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甦る吸血鬼艦隊~交わる異界の|機械兵士《ゾルダート》~

#シルバーレイン #獣人戦線 #吸血鬼艦隊 #決戦

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「このわたくしが再び『吸血鬼艦隊』を率いることになるなんて、これも何かの縁かしら」

 洋上に浮かぶ大艦隊の中央、大型戦艦の艦橋上に築かれた『城』から、その女は自らの戦力を眺めていた。
 赤と黒改め、闇の淑女オクタンス。かつて銀誓館学園との戦いに敗れた『原初の吸血鬼』の一人として、歴史の闇に散ったはずの女は、オブリビオンとして再びこの世界に立っていた。

「銀誓館の連中も今となっては恐るるに足らずだけど、警戒すべきはやはり猟兵ね」

 再臨を果たしてから既に一度、オクタンスは猟兵に敗北を喫している。
 その時の屈辱と失策を忘れてはいない。彼女は傲慢でプライドが高いが、同時に反省もできる人物だった。

「今回の作戦のために呼んだお前たちの力、期待させてもらうわよ」
「キキッ……お任せを……」

 その言葉に応えたのは吸血鬼ではなく、近代兵器で武装したコウモリの獣人だった。
 彼らはゴーストでも来訪者でもない。その腕の腕章に記された国旗は、機械帝国ゾルダートグラード。
 本来なら獣人戦線にいるはずの恐るべき|機械兵士《ゾルダート》達が、吸血鬼と共に出撃の時を待っている。

「ふふふ……今度こそ油断はしないわよ。徹底的に、確実に、蹂躙してあげる……」

 かつての『吸血鬼艦隊』にも勝る戦力を手にしたオクタンスは、自信に満ちた表情でほくそ笑む。
 今再び、大いなる『原初の吸血鬼』の脅威が日本に襲来しようとしていた――。


「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「シルバーレインの世界にて『原初の吸血鬼』と呼ばれる強力な吸血鬼のオブリビオンが、艦隊を率いて日本各地の港に進撃しようとしています」
 銀の雨が降る時代、銀誓館学園に集った人類能力者にとって大きな脅威となった来訪者組織のひとつが、欧州に一大勢力を築く吸血鬼だった。人類に対するスタンスの違いから穏健派と強硬派に別れた彼らは、それぞれ共存と対立の道を歩み――最終的に『原初の吸血鬼』を擁する吸血鬼強硬派は、組織として壊滅したはずだった。

「オブリビオンとして復活した吸血鬼達は、戦艦の艦橋上に拠点である『影の城』を築き、それを曳航する艦隊を編成しています。影の城内部には多数の吸血鬼オブリビオンが控えており、その戦力は強大です」
 過去にも欧州の吸血鬼は類似した『吸血鬼艦隊』を率いて日本に侵攻を図った事があり、今回の事件はその再演とも言える。しかし前回と比較してもその戦力は大幅に変化しており、かつての吸血鬼と同じと考えてはならない。
「加えて、奇妙なことですが……艦隊の中にはゾルダートグラードの|機械兵士《ゾルダート》と思しきオブリビオンも確認されています。彼らが装備している兵器も、おそらくは獣人戦線産です」
 なぜ、シルバーレインの世界に獣人戦線のオブリビオンがいるのか、その理由は現状ではまったくの不明である。
 ともあれ、この恐るべき新生『吸血鬼艦隊』をもって、原初の吸血鬼達は手始めに日本有数の港湾都市・横浜市を制圧。ここを起点に日本各地の港に侵攻を開始している。

「オブリビオンの拠点拡大をこれ以上許す訳には行きません。速やかに『吸血鬼艦隊』の航行ルートを強襲し、敵の作戦を阻止してください」
 今回の作戦ではアメリカに存在する能力者組織『サンダーバード』達が、自前の艦隊を貸し出す形で協力してくれる。ユーベルコード飛び交う戦いにも耐えうる最新鋭の戦艦に乗って、原初の吸血鬼と『吸血鬼艦隊』に挑むのだ。

「まずはサンダーバードの方々から借り受けた戦艦を駆り、航行中の吸血鬼艦隊に接近します」
 迅速な移動は勿論の事だが、敵も海戦になることを想定して、弱いオブリビオンの群れを哨戒として放っている。
 こちらの位置や航行ルートがばれてしまうと、その後の作戦が大きく不利になるため、この哨戒部隊にも対処しながら敵艦隊の追跡または包囲を行わなければならない。
「敵艦隊の捕捉に成功すれば、いよいよ本格的な海戦です。敵の戦力は先程も言ったようにオブリビオンの吸血鬼に加えて、ゾルダートグラードの|機械兵士《ゾルダート》が多数。種族が違っても連携に不備はないようで、一斉攻撃を仕掛けてきます」
 何故こいつらが共闘しているのかは分からないが、どうあれこれを蹴散らさない限り、敵の指揮官には近付けそうもない。味方艦隊の力も借りて立ちはだかる敵を全てなぎ倒しながら、『影の城』を載せた敵の旗艦を目指すのだ。

「『影の城』を守護する艦隊指揮官の名は『闇の淑女オクタンス』。今年1月の第二次聖杯戦争でも確認された、原初の吸血鬼のオブリビオンです」
 あの戦争中は『持ち帰り』という目的のために、揺籠の君やハビタント・フォーミュラとも異なる第三勢力として動いていたオクタンス。今回の作戦は単純な拠点拡大が目的のように思われるが、その裏にまた別の狙いがないとも限らない。
「生前から強大な原初の吸血鬼だったオクタンスは、オブリビオンとなった現在も万の軍勢に匹敵する強者ですが、ひとたび怒らせると普段の冷静さを失って暴れ散らす……ようはキレやすい性格でも知られているようです」
 落ち着いている時と怒った時の極端な二面性からか、生前についた異名は『赤と黒の淑女オクタンス』。真っ向勝負では苦戦の予想される相手だが、この弱点を突いて我を忘れさせることができれば、勝算はぐっと高まるだろう。

「指揮官であるオクタンスを撃破することができれば、吸血鬼艦隊の作戦は瓦解します。オブリビオンの勢力拡大を阻止し、日本の海と港を守るため、どうか皆様の力をお貸しください」
 説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべ、シルバーレインの世界へと猟兵たちを送り出す。
 異世界からの戦力も加えて、復活を果たした『吸血鬼艦隊』。骸の海より甦った原初の吸血鬼との戦いが始まる。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回のシナリオはシルバーレインの世界にて、復活した原初の吸血鬼と『吸血鬼艦隊』を撃破する依頼です。

 1章では能力者組織『サンダーバード』から借り受けた艦隊を操り、航行中の吸血鬼艦隊を追跡または包囲します。
 敵もこちらの動きを警戒して哨戒用の弱いオブリビオンを放っているので、そちらにも対処しながら敵艦隊に接近してください。

 2章は吸血鬼艦隊のオブリビオンとの集団戦です。
 敵味方の艦隊がぶつかり合う、激しい海戦になります。敵は吸血鬼のオブリビオンに加えて、なぜか獣人戦線産の兵器で武装したゾルダートグラード兵も多数存在します。これを蹴散らして指揮官の元まで辿り着くのがこの章の目標になります。

 3章は吸血鬼艦隊の指揮官、『闇の淑女オクタンス』との決戦です。
 シルバーレインの吸血鬼の中でも非常に強大な力を持つ『原初の吸血鬼』のオブリビオンですが、過去の戦争で判明したようにキレると見境がなくなる弱点があります。そこを突けば有利に戦えるでしょう。
 彼女を撃破すれば吸血鬼艦隊の作戦は瓦解し、戦いは猟兵の勝利となります。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『吸血鬼艦隊に迫れ』

POW   :    哨戒として放たれた弱いオブリビオンを撃破する

SPD   :    海流や気候条件を読み、最速ルートで航行する

WIZ   :    敵艦隊をこちらの有利な地形に追い込む

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ブラミエ・トゥカーズ
異界の吸血鬼と聞き物見遊山混じりでやって来た
相手も吸血鬼だから海の真っただ中とは思っていなかった
吸血鬼は海を渡れない

彼奴等は海を渡っておるではないか。
余は寝る。後は任せた。
棺桶に入って借りた船に運ばれる

世界が異なれば常識も異なる事を忘れた主を従者は排水溝に溜まった珈琲豆の滓の様に見る

サングラスをして禿頭で大柄な従者が本性を現わす
UC正体:海坊主
海に潜り、海面化からオブリビオンを驚かせたり、海流を操作したり、沈められそうな船を座礁させるなどし、敵の航路をこちらに有利になるように強制させる

敵が煙草や底の抜けた柄杓を持っていたら弱体化する



「なんと、余に海を渡れと?」
 異界の吸血鬼と聞いて物見遊山混じりでやって来たブラミエ・トゥカーズ(《妖怪》ヴァンパイア・f27968)は、戦場が海洋だと聞いた途端憮然とした面持ちになった。彼女は伝承にて形作られた御伽噺の吸血鬼。海を――正確には流れる水を渡れないというのは、吸血鬼の有名な弱点のひとつである。
「彼奴等は海を渡っておるではないか」
 どうも相手も吸血鬼だから海のまっただ中とは思っていなかったらしい。残念ながらシルバーレイン世界の吸血鬼は海を渡れるし、日光も平気だし、にんにくも食えるし、招かれてない他人の家にも入れる。厳密には影響のある個体もいるらしいのだが、少なくとも今回の相手である『闇の淑女オクタンス』に弱点はないようだ。

「余は寝る。後は任せた」
 世界が異なれば常識も異なる事を忘れたブラミエは不貞腐れたように棺桶に入り、それごと借りた船で運ばれることになる。自発的に海を渡れないとはいえ、一応そうした抜け道が無いわけではないようだ。もちろん、その状態でどうやって戦うのかという疑問はあるが。
『……』
 そんな彼女の事を排水溝に溜まった珈琲豆の滓のように見るのは、スキンヘッドにサングラスをした大柄な従者だ。
 不甲斐ない主に対する彼の心中やいかばかりか。しかし依頼を受けてしまった以上はサボるわけにもいかないのだ。そのために"自分"が連れてこられた事も、彼はよく理解していた。

「やつした身を解き、この地に示せ、貴公の伝承を」
 棺桶の中から響く声と共に、ブラミエの従者は本性を現わす。吸血鬼のしもべがただの人間であるはずがなく、彼の正体もまた妖怪である。それもブラミエとは打って変わって、まさに大海原こそが彼のホームグラウンドでもあった。
「怯え伝えよ。カクリ世よりいずる彼のモノこそは……海坊主」
 サングラスを放り捨て、どぷんと艦の甲板から海に飛び込んだ従者は、みるみるうちに黒い坊主頭の巨人に変わる。
 操船を行うサンダーバードの乗組員が「オウ、ジーザス!」と驚く中、それはゆっくりと海に潜っていき、敵艦隊の追跡を始めた。

「ギギっ……何だアレは?!」
 海坊主出没に驚かされるのは味方だけではなく、哨戒にあたっていた敵のオブリビオンは、海面下からこちらを覗き込む巨大なアヤカシに面食らう事になる。慌てて本隊に報告しようとしても、出会ってしまった時点でもう手遅れだ。
「なンだ、急に波が……ギャァァァァァ!」
 突如発生した大波に巻き込まれて、海の藻屑と化す哨戒部隊。真の姿となった海坊主にかかれば、海流の操作くらいお手の物だ。主のぶんまで働かされているのは不憫だが、海上戦においては戦艦よりも厄介な存在なのは間違いない。

「海が荒れているですって? 一体何が起きているっていうの」
 海坊主が起こした海流の異変は『吸血鬼艦隊』の航路にまで影響を及ぼし、一部の艦が座礁するなどの被害を被っていた。オクタンスは急いで艦隊のダメージを抑えるべく指示を飛ばすが、不利な航路を強いられるのは避けられない。
 もし敵が煙草や底の抜けた柄杓を持っていたら、海坊主は弱体化するのだが――そんな東洋妖怪の弱点をヨーロッパ出身の吸血鬼が知るはずもなく。思いもよらぬ海の怪異によって、彼女らの予定は大きく狂わされたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベルト・ラムバルド
アドリブ上等

オクタンスぅ!?あいつしぶとく生きてたのか!?
…なら騎士としてやる事は決まってる!吸血鬼艦隊を叩きのめす!単純明快!ベルト・ラムバルドが行くぞ!

キャバリアに乗り艦隊から一足先に飛び立ち吸血鬼艦隊に迫る!
艦隊の場所を悟らせぬように滅茶苦茶な軌道で空を駆けまずは哨戒部隊を叩く!

哨戒とはいえオブリビオン!二刀の剣で素早く奴らを…

「あらやだ糞雑魚オブリビオン共が!私の邪魔しないでくださいません事ー!?さっさと落ちやがってくださいましー!?」

…だぁーもー変身したー!!!こんな時に!?
こーなりゃ自棄だ!存在感と覇気で蹴散らしたる~!
こら~!待て~!逃げるな~!倒されろ~!頼む~倒させてくれ~!



「オクタンスぅ!? あいつしぶとく生きてたのか!?」
 第二次聖杯戦争でも戦った相手の名を再び聞くことになり、ベルト・ラムバルド(自称、光明の宇宙暗黒騎士・f36452)は驚きを隠せなかった。一度は確かに撃破したはずなのだが、高位のオブリビオンは何度も倒さなければ完全には滅びないのがたちが悪い。
「……なら騎士としてやる事は決まってる! 吸血鬼艦隊を叩きのめす! 単純明快!」
 市民では対抗し得ない圧倒的海軍力をもって港を襲う、海賊のごとき所業を見過ごすわけにはいかない。能力者組織「サンダーバード」から貸与された戦艦に愛機『パロメデス』と乗り込んだ彼は、カタパルトから発進体勢に入った。

「ベルト・ラムバルドが行くぞ!」
 勇ましき名乗りと共にギガスラスター『アンゲロス』を全開にし、戦闘機さながらの速度でキャバリアが飛び立つ。
 まずは一足先に吸血鬼艦隊に迫り、本格的な戦闘になる前に少しでも痛手を与えておくのがベルトの狙いだ。その為にはこちらも本隊の座標を悟られてはいけない。
「まずは哨戒部隊を叩く!」
 どこから出撃したのか分からぬよう、メチャクチャな軌道で空を駆ける『パロメデス』。暗黒騎士をモチーフとしたその機体が向かうのは、敵艦隊の"眼"となる下級オブリビオンの部隊だ。こいつらの数を減らせれば、情報戦において優位に立てる。

「哨戒とはいえオブリビオン!」
 決して油断するまいと、ベルトの乗った『パロメデス』はビームセイバーと実体剣のニ刀で哨戒部隊に斬り掛かる。
 報告のために逃げられてしまう前に、素早く奴らを――そう考えていたのだが、ここで彼にとっても予想外な現象が起きた。
「あらやだ糞雑魚オブリビオン共が! 私の邪魔しないでくださいません事ー!? さっさと落ちやがってくださいましー!?」
「……だぁーもー変身したー!!! こんな時に!?」
 【キャバ嬢飛翔】の暴発により、乗っていたキャバリアが突然擬人化、キャバリアお嬢様の「パロミ・デス代」に変身してしまったのだ。通常キャバリアと同等の身長5m前後の巨大な女性が、騎士鎧のようにデフォルメされた装甲と武装を纏い、お嬢様言葉で話しだす。それは大変シュールな光景であった。

「な、なんだアレは……」「よく分からんがヤバそうだ……!」
 突如出現したキャバリアお嬢様から得体のしれない威圧感を感じた哨戒オブリビオン達は、尻尾を巻いて逃げ出そうとする。彼らの役目を考えれば当然の行動だろうが、純粋に関わり合いになりたくない雰囲気もあったかもしれない。
「こーなりゃ自棄だ! 蹴散らしたる~!」
 ベルトの想定は狂ってしまったが、やるべきことに変わりがある訳ではない。お嬢様になってパロミ・デス代が弱くなったかと言えばそんな事はなく、よく喋るしよく動くしよく飛ぶ。時速14000キロを超える猛スピードで飛翔しながら敵に斬り掛かる女巨人の勇姿は、ちょっとした恐怖でさえあった。

「こら~! 待て~! 逃げるな~! 倒されろ~! 頼む~倒させてくれ~!」
「ひえぇ~!」「ぎゃぁぁぁーーっ!!」
 異様な存在感と覇気を機体より放ちながら、乗り手は脅しているのか懇願しているのか分からない調子で、一人と一機(?)は敵部隊を追い詰める。これでも純粋に速度と戦闘力で上回っている分、相手に逃げられる可能性は皆無だ。
 かくして哨戒部隊の撃破という当初の目的は果たせたものの、ベルトの心にはどこか釈然としない気持ちが残ったのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

儀水・芽亜
今度は『闇の淑女』オクタンスの再来ですか。一月の金沢で討滅したと思いましたのに。
それにしても、米国のサンダーバードは随分と勢力が大きいようで。艦隊を編成できるとはどれほどの規模でしょう。

驚くのはこのくらいにして、吸血鬼艦隊の追撃に向かいましょう。
「全力魔法」「範囲攻撃」毒の「属性攻撃」「呪詛」「精神攻撃」で本質の顕現です。
喚び出す揚羽蝶の群を広範囲に展開して、並のオブリビオンなら十分墜とせるだけの範囲攻撃を味方艦隊の周囲に展開しましょう。
揚羽蝶の領域に入った敵斥候は、毒と呪詛の鱗粉で殲滅します。気付いた時にはもう侵されているのが強みですね。
報告の暇など与えません。須く太平洋に沈みなさい。



「今度は『闇の淑女』オクタンスの再来ですか。一月の金沢で討滅したと思いましたのに」
 あの戦いをしぶとく生き延びて戻ってきた原初の吸血鬼に、儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)は驚きか呆れに似た調子で呟く。オブリビオンとして復活し、性懲りもなく過去と類似した事件を引き起こすとは、まったく往生際の悪いことだ。なんにせよ『吸血鬼艦隊』による拠点の拡大など許す訳にはいかない。
「それにしても、米国のサンダーバードは随分と勢力が大きいようで。艦隊を編成できるとはどれほどの規模でしょう」
 人類に雷文明をもたらしたとされる能力者『サンダーバード』の組織は、かつての『吸血鬼艦隊』との決戦に敗れ、一度は壊滅したと聞いている。しかし銀誓館学園と合流を果たして以降、時を経て組織を再建していたらしい。彼らの協力と戦力がなければ、今回の作戦はそもそも実現困難だっただろう。

「驚くのはこのくらいにして、吸血鬼艦隊の追撃に向かいましょう」
 サンダーバード所有の艦隊に乗り込み、いざ大海原の戦いに挑む芽亜。敵の艦影はまだ目視できる距離にはないが、広義での戦闘はすでに始まっている。まずは相手艦隊の所在と航路を先んじて突き止められた側が有利になるだろう。
「蝶は魂の鬼車。その魂を、その魄を、黄泉へと惹かれなさい」
 そこで彼女は【本質の顕現】を発動し、無数の揚羽蝶の群れを喚び出す。ひらひらと優雅に羽ばたくそれらの鱗粉には猛毒があり、並のオブリビオンなら十分墜とせるだけの致死性を持つ。これを味方艦隊の周囲に展開すれば、迎撃の準備は完了だ。

「見つけたぞ、猟兵の艦隊だ……」「なんだ? あの蝶の群れは」
 吸血鬼艦隊より放たれたオブリビオンの哨戒部隊は、芽亜のいる艦隊を発見すると揚羽蝶の領域に入ることになる。
 潮騒の風に乗って宙を舞う、目には見えない微小な毒鱗粉。知らず知らずのうちにそれを吸い込んでしまった者達の末路は、もはや語るに及ばない。
「グ、ガッ……?!」「苦し……!!」
 ある者は喉を押さえ、ある者は胸を掻きむしり、苦悶の呻きを上げながら海に落ちていくオブリビオンの群れ。彼らが浮かんでくることは二度となかった。遠目には幻想的とさえ映る蝶々の舞は、敵対者をあの世へ誘う案内人だった。

「気付いた時にはもう侵されているのが強みですね」
 ぼとぼとと墜ちていく敵の斥候を見て、芽亜は満足げな表情を見せる。このままユーベルコードを維持すれば、弱いオブリビオンで構成された哨戒部隊はほとんど殲滅できる。事前に危険を察知するのも困難なため、敵はどんどん損害を増やしていく寸法だ。
「報告の暇など与えません。須く太平洋に沈みなさい」
 彼女の張った死の領域から、無事に生還できた者は一人もいない。かつて|銀の雨降る時代《シルバーレイン》を駆け抜けた一線級の能力者の実力は伊達ではなく、その表情にはまだ余裕さえあった。舞い飛ぶ揚羽の群れに包まれるようにして、サンダーバードと猟兵の艦隊は航海を続ける――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒影・兵庫
横浜が制圧された上に各地の港に向けて進軍中!?今すぐ何とかしないと!
(「落ち着きなさい黒影。貴方は軍隊虫の司令塔よ?焦って判断を誤れば全滅は免れないわよ?」と頭の中の教導虫が窘める)
は、はい!すぅーはぁー…よし!落ち着いた!
(「よろしい。さて、どうする?」)
まずは敵艦隊を追跡、包囲します!そのためにも敵にこちらの動きを悟られないように
哨戒用の弱いオブリビオンを確実に仕留める必要があります!
なのでここは借りた艦隊のレーダーを使い接近してくる敵の位置を捉えたら
UC【蝗害】を発動し強襲兵の皆様に仕留めていただきます!
(「よし、じゃあ作戦開始ね!」)
はい、せんせー!



「横浜が制圧された上に各地の港に向けて進軍中!? 今すぐ何とかしないと!」
 放っておけば日本中に被害が及びかねない大事件に、居ても立ってもいられない様子で黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)が叫ぶ。滅私奉公、品行方正、公明正大を美徳と指導され、純粋でまっすぐな正義感を持つ彼が、このような悪事を見過ごせるはずがないだろう。
(落ち着きなさい黒影。貴方は軍隊虫の司令塔よ?)
 そんな彼を窘めるのは、頭の中に宿った教導虫「スクイリア」だ。兵庫の"せんせー"として幼い頃から指導を行ってきた彼女は、教え子の性格もよく分かっている。しかし指揮を執る者が感情のままに行動すれば、その動揺は配下にも伝わってしまうのだ。

(焦って判断を誤れば全滅は免れないわよ?)
「は、はい! すぅーはぁー……よし! 落ち着いた!」
 逼迫した状況だからこそ、謝った判断で危機を拡大させてはいけない。そうスクイリアに宥められた兵庫は、大きく深呼吸して冷静さを取り戻した。この辺りの切り替えの速さは素直な性格の良い所だろう。或いはそれだけ教導蟲の言を信頼している証でもあるか。
(よろしい。さて、どうする?)
「まずは敵艦隊を追跡、包囲します! そのためにも敵にこちらの動きを悟られないように、哨戒用の弱いオブリビオンを確実に仕留める必要があります!」
 落ち着いてものを考えさえすれば、彼は決して頭の悪いタイプではない。教導蟲との相談を通じて作戦を考えるのは普段からやっている事だ。現状もっとも警戒すべきは『吸血鬼艦隊』の放つ哨戒部隊。あちらの動きを補足する前に、こちらが捕捉されると一気に海戦は不利になる。

「なのでここは借りた艦隊のレーダーを使い接近してくる敵の位置を捉えたら、強襲兵の皆様に仕留めていただきます!」
 こちらが乗っているのは能力者組織『サンダーバード』から貸与された新鋭戦艦。索敵用の電子機器も最新式のものが搭載されており、それを利用しない手はないと兵庫は考えた。この世界のテクノロジーと軍隊虫の合せ技によって、敵の哨戒部隊を撃破するのだ。
(よし、じゃあ作戦開始ね!)
「はい、せんせー!」
 作戦が決まったところで兵庫は【蝗害】を発動。戦闘用として進化した羽虫の群れを大量に呼び出し、艦隊お周辺を直掩機のように飛び回らせる。そして自分はレーダーを覗き込み、反応があればすぐに指示を出せるようにしておく。

「強襲兵のみなさーん! こちらでーす!」
 いざ哨戒オブリビオンの部隊が近付いてくれば、兵庫は「誘導灯型合金破砕警棒」を振って軍隊虫の群れを動かす。
 1体1体が小さくともかなりの戦闘力を持つ彼らは、群れとなれば侮れない"軍"となる。あくまで偵察として放たれた弱いオブリビオンが相手なら、十分過ぎるほどの戦力だ。
「なッ、なんだこいつら……」「ギャァァァァァッ?!!」
 鋼鉄をも噛砕する顎と牙に襲われた哨戒部隊は、情報を持ち帰る暇もなく、一匹残らず食い尽くされる。断末魔の叫びも波の音にかき消され、艦隊の航路に変更はない。『吸血鬼艦隊』本隊の追跡と包囲は順調に進められていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

暗都・魎夜
SPD
【心情】
オクタンスのオブリビオン、この間の決戦で消滅した訳じゃなかったんだな
そういうことなら、ここできっちりと叩き返してやるぜ!

【行動】
天気のこととなればストームブリンガーは専門家だぜ

・「魔力溜め」した「天候操作」で船の航路の波を安定させ、進行の手助けを行う
・「索敵」で敵艦隊の哨戒を行い、発見したら「天候操作」で雨を降らせて行動を妨害する

最近の台風は安定しねえからな
こういう無茶苦茶な天気があっても良いだろ

「サンダーバードの艦隊もここまで大きくなってるんだな。こいつは頼もしいぜ」

サンダーバードのメンバーと「コミュ力」で交友を深め、「勝者のカリスマ」で「鼓舞」する



「オクタンスのオブリビオン、この間の決戦で消滅した訳じゃなかったんだな」
 銀誓館学園の能力者として生前のオクタンスを知り、第二次聖杯戦争でも交戦経験のある暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は、相手のしぶとさに少し驚いていた。原初の吸血鬼ほどの強大な存在がオブリビオンになれば、数回倒した程度では完全に滅ぼすことはできないようだ。
「そういうことなら、ここできっちりと叩き返してやるぜ!」
 猟兵になっても学生時代から彼のやることは変わらない。何よりこれ以上、自分たちの世代の敵が後の世代に迷惑をかけるのを放ってはおけなかった。熱血漢らしい振る舞いの裏に|銀の雨が降る時代《シルバーレイン》を生きた者としての責任感も少なからず抱いているのが、魎夜という人間だった。

「天気のこととなればストームブリンガーは専門家だぜ」
 航海の安定を左右する要素として、まず第一に挙がるのが海の天候だ。それは乗る船が最新鋭の戦艦だろうと変わらない。魎夜は「嵐をもたらす者」たるストームブリンガーの魔力を応用した天候操作を行い、航路の波を安定させる。
「オーウ、助かりマース!」
 波が穏やかになったことで艦隊は安定して速度を上げられるようになり、サンダーバードの乗組員が感謝を伝える。
 ここまで順調に航海を進められたこともあって、こちらの艦隊は『吸血鬼艦隊』の動きを徐々に補足しつつあった。

「サンダーバードの艦隊もここまで大きくなってるんだな。こいつは頼もしいぜ」
「HAHAHA、備えアレば憂いナシ、ってやつデース!」
 航海の途中、魎夜は艦隊にいるサンダーバードのメンバーと交友を深め、持ち前のコミュ力とカリスマで士気を鼓舞していた。彼らは過去の『吸血鬼艦隊』との戦いで大損害を受け、一度は壊滅状態となった苦い記憶がある。そこから再び組織を再興させたのも凄いが、今回の戦いはリベンジマッチという事で燃えている者も多いようだ。
「今度こそ、あの吸血鬼ヤローにひと泡ふかせてやりまショー!」
「その意気だぜ! おっ、見えてきたな!」
 そんなやり取りをしていると、魎夜は水平線の向こうに艦影を視認する。戦艦の艦橋に巨大な城を築き、それを他の艦艇に曳航させるという独特な光景は見間違いようがない。あれが『闇の淑女オクタンス』率いる『吸血鬼艦隊』だ。

「最近の台風は安定しねえからな。こういう無茶苦茶な天気があっても良いだろ」
 魎夜は再び魔力を練り、今度は『吸血鬼艦隊』の上に集中豪雨を降らせる。寸前まで晴れていた空がにわかに雨雲に覆われ、大粒の雨とともに風が吹き、波が荒れる――嵐に由来する現象を操るのはストームブリンガーの得意分野だ。
「なによ、作戦中に雨なんて……ツイてないわね!」
 流石にこれで転覆するほど敵艦隊もやわではないが、行動が阻害されるのは避けられない。オクタンスは影の城から各艦の指揮を執り、豪雨の範囲を抜けて影響を最小限に止めようとしているが、それでも艦隊の船足は大きく鈍った。

「今だぜ!」
「OK!」
 この隙にサンダーバード艦隊は『吸血鬼艦隊』の進路を先回りするよう舵を切り、嵐の外側から敵を包囲していく。
 天候を味方につけるか敵に回すかで彼我の行動力には大きな差が生まれており、この調子なら追い詰めるのも時間の問題か。本格的な衝突が始まるのも近そうだと、魎夜は臨戦態勢に入った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レヴィア・イエローローズ
ゾルダートグラードが、他の世界に?
機械工学で言えば屈指の技術力を有している世界故、仮に世界を渡れるなら……その技術を欲しがるオブリビオン勢力は数多でしょうね

サンダーバード艦隊、協力に感謝するわ
こちらもUCを使い、貴官の協力に応じるわ
認識不可型迷彩UCを使い、吸血鬼艦隊を『狙う武器』であるサンダーバード艦隊に認識不可の迷彩を付与し、サンダーバード達含めて吸血鬼オブリビオンの認知から逃れていくわ

このUCの良い所は『攻撃をしたら解除』……今回の様に交戦領域に近づくまで攻撃不可の場合、寧ろ他の解除条件が無いからメリットなのよ
そう言ってサンダーバード達と戦闘準備を進めていくわ



「ゾルダートグラードが、他の世界に?」
 自分達の世界の宿敵である超大国のひとつが、シルバーレインの世界にも進出しているとの話を聞いて、レヴィア・イエローローズ(亡国の黄薔薇姫・f39891)は驚きを隠せなかった。奴らは元々異世界から現れたと言われていたが、それが別世界のオブリビオンと手を結んでいるとは。
「機械工学で言えば屈指の技術力を有している世界故、仮に世界を渡れるなら……その技術を欲しがるオブリビオン勢力は数多でしょうね」
 獣人戦線の軍人として何度もゾルダートグラードと矛を交えてきた身として、奴らが擁する兵器技術と|機械兵士《ゾルダート》の脅威はよく知っている。これが一時的な同盟であるのか、あるいはより深い密約があるのかは分からないが、これ以上の勢力拡大を見過ごすわけにはいかない。

「サンダーバード艦隊、協力に感謝するわ」
「オウ! こちらこそデース!」
 今回の作戦のために貸与された戦艦に乗り込み、レヴィアは『吸血鬼艦隊』の追跡に参加する。艦隊規模で海を渡るオブリビオンの軍勢に対抗するには、現地組織の協力は不可欠だった。危険をおして力を貸してくれるサンダーバードの能力者達に、彼女は心からの礼を伝える。
「こちらもユーベルコードを使い、貴官の協力に応じるわ」
 そう言って彼女が発動するのは【黄薔薇開花・認識の反対たる迷彩加護】。武器に認識不可の迷彩を付与して、次に行う攻撃の威力・命中率・必殺率を上昇させるユーベルコードだ。今回は自分達が乗っている戦艦を「武器」と見なすことで、艦隊全体をこの迷彩で覆う。

「このユーベルコードの良い所は『攻撃をしたら解除』……今回の様に交戦領域に近づくまで攻撃不可の場合、寧ろ他の解除条件が無いからメリットなのよ」
 敵艦隊を"狙って"追跡を続けている間、迷彩効果は武器――今回の場合はサンダーバード艦隊に充填され続ける。
 それは乗組員を含めた自身と同胞を吸血鬼オブリビオンの認知から逃れさせ、敵の哨戒や探知を欺く効果があった。
「今のうちに戦闘準備を進めていきましょう」
「アイ・マム!」
 元王女として人を率いる事には慣れているのか、レヴィアは乗組員にてきぱきと指示を出し、敵との戦いに備える。
 重要となるのは迷彩が解除される最初の攻撃。もっとも奇襲効果が高く、そして威力が上昇している一撃をどうするかが、その後の海戦にも影響するだろう。

「こちらを追っていた艦隊が、姿を消した? どういう事なの……」
 一方の『吸血鬼艦隊』の司令官、オクタンスは忽然と姿を消したサンダーバード艦隊を不審に思い、警戒を強める。
 彼女もまた決して無能な人物ではなく、奇襲に対する備えはしてくるだろう。まだ交戦距離に入る以前から、猟兵とオブリビオンの戦いは始まっていた――互いの策と策をぶつけあう計略戦として。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フリッツ・バーナー
吸血鬼の大艦隊、相手にとって不足無しだ
やはり大物狩りは心が躍る
存分に楽しませて頂こうではないか
(味方艦の|甲板《デッキ》に立って指パッチン
空間を裂いて現れた機体が跪く
差し出された手に触れて一体化
勢いよく発艦する)

まずは|哨戒兵《前菜》から
彼らより高く上昇し、上から挨拶代わりの衝撃波を放とう
いくら統制されているとはいえ、異なる勢力の混成部隊なのだろう?
闘争の火種として申し分ない
少々煽ってやれば面白いように燃えてくれる事だろう

さあ、諸君の背後を狙う裏切り者がいるぞ
対処したまえ
でなければ墜とされてしまうぞ?

生き残った者は自軍の艦隊を襲撃するように誘導しよう
彼らの向かう先が敵の本艦だ
探す手間が省けるな



「吸血鬼の大艦隊、相手にとって不足無しだ」
 生粋の|戦争狂《ウォーモンガー》にして|戦争屋《ウォー・メイカー》であるフリッツ・バーナー(〝少佐〟・f41014)にとって、それは実に闘争心をかき立てる存在であった。猟兵となって様々な世界の汎ゆる戦争行為に関われるようになったが、これほど大規模な海戦に参加する機会はそうそうない。
「やはり大物狩りは心が躍る。存分に楽しませて頂こうではないか」
 現地組織から貸与された味方艦のデッキに立って、指をパチンと鳴らすと、空間が裂けて1機の人型兵器が現れる。
 対峙する者に畏怖の念を抱かせる、赤黒きオブリビオンマシンの名は「バルバロッサ」。自らの前に跪いたそれが差し出す手に触れると、彼の心身は機体を一体化した。

「まずは|哨戒兵《前菜》から」
 甲板より勢いよく発艦したフリッツは、手始めにこちらの艦隊を捜索中の哨戒オブリビオンの群れに狙いをつける。
 戦争において重要となるのは"目"だ。などと彼に語るのは釈迦に説法だろう。情報を持ち帰られる前に敵の目を潰すため、速攻で攻撃を仕掛けていく。
「なんだ、アレは……」「奴らもキャバリアを!?」
 あっという間に自分達よりも高く上昇する「バルバロッサ」の機影を見上げ、オブリビオン共が驚きの声を上げる。
 そんな有象無象の連中を見下ろして心底愉しそうに笑いながら、フリッツは愛機より【作戦発令:行進】を放った。

「まずは挨拶代わりだ」
「ぐわッ?!」「ぎゃぁっ!!」
 バルバロッサより放たれた衝撃波は哨戒部隊を吹き飛ばしてダメージを与える。だが、このユーベルコードの本当の恐ろしさは、味方への疑心と激しい攻撃衝動を湧き上がらせること。つまりは同士討ちを誘発させるための技なのだ。
(いくら統制されているとはいえ、異なる勢力の混成部隊なのだろう? 闘争の火種として申し分ない。少々煽ってやれば面白いように燃えてくれる事だろう)
 種族はおろか世界さえ違う連中が群れているのだ。仲良く足並み揃えているように見えても、些細なきっかけで瓦解する脆さをフリッツは見抜いていた。現に、攻撃を食らった後からなかなか部隊の動揺が収まらないのが証拠だろう。

「さあ、諸君の背後を狙う裏切り者がいるぞ。対処したまえ。でなければ墜とされてしまうぞ?」
「なにっ……まさか、貴様!」「ち、違う、誤解だ!」
 フリッツが軽く囁いてやるだけで、オブリビオン達は勝手に争いを始めた。まだ比較的冷静さを保っていた者でも、味方に襲われて反撃しない訳にもいかない。一度燃え上がった火種はたちまち部隊全体に広がって、吸血鬼と機械兵士による内乱と化した。
(生き残った者は自軍の艦隊を襲撃するように誘導しよう)
 フリッツは追い討ちの【作戦発令:行進】を浴びせて彼らの疑心暗鬼を加速させつつ、攻撃衝動の矛先が本隊にまで向かうよう囁きかける。「諸君は捨て駒にされたのだ」とか「諸君の指揮官とは密約がある」とか、適当なことを吹き込んでやれば、後は向こうで勝手に悪い想像を膨らませてくれるのだから楽なものだ。

「クソッ、オクタンスめ……我らを騙したのか!」
 面白いほど無様にフリッツの手のひらの上で踊らされたオブリビオンどもは、命令を放棄してどこかへ飛んでいく。
 その背中に追い討ちすることもできるが、フリッツはそうしない。彼らはこちらにとって有益な"案内役"だからだ。
「彼らの向かう先が敵の本艦だ。探す手間が省けるな」
 見失わない程度に距離を保ちつつ、彼は「バルバロッサ」で敵の生き残りを追跡し、その進路を味方艦隊に伝える。
 前菜にしてはそこそこ楽しめたほうだろうか。あとはメインディッシュが期待外れでないことを願うばかりだと、彼の気持ちは次の戦いに向かいつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
闇の淑女……滅ぼしたと思っていましたが、フォーミュラと違って完全撃滅はできていなかったのですね
あの時点でゾルダートグラードから兵器提供を受けていたようですが……界渡りを自在にする、猟兵にとってのグリモア持ちのような存在がいるのでしょうか

ともあれ、持ち帰りも拠点拡大もさせはしない
海での活動なので水着を着用
艦の操縦は組織の方々にお任せできるでしょうか?(機械に疎い)
私自身は舳先でオブリビオンの哨戒を警戒(偵察・情報収集)
発見すれば瞬時に指先から【聖天煌破弾】を放つ
情報を持って逃げようとするなら、【怪力】を以って聖槍を【投擲】
着弾の【衝撃波】で一網打尽
槍は念じれば飛んで手元に帰ってくる(念動力)



「闇の淑女……滅ぼしたと思っていましたが、フォーミュラと違って完全撃滅はできていなかったのですね」
 あの激戦のさなかでは仕留めきれない敵がいても仕方がない事ではあるが、それでもオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)には無念の思いが多少なりとあった。艦隊規模の戦力を率い、さらには他の世界のオブリビオンまで配下に加えた原初の吸血鬼――どうやら、あの時の想像以上に厄介な相手だったらしい。
「あの時点でゾルダートグラードから兵器提供を受けていたようですが……界渡りを自在にする、猟兵にとってのグリモア持ちのような存在がいるのでしょうか」
 戦争中の言動からして怪しいところはあった。世界を渡る手段がひとつでない以上、そうした力を手中に収めているオブリビオンがいるなら、これからも猟兵が様々な世界で戦いを続けていく上で、避けては通れない敵になるだろう。

「ともあれ、持ち帰りも拠点拡大もさせはしない」
 今度もまた原初の吸血鬼の思惑を挫くために、オリヴィアは海での活動に合わせた水着を着用して作戦に参加する。
 一見防御力の低そうな格好だが、そこは本人の実力でカバーだ。破邪の聖槍を携えて甲板に立つその姿は、さながら海の戦女神である。
「艦の操縦は組織の方々にお任せできるでしょうか? 私はオブリビオンの哨戒を警戒します」
「OK! そちらは頼りにしてマース!」
 今回の作戦に協力してくれる「サンダーバード」の能力者達は、戦艦の貸与だけでなく操船等も行ってくれている。
 本職のプロである彼らに任せておけば進路の方は問題あるまい。自分は自分にできる務めを果たそうと、舳先に立って海や空に目を凝らす。

「来ましたね」
 やがて空の彼方よりやって来たのはコウモリの群れ。『吸血鬼艦隊』から哨戒として放たれたオブリビオン部隊だ。
 弱い個体だからといって油断してはいけない。一匹でも逃せば奴らはこちらの位置と進路を本隊に報告するだろう。
「無窮の光よ! 疾く穿て!」
 オリヴィアは瞬時に【聖天煌破弾】を発動。指先で超高密度に圧縮された聖なる力が、光の弾丸となって放たれる。
 速射性を重視した代わりに威力は落ちるが、このレベルのオブリビオンが相手なら十分。海から空に向かって描かれた黄金の軌跡が、コウモリの心臓を撃ち抜いた。

「ギャッ!?」「バレたぞ、逃げろ!」
 攻撃を受けたオブリビオンの群れは、反撃よりも即座に逃走を選択した。彼らの役目は「生きて情報を持ち帰る」事なのだから判断としては当然の事だろう。だが当然、オリヴィアもそれをさせないためにこの役目を請け負ったのだ。
「逃げられると思うな!」
「なっ、なにか飛んでくるぞ!」「回避――……ッ!!!?!」
 持ち前の怪力をもって彼女が投げ放ったのは聖槍。黄金に煌めく破邪の穂先は、標的に着弾すると同時に凄まじい衝撃波を起こし、周囲にいた他の敵まで吹き飛ばした。純粋な破壊力に加えて魔を祓う力を兼ね備えた、その一撃に巻き込まれて無事でいられたオブリビオンはいない。

「生き残りはいませんね」
 見事に敵の哨戒を一網打尽にしたオリヴィア。役目を果たした槍は、彼女が念じるとひとりでに手元に帰ってきた。
 しかしまだ『吸血鬼艦隊』本隊を追い詰めるまで気は抜けない。こちらの動きを敵に悟らせないため、彼女はその後も警戒を厳として次の襲来に備えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
放っておくと日本各地の被害がすごい事になりそうですから、
阻止するしか無いですよね。

天候操作で私達の艦隊の周囲は穏やかな晴天にして、敵艦隊の周囲は風雨
激しい荒波の状態にします。
それだけでも敵艦隊の追跡と包囲はやりやすくなるかと思います。

更に《産巣》で海水からドラゴンやグリフォンを創造して、哨戒中の
敵オブリビオンを襲わせますよ。

状況に応じて、風の属性攻撃・全力魔法・範囲攻撃・高速詠唱で生み出した
竜巻をぶつけて纏めて倒します。
その場合、ドラゴンやグリフォンは一時的に退避させて、竜巻から脱出
したオブリビオンを襲撃する。

何を狙っているかは判りませんが、人々の生活を破壊するような真似は許しません!



「放っておくと日本各地の被害がすごい事になりそうですから、阻止するしか無いですよね」
 オブリビオンによる侵略と拠点拡大を見過ごす訳にはいかないと、人々の平和のために立ち上がったのは大町・詩乃(|阿斯訶備媛《アシカビヒメ》・f17458)。ヒーローにして猟兵、そして女神である彼女にとって、それは当然の使命でもあった。
「航海中の天気は私に任せてください」
 彼女は女神としての権能を奮って、自分達の艦隊の周囲は穏やかな晴天に、敵艦隊の周囲は風雨になるようにする。
 古今東西、航海において天候は最も重要な要素だった。太古から船乗り達は海上の安全を神に祈ってきたが、彼女にはその祈りに応えられる力があるのだ。

「これだけでも敵艦隊の追跡と包囲はやりやすくなるかと思います」
「その通りデース! ありがとうございマース!」
 詩乃の助力で天候を味方につけたサンダーバード艦隊は、速度を上げて『吸血鬼艦隊』を追い詰めにかかる。いかに最新鋭の戦艦でも安全に出せる速力は海の機嫌によるところがあるが、この晴天なら安心して最大船速を発揮できる。
「くっ、また天気が悪く……!」
 対する『吸血鬼艦隊』を襲ったのは真逆の天候だ。ただでさえ「影の城」というバランスの悪い代物を曳航している奴らにとって、風雨で波が荒れるのは最悪以外の何物でもない。船足は明らかに鈍っているし、自由な機動も取れなくなっているようだ。

「神の理により、此処に生命を創造いたします」
 さらに詩乃はユーベルコードで海水からドラゴンやグリフォンを創造して、哨戒中の敵オブリビオンを襲撃させる。
 いにしえの神々が天地創世においても用いた、生命を創造する【産巣】の権能を彼女も有しているのだ。波しぶきと共に産声を上げた怪物達は、創造主の意のままに空を翔ける。
「っ、しまった?!」「いかん、逃げ……ぐわぁぁぁッ!!」
 哨戒として放たれたオブリビオン達は『吸血鬼艦隊』の中でも弱い個体で、詩乃の産んだ怪物達と戦える力はない。
 雄々しき竜の牙や爪、あるいは羽ばたきによって打ち落とされ、海の藻屑と消えていく。辛くも生き延びた者はこの情報を報告するために、本隊まで必死に逃げ帰ろうとするが――。

「逃しませんよ」
 それを見た詩乃はドラゴンやグリフォンを一時的に退避させると、風の呪文を唱えて巨大な竜巻を生み出す。天候さえ操る彼女にかかればこの程度の魔法はできて当たり前。渦巻く暴風は逃げようとしたオブリビオンともを吸い込み、風圧の刃をもってバラバラに破壊する。
「「うぎゃあぁぁぁぁぁっ!?!!」」
 もし万が一ここから脱出できても、竜巻の外周にはドラゴンやグリフォン達が待機している。この二重の包囲網から逃げ切れるレベルのオブリビオンは哨戒部隊にはおらず、断末魔の絶叫を上げながら彼らは骸の海へと還っていった。

「何を狙っているかは判りませんが、人々の生活を破壊するような真似は許しません!」
「その通りデース!」「行くぞ! 俺たちには女神様が付いてんだ!」
 天候を操り、母なる海から生命を産み出し、仇なす者には雨と風の災いをもたらす。まさに神話に語られる「神」のイメージに相違ない活躍ぶりを見せる詩乃に、味方は畏敬の念を、敵は畏怖の念を抱かずにはおれまい。勢いに乗ったサンダーバード艦隊は『吸血鬼艦隊』への包囲を固め、いよいよ本格的な海戦へと移行していく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『コウモリ爆撃兵』

POW   :    無差別爆撃
戦場にレベル×5本の【焼夷弾】が降り注ぎ、敵味方の区別無く、より【多くの被害と死者が出る】対象を優先して攻撃する。
SPD   :    反響定位
【超音波】を体内から放出している間、レベルm半径内で行われている全ての【攻撃】行動を感知する。
WIZ   :    空飛ぶ悪魔
戦場内で「【助けて・死にたくない・怖い・熱い・神様】」と叫んだ対象全員の位置を把握し、任意の対象の元へ出現(テレポート)できる。

イラスト:はるまき

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 海上での索敵や哨戒オブリビオンとの小競り合いを経て、猟兵を乗せた艦隊はついに『吸血鬼艦隊』と接触する。
 ここまでの前哨戦の結果、海戦の初期配置はこちら側がかなり優位だ。敵艦隊は完全に航路を遮られて包囲されており、もはや離脱する事もできまい。

「おのれ能力者、おのれ猟兵……またも我らの邪魔をするか」
「出撃だ! 奴らに目にもの見せてくれる!」

 だが、この程度の不利を被ろうと『吸血鬼艦隊』は諦めない。
 各戦艦及び中央にそびえ立つ「影の城」から、多数の吸血鬼が姿を現し、戦闘態勢に入る。
 彼らはいずれも|銀の雨が降る時代《シルバーレイン》に銀誓館学園と戦い、敗北した吸血鬼だ。人類に明確な敵意を持った彼らは、かつての復讐に燃えるオブリビオンとして復活したことで、完全に邪悪な存在と化している。

「キキッ……では、我々も発進します」
「オクタンス様と、ゾルダートグラードに栄光あれ!」

 同時に甲板から飛び立つのは、近代的な軍服をまとったコウモリ獣人の部隊。
 いかなる理由でか『黒の淑女』と手を結んだ、ゾルダートグラードの『コウモリ爆撃兵』だ。
 機械化によって強化された翼は一体一体が戦闘機に匹敵する飛行能力を持ち、空を飛び回りながら爆弾の雨を降らせる、言わば生きた爆撃機だ。コウモリ故に索敵能力も高く、こちらの艦を狙われると非常に厄介な存在になるだろう。
 このコウモリ爆撃兵と、艦隊を動かしている多数の吸血鬼オブリビオンが、新生『吸血鬼艦隊』の主戦力である。

「イェーガーの皆さん、頼みマス! ヤツらに目にもの見せてやってくだサーイ!」
「オレ達も全力でサポートしマス! 艦の操縦はお任せアレ!」

 だが、こちらにも敵の艦隊に負けないだけの戦艦と、サンダーバードの支援がある。
 ここを突破できないようでは「影の城」にいるオクタンスの撃破など不可能だろう。
 ここからが本格的な海戦だ――戦闘態勢を取った猟兵達と『吸血鬼艦隊』のオブリビオン軍団が、ついに激突する。
黒影・兵庫
吸血鬼艦隊の包囲に成功!やりましたね!せんせー!
(「喜ぶのはまだ早いわ、黒影。ほら包囲を突破しようと攻撃を仕掛けてきたわよ」と頭の中の教導虫が話しかける)
あのコウモリ…ゾルダートグラードの連中か!
(「こちらに空爆を仕掛けるみたい。このままだと轟沈よ?」)
なら弾幕を張るまで!UC【蜂皇流銃陣操術・バレットシャワー】発動!
銃士隊の皆さん!コウモリと吸血鬼の奴らに銃弾の嵐を浴びせて海の藻屑に変えてください!
俺は{蜂蜜色の靄}を媒体に『結界術』を展開しての『オーラ防御』で艦隊を守ります!
(「いい感じね。指揮官の差ってやつをみせつけてやりましょう!」)
はい!せんせー!



「吸血鬼艦隊の包囲に成功! やりましたね! せんせー!」
 味方の艦隊にぐるりと取り囲まれ、海上にて行き場をなくした『吸血鬼艦隊』を指さして、歓声を上げるのは兵庫。
 前哨戦にあたる敵哨戒部隊の撃滅や航路の予測など、数々の作戦が功を奏して有利な初期配置を取ることができた。
(喜ぶのはまだ早いわ、黒影。ほら包囲を突破しようと攻撃を仕掛けてきたわよ)
 しかし油断はしないようにと、頭の中の教導蟲が彼を戒める。彼女の言葉通り、敵艦の甲板から人間サイズの何かが次々と飛び立っているのが見える。よく目を凝らせば、そいつらの翼には戦闘機のような改造が施され、腰には大量の爆弾をぶら下げていた。

「あのコウモリ……ゾルダートグラードの連中か!」
 話には聞いていたので驚きは少ないが、実際に目にするとやはり脅威を感じる。あの『コウモリ爆撃兵』は見た目の通り、空中戦と爆撃を得意とする機械兵士だろう。通常の軍用機がいない吸血鬼艦隊における艦載機役というわけだ。
(こちらに空爆を仕掛けるみたい。このままだと轟沈よ?)
「なら弾幕を張るまで!」
 スクイリアの問いに即答する形で、兵庫は【蜂皇流銃陣操術・バレットシャワー】を発動。軍衣を羽織り、軍帽を頭に被った、人間サイズのカマキリの部隊を甲板に整列させる。彼らの役目は白兵戦ではなく射撃戦――普通のカマキリであれば大鎌が備わっているはずの彼らの両腕は、鈍色の機関銃になっていた。

「銃士隊の皆さん! コウモリと吸血鬼の奴らに銃弾の嵐を浴びせて海の藻屑に変えてください!」
 指揮官たる兵庫の号令一下、カマキリの銃士隊は飛来する敵オブリビオンに向けて一斉射撃を開始する。完璧な規律によって統率された彼らの弾幕はアリの子一匹通さないほどの緻密さで、情け容赦なくターゲットを蜂の巣に変える。
「ぐぎゃっ?!」「おのれ、虫けらがっ!」
 迂闊にも銃士隊の射程範囲に入った敵部隊は次々に撃墜され、爆弾と共に海に沈んでいく。だが彼らも単なる寄せ集めではなく、原初の吸血鬼の下に集った艦隊の精鋭たちだ。再生力の高い吸血鬼が攻撃の要となる爆撃兵の盾となり、弾幕を凌ぐためのフォーメーションを組み上げる。

「俺は結界術を展開して艦隊を守ります!」
 敵の爆撃兵が接近しているのに気付いた兵庫は、身に纏う「蜂蜜色の靄」を媒介にしてオーラ防御を広範囲に展開。
 味方艦隊を包み込むように発生したオーラの結界は、コウモリ爆撃兵から降り注ぐ焼夷弾の雨を受け止め、その被害を最小限のものとした。
「キキッ?! 防がれただと!」
 爆撃兵の【無差別爆撃】は、より多くの被害と死者が出るポイントを優先して狙ってくる。ユーベルコードを使えないサンダーバードの船員を乗せた艦が被弾すれば犠牲者は避けられなかっただろう。その目論見を先読みして防御策を講じた兵庫の手腕は、敵も驚くものである。

(いい感じね。指揮官の差ってやつをみせつけてやりましょう!)
「はい! せんせー!」
 城に引き籠もって姿を見せない向こうの指揮官と違って、こちらは最前線で仲間たちと共に戦っている自負がある。
 兵庫の指揮によって銃士隊は縦横無尽に弾幕の嵐を巻き起こし、蜂蜜色の結界と合わせて敵を寄せ付けず。攻守ともに盤石な軍隊虫の戦列を、打ち崩すことは困難であった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

儀水・芽亜
すみません、艦を敵艦に寄せてください。
「騎乗」「軽業」でナイトメアライド。両艦の間の海を飛び越えて、敵艦甲板でアリスランスを振るって「騎乗突撃」します。
狙うのはもっぱら原初の吸血鬼。全く、滅びたなら滅びたままでいればいいものを。
勢いを乗せた「ランスチャージ」も絡めて、討滅していきましょう。
コウモリ怪人、間違えました、コウモリ獣人は投げてくる焼夷弾を槍で弾きながら、他の方にお任せする方針で。

“闇の淑女”オクタンスが座する艦まで、オブリビオンを蹴散らし、艦と艦の間を飛び越えて駆け抜けましょう。
ナイトメアの機動力を最大限に引き出せば、この程度切り抜けられます。
オクタンス、首を洗って待っていなさい!



「すみません、艦を敵艦に寄せてください」
「ラジャー!」
 包囲された敵艦を視界に捉えた芽亜は、自艦を動かしているサンダーバード達に要請を出す。ユーベルコードの飛び交う異能者達の海戦において、戦局を左右するのは兵器の性能よりも個人の武勇。まだ大砲が発達する以前の艦隊戦にならって、彼女は敵艦に切り込みをかけるつもりだ。
「さあ、誰から《悪夢》の蹄にかかりたいのかしら?」
 召喚するのは純白の白馬型来訪者『ナイトメア』。その背に跨った芽亜は【ナイトメアライド】を発動し、接近した両艦の間の海を飛び越えた。夢を通じてナイトメアを支配下においた「適合者」たる彼女は、現実世界においても彼らの力を具現化し、戦うことができるのだ。

「ナイトメア適合者だ、警戒しろ!」「キキッ、なんですと?」
 過去に能力者との交戦経験がある吸血鬼達は、悪夢の白馬に乗って甲板を駆ける女を見て、即座に迎撃体勢を取る。
 一方で異世界からの増援であるゾルダートグラードの「コウモリ爆撃兵」は、あまり脅威を理解できていない様子。その認識の差異による隙を突いて、芽亜は原初の吸血鬼に狙いを定めた。
「全く、滅びたなら滅びたままでいればいいものを」
 敵艦に飛び移った時の勢いをそのままに、振るうのはアリスランス『ディヴァイン・ユニコーン』。美しき鴇色の矛先が心臓を貫けば、いかな原初の吸血鬼とて生きてはいられまい。「ぐがッ?!」と断末魔を上げて倒れた敵は、灰になって骸の海へ還っていく。

「クッ、こいつ強いぞ!」「止めろ! これ以上行かせるな!」
 芽亜が向かう先は"闇の淑女"オクタンスが座する艦。敵もそれには気付いているのか、身を挺して行く手を阻もうとしてくる。しかし、過去の『吸血鬼艦隊』の時代から時の止まった原初の吸血鬼と、銀の雨降る時代を最後まで戦い抜き、猟兵としても経験を積んだ芽亜とでは、練度に大きな開きがあった。
「ナイトメアの機動力を最大限に引き出せば、この程度切り抜けられます」
 ランスチャージによって目前の吸血鬼を蹴散らし、敵艦の甲板上を我が物顔で駆け抜け、艦と艦の間を飛び越える。
 その機動はさながら白い稲妻の如し。数の上では遥かに勝るはずのオブリビオンが、たった1人を足止めできない。

「キキッ、不甲斐ない!」
 爆撃に味方を巻き込む恐れがあった事から、艦上の戦闘にはあまり積極的に参加していなかったコウモリ爆撃兵も、この有様を見てとうとう攻撃に加わる。【反響定位】による広範囲感知が可能な彼らは、疾走する芽亜にピンポイントに狙いをつけて焼夷弾を投げ落とす――。
「おっと、危ないですね」
 しかし芽亜も察知していたか、槍のひと振りで落ちてきた焼夷弾を弾く。このまま頭上から攻撃を受け続けるのは面倒だが、撃退のために足を止めるのは惜しい。少し迷いはしたが、彼女はこのまま当初の目標を完遂することにした。

「コウモリ怪人、間違えました、コウモリ獣人は他の方にお任せする方針で」
 この海戦に参加している猟兵は自分だけではない。事実、そちらの方面で既に戦果を挙げている猟兵もいるようだ。
 芽亜はあくまで前方を――艦隊中央にそびえ立つ「影の城」を目標にして、敵艦隊の内部をひたすらに駆け続ける。
「オクタンス、首を洗って待っていなさい!」
 もう二度とこの世界に戻ってこられぬよう、過去の遺恨はここで完全に断つ。その気迫が彼女の表情に漲っている。
 ひとたび勢いに乗ったナイトメアと彼女を止められるものは誰もおらず、白と鴇色の軌跡が敵陣を穿っていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベルト・ラムバルド
アドリブ上等

おいでなすったか!
吸血鬼に…機械化されたコウモリ獣人!?なるほど獣人戦線の増援か!
なんであれベルト・ラムバルドがきゃつらを叩き騎士としての力を見せつけてやるのだ!行くぞ!

キャバリア駈って空中機動で突撃!
吸血鬼どもは私のカリスマオーラで目潰して二刀の剣で叩き落とす!吸血鬼は私の威光で蹴散らす!
…問題はコウモリ!ちょこまかと動く!
そう言えばコウモリは超音波で周囲の物や距離を探ると聞いた…
ならばブレイブクラフトで武器を召喚!BS-Bサイレントヴォイス!音波兵器で奴らの耳を滅茶苦茶にしちゃる!

《コウモリ野郎~!貴様等なんか怖くないわ~い!死ぬのは貴様等のほうじゃ~!神様にでも祈ってろ~!》



「おいでなすったか! 吸血鬼に……機械化されたコウモリ獣人!? なるほど獣人戦線の増援か!」
 敵艦隊よりこちらに接近してくるオブリビオンが、大きくニ種類に分かれているのをベルトは確認する。事前情報で聞いてはいたが、シルバーレインと獣人戦線、異なる世界のオブリビオンが並んで襲ってくるのは奇妙な光景である。
「なんであれベルト・ラムバルドがきゃつらを叩き騎士としての力を見せつけてやるのだ!」
 しかしベルトの行動方針はシンプルかつ明快。騎士の誇りにかけて悪者を討伐し、勝利と名誉をこの手に掴むのだ。
 いよいよ本格的な戦闘という事もあってテンションの上がってきた彼は、後光を放ちながらキャバリアを駆り、戦艦から再び発進する。

「行くぞ!」
 スラスターを全開にしたベルトの「パロメデス」は、敵を上回る驚異的なスピードで空を翔ける。彼に近付かれると嫌でも目に入るのが、その身より発される「ハイパーカリスマオーラ」だ。圧倒的なまでに神々しい謎のオーラの輝きは、夜の住人たる吸血鬼にとっては少々――いや、かなり眩しい。
「吸血鬼は私の威光で蹴散らす!」
「うおっ?!」「ま、まぶし……ぎゃぁッ!!」
 その光をうっかり直視してしまい、視界を潰された吸血鬼達が怯んだ瞬間、パロメデスの振るうニ刀が彼奴らを海に叩き落とす。見た目は派手だが戦い方そのものは堅実だ。数で勝る『吸血鬼艦隊』の本隊相手にも、まったく引けは取っていない。

「……問題はコウモリ! ちょこまかと動く!」
「キキキッ!」
 吸血鬼とは違って『コウモリ爆撃兵』のほうは、ベルトのカリスマオーラを浴びても平然と飛び回っていた。彼らはもともと視力に頼ってはいない種族。その特性を活かして昼夜問わず爆撃の雨を降らせる【空飛ぶ悪魔】として、故郷では恐れられてきたのだ。
「そう言えばコウモリは超音波で周囲の物や距離を探ると聞いた……ならば!」
 その特性を逆手に取ってやろうと、ベルトは【ブレイブクラフト】で武器を召喚。仇なす敵を倒したいという彼の願いによって創造されるその武器は、毎回形状も用途も違う。しかし使用法を誤らなければ、必ずや彼の望みに応えてくれるものばかりだ。

「BS-Bサイレントヴォイス! 音波兵器で奴らの耳を滅茶苦茶にしちゃる!」
 空中より出現した巨大なスピーカー型の武装が、パロメデスの肩部に装着される。どうやらコレは音の力で全てを破壊する兵器のようだ。超音波さえ捉えられるほど聴覚の発達したコウモリ相手なら、与えるダメージも倍増するはず。
《コウモリ野郎~! 貴様等なんか怖くないわ~い!》
「キキィーッ?!!」
 ベルトがマイクに向かってありったけの声量で叫ぶと、兵器によって増幅された音波が周囲の敵へと浴びせられる。
 それはもはや衝撃波と呼べるレベルであり、直撃すれば鼓膜を破壊されるどころでは済まない。耳から血を、口から泡を吹きながら、コウモリ爆撃兵がバタバタと墜落していく。

《死ぬのは貴様等のほうじゃ~! 神様にでも祈ってろ~!》
「ギェェェェッ?!」「う、うるせぇぇぇ!!?」
 効果ありとみたベルトはそのまま罵声と悪口を吐きまくり、音の暴力をもってオブリビオンどもを滅多打ちにする。
 オーラの輝きと音波を放ちながら飛び回る彼のキャバリアは、おそらくこの戦場でも1、2を争うレベルで目立っていただろう。そして、その目立ちっぷりに見合うだけの戦果を挙げているのも事実であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ブラミエ・トゥカーズ
やっと敵の姿が見えたと思ったが蝙蝠であるか。
余にとって身内の様な物であるし、殺すには時間がかかりそうであるな。

まだ棺桶の中
蝙蝠は眷属であり、また病の媒介者
そのため赤死病に関連するUCは効果薄
だから、病の敵、吸血鬼の敵、不浄の敵を呼び出す

騎士団を【対吸血鬼・浄化】属性にて呼び出す
空を飛ぶ敵を矢で狙う
彼等は彼等の信じる神の名の祈り敵を打つ
敵が目の前に現れたらその身を犠牲にしてでも迎え撃つ
周りの騎士も敵を倒す為なら仲間を巻き込む事も厭わない

露払いは貴公等に任せる。
病ではないが放っておけば人に害が出るぞ。
余の棺を盾にするのはどうかと思うが。
熱いのだが?

敵を倒す為なら彼等は何でも囮にする



「やっと敵の姿が見えたと思ったが蝙蝠であるか」
 味方艦隊が『吸血鬼艦隊』との交戦状態に入っても、ブラミエはまだ棺桶の中に入ったままだった。蓋を開けて外の様子を窺えば、戦闘機のように改造されたコウモリ獣人が空を飛んでいるのが見える。話に聞いたゾルダートグラードの機械兵士とはあれのことだろう。
「余にとって身内の様な物であるし、殺すには時間がかかりそうであるな」
 コウモリは彼女の眷属であり、また病の媒介者でもある。そのため彼女の正体であるウイルス――赤死病に関連するユーベルコードは効果が薄いと推測された。御伽噺の吸血鬼なのに船に乗せられたりと、今回の依頼はつくづく彼女と相性が悪い。

「では、病の敵、吸血鬼の敵、不浄の敵を呼び出そう」
 しかしそれで彼女が万策尽きたと思ったら大間違いだ。ブラミエは例によって棺から足を出さぬまま、【歪曲伝承・魔女狩りの灯】を発動。浄化の属性を有する対吸血鬼戦用の騎士団を呼び出し、『吸血鬼艦隊』の討滅に向かわせる。
「恐るべき人よ。愛しき無知よ。己の善にて邪を蹂躙する正しき者よ。怨敵共よ、魔女狩りを始めるが良い。汚れた敵は此処にいるぞ」
 彼らは彼らの信ずる神の名を祈り敵を討つ。その主たる武器とするは"火"だ。不浄や穢れを焼いて――時には病人もろとも消毒することで、吸血鬼という伝染病の拡大を防ぐ。医療の発達が未熟で迷信に囚われた時代においては、それが数少ない病への対処法だったのだ。

「露払いは貴公等に任せる。病ではないが放っておけば人に害が出るぞ」
 ブラミエに促されるまでもなく、騎士団は率先して敵の迎撃にあたる。空を飛び回る吸血鬼や『コウモリ爆撃兵』に火矢を射掛け、甲板に降りてきた輩には松明を押し付ける。その戦いぶりは苛烈かつ、一切の損耗を考慮しなかった。
『主よ、おお主よ、我らに汝の敵を討たせたまえ!』
「キキッ、なんだコイツら……アヂィッ!」「か、体が燃えるッ?!」
 敵が目の前に現れたら、その身を犠牲にしてでも迎え撃つ。周りの騎士も敵を倒す為ならばと、仲間を巻き込む事も厭わずに火矢を射る。世界の為、無力な人々の為、邪悪を討滅するのが彼らの使命だ。その真実を知らずとも、純粋な信念と信仰心に支えられた彼らの精神は、本物の怪物を前にしても一歩も退くことがなかった。

『火を、もっと火を!』
「グギャァァァ……ッ!!」「お、おのれぇっ!」
 悪と疑わしきをことごとく罰する吸血鬼狩りの火によって、次々に焼き滅ぼされていくオブリビオン達。たかが人間風情にやられてたまるかと躍起になって反撃を仕掛けてくるが――騎士達も倒れた仲間の遺体を含めたあらゆるものを使って凌ぎ、さらに攻め返す。
「余の棺を盾にするのはどうかと思うが。熱いのだが?」
 当然その中には自分達を呼び出したブラミエのことも含まれている。敵を倒す為なら彼らは何であれ囮にするのだ。
 本人も棺桶も頑丈なので即死するほどではないが、熱いものは熱い。それでも文句を言う程度に留めているのは懐が深いのか、あるいは単に面倒なのか。

「まあ良い。早々に始末を付けよ」
 そんな一幕がありつつも、ブラミエの騎士団は吸血鬼艦隊相手に優勢のまま戦いを進めていた。火に追い立てられたコウモリと吸血鬼はそのまま焼け死ぬか海で溺れ死ぬかの二択を選ばされ、悲憤と屈辱を抱えながら骸の海へと還る。
 この分ならじきに"露払い"は完了するだろう。その時こそついにブラミエ本人が出陣するのか――それはまだ、本人の心持ち次第であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フリッツ・バーナー
引き続きバルバロッサと一体化した状態

案内させた哨戒兵は、他の敵兵から見える位置で背後より衝撃波を当てて粉砕する
此方にヘイトが集まり兵達が向かってくれば良し
昂ぶる闘争の歓喜に呼応し、広域兵器『ODE/AN-DIE-FREUDE』が励起する
バルバロッサの口が開き衝撃波が放たれる
密集すればするだけ威力も上がる
運良く生き残ったとて、まともに動ける者はどれほど残るか
さあ、震えて助けを乞うが良い
お優しい味方がきっと支援に現れるだろう
ある程度の数が到着したら、また衝撃波を叩きつけるだけだがね
ごきげんよう、そしてさようなら

まだまだフルコースはこれからだ
堪能させてくれたまえよ



「案内ご苦労」
「ギャッ?!」
 敵艦隊が目視できる距離までやって来ると、フリッツは"案内役"に仕立て上げた哨戒兵に背後から衝撃波を当てる。
 友軍への敵意を植え付けられ良いように利用され、そして役目を終えたオブリビオンは一瞬で粉砕され海に散った。
「クソっ、よくも!」
 その光景を見ていた『吸血鬼艦隊』の兵士達からは、逃げてきた哨戒がやられたと思うだろう。事実とは若干異なるのだが、それで此方にヘイトが集まればフリッツとしては目論見通りだ。吸血鬼と獣人の混成部隊が群れをなして向かってくるのを確認すると、彼は引き続き「バルバロッサ」と一体化した状態で戦闘態勢に入った。

「諸君には特別に、バルバロッサ最大の武装をお見せしよう」
 闘争に昂ぶる操縦者の歓喜に呼応して、赤黒い人型機に搭載された広域兵器「ODE/AN-DIE-FREUDE」が励起する。
 バルバロッサの口が大きく開き、膨大なエネルギーが集束される。それを目撃した敵部隊が警戒しても、もう遅い。
「斉唱せよ!」
 【作戦発令:金星】により放たれるは、衝撃波と化した大音量の咆哮であった。このユーベルコードは音の性質上、敵の数や反響物が多いほど威力が上昇する。広大な海上ではなかなか最大効果を発揮するのが難しい代物だが、こちらの挑発に釣られてまんまと密集していれば、効果は絶大だ。

「「ぐぎゃぁぁぁぁぁッ!?!!!」」
 衝撃波が届く範囲にいたオブリビオンは、吸血鬼もコウモリ獣人も区別なく薙ぎ払われる。運良く生き残ったとて、まともに動ける者はどれほど残るか。ひとたびバルバロッサの咆哮を聞いてしまった者はあまりの恐怖に怯み、大幅な戦意低下と行動不能状態に陥るのだ。
「さあ、震えて助けを乞うが良い。お優しい味方がきっと支援に現れるだろう」
「ひ、ひぃっ……!」「助けてくれぇ!!」
 貴種としてのプライドも、超大国の誇りもどこへやら。たった一撃で闘志をへし折られた敵兵は、フリッツの眼の前で無様に命乞いをする始末。そんな友軍を見捨てるわけにもいかずに、『吸血鬼艦隊』は援軍を送って寄越すが――。

「ある程度の数が到着したら、また衝撃波を叩きつけるだけだがね」
 最初に始末した哨戒兵と同じ事だ。戦意喪失した兵士を釣り餌にしてより多くの敵兵を呼び寄せ、一網打尽にする。
 愚鈍な味方を見殺しにできる非情さを持つ指揮官でなければ、このループから抜け出すのは難しい。あるいは全軍を掌握できず、部隊が先走ってしまう事もあるだろう。
「ごきげんよう、そしてさようなら」
「しまっ……うぎゃぁぁぁ!!?!」
 いずれにせよ『ODE/AN-DIE-FREUDE』の攻撃範囲に入った敵を逃がすつもりなどフリッツには無い。バルバロッサの咆哮が轟くたびに海域には波紋が生じ、多数の兵士が犠牲となる。それはもはや戦争と言うより蹂躙に等しかった。

「まだまだフルコースはこれからだ。堪能させてくれたまえよ」
 阿鼻叫喚の吸血鬼どもを見下ろして、|戦争狂《ウォーモンガー》は愉快そうに微笑む。これだけやっても『吸血鬼艦隊』の戦力は豊富で、さらに本拠地たる影の城には『闇の淑女オクタンス』というメインディッシュも残っている。飽きさせてくれそうにないこの海戦を、彼は心ゆくまで楽しむのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レヴィア・イエローローズ
幾ら攻撃行動を感知しようとも、それに反応できなければ意味はない

『触れた存在・事象全てを破壊する真空の波』を纏い、音速を突破して吸血鬼艦隊を蹂躙していくわ
パンツァーキャバリアに乗り込んだ状態で艦隊に突撃し、沈めながら爆撃兵を新たに飛ばすのを阻止しながらサンダーバードと共に残った爆撃兵を掃討

わたくしがパンツァーキャバリアによる機動戦で駆逐するわ
貴方達は電撃を広域放射する事で退避する域を狭めて頂戴!
高速で残った吸血鬼艦隊やサンダーバード艦隊を足場にしながら砲撃、或いは跳躍して突撃できるなら高速で爆撃兵を轢殺していく

このまま、オクタンスの元へと行くわよ!



「来たわね」
 新生『吸血鬼艦隊』に合流したゾルダートグラードの機械兵士、コウモリ爆撃兵の姿を捉えたレヴィアは、にわかに険しい表情となる。【反響定位】によって周囲の行動を感知し、改造された翼で自由に空を飛び回りながら爆撃を行う彼らは、獣人戦線においても厄介な敵であった。
「幾ら攻撃行動を感知しようとも、それに反応できなければ意味はない」
 だからこそ獣人戦線の軍人ならば対抗手段もすぐに思いつく。【黄薔薇開花・鹿神終焉崩壊真空波】を発動した彼女は真空の波を身に纏い、パンツァーキャバリアに乗り込んだ状態で突撃を開始した。その疾走に伴って生じる|衝撃波《ソニックブーム》は、彼女のスピードが音速を突破している証だ。

「キキッ……――?!!!」
 音を頼りにしているコウモリ爆撃兵には、音速を超える対象の動きは察知できない。猛進するレヴィアのキャバリア「|生と死を羨み糧にするもの《ヤマラージャ・イエローローズ》」の進路上にいたオブリビオンは回避する暇もなく蹂躙され、跡形もなく消し飛んだ。
「我が黄色に応じて開花せよ、羨望の深淵。それは遍く接触した存在と事象を破壊する真空の波を纏う御業。肉体に付与された後に疾走せよ」
 そのままレヴィアは『吸血鬼艦隊』の戦艦に突撃。彼女から放たれる真空波は、触れた存在・事象全てを破壊する。
 どれだけ頑丈で巨大な船体を誇っていても意味はなく、まるで砂礫の城を崩すように戦艦は海の底に沈んでいった。

「わたくしがパンツァーキャバリアによる機動戦で駆逐するわ。貴方達は電撃を広域放射する事で退避する域を狭めて頂戴!」
「了解!」
 発着点となる戦艦を沈めてしまえば、爆撃兵を新たに飛ばされるのは阻止できる。すでに発艦した爆撃兵の掃討は、味方艦にいるサンダーバードとの連携作業だ。ユーベルコードを使えない彼らの|超能力《アビリティ》は世界結界の効果で弱体化し、射程距離もやや心許ないが、それでも上空の敵に対する牽制程度にはなった。
「こっちだ、コウモリ野郎!」
 稲妻や戦艦からの砲撃を駆使して『吸血鬼艦隊』を攻め立て、少しでも猟兵を援護しようとするサンダーバード達。
 彼らの奮戦にレヴィアも応えんと、敵味方の艦隊を足場にしながら戦闘海域を駆け回り、目に付いた敵を片っ端から駆逐していく。

「そこよ!」
「ギ、ギギャーッ?!!」
 真空波と共に超高速で跳躍したレヴィアのキャバリアが、サンダーバードに追い立てられた爆撃兵を轢殺していく。
 今の彼女の機動力と突破力に対抗できる戦力は『吸血鬼艦隊』の中にはいないだろう。戦場を己が庭としたシカの王女は、勢いに乗って敵艦隊の奥深くへと進出する。
「このまま、オクタンスの元へと行くわよ!」
「イェッサー!」
 目指すは艦隊中央にそびえ立つ影の城。原初の吸血鬼『闇の淑女オクタンス』はあそこで指揮を執っているはずだ。
 包囲を狭めるサンダーバード艦隊と共に、敵艦を次々と沈めながら疾走するレヴィア。海戦の展開は徐々に終盤へと迫りつつあった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

暗都・魎夜
【心情】
機械兵士、一応来訪者ではあるので話ができる奴ならよかったが、こいつは予想以上にろくでもねえ
今回は容赦抜きで吹き飛ばさせてもらうぜ

「手加減するつもりはねえ。全力で行くぜ、イグニッション!」

【戦闘】
「天候操作」でUCを発動

雨を降らせて反響定位を妨害しつつ、万色の雷での攻撃
サンダーバードに対しては優しい雨での回復を行う

UCによる攻撃と並行して「ジャンプ」「ダッシュ」で移動し、機械兵士と吸血鬼に対して「斬撃波」で攻撃
そのほかの攻撃に対しては「見切り」「武器受け」「地形の利用」で回避
「決戦配備でも借りられりゃ楽なんだけどな」

銀誓館の実力、簡単なデモンストレーションだけど、感想はどうだい?



「機械兵士、一応来訪者ではあるので話ができる奴ならよかったが、こいつは予想以上にろくでもねえ」
 シルバーレイン世界にいる吸血鬼や土蜘蛛といった異種族は、大昔に異世界から来訪した存在だと伝えられている。
 だが、こうして実際に対峙してみると、来訪者と奴らは根本的に異なる存在だと感じる。全ての兵士がオブリビオンで構成された獣人戦線の超大国「ゾルダートグラード」は、原住民を殺戮して拡大を続ける恐るべき侵略者だ。
「今回は容赦抜きで吹き飛ばさせてもらうぜ」
 その尖兵が原初の吸血鬼と手を組み、こちらの世界にまで手を伸ばしてきたのならば、銀誓館学園の能力者としても黙ってはいられない。愛する妻や仲間達、数多の人々が生きるこの世界を守る為、魎夜はここに立っているのだから。

「手加減するつもりはねえ。全力で行くぜ、イグニッション!」
 能力者の証たるイグニッションカードを掲げ、魎夜は収納していた装備を瞬時に装着する。その手に握るは炎を模した魔剣「滅びの業火」。幾つもの戦いを共に経てきた相棒の力を借りて、発動するのは【ヘヴンリィ・シルバー・ストーム】だ。
「降り注げ、|銀色の雨《シルバーレイン》!」
 今やひとつの時代の名ともなった、全ての能力者・来訪者・ゴーストの神秘の源。アビリティからユーベルコードに進化を遂げたストームブリンガーの力は、それを自らの意志で降らせる事さえ可能となった。彼を中心にして降りだした銀色の雨は、たちまち戦場全体に広がっていく。

「キキッ……なんだこの雨は。普通ではないぞ……?」
 神秘の力を帯びた銀色の雨は、コウモリ爆撃兵の【反響定位】を妨害する。超音波による周囲の把握ができなくなった彼らは、盲目になったようにフラフラと空中をさまよう。そこに襲い掛かるのが、雨と共に降ってきた万色の雷だ。
「喰らいな!」
「ギャッ?!」
 落雷が直撃したコウモリは悲鳴を上げ、黒焦げとなって海に墜落する。万色の雷はその一度きりではなく、敵だけを狙って次々に降り注ぐ。たった一人で天候を操作するその異能、戦闘に活用すればこれほど恐ろしいものかと、敵艦隊は改めて認識させられる事となった。

「雨を降らせるだけが能じゃないぜ」
 ユーベルコードによる攻撃と並行して、魎夜は軽快なダッシュとジャンプで敵艦に飛び移ると、甲板に居並ぶ敵兵に攻撃を仕掛ける。滅びの業火より放たれる斬撃波は紅蓮の刃となって、周囲の機械兵士と吸血鬼を纏めて焼き払った。
「ぐおぉぉッ……おのれぇ!」
 手酷いダメージを負いながらも、歯を食いしばって反撃してくるオブリビオンもいる。そうした奴らからの攻撃は、冷静に見切って剣で受けるか、揺れる船上という地形を利用して回避する。ただ攻めるだけではない、防御に関しても魎夜の技量は達人のそれだった。

「決戦配備でも借りられりゃ楽なんだけどな」
「HAHAHA! 代わりにオレ達がいマース!」
 無い物ねだりをしても仕方ないかと、魎夜は自分と味方艦隊の力で敵艦隊の撃滅を目指す。万色の雷は止むことなく敵の頭上を脅かす一方で、優しい雨は味方のサンダーバードに回復効果をもたらす。猟兵ほど丈夫ではない彼らでも、これなら安心して戦えるだろう。
「銀誓館の実力、簡単なデモンストレーションだけど、感想はどうだい?」
「キ、キキッ……まさか、これほどとは」「おのれ、銀誓館め!」
 銀誓館出身の能力者と初めて対峙した獣人戦線のオブリビオンは、その凄まじき力に驚き。かつて銀誓館に敗北した吸血鬼のオブリビオンは、悔しさに顔を歪ませる。|銀の雨が降る時代《シルバーレイン》から時代が移り変わっても、この世界を守護するのは今なお俺達だという矜持を胸に、男は剣を振るい続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
士気は失われないか
だが【気合い】と【根性】で覆すつもりなら、それは私の領分だと言っておこう

荒波と爆風の中でも揺るがず舳先で応戦する姿(威厳)は、操艦する乗組員を強く【鼓舞】する
彼らが蝙蝠を集める弱気な言葉を吐くことはない
故に、僅かにでも漏れ出れば、誘蛾の如く

神よ! 我が身を救いたまえ!(大声)
神よ! 我が身に――邪悪を焼き尽くす力を与えたまえ!

掌中に集う超高熱の魔力(全力魔法・属性攻撃)
万象を灰燼と化す【紅炎灼滅砲】!
まんまと【おびき寄せ】られた蝙蝠どもを、710本に及ぶ炎熱の極大破壊光線が跡形も残さず【焼却】する!



「士気は失われないか」
 オリヴィアがざっと様子を見た限り、サンダーバード艦隊に追い詰められても『吸血鬼艦隊』の動揺は少なかった。
 退路も封鎖された以上は戦うしか無い事情もあるだろうが、組織的な反撃でこちらの包囲を食い破らんとする動きは見事だ。特に、かつての敗戦のリベンジを誓う吸血鬼オブリビオンの士気は高い。
「だが気合いと根性で覆すつもりなら、それは私の領分だと言っておこう」
 これまでにも彼女は幾度となく、劣勢を精神力で乗り越える戦いを経験してきた。気持ちの勝負で負ける気はない。
 戦艦の軸先に立ち、破邪の聖槍を構え、敵艦から迫りくるオブリビオンを先頭で迎え撃つ。自分がここに立っている限り、この艦を沈めさせはしない。

「来るがいい」
「キキッ、いい度胸だ」「血祭りに上げてくれる!」
 吸血鬼と機械兵士からなる混成部隊は、猟兵であるオリヴィアを大きな脅威と認め、大挙して攻撃を仕掛けてくる。
 上空より降り注ぐ焼夷弾や、華やかな輪舞曲を思わせる斬撃。それらをオリヴィアを槍一本で受け流し、突き返す。
「ヒュゥ! すげえや!」「見惚れるなよ野郎ども、オレ達の仕事を忘れるな!」
 荒波と爆風の中でも揺るがずに舳先で応戦する彼女の勇姿は、乗組員を強く鼓舞する。もし彼らのうち一人でも弱気な言葉を吐けば、耳聡い【空飛ぶ悪魔】どもは瞬時にそちらへテレポートして襲い掛かっただろう。この海戦において最も危惧すべきは操艦する者を殺められる事。彼女が最前線に立つのは囮の意味もあるのだ。

「神よ! 我が身を救いたまえ!」
「キキキッ……誰も救いなどしない」
 たとえ僅かにでも弱音が漏れ出たとしても、それをかき消す大声でオリヴィアは叫ぶ。神に救済を求める祈りの言葉は誘蛾灯となり、たちまち彼女の頭上には雲霞の如くコウモリ爆撃兵が群れをなす。これだけの数から一斉に爆弾を落とされでもしたら、流石に無事ではいられまい。
「神よ! 我が身に――邪悪を焼き尽くす力を与えたまえ!」
 だが。続いて唱えられた祈りの聖句が、オリヴィアの掌中に光を灯す。一極に集中された超高熱の魔力が、炎となり輝いているのだ。この状況を作り出したのは決して偶然ではない、敵を一網打尽にするチャンスを彼女は待っていた。

「猛き炎よ、我が掌中に集い、万象を灰燼と化す破壊の奔流となれ――!」
 オリヴィアの掌より発動せしは【紅炎灼滅砲】。710本に及ぶ炎熱の極大破壊光線が、まんまと誘き寄せられたコウモリどもを狙い撃つ。今まさに爆弾を落とそうとしていた爆撃兵は、艦上より放たれた紅蓮の閃光に飲み込まれ――。
「「ギ、ギギャァァァァァァァーーーッ!!!!?!」」
 耳をつんざくような断末魔の絶叫を残して、そこにいたコウモリ爆撃兵は跡形も残さず焼却された。僅かに残った灰の雨が、ぱらぱらとオリヴィアの元に降りかかる。それを受けながら彼女を乗せた艦は吸血鬼艦隊に圧をかけていき、敵の本拠地たる「影の城」に迫りつつあった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イグニス・ランフォード
遅れたが話を聞いて来てみれば…あの女、性懲りもなくまた同じことを…
また沈めて……いや、ここで倒そう
それができる力が|猟兵たち《みんな》にはある

装備・バリアウォールで船や味方を守りつつ敵を見る
蝙蝠…妖獣や獣人と違う、なるほど異世界の住人か
攻撃を察知しているようだがさて、戦場を覆う攻撃にはどう反応するかね…?
UC発動、晴れのち…銀の雨だ
発動した攻撃…戦場に全体に降る万色の雷…
雷だけに反応できても、それを回避できるか…見ものだな?
降りてきたら直接ぶちのめそう

さて、乗り込むまで…どれだけ減らせるかな…?



「遅れたが話を聞いて来てみれば……あの女、性懲りもなくまた同じことを……」
 銀誓館学園の卒業生であるイグニス・ランフォード(|近接武術師《ストライクフォーサー》・f35304)は、まだオブリビオンとなる以前のオクタンスと『吸血鬼艦隊』を知っていた。死と隣り合わせの青春を過ごした学生時代の記憶は、今も鮮明な思い出であり。同時に、護るために戦うという意思も変わってはいない。
「また沈めて……いや、ここで倒そう。それができる力が|猟兵たち《みんな》にはある」
 一時は重傷を負い引退も考えた身ではあるが、今は自分も猟兵の一員である。これ以上原初の吸血鬼の好きにはさせまいと、詠唱兵器「Georgius-Gauntlet3」を装着した右腕を握りしめる。竜殺しの聖人の名を肖ったガントレットは、彼の闘志に応えるように魔力を唸らせた。

「みんなは傷つけさせない」
「キキッ、小癪な……!」
 イグニスはまず味方と艦隊を守るために、詠唱兵器に搭載された「バリアウォール」から透明な障壁を発生させる。
 上空からは『コウモリ爆撃兵』の部隊が焼夷弾を雨あられと降らせてくるが、このバリアによって味方の被害は最小限に抑えられていた。
「蝙蝠……妖獣や獣人と違う、なるほど異世界の住人か」
 バリア越しに見上げた空にいる敵は、学生時代には見たことのない種族だった。獣人戦線と呼ばれる異世界を侵略する超大国『ゾルダートグラード』の機械兵士。動物の特性を機械化でさらに強化したオブリビオンだ。あのコウモリの場合なら飛行能力に加えて、超音波の【反響定位】でレーダーのように周辺の感知を行うのだろう。

「攻撃を察知しているようだがさて、戦場を覆う攻撃にはどう反応するかね……?」
 厄介な相手だが対抗策はあると、イグニスはすっと天に拳を掲げ【ヘヴンリィ・シルバー・ストーム】を発動する。
 澄みきった青空からしとしとと雨が降り始め、どこからかゴロゴロと雷鳴が響く。無論ただの天気雨などではない。
「晴れのち……銀の雨だ」
「キキッ……?!」
 この世界における神秘の源、シルバーレイン。同時に万色の稲妻がコウモリ爆撃兵の頭上から矢のように降り注ぐ。
 落雷の音を聞いたコウモリは直ちにバラバラになって回避行動を取るが、雨と雷はなおも止む気配を見せなかった。

「戦場に全体に降る万色の雷……雷だけに反応できても、それを回避できるか……見ものだな?」
 イグニスがこのユーベルコードを維持できる113秒間、万色の稲妻は絶えず敵に攻撃を続ける。察知できたとしても全て避けきるのは至難の業だ。轟く雷鳴と閃く雷光の中、コウモリ爆撃兵は次々に撃ち抜かれ、海へと落下していく。
「ま、マズい……グギャッ!」
 稲妻から逃れるために高度を落とした相手は、イグニスが直接ぶちのめす。手甲の詠唱兵器を纏った彼の拳は重く、地べたに降りたコウモリなど相手にならない。どこへ行っても逃げ場などないことを悟った敵は、無様な悲鳴を上げて骸の海へ還る他なかった。

「さて、乗り込むまで……どれだけ減らせるかな……?」
 向かうは敵艦隊の中央にそびえ立つ「影の城」。オクタンスとの決戦に挑むには、可能な限り戦力を削らなければ。
 降りしきる銀の雨と万色の稲妻の下で、イグニスはひたむきに拳を振るい続けた。その胸に秘めた決意を力に変え、倒すべき敵の居城を見据えて。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
いやらしい攻め方ですね、ならば。

《煌月舞照》で1420本の煌月の複製を創造。

まず敵が密集しているあたりに、風の属性攻撃・高速詠唱・全力魔法・範囲攻撃による巨大な竜巻を作って、蝙蝠爆撃兵の翼破壊狙い。
次の瞬間、翼を斬り裂かれて飛行能力を減退した蝙蝠爆撃兵に、均等に配分された煌月の複製が襲撃。
どんどん倒していきますよ。

更に旗艦の甲板に出て、結界術・高速詠唱による防御壁を展開し、天耀鏡を滞空させて盾受けできるようにしてから、「神様はここにいます!」と宣言。
テレポートしてきたところを前述の防御で防ぎ、念動力・範囲攻撃・捕縛で捉えて、神罰を宿した煌月のなぎ払い・鎧無視攻撃・範囲攻撃で一網打尽にします!



「いやらしい攻め方ですね、ならば」
 こちらの艦を沈めようと爆弾の雨を降らせる『コウモリ爆撃兵』を見上げて、詩乃はまず【煌月舞照】を発動した。
 オリハルコンの刃に自らの神力を籠めた、薙刀の神器「煌月」。その複製を1240本創造し、周囲に待機させておく。
「さっきと同じ手も使わせてもらいましょう」
 さらに彼女は追跡中にも見せた天候操作の魔法を用い、海上にまたもや大竜巻を発生させる。哨戒に比べれば手強い相手でも、飛行する敵集団を追い落とすにはこれが一番効果的だ。渦を巻く暴風は味方を巻き込むことなく、まっすぐ『吸血鬼艦隊』が密集している辺りに向かっていく。

「なッ、また風が……キキィーッ?!」
 竜巻に巻き込まれたコウモリ爆撃兵は、風圧に翼を切り裂かれて飛行能力を減退する。いくらゾルダートグラードに改造を施された機械兵士でも、この風の中を万全に飛ぶことはできないようだ。墜落しないよう必死に藻掻いている所に、詩乃は煌月の複製を襲撃させる。
「煌く月よ、空を舞って世界を照らし、清浄なる光と刃で悪しき存在を無に帰しなさい」
「「ギャーーッ!!!」」
 均等に配分された神器の複製は、月の如き煌きで幾何学模様を描きながら、竜巻に呑まれた爆撃兵たちを蹂躙する。
 バラバラにされたコウモリは甲高い悲鳴とともに落下していき、海に幾つもの波紋を残す。あっという間に数十匹を超える敵兵が戦場から姿を消した。

「神様はここにいます!」
 さらに詩乃は旗艦の甲板に出て、海域に響き渡るような大声で宣言する。事前に結界術による防御壁を展開し、神器「天耀鏡」を滞空させて守りの体勢を万全にした上での行動だ。耳聡い【空飛ぶ悪魔】は、戦場で助けを求める弱き者の声を聞きつけ、狙い撃ちにする傾向があることを知っての行動だ。
「キキキッ、この世に神の救いなど……なにっ?!」
 まんまとテレポートしてきたコウモリ爆撃兵たちの攻撃は、未然に用意されていた結界と鏡の盾で完璧に防がれる。
 わざと誘き寄せられたと気付いたとしてももう遅い。離脱しようと広げたコウモリの翼は、もはやピクリとも動くことはなかった。

「う、動けん……?!」
「捕まえましたよ」
 コウモリ爆撃兵を捕らえたのは詩乃の発する念動力。硬直させた敵の前で、彼女はオリジナルの「煌月」を振るう。
 神罰の権能を宿したオリハルコンの神器は、複製品よりも一層美しい輝きで戦場を照らし。その一閃は三日月の如く敵を薙ぎ払う。
「これで一網打尽です!」
「「ウギャァァァッ!!?」」
 機械化された部位ごと真っ二つにされたコウモリ爆撃兵の断末魔が、またも戦場に響き渡る。上空を飛び回っていた敵兵の大半は、これでほぼ撃墜されたようだ。直掩機を失った『吸血鬼艦隊』は、もはや裸の城も同然であった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『闇の淑女オクタンス』

POW   :    ジェット・シャーク・ファング
召喚したレベル×1体の【ホオジロザメ型妖獣】に【チェーンソー刃】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
SPD   :    ブラッディ・シャーク・バルカン
【体内】から無限に供給される【生命体を追尾飛行する鮫型妖獣】を、レベル分間射撃し続ける。足を止めて撃つと攻撃速度3倍。
WIZ   :    シャドウ・クレマンソー
【現代兵器】で武装した【ヴァンパイア・バタリオン】の幽霊をレベル×5体乗せた【影の空母】を召喚する。

イラスト:新井テル子

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「お久しぶりね、|猟兵《イェーガー》」

 サンダーバード艦隊の協力の元『吸血鬼艦隊』の戦力を打ち破った猟兵は、ついに敵旗艦の「影の城」へ肉薄する。
 そこで彼らを待ち構えていたのは、妙齢の美女の姿をした原初の吸血鬼。今年1月にあった第二次聖杯戦争、或いはそれ以前から面識のある者もいるだろう。彼女こそが吸血鬼艦隊の指揮官『闇の淑女オクタンス』だ。

「有象無象の数だけ揃えたところで、お前達の相手にはならない。だからこそ『予想から外れた戦力』に期待していたのだけれど……どうやら、それでも足りなかったようね」

 配下の吸血鬼に加えて異世界の機械兵士まで編成した新生『吸血鬼艦隊』が、こうも容易く打ち破られたのは彼女にとっても誤算だったらしい。しかし、取り乱さずに冷静に事実を受け止め、反省を行える点は流石に一軍の将である。

「でも、多少なりと消耗させられたなら十分。リベンジはやはり自分の手で行わなくてはね」

 ゆらりと邪な笑みを浮かべるオクタンスの影の中で、無数の化け物がうごめく。
 多数のゴーストを支配下に置くことで、単独にして軍団の如き戦闘力を誇るのが原初の吸血鬼の特性だ。その中でも上位となるオクタンスの実力は、万の軍勢にも匹敵しよう。

 ただし、そんなオクタンスにも短気で激昂しやすく、一度怒れば我を忘れるという欠点がある。
 今はまだ冷静さを保っているようだが、うまく動揺させることができれば、こちらの勝算は大きく上がる。

「さあ、来なさい。わたくしの|吸血鬼大隊《ヴァンパイア・バタリオン》の総力をもって相手してあげるわ」

 甦りし『吸血鬼艦隊』との海戦は、ここにクライマックスを迎える。
 果たして猟兵は恐るべき原初の吸血鬼の魔の手から、日本の海と港を守り抜くことはできるのか――。
黒影・兵庫
(「いい考えがあるの。協力してくれる?」と頭の中の教導虫が話しかける)
もちろんです!俺は何をすれば?
(「まずUC【蜂蜜色の奔流親】を発動。そしてアタシが敵を怒らせる」)
なるほど!怒った敵が無敵のせんせーに攻撃を仕掛ける!
その間に俺は『衝撃波』で奇襲を仕掛ける!
(「そういうこと!じゃ始めましょ!」)
はい!せんせー!でもどうやって怒らせるんです?
(UC【蜂蜜色の奔流親】で召喚した女性が黒影にウィンクした後、敵の方を向く)
アンタが司令官?
とりあえずお礼を言っとくわね
だって吸血鬼艦隊を壊滅させることができた最大の要因は
アンタが指揮したから、だもの!
無能でいてくれてありがとうね!



(いい考えがあるの。協力してくれる?)
 そう提案を持ちかけてきたのは、兵庫の脳内にいる教導蟲スクイリアだった。教え子の成長を促す意味も含めてか、ここまで兵庫自身に作戦を考えさせてきた彼女だが、強敵『闇の淑女オクタンス』を前にして名案が浮かんだらしい。
「もちろんです! 俺は何をすれば?」
(まず【蜂蜜色の奔流親】を発動。そしてアタシが敵を怒らせる)
 言うまでもなく兵庫が"せんせー"の頼みを無下にする訳がない。そしてスクイリアの作戦は彼に自分を召喚させて、怒りで敵の動揺を誘うというシンプルなものだった。冷静であれば隙のないオクタンスの、それが最大の弱点だと聞いていたからだ。

「なるほど! 怒った敵が無敵のせんせーに攻撃を仕掛ける! その間に俺は『衝撃波』で奇襲を仕掛ける!」
(そういうこと! じゃ始めましょ!)
「はい! せんせー!」
 作戦が決まると同時に兵庫は『吸血鬼艦隊』の旗艦に乗り込み、【蜂蜜色の奔流親】を発動。千変万化する蜂蜜色のオーラを素材にして、教導虫がかつて「蜂皇族」という人型昆虫種族だった頃の肉体を作り上げる。頭脳のない抜け殻のそれをスクイリアが操作することで、仮初めの身体として利用可能になるのだ。
「でもどうやって怒らせるんです?」
 召喚されたスーツ姿の女性は、兵庫の疑問にウィンクしただけで答えず、敵のほうを向いた。どうするかは見てのお楽しみ、ということだろうか。オクタンスも自分の短気な性格くらいは把握しているだろうし、見え見えの挑発には乗ってこないかもしれないが――。

「アンタが司令官? とりあえずお礼を言っとくわね」
「なに? お前達に感謝される筋合いはないけれど」
 敵陣営のはずのスクイリアに出会い頭に礼を言われ、オクタンスは訝しげに首を傾げる。この世界の能力者や猟兵に恨みしかない彼女からすれば、そんな事を言われても手心を加えてやる気は一切なかっただろう。だが、続く言葉が彼女の琴線に触れた。
「だって吸血鬼艦隊を壊滅させることができた最大の要因は、アンタが指揮したから、だもの!」
「……はぁッ?!」
 その言わんとするところが分からないほどオクタンスも愚かではなかった。無能な味方は有能な敵よりも恐ろしいと言う――つまりスクイリアは彼女が指揮官として不適格だったと罵っているのだ。将として少なからぬプライドを持つ者に、この煽りは効く。

「無能でいてくれてありがとうね!」
「貴様ァ……今すぐその臭い口を閉じろッ!」
 駄目押しとばかりに直球の罵倒を浴びせると、ブチキレたオクタンスは本気の殺意でスクイリアに攻撃を仕掛ける。
 召喚された【ジェット・シャーク・ファング】――チェーンソー刃を生やしたホオジロザメ型妖獣の群れが、不届き者をバラバラに切り刻まんと襲い掛かる。この瞬間、オクタンスの目にはスクイリアしか映っていなかっただろう。
「残念でした」
 しかし、妖獣達の攻撃を受けてもスクイリアには傷ひとつない。現在の彼女の身体は兵庫のユーベルコードによって造られたもので、兵庫が信じている限りは無敵の耐久力を誇る。そして彼が教導虫への信頼を疑うような事は、天地がひっくり返ってもあり得なかった。

「俺がせんせーを信じる限り! せんせーは無敵です!」
 敵の注意が完全にスクイリアに集中したその隙を突いて、兵庫は「誘導灯型合金破砕警棒」を思いっきり甲板に叩きつける。そこから生じた衝撃波は激しい蜂蜜色の突風を巻き起こしながら、怒り狂ったオクタンスの横っ面を突いた。
「しまっ……きゃぁっ!?!」
 ハッと我に返ったところでもう遅い。衝撃波の不意打ちを受けたオクタンスは悲鳴を上げて後方に吹き飛ばされる。
 見事に作戦を成功させた兵庫とスクイリアは、互いに笑顔で「やりましたね!」「ええ!」と喜びあった後、そのまま追撃へと移るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

儀水・芽亜
あらまあ。いい年したおばさんが露出度高くして。容姿の衰えをお色気サービスでカバーですか? 何ともはしたない。そういうのを、『品がない』というんですよ。高貴な吸血鬼のイメージが台無しです。

これくらい煽ればいいでしょうか?
“断頭卿”! 喚び出される鮫を片っ端から斬り捨ててください! 手早くお願いしますよ。
“断頭卿”が鮫を抑えている間に、私はオクタンスを直接狙います。
拷問具『鎖蛇』を振るってオクタンスに叩きつけ、「傷口をえぐる」ように。
素肌を露出している分、傷つけやすくて助かります。一つ、顔を狙ってみましょうか?

喚び出される鮫には私も警戒して。
「オーラ防御」を張って負傷を減らし、『鎖蛇』で目を潰し。



「あらまあ。いい年したおばさんが露出度高くして。容姿の衰えをお色気サービスでカバーですか?」
「おばっ……ふ、フン。安い挑発ね」
 吸血鬼艦隊の司令官こと『闇の淑女オクタンス』と対峙した芽亜は、まずは挨拶代わりとばかりに煽りをぶつける。
 オクタンスは笑って受け流すが、それでも額にピキピキと青筋が浮かんでいるあたり、キレやすい性格は生前から変わらないようだ。
「何ともはしたない。そういうのを、『品がない』というんですよ。高貴な吸血鬼のイメージが台無しです」
「こッ、コイツ……!」
 さらに追加で罵倒を畳み掛けてみると、思ったよりあっさりとオクタンスの堪忍袋の緒は切れた。わなわなと震える彼女の影から多数のホオジロザメ型妖獣の群れが現れ、頭部から生やしたチェーンソー刃をギュンギュンと唸らせる。どうやらもう容赦する気はなさそうだ。

(これくらい煽ればいいでしょうか?)
 敵が【ジェット・シャーク・ファング】を発動したのを確認すると、芽亜は対抗して【落ちる刃】を発動。つなぎの上にマントを羽織り、顔をマフラーで隠したギロチンの虐殺師、通称"断頭卿"を想像から創造して戦闘に参加させる。
「"断頭卿"! 喚び出される鮫を片っ端から斬り捨ててください! 手早くお願いしますよ」
 芽亜の指示に応じて"断頭卿"は二本の大剣を抜き、向かってくる妖獣の群れを迎え撃つ。その切れ味は一振りで巨大なサメの首を刎ね飛ばすほどで、召喚者がその力に疑いを持たない限りは一騎当千だ。相手が原初の吸血鬼の眷属であろうとも引けは取らない。

「死ねッ、死ねッ、死ねッ! ブチ殺してやる!」
 怒り狂ったオクタンスは口汚い罵声を吐きながら妖獣の群れを呼び続ける。怒りで我を忘れて冷静さを失った結果、単調なゴリ押しの戦法しか取れなくなっている。いくら配下の戦力が多くても、これでは効果的な運用とは言えない。
("断頭卿"が鮫を抑えている間に、私はオクタンスを直接狙いましょう)
 この隙に群れを避けて間合いを詰めた芽亜は、拷問具『鎖蛇』を振るってオクタンスに叩きつける。柄から伸びる棘の付いた鎖は、まるで生きた蛇のようにしなって獲物を襲う――単純なダメージだけでなく、傷口をえぐって激痛を与える目的においても、この武器は極めて効果的だった。

「素肌を露出している分、傷つけやすくて助かります」
「ぎゃッ?! やりやがったなッ!!」
 剥き出しの素肌を棘鎖の鞭で打たれたオクタンスは、悲鳴を上げてますます怒りを募らせる。"断頭卿"でも抑えきれないほどの数のサメが追加で喚び出されるが、そちらは芽亜も警戒していた。オーラを身体に張って防御を固めつつ、鎖蛇でぴしゃりと敵の目元を打つ。
『ガルルッ?!』
 目潰しを食らったサメの攻撃は逸れ、そのお陰で芽亜は致命傷を免れた。これだけの大軍をまともに相手取るより、やはり指揮官を直接狙ったほうが良いだろう。彼女はそのまま振るった拷問具の軌道を変え、再びオクタンスを狙う。

「一つ、顔を狙ってみましょうか?」
「ぎゃッ……! コイツ、よくもッ!」
 鎖の棘が女の顔に傷を付けると、オクタンスの怒りは高まるばかりで静まる気配を見せず。それに比例して攻撃は雑になり、付け入る隙は大きくなる。このペースをなるべく維持できるように意識しつつ、芽亜は敵に落ち着く暇を与えぬよう攻撃を続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フリッツ・バーナー
一体化状態を解除
機体を背後に従えて甲板に降り立つ
ご機嫌麗しゅう、|フラウ《淑女》・オクタンス
お初にお目にかかる

右手を軽く上げるとバルバロッサがUC発動
圧倒的な威圧感でもって戦意を挫き膝を付かせる
十分にプライドを刺激した所で、駄目押しの一声を
「これ程の艦隊を徒に潰すのも惜しいだろう?
我が社の傘下に降りたまえ
|平社員《お茶汲み》の席はいくらでも空いているぞ」

無力化してしまえば制圧には2分と掛からん
バルバロッサの拡散レーザーで船体の喫水線を穿ち撃沈を狙う
私自身は腕部に仕込んだ高周波ブレードを展開し肉迫、反撃を見切って彼女を両断するとしよう

中々に楽しませてもらったぞ、フラウ



「ご機嫌麗しゅう、|フラウ《淑女》・オクタンス。お初にお目にかかる」
 バルバロッサとの一体化を解除し、機体を背後に従えて甲板に降り立ったフリッツは、意外にも丁寧な態度で『闇の淑女オクタンス』に話しかけた。プライドの高い敵の性格を考えれば、ここでバカにして怒らせる手もあったろうに。
「あら、少しはものを知っているヤツもいるようね。特別に楽に殺してあげてもいいわ」
 彼の態度に気を良くしたオクタンスは、優雅に微笑みながら【シャドウ・クレマンソー】を召喚する。現代兵器で武装したヴァンパイアの|大隊《バタリオン》を乗せた、巨大な影の空母こそ彼女が保有する最大戦力。これに蹂躙される事が慈悲ある死だとでも言う気なのか。

「諸君、衝撃に備えたまえ」
 だが、敵空母の接近を確認したフリッツが右手を軽く上げると、背後のバルバロッサが【作戦発令:衝撃と畏怖】を実行する。さながら悪魔の咆哮が如き衝撃波が放出され、海域に残存する敵全てに凄まじい威圧感が叩きつけられた。
「なに……!?」
『――……ッ!!』
 あまりに強烈な畏怖の念は戦意を挫く。空母に乗っていたヴァンパイアはことごとく無力化され、あのオクタンスでさえ思わず膝を付いた。このユーベルコードは1日に使用できる時間が限られているが、そのぶん効果は絶大である。

「これ程の艦隊を徒に潰すのも惜しいだろう? 我が社の傘下に降りたまえ。|平社員《お茶汲み》の席はいくらでも空いているぞ」
 相手に膝を付かせて十分にプライドを刺激したところで、フリッツは駄目押しの一声を放つ。高貴なる原初の吸血鬼であるオクタンスが、人間の企業に所属するなど――ましてやヒラの社員と同等の扱いを受けるなど、耐えがたい恥辱に違いあるまい。
「こッ……このわたくしにテメェらごときの下につけだと?! 調子に乗るのも大概にしろクソがッ!!」
 その侮辱は怯みかけたオクタンスの心を燃え上がらせるのに十分だったが、激しすぎる怒りの炎は正常な判断力を失わせる。指揮官がこの状態に陥った時点でどのみち戦局は"詰み"であると、戦争屋としてのフリッツにはこの先の結末まで既に視えていた。

「無力化してしまえば制圧には2分と掛からん」
 フリッツの手で遠隔操作されたバルバロッサが、両肩の拡散レーザー砲「DAS/SIEGESFEST」の照準を敵艦に向ける。
 船体の喫水線を狙って放たれた閃光の豪雨は、乗っていた多数のオブリビオンもろとも空母を撃沈し、「影の城」を載せた敵旗艦にも浸水が始まった。
「くッ、この野郎……!」
 傾いた甲板の上をフリッツが走ってくるのを見ると、オクタンスは立ち上がって反撃の一打を叩きつけようとする。
 しかし彼は紙一重の見切りでその攻撃を躱すと、腕部に仕込んだ高周波ブレードを展開し肉迫――無駄のない必殺の斬撃を標的に見舞った。

「中々に楽しませてもらったぞ、フラウ」
「がぁッ……!!」
 強化型機械化義体より繰り出されし一撃はオクタンスの片腕を切断し、滑らかに斬り落とされた断面から鮮血が噴き出す。どうやら真っ二つに両断されることは避けたようだが、この傷は原初の吸血鬼にとっても深手に違いあるまい。
 フリッツの口元に浮かんだ満足げな笑みとは対照的に、闇の淑女の表情は怒りと屈辱に歪み。その差は彼我の戦況の有利不利を如実に表していた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イグニス・ランフォード
勝手はわからんが、煽ってみるか…

久しぶりだな吸血鬼
また同じことして反省してないのか?
異世界の戦力っていうが、世界渡っていろんな敵と戦ってる猟兵たちが驚くわけないだろ
海の底にいたらそんなことも気づかないか…
…あ、称号闇に変えてるけど、その闇って|深海《住処》が真っ暗だったから変えたのか?
どうりで磯臭いわけだ…今のお前血より魚臭いからな

乗っても来なくてもUCで装備のボールを顔面狙いで蹴る
避けるかもしれないが、という事はその場から動くこと…弾速は落ちるだろう
そしてUCの効果で不可視の衝撃波を射線に壁として残し弾の数を減らす
抜けてきた弾の顔前にバリアを発生させ足を止め、それを蹴って弾代わりに



(勝手はわからんが、煽ってみるか……)
 闇の淑女オクタンスの弱点は「怒ると冷静さを失うこと」だと聞かされたイグニスは、何を言われたら敵は苛立つかを考えながら前線に出る。幸いもヤツとは|銀の雨が降る時代《シルバーレイン》からの付き合いだ、煽れるネタなら幾らでも思いつく。
「久しぶりだな吸血鬼。また同じことして反省してないのか?」
「お前は……銀誓館の能力者ね」
 皮肉げな調子で声をかけると、オクタンスもすぐに彼の出身校を察したらしい。生前には自分の計画を何度も挫き、敗北の苦渋を味わわせた銀誓館学園――彼らに対する恨みは、オブリビオンになった今でも根深く残っているようだ。

「異世界の戦力っていうが、世界渡っていろんな敵と戦ってる猟兵たちが驚くわけないだろ。海の底にいたらそんなことも気づかないか……」
 そこでイグニスは敵の計画の不備を指摘し、首を振ってやれやれと肩をすくめる。猟兵達が既に獣人戦線に到達し、ゾルダートグラードの機械兵士とも交戦経験があったのはオクタンスにとっては大きな誤算だったろう。虎の子の戦力をあっさり撃破されている事実が、挑発の効果を高める。
「……あ、称号闇に変えてるけど、その闇って|深海《住処》が真っ暗だったから変えたのか? どうりで磯臭いわけだ……今のお前血より魚臭いからな」
「きッ、貴様……!」
 燃え上がった怒りの火を焚き付けるように、イグニスはさらに言葉の刃を浴びせる。以前の『吸血鬼艦隊』を沈められ、深海で雌伏を余儀なくされた経験があるオクタンスの過去を踏まえた、これ以上なくクリティカルな罵倒である。相手の顔色はたちまち真っ赤に染まる。

「過去のわたくしに勝ったくらいで調子に乗るなッ! お望み通りサカナのエサにしてやるッ!」
 キレたオクタンスは【ブラッディ・シャーク・バルカン】を発動、体内から呼び出したサメ型妖獣の群れをミサイルのように射出する。ゴーストを支配下に置いて使役するのが原初の吸血鬼の能力だったが、その特性はオブリビオンになっても失われていないようだ。
「蹴り飛ばす……!」
 しかしイグニスの視線は向かってくる妖獣の群れではなく、指揮官であるオクタンスを見ている。彼はイグニッションカードの中から「ゴールデンレクタングル」と名付けられたボールを出して、【ムーンライト・キャノン】を発動。洗練されたフォームから放たれた蹴りが、音速を超えるシュートを生み出す。

「なぁ……ッ?!」
 マッハ5.0以上という驚くべき速度で蹴り飛ばされたボールは、オクタンスの顔面めがけてまっすぐに飛んでいく。
 敵は驚愕しながらもギリギリで回避するが、避けたということはその場から動いたということ。足を止めて撃つことで攻撃速度が増す【ブラッディ・シャーク・バルカン】の利点は、これで失われた。
『グルルルッ……!』
 弾速の落ちたサメ達は、シュートの軌跡が残した不可視の衝撃波に阻まれ、その大半がイグニスの元には届かない。
 抜けてきたわずかな個体も、射線が限定されていれば迎え撃つのは容易く。バリアを発生させて足を止めたうえで、逆に蹴り返してこちらの弾にする事さえ可能だ。

「返すぞ」
「ぐはッ……貴様ぁッ!」
 イグニスの【ムーンライト・キャノン】は弾の種類を選ばない。発射された時以上の速度で蹴り返されたサメ妖獣は敵という名のゴールに見事命中し、衝撃で吹き飛ばされたオクタンスが絶叫する。どれだけ怒り狂おうが、彼女が劣勢に立たされつつあるのは事実であり――その怒りと焦りがなおのこと彼女を敗北に導くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レヴィア・イエローローズ
軍勢には軍勢を
1万3100名のジャイアントキャバリア部隊を召喚し、生命体を追尾飛行する鮫型妖獣を撃墜していく

それでも無限に供給される以上、このままだとジリ貧になる
だけど、頭に血が上った上官がいる等こちらには活路は十分あるわ

――『……この私が!この、赤と黒の淑女たる私が!一度負けた相手に、二度負けるなどと……この私に、そのようなことはありえない!』
それがあなたの最後の言葉だったようね
流石は原初の吸血鬼
『負け犬』としての言葉も『相応しい格』を持っているものね

そう言ってオクタンスの逆鱗を削る言葉を放ち、激高させた後は乱れた敵をこちらが統率の取れた指揮系統で各個撃破していくわ



「お前たち……どうも調子に乗っているようね。格の違いを分からせてあげないと」
 猟兵の攻勢に押されて劣勢となったオクタンスは、額に青筋を浮かべながら【ブラッディ・シャーク・バルカン】を発動し、サメ型妖獣の群れを体内から呼び出す。原初の吸血鬼の中でも高位にいた彼女が支配下に置いているゴーストは無尽蔵であり、質はともかく数においては途方もなかった。
「我が黄色に応じて開花せよ、羨望の深淵。それは巨人を駆る我が王国の騎兵の騎士。我が王権の元に集い運命に抗え」
 これに対抗するためにレヴィアは【黄薔薇開花・王国軍騎兵師団巨人型部隊】を発動。軍勢には軍勢をとばかりに召喚された1万3100名のジャイアントキャバリア部隊が、飛行するサメの群れと交戦状態に入る。戦姫の守護者たる巨人の騎士は、相手がゴーストだろうと引けは取るまい。

(それでも無限に供給される以上、このままだとジリ貧になる)
 生命体を追尾飛行する性質を持ったサメ型妖獣の群れは、ジャイアントキャバリアの軍団に襲い掛かっては撃墜されていくが、無尽蔵の数の暴力はやはり侮り難く、こちら側にも被害が出ている。戦線が拮抗したまま戦いが長引けば、不利になるのは自分だとレヴィアには分かっていた。
(だけど、頭に血が上った上官がいる等こちらには活路は十分あるわ)
 軍団の強さを決定付けるのは指揮官の質。あちらの指揮官も冷静であれば勝ち目はなかったかもしれないが、ただでさえキレやすいという欠点に加えてこの戦況だ。いくら落ち着こうとしても動揺は隠せない――ならば、そこを突く。

「――『……この私が! この、赤と黒の淑女たる私が! 一度負けた相手に、二度負けるなどと……この私に、そのようなことはありえない!』それがあなたの最後の言葉だったようね」
「なッ?!」
 銀誓館学園の能力者から聞いたのだろうか、生前のオクタンスの死に様をレヴィアが語ると、相手の顔色が変わる。
 吸血鬼艦隊を沈められた上、マヨイガの戦いでも銀誓館に敗れ、無念の内に戦死した『赤と黒の淑女オクタンス』。それは彼女にとって思い出したくもない苦い記憶だろう。
「流石は原初の吸血鬼。『負け犬』としての言葉も『相応しい格』を持っているものね」
「ッ……黙れ、黙れ黙れ黙れェェッ!!!!」
 かつての死に様を揶揄されたオクタンスはたちまち激昂し、その口を閉じさせようと妖獣を差し向ける。完全に我を忘れた力攻めの戦法だ。レヴィアは冷静に指揮下のジャイアントキャバリア部隊を操り、特攻してくる敵を迎え撃つ。

(作戦通りね)
 オクタンスの逆鱗を削る言葉を放つことで、見事に彼女を激昂させたレヴィアは、乱れた敵を統率の取れた指揮系統で各個撃破していく。どんなに数が多かろうが、ただ突撃することしかできない獣の軍隊に遅れをとるつもりはない。
 明確となった指揮官の差は、戦況においても露わとなり、戦姫に率いられた黄薔薇の巨人達は、みるみるうちに異形の妖獣を駆逐していくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
聞いた知識ではなく、実体験として戦争の顛末を覚えているのか?
持ち帰り勢の特性か……いや、どうでもいいか、使いっ走りの木っ端風情など

原初の吸血鬼、即ち「己が上位者である」ということに強いこだわりがある
ならば徹底的に見下した【挑発】の言葉はよく効く筈

怒りは強い力となる……だが、貴様のそれは乱雑に過ぎる
万象を焼き尽くす赫怒の熱量を、氷の如き透徹たる意志で余さず束ねる――それが怒りの使い方だ

黄金の光に包まれ、水着から白き翼の姿に変身
聖槍に光の力を集中・圧縮・凝縮(武器に魔法を纏う・限界突破)――【赫怒の聖煌剣】を形成
怒りで統制を失ったヴァンパイア・バタリオンごと、黄金の【斬撃波】で斬り裂く(切断)!



「聞いた知識ではなく、実体験として戦争の顛末を覚えているのか?」
 言動からして目の前の『黒の淑女オクタンス』は、第二次聖杯戦争にて現れた個体から意識の連続性を保っているようだとオリヴィアは判断する。似たようなケースは過去にも確認しているが、いずれも強大なオブリビオンの特性だ。
「持ち帰り勢の特性か……いや、どうでもいいか、使いっ走りの木っ端風情など」
「……なんですって?」
 聞き捨てならない発言を耳にした、オクタンスの眉が釣り上がる。言うまでもなくそれは意図して放たれたものだ。
 原初の吸血鬼、即ち「己が上位者である」ということに強いこだわりがある種族ならば、徹底的に見下した挑発の言葉はよく効く筈だとオリヴィアは予想していた。

「このわたくしを木っ端扱いですって? よくも言えたものね」
 ふつふつと煮えたぎった怒りを隠そうともせずに、オクタンスは【シャドウ・クレマンソー】を発動。かつての『吸血鬼艦隊』旗艦を模した影の空母から、数千体に達するヴァンパイアの大隊が出撃する。猟兵・サンダーバード艦隊との戦闘で削られてなお、原初の吸血鬼が擁する戦力には底が見えない。
「二度とその減らず口を叩けないよう、サメのエサにしてやるッ!!」
 だが、今のオクタンスはオリヴィアの挑発で我を忘れ、冷静な指揮ができなくなっている。指揮官の動揺は配下にも伝わるため、複雑な陣形や戦術の実行は不可能だろう。せっかくの大軍勢を率いていても、これでは宝の持ち腐れだ。

「怒りは強い力となる……だが、貴様のそれは乱雑に過ぎる」
 そう告げたオリヴィアの身体は金色の光に包まれ、着ていた水着は白銀の鎧に変わり、背中からは白き翼が現れる。
 その麗しき勇姿はまさに邪悪を討ち滅ぼす戦天使。右手に携えし破邪の聖槍が、これまで以上の輝きを放っている。
「万象を焼き尽くす赫怒の熱量を、氷の如き透徹たる意志で余さず束ねる――それが怒りの使い方だ」
 今、その槍を輝かせているのは彼女の怒り。罪なき人々の命を脅かし、世界に破滅をもたらさんとする者に、裁きの刃を突き立てんとする意志だ。オクタンスの怒りとは異なり、彼女はその状態でも理性を失いはしない。感情と理性の合一こそが、もっとも強い力を生むのだ。

「無窮の光よ! 絢爛たる勝利の煌きで天地を照らし、怒りの刃で遍く邪悪を斬り伏せよ!」
 聖槍に集中・圧縮・凝縮された光の力は、天をも衝かんばかりの光の大剣――【赫怒の聖煌剣】をここに形成する。
 太陽すらも晦ませんばかりの輝きを目の当たりにすれば、いくら怒り狂ったオクタンスでも危機感を覚えずにはいられまい。
「……ッ?! なによ、その力は……!」
 彼女は慌てて艦隊に退避指示を出そうとするが、間に合うはずがない。オクタンスとオリヴィアを結ぶ射線上では、怒りで統率を失ったヴァンパイア・バタリオンもまとめて射程範囲だ。これだけの好機を見逃す猟兵などいやしない。

「思い知れ、怒りの力を!」
「ッ……ぎゃぁぁぁぁッ!!!!?!」
 渾身の力で振り下ろされた【赫怒の聖煌剣】から黄金の斬撃波が解き放たれ、射線上の万物全てを斬り裂いていく。
 真っ二つに切断され轟沈する影の空母、海の藻屑となるヴァンパイアの軍団――そして斬り伏せられるオクタンス。海上に響き渡る原初の吸血鬼の絶叫は、苦悶と屈辱と怒りに満ちていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベルト・ラムバルド
アドリブ上等

オクタンス!久しぶりだな!
よもやこんな所で再会するとは!まったく嬉しくないがな!
このベルト・ラムバルドが貴様を再び倒してやる!行くぞ!

キャバリア操縦して戦闘開始
索敵で敵が召喚した妖獣どもの位置を把握
瞬間思考力で妖獣を二刀の剣で切り捨てる!

…オクタンス!私は異世界の吸血鬼を見た!
貴様よりもずっと恐ろしく、ずっと強い奴らだ!
貴様にそのような器があるとは思えんな!それでも吸血鬼か!?
獣人たちに力を借りてもこの程度か!情けない奴!

敵を挑発して激昂させたらUCで巨大化しスーパーキャバリアに変身
巨大化した槍を振り回し幼獣を切り払い、敵諸共影の城に突き刺し巨大荷電粒子ビームで吹き飛ばしてやる!



「オクタンス! 久しぶりだな!」
 第二次聖杯戦争と変わらぬ姿で出てきた『闇の淑女オクタンス』と対峙し、ベルトはキャバリア内から声をかける。
 あの戦争から早くも半年以上の年月が流れたが、シルバーレインのフォーミュラが斃れても健在とはしぶとい奴だ。
「よもやこんな所で再会するとは! まったく嬉しくないがな!」
「あら、わたくしは嬉しいわよ。今度こそお前たちを八つ裂きにできると思うとね」
 そう言って微笑むオクタンスの表情からは、殺意と怒りがひしひしと感じられる。プライドの高い彼女が一度受けた屈辱を忘れる事はないだろう。原初の吸血鬼の誇りにかけて、ここで猟兵との戦いに決着をつける気だ――もっとも、それはこちらも同じ事だ。

「このベルト・ラムバルドが貴様を再び倒してやる! 行くぞ!」
「来なさい。歓迎してやるわ」
 愛機『パロメデス』を操縦して吶喊するベルトを迎え撃つのは、オクタンスの【ジェット・シャーク・ファング】で召喚されたホオジロザメ型妖獣の群れだ。いずれも頭部からチェーンソー刃を生やし、陸海空の環境を問わない戦闘力を与えられている。
「その木偶人形ごと食い千切ってやりなさい!」
「なんの! やられはしないぞ!」
 時に空中から、時に海中から襲ってくる妖獣どもの位置を、ベルトはキャバリアの索敵機能をフル稼働させて見つけ出し、把握したそばから二刀の剣で切り捨てる。状況を判断する瞬間思考力、機体を己の身体の如く動かす操縦技術、いずれも並のパイロットには不可能な技能だ。

「……オクタンス! 私は異世界の吸血鬼を見た! 貴様よりもずっと恐ろしく、ずっと強い奴らだ!」
 襲ってくる敵を迎撃しながら、ベルトはオクタンスに挑発を仕掛ける。語るのはこれまでに自分が遭遇した吸血鬼にまつわる体験談。ゴーストを支配する原初の吸血鬼の力は確かに厄介だが、それ以上に危険なユーベルコードを持ち、身の毛もよだつような残酷さと邪悪さを持った奴らを彼は知っている。
「貴様にそのような器があるとは思えんな! それでも吸血鬼か!?」
「なっ……バカにするんじゃないわよ!」
 こうも明け透けに吸血鬼としてのプライドを侮辱されて、オクタンスが怒らない訳がない。動揺が配下にも伝わったのか、妖獣の動きにも変化が見られる。怒りで我を忘れると隙が生じる点は、前回の戦争から変わっていないようだ。

「獣人たちに力を借りてもこの程度か! 情けない奴!」
「五月蝿いのよゴミカスが! 死ね、死ね死ね死ねッ! あの野郎を殺せッ!!」
 さらに挑発を浴びせられたオクタンスは完全に激高して理性を失い、ホオジロザメ妖獣どもに闇雲な攻撃を命じる。
 これをチャンスと見たベルトは、すかさず【スーパーカオスチェンジ!!!】を発動。操縦中のパロメデスと一体になって巨大化し、全長24mのスーパーキャバリアに変身を遂げる。
「そうやってすぐにキレるから、貴様はダメなんだ!」
 機体と共に巨大化した「RBXSサークランサー」を振り回すと、向かってきた妖獣どもが一瞬の内にバラバラになる。
 そのまま彼はスラスター出力を最大にして敵の居城たる「影の城」に接近。その門前に立ちはだかるオクタンスへと全力で槍を突き出した。

「吹き飛ばしてやる!」
「がッ! な、なにをする気だ、やめ――……ッ!!!!!!」
 オクタンスを串刺しにした槍はそのまま影の城に突き刺さり、内蔵された巨大荷電粒子ビーム砲の機能を解放する。
 ゼロ距離から発射される超極大規模のエネルギーの閃光。その破壊力は影の城を貫通して半壊せしめ、オクタンスも甚大なダメージを負うことになり、声にならない悲鳴とともに吹き飛んでいった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

暗都・魎夜
【オクタンスに】
『予想から外れた戦力』とか言ってるけど、実際問題うちの世界のオブリビオンにお願いして
手を貸してくれる奴どの位いるんだ?
正直、過去の戦績見てると、銀行が融資断り入れるレベルだと思うけど

【戦闘】
まあ言うて実力者なのは事実だしな
けど、俺に言わせりゃ「対『伯爵』」の模擬戦にこれほど適した奴はいねえ

「タンマ! 今のは煽りのセリフじゃねえから!」

「天候操作」でサメの視界を封じ、攻撃には「心眼」「見切り」で回避
「魔力溜め」から「リミッター解除」「限界突破」「全力魔法」でUCを発動

「受けてみやがれ、ストームブリンガー最大最強の奥義!」
「吸血鬼艦隊と一緒に沈みな、今度は浮かんでくるんじゃねえぞ」



「『予想から外れた戦力』とか言ってるけど、実際問題うちの世界のオブリビオンにお願いして、手を貸してくれる奴どの位いるんだ?」
 いざ決戦に挑む直前、魎夜はふとした疑問を『闇の淑女オクタンス』に投げかける。そもそも手勢の吸血鬼を除けば、現地に協力してくれるオブリビオンがいなかったのではないかという疑問だ。原初の吸血鬼は確かに強大な勢力を誇る種族ではあったが、それだけに当時を知る者の間では敗北の経緯もよく伝わっている。
「正直、過去の戦績見てると、銀行が融資断り入れるレベルだと思うけど」
「う、五月蝿いわね……!」
 それが事実だったかはさておき、彼の問いが原初の吸血鬼の尊厳を大いに傷つけるものだったのは違いないだろう。
 オクタンスの声に苛立ちが、目には怒りが宿る。不快極まりない敗戦の過去に触れられたのだ、逆襲に燃える身としては黙ってはおれまい。

(まあ言うて実力者なのは事実だしな。けど、俺に言わせりゃ「対『伯爵』」の模擬戦にこれほど適した奴はいねえ)
 魎夜個人としては原初の吸血鬼を侮るつもりはないし、オクタンスの力も認めている。だが彼が見据えている目標はもっと先――現在確認されている中で最強の吸血鬼である『伯爵』とも、いずれ敵対する可能性を視野に入れている。であればこの戦いは得難い経験になるはずだ。
「タンマ! 今のは煽りのセリフじゃねえから!」
「もう遅いわッ!」
 そのためにもベストな状態の相手と戦いたいという考えもあったが、知ったことかとばかりにオクタンスは【ジェット・シャーク・ファング】を発動。チェーンソー刃を生やした空飛ぶホオジロザメ型妖獣の群れを呼び出し、魎夜に襲いかからせた。

「やはり、お前らはこのわたくしの手でバラバラにしてやらないと気が済まないわ!」
 ゴーストを支配して自らの軍勢を作り上げる、それが原初の吸血鬼の最たる力だ。オブリビオンとなったオクタンスにもその能力は引き継がれているが、『伯爵』の場合はこの妖獣より遥かに強大なゴースト軍団を率いているだろう。
「だったら負けられないな!」
 魎夜はこれまでと同様に海の天候を操り、集中豪雨でサメの視界を封じながら攻撃を回避する。敵の数こそ多いものの、心眼を研ぎ澄ませれば見切れないものではない。そして自らも浴びた雨はストームブリンガーの魔力となり、詠唱兵器のリミッターが解除される。

「受けてみやがれ、ストームブリンガー最大最強の奥義!」
 発動するのは【竜神爆火雷】。魔剣「滅びの業火」より放たれた炎と雷光が、巨大な竜顎が如くオクタンスに迫る。
 魎夜が持つありったけの魔力を込めた、己の限界を超える全力の一撃。果たして相手が冷静だったとしても避けられたかどうか。
「十万億土まで、ぶっ飛ばす!」
「なっ……きゃぁぁぁぁぁッ!!!?!」
 オクタンスに着弾した雷炎は大爆発を起こし、周辺にいた全てのゴーストとオブリビオンを焼き滅ぼす。サメの群れも吸血鬼の軍団も、全て炎に巻かれて断末魔の悲鳴を上げ、灰燼に帰していく――その火の手は、艦上にてそびえ立つ「影の城」にまで及んでいた。

「吸血鬼艦隊と一緒に沈みな、今度は浮かんでくるんじゃねえぞ」
「よ、よくもよくもよくも……ッ!!」
 燃え盛る敵艦の上で魎夜がそう告げると、爆炎の向こうから怒りと屈辱に満ちた声が返ってくる。戦況はもはや決しつつあり、オクタンス個人の力で覆すのは至難の業。それでも逆襲に燃える原初の吸血鬼は、どす黒い闘志を絶やしてはいなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴァンパイア・ハンター
私はハンター
吸血鬼は私が狩る
例え私自身が闇に堕ちようと……っ!

馬鹿でグロな熟女オタンコナスだったか?
フッ、貴様に相応しい名だ!

夜纏蓋套で太陽光遮断後UC発動
Lv309のダークネスに変身して翼を生やし飛翔
10倍になった戦闘力と防御力と再生力とヴァンパイアの能力、吸血・怪力・催眠魔眼・霧化・コウモリ変身等を駆使して暴れ回る

近距離時
鉄塊黒剣で紅蓮斬を放ち、敵の生命力や魔力を奪い取る

遠距離時
神銀兵器の二丁拳銃を撃ちながら自動詠唱機能でギルティクロスを出現させて敵の心身を引き裂く

味方負傷時
ヴァンパイアミストを展開してHPを回復すると共に対象を|狂戦士《バーサーク》化

※戦闘終了後
闇堕ちの代償で暴走し、失踪



「私はハンター。吸血鬼は私が狩る」
 死闘の舞台と化した『吸血鬼艦隊』の甲板に、新たに降り立った猟兵の名はヴァンパイア・ハンター(|吸血鬼狩人《VAMPIRE HUNTER》・f39574)。悲しき「吸血鬼病」の感染者であり、ヴァンパイアの『感染』に巻き込まれながらも闇に堕ちる事を拒んだ彼女の魂は、邪悪な吸血鬼をあらゆる世界から灼滅する為に戦う道を選んだ。
「例え私自身が闇に堕ちようと……っ!」
 その為なら忌むべきヴァンパイアの力を振るう事も厭わない。此度の標的たる『闇の淑女オクタンス』を視界に捉えた彼女は、既に「神銀兵器」を両に臨戦態勢であった。その眼差しから感じられるのは敵にも劣らぬ鋭い殺意である。

「馬鹿でグロな熟女オタンコナスだったか? フッ、貴様に相応しい名だ!」
「はぁッ?! わたくしは闇の淑女オクタンス! 名前すら覚えられないのかクソガキが!」
 ハンターの放った挑発は露骨な子供の悪口だったが、それゆえにシンプルにオクタンスの逆鱗に触れた。激昂した彼女は【ジェット・シャーク・ファング】を発動し、チェーンソー刃を生やしたホオジロザメ型妖獣の群れに不届き者を引き裂かせようとする。
「此の血に宿る、全ての闇を解き放つ……!」
 対するハンターは太陽光を遮断する「夜纏蓋套」を身に纏い、人間性と引き換えに吸血鬼の特性を得る禁断のユーベルコード――【血統覚醒・闇堕ち】を発動。我が身を|闇《ダークネス》と化すことで得たコウモリの翼を羽ばたかせ、颯爽と天に舞い上がった。

「まずは貴様らからだ、食らえ!」
 空を泳いで向かってくるホオジロザメの群れに、ハンターは神銀兵器の二丁拳銃を向ける。対吸血鬼用に聖造された兵器とは言え、聖別された弾丸の威力は通常弾とは比較にならない。さらに銃身に施された自動詠唱機構が赤いオーラの逆十字を出現させ、着弾した敵の心身を引き裂いた。
「クソが! そんなナリをしてわたくし達のマネをしてるつもりか?!」
 人間風情がヴァンパイアの力を振るうなど、オクタンスから見れば許されざる所業だろう。ますます怒りを滾らせた彼女はさらに多くの妖獣を召喚するが、冷静さを失っているために的確な指揮を執れない。それにより生じる群れの隙をこじ開けるように、ハンターは覚醒したヴァンパイアの力をフルに活かして暴れ回る。

「私はハンター……人間だっ!!」
 そうして遂にオクタンスを至近距離に捉えたハンターは、拳銃を投げ捨てて「鉄塊黒剣」を抜く。地獄の炎でも溶けぬという重厚な漆黒の剣は、使い手のオーラを受けて血の如き紅蓮に染まり、強化された戦闘力の一端たる人外の怪力をもって、邪なる者に振り下ろされる。
「がはッ……おのれぇッ!!」
 さしものオクタンスも、この紅蓮斬を受けて無傷では済まず、刃に魔力と生命を啜られ苦痛に呻く。これまでの戦闘で数々の傷を負ったその身体は、もはや淑女と呼ぶには無惨な有様であった。それでもなお瞳から怒りを消さぬのは、原初の吸血鬼のプライドであろうか。

「まだだ……!」
 怨敵に一太刀浴びせた後も、ハンターは限界まで戦いを続けた。無数の妖獣の群れに襲われながら、ヴァンパイアの再生力や催眠の魔眼、霧化やコウモリ変身などの能力を活かしてかい潜り、少しでもダメージを与えるよう立ち回る。
 やがて限界に達した彼女は、闇堕ちの代償により完全な暴走状態となり、戦いの終わりとともに何処かへと失踪したという――それでも、彼女がこの戦いで残した戦績は疑いようのないものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
オクタンスの姿を見て💡
今年のお姫様風水着に早着替え。
キラキラした存在感を纏って彼女の前に。

「フッ」と勝利を確信した余裕の笑いと視線を彼女に送る。
彼女は自分の美しさに自信満々故のあの格好。
それを凌駕されたと感じたら怒るかな?

《神威発出》発動
空中浮遊・自身への念動力・空中戦で空を自在に翔け、
軽業・ダッシュ・ジャンプで船を足場にした加速を行い、
残像を数多生み出して幻惑。

敵攻撃は第六感・心眼で予測して、上記の動きと見切りとUC効果で回避。
オーラ防御も纏う。

UC効果・功夫・神罰・破魔・浄化・風の属性攻撃・衝撃波・範囲攻撃に
よる突きや蹴りの連打(2回攻撃)でオクタンスも幽霊も纏めて
粉砕していきますよ~!



「いいことを思いつきました」
 ついに対峙した『闇の淑女オクタンス』の姿を見た詩乃は、なにかを閃いた様子でぽんと手を叩き、衣装を巫女服から今年新調した水着へと早着替えする。それはレースやリボンの薔薇を随所にあしらったドレス風の水着で、おとぎ話に出てくるお姫様のようにキラキラとした存在感を纏っている。
「フッ」
「………なによ、その顔は?」
 彼女はその格好でオクタンスの前に立ち、勝利を確信した余裕の笑いと視線を送る。敢えて多くを語らずとも、その態度がなにより相手への挑発になる。現に向こうは眉間にシワを寄せて、険しい表情でこちらを見ているではないか。

(彼女は自分の美しさに自信満々故のあの格好。それを凌駕されたと感じたら怒るかな?)
 吸血鬼はおしなべてプライドが高いが、あのオクタンスも例に漏れない。己の美に自信がなければあのような派手な格好はできないだろうと詩乃は推察していた。なので、こちらも目一杯おめかしした格好で美しさをアピールし、動揺を誘う作戦に出たのである。
「ふざけた奴ね……わたくしと張り合おうなんて百年早いのよ!」
 キレたというかムキになったというか、ともあれ読み通りの反応を示したオクタンスは【シャドウ・クレマンソー】を召喚して詩乃に差し向ける。現代兵器で武装したヴァンパイア・バタリオンを乗せた影の空母は、闇の淑女となった彼女を象徴する戦力だ。

「神の威を此処に知らしめましょう」
 迎え撃つ詩乃は水着姿のまま【神威発出】を発動。神気のオーラをその身に纏い、念動力にて自在に空中を翔ける。
 いくら原初の吸血鬼が強大な種族でも、神性の高さにおいては神である彼女のほうが格上だ。その威光を知らしめる時は今である。
「っ、この女……疾いッ?!」「とにかく撃て、撃ちまくれ!」
 軽業めいた身のこなしで宙を飛び回り、時には船を足場にした加速を行い、残像を数多生み出しながら戦場を駆ける詩乃に、ヴァンパイア・バタリオンは幻惑されていた。目についた標的に向けて銃を撃ちまくっても、その先に実体は存在しない。

「当たりませんよ」
 詩乃の第六感と心眼による予測、そして前述した空中機動とユーベルコードによる回避力の強化は、敵の射撃精度を上回っていた。降りしきる銃弾の雨の中を無傷のまま飛翔する彼女は、そのまま敵との距離を詰めて反撃を開始する。
「えいっ!」
 鍛え上げた功夫の技に神罰の権能を合わせ、繰り出すは破魔と浄化の一撃。水着の裾を翻しながら拳を突き出せば、清らかなる風が衝撃波となって戦場に吹き荒れる。可憐な見た目で侮るなかれ、体術の腕前に関しても彼女は一流だ。

「オクタンスも幽霊も纏めて粉砕していきますよ~!」
「ば、バカな……ごはッ、はぐッ!?!」
 流麗な身のこなしから放たれる突きや蹴りの連打に触れたヴァンパイアどもは、次々に霞のように消し飛んでいく。
 邪悪なるオブリビオンを骸の海へと還す女神の拳。それはオクタンス相手にも例外ではなく、逆上の隙を突かれた彼女は無様な悲鳴を上げて吹き飛ばされていった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

戦艦・大和
おのれぇ……っ!世界は違えど我らが日本の領海を荒らす鬼畜侵略者共め……っ!
今こそ……帝國軍艦の威信を賭け、愛する国を護り通す時です!

大日本帝國海軍秘密決戦兵器!
大和型戦艦一番艦……大和、推して参ります!

艦の拡声器で挑発
『ご自慢の吸血鬼大隊や艦隊も大した事ありませんね!たかがその程度の戦力で、この大和の前で得意げになる等笑止千万の極み!可哀想な位恥ずかしくて哀れにも程があります!!』

召喚術で戦闘機と護衛艦の大軍呼び
攻撃重視UCで真の姿
|本体《器物》と一体化し全長526mの飛空戦艦スーパーロボットに変形!9500㎞/h移動で敵旗艦艦橋上の影の城へ飛翔接近!本部を狙います!

破壊波動を全身に纏い攻性波動オーラ防御と巨体を生かして|達人級の武術《重量攻撃+グラップル+連続コンボ》で殴り蹴り、艤装鎧装で撃ちます!

敵UCは対空掃射用「九六式二十五粍機銃」での対空戦闘+一斉発射+自動射撃と戦闘機で迎撃!接近を許した場合は波動オーラ防御と超重鎧装で耐え、波動格闘術で応戦を!
損傷はUC再使用で回復&再強化!



「おのれぇ……っ! 世界は違えど我らが日本の領海を荒らす鬼畜侵略者共め……っ!」
 艦隊を率いて日本に襲来する異国の吸血鬼。そのシチュエーションに自らの過去を重ねて憤るのは戦艦・大和(蘇み返りし護国の鎮守・f33928)だ。彼女はかつて旧大日本帝國海軍が建造した戦艦がサクラミラージュに流れ着き、対影朧決戦用秘密兵器――ガレオノイドとして二度目の生を受けた者である。
「今こそ……帝國軍艦の威信を賭け、愛する国を護り通す時です!」
 燃ゆる大和魂を現代に受け継ぎし彼女にとって、海外からの侵略者は逆鱗に触れる存在だ。邪悪なる『吸血鬼艦隊』を一隻残らず沈めるまで、その怒りは収まらないだろう。かつてのような敗戦の悲劇は、もう二度と繰り返させない。

「大日本帝國海軍秘密決戦兵器! 大和型戦艦一番艦……大和、推して参ります!」
 本体である全長263mの『戦艦大和』に乗り込んで、いざ海戦に臨む大和。現代の基準で見ても凄まじい威圧感を誇る黒鉄の巨艦は、敵の旗艦にも引けを取らない。乙女の姿をした彼女の人間態は、その艦橋から拡声器を使って敵指揮官『闇の淑女オクタンス』に向かって叫ぶ。
『ご自慢の吸血鬼大隊や艦隊も大した事ありませんね! たかがその程度の戦力で、この大和の前で得意げになる等笑止千万の極み! 可哀想な位恥ずかしくて哀れにも程があります!!』
「なッ……バカにするんじゃないわよ、時代遅れの鉄クズが!」
 裏表のないまっすぐな挑発を受けて、オクタンスの頭に血が上る。こちらの怒らせるための策だと分かっていても、吸血鬼のプライドが邪魔をするのだ。猟兵とはいえ所詮ベースは第二次世界大戦の旧型艦――思い上がりを叩きのめしてくれようと、彼女は【ジェット・シャーク・ファング】を呼び出した。

「行けッ! あの船を沈めろッ!」
「大和は決して沈みません!」
 怒気をはらんだ号令一下、チェーンソー刃を生やしたホオジロザメ型妖獣の群れが戦艦大和に殺到する。これを迎撃する為に大和は召喚術で戦闘機と護衛艦の大軍を呼び、本体と一体になって【決戦奥義「解き放たれし鋼鉄の戦神」】を発動する。
「全てを護る為……何度でも蘇り、再び立ちあがります! それが……それこそが、私の、不屈の大和魂ですっ!!」
 堂々たる宣言と共に艦が空に浮かび上がり、ガキンガキンと音を立てて変形を開始する。全長263mの超弩級戦艦からさらに倍、全長526mの飛空戦艦スーパーロボットへと――これこそが彼女の真の姿。不撓不屈の精神を具現化した、究極無敵の決戦形態である。

「なッ……なによそれはッ?!!!」
 まさか戦艦がロボットに変形するとは思っていなかったオクタンスの、驚愕の叫びが海上に響く。見事に敵の度肝を抜いた大和であるが、この姿は決して虚仮威しなどではない。圧倒的な巨体からは想像もつかないスピードで飛翔し、敵旗艦艦橋上の「影の城」へ急速接近する。
「本部を狙います!」
「っ、止めろッ!」
 旗艦とオクタンスを守らんとホオジロザメの群れが襲い掛かるが、対空掃射用に搭載された「九六式二十五粍機銃」の一斉発射と、直掩を担当する戦闘機部隊の迎撃によって大半が阻まれる。僅かに接近を許したとしても、波動オーラ防御と超重鎧装の二重装甲を突破するのは容易ではない。

「まだまだぁっ!」
 チェーンソーで削られた装甲をユーベルコードの再使用で回復・強化し、損傷をものともせずに突き進む戦艦大和。
 湧き上がる闘志は波動となって彼女の全身を包み込み、防御に用いれば鉄壁の鎧に、そして攻性に転用すれば全てを破壊する力となる。
「捉えました!」
 そうして遂に敵旗艦へと肉薄した大和は、人の体を得てから習得した達人級の武術を、526mの巨体から繰り出す。
 破城槌よりも重厚で強烈な打撃が、城壁を打ち砕き塔部をへし折る。吸血鬼種族の拠点である「影の城」は、通常の攻撃では傷さえ付かない強度を誇るはずなのだが――そんなものは関係ないと言わんばかりの威力だ。

「やッ、やめなさい!」
 さっきまで怒りで顔を赤くしていたオクタンスが、さっと青ざめて叫ぶ。が、侵略者に何を言われたところで大和が攻撃の手を緩めるはずがない。半壊した影の城にとどめとばかりに「艤装鎧装」が変形した艦載砲を向け、零距離から砲弾をぶち込む。
「終わりです!」
 轟いた砲声は衝撃波となって、遠雷の如く海の彼方まで響き渡り。直撃を受けた城はもちろん、その基部になっていた艦も甚大な損傷を受ける。焦燥を隠しきれないオクタンスを乗せたまま、吸血鬼艦隊の旗艦は沈み始めていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ブラミエ・トゥカーズ
余の様に土地に縛られる身では水は簡単には渡れぬ。
故に、土地ごとそちらに行ってやろう。

カクリヨの本棺にある土を分け出した出張用棺ごと艦から射出される
日傘を自身でさしつつ棺から出る

はじめまして異界のご同類よ。
人に編まれた吸血鬼としては貴公の在り様は驚きであるな。
こちらは貴公の様な者ばかりであるのか?
日光浴が楽しめるとは羨ましい限りであるな。

鮫に喰われ、内部で霧に変身する
鮫に病を感染、共食いと日光アレルギーを強化して発露
太陽による鮫の焼却を行う
一部は日陰で蝙蝠や霧になって隠れておく
鮫に次々と感染する事でオクタンスに接近して驚かす
一応は生命体である病原菌を四方に散し鮫を無関係な方向に誘導する

貴公も数に自信があるようだが、数を揃えた程度では余は殺せぬぞ?
船とは言えここが城であるならば逃げ場所は無い。
そして余はこういった場所で知恵の足りぬ者を殺し損ねた事はない。
人の様に余に抗いこの船から余を落とせば殺せるかもしれぬがな?

吸血鬼相手にお約束を守る必要もなく落ちそうになったら手頃な鮫に感染する



「余の様に土地に縛られる身では水は簡単には渡れぬ。故に、土地ごとそちらに行ってやろう」
 敵の大将が姿を見せたとあっては、ブラミエも眷属任せにばかりしてはおれぬ。カクリヨファンタズムにある本棺より土を分け出した「出張用棺」に入ったまま彼女が向かうは、本来なら艦載機を発艦させるためのカタパルトだった。
「オウ、ジーザス……まさか、こんな事に使うとは思いませんデシタ……GO!」
 乗組員は天を仰ぎつつもカタパルトを作動させ。棺ごと艦から射出されたブラミエはまっすぐ敵旗艦に飛んでいく。
 自力では海を渡れないからといって、まさかこんな方法を取るとはドラキュラ伯爵もびっくりだ。が、何にせよこれで決戦の舞台に上がることは出来たわけである。

「はじめまして異界のご同類よ」
「なっ……あなた、吸血鬼?!」
 日傘を自分でさしつつ棺から出てきたブラミエを見て、『闇の淑女オクタンス』は目を丸くする。シルバーレインの吸血鬼はもともと異界からの来訪者であるが故に、人間の作り出した伝承などに縛られてはいない。同じ「吸血鬼」と言っても両者はあくまで異種族であった。
「人に編まれた吸血鬼としては貴公の在り様は驚きであるな。こちらは貴公の様な者ばかりであるのか? 日光浴が楽しめるとは羨ましい限りであるな」
 おそらくは本音でブラミエはそう語る。人間達の恐怖の裏返しから数多の弱点を付けられてしまった彼女は、活動に大きな制約を課されているのは今回の依頼でも分かる通り。だが、それは決して彼女がこちらの世界の吸血鬼より劣っているわけではない――強大であるが故に彼女は恐れられたのだから。

「フン、不便な体質ね……だったらサメの腹の中で海水浴でもしてればいいわ!」
 オクタンスはそれを理解しないまま【ブラッディ・シャーク・バルカン】を発動。体内から大量のサメ型妖獣を射出し、ブラミエに襲い掛からせる。血に飢えた妖獣どもは一度狙った獲物をどこまでも追尾し、噛みつき、食いちぎる。
「鬼の器に封されしは古き災厄。今ひとたびこの夜に零れ落ちよう。恐怖と共に」
 しかしブラミエは逃げも守りもせず、あえてサメに自分を食わせ、体内で【伝承解放・悪しき風と共に来たるモノ】を発動する。伝承に曰く吸血鬼とは姿を変えるもの――オオカミに、コウモリに、そして霧に。実体なき霧へと文字通り"霧散"してしまえば、物理的ダメージはないに等しい。

『グオ……オオオォォッ?!!』
 さらに、ブラミエを食った妖獣の身体には異常が発生する。熱に浮かされたように瞳は焦点が定まらずに朦朧とし、肌は日に焼けて水膨れができている。赤死病を本質とする彼女の霧を吸い込んだのだ、病に罹るのは当然の理である。
「ちょっと、何をしてるのよお前たち?!」
 赤死病がもたらす病状のうち、共食いと日光アレルギーを強化して発露させられた妖獣どもは、同族の牙にかかって死ぬか、太陽の光に焼却されて次々に滅んでいく。この異変には余裕ぶっていたオクタンスも度肝を抜かれたようで、目を丸くして驚いていた。

「貴公も数に自信があるようだが、数を揃えた程度では余は殺せぬぞ?」
 ブラミエは自身の肉体を霧やコウモリに分割し、妖獣どもに次々と感染しながらオクタンスに語りかける。病に耐性も抗体も持ち得ぬ連中など、彼女にとってはただのキャリアだ。自分という病を運ばせるための移動手段に過ぎない。
「そして余はこういった場所で知恵の足りぬ者を殺し損ねた事はない」
「なッ……なんですって?! わたくしに知恵が足りないと!?」
 感染を繰り返しながら接近し、優雅に事実を伝えてやると、オクタンスは顔を真っ赤にして怒り狂った。かくなる上は霧の一片に至るまで食い尽くしてやろうと、さらに大量のサメを呼び出す――その無尽蔵の眷属は原初の吸血鬼の力を示すものではあった。

「残念であったな」
「なっ、なんでよ?!」
 だがしかし、射出されたサメのほとんどはあらぬ方向へ飛んでいってしまう。生命体を自動追尾する性質を持つ彼らは、ブラミエが四方に散らしておいた病原菌にも"獲物"として反応してしまったのだ。こうなれば、どこにサメを誘導するかは彼女の思うがままである。
「く、クソが……げほっ、ごほッ!」
 そして、サメにだけ感染して本体だけは無事という都合のいい話はない。赤死病の毒牙はオクタンスの身をも侵し、幻覚や血行不良、そして日光アレルギーを引き起こす。万全の状態であればまだしも、激戦により疲弊した今の彼女にとって、それは死に至る病であった。

「人の様に余に抗いこの船から余を落とせば殺せるかもしれぬがな?」
「く……クソがぁッ!! こんな事で、わたくしが死ぬなど……フザけるなぁッ!」
 追い詰められたオクタンスは激昂し、怒涛の勢いのサメ妖獣でブラミエを艦外まで押し流そうとするが――人間ではなく吸血鬼相手にお約束を守る必要もなく、海に落とされそうになったブラミエは手頃なサメに感染して難を逃れる。
「工夫の欠片もない。それでは落ちぬよ」
 さらに彼女はもしもの時に備えて、自分の一部をコウモリや霧の姿で日陰に隠している。この全てを排除しなければ艦上で巻き起こるパンデミックを止める事は不可能だ。元を正せば彼女がこちらに来るのを阻止できなかった時点で、大勢は決していたとも言える。

「お、おのれ……この、わたくしが……猟兵などに、ニ度までも……ッ!!!!」

 最後に残った生命力も、病により奪い尽くされたオクタンスは、まるで伝承の吸血鬼の如く日に焼かれて力尽きた。
 彼女が立っていた場所に残された一握の灰は、すぐに海風で吹き飛ばされていき。直後、破壊された「影の城」ごと戦艦が沈んでいく――。



 ――かくして『闇の淑女オクタンス』は猟兵達の手で討ち取られ、新生『吸血鬼艦隊』の作戦計画は阻止された。
 復讐に燃える原初の吸血鬼も、異世界から招かれた|機械兵士《ゾルダート》も恐れるに足らず。完全勝利の報告と共に、猟兵を乗せたサンダーバード艦隊は港への凱旋を果たすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年09月07日


挿絵イラスト