1

とある三姉妹の風景

作者：志稲愛海

　可愛いもふもふぬいぐるみさんがいっぱいな、キュートなお部屋で。
　楽しそうにキャッキャ遊んでいるのは、ふわふわお洋服に身を包んだ、仲良し三姉妹。
　そんな姉妹は、５さいくらいのおとしごろだから。
「みんなでいっしょにおめかしです」
　いちばん下の末っ子、ミリア・プレスティール（被虐少女と手袋守護霊・f16609）ちゃんは、わくわくそわり。
　でも、おめかしって、どうやってすればいいの……？
　けれど、大丈夫！
「わたしはしっかりおねえさんなので、ちゃんと妹のおせわできるよ」
　いちばん上のおねえさん、朝沼・狭霧（サギリ先生・f03862）ちゃんにお任せ！
　ふたりの妹のお世話だってできる、しっかり者の長女なのです。
　そう、えっへんとちょっぴり得意顔で、狭霧ちゃんはブラシをすちゃりと手にして。
「べいめりあの髪をみつあみにしてあげるね」
「さ、さぎりおねえちゃん。べいめりあを、みつあみ、してくれるですか？」
　ぱちりと瞳をまたたかせる、真ん中の次女・ベイメリア・ミハイロフ（紅い羊・f01781）ちゃんの金色の髪を、すぅーって、上手に梳いてあげてながら。
「べいめりあ、かみのけ、きれいきれいー」
　うきうきたのしくて、うれしくて、にこぱっ。
　でもベイメリアちゃんは、どきどきそわそわ、何だかきんちょうぎみ。
　だって……せっかく、狭霧おねえちゃんがみつあみしてくれているのだから。
　なるべく動かないようにって、じっと、じーっと。
　かちこちに固まったように、がんばって待って。
　すいすいって、みつあみされていく様子を見れば、ミリアちゃんのおめめもキラキラ。
「さぎりおねえちゃん、すごい！　べいめりあおねえちゃんがすっごくかわいくなっていきます！」
　そう、まさにこれぞ、おめかし……！
　まるで魔法みたいに、どんどんおしゃれになっていくベイメリアちゃん。
　でももちろん、おめかしするのは、ベイメリアちゃんだけではありません。
「ミリアもみつあみするかな？　おねーちゃんじょうずだから、きっとみりあもきれいきれいになるよ」
　狭霧ちゃんは、ふたりのおねえちゃん。
　当然ミリアちゃんだって、きれいきれいにしてあげるつもり。
　それに自分もみつあみにすれば、おそろい、おそろい。
「みんなでみつあみにして「びじんさんしまい」になろうね」
　目指すはそう――「びじんさんしまい」！
　そしてキャッキャ仲良くおしゃべりしていれば。
「べいめりあのみつあみできたー」
　赤や黄色のリボンで前髪も可愛く飾ってあげた後――ベイメリアちゃんのみつあみ、完成です！
　そう聞けば、ようやくベイメリアちゃんもホッと動き出すけれど。
　でもやっぱり、まだちょっぴり緊張気味にどきどき、狭霧おねえちゃんをちらり。
「ど、どうですか？　おねえちゃん、できましたか？」
「きれいきれいにできたのです」
　そんな妹の姿に自信満々、こくりとすぐに狭霧ちゃんはうなずいて返して。
「ミリアみてみて、ベイメリアびじんさんだね」
「べいめりあはきれいになったですか？」
　わあっとキラキラした瞳でのぞきこんでいるミリアちゃんにも。
　ベイメリアちゃんが、そうそろりときいてみれば。
「べいめりあおねえちゃん、すごくびじんさんです！」
　ミリアちゃんもおすみつきの、びじんさんです！
　そんなミリアちゃんの言葉に、えへへ、と笑って。
　狭霧ちゃんもにこにこ、にぱぁ――わたしもうれしい、って。
　それからそれから、ちゃんと約束通り、じゅんばんこ。
「いいな、いいな！　わたしもかわいくなりたい、です！」
「つぎは、ミリアもきれいにしてあげます」
　次は、ミリアちゃんのおめかしタイム！
「みりあちゃんもみつあみになっちゃうのです？」
　ベイメリアちゃんはそう、おねえちゃんと妹を交互に見てから。
　大きくこくりとうなずく。
「それは、ぜったい、きれいかわいいとおもうなのです！」
　かわいいこと、ぜったいまちがいありません！
　そして狭霧ちゃんは、今度はミリアちゃんの長くてつややかな漆黒の髪を優しくブラシで梳いてあげて。
「いいこ、いいこミリアきれいきれい」
　丁寧にみつあみしてあげます！
　そう髪を結われながらも、ミリアはわくわくたのしみで。
　狭霧ちゃんがやっぱり妹にかけるのは、びじんさんになるおめかしの、みつあみの魔法。
　そしてベイメリアちゃんと同じように、リボンをきゅっとつけてあげれば。
「ミリアのみつあみもできたー」
「やったー！　ありがとうです！」
　ミリアちゃんも、とってもおしゃれなびじんさんに！
　でも……目指すのは、「びじんさんしまい」だから。
「さぎりおねえちゃんもかわいくしないです？」
　ミリアちゃんはそう首をかたむけた後、ふよりと傍にいるミトンへとおめめを向けて。
「どうやってやるの？　みとん、おてほんみせてー？」
「さぎりおねえちゃんも、もーっときれいになってもらうのです？」
「わたしも、かわいくしてくれるのです？　やったぁなのです」
　今度は狭霧おねえちゃんを、うんとかわいく、よりびじんさんにしてあげます！
　けれど、おねえちゃんみたいにちゃんとみつあみできるかどうか、わからなくて。
　でも、ひとりでは無理かもしれないけれど。
「みりあちゃんみとんちゃん、べいめりあもおてつだいするです！」
「べいめりあおねえちゃんもいっしょにやりましょー！」
　みんなでいっしょにがんばれば、きっと大丈夫！
　狭霧ちゃんだって、安心してそんなふたりとミトンに身を任せて。
　みつあみしてもらって、おめかし……してもらうのだけれど。
　思わず、くすくすと笑っちゃう。
「ミトンちゃんちょっとくしゅぐったぃ」
「あっ！　みとんがまたイタズラしてるー！　めっ！」
　いたずらっこのミトンが、こしょりとこっそりくすぐったりするから。
　それから、そんなミトンに教えてもらいながらもがんばって。
　ミリアちゃんとベイメリアちゃんが、おねえちゃんにもみつあみしてあげれば。
「できましたー！」
「ふたりとも、わたしもきれいになったでしょうか？」
　そうみんなを見回して訊く狭霧ちゃんに、妹ふたりも、こくこくうんうん。
「さぎりおねえちゃんも、とってもかわいくなりました！」
「もーっともーっときれいでびじんさんになったのです！」
　いたずらはちょっぴりしたけれど、みつあみ先生のミトンもなんだか満足そう。
　そんなミトンに、ミリアちゃんはこうお願いを。
「みとん、かがみで見せてー？」
　そして、広げてくれた大きな鏡をみんなでじいっと眺めてみれば。
「うふふ、みんなみーんな、きれいかわいいなのです♪」
「みんなで「びじんさんしまい」になったのです」
「びじんさん、しまいー♪」
　ミリアちゃんはちょっぴり「美人さん、姉妹」だと思っているっぽいけれど。
「みんなでかわいくなってよかったです！」
　ええ、「美人さん、姉妹」でも、間違っては全然ありません……？
　それから、ばっちりおめかしして、ぐんとおしゃれかわいくなった姿をみれば、３人でうきうきのるんるん。
　そしてやっぱり、狭霧ちゃんはいちばんおねえさんだから。
　ふたりと顔を見合わせて、頷き合った後――鏡の前で、びしっ！
「これはもう、たいこばんつきなのです！」
　花丸かわいい「びじんさんしまい」お揃いの、おめかしキメポーズです！

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

最終結果：成功 完成日:2023年08月13日