北十字・銀河
【日没】
アドリブ歓迎
一週間ほどの夏休み
旅団仲間の実家の近くの浜辺
(こんなにくつろぐのはいつぶりだろう……)
砂浜に直接寝転んでそっと目を閉じる
波の音とともにふっと意識が薄れて……
「銀!銀ったら!」
呆れたような怒ったような声に慌てて目を開ける
そこには青髪のエルフ女性
腰に手を当てて見下ろしていた
「エア……」
彼女がいるということはここは俺の元居た世界なのか?
彼女がこちらに来てるとは思えない
そんな俺の様子に、彼女は怪訝そうな顔をすると隣に座る
砂浜で熟睡するなんて珍しいわね。と顔をのぞく
まぁ、そんなときもあるさ。と俺は答える
「最近はどう?」
ふっとそう尋ねてくる
「順調にいってる……信頼できる仲間にも出会えたよ」
そう……とほほ笑むと、ん~っと背伸びをする彼女
「もし……辛くなったらいつでも帰ってきていいと思うわ。銀は真っすぐ過ぎる所があるから」
幾つになってもね?と笑いながらいうから
大きなお世話だと俺も笑った……
「……さ~ん!銀さん!」
ふっと目を覚ます
先ほどの浜辺だ
「ここにいたんだ。食事の時間だよ?」
探しに来たのは旅団仲間
「すまない、今行くよ」
まだ耳に残っている故郷の世界の友の言葉
サンキュと小さく呟いて
(俺なりに進んでる、心配ないよ)
その場を後にした
夕刻の砂浜は穏やかだ。
この度、一週間ほどの夏休みを得た、北十字・銀河(星空の守り人・f40864)は、旅団仲間の実家近く、その浜辺を訪れていた。
――こんなにくつろぐのは、いつぶりだろう……。
白砂の感触、寄せ返す波の音。砂浜に横たえた身をそれらに預けていたなら、まるで何かに誘われるかの如くふっと銀河の意識は薄れゆく。
――……銀、銀……。
誰がが呼ぶ声がする。聞き慣れて、でもどこか懐かしくて。浮かぶよな、霞がかった思考の中で手繰ろうとするうち、再度大きな声が響いた。
「銀! 銀ったら!」
呆れたような怒ったような声に慌てて目を開けると、青髪のエルフ女性が腰に手を当てて、銀河のことを見下ろしていた。
「エア……」
思わず、呼んだ彼女の名。そう、彼女は、エアだ。今ここに居る筈のないその姿に、銀河の瞳が、見開かれる。
――彼女がいるということは、ここは、俺の元居た世界なのか?
居る筈のない彼女の姿に戸惑う思考が顔に出ていたのだろうか、怪訝そうな顔をした彼女が彼の隣に腰を下ろす。
「砂浜で熟睡するなんて、珍しいわね」
「……まぁ、そんなときもあるさ」
「最近は、どう?」
「順調にいってる……信頼できる仲間にも出会えたよ」
顔を覗き込みながら問いかける彼女へと『今』を素直に伝えれば、穏やかに微笑んだ彼女は、そう、と一言。身をぐっと伸ばしながら、変わらぬ笑みで言う。
「もし……辛くなったら、いつでも帰ってきていいと思うわ。銀は真っすぐ過ぎる所があるから」
――幾つになっても、ね?
なんて、彼女が笑いながら言うものだから。大きなお世話だ、と笑い返す。
そんなやり取りが懐かしくて、心地よくて……――
――……さん。……さ~ん。
「銀さん!」
再び名を呼ばれ、意識が引き上げられる。
夢、だったのだろうか。見回してみれば先ほどと変わらぬ浜辺だ。エアの姿は、無い。
「ここにいたんだ。食事の時間だよ?」
代わりに声をかけるのは旅団の仲間。戻らぬ己を探しに来たのだろう。すっかり陽は海の向こうに沈みかけていた。
「すまない、今行くよ」
踵を返す仲間の背中を見つつ、まだ耳に残る聲に心を寄せる。
空と海の境目に沈みゆく夕日は、世界を赤く染めて。
そんな境界を見つめながら、サンキュ、と小さく呟き、銀河は先に往く彼を追う。
――俺なりに進んでる、心配ないよ。
そう、裡で唱えた言の葉は、赤き境界に響く潮騒に、融けた。
成功
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