ア・ドゥマンの概略
駒城・杏平
ユキノ・サーメッティア(空白・f00911)と夏休みお泊りデート
アドリブ歓迎、名前、呼び捨て
今日は大好きなユキノをデートに誘ったので、一緒にお祭りを楽しむぞい。
祭りだから、人が結構多いみたいだね…え?はぐれないように手を繋ごう?
子供じゃあるまいし…
…そうだね…手、繋ごうか。
ちょっと恥ずかしいけど…ね…。
…って手をにぎにぎは…するのはなんでかな?
ちょっと…くすぐったいかな…。
そんなこんなで、ユキノと一緒に屋台を巡ってタコ焼きとか、一緒に食べたり
あつあつっていいながらも、楽しそうに食べて
後はかき氷でー、味を別々してお互いに食べあいっこしたり
あーんとかやってるみる?
射的?やってみる?
僕も銃器扱ってるけど…僕は砲台だからな…
やってみようよ、楽しいって!
祭りを楽しんで時間がすぎて、暗くなってきたので、そろそろ帰ろうかってなったけど
帰り道に線香花火を見つけて購入、浜辺にいき花火を楽しむよ
暗くなってきたね、そろそろ帰ろうか…
あ、花火が売ってるね、線香花火する?
浜辺も近くにあるし?
一緒に花火してるとユキノが寄りかかて来たので
どうしたの?って言ったら
僕のとユキノが持っていた線香花火も寄りかかってきて。面白かったね
ちなみに、格好はユキノとお揃い水着
(https://tw6.jp/gallery/?id=184649)
花火もおわって片づけて…
さて、旅館に帰ろうか?あ、手を繋いで帰る?
ほら、足元が暗いからさ
安全のためにだよ
泊まりの旅館に戻って、風呂も一緒に…
お風呂どうする?一緒に入る?
なんって…え?いいの?
いいよって言われてちょっとどきどき
長い髪なんで丁寧に洗って体も洗ってキレイして
髪が湯につかないようにタオルをリボンのようにして
纏めてお団子ヘアーでお湯につかってると
ふーお風呂は気持ちいいね…
最後は仲良く一緒に就寝
祭り、楽しかった?
誘ってよかったよ
…また祭り行く?
ユキノ、おやすみ
また明日ね
●夏休みの一幕
デートとは二人の約束事である。
二人の過ごした時間の総称であることは間違いないし、当人たちにとってはそうした概要などは直感的に無意味なものであると理解できるだろう。
感情が先走るようでもあり、またその感情の発露が目の前にいる人に向けられていると意識したのならば、それはきっと目に映る光景の全ての色彩が鮮やかになるものでもあった。
兎角、語ることではないけれど。
幸せ、というのならば、きっと目の前にいる人と過ごす時間のことを言うのだろうと駒城・杏平(銀河魔法美少年テイルグリーン・f05938)とユキノ・サーメッティア(空白・f00911)は今年おろしたてのお揃いの水着姿で予てより計画していたアスリートアースでのお泊りデートに繰り出し思うだろう。
パステルグリーンの水着。
揺れる大きなリボンが胸元を飾る。
お互いの髪色を意識したであろう水着姿は、お揃いであるということもあって、なんとも心が浮足立つような思いにさせてくれる。
杏平とユキノは昼間は太陽の元、アスリートアースのプールで泳ぎ倒して目一杯笑いあった。少し疲れてはいないだろうかと心配していたが、お互いの顔を見ればまだまだ体力があることが伺えるだろう。
それも大好きな人が隣にいるから、と注釈を入れるのならば、なるほど真理であるとも言える。
「ちょうどよかったねっ、お祭りやってて」
「うん、結構人が多いね。お祭りって何処の世界でもやっぱり皆好きなんだね」
「本当、人が多いね。納涼まつりってことなのかな? アスリートアースだから、こういう屋台とか出店って、プロテインとか健康志向ドリンクとか、そういうイメージあったんだけど……」
「案外普通っていうか、楽しいよね」
そんな他愛のない感想を二人で言い合う。
けれど、二人の意識は出店にあるわけではなかった。
彼らが気になっているのは互いのこと。
わざわざ人の多さにユキノが言及したのは、互いの手が空だからだ。
手をつなぎたい。
シンプルに言えば、そういうことである。でも、杏平から言い出すのは気恥ずかしいし、子供みたいでなんだか、と思うのも無理なからぬことである。
それを悟られるのは男の子として、やっぱり気後れするというものであろう。
「えいっ」
「……っと、え、何、どうしたの?」
「人多いでしょ。はぐれちゃったりしたら、寂しいでしょ?」
「それは、そうだけど……」
子供じゃあるまいし、という言葉が喉から杏平の喉元から出てきそうになる。けれど、それを飲み込む。
「……そうだね……手、繋ごうか」
「えへへー!」
ユキノは終始ご機嫌だった。握った手の指をにぎにぎと動かす。
杏平と自分の手の感触の違い、それを確かめるようでもあったことだろう。
「……指、にぎにぎするのはなんでかな?」
「え……なんでって……」
そう言われてユキノはなんでだろうと首を傾げる。自分でもよくわかっていないのかも知れない。気がついたら指を動かしていた。
杏平の指の感触。肌の質感。少し汗ばんでいるのは自分だろうか、それとも杏平だろうか。そんなことが一気に頭に浮かんで、結局ユキノは言葉にすることが難しいっていうことを理解しただろう。だから、彼女はなんでもないことのように笑顔で言うのだ。
「……えへへー、なんでだろっ! したかったからかな?」
「そんなものなの……?」
「だめ?」
「ちょっと……くすぐったいかな」
「ちょっと、ならいいよねっ!」
そう言って二人は祭りの屋台の照明に照らされてよくわからなかったけれど、たしかに頬を赤らめながら屋台を巡る。
焼き立てのたこ焼き。
熱を受けてソースが香ばしい香りを鼻腔に運んでくれるし、散りばめられた青海苔と鰹節が揺らめくようにして踊っている。
口に放り込めば、熱くって二人して涙目になりながら息を吐き出す。
その様子にまた笑ってしまうのだ。
「あっつ、あっつい……!」
「ふーふーしてからにすれば、よかったね~! あっ、熱いの食べたから、次はかき氷にしよ!」
「え、もう!?」
「止まってなんてられないよっ! ほら、行こっ!」
ユキノに引っ張られて杏平はかき氷屋へと引っ張られていく。アスリートアースのかき氷屋とは言え、普通の、それこそUDCアースの夏祭り屋台とあまり変わらないように思える。
端に『大人気! プロテインフレーバー!!』とか札が立っている所がアスリートアースらしさを感じてしまう。
「杏平さん何味にする? 別々なのにしたいって思ってるんだけどっ!」
「うーん、僕は苺味かな」
「じゃあ、私、メロン味ね!」
氷を削る音が響く。モーター音が聞こえないっていうことは、人力なのだろう。あれって労力がかかるものであるが、此処はアスリートアースである。
人力のほうがモーターより速くパワフルだってことも……まあ、あるのである。そんなパワフルな削り具合のかき氷にシロップが駆けられれば、氷山はゆっくりと形を変えていく。
二人の髪色をそっくり交換したようなかき氷。
そのかき氷を互いに手に取れば一口放り込む。
キンキンに冷えている氷。シロップの甘みが広がるし、冷たさが脳天を突き抜けていく。
けれど、不思議と頭が痛くなることがない。
「美味しいっ。ね、ね、杏平さん、一口あーん!」
あーん、というから食べさせてくれるのかと思ったら、ユキノは口を開けて待ち構えている。
「あーんって、食べたいってこと? ふふ、じゃあ、はい。あーん」
「あーん。んふふっ。美味しいねっ、じゃあお返し」
「えっ、それは……」
いいよ、とは杏平もいえなかった。ちょっと恥ずかしさがあるけど。でも、それでもお返し、と言われると断れない性分なのだ。
かき氷が溶け出していくのは、きっと上昇した自分の体温のせいじゃなくって、夏の夜の気温の高さのせいだと、杏平はそう思うことにした。
「次はー……綿あめにチョコバナナ! やっぱり定番の食べ物は抑えておきたいよね!」
キラキラした瞳でユキノは出店の看板を見回す。
あれもこれもどれもそれも。
全部食べたい。
そんな風に思わせる魔力というのが、この夏祭りには存在してるのだ。
「そんなに食べたらお腹壊しちゃうよ、ユキノ」
「わかってるよっ。でも楽しいからさっ。いっぱい楽しみたいって思っちゃうの! あっ、あれ射的かな?」
ユキノの示す先にあったのは、これまた定番の射的。
ぬいぐるみやお菓子、置物などが並べられている。どうやらコルクの弾を飛ばすタイプみたいである。
ユキノも杏平も射撃武器を戦いでは扱う。
ならば、おもちゃ鉄砲程度ならば容易に扱えるだろう。
「やってみようかなー」
「折角なんだから、やってみようよ。きっと楽しいって!」
なら、とユキノと杏平はおもちゃ鉄砲を借りてコルク弾を詰め込む。銃口に詰め込むだっけの簡単な機構。
これなら、とユキノは意気込むが、六発中、全てが的からそれてしまっていた。
やはり、常に銃器を使うからと言っても作りがそもそも違うのだ。勝手が違えば、コントロールも効かない。
けれど、杏平は違ったようだ。
器用に的にコルク弾を当てて賞品を落としていく。くるくるとおもちゃ鉄砲を回して、どんなものだろうって顔をするのを見てユキノは目を輝かせる。
「すごいすご~いっ! え、なんで? 上手っ!」
「ま、まあ、これくらいはね……って、ひっつきすぎ!」
なんて、そんなやり取りをしながら二人は夏祭りを堪能していく。
線香花火や、砂浜に寄せる波音。
夜空に咲く大きな花火。
明滅する夜空を見上げながら、二人はとっぷりと夜の帳落ちる道を歩む。
歩む先は旅館。
お泊りデートなのだから、当然、帰り道はそこになる。
「は~楽しかった~……水着だったけど、やっぱり暑いよねっ」
「うん、お風呂入りたいな」
「本当だよ~汗流したい~っ!」
そんなふうにして手をつなぎながら旅館への帰り道。楽しかった夏祭りがきっと杏平を大胆にさせていたのだろう。
「なんなら一緒に入る?」
普段ならば冗談でも言わないようなことを口走ってしまう。
つい出てしまった言葉に杏平は思わず口元を覆う。言ってしまった、と思った。気が緩んでいたのか、なんなのか。自制心が失われるのが夏の魔法なのか。
ああ、どちらにせよ、これはまずいな、と胸が跳ねるのを杏平は感じたことだろう。
ユキノとの楽しい思い出になる日だったのに、と最後に気が緩んでしまったせいで、と後悔が湧き上がる直前、ユキノは赤ら顔で笑って言う。
「いいよ?」
ユキノもそうだったのかもしれない。
夏祭りに行くときは自分から手をつなぎたいと言った。気恥ずかしそうにしていた杏平の顔も可愛かったけれど嬉しかった。胸がドキドキする。
けれど、それ以上に嬉しかったのは、線香花火をしてくっついて落ちちゃった最後の一本を終えた後、杏平から手を繋いでくれたのだ。
それが、一番嬉しかった。
自分から手をつなごうって言ったのに、なんでか顔が熱くって、赤くって、制御できよう無い感情が湧き上がってくる。
一日が終わる。
それが惜しいと思ってしまう。
旅館に帰れば、繋いだ手は離さないといけないだろう。
それがどうしようもなく寂しいと思ってしまう。なら、お風呂も一緒に入れば。
「まだ一緒に居られるよね?」
「え、あっ、うん。いいの?」
なんとも言えない雰囲気に二人は互いに赤ら顔のまま見つめ合う。
今日という日はもう少しだけ続く。
きっと眠りにつく前まで、この胸の高揚は収まることはないだろう。
おやすみ、は二人だけの間に繋がる言葉。
今日という一日の楽しさを繋いだ手の間に挟んで、二人は瞳を閉じる。
「ユキノ、おやすみ。楽しかったね」
「うん、楽しかった。また……一緒に行きたいな……」
寝息が聞こえる。
杏平は微笑んで言う。
今日という日の終わりに。
また明日ね、と――。
成功
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