9
Plamotion Camp Actor

#アスリートアース #キャンプ #プラクト #五月雨模型店 #夏休み

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アスリートアース
🔒
#キャンプ
#プラクト
#五月雨模型店
#夏休み


0




●君が思い描き、君が作って、君が戦う
『プラモーション・アクト』――通称『プラクト』。
 それはプラスチックホビーを作り上げ、自身の動きをトレースさせ、時に内部に再現されたコンソールを操作して競うホビースポーツである。
 思い描いた理想の形を作り上げるというのならば、たしかに『プラクト』は心・技・体を兼ね備えたスポーツ。

 プラスチックホビーを作り上げ、フィールドに投入し自分自身で動かす。
 想像を育む心、想像を形にする技術と、想像を動かす体。
 そのいずれもが欠けてはならない。どれか一つでも欠けたのならば、きっと勝利は得られない。

 ……のだが、今回はあまり関係ない。
 なくはないけれど、これは言っていしまえば嵐の前の静けさ――。

●夏だ! キャンプだ! プラモだ!!
 遂に迫った『プラモーション・アクト』全世界選手権。
 すでに『五月雨模型店』は日本代表としての切符を手に入れている。ダークリーガーの妨害がここの所なかったこともスムーズにトーナメントを勝ち抜くことができた要因の一つだろう。
 そもそも『五月雨模型店』の『エース』とも言える少年少女アスリートたちの実力は世界レベルなのだ。
 故に紹介しておこう。『プラクト』チーム『五月雨模型店』の『エース』たちを!
 なんかイントロが鳴り始める。

「『アイン』、使用プラスチックホビーは『ブリュンヒルド』!」
『閃光』走る一番槍。
 明朗快活。天真爛漫。天衣無縫。どけどけ私がぶっ飛ばす!
「兎にも角にも『レッツ・アクト』!」

「『ツヴァイ』と申します。使用機体は『アルヴィトル』」
 戦略戦術おまかせを。変幻自在のフォーメーション。真面目な才女は委員長!
『迅雷』の名は伊達ではない、戦略だけじゃないことをお見せしましょう!
「私の戦術は戦略すら凌駕してみせましょう」

「『ドライ』! 機体の名は『スルーズル』!!」
 豪放磊落にして快男児。豪快な気質とは裏腹な模型作成技術と知識。
『轟響』は、自他共に認める気合十分な証拠。紅一点ならぬ白一点!
「技術的なことに困ったのならば、俺に聞くといい! 答えられることはなんでも!!」

「ふぃ、『フィーア』! え、っと『ヒヤルムスリムル』で、ですっ」
 引っ込み思案は治らない! おしゃべりは上手ではないけれど、サポートは一級品。
『幻影』とも言われるほどに戦場に神出鬼没な支援は、戦術に幅をもたらしてくれる!
「え、ええっと、が、がんばりますっ!」

 とまあ、自己紹介ソング作られたのはいいけれど。
「そうだぜ! 今日は!  世界大会出場記念の! 特訓キャンプ!」
『アイン』は意気揚々としていた。
 そう、全世界選手権への出場権を得た彼らはチームの結束を高めるためにキャンプに向かおうとしているのだ。
「折角なので、皆さんもお誘いしたいと思いまして。道中には珍しい模型店巡りもできますし、観光もできますよ」
「風光明媚なキャンプ地を目指す道中であるからな! 寄り道したっていいだろう!」
「そ、そそうですよ。その後はキャンプ地についてテントの設営と食事の準備ですね。く、熊さんとか出たら、ど、どどどうしましょう!」
 そんな風にして少年少女たちはウキウキしている。
 だが、彼らはまだ年端も行かぬ子どもたちだ。『五月雨模型店』の店長はお店を離れられない。

 だから、というわけじゃあないが彼らの引率を猟兵に頼みたいと伝えられているのだ。
「楽しみよなー! 模型店巡り! キャンプ地には他の全世界選手権に参加するチームも来ているみたいだから、敵情視察もしてみるのもいいかもな!」
 なんて『アイン』はどこまでも楽観的な笑顔を猟兵達に向けるだろう。
 確かにキャンプをするだけだ。
 猟兵たちにとっても、つかの間の休暇であると思えば良いだろう。ついでに趣味があう者がいるのならば、珍しいプラスチックホビーを探す楽しさも味わえるだろう。
 そうでなくてもキャンプ地は風光明媚な土地柄である。
 食事も美味しく、風景も楽しめる。

 ただ、『五月雨模型店』の少年少女アスリートたちを引率するというオマケはついてくるが、それでも一夏の思い出を作ることはできる。
 ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)は、そういうわけですからと見るからに浮かれた格好をしていた。
 それって水着コンテストの水着じゃない? と誰かが言ったかもしれない。
 余程お気に入りになったのだろう。
「時には私もはしゃぐことがあるのです」
 彼女は微笑んで、猟兵たちの今回のキャンプについて説明する。
『アイン』たちの引率。
 それと同時に風光明媚なキャンプ地でのキャンプの実施。引率と言ってもアスリートである彼らに脅威はほとんどないと言っていいだろう。

 あくまで少年少女である彼女達だけでキャンプ地に向かうという行為に保護者が必要だっただけだ。
 共に歩むのもいいし、別行動したって構わない。
 要は楽しめればいいのだ。
 せっかくの夏。これを楽しまないのは、猟兵としてもアスリートとしてもかたなしである。
「一緒にいこーぜ! きっとみんなで行けば楽しいさ! な!」
 そう言って『アイン』はナイアルテや猟兵たちの手を取ってキャンプ地へと誘うのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はアスリートアースにある未だ公式競技化されていないスポーツ『プラクト』のチーム『五月雨模型店』を救うシナリオ……ではなく、チームメンバーと共にキャンプ地へ遊びに行くシナリオになっております。

●第一章
 日常です。
 キャンプ地までの道すがらに点在する模型店やお土産屋さんなどを巡ります。
『五月雨模型店』のメンバーと交流してもいいですし、別行動して地産地消な物産館を訪ねてもいいでしょう。
 寄り道も楽しいものです。

●第二章
 日常です。
 寄り道を楽しんだ後はキャンプ地へと到着します。
 早速食事の準備をしてもいいですし、模型店で手に入れたレアなプラモデルを作り始めてもいいでしょう。
 テントを張るのは忘れずに。
 大自然の中で作るインドアなホビーというのも乙なものではないでしょうか。妖怪パーツ隠しには気をつけましょう。

●第三章
 日常です。
 すっかり日も沈んできます。ですが、ここからが今回の肝でもあります。
 このキャンプ地には全世界選手権に参加する世界の強豪チームが集っています。彼らと接触を図るのもいいですし、『五月雨模型店』のメンバーとテントや焚き火を囲んで親睦を深めてもいいでしょう。
 また一人でコツコツとホビーを作るのに没頭してもいいでしょう。
 とにかく眠くなるまでがキャンプの夜です。

 今回のシナリオはとにかくキャンプを楽しむ夏休みシナリオと思って頂けたら幸いです。
 なので、ダークリーガーとの試合には発展しません。

 それでは、新たなるスポーツ競技『プラクト』の全世界選手権を控えた『五月雨模型店』のメンバーたちとキャンプを楽しむ皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
273




第1章 日常 『ちょっと寄り道』

POW   :    体力の続く限り遊ぶ

SPD   :    計画的にあちこち回る

WIZ   :    美しい景色や美味しい名産品を楽しむ

イラスト:真夜中二時過ぎ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 グリモア猟兵であるナイアルテと『アイン』たち『五月雨模型店』のメンバーたちが猟兵たちと共にキャンプ地を目指す。
 けれど、『ツヴァイ』はスマートフォンの地図アプリを起動させて、ピンマーク差し込まれた地図を見せる。
「此処と、其処、そして、そちらが今回のキャンプ地の動線にある模型店です。いずれも名店と呼ばれる模型店ですので、チェックしておきましょう」
「レアなホビーあるといいなぁ}
「穴場、ともいうしな! お宝が人知れず眠っているやもしれん!! 見逃せないな!!」
『ドライ』の言葉も尤もであった。
 こういう店にこそ穴場とも言われるし、都会では見られない商品が残されている可能性だってあるのだ。地方には地方の魅力があるというものである。
 更に『フィーア』は別の地図アプリを猟兵達に見せる。
「ぶ、ぶ、物産館もありますから、しょ、食材はここで揃えてもいい、ですよねっ」
 確かに地産地消を謳う物産館があるようだ。
 そこでキャンプ地でする食事の材料を買い込んでいってもいいだろう。山のもの、海のもの、野のもの。多くがお値打ちで手に入れられるようだった。
 彼女達もお小遣いをしっかりと用意しているようであるから心配はないだろう。
 今回はダークリーガーとの試合に発展することはない。
 ただ、夏休みのキャンプを楽しむのみだ――。
イリスフィーナ・シェフィールド
POW判定

普段、色々疲れる依頼が多いのでたまにはのんびりもよろしいですわね。
今回は五月雨模型店の皆様とまったり過ごす予定です。
ちょっとお願いしたいこともあるので。
それと衣装は評判が微妙?でしたので新調しました。

模型店巡りにお付き合いして色々眺めましょう。
詳しくないので色々あるのですねぇと思ったり。
持ちきれないくらい買うなら荷物持ちも努めますわ。
既存のを作ったり改造したりでなく1から作りたい場合どうすれば良いか聞いたり。
稼働させるのは難しそうですし自分モデルのフィギュアで良いのですけれど。

お土産屋さんで美味しいお土産あれば買っておきます。
物産館ではバーベキューに必要な野菜やお肉買いたいですわね。



 遊ぶ、ということは体力を使うことである。
 例外なくそうである。
 しかし、やらねばならぬことと遊びの違いはなんであろうか。それは喜んでやるか否かであろう。喜びの中でやらねばならぬことをするのならば、それは時を忘れさせ、己が体力の天井を忘れさせるのである。
 すっからかんになった体力は、そこに睡眠を運ぶ。
 一切合切を失わせた体に染み入る睡眠というのは、特に上質なものであろう。
 故に、イリスフィーナ・シェフィールド(相互扶助のスーパーヒロイン・f39772)は今日遊ぶことに決めたのだ。

「ええ、たまにはのんびりもよろしいですわ」
「晴れてよかったよなー!」
『アイン』と呼ばれる少女たち『五月雨模型店』のメンバーたちと彼女はキャンプ地への道を歩いている。
 時に電車を乗り継ぎ、時にバスに乗り、えっちらおっちらというようにキャンプ地を目指している。それは効率を重んじる者からすれば寄り道以外の何物でもないだろう。
 無駄、と言われたのならばそれもそうだろうと頷けるほどであった。
 だが、遊びとは本来無駄なものだ。
 無駄を楽しむことができないのならば、他の真なることも楽しむことはできないだろう。

「日差しが強くなってまいりますから、日よけの帽子や日傘も用意しなければなりません」
「そんなのへーき、へーき!」
「いけません。こういうのは甘く見ていてはダメなのですよ」
 そう言ってイリスフィーナは気がはやる『アイン』をつなぎとめる。しっかり保護者らしい振る舞いをしているのだ。
「ぶー……」
「慌てなくてもキャンプは逃げませんよ」
「退屈なんだよなー。道すがらって。歩く以外に何もできねーじゃないか」
「そうでもありません。おしゃべりしましょう。それに、わたくし、ちょっとお尋ねしたいことがございまして……」
「ん? なになに?」
「以前の意匠は評判が微妙、のような気がしたので、新調してみたのですがどうでしょう?」
 ぐるりとイリスフィーナはその場で身を翻す。

「いや、微妙っていうか……あれは……その」
「今回は少し動きづらいですが、制服風にしてみました。これをプラスチックホビーに落とし込むための改造をしてみたいと思うのですが」
 イリスフィーナの言葉に『アイン』はどういったものかと思う。
 以前のイリスフィーナの服装は、なんていうか、こう、胸元も肩も、太ももから走るスリットの深さも、それはもう青少年たちにとっては刺激が強い肌面積のものであったのだ。
 確かにイリスフィーナが微妙な、と思う反応であったことだろう。
 なんていうか、あれ!
 そう、思春期の少年たちにとってはとってもコメントしづらい服装であったのだ。

「そうだなー。今着ている服装の、って意味ならやっぱり肩周りと足回りの関節部分の駆動範囲をどう確保するか……」
「思い切ってタイトスカート部分を布に置き換えては?」
『ツヴァイ』の言葉にイリスフィーナは、そういう素材を置き換えてもいいのかと首を傾げる。
「レギュレーション的には問題ありません。ですが、ユーベルコード発生装置の恩恵をうけるなら、やはりプラスチック素材のほうがよいでしょう。駆動域を広く取るのか、それともユーベルコード発生装置から得られるエネルギーを最大効率化するかの違いでしかないと思います」
「そうなのですか……」
「でも、結局最後に物を言うのはアスリートの身体能力だからな! どれだけ駆動域を確保しても、自分にできない動きはモーションタイプじゃあ反映できないし!」
 なるほど、とイリスフィーナは道すがらの『プラクト』談義に花を咲かせながら、ゆっくりとキャンプ地を目指して歩いていく。

 これから多くの道程が彼女の前に現れるだろう。
 けれど、そのどれもが楽しめるものである。彼女にとって、そうしたことこそ得難いものであると知っているからだ。
 夏の日差しを日傘で受け止めながら、イリスフィーナは『アイン』たちと年若い少女たちがそうするように花咲くような会話を楽しむのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
知らない模型屋といえば!
何かちょっと入り辛い雰囲気!
入ってみたら常連さんと店主が仲良さそうに話してて、ちょっと居心地悪い感じ!
売れ残ってて少し色落ちしたパッケージで置いてあるプラモデル!
こういう所からしか取れない栄養素がある…!

とはいえ今日は大荷物
デカいキャリーバッグに大きなリュックでお店に入るのは失礼というもの…
…まあ、店主に言って適当に置かせて貰って物色しよう
出来れば売れ残りっぽい奴を探して、買おう
後は、消耗品も結構要ると思うからスポンジヤスリを各種大目に買っといて…
ジオラマ用のプラモも買っておこっと
こんなもんかなー、大人買い大人買い

え?大荷物の中身は何かって?
ふ…罪が詰まっているのさ…



 一見さん、という言葉は店側からの言葉であるけれど、誰だって最初はあるのだ。最初の一歩を踏み出す勇気。
 今まさに出来上がっている店内の空気の中に踏み出す勇気さえあるのならば、同好の士を迎え入れるのに何の躊躇いがあろうか。
 理屈ではわかっている。
 わかっているのだ。
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)にとって、見知った者のいない初めての模型店ほどアウェーに感じる場所もないことは。
 しかも、入店したはいいものの、店主と常連さんらしき客が親しげに話していたりもすれば、さらにそう感じる心の距離は加速度的に離れていくものである。
「な、なんか居心地悪いよなー……」
 少女『アイン』も似たようなものであったのだろう。
 いつもは『五月雨模型店』で遊んでばかりであったためか、他の模型店に足を踏み入れる事自体が初めてであったようである。

「こういうのも醍醐味ってね。どんなものにだって初めてはつきものなんだから。こういう時に腰が引けてたら楽しめるものも楽しめないよ」
 玲はそう言って軽く挨拶をして店内を見回す。
 どんな世界であっても挨拶は大切なことだ。
 挨拶さえしていれば礼節事足りるというものである。封神武侠界だって、拱手していたら大抵のことは目を瞑ってくれるのだから。
「そ、そうだよな! うん!」
「それはそれとして。やっぱりいいよね……こういう適度に寂れた雰囲気……! 今流行りの商品以上に年代物の商品が多い感じ……!」
 玲の目に映るのはどれもが宝物に見えたことだろう。
 売れ残り?
 そんなの関係ない。
 日に焼けたパッケージが少し色調を落とし、またプラモデルの箱の角が擦れて白くなっていても、やはりこういう場所からしか取れない栄養素というものがあるのだ。

 とは言え、である。
 今日の本来の目的はキャンプ。
 そのために用意してきた荷物は、大荷物と言っても良い量であった。
 キャリーバックをゴロゴロ鳴らして店内を歩き回る、というのはやはりお店側に対しても良い気分はしないだろう。
「ここに荷物置いておいても?」
「構わんよ。遠慮する必要はない」
 年配の店主が声をかければ、思ったより朗らかに言葉を返してくれる。
 ほらね、と玲は『アイン』に向き直れば彼女も頷く。
「じゃあ、ちょっと見させてもらうな!『憂国学徒兵』シリーズあるかな。私、一番最初のシリーズ好きなんだよなー」
 そんな風に物色する『アイン』に常連客が、第一作目が好きなんて渋いね、と声をかけて話が弾んでいく。
 其の様を横目にみながら玲は消耗品を補充していく。

 スポンジヤスリの番手を揃え、流し込みタイプの速乾接着剤を購入する。こういうのはどれだけあっても良い。
 さらに情景素材やテクスチャーペーストなどを買い込んでいく。
「ジオラマかね」
「そういうところかな。此処らへんのって……」
「ああ、パッケージが日焼けしているんでね。二割引いてある。いいかね?」
「願ったり叶ったりだよ」
 新しいものではないけれど、古いものには古いものなりの見どころがあるというものである。
「こんなもんかなー」
「わー、いっぱい買ったな、玲ねーちゃん」
「これが大人買いってやつ。大人になるとね、お金いっぱい稼ぐからね。めちゃくちゃ大人楽しいよ」
 なんて、笑うけれど、お金を稼ぐためには仕事をしないといけなくて。仕事をするとホビーに対する時間が少なくなってしまう悲しさもあろうというものである。

 二人は模型店から見送られ、キャンプ地へとまた歩みを再開していく。
「ところで、そのキャリーケースの中、何が入ってるんだ? 食材?」
「……」
 玲は神妙な顔で『アイン』を見やる。
 その表情に『アイン』は、少しどきりとする。なんとも言えない哀愁漂う顔。玲は、軽く息を吐きだすようにニヒルに笑って言うのだ。
「ふ……罪が詰まっているのさ……」
『アイン』は、なんかかっけー! と思ったみたいだが、それって所謂、|罪《積み》ってやつですよね、と『ツヴァイ』は二人の雰囲気からついぞ突っ込めないのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メサイア・エルネイジェ
【エルネイジェ御一行】
お、お、お、おキャンプですわ〜!
わたくしおキャンプ大好きですわ〜!
大自然がわたくしを待っておりますわ〜!
ところで…あのおアイン様達…やはりどこかで見覚えが…
思い出せませんわ〜!

穴場のお模型店ですって!?
街中では転売ヤーに狩られてしまったレアなおプラモが残っているに違いありませんわ!
そうですわ!お姉様達もご自分のおプラモをお召しになられるとよろしいのですわ!
こちらのおプラモなんていかが?
ソフィアお姉様のインちゃんに似ておりますわ〜!
こっちはリヴァイアちゃんにそっくりですわ〜!

ん?
この翼っぽいおパーツはビルドヴリちゃんのお装備に使えそうですわねぇ
お買い上げですわ〜!


ソフィア・エルネイジェ
【エルネイジェ御一行】
キャンプですか…
夏季の醍醐味のひとつですね
これは是非ご一緒させて頂きましょう
それに…メサイアを見張っていないと何をしでかすものか分かりませんからね…

メサイアが強く勧めるので模型店にお伺いしましょう
プラモーション・アクトというものを詳しく存じないので五月雨模型店の皆様に概要をお尋ねします

なるほど、キャバリアのような模型を使った競技であると…
では私も用意しておきましょうか
私が扱うならばインドラに似た模型が適していそうですね
それから武器はサブアームに槍と盾、ショットガンを二つ
ブースターも二つ購入しましょう


メルヴィナ・エルネイジェ
【エルネイジェ御一行】
確かに子供だけでキャンプは危ないのだわ
大人達が付いて行くべきなのだわ
べ…別にわくわくなんてしてないのだわ…

プラクト…?
この模型を戦わせるのだわ?
小さなキャバリアみたいなのだわ

なんだか私も買わなきゃいけない空気になってきたのだわ…
どうせ使うならリヴァイアサンに似た模型がいいのだわ
リヴァイアサン以外のキャバリアには殆ど乗った事が無いから動かす自信が無いのだわ…
でも選び方も探し方も解らないのだわ…
五月雨模型店の子達が詳しそうだからお願いするのだわ…

それにしてもあの子達…
ビバ・テルメで会った彼等と雰囲気が似てる気がするのだわ…


桐嶋・水之江
【エルネイジェ御一行】
海水浴の次はキャンプよね
あ、ナイアルテさん、スマイルちょうだい
記念撮影は私がドローンでやっておくから皆どうぞ楽しんで

子供達が楽しくキャンプできるように見守ってあげるのは大人の役目よねぇ
なに?一人だけマジモンの保護者みたいな歳の猟兵がいるって?
そんな事言う子はプラモと脳味噌を直接繋げちゃうわよ?

へぇ、プラクトねぇ…
じゃあ私もひとつ
この金メッキのプラモなんて良さそうね
輝く光沢が綺麗な私にぴったりよね
それからこのでっかいランチャーとぶっといキャノン、大袈裟なブースターを買ってと…
こういうお高い買い物は大人の特権よね
これで私を保護者呼ばわりした生意気なガキどもを泣かせてやるのよ



 夏! それは焦がれる日差しに立ち眩みを覚えるほどに鮮烈なる記憶が刻み込まれる季節である。
 生命燃えるような季節は、何度巡るのだとしても新たな思い出を生み出してくれることだろう。
 故に!
「お、お、お、おキャンプですわ~! わたくし、おキャンプ大好きですわ~! 大自然がわたくしを待っておりますわ~!」
 それはもう盛大な宣言であり、宣誓であった。
 メサイア・エルネイジェ(暴竜皇女・f34656)は淡桃色の髪を熱波に揺らしながら、はしゃぎ倒していた。
 キャンプ! 長らくエルネイジェ王国から出奔していたメサイアにとってキャンプというのは長らく親しんだ生活様式の一つである。彼女がこれまで王族という恵まれた緩急を出奔してもサバイバルめいた生活をくぐり抜けてこられたのは、彼女のフィジカルやメンタル以上に、キャンプに対する高い適性があったからであろう。
 生存能力に掛けては、恐らく異能の類いであろう。たぶん。いや、適当に言った。

 そんなメサイアのはしゃぎようを普段なら咎めるところであろうソフィア・エルネイジェ(聖竜皇女・f40112)も、どこかソワソワしているようある。
 キャンプと言えば夏季の醍醐味の一つ。
 今回はオブリビオンの脅威が存在していないということもあって彼女はリラックスしているようである。でもまあ、末妹たるメサイアの暴走がいつ始まるとも知れないので、完全に気を抜くことはできないだろう。
 というか見張っていないとメサイアは何をやらかすか予測不能なのである。
「まったく子供のようにはしゃいで」
「お姉様もどこかそわっておられるではありませんか~! 隠してもわかりますのよ~! おほほのほ!」
「メサイア」
「あっ、はい」
 そんな姉と妹の様子を見て、メルヴィナ・エルネイジェ(海竜皇女・f40259)は桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)と共にいつものことだからと静観を決め込んでいた。
 恒例行事と言っても良い。

「でも確かに子供だけでキャンプは危ないのだわ」
 メルヴィナはメサイアとソフィアのやりとりからそう思った。深く思った。『五月雨模型店』のチームメンバーはいずれも小学生である。高学年になろうとしているのだとしても、やはり年端の行かぬ子どもたちだけでのキャンプには不安が残ろう。
「大人たちが付いていくべきなのだわ」
「それもそうよね。あ、ナイアルテさん、スマイルちょうだい」
 しれっとシャッターチャンスを逃さないのが水之江である。
 彼女の周囲には常に撮影用のドローンが飛び交っている。エルネイジェ三姉妹だけではない。此処には他にも猟兵や『五月雨模型店』の子どもたちもいるのだ。
 キャンプの記念撮影とか、思い出作りとかそんなことを言ってうまいこと写真を取っていれば、後でよいシノギになろうってもんである。
 完全に思考が玄人のそれである。

「あ、あの、それは良いのですが」
 グリモア猟兵の言葉に水之江はわかってるってば、と頷く。はい、スマイル、とスマイルを要求してくるあたり商機を逃さぬタイプである。
「子どもたちが楽しくキャンプできるように見守ってあげるのは大人の役目よねぇ」
「確かになー! 頼りになるっていうか!」
 共に道行く『アイン』の言葉に水之江の頬がピクリと動く。
「なに? ひとりだけマジモンの保護者みたいな歳のがいるって?」
「年齢考えたら母よりは年上なんですよね」
「そうなのか?」
『五月雨模型店』の子供らは水之江を見やる。歳なんだ、と誰かが呟いたのを水之江は聞き逃さなかった。

「そういうこと言う子はプラモと脳みそ直接繋げちゃうわよ?」
 水之江博士のマッドな所がすぐ出る。
 年齢のことは禁句だぞ!
「年齢と姿が結びつかねーって意味だって! めちゃくちゃ美人じゃん!」
 なーって『アイン』の言葉にナイアルテは頷く。ものすごく首を縦に振った。
 そんなやり取りをしながら一行はキャンプ地への道すがら模型店に立ち寄る。
 いくつか『ツヴァイ』がピックアップしていた有名な模型店である。確かにキャンプ地へと向かう道すがらなので、どうしたって市街地や都会からは離れてしまう。
 謂わば田舎と言える場所であろう。
 だからこそ、穴場でもあるのだ。

「街中では転売ヤーに狩られてしまったレアなおプラモが残っているに違いありませんわ~!」
 転売ヤーは誅すべし。慈悲なんてない。
 そんな勢いのメサイアにソフィアは引っ張り込まれる。
「お待ちなさい、メサイア。こういうお店に入る時の作法は……」
「入店の挨拶のみですわ~! さんはい、こ~んにち、わ~! ですわ~!!!」
 クソデケェ挨拶でメサイアとソフィアが入店すれば、メルヴィナもついていく。水之江もドローンで撮影しながら模型店の中に入る。
「へぇ『プラクト』用の模型も取り揃えているのね、ここ」
 水之江にとってはアスリートアースの未だ公式でないスポーツである『プラモーション・アクト』に興味を示していた。
 プラスチックホビーを自身で操って戦うスポーツ。
 確かにこれならば、心技体が揃っていなければ勝利は難しいだろうと即座に理解する。

「これが『プラモーション・アクト』……」
 ソフィアはどうにも理解が及ばないようだった。店内に所狭しと積み上げられた箱やマテリアル、道具の類いを一つ一つ物珍しげに眺めている。
「この小さなキャバリアみたいなのを戦わせるのだわ?」
 メルヴィナは『五月雨模型店』の『ツヴァイ』に尋ねる。実際に『プラクト』のアスリートに教えてもらったほうがよいと思ったのだろう。ソフィアも同感だった。
「はい。別に人型でなくても構わないのです。それこそ車、艦船、飛行機、怪物、多くのものがプラスチックで構成されていて、ユーベルコード発生装置を組み込んでいるのならば、二つの操縦方法でフィールドに投入して動かすことができます」
『ツヴァイ』の説明に二人は頷く。
 謂わば、彼女達がクロムキャバリアで繰り広げている戦いのミニチュア版と考えればいいだろうか。

 ただし、命のやり取りが存在しないという点をおいてしまえば、考え方はシンプルだった。
「そうですわ! お姉さまたちもご自分のおプラモをお召になられるとよろしいのですわ!」
「私達もこれを?」
 メサイアの提案に『ツヴァイ』も頷く。
「それは良い考えです。競技人口が増えるということは、それだけ『プラクト』も盛り上がるというものです。確か、メサイアさんは恐竜タイプのホビーをお使いになられておりましたよね?」
「ビルドヴリちゃんですわ~!」
 これ! とメサイアがドレスの裾から取り出したのは、『ヴリトラ』そっくりのプラスチックホビーである。
 それを見てソフィアとメルヴィナは目を見開く。
 これを?
 あのチェスト一直線のメサイアが作り上げた? 自分で? とにわかに信じがたい顔をしている。
 だが、メサイアはそんな姉二人の様子にさして気にした様子もなく店内を物色している。

「ほんとうに、なのだわ?」
 あのメサイアが? と彼女をよく知る姉二人は動揺しているようだった。壊した、の間違いではなく? あの妹が作った?
「ええ、お作りになられていました。大変筋がよろしいかと」
「では私も用意しておきましょうか」
 めらりと燃えるものがあった。メルヴィナはソフィアのバーサーカースイッチが入った、と思ったことだろう。
 理性在る狂戦士。
 それがソフィアである。そんな彼女に勝負事を教えればどうなるかなんて言わずとも知れている。

「まあ、いいじゃないの。こういうのは楽しんだ者勝ちでしょう?」
 そういう水之江もしっかりと金メッキコーティングのプラモデルの箱を抱えている。いつのまにそんなレアなプラモデルを見つけ出したというのか。
 嗅覚である。
 水之江のこういう嗅覚は本当にすごいのだわ、とメルヴィナは関心する。
 そうこうしている内にソフィアとメサイアが店内の奥であーでもないこーでもないと、やんやと騒がしくなっている。
「……これは、私も買わないといけない流れというか空気なのだわ」
「どんなの作るんだー?」
『アイン』が店内を見て回ってちょこまかとメルヴィナに近づいてくる。
「どうせなら『リヴァイアサン』に似たのが良いのだけれど……近いのは、どれなのか……わかるのだわ?」
「それなら、こっちのシリーズがいいんじゃねーのかな? これも『憂国学徒兵』シリーズのやつだけど、一作目の最後にちょい見せで出てきたやつなんだぜ! 機械神!」
『アイン』が言っているのはアニメの設定可なにかなのだろうか。
 メルヴィナは促されるままにパッケージを手にとって見やる。

 シリーズ『憂国学徒兵』。ナンバリングがEXとなっているのは、エクストラ、ということだろうか? よくわからない。
 けれど『リヴァイアサン』によく似ている、という点においてはメルヴィナも納得できるものであった。
「お姉様~! 武装のチョイスが本気すぎますわ~!」
「何を言うのです、メサイア。何事も本気で取り組むのが肝要であるとあれほど教えたでしょう。武装は盾と槍。これは譲れませんし、ショットガンも必要です」
「巨竜型の小さい腕では盾と槍は持ちきれませんわよ~!」
「ならばサブアームを追加すればいいというもの! あとはブースターで突貫出力をあげるのです!」
「の、脳筋ですわ~! でも其処に痺れる憧れる~! ですわ~! ん? この翼っっぽいおパーツはビルドヴリちゃんのお改造に使えそうですわねぇ! お買い上げですわ~!」
 メサイアとソフィアは王国の財力にものを言わせて買い物かごにゴンゴンパッケージを打ち込んでいく。
 其の様子を『五月雨模型店』の子供らはすげぇ……と見ていたが、その小脇をさらに山積みにした籠を手に持って歩く水之江がいる。

「ん? こういうお高い買い物は大人の特権ってやつよね。これで……ふふっ、私をマジモンの保護者弱バリした生意気なガキどもを泣かせてやるのよ……」
 めちゃくちゃ物騒な事をいう水之江に『アイン』たちは、やっべ、という顔をしていた。しっかりフォローしたはずなのに、やっぱり根に持ってた! と彼らは若干引いた。
 そんな思い思いに模型店を満喫する三人をみやりながら、メルヴィナは『五月雨模型店』のメンバーたちの顔を見やる。
 どこか既視感を覚える。
 彼らの顔立ちに、ではない。

「それにしてもあの子達……」
 機械神、とも『リヴァイアサン』に似た巨竜型のプラモデルのことを言っていた。
『憂国学徒兵』。
 言葉の字面だけを捉えるのならば、クロムキャバリアにおける百年前の戦争時に名を馳せた『ハイランダーナイン』の前身である。
 それと彼らの雰囲気が『ビバ・テルメ』で出会った『神機の申し子』たちと似ている気がするのだ。
 けれど、答えはメルヴィナには出せなかった。
 メサイアは幾度かクロムキャバリアで『憂国学徒兵』が興した小国家に関連した事件に関わっているはずだが……。

「メサイアに記憶を思い出させるのは、きっと苦労するのだわ――」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雁帰・二三夫
「子供の引率…何だか立派な大人になった気がします…」
目頭押さえ

「わたくしもTVシリーズに合わせ144分の1は何個も作りましたけれど、ミニ四駆は魔改造しようとシャシーを割ってそれっきり、お店についていっても役立つ気がしません。和か洋で皆さんの食べたいものを聞いて物産館で購入して来ようと思います」

「中華は火力の問題があるので…」

子供達のリクエスト聞き物産館へ
肉や野菜大量購入
「子供がキャンプで喜ぶ食事…」
餃子の皮や炭酸水、果物缶詰、マシュマロやチョコレークラッカー、チーズ数種に肉まんも大量購入し温泉ランドへ搬入

「フルーツポンチ、スモア、ミニピザ、フォンデュに肉巻き…これで誤魔化せるといいですねえ」



『五月雨模型店』の子供らと共にキャンプ地に向かう。
 それが猟兵が夏休みをアスリートアースで過ごすためのお題目というか、建前というか、まあ、そういうものであった。
 確かにアスリートアースのアスリートたちは子供とは言え、その強靭な身体能力を有しているのだ。ちょっとやそっとの危険は切り抜けることができるだろう。
 けれど、どれだけ身体能力が優れているのだとしても、分別というものは必要なのだ。
「子供の引率……なんだか立派な大人に成った気がします……」
 目頭を抑えながら雁帰・二三夫(引きこもりたい住所不定季節労働者・f37982)は、住所不特定季節労働者たる自分の身の上を考えて、感慨深いものを覚えていた。

「なーなー、大丈夫?」
「水分不足であれば、お水をどうぞ」
「塩分もな! このタブレットを口に含むといい!!」
「あ、あの、お、お荷物大丈夫ですか? 持ちましょうか?」
『アイン』を始めとする少年少女たちが心配そうに二三夫を見上げている。
「ああ、いえ、大丈夫ですよ。お気遣いありがとうございます。いえ、少しばかり思い出に浸っていたと言いますか。わたくしもTVアニメを見て、同じようにプラモデルを作ったことを思い出しましてね」
 二三夫は少年時代を思い出していた。
 彼らのように『プラモーション・アクト』のようなスポーツをしたわけではないけれど、TVアニメを見ることによって、そうした空想をよくしたものであるし、プラスチックホビーであるのならば、モーターで駆動する四輪のものを好んで遊んだりもした。
 改造しすぎて脆くなった車体が真っ二つに割れて、空中分解する己のホビーを涙目で見送った事もあったのだ。

「えー! じゃあ、作ろうぜ! なー!」
「いえ、ですが、わたくしは物産館で食材を買い込もうと思っておりまして」
「そんなの後でも良い!」
「皆さん、キャンプで何を食べるかまだ決めていないのでしょう? 困りますよ、それは」
「それは、そうですが……」
「皆さんが楽しんでくれることが、わたくしの喜びでもあるのです。何か食べたいというリクエストはありますか?」
 二三夫は膝をついて少年少女たちを見やる。
 彼らが楽しんでくれることが彼の喜びなのだ。ならばこそ、どんなものが食べたいのかをリサーチしようとしたのだ。
「んー、なんだろう。甘いの食べたいな! 甘いの!」
「キャンプとと言えばカレーでしょうに」
「いや! 以前聞いたことがあるのだが、マシュマロを焚き火で炙るといいと聞いた!」
「あ、ああの、味の濃いのが食べたいです。いつもは、その、薄味のばかり、なので」

 口々に語る少年少女たちのリクエストに二三夫は頷く。
「わかりました。それらの準備はわたくしがやりましょう。皆さんは模型店を楽しんできてください」
「わかったよ! じゃあ、また後でなー!」
 そう言って、ワーキャー言いながら駆け出していく少年少女たちの背中を見送って二三夫は口角を上げる。微笑ましいと思ったし、また彼らの笑顔を自分が見られることが嬉しいとも思ったのだ。
「さて、彼らのリクエストに応えるためには……と」
 物産館に立ち寄った二三夫は食材を見回す。
 たくさんの食材が必要となるだろうが、己は猟兵。ユーベルコードがある。己の手首に巻かれたミサンガがあれば、大量の物資をユーベルコードで持ち運ぶことができるのだ。

「子供がキャンプで喜ぶ食事……餃子の皮がありますね、炭酸水も必要でしょうし、果物もフレッシュなものがあれば、それで……ああ、マシュマロって彼言ってましたね。後はチョコレートにクラッカー……チーズ……」
 二三夫は次々と買い物を済ませていく。
 献立という名のキャンプメニューが次々と頭の中で組み上げられていく。
 フルーツポンチにスモア、ミニピザに、チーズフォンデュ、肉巻きや炭酸水を割ったもの。多くの献立を組み上げ、二三夫は彼らが楽しんでくれるといいな、と不安と期待がないまぜになった面持ちで、物産館を後にし、キャンプ地へとゆっくりと夏の日差しを見上げて歩むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【サージェさんと】

今回はいるよね?いないとは言わせないよ。
メインヒロインが2話連続いないとかないよね!

『フィーア』さぁぁぁぁん♪
(フィーナさん見つけて、るぱんだいぶからのはぐぎゅー)

『フィーア』さん、キャンプしよ♪
だいじょぶ任せてわたしキャンプ得意だから!
痛くないから!(ずい)怖くないから!(ずい)そんなの最初だけだから!(ずずい)

……さーじぇさん、いたいの。

ごめんごめん、ちょっと取り乱したよ。

まずはお買い物だっけ?おっけーおっけー!
さ、『フィーア』さん、お姉さんがなんでも買ってあげるからちょっとむこうへ……いたいの。

ハーブ?
失礼な!
そんなものに頼らないとはすはすできないほど素人じゃないよ!


サージェ・ライト
【理緒さんと】
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、胸……って誰も聞いてないの何で?!
流石に傷つきますよ私の乙女心が!
……あの?胸元を見られましても?凝視されましても?

また理緒さんが荒ぶっておられる
というか最近荒ぶってない理緒さん見たことないんですけど??
おっとこれ以上はフィーアさんが『りおりお』されてしまいますね!
ちぇすとーっ!!
ふぅ、あくはほろびた
え?『ちょっと』?ほんとに?

延々と終わらないので早くナイアルテさんの水着を見に……
じゃなかったキャンプの準備しましょうねー
ちぇすとー!!
理緒さん今日は何か|変なハーブ《サイザナのドラッグ》とかキメてらっしゃいます??

ナイアルテさんこのひとです!



 どんな場所にあっても。
 どんな時であっても。
 どんな空気であっても。
 前口上は必要なのである。クノイチがクノイチであるために。そう! サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)にはポリシーがある! プライドがある!
「お呼びとあらば参じましょう! 私はクノイチ、胸……」
 まあ、誰も見ていないよね。
 びっくりするくらい誰も周りにいないよね。わかっていたことだけれど、サージェは目を見開いた。なんなら白目になっていたし、さらに言えば青筋がこめかみあたりに書き込まれていた。
「……って誰も聞いてないのなんで?! 流石に傷つきますよ私の乙女心が!」
 その言葉に次なる模型店に駆け出そうとしていた『五月雨模型店』のメンバーの一人『アイン』と呼ばれる少女が、じっとサージェを見ている。

 いや、ていうか顔じゃないな。
 どう考えても旨を見ている。
「……あの?」
「何食ったらそーなるの?」
「えっ!?」
 サージェは答えようがなかっただろう。だってサージェはバーチャルキャラクターである。生まれたときからこうなのだから、どうしたら、と言われても困ってしまう。
「ていうかですね、まだ『アイン』さん小学生でしょ? そんなに焦る必要なんて無いのでは……」
「でもさー、こうばいんばいんになりたい」
「え、えー……」
 やばい、思いがけずデリケートな部分に踏み込んでしまったぞ、とサージェは汗たらたらである。
 しかし、そんなサージェの動揺とは裏腹に菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はまるで関係ないとばかりに『フィーア』に飛びついていた。


「『フィーア』さぁぁぁぁん♪」
 見事なルパンダイブであった。
 水泳するのかな? という喰らい見事な手足の合唱。いっそ見事なフォームであったことだろう。
「ひ、ひええええっ」
「『フィーア』さん、キャンプしよ♪だいじょぶ任せてわたしキャンプ得意だから! 痛くないから! 怖くないから! そんなの最初だけだから!」
 ずい、ずい、ずずい、と理緒がぐいぐいと『フィーア』に抱きついて頬ずりしている。彼女は年齢を考えれば同学年においては頭一つ二つも抜きん出た高身長である。
 だから、というわけではないけれど、理緒のスキンシップは激しい。
 ちょっとやばめのスキンシップって感じがするのは、無理ななからぬことである。
 それくらい理緒が荒ぶり方はヤバかった。
 二話連続でいないとかないよね! と言わんばかりであった。二話?

「というか、日本代表おめでとう♪ えらいね、えらいね、いい子いい子しようね♪」
 理緒の暴走は止まらない。
 だが、そんな理緒の頭にチェストするはサージェであった。バックアタックから不意打ち。
「理緒さん、あらぶりすぎです。小学生の皆さんが完全に引いております。これ以上理緒さんが荒ぶると『フィーア』さんが『りおりお』されてしまいます!」
『りおりお』ってなに。
 なにかの隠語?
「ちぇすとー!」
「……さーじぇさん、いたいの」
「ふぅ、あくはほろびた」
「あくっていうか」
「うむ! ちょっとアレな!!」
「ごめんごめん、ちょっと取り乱したよ」
「『ちょっと』……?」
 あれがちょっとなのか、とみんな思ったが、それ以上は追求しなかった。追求したら、本気を見せられそうな気がした。『フィーア』がやばいことになる。

「こんなこと延々とやっていたら終わらないですよ! 早くナイアルテさんの水着を……じゃなかったキャンプの準備をしましょうねー」
 サージェは軌道修正するべく提案するのだが、理緒はお構いなしだった。
「まずはお買い物だよね?」
「は、はははい。模型店巡りしてから、キャンプ地に行くって話で……」
「おっけーおっけー! じゃ、行こっか! さ、『フィーア』さん、お姉さんがなんでも買ってあげるから」
「マジで!? じゃあ、『憂国学徒兵』の合体シリーズ欲しい! あれのデラックスセット!!」
「大物が欲しいですよね。普段お小遣いで買えないものが買えるのは喜ばしいことです」
「うむ!! こういう時高額商品というのは、何もプラモデルだけではない。コンプレッサーセットなど所望しよう!!」
 なんか他の『五月雨模型店』のメンバーのものまで買わされそうになっている理緒だが、彼女は構わなかった。

「うんうん。『フィーア』さんは何がほしいのかなー?」
「え、えええと、えと……」
 これ、と示したのは布服シリーズであった。美少女プラモデルに着せるタイプの布服。『プラクト』では使えるが、性能的にはプラスされることのない要素である。
 だが、やっぱりこういう可愛いのがほしいのだろう。
 そういう『フィーア』のいじらしさに理緒の理性が限界を迎える。
 理緒の理は理性の理じゃないんですか。

「ちょっとむこうへいこっか……」
「ちぇすとー!!」
 そんな理緒の後頭部にサージェのチェストがクリティカルする。
「……いたいの」
「今日の理緒さん何か|変なおハーブ《サイザナのなんかアレ》とかキメてらっしゃいます?」
 テンションがおかしい。おかしすぎる。
「ハーブ? 失礼な! そんなものに頼らないとはすはすできないほど素人じゃないよ!」
 理緒の瞳がくわっと見開かれる。 
 そんな所で玄人感出されても。
「ナイアルテさん、このひとです!!」
 サージェは問答無用で通報した――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

『アイン』さん、そろそろこの叫び慣れました?
あ、だいじょぶそうですか? なら店長さん脱出できてますよね?
おっけーです。妖怪紫くねくねはこのままするーして……。

これからキャンプなのに箱入り高級素麺ですか!?

しまった、ツッコまされてしまいました!
メイドの面影どころか、そろそろ人間の面影が消えそうですよ!

え? 流し素麺です?
あれ、ツユくらいしか工夫できないんですよね。

でもそんな中でもなんとかしちゃうのが、料理人たる所以ですが(どやぁ

それじゃごはんの買い出しはお任せください。
ステラさんたちは、機体の強化、がんばってくださいね!

憂国学徒兵語りはほら……前回の女騎士さんとかいないんですか?


ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の! 香りがしまぁぁぁすっ!!
というわけで、メイドのステラ参りました!
五月雨模型店の皆様はごきげん麗しゅう
あの、店長様はどこに?
お中元なるものをお持ちしましたのでぜひ
中身はもちろん素麺
ええ、末永くお付き合いいただきたく(くねくね)
誰が妖怪紫くねくねですか
メイドの面影残ってないじゃないですか

さて
戦いは無いにしてもそこにプラクトがあるなら寄ってしまうのが|性質《サガ》
まぁクリムゾンリッパーが強くなると嬉しいですし
パーツを見がてらキャンプの買い出しですね
ルクス様、流し素麺しましょう

時に、憂国学徒兵の新作がKB編と思ったらKD編だった件について
誰か語りませんか???



 愛を叫ぶ。
 それは尊いことであろう。でもまあ、TPOっていう言葉もあるくらいである。タイム・プレイス・オケイション。
 時と場所と機会。
 そういうのを弁えた上での話である。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りがしまぁぁぁすっ!!」
 そういう意味では、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の叫びは、絶叫は、TPOに即したものであったのかと言えるだろうか。たぶんいえない。言っちゃダメな気がする。
「『アイン』さん、そろそろこの叫び慣れました?」
「まだちょいびっくりする。いきなりだから。視界に紫入ったら、あ、来そうって想う夜にはなったけど」
 そんな遣り取りをするルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)と『アイン』をよそにステラは未だに荒ぶっていた。

「というわけで、メイドのステラ参りました!『五月雨模型店』の皆様ご機嫌麗しゅう」
 きょろきょろとしているステラに『五月雨模型店』の子供らはみんな、察していた。
 店長探してるな、あれ、と理解できてしまった。理解できてしまえることがちょっと皆が大人になったってことである。
「店長は留守番だけど」
「うむ! お店を閉めるわけには行かないのでな! そのために皆さんが来てくれたと聞いているのだが!!」
「あ、そうですか……まあ、いいでしょう。これはお中元なるもの。ぜひ」
 ステラは、少年少女たちにも何やら桐箱を手渡していく。
 え、なにこれこわい。
 みんなそう思った。
 ルクスは、これからキャンプなのに、と思っていた。

「な、中身なにこれ?」
「素麺です。ええ、末永くお付き合いいただきたく」 
 ステラがくねっている。
 将を射んと欲すれば先ず馬を射よというのである。『五月雨模型店』の店主がステラの求める人物であったというのならば、将が店主。馬がチームメンバーの子供らである。
 策士である。策士妖怪紫くねくねである。メイドの面影ゼロである。というか、子供らにはメイドと認識されてすらいないかもしれない。
「キャンプなのに素麺って……」
「メイドの面影が残っていないとか思っていませんか?」
「脳内に直接……! ていうか、メイドの面影どころか、そろそろ人間の面影が消えそうですよ!」

 そんなやり取りをしながらルクスとステラは『五月雨模型店』の子供らの後をついていく。目的地はキャンプ地だけれど、寄り道がてら模型店をめぐろうという話になっているのである。
 こういう所がアスリートアースの『プラモーション・アクト』のアスリートらしいとこrである。
「これが『プラクト』アスリートの|性質《サガ》というものですね」
「でもさー、模型店近くなると早足になっちゃうよな!」
「呼吸も乱れてきます」
「心拍もな!!」
「まあ、わかります。『クリムゾンリッパー』が強くなると嬉しいですし。流用できそうなパーツ探しをしながら私は買い出しも済ませておきましょう。ルクス様、メニューは決まりましたね。流しそうめんです」
 その言葉にルクスは渋い顔をした。
 
 彼女は勇者である。勇者であるけれど、料理人でも在るし、演奏家でもある。属性過多じゃない?
「え、流しそうめんです? あれ、ツユくらしか工夫できないんですけど」
 まあ、湯がいて流すだけだしね。
 でもまあ、とルクスは不敵な笑みを浮かべる。
「でもそんな中でもなんとかしちゃうのが、料理人たる所以ですが」
「はいはいどやどや」
「雑じゃないですか!?」
「はいはい買い出し買い出し」
 ルクスの扱いがあまりにも雑ぅになっているステラ。

「じゃあ、またキャンプ地でなー!」
「はい、それでは後ほど」
「機体の強化がんばってくださいねー!」
「あ、でも時に『憂国学徒兵』の新作がKBナンバリングかと思ったらKDナンバリングだった件について誰か語りませんか!」
 それは、キャンプ地でなーって『アイン』たちが手を振って駆け出していくのをステラは後方面になって見送っている。
「ステラさん、顔。顔。顔が後方母親面になってます」
「わかりますか、ルクス様。あれ、私が育てたんですよ」
「いえ、育ててないです。一切育ててないですから――」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん

キャンプですかー、なるほど。
陰海月が行きたい!と訴えてきましたので、来ましたよー。
で、やはり…久方ぶりの模型店に興奮してましてー。せっかくなので寄ろうと。


陰海月、一礼しつつ店に入った。礼は大切。
ワクワク見ていたら、レアホビー…『幻想騎馬隊限定ver. 騎手クラゲ兵』を見つけた。
陰海月「ぷっきゅ!」
まるで、ぼくが霹靂に乗ってるみたいだ!ってネットで見て欲しかったやつだ!
お値段そのまま!お小遣いの範囲内!買う!
※どうもネットで見たのは転売価格。陰海月はおじーちゃんズと共に慎重に調べてたので引っかからなかった



 巨大なクラゲである『陰海月』の触腕は器用である。
 つるりとした表面であるのだが、工具を扱う手捌きならぬ触腕捌きは見事なものである。これは親ばかでもなんでもなく純然たる事実である。
 故にアスリートアースにおける非公式スポーツ『プラモーション・アクト』、通称『プラクト』を行うチーム『五月雨模型店』のメンバーたちがキャンプをする、というの聞きつければ、共に行きたいと思うのは至極当然の流れであったことだろう。
「ぷきゅっ!!!!」
 めちゃくちゃ早足のように『陰海月』が宙をふよふよと往くのを馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は見て微笑む。

 こういう模型店の近くにくれば、どうしたって早足になってしまうし、逸る気持ちを抑えられないのもわからないでもないと思ったのだ。
『疾き者』は『五月雨模型店』のメンバーたちの引率を任されているが、同時に『陰海月』の保護者でもある。
「ぷきゅっ!」
 気合い充分な一礼と共に『五月雨模型店』の少年少女たちと共に模型店に入店する。
 挨拶大切。
 礼節が大前提に在るのはいかなる世界においても変わりないことであった。これも『疾き者』たちの教育の賜物であろう。
「すっげーよな! この品揃え! 量販店では見られない感じ!」
『アイン』たちは店内の様子に目を輝かせる。
 一見すると古ぼけたような雰囲気であるが、見るものが見れば、それがお宝の山のように思えただろう。
 まるで樹木のように積み上げられたプラスチックホビーの箱。
 その間を縫うようにして歩いていけば、キラキラとどれもが主張をしはじめるようでもあた。
 否応なしに心が踊るというものである。

「ぷきゅ~!」
「良いですよね、この雰囲気。息を吸い込むだけで、何か得体のしれない栄養素が補給されて行くのを感じます」
『ツヴァイ』と共に棚を見上げる『陰海月』。
 その視界に止まったのは、一つのレアホビー。
「ぷっきゅ!」
 これは! と『陰海月』は興奮に震える触腕で棚の上に載せられていた箱を取る。

 そう、これは『幻想騎馬隊限定Ver. 騎手クラゲ兵』!
 あまりにもマニアックな造形にある種の空白地帯的なレアリティをもたらした、探し求めていたホビーに『陰海月』の体がぷるぷる震えるのだ。
「ぷきゅ~……! きゅ! きゅ!」
 まるで自分がヒポグリフである『霹靂』に乗っているかのように思える造形。
 インターネットで画像を見かけたときから、欲しくて欲しくてたまらなかったホビーである。だが、購入しようとしても生産数が少ないのか、どれもが高額な値段になっていたし、それでも構わずにソールドアウトになってしまっていたりしていたのだ。
 入手は困難であるし、絶望的であったのだが、しかし、此処に運命的な出会いを果たしてしまったのだ。
「おお、しかも定価通りとは……!! なんと良心的な!!」
『ドライ』の言葉に『陰海月』も同意するように何度も頷く。

 これならば自分のお小遣いの範囲で買える。買えてしまえるではないか!
「ぷきゅ!」
「よ、よよかったですね! 早くお会計しちゃいましょう!」
『フィーア』たちと共に『陰海月』は会計を済ませる。袋がないので、包装紙で包まれたパッケージは、それだけで特別なものに思えたことだろう。
 こういう包装の仕方もまた田舎の模型店ならではと言えるだろう。
 その雰囲気を存分に味わい、また目当てのものを手にれることができた『陰海月』はキャンプ地までの間、ずっと高い位置をふわふわ漂って、その気分の高さを皆に伝えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

そういえばナイアルテー……ちょっと太った?
なんてそんなデリカリーのないことはボクは……言うタイプの神さま!
だってまた食べてるしー
ボクの【第六感】計測器によると1年前と比べて約……
ほら見てみんなこのSNSなんて食べてばっかりだよー
とみんなにアカウントを紹介しよう!

うんでもいいんじゃない?
幸せそうだし!たくさんお食べ!
ぷくぷく丸々になったナイアルテもかわいいよ!
それはそれで!

うんやっぱりたくさん食べるというのはいいことだからね!
みんなもたくさん食べて大きく丸々と育つんだよ!
とボクもとっても超!美味しい超!ハイカロリーなお気に入りお菓子をみんなに[ポケット]から提供しよう!



 時が経つというのは速いものである。 
 誰にだって時間というものは平等に流れていくものであるが、しかし、感じる時というのはいつだって平等であるとは言えないものである。
 楽しければ楽しいほどに流れる時間は早く過ぎ去ってしまうように感じてしまうのである。
「そういえば……ちょっと太った?」
 びし、と楽しい空気にヒビが入る音がしたように思える。
『五月雨模型店』の少年少女たちにもそれがはっきり聞こえたように思えた。
 グリモア猟兵にそういったロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は、まーるで空気の読んでない様子であり、またデリカシーとかそういうのがまったくない感じであった。
 デリカシー?
 なにそれ、デリバリーお菓子ー? の略? とかそんなことを言ってきそうな雰囲気さえあった。

 な、なにを、と言うグリモア猟兵の片手にあるのはアイスクリームであった。
 しかも、ラクトアイスとかそういうのに分類されるタイプのやつ。持ちての棒は全部食べ終わるとアタリかハズレかわかるタイプのヤツ。
「いや、だってさー、また食べてるしー」
「しょ、食欲の夏っていうもんな! な!」
『アイン』が謎のフォローに入ってくる所がすでにも痛々しい。
「ボクのさー第六感計測器によると一年前と比べて約……」
 その第六感狂ってんじゃないかなっていう疑問はないものとする。というか第六感を便利に使いすぎである。そういう使い方するものだっけ、第六感!? とその場にいた誰もが思った。
 というか、そういうのって禁句じゃないのかなって。

「ほら見てみんな!」
 そういってロニは己の手にしたスマートフォンの画面を『五月雨模型店』のメンバーに見せる。
 そこにあったのはSNSのプロフィール画面であった。
 ずらりと並ぶのはお菓子と共に謎のダブルピースをするグリモア猟兵の姿であった。
 しかも毎日更新されているし、毎日違うお菓子とダブルピースをしている。
 言い逃れできない姿がそこにあった。
「食べてばっかりだよねー!」
「大人って、こういうことしていいんですか? 自制心というものはないのですか? お菓子ばかり食べていたら栄養が偏ってしまいますよ?」
『ツヴァイ』の容赦のない正論がボディブローをかます。
 ど正論故に反論の余地などない。

 できるのは、反証ではなく、弁解でもなく。
「うんでもいいんじゃない? 幸せそうだし! たんくさんお食べ! ぷくぷくまるまるになった姿も愛らしいって言えば、愛らしいしね! それはそれで!」
 悲鳴が上がった気がする。
 いや、まあ、一人だけしか悲鳴を上げる要素はないのだが、『五月雨模型店』の子供らは、おとなになるのだとしても、こんな大人にはならないようにしようと思う。
「でもさーお腹減るのは仕方ないじゃん?」
「アスリートは食べるのも仕事の内といいますから」
「か、カカカカロリー計算って大変、ですもんね!」
 フォローになってないフォローが飛ぶ最中、ロニは笑う。

「うん、やっぱりたくさん食べるというのはいいことだからね! みんなもたくさん食べて大きくまるまると育つんだよ!」
 そう言ってロニはポケットから超美味しく、超ハイカロリーなお菓子を彼らに提供する。
 ペチペチと『アイン』がグリモア猟兵の太ももを軽く叩く。
「太いな!」
 また悲鳴が聞こえるのをロニは笑って聞き、愉快だな、楽しいなってキャンプ地を目指すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『キャンプめしを食べよう!』

POW   :    出来立てを沢山美味しく食べる

SPD   :    現地で何らかの食材を調達してくる

WIZ   :    キャンプならではの調理法に挑戦する

イラスト:真夜中二時過ぎ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 キャンプ地までの道中、いくつかの模型店を巡り、また同時に物産館に立ち寄りながら『五月雨模型店』の子供らと共に猟兵たちは漸く本来の目的地へとたどり着いていた。
 開けたキャンプ地。
 整備された場所は、大自然、と言うには少し違うものであったかもしれない。
 けれど、キャンプをする、という意味ではこうした整えられた環境というのも悪くはないだろう。
 共有の炊事場スペース。
 目の前に広がる湖。
 芝生の青さが太陽に照らされて眩しい。

 子供らが遊びながらキャンプをする、という意味では最適であるように思える。
 受付を済ませれば、テントを借りて設営を施していく。
 火を起こすのもいいだろうし、寄り道した模型店で購入したプラスチックホビーを作成するのもいいだろう。
「おー! 結構先客もいるな!」
『アイン』がざっと見ただけでもいくつかテントがすでに立っている。
 どうやら世界選手権のチームたちも慰労のために、このキャンプ地に来ている様子である。
「だがまあ今日ばかりは敵も味方もないだろう! 親交を深めるのも同じホビースポーツをする者同士であるから必要なことだ!!」
『ドライ』の性格を考えれば、そうした気持ちの良い交流を深めたいと思うのも当然であった。
 テントの準備を先に済ませてしまおうと『ツヴァイ』はテキパキ動いているし、『フィーア』はそれをおっかなびっくり手伝っている。
 それぞれに思い思いの過ごし方があるだろう。

 ここからは自由行動。
 だが、一つだけやらねばならないことがある。
 そう、楽しむことだ――!
ガイ・レックウ
【SPD】で判定
『お、来た来た。やっと合流できたぜ」
テントを設営し、【釣り】をしながら待っていたようで手を振る。
『今日はリ・ビルドスターインパルスに合わせて、最初に作った戦艦のやつと覇王丸を改修ついでに楽しみに来たぜ!!』
さらに、ボックスからプラモを取り出す
『すーぱー☆ないあるて(レースクイーン&ミニバニー)とドジっ子メイド☆ふぃーあちゃんも作って持ってきたぜ!!…本当はまじかる☆あいんも作ろうとしたけどな』
懲りない一名。なお本人たちにばれたものとする・・・・
『あとクーラーボックスに魚釣っといたぜ!!……あとでいろんなチームに挨拶しとくか』



 猟兵達が目指したキャンプ地。
 寄り道があったものの、それは楽しい寄り道であり、回り道ではないのだ。
「お、来た来た」
 そんな彼らを出迎えたのは湖畔にてキャンプチェアに腰掛けて釣り糸を垂らしていたガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)だった。
 彼はすでにキャンプを設営し終えており、のんびりと釣りを楽しみながら『五月雨模型店』の子供らと猟兵たちが来るのを待っていたのだ。
「やっと合流できたぜ」
「なにやってんの?」
『五月雨模型店』の少年少女たちの一人『アイン』が首を傾げている。

 猟兵たちが保護者として同伴してくれることを知っていたが、ガイが釣りをして待っているとは思っていなかったのだろう。
 意外な顔をした『アイン』にガイは笑って応える。
「そりゃあ、釣りだよ。夕飯は自前でどうにかするのもキャンプの楽しみの一つだろう? それに……」
 そういって彼はおいてあったボックスの中から『リ・ビルドスターインパルス』と呼ばれるガイが作成し『プラクト』に置いて使用するプラスチックホビーを示して見せる。
「こいつと、最初に作った戦艦、それと『覇王丸』の改修ついでってやつだな!」
「ん? なんか奥にもあるけど、それは?」
『アイン』の目ざとい視線にガイは、お、と笑う。

 そう、ガイの密やかな趣味とでも言えば良いのだろうか。
 プラスチックホビーを作るに当たって、改造というのは大きな醍醐味の一つである。自分で作り上げるからこそ、世界にたった一つの作品になるのだ。
「なあ、なんかそれって……」
 ちら、と『アイン』は『五月雨模型店』の子供らと共にテントの設営をしているグリモア猟兵を見やる。
「あの人に似てね?」
「わかるか」
「うん、ていうか、まんまっていうか。その衣装別々に作ってんの?」
「ああ、秘密にしておいてくれよ?」
 いや、と『アイン』はもう遅いと思う、と笑う。

「あ、あわ、あわわわわわっ! な、なんですかそれぇ!?」
 彼女の背後にいたのは『フィーア』であった。
 ガイのボックスの中にはさらにグリモア猟兵だけではなく、彼女をもしたメイドなプラスチックホビーも存在していたのだ。
「ああ、ドジっ子メイド☆ふぃーあちゃんだぜ」
「だぜっ、じゃないですよ!?」
「本当はまじかる☆あいんも作ろうとしたけどな」
「私もかよ!」
 ガイのボックスの中身に『五月雨模型店』の面々は大騒ぎである。
 しかし、彼は懲りない。
 大騒ぎになったとしても泰然自若としているのである。何処から来るんだ、そのメンタルと、誰もが思ったかもしれない。

 というか、大丈夫なのだろうか。
 肖像権的な意味で。
「アッハッハッハ! まあ、いいじゃないか。クーラーボックスに魚釣っといたぜ!!」
 だからこれで簡便なというようにガイは魚の満載されたボックスを『アイン』に押しやって追求を逃れるついでにキャンプ地に集まっているであろう全世界選手権に集った強豪チームの面々と交流を図るべく、逃走を開始するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メサイア・エルネイジェ
【エルネイジェ御一行】
あら〜!
でっけぇお湖ですわ〜!
早くおテントを張って泳ぎに参りますのよ〜!

ほいほいほい!
おテント完成ですわ!
皆で張れば一瞬ですわ〜!
早くお湖におダイブいたしますのよ〜!
クイックドレスチェーンジ!
水着ヨシ!浮き輪ヨシ!わたくしヨシ!
お着替え完了ですわ〜!
たくさん泳ぎますのよ〜!
全身で大自然を味わい尽くすのですわ〜!
おアイン様達も泳ぐのですわ!
こんなでっけぇお湖を前にして泳がないなんて勿体無いお化けが出ますのよ!
わたくし達とキャッキャウフフするのですわ〜!

ん?いま足元で何かが…お魚ですわ〜!
狩猟本能が刺激されてしまいましたわ〜!
とっ捕まえて晩御飯にして差し上げますわ〜!


ソフィア・エルネイジェ
【エルネイジェ御一行】
これは…!
なんと広大で雄大な湖なのでしょう!
陽射しを受けて輝く水面はまさに宝石!
こんな素晴らしい自然を堪能しないのは無礼というもの
私も楽しませて頂きます
こほん、勿論子供達の引率だという事は忘れておりませんよ

メサイアは随分と手際よくテントを張るのですね…
放浪中に取った杵柄でしょうか?

テントを張り終えたら着替えて湖に参りましょう
メサイア、皇女として振る舞いには慎みを…
聞いておりませんね…はぁ

ナイアルテ様も楽しんでおられますか?
以前にも拝見致しましたが、水着もとてもお似合いですね
猟兵として共に常在戦場の身ではありますが、時にはこうして自然に抱かれ、羽根を伸ばすのも良いものですね


メルヴィナ・エルネイジェ
【エルネイジェ御一行】
おぉ…綺麗な湖なのだわ…
海とはまた違った良さがあるのだわ
早く泳ぎたいのだわ…(小声)

テントの張り方はよく知らないのだわ
メサイアがすごい勢いで張ってるから大丈夫だと思うけど…

テントを張り終えたら湖に行くのだわ
他の選手達も結構いるのだわ
なんだかその…視線が気になるのだわ…
改めて自分の水着を見るとちょっと露出が多い気がするのだわ…
早く水の中に入ってしまうのだわ…!

ひんやりとした水がとても気持ちいいのだわ…
浮かんでいると眠くなってしまうのだわ…

いけないのだわ
ちゃんと五月雨模型店の子達の様子を見ていないとなのだわ
そうそう無いとは思うけど、もし溺れそうになっていたら助けるのだわ


桐嶋・水之江
【エルネイジェ御一行】
へぇ、結構大きな湖ね
湖畔も整備されていて実によろしい…
私はこういう快適な自然の方が性に合ってるわね

テントの設営は皇女様達にお任せしましょう
私はやっぱり記念撮影係ね
ぱぱっと着替えたら湖にレッツゴーよ

メサイア皇女みたいにはしゃぐような歳じゃないし、そもそも泳げないから浅瀬で適当にくつろがせて貰うわ
ドローンを飛ばして撮影兼生意気なガキ共…じゃなかったボーイとガール達をちゃんと監督するわ
あ、ナイアルテさん、ダブルピースちょうだい
しかしアレよね
この女性陣の水着姿は青少年にはちょっと目に毒かもしれないわね
そういう自分は見られて平気なのかって?
いやぁ?別に減るものじゃないし?



 キャンプ地に広がる湖。
 そこは湖畔のキャンプ場。芝生の鮮やかな緑と太陽を反射する湖面は暑さを一瞬だが確かに忘れさせる光景であった。
 風光明媚と謳われていたが、確かにこれは、と王族の避暑地を持つエルネイジェ王国の姫君たちであっても息を飲むほどの光景であった。
 ドローンが音を立てて湖面を上空から舐めるようにして空撮する。
 なるほど、これは絵になる湖であると桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)は頷く。
「へぇ、結構大きな湖ね。湖畔も整備されていて実によろしい……」
 確かに大自然で行うキャンプも魅力的であろう。
 けれど、同時に整備された場所であるからこそ得られる恩恵もあるのである。
 技術畑の人間であろう水之江としては、こうした整備されたキャンプ場のほうが好みであるように思えた。

 それは人間の都合に合わせた自然であるけれど。否定はしない。自然のありのまま、というのもわかる。けれど、それ以上に自分たちの文明を思い出すのもまた自然の中であることを水之江は心得ていた。
「さて、テントを張らないといけないんだけれど……」
「わたくし、サクっとおテントを設営させていただきますわ~! こんなでっけぇお湖、泳がなければ損というものでしてよ~!」
 メサイア・エルネイジェ(暴竜皇女・f34656)はあっという間に受付を済ませるとテントを借り受けてペグやらなんやらを打ち込み、テントを張ってしまうのだ。
 その手際の良さ、あまりにもサクサクである。後乗せサクサク以上にサクサクしている。
 彼女のテント張りは一瞬である。
 正直に行って、ソフィア・エルネイジェ(聖竜皇女・f40112)もメルヴィナ・エルネイジェ(海竜皇女・f40259)もメサイアのあまりの手際の良さに目を見開いていた。

 言ってしまえば、どんなことでも長姉であるソフィアに敵わなかったメサイアが唯一ソフィアに勝利できる可能性があるとしたのならば、こうしたサバイバル的な能力であったのかも知れない。
 だが、残念なことにメサイアはそれに気がついていない。
 己の長所を。
 姉に勝てる唯一を。
 けれど、まあ、そんなことはいいのである。
「お早く! お姉様~! お早くお湖にダイブいたしましょう~!」
「ま、待ちなさい、メサイア。皇女としての振る舞いには慎みというものが……」
「クイックドレスチェーンジ!」
 エルネイジェ流瞬間お着替え術(クイックドレスチェンジ)が炸裂する。こんなことにユーベルコードを使うなんて、とメルヴィナはさらに驚く。
 一瞬でメサイアは水着姿に変身していた。

 今なんか謎の光がキラキラしなかた?
 プリズムなメイクアップしてなかった? してない? してないならいいけど、なんかバンクシーンみたいにメサイアが水着に着替えたもんだからつい。
 その様子をしれっとドローンで撮影していた水之江さんはどうでしょうか。
「私でなければ見逃してしまうわね。恐ろしく速いお着替え術だったわ。シャッターチャンスを逃したわ。なんか謎の光しか動画も撮れてないし」
 そういう問題かなって思わないでもなかったが、メルヴィナもメサイアに同意見だった。
 早く泳ぎたい。
 その意見は姉妹共通するものであった。

 メルヴィナも早速水着に着替える。メサイアのテント張り術は大したもので、急いだはずなのにちょっとやそっとではテントが崩れることはないだろうと判断できるものだった。
「メサイアにこんな特技が在ったとは……放浪中に培ったものなのでしょうか?」
 ソフィアも水着に着替え終えている。
 日差し受ける湖の湖面は宝石のようにきらめいていた。これを堪能しないことは無礼であるとソフィアは感じているようだったし、またメルヴィナも同意見だった。
 いやもう本当に泳ぎたくてしかたないといった様子の妹にソフィアは微笑む。
「メルヴィナ、行っておいでなさい」
「はいなのだわ、お姉様」
 そう言ってメルヴィナは湖に駆け出している。メサイアは、すでに湖に飛び込んでいる。バシャバシャ音を立てて泳ぐ様はアスリートアースにおいても驚異的な水泳能力があることを示していただろう。

「前身で大自然を味わい尽くすのですわ~! お『アイン』様たちも泳ぐのですわ~!」
 おーい、とメサイアが漸くテントを張り終えた『アイン』たちに手をふる。
「あ、いーな! みんな、水着の用意はいいか!」
「ぬかりなく。すでに洋服の中に仕込みは完了しています」
「湖があると聞いていたからな! では! いくぞ!」
「は、はははいー!」
『五月雨模型店』のメンバーたちがメサイアの手招きに応じるように次々と衣服を脱ぎ捨て、その下に着込んでいた水着姿を晒す。
 小学生らしい水着は、恐らくスクール水着であろう。学校指定のものしかもっていなかったのかもしれない。
 けれど、それでいいのかもしれない。
 ソフィアは己の横を駆けていく彼らを見て微笑ましく思う。

 同時に共に来ていたグリモア猟兵の姿を認め、微笑む。
「ナイアルテ様もどうですか。湖をお楽しみになられては。水着、とてもお似合いですよ」
 その言葉に彼女も微笑む。
 確かに、この湖を楽しまないのは損だ。
「ソフィア姫も水着、とても麗しいです。気品というものが溢れているように思えます」
「ありがとうございます。猟兵として共に常在戦場の身ではありますが、時にはこうして自然に抱かれ、羽を伸ばすのも良いものですね」
「ええ、本当に……」
「あ、ナイアルテさん、ダブルピースちょうだい」
 そんな風に話していると水之江が撮影ドローンでナイアルテにダブルピースを打診する。あ、はい、とダブルピースするのにちょろいなって水之江は思った。

「あの生意気なガキども……じゃなかった。ボーイとガール達はちゃんと監督するから、安心しておいて。湖で二人も楽しんできなさいよ」
「水之江さんは、良いのですか?」
「私はそもそもメサイア皇女みたいにはしゃぐような歳じゃないしね。そもそも泳げないから適当にくつろがせてもらうわ」
 適当な理由だった。
 ソフィアは絶対水之江は何か他に企みがあるだろうな、と看破していた。また写真集的なあれだろうなって思ったが言うだけ野暮であろう。

「おーい! 早く来いよー! ってひゃぁ! メサイアやったなー!」
「先手必勝に見敵必殺というものでしてよ~! そぉい!」
 湖ではメサイアと『アイン』たちの水の掛け合いが始まっている。その様をみやりソフィアは笑って水掛け合戦に参戦する。
「|特記戦力《お姉様》の投入はズルではなくて~!?」
「最大火力で攻めるというのが、敵の機先を削ぐことになるのです。問答無用です!」
 ソフィアとメサイアの攻防は水掛け合戦という枠組みに収まらないほどの苛烈なものであったが、それはまた別の話しである。

 そんな『五月雨模型店』の面々と姉妹のやり取りをメルヴィナは湖面に浮かびながら見やる。
 彼女はどうにも自分に対する視線が気になってしまって早々に湖に飛び込んだのだ。
 わかる。
 とてもよくわかる。
 メサイアやソフィアの水着と比べるとメルヴィナの水着は、ちょいちょいと露出が多いのである。最高である。
 なので、彼女は人の目を気にするように湖に飛び込んで隠してしまったのだ。惜しい。
「はぁ……少し騒々しいけれど、ひんやりした水がとても気持ちいいのだわ……」
 海とはまた違った安らぎをメルヴィナは覚えながら、揺蕩うクラゲのように湖に浮かぶ。心地よい。
 このまま眠ってしまいそうだな、と思った時に上空を飛ぶのは水之江の撮影ドローンである。
 なんかカシャカシャ言っとる!
 それを目にしたメルヴィナは慌てて浮かんでいた体を湖に沈める。
「もうっ、なんで撮るのだわ」
「一人たそがれちゃってるから、なんてね。一応、私達って、あのガキンチョ……じゃないボーイとガール達の保護者でしょ?」
「あ、そうだったのだわ。溺れてなどいやしないかしら、なのだわ!」
 ドローンから水之江の音声が聞こえる。
 あ、確かに、とメルヴィナは思い出したように『アイン』たちと狩猟本能を刺激された『メサイア』が湖に泳いでいた魚を掴み取って叫ぶ姿を認める。
「大丈夫よ。こういうのは役割分担というか、適材適所でしょ。水際の事故は怖いからね。その時は無い方がいいけれど」
「万が一の時はお任せなのだわ」
 そう言ってメルヴィナは自分が目を離していた隙に事故がなくてよかったと胸をなでおろすのだ。優しい上に気配りもできて、こんなメルヴィナ姫に興味を示さなかった男がいるらしいことが信じられない事実である。

「やりましたわ~!! これで今日の晩御飯は決定ですわ~!!」
 とったどー!
 そんな叫びを聞いてメルヴィナは自分の心配は杞憂だったことを悟り息を吐き出す。
 水之江も同様だったのだろう。
 けれど、彼女はドローンを操りながら、そんな彼女達のスナップ写真を撮り続ける。グリモア猟兵はちょっと思った。
 自分たちばかりじゃなくって、水之江も自身を撮ったらいいのに、と。
「博士、こっち向いてください」
「え、なに?」
 其処に居たのはナイアルテ。
 彼女は自身のスマートフォンのカメラを構え、水之江の水着姿を写真に納め、年齢を感じさせない彼女の美しい姿を彼女に見せる。
「まあ、いいけど。別に減るものじゃないしね」
 そんな彼女との一幕の後、時間は過ぎていく。楽しいからこそ速く。そして。
「メサイア! そういうはしたない真似はしてはならないと!」
「なんでですの!? なんでわたくし怒られてますの~!?」
 理不尽ですわ~! とメサイアが叫ぶ声が湖面に揺れていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

イリスフィーナ・シェフィールド
到着ですね、とりあえずテント設営からですか。
(説明書片手に四苦八苦)もう一人いるとやりやすそうなのですが……そうだ。

そうだで呼び出さないでほしいのですけど本体。
他の方に手伝って貰うと悪いしとか思ってるのでしょうけど頼ることも覚えるべきでしょう。
(ぐちぐち言いながら手伝う分身と言い負かされる本体)

呼び出したのだしと作成中ホビーでが対応できるか試したり。
機体が2つに増えるか無理なのか。

途中アイン達がきて2人に増えてるのに驚きつつがやがやと賑やかに時間が過ぎていき……。

ところでナイアルテ様の衣装デザインは良いのでしょうか、わたくし。
あれは水着だから良いのです、普段着だったら問題ですけどね、わたくし。



 キャンプにおいて最大の難関はなんであろうか。
 それを考えた時、真っ先に立ちふさがるのがその日の屋根となるテントの組み立てであろう。
 慣れぬ身にとってはこれほど難しく煩雑な作業もない。
 イリスフィーナ・シェフィールド(相互扶助のスーパーヒロイン・f39772)は受付で手渡されたテント一式を前に途方に暮れていた。
 説明書が添付されているのだが、どう読んでもよくわからない。骨組みを? 先に? と彼女は孤軍分とうして四苦八苦しながら組み上げていくのだが、どうにも難しい。
「これは本当に一人で張るものですの?」
 他の誰かと協力して組み立てるものではないのだろうかと疑問に思ってしまう。
 ただテントを張るだけでもう汗が流れてくる。

「……そうだ」
「そうだ、で喚び出さないでほしいのですけど」
 次の瞬間、イリスフィーナの隣に立っていたのは、ユーベルコードによって喚び出されたイリスフィーナの性格からすれば冷静そのものなもう一人の自分であった。
 冷製で冷酷、と表現するのが良いであろうもう一人のイリスフィーナの冷めた視線が痛い。けれど、仕方ないのである。
「どうせ他の方に手伝ってもらうのは悪いとか思っているのでしょうけど、頼ることも覚えるべきでしょう」
「あの、それは、その、本当にそうだと思うのですけど、子供らに頼るのは違うのでは、と」
「其処に年齢って関係しております?」
「そうではないのですけど」
「どうして子供らが貴女よりテントをよりよく組み立てられないと決めつけてしまうのです? もしかしたら貴女より上手かもしれないじゃないですか」
 ぐちぐちと小言を言われながらイリスフィーナはもうひとりの自分に完全に言い負かされてしまう。
 でも、それでもなんだかんだで組み立てを手伝ってくれるところが、イリスフィーナの分身であると言えるだろう。

「まったく、本当にこういうことは今回限りにしてほしいものですわねっ」
「助かりましたわ。でも、どうせ呼び出したのです。テントを組み立てて、解散、というのはあまりにも物別れではございません?」
「それで、何を」
 付き合いいいな、とイリスフィーナは思ったが、これももう一人の自分である。
 そう、折角だから、と彼女は『プラクト』で今回自分が使用したユーベルコードがどのように再現されるノアを検証してみようと考えたのだ。

「おーい、テント張り終わったー?」
『アイン』がやってくるが、彼女の目にはイリスフィーナそっくりな人がもう一人いる。あれ!? となるのも当然であった。
「え、お姉さん!?」
「いえ、分身です」
 今、分身の方をお姉さんって言った? とイリスフィーナは心外な思いをしたかもしれない。
「そうです。わたくしがお姉さんです」
「ちょっと! 違いますから、これは私自身です。ユーベルコードですから!」
 慌てふためくイリスフィーナに『アイン』はなるほどなーって理解が速い顔をしている。
「こういうユーベルコードを『プラクト』で使った場合どうなるのでしょう?」
「そりゃあ、プレイヤーが二人に増えるってことでしょ? なら、機体は増えないからもう一体機体を用意しておくとか、合体分離してもう一人のプレイヤーさんの機体になるとか、そういう工夫したらいいんじゃない?」
『アイン』の言葉にイリスフィーナは、なるほど、と頷く。

 でも、便利なユーベルコードだよな、と『アイン』は関心しきりだった。
 何故なら、二人になれば作業効率も二倍である。
 期限が迫っている時などにおいてはこれほどまでに頼りがいのあるユーベルコードもないだろう。
「その点においては本体のわたくしがいささか……」
「なんですの、頼りないっていう顔をして!」
「あはは、なんか、そっくりな双子姉妹って感じ!」
 二人のイリスフィーナに違います、と突っ込まれながら賑やかに時間は過ぎていくのだっった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『疾き者』にて

さてさてー、着きましたねー。
ん?陰海月どうしました?ああ、【四悪霊・『届』】の中に荷物入れてましたもんねー。わかりましたー。

で、出してきたのは…陰海月の誕生月にプレゼントした『組み立て器具セット』ですね。
なるほど、ここで組み立てようと…念願のでしたものねー。
何か手伝いま…え?いい?
なるほど、念願のですから、自分の手で、ということですねー。わかりましたー。



陰海月、必要なものは『届』の中にいれていた。
念願の『幻想騎馬隊限定Ver. 騎手クラゲ兵』をもくもくと!
これは、ぼくだけで作るんだ!!

できた!カッコいい!!家に飾るんだー!



「さてさてー、着きましたねー」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』の目の前に広がるのは湖畔のキャンプ場であった。
 風光明媚と言われていたが見事なものである。
 自然そのまま、というわけではないが、よく人の手が入ったキャンプ場だ。過剰に人の手が入るのではなく、調和という形でもって現れているのがよくわかる。
 切り開かれた林。
 あえて湖畔の周りだけを整備して緑を残すことで人が過ごしやすい空間を作り出しているのだ。
 関心していると、『陰海月』の触腕が『疾き者』の袖を引っ張っている。

「ん? どうしました?」
「ぷきゅ!」
 彼はどうしてもすぐに模型店で購入したプラモデルを組み立てたいようだった。
 道中でもよく我慢した方だとおもうが、逸る気持ちを抑えきれていないのだろう。こんなこともあろうかと、ねじれた双四角錐の透明結晶を取り出し、そこから『疾き者』たちが『陰海月』の誕生月にプレゼントした工具セットを手渡す。
「もう組み立てたいのですね。パーツがどこかに飛んでいかないようにしなければ……」
「ぷっきゅ!」
 いつものように手伝おうと『疾き者』は袖をまくる。
 けれど、『陰海月』が触腕を横にふる。
 手伝いは不要、と言っているのだ。
 珍しい、と『疾き者』は思ったことだろう。けれど、同時に理解もできる。彼が今てにしているのは念願のプラモデルなのだ。

 それならばこそ、自分の手で一から組み立てたいと思うのは自主性の現れであろう。
「わかりましたー。それでは私はキャンプ場からテントを借りて来ますから、このテーブルの上で組み立てるのですよ」
「ぷき!」
 びし、と敬礼してみせる姿は、なんとも頼もしいものである。
『陰海月』はそれからゆっくりとテーブルの上においた『幻想騎馬隊限定Ver. 騎手クラゲ兵』の作成に着手する。
 これは自分だkで作るのだと意気込む姿。
 それは成長した証だろう。
 説明書を広げる。イントロダクションの文字も読めるようになった。

 番号も、ランナーのアルファベットも理解できる。
 パーツチェックも万全。
 いざ! と『陰海月』はパーツを切り離していく。一つ一つに感動があるような気がした。
 待ちに待った、というより、欲しくてたまらなかったものを今自分の手で作り上げるという喜びに体が震えているような気さえした。
「お! 早速やっているのだな!」
 そうしていると『ドライ』がやってくる。
「ぷき!」
「なるほど、家に帰るまで我慢できなかったと思える! でも、すごくわかるぞ! お、この騎手のクラゲ兵はクリアパーツか。ニッパーでランナーから切り離すのに慎重にならねばな。切り口が白化してしまうからな!」
「ぷき……」
 どうすればいい? と『陰海月』が『ドライ』に尋ねる。
「一番簡単なのはニッパーでランナーから切り離す際に、すこし離れたところを切ってパーツを切り出して、もう一度ニッパーを当てる二度切りだな。だが、これでも残りそうなら、デザインナイフで二度三度とゆっくりと削るがいいだろう」
「ぷき!」
 やってみる! と『陰海月』と『ドライ』はあーでもないこうでもないと、いろんな技法を試しながら作成していく。
 自分だけで作る、という意気込みを『ドライ』は尊重してくれているように思える。

 彼は口出しすることはなかった。
 ただ作る『陰海月』が困った時だけに助け舟を出す。自らの手で作り上げたいという思いは誰よりも理解しているのだおる。
「ぷーきー!」
「完成したな! 素晴らしい出来栄えだ! クリアパーツの切り出しも見事!」
 完成した騎手クラゲ兵を掲げ、『陰海月』は見てみて、とテントの設営をしていた『疾き者』へと見せに来る。
 その姿を認め『疾き者』は今日、このおでかけにやってきたことを嬉しく思うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【サージェさんと】

絶好のキャンプ地!キャンプ日和!みんなで楽しもう!

ナイアルテさん手錠とかだいじょぶだから。

さぁ、『ツヴァイ』さん、『フィーア』さん、サージェさん、
テントの設営はわたしに任せて、さっそく水着に!

なんでって……湖あるし、読者サービスもしておかないと!
ナイアルテさんなんて、最初っから水着だよ!見習おう!はい、じゃんぷ!

いえですから、手錠はですね?

水着をみんなに押しつけて、
わたしは受付あーんどベースの設営。

テントと焚き火の準備ができたらカメラを持って突撃だー♪

はじらいの『フィーア』さんと、忍べるわけもないサージェさんだけでなく、
五月雨チームの個性がみんな違ってみんなイイ!(はぁはぁ)


サージェ・ライト
【理緒さんと】
ここに来るまでの道中に
理緒さんはナイアルテさんのお説教を受けた模様(?)
あと、珈琲とチョコを常飲常食しているからその肌色なら
チョコ肌たゆんパイは正式名称なのでは?
クノイチの考察でした

何を食ったら大きくなるかって
やっぱり牛乳と牛肉じゃないでしょうか!
理緒さんに集りましょう!

え?何故に水着……?
ちょっと動き辛いんでいつも通りじゃだめです?
ダメですかー仕方ありませんねえ
え?水着でジャンプしろ?ゆんゆん?なにごとです?

そういえば男の子はドライさんとゼクスさんだけですかー
どきっ、女の子が多いキャンプナイト
大丈夫ですか?性癖曲がりません?
あそこでカメラ構えている人みたいになっちゃダメですよ?



「だいじょうぶ、だいじょぶだから。ナイアルテさん」
 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は手を前にして繋がれている手錠を示してみせた。
 グリモア猟兵であるナイアルテによって今、理緒は若干拘束されていた。それもこれもサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)のせいである。いや、うそ。理緒の自業自得である。
 流石に理緒が『りおりお』しそうな危険が危ない雰囲気になっていたので、落ち着くまで拘束しとこって話になったのである。ついでにお説教もされていた。
 その様子を見ていた『五月雨模型店』の子供らは、ああはなるまいと自粛してくれたので保護者としては反面教師としての役割を果たせたという自負を持つことができた。

 いや、反面教師っていうか。
「せっかくのキャンプ地! キャンプ日和! みんなで楽しもうよ! ね! だから手錠とかだいじょぶだから!」
「もうそろそろいいのではないでしょうか。あ、あとちょっと思ったのですが、珈琲とチョコを乗員常食しているのからその肌色なのならチョコ肌たゆんパイは正式名称なのでは? ……アッ、ハイ」
 やめときます、とサージェはグリモア猟兵の視線にすごすごと一歩引く。
「反省されているようですし。せっかくのキャンプですからね。ですが、次はありませんからね」
 にこし。
 ナイアルテの言葉に理緒はコクコクと頷く。 
 手錠が解錠されれば、理緒はお役目を終えた顔をする。
「お勤めご苦労さんです!」
「開放されたのなら! さあ、『ツヴァイ』さん、『フィーア』さん、サージェさん、テントの設営はわたしに任せて、早速水着に!」
 くわっ!
 むしろ、それが目的かと皆思った。
 あと、ナチュラルに『アイン』はハブられているのは、体型が体型だからであろうか。まだ小学生だからしかたねーだろ! と『アイン』が憤慨している。

 だがしかし、すでに彼女達は衣服を脱ぎ捨てている。
「きゃっ、みんなそんな大胆な! あでもいいよ! いいよ! これって役得……! これが読者サービスってやつ!」
「何いってんの?」
 其処に居たのは湖があるということで、家を出る前から衣服の下に水着を着込んでいた『五月雨模型店』の面々の姿であった。
 みんな一様に学校指定のスクール水着であった。
 個性が出ないのは仕方ないが、しかし、体型というのはそれぞれである。
 理緒は眼福、と言わんばかりにサムズアップしている。

「そこではいじゃんぷ!」
「なんで!?」
「見てよ、ナイアルテさんなんて最初からずっと水着だよ!」
 ナイアルテは理緒の言葉によくわからないままジャンプしていた。揺れていた。何がって言わなけど、まあ、揺れていた。青少年に毒である。
「素直が過ぎるよね! でも、そこがいい! でもね、わたしはみんなのジャンプがみたいの!」
「……理緒さん」
「あっ、いえですから手錠はですね?」
 理緒はじゃらっと手錠を掲げてみせたナイアルテに後ずさりして、すたこらとテントの設営に逃げ出す。

 残されたのサージェである。
 サージェもナイアルテと同じように水着に着替えてジャンプしていた。その揺れる揺れる乙女心が詰まった膨らみを見て『アイン』は物欲しげな顔をしている。
 自分のまっ平らなそことは全然違うプロポーションに羨ましく思うのは仕方ないことなのかもしれない。
「……いや、マジで何食ったらそうなんの?」
「やっぱり牛乳と牛肉じゃないでしょうか! たくさん食べれば、たくさん育つって寸法です!」
 アドバイスになってんだかなってないんだかよくわからんことをサージェは言う。
 でもまあ、湖で遊ぶのに体型は関係ないのである。

 それー! とサージェが駆け出せば、釣られるようにして子供らも湖に駆け出していく。
 水を掛け合ったりのキャッキャウフフの光景が広がっていく。
 サージェがクノイチたる所以を見せるように凄まじい挙動を見せて水を交わす最中、それはもう盛大に揺れる。
 あれやこれやまろ日出るのではないかと別の意味でナイアルテはヒヤヒヤしていたが、まあ、心配するような事態にならなかった。
「はー、遊びましたねー」
「うむ! 元気良すぎって感じだな!」
『ドライ』も少し疲れたのか、湖のほとりで足に水をつけて休んでいる。

「そういえば、男の子は『ドライ』さんだけなんですねー」
「ああ、『ゼクス』は夏休みの宿題に追われて参加できないって泣きべそかいてたな! でもまあ、みんなともだちだからな。男子一人でも楽しいものさ!」
「完全に、どきっ、女の子が多いキャンプナイトですね。大丈夫ですか? 性癖曲がりません?」
「せいへき……?」
「サージェさん?」
 いらんこと青少年に吹き込まないでくださいね、とナイアルテの圧がスゴイことに成っている。サージェは、やっべ、と忍法ドロンの術で逃げようとして、スケープゴートを見つける。

「あそこでカメラ構えている人みたいになっちゃダメだって私思うんです!」
 サージェが示した先にいたのは、テントと焚き火の準備を颯爽と終えて湖畔に突撃してきていた理緒。
 彼女の構えるカメラのレンズの先にあるのは、『ツヴァイ』や『フィーア』であった。
 水掛け合いでキャッキャと他の猟兵たちと戯れている彼女達を撮っているのだ。
 シャッターを切る音がエグい。
「みんなの個性がみんな違ってみんなイイ!」
 めちゃくちゃ荒い息。
 その背後に手錠の音が響いた。
 どうなったかは言うまでもない。そこには褐色のセーラー水着猟兵が居た――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雁帰・二三夫
子供達が来たら大型ワンタッチテント2つ設営
男女別でテント内に銀マットインナーマット設置後キャンプ飯作りに誘う

「さあ、みんなでご飯を作りましょう」
フルーツ缶のシロップきって炭酸水注ぎフルーツポンチ作らせその間に
折畳机
折畳椅子5客
焚火台3つ設置

料理は全て子供達に手伝わせる
ダッチオーブン2つにそれぞれ
ポップコーン用コーン
バター

入れ蓋して約10分加熱
音がしなくなったら焚火台から下ろし1つにはカレー粉入れて混ぜさせる
ガスバーナーと大きめのクッカーで
バター
砂糖
牛乳
混ぜさせ少し飴色になったらもう一つのポップコーン投入
絡めさせたら机に広げたクッキングシートにあけて冷まさせる
もう一つの焚火台に鉄板置く
机にアルミホイル広げ餃子の皮置く
ピザソース
明太マヨ
ソース
溶けるチーズ
チョコソース
輪切ソーセージ
ハム
玉葱微塵切り
輪切ピーマン
コーン
マシュマロ
並べ子供に好きな組合せでミニピザ作らせドンドン焼く

串に差した大マシュマロ火にかけチョコクッキーに挟ませる

「一旦片付けたらBBQの準備をするので、他の人の所を回っておいで」



「いやー、遊んだ遊んだ!」
「うむ、猟兵の皆も楽しんでくれているようだったな!」
「あなた方の体力はどうなっているのです。私は少し疲れました」
「お、おおお水、『ツヴァイ』さん、飲みましょうね」
『五月雨模型店』の子供らは思い思いに楽しんでいた。湖で泳いだり、猟兵たちと遊んだり、それは楽しいものであったのだろう。
 疲労あれど、しかし楽しかったという想いが見て取れる顔だった。
 雁帰・二三夫(引きこもりたい住所不定季節労働者・f37982)はそんな彼らを待ち受けていた。遊びに遊んだ後はお腹を空かせているだろうと思っただの。

 テントはすでにワンタッチテントを二つ設置してある。
 男女別にインナーマットをしいてあるので、後は寝転がるなりなんなりしていいのだ。
 けれど、キャンプの醍醐味はホスピタリティではない。
 自分たちで色々なことをする、という点にあるのだ。故に二三夫は『五月雨模型店』の子供らに言うのだ。
「みんなでご飯を作りませんか?」
「私達にもできることってあるのか? あ、包丁使うのは少しわかるけど!」
「家庭科実習で少しやった程度だな!」
「ええ、そうでしょう。そんなに難しいことをしようってわけじゃあないんです。これ、わかります?」
 二三夫が手にしていたのはフルーツ缶だった。
 缶切りも手にしている。
「わかります。缶詰のフルーツですよね?」
「ええ、そうです。開けてもらえますか?」
「お安い御用です」
『ツヴァイ』が缶切りを手にして缶を開けている間『ドライ』は二三夫と共に折りたたみの机と椅子を設置する。

「空きましたが……次は」
「では、それを容器に入れてください。シロップは切ってね。そうしたら炭酸水を注いでください」
「これは……所謂フルーツポンチ、というやつでしょうか」
「わ、っ、簡単」
「ええ、簡単でしょう? さて、次は焚き火を興しましょう」
「これって何?」
 それは、と二三夫はとうもろこしの種を揺らす。ダッチオーブンにバターを溶かして、熱していく。

「ポップコーンか!」
「ええ、時折軽く揺らして熱を均一に与えましょう。しばらくしたら弾けてきますよ。あ、塩も入れてね」
 すると次第に中で弾ける音が聞こえてくる。
 次々と弾ける種。
 盛大な音に最初はおっかなびっくりだった少年少女たちも喜んで音を聞いている。しばらくしていると音が聞こえなくなってくる。
「もういいでしょう。開けてごらんなさい」
「おっ、すっげー! たくさんになってる! はー、こうやって種が弾けてんのかー……」
「軽く塩を振って、と。もう一つにはカレー粉をふりかけましょうね」
「ええと、もう一つは……?」
「これは……」

 二三夫はさらにクッカーを用意してガスバーナーで熱し始める。
 バターを入れて牛乳と砂糖を混ぜ合わせていけば、それは徐々に飴色に成っていく。
「キャラメルですか?」
「ええ、よく知っていますね。これに……ポップコーンを投入します」
「きゃ、キャラメルポップコーンになるんですね!」
 そうです、と二三夫はポップコーン一つとっても三つのフレーバーを作り上げてしまう。その手際の良さに子供らは感嘆するばかりであった。

「すごいな! 直ぐにできてしまった!」
「まだまだこれからですよ。次は鉄板を使いましょう」
 二三夫は次から次に手を変え品を変えて子供らと共に料理を作り上げていく。
 アルミホイルを鉄板の上にしけば、その上に餃子の皮を置いて、ピザソースを広げて明太マヨであったりソースを載せていく。
「チーズ……わかった、これピザだな? そーだろ?」
「ええ、ですが、それだけではひねりがないでしょう? ここに……」
 バナナとチョコソースを乗せれば、デザート風味のピザが出来上がってしまう。
 そこにさらに『ツヴァイ』が輪切りにしたソーセージと玉ねぎ、ピーマンなどを持ってくる。
「言われたとおりに刻んできました。これくらいでいいですか?」
「ええ、上等です。さあ、具材は隙に載せて下さい。よくばりくらいがちょうどいいですよ」
 そう言って二三夫は子供らにミニピザを思い思いに作らせていく。

 その間に彼は串にマシュマロを差して焚き火で炙っていく。
「手際よすぎる……!」
『アイン』は次から次に料理を準備していく二三夫に感嘆しきりだった。
「いえ、まだまだ。一旦片付けたらBBQの準備をしますので、他の人の所を回ってきていいですよ」
 そう言って二三夫は、自分が子供らにできることを最大限に為すべく、チョコソースの絡んだマシュマロを紙皿に載せて、これを差し入れに持っていくといいと『アイン』たちを送り出すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

竹はあるんですね。よかったです。
ブッシュクラフタールクスになっちゃうとこでした。
(ちょうでっかいナイフしまいつつ)

ではツユつくっちゃいますね。

まずは火起こしして……。
(さっきのナイフでファイアスターターがっしゅがっしゅ)

基本めんつゆでいいとしまして、
ノーマルとあまいのからいのさっぱりしたの、くらいでいいでしょうか。

ふつうはネギ、
あまいのはコーンフレーク
辛いのはキムチ
さっぱりはカボス

これでいきましょう!

あとは流せるおかずとなりますと……。
ステラさんの用意してくれた食材を煮ていく感じでしょうか。

よし、それじゃわたしも食べ……えー?

それでは!
今必殺の素麺ラッシュ!(コンテナの素麺だばー)


ステラ・タタリクス
【ステルク】
さてさて
ここからがキャンプの醍醐味ですね
とりあえず流し素麺装置を作りませんと
ええ、竹は既に確保済です
【ステラ’sコンテナ】
こういう時は反則的なまでに有能なUCですね
実はコンテナ内に大量に素麺を仕込んであります

料理はルクス様にお任せてして
私は近くで山菜でも

はーい、それでは流しますよ
素麺が基本ですが何が流れてくるかはお楽しみ
食べられないモノはありませんのでご安心を
具体的にはかまぼことかウィンナーとかうずらの卵とかさっき採ってきた山菜とかです

なお、それぞれにポイントが付いていて一番高得点の人には
私からパーツのプレゼントがあります

ルクス様は食べる方に回らないように
何してんですか勇者



 流しそうめんに竹はつきものである。
 いやまあ、流しそうめん機というものもあるのだが、それはなんていうかキャンプ地では風情がないというものである。
 ぐるぐる回る、そうめんというのも趣が在るきがしないでもないが、しかし折角キャンプ。アウトドアー! というのならば、此処はワイルドに行くべきだろうと判断するのはルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)にとっては当然のことであったのかもしれない。
「ここからがキャンプの醍醐味ですね。こちらに竹はご用意してございますので」
「流石できるメイド!『主人様』? が絡まないとマジで有能でしかないな!」
『アイン』の言葉に、恐縮です、とステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は恭しく一礼して見せる。
 カーテシーの所作すら完璧であった。
 いや、ほんとマジで『主人様』が絡まなければ、普通のっていうか、最高位に近いメイドさんなんだけどなぁって思う。

「流しそうめん装置はできております。こういう時には反則的なまでに有能なユーベルコードですね、ステラ'sコンテナ(ステラズ・コンテナ)は」
「本当ですよー! 危うくブッシュクラフターになってしまうところでした!」
 ルクスはなんか超でっかいナイフを手にしていた。 
 一歩間違えば猟奇的な感じになりそうな雰囲気であるのが、師匠の専属料理人(エヅケ・マスター)としての矜持であろうか。
 サバイバル術にかけては、ルクス以上に洗練されたものもいないだろう。
 どんな場所でもどんな食材でも、ささっと一品作ってしまえるのだから。
「お料理はルクス様におまかせして、私は近くで山菜でも採取してまいりますので」 
 後はよろしくお願いしますね、とルクスに言葉を告げてからステラは林の中を見て回る。

 その間にルクスは超でっかいナイフを利用して火花をちらして火を起こす。
 手慣れた手付きであった。
「うーん、基本めんつゆでいいとしまして、ノーマルのとあまいのからいのさっぱりの、くらいでいいでしょうか」
 流しそうめん。
 確かに見た目は楽しい。流水に乗って流れるそうめんの塊を箸で取る、というのは何処か狩猟本能を刺激されるものであっただろうし、みんなでわいわいするのにもってこいだった。
 だからこそ、めんつゆ意外に工夫しようがないのである。
「うーん、基本のつゆに……薬味はネギですよね。コーンフレーク合わせてもいいですし、付け合せにキムチもいいですよね。あ、さっぱりはカボス」
 後は何が良いかな、と思ってステラのコンテナをガサゴソすると、ごまだれとラー油が目に入る。

 ああ、こういうのもいいかもしれないな、とルクスはめんつゆにゴマダレを混ぜて、ラー油を二三滴垂らす。
 小指を付けて味見をする。
「んっ、濃厚なのもいいですね。じゃあ、これであとはおかず……」
「戻りました。山菜がありましたので、これを」
「おかえりなさい、ステラさん。煮てもいいですし、揚げてもいいですよね。天ぷらそばならぬ、天ぷらそうめんって感じでしょうか」
 二人は準備を進めていく。
『五月雨模型店』の子供らは湖で猟兵たちと遊んで、他の猟兵と共に料理を楽しんでいる。自分たちの元にやってくれば、おすそ分け、と言わんばかりにマシュマロやポップコーンを持ってきてくれるのだ。

「これはどうもありがとうございます。まだお腹の空きは十分ですか?」
「まだまだペッコペコ!」
「アスリートですからね。燃費が良くないといけませんが、やはり今日は楽しいので、別腹です」
 なんて、『アイン』と『ツヴァイ』が笑っている。
 それならば、とステラがルクスに目配せする。
「じゃあ、ステラさんが用意してくれた食材もありますから、流しそうめん、楽しんでくださいね」
 それー、とステラが用意した食材を流しそうめん装置から流水と共に流していく。

「ちなみに、具材や素麺にはポイントが付いています。高得点の方には……」
「え、何? これってそういう競技?」
「ええ、一等賞の方には私からパーツのプレゼントがあります」
 その言葉に子供らは大盛りあがりであった。
 こういう余興というのは、食事時にはご法度であろうが、キャンプという非日常にあっては、こういう催しはアリであろう。
 楽しむことが最優先なのだから、子供らの喜ぶ顔はステラの心にある母性を満たすには十分であったかもしれない。
 そんな子供らの様子を見ていれば、ルクスもうずうずしてしまうのだ。

「よし、それじゃあわたしも……」
「ルクス様は食べる方に回らないように」
「えー……じゃあ、受けるがいいでしょう! 今必殺の素麺ラッシュ!」
「何してんですか勇者」
 ステラのコンテナから一斉に流れ出す素麺に大混乱の流しそうめんポイント争奪戦。
 けれど、そんな慌てふためく騒動も楽しさの一つになるだろう。
 きっとあとで思い返した時、あんなに弾けたメイドと勇者はいなかったと子供らの記憶に蘇るのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
人はなぜ|罪《積み》を犯すのか…
それは、そこに新商品があるから
作らない訳じゃあないんだ
そう、何時でも好きな時に作れるという安心感を買っているんだ
完璧な理論過ぎる…
そう、全ては後で後悔しない為の積み
だから無駄遣いではない、そう無駄遣いじゃないんだ!!!

という訳で、今回は数をこなそう
塗装とか、諸々とかは後でも出来る!
兎に角、手を動かす!
最低限の処理でパチ組連打
シールも張らない!

……出来たのでブンドドしたいけど、我慢我慢
がまん…がま…ん
いや、ちょっとだけね?
ほら、このプラモとこのプラモはライバル関係だからさ
ちょっとこう…ね?
ほら、大自然をバックに良い感じに写真撮るとパチ組でも映えるしね?



 それは悟りに至るための禅問答めいた問いかけであったかもしれない。
「人はなぜ|罪《積み》を犯すのか……」
 今なんかルビで『積み』って書いてたような気がする。
 いや、書いてる。
 絶対書いてる。
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)はたどり着いたキャンプ地に張ったテントの中で座禅をくんでいた。
 目の前にはテーブルと工具一式。
 そして、購入したプラモデルの箱。
 箱っていうか山積しているのは気のせいか。っていうか、あの大仰なキャリーケースの中身もしかして全部これ?

「それはそこに新商品があるから」
 いや、わかるけども。毎月毎月、ことあるごとに新商品のライナップを発表してくださるメーカーさんサイドにも問題の一部はあろうってもんである。ありがとうございます!
「作らない訳じゃあないんだ。そう、何時でも好きな時に作れるという安心感を買っているんだ。完璧な理論過ぎる」
 そうかな。そうかも。
「そう、全ては後で後悔しない為の積み!」
 涙を飲むようなプレミアム価格!
 転売する連中は馬に蹴られてしまえば良い。でもでも、毎月毎月新商品を予約していたら、財布の中身がいくら在っても足りない。
 財布の紐は無限にゆるまるが、財布の中身は無限ではないのである。

「だから無駄遣いではない、そう無駄遣いじゃないんだ!!!」
 なんて世知辛い世の中だろうか。
 こんなにも世の中には哀しみ苦しみが満ちているのだろうか。玲は憂いた。
 この憂いを晴らすためにできることはなんであろうか。
「哀しみ、苦しみ、憂い、これを晴らすためにできることはたった一つ! そう! 数をこなして積みを崩すということ! 賽の河原で石を積み上げるのとは真逆! 積み上げたものを消化することこそ、業の浄化に成るんだよ!」
 なんかすごいこと言いながら玲は、いざ! と箱を開ける。
 そこにはパッケージングされたランナー。
 色とりどりであったり、見事な配列によって無駄なく敷き詰められたパーツ郡。
 一瞬、ランナーの多さにめまいがしそうになったが、それは説明書のイントロダクションを読み込むことによって受け流すことができる。

「いやさ、違う。とにかく腕を、手を動かす! 今日は最低限の処理でいいんだから!」
 テレレッテテレー!
 手に在るのは薄刃のニッパー!
 片刃薄刃のニッパーは扱いが繊細だけど、パチっと組み上げるだけならばゲート処理が必要ないほどに綺麗に切り取ることができるのだ。
 二度漬け禁止ならぬ二度切り必須!
 パチパチと小刻み良い音を立てて玲はパーツをランナーから切り離していく。
 ズダダダって軽快な音を立てるように次々と作り上げられていくプラモデルたち。

「いいね、いいね! 上がってきたよ!」
 組み上がっていくロボットや戦車、飛行機。充実している。だが、よく見て欲しい。玲が作り上げたプラモデルの全てはスケールが統一されているのである。
 そう、スケールが統一されているということは!
「……ブンドドしたい」
「わ、一杯作ってるなー!」
『アイン』が玲のテントに様子を見に来たのだろう。すでに作り上げられたプラモデルを見て関心したように頷いている。
「積みをね……浄化しているんだよ。大人は遊ぶためにお金をたくさん稼ぐけど、遊ぶ時間がね、少ないからね……」
 だから! と玲はすくっと立ち上がる。
 ブンドド。
 つまり、ぶーんずどどどん! どんどんばんばん! 作ったプラモデルで己の空想の翼を広げる行為。それがブンドドなのである。

 まあ、お人形遊びって言えば通じるだろうか!
「がまん……がま……ん」
「我慢しなくてよくない?」
「いや、ちょっとだけね? ほら、このプラモとこのプラモはライバル関係だからさ、ちょっとこう……ね?」
「わかるってば。手伝うよ!」
「よっし! じゃあ、レフ板を持てい!」
「おーけー! あ! 逆光なるからこっち! 湖のほとりで撮ろうぜ!」
「これで万バズは頂き!」
 いえーい! と玲と『アイン』は出来上がったプラモデルを手にとって、カメラ片手にロケーションを最大限に活用した模型写真を撮るために繰り出すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡みも歓迎!

何を言ってるんだい!戦いはもう始まってるんだよ!
世界選手権ともなれば生きて会場に辿り着けるかどうか
そこからもう勝負は始まっているんだよ!
先手を打って装備を壊すカードを破るなんてのは優しい方で
腕を折る足を折るバイクで轢く家族を人質に取るなんて界隈では当たり前!
もう一度言うよ!勝負はもう始まっているんだよ!
さあ武器を取って!

なんてなるのは別の世界の話だから安心して!
ダークリーガーとかも試合外では割と平和的だしー
気分よく脅かしてノルマも達成したからみんなの建てたテントでキャッキャゴロゴロタイム!
ごろごろ~♪ごろごろ~♪
わーいキャンプで使う硬いマットレス好き~♪



『プラモーション・アクト』――通称『プラクト』は非公式であれど、ホビースポーツである。
 ならばこそ、そこに勝敗が生まれる。
 勝者の喜びあれば、敗者の悔しさもまた当然あるのだ。
「わかってるけど。でも、正々堂々と戦った後なら、ノーサイドじゃねーの?」
『五月雨模型店』の『アイン』は、あくまで清らかなアスリートだ。
 だが、オブリビオンであるダークリーガーもまた同じであるとは限らないのだ。
「何を言っているんだい! 戦いはもう始まっているんだよ!」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は、そんな『アイン』を前に力説する。何をそんなに、と『アイン』は思ったが、しかしロニの言葉である。

「世界選手権ともなれば、生きて会場にたどり着けるかどうか。そこからもう勝負は始まっているんだよ!」
「いや、そんなことはないだろ! 普通にバスとか電車で……」
「遅延するかもしれないでしょ! 寝坊しちゃうかもしれないでしょ! もしかしたら、道中で持病の癪で倒れちゃったおばあちゃんを助けるために救命行動取らないと行けない時もあるかもしれないでしょ!」
 それ言ったらもう大抵のことは起こりそうなのであるが。
 ていうか、今どき持病の癪とか言うのかなって『アイン』は思わないでもなかったが、ロニの力説に気圧されていた。
「先手を打って装備を壊す、カードを破くなんてのは優しい方だよ!」
 なんかどっかで聞いたような話である。
 僕のプラモデルが! とかなんかそんなやつ。

「さらにさらに腕を折る足を折るバイクで轢く! 家族を人質に取るなんて界隈では当たり前!」
「そんな界隈ある!?」
「あるんだってば! キミは界隈を甘く見過ぎだよ! 奴らは手段をまったく選ばないんだから!」
 くわ! とロニは力説する。 
 どう考えてもそれはホビー・スポーツのアニメとかで見る展開である。 
 やりすぎだろっていう大人気ない大人とかが出てくるたぐいのあれ。具体的にはホビーで世界征服を企んだりするやつ。
 と、そこまで『アイン』は考えて思い出した。
 いや、おるわ。
 いたわ。ホビーで世界征服しようっていうダークリーガー。
 これまで『五月雨模型店』を襲ってきたダークリーガーたちは、みんなそんな感じの連中ばかりであった。

「思い至ったようだね! もう一度言うよ! 勝負はもう始まっているんだよ! ここに全世界選手権の選手たちが来ているっていうのなら! さあ、武器を取って!」
「あ、いや、それは違うだろ!?」
「だよねー」
「おい!」
 ロニの急な手のひら返しに『アイン』は思わず肩を落とす。
 危うく全世界選手権に集まった代表チームにカチコミするところであった。
「いやーそういうのは別の世界の話だから、安心して! ダークリーガーも試合外では割りと平和的だしねー!」
 じゃあなんで今の会話した!? と『アイン』は思った。

「ノルマ。おどかしノルマ! あ、テントもう張ってるんだね! 一番乗りー!」
 えーい、とロニは『アイン』たちが立てたテントに飛び込んでゴロゴロしだす。
「って、おい! 一番乗りっていうか! そこ私達のテントだぞ!」
「細かいことはきにしなーい! ごろごろ~! わーい、キャンプで使う固いマットレス好き~♪」
 聞けよ! と『アイン』が叫ぶがロニは一切気にした様子なく、気ままにテントの中をゴロゴロしっぱなしになるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『キャンプの夜を楽しもう』

POW   :    ゲームやお喋りに興じる

SPD   :    歌やダンスで盛り上がる

WIZ   :    満天の星空を眺める

イラスト:真夜中二時過ぎ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 日が落ちていく。
 夜の帳が徐々に夕焼けの空へと降りていく。空を見上げればそこは星空。
 瞬く星の輝きを天にし、キャンプ場に集った者たちは焚き火を囲んで和やかな時間を過ごしていた。共に遊び、共に料理をし、共に火を囲む。それが人々の距離を近くすることは言うまでもないことだっただろう。
「なー、やっぱり挨拶とか言ったほうがいいわけ?」
「私達も代表チームですからね。一応は……」
「で、でででも、お邪魔になrないですかね?」
「なんとかなるだろう!」
『五月雨模型店』のメンバーたちは、言うまでもなく『プラクト』の代表選手である。この地に集っている他国の代表チームとの親交をふかめたいと思うのは当然であった。
 でも、どうにも気後れしてしまうのであろう。

 彼らはどうにかして代表チームとお話したいようである。
 彼らの自主性に任せてもいい。手助けしてもいい。
 また、自分の趣味に没頭したって良いだろう。
 どんな風に過ごしたっていい。
 時は流れていくのだから。誰しもに平等に――。
雁帰・二三夫
焚火台周囲の引火物撤去
テントと子供達に虫除けスプレー
テント入口と机にLEDランタン設置

焚火台3つにスゥェーデントーチ設置

「他の子達と交流したいんでしょう?なら他の子達を呼んできたらどうですか?スゥェーデントーチでスモアを作ってもいいし、花火をしてもいいし、他にもチョコフォンデュと焼き肉饅の準備もしておきますから」

子供達を送り出したら折畳バケツに水入れ手持ち花火準備

机の上にカセットコンロ準備しチョコフォンデュ用ソースと具材(パンや果物)並べ上からラップ
大皿に串と大マシュマロと片面にチョコの塗られたクラッカー盛る
焚火用ホットサンドメーカーと肉饅も準備

「さて、何人連れてきますかねえ」
カトラリー並べる



 雁帰・二三夫(引きこもりたい住所不定季節労働者・f37982)はのんびりと焚き火台の周辺の片付けを始めていた。
 焼きマシュマロをもたせた子供らは今頃他の猟兵や、他の代表チームと交流をしている頃合いだろうか。
 アスリートアースにおいてアスリート同士の交流を妨げるものはない。
 いつだってルールに則って超人的なスポーツに身を投じる彼らのことをニ三夫は眩しく思える。それが在りし日の頃の自分を想起させるのか、それとも共に戦った仲間たちを思わせるのかは、彼自身しか知り得ないだろう。
 今の自分はキャンプ好き。
 そう、もうすぐ四十路を迎えようかというおじさんなのだ。
 自分をそう規定してしまえば、『五月雨模型店』の年若い面々の愚直なまでに真っ直ぐな瞳はまばゆく、また同時に誇らしくも思えるものである。

 LEDランタンをテントの入り口に掛けて回る。
 すでに日が落ち始め、あちこちで焚き火がほのかに闇を照らす程度である。整備されているキャンプ場とは言え、足元が悪いのは頂けない。
 十字に切れ込みを入れた丸太の中心に火を入れる。
 息を吹きかけ、切れ込み十字から空気が入り込んで火が大きくなっていく。
「なんかスゴイことやってるなー!」
『アイン』たちが戻ってきた時、ニ三夫が丸太を燃やしている光景に出くわしたのだろう。
「おや、もうほかの人達との交流はいいんですか?」
「や、やー……えーと」
 彼女達の言葉の歯切れが悪い。
 ああ、とニ三夫は思い至る所があった。

 例え、同じスポーツに興じている同好とは言え、やはり見知らぬ誰かに声をかけるというのはとても勇気がいるものである。
 わからないでもない。
 けれど、それを言葉にして伝えるほどニ三夫は愚かではないのだ。
 子供らには子供らの真理がある。
 故にニ三夫は笑って『アイン』たちに言う。
「少々スモアとチョコフォンデュを作りすぎましてね。わたくしたちだけではどうしようもないくらいの量なんです」
「た、確かにおお、多いです、ね」
『フィーア』がニ三夫が用意しているチョコフォンデュの量を見て目を見開く。
 さらに、そばに置いてあったバケツの水に首を傾げる。

「これは?」
「ああ、花火もキャンプの楽しさの一つでしょう。幸いに夏です。こうした花火が映えると思いましてね」
 これまた多くの花火だ。
 自分たちだけでは処理できない。ならば、とニ三夫は『アイン』たちの気づきを待つのだ。
 彼らの顔を見ればわかる。
 自分たちで導いた答えだ。ニ三夫がしたのは道を整えただけ。
 このキャンプ場のように最初から誰しもが自然そのもの中でキャンプをすることができないように。
 いつだって、誰かが転ばぬように石を拾い、道を作り、木々を避けることもまた誰かがしなければならないことなのだ。
 それを今回、ニ三夫がした、ということだ。
「じゃ、じゃあさ! 他の人達連れてきてもいいかな?」
「ええ、構いません。むしろ助かります」
 そう微笑んでニ三夫は『アイン』たちを送り出す。

 彼らがどんな風に声を掛けるのかまではわからない。
 けれど、きっと他の代表チームの面々を連れてくることだろう。
「さて、何人連れてきますかねえ」
 人の繋がりは、縁は大切にしなければならない。これから『プラクト』というホビースポーツで相対し、試合をするのだとしても。
 敵同士に成るのだとしても。
 試合によって紡がれた縁というのは、きっと将来においても繋がっていくものである。
 それをニ三夫は彼らより先んじて知っている。
 だからこそ、彼は『アイン』たちが幾人の未来の友人たちを連れてくるのかを楽しみにするようにカトラリーを並べ、焚き火が揺らめくのを見つめ、笑むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガイ・レックウ
【POW】で判定
『食った食った…さて、他国のチームとお話に…』
すーぱー☆ないあるて(衣装違い数体)とドジっ子メイド☆ふぃーあちゃんをボックスに入れて他国のチームのもとへいこうとする。
…いや、交流にプラモはいるかなって…とりあえず自主性に任せながらも俺も交流しておくぜ!
……あと、新しい題材も探すかw



 全世界選手権と一口に言ったとして、非公式競技である『プラモーション・アクト』、通称『プラクト』の世界認知の度合いはどれほどのものなのだろうかとガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)は思う。
 すっかりキャンプ飯というものを堪能したガイは黒く染まりゆく空を見やる。
 星の瞬きを見上げれば、きっとこのアスリートアースには未だ公式化されていない競技があの星々のように瞬いているに違いない。
「食った食った……さて、他国のチームとお話に……」
 ボックスを手に取る。
 こういう時、言葉というのは案外必要ないのかもしれない。
 コミニュケーションというのは、互いに意志を疎通させようという思惑があって初めて成立するものである。

 言葉が同じであっても、最初から通わせる意志がないのならば、虚しいだけだ。
 どれだけ心を配っても受け取る者がいなければ、それは意味がない。
 故にガイは思うのだ。
 このボックスの中に修められた、己の欲望というか願望というか、リビドーっていうか、パッションっていうか。
 まあ、言葉にすれば陳腐になってしまうものであるかもしれないが、しかして形をなしたモノがここに有るのならば、それを示して見せることこそ最も簡単なコミニュケーションの道具として成り立つはずだ。
「あー、あんたたちは他国の代表チームなんだってな?」
「え、ああ、はい。そうですが。我等は『無敵艦隊オーデュボン』と申します」
 ガイが声を掛けたのはドイツ代表の強豪チームだった。
 彼らはガイの訪れを無碍にするようなたぐいのメンバーではなかったようだ。

「いや、なに。せっかくこうしてこの場に集まったんだから、少しばかり交流でもと思ってな」
 ガイは『五月雨模型店』の面々がまだ尻込みしているのを知っている。
 けれど、かといって自分があれこれと橋渡しをするのもまた違うのではないかと思っていたのだ。
 こういうのは先人のやり方を見て自主性を持って行うからこそ意味があるのだ。
「そうですか。全世界選手権『ワールド・ビルディング・カップ』の主催国で、こうして見事なキャンプ場に招待してもらったこと、喜ばしく思います。もしも、全世界選手権で当たった時は……」
「ああ、お互いによい試合をしようじゃあないか」
「ところで、そのボックスの中身は……」
「気がついたか」
 ガイがニヤリと笑う。

 そう、そこから取り出したのはガイのリビドーの塊。
『すーぱー☆ないあるて』の衣装違いと『ドジっ子メイド☆ふぃーあちゃん』であった。
 あまりにも作り込んだ改造の後に『無敵艦隊オーデュボン』の面々は面食らったように目を見開いている。
 これが所謂ジャパニーズクオリティ!
「な、なんという……!」
「この良さ、わかってもらえるかな」
「尋常じゃない作り込みであることはわかります。我等は『プラッグシップ』と呼ばれる艦船模型を主軸にしておりますので」
 ジャンル違いとは言えど、その模型に込められた熱意というもは伝わるのだろう。
『無敵艦隊オーデュボン』の面々が持ち出した艦船模型にガイは、お、と目を見開く。
 自分がサポート用に作った艦船のホビーもまた似通った作りだったからだ。

「『プラッグシップ』は昆虫の羽がついた艦船です。無論、通常の艦船のような軌道も行えますが、この羽によって空中での鋭角な軌道も可能となっているのです」
「所謂、船がオニヤンマみたいな軌道を描くことができるってわけか」
 ガイはなんとも手強い、と『プラッグシップ』の完成度に舌を巻く。
 さらにガイと『無敵艦隊オーデュボン』は互いのホビーの良いところや改修点といった意見を述べ、キャンプ地の夜を過ごしていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イリスフィーナ・シェフィールド
最初のご挨拶は緊張しますものね
ええ、ええ、わかります、ご一緒いたしましょう。
わたくしと分身とナイアルテ様が。
(そこは一人で先導するところでしょうとツッコミ)

折角なのでナイアルテ様に合わせて水着姿。
本体が白ビキニ分身が黒ビキニ(2023イェーガーカード参照)

まだ面識ある所が良いだろうとドイツ代表へ。
あの時はアイン様以外いらっしゃいませんでしたものね。

顔合わせしたら代表選手同士でとお任せ。
後はナイアルテ様とプラクトでの練習試合やお話でも。
折角ご一緒でしたがお話しできてませんでしたので。
(特訓ではないので体力尽きるまでっとはなりません)



『五月雨模型店』の面々が他国の代表チームとの交流に気後れしてしまうというのは理解できるものであった。
 何事にも最初は存在している。
 いつだって最初の一歩を踏み出す勇気というのは多く必要なものだ。
 踏み出し方が間違っているかも知れない。
 踏み出す方向が過ちであるかも知れない。
 そんな、かもしれない、を数多く抱えるからこそ身動きができなくなってしまうのだ。
 故にイリスフィーナ・シェフィールド(相互扶助のスーパーヒロイン・f39772)は『五月雨模型店』の面々の肩に手を添える。
「ええ、ええ、わかります、ご一緒いたしましょう」
「やっぱ最初の挨拶って緊張するんだよなー」
「わたくしと分身とナイアルテ様がついておりますよ」
「そこは一人で先導するところではござませんこと?」
 ユーベルコードによって分身したもう一人のイリスフィーナが呆れ顔でツッコむがイリスフィーナは構わなかった。

 いや、やっぱりどんな年齢になったとしても最初の挨拶というのは緊張してしまうものである。
 心臓に毛が生えているのならば、こうした場面でも躊躇なく自らの胸襟を開いて、踏み込んでいくこともできるのだろう。
 けれど、イリスフィーナだって人間である。
 勇気を持つということは、同時に恐れも持つということだ。
 故に彼女は水着に着替える。
「なんで?」
「こういうのは度胸と相場が決まっております。度胸と勇気の相乗効果があれば、できないことなどありません。水着であれば、もはや守るものは何もなく! 後は突っ込むだけですわ!」
「破れかぶれって感じがするんですけど」
「それはそれ、これはこれ!」
 といいながら、イリスフィーナは以前『プラクト』の試合で戦ったことの有るドイツ代表の『無敵艦隊オーデュボン』のキャンプ地へとズンズン踏み出していく。

 すでに他の猟兵と語らっているようであるが、しかし面識があるのとないのとでは大違いである。
「『無敵艦隊オーデュボン』と面識が? あ、そうか。私達がいないときに……」
「ええ、『アイン』様以外はいらっしゃいませんでしたものね。ですから」
「こんばんは。今日は来客の多い日ですね」
 そう言って出迎えるのは『無敵艦隊オーデュボン』の面々だった。
 どうやら副団長はいないようであるが、しかし、それでも艦船型模型である『プラッグシップ』を操っていたメンバーはいるようだった。

「ご無沙汰しておりますわ。『五月雨模型店』の皆様も予選を突破し、日本代表を勝ち取られました。これで名実共にあなた方と戦う資格を得た、ということになりましょう」
 ビキニ姿で決めるセリフではないと思うのだが、しかし、イリスフィーナの度胸というか、やけっぱちというか、その堂々たる佇まいに『無敵艦隊オーデュボン』の面々はなんで水着? という疑問を封殺されていた。
「こちら、『アイン』様と『五月雨模型店』の皆様ですわ」
 ご紹介いたします、とイリスフィーナは『無敵艦隊オーデュボン』の面々に子供らのことを紹介していく。

「こちらこそよろしくお願いいたします。この度は素敵なキャンプ地にご招待頂き真にありがとうございます」
「や、私達が招待したわけじゃないから……」
「こ、こちらこそよろしくお願いします」
 まだまだ固い様子であるが、イリスフィーナはこれからだと頷く。
 その後、彼らにまかせてイリスフィーナはグリモア猟兵と語らう。試合のこと、他の出来事のこと。
 多くを焚き火の明かりに照らされながら語らうのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『疾き者』で

さてさてー、夜もいいものですがー。
ああ霹靂、来ましたかー。取っておいた肉、もりもり食べてますねー。
そして…陰海月を乗せて、挨拶へ…?

ふむ…『五月雨模型店』の方々はともかく。他の方へは…通訳必要そうですから、私も行きましょうかー。
その方が、同胞(同じ競技者)とも話しやすくなるでしょうから。


陰海月、失くすと大変なので、作ったプラモデルは、出て仕分けたゴミとともに『届』へ片付けました。ゴミは持って帰るのが礼儀!
遅れてきた霹靂(空を思いっきり飛んでた)、プラモデルは後で見せて貰おうと思いつつ。陰海月を乗せてのしのし歩く。
リアル幻想騎馬隊 クラゲ兵Ver.である。



 夜の帳が落ちる空を見上げる。
 白く瞬くのは星。
 月光の明かりは強烈かもしれないが、しかして夜空にほのかな安心感をもたらしてくれる。月明かりのない夜というのは星々の光は強烈に慣れど地に闇が色濃くなるものである。
 闇は人の本能に訴えかける。
 不安を呼び込み、恐れを生み出す。
 故に人は焚き火を囲み、その明かりでもって闇を払うのだ。

 炎が浄化の意味合いを持つのも頷けるところであろう。
「ああ、『霹靂』、来ましたか」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』は遅れてやってきたヒポグリフを認め、取っておいたバーベキューの肉を持った皿を『霹靂』の前に置く。
「クエ!」
 勢いよく食べるのは、見ていて心地よいものであった。
 すっかり肉を平らげた『霹靂』は満足したようであるが、キョロキョロと首を見回す。探していたのは『陰海月』であった。
「どうしたのです?」
「ぷきゅ!」
「くえ!」
 聞けば、どうやら他の代表チームの挨拶に向かいたいようだった。

『五月雨模型店』の面々は今も他国のチームへと挨拶しようと、なんとか一歩を踏み出したところである。
 そのついで、というわけではないが自分たちも挨拶をしたいと思うのは良い傾向であると『疾き者』は思ったことだろう。
「そういうことならば、私も参りましょう。通訳必要そうですからね」
「ぷき」
 自分たちだけでも大丈夫なのに、と『陰海月』が言うのを感じたけれど、『疾き者』の言うことも尤もであったので、片付けを始める。

 ゴミは分別し、『疾き者』のユーベルコードが生み出した透明結晶に放り込む。
 こうしたゴミをしっかりと持ち帰ることがキャンプ地でのマナーでもある。
「ぷき!」
 準備万端! と『陰海月』が小さく鳴く。 
 だが、挨拶に向かおうとするより早く、此方に近づいてくる一団があった。
「関心なことである」
 びし、と『陰海月』と『霹靂』、『疾き者』たちの前にずらりと整然と居並ぶのは、『無敵艦体オーデュボン』と同じくドイツ代表チーム『オーバード』の面々だった。
 どこか軍隊めいた規律を感じさせる彼らの一礼は見事なものであった。
 統率、という点においては恐らく今大会において右にでるチームはないであろうと『疾き者』には感じさせられるものであったことだろう。
「ぷき、ぷきぷき、ぷきゅ!」
「彼はご丁寧にどうもありがとうと、言っておりましてー」
「いや、こちらこそこのような時間に不躾に来訪したことを詫びさせて頂きたい。キャンプ地に招待されたはよかったが、我等はアウトドアな趣味に対して不慣れな者も多いもので」
『オーバード』の面々は少し気恥ずかしそうな雰囲気で弁明する。
 それに対して『陰海月』はそんなことないよ、と言わんばかりに首を振る。

「いや、こうして挨拶に参った上に気遣っていただけるとは。大会での試合も楽しみになってきました」
「ぷきゅ!」
「こちらこそね! と」
『疾き者』は競技者同士相通ずるものが、有る様子の『陰海月』と『オーバード』の面々のやり取りを見て満足気に笑む。
 彼らは確かに全世界選手権の頂点を目指して争う間柄である。
 己たちとオブリビオンのように滅ぼし滅ぼされる間柄ではないのだ。勝負が、試合が終われば、そこから育まれる友情なども存在するだろう。
 故に、『陰海月』と『オーバード』の面々が硬く握手する光景に『疾き者』は今回のキャンプで得られたものは大きく、得難いものであると信じるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メサイア・エルネイジェ
【エルネイジェ御一行】
他のチームの方々とご挨拶したいんですの?
なら正々堂々とおカチコミになられたらよろしいのでは?
行きにくいのでしたらわたくしが変わりにカチコんで差し上げますわ~!
ごめんなすって~!
って、なんですのソフィアお姉様?
そういうものですの?
皆様恥ずかしがり屋さんですわねぇ

おプラモを組み立てればよろしいんですわね?
では翼っぽいおパーツを使ってビルドヴリちゃんの新装備を作るのですわ~!
エンジン付きのでっけぇ翼を背中に乗せて、お戦闘機のおプラモから拝借したガンポッドとおミサイルを装備するのですわ!
名付けて!ビルドヴリトラ・スカイルーラーですわ~!
眺めながら飲むお酒は最っ高ですわ~!


ソフィア・エルネイジェ
【エルネイジェ御一行】
メサイア、おやめなさい
突然見ず知らずの大人が大声を出して挨拶に伺えば驚かせてしまうでしょう
水之江女史に妙案があるそうです

件の模型を作製すればよろしいと…
模型の知識は全く持ち合わせておりませんので、五月雨模型店の皆様にご指導を賜ります

本体を組み上げたら合わせて購入した装備品も取り付けましょう
両腕にショットガン、背中にサブアームをマウントし突撃槍と盾を装備
左右の両足側面にサイドブースターを装備すれば完成です
名前は…ビルドインドラ・ナイトオブリージュとしましょう

して、五月雨模型店の皆様…こちらの模型をどのようにして戦い合わせるのでしょうか?
折角作り終えたのであれば戦いませんと!


メルヴィナ・エルネイジェ
【エルネイジェ御一行】
私はあまり人付き合いが得意じゃないから力になれそうにないのだわ…
まあ…模型を作るだけなら別に…
お店で買ったリヴァイアサンそっくりの模型を作るのだわ

でもどこから手を付ければいいのか全然解らないのだわ
模型店の子たちに聞くのだわ

なんだかこれ…同じ部品がいっぱいあるのだわ…
胴体部分の部品だと思うけれど、説明書には数十個も作るように書いてあるのだわ
ゲシュタルト崩壊しそうなのだわ…
リヴァイアサンの整備をする人はこんな頭がおかしくなりそうな作業をずっと繰り返していたのだわ…?
名前はビルドリヴァイアサンにするのだわ
取り敢えず姉上とメサイアが付けた名前と似たような響きにしておくのだわ


桐嶋・水之江
【エルネイジェ御一行】
こういう時は発想を転換するのよ
相手から来るように仕向ければいいやと

こっちもあっちもプラクトのチームなのよね?
なら餌は決まりよ
買ったプラモを組み立てるわよ

金ピカのロボプラモにランチャーとキャノンとブースターを装備して…はい完成
命名カナリアよ
金色のコーティングはビームやその他諸々を防ぐ超高級品よ
私が乗ってる金ピカキャバリアとまんま同じじゃないかって?
当然じゃない
キャバリアの技術をそっくりそのままプラモに落とし込んでいるんだから
さあキッズ達、よく見ておきなさい
これが大人の力よ

…とまあ、こうやって騒いでいれば気になって向こうから寄ってくるという寸法よ
私ったら孔明も真っ青の策士ね



 他の猟兵たちが着実に他国の代表チームと交流を開始する中、『五月雨模型店』の子供らはまだまごついていた。
 わからないでもない。
 いくら猟兵たちが手本を見せてくれているとは言え、彼らはまだ小学生である。
 これがもう少し年若く、また歳を重ねていたのならばよかったのかもしれない。
 年若ければ、その純粋さ故に飛び込む恐れも感じなかっただろう。
 年重ねているのならば、経験からどのようにして触れあえばよいのかを知っていただろう。
 けれど、今の『五月雨模型店』の面々は年頃であった。
 一番迷い、一番多く傷つき、一番多くを知る時期でもあったのだ。
 故に彼らは躊躇いというものを得ていたのだ。
「他のチームの方々にご挨拶したいんであれば、正々堂々と、おカチコミになられたらよろしいのでは?」
 メサイア・エルネイジェ(暴竜皇女・f34656)の言葉に『アイン』は、いや、でも、となんだか普段とは違うまごついた事を紡ぐばかりであった。
「生きにくいのでしたら、わたくしが代わりにカチコんで差し上げますわ~!」
 こういう時、ノリと勢いに任せるのがメサイアの信条であった。
 とりあえず一発カマしておけば大抵の連中というのは押し黙るってもんであることを此れまでの放浪生活でメサイアは学んだのだろう。
 いや、違う。
 それは生来持って生まれて気質めいたものであることを姉であるソフィア・エルネイジェ(聖竜皇女・f40112)とメルヴィナ・エルネイジェ(海竜皇女・f40259)は理解していた。

 メサイアは放浪して得たとか、そんなことではなく、元々空気とか読まない。読めない姫である。淡い恋心を粉砕したチェスト事件が良い例である。
 そんなわけで、メサイアが『アイン』たちに代わって、おチェストばりに他国の代表チームにブッコミしようとするのをソフィアがむんずと掴んで止める。
 この場でメサイアを止められるのはソフィアくらいなもんであった。
「ごめんなすって~! ってなんですのソフィアお姉様!?」
「おやめなさい。突然見ず知らずの大人が大声を出して挨拶に伺えば、驚かせてしまうでしょう」
「でもでもお姉様。こういうのは示威行為っていうんでありましてよ! 最初が肝心。一発で仕留めるのが肝要でして……って、ほぎゃ!?」
 メサイアの言葉にソフィアのアイアンクローがミシミシと頭蓋を鳴らす音を響かせる。
「いいですか、メサイア。貴女も皇女。すでに認められた王族。その意気は認めましょう。ですが、その行いがどのように世界に波及齎すかを知るべきなのです」
「たっぷたっぷたっぷですわ~! おたっぷしておりますのに、なんでお姉様は離してくださりませんこと~!?」
 バンバン腕を叩くメサイアにソフィアはため息を吐き出す。
 メルヴィナもあまり人付き合いが得意じゃないので、力になれそうにないと後方に控えているが、そんなことはない。
 メルヴィナはいるだけで華なのである。
 とは言え、ソフィアは桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)に視線を送る。

「水之江女史に妙案があるご様子。お聞かせ願えませんか」
「お姉様、おタップしてますけど!?」
「こういう時は発想を転換するのよ。こっちから行くのが気恥ずかしいんでしょ、ガキンチョ……じゃない、ボーイアンドガールズは。なら、相手から来るように仕向ければいいのよ」
「押してダメなら引いてみなよ! ってことか?」
 水之江の言葉に『アイン』が首を傾げる。
 そういうことだ、と水之江は頷く。
 こちらとあちら。
 共通認識できるものはなんであろうかと考えたのならば、答えは容易であった。何が相手の気を引くのかなんて言うまでもない。 
 そして、これまでの旅程において,その材料はすでに得ているのである。
 何のためにこれまで模型店を巡って来たのか。

「そうか! なるほどな!」
「そ、こっちもあっちも『プラクト』チームってわけ。なら餌はもうわかってるわよね? 買ったプラモを組み立てるわよ」
「模型を作るのだわ?」
「ええ、そうです。此方が何を作っているのかな、と思えば、モデラー……いえ、『プラクト』アスリートであれば気になって仕方ないというもの。他人が作っているプラモデルほど気になるものはありません」
『ツヴァイ』の言葉に、そういうことなら、とメルヴィナは頷く。
 お店で購入した『リヴァイアサン』そっくりなプラモデルの箱を示して見せる。
 これ? とメルヴィナは首を傾げてみせるが、こういう玩具を作ること事態彼女は初めてなのである。
 だが、ここには経験豊富な『五月雨模型店』の面々が揃っている。

「私も模型の知識を持ち合わせておりませんので……ご指導賜りますようお願いしたいのですが」
「か、かか構いません! わた、私達がお手伝いしますから!」
『フィーア』も『ドライ』も頷く。
 こうして始まる初めての模型教室が野外で行われることになったのだ。
 他国のテントからほど近い中央で始まるエルネイジェ姉妹&水之江博士のプラモデル作成実演会。
「皆様恥ずかしがり屋さんですわねぇ」
 メサイアはなんともなぁって顔をしていたが、空気読まない読めないメサイアからすれば確かにまどろっこしいやり方に思えたことだろう。
 けれど、少年少女たちにとっては一大事なのだ。
 これから多くを経験していくだろうが、この経験がきっと生かされることもあるだろう。そう思えば、恥ずかしがっていた時の自分も許せるし、得難いものであったと知ることもできるだろう。

「わたくし、この翼っぽいおパーツを使ってビルドヴリちゃんの新装備を作るのですわ~!」
「ほう、新装備。して、どのような」
「ええ、エンジン付きのでっけぇ翼を背中に載せて、お戦闘機のおプラモから拝借したガンポッドをおミサイルとして乗せれば火力と機動力を確保できたも同然ですわ~!」
「だが、バランスの方はどうか」
「そこは削ったり荷重を加えたりなんなり……って、どなた?」
 メサイアはいつのまにかしれっと混ざっている金髪揺れる褐色の肌を持つ女性の姿を認めて、首を傾げる。物怖じまったくしていない。
 その女性の放つ異様なる重圧は、ソフィアやメルヴィナにとっては背筋にぞわりと走るものであったが、メサイアは空気読まない読めないがゆえに平気な顔をしていた。
「私か。私は『■■■』」
「ん? なんておっしゃいまして? 今なんか聞き取れませんでしたわ~!」
 おっと、と女性は頭を振って申し訳ない、と笑う。

「しまったな。この『名』はすでに失われているから発声できないのか……うむ、ならばこう答えよう。人は私を『絶対雷人』■■■と呼ぶ。だが、聞き取れないのならば、聞き取れる言葉をはっしなければな。私のことは今後『エイル』と呼ぶと良い」
「はえ~お成人してらっしゃる?」
「ああ、そうだが」
「ではお酒をどうぞですわ~!」
 そんな金髪褐色の女性『エイル』とメサイアは和気藹々とした雰囲気でプラモデルを作成している。

 其のさまをソフィアとメルヴィナはみやり、よくあんな雰囲気になれると思った。
 しかし、彼女達とて『五月雨模型店』の面々と模型を組み上げていかなければならない。自分たちの模型作成で他国のチームがよってくることがメサイアによって証明されたのだ。
「ともあれ、作るしかありませんね。メルヴィナ、進捗どうです?」
「ソフィアお姉様……なんだか私の見間違いなのだわ? 同じパーツがいっぱいあるのだわ?」
「あー、胴体のパーツだよな。同じのを数十個作るんだって!」
「正気の沙汰ではないのだわ。ゲシュタルト崩壊しそうなのだわ」
「でも、一体成型になっているより、絶対いいぜ! だって全部動くんだもんな。このタイプにはよく動くのが売りなんだし」
『アイン』の言葉にメルヴィナは少し涙目になるかもしれない。
 説明書の何処を見て、たくさんつくろうねってパーツがいっぱい記載されている。

 そこでメルヴィナは漸く『リヴァイアサン』の機体を整備する者たちの苦労をしるのだ。
 こんな同じパーツを何度も何度もチェックしていくなんて頭がおかしくなりそうだ。
 今度エルネイジェ王国に戻ったら、彼らをしっかりいたわろうとメルヴィナは心に決めるのだった。
「ふむ。やはり両腕にはショットガンで決まりですね」
「サブアームの強度を高めた方がよいだろうな! 格闘戦をするのならばなおさら!」
「ええ、『ドライ』様のアドバイス通りですね」
「ああ、突撃槍と盾を保持するだけでなく、衝撃にも耐えねばならない。関節部分は脆くなりやすいし、摩耗しやすいからな」
 どこからクラックが入るかわからない、と『ドライ』の言葉を受けてソフィアはサイドブースターを機体に取り付ける。

「これで完成です。名は……『ビルドインドラ・ナイトオブリージュ』としましょう」
「お姉様もできたのだわ? 私も『ビルドリヴァイアサン』と名付けようと思ったのだわ。お姉様のと似たような響きが良いのだわ」
 そんな姉妹仲睦まじい様子に水之江は頷く。
「私のは『カナリア』よ!」
 水之江の手の上に乗っていたのは、明かりを受けて金色に輝くロボットであった。
 そう、それは彼女が乗っている金ピカキャバリアを模したものであり、いや、模した物というか、リサイズしたようなクオリティであった。

「す、すっげぇ……! 金色コーティングどうしたんだよ……!」
「下地に黒を使うのがミソね。あとはしっかり磨くこと。番手は2万以上必須ね!」
「た、大変そうです……!」
「キッズ達、一つ教えておきましょうか」
 水之江がなんだか大きく見えると、『五月雨模型店』の面々は思ったことだろう。なんかオーラ的なあれででっかくみえるアレである。
「これが大人の力よ。キャバリア技術をそっくりそのままプラモにフィードバックする。これができるのが私、この水之江博士の技術力ってわけよ」
 ばばーんってきらめく『カナリア』。
 それは謎のコーティング技術によってビームや諸々を完璧に防ぎ着る超高級品仕様。
 携行する火器だって尋常ならざる威力を実現としている。

「出力は向上しても燃費はそのまま! 見なさい、これが脅威の水之江クオリティであると!」
 高笑いが響き渡る。
 そんな笑い声が響けば他国のチームメンバーたちも気になって仕方ない頃合いであろう。
 そう、こうやって騒ぎ立てることによって向こうから寄ってくるという寸法である。
 恐るべきは孔明も真っ青な策士たるや。
 しかも水之江は商機を逃さない。
 この己の技術満載した『カナリア』に使われている技術を他国のメンバーに売り込めば、それはそれは素晴らしい収入源になるだろう。

 そんな水之江博士の高笑いはまさに誘蛾灯のように他国のメンバーたちを釣り上げるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
交流…
そう、同行の士と交流する時は多くを語らない方が良いって聞いた!
良いよね…
良い…で通じ合えるのがプロ!

…会話が繋がんないなこれ!
えーと…あれだ
うぇーい!やってるー!!
とかそんなノリで行ったらどう?
それか、マスター…あの人に一杯…!とかそんな感じで!
多分キャンプ場には野生のマスターくらい居るでしょ
いや、違うな…未成年…
じゃあ、あれする?
うぇーい!皆もプラクトの代表選手ー?
うちらもそうなんだけどさー!ちょっと一夏の思い出でも作ろうぜ!!!
ってノリで話し掛けるとか!
夏は…心を開放的にするんやで…!

どれもダメ?
なら向こうも話しかけたがってるかもだから、目立つ所で積みを消化してアピールしよう!



 同好の士との交流において、多くの場合言葉を必要としない。
 それは共通認識を多く持っているからであるが、同時にそれは己の中にある膨大なる感情を言語化しきれないという側面も持っていることであろう。
 故に人は語らう場合において、言葉を最小限に己の情熱を込める言葉を欲しているのである。
 現代的に言えば『エモい』だとか、古くは『あはれ』であるとか。
 まあ、そんなことである。
 とは言え、人は言葉を持っている。
 持っているのならば上手く使いたいものである。いつだって人は己の心の内を理解してもらいたがっているのだから。
「でも多くを語らないほうが良いって聞いたけど、それで足踏みしているようじゃね」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は深く、深く頷いていた。
 言葉多く語らずとも通じ有るのがプロである。

「それじゃ会話が繋がんないじゃん! いっぱいおしゃべりしたいんだよ!」
『アイン』の言うことも尤もだ。
 なら、どうするか。
「じゃあ、えーと、あれだ」
「え、何」
『アイン』はちょっと嫌な予感がした。こういう時の玲は思いつきで全部行動する人だとこれまでの経験で知っているのだ。
 そんでもって大抵の場合において、それは破天荒という言葉で言い表されるものである。
「うぇーい! やってるー!! とかそんなノリで行ったら?」
「不審者! 通報されるよ! ていうか、そんなノリにインドアな趣味な人達の環に入っていこうもんなら、後でSNSでボロカスに陰口ぶっ叩かれちゃうよ!」
「えー……じゃあ、マスターあの人に一杯……! これは? あちらのお客様からですとかそんな感じは!?」
 玲はまあ他人事なのでやりたい放題である。

「無理だってば! ここキャンプ場だよ!?」
「いるでしょ、野生のマスターくらい。あ、いや違うな……未成年か」
「そうだけどそうじゃないよ!」
「じゃあ、あれする?」
 え、と『アイン』の顔がひきつる。
「うぇーい! 皆も『プラクト』の代表選手ー? うちらもーそうなんだけどさー! ちょっと一夏の思い出でも作らないー?」
 オタクに優しいギャル玲。
 ありだな。いや、違うそこじゃない。そのノリダメっていったじゃん! と『アイン』が面倒くさくなってそのまま突撃しようとする玲の裾を掴んで引き止める。
「夏は……心を開放的にするんやで……!」
「絶対適当に言ってるでしょ!」
「それはそう!」
 言い切らないでよ! と『アイン』は玲の暴走にどうにかこうにか突いてきている。才能あるよキミ、とかなんとか玲のニヒルな笑顔がさらに混沌を加速させていく。

「どれもこれも却下!」
「んー、ならさ、向こうも話しかけたがってるかもだから、目立つところで積み消化してアッピルすればいいじゃん」
 みんな『プラクト』選手なのだから。
 言葉は違っても。
 言葉が少なくても。
 同じものを好きだって気持ちがあれば、それだけで十分なのだ。皆違って皆良いとはよく言うけれど。
 違う皆が、一つの良いと思うものを共有している事実だってあるのだ。
 だからこそ、玲は言葉で聞かせるよりも、やってみせたほうが速いと言わんばかりにキャンプ場の中心で、これまで溜まりに溜まった罪という名の積みを圧倒的なパチ組み力でもって組み上げ、その速度で持って他国のチームメンバーたちの視線を釘付けにしてみせるのだが……。

「理屈はわかるけど、実践するの無理!」
 と『アイン』が叫ぶのを背に聞き、これまで積み上げてきた箱を次々と消化……否、昇華していくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

ステラさん、ステラさん、
『五月雨』のみなさま、交流のことで悩まれてますよ。

こんなときこそステラさんの後方母親面が火を噴くときでは?

うんうん。さすがステラさんです。
こういうときはほんとに美少女有能メイドですね。
|こういうときは《『ご主人』さまが絡んでなければ》!

それではわたしもちょっとだけお手伝いです!

交流といえばトーク。
そしてキャンプトークと言えば、焚き火を囲んで、が定番中の定番です!

そうなればやっぱり必要となるのは、
焚き火にあった素敵な音楽ですよね!

お任せください!
料理人とは裏の姿!
表の姿である演奏家のわたしが素敵なBGMを……わぅん!?

楽器返してくださいよぅー(ぴょんこぴょんこ


ステラ・タタリクス
【ステルク】
ふむ
プラクトが競技である以上
ライバル心と交流……すなわち敬意は別に考えるべきですね
礼儀とは形やルールであって
大切なのはその奥にある他の方への敬意
ですからそれさえあるならば
皆様の存在が邪魔と思われることは無いでしょう
皆様はいかがですか?
ちなみにその部分は私、全然心配しておりません
僭越ながらお供します
作戦や戦術は漏らさないように注意ですよ?

誰がやべーメイドですか
オールウェイズ・クール&スーパーメイドです

そう、BGM……
ってやらせるかぁぁぁ!
ルクス様ステイ
邪魔しない
ご自身が|光の勇者《バトル環境破壊音波発生器》であることをご自覚ください
というか楽器置いてきなさい

あ、KDのこと忘れてました



 多くの猟兵たちのアドバイスや手伝いによって『五月雨模型店』の面々は徐々に他国のチームメンバーとの距離を詰め始めていた
 けれど、それでもやっぱりまだなんとも気後れしている様子をルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)とステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は遠巻きに眺めていた。
 所謂後方〇〇面ってやつである。
 ルクスはそんなつもりはまったくなかった。というか、隣に居る紫メイドの尋常ではないオーラに気圧されて、そういう面構えをするどころではなかったのである。
「ステラさん、ステラさん。『五月雨模型店』のみなさま、交流のことでやっぱり悩まれてるみたいですね」
「ええ、わかっております。ですが、これはあの子たちの問題」
 大人である自分たちが手を出してよいものか、とステラは常識人みたいなことを言っていた。
 なんていうか、今更じゃないかなってルクスは思ったが黙っていた。
 というか、こういう光景を見ているのはもどかしい。
 はじめてのおつかいを見守っている心境というか。もどかしく、また自らにも経験が在るがゆえに、共感してしまうのだ。
「こういうときこそステラさんの後方母親面が火を噴く時では?」
「『プラクト』が競技である以上、ライバルと交流……即ち、敬意は別に考えるべきですね。礼儀ととは形やルールであって、大切なのは心の奥にある他の方への敬意」
 ならば、とステラはまごついている『アイン』達の背に寄り添うのだ。

 肩に手を載せて彼らに告げる。
「皆様はいかがですか?」
「何が?」
「彼らです。他国のチームメンバーの皆さまを見てどう思われましたか?」
 彼女が示すのは、キャンプ場の中心で他の猟兵達がプラモデルを作成していたり、実演いていたりするさまを興味深く見守っている他国のチームメンバーたちの顔であった。
 彼らは確かにアスリートである。
 アスリートである以上勝利を目指すのは当然のことである。
 けれど、そこに敵意や害意があるように思えるだろうか?
「みんな、楽しそうにしていますね。単純な好奇心と言いますか。心が踊ると申しますか……」
『ツヴァイ』の言葉にステラは頷く。

「誰も皆様を邪魔者だとは思っていないでしょう。勝利への道筋に立ちふさがる障害とも思っていないのです。ならば」
 皆様も同様でありましょう、とステラはささやく。
「私、全然心配しておりませんよ。僭越ながらお供はさせて頂いておりますが、皆様が真っ直ぐに成長なされている若きアスリートであることを確信しております。だから」
 自信を持って交流をすればいいのです、と諭すステラにルクスは深く頷く。
 ステラが後方母親面しているのならば、ルクスは後方メイドプロデューサー面しているのである。
「うんうん。流石ステラさんです。こういうときはほんとに美少女有能メイドですね!|こういうときは《『主人様』が絡んでなければ》!」
 ルビが透けて見えてるが大丈夫だろうか。

「でもわかりますよ。わたしもちょっとだけお手伝いしたいって思いますもの」
 そういってルクスは焚き火を移動させる。
 明かりが在ったほうがいいと思ったし、キャンプでトークするのならば焚き火を囲んでというのが定番中の定番であろう。
 火を囲むというのは、何も暖を取ることや明かりを得るためだけではない。
 太古から連綿と続く人間の文明というものを知らしめるものであり、また同時に心の奥底から引っ張り出すものでもあったのだ。
 心に雑念なければ、自ずと言葉は澄んだものとなるだろう。
「ルクス様にしては……というか、誰がヤベーメイドですか。オールウェイズ・クール。アンド。スーパーメイド、イズ、ミー! でしょうが」
 ステラはルクスの言葉に反論するが、しかし言葉が止まる。
 そう、焚き火を用意するまではよかった。
 しかし、今まさにルクスがやろうとしていることを目の当たりにしてステラは目を見開く。

 なんか、いま。
「ふふ、焚き火にはやっぱり素敵な音楽ですよね!」
「ええ、バックグラウンドミュージック……」
「お任せください! 料理人とは裏の姿! 表の姿である演奏家のわたしがすてきな……」
「ってやらせるかぁぁぁ!!」
 台無しである。
 ふたりとも台無しである。
 さっきまでのステラの言葉も、ルクスの気遣いも。
 なんか台無しに二人自身がしてしまっている。『アイン』たちは二人がわちゃわちゃしている姿を見て、スン……としてしまう。
 だって。

「ルクス様ステイ! 邪魔しない! ご自身が|光の勇者《バトル環境破壊音波発生器》であることをご自覚ください。というか音楽置いてきなさい」
「いやーでーすー! 楽器演奏するんです! しますー! 皆さんに素敵な音楽をお届けするんですー!」
「ええい、これは没収! 没収です!」
 やー! とルクスが楽器を取り上げたステラを追いかけ回し、ぴょんぴょん跳ねる様をみやりながら『アイン』たちは、アレって反面教師ってことでいいんだよね……と勢いのままに走り回る二人を見やるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

キャンプマットにくるくる丸まり蓑虫ボクになってお昼寝していたボクには夜も隙は無かった!
挨拶?火の点いた松明と着火剤とか使うやつ?
違う?

オーケー何か誘いやすい動機があればいいんだね!
つまりこれは…ホラー映画だね!
デートに誘うつもりで!

●汝らに問う(UC『神心』)
やっぱり夏の夜に観るのはホラー映画だよね!ね!
って問いに対して受けた全世界何億人もの支持に応えて
立体絵本を広げるように野外映画劇場をパタッと開幕しよう!
みんな飲み物とポップコーンと今の映画ひどかったね!って言い合う準備はオーケー?

大丈夫!ナイアルテも逃がさない!
じゃあ夏の夜のホラー鑑賞大会はじまりはじまり~❤



 すうすうと寝息がテントの中から聞こえてくる。
 そう、それはロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)の安らかな寝息であった。
 テントの中でキャンプマットにくるまってミノムシ状態っていうか、簀巻き状態っていうか、曲がりなりにも神様なのに、そういうのでいいのかなって思わないでもない状態で炉には寝息を立てていた。
 けれど、どうにもテントの外が騒々しい。
 目を覚ました瞬間、ロニはミノムシ除隊のキャンプマットから飛び出した。
「なになに? なにしてんの?」
 目の前に広がるのはキャンプ場の中心で他国のチームメンバーたちと交流を図ろうとしている『五月雨模型店』の面々であった。

 彼らはキャンプ場の中心で焚き火を囲みながらプラモデルを作っているようである。
 なるほど、とロニは感心する。
「共通の趣味があるから、言葉以上にダイレクトに感情を伝えようってつもりなんだね! わかるよ! オーケー! もっと誘いやすいように、そんな動機をキミたちにプレゼントしてあげようじゃないか!」
 そう、とロニはきらめく瞳を夜空に輝かせる。
 彼が示すのは巨大スクリーン。
 いつの間に用意したのかさっぱりわからないが、他国のチームメンバーも『五月雨模型店』の面々も驚愕している。
「え、何アレ」
「用意していたのでは?」
「し、知らないです……!」
 もしかしたら、と『五月雨模型店』の面々は思った。

 もしかしたら、これは何かホビーアニメの上映会とかそんなものじゃないのかと思ったのだ。フェスとかでよく見る皆が知っているからこそ大盛りあがりになれる映像を流すことによって、心の垣根をなくそうっていうロニの粋な計らいなのかと思ったのだ。
 だが、現実は違うのである。
「そう! これはホラー映画だね! デートに誘う時もホラー映画見るでしょ!」
 ばーん!
 ロニのユーベルコードがその場にいた面々の全ての心に問いかける。
 夏!
 夏の夜! 観るのはやはりホラー映画である。暑苦しい、寝苦しい夜も、ホラー映画を見ればばっちりひんやり!
 そうだとも! そうでなくてはならないと言わんばかりにロニは神心(ゴッドウィル)でもって問いかけるのだ。

「やっぱり夏の夜に観るのはホラー映画だよね! ね!」
「いや、違うだろ!?」
「ここは違うはずです。どう考えても!」
「ひ、ひぇっ……怖いのいやです……!」
「流石に! ここは! 自重して頂きたい!」
 そんな面々の言葉にロニはにっこり笑む。
 彼は神である。神とは人におもねることを知らない。ならば、その先にある結末など言うまでもない。
「みんな!」
 にっこり。
「飲み物とポップコーンは持ったね? そして、今の映画ひどかったねって言う準備はオーケー?」
 待て待て、とみんなが口々に言うが、ロニは取り合わなかった。
 グリモア猟兵もやめさせようとしているが、ロニの野外劇場スクリーンのカウントダウンは止まらない。

 そう、ご意見無用! それがロニっていう神性なのである。
「じゃあ夏の夜のホラー鑑賞大会はじまりはじまり~♥」
 やめろー! と誰もがロニを止めようとしたが、超人アスリートひしめく世界にあってもロニを誰も止めれれず、キャンプ場にホラー映画の阿鼻叫喚たる悲鳴が上がるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【サージェさんと】

他の国の代表チームの人とお話し?

みんなも代表だもんね。そういうのも大事かー。
今夜は『フィーア』さんとたーっくさんお話しして、
噛み噛み成分補給しようと思ってたんだけど、しかたない!

うん、だいじょぶ!お邪魔なんてないと思うよ!
『フィーア』さんの噛み噛みは、邪魔どころかうぇるかむっていうか、
ないともうものたりないっていうか、くせにな……アッ、ハイ。

えっと。

うん、だいじょぶ!(テイク2)
きっと向こうもお話ししたいと思うし、思い切っていってみるといいと思うよ!
挨拶さえしちゃえば、あとはなんとかなるなる!

みんなを見送ったら、こっちはナイアルテさんの撮影会だね!
ファンクラブの会報に載せる写真と動画、撮っておかないと!

ひととおりはしゃいだ後は、ゆっくりお話♪

いつもあぶないことして叱られたりしてるけど、
ナイアルテさんが好きなのは、サージェさんもわたしも本気だからね!
年に1回くらいはのんびりもいいよね。

グラップラーナイアルテさんの関節技とか絞め技とか、
ちょっとご褒美かな、とは思うけど!


サージェ・ライト
【理緒さんと】
ふむふむ
確かに交流は大事です
しかし普段存在感を消しているクノイチとしては
最低限のことしかできなさそうです
ここは理緒さんにお任せ……して大丈夫かなぁこれ?

はーい、水着褐色シスターズが取り締まりしますよー
ふふ、理緒さんお忘れですか
|夜になれば《3章になれば》
ナイアルテさんが|自由になる時間《登場できる可能性》が増えるのです!
つまり、手錠じゃすまないのでほんとに落ち着きましょうね
この人のぱんち、吹っ飛ぶ可能性ありますからね??
実はグラップラーですからね?

テイク2ってなに

じゃあこう考えましょう
交流とかではなく、まだ見ぬ強敵に会いに行くのです
それは今後のプラクトの戦いにきっと強い力をもたらしてくれるでしょう
まぁ失敗したところで敵なので倒せば大丈夫大丈夫
え?ダメ?
ではツヴァイさんの魅力で落としましょう

ところで全然話は変わるのですが
ナイアルテさんのスリーサイズ……アッハイ
水着、パイロットスーツみたいでカッコいいですね!
そういえばナイアルテさんのキャバリアって何で9番なんです??



「ふむふむ」
 確かに、とサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は『五月雨模型店』の面々が、このキャンプ場に集った他国の代表メンバーと交流を持ちたいと願う気持ちに理解を示すことができた。
 交流というのはいつだって大切なことである。
「わかりますとも。だって、同じ好きな者同士なのです。やっぱり語り合いたい。でも、相手との間にある差異に苦しむのもまた人というものです」
 うんうん、と痛し痒しな状況にサージェはふかーく頷くのだった。
「しかし、普段存在感を消しているクノイチとしては、最低限のことしかできなさそうです」
 クノイチなので。
 忍んでいるので、とサージェは深く頷いていた。
 誰も同意してくれなかったことに、サージェはちょっぴり傷ついたけど、まあ、それは些細なことである。
「些細ではなくないです?!」
 はい、メタの壁ぶち抜いてこない。
「でも、みんなも代表だもんね。こういうのって、『プラクト』だけじゃなくて人生においても大切なことだよね」
 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は本当なら『フィーア』と今夜はテントで語り明かして、噛み噛み成分をたっぷりと補給しようと思っていたのだが、そういう事情ならば仕方ないと納得していた。

「うん、だいじょぶ! 置い邪魔なんてにと思うよ!」
「でも、やっぱり……」
「『フィーア』さんの噛み噛み具合は、じゃまどころかうぇるかむっていうか、ないともう物足りないっていうか、癖にな……」
 ジトッとした視線を受けた。
 誰にって、褐色のグリモア猟兵に、である。
 じっと見られている。
 ジリジリとした視線の圧を理緒は感じたことだろう。
「……アッ、ハイ」
「理緒さん、お忘れですか。|夜になれば《三章になれば》ナイアルテさんが|自由になる時間《登場できる可能性》が増えるのです!」
 サージェの言葉は容易にメタの壁をぶち抜いてくるが、ルビなのでセーフである。いや、そんなわけない。アウトに決まってんでしょうが。

「つまり手錠じゃ済まない可能性が微レ存です! いえ、本当に落ち着きましょう! あの人のパンチって華奢に見えて、人が普通に吹っ飛ぶあれですからね!? 実はグラップラーですからね!? 地上最強の生物とか言われる人の血筋だったりするのかもしれませんからね!?」
 背中に鬼の形相が現れるかもしんないしね。
「えっと」
 理緒は頭を振って、まるで今までのやり取りがなかったかのように、にこやかに『フィーア』に向き直る。

「うん、だいじょぶ!」
 テイク2である。
 なんだテイク2って『フィーア』は思ったし、それで今までのがなかったことになるほどリセット世代ではないのである。
「え、えええっ!?」
「きっと向こうもお話したいと思うし、思い切って言ってみるといいと思うよ!」
「テイク2ってなに、なんです?」
「挨拶さえしちゃえば、あとはなんとなかるなる!」
 押し切った理緒。
 テイク2とはなんぞや、というのを一切説明しないで理緒は『フィーア』の背中をぐいぐい押していく。

 其のやり方は強引であったかもしれない。
 けれど、別に間違っているわけではない。彼女が言ったように世界は、そこまで厳しいものではないのだ。
 時に厳しく思えることがあるのだとしても、世界はもっと優しいのだってことを知るべきなのだ。
 だからこそ、理緒は『フィーア』たちの背中を押す。
 そんなにおっかなびっくりでなくってもいいのだと。
「そうですよ。何も畏まって『交流』と考えるのではなく、まだ見ぬ強敵に会いに行くのです。それはきっと今後の『プラクト』の戦いにきっと強い力を齎してくれるでしょう」
「でも、ですね……やっぱり気後れしてしまうのです」
「まあ、失敗したところで敵なので倒せば大丈夫大丈夫」
「脳筋が過ぎませんか!?」
『ツヴァイ』の言葉にサージェはにっこりと微笑んで見せる。その微笑みの意味がわかんない、と『ツヴァイ』は思ったことだろう。

「やればなんとかなるって意味ですよ。ダメ?」
「なんか良いこと言って締めくくろうとしていませんか!?」
「じゃあ、最後は『ツヴァイ』さんの魅力で落としましょう」
 だからそれが無理って言う言葉を飲み込ませてサージェも彼女を送り出す。失敗したっていいのだ。
 それくらいの気軽さでいいのだと言うことを伝えたかったのだ。
 送り出した彼らは徐々に環に入っていくことだろう。
 失敗も成功も、多くのことを教えてくれる。だから、今は自分たちがいる。成功して慢心するのだとしても、失敗して心折れるのだとしても。
 それでも自分たちが支えるという意志がある限り、彼らがくじけてそのままとうことはないのだ。

「行ったね、みんな」
「ええ、立派なものです。自分で考え、自分で何かをしようとしていますからね」
「さて」
「さて」
 二人は振り返る。
 其処に居たのはセーラー服水着のグリモア猟兵であった。
「ここからはナイアルテさんの撮影会だね! ファンクラブの会報に載せる写真と動画をね!」
「ええ! ナイアルテさんのスリーサイズって去年と変わらないんですか!?」
 理緒とサージェは背後に控えていたグリモア猟兵にぐいぐいと迫る。
 めちゃくちゃ圧がすごい。
 なんていうか、さっきまで発していた圧をものともしない位にぐいぐいきているのだ。

「おかしくないですか!?」
 彼女の言葉も二人には届いていない。いや、届いてはいるが、それよりもなんていうかグイグイ来るのがすごい。
 どうなってるんだ。
「スリーサイズ! スリーサイズ!」
「サージェさん」
 にこし。
 それ以上は駄目です、と言うようにグリモア猟兵の瞳が言っている。なんかハイライトが消えているような気がする。毎日お菓子食べてるからね。仕方ないね。

「アッハイ」
「でもでも気になるよねー! 本当の所どう…‥って、あ、痛い痛い!」
 理緒に掛けられる関節技。
「それ以上いけない」
「いつもいつも危ないことしているからです。今日という今日はお仕置きします」
「あっ、でもこのお仕置きもちょっとご褒美かなって、思って、あ、いたたたたたっ!」
 二人の様子をみて、サージェはいいなーって思わないでもなかった。
 お仕置きとご褒美がイコールになっているのは、なんていうか、傍からみたらちょっとやばいなって思わないでもなかったけど。
 でもまあ、サージェは自分が掛けられなくてよかったな、と思いながら、じっとりとグリモア猟兵の水着姿を見つめている。
 
「パイロットスーツみたいでかっこいいですね!」
 あ、とそれでサージェは思い出した。
「そう言えば、ナイアルテさんのキャバリアって何で『第9号』なんです?」
 グリモア猟兵は理緒に関節技を掛けながら首を傾げる。
 彼女も由来を知らないようである。
「なんででしょう? 私の名前にも由来があるのでしょうか」
 ナイアルテ――『|9《ナイン》ALT』。
 それが完成されたフラスコチャイルドの型式であるというのならば、その数字に意味はあるのか。
「あああっ、もうちょい右がいいかなーって」
 そんな思索を打ち切るみたいに理緒の、なんていうかお仕置きならぬご褒美を受ける歓声めいた声がキャンプ場の夜に響き渡る。

 騒々しくも賑やかな。
 そんな夏の夜は子供らの成長と輝く未来という明日を示すように、ゆっくりと夜明けを示すように空を染めていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年08月13日


挿絵イラスト