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【合宿】夏と言えば水泳……だ?

#コイネガウ #初年度の八月分シナリオ #合宿 #プレイング受付は8/11(金)の午前8:31からです。

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#コイネガウ
#初年度の八月分シナリオ
#合宿
#プレイング受付は8/11(金)の午前8:31からです。


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●注意
 当依頼は、PBWアライアンス『コイネガウ』からのシナリオです。
 PBWアライアンス『コイネガウ』の詳細を以下でご確認お願いします。
 公式サイト:(https://koinegau.net)
 公式総合旅団:(https://tw6.jp/club?club_id=4737)


「季節は夏、ということで学園から合宿を頼まれたので、海で水泳をしてもらいたいと思います」
 港に集まってくれた生徒達を前に錫華がそう宣言すると、生徒達から嬉しそうな声があがった。やはり夏と言えば海水浴。しかも合宿となればテンションがあがらないわけがない。

「先生、水着の指定とかはあるんですか?」
 集まっていた生徒の中の一人が、勢いよく手を上げてそう聞くと錫華は、
「んー、水着は……」
 ちょっと考えた風の錫華の仕草に、生徒達から「やっぱり指定水着なのかな」と、少し残念そうな息が漏れる。しかしその後に続いた言葉は、集まっていたみんなの考えとはちょっと違うものだった。
「キャバリアならなんでもいいよ」
 その場にいた全員が一瞬固まった。
「あ、気密作業も準備運動のうちだからね」
 いたずらっぽく言う錫華に、「そういう『水泳』かよ!」と理解しつつも、さらに大きなため息がその場を包んだ。


「まぁ、そういうこと」
 錫華はあらためて向き直ると、
「種類や数は少ないけどキャバリアにも水陸両用はあるし、なにより戦闘は地上と空中だけとは限らない、海での戦闘を強いられるときもある」
 先ほどとは打って変わった真剣な顔でそう告げた。

 海上や海中でのキャバリアの運用はたしかに少ない。とはいえ、全くないわけではないし、その状況になったとき、経験があるかないかというのは大きな違いになるはずだ。

「そんなわけだから、今回はキャバリアで海の中にある目標を撃破してもらうよ」
 撃破目標は多目的水中ドローン【ケートス】。

 キャバリアは学園のものをレンタルして使ってもいいし、自分の機体を持ち込んでもでもかまわない。ただ水陸両用でないなら、気密作業をしっかりしたり、海での作戦ということを考慮しての装備や武器の選択なども考えなくてはいけない。
 ちなみに学園のキャバリアは水陸両用ではないので、海仕様への換装が必須になる。

「今回の合宿いちばんの目的は、海の中でのキャバリアの動きを経験しておくこと。だから目標は単純な回避運動しかしないよ。でも攻撃もしてくるから、油断はしちゃダメだからね」

「それでも、せっかくの海での合宿だからね。実習の時間外は自由時間にするし、生身とキャバリア、どちらでも泳げるようになっておくといいんじゃないかな」
 錫華はめずらしく笑顔を見せながら言ったのだった。


すい

 ここまで来てくださりありがとうございます。MSのすいと申します。

 今回のシナリオは、【合宿】の共通題名で括られるシナリオソースのシリーズで、コイネガウ暦20X3年8月の夏休みにおける合宿の物語となります。
 なお、各MSによるシナリオはどれも内容が独立している為、重複参加に制限はありません。

 夏と言えば合宿、合宿と言えば海。ということで、今回は学園を飛び出しての合宿になります。
 内容は普段の実習などでは陸上での運用が多いキャバリアを、海で運用することを想定しての実習です。

 撃破目標は【ケートス】。
 AIコントロールの水中用ドローンで、海中に潜んでいますので、海上もしくは海中を進んで、目標を発見・撃破してください。

 キャバリアは学園の実習機ならば【スプリガン】。もちろんご自身のものでもかまいません。
 ただし【スプリガン】は基本的に陸上仕様ですので、海での運用を想定してカスタマイズしてください。パーツなどは自由に装着していただきまして大丈夫です。

 【スプリガン】の詳細は、【事前課題】キャバリアを動かそう!
 (https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=47576)
 こちらを参照していただけますともう少し詳しく解るかと思います。

●POW
 とにかく動き回ってしらみつぶしで探索・撃破。

●SPD
 潜んでいそうなところを予測して探索・撃破。

●WIZ 
 装備をフル活用して探索・撃破。

 プレイングボーナスは、水中での装備や作戦を練る、です。

 合宿といっても日常系で海でのキャバリアの動きを経験することが目的なので、あまり気にすることなく、自由に動いていただけましたら、と思います。

 それと『日常系シナリオ』ということもありまして、NPCとの行動も可能となっています。もしプレ内でリクエストがありましたら、錫華もサポートしますのでお声がけください。なにもなければ、錫華は【ケートス】の準備をしているでしょう。
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第1章 日常 『プレイング』

POW   :    肉体や気合で挑戦できる行動

SPD   :    速さや技量で挑戦できる行動

WIZ   :    魔力や賢さで挑戦できる行動

イラスト:YoNa

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

コニー・バクスター
【鬼兎】

「今日は合宿で八重子と水中訓練だね!
 コニー、頑張る☆」
 合宿には水中仕様に換装した愛機のBRRで臨むよ。
 海なので学園のスクール水着を着用。

「わ、ケートスがいっぱいいるね!?
 八重子、前衛は任せた! コニーは援護射撃っ!」
 水中に潜ると勢揃いのケートス相手にBRRで機動戦を挑む。
 コニーのBRRはUCで攻撃回数5倍、装甲半分に変換。
 キャバリアライフルの連射で後方からケートスを撃ち抜いて援護。

「さて、勝利の味を食べるか☆
 はぐはぐ……八重子? 希島産の焼貝、美味しいね!」
 訓練完了のコニー達は砂浜に上がって蛤を捕獲するよ。
 BBQで焼いた貝を共に味わい今後の希島での親交を温めるのだ。


天雫・八重子
【鬼兎】

「今日はよろしくね!コニーちゃん!いろいろ初めてで楽しみなのだよ〜!」
学校からコニーちゃんと同じ機種のBRRを借りて訓練に挑むよ!
服装は例の宇宙人風に虎柄ビキニを着用。

「前衛了解なのだよっ!暴れまくっちゃうからね〜!」
いやー、八重子さんキャバリア動かすの初めてなのだよね。
えいむ?とかそういう力はないから前衛をさせてもらうよっ!

久遠の草笛を吹いてその辺にいたイルカと連携してケートスをBRRの蹴りで撃破していくよ!
ヘイト管理もしっかりしないとね!鬼の底力、思い知らせてあげるのだよっ!

「かい…うま…」
訓練後には潮干狩りからのBBQでコニーちゃんと交流を深めるのだよ!




「今日は合宿で八重子と水中訓練だね!」
 コニー・バクスター(ガンスリンガー・ラビット・ガール・f36434)は金のツインテールを揺らして、ぐぐっと拳を握りしめていた。スクール水着のフィット感がハンパない。
 そしてその隣では、
「コニーちゃん! 今日はよろしくね! いろいろ初めてで楽しみなのだよ〜!」
 長い白髪を日に弾かせた天雫・八重子(秘密と恨みの二本角・f36978)が楽しそうに笑っている。こちらは虎柄ビキニをセクシーに着こなしている、のだが……「だっちゃ」とか言っちゃダメだからね。絶対。
 2人の|キャバリア《水着》は、この合宿用に水中仕様へと換装した|BRR《ブラック・ラピッド・ラビット》。そして本人たちの衣装もしっかり水着だ。
 キャバリアに乗ってしまうのでコニーと八重子は水着を着なくてもいいのだが、これはやはり合宿テンションになるためと、あとのお楽しみにスムーズに入っていくためには重要なことなのだろう。


 夏の合宿自体は楽しいものだけれど、訓練が始まればそこは2人とも猟兵だ。それまでの砕けた表情とは違う真剣さが瞳に宿る。
 2人は機体の最終チェックを終えると、軽くハイタッチをしてから|BRR《ブラック・ラピッド・ラビット》に乗り込み、さっそく出撃していった。

(地上とまったく違う――)
 コニーは水中に潜ってみてはじめてその異質さを実感していた。
 各部の動作が重しを付けられたように鈍く、移動速度も普段の2/3も出ていない、しかも波や浮力で移動にすら気を遣わなければならないのだ。
(これが訓練の狙いか。たしかに経験しておいて損はないね)
 とはいえ、キャバリアには慣れている自分でもこうなのだから……。
「八重子、大丈夫そう?」
 キャバリア操縦の経験はあまりないだろう八重子が心配になって、コニーが通信回線を開く。
「いやー、八重子さんキャバリア動かすの初めてなのだよね」
 なぜかちょっと照れた感じで八重子は答えた。コニーが一瞬言葉を失う。
 初キャバリアで水中。なかなかのレアケースだと思った。
 でも逆に操縦には慣れやすいかもしれないともコニーは思う。なまじ地上での動きに慣れている分、自分のほうが戸惑いが大きいような気がしたのだ。
 そして実際そうだった。八重子ははじめてのキャバリアなだけに、操縦に対する違和感がない。『こんな動きなのか』と思うだけだ。知らないことが強みになることもたまにはある。
 それなら八重子に前に出てもらったほうがいいかも――。

 そう思ったとき、2人の|BRR《ブラック・ラピッド・ラビット》のレーダーに反応があった。おそらくこれが目標だろう。
「わ、ケートスがいっぱいいるね!?」
 レーダーに写る光点の多さにコニーがちょっと驚く。正直、訓練で良かったと思う数だ。
「よーし、八重子、前衛は任せた!」
 コニーは援護射撃っ。と、戦闘用の回線に通信を切り替えて、コニーが作戦を伝えて射撃の体勢に入ると、
「前衛了解なのだよっ!暴れまくっちゃうからね〜!」
 八重子もそれに答えて|BRR《ブラック・ラピッド・ラビット》をケートスに向けて進ませると、取り出した草の葉を口に当て、そっと息を吹いた。吐息は振動となり、振動は音に、そして音は旋律となって外部スピーカーを通して水中に響いていった。

 その音にケートスのセンサーが反応した。振動波をトレースし、音の発生源を突き止めたケートスが八重子機へと一斉に船首を向けた。
 八重子は迎撃の態勢を整えようとするも、水の中の機動ではケートスに分がある。全速を出せない|BRR《ブラック・ラピッド・ラビット》が制御に手間取る中、|水中推進装置《アクアユニット》を噴かし、その機体を確保しようとアームを伸ばしたケートスの横を、二筋の黒い影が横切った。影は横切りざま尻尾でケートスを弾き飛ばし、
「「キュイ、キュイ!」」
 八重子機を守るように、その両側に陣取った。

 八重子の草笛の音に呼ばれて姿を現したイルカは。やる気十分という感じだった。ケートスが水中用ドローンだといっても、イルカの動きにはとても敵わない。
 二頭のイルカはこちらに向かって殺到してくるケートスの間を縫うようにすり抜け、攪乱し、態勢が乱れて隙のできたケートスを、八重子の|BRR《ブラック・ラピッド・ラビット》の強烈な蹴りが静めていく。
 そして態勢の乱れたケートスは、コニー機のいい標的でもあった。
 ケートスをロックしたコニーが、連射タイプに換装されたRSロングレンジライフル(Code:BRR)の引き金を引く。
 水の抵抗で弾速が格段に遅い。地上ならあり得ないことだが、回避される可能性すらありそうだ。
 しかしそれは計算のうち――。
 コニーの指が立て続けに2度引き金を引いた。相手の回避運動を計算しての三連射。その三発目の弾丸が見事にケートスを撃ち抜いた。
 イルカの機動力による攪乱と、近遠2機の|BRR《ブラック・ラピッド・ラビット》の破壊力に、集まっていたケートスが次々にその動きを止めていく。やがて全ての目標を沈めきると、八重子は草笛で、コニーは|BRR《ブラック・ラピッド・ラビット》の耳を振って感謝の意を示し、戦友に別れをつげたのだった。


 戦い終えて日が暮れて、2人と浜辺を包んでいるのはこんがりと香ばしいお醤油の匂い。ぽわぽわと赤い七輪の熾火の上には、獲れたての大ぶりの蛤が並んでいる。
 「さて、勝利の味を食べるか☆」
 ぱっかん。音が聞こえるくらい豪快に弾け開いた蛤から零れた汁が、七輪の網に落ちて焦げ、なんともいえない香りが周囲を満たした。
 コニーと八重子がそれぞれに蛤を手に持ち、はぐっとその身にかぶりつく。
「八重子! 希島産の焼貝、美味しいね!」
 口の中に弾ける潮の風味と貝のうまみ。コニーが思わずほっぺをおさえて微笑んだ先に、
「かい……うま……」
 瞳を明後日の方向へ飛ばして、貝の身を咥える八重子がいた。
「八重子!? 貝だよね!? 美味しいんだよね!?」
 コニーが慌てて貝を飲み込み、八重子の肩を掴んで揺すった。
「かい……うま……」
「八重子ー!!??」
 冗談か本気か解らない八重子のリアクションにさらに戸惑うコニーだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

多倉・こころ
「へーぇ、キャバリアの実習かー♪
チャンネル登録者数かせげそうだねっ☆」

今回は海での合宿を生配信だよっ!
けど、ただ配信するだけじゃつまらないよね☆

【闇魔法コンボ】で魔法をカード化して、と。

「ねーねー、錫華せんせー、こころと模擬戦しよーよ!
もちろん、ただの勝負だとつまらないから、
模擬弾が当たった部分の服が溶けるっていう条件で、ね☆」

【シチュエーション・ワールド】のカードでそういう条件の世界に作り変えるよ♪

にししー、クール系ナイスバディの錫華先生は学園内どころか希島にたくさんファンがいるんだよね。
この前、キャバリアの大会でも目立ってたし!

錫華先生は挑戦を断る性格じゃないし「錫華先生が負ければヌード!」って企画の生配信……これは絶対バズるよね!

もちろん、こころが勝つのが前提だけど、そこは【物質転移魔法】のカードで先生の機体から重要パーツを抜き取っておいたから大丈夫!

「いざ、勝負だよっ☆」

って、なんで重要パーツないのに普通に戦えるのっ!?
機体を蜂の巣にされて、全裸を生配信されちゃった……。くすん。




「へーぇ、水泳って聞いてきたけど、キャバリアの実習なのかー♪ でもこれはこれでチャンネル登録者数かせげそうだねっ☆」
 学園の水泳合宿があることを聞きつけ、これはいい機会と話を聞きに来ていた多倉・こころ(悪に堕ちた魔法少女にして動画配信者・f41182)は、琥珀色の髪を揺らして首を傾げた。
 水着回は数字を稼ぐチャンスと思っていたのだが、予想していたのとちょっと違う。とはいえ、これはこれでやりようによってはバズらせられるかもしれない。

「よし! 今回は海での合宿を生配信だよっ!」
――けど、ただ配信するだけじゃつまらないよね☆
 こころはにへっと笑うと、瞳を輝かせ、いそいそと魔法をカード化していくのだった。


「ねーねー、錫華せんせー、こころと模擬戦しよーよ!」
 こころは監督に来ていた錫華を捕まえると、開口一番そう切り出した。
「模擬戦? わたしと?」
 錫華がかくん、と首を傾げると、
「そう、模擬戦! 錫華せんせーと!」
 こころが元気よく答えた。
 錫華がふむ、と考える。
 今回の目的は、水中でのキャバリアの動きを経験することだ。模擬戦とはいえ戦闘するとなると、ケートス相手よりはリスクが高くなってしまう。
 とはいえ錫華にはもちろん水中戦の経験もあるし、それなら自分がうまくリードすれば水没のリスクは抑えられるだろう。武器も、ゴム弾や模擬刀を使えば危険はないはずだ。
「まぁ、いいけど……そうなると武器とかも模擬戦用のものになるけど構わない?」
 そう聞きかえす錫華に、こころは元気よく頷くと
「もちろん! あ、でも、ただの勝負だとつまらないから、攻撃が当たった部分の服が溶けるっていう条件で、ね☆」
 そう言って、めいっぱいの笑顔を見せた。
 その笑顔だけみれば天使なのだが、錫華にしてみれば、うまくハメられたと言わざるを得ない。かと言って、いちどおっけーしたものを翻すのもなんとなく気分が悪かった。錫華は小さくため息を吐くと、
「恨みっこなしだよ?」
 そう言ってひらひらと手を振って、自分の乗るキャバリアのチューンに向かった。

 ここまでは想定通り。
 錫華は挑戦を断る性格じゃない。だからいちどおっけーをもらってしまえば、あとから『錫華先生が負ければヌード!』って企画の生配信だと解っても、それをなしにはしないだろう。
 つまり、おっけーをもらってしまえばこっちのもの。この考えは、間違っていなかったのだ。

 こころは自分の目論見がぴったりハマったことに、にししーっと笑みを浮かべていた。

 そしてしかもこの前のキャバリア大会あたりから、錫華にはファンが増えているのだ。確かな実力。さばっとクール系な性格。そしてなにより、隠しもしないナイスバディ。
(ヌードだけでも数が見込めるのに、それが錫華先生なら、これは絶対バズるよね!)
 こころの中で、カウンターがすごい早さで回っていく。

 しかしそのためにはこころが勝つのは大前提だ。だからもちろんそのための準備は怠らない。自らのユーベルコードを込めたカードを握りしめて、こころはまた、にしししし、と妖しげな笑みを浮かべた。


 水中用に換装された2機のスプリガンが、半身を水に浸けて向かい合う。
「錫華せんせー、それじゃいくよー♪」
 コックピットから身を乗り出したこころが手を振ると、撮影用のドローンがこころ、錫華、2人のコックピットに配置される。
 そしてさらに、こころが一枚のカードを上空に放り投げると、カードから溢れた光が、模擬戦の指定範囲内を覆っていった。
 光の内側が特定のシチュエーションを含んだ世界に書き換えられていく。その内容はもちろん『攻撃が当たった部分の服が溶ける』だ。これで準備は万端。あとは錫華を脱がすだけである。

 状況が整ったのを確認した2機のスプリガンが水中へと潜っていく。
 機体が完全に水中に没し開始位置についたのを確認すると、合図のサイレンが高らかに鳴った。
「いざ、勝負だよっ☆」
 こころがペダルを踏み込むとスプリガンがゆっくりと動き出す。地上とは違い、水の抵抗を受けながらの動きは、スピードが出すぎない分キャバリア初心者のこころには操縦しやすい感じだった。しかもコックピットからの操縦感や視界は、3Dのゲームに似ているところが多々ある。
 こころは操縦桿とペダルでスプリガンの動きを確かめると、アクティブソナーを打って錫華の位置捉えた。
 レーダーに写る光点を見て、こころがにしーっと笑うと、水中銃の照準を光点に合わせて引き金を引くと、散弾が泡と軌跡を引いて錫華のスプリガンへと向かっていった。

 対する錫華もソナーを打たれたことで、攻撃を察知していた。
 アクティブソナーは相手の位置を捉えることができるが、ソナーを打たれた相手にもそのことを知らせてしまう。つまりは、攻撃しますよ、と予告しているようなものなのだ。しかも攻撃側の大まかな位置も相手に知らせてしまうことになる。
 錫華は逆探知でこころの位置を割り出すと、撃ち出される弾道を予測して機体を回避コースへと乗せる――はずだった。
(動きが……?)
 錫華は思い切り思い切りペダルを踏み込んだはずだが、水中での抵抗を考えてもスプリガンの反応は鈍かった。これでは弾道予測ができていたとしても躱すことができない。
 ごんごん、と散弾の弾が当たる音がコックピットに響いた。錫華のブラウスとマフラーが消えて、豊満な膨らみが露わになり、揺れる。

 配信されているコックピット内の様子を見て、こころにはオーディエンスの雄叫びが聞こえた気がした。実際に聞こえてはいないが、カウンターの上がり方から見て盛り上がっているのは間違いないだろう。
「このまま錫華せんせーを剥いちゃえば、伝説も夢じゃないね!」
 伝説の前に『全裸はBANじゃないのか』という意見もあるが、BANされたとしてもアカウントなんてまた作ればいい。伝説級の配信をすれば、視聴者はついてきてくれる。
 そう思い、こころはカードを構え直した。
 これがこころの切り札。水の中に潜ってから物質転移魔法を封じ込めたカードを起動して、錫華のスプリガンから水中移動用のパーツを抜き取ったのだ。これで錫華は動けない。
 いくら錫華が凄腕でも、キャバリアが動かなければ的になるしかない。しかもこちらは散弾。こころがキャバリアでの射撃に慣れていなくても、これなら外す方が難しい。
 それにしても、と、こころは思った。胸が丸見えのまま配信されていることは解っているはずなのに、錫華の両手はしっかりと操縦桿を握ったままで、隠そうという動きが見えない。
 こころ的には、もうちょっと恥じらってもらえればギャップにカウンターも爆上がるのではないかと思うのだがしかたない。それはここからのお楽しみということにすればいいだろう。
「さー、どんどんいくよ☆」
 こころが再度引き金を引いた。散弾がまた錫華に向けて放たれていく。
 次はどこが消えるかな? こころはそう思ってモニターを眺めるが……。
(あれ?)
 こころは首を傾げた。先ほどの感じだとそろそろ弾が当たっていい頃のはずなのに、錫華の服が消える気配がない。

 直後――。ごんごんごんごん。こころのスプリガンが直撃弾に揺れた。
「えっ? うそ? なんで? どうしてー!?」
 ケープとワンピースが消え、ストッキングに穴が空いていく。最後に帽子が消えると、琥珀色の髪がふわりと零れて顔をくすぐる。
 手袋とブーツだけ、というマニアックなスタイルでコクピットのシートに座るこころが画面に写ると、今度はほんとうにオーディエンスからの雄叫びが聞こえた。
 こころは慌てて両手でアブナイところを隠すと、真っ赤になりながらシートに縮こまる。
「な、なんでわたしが撃たれてるの!? 錫華せんせー動けないはずなのに!」
 こころの疑問に、錫華が通信で答えた。
『わたし自力では動けなかったからね。最初の被弾の時に動力を切って、そのまま水の流れに乗せてもらったんだよ』
 錫華がこともなげにいう。
『それにこころ。あなた、わたしが動けないと思って自分の位置変えなかったでしょ? だからこっちは簡単に狙えたよ』
 戦場では動きを止めてはいけない。地上でも水中でもこれは鉄則である。動きを止めれば的にされる。圧倒的優位にあると確信していたこころは、その鉄則を忘れていたのだ。
 しかも相手が錫華である。戦闘における引き出しの差も大きかった。
『試合終了、でいいよね?』
 錫華からの通信に、涙目でこくこくと頷くこころ。
 それまでの元気っ娘とは違うこころのギャップとあられもない姿に、さらにカウンターが爆上がりしていったのは言うまでもなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

彩波・いちご
まずは合宿課題から
私のキャバリア(邪神の眷属の変化)を召喚
海ならどんな形状かといえば…ほぼカニですね?
ハサミみたいな腕に脚もない形状…水中だからいいんでしょうけど

海中で撃破していきましょう
クロー開いたら飛び出す魚雷!高速潜航から近づいてのクロー格闘!
トドメはクローで挟み込んでの零距離魚雷!

クリア後は、せっかくの海なので普通に錫華さんと遊べたらなと!
錫華さんとはなかなかこういう機会もないですし…だいたい私のせいですけども

水着姿の錫華さんとのデート
海で一緒に泳いだり水遊びしたり
BBQ焼いて一緒に食べたりと、のんびり2人で過ごせたらいいですね

…えっちなとらぶるが今回はないといいですけど(フラグ?




『水泳合宿』と聞いて、きゃっきゃうふふなレクリエーション的なものを期待してきたのだが、錫華の説明を聞いてみれば、なかなかに尖った『水泳』である。
 とはいえせっかくの夏合宿。しかも課題さえこなせばあとは自由時間ということなら、楽しめる可能性は高い。それにキャバリア的な依頼の経験も積むことができるというならいいことづくめかもしれない。
 彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)はそんなふうに思うと、それならまずは課題のクリア、と、青い瞳を輝かせ、
「ふんぐるいふんぐるい……」
 異界の扉を開くとキャバリアを喚び出した。

 がっちりとした平たい胴にそこから伸びた小さな足。そして抜群の存在感を放っている右手の巨大なハサミ。
「海ならどんな形状かと思えば……」
 いちごもどこかでみたことがある。それはたしかシオマネキというカニにそっくりだった。
「ほぼカニですね?」
 つい口に出して呟くと、胴体がぱかっと開いてコックピットが見えた。どうやらキャバリアではあるらしい。
 陸上での機動性には疑問が残るが、水中ならば問題ないのだろう。きっと。それにこの巨大なハサミの攻撃力はかなり凄そうだ。
 いちごはそんな風に自分を納得させると、コックピットに潜り込んで水中へと出撃していくのだった。


 結論から言えば、カニは強かった。
 水中でのキャバリアの動作を確認する訓練だったのだが、そこは元から水中仕様。動きにはなんの問題もないどころか、やはり陸上よりも機動力は上がっており、水中用ドローンであるケートスを凌ぐほど。
 そして攻撃力においても申し分なかった。左の小さなハサミに仕込まれた魚雷は連射の効く優れもので、放たれた魚雷の弾幕がケートスの防御線を易々と突破すると、そのまま巨体を生かした高速潜行から、格闘戦に持ち込んで巨大なクローで一撃。明らかなオーバーキルの攻撃力でケートスを文字通り粉砕した。
 そこからさらに魚雷で追い打ちを……と思ったところで、
『はいそこまで。終了ー』
 錫華からの通信が、訓練の終了を告げた。

「いちごさんは状況に合わせたキャバリアを喚べるみたいだし、それならいいかなって」
 帰ってきたいちごに錫華は頷いた。
 今回の合宿の目的からいっても、水中で問題なく運用できるキャバリアを用意できるなら合格、ということになる。

 ということであとは自由時間だから。そう言って立ち去ろうとする錫華をいちごが呼び止めた。
「錫華さん、それならいっしょに遊びませんか?」
 

 いちごの提案に、錫華はちょっと考えてからおっけーをしたのだが……。
「ねぇ、わたし水着になる必要あるのかな?」
 深緑色のビキニに身を包んだ錫華が、不思議そうに呟くと、
「もちろんです。そこ、とても重要です」
 いちごはしっかりと錫華の目をみつめてそう言い切った。
 たしかに露出的に言えば普段の錫華とそう変わらないと言えなくもない。だがしかしここは海なのだ。水着であることが大事なのである。
「ということで、いきましょう!」
 いちごは、そこの反論は受け付けません、という勢いで錫華の手を引くとビーチへとエスコートしていった。
 季節的にもうぎりぎりの海は泳ぐにはちょっと遅かったけれど、砂浜や波打ち際で遊ぶ分にはまだまだ十分だ。

 ビーチボールや砂の城、そしてごはんにはバーベキューと、一通り遊び尽くすころには、辺りはもう薄暗くなっていた。
 今日の締めくくりにと立ち寄った海辺のカフェで飲み物をオーダーすると、錫華がいちごの隣に座った。
 ちょっとびっくりしながら不思議そうに錫華を見たいちごの前に、カップルジュースが運ばれてくる。
「ま、ちょっとしたご褒美とお礼ってやつかな」
 錫華がぎゅむっと胸を押しつけながら、2本のストローのうち1本に口を付けると、いちごももう1本のストローを口に咥えた。
 こくり、と喉を鳴らして2人はジュースを一口。
 錫華はそのままいちごの腰に手を回して抱きよせ、さらに身体を押しつけると、ぎこちなく肩に手を回して照れるいちごを見て楽しそうに笑うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年09月07日


挿絵イラスト