A-1グランプリ2023 夏女決定戦
●A-1GP
アスリートアース……この地の夏に必ず行われるものがある。
それは水着女子による最強決定戦『A-1グランプリ』
そしてその決勝がレイノプールに浮かぶ特設リングで行われようとしていた。
「赤コーナー、163cm、オリヴィア・ローゼンッッッタールゥゥゥ!!」
白のホルターネックのトップスとハイレグのボトムがオリヴィアの肢体を存分に強調しており、紐の隙間から覗くビキニブリッジは鍛え抜かれた肉体というベースもあってまさに黄金橋。
「青コーナー、172cm、マルチナ・ブランジィィーナァァ!!」
対するマルチナは――ブラジルだった。
スリングショットに身を纏った褐色の肌は細く絞られている。だが鍛えた大胸筋と殿筋によって水着は密着が許されなかった。
時間無制限一本勝負。
色んな意味で危険な戦いが今――始まる!
ゴングが鳴り、二人の女が間合いを詰める。
互いに摺り足、足音は響かずただ息遣いが聞こえる中オリヴィアがジャブを放つとマルチナがヘッドスリップ、そこから踏み込んだ足を刈ってから掴み褐色の女がマウントを取らんとすると銀髪の女が足裏を相手の腹に当てて行動を制する。
マルチナがそれを払ってのサイドポジションへ移行、身長差を活かしたポジショニングでグラウンドを支配せんとすればオリヴィアが身体を回転させて逃げ、スタンディングへ。
最初の戦いは両者とも一歩も譲らなかった。
攻防が続く。
比較的ストライカーなオリヴィアに対し、柔術を中心としたグラップリングを使うマルチナ。
手が伸びれば、それを払い。足が動けば、蹴りで抑える。
けれど牽制は長くは続かない。
|交戦距離《レンジ》は縮まり、互いの脇に腕が差し込まれれば後は投げや崩しを狙う戦いへと変わる。だが二人の実力は拮抗――位置取りを競った結果ロープをまたぐように二人はプールへと落下した。
最初に顔を出したのはオリヴィア。
水を纏った銀髪が輝くのは女神のような美しさ……だが。
「ちょっ……ちょっと!?」
リングに上がろうとした彼女のボトムを掴む褐色の手があった。
会場はどよめきから歓声に変わり、もう少しで尻が零れそうになり観念した銀髪の女がプールに沈む。
その隙を見てリングに上がり込もうとしたマルチナ。
だがそのスリングショットの背中を掴む手があった。
伸びる水着、食いこむ布地、観客が期待する中、響くのは濡れた生地が背中を叩く音。
おこぼれしないように補強した分、伸縮性も高い……つまりめっちゃ痛い。
のたうち回りながらリングに転がり込んだ褐色の女を追うようにオリヴィアもリングイン。
その目が光っていたのは気のせいだろうか?
熱気冷めやらぬうちに戦いは再開される。
褐色のマルチナがジャブを放ち、タックルへ移行しようとした時。
鉄拳が顔面を襲った。
|鉄拳聖裁《ジャッジメント・ブロウ》
水着を脱がされかけた恥ずかしさ(🔴)が溜まった拳は痛い。
一発、二発、三発。
弓を引くように撃ち込まれる鉄拳にマルチナが腰を引いたところで――その両足が掴まれた。
「カクゴシテクダサイ」
この時、褐色の女は気づいた。
オリヴィア・ローゼンタールはキレていた事に。
闘気を込めたジャイアントスイング142回転。
そのまま宙へ舞ったマルチナへとオリヴィアは飛び。
太腿で相手の腕と首をロックし、締め上げた。
|獣絞縛鎖《グレイプニル》
天に輝くが獣を封じし聖なる印。
それが――天罰が落ちるが如く落下し、そこでレフェリーは両腕を振った。
かくして夏は終わる。
互いに健闘を称えたあたりで緩む水着の紐と共に。
その後はその場にいた者だけの秘密……。
成功
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