪うさぎがいるなんて思えないほどです」
 三寒四温といって、雨が降るごとに暖かくなる、とはいいますが、この世界でもそうなのでしょうか? と。
「春は出会い、別れ、芽吹き、色々ありますね」
 そんな千秋の言葉に、こっくりとその場にいた全員が肯いて、
「あっ。私、今踏みました? 大丈夫ですか?」
 そこへ響いた柔らかな娘の声に、ぱちり、全員が瞬く。揃って視線を遣れば少し離れた場所に居たのは、
「咲さん」
「まぁ、綾さん。またお会いしましたね」
 ふわりと笑う咲。──咲、ひとりだ。
「すみません、お邪魔してます。食べ物、少し分けて下さいね」
 なのに足許にそっと謝ってひとつ果実を千切ってから彼らの傍にやってきた彼女は、ボリスや千秋の視線に気付いて、あら、と我が身を振り返り、ちいさくなる心地で少し気恥ずかしげに微笑んだ。
「あの、シダの葉っぱを踏んでしまいまして」
 言葉が通じないと判っていても、ついつい声を掛けてしまうのは彼女の性だ。そしてその感覚は、綾にも通じる。
「ええ、それは確かに大切なことですね」
 私も省みなければ、と告げた彼の傍で「ねぇ、あなたは可愛いものは見つかったの?」サラサが彼女が綾の帳面を覗き込み、
「……んー?」
 首を傾げた。字は流麗なれど、そこに添えられた図は──いや。なにも言うまい。けれど綾自身は特にそれを気にしているふうもなく「?」サラサと鏡写しかのように軽く首を傾げて見せるのだった。
 そして浮き上がる彼女の柔らかな髪の向こう側に「、」見付けた、黄色の果実。失礼、と伝えてから少し背伸びしてそっともいだそれは掌の中に収まる大きさで、甘く馨しい香を放ち、ほんのりと温かで。
「わ、可愛いの」
 ぱあ、と表情を明るくしたサラサの言葉に微笑んで、そっと割れば中の果肉は淹れた茶の程度のぬくもりを備えていた。
「これは判りやすいね、温かい実だって。……わからないのは、わたしのこの赤い実と」
「サラサの木苺みたいなの」
「あ、それは僕も見付けました。なんだか美味しそうな色ですよね」
 綾の見付けた実に触れて、仲間達が摘み取ってきた木の実を見せ合う横で、咲はまず己が摘み取ったこの硬い殻に覆われた実とイガイガした不思議な形のものが『わからないもの』なのかどうかを考えあぐねて。ふと思いついたのは。
「雪霞」
 連れている氷の精霊を呼んで、その傍へと寄せた。熱を蓄える果実なら、もしかしたら。咲の思惑どおり、精霊はきゅ、と柳眉を寄せて、すい、と避けて飛ぶ。……どちらかと言えば、イガイガの方をより嫌がっただろうかという程度ではあったが。
「意地悪じゃないのよ? ──ごめんね、雪霞」
「どちらにせよわからない実は……試してみるしかない、よね」
 どきどき。ほんの少しの恐怖と、けれどそれを上回るボリスの好奇心は、他者のことを言えない。
「試してみちゃおっか」
「ちょ、ならまずは僕が食べますよ」
 あーん、と無防備に口へ運ぼうとしたサラサを、思わず千秋が制止する。ここはやはり、ヒーローたるもの先陣を切らねばならないのではないだろうか。
 ぐ、と息を呑み、これまでに積み重ねた勇気を振り絞り、──ぱくり!
「……ぁ。甘、んんんんん!?!?」
 あとから珍妙な味が?! と口許を押さえて悶える千秋の姿に、ボリスと咲が慌てる傍らで、
「……味は可愛くなさそう、残念なの。ばいばーい」
「あ、返してしまうのなら、いただいても良いでしょうか」
 サラサは興味をなくし、綾は逆に関心を抱いたのだった。

「うー……っ」
 小型の──いや、彼女にとっては身の丈以上の──赤く燃えるドラゴンの背中に乗ったルーナ・リェナ(アルコイーリス・f01357)はその虹色の輝く翅をぷるぷると震わせ、そして顔を上げた。
「あついの……!」
「そうだろうね」
 もっふもふのちいさなマフラーを引き剥がす彼女に、リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)は至極いつも通りの表情でひとつ肯いた。
 意気込みは良かった、ただ、準備をするのが早過ぎた。熱帯の気候の中に転がり落ちることになった3人の準備は万全過ぎた。
「どうしてリュカは涼しそうなの?」
「俺もちゃんと暑いよ。顔に出ないだけで」
「なんか身体に悪そうだな」
「? 俺は健康だよ」
 同じく星の散るマフラーを巻いたリュカの顔をルーナと鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)が一緒に覗き込むが、やっぱり無理している様子もなくリュカの顔はどこまでもいつも通り。
 顔を見合わせ肩を竦めて、彼等はまず情報収集へと赴くことにした。
「とりあえずどんな実が良いのか、動物に話してみようかな」
「ああ、じゃあおれも」
「わかった。ふたりに任せる」
 ルーナが言えば嵐も応じ、そして当然とでも言いたげにまたこっくりとリュカが肯く。
 戦いを畏れるがゆえに戦いにとにかく穏便に情報を揃え備える技能に秀でた嵐と、戦闘に力を発揮しつつもそこに至るまでの活路を開く技能にも長けたルーナとは違い、リュカが磨いてきたのはただひたすらに戦闘を迅速に終らせる技能ばかりだ。
 それがふたりにも判るからこそ、ふたりは小さく肩を竦めた。
 嵐が周囲を見回し見付けたのはそこそこの大きさのげっ歯類だった。見た目は海狸に近いけれど、熱帯に海狸は居ないはず。さすがは魔法学園地下迷宮。埒外だ。
「よう、食事中に悪いな。それはどこに生ってるのか教えてもらえるか?」
 ルーナはその翅で中空へ飛び、高い木々の枝にずしんと腰を据えているオウムみたいな鳥へと声を掛けては、
「ねえ、あったかくなる実を探して──えっ、ちょっと待って!」
 その大きな嘴を目の前でぐわ、と開かれたりして。
 そんなこんなで集めた木の実達を前に、リュカはありがとうと緩やかに口角を上げて、
「さあ、試そうか」
 そしてふたりの顔を見て、静かに、でもどこか楽し気に言った。
「……大丈夫、こう見えて医術の心得はあるんだから。お腹を壊しても大丈夫だ」
「「……」」
 救助活動も得意だよと言わなかったのは、彼なりの心配りだったのかもしれない。

 ナイは野に暮らす蛇の鱗を生まれながらの光を放つことで癒してやりながら、
「にゃーん」
 話して情報を得る。それを興味深そうに覗き込んでいたソラスティベルは、彼が立ち上がるのを見てすぐに声を掛けた。
「なにか判った?」
「この、沼、越えたとこ。温かい実、あるらしい、です」
「ほんとですかっ、よーしじゃあナイくん! 一緒に行きましょう!」
 ひょう、と風を切る。
 濁った色の沼だって、ソラスティベルの翼ならばナイを抱えてだって、ひとっ飛びだ。
「ところであんまり虫、居ないですね? せっかくナイくんにお任せしたのに」
「……。そうですね」
 居ないなら居ないでいいですけど! と明るく笑うソラスティベルに沼の向こう岸へ降ろされたナイは、再び彼らを囲う範囲へ向けて、生命力の吸収を開始する。──すべてはソラのため。力なく墜落する虫達の姿を、ソラスティベルは知らない。
「あ、こっちにありそうな……、! 見てくださいナイくん!」
 そんな彼女が見付けたのは、太陽の光を溜めたみたいに眩く輝く、ふたつの実。
 そうっともいだそれは、
「……何故でしょう、温かいだけではありません。光を見ていると、熱い気持ちが湧いてくる……そう、言わばこれは『勇気の実』!」
 すごい発見ですよ、と満面の笑みを向ける彼女に、「……はい、ソラ」ふにゃりと、ナイも破顔した。

●ぬくもり求めて
「持ってるだけであったかい実がいいなあ。変に腹にもの入れると、やる気なくなるんだよね」
 うっすらと目を細めてイサカが言うのに、リティは「そうなのですか?」小さく首を傾げ、シェーラは小さく嘆息した。
「得体の知れないものを摂取することに対する忌避感は、判らなくはないな」
 その紫の瞳は周囲を注意深く観察する。
「熱を蓄える実、というのはまあ多くはないが、あまりに珍しいものだ、ということでもないようだな。──もっとも、この世界においては、の話だが」
「そんな珍妙なものは木になってるに違いないよ」
 知識に照らし合わせてそれらしいものを探すシェーラに、イサカは嘯く。
「何せ、木になるものが果物らしいから。野菜より果物の方がいいよね、当然」
「そうなのですか……!」
 けれどそんな言葉もしっかりと受け止めるリティの姿に、さすがのイサカも軽く眉を寄せて笑うよりない。
「ん、」
 行く先に見付けたのは、青い瞳にどこか褪せた色合いのシャーマンズゴースト。丁度、なにかの木の実へと手にした木の枝を伸ばそうとしていたところだったが、気配を察知してさっと彼らを見た。
「ブクさん」
 ユキの声にブクと呼ばれた彼──ブク・リョウ(廃品回収者・f08681)は現れた集団が猟兵であることを知り、軽く肩を竦めて謝意を示した。
「やぁ、ユキくん。すまないね。野生動物かと思って警戒してしまったのさ」
 蛇も虫も平気だけれど、猛禽類の嘴とか足の爪はとっても痛いからね。とのんびりと告げる彼の傍に「ブクさん、」と岡森・椛(秋望・f08841)が駆け寄った。彼女は新しく合流した猟兵達へ笑って挨拶をしてから、
「あっちに真っ赤な実と、ひまわりみたいな色の実があったよ」
 と伝える。ね、アウラ。彼女の問いに、彼女の肩に居る風の精霊もこくんと肯く。その台詞にユキが瞳を輝かせる。
「わー、あったかい色の実なら、きっとぽかぽかあったかくなるよねー!」
「ああ。僕が知る限りでも、暖色系の色合いの果実はその可能性が高い」
 シェーラのひと声もあり、彼等は椛の見付けた高い樹の下へと移動した。手の届くところには、赤い実が。はるか見上げた樹上にはひまわり色の実が生っているのが見える。
 足許に落ちたそれをブクは慎重に木の枝で、ツンツン。ツンツン。……どうやら少なくとも爆発することは無さそうだ。
 けれど、彼らのすぐ上をハチドリのような小さな鳥が飛び込んで来て、樹に生ったままの実を啄み始めた。
「あ、食べないといけないやつ?」
 じゃあダメだ、とイサカは呟き、食事しないタイプのUDCであるブクもそうかとひとつ息を吐く。代わりに椛はその鳥へと声を掛ける。
「こんにちは、鳥さん。ごめんね、私は敵じゃないよ。良かったら教えて欲しいの。その実、食べると温まったりする?」
「な、なんて言ってますかっ?」
 動物と話す。その姿にリティがどきどきしながら訊ねると、けれど椛はちょっと困った顔で振り返った。
「……『食べてみなよ』、って」
 なんだか少し、妙な引っ掛かりがあるけれど。
「他の生き物が食べる実ならぼくもたべられそうなのですっ」
「うん、そうだよね。よし、勇気を出して私も試してみよう!」
 せーの、で、ふたり、いただきます!
「……、ッ」
「っからいっ……でもあったまる……でもからいのです……っ」
 椛の第六感に、間違いはなかったようだ。涙目になった少女ふたり、あったまると知ることはできたけれど、ちょっとこれ以上食べ進めることは難しい。
「あれが温かい実だといいんだけどなぁ」
「ねー」
「確認しよう」
 樹上を見上げたブクとユキの言葉に、シェーラが念動力を発動する。視線の先で、ぷつん、とひまわり色の金柑のような果実がひとつ千切れて彼の手許に、
「!」
 降りてきたと同時に、樹上から降ってきた太いロープのようなもの──しかし、それを蛇だとシェーラが認識すると同時に刃が一閃し、二つに分断されたその姿は草むらの中へと落ちて消えた。
 ぴっ、と折り畳みのナイフの露を払い、イサカは口角を上げる。
「いるかなと思ったんだよね。奴ら、変温動物だからあったかい実とか好きかもしれないな、とか」
 無事にシェーラの手許に収まったその果実は、しっかりと手や布で包んでいればいるほど温かさを増していく。
「これはいいねぇ。……けど、うーん。実を拠り所にしてる動物がいるなら、一か所で取り過ぎるのはよくないよね」
 ポケットや懐にたくさん詰め込んで持ち歩けたらと思っていたけれど。ブクは首を捻り、他の猟兵達と、採取するのはある程度の数にとどめておくことに決めた。
「他の実も気になるし、穴も探さなきゃだしね」

──戦うことも考えると手を空けられるものが良い。
 濡れた草と土を踏んで進む。
 照りつく太陽は青々と茂った木々におおよそ遮られているものの、鮮やかな緑と空、否、天井の青さはクレムとっては猟兵として様々な場所に赴いてなお、未だ慣れない。
「……」
 湿度は決して低くない。気温はどちらかと言わなくても高い。それでも不思議と、……悪くない。
 透ける葉擦れを見上げて双眸を細めた、そのとき。
「……涙、虫とか口に入れたらダメですよ」
 鼓膜を打った、涼やかな──飄然とした、聴き慣れた声。
 視線を遣れば、思った通りの金色の髪の魚が、そこに居た。向こうもクレムの視線に気付いて、おやと眉を上げる。
「……お前も来てたのか」
「はい。まてまて~と、兎を探しにやって参りましたよ」
 可愛い女の子ではなく野郎に追いかけられるとは夢にも思っていないでしょうが、容赦なく探しますよ、えぇ。なんて、くすくすと笑うのは静海・終(剥れた鱗・f00289)。
 その肩では彼のドラゴン・涙がなにか口をもごもごしている。きっとなにかの木の実でも食べたのだろう。
「で、そっちの収穫は?」
「そうですねぇ、この空っぽの両手がお返事でございますよ」
「……」
 まあ、地道な作業になるのは承知の上だ。せっかく顔見知りと行き会ったのだからと、彼等は同じ道なき路を進んだ。
「陽を目指す果実にはぬくもりが宿っていないでしょうか」
「樹の上ってことか」
 クレムがふり仰ぐが早いか、終は「涙、お願いします」と竜を放つ。
「……おい、気を付けろよ」
 咄嗟に声を掛けたのは涙に。なにせこの依頼を紹介したグリモア猟兵の話では、爆発する実とやらもあるらしいのだから。
 そんな彼の横顔にうっすらと笑みを浮かべる終の掌へ、涙は無事に李のような実を落とした。彼は涙を労い、
「では」
「待て」
 手にした感じでは温かさはなかったらしい。ならばと試しにいきなりかじろうとした終をクレムが止めた。
「少しは警戒しろ」
 「しておりますよ?」なんてわざとらしく返す終の台詞を聞き流し、その果実をナイフでクレムはひとかけ切り取り、舌の上に乗せる。……痺れや痛みはない。見目に違わぬ甘い果汁がじわりと染みる。
 ただ、これで身体があたたまるかはまだ判らない。
「いかがですか?」
 首を傾げる終にクレムは少し考えてから、他を当たろうと手を振った。

 熱を放散しやすいよう、いくつにも分かれた葉。陽光を遮るほどの広がる枝にも負けぬように足許を覆い尽くすように広がるシダ。ぬかるんだ土のにおい。体格も大きく、鮮やかな色合いの鳥達。
 瑠碧がかつて過ごした『森』とはまるで様相が違っている。きっと生っている実も全然違うに違いない。
「食べると暖かい実が手足の末端まで動き易そうだが……持っていれば暖かい実の方が、触れて探し易いだろうか」
 ふむ、と口許に指を添えて呟く彼女に、けれど途中で道行を共にした花咲・まい(紅いちご・f00465)は薄緑色の瞳を瑠碧へ向けた。
「わたしもそう思いますです。でもでもっ、私としては食べてあたたかーい実が気になるところ……!」
 瑠碧さんは違いますですか? なんて無垢に問われれば思い浮かべる言葉はひとつ、『違わない』。
 ほんのちょっぴりどこか悪巧みみたいな気持ちを抱きつつ、笑み交わし合うふたりを微笑ましく眺め、ヴィクトルもスケッチを描き溜めたメモを片手にうんうんと肯く。
「燃えるのは扱い難しそうだし、持ってて温かいのは俺には少々物足りないしね」
 3人の選んだ方法は同じ。つまりこの迷宮に生息している動物達から情報を得ること。
「勝手知ったる彼らなら、危険物には近寄らないでしょう」
「そうだねぇ。なにかの齧り痕があるならまあ、毒の可能性は低いかな?」
 もちろん、毒に耐性のある生物だけが摂取しているという可能性も視野には入れているけれど。まいとヴィクトルの選択に瑠碧も同感だと肯いたそのとき。
 ──ドカッ!
「ッ?」
 彼女達の目の前に南瓜ほどの大きさの木の実が落ちて来て、地面に叩き付けられ、派手に割れた。
 危ないところだったただ目を丸くする瑠碧とまいの前に、更にその木の実を追うように大きな翼の猛禽類が降下してきて、猟兵達を睥睨した。
 その視線に、瑠碧は頭を垂れて挨拶をしてから質問する。
「此処の者が寒さに負けない様に食べる実はどれだろうか」
 その鳥は暫く静かな瞳で猟兵達を見ていたが、瑠碧の石の疎通が叶って欲しいと願う祈りが届いたのだろうか。
 ゆるりと割れて砕けた実の内側の果肉をその鋭い嘴で削り取り、そして大きな欠片を鋭い両の爪で掴むと飛翔し、去っていく。
「……なにか言ってましたですか?」
 まいの問いに、瑠碧は鳥が残していった実を見下ろす。
「まだ寒さに弱い子供達に食べさせるのは、これだと」
 そもそも猛禽類は肉食であるから、ここの生態が特殊なのか、あるいはやはり特別なタイミングでしか摂取しないものなのかもしれない。
「……ふむ。匂いは少し青臭い程度だね。野生の果物、という感じはする」
 割れた果実の傍にしゃがみ込んだヴィクトルがその果汁を絞って香りを確認し、少量を自らの手の甲に塗る。
「確かに、じんわり温かいね。これなら身体に入れても……?」
 硬い外皮に覆われていたのであれば、衛生面も問題ないだろう。
 ならばとまいはスプーンを取り出して、
「いただきますです!」
 躊躇いなくぱくり。その、お味は。
「……! かぼちゃプリンなのです!」

「さーて気合い入れて探すとすっか! 俺にはこの文明の利器っつーつえー味方もいるし百人力!」
 にっ、と笑ってトーアが取り出したのは彼曰く『安心安全なUDCアース産』のスマートフォン。とは言えど、彼も手に入れたのはそれほど昔のことでもなく、覚束ない操作で音声入力。『暖かい』『実』。
「……。……んー?」
 しかし表示された検索結果は、暖かい地域に生る果実であったりして、望む情報は得られなかった。そもそもこの埒外の迷宮の中の植生が、どこまで電子の海に載せられているのかも定かではない。
「ダメでっすかー? そうでっすかー。でも藍ちゃんくんにも秘策があるのです!」
 喚び出す、藍ちゃんくんの舞台を支えるすっごい方々! ……という名の迷彩黒衣。ただでさえ極めて発見されにくいそれが木々の緑や幹の茶色に色を変え、素早く木の実を食む動物を追う。
「お陽様みたいに光ってる方や暖色系の方、暖かそうな方はいらっしゃいませんかー!」
 ただし召喚者自身は全く忍ぶつもりはないようだ!
「おっ、光ってる方を見付けたのでっすよー! 食べてみるのでっす! ……にっがいでっすよー?! にっが、あっでもあったかくなってきたような気がするのでっす! トーアのおにーちゃん、これでっすよー!」
「えー俺それいらねー」
 黒子と五感を共有してちょっと涙目になりながらも勧めた藍ちゃんくんに、ひひっ、とトーアは悪戯気に、けれど実に素直にそう言って、「俺にもひとつくださいなー」と小さな虫達が運んでいるのと同じあんずほどの実をひとつもいだ。

 嵐吾はひとり木々の間をゆるりゆるりと歩を進める。
 元より極寒の地で生まれた彼にとって、寒さの恐ろしさは知れども、慄くほどではない。目線より上の果物に狙いを定めて、彼は気負わぬ足取りで樹の根をまたいでは見付けた果実へ手を触れる。
「……んん、どうじゃろうな」
 温かくはない、けれど甘い香りはする。口にすれば身体を温めてくれるだろうか。
「ま、もらっていくとするかのう」
 最悪この実に熱を蓄える効能がなかったとしても、他にも集めれば問題はない。仲間にもなるべく美味しそうなものを、と所望されている。
 ぷち、と指先に軽い抵抗を感じつつ果物をもいだそのとき、見知った顔を見付けた。
「おお、綾華君」
「あれ、嵐吾じゃん」
 嵐吾に気付いた浮世・綾華(❂美しき晴天❂・f01194)も、軽く手を挙げて応じたけれど、今は互いに連れの待つ身だ。そのまま互いに軽い調子で健闘を祈り合えばそれで別れとなった。
 綾華の傍では如月・螢(透明な心・f00180)が言葉を交わせる『相手』を探して落ち着いた金の瞳をきょろりと泳がせる。
 ルミ・エアイン(綿雪の子・f13418)は常に傍らに寄り添う竜のグラートが高い場所に生る木の実を見付けて合図を送ろうとするのを、「ちょい待ち」綾華は止めた。
「一応な、爆発怖いし」
 そう言って生み出し複製したのはひとつの鍵。それはするすると浮き上がってルミが見付けた木の実を突つく。木の実は少し揺れて細い枝をしならせただけ。
「よし、大丈夫そ。任せた」
「はい。綾華さんありがとうございます」
 おっとりと笑ったルミの指示に従って、グラートがその枝をくわえて揺さぶれば、落ちた実は、
「……とと、と」
 見事、ルミがキャッチする。それは梅の実のように見えるけれど、あの独特の香りはない代わりにとても甘い芳香を放っていた。
──……Umm,あの子にしよう。
 螢が目を留めたのは、尻尾の妙に長い子猿だった。
 そして気がかりがひとつ。彼女の交渉材料は、愛用している紅茶用の蜂蜜。とっておきのものだ、気に入ってくれると嬉しいけれど、お口に合わなければどうしようか。他にもなにか、
 くるりと振り返った丁度そのとき、ルミはグラートに落としてもらった木の実を腕にたくさん抱えていたから、彼女の思いを溶け込むように汲み取った。
「螢さん、良ければどうぞ」
「Oh,ルミ丁度いい……ありがとう! 使わせてもらうよ」
 ぱぁ、と胸が温かくなる気持ち。そう、これは『うれしい』だ。覚え込むみたいに胸の中で反芻してから、螢は木の実を手に、太い樹の根元に居る子猿の前へとしゃがんで視線を合わせた。
 怖がらせないように、注意を払って。
 そっと手と手を触れ合わせてくれたなら。
「Hi,キミに頼みたい事があるんだ。此処にある下階への穴を知らないかな?」
 ヒントだけでもいい、と微笑む彼女の表情は柔らかく、うつくしく。
「……知っていたらお礼に木の実をあげよう。道案内してくれるなら──果実より甘い黄金の蜜はいかがかな?」
「へえ、交渉上手」
 思わず綾華も呟いてしまうくらいに、それはあまやかな誘惑で。
 子猿へ木の実をあげて、少しおまけで蜂蜜もひと垂らしあげてから、綾華達の許へ戻ってきた螢へ、両の手を握ってルミが瞳を輝かせる。
「螢さん凄いです。一瞬で動物さん達のけいかいしんをなくしましたよ」
「俺まで誘惑されちゃいそーなんデスケド」
 なんて嘯いて、綾華も笑った。なんか分かった? と。
「そうだね。寒いところには、みんなが近寄らないようにしている……ということだったよ。動物の少ない方向に向かえば良いかもしれないね」
「なるほどね。じゃ、コレ食べてみたら向かってみよっか」
 旅日記に載ってたっけ、と綾華は持参した『侍道中~旅日記~』を繰ってみて、世界各国の果実の素描と見比べて──ぱくり。
「あ、綾華さん食べても大丈夫です、」
「──うっ」
 か、とルミが訊くよりも早く、がくっ、と綾華が胸を押さえて身体を折る。「えっ」当然ルミの薄氷色の瞳が戸惑いに揺れて、
「大変です、どうしましょう?」
「なんつってー」
 おろおろと螢を見遣るのに、綾華はすぐに身体を起こしてへらりと笑い、ルミの頬を指先で軽く突いた。
「ルーミ、じょーだん。遊び心は大事でしょ」
「ふふっ綾華はお茶目だ」
 兄や姉みたいな仲間がくすくすと笑うのに、ただひとりルミだけは「よ、良かったです。びっくりしました」とまだどきどきしている心臓を押さえる。
 だから綾華もくしゃりと眉根を寄せて笑った。
「ふ、ごめんごめん。甘くてうまいよ」
 お詫びの代わりにはならないけれど。どーぞとふたりへ差し出せば、それぞれひと口。
「本当ですね。甘くておいしいです」
「ん、甘い……紅茶に合いそうだ」
 零れた素直な感想に、綾華も次の果物を口にしつつ「お。こっちは酸っぱくてさっぱり」相好を崩す。
「螢ちゃんの淹れる紅茶、飲んでみてーな」
「あ、僕も」
 ルミも顔を上げて言えば螢は唇に笑みを刷いた。
「では、白うさぎに会って無事に帰ったら、お茶会としようか」

●白のラビットホール
「迷路行くにゃ出口がねぇとな」
 たとえば冷気の傍だってんなら、植物も自身を守るべくあったかめにしたいもんでない? 告げてシダを足で掻き分け、そっと地に掌かざして温度を確認するユルグに、そうですねと華折・黒羽(掬折・f10471)も肯いた。冷気は低い場所を這う。
 あと考えられるのは、と黒羽もその背の翼をそよがせ、思案する。
「一般的には大体兎は自分が食べる為の草の近くに巣穴を作るって本で読んだ事あるけど、今回の雪兎にも当てはまるのか……?」
 雪うさぎの食事とはそもそもなんなのだろう。考えれば考えるほど、よく判らない。
 結局彼らは雪うさぎの足跡を求めて、あるときは勘を頼りに密林の中を進んで行った。
 いくつか穴も見付けたけれど、
「んん、……黒羽はこれ通る自信ある?」
「……ちょっと難しいですね。俺には羽もありますし」
 たぶんこれは本当にこの辺りに暮らす野生動物の巣だろう、というものばかりだ。
「そっちは何か良い話は聞けたかい」
 と訊ねて見れども、話せそうな動物の数がそもそも少ない。黒羽は小さく首を振る。
「植物自身があっためる工夫……ってなると、あとは毛が生えてるとかか」
「ああ、それはあるかもしれませんね」
 そう告げる彼らの前を、「なんですか、リリィ? 白い湯気が上がっている実がある?」ちょこちょことケットシーの少女が同じくらいの大きさの竜を追っていく姿が見えた。
 その後ろを、ふかふかのフードをかぶったテレビウムが更についていく。
「下の階から冷気が来てるってことだから……すごーく寒くてガタガタ震えそうな所に開いてる筈!」
 植物も育つのを忘れちゃいそうな所とか、白くなってパリパリになってる所とか?
 そしてユルグと黒羽の進む先が、彼──ユキの進む先と重なって、
「わ……」
「あー、間違いねぇなこりゃ」
 ユキの声が零れ、ユルグが肯く。
 それはまるで落とし穴のよう。
 大きさはひとがふたりほどもすっぽり入ることができそうな直径。しかしその穴の内側から縁までは白い霜が降りて、その周囲を背の高い毛の生えた植物が覆いつくしているため、その円を本来よりもずっと狭めて見える。
 これまでにも、他の猟兵も見付けたのだろうか、それとも本当に雪うさぎが飛び込んで行ったのだろうか。穴の真ん中には、その植物の蓋が破れたあとがある。
「見てくださいユキくん、この実、たぷたぷしててお湯が入ってるみたいで、あったかいのですー。……ユキくん?」
 そこへ大きなやわらかい実を抱えてほっこりした、なにも知らないリティが戻ってきて、首を傾げたのだった。

●お味はいかが?
 茂る木々の中、ひょいとオズはリルのきれいな尾が傷付かないように、しだれてくる枝を腕で押し上げつつ、穏やかで明るい口調はいつも通りのまま問う。
「リルは虫とか大丈夫?」
 彼の気遣いにリルはふぅわりと微笑んで、游ぎやすくなったと礼を告げつつヴェールを揺らしてそこを通り抜ける。
「虫は、あまり見たことがないんだ。けれど……刺したりしてくるのは嫌。オズは? すき?」
 返された質問にも、オズは「んー」特に迷う様子もなく返した。
「きれいな虫もいるし、わたしはすき」
 お話してあげるのは、きらきら輝く青い蝶々や、長い翅持つ虹色の甲虫。それにね、とオズがシダを持ち上げると、虫が数匹集まるまんまるの実を見付ける。
「あぶない実のまわりはいきもの少ないだろうし、食べられる実のまわりは虫もいると思うんだ」
 こうしてね、と虫が居ないところの実をにそっと触れてみれば、彼の後ろではすごい、と感嘆の声を零したリルの瞳が瞬く。
「虫で果実が食べられるのかわかるんだね。オズ、頭良い」
 純粋な称賛に、えへん胸を張って、オズは手にした実をひとつ千切って、「はいリル」リルへと差し出した。そろそろ、と手を伸ばして受け取った掌に、仄かに温かい。
「これ、平気かな?」
「だいじょうぶ、ばくはつする実じゃないのはもう見たもの」
 どこまでも心強いことばに後押しされて、そっとかじってみた、小さな果実。
「……甘くて美味しい」
「ほんと? よかったぁ」
 ぱちぱち。長い睫毛を上下させるその表情にオズは胸を撫で下ろし、そしてその傍の別の形の実──それも、小さな虫達が他の実には寄っているのを確認して──をひとつ、いただいた。
「……あれ、こっちもおいしい」
「オズのも? 僕にも頂戴?」
「うんうん、こうかんっ」
 それは甘くてしあわせで。
 きっと彼らの、たからもの。

 ──どかん、と。
 どこか遠くで聴こえたそれは、確かに爆発音で。
 気配を消しつつ動物を追跡していたオルハと絲は思わず顔を見合わせた。冗談みたいにあのグリモア猟兵が言ってたあれは、嘘ではなかったらしい。
「……動物が食べるものなら大丈夫だよね」
「……うん……!」
 ふたりが追いかけていたのは、巨大な翼を持つ猛禽類だ。鬱蒼と茂る木々の上を、悠々と旋回して、──急降下。
「「!」」
 がさっ、と大きな音立てたかと思うと、すぐにまた高い空へと舞い上がる。その鋭い蹴爪には大きなリスのような動物が捕まっていて、手にしていた木の実がぽろりと落ちた。
 野生の狩りにただ目を丸くしていたふたりは、猛禽が飛び込んだ辺りの草むらへと分け入った。
 そこには、胡桃みたいな実が鈴生りになっていて、更なる闖入者の登場に、さっき連れ去られたリスのような獣が泡を食ったみたいに散り散りに逃げて行った。
「うーんよっぽど腐った感じの匂いじゃなければお腹壊したりはしないと思うんだよね!」
 少なくとも、放り出された衝撃でも爆発しないことは確認済みだし、あのリスのような動物達はこれを食べているようだ。絲はその殻へと指を立てて力を籠めて、
「……硬っ!」
「貸してみて。……わ、中は真っ赤だ」
 オルハのナイフに体重を加えて割れば、硬いのは殻だけだったらしく、ラズベリーみたいな色の瑞々しい果肉が詰まっていた。絲が改めて香りを確かめてみるけれど、見た目どおりになんだか酸っぱい香りがするだけだ。
「どんな味がするんだろうね」
「まずかったら悲しくなるけど……でもきっと、動物だってまずい実なんて沢山食べたくないはずだよ」
 あんなに動物達も集まってたんだし、と絲が自分に言い聞かせるみたいにぐっと息を呑んで、そうだよね、とオルハも意を決して。
 ふたつに割ったものをそれぞれが持って、顔を見合わせて。
 ……えいっ、とばかりにひと口。
 広がったのは、香り通りの酸っぱさと、ほのかな甘み、それから最後に残るちょっぴりの渋み。
「んんん……まずく、は、ないけどー」
「ジャムにしたら良さそう」
 おいしいスイーツに慣れてしまった舌は正直で、複雑な表情をしてしまう絲とは対照的に、あっけらかんと打開策を考えついてしまうオルハはもはや職業病だ。
「タルトに砂糖を混ぜたクリームチーズを絞り込んで、そこにこれのジャムを乗せて、最後にミントをあしらったらどうだろ?」
「絶対おいしいやつ!」
 効果を待って話している間にぽかぽかしてきたように感じるのはもしかして、新しいスイーツへの期待から?

「どうでしたか?」
 ほぼ皆同じ視界の高さの面々は、それぞれの収穫を持ち寄りそれぞれの報告をした。
「わしは色々摂ってきたぞ。ふたりはどんなんみつけたん?」
「嵐吾これいけると思う。ほらなんか……イイ感じの色」
 完全に色合いだけでユルグが道中に積んだ実なのに、「よしわしが見てみよ!」と嵐吾はあまりに男前だ。
 狐の嗅覚に危機は伝わらず、触った感じは、そう、栗のような。
「なにが出るかちょっと楽しみ」
「宝探しみたいで良いねェ」
 けらけらと笑み交わすふたりの会話を聞きながら、黒羽も興味深々で嵐吾の手許を見つめる。爪に力を入れて割ってみれば、
「……本当に栗のようじゃの」
「食べても大丈夫そうでしょうか」
 目利きができる嵐吾が可と言えばそうなのだろう。黒羽からの信頼の眼差しに、嵐吾はゆるゆると笑った。
「なぁに、死にゃあせんよ」

「……どう?」
 奇しくも嵐吾と全く同じ精神で。
 鳥や蛇達が食べているものなら、死にはしないだろうと。そして己のナカミは地獄の炎と化していて、腹を壊すことはないからと。
 びいどろや詞波が見付けた木の実を、アビ・ローリイット(献灯・f11247)は平然と口へ放り込む。
「んー。あ、これはうまい。けど、別にあったまる感じはしないかなー」
「やはりもう少し動物達が寄っているものが良さそうか」
 互いに確認し合いながら、彼らは再びそれぞれの方法で果実を探す。
 ふより、硝子細工の海月を喚び出して、びいどろは樹上の実を摘んでもらう。
「真っ赤な実とか、ない、かな。鳥たち、……居ない、かな」
──ヘビとか虫とか、いるみたい、だから、噛まれないように気をつけないと。
 ……格好良いと、思うのだけど。苦手なひとが居るらしいということはびいどろも知っている。幸い、今周囲にいる猟兵達は、気にしないひと達ばかりのようだけど。
 それどころか敢えてそういうものが群がっている木の実はないかと詞波は身軽に樹に絡んだ蔦へ足を掛けて樹上へ上がり、アビに至ってはなにかが潜んでいそうな樹の洞にだって平然と腕を突っ込んでは首を傾げている。
「なにをやっているんだ」
 詞波が冷静に問えば、アビはへらりと笑って返す。「なんかが食べてる最中のヤツが、いちばん安全かなーって」。
「確かに一理あるが、無暗に動物達を刺激するのも望ましくないだろう。ほどほどにしてやるんだな」
「えー、まあそっか、一理ある」
 ゆら、ゆら、と尻尾の動きが理解を示す。しかし突如、だんッ、と幹を駆け上がり彼は硬い殻を割ろうと戦っていたリスの横に居座ったかと思うと、
「やっほーうまい?」
 ひょいとその木の実を取る。突然あまりに大きな存在に食料を奪われたリスは事態をうまく把握できないみたいにキィキィと鳴き、アビは笑う。
「怒んなって、それ硬そうだし割ったげるようんうん」
「……声を掛けてるから『いい』の、かな」
 彼の中では。怪力で割った実を分け合う樹上の彼の様子にびいどろが呟けば、そうなんだろうと詞波も特に追求することを諦めたみたいに肩を竦めた。
 彼がやらんとすることは、ふたりにも理解はできるのだ。ただやり方が大振りに過ぎるだけで。
 鳥達が啄む実をひと粒分けてもらった南天みたいな赤い実をびいどろはしげしげと眺める。
──……毒にはちょっと、耐性がある、し。すこし食べても、だいじょうぶ、かな?
 本当は、さむいも、あついも、そんなにはっきりとわかってないけれど。
 雪や、こんこ。────きみや、こんこ。
──誘われたなら、お呼ばれしないと、遅刻してしまうもの。

 さあ、たくさん集めたなら持ち寄って。
「お二人も良い収穫はありましたか?」
 アルファルド・リヤ(氷の心臓・f12668)が合流した仲間へと声を掛ければ「ええ」と恭しくイドは応じ、「ええ!」と眩しい笑顔でニケは返す。
「私は『触ると温かい実』と『辛そうな実』を探してきました。ほら、触ってみて、とても温かいの」
「おや、頼もしい。味見は任せて下さい。温かい物を含むと溶けてしまうので、冷ませば良いでしょうか」
「あら、冷ましてしまったら意味がなくなってしまうわ」
 これは食べずに持っていたら良いと思うんですと、変わらぬ笑顔で応えたニケは、アルファルドの白い肌に目を留めてはたと思い出す。
「そっか。アルファルドさんは、普段は氷を扱われるのよね。寒さにもお強そう、とても心強いです」
 ね、イドさん! と屈託のない声音で彼女が呼べば、採取した木の実を取り出していたのだろうか、ひとり後ろを向いてごそごそとしていたイドは「はい」慇懃に答えて振り返り、種々の木の実をふたりの前に広げた。
 とにもかくにも、目についたものをひたすら摘み集めたものだ。
「目的に沿うものだと良いのですが」
「自分も手当たり次第ではありますが沢山集めましたよ」
 アルファルドもひとつ肯き、自らの成果を皆の前に置いた。事前に備えておいた知識を最大限に活用して、口にしたことはなくとも見たことがあるものなどをほとんど集めた。
 となれば当然、存分に試してみなくてはなるまい。
「……ふむ、なるほど」
「こちらは甘い……こちらは苦い、かしら?」
「ああ、この実の食感は面白いですね。しかし身体が温まるかというと」
「! ぴりっと、ぴりりと来ました!」
「ニケ、こちらはいかがですか? これは美味しかったです」
「ありがとう! アルファルドさん、こちらの実も美味しいわ。よろしかったらいかが? ……あら、あら? さっきイドさんが食べていらっしゃった葡萄みたいな実、もう無かったかしら?」
「ええ。渋くて食べられたものではなかったので、数がなくて良かったですよ」
「そう、なの」
 そんな試食会──ニケが思うよりも量はなかったみたいだった──を終える頃には、ニケの身体はぽかぽかしたけど、温かくなる、と伝えた木の実を全て避けたお蔭か、アルファルドの白さは変わらぬまま。
 そしてイドの様子も、普段通りだった。
「さて、途中で手に入れた食材がありますので、調理しましょうか」
「あ、私もお手伝い致します!」
なんだか腑に落ちない感覚を伴いながらも、目的は果たした。
これでアルファルドほど寒さに強くない身体でも、北国の如き階層、そしてそこにいるという雪うさぎへ挑むことができるだろう。

●ダウン、ダウン、ダウン
 当たりも外れも、酸いも甘いも。
 めいめいに準備を整えて、それぞれがうさぎの穴の縁へと立つ。
 ユキや黒羽達が見付けたときよりも植物の蓋が広く破られているのは、既に飛び込んだ猟兵達もいるからなのだろう。
 下へと続く深い穴の前で、オズとリルは顔を見合わせる。
「ここから落ちればいいのかな」
 どきどきするのは、こわいから? でも。隣を見れば、そんな気持ちもどこかへ吹き飛んでしまうから。──うん。やっぱりオズはふやり笑って手を差し出した。
 そんなオズの決心を受け取るみたいに、リルはそっとその手を取った。
「大丈夫、僕は飛べる。よくつかまっていて」
「リル、飛べるの? すごい、かっこいい」
 中空を泳いで移動する彼の言葉なら、間違いないのだろう。
 こわかったはずのどきどきは、いつの間にか新しい冒険へのどきどきになって。
「行こう」「いこうっ」
 声を揃えて、ふたりで穴へと飛び込んだ。
「あー……、身体が軽くなる実とかない? 落ちてくんでしょ? どっかぶつけたらやだなあ」
「落ちるときにはぐれないように、リュカのマフラーにつかまっていい?」
 暗がりへと消えたふたりの影を見送ってイサカが零す傍ら、ぽかぽかの身体でしっかり防寒し直したルーナが既にリュカの星空のマフラーを握り締める。
「ん。勿論、大丈夫だよ。ほら、おいで」
 ルーナへと掌差し出して眦を和らげるリュカ。同じくはぐれないようにと心なしかその傍に寄った嵐が、思い出したみたいに顔を上げる。
「そうだ。寒さ対策になる実、幾つか余分に持って帰って今後の旅に役立て……ってのはちょっと欲張りすぎか」
「へぇ、嵐お兄さんは謙虚だな」
「へ? お前、まさか!」
 いやいやと頭を振る嵐に、リュカは鞄を軽く叩いてその中にちゃっかりと取り込んだ実を示す。たぶん嵐もその膨らみに記憶が想起されたに違いない。
「こんこ、こんこ。雪うさぎさんに呼ばれているのね」
 ずるいとかずるくないとか、そんなこだまを残して落下した3人を見送って、ふふ、とサラサも柔らかな笑みを浮かべる。
「ぜひサラサも会ってみたいわ」
「うさぎとの遊びってぴょんぴょんあったかそーだよな」
 まだ見ぬ雪うさぎとの遊び──彼にとっては戦闘とほとんど同義──に、アビは狩りの心地になる。ちょっとくらい寒い方がいい、雪のふわふわもきらきらも楽しみだ。
 だから。
 視線交わして、椛も穴へと飛び込んだ。
「うさぎさん、待っててね!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『白の迷宮』

POW   :    前衛となり罠や敵を力で蹴散らす。気合で寒さに耐える。滑る床に踏ん張って耐える。など

SPD   :    敵や罠の警戒、解除。危険な気配の察知。氷上を華麗に滑る。雪玉を投げる。など

WIZ   :    魔力による探知。魔法で暖を取る。雪や氷を溶かし道を切り拓く。魔術的トラップの解除。など

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●落ちて、落ちて、落ちた先で
「ぅ、わ!」
「きゃー!」
 ぼすん、ぼすん、と穴から落ちた猟兵達を待っていたのは、膝まで埋まるほどの、雪。雪。雪。
 衝撃に粉雪がふわわっ、と舞い上がる。
「──寒っ!!」
 誰かが言った。
 熱帯の気候からの文字どおりの落差が激し過ぎる。用意していた者は慌ててコートを着込み、上の階層で見付けた木の実を握り締めた。
 見渡す一面は、白。
 見上げる空も、灰色の雪雲。舞い降る雪はさらさらとして、その結晶まで肉眼で見えるほど。
 雪は膝までうずめて動きづらいし、踏み固めれば歩けるだろうが滑るに違いない。
 そんな状況把握。では雪うさぎは。
 そう視線を巡らせた猟兵は、見付けた。──雪うさぎを。
 握りこぶしくらいの白い身体。南天の葉っぱの耳。南天の赤い実の目。
「……ほんものの、雪うさぎ……?」
 誰かが雪を掻き分け、『それ』に近付いて行ったとき。
「うさっ!」
 『それ』は鳴いて、ぴょんッ! と跳ねて、逃げ出した。あっよく見たら短い手足がある!
「見て! いっぱい居る!」
「うさっ!」
「うさうさっ!」
 絶対うさぎはそうは鳴かない、という鳴き声を上げて、いろんなところで白い景色の中に、緑と赤を携えた小さな存在が駆け回っていく。
 と。
「うささっ!」
 どんっ、と2匹──敢えて2匹と言おう──の雪うさぎが正面衝突。弾けるような雪霞が上がり、それが晴れると、
「……おっきい1匹になった!」
「うささー!」
 ちょうど倍程度の大きさになった雪うさぎは、また跳ねる。跳ねる。逃げる。
 これ以上下の階層への入口は、見当たらない。まずここでできそうなことと言えば。

「とりあえず、追いかけて追いかけて──ひとつにしてみようか」
 誰かが言った。

 穴を落ちたその先で、さあ、白うさぎを追いかけよう!
オズ・ケストナー
リル(f10762)と

まだどきどきしてる
リル、ありがとうっ

わあ、雪だ
雪は冷たいけどそんなにさむくないね
さっきの実のおかげかな
リルはだいじょうぶ?
そっか、よかったあ

手で掬って雪を舞わせて
きらきら
リルがおよぐ姿もきれい
たのしい
けど歩きづらい

わ、雪うさぎっ
おなじように跳ねてみたらどうかなとぴょんっ
わっ
すべって転びそうになって
リル、ありがとう
ふふ、びっくりした

えっと、とにかくおいかける?
リルの顔見て
おいかけっこ、しようっ
笑って手を取ったまま

斧に属性攻撃で熱を付与して
自分の前に立てて持って歩いたら
手前の雪だけ溶かしながら進めるかな

リルが抱いて笑うところを見たいから
木の実でおいでおいでもしてみる
かわいいね


リル・ルリ
■オズ(f01136)と一緒
アドリブ等歓迎

「……よかった、オズ。もう大丈夫みたい」
僕もどきどきしてる
オズが無事でよかったと手を離し、銀世界に歓声をあげる

「わぁ!オズ!雪だ!」
粉雪を尾鰭で弾き、ふわりとした雪に触れ
「心配してくれるの?オズ、優しいね
僕は寒いのに強いから大丈夫」
ふふ、僕も暖かいよ
オズが手を握っててくれてし、さっきの木の実も食べたもの

オズが舞わせた雪の中を潜るように
キラキラの中を泳ぐ
おや、あれは兎さん?
雪の兎なんて不思議
オズ、大丈夫?
とっさに手を握り転ばないように支えてみる
オズは元気一杯だ

ふふ、雪うさぎと追いかけっこだ
顔を見て笑顔で頷いて
捕まえたら抱っこしたいな
僕、可愛いの好きなんだ



●白銀の世界で
 まだ、どきどきしてる。
 ふたり、手を繋いで落ちたその感覚は、足が地についた今もオズ・ケストナーの身体に、ココロに残っている。でもその『どきどき』には、同じくらいの『わくわく』も混ざっていて。
「わぁ! オズ! 雪だ!」
 一面に広がる白銀に歓声を上げたリル・ルリは繋いだ手を引っ張るみたいにして、胸に掌を添えていたオズを振り返る。その屈託のない笑顔に、オズの表情も笑みに崩れる。
「うん、雪だねっ」
 すぅ、と胸いっぱいに冷たい空気を吸い込めば、さっきまでの世界が嘘みたいに感じるくらい。
 互いに無事を確認し合ってから離した手でそのまま足許の雪を掬って、放る。
 さらさら、きらきら。
 その踊る雪の中をくぐり抜けるみたいに色彩滲む半月の尾鰭をリルが泳げば、ふたりの瞳に『きれい』と『たのしい』が伝播して口角がどちらともなく柔く緩んだ。
「雪は冷たいけど、そんなに寒くないね。さっきの実のおかげかな?」
 リルはだいじょうぶ? と問うキトンブルーの無邪気な瞳に、
「心配してくれるの? オズ、優しいね。僕は寒いのに強いから大丈夫」
 それに、と言いかけて、ふふ、とリルはまた笑う。
「僕も暖かいよ。オズが手を握っててくれてし、さっきの木の実も食べたもの」
「そっか、よかったあ」
 その応えに、オズはふにゃと芯からの安堵に肩の力を抜く。
 うそみたいにきれいで、つよくてやさしいリル。そんな彼の隣の空気は不思議と揺蕩うように穏やかで、やわらかい。
 彼の尾鰭が粉雪を舞わせたとき、「おや、あれは」とリルが瞳を瞬き、その視線の先へ同じく瞳を向けたオズも思わずぱちぱちと瞬いた。
「わ、雪うさぎっ」
「うさー」
「わあ、鳴いた」
 雪の兎なんて不思議、とリルが近付いた途端、ぴょんぴょんっ、と新雪の上に小さな足跡を残して雪うさぎは迅速に遠ざかっていった。
「待って、うんと……えいっ──わっ、わっ」
「オズ!」
 あんまり雪うさぎが綺麗に跳ぶものだから。おなじようにしてみたら進めるかな、なんて試してみたオズの足は見事に雪に取られて、リルは咄嗟に彼の手を取り支えた。
「大丈夫?」
「ふふ、びっくりした。リル、ありがとう──えっと、とにかくおいかける?」
 当たり前みたいに取ってもらった手を握り返して、オズは遠く小さく見える緑色の葉の耳を指す。リルが笑って肯くのを見れば、いこう、と手を引いて。
「おいかけっこ、しようっ」
 蒸気噴き出すガジェット機構の斧を行く手の雪に差し入れて、跳ねるように告げたその声はリルに言ったのか、それとも雪うさぎに告げたのか。
 元気いっぱいのオズの横顔に眩しいような想いを抱きつつも「ふふ、雪うさぎと追いかけっこだ」ぽつり、リルも零す。
「……捕まえたら抱っこしたいな」
 僕、可愛いの好きなんだ、と。続いた言葉に「それ、見たいなあ」オズも肯いた。
「よーし、がんばってつかまえようっ」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ソラスティベル・グラスラン
きゃーきゃー!うさぎさーん!
キラキラ目を輝かせて思わず兎さんを追っちゃいます!
ナイくん(f05727)みたいで可愛いんですもん!

寒さはカンテラのように釣り下げた勇気の実
そして何より【勇気】でフォロー!

【空中戦・ダッシュ】
ナイくんが作ってくれたソリとトナカイカチューシャで、いざ突撃!
ナイくんの乗ったソリを、わたしが翼で飛んで【怪力】で引っ張ります!
カチューシャは気分的なアレです、ノリは大事ですよナイくんっ
寒さも和らいだ気がしますし♪

沢山の兎さんを、他の猟兵さんとも連携して追い込み猟
【蜜ぷに召喚!】で可愛い助っ人さんも呼んじゃいましょうっ
ところでひとまとめにした後は……むむ、どうしましょうか?


ナイ・デス
……ソラ(f05892)
私達は、セロさんに言われて、雪うさぎの災魔、つまりオブリビオン退治にきたのです
忘れてないですよ、ね?

寒さは着てる宇宙服で平気

雪が深くて、楽には動けないので
【地形の利用】【レプリカクラフト】でソリを作る
見かけは精巧でなくても、頑丈なのを
ソラ注文の、トナカイカチューシャも、作ります
ノリ……ソラがトナカイで、私はサンタ、です?
では、うさぎさんにプレゼント、あげますね

ソラに運んでもらいながら、仕掛け罠のプレゼント
凍死寸前の蜜ぷにさんや、他の猟兵さんとも可能なら協力して
追い込んで、一つに

……雪うさぎの災魔。倒すのですよ、ね?
うさー?(【動物と話す】で雪うさぎの言葉を翻訳してみる)



●うさぎとサンタとトナカイと
「きゃーきゃー! うさぎさーん! 待ってー!」
「うさっ!」
「うさうさっ!」
 空の蒼のような、あるいは森の碧のような瞳をきらっきらに輝かせ、ソラスティベル・グラスランは雪うさぎ達を追いかけて雪を掻き分け駆け回る。
 そんな彼女の服の端を掴んで、ナイ・デスは吐息混じりに告げた。
「……ソラ。私達は、セロさんに言われて、雪うさぎの災魔、つまりオブリビオン退治にきたのです。忘れてないですよ、ね?」
「うぅううっ、だってナイくんみたいで可愛いんですもん!」
 ほら! と示すのは拳大の白い身体に赤い目の雪うさぎ。ね? ね? とナイの顔を覗き込むソラスティベルに軽く肩を竦めつつ──「……仕事にかかりますよ、ソラ」──否定はしないで、ナイはレプリカクラフトでソリを造り出した。
 それは精巧な細工こそないものの、頑丈なソリ。
「さあ行きますよ、ナイくん!」
「……そのカチューシャ、必要でした、か?」
 ソリに乗り込んだナイごと、力強く羽ばたいたソラスティベルが怪力で以て引くその頭に揺れるのは、トナカイの角を模したカチューシャ。
 彼女に希望されてこちらもナイがレプリカクラフトで作ったものではあるが、ソラスティベルには元より立派な一対の角があるから、ちょっとした木立のようになっている。
「カチューシャは気分的なアレです、ノリは大事ですよナイくんっ、寒さも和らいだ気がしますし♪」
 ただまあ、彼女の晴れやかな笑顔を見ていればそんなことはどうでもよく感じられる。
「ノリ……。ソラがトナカイで、私はサンタ、です? では、うさぎさんにプレゼント、あげますね」
「そうそう、その調子ですよ! 可愛い助っ人さんも呼んじゃいましょうっ」
 ふむ、とナイも生真面目にひとつ肯くと、しゃりしゃりと雪の上を走るソリの上から雪うさぎ達の動きを予測して仕掛け罠を落としていく。
 それに負けじと、ソラスティベルが片手を掲げれば色とりどりのゼリーのような、彼女には馴染み深いぷにぷに達が雪の上に落ちては弾んだ。
「プニーッ!」
「う、うさーっ!」
 突然の蜜ぷにさん達の降臨に、雪うさぎ達は泡を食ったように逃げ惑えば、ナイの仕掛けた罠が発動して網が雪の中から跳ね上がり、雪うさぎ達の逃げ場を少しずつなくしていく。
「ところでひとまとめにした後は……どうするんでしょうか?」
「……雪うさぎの災魔。倒すのですよ、ね?」
 ぽつり。ふたりで顔を見合わせ、鏡写しに首を傾げて。
「……うさー?」
 ナイは雪うさぎに訊ねてみるものの、逃げ惑う雪うさぎからはまともな返事は得られなかった。
「うーん……とにかく集めてみるしかないね!」
「です、ね」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒江・イサカ
結構エグいこと考えるよね
追い立てて追い立ててぶつけてひとつにしようなんて
僕でも考えつかないよ

まあ、若い衆がはしゃぎそうなシチュエーションではあるし
僕のすることはそんなになさそうかなあ
思いのほか見てて楽しいしね、あの雪うさぎ

とりあえず周囲の警戒と、
あとは狩場を離れそうになる雪うさぎをまた中心に追い返すこと

流石に攻撃はしてこなそうだし、暖かい実を握ったまま体力温存と行こう
こっちに来たら雪を蹴って大袈裟に威嚇するくらいで
もちろん、手伝ってって言われたら手伝うけどね
滑って転んだ奴がいたら治療してあげてもいいよ

…しかしこれ、どこまで大きくなるんだろうなあ
網でもあったらよかったのにね、漁みたいに


トーア・ローウェン
ひひひっ、さみーーー!!!

生まれたとことココとどっちがさみーかわかんねーけど寒い+雪とかすげー楽しい
寝転がりたい衝動がやべー
手と足ジタバタやったら雪の妖精とか出来そうだよな
転がった人型から湧き出る無数の死霊の手は、とても素晴らしい肉体美(何故か湯気が出るほど暑苦しい)に姿を変える。あー…まさかの雪の妖精…

雪うさぎを追いやりながら物理的に道を切り開くのはマッチョッチョに任せて俺は雪うさぎ(と言う名の雪の塊)でも作って遊んどこ
うさうさ言うの可愛くてずりーよな
死霊があんまり暑苦しかったら雪うさぎ(と言う名の雪の塊)投げつけてもしゃーないしゃーない
ひひっ、遊びすぎてべちゃべちゃだわ

アドリブ、絡みお任せ



●白の中の傍観者
「ひひひっ、さみーーー!!!」
 上げた声は悲鳴か歓声か。いつだって楽し気に口角上げるその男のそれは、聞き分けが難しいけれど。此度は後者であることは、トーア・ローウェンの琥珀色の瞳を見れば一目瞭然だ。
 見遣れば一面の銀世界。生まれ故郷と違うのは、雪降り雪雲垂れつつも重たくはない空の色だろうか。
 指先に触れればそれは冷たいながらもふわりと柔らかく。
「……」
──寝転びたい衝動やべー。
 ……という想いを、抑えておくつもりも毛頭なくて。
 ぼふん、と倒れ込んで手足をばたつかせて起き上がれば、その跡は羽を持った人型──『雪の妖精』と呼ばれるそれが出来上がった。
 しかしトーアが満足気に口許を歪める暇すらなく、その跡から湧き上がったのは彼に寄り添う死霊達の手。それがぞろぞろと集まって、雪うさぎを追うのに適した姿へと、
「あー……まさかの雪の妖精……」
 体力、ええ、必要ですよね。
 でもまさかマッチョになるなんてさ。思わねーじゃん? いや肉体美すげーよ? けど寄って欲しくはねーじゃん? こんな綺麗な景色ン中でさ。
 半ば追い払うようにして死霊に雪うさぎを追う役割を与え、雪うさぎ(と言う名の雪の塊)をせっせと作って遊んでいたトーアの傍に、黒江・イサカが立ってそのマッ、否、死霊の向こう側を眺める。
 ぼふん、といくつか上がる雪霞。
「結構エグいこと考えるよね、追い立てて追い立ててぶつけてひとつにしようなんて。僕でも考えつかないよ」
「ひひっ、そ? まー人それぞれだよな」
「その通りだね。まあ、若い衆がはしゃぎそうなシチュエーションではあるけど、僕のすることはそんなになさそうかなあ」
 ただ思いのほか見てて楽しいね、あの雪うさぎ。
 そう告げるイサカの足許にちょうど転がるように逃げてきた雪うさぎへ、彼は手を木の実で温めたまま爪先で雪を蹴って威嚇すれば、
「うさっ!」
 驚いたようにそれは慌てて方向を転換し、また逃げていく。
「あー、うさうさ言うの可愛くてずりーよな」
 それを特に追うでもなく見送るトーアは、むしろ雪うさぎを追って寄って来た自らの喚んだマッ、否、死霊に向けて固めた雪の塊を投げつけた。
「……しかしあれ、どこまで大きくなるんだろうなあ」
 イサカの視線の向こうでは、既に普通のうさぎほどの大きさになった雪うさぎが数匹飛び跳ねている。
 あのサイズとあのサイズがぶつかれば、腕で抱えるほどの大きさになるだろう。それとそれがまたぶつかったら──。
「網でもあれば良かったのにね、漁みたいに」
「今からでも言えば用意できるヤツ居るんじゃね?」
「求められれば提案するけどね」
「悪ィの」
 薄く刷いた笑みを変えぬままそう嘯く彼に、トーアもくつりとただ笑って返した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シェーラ・ミレディ
辺り一面の銀世界、だなぁ。それも新雪ときたか。
ウインタースポーツをするのには良さそうだが、探索するのには厄介だ……!
いや、うん。悲観に暮れていても仕方ない。
雪兎を集めるのだったか?
消耗してしまう前に、迅速にやろうか。

まずは手に入れた実をなくさないよう、服の隠しにしまっておこう。
見切りと第六感で危険な場所を察知して避けつつ、念動力を補助に使いながら歩けば転ぶこともないだろう。

雪兎の捜索だが、新雪ならば足跡が残っているのではないか?
積もった雪の表面を観察して足跡を辿ろう。
遠目に一匹見つけたら、他の雪兎の方へ後を追うようにして誘導するぞ。『双宿双飛』で空を蹴れば方向も間違えまい。

※アドリブ、絡み歓迎


草野・千秋
随分と大きな雪うさぎですね?
だけど皆さん気をつけていきましょう
足元も雪で悪くなってます、と告げ
警戒しながら進んでいく
僕は風の子元気の子、寒さには負けないのです

――僕はヒーローだ、みんなの盾となる
そう決めたのだから

【POW】
前衛となり敵を警戒しつつ蹴散らす
ヒーローのパンチとキックとUCで
華麗に倒していく
2回攻撃、怪力、勇気で各個撃破を狙う
複数出てきたら範囲攻撃
味方が攻撃されそうなら
盾受け、かばう
皆さん、油断は禁物ですよ!
お怪我はないですか!?

(ふぅ)
寒いなぁ、ここは
それしても一面の雪景色
見るだけなら乙なものかもしれません

アレンジ絡みなど歓迎


サラサ・エピドウント
サラサ、追いかけっこの前にやりたいことがあるの。
まっさらな雪の上に、身体全部でダイブするわ。
そーっとそーっと雪から離れて…
ふふふ、真っ白な魚拓のできあがりよ。
やり遂げられて満足まんぞ…っくしゅん
流石にもう着込まないと寒いのだわ。

改めて、雪うさぎさんとダンスのお時間ね。
とってもとっても可愛いわ。
うさうさー、うさうさうー♪
リズムを付けて、うさうさと歌いながら
ふよふよと雪うさぎさんを追いかけるの。
捕まえようとするたび雪に埋もれちゃうなんて
楽しくって仕方ないわ。
あ、そっちに一匹行ったわー

寒さで動けない人がいたら、サラサの歌声で
やる気(戦闘力?)をアップして温かくなぁれ。


アレンジ協力などなどおまかせよ。


岡森・椛
真白い世界に見惚れる
果実もあるけど、お気に入りのファー付きコートを着て来てよかった
手袋もばっちりだよ

アウラ見て、可愛いうさぎさんがいるよ
雪の中を笑顔で一緒に追いかける
くるくる回るアウラと白うさぎさんが可愛すぎて…私も輪の中に入れてね
あ、逃げて…待って!うささー!思わず鳴き声も真似ちゃう

もっと沢山いる場所を探して見つけて
仲間の皆さんと何匹ものうさぎさんを囲んで追い込んで…
どんどん巨大化しているうさぎさん
ねえ、この周囲の雪も、うさぎさんの一部なの…?

きっと返事はないけれど
この世界はうさぎさんそのものの様な気がして
だからもっともっと彼等を追いかけて一緒に踊るの
みんなと一緒に

※アドリブやアレンジ大歓迎


リティ・オールドヴァルト
さむいのですーっ
でもうさぎさんとおいかけっこしてたら
きっとあったまりますよねっ
背中に実を背負い

まけないのですよーっ
リリィやほかのみんなと一緒に追い込み
【見切り】で動き見極め
効率的に追い込みますっ
そっちにいっぴきいきましたっ
危ない場所は【第六感】感じて避けますっ

このまえおしごとの後はじめてゆきうさぎをつくったのですっ
がったいしておっきくなるのは
なんだかゆきだるまをつくるのににてるのですっ

大きくなってきたら
足元を素早く駆けたり【ジャンプ】したりして小さいのに誘導
あかいおめめのおにさんこちら、なのですっ
…うさぎさん、ですけどね
楽しそうに笑い

ゆきうさぎのおにさんを
つかまえた先には
何がいるのでしょうか?


葦野・詞波
何とも……こういうのはファンシー、というのか。
ファンシーな光景だな。
……いや、兎はあんな風に鳴くものだったか?

ぶつかって大きくなるというのはよくわからないが
追い込み猟のように連中を追い込んで
ぶつけさせれば良いのだろう。

槍と槍をカンカンとぶつけて金属音を鳴らし
兎に近づき味方が多くいる方向へ追い込む
味方と要連携
足場は兎の連中が残した跡を上手く使い
途中雪玉も何個か作って適度に放り投げ

遠くに逃げるような兎にはお仕置きだ
雪玉か槍を当てないように進路上に投げ進路を塞ぐ
何が起きるか分からない以上
用心するに越したことはない

逃げ足の速い奴は
上で拾った実で釣れたりはしないだろうか。


都槻・綾
※絡みアドリブ歓迎

採取した実を懐へ入れ
外套を羽織れば十二分に温かい

慌てて逃げ回る雪玉達
纏めて一つになったところに
雪うさぎを跳ねさす魔力の源が在るのだろうか

駆け行く先を第六感で察して先回りし
うさぎ同士がぶつかりあうよう誘導
皆で声を掛け合い、挟みうち

効率の良さを目指しつつも
雪原を駆けまわることも純粋に楽しくて
足元擦り抜けるうさぎを踏んでしまわぬように避け
バランスを崩して転び、雪塗れになるのさえ面白い

幼き人達や小柄な女性が雪に埋もれかけていれば
手を差し伸べて助け起こす

今のままの姿で宿神たる生を得た故に
「幼少期」を持たぬ身なれど
童心に帰る気持ちとは斯様なものかと
何故だろう――不思議と懐かしい想いがする


ユキ・スノーバー
まっしろ!雪もうさぎもいーっぱい!
見慣れた景色にちょっと嬉しくて飛び跳ねちゃいつつ、樹とかの遮蔽物が無いか確認。
コート無かったら、ぼく間違えられちゃいそうな位っ。
うさぎが間違えてくれるなら、油断を誘うのに顔のモニター表示を調整して利用するのも良いかも?
囲むようにしないと、うさぎ集めるのは大変そう……
そうだ!華吹雪で雪を固めて壁作って追い詰めてみようかな?
除雪も兼ねてしゅばばーっと雪をずらして動き易い環境作り。
他猟兵さんの邪魔にならない所で、ちまちま壁作成するね。
動ける範囲が狭くなれば、うさぎ同士がくっつき易くなる筈だよー!
顔見知りな猟兵さんと協力出来そうなら、お手伝いでも何でも頑張るよ(ぐっ)


泉宮・瑠碧
雪うさぎ…可愛い…
僕もよく作るぞ

一面の雪世界は好きだし、寒さにも強い方だが
上層で虫除けに細部を覆ったのは丁度良かったな

雪うさぎ達の跳ねるのは此処では動き易そうだ
跳ねるのは、踊っている、のでもあるのか?
しかし…
合体する際の衝突は痛くないのだろうか…
動物と話すが可能なら
もう少し穏やかに合体出来ないものか訊いてみる
出来ないや通じないなら、すまないと謝っておく

他者と挟む形になる動きを心掛け
歩き難くなれば雪うさぎを真似て
一度ジャンプで前進して態勢を整える
…彼らの居場所らしい此処の雪を溶かす事は避けたい

あまりに動き難いなら
風鳥飛行で人の居ない方面から回り込み
円を描く様に飛んで雪うさぎを人の居る所へ纏めよう


アビ・ローリイット
【POW】

なにあれ見たことない
そんな元気に動き回られると反射的に追いかけてしまうわけで。つか体動かしてた方が断然あったかっしょ
最初のうちは【戴冠式】の炎で進路に道をつくりながらとにかくうさ目掛け駆けるんだけど、みんなが雪で楽しそうだと ? となって燃やすのやめる

雪はいつも積もる端から溶かしてたからこんなふかふかだとは知らねかったな
――ふかふか楽しい!
しろうさぎもふかふか?
急ブレーキ、からのグラップル仕掛けるときの心でぴょいとジャンプして飛び掛かり。避けられてもつかまえても顔から雪に埋もれちゃうか
あは、さすがにさみぃー
セロくんもくりゃよかったのに

※アドリブ絡み歓迎


静海・終
寒暖差ー!!
寒さに強くともこの差は厳しい!
ドラゴンランスの涙を懐に入れながらわしわしさすり
うさっという鳴き声にぽかんとして
これまた珍妙な兎でございますねえ…
抱えてもモフモフ柔らか…ではなさそうですねえ
むしろ触れれば溶けてしまいそうでございますが…
ちょっともふもふか撫でて確かめてみたいですねえ
動けば少しはあったかくなるでしょうか
動きづらいですし涙にも追いかけるよう指示しながら
自分も後ろから追いかける
追いかけ疲れたならこけたふりをして新雪部分にぼふんと寝転がり
少しじたばた
ふふ、雪遊びというのも大人になっても楽しいものですねえ



●うさぎとダンスを
「寒暖差ー!!」
「さむいのですーっ」
 小型のドラゴン──涙を懐に入れてわしわしさすりながら、静海・終は叫ばざるを得なかった様子で叫んだ。ある程度の寒さには耐性があるつもりだ、それでも熱帯から亜寒帯の差は大き過ぎた。
 追随するようにリティ・オールドヴァルトも彼女のドラゴン・リリィにひっしとしがみついて叫ぶ。
──一面の雪世界は好きだし、寒さにも強い方だが。
「……上層で虫除けに細部を覆ったのは丁度良かったな」
 泉宮・瑠碧も自らの隙の無い格好を見下ろしひとつ肯けば、
「果実もあるけど、お気に入りのファー付きコートを着て来てよかった」
「ええ。やはり準備は大切ですね」
 岡森・椛がもふもふの手袋をはめながら応じ、都槻・綾も目を細めて羽織った外套を手繰った。
「まっしろ! 雪もうさぎもいーっぱい! コート無かったら、ぼく間違えられちゃいそうな位っ」
「辺り一面の銀世界、だなぁ。それも新雪ときたか」
 慣れ親しんだ景色にユキ・スノーバーがぴょこぴょこ跳ねるのと対照的に、シェーラ・ミレディは震えそうになる歯の根を食い縛ることで耐える。
「見るだけなら乙なものかもしれませんね」
「ウインタースポーツをするのには良さそうだが、探索するのには厄介だ……!」
 いや、うん。悲嘆に暮れていても仕方ない。草野・千秋の言葉にもかぶりを振り振り、シェーラは温かな実を失くさぬようしっかりと仕舞い込みながら懸命に意識を切り替える──そんな傍で、
「えいっ」
 サラサ・エピドウントが新雪の上に両手を広げて、ぽふん、とダイブ!
 信じられないものを見る眼をしているシェーラの前で、彼女はそーっとそーっと身体を起こした。それは彼女が金魚のような美しい尾鰭を持つからこそのカタチ。
「ふふふ、真っ白な魚拓のできあがりよ。やり遂げられて満足まんぞ……っくしゅん」
 流石にもう着込まないと寒いのだわ、なんて彼女はそそくさと外套を着込み、けれど背中にお湯が入ったようなあったかい実を背負ったリティがわくわくと指をさす。
「でもうさぎさんとおいかけっこしてたら、きっとあったまりますよねっ」
 それはユキがさっき見付けた雪うさぎ。
 短い手足で、本物のうさぎみたいにすくっ、と雪の上に立って南天の赤い目で猟兵達を見て、
「うさっ!」
「……なにあれ見たことない」
 ひと声鳴いてどこかへ跳ねて行ったその姿に、アビ・ローリイットの毛足の長い尾がゆらゆらと揺れて、その琥珀の瞳には獲物を見付けた野生の光が灯る。
「これまた珍妙な兎でございますねえ……」
 その鳴き声にぱちぱちと瞬きを繰り返して終も零した。
「抱えてもモフモフ柔らか……ではなさそうですねえ。むしろ触れれば溶けてしまいそうでございますが……ちょっともふもふか撫でて確かめてみたいですねえ」
 そう告げた終の赤い瞳も、アビに似た光を灯す。
 猟兵達の多くが至った最終結論──動けば温まる。
 彼らはめいめいに、雪うさぎを追って駆け出した。

「見るがいい、僕の見立ては間違っていなかったようだ」
「ほんとだ! アウラ見て、可愛いうさぎさんがいるよ」
 新雪の上ならば足跡があるのでは。そう考えたシェーラの狙い通り、続いた一匹分の足跡の先には、一匹の雪うさぎ。南天の葉の耳をぴくりと動かして警戒している。
 共に駆け付けた椛の言葉に、彼女の肩に居た風を纏う精霊はいち早くその傍へと飛んで行く。
 ひょう、と雪うさぎの顔を『アウラ』が覗き込めば、雪うさぎもととと、と方向転換して距離を保ちながらも、南天の瞳は大きさを変えないはずなのにまんまるになっているのがありありと伝わって、思わず椛も相好を崩した。
 その輪の中に入りたくて飛び込んでいけば、
「うささー!」
「あ、……待って! うささー!」
 思わず鳴き声が口をついて、思わず『アウラ』と顔を見合わせてしまうけれど。
「……ふふっ、待って待って、うささー!」
 今度は笑って、もう一度。
「うさうさー、うさうさうー♪ 雪うさぎさんとダンスのお時間ね。とってもとっても可愛いわ」
「……跳ねるのは、踊っている、のでもあるのか?」
「いやそもそも、兎はあんな風に鳴くものだったか?」
 遠くの椛の声が聴こえたか、サラサもリズムに乗せて鳴き声真似て、中空を泳いで雪うさぎを追うのに、思わず瑠碧と葦野・詞波が突っ込んでしまう。
 見遣った雪原のあちこちで猟兵達が跳ね回る雪うさぎを追いかけている。
「なんとも……こういうのはファンシー、というのか。ファンシーな光景だな」
 ぶつかって大きくなるというのはよくわからないが、と零す彼女に、リティが小さくて柔らかそうな拳をきゅっと握って詞波と瑠碧を見上げた。
「ぼく、このまえおしごとの後はじめてゆきうさぎをつくったのですっ。がったいしておっきくなるのは、なんだかゆきだるまをつくるのににてるのですっ」
「……ああ、なるほど」
「僕も雪うさぎはよく作るぞ。その……可愛い、な」
「はいっ」
 その無垢な瞳に、赤頭巾の下で詞波の瞳も和らいで。

 その視界に入ったものは、すべて燃やす。切り拓く蒼天色の炎の覇道は──戴冠式。
 雪が解けたその場所がまた凍りつかない内に駆け抜け獲物へと迫る、そんなアビの耳に届いた、笑い声。
「、」
 ぴたり、足を止めて視線を上げれば、
「それえっ」
 文字通り、サラサが雪うさぎへと飛び掛かる。
 ぽふん、と雪が舞い上がる。
「あ、そっちに一匹行ったわー」
「はい、さあこちらですよ──おや、……っと、とと、」
 綾の足許へと逆に突っ込んできた雪うさぎを万が一にも踏まないようにと気を付けていたら、ぐらり傾いだ視界。
 ぱふん、と雪が舞い上がる。
 そしてまた弾ける、笑い声。
「……?」
 くてり、獣は首を傾げた。そんな獣の許へと、笑い声上げる猟兵達の許から逃げてきた雪うさぎ。
「アビさん、あっちあっち、あっちに追ってくださーい!」
 サラサと綾を背に椛が指す場所には、どうもいくつかの緑が見える。集まっている場所があるのだろう。
 ゆらゆらっ、とまた自然と尻尾が揺れて、
「! うさっ!」
 ぼふん、と雪が舞い上がる。
 巨躯に襲い掛かられた雪うさぎは短い手足を必死に動かし、猟兵達が望む方向へと駆けていく。けれど今このときは、アビにはそんなことはどうでも良かった。
 これまでも、雪は積もる傍から溶かしていた。だって動きにくい。狩りをしにくい。戦いにくい。だからそうしてきた。だから──こんなふかふかだなんて知らなかった。
──ふかふか楽しい!
 そうして獣はまたひとつ学ぶ。
「しろうさぎもふかふか?」
「それを知りたいんですけどねえ。手を貸していただけますか?」
「まかせて」
 終の共闘の誘いに、アビは笑った。

 しかし、と。瑠碧は少し離れたところで耳をひらひらとそよがせる雪うさぎの前にぴょんと飛び込み、そのまましゃがんで視線を重ねた。
 それは既に何度かの『合体』を果たして、既に中型犬ほどの大きさになった雪うさぎ。
──あの衝突は痛くないのだろうか……。
 だから対話を試みる。もう少し穏やかに合体出来ないものかと。けれど、
「うささー!」
「うさっうさー!」
「あっ待っ、」
 どすん! 弾ける雪霞と吹き抜ける『爆風』はもはや、見慣れたもの。
 それが晴れると、ひとまわり大きくなった雪うさぎが居るのも、想定どおりだ。対話はやはり、出来なかったけれど。
「……無理らしいな……」
 すまない、と小さく告げる。見た目がかわいいだけに、瑠碧の心が痛む。
 ただ、当の雪うさぎはけろりとして「うささー!」と飛び跳ねて行くところが救いかもしれない。

 空を駆け上がるように宙を蹴り、雪舞う空へと身を躍らせたシェーラは、ぴょこぴょこと離れたところで手を振るユキの姿を確認した。
 豪華絢爛な衣は風を纏い、存在感をもって仲間達へとその姿を示す。
「向こうだ、追い込め」
「いいだろう」
 シェーラの上空からの指示に、猟兵達は一斉に動く。詞波は槍を打ち合わせ金属音を奏でて、現実的な方法で確実に雪うさぎを追う。
「こっちはだめですよ!」
 千秋も他の猟兵から雪うさぎを殲滅するのではなく、ひとつにまとめるのだと改めて聴いてからは、繰り出すパンチやキックを目標に当てないように気をつけて巧みに誘導していく。
「足許も悪くなっていますからね。いっそ倒してしまった方が楽かもしれません」
 苦笑を浮かべる彼の傍らで、けれどまるで周囲のことなど気にせず、雪うさぎに向けて思い切りよく駆け込んできたアビが急ブレーキ、そこから反動籠めて飛び掛かった。
 ぼふん! とまた勢いよく雪が舞い上がり、ぶるるっ、と頭を振ってアビが雪の中でへらりと笑う。
「あは、さすがにさみぃー。でも見て終くん、捕まえ、あ?」
「「あ」」
 手の中になんだかもふっとした、雪じゃない手触りを感じたのは一瞬のこと。それはあっと言う間に雪の手触りになって、崩れて──、
「うさっ」
「うささっ!」
「……ふたつになった」
「……なんと珍妙な」
 唖然とするアビと終。そして千秋もただ瞬きを繰り返す。
「なるほど……攻撃は、望ましくないみたいですね……」
 攻撃のつもりじゃなかったんだけどなー、なんてぼやくアビに苦笑して「早く二匹を捕まえましょう」と千秋が慎重な足取りで駆けていく。
 それを見送って、疲れたとばかりに終は白く平らな雪の上に大の字に転がった。少し手足を動かしてみれば、自然と笑みが湧き上がってきた。
「ふふ、雪遊びというのも大人になっても楽しいものですねえ」
「んー」
 初めてその楽しさを知ったアビも、くん、と雪舞う風のにおいを吸い込む。
──セロくんもくりゃよかったのに。
 そんな彼らに、サラサの励ますような歌声が届いた。

「わー! いい感じ!」
 彼らが雪うさぎを追い詰めたのは、せっせとユキが雪を吹雪とアイスピックの力技で固めて壁を作り上げた雪原の一角。
 それはもちろんすぐに出来上がるような代物ではないが、時間をかけてでも作る価値のあったものだった。ユキの思惑どおり、雪うさぎ達の動ける範囲さえ限ることができれば効率的に『まとめて』いくことができる。
 シェーラの指示で仲間達がユキの壁を目指すことができたのも大きい。
 弾ける雪霞があちこちで起き、それでもなお逃げようとする雪うさぎには素早く詞波が雪玉を投げつけることで牽制し、リリィと涙が飛んで哨戒を続ける。
 どんどんと大きくなっていく姿を椛はじっと見つめ、
「……ねえ、この周囲の雪も、うさぎさんの一部なの……?」
 答えはないだろうと知りつつも、つい口を衝いて出た言葉。
──この世界はうさぎさんそのもののような気がして。
 最終的に、小鹿ほどの大きさにまで育った雪うさぎは、
「うさー!」
「っ?」
「ッ危ない!」
 びょんっ、と勢いよく跳ねた。瞬く暇すらなく迫った影の前に、千秋が飛び出した。
「──っぐ……!」
 傷付けさせない。
――僕はヒーローだ、みんなの盾となる。
 そう決めたのだから。
 雪うさぎの身体は千秋の盾に阻まれ、互いに弾き合うように雪の上を転がった。受け身を取った千秋は素早く立ち上がり、雪うさぎの二撃目に備え、
「お怪我はないですか!?」
「う、うん。だいじょうぶです!」
 椛はと言えば咄嗟に身を縮めたお蔭で雪の中にすてんと転んだ程度だ。そんな彼女へ手を差し出す綾の視線の先で、
「あかいおめめのおにさんこちら、なのですっ」
──……うさぎさん、ですけどね。
 くすくすと楽し気に笑うリティが小鹿のようなサイズの雪うさぎと一緒に跳ねるように、次の場所へと誘導していく。
 元より、雪うさぎに敵意はなかったようだ。ただ大きくなった身体で小さいままの俊敏さを兼ね揃えていただけのこと。それを確認して、ようやく千秋も肩の力を抜く。
「大きくなるとより注意が必要なようですね」
「そのようだな。気を抜かずに行こう」
 詞波が同意するけれど、誘導するリティは好奇心をたくさん詰め込んだ瞳を輝かせて跳ぶ。踊る。躍る。

──ゆきうさぎのおにさんをつかまえた先には、なにがいるのでしょうか?

 その瞳に、その姿に、綾は眦を和らげる。百を越える年を経て今の姿にてヤドリガミとして顕現した彼に『幼少期』というものは存在しない。しかし胸に灯る温かさに、
──童心に帰る気持ちとは斯様なものか、と。
 何故だろう。識らぬはずの不思議と懐かしい想いが、そこには確かに在った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルーナ・リェナ
【ほしのたね】のみんなと

ううう、寒い
今度こそもふもふマフラーをしっかり巻いて、あったかい実をポケットに入れとくね

ええと、この雪うさぎたちを合体させればいいのかな
みんなで手分けして、リュカが作ってくれた障害物の方に集めよっか
さっきの実のなかに、この子たちが好きそうなものがあれば置いておくよ
まずは嵐と逆の方向にいって雪うさぎを観察
動きは野生の勘で予測できたらいいな
あとはおびき寄せたり、後ろから追いかけてみたり

ソルがいたら溶けちゃうかなぁ……
大丈夫そうなら手伝ってね


鏡島・嵐
判定:【SPD】
【ほしのたね】の皆と。
うさぎって「うさ!」って鳴くんだっけか……? まあいいや、こいつらを纏めるんだな。
……脅かすだけだぞ、当てちゃダメだぞ、リュカ。

《我が涅槃に到れ獣》でクゥを呼び出して、リュカが作った仕掛けやルーナと連携してうさぎを巧く追い込んで纏めていくようにする。
うさぎが逃げる方向は〈野生の勘〉を働かせてある程度見当をつけて、スリングショットで威嚇射撃したり、持ってる楽器で音を鳴らして脅かしたりして誘導かける。
寒さ対策は防寒着をしっかり用意してあるし、クゥの身体もあったけぇし、多分行ける。
……合体してどこまででかくなんだろ? おれよりでかくなんのかな?


リュカ・エンキアンサス
【ほしのたね】のみんなと
追い立てる?わかった。雪原での作戦も、狩りも得意だ(ちょっと銃に目をやって)
…………
あ、いや。殺さないよ。殺さない
なぜ考えてることがばれたんだろう

怪訝そうに首を傾げつつも、簡単な障害物とか作って足止めして誘導していきたい
自分は雪に埋まるほうが走りやすいからそのまま。凍ってそうなところは慎重にスピード落とす
転びそうになってもあわてず騒がず。動ければそこまで問題はない

嵐お兄さん、そっちお願い
ルーナお姉さん、どっちから兎来る?
とか声掛け合いながら走り回る
時々、雪遊びしてるみたいな二人が可愛いな、と内心思いながらも
何かあったら遠慮なく銃を撃ちこむ為に油断はしない



●雪中の狩猟
「ええと、この雪うさぎたちを合体させればいいのかな」
 ルーナ・リェナの確認に鏡島・嵐が肯き、リュカ・エンキアンサスは肩に下げた愛用のアサルトライフル──『灯り木』の銃身に瞬時視線を遣った。
「わかった。雪原での作戦も、狩りも得意だ」
 空気の乾燥具合。風も強くはない。目標は小さいが、問題ないだろう。
「……脅かすだけだぞ、当てちゃダメだぞ、リュカ」
「…………あ、いや。殺さないよ。殺さない」
 なぜ考えていることがばれたんだろう。嵐お兄さんはすごいな。なんて怪訝に首を捻るリュカだったが、戦いに臆病な嵐でなくとも、その冷えた青い瞳の奥で繰り広げられる『狩り』の計算は見え透いたことだろう。それだけリュカは無意識に真摯だった。
 ふたりのやりとりに困ったように小さく笑って、ルーナは「じゃあ後でね」ともふもふのマフラーを今度こそしっかりと巻き直し、雪舞う中へと翅を震わせた。
「うさっ!」
「うさっうさっ!」
「……うさぎって『うさ!』って鳴くんだっけか……?」
 ぴょん、ぴょん、と雪の上で跳ねる丸っこくて白い雪うさぎ。嵐が近付けば当然警戒を示して離れていく。ああ、けど大丈夫だ。これなら、こわくない。
「力を貸してくれ、……クゥ」
 我が涅槃に到れ獣──ア・バオ・ア・クゥ。彼の喚び声に応じて中空から現れたのは、体長3mを越す炎を纏う黄金のライオン。
 嵐の傍に擦り寄ったその瞳は優しく、その温かな毛並に指先くぐらせて、それから彼はお手製のスリングショットを手に、逆方向へと離れたルーナへと片手を上げて見せた。
 中空を泳いで大きく丸を描いて見せて応じ、ルーナも傍らの燃える身の赤いドラゴン・ソルへと肯いた。
「ううう、寒い……っ。ソル、溶かしちゃわないように、距離には気をつけてね」
 ふるるっ、と小さく身体を震わせて。
 離れた場所のリュカを見る。
 ゴーグルを填め、降る雪を敢えて帽子に纏わせた姿が、軽く手を挙げるのが見えた。
 作戦、開始。
 低く唸りを上げてクゥと嵐が駆け出す。互いに弧を描くように囲い込むように。
 逆側からはルーナとソルが同じように鮮やかなはねを広げて、白の中を飛ぶ。
「嵐お兄さん、そっちお願い」
「お、っと。そっちじゃない」
 小さく固めた雪玉を弾丸に、スリングショットが雪うさぎの進行方向へ雪柱を立てれば、小さないきものは慌てたように方向を変える。
「ルーナお姉さん。こっち」
「リュカ、お願いっ」
 左右から集まってくる雪うさぎ達の進行方向、リュカの前には小さな雪の壁。雪うさぎ達の視界を遮り、けれどうさぎなら跳ぶことは問題なくできるだろう、という高さのそれ。
 雪の壁に沿って曲がろうとするのを、雪の中に片膝埋めて『灯り木』を構える。
 ド、と。
 取り付けたサイレンサーは音を喰らい、まるで一度かのような慣れた反動がリュカの肩へと返り、──放たれた二発の弾丸は、壁の左右、うさぎの前の雪を穿った。
「うさっ」
「うささー!」
 驚き慌てて、逃げ場を求めて高く跳ぶのは、壁を越える方向しかなくて。
「……よし、次」
 左右のうさぎがぶつかり、雪霞を弾けさせるのを見遣って彼は仲間達に手を挙げて、更に雪の中を駆け出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルファルド・リヤ
【凹】

ここはとても心地の好い場所ですね。
うさぎを追いかけるとあたたまってしまうのでしょうが。
ここはうさぎを中央に追い詰めるというのはどうでしょうか?

雪を使うのであれば自分にお任せを。
こうやって、雪だるまを作る要領で雪玉を作り、そして転がす。
こうやってうさぎを追い詰めて行くと楽しみながら集めることができるでしょう。
中央から逃げるうさぎが出てくるようでしたら作った雪だるまで雪の壁でも作りましょう。
お二人もいかがですか?

それにしても、元気の良い雪のうさぎですね。大人しくはしてくれないのでしょうか。


隠・イド
【凹】
確かにこれは寒い
コートの下にUCにて複製した実を仕込んで、発熱する防寒具を作成

ニケさんも使いますか?
とは言えコートに関しては少し不格好になってしまいますが

アルファルドくんは…必要無さそうですね
雪に囲まれ俄然元気に、むしろ幼くなったような印象さえ受ける

雪うさぎ…
うさぎ…?
いや、これは兎ではなくオブリビオンの類なのでは…

そう思いつつも、ひとまず作戦には乗ることにして
雪うさぎの潜んでいそうなあたりにヒョイ、と複製した爆発する木の実を放り投げる

最初は逃げ惑う雪うさぎを見て追い込み愉しむも
次第に上手く誘導できず、殺す方が早くないかとイラつき始める

最終的には諦め、欲張らず少数ずつ中央へと誘導する事に


ニケ・セアリチオ
【凹】
まぁ、まぁ!本当に寒いのね
指先から凍ってしまいそう!
あら、ありがとうございますイドさん
不格好だなんて、とても助かるわ!

ふふ、本当
アルファルドさんも何だか生き生きとされてますね
では、では
うさぎさんを追い掛けましょう!

穴を落ちてうさぎを、なんて
寝物語に聞いたお話みたい

お二方と別の方に向かい
中央へ追いやるように
両手に掬った雪を、うさぎ達にえいっと掛けてみます
何度も掛けてみたり
鳩に突っついて貰ったり
何とか向かってみるけれど
うさぎさん達、とっても元気ですから
ちょっぴり息も上がってしまいます

――?
大きな音がしたけれど、なにかしら?

あら、雪だるま!
なるほど、これで閉じ込めるのね?
私も作ってみましょう!



●それぞれの
 吸い込んだ空気は冷たくて。
 吐いた息は真っ白で。
「まぁ、まぁ! 本当に寒いのね。指先から凍ってしまいそう!」
 そう告げるニケ・セアリチオの金色の瞳はけれど、きらきらと輝いていた。
 対照的に隠・イドはその赤い瞳を翳らせつつ、つい先ほど口にしたばかりの発熱する実を《模倣者》──レプリカクラフトで複製し、コートの中に仕込む。
「……確かにこれは寒い。ニケさんも使いますか? 少々不恰好になってしまいますが」
「あら、ありがとうございますイドさん、不格好だなんて、とても助かるわ! ……ああ、温かいです」
「アルファルドくんは……必要無さそうですね」
 ちらと見遣った隣では、アルファルド・リヤが背を安堵したように表情を和らげ、呼吸を繰り返していた。
「ここはとても心地の好い場所ですね。もっとも、うさぎを追いかけるとあたたまってしまうのでしょうが」
 イドの目には、雪に囲まれ俄然元気に──むしろ幼くなったような印象さえ与えながら、アルファルドの雪雲色の瞳がゆるりと瞬く。
「ふふ、本当。何だか生き生きとされてますね」
 穴を落ちる前の様子とはうって変わった彼にニケも微笑み、では、では、と彼女は両の指先を合わせた。
「うさぎさんを追い掛けましょう!」
──穴を落ちてうさぎを、なんて、寝物語に聞いたお話みたい!
 湧き上がるわくわくに、既に視線を雪原へと向ける彼女の機微など汲めもせずに「……うさぎ……?」イドは首を傾げた。
「いや、これは兎ではなくオブリビオンの類なのでは……」
 そんな彼にも、ふふっと小さく笑って見せて、ニケは雪の上へと駆け出した。

 ここはうさぎを中央に追い詰めるというのはどうでしょうか?

 アルファルドの提案に応じて、彼等は三方へと散った。
「さて、どうしたものか」
 ほんの僅かの思案のあと、イドは複製した実をぴん、と弾く。──どかん、と音を立てて炸裂したその突然の爆音に、雪うさぎ達は慌てふためいて散り散りに逃げ惑った。
 今はひとりだ。隠すことも無く湧き上がる仄暗い愉しみにイドが口許を歪めた……のは、僅かの間だった。
 指向性のない爆発ではアルファルドの提案した『中央』へ雪うさぎ達を案内することは難しく、次第にわらわらと駆け回る雪うさぎ達へ苛立ちが募り始める。
──殺した方が早くないか。
 けれどそれでは目的を達することができない。衝動に任せるほど愚かではない。小さく息を吐き、イドは威嚇のための細いスローイングナイフを取り出した。

「──? なにかしら?」
 少し離れた場所では、ニケが爆音に顔を上げていた。その手にいっぱいには、さらさらでけれど冷たい雪。
「えいっ」
 気を取り直してそれを放り投げて雪うさぎ達に掛けてみると、確かにうさぎ達は逃げた。しかし何度もそれを繰り返すうちに、彼女は気付いた。
「……これって、私の姿に逃げているだけ、……かしら?」
 今もしんしんと降り続ける雪。柔らかいその雪を圧し固めて投げつけるならばまだしも、放り出す形ではさらさらと舞う雪では雪うさぎ達にとっては日常の一環でしかないようだった。
「なら、──皆、よろしくね」
 喚ぶのは数羽の幸福の白い鳩。お願いして白うさぎ達を突っついてもらえば、効果は抜群だ。ニケは鳩達と共に『中央』を目指した。
「あら、雪だるま!」
 疲れを知らないかのような雪うさぎ達を、軽く息が上がってしまうのすらどこか心地良く感じながらもニケが懸命に誘導して辿り着いた先では、アルファルドが雪玉をいくつも転がしているところだった。
 作った雪だるまで壁を作れば、
「なるほど、これで閉じ込めるのね?」
「はい。うさぎを追い詰めて行くと楽しみながら集めることができるでしょう。お二人もいかがですか?」
「ええ! 私も作ってみましょう! ──あっ、」
 ぱぁっ、と笑みを咲かせたニケの足許。合流したばかりのイドの足許をも掻い潜り、追われるのが止まったのを知った雪うさぎが素早く駆けて抜けて雪の景色に溶けていった。
「元気の良い雪うさぎですね。……大人しくはしてくれないのでしょうか」
 呆れたようにアルファルドは呟くよりなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

如月・螢
【信号機】

大丈夫、まだ暖かいままだよ

私もこんな名を表すようなうさうさと鳴く兎はじめて…
このオブリビオンなんだかスライムみたいだ
雪うさぎがキング雪うさぎに――なんてね

OK,と耳を両手で塞いでおこう
爆発後に出来た道を見てOh...と一言
二人が作戦を実行している間に
道端の雪を集め雪玉(援護射撃)を作り投げる
自身の周りと綾華とルミの周りにぽいっとトラップ確認

確認が終わると先程手に入れた
あったかい実を漬けて(料理)作った
フレーバーティーを淹れる

どこまでこの暖かさが持つか解らないからね
念の為に寒くなってきた子達に保温効果あるカップに淹れようか
あとはお好みで蜂蜜とミルクを添え
――どうだい、口に合ったかな?


ルミ・エアイン
【信号機】

皆さん寒くないでしょうか?
うさうさ……かわいいです。
キング雪ウサギさんに会ってみたいですね。

雪が降ってるので、きっと使えるはずです。
【ハイドスノーボール】

皆さん耳ふさいで下さいね?
雪だまの中にばくだんを
忍び込ませてまず
一個投げます。

これで、歩きやすくなると思います。
もし、ばくだんを投げて支障があるならやめて
大丈夫そうでしたら続けますね。

雪崩がきそうなら雪のかべで止めます。

雪うさぎさんがいたら
僕の【綿雪】を操って大きな雪の
かべを作ります。
ここに雪うさぎさん達を集めましょう。
綾華さん頭良いです。

わぁ、螢さんの紅茶とても良いにおいです。
僕ははちみつとミルクを入れて……
ふぅとっても幸せです。


浮世・綾華
【信号機】 
身体ぽっかぽか
さっきの果物が効いてそうだな

うさうさ鳴くうさぎはじめてみた
っつかゆきうさぎか
一応オブリビオン……?なんだよなこれ

はぁいと耳をぎゅっと塞いどく
ルミ掃除してくれたとこなら俺の黒猫も歩けそうか
ヒカゲ、ルミが作った壁んとこ
そう、そっちな
そこにうさぎたち追っかけて誘導して

そもそも足場が悪いし自分で動くよりも
絡繰ル指で複製した黒鍵刀を利用した方が効率良さそうって算段
24本出せっからネ
自分はゆるりと移動しつつ
うさぎ追っかけながら指さしてけば
トラップ怖がる必要もないっしょ

ちょっと寒くなってきたかも
おお、螢ちゃんさんきゅ
やっぱうめえ、なんていいつつ
黒鍵刀をひょひょいと操ることは忘れずに



●オン・マイ・ペース
「皆さん寒くないでしょうか?」
 それはルミ・エアインにとって、どこか懐かしく感じる温度。長い耳をそよがせて振り返った彼に、
「大丈夫、まだ暖かいままだよ」
「ああ。身体ぽっかぽか。さっきの果物が効いてそうだな」
 如月・螢は柔く微笑み、浮世・綾華はおどけるように肩を竦めて見せた。
 見渡す世界には、他の猟兵達の働きで一匹一匹が既に小型犬ほどの大きさになっている雪うさぎ達が、
「うさっうさっ」
「うささっ!」
 あまりにも自由に跳ね回っている。
「うさうさ……かわいいです」
「うさうさ鳴くうさぎはじめてみた」
「私もこんな名を表すように鳴く兎はじめて……」
「っつかゆきうさぎか。一応オブリビオン……? なんだよなこれ」
「おそらく。なんだかスライムみたいだ。雪うさぎがキング雪うさぎに──なんてね」
「キング雪うさぎさんに会ってみたいですね」
 そして彼らも、あまりに自由にのんびりと会話を交わしながらざくざくと雪の中を進んでいく。
 ただ、追い駆ける狩りをするには足場が悪い。
 降りしきる雪にそっと掌を差し出して、ルミは肯いた。
「皆さん、耳ふさいで下さいね?」
「OK,」「はぁい」
 狙うのは誰もいないことを確かめた、雪の積もった地面。投げるのは雪玉。中身はナイショな骸昌砲弾ノ結晶──ハイドスノーボール。
 ルミがそれを軽く放ると、その雪玉が着地した衝撃を中身に伝えると同時に、
 ──ずどん!
 鈍い音を立てて、破砕した。
「……うん。大丈夫そうですね。これで、歩きやすくなると思います」
「Oh...」
 耳から手を離した螢は思わず声を零す。この迷宮の中において、地肌が曝されたのはどれくらいぶりのことなのだろう。すっかり冷えて凍てついた灰色の地面が覗いた。
 更にルミの纏う『綿雪』が雪を操り、壁を築いていく。
 ただ。
 歩きやすくはなったものの、爆音と大きな地形変動によって雪うさぎ達はすっかり逃げたあと。追い駆ける存在がそこには既にいない。
 同じことを繰り返しても、雪うさぎ達は逃げるばかりだろう。
「なら、俺の黒猫の出番だな。ヒカゲ、ルミが作った壁んとこ。……そう、そっちな」
 綾華の喚んだ黒猫が、雪の上をとてとてと歩いて行く。その眸を通して彼は雪うさぎを探し──追う。
 そして黒猫に追われる雪うさぎ達の姿を確認したなら、複製した24本の黒鍵刀を操り更に壁の方へと追い詰める。螢も援護射撃として雪玉を作り、雪うさぎの退路を断つのを手伝えば、
「ほら、こっちのが効率いいっしょ」
「綾華さん頭良いです」
 逃げ場を失くした雪うさぎ達が衝突を繰り返す雪霞が立ち昇るのを悠然と見遣って綾華が笑えば、ルミが純粋な尊敬の眼差しを向ける。
「さあ、今のうちにどうぞ」
 言って螢が差し出したのは、保温効果のあるカップ。中には先ほど摘んだ熱を持つ実を漬けて作った、フレーバーティーの澄んだ紅が揺れ、白い湯気がまるで壁の向こうの雪霞のようだ。
「どこまでこの温かさが持つか解らないからね」
「わぁ、とても良いにおいです」
「おお、螢ちゃんさんきゅ、ちょっと寒くなってきてたからありがたい」
 添えた蜂蜜とミルクを垂らして、ひと口、ふた口。
「──どうだい、口に合ったかな?」
「ああ、やっぱうめえ」
 猫の眸通して状況確認は怠らずに綾華が無垢な賛辞を送り、 じわ、と身体の内側から温まる感覚に、ルミはふやりと口許を緩めた。
「ふぅ、……とっても幸せです」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ユルグ・オルド
【壱七〇】
うっわ、ほんとに銀世界、吐く息も真っ白け
襟合わせつつ、も一枚持ってくりゃ良かったかなァ
黒羽暖かそう、もふっといきたい気持ちはそっと抑えて

おう、凍える前にうさうさ探しに行こうぜ
雪に紛れても赤いお目目が良く見える、ってね
三方向から、どーんと合流すりゃいけっかな
黒羽の呟きに笑えば、いやいや嵐吾もさすがに、
……やってたのかよ
思わず二度見遣りつつちょっと見てみたい気もしつつ
見つけたんなら駆けだそう
駆け、……足が雪にとられんだけど!
躓きかければ目の前ぴょんといく兎に
ムキになって追いかけ回し
絶対ェ捕まえてやっからな

追っかけ、ぶつかって、と
おお……、可愛いままでかくなるってのは
こう矢鱈と迫力があんな


終夜・嵐吾
【壱七〇】
落ちたら真っ白の世界でした、とな!
真っ白じゃなぁ、これは確かにあったかくしとかんと風邪ひきそう

さて、うさうさ鳴いておる雪うさぎを大きくしていこかの
こういうときは挟み撃ちじゃろか。しかし、どこから現れるかもわからん
とりあえず大仰に動いて追ったらその辺からでてくるかの

あっ、おったぞ!ぴょんぴょん跳ねておる…!
こう、ああいうのを見ると飛びつきたくなる気持ちがあっての…(うずうず)
本能的にだから仕方ない。食んだりはせんよ、大丈夫じゃ
小さい頃はようやっとったけどの(ぼそ)

かわいらしい雪うさぎ追い回すのは罪悪感がと思たけど
あそこまででかなると…あまりかわいないの……
油断したら潰されそうじゃ


華折・黒羽
【壱七〇】

元々多く着込んでいる方な上に両翼で風よけ雪よけも出来るので
寒さはそう感じてない様子

本当に真っ白だ…寒そうですねユルグさん
身体暖めるためにも、早速うさぎと追いかけっこしますか

粉雪であれば飛ぶのも問題無いだろう
烏の羽を広げ低い位置で兎を捜索
見つければ二人の元へ誘導する様に大きく羽を広げて
逃げ道を塞ぐ様に

ちらりと見れば
嵐吾さんがうさぎを追いかける様は狩りをしているようにも見えて

……嵐吾さん、銜えるまではいいですけど、食べないでくださいね?

などとつい、口走る
ユルグさんのムキになる様子には
後で結局雪まみれになって寒いって言ってそうだな…
と思考の端で思ったりも

使用技能:聞き耳、追跡、おびき寄せ



●狩りの記憶と想い出と
「落ちたら真っ白の世界でした、とな!」
 灰青の毛並の耳をぴるり震わせ、終夜・嵐吾が白い息と共に言葉を吐き出す。
「うっわ、ほんとに銀世界、吐く息も真っ白け。も一枚持ってくりゃ良かったかなァ」
「うんうん。これは確かにあったかくしとかんと風邪ひきそう」
 のんびり返す嵐吾に疑いの視線を向けつつ、襟を掻き合わせ、ユルグ・オルドは「本当に真っ白だ……」と瞳瞬いている隣の華折・黒羽を見る。ふかり、黒の毛並は空気を孕んで膨らんでいて、
「……黒羽暖かそう」
「? ユルグさんは寒そうですね」
 もふっといきたい、……なんて気持ちはそっと抑え込む彼に気付かず、黒羽は軽く首を傾げて見せる。
「身体暖めるためにも、早速うさぎと追いかけっこしますか」
「おう、凍える前にうさうさ探しに行こうぜ」
「うむ。うさうさ鳴いておる雪うさぎを大きくしていこかの」
 視線を絡め、誰からともなく肯いて。
 黒羽はその背の翼で、白い空を飛んだ。
「しかし、どこから現れるかもわからんな。とりあえず大仰に動いて追ったらその辺からでてくるかの」
 なんて嵐吾が呟く向こう側では、
「雪に紛れても赤いお目目が良く見える、ってね」
 ユルグの赤い瞳が白い雪の上をきょろり、きょろり。
「……いた、」
「あっ、おったぞ!」
 かすかな雪の音はしないか。あの特徴的な声はしないか。耳を澄ませていた黒羽がそれを捉え、雪うさぎの退路を断つため彼の翼が白を切り取るみたいに広がったと同時、嵐吾のはしゃぐ声がした。
「ぴょんぴょん跳ねておる……!」
「うさっ」
 目の前を、ぴょん。
 斜めに、ぴょん。
 もちょっと先へ、ぴょん。
 ……うずうず。
 更に、ぴょん。
 もひとつ、ぴょん。
 ……うずうずうず。
「っ、」
 彼に宿る狐の本能的なものだから仕方ないと、耐え切れずに嵐吾は雪の中へ突っ込むようにして丁度うさぎサイズの雪うさぎへと飛び掛かる。
「うささっ!」
 まんまるの南天の実が驚いたみたいに見えて、ぴょん、ぴょん、と更に距離を取ろうとするのを、全身で跳んで追う嵐吾の姿は、まさに狐が狩りをしているようで。
「……嵐吾さん、銜えるまではいいですけど、食べないでくださいね?」
 思わず上空から零した黒羽の言葉に、は、として。
「食んだりはせんよ、大丈夫じゃ」
 二本足で立ち上がりつつへらりと笑って見せる嵐吾の姿に、ユルグも笑うが。
「いやいや、嵐吾もさすがに、」
「……小さい頃はようやっとったけどの」
「……やってたのかよ」
 続けられた言葉に、思わず二度見した。
 ちょっと見てみたいとかはやっぱり言わなかった。俺はがまんのできるこ。
「うささー!」
「っ? でかっ」
 そんなユルグの傍に現れたのは、大型犬くらいのサイズの雪うさぎ。見付けたなら駆け出そう。ふたりのいる方向を再確認して、走り出、走り、
「……足が雪にとられんだけど!」
「今更じゃの」
 思い切り雪を蹴り上げ、一歩、その隙にぴょん、ぴょんと雪うさぎは先へ行く。しかもちょっとこっちを振り返る。
「うささー」
「ッのやろ……絶対ェ捕まえてやっからな」
 蹴り上げた雪が降りかかり、躓いて手をついて、雪まみれ。それでもムキになって雪うさぎを追い駆け、合流すべく向かってくるユルグの姿に黒羽は思う。
──今は良くても、後で寒いって言ってそうだな……。
 それもひとつの想い出になるだろうが。

「ッどうだ!」
「うささー!」「うさっ」「うささ!」
 何度も繰り返し集めた雪うさぎがぶつかってひとつになったとき。
「……お、おお……」
「うささー!!」
 雪霞が晴れ、そこにでんと居る雪うさぎは彼らと同じくらいの体高──170──になっていた。
「……可愛いままでかくなるってのは、こう、矢鱈と迫力があんな」
「かわいらしい雪うさぎ追い回すのは罪悪感がと思たけど、ここまででかなると……あまりかわいないの……」
 油断したら潰されそうじゃ、と続く嵐吾の言葉に、ユルグと黒羽は思わず肯いたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
否否光る実を食べた今の藍ちゃんくんはシャイニング藍ちゃんくんなのでっす!
シャイニングと言えばこの一面の銀世界!
素敵でっすねー!
とはいえ動きづらいし滑りやすいので追いかけっこには危険なのでっすよねー。
少々無粋でっすが、藍ちゃんくんが一肌脱ぎましょう!
建築でっす! 増築でっす! ステージ落とし連打なのでっす!
うさぎさんを追いかけるのも兼ねて!
空からぽんぽん巨大な影が落ちてくるのは怖いでしょうねー。
当てないよう気をつけつつ、安全な足場を作るために撃ちまくるのでっす!
もちろん皆様にも使っていただければ!
景観を台無しにしないよう銀世界に合うステージを建てていきたいでっすねー!


雨糸・咲
暑いよりは寒い方が良いですけれど…
さすがに、これはちょっと堪えますね

急な寒さに身震いし
鞄から取り出した外套を羽織る

芯から冷えてしまわないうちに
さっきのイガイガの実を使ってみましょうか

ナイフを使って鬼皮を剥けば
薄皮に覆われた実はじんわりと熱を帯びてきて
外套の内ポケットに入れれば懐炉のように温かい

聞いたこともない鳴き声で
しかも跳ね回る雪兎…

何と言うか、可愛――
いえ、興味は尽きませんが
取り敢えず皆さんと協力して、
ひとつにまとめるべく囲みにかかります

囲みの隙間から逃げ出しそうな子には
杖を振って軽い暖気を起こし牽制を

何だかいじめているみたいで気が咎めますけれど…
ごめんなさいね

※アドリブ・絡み歓迎です


ブク・リョウ
わぁー…見渡す限り真っ白なのさ。
雪の結晶はとっても綺麗だけれど、
じっとしてたら凍ってしまうね。
ずぼっと雪から足をだして軽く屈伸運動。
ポケットや襟元に温かい実を詰め込みしっかり防寒。
フードをかぶり、ゴーグルも付けて準備万端。
[絡繰の見た夢]で相棒(からくり人形)を
スキー板っぽいものに変形させて
雪うさぎを追いかけるのさ!

転んだりした人がいたら手助けしつつ
雪うさぎをどんどん大きくしていこう。
……でもこれ、ひとつになったらどうなるんだろう…?
下の階への入口も見当たらないし、
口の中に飛び込んだりしちゃう?


赫・絲
うっわ雪すっっっご!さっっっむ!

この量の雪ってあんまり見ないから新鮮でちょっとわくわくしちゃうけど、
さっき食べた実のおかげでぽかぽかとは言え、これじゃさすがに凍えそうー

とりあえずちゃっかり持ち込んでたブーツを履いて雪を掻き分けながら、雪うさぎを追いかける

追いかけるけど……うーん早いよー!
あんまり溶かしちゃって雪崩れてきたりしてもいけないから、行く先に弱めの炎を纏わせた鋼糸を放って雪を少し溶かす
これで少しは追いかけやすいかな

近くに追いかけてる猟兵がいれば協力して挟み撃ちにしたり
雪うさぎが大きくなるまでがんばるよ!


ヴィクトル・サリヴァン
おお寒い。暖を取る為の実がなければ大変だったね。
それで次は…あの雪うさぎ?を追い回して集めちゃえばいいのかな。
…特に寒さに弱いってわけじゃないけど、長時間止まってても冷えてくだけだし追い回して温かくするついでにやっちゃおうか。

とにかく全力で追いかけよう。
他の猟兵の方に追い込むようなルートで追い立ててこうかな。
…海の中なら楽なのになーとかぼっふぼっふ雪を巻き上げだっしゅ。
寒くなってきたらUC使用、生命の速度加速させて代謝よくして体温める。
やり過ぎると疲れちゃうし実の効果のサポート程度に。
他の猟兵で凍えたり怪我してる人いる場合にも治療に使うね。
一つになってどうなるかわくわく。

※アドリブ絡み等お任せ


花咲・まい
【WIZ】
雪うさぎが……喋りましたです……!
それに、白いうさぎを追いかけるなんて、どこかで聞いたお話みたいで面白そうですです!

罠がたくさんあるみたいですから、気をつけて進まなきゃいけませんですね。
私もよく狩りでは罠を使いますですから、自分が仕掛けそうなところは避けて通りますですよ。あとはほら、野生の勘とかで!
あたたかい実も食べましたが、もし寒さがつらくなってきた時は近くのものから生命力吸収で少し力を分けてもらって、暖を取りますです。
あとは周囲のひとと連携して、お声掛けしていけば危険も減らせると思いますです!
さあ、雪うさぎさん! 仲良く集まってくださいですよー!

*連携やアドリブはご自由にどうぞ


オルハ・オランシュ
さむっ……寒暖差で風邪引いちゃいそう
コートを用意してきて正解だったな
それに、さっきの実もちゃんと効果があるみたい!
無策で来たらきっと凍えちゃってた

下への入り口についてはヒントすらない状況だし
誰かの言葉に私も賛成
雪うさぎがひとつになったら、凄い大きさになりそうだよね
その重みで床が崩れて下への出入り口に!
……なんてならないかなー
まぁそれだと、また落ちることに変わりはないんだけど
このまま留まるのだけは避けたいもの

駆け回るうさぎを【早業】でどんどん追いかけちゃおう
逃がさないよ!
他の猟兵と協力して、うさぎ同士が衝突するように
上手く誘導しながら追いかけられたらいいな
うっかり踏んだりしないように気を付けよう


ボリス・ルーシア
わわわ、雪がいっぱいでさらに降り続いている、のね
すごく綺麗だけど、とっても寒いぃ
防寒対策して、雪うさぎさんとご対面しなきゃ

雪の上を滑れるっていう短めの板を履いてみたけど
うぅ、なかなかバランスが…
スピード出したら安定する、かな
辺りを動き回る、雪うさぎさんの赤と緑を目指して
全速前進、行ってみよう
転んでしまってもきっと、痛くないもの、ね

滑るのに慣れてきたら、一緒に跳ねてみようかな
ぴょこぴょこ跳ねる雪うさぎさん、とっても可愛らしいのよ
他の子と違う方へ向かう子がいたら
方向転換させるように回り込むの
こっちはダメ、向こうにみんないるの、よ
一匹も残さずに一匹にしなくちゃ…って、あれ?


*アドリブや絡みも歓迎です


クレム・クラウベル
事前に話を聞いていたとは言え、一つ階層を変えただけでこの落差
……迷宮の構造はやはり得体が知れないな
寒さは不得手でないつもりだが、寒いものは寒い。先ほど採取した実で暖を取りつつ
雪うさぎとやらを追いかけよう

追い込んでくっつける、となると他の猟兵とも協力するが吉か
示し合わせ囲い込んだり、行き止まりに追い込んだりしていく
しかし雪が多いな……上背だけは伸びた身体に感謝しなくては
お陰であまり埋もれずに済む
背の低いものが苦戦していれば手を貸そう

うさぎを追うと言えば童話だが
……何だったか、UDCのゲームとやらで聞いたことがあるな、くっついて大きくなる生き物
それに随分な大きさになってきた気がするが、良いのかこれ



●巨大うさうさ、その先に
 さらさらの雪が舞う、一面の雪化粧。
 白うさぎを目指し、穴から落ちてそこに辿り着いた少女は叫ぶ。
「うっわ雪すっっっご! さっっっむ!」
 実に素直な赫・絲の悲鳴に、
「わぁー……見渡す限り真っ白なのさ」
「わわわ、雪がいっぱいで、さらに降り続いている、のね。すごく綺麗だけど、とっても寒いぃ」
「暑いよりは寒い方が良いですけれど……さすがに、これはちょっと堪えますね」
 ブク・リョウが素直な感想を述べる傍ら、ボリス・ルーシアと雨糸・咲も続いて身を震わせる。
「事前に話を聞いていたとは言え、一つ階層を変えただけでこの落差……迷宮の構造はやはり得体が知れないな」
「ほんと、さむっ……寒暖差で風邪引いちゃいそう。コートを用意してきて正解だったな……。それに、さっきの実もちゃんと効果があるみたい!」
「ああ、暖を取る為の実がなければ大変だったね」
「うんうん。無策で来たらきっと凍えちゃってた」
 上の熱帯で見付けた胡桃のような実を手に握り、クレム・クラウベルが零すのに、オルハ・オランシュとヴィクトル・サリヴァンが肯き合った。
 吹きつける雪風に耐えかね、めいめいに防寒具を取り出して装備を固めていく。
 咲は上層で拾い上げたイガイガの実の硬い鬼皮を寒さに震えるナイフで丁寧に削いでいく。中の薄皮に包まれた果実は思いがけず愛らしいまるさで、そっと包めばじんわりと熱を発する。外套の内ポケットに籠めて、ようやく彼女もひと息つくことができた。
「この量の雪ってあんまり見ないから新鮮でちょっとわくわくしちゃうけど、さっき食べた実のおかげでぽかぽかとは言え、これじゃさすがに凍えそうー」
 ちゃっかり持ち込んだムートンのブーツを履きながら絲が言えば、「そうだね」とブクもずぼっと雪に沈み込んだ足を引き抜き、軽く膝の屈伸をして。フードをかぶり、ゴーグルを填める。
「雪の結晶はとっても綺麗だけれど、じっとしてたら凍ってしまうね」
「長時間止まってても冷えてくだけだし、追い回して温かくするついでにやっちゃおうか」
 あの雪うさぎ? を追い回して集めちゃえばいいんだね。ヴィクトルが向ける視線の先には、大小さまざまなサイズの雪うさぎ達。
 ここまで逃げ切っているのだろう、未だ拳大の大きさから。
 牛かな? というサイズの雪うさぎまで。
「うささー!」
「うさー」
「雪うさぎが……喋りましたです……!」
 南天の実の目、南天の葉の耳。雪で出来たまるい身体。それが発する頓狂な鳴き声に、花咲・まいは思わず瞳を輝かせた。まいだけではない。
──聞いたこともない鳴き声で、しかも跳ね回る雪兎……。
「何と言うか、可愛──いえ、興味が尽きませんね」
 いけないいけない。これは依頼。災魔退治。ふる、と咲が首を振って告げるのに、まいは屈託なく笑う。
「はい! それに、白いうさぎを追いかけるなんて、どこかで聞いたお話みたいで面白そうですです!」
「その通りでっすねー!」
 エプロンドレスな紫・藍こと藍ちゃんくんも大きく肯く。否! 光る実食べた今の彼は全身が光輝く、
「シャイニング藍ちゃんくんなのでっす!」
「そ、そんな実もあったのですか!」
「あったのでっす! おにーちゃんも食べれば良かったのにと思ってるのでっすよー?」
 きょろり、知り合いの顔を探しながら彼は軽く肩を落としたのだった。

 猟兵達は知っていた。
 この難関は、協力をしないとクリアできないことを。
「咲さん、そっち行ったよ!」
「はい。こちらではありませんよ──ごめんなさいね」
 絲の声に、精緻な飾り彫りのある杖を咲がひと振りすれば、小さな暖気の渦が巻き起こり、「うささっ?」じわっと表面が溶けた雪うさぎが慌てて方向を変えた。
──何だかいじめているみたいで気が咎めますけれど……。
 そこはもう仕方がないと割り切るしかない。
 あっちにこっちに、視線をやりながら絲も一生懸命雪うさぎを追う。追う、けれど。
「うさっ」
「うさうさっ」
「……うーん早いよー!」
 さすがに雪うさぎ。身軽な足取りでぴょんぴょん飛び跳ねる姿に、なかなか追いつけない。空を仰いで思わず叫ぶ。
「確かにこの雪では身動きも取りづらいな」
 長い脚を雪から引き抜き、クレムも肯く。彼自身は上背があるお蔭でうずもれずに済んでいるが、それでも制限がないわけではない。
 雪の上を滑れると教えてもらった短い板を両足に履いたボリスも、
「うぅ、なかなかバランスが……わ、わっ、」
 片足だけが滑って行ってしまって、ぽふんと雪の中に倒れ込む。柔らかな新雪のお蔭で痛みがないのが救いだ。
「大丈夫かい?」
 しゃ、と綺麗な弧を描いて止まり、ボリスに手を差し出したのはブク。彼の足許にも、相棒の元・くるみ割り人形を変形させ、彼女の扱う短い板──スキー板のようなものが装着されている。
「あ、ありがとう。うぅん……スピード出したら安定する、かな」
「そうだね、勢いはある程度大切なのさ」
 こう、と滑り出すブクの様子をじっと見つめて、それからボリスも肯いて。
──全速前進、行ってみよう。
 雪うさぎ達の許へと、一直線。
 遠ざかる彼女達の後ろ姿に、絲と同じく全力でぽっふぽっふと雪を蹴立てて走り回っているヴィクトルも小さく息をひとつ。
「……海の中なら楽なのになー」
「……そっか」
 苦手なら、得意を持ち込めばいい。
 グローブを填めた指先を伸ばす。目視できないほどの速度で射出されるのは鋼糸。同時に炎の風を喚んでその鋼へと纏わせ奔らせれば、──彼女の進む先の雪が溶けて、文字通り路が拓けた。
 広範囲に及ぶことで雪崩などの憂いを起こさぬよう配慮して。
「これで少しは追いかけやすいかな」
「そうでっすねー! このままでは追いかけっこには危険なのでっすよねー」
 駆け出した絲を背に、藍ちゃんくんは両手を空へと差し向ける。少々無粋でっすが。そう告げて念じる──藍ちゃんくんオンステーッジ!
「わあ。これはすごいね」
 ヴィクトルが見上げた空から降り落ちて来るのは、──なんと、巨大なステージ。舞台、そのものだ。
「建築でっす! 増築でっす! ステージ落とし連打なのでっす!」
 景観を損ねないよう、白銀を中心とした彩りのステージが瞬時に雪景色の中へと設営され、
「うささー?!!」
 当然のように雪うさぎ達も泡を食って逃げ惑う。
「さあ、雪うさぎさん! 仲良く集まってくださいですよー! と、わわっ、」
 罠などの存在に意識を配っていたまいの足許に飛び出してきた雪うさぎが彼女の軸足に思い切りぶつかって、バランスを崩すのを、
「気を付けろ、」
 クレムがその腕を掴み、なんとか転倒を免れた。逃げていこうとした件の雪うさぎの前には、ぴょんっ、と板のついた足で跳んだボリスが立ち塞がった。
「うさっ」
「こっちはダメ、向こうにみんないるの、よ」
「うさっ、うさっ」
 くるん、と方向を変えて跳んでいくまるい姿にボリスが、ふわ、と微笑みを浮かべるのは自然の反応。
──ぴょこぴょこ跳ねる雪うさぎさん、とっても可愛らしいのよ。
「逃がさないよ! あ、君! そっち行ったよ!」
「よし。……こっちだ」
 野生の勘と熟練の早業で、雪うさぎの行く先に回り込むオルハの声。クレムの早撃ちでの援護射撃により雪に雨だれが穿たれ、弾ける銃声に雪うさぎ達が更にひとつの方向へと誘導されていく。
「うさぎを追うと言えば童話だが、……何だったか、UDCのゲームとやらで聞いたことがあるな、くっついて大きくなる生き物」
 ぽつり、変わらぬ表情でクレムが弾丸の雨を降らせ続けながら告げた言葉に、まいがくすくすと笑って肯く。
「なにやら聞いたことがあるかもなのです」
「しかし随分な大きさになってきた気がするが、良いのかこれ」
 クレムが見上げる──つまり象みたいな大きさになった、雪うさぎ。
「うさっ!」
「……声が野太くなったりはしないのでっすねー」
 感心する藍ちゃんくんに、そっと安心する咲。
「ひとつになったらどうなるんだろうね。わくわくするよ」
「下への入り口についてはヒントすらない状況だし、ぜんぶがひとつになったら、凄い大きさになりそうだよね」
 その重みで床が崩れて下への出入り口に! ……なんてならないかなー。とヴィクトルとオルハが笑う隣へと滑ってきたブクも、ゴーグルを上げて象サイズの雪うさぎを見上げた。
「……でもこれ、ほんとひとつになったらどうなるんだろう……? 下の階への入口も見当たらないし、口の中に飛び込んだりしちゃう?」
「口の中かー。って口ってどこ? 声はするけど」
 絲が言って、ほんとだ、とオルハやまいも、もはや身動ぎもしない雪うさぎの顔の辺りを探してみる。……ない。
「捕まえ、た……! 君で、きっと、最後の一匹、だよ」
 そこへ、ボリスが掌サイズの雪うさぎを一匹連れて、やってくる。
「さあ、行っておいで」
──……一匹も残さずに、一匹にしなくちゃ、
 雪原の方々に散っていた猟兵達も集まって見守る中。
 最後の一匹が象サイズの雪うさぎと接触し──、
「、」
 伏せろ、と。思い至ったクレムの声が音になるよりも迅く、大きな雪霞が猟兵達を呑み込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『雪うさぎリーダー』

POW   :    雪兎凍結地獄(コキュートス・セット)
【地形や装備をつるっつるに凍らせる事で】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
SPD   :    雪兎軍団(マイアーミー・セット)
レベル×5体の、小型の戦闘用【雪うさぎ(消滅時に強い冷気を放出)】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ   :    召喚!雪兎王!(カモン・ユキウサキング)
【自分に似た姿の戦士】の霊を召喚する。これは【冷気】や【氷で作り上げた武器】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:透人

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠中村・裕美です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●雪とうさぎとそのリーダー
 大きく周囲を覆った雪霞が晴れたとき、そこには大きな穴が開いていた。とある猟兵の予想がほぼ当たっていたようだ。
 ここまで来れば、あとの目的はひとつだけ。
 この下に待つはずの災魔を、倒すだけ。
 猟兵達が躊躇いなく飛び込んだそのラビットホールの先には。
「……やっと来てくれた」
 もう少しで迎えに行っちゃうところだった、なんて。その雪うさぎ──白い髪に青い目、長い耳に可愛らしい青いワンピースの少女はにっこりと微笑んだ。
「雪や、こんこ。きみや、こんこ」
 唄うように少女が告げれば、
「うさっ!」
「うさうさっ!」
 さっき懸命にひとつにしたはずの、拳大ほどの雪うさぎ達が雪の中から顔を覗かせて鳴いた。それは彼女のユーベルコード。
「はるなんてきらい。だって雪がとけてしまうもの」
 少女は踊るようにスカートにふわり風を孕ませ、軽いステップを踏む。その姿は愉しげで、けれどどこか、淋しげで。

「ねえ、あそびましょ? 氷と雪に閉ざされた、この世界で」
サラサ・エピドウント
あら、おっきくなった雪うさぎさんとも
お背中に乗せてもらって遊びたかったのに…ざんねん。
こんこ、こんこと呼んでくれたから、会いに来たのよ。
雪うさぎちゃん、一緒に遊びましょ。

サラサ、戦うのは苦手なんだけど、どうしよう。
攻撃されないように、できるだけ距離を取りながら、
エレメンタル・ファンタジアで炎の雨を降らせてみるのよ。
ピーちゃん(火の精霊)、力を貸して。おねがいね。
あめあめふれふれー、溶かしちゃえー

オブリビオンは倒さなきゃいけないんだけど、
可愛いのに…もったいない…可愛い…
…でも、またよみがえっちゃうかもしれないんでしょ?
それじゃ、また一緒に遊びましょうね。


アレンジ協力などなどおまかせよ。


終夜・嵐吾
【壱七〇】
お、思ってたのと違うんじゃけど…
わしはあのでっかいうさーがうささーってくると、思ってたんじゃけど…
大怪獣決戦的な…そういうのを…あのうさをみて期待しとったん……(しょんぼり)
いや、でも。しかし、あの姿に惑わされはせん
冬の閉ざされた真っ白は……まぁそれも風情もあるんじゃが
春の訪れを待っているものもおるんじゃ、そう、主にわしが!

なれが冷たきもので向かうなら、わしは狐火をもって
全てを溶かすのは無理でも、攻撃打ち消すくらいはできよう
数で対せなければ一つ、大きな狐火作り確実にあてていこう
氷も雪も溶かして。春の訪れが、そこまできとるよ
おお、ユルグ君、足運びが慣れてきとるよ!


ユルグ・オルド
おっと思いがけないお出迎え
つまりまんまと釣られちゃったワケね
嵐吾は大分、かなり、結構残念そうだけども
ふは、良いね大怪獣決戦……なんかこう浪漫?かな?
大怪獣のがやりやすかったかもネ

氷に雪と飽きるほどに遊んでやりたいとこだけど
急がないと、春がきちまう
シャシュカ一振り引き抜きながら駆けだそう
雪道も散々こけたからちょっとは慣れたもんだろ
褒められたと調子よくスピード上げて
地面掻くよになぎ払い、雪の煙幕つくったら
狐火追いかけ瓦礫に足掛け真直ぐに
うさうさ蹴散らす黒羽が容赦ねェの!
いじめっこだなんて軽口交えつつも前へ
拓く路から近づけたなら、熄でもって切り込もう

呼ぶから、来たさ
そんで俺らは春まで、行こう


華折・黒羽
【壱七〇】

春があって、夏、秋と巡るからこそ冬の良さがわかるんだ
ずっと冬だと飽きられるかもしれないぞ

…嵐吾さんしょげすぎじゃ
そんなにしたかったんですか、大怪獣、決戦?ってやつ

戦いづらいのは確かですけど
いつまでもそんな事言ってられないですからね

俺は嵐吾さんみたいな属性攻撃は持ち合わせていない
ならば打撃で破壊するのみ

尚も上空を道として
武器を凍らされぬよう隠で相手の攻撃を防ぎ
仲間が駆ける道がもし凍らされるなら屠で地面ごと叩き割り
足場となる瓦礫を作る

敵への攻撃が通るならユルグさんの所へと
蹴り飛ばす事も試みてみようか

非難の言葉は聞こえません
俺は戦いとなれば容赦はしない主義です

…心が痛まないって事は無いけど


ボリス・ルーシア
ふふ、またまた雪うさぎさんを追いかけて
穴に落ちちゃう、のね
迷宮の世界ってなんかすごく楽しい、かも

ここからは雪うさぎさんの退治に…って
さっきまで追いかけていた雪うさぎさんはUCだったの、ね
リーダーさん含め、なんて可愛らしくて戦いにくい相手、なのかしら

お待たせしてゴメン、ね
お呼ばれしたけど、海に還ってもらわなきゃ
でも、それまでは一緒に遊んじゃおっか

【シーブズ・ギャンビット】で接近戦
雪うさぎさんの攻撃は、一緒に踊るようにタイミングを見て避け
隙があったら一体ずつ確実に減らしていこう
戦いであっても、遊んでみえるように行動すれば、満足してくれる、かな
…もう合体させちゃダメ、だよね


*アドリブや絡みも歓迎です


ヴィクトル・サリヴァン
そんな事を言われてはね、お待たせしてごめんねと返すかな。
誰かをずっと待つ、そのもどかしさは俺もよく分かるからちょっとは想う所もある。
ああ、キミのやりたいのはうしろむき。未来が怖くて行かないだけのただの逃避。
本来の災魔でないキミは穴からでたのかもしれないしそうじゃないのかも。
けれどこの場のキミは…ここで、狩らせて貰う。

UCで攻撃。摩擦減らされ滑っても触れたのなら水鯱の追撃は発動する。
滑るのなら周りごとまるっとぱっくりやってしまえば避け辛いんじゃないかな?
雪遊びならぬ氷遊びにされるかもだけど。

嫌でも怖くても、春はやってくるもの。
消えてしまうとしてもそれを拒むのは駄目なんだよ。

※アドリブ絡み等お任せ


ソラスティベル・グラスラン
はいっ!彼女と一緒に遊びましょうナイくん(f05727)!

春の陽気を漂わせ、いざゆけ花蜜カラフルぷるん!
我らの勇気の出番ですよーっ!【蜜ぷに召喚!】
雪うさぎさん組と蜜ぷにさん組の、戦争ごっこです!

わいわい、きゃーきゃー、ぷにぷにー!

ふふふ、春対冬の季節合戦というところでしょうかっ
しかし状況は一進一退……ナイくん、切り札を出しますよ!

【勇気の実】を大斧で、ぱっかーん!
溢れ出る熱い蜜で、蜜ぷにさんがパワーアップです!
ナイくん命名!合体、蜜ぷに王!とても浪漫に満ち溢るるー!

ところで、なんだか……さむい
さっ、ささささむいですー!?
勇気の実使っちゃいましたし!ナイくんあっためてください~!?


ナイ・デス
……倒すのは、忘れてないですよね?ソラ(f05892)
なら、いいのですが

ソラと一緒に【蜜ぷに召喚】です
春がこなければ、花も咲かない。このままだと蜜抜きなので、ファイトですよ。蜜ぷにさん達

雪うさぎさん達に、蜜ぷにさん達をぶつけての、戦いです
……遊んでるみたい、ですけれど。あ、蜜ぷにさんが凍死した
このままだと、決着つきそうにない、ですね
……切り札。いいのですか?ソラ
では

勇気の実をふたつとも、ソラの大斧でぱっかーん
蜜ぷにさん達、雪兎王に対抗して、合体しましょう
蜜ぷに王、です!
敵を呑み込んで、溶かしましょう

あ、やっぱり寒くなった、ですか。ソラ
私は宇宙服で、平気なので
マフラー、ぐるぐる、巻いてあげますね


紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
雪うさぎさんの立場からすれば、春を嫌うのも当然のことでっしてー。
で・す・が! その思考の果てがどうなるか、藍ちゃんくんは知ってますのでー!
ウィンターセイヴァーなんてごめんですからねー!
黙って倒しちゃうのでっすよー!
いくら消滅時に冷気を発しようとも、ブラックホールに吸い込まれた後ですからねー!
ちなみに藍ちゃんくん口は黙れど踊るのはやぶさかではないのでっすよー?
一緒に踊っちゃいますよー?
おじょーさんは藍ちゃんくんたちを待ってたのですからー。
溶けると分かっててもなお、他人の温もりを求めたのではー?
季節は巡るもの。
春が来て夏が来て秋が来て。また冬にお逢いしましょうなのでっすよー


都槻・綾
えぇ、遊びましょうか
私は綾
貴女の名は――何と呼べば良いでしょう

氷と雪に閉ざされた世界では
生物は凍えてしまうから
歳月は流れども留まる季節に
貴女は独りきりで
嘗てあった名も忘れてしまったか
端から持たぬのか
何れ
名前を呼んでくれる人は
もうずっと居なかったのではないかと思い
名を問うてみる

生を与えられては次々と消されていく雪兎達
無為なる繰り返しは儚く寂しい

淡く笑って差し出す掌
指に挟んだ符が綻ぶ幻想、桜の花筐

私も冬が好きですよ
やがて大地を潤し
海を満たし
命を育む水となる雪は
冷たいのに、温かい
季は廻るからこそ
どの景観も尊く美しくて

待ち侘びていたのは
本当は春ではないのかと思えたから

どうか
花の香に包まれて
お休みなさい


シェーラ・ミレディ
どうにも奇妙な兎だと思ってはいたが。成程、UCのなせる技だったか。
敵は可愛らしいお嬢さんだが、さて。実力は如何程だろうな?

クイックドロウ、早業、先制攻撃。四丁の銃を抜き撃ち、ジャグリングのように駆使して攻撃だ。二回攻撃や属性攻撃、その他使えそうな技能は全て併用し、敵に銃弾を撃ち込むぞ。

召喚されたものは『相思相愛』で撃ち抜く。
敵の動きを見切り、フェイントを織り交ぜてカウンターを叩き込もう。

雪の結晶は美しいし、白く化粧をした景色だって見事なものだ。
同じように春にも、やわらかな日差しや芽吹く花や、そういった素晴らしいものがあるんだ。
……見せてやれないのは、残念だが。

※アドリブ&絡み歓迎


オズ・ケストナー
リル(f10762)と

雪うさぎがとけちゃうから
春がきらいなの?

わたしは、冬が好きだし
春もすき
ぽかぽかしてここちよくて
花がいっぱいで

きらいって言うより
すきって笑う姿を見てみたいけど
ごめんね
きみを倒して、春をむかえに行くよ

斧を構え
雪うさぎは【範囲攻撃】で払って
リルには近づかせないよ
なにも心配せず歌ってほしいから

攻撃を【武器受け】しながら接近
【ガジェットショータイム】
支援にありがとうと笑い
武器を振り下ろす
歌に励まされて

きみがこれを遊びというのなら
気のすむまで遊ぼう

リルのやさしい声をきいていると
春のようなあたたかな気持ちになる

うん
またねってお別れしたい
次の冬が来たなら、今度はいっしょに雪遊びがしたいね


リル・ルリ
■オズ(f01136)と一緒
アドリブ等歓迎

「雪やこんこ
春は冬との別れの季節だもの。寂しいけれど、でも」
また季節が巡れば逢えるから

「オズ、僕も冬も春もすき
雪解けの水と春の香りが心地よい
どちらもなくちゃだめなんだ」
だから

「今日の僕はオズの歌姫だ
君が存分に戦えるように精一杯唄うよ」
頼もしい金の騎士を歌で守る
【歌唱】を活かして歌う「凱歌の歌」
その身も斧も軽く、雪氷を砕ける様に
なにより君の身を守れるように
守られれば微笑んで
オズに合わせ高らかに歌う
攻撃は【空中戦】で躱す
僕もがんばる

絢爛の春を想い
歌い踊り遊ぼう
冬が笑って眠れるように
「魅惑の歌」を歌い動きを止めて

オズ
サヨナラではなく
またね、と冬の君を送ろうか


トーア・ローウェン
穴から飛び出しぴょんぴょんぴょん
随分と可愛いお嬢ちゃん登場じゃねーか
遊んで欲しいなら迎えに来てくれてもよかったんだぜ
って何か、俺の方が悪役っぽくね?ひひひっ

妹とは違うけれど、どこか重なる少女にどうにも終始でれれ
わかる、めっちゃわかるわー、なんてどっちの味方か分からないほどの同意
しゃーねーだろ可愛いし
ひひっ、冗談じょーだん
残念ながら俺も含め大体の生きもんには、火も陽も必要なんだよなぁ

敵が雪兎でも少女でも
優しさ、手を繋ぐ、生命力吸収の技能を利用しつつ【贖罪の手】
外しても骨を纏い赤が揺蕩うネクロオーブにて召喚した死霊の手で全身を包み込み
大丈夫、溶けても消えてもわすれてやらねーよ

アドリブ、絡みお任せ


リティ・オールドヴァルト
ぼくは春が好きです
だいすきなきせつです
おまえとは相入れませんね
少し淋しそうに
でもすこしだけ
おつきあいしましょう
リリィ…行くよ…っ!
槍握り締め

みんなと協力
雪うさぎリーダー倒す

【属性攻撃】で炎纏い
【ジャンプ】で懐に飛び込み
【フェイント】交え【串刺し】
当たればドラゴニック・エンド
リリィ、お願いっ!

敵の動き【見切り】で見極め
【POW】攻撃は【全力魔法】
春の風を起こし溶かして相殺
雪うさぎ召喚されたら【なぎ払い】で一気に数を減らします

えいえんの冬なんて
楽しくないのです
また春が来る
だからこそ
冬も雪も
さむいのだって楽しいのですっ

でも
…楽しかったのです
さようなら
またらいねんの冬
おあいしましょう


ユキ・スノーバー
寒いのはぼくも好きだよー?(この格好がデフォルトだから!、とぴょんぴょん)
でも、それぞれの季節で良い所があるんだから、否定しちゃうのは勿体ないと思うんだっ。
確かに、暖かいと雪融けちゃうけど……若葉が芽吹くのを見れるのは春ならではの光景だよね?
納得いかない?よし!ぼくと寒いの対決しよっ!
華吹雪で寒いの同士の相殺合戦を挑みつつ
寒過ぎると、遊びたくても皆凍り付いちゃって動けなくなっちゃうから程々じゃないとなんだよー?
……氷の彫像並べたいとかだったら、残念だけど困る人達が大勢になっちゃうから駄目ーってしなきゃいけないけど。


雪はとけても、次の命を繋げる凄い役割を持ってるんだよ?
だから寂しいだけじゃないよ


ブク・リョウ
退治しなきゃいけないのはわかってるんだけどね。
でも、あんな寂しそうな姿を見ちゃったら
少しだけ揺らいでしまうのさ。
よーし。それじゃあ、遊ぼうか。

見知り含め他の猟兵さんと協力しつつ
[鉄屑の舞踏]で雪兎の王様を攻撃。
この花びらは、冷気で枯れたりはしないのさ。
その氷の武器とおれのBabel(バラックスクラップ)、
どっちが硬いか勝負なのさ!

暖かい実を持っていたとて
このままずっと遊び続けたら
体がどんどん動かなくなっちゃうのさ。
雪も氷も、ユーのことも嫌いじゃないけれど、
そろそろ帰らなくちゃ。


黒江・イサカ
やあ、やあ、君だね?
僕を呼んだのは
こんにちは、お嬢さん
遊びに来たよ、雪降る空のもっと上から

僕も冬が好きだなあ、寒い方が好きなんだよね
こういう遊びが好きなところも気が合うな
どうだい?僕と一曲
上手かったらどうか、最後のひと突きは僕にさせてくれよ

基本戦法はUCを使いながらの一撃離脱
メンツはたくさんいるからね
紛れながら…と行きたいところだけど、折角のお呼ばれだ
付き合ってくれるなら、真っ向からやりあおうか
折り畳みナイフは腐るほどあるから安心してね
あっつくなっちゃったりしない?
これで雪が溶けちゃったり?
そういうのは大歓迎だな
君にとってこれが、楽しい雪解けだといい
僕が、君の望みを叶えてあげるから



●白の世界と雪うさぎ
 さらさら、さらさら、と六花が積もったやわい雪の上を転がっていく。
 灰色の雪雲に覆われた空──天井にはぽっかりと大きな穴が開いていて、ボリス・ルーシアはそれを見上げて藍色の瞳を細め「ふふ、」小さく笑った。
「またまた雪うさぎさんを追いかけて穴に落ちちゃう、のね。迷宮の世界ってなんかすごく楽しい、かも」
 そんな彼女の傍で、うさうさと声を上げて雪の中からぽこぽこと顔を出す雪うさぎの姿に「あら、」サラサ・エピドウントはぱちりと瞬く。
「おっきくなった雪うさぎさんとも、お背中に乗せてもらって遊びたかったのに……ざんねん」
「お、思ってたのと違うんじゃけど……!」
 小首を傾げて見せるサラサよりもずっと感情を露わに、終夜・嵐吾はわなわなと震える手を隠さない。
「わしはあのでっかいうさーがうささーってくると、思ってたんじゃけど……大怪獣決戦的な……そういうのを……あのうさをみて期待しとったん……」
 迫る巨大な雪もふ! 跳び上がる巨躯から繰り出されるいきなり伸びる脚! 弱点である南天の目を狙った空中戦! なんやかんやで突然開いた口から放たれる予測不能なビーム! ……みたいな?
 しょん、とその耳とこうべを垂らす嵐吾に、
「……嵐吾さんしょげすぎじゃ」
 こちらは呆れを隠さず華折・黒羽が翼と共に口角を下げる。
「そんなにしたかったんですか、大怪獣、決戦? ってやつ」
「ふは、良いね大怪獣決戦……なんかこう浪漫? かな?」
 へらり飄然と笑みを浮かべて、けれどユルグ・オルドはその腰に佩いた己が身──シャシュカを落とすようにして抜き、一瞥をくれる先は白と青の少女。
「ま、大怪獣のがやりやすかったかもネ」
 思い掛けないお出迎え。まんまと釣られちゃったワケね、と告げるユルグにも、雪の中でうさぎの少女は微笑みを崩さない。青いヒールで雪を踏んで、猟兵達の顔を覗き込むように身体ごと傾ぐ。
「だいかいじゅうじゃないけど、あそんでくれる?」
「はいっ! 彼女と一緒に遊びましょうナイくん!」
 雪うさぎの問いに元気よく手を挙げ、それからぐるんっとソラスティベル・グラスランがきらきらした眼差しでナイ・デスを振り返るのに、
「……倒すのは、忘れてないですよね? ソラ」
 いつもと変わらぬ声音で彼女の相棒は応じる。
「やあ、やあ、君だね? 僕を呼んだのは」
 長い耳をそよがせる雪うさぎの少女の前に歩み出たのは、キャスケットのつばを軽く上げて薄い笑みを浮かべた黒江・イサカ。
「こんにちは、お嬢さん。遊びに来たよ、雪降る空のもっと上から」
「これはこれは随分と可愛いお嬢ちゃん登場じゃねーか。遊んで欲しいなら迎えに来てくれてもよかったんだぜ」
 ってなんか、俺の方が悪役っぽくね? ひひひっ。笑うトーア・ローウェンに紫・藍が「おにーちゃんがでれでれなのでっすよー?! 藍ちゃんくんのことも忘れないで欲しいのでっすよー!」なんてエプロンドレス揺らし喚くのを横目に、サラサもふぅわりと微笑んだ。
「こんこ、こんこと呼んでくれたから、会いに来たのよ。雪うさぎちゃん、一緒に遊びましょ」
 白に鮮やかな尾鰭を揺らして中空で手を差し伸べる彼女に、雪うさぎの少女は火を見るより明らかに嬉しそうな表情を露わにして。
 その輝きに都槻・綾も「えぇ、遊びましょうか」口許を緩める。
 そしてその長身を折って、少女の青い瞳と視線を合わせた。
「私は綾。貴女の名は──なんと呼べば良いでしょう」
「……」
「うさー」
 彼の問いに、少女はただまん丸の瞳を瞬いた。彼女の足許にぴょこぴょこと寄ってきた雪うさぎ達が彼女を見上げる。それはどこか、彼女を案じるような塩梅で。
──ああ、
 氷と雪に閉ざされた世界では生物は凍えてしまうから、歳月は流れども留まる季節に独りきり。嘗てあった名も忘れてしまったか、端から持たないのか。
 いずれにせよ、もはや彼女の名を呼ぶ者は永らく居ないだろうと、だからこそ口にした言葉へ返らぬ答えに、綾は自らの予測の正しさを知る。
 くてりと首を倒した少女は、唇を尖らせた。
「あった、と思うの。でも、わからない。……それが必要なのかも、わからない」
 彼女はオブリビオン。骸の海から蘇った残滓。
 過去の彼女であり──今は違う存在。
 いとけない少女の姿に、ボリスはそっと眉根を寄せて困ったような表情で笑う。
──なんて可愛らしくて戦いにくい相手、なのかしら。
「……お待たせしてゴメン、ね」
「ああ、その通りだね」
 もふ、と柔らかな雪を踏んでヴィクトル・サリヴァンも深く肯いた。
──誰かをずっと待つ、そのもどかしさは俺もよく判るからちょっとは想う所もある。
 漆黒の瞳が、ひたと少女を見据える。
「でもね。キミのやりたいのはうしろむき。未来が怖くて行かないだけの、ただの逃避。本来の『災魔でないキミ』は穴からでたのかもしれないし、そうじゃないのかも」
 けれどね、と。
 告げる声音は静かに、揺らがずに。
「この場のキミは……ここで、狩らせて貰う」
 うん。俯いて聞いていたボリスもヴィクトルの言葉に続ける。
「お呼ばれしたけど、あなた達には海に還ってもらわなきゃ」
 そこでひと呼吸。「──でも、」少女へ向ける眼差しは、柔らかで。
「それまでは一緒に遊んじゃおっか!」

●はる想う
「うさっ!」
「うささー!」
 タ、タァン、と反響が渡るそのときには既に拳大の雪うさぎは弾け飛び、ぼふんと強い冷気を放って白い雪がさらさらと散り落ちる。
 両の手にしていた銃を中空へ放り出し、投げ上げておいた次の銃を手に──それはまるでジャグリングのように四丁の銃を操りながらシェーラ・ミレディは息を吐いた。
「……どうにも奇妙な兎だと思ってはいたが。成程、ユーベルコードのなせる技だったか」
「うさっ」
「うさっ、うさっ」
 一体どこから南天の目と耳を調達するのか判らないけれども、足許の雪の中からもこもこ、と際限なく湧いて出る雪うさぎの姿に綾はうっすらと刷いた笑みは絶やさぬまま、それでも瞳に僅かばかりの憂いを滲ませた。生を与えられては次々と消されていく。
──無為なる繰り返しは儚く寂しい……。
 舞い跳ぶ雪うさぎの中、綾は静かに掌を少女へと差し出す。
「私も冬が好きですよ」
 その指に挟まれた『織』──符が喚ぶ幻想は、桜花の嵐。
「やがて大地を潤し、海を満たし……命を育む水となる雪は、冷たいのに、温かい」
 なれど、と。更に巻き起こる風が強くなる。
──季は廻るからこそ、どの景観も尊く美しくて。
「貴女が待ち侘びていたのは、本当は春だったのではないのでしょうか」
「……きらい、きらいよ」
 はるなんて。
「……そうですか」
 桜の花弁が雪うさぎ達を打ち消していく嵐の中、綾は引き結ばれた少女の唇に静かに瞼を伏せた。
「ならばせめて、どうか貴女の知らぬ暖かな春の花の香に包まれて、お休みなさい」

 白孔雀の尾羽を髪に揺らし雪に桜舞う景色を眺めつつ、
「雪やこんこ……春は冬との別れの季節だもの。寂しいけれど、でも」
 また季節が巡れば逢えるから。そう零したリル・ルリを、しかし雪うさぎの少女は強い視線で彼を睥睨した。
「またあえる? どうしてそんなこと、いえるの。みんな、みんな、居なくなるのに」
「……雪うさぎがとけちゃうから、春がきらいなの?」
 透明なキトンブルーを瞬いて、オズ・ケストナーが問えば、少女は肯きもせずにただ彼を見た。
「となりのおともだちが消えてしまう世界が、あなたはすき?」
「、……」
 問わなければ良かった。
 そうオズが感じたかどうかは判らない。でも、リルが必ず、居なくなってしまう世界。それを思うだけで何故だか喉が締め付けられるような感覚が襲った。
 そ、と手に触れたぬくもりに、オズは隣を見る。柔らかなリルの眼差しが彼を捉えるのに勇気をもらって、彼はもう一度雪うさぎに向き直った。ほんの少し、困ったような笑顔で。
「……そうだね。わたしは、冬が好きだし、春も好き。ぽかぽかしてここちよくて、花がいっぱいで」
 でも、きみは違うんだよね。
 そう口にしてしまうのは、とてもさみしいけれど。本当は、きらいって言うよりすきって笑う姿を見てみたいけど。
「……ごめんね。きみを倒して、春をむかえに行くよ」
 がちゃり、手にした斧の蒸気機構に手を触れて、彼はそれを低く構え、そして振るった。

「いやーうんうん、わかる、めっちゃわかるわー」
「僕も冬が好きだなあ、寒い方が好きなんだよね」
「! ! !」
 トーアが大仰なくらいにがくがくと肯いて、イサカが肩を竦めて笑うのに、藍ちゃんくんが目を大きく見開き、ぶんぶんと首を振りながらばたばたと身振り手振りで止める。
「えーなに妹じゃないって? いやでもしゃーねーだろ可愛いし」
 そんな藍ちゃんくんにトーアが返す傍ら、イサカは雪うさぎの少女に向けて手を差し向ける。
「こういう遊びが好きなところも気が合うな。どうだい? 僕と一曲」
 上手かったらどうか、──最後のひと突きは僕にさせてくれよ。
 いざないと共に繰り出すナイフは風を切り、少女を斬って。軽いステップを雪に刻み、体勢を整えながら幾多の折り畳みナイフは、彼の『食慾』。耐え難き想い。
「付き合ってくれるなら、真っ向からやりあおうか」
 跳んで、跳ねて、躍って踊って。
「あっつくなっちゃったりしない? このダンスで雪が溶けちゃったり?」
 軽口挟んで刃を繰り出しながらも、そういうのは大歓迎だな、なんてイサカは思う。君にとってこれが、楽しい雪解けだといい。
──僕が、君の望みを叶えてあげるから。
「! ! !」
「わーかったわかったって。冗談だよじょーだん、ひひっ」
 黙っているはずなのに煩いくらいに藍ちゃんくんが跳ね回るから、さすがのトーアも降参して。
 その切れ長の琥珀色の瞳が、雪うさぎ達が飛び交う向こう側の少女を見遣る。
「残念ながら俺も含め大体の生きもんには、火も陽も必要なんだよなぁ」
 そして伸ばした掌の上には、骨を纏い赤が揺蕩うネクロオーブ。彼の思う『骸の海』。さあおいで。一緒にいこう。それは贖罪の手──赦しを乞う指先。
 彼の喚び声に応じて湧き上がる無数の死霊の手が、優しさを乗せて雪うさぎ達を次々と掴み、闇の中へと引きずり込んで消える。
──雪うさぎさんの立場からすれば、春を嫌うのも当然のことでっしてー。
 雪うさぎ達が飛び掛かってくるのをひらりひらりと躱して一緒に踊って見せながら、藍ちゃんくんも肯く。
──で・す・が! その思考の果てがどうなるか、藍ちゃんくんは知ってますのでー!
 脳裏に浮かぶのは、夜と闇に包まれた故郷のある世界。白と黒。違いはあれど、そこを覆う『さむさ』は似通っている。
──ウィンターセイヴァーなんてごめんですからねー!
 さて藍ちゃんくんが意味もなく行動で騒ぎ口を閉ざしているのには勿論理由がある。世界に虚が生まれるほどのお喋りカラスの『沈黙』によって生み出される疑似ブラックホールが雪うさぎ達をせかいのどこかへ吸い込んで消していく。
「うさっ!」
「うささー…………!」
 掌に生み出したその時空の歪を扱いながら藍ちゃんくんはその向こう側を見つめる。少女は方々で散っていく雪うさぎ達の姿に逐一心を傷めている、というふうではなさそうだ。
──おじょーさんは藍ちゃんくんたちを待ってたのですからー。
 その少女の気持ちは判らない。その過去の理由は知らない。それでも、藍ちゃんくんにはひとつの確信にも似た想いがあった。
──溶けると分かっててもなお、他人の温もりを求めたのではー?
「大丈夫、溶けても消えてもわすれてやらねーよ」
 藍ちゃんくんの考えをまるで掬い取ったみたいに、トーアも笑った。

 雪兎王、と呼ばれた雪うさぎの少女にそっくりの霊と対峙し、ユキ・スノーバーも飛び掛かってくる雪うさぎへとアイスピックを振いながら、
「寒いのはぼくも好きだよー?」
と、もふもふのコートでぴょんぴょん跳ねて見せた。彼にとって彼女の景色は慣れ親しんだ寒さと冷たさ、そして白さだ。
「でも、それぞれの季節で良い所があるんだから、否定しちゃうのは勿体ないと思うんだっ。……確かに、暖かいと雪融けちゃうけど……若葉が芽吹くのを見れるのは春ならではの光景だよね?」
 明るいユキの問いに、雪兎王が彼を睨む。だから彼はほんのちょっぴり肩を竦めた。
「……納得いかない? よし! ぼくと寒いの対決しよっ!」
 そして飛び込んだ、王の前。使える範囲はその腕で抱きかかえられるほどの距離だけの大吹雪──華吹雪。寒さ勝負を挑んだその結末に、きっと勝敗はつかなかったけれど。
 振り下ろすアイスピックの一撃は、雪兎王の胸を貫いた。
 ──ぱき、ん。
 霊体であるはずの『彼女』からそんなかそけき音がしたかと思うと、その姿はぼろぼろと崩れ落ちた。
「雪はとけても、次の命を繋げる凄い役割を持ってるんだよ? ……だから寂しいだけじゃないよ」
 ユキの液晶画面が、更に向こうの雪うさぎの少女へと向けられて、少女はただ呟く。

「……雪や、こんこ。──きみや、こんこ」

 喚び声に応えて、雪うさぎ、そしてまた同じく雪兎王が湧き上がる。
 その終りが見えない光景に、ブク・リョウはやれやれと小さく首を振る。
「退治しなきゃいけないのはわかってるんだけどね」
──でも、あんな寂しそうな姿を見ちゃったら、少しだけ揺らいでしまうのさ。
 自分の眷属を増やし、自分と同じ姿の霊体を喚んで。
 彼女が続けるのは、永遠のおままごとだ。
「いいよ。それじゃあ、遊ぼうか」
 ダンスは得意なのさ。そんなふうに零した彼の手には『Babel』。言語の疎通を拒むかのようなその形状は彼の祈りに応じて弾け飛ぶ。
「咲いた、裂いた──」
 それは無数の鉄屑の花弁と化し、周囲の雪うさぎごと、王を斬り付ける。王が生み出す氷の刃も、冷気にも負けぬ幾多の鉄の花弁が射ち落とす。
「その氷の武器とおれのBabel、どっちが硬いか勝負なのさ!」
 冷え切った花弁と氷雪の隙間を縫って、リティ・オールドヴァルトは駆けた。
「ぼくは春が好きです。だいすきなきせつです。……おまえとは相入れませんね」
 ほんの少しよぎるのはさみしさ。好きなものをはねつけられるかなしさ。眉根を寄せてそれでも少女は高く跳ぶ。
「リリィ……行くよ……っ!」
 リティを追って顔を上げてその手に氷の刃を振りかざした雪兎王の腕は「──!」けれど音速の銃弾に打ち弾かれて吹き飛んだ。
「させないよ」
 それは離れたところに位置取ったシェーラの彩色銃技・相思相愛。そして彼へと意識が逸れた王へ、少女はその白銀の槍を突き出した。確かな手応えに僅か、くしゃりと口許が歪んでしまうけれど。
「リリィ、お願いっ!」
 その槍は彼女と共に成長する竜へと姿を変えて、王の身体を引き裂いて。
「えいえんの冬なんて、楽しくないのです。また春が来る、だからこそ冬も雪もさむいのだって楽しいのですっ」
 でも。
 雪うさぎに逢うために手に入れたお湯の入っているみたいな実を探したときも、出逢った雪うさぎをひとつに追い駆けた想い出も。
「……楽しかったのです」
 だから、さようなら。またらいねんの冬、おあいしましょう。
「雪の結晶は美しいし、白く化粧をした景色だって見事なものだ。……そこの彼も言ったが。同じように春にも、やわらかな日差しや芽吹く花や、そういった素晴らしいものがあるんだ」
 ……見せてやれないのは、残念だが。
 ぱらぱらと粉雪の散る中で、シェーラはふ、と銃口をひとつ吹いてその柳眉をほんの少し下げてみせ、うん、とブクも肯く。
「暖かい実を持っていたとてこのままずっと遊び続けたら、体がどんどん動かなくなっちゃうのさ。雪も氷も、ユーのことも嫌いじゃないけれど、」
 そろそろ帰らなくちゃ。
 そう告げると雪うさぎの少女は悔し気に唇を噛んだ。

「いざゆけ花蜜カラフルぷるん! 我らの勇気の出番ですよーっ!」
 ソラスティベルが叫べば、ナイもそれに合わせて合わせて、蜜ぷに召喚!
 オレンジに黄色に緑に紫。いろとりどりの『蜜ぷに』と呼ばれるナニカが空から降ってきて、雪うさぎ達を押し潰さんと跳ね回る。
「わいわい、きゃーきゃー、ぷにぷにー! ふふふ、春対冬の季節合戦というところでしょうかっ」
 行け行けー、と応援に大はしゃぎなソラスティベルの隣で、
「春がこなければ、花も咲かない。このままだと蜜抜きなので、ファイトですよ。蜜ぷにさん達」
 応援なのか脅迫なのか判らない声掛けを真面目にするナイ。どうやら『蜜ぷに』さんは花蜜を主食としているようだ。
 ぴょんぴょん、ゼリーのようなグミのような身体で跳ねる『蜜ぷに』さんだったが、
「……遊んでるみたい、ですけれど。あ、蜜ぷにさんが凍死した」
「きゃー?!」
 冷気にはどうやら弱いらしい。押し気味だったのは始めの内ばかり。次第にぱきんと面白いくらい見事に固まっていく『蜜ぷに』さん達に、ソラスティベルは光り輝く温かな実──ソラ命名・勇気の実──を握り締めた。
「……ナイくん、切り札を出しますよ!」
「いいのですか? ソラ。……では」
 ふたり分、揃って置いた勇気の実をソラスティベルの斧がひと断ち!
 そこから溢れ出したのは、熱く湯気立つ金色の蜜。
「蜜ぷにさん、パワーアップです!」
「蜜ぷにさん達、雪兎王に対抗して、合体しましょう。蜜ぷに王、です!」
 ……どうやら『蜜ぷに』さんは蜜でパワーアップするもののようで。
 上に積み重なっただけのように見えなくはないけれど、ともかく大きな身体で倒れ込むようにして雪うさぎ達を呑み込んでいく姿に、
「蜜ぷに王! とても浪漫に満ち溢るるー!」
と、きゃあきゃあ跳んで喜んでいたソラスティベルが、けれどふと気付いた。
「ところで、なんだか……さむい……? さっ、ささささむいですー?!」
「あ、やっぱり寒くなった、ですか。ソラ」
 当然だ。自らが暖を取るための実を使ってしまったのだから!
「ナイくんあっためてください~?!」
 だからいいのですか、と訊いたでしょう、なんて言いながら、ナイはぐるぐるとソラスティベルにマフラーを巻いてあげた。

 そんなてんやわんやの向こう側で、足に装着した板にも慣れて、ボリスも雪を散らして滑り込み、手にした『フォルトゥーナ』を振るう。
──戦いであっても、遊んでみえるように行動すれば、満足してくれる、かな。
 まるでじゃれるように跳び掛かってくる雪うさぎにはほんのちょっぴり眦を下げつつも躱して、すれ違いざまに刃を奔らせれば、ユーベルコードで出来た雪うさぎ達は砕けて消えた。
「可愛いのに……もったいない……可愛い……」
 その姿にむむむと眉を寄せつつも、サラサは炎の精霊を喚ぶ。
「戦うのは苦手だけど……ピーちゃん、力を貸して。おねがいね。あめあめふれふれー、溶かしちゃえー」
 杖に転じた精霊の力は、白い世界へ炎の雨を降り注いだ。
「うさー!」
 中空から小規模な隕石みたいに落ちて来る炎。堪らず悲鳴のような声を上げて、雪うさぎ達の身体がぼとぼとと崩れ落ちていく。
 やっぱり可愛くないその様にはサラサの胸が痛むけれど。
「……でも、またよみがえっちゃうかもしれないんでしょ? それじゃ、また一緒に遊びましょうね」
 彼女が、雪うさぎが、オブリビオンだからこそ。
 そう微笑んだサラサの言葉に、ボリスの心も少しだけ、軽くなって。ぴょん、ぴょん、と雪うさぎのダンスを躱し、踊り、その姿にぽつんと零した。
「……もう合体させちゃダメ、だよね」
「逃げられても困るからねぇ」
 思いがけず独り言に応えが返って、ボリスはそうだね、と困ったように笑う。応えたヴィクトルは滑る足許に鋭い歯を見せて笑うと、手にした太い三又の銛をひょうと放った。
 大海より来たれり──獲物は此処だ。
 粉雪舞い散る風を斬り裂いて、その銛は過たず遠く離れた場所に居た雪兎王の細い体躯を貫いた。
 ザァアアアア、と。
 その銛を目印に雪の中から水で象られたシャチが泳ぎ出て、磔にされて身動きの取れない王の霊体ごと大きな口で喰い千切った。
「うさっ!」
「うささー!」
 再び上がる悲鳴にヴィクトルは小さくかぶりを振った。
「嫌でも怖くても、春はやってくるもの。……消えてしまうとしてもそれを拒むのは駄目なんだよ」

 どこかの呟きが、雪風に紛れて耳を掠める。それは理解できるのに、どこか受け入れがたいようで。オズは「っ!」首を振るって追いやった。
 ただ、なにも心配せず歌って欲しいから。
 遠心力乗せて斧を振るうオズの耳を「オズ、」リルの涼やかな声がくすぐった。
「僕も、冬も春もすき。……雪解けの水と春の香りが心地よい、……どちらもなくちゃだめなんだ」
 ちがうと知って揺らいだオズの気持ちに、おなじもあるのだと寄り添う響き。励ますような声音はそのまま、凱旋の歌となる。
「今日の僕はオズの歌姫だ。君が存分に戦えるように精一杯唄うよ」
「ありがとう、リル」
──リルのやさしい声をきいていると、春のようなあたたかな気持ちになる……。
 その歌は冬空に差し込んだひだまりのように強張るオズの身を解きほぐし、斧を軽くして。まるで踊るように振り回す刃はざん、と冷たい音を立て、雪のうさぎを氷塊と化していく。
 オズの視線の先には、相容れないと知った雪うさぎの少女。
「きみがこれを遊びというのなら、気のすむまで遊ぼう」
「うん。絢爛の春を想い、歌い踊り遊ぼう──冬が笑って眠れるように」
 だからね、オズ。
 とん、と金の騎士の背に自らの背を預けて、歌姫は囁いた。
「サヨナラではなく、またね、と冬の君を送ろうか」
「、……うん。またねってお別れしたい」
 例え相容れないと判っても。解っても。別っても。
 リルの声に、オズはようやくまた柔らかな、春の陽射しのような笑みを取り戻した。
「次の冬が来たなら、今度はいっしょに雪遊びがしたいね」

──春があって、夏、秋と巡るからこそ冬の良さがわかるんだ。
 大きく翼を広げ、悠々と寒空を飛ぶ黒羽の視線の下では白い雪の中をユルグが駆け、嵐吾がいくつもの狐火を浮かべ楽し気に笑うのが見える。
「雪道も散々こけたからちょっとは慣れたもんだろ」
 もふもふの雪も踏み固めれば滑るものだ。力の掛け方に注意しつつも速度乗せるユルグの姿に「おお、ユルグ君、足運びが慣れてきとるよ!」嵐吾は手を叩き、彼の道行阻むように跳び出してきた雪うさぎ達へ向けて、浮かべた狐火をそっと手放す。
「冬の閉ざされた真っ白は……まぁそれも風情もあるんじゃが、春の訪れを待っているものもおるんじゃ、そう、主にわしが!」
 自由な嵐吾の主張に「うさーっ!」「うさっうさっ!」抗議するように雪うさぎ達が群れまくっている。「えぇいただの事実じゃろうが!」。
 それをひとつ息を吐いて眺めると、黒羽は大きくひとつ羽ばたくと、彼の許へと急降下。彼のような炎の持ち合わせはないからと繰り出すのは自らの脚。
「うさッ!」
 吹き飛んだ一匹の雪うさぎは砕けて消えた。
「黒羽容赦ねェの!」
 いじめっこー、なんて軽口交えて駆け抜けていくユルグに「聞こえません」憤然と黒羽は呟く。
「俺は戦いとなれば容赦はしない主義です」
 振り抜く腕には『屠』。名の通りに砕かれ屠られていく雪うさぎ達の姿へその青い瞳はただ静かに据えられて。
──……心が痛まないって事は無いけど。
 けれど、そんなことばかり言ってもいられない。敵はオブリビオンであり災魔で、この雪うさぎ達は敵のユーベルコードだ。
「うん、ワシもあの姿に惑わされはせん。氷も雪も溶かして。……春の訪れが、そこまできとるよ」
 に、と口角を上げた嵐吾の視線の先。ユルグの向かう先には、大怪獣じゃなかったこの迷宮のボス。愛らしい雪うさぎの少女。
「ああ。……ずっと冬だと飽きられるかもしれないぞ」
 ぽつりと零した嵐吾と黒羽の言葉は、ユルグには届かない。それでも彼はシャシュカで雪うさぎを振り払い、軽薄な笑みを浮かべる。
「氷に雪と飽きるほどに遊んでやりたいとこだけど、急がないと、春がきちまう」
 それは、追われるようにじりじりと。
 振り向いた雪うさぎの少女は青い瞳を驚愕に見開き──その間合いを瞬足に埋めてユルグは「──王手、」その細い身体を刃で深く斬り裂いた。
 こふっ、と。まるで血のように雪と氷の欠片を吐き出して崩れ落ちる少女にユルグは告げる。
「呼ぶから、来たさ」
 そんで俺らは春まで、行こう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

如月・螢
【信号機】
彼女に語りながら(目立たない+援護射撃)
UCを展開

春を迎えるとキミもキミの友達も
雪が溶け消えてしまうね
冬にもう一度出会うまで寂しいのかい?

春を謳う竜の槍を強く握る
ポツ、ポツ、と王冠から流れ出る純白の焔
雪と同化し徐々に彼女を覆うだろう

私には、キミの隙間を埋めてあげれないが…
キミが彼女の隙間を埋めておくれ
彼女もキミと同じ――強欲な王なんだ

ルミの爆破後にすぐに距離を詰め
反撃がくるならフェイントを挟み
微かに悪い視界を衝撃波で晴らし串刺しに

確かに過ぎ去るものに人は寂しさを覚え、また恋しくなるという
春か来るから冬が愛しいく感じる、と

それをキミが教えてくれたんだ
四季が巡る素晴らしさを――雪のキミが


ルーナ・リェナ
【ほしのたね】のみんなと
冬は雪遊びできて楽しいこともあるけど
次に芽吹くまでの時間だと思うんだ
どんなに好きでも先に進まなきゃいけないんじゃないかな
だから冬は、これでおしまい
嵐とリュカ、式夜の攻撃に紛れるようにして敵の背後へ
あとはタイミングを合わせてソルと、ジャーマから呼び出した炎で攻撃
凍らせられたり、強い冷気が出たら
ソルにお願いして暖かい程度で熱くないブレスで氷を溶かしたり
寒さを和らげる


浮世・綾華
【信号機】

ルミの優しい言葉が耳に心地よく穏やかに目を細める
それでも君が冬を乞う理由を考えようか
雪でできたうさぎの友達が溶けて消えちゃうから?
それとも君が消えてしまうから?

君を取り押さえるのは流水文ノ鎖
或いは鉄屑ノ鳥籠
そのUCを抑え込むように
自由を奪うように

フェイント、カウンターも駆使
炎の技を使うのは酷かもしれないが
倒さなきゃなんねえなら
――ごめんなと浮遊させる無数の鬼火

この場所に春が来るなら
いつかまたきっと君の愛した季節も巡り来るはずだ
その時は雪でうさぎを作ろうか
またこうやってみんなで此処に訪れて
君がひとりで、寂しくないように


ルミ・エアイン
【信号機】

春は暖かくて、
とても風が気持ちいいんです。

雪が溶けたらお花も咲きます。
とてもきれいなんですよ?
あなたにも見せてあげたいです。

僕は冬も好きですが、春も好きです。

でも、あなたを倒さないと
ここに春は訪れないのですか……?

ヘイルに頼んで僕の周りに雪を降らせ、
爆弾が入った雪玉を作り、敵に投げます。

お二人のほのお、少し悲しい気持ちですが
凄く美しいです。
はっ見とれてしまいました。

攻撃を仕掛けてきたら
皆さんの前に【念動力】で雪の壁を作り
ガードさせます。

グラートを槍に変身させて、
【串刺し】にします。

……泣いてないですよ。
目に溶けた雪が入ってしまっただけです。
雪うさぎさん……作りたいです。


リュカ・エンキアンサス
【ほしのたね】のみんなと
初撃で頭を狙う
その後もみんなが近づくまでは銃を打ち込んで、その後式夜お姉さんが接敵し次第援護射撃に移る
(必要ならあったかくなる実を渡しておく
援護射撃時は、相手の行動を妨害することに重きを置く
嵐お兄さんやルーナお姉さんとタイミングを合わせて攻撃を切らさないようにしよう
次いでみんなの手助けが出来るうち方をしていけたらいい
勿論、機会があれば遠慮なく倒せるように撃ち込んでくけど
もし後方でいるのが難しいようならこちらから突っ込んでナイフを抜いて応戦


…冬が続くのはごめんだな
雪が積もるとバイクで走れなくなるし
それに、ずっと変わらない景色なんて、つまらないことこの上ないからね


アルファルド・リヤ
【凹】

かわいらしい兎のお嬢さんですね。
ふむ、そうですね。一緒に遊びましょうか。
ヴァリアブル・ウェポンで腕を変形させます。
辺りが雪ならば好都合ですね

この腕で雪合戦のごとく雪の玉をぶつけて攻撃しましょう。
雪合戦ですよー。楽しいでしょう?
同じくこの腕で雪の壁を作り上げましょう。
氷ではありませんが雪を扱うのも得意です。
お二人とも、何かありましたらこの壁の後ろへどうぞ
自分はこちらから支援致しますね
雪玉、いります?

おや、とても頼もしい。二人とも頼りにしておりますよ。
後衛から雪投げに専念、攻撃は任せます。


隠・イド
【凹】
なるほど、ふたりはとてもお優しい心をお持ちだ

私にとっては敵の見た目がどうであれ、殺すべきUDCにしか映らない
とは言えそれを突きつけるのも無粋というもの
であれば適当にお付き合いしつつ、私は私の目的を果たしましょう

雪の壁の後ろでせっせと雪玉作り
それらの雪玉は、正しくは雪ではなく【自身の肉体を変化させ生み出した雪玉の模倣】
ほどよく遊び終わったところで【散らばった雪玉】を【温かくなる実】へと変化させる

暖気による弱体化
或いは滑る床を何とかできればと

春の陽気がお嫌いなようで
でしたら春が訪れる前に、この場で死ぬのがよろしいかと

同じく雪玉として紛れ込んだ自身も元の姿へと戻り、少女の急所をナイフで突き刺す


ニケ・セアリチオ
【凹】
あら、あらっ
さっきのうさぎさんもいっぱいね……?
貴女ははるが、きらいなのね
冬がいなくなってしまうのが、さみしくて
…だから、皆さんを呼んだのね

ええ、ええ
せめても、と言うわけではないけれど
でも、せっかくですから
たくさん、遊びましょう!

舞い散らせるは
雪のように真白の花吹雪
彼女やうさぎさんの目眩ましにして
束の間のかくれんぼ

えいっと雪壁に隠れながら
もらった雪玉を、投げてみましょうか?
あまり当たらないかもしれないけれど
皆さんの方がお上手かしら?

永遠の雪遊び
そういう世界も心惹かれてしまうけれと
でも、でもね
私はもう
春のあたたかさも、花の美しさも知ってしまったから

夢は覚めて
暖かな春の陽の下に帰りましょう


泉宮・瑠碧
僕も冬は好きだが…
春が来なければ草木も力尽きてしまうからな

…彼女が春を嫌いなのは
親しい世界や雪うさぎ達も失われ、取り残されるからだろうか…

僕は主に援護射撃と永遠揺篭を
属性攻撃として冷気を風の精霊で散らせれば

雪うさぎにあまり攻撃したくは無いので…
向かう方向を逸らす等で
数が多ければ範囲攻撃で威嚇射撃

凍結地獄は進む先に水の矢を撃ち込んで凍らせ
障害物にして進路を妨害しよう

自身への攻撃や雪うさぎ回避は第六感も使い
見切りやオーラ防御
リーダーが踊るような動きなら僕も多少は倣おうか

災魔である以上、討たねばならないが…
不安や寂しいままなのは悲しいから
せめて、春の中でも溶けない雪の夢が見られる様に
おやすみ…と祈る


アビ・ローリイット
うわ
うさぎおかわりいる……
すげえーこれみんな友だち?

雪うさとも遊びつつ連携してリーダー狙う
格闘と『鉄塊剣』で戦う
つるつる地面は【グラウンドクラッシャー】で砕いて引っ掛かりある状態に戻しつつ
抉れたそこを落とし穴みたいにぎゅぎゅっと雪うさつめてくのもいいなー
なんてまだまだ雪遊びへの関心尽きぬながら
氷武器で攻撃されそうなら殴りかかるフェイントでつかんだ雪うさぶつけて目眩し狙い
もし隙できたらカウンターの【グラウンドクラッシャー】当てれっかな?

もう行っちまうの?
雪遊びっての割と楽しかったから
お返しに春の遊び、教えてやってもよかったんだけどなあ
季節は巡る
また来年のおたのしみってことで

※アドリブ等々歓迎


両角・式夜
【ほしのたね】の皆と

うむうむ、雪もまた大地に降り積もるもの……
その大地から離れるのは恋しくて冬のままでいたい気持ち、わかるぞ!なんせわしは偉大なる地竜だからな!!(ドヤァ)


出来るだけ【氷結耐性】で冷気を耐えたい所だ。
暖かくなる果実もあったのか?持ってたら誰かから少し貰っておこうか。
わしの役割は矢面に立って相手の目を引き付ける事だな!
なかなか大群戦になりそうだし、【なぎ払い】で範囲攻撃して囲まれ過ぎない様に注意しよう。
危なくなったら嵐殿が回復してくれるだろうしな。
なに、攻撃は最大の防御と言うからな!
後はその間にリュカ殿とルーナ殿がなんとかしてくれるだろう。


静海・終
春に出会えない寂しいお嬢さん
冬は貴方と共にさようならを
最後に一つ跳ねて踊って楽しくとかしてさしあげましょう

雪も確かに好きですし
愛らしい兎がとけてしまうのは残念ですが
それが冬の理、とけて春にならねば
きっと冬が恋しいという心も忘れてしまう
つるつる滑ってしまいそうであれば槍を突き立てあらぬ所へ滑らぬよう
滑ってうまく動けない人がいれば支えて攻撃や動きの手伝いを
自信も動くのが危険であれば槍を狙い投げましょう
雪や、こんこ。きみや、こんこ。
貴方との再会を望んではいけないけれど
また雪の降る季節に白い雪を見たのなら貴方を思い出しましょう


葦野・詞波
ずっと遊んでやるのも悪くはないが。
済まないな、それは出来ない相談だ。
雪や氷が織りなす景色は確かに綺麗だが
それも四季あってのこと。

それに、寒い冬を越えた先に春が来ることを
知っているからこそ。
動物や花々はどんなに寒くとも
冬を乗り越えられる。

――何、春も永遠というわけではない。
春が来て、夏が来て、秋が来て。
そうすれば何れ、冬がまたやってくるのだから。

だから、暫しの別れだ。

槍を構えて突撃、先手を取る
雪うさぎや霊はなぎ払いで処理しながら
リーダーへと迫る

凍結地獄を見たならリーダー目掛けて【揺光】
リーダーに当たらずとも地形の破壊で
摩擦抵抗を打ち消すように

攻撃には見切りで対応


鏡島・嵐
判定:【WIZ】
【ほしのたね】の皆と。
冬は別に嫌いじゃねえし、氷とか雪も風情があるのは否定しねえけど、おれはやっぱり四季がある方が彩りがあって好きだな。
……震えてんのかって? 別に寒いんじゃねえよ。相手が誰だって、おれは戦うのが怖ぇんだ。

《大海の姫の恋歌》〈鼓舞〉で皆を回復、支援する役を担当。
向こうの攻撃で受ける被害を減らしてぇから、〈フェイント〉を絡めた〈援護射撃〉を撃って〈武器落とし〉や〈目潰し〉を狙っていくぞ。
リュカも射撃に専念するみてぇだし、声かけ合ってお互いタイミングを合わせられればそれなりに効果は上がりそうだと思う。


クレム・クラウベル
……やれやれ、雪の中を走るわ落ちるわ、慌ただしいものだ
季節分の寒さはまだ耐えるとして
ずっと春が来ない、となっては過ごしにくいことこの上ない
冬が過ぎたなら雪は終わり
溶けて水に、雨に還ればいい

後は倒すだけとなったなら遠慮はいるまい
展開させるは祈りの火
凍えさせようなどと言うのなら炎で溶かしてやろう
学園が氷漬けにでもなっては困るのでな

世には雪国などもあるが
そうでない場所なら、季節は巡るものだ
流れに抗うのは感心しない
……心配せずとも巡るものだ
春が来たなら一回りした先でまた冬は訪れる

雪が降ったなら、雪うさぎの一つ二つ作ってやる
それまでは左様ならだ
四季の中に生きるものには春が必要なのだから


花咲・まい
【POW】
ええ、ええ、遊びましょうですよ。
でもそれは……雪が溶けて冬が終えるまでの間、だけですよ!

戦闘では【悪鬼礼賛】を使いますです。
可愛らしいうさぎたちは少々斬りづらいですが、ここは心を鬼にしていきますですよ。羅刹らしく。なんちゃって。
敵の数が多いときは【範囲攻撃】と【なぎ払い】でスッキリと!
雪うさぎのお嬢さんを狙えるときは、一点集中でいきましょう。

きっともうすぐ、春になりますです。
雪うさぎの性質を思えば、溶けるばかりの春は許し難いことでしょう。
それでも、閉ざした世界じゃ寂しいだけですから。
せめて終わるときは、彼女が寂しくないように最期まで見届けますです。

*連携やアドリブはご自由にどうぞ


岡森・椛
こんにちは、とお辞儀して挨拶
彼女の気持ちは分かる気がする
多くの人は春の訪れを喜ぶ
消えて行く雪の気持ちは置いてけぼりかもしれない…

だけどこのままにしておけない
凍った時を動かす為に私達は来たのだから
その為にも…今はめいっぱい一緒に踊って、楽しく遊びましょ!

【紅葉賀】で秋を呼ぶ
冬が訪れれば美しい紅葉も散ってしまうの
赤は白に塗り替えられて…
でもさよならじゃないよ

季節を超えて、また会えるもの
巡る季節
冬だってそう
空から降る贈り物はまた必ず届く
それは心からはずっと消えないよ

頃合いを見て科戸の風で攻撃
アウラも一緒に雪の中で踊ろうね
おやすみなさい…

●後
手を合わせてお祈り
…忘れないからね

※アドリブ・アレンジ大歓迎


赫・絲
可愛らしいお誘いだけど、冬ばっかりじゃ冬のよさも忘れちゃうからねー。
存分に遊ぼーよ。お前が満足できるまで、ね。

炎は使わない。
使えば寒さも雪もかき消せるだろうけど、きっと彼女が悲しむだろうから。
代わりに鋼糸に【属性攻撃】で雷を纏わせてお相手を。

向かってくる雪兎も雪兎王も攻撃を【見切り】鋼糸の檻に閉じ込め、
【全力魔法】で出力を上げた雷で反撃しながら、彼女に攻撃できる隙を探る。
足元が凍り付いたりしたらさすがに滑って転びそうだから、近くの物に鋼糸を巻き付けて支えにするよー。

隙を見つければ、その時は逃さない。
手に残った全ての鋼糸を放って捕え、糸に雷撃を這わせる。
それじゃ、遊びはお終いだよ。ばいばい。


雨糸・咲
白い兎耳を生やした少女に目を細めたのは
以前にも対峙した彼女のことを思い出したから

そうね、
雪がとけてしまうのは寂しいですね

第六感、聞き耳で攻撃を避けつつ
フェイントと高速詠唱で隙を突く

ねぇ
あなたは誰かが来るのを待っていたのですか?
何のため?
遊び相手が欲しいの?

優しく語りかけはするけれど
杖振り喚ぶのは、炎の細雨
小さな雪兎たちが消えながら放つ冷気を散らし
凍りついた地面や装備も溶かせるよう
ちらちら光って降り注ぐ火の粉

この世界には抗えない理があります
喉が枯れるほど叫んでも
心が壊れるほど願っても
叶わないことが、沢山あるのです
――さぁ、もうおやすみなさい
次の冬にはまた、
たくさん雪が降りますよ

※アドリブ絡み歓迎



●雪と氷のダンス・フロア
 たぁん、と。
 残響残したその狙撃は「……ち、」集団の中で跳ね回り躍り上がる雪うさぎの少女の頭を狙うにはひとりの力では難しく、リュカ・エンキアンサスは口の中だけで零し、がしゃと次の弾丸を装填すると空の薬莢が雪の上に放り出された。
「うむうむ、雪もまた大地に降り積もるもの……その大地から離れるのは恋しくて冬のままでいたい気持ち、わかるぞ! なんせわしは偉大なる地竜だからな!!」
 雪に紛れるような白銀の髪を揺らし、胸を張って渾身のドヤ顔をする両角・式夜(銀錫赤竜・f01415)の台詞にも、
「……冬が続くのはごめんだな」
 リュカは雪で築いた台の上に『灯り木』を添えて静かに次の機会を待つ。
「雪が積もるとバイクで走れなくなるし、……それにずっと変わらない景色なんて、つまらないことこの上ないからね」
「んー、おれもリュカに賛成ー。冬は別に嫌いじゃねえし、氷とか雪も風情があるのは否定しねえけど、やっぱり四季がある方が彩りがあって好きだな」
 リュカの傍に隠れ、共に機会を窺っていた軽い溜息含んで鏡島・嵐が肯けば、ルーナ・リェナも小首を傾げて「そうだねぇ」と呟いた。
「冬は雪遊びできて楽しいこともあるけど、次に芽吹くまでの時間だと思うんだ。どんなに好きでも先に進まなきゃいけないんじゃないかな」
 彼女の雪の中でも鮮やかなラズベリーの瞳と虹の翼に、彼らは一様に肯き──いざ、と踏み出す直前、大きく式夜が身震いした。
「しかし寒いな。リュカ殿達は寒くないのか?」
「式夜お姉さん、これ」
「おお、こんなものがあるのか」
 ぴん、と弾くようにリュカが放ったのは鞄の中に詰め込んでいた、上層階で摘んだ実。遠慮なくそれを口にしつつも、式夜は震える嵐の指先に目を留める。
「? 嵐殿はまだ寒いのか?」
「……別に寒いんじゃねえよ。相手が誰だって、おれは戦うのが怖ぇんだ」
 彼女の問いに、彼は視線を逸らす。
 それは変わることのない恐れ。一瞥をくれたリュカはすぐに照準の先に視線を戻した。
「生きるためには、慣れることだと思うよ」
 慣性は感覚を麻痺させる。……それが良きにせよ、悪しきにせよ。その対価にも気付きつつもトリガーへと指先の意識を集中させるリュカの横顔に、嵐は「そう簡単には行かねえよ」と呟いて。
 そして彼らは少女の許へと駆けた。
 ひとりの力では難しい。
 だから力を合わせる。
「きみや、こんこ……!」
 少女が喚ぶ雪うさぎ達の群れを、式夜の振るう赤い刀身が薙ぎ払う。
 それでも払い切れない雪うさぎによる冷気の放出が、彼女の腕に幾多の凍傷を生んでいくのにも彼女は頓着しない。
「なに、攻撃は最大の防御と言うからな!」
 危なくなったら嵐殿が回復してくれるだろうしな。にぃ、と口角を上げた彼女に、
「戦いでおれに期待するなよ……!」
 スリングショットで雪玉を打ち出し、目くらましに雪柱を立てていた嵐が召喚したのは美しい人魚。
 その調べは哀しく、その詞は切なく、その末期は儚く、痛みを遙かに運び去る──大海の姫の恋歌は、目を細めた式夜の傷を癒し、彼女は判っていたとでも言いたげに笑った。
 そんな彼らの攻撃を援護するように後方から届くのリュカの鋭い射撃が雪うさぎ達を射落とし、間断なく立ち上がる細い雪柱が少女の視界を妨げて、
「ルーナ!」
 嵐の声が、雪原に反響する。
「うん。──だから冬は、これでおしまい」
「!」
 背後に落ちた妖精の囁きに、雪うさぎの少女が咄嗟に振り向く、けれど遅い。
 繰り出す緋色の槍、そして腕に刻まれた炎の紋様から湧き上がる炎が、
「────っ!!」
 少女の避けようとした少女の青いドレスを貫いた。
「どうして、邪魔するの……!」
 彼らの見事なコンビネーションに息を弾ませ、白い髪を振り乱して叫ぶ雪うさぎ。
 ただリュカは銃口を構え、誰に聞かせるでもなく呟いた。
「……利害の不一致だね」
 それはどうしようもなく避けられぬ争いの種。仕方がないと、そう割り切ってはいけないのだろうということは判るけれど、彼女を放置することで迷宮から永遠の冬が溢れ出すのならば。
 それが彼らが生き延びる未来を奪うのならば。
「恐れることなく大地へ還るといい。受け入れてくれよう」
 式夜は雪のうさぎを一刀両断しながら、やはり笑った。

 猟兵達の止むことのない攻撃にたたらを踏む雪うさぎの少女の瞳に灯る強い光。ニケ・セアリチオはそっとそのこんじきの瞳を細めた。それは慈しみのようで、あるいは憐憫のようで。
「貴女ははるが、きらいなのね。冬がいなくなってしまうのが、さみしくて……だから、皆さんを呼んだのね」
「……っ」
 血色の赤すら零すことなく、ただ白くただ青い少女の姿にアルファルド・リヤはほんの微かな好感を覚える。
「かわいらしい兎のお嬢さん、……ふむ、そうですね。一緒に遊びましょうか」
「ええ、ええ! せめても、と言うわけではないけれど、でも、せっかくですから。たくさん、遊びましょう! ──さあ、咲いて!」
 尽きることなく振り続ける雪空へニケが片手を差し挙げる。途端に雪かと見紛う白い花が降り掛かった。その白い鳩を思わせる花の姿が風に力持つ花弁と化して雪うさぎ達を斬り裂き、うさぎの少女の瞳を惑わせた。
 その間にニケ達はアルファルドの変形した腕が迅速に作り上げた雪の壁の陰へと潜む。
「雪合戦といきましょう。ニケ、雪玉、いります?」
 僅かの童心を灰色の瞳に滲ませた彼から「ふふ、ありがとう」とニケが受け取ったそれは、掌にずしりと重い。
「なるほど、ふたりはとてもお優しい心をお持ちだ」
 ともすれば皮肉にしか聞こえないような台詞はけれど、隠・イドの偽らざる本心。
──私にとっては敵の見た目がどうであれ、殺すべきUDCにしか映らない。
 それがどれだけ愛らしさを装った雪うさぎであれ。あるいは幼い少女の姿であれ。
 彼はそれを心優しき仲間達に告げるつもりはない。
 ただ彼の思いは揺れない。ぶれない。戦場においての『遊び』などという行為には適当に付き合い、ただ殺す。彼の目的は、そこにしかない。目的とは、果たすためにある。
 壁の陰でせっせと雪玉を作る彼の姿に「おや、とても頼もしい」なんてアルファルドが告げ、ニケは「皆さんの方がお上手かしら?」なんてアルファルドの様子を窺いつつも、えいえいともらった雪玉を次々に放っていく。
「うさっ」
「うさー!」
 ただの雪玉とは言えど、生命体の埒外である猟兵達が作りしっかりと固めたそれは、それなりの威力を伴い、ぶつかった雪うさぎ達を数回で破壊に至らしめる。
「どうですか、お嬢さん? 楽しいでしょう?」
「隠れてばかりじゃ、たのしくない……! 壁から、出てきて」
 ひらりスカートを泳がせ、凍らせて摩擦抵抗を極限にまで減らした雪の上を滑り出して、雪うさぎの少女が壁を回り込もうとした、そのとき。
「!」
 ぼしゅ、ぼんっ、と戦場に放り出されていた雪玉達が湯気を立てて溶け、あるいは小さな爆発を起こした。爆発が巻き起こす風は温かく。
 周囲の氷が溶けて、少女の機動が鈍る。
「春の陽気がお嫌いなようで。でしたら春が訪れる前に、この場で死ぬのがよろしいかと」
 それは雪玉の中にイドが仕込んだ《模倣者》。自身が喰らったことのあるものを、自らの身体の一部を変化させて精巧な偽物を作り出すユーベルコード。
「永遠の雪遊び……。そういう世界も心惹かれてしまうけれど、でも、でもね」
 バランスを崩して雪の上に崩れた少女の前に、ふわり、柔らかな笑みを浮かべてニケが立つ。かくれんぼは、もうおしまいだ。
「私はもう、春のあたたかさも、花の美しさも知ってしまったから」
 彼女は再び、雪を隠すように白い花を喚ぶ。
──夢は覚めて、暖かな春の陽の下に帰りましょう。

 白く長い兎の耳を生やした少女の姿に目を細めたのは、その姿とまみえるのは雨糸・咲にとって二度目のことだったから。
 オブリビオン。骸の海から這い出した過去。それを改めて痛感する。あのときの少女も、春を拒んでいた。
 うさ、うさ、と跳ねる雪うさぎ達の攻撃を耳をそばだてて回避する咲の傍ら、多方向から飛び掛かってくるそれをできる限り傷付けないよう、風の精霊の力を借りていなしながら泉宮・瑠碧はその青い瞳をそっと憂いに伏せる。
──……彼女が春を嫌いなのは、
 親わしい世界や雪うさぎ達も失われ、取り残されるからだろうか。その答えであるかのように、
「うわ。うさぎおかわりいる……すげえーこれみんな友だち?」
 瞬いたアビ・ローリイットがそのふさふさの尻尾を揺らして少女へ喜色を浮かべれば、傷付いているはずの少女はそれでも嬉しそうに微笑む。
「ええそうよ。すてきでしょ?」
「うん、すてきすてきー」
 無垢な獣は口にする賛同の言葉とは裏腹に狩りのための鉄塊剣をぐるりと手首で回して肩に担ぐ。その瞳に宿る獰猛な光は、けれど雪うさぎの少女の青い瞳にも共通するものがあった。
 彼女にとっては、『白い冬の世界で遊んだおともだちがきえてしぬ』のはもはや、見慣れた光景であり──一時の楽しさのための仕方のない犠牲なのだろう。だからこそ少女は、迷宮の上階を目指した。
 新たに遊んでくれるおともだちを求めて。
──彼女の気持ちは判る気がする……。
 その歪なこころの在り方に、岡森・椛はきゅ、と胸の前で拳を握った。多くの人は春の訪れを喜ぶ。
──消えて行く雪の気持ちは置いてけぼりかもしれない……。
 今まで考えたこともなかった。けれど共感できるからと言って、このまま放置することはできない。椛を始めとする猟兵達は、凍った時を動かす為に来たのだから。
「その為にも……今はめいっぱい一緒に踊って、楽しく遊びましょ!」
「そだね。可愛らしいお誘いだけど、冬ばっかりじゃ冬のよさも忘れちゃうからねー。存分に遊ぼーよ。お前が満足できるまで、ね」
「ええ、ええ、遊びましょうですよ。でもそれは……雪が溶けて冬が終えるまでの間、だけですよ!」
 椛の掛け声に、きゅる、と鋼糸を拳に引いた赫・絲と、華奢な身体に不釣合いな大刀をざっしゅと雪に突き刺した花咲・まいも笑顔で続く。
「可愛らしいうさぎたちは少々斬りづらいですが、ここは心を鬼にしていきますですよ。羅刹らしく。なんちゃって」
 「ああ」赤い頭巾を少し持ち上げ、葦野・詞波も槍を手に駆け出した。
「ずっと遊んでやるのも悪くはないが。……済まないな、それは出来ない相談だ」
 飛び掛かる雪うさぎ達は長い槍の柄で打ち払い薙ぎ払って、目指すはただひとり。雪うさぎリーダー。
「雪や氷が織りなす景色は確かに綺麗だが、それも四季あってのこと。……それに、寒い冬を越えた先に春が来ることを知っているからこそ」
 きらり、詞波の銀の眸が光る。
「動物や花々はどんなに寒くとも冬を乗り越えられる……!」
 高く跳んだ彼女の手から撃ち出された神速の槍は少女の脇腹を掠め、その足許の分厚い氷へびしびしと衝撃波を伝えて叩き割った。
「ぁッ……」
「そぉ、れっ!」
「──っ!」
 急激な地形の変動に堪らずふらついた彼女の上腕へ、アビの振るう刃と呼べる刃のないただ潰すだけの力任せの鉄塊剣が叩き付けられ、少女は雪と氷をその唇から吐き零して蹲った。
 大きくひしゃげた腕をして、それでも少女は強い瞳を光らせ、ゆらり立ち上がる。
 そんな少女の少し手前にしゃがみ込んで、静海・終は穏やかな笑みを向けた。
「春に出会えない寂しいお嬢さん。冬は貴方と共にさようならを、……最後に一つ跳ねて踊って楽しくとかしてさしあげましょう」
「ッ! きみや、こんこ!」
 終の繰り出す槍を、彼の頭上を軽く飛び越えるほどの跳躍で躱して少女が叫ぶ。ぼこ、ぼこっ、と雪の中から際限なく湧き上がる雪うさぎにアビは「おお」片耳を上げて喜び、咲は柔らかく問う。
「ねぇ、あなたは誰かが来るのを待っていたのですか? なんのため? 遊び相手が欲しいの?」
「あなたは、いらないの」
 彼女の喚んだ雪兎王が咲の傍へ『落ちて』、その冷気で紡いだ刃を振り抜き、咲の白い頸を狙う。「っ、」咄嗟に身を退いた彼女の眼前で、きんッ、と詞波の槍の穂先がその刃を弾いた。雪兎王が体勢を崩したところへ、
「僕も冬は好きだが……春が来なければ草木も力尽きてしまうからな」
 少女の動きに倣って踊るように軽い足取りで雪の上を跳ねた瑠碧の放つ氷の矢が次々と打ち込まれ更にその機動を削いだところへ、まいが大刀を勢いよく振り掲げ、躍り掛かった。
「きっともうすぐ、春になりますです。雪うさぎの性質を思えば、溶けるばかりの春は許し難いことでしょう。……それでも、閉ざした世界じゃ寂しいだけですから!」
「──ッ!」
 紫電が一閃して、雪うさぎの少女の姿を模した雪兎王は一刀の元に両断され、雪霞に紛れて消えた。ぎゅう、とスカートの裾を握り締める少女に、咲は少女の問いへ応える。
「……そうね、雪がとけて、おともだちが消えてしまうのは寂しいですね」
「それでも。ずっと春が来ない、となっては過ごしにくいことこの上ない」
 咲の喚んだ炎で編まれた朱く細い雨の中、混乱に陥って逃げ惑う雪うさぎ達を見遣りクレム・クラウベルは溜息をひとつ。ここまでの慌ただしい道程を思えばそれも仕方のないことだっただろう。けれど不思議と、嫌悪と倦怠は感じていなくて。
「冬が過ぎたなら雪は終わり。溶けて水に、雨に還ればいい──」
──凍えさせようなどと言うのなら溶かしてやろう。
 浮き上がるのは、白い浄化の炎。
「雪も確かに好きですし、愛らしい兎がとけてしまうのは残念ですが。それが冬の理、とけて春にならねばきっと冬が恋しいという心も忘れてしまう……」
「ああ。世には雪国などもあるが、そうでない場所なら、季節は巡るものだ。流れに抗うのは感心しない」
 終の言葉に軽く賛同を示し、クレムの炎が更に勢いを増す。咲の炎の雨も、ちらちらと赤橙の光を灯していっそ優しく降り注ぐ。
「ええ。この世界には抗えない理があります。喉が枯れるほど叫んでも、心が壊れるほど願っても……叶わないことが、沢山あるのです。──さぁ、もうおやすみなさい」
 次の冬にはまた、たくさん雪が降りますよ。
「くっ、……?!」
「でも、そう。季節は、巡るの」
 そっと差し出した椛の掌から湧き上がるように、白い世界の中でもいっとう鮮やかな紅葉の葉が紅の嵐となって視界を染め上げ、ふたりの炎から逃れようとした雪うさぎの少女を阻んだ。
「冬が訪れれば、この美しい紅葉も散ってしまうの。赤は白に塗り替えられて……でも、さよならじゃないよ」
 動けぬ少女に椛は少し眉を寄せて、それでも『アウラ』を肩に寄り添わせ、微笑む。
「季節を越えて、また会えるもの」
 紅の嵐の中に斬り込む、赤。詞波の槍が更に少女へと放たれる。
「そうとも。――何、春も永遠というわけではない。春が来て、夏が来て、秋が来て。そうすれば何れ、冬がまたやってくるのだから」
 だから、暫しの別れだ。そう告げた彼女の言葉に肯き、クレムも静かに瞼を伏せた。
「空から降る贈り物はまた必ず届く。それは心からはずっと消えないよ……!」
「ッ……」
 訴える椛へと群がろうとした雪うさぎを、まいが打ち飛ばし、アビがむんずと掴み、絲は鋼糸を操ってそれらを捕らえ、そのまま遠くへと放り出した。
 絲の目がちらと仲間の喚んだ炎を見て、そしてすぐに少女へと視線を戻す。
 ……炎は、使いたくなかった。
 それを使えば敵の妨害をものともせず、身をじわじわと蝕む寒さも掻き消すことができると判っていたけれど、それでも。
 雪の化身である雪うさぎが、悲しむと思ったから。
 しかし絲も経験豊富な猟兵だ。仲間の戦い方に文句をつけるほど、甘くもない。
「ね、満足できた?」
 落とす問いは、答えを求めたものではなくて。
 雪うさぎを放り出して空いた鋼糸を中空に奔らせ捕らえるのは、少女の細い足首。
「それじゃ、遊びはお終いだよ。──ばいばい」

 雪空にまで走り抜けた稲光の直撃を受けた雪うさぎの少女は、もはや満身創痍で。
 叩き折られた左腕は痛々しく、破れたドレスに、炎を受けて爛れた手脚。
 それでもなお立ち上がる少女へ、うさぎ型の雪の精霊を喚び、更なる雪を降らせながらルミ・エアインはくしゃくしゃとその顔を歪めた。
「春は暖かくて、とても風が気持ちいいんです」
 ぽつり。
「雪が溶けたらお花も咲きます。とてもきれいなんですよ? あなたにも見せてあげたいです」
 ぽつりと。
 落とすような、零すような、それでいて大切なものを丁寧に手渡すようなルミの口調に浮世・綾華はそっと眦を和らげる。
「僕は冬も好きですが、春も好きです。でも、」
 きゅう、と手にした雪玉を握り締めて、ルミは少女を見据えた。
「あなたを倒さないと、ここに春は訪れないのですか……?」
「それでも君が冬を乞う理由を考えようか。雪でできたうさぎの友達が溶けて消えちゃうから? それとも君が消えてしまうから?」
「Umm……,確かに春を迎えるとキミもキミの友達も雪が溶け消えてしまうね。冬にもう一度出会うまで寂しいのかい?」
 綾華の言葉に重ねて如月・螢も問えば、雪うさぎの少女はギリッとその奥歯を噛み締めて彼らを睨めつけた。
「きらいよ。なにもかも奪っていくはるなんて、きらい……!」
 それはまるで、壊れた人形のように同じ台詞を繰り返す。
 そこに根深過ぎる、相容れない性質を感じ取り、ルミは唇を引き結んで手にした雪玉を放る。
「きゃああっ!」
 途端に弾けて方々で雪柱と爆音を立てて少女を雪の上に放り出した。
 じゃら、と走った金属音と走った痛みに「っ?」少女が涙ぐんだ顔を上げれば、綾華の腕に巻き付いた鎖の端が、彼女の手首へと絡みつき、喰いついて。
「──ごめんな」
 動けぬ少女に、眉を寄せて。告げた綾華の周囲に浮かび上がる、無数の鬼火。
 炎を使うのは酷だろう。そうは思う。けれど彼女を送るのに、これが最適解だとも思うから。
 綾華の隣で、螢も春を謳う竜の槍を強く握る。
「私には、キミの隙間を埋めてあげれないが……キミが彼女の隙間を埋めておくれ」
 彼女もキミと同じ──強欲な王なんだ。
 そうして放つのは女王の心臓──クイーン・オブ・ハート。溢れ出す強欲の炎は純白で、ハートを象り少女を喰らう。
「いやだ、あつい……! あついよ……!」
 助けを求めるかのように伸ばされた手にも綾華の繰る鬼火が襲いかかり、白い雪うさぎはか細い悲鳴を上げる。
「……もう行っちまうの?」
 少女の最期を告げるかのように、手の中に握り込んでいた雪うさぎがぽふりとただの雪の塊になったのを見て、アビは炎に包まれた少女を見遣った。
「雪遊びっての割と楽しかったから、お返しに春の遊び、教えてやってもよかったんだけどなあ」
 せめてひとり旅立つ少女が淋しくないようにと。まいがひたと視線逸らさず見つめる傍らで、彼に一切の悲壮感はない。だって、みんなも言っていた。
 季節は巡るから。
「んじゃ、また来年のおたのしみってことで」

●さよならの、その後で
 災魔である以上、討たなくてはならない。
 判っていても、ひとりの少女の不安や淋しさがそのまま骸の海に連れ添ってしまうのは悲しいから。
──せめて、春の中でも溶けない雪の夢が見られますように。
「おやすみなさい……」
 瑠碧と重なる祈りは、そっと白い世界に手を合わせた椛のもので。
「……忘れないからね」
 彼女の独り言じみた約束に、瑠碧も肯いて。

「……お二人のほのお、少し悲しい気持ちですが、凄く美しかったです」
 見惚れてしまいました、と少し朱くなった鼻の頭を擦ったルミに「なにルミ、泣いてんの?」綾華が軽い口調で問えば、「……泣いてないですよ」彼はふいと顔を逸らした。
「目に溶けた雪が入ってしまっただけです」
 そんな彼の背中を綾華はぽんと叩いた。
「この場所に春が来るなら、いつかまたきっとあのこの愛した季節も巡り来るはずだ」
 だから、と。顔を上げたルミと、彼女の面影を探すみたいに白い雪原をただ眺めていた螢の肩にも手を乗せて、笑って見せる。
「その時は雪でうさぎを作ろうか。またこうやってみんなで此処に訪れて、あのこがひとりで、寂しくないように」
「雪うさぎさん……作りたいです」
 すん、と鼻を鳴らす音は聴こえないふりで。
 螢もその口許を綻ばせる。
「確かに過ぎ去るものに人は寂しさを覚え、また恋しくなるという。春か来るから冬が愛しく感じる、と」
 それをキミが教えてくれたんだ。そう告げる貴女は、もう居ないけれど。
「四季が巡る素晴らしさを――雪のキミが」

 吐く息は白くて。
 空も雪雲で。
 巡る季節に想いを馳せて、終はふ、と唇に笑みを象る。
「貴方との再会を望んではいけないけれど、また雪の降る季節に白い雪を見たのなら貴方を思い出しましょう」
「雪が降ったなら、雪うさぎの一つ二つ作ってやる。それまでは左様ならだ」
 そんな彼の言葉にクレムも告げるともなく告げて、それは楽しみですねぇ、と終は白い雪の上を跳ねた南天の実の目と緑の耳を思い出して。
 それから青いドレスの少女を真似て、口ずさんだ。

「雪や、こんこ。きみや、こんこ」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年03月24日


挿絵イラスト