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奈良県のフェンリル

#シルバーレイン #決戦 #人工島の戦い #シルバーレイン・アナザー #五條市の土蜘蛛

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●土蜘蛛オブリビオンからの知らせ
「集まっていただきありがとうございます。シルバーレイン世界でよくないお知らせです」
 単刀直入に話題を切り出すのはムゲン・ワールド(愛に生きたナイトメア適合者・f36307)だ。
「奈良県五條市の土蜘蛛オブリビオン達から連絡がありました。奈良県の南部、山の奥からフェンリルが出現したとのことです」
 二つ説明が必要だろう。
 まず、五條市の土蜘蛛オブリビオンについて。
 土蜘蛛オブリビオンはその名の通り今も味方として存在する「土蜘蛛」と呼ばれる種族のうち、「銀誓館学園」と敵対し、倒された者達がオブリビオンとして蘇った者だ。
 ただ、五條市に姿を現し、自らの根城を作った葛城山の土蜘蛛を統括していた|国見《くにみ》・|眞由璃《まゆり》のオブリビオンは様々な背景から猟兵との同盟関係を結んでおり、土蜘蛛オブリビオンが他のオブリビオンに襲撃された時は助けたり、猟兵側が助けが必要な時(代表的なのは今年発生した『第二次聖杯戦争』の折だろう)に助けてもらったりしており、今もなおその同盟は継続している。
 今回、異常を報告してきたのも、同盟の条件にある「自身の勢力下とその近辺にてオブリビオンの問題があればそれに対処し、対処しきれない場合は報告する」という条件に基づくものだ。
 そして、フェンリルについて。
 フェンリルは「|人狼《クルースニク》」と呼ばれる種族が扱う切り札である全長50mの巨大なエネルギー体だ。
 かつて銀誓館学園が『人工島の戦い』と呼んだ|吸血鬼《ヴァンパイア》と|人狼《クルースニク》の戦いで使われたのを皮切りに人狼騎士団との戦いに何度か出現し、今も、オブリビオンとして蘇り、最近では『第二次聖杯戦争』においても敵として立ち塞がった。
 それが、奈良県南部の山の中に現れ、五條市に向けて進行中だと言う。
「端的に言えば救援要請ですが、当然、山から五條市までの間には人里があります。フェンリルがそれに配慮してくれる可能性はまぁないでしょう。ですので、同盟関係を抜きにしても、対処する必要があると思います」
 ムゲンは、オブリビオンとの同盟という事実に難色を示す猟兵がいるのを理解し、そう告げる。
 オブリビオンとの同盟とは関係なく、人間に危害が加わる可能性のある事態なのだ、と。
「理解頂けたところで、今回の作戦を説明します」
 ムゲンはそう言うと、手元のグリモアを輝かせ、空中に地図を投影する。
 現在、土蜘蛛オブリビオンとフェンリルは奈良県南部で戦闘中。……ですが、我々はここには加わりません。とムゲンは首を振る。
 なぜなら、フェンリルは「魔狼儀式」と呼ばれる儀式に守られていて、これを止めない限り、基本的に無敵だからだ。
「なので、土蜘蛛オブリビオンの皆さんが精一杯|ユーベルコード《土蜘蛛の檻》を使って精一杯足止めしてくれている間に、私が|予知した《悪夢に見た》儀式場を襲撃して、その儀式を止めてください」
 なので、作戦の第一段階は、儀式場を護衛している妖獣化オブリビオン『ホチキスドッグ』を殲滅する事です。とムゲンは説明しつつ、『ホチキスドッグ』の使うユーベルコードなどについて説明する。
「それが終わったら、いよいよ儀式場を破壊してください」
 儀式場はポルターガイスト現象が発生しているらしく、様々なものが飛び交っているらしい。これを回避しながら、儀式場を構成するアイテムを破壊する必要がある。
「儀式場を構成するアイテムも飛び交っています。薄く赤と青の炎のオーラを纏っているので、見ればすぐにわかると思います」
 基本的には飛び交う様々なものを避けながら、同じく飛び交っている儀式を構成するアイテムを破壊する事になるだろう。
 現場は廃墟なので、別にまとめて破壊しても構わないかもしれない。
「儀式場が破壊されたら、フェンリルとの戦いの場所に私が再転移させていただきます。敵は弱体化していますので、土蜘蛛オブリビオンと共闘し、倒してください」
 と言っても、流石に普通の土蜘蛛オブリビオンではまともにフェンリルの相手をさせると却って足を引っ張る、と言うことで、国見・眞由璃だけを残して他は撤退するようだ。
「知ってる方はいつもの通り、紅蓮撃と土蜘蛛の檻で援護してくれるのでうまく活用してください。オブリビオンが絶対許せない人はそう言ってくれれば顔を出さないようにしてくれるので、事前にそう言ってください。一応同盟関係なんで、一方的に背中から刺すようなことは勘弁してくれると嬉しいです」
 そう言ってムゲンは説明を終えた。
「ところで」
 と思ったら、また一言続いた。
「|美空《みく》さんの一件を覚えていますか? ナンバード化オブリビオンの件です」
 それは『第二次聖杯戦争』の少し前のこと、五條市の土蜘蛛オブリビオンがナンバード化オブリビオンに襲撃された時のことだ。
「あのナンバード化オブリビオンを作り出した何者かについて、問いただした猟兵がいたのですが、オブリビオンはこう答えたそうです。『『父祖の昔よりの敵』である吸血鬼とそれに与する銀誓館と戦う』、と。『父祖の昔よりの敵』、これはかつて洗脳されていた人狼騎士団達がよく言っていた言葉です。そしてフェンリルは人狼騎士団が呼び出すエネルギー体、無関係とは思えません。何か手がかりがつかめればいいですが……」
 あくまで余談です、気にしないでください。とムゲンはその話を打ち切った。
 だが、猟兵が望むなら、なんとかして情報を収集することも不可能ではないかもしれない。調べるなら敵の儀式場、つまり作戦の第二段階が適切だろう。
「私が説明出来るのは以上です。奈良県の人々に被害が出ないよう、フェンリルの排除、よろしくお願い致します」
 そう言うと、ムゲンはグリモアの光を纏った仕込み杖をスラリと抜き放つ。
 その切先に合わせて空間が裂けるように転送ゲートが出現した。


メリーさんのアモル
 銀の雨降る世界、久しぶり、戻ってまいりました。
 キャンペーン「シルバーレイン・アナザー」の続きになります。
 詳しくはタグ「#シルバーレイン・アナザー」でご確認下さい。
 もちろん、特に知らなくても単なる一つの事件として関与して頂いても全く問題はありません。

●第一章
 集団敵『ホチキスドッグ』との戦いです。
 特に気をつけるべきことはないので、単純に倒してください。

●第二章
 冒険。ポルターガイスト現象でものが飛び交っています。儀式場を構成するアイテムを破壊して下さい。ターゲットは薄く赤と青の炎のオーラを纏っているのですぐに分かります。
 どんなものが飛んでいて、何がターゲットかは、プレイングで好きに設定して構いません。
 基本的には危険物が飛び交っていて、ターゲットは儀式用のナイフなどです。

 また、もし望むなら、このタイミングで儀式場の周囲を探ることも出来ます。この行動によってこのシナリオが有利に進むことはないですが、キャンペーンの今後に影響します。

●第三章
 ボス戦。『フェンリル』との戦闘です。
 望めば国見・眞由璃の支援を受けられます。

 眞由璃は以下のユーベルコード二つを使って支援してくれます。必要に応じて指示してください。

●眞由璃紅蓮撃
 【右腕に装備した「赤手」】が命中した部位に【凝縮した精気】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。

●土蜘蛛の檻
 レベルm半径内を【蜘蛛の巣】で覆い、[蜘蛛の巣]に触れた敵から【腕力】を吸収する。

 アドリブで支援を入れる場合もあります、
 支援が不要の場合、プレイングの頭に「土蜘蛛×」と記述頂けると不幸な事故が防げると思います。

 それでは、参加の検討のほど、よろしくお願い致します。
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第1章 集団戦 『ホチキスドッグ』

POW   :    ドッグバイト
【噛み付き】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    ホチキスファング
【ホチキスのように開いた大きく肉体】で攻撃する。[ホチキスのように開いた大きく肉体]に施された【開かれる口の大きさ】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
WIZ   :    下方からの脅威
敵より【体高が低い】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。

イラスト:はるまき

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

酒井森・興和
五條の南はかなり山深いが人家はある…
国見女王様のご要望、不肖の身ながら僕も出よう

相手は多数
山は慣れた場だが【悪路走破とサバイバル】知識を使い敵の動きを観察し【追跡、気配感知】
犬だし鼻が効くだろうが一応風下かつ樹上など高位置をとり一手でも奇襲を図る
…UCを【切断】狙い行使、一気に数体打倒ないし負傷させたい
敵がこちらに気づけば【第六感】で身躱し【狩猟】の要領で反撃し狩っていく
三砂で【なぎ払い、吹き飛ばし】敵を撃ち遠ざけ
近い奴は敵UCで来ると見て【カウンター】に三砂の【重量攻撃を怪力で】叩き込み顎を砕く
…牙の脅威は僕自身も知るところ
カウンターに失敗したら【咄嗟の一撃】で三砂を捻じ込み直撃は回避したい



「五條の南はかなり山深いが人家はある……。国見女王様のご要望、不肖の身ながら僕も出よう」
 そう言いながら儀式場の建物の近くへ訪れるのはかつての土蜘蛛戦争で土蜘蛛側として戦い、銀誓館学園に降った鋏角衆の生き残り、酒井森・興和(朱纏・f37018)だ。
(山離れた場だが……)
 700余年前に世界結界に封印されるまで、そして|銀の雨降る時代《シルバーレイン》の後、山の中で過ごしてきた興和にとって、文明社会の場より、こうした自然の山の中の方が馴染みがある。
 その経験が彼に与えてくれたサバイバル知識と悪路を走破する方法、そして、山の中で獲物を追跡する技術と生き物の気配を感じる鋏角衆としての強みが、彼の移動を有利に進め、興和は敵オブリビオン、『ホチキスドッグ』の群れのすぐそばまで気付かれずに近づくことに成功していた。
(犬だし鼻が効くだろうが……)
 それも地に足がついていればの話。
 興和は樹上を音を鳴らさないように巧みに移動し、『ホチキスドッグ』を見下ろしていた。
「飛斬の笠を繰るは、我ら鋏角衆の得手とするところ」 
 被っていた『飛斬帽【丹霞】』を手に取り、構える。
 古式ゆかしい飛斬帽だが、手入れは万全だ。
 興和は素早く『飛斬帽【丹霞】』を放つ。
 『飛斬帽【丹霞】』は摩擦熱により炎を発し、『ホチキスドッグ』に襲いかかる。
 飛斬帽とは表面や縁に刃が付いており、投擲攻撃可能な帽子のことだ。
 素早く投擲されたそれは言うまでもなく完全なる凶器、完全なる不意打ちとなったその初撃を『ホチキスドッグ』は回避する事など許されず、直撃し霧散する。
 本来通常の投擲武器なら、ここで攻撃は終了だ。だが、興和の技はこれでは終わらない。興和は素早く不可視の糸を放ち、『飛斬帽【丹霞】』と繋ぎ、方向転換させる。
 不可視の糸で飛斬帽を加減速から軌道変更までこなす熟練の技。今は亡き姉、木綿香との鍛錬の末に編み出した技が、ユーベルコードの域にまで昇華されたもの『追笠』だ。
 『ホチキスドッグ』も流石に仲間がやられてじっとしているほど愚かではない。
 変幻自在に軌道変更し、加速してくる『飛斬帽【丹霞】』を致命傷を避けるように回避しつつ、攻撃者を探す。
 『飛斬帽【丹霞】』を喰らい、重傷を負った『ホチキスドッグ』がそれでも、その飛斬帽についた匂いから攻撃者の位置を特定し、吠える。
 追撃とばかりに戻ってきた『飛斬帽【丹霞】』の前にその『ホチキスドッグ』は倒れたが、興和の位置は割れ、『ホチキスドッグ』が一斉に上空を向いて吠える。
(一度の攻撃で、数体は打倒した)
 気付かれる前のファーストアタックとしては上々の戦果、と興和は判断し、『ホチキスドッグ』の動きを警戒しながら攻撃を続ける。
 さて、『ホチキスドッグ』の動きだが、実は犬は木を登るのが苦手だ。骨格の作りが木登りに向いていないのが原因だと言われている。
 ならば興和はこのまま安全地帯でひたすら『ホチキスドッグ』を削れるのかというと、そうことは簡単ではない。
 『ホチキスドッグ』もバカではない。木の上にいて攻撃が届かないならば、木を倒してしまえばいい。
 噛み付きによる超高速かつ大威力の一撃が、一斉に木の太い幹に向けて放たれる。
 危険を感知した興和は素早く別の木に移るが、その気もすぐさま、『ホチキスドッグ』の攻撃の対象となる。
 木から木へと飛び移り、かなりの数を減らせたが、流石の興和も限界が訪れ、地に足をつけることになる時が来る。
 だが、興和は冷静に山で狩猟している時のことを思い出しながら、『飛斬帽【丹霞】』を被り直し、ツルハシ状の武器『三砂』を構えて、近づく敵を薙ぎ払うように吹き飛ばして遠ざけていく。
 だが如何に手に馴染む武器でも多数に対し長物だけで接近を抑止するのは難しい。
 なおも接近してくる『ホチキスドッグ』がいる。
(……牙の脅威は僕自身も知るところ)
 だが、その牙の一撃をもらうわけにはいかない。
 先ほどから木を散々薙ぎ倒してきた噛み付きによる超高速かつ大威力の一撃が今度は興和に迫る。
 しかし、既に何度も使っているところを見た技を無策で喰らうほど興和は愚かな猟兵ではない。
 単純な軌道で接近してくる『ホチキスドッグ』をカウンターの要領で『三砂』の重量と鋏角衆の怪力に任せて『三砂』を叩き込み、その顎を砕く。
 結局、地上に降りても、『ホチキスドッグ』の攻撃はそう簡単には興和に届かない。
 こうして、興和は一撃も喰らうことなく、『ホチキスドッグ』を撃破していったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ココン・ディバインフォクス
初依頼っス!こいつらさては、オイラより(もしくは同じくらい)小さいっスよね?ならWIZのユーベルコードなら対抗できそうっスね!ディバイン・ファイアーなら【焼却】込みで複数の敵を焼き尽くせそうっス!どれだけ多かろうが【勇気】があれば何でもできるっス!あとはマスターさんのアドリブ次第で大丈夫っスよ!



「初依頼っス!」
 そう言って、シルバーレイン世界に降り立つのはサイバーザナドゥで生まれた小さなキツネ型のバーチャルキャラクター、ココン・ディバインフォクス(D.D戦士・f36705)だ。
 その手に持つのは『勇者の剣のレプリカ』。レプリカと言っても侮ってはいけない。これはこのシルバーレイン世界に存在する回転動力炉を持つ兵器、詠唱兵器である。
「こいつらさては、オイラより小さいっスよね?」
 目の前に立ち塞がる『ホチキスドッグ』を前に、そう告げるココン。
 確かに犬は大きめの大型犬でも体高は90cm程度と言われている。『ホチキスドッグ』はそれより多少大きい気もするが、119cmあるココンから見れば、まぁ小さい(もしくは同じくらい)と言えるだろう。
「よーし、オブリビオンはオイラの炎で焼き尽くしてやるッス!!」
 炎の力を宿した『黄金炎の|ディバインデバイス《D.D》』が起動する。内蔵された天使核が起動し、自動詠唱が開始、周囲に火の玉が発生する。
 もちろん、『ホチキスドッグ』も無抵抗ではない。
 『ホチキスドッグ』は『下方からの脅威』というユーベルコードを持っている。これは自分が敵より体高が低い場合に強くなるという殆どの種族に対して有効な厄介なユーベルコード。
 90cm前後の『ホチキスドッグ』に対して119cmのココンの方が体高が高いのは先ほど言及した通り。つまり、『ホチキスドッグ』は|ココン《敵》より体高が低い。
 一斉に『ホチキスドッグ』の強力な噛みつき攻撃がココンを襲う。
「ぐっ、でも……負けないッス!」
 その攻撃を持ち前の勇気と共に『勇者の剣のレプリカ』で可能な限り、防ぎながら耐える。
 そうして、ついに火の玉は周囲一帯を囲うに至った。
「今っス! オイラの必殺! ディバイン・ファイアー!!」
 そう叫びながらココンがするのは、『勇者の剣のレプリカ』を掲げるポーズを取ること。それはつまり、敵の攻撃を前にして防御を捨てるということ。
 以下に攻撃の前準備といっても簡単に決断出来ることではない。
 だが、ココンの勇気はそんな恐怖に負けるものではない。
 掲げられた『勇者の剣のレプリカ』を合図に発動するはユーベルコード『ディバイン・ファイアー』。
 先ほどまで仕掛けていた複数の火の玉。その内部に巨大な火球が落下してくる。
 それはココンを襲わんと集まっていた『ホチキスドッグ』を完膚なきまでに殲滅した。
 それなりの負傷を負ったココンだったが、それでもココンは元気に明るく『勇者の剣のレプリカ』を掲げて輝いていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

葉月・静夏
ここがシルバーレインの世界ね。ここも地球で奈良県も私がいた世界にもあった地名で、でも同じではないなんて、本当に色々な世界があるのね。改めて猟兵になったことを実感するよ。
それに、猟兵になってからまだケルベロスディバイドでしか戦っていないから、オブリビオンとの戦いというのも楽しみね。どんな敵なのかな?

【重力夏の祝福】を防御力重視で使うよ。
できるだけ囲まれないように気を付けながら、【怪力】で繰り出すパンチ等の格闘攻撃で地道に一体ずつ倒していくよ。敵の攻撃は【ジャストガード】できれば理想的だけれど、防御力も上げてあるから状況次第では防がず受けることもありそうね。大丈夫、耐えて見せるよ。



「ここがシルバーレインの世界ね」
 そう言って川沿いの森を見渡す黒いチューブトップがスタイルの良さを引きたてる泣きほくろの女性は葉月・静夏(せい夏・f40839)。猟兵にしてケルベロス。それも『ケルベロスディバイド』と繋がっているという異世界から来たケルベロスだった。
「ここも地球で奈良県も私がいた世界にもあった地名で、でも同じではないなんて、本当に色々な世界があるのね。改めて猟兵になったことを実感するよ」
 彼女が来た異世界にも、『ケルベロスディバイド』も、そしてこの『シルバーレイン』も、地球があり、奈良県がある。猟兵となって慣れてくると、『UDCアース』や『ヒーローズアース』、『アスリートアース』に変わり種では『アポカリプスヘル』と、地球はたくさんあるのが当たり前にもなってくるものだが、猟兵となったばかりで、初めて『ケルベロスディバイド』を出た静夏にとってはまだまだ新鮮である。
「それに、猟兵になってからまだケルベロスディバイドでしか戦っていないから、オブリビオンとの戦いというのも楽しみね。どんな敵なのかな?」
 彼女の戦ってきた世界にはオブリビオンはいなかった――厳密には認知されていない、が正しいが――。
 故に彼女にとっては、猟兵の敵「オブリビオン」との交戦自体が初めての経験であった。
 そうしている間に猟兵の匂いを嗅ぎつけて『ホチキスドッグ』たちが集まってくる。
 いよいよ戦いの始まりだ。
(私に宿る力達……上手く使ってやりたいことをやってみせるよ)
 先に動いたのは『ホチキスドッグ』に見える。
 しかし、『ホチキスドッグ』の攻撃が静夏に届くことはなく、タイミングよくその攻撃を捌く。
 いかに優れた戦士といえど、これだけ露出が高く、かつ武器も無しでは、ホチキスドッグの大打撃の噛みつきには対応出来ないように思われる。
 しかし、夏の力、グラビティチェイン、そして静かな深呼吸により高められた防御力がそれを可能にした。静夏が猟兵となって得た力ユーベルコードが一つ『|重力《グラビティ》|夏の《サマー》|祝福《ブレッシング》』だ。
 そう、先手を譲ったように見えて、その実先に動いていたのは静夏だったのである。
 そして、攻撃を防げばその先に行うのは一つ攻撃だ。
 攻撃を捌かれ、無防備となった『ホチキスドッグ』に、静夏の怪力の拳が突き刺さる。
 ユーベルコードには及ばないが、その拳は確かに強力な一撃。『ホチキスドッグ』は倒れはしないまでも、球技のボールのように派手に吹き飛んだ。
 さて、『ホチキスドッグ』も全くの愚かではない。
 一対一で挑めばカウンターでダメージを負うのは自分だと理解した彼らは、示し合わせて同時攻撃を敢行する。
 静夏は対オブリビオンこそ初だが、デウスエクスとの戦いで、戦いには慣れている。包囲されないよううまく立ち回りつつ、同時攻撃したい『ホチキスドッグ』と睨み合う。
 だが、流石に多勢相手にこちらは一。
 立ち回りだけでは完全に敵の攻撃を抑止することは難しく、『ホチキスドッグ』の同時攻撃が始まる。
 だが、静夏は動じない。元々ディフェンダーと呼ばれるポジションで戦い、戦闘のスリルを楽しむ彼女にとって、多少攻撃を受けるくらいはちょっとのスリルでしかない。
(大丈夫、耐えて見せるよ)
 そうして、静夏は攻撃してくる『ホチキスドッグ』を一匹残らず殴り倒し、地道に、だが着実に敵を削っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニクロム・チタノ
オブリビオンからの情報提供っていうのは少し複雑だけど世界の平和を護るためならボクは戦うよ!
儀式をやめさせるためにも躾がなってないワンちゃん達を懲らしめようか
反抗の力を
おっと、大きな口には蒼焔の盾を突っ込んで黙らせてあげる
重力操作で周りの重力を倍加して好き勝手暴れられなくするよ
動けないところ悪いけど重力槍でお団子みたいにまとめて貫いてあげる
まだ重力槍も蒼焔の盾も七つあるからね、このまま残りのワンちゃん達もやっつけて儀式を止めに行くよ!



「オブリビオンからの情報提供っていうのは少し複雑だけど」
 そう呟きながら、『シルバーレイン』世界の奈良県南部に降り立つのは露出度高めの無表情少女、ニクロム・チタノ(反抗者・f32208)だ。
 オブリビオンは世界を脅かす敵だ。ともすれば、存在しているだけで世界を骸の海に沈めかねないともされる。
 かつて、猟兵達はオブリビオンでありながら自分達が害にならない方法を探すと言う言葉を引き出し、五條市の土蜘蛛オブリビオンと同盟を結ぶに至ったのだが、そんなことは関係なく、やはりオブリビオンの存在を許容出来ないのは猟兵としては至って自然な帰結だろう。
「世界の平和を護るためならボクは戦うよ!」
 ともかく、その同盟を破棄するタイミングは今ではないし、グリモア猟兵からも釘を刺されている。
 ニクロムは思考を切り替え、現在、より明白に世界の平和を脅かさんとしている『フェンリル』と、その『フェンリル』を維持するための儀式を行なっているオブリビオン達に思考を切り替える。
「儀式をやめさせるためにも躾がなってないワンちゃん達を懲らしめようか」
 そう声を上げたその先に複数の『ホチキスドッグ』。
 ニクロムのその宣言を聞き取ったのか、単に猟兵だから機械的に敵対したのかは分からないが、彼らはニクロムを敵と認識し、一斉に臨戦体制を取る。
 鳴き声一つ。先手を取ったのは『ホチキスドッグ』。
 大きな口を開けて、ニクロムに襲いかかる。その数は実に八匹。八匹もの『ホチキスドッグ』が一斉にニクロムに牙を立てんと突進したのである。
「反抗の力を」
 絶体絶命に思われたが、しかし、ニクロムは冷静にそのユーベルコードを発動する。
 八つの蒼焔の盾が出現し、大きな口を開いた『ホチキスドッグ』の口々に突っ込まれる。
 『ホチキスドッグ』達が冷静さを欠いて驚愕に目を見張る。
 直後、強力に強化された重力が襲いかかり、なおも突進しようとした『ホチキスドッグ』を地面へと強引に押し付ける。
 無抵抗の『ホチキスドッグ』を団子を突き刺すように『ホチキスドッグ』が貫通していく。
 ニクロムのユーベルコード『|反抗の至宝《チタノトロフィー》』の前に、一桁程度の『ホチキスドッグ』はまるで相手にならなかった。
 戦いの血の匂いを嗅ぎつけて、『ホチキスドッグ』はどんどんやってくる。
「このまま残りのワンちゃん達もやっつけて儀式を止めに行くよ!」
 だが、ニクロムには恐れる理由はない。彼女の『|反抗の至宝《チタノトロフィー》』の前に、単純極まる『ホチキスドッグ』が当たることなどないのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

儀水・芽亜
葛城山の女王とは、一度は討滅し、二度目は友誼を結び。何だかんだと縁がある御方です。
ここでは同盟関係なのですね。それでは、遠慮なく力を借りましょうか。

儀式場を守るホチキスドッグから片づけないといけませんね。
来たりませ、“断頭卿”ギロチン。
狩りの時間です。あなたの望む通りに、あの獣共の首を叩き落としてやってくださいな。

私は、拷問具『鎖蛇』を振るって戦いましょう。
ホチキスドッグに接近される前に、鎖を振るって「傷口をえぐる」攻撃で牽制です。近寄らせるつもりはありませんよ。

悠然と、しかし油断なく、“断頭卿”と上手く連携しながら先へ進んでいきましょう。
しかし、人狼騎士の姿が見えないのは気になりますね。



(葛城山の女王とは、一度は討滅し、二度目は友誼を結び。何だかんだと縁がある御方です。ここでは同盟関係なのですね)
 そう考えながら奈良県南部の森の中に降り立つのは歴戦の能力者にして歴戦の猟兵、儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)だ。
 彼女は過去に二度、国見・眞由璃のオブリビオンと相対したことがある。オブリビオンは過去から甦ってきた存在なので、一人ではなく、複数人存在することもあるのだ。
 一人目は郊外の公団住宅地に土蜘蛛の檻を張っており、多くの眞由璃がそうであるように人類の天敵、捕食者として君臨しようとしていた。猟兵は二派に分かれて対立したが、やがて討たれた。
 二人目は町の一部に土蜘蛛の檻を張っていた。この眞由璃は最初から猟兵を招き入れ対話を望んでいた。こちらも猟兵が二派に分かれて対立したが、最終的には檻を放棄し一人のヒトとして猟兵と友誼を結んだ。
 此度出会う三人目がこの先どうなるのかは分からないが、ともかくかつて猟兵達が同盟を決めた相手、芽亜はそれを覆す気はなく。
(それでは、遠慮なく力を借りましょうか)
 芽亜はただ戦いのために、一見すると鉈のように見える『拷問具『鎖蛇』』を構えるのだった。

 猟兵の接近に気付くと、直ちに『ホチキスドッグ』達は鳴き声を上げながら芽亜の元に近づいてくる。
「儀式場を守るホチキスドッグから片づけないといけませんね」
 『ホチキスドッグ』が威嚇の鳴き声をあげ、攻撃のタイミングを測る。
「来たりませ、“断頭卿”ギロチン」
 芽亜は静かにそう呼んで、ユーベルコードを発動した。
 つなぎの上にマントを羽織り、顔をマフラーで隠した男が静かに芽亜の隣に姿を現す。手に持つ二本の大剣はなんとも威圧的で、文字通りすべてのものを切断出来てしまいそうだ。
「狩りの時間です。あなたの望む通りに、あの獣共の首を叩き落としてやってくださいな」
 その言葉に、マフラーで顔を隠した男は静かに頷き、二本の大剣を持ち上げる。
 それを攻撃の開始の合図と悟り、『ホチキスドッグ』達も一斉に飛びかかる。
 瞬間、男の二本の大剣が風切り音を鳴らして振るわれ、まとめて数体の『ホチキスドッグ』の首が落ちる。
 その間、芽亜も男に任せて棒立ちではない。
 自身に肉薄してくる『ホチキスドッグ』に『拷問具『鎖蛇』』を振るう。柄に『ホチキスドッグ』の血が流れ込み、棘の生えた鞭のような鎖が『ホチキスドッグ』に蛇の如く絡みつき、その傷口を抉っていく。
 芽亜と男のお互いへの信頼は完璧で、その連携には一切の瑕疵が見られない。
 悠然と、しかし油断なく、二人の連携により、『ホチキスドッグ』は着実に殲滅され、二人は少しずつ前へ前へと進んでいった。
「しかし、人狼騎士の姿が見えないのは気になりますね」
 この地を守るのは妖獣化オブリビオン『ホチキスドッグ』のみの様子。『フェンリル』の背後に人狼騎士がいるなら、その姿が見えてもおかしくないものだが。
 芽亜は疑問を感じながら、先へと進み続けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

大町・詩乃
眞由璃さんとの関係が、できれば末永く続いて、友達として仲良く付き合っていきたいと思います。
無理に決着付ける必要なんて無いと思うのです。

今回はフェンリルさんが眞由璃さんの領内に現れたのですね。
『第二次聖杯戦争』の折にはモフって仲良くなった間柄ですが、人々に被害が出ないようにしなければ・・・。

行った先には血塗れの殺る気まんまんの犬さんが。
そこまで殺る気なら是非も有りません。
《神事起工》(攻撃力強化)発動してお相手しましょう!

相手の攻撃は天耀鏡の縦受けや、結界術・高速詠唱で紡いだ防御壁で防ぎます。

UC効果&雷の属性攻撃・神罰・全力魔法・高速詠唱・範囲攻撃による特大の雷で纏めて倒しますよ~。



「眞由璃さんとの関係が、できれば末永く続いて、友達として仲良く付き合っていきたいと思います。無理に決着付ける必要なんて無いと思うのです」
 どちらかというと、オブリビオンからの情報という事実に複雑な表情を示すのが多い中、先の猟兵と並んで、好意的な反応を示すのは『ヒーローズアース』の植物と活力を司る神、大町・詩乃(|阿斯訶備媛《アシカビヒメ》・f17458)だ。
 彼女は五條市の土蜘蛛オブリビオンは知らないが、法隆寺に土蜘蛛の檻を張っていた土蜘蛛オブリビオンと同盟を結ぶ所を見た。こちらは眞由璃は死に、仔が新生土蜘蛛の女王となるというまた一風変わった決着を迎えているのだが。
「今回はフェンリルさんが眞由璃さんの領内に現れたのですね。『第二次聖杯戦争』の折にはモフって仲良くなった間柄ですが、人々に被害が出ないようにしなければ……」
 それは 『フェンリルを統べる者『震えるミント』』と相対した時の事、『震えるミント』を守る『フェンリル』と仲良くしたことがあったのだ。
 だが、あの『フェンリル』は『震えるミント』を守るという目的だったから、仲良く出来ただけのこと、恐らく五條市の土蜘蛛オブリビオンを道中の人間諸共滅ぼさんとする『フェンリル』とは仲良く出来まい。
 詩乃もそれが分かっているから、周囲に『天耀鏡』を浮かべ、戦いの準備を始めた。
 というわけで、毎度のごとく、詩乃の目前に『ホチキスドッグ』が立ち塞がる。血塗れでグルグル威嚇の鳴き声を上げる彼らと仲良く出来ると感じることが出来る存在は稀だろう。
「そこまで殺る気なら是非も有りません」
 先に動いたのは詩乃。ユーベルコード『神事起工』を発動し、詩乃自身の神力、天地に宿りし力、そして人々の願いと想いが彼女の元に集まり、自身の攻撃力を中心に能力が強化されていく。
 強化しているところを黙って見逃すはずもなく、続いて動くのは『ホチキスドッグ』。
 大きく口を開けて、噛みつきにかかる。
 だが、強化を得た詩乃は動じない。
 飛びかかる全ての攻撃を『天耀鏡』と高速詠唱で形成した結界で攻撃を防ぐ。
 全員が飛びかかって、詩乃の防御により大きな隙が生じた。
 なら今度は再び詩乃の手番だ。
 高められた詩乃の能力を束ね、高速で詠唱した全力の魔法により、神罰が降る。
 それは、特大の雷であった。
 攻撃を防がれ隙だらけの『ホチキスドッグ』はこれを回避することは叶わず、苦しそうな声をあげて、全員まとめて消滅した。
 かくして、敵は殲滅された。
 次は儀式場を潰すだけだ。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『ポルターガイスト』

POW   :    飛来する物品を叩き落とす

SPD   :    物品を俊敏にかわして進む

WIZ   :    魔力干渉で物品の飛来を妨げる

イラスト:乙川

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 『ホチキスドッグ』の防衛ラインを超え、猟兵達は辿り着く。
 そこは統廃合により廃校になった学校の廃墟。
 多くの部屋があり、それぞれの部屋で儀式の核となるアイテムが存在しているようだ。
 だが、内部は様々なものが飛び交っている。
 果たして猟兵は様々なものが飛び交う危険地帯を抜けて、儀式の核となるアイテムを破壊出来るだろうか。
 また、この事件に裏を感じる者は、他の調査をするなら今がチャンスだと思われるが、何か情報は得られるだろうか。
儀水・芽亜
儀式場の守りも無し。いえ、このポルターガイストみたいなのが最後の防衛線のつもりなのでしょうか? 何とも、温い。
ここに至っても人狼騎士はいませんか。何者がこれを仕掛けたのか……。

余計なことを考えても、詮無きこと。ここに敷かれた呪術の仕組みを壊します。
「演奏」「歌唱」で、主に向かいて新しき歌をうたえを歌い上げましょう。
これで、部屋の中を飛び回る危険物は私を避けてくれるはずです。

感覚で術を使う私からしたら、こういう高等魔術じみた儀式の類は得意ではないのですが、儀式の核になる呪物はあれのようですね。
それでは裁断鋏で裁ち切ってしまいましょう。

これで後はフェンリル本体のみ。被害を出さないよう急ぎましょう。



「儀式場の守りも無し」
 そう言いながら、廃校に入るのはギロチン卿と共に『ホチキスドッグ』の警備を切り抜けてきた儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)だ。
「いえ、このポルターガイストみたいなのが最後の防衛線のつもりなのでしょうか? 何とも、温い」
 暗くボロボロの廃校はともすれば如何にも何か|出《・》てきそうなおどろおどろしい様子で、その実、本当に|心霊現象《ポルターガイスト》が起こるというホラースポットなのだが、|銀の雨降る時代《シルバーレイン》の渦中に様々なゴーストと戦い、ゴーストタウンを冒険してきた芽亜にとっては大した問題にはならない。
 空中を飛び交う様々な道具達は通常の人間に対しては脅威だろうが、猟兵に対しては大したダメージにならない公算が高い。
「ここに至っても人狼騎士はいませんか。何者がこれを仕掛けたのか……」
 そして、今回の件に関与している可能性が高い人狼騎士もこの場には見当たらない。相手がグリモアの予知の存在を知らないだろうことを加味しても、あまりに杜撰な警備と言えた。
 芽亜は、余計なことを考えても、詮無きこと、と思考を切り替え、儀式場の破壊に乗り出す。
 廃校舎の中に入った芽亜は『竪琴『Playland In Sleeping』』を構えて、おもむろに演奏と歌唱を始める。
 清らかなソプラノの歌声で歌い称えるは一冊目の聖なる書物において詩篇の96章のフレーズとして知られる聖歌。その名も『|主に向かいて新しき歌をうたえ《Cantate Domino canticum novum》』。
 その美しき歌声の聖歌はユーベルコードとして昇華され、周囲を飛び交う無機物に影響を与える。
 どうしたことだろう。無秩序に飛び交うはずの無機物達はまるで芽亜を避けるように軌道を変えていき、ただ無造作に歩くだけの芽亜に一つたりとも攻撃が当たることはない。
(感覚で術を使う私からしたら、こういう高等魔術じみた儀式の類は得意ではないのですが)
 だが、幸いにして儀式を構成するアイテムはすぐに分かった。グリモア猟兵からの情報通り、薄く赤と青の炎のオーラを纏っているためよく目立つのだ。
 それに何より……。
「っ!」
 咄嗟に芽亜が『裁断鋏『Gemeinde』』を振るって、飛んでくるオーラを纏ったナイフを切り払う。
 何より、そのアイテムは何らかの力の影響にあるからか、芽亜のユーベルコードに抵抗して見せた。
 とはいえ、たかがナイフが一つ飛んでくる程度、芽亜にとっては問題にならない。
 再び芽亜めがけて飛んでくるナイフを、芽亜はその華麗な護拳が特徴的な刃の細いクロスシザーズ『裁断鋏『Gemeinde』』で両断し、破壊した。
 儀式場を構成するアイテムは一つだけではないようで、ポルターガイストが止まる気配も、儀式場を満ちた神秘の力が消える気配もまだない。
 芽亜はすぐに別の教室へ向けて移動し、次なる儀式用アイテムの破壊に向かった。
(儀式場を破壊すれば後はフェンリル本体のみ。被害を出さないよう急ぎましょう)

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニクロム・チタノ
ここが儀式場だね?
ハサミとかコンパスとか色んな危ない道具がそこら中飛び回っているけどこれがポルターガイストってやつなのかな?
それなら無数の星屑で全部撃ち落としあげる
降り注げ反抗の星屑
妖刀から撃ち出される無数の星屑の物量の前じゃあ飛び回る危険物も大海に石を投げるみたいなものさ
その上鈍足効果でスピードを遅くして手数で押しきって行くよ
あの祭壇みたいな場所の上に置かれている怪しい輝きを宿したナイフが核みたいだね?
このまま星屑をくらわせて破壊するよ
あとはフェンリルってやつを倒すだけだね
反抗の竜チタノよ、どうかボクに魔獣を調伏する力を!



「ここが儀式場だね?」
 そう言って、廃校舎に足を踏み入れるのは、ニクロム・チタノ(反抗者・f32208)だ。
「ハサミとかコンパスとか色んな危ない道具がそこら中飛び回っているけどこれがポルターガイストってやつなのかな?」
 その言葉の通り、その教室にはコンパスやらハサミやら如何にも学校にありそうな危険物がひたすらに飛び交っていた。
 そのどれもが真新しく、先の猟兵が言っていたように、このポルターガイストはやはり防衛のために意図的に用意されているもののように思える。
「それなら無数の星屑で全部撃ち落としあげる」
 とはいえ、先の猟兵に通じなかったのと同じように、ニクロムにもまた、それは通じない。
「降り注げ反抗の星屑」
 発動するユーベルコードは『|反抗解放《チタノギンガ》』。
 ニクロムが反抗の竜チタノから与えられし『反抗の妖刀』の切先を正面に向けると、そこから数多の星屑が放出される。
 それは周囲を浮かぶ危険物を一つ残らず撃ち落としていく。
「妖刀から撃ち出される無数の星屑の物量の前じゃあ飛び回る危険物も大海に石を投げるみたいなものさ」
 浮遊物は再び浮かびあがろうとするが、付与された鈍足の効果がそれを許さない。
「あの祭壇みたいな場所の上に置かれている怪しい輝きを宿したナイフが核みたいだね?」
 その言葉の通り、祭壇の上に薄く赤と青の炎のオーラを纏っているナイフが見える。
 もはや攻撃は開始している。特別な動作すら不要。
 放たれた星屑がナイフを攻撃し、完膚なきまでに破壊した。
「あとはフェンリルってやつを倒すだけだね。反抗の竜チタノよ、どうかボクに魔獣を調伏する力を!」
 既に他の猟兵が他の教室で破壊を進めているはず。そう判断したニクロムは、次なる目標に向かうため、グリモアベースに戻るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

酒井森・興和
モノが勝手に飛び回っているのは面妖な事だねえ【落ち着き】飛斬帽を翳し【受け流し】進む
人狼の仇敵と言えば吸血鬼か
年明けの戦争で伯爵やオクタンスもいたが
あの連中が自分達以外のために労するかねえ
ハビタントうーちゃんも何処かへ消えたままだし怪しい奴は幾らでも居るのだな
【気配感知】で誰か覗く様子はないか一応確認

青赤の炎を纏ってるのが儀式用の器物か
西洋剣のようだねえ
三砂で床を撃ちUC行使、ポルターガイストで動く物をを敵と認識する
UCの火+【追撃】に三砂を振り儀式用も飛来物も【なぎ払い】打ち落とす
儀式剣は【怪力】でへし折るくらい念入りに潰そう
西洋の儀式はよく知らないが要を壊しておくのは間違いでない、…はず



「モノが勝手に飛び回っているのは面妖な事だねえ」
 そう言って、廃校舎に踏み入るのは先の戦いで先陣を切った酒井森・興和(朱纏・f37018)だ。
 冷静さを保ち、『飛斬帽【丹霞】』を翳して、飛翔物を受け流しつつ、興和は進む。
「人狼の仇敵と言えば吸血鬼か……、年明けの戦争で伯爵やオクタンスもいたが、あの連中が自分達以外のために労するかねえ」
 先の二人の猟兵は飛翔物をユーベルコードで防いだわけだが、今、興和がこうしているように、ユーベルコード無しでも飛翔物など、猟兵の敵にはなり得ない。
 なので、興和には考え事をする余裕があった。
「ハビタントうーちゃんも何処かへ消えたままだし怪しい奴は幾らでも居るのだな」
 あるいはまだ復活が確認されていないオブリビオンと言う可能性だってなくはない。まだかつての戦争を再現した事件は終わっていないのだ。
 勿論、だからと言って考えるのが無駄という意味ではないのだが。
 念の為、気配感知で周囲の気配を探ってみるが、特に自分を覗く者はいないようだ。
 だが、僅かな違和感を覚える。周囲の儀式場のアイテムからも気配のようなものが感じられ、僅かな気配を見逃しているような気がする。
 興和は儀式を潰してからもう一度調査してみようと心に決めつつ、儀式の核となるアイテムがある部屋に入る。
(青赤の炎を纏ってるのが儀式用の器物か。西洋剣のようだねえ)
 視線の先にある西洋剣は確かに薄く赤と青の炎のオーラを纏っている。
 ならばやる事は一つ。
 ツルハシ状の愛用武器『三砂』を床に打ち下ろし、衝撃を発生させると同時、高熱の炎が奔り抜ける。
 土蜘蛛や彼の使役ゴースト『ユーカ』の得意とした火の術を手本に取得したユーベルコード『火纏』だ。
 それはポルターガイストで浮遊するもの全てを敵と認識し、薙ぎ払い、床へと落とす。
 当然その中には、儀式用のアイテムたる西洋剣も含まれ、興和は静かにその西洋剣に近づくと、怪力で以って全力で『三砂』を振り下ろし、何度も何度も念入りに破壊した。
「西洋の儀式はよく知らないが要を壊しておくのは間違いでない、……はず」
 実際、もうこの西洋剣からは気配を感じないし、学校全体を覆っていた神秘的な空気も失われている。
 ……だが、ポルターガイストは止まる気配がない。
 やはり何かある、そう感じた興和は再び気配感知で周囲の気配を感知する。
 ……すると、下の方から僅かに人の気配を感じた。
 興和は直ちに気配の方に向かう。
 そこには隠し扉で隠された階段があり、倉庫のような地下室が隠されていた。
 そしてその奥で、一人の少女が眠っていた。
「この子、能力者だ」
 直感的に興和はそう感じた。そして、この校舎内のポルターガイストは彼女が起こしているのだ、と。
 だが少女の寝顔は苦しそうだ。おそらく、悪夢を見ている。
「……ナイトメアか?」
 興和の脳裏に浮かぶのは、今はもうナイトメア適合者が使役する者以外全滅したはずの来訪者種族。対象の夢に入り込み、悪夢を見せる種族だ。
 真相は分からない。今はフェンリルを倒す必要もある。
 とはいえ、彼女をそのままにもしておけない。興和は彼女を銀誓館学園に預けることにし、眠ったまま目覚める様子のない少女を連れて校舎を出るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『フェンリル』

POW   :    破裂の赫眼
【視線】が命中した部位に【不可視のエネルギー】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
SPD   :    魔炎光線
【口腔内でのエネルギー】のチャージ時間に応じ、無限に攻撃対象数が増加する【魔炎光線】を放つ。
WIZ   :    魔狼の呼び声
【引き裂いた空間の裂け目】から、戦場全体に「敵味方を識別する【血に餓えたゴーストウルフの群れ】」を放ち、ダメージと【出血】の状態異常を与える。

イラスト:田中 健一

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「フェンリルの勢いが弱まった……。どうやら猟兵の皆さんがやってくれたようですね」
 先ほどまで、土蜘蛛オブリビオンで一斉にユーベルコードを使ってやっと静止させられていた、フェンリルの勢いが目に見えて弱くなったのを見て、眞由璃が呟く。
「我が子達は一度土蜘蛛の檻まで撤退なさい。後は私と猟兵で引き受けます」
 勢いが弱まったと言っても、一見すればメイド服を着た女の子にしか見えない土蜘蛛オブリビオン達には荷が重い。ともすれば足を引っ張ることにもなりかねない。
「はーい、店長!」
 その指示に土蜘蛛オブリビオン達は素早く従い、戦線を離脱していく。
「さぁ、行きますよ、猟兵の皆さん」
 眞由璃は赤手を構え、猟兵たちに呼びかけた。

●マスターより
 望めば国見・眞由璃の支援を受けられます。

 眞由璃は以下のユーベルコード二つを使って支援してくれます。必要に応じて指示してください。

●眞由璃紅蓮撃
 【右腕に装備した「赤手」】が命中した部位に【凝縮した精気】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。

●土蜘蛛の檻
 レベルm半径内を【蜘蛛の巣】で覆い、[蜘蛛の巣]に触れた敵から【腕力】を吸収する。

 支援が不要の場合、プレイングの頭に「土蜘蛛×」と記述頂けると不幸な事故が防げると思います。その場合、眞由璃は大人しく後方で待機しているか、そもそも視界に入らないように隠れています。
儀水・芽亜
いよいよ決戦ですね。人里に降りる前にフェンリルを討滅しましょう。
女王、あなたは土蜘蛛の檻をメインに遊撃していてください。お互いでフェンリルの注意を引きつけ合いましょう。
では、儀水芽亜、参ります。

「騎乗」「騎乗突撃」でナイトメアライド。
山中ですから「軽業」で木々の幹も足場にしつつ、「ランスチャージ」してフェンリルをアリスランスで「貫通攻撃」です。
フェンリルが苦鳴の声を上げたら、魔炎光線の充填時間がリセットされないでしょうか?

万一のために「オーラ防御」は張っておきます。
光線を浴びせかけられたら、「カウンター」でその大口の中にアリスランスの一撃を叩き込みますよ!
単騎で数に挑むのは愚策というものです。



「いよいよ決戦ですね。人里に降りる前にフェンリルを討滅しましょう」
 再度グリモアにより転移し、『フェンリル』の前に現れるのは、先の儀式場の破壊で先陣を切った儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)だ。
「女王、あなたは土蜘蛛の檻をメインに遊撃していてください。お互いでフェンリルの注意を引きつけ合いましょう」
 芽亜は現れるなり、眞由璃の姿を認め、素早く指示を飛ばす。
「承知致しました。全力を尽くしましょう」
 その言葉に眞由璃は素直に頷く。彼女から見ると初めて見かける猟兵だったので、自分を受け入れて共闘してくれるだけで情報としては充分だった。
「では、儀水芽亜、参ります」
 発動するユーベルコードは『ナイトメアライド』
 300cm程の大きさを持つ純白の白馬が出現する。先の猟兵がチラリと名前をあげた来訪者種族『ナイトメア』だ。
 それに騎乗し、構えるのは『アリスランス『ディヴァイン・ユニコーン』』。馬に乗って|騎乗槍《ランス》を構えるその様はまさに騎兵。
 大技を主体とする『フェンリル』に対し、スピードで当たるにはぴったりの戦闘スタイルと言えるだろう。
 芽亜と『ナイトメア』が斜め前に駆け出すと、それに合わせて、眞由璃も芽亜とは逆の斜め前方向に駆け出す。
 眞由璃は『フェンリル』に向けて蜘蛛の巣を放ち、その注意を惹く。
 それは『フェンリル』の動きを鈍らせる程度の効果しかなかったが、煩わしいことに違いなく、口腔内にエネルギーをチャージする。
 その間に芽亜は牛若丸もびっくりの騎乗テクニックで木々の幹さえ足場にして『フェンリル』の死角から肉薄、強烈なランスチャージを浴びせる。
 思わず苦悶の声を漏らす『フェンリル』。攻撃の標的が芽亜に移る。
 苦悶の声を漏らしたことで、霧散し失われた口腔内のエネルギーを再度チャージし始める『フェンリル』。
 今度はそれだけでは終わらず、腕を持ち上げて、芽亜を狙う。
 しかし、その腕が振り下ろされるより早く、眞由璃の土蜘蛛の檻が再度展開され、その腕を絡めとる。
 それはやはり動きを完全に止めるには至らないが、勢いを大きく減衰させており、優れた騎乗テクニックで走り回り、木から木へと飛び回る芽亜を補足するには至らない。
 ならば、とばかりに『フェンリル』はまだ十分ではない口腔内のエネルギーを解放し、芽亜に向けて魔炎光線を放った。
 しかし、その愚かな選択こそが、芽亜の狙いだった。
 芽亜は『アリスランス『ディヴァイン・ユニコーン』』にオーラをまと早稲ながら、一気に『フェンリル』の魔炎光線に正面から突っ込む。
 十分にエネルギーが溜まっていないが故に低出力の魔炎光線はオーラを纏い、速度の乗った『アリスランス『ディヴァイン・ユニコーン』』により弾かれ、周囲に拡散していく。
 そして、そのランスの向かう先にあるのは、あらゆる生物が持つ弱点。貫通すれば脳にさえ届く可能性があり、防御の難しい場所。即ち、口腔内。
 『フェンリル』とて愚かではない。敵が攻撃を破って突き進んでくる時点で、その狙いは理解した。ならば今すぐ、照射をやめて口を閉じて、顔を逸らさねばならぬ。
 しかし、眞由璃が再度放った土蜘蛛の檻が顔を動かすことも、口を閉じることも許さなかった。
 もはやどこにも逃げ道はなく。芽亜の強烈なランスチャージが『フェンリル』に突き刺さり、『フェンリル』は無視出来ない強烈な負傷を負ったのだった。
「単騎で数に挑むのは愚策というものです」
 『アリスランス『ディヴァイン・ユニコーン』』をフェンリルの脳天から抜き、芽亜は静かにそう告げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

酒井森・興和
この山中より北は我らの本拠地、葛城山も近い
降って涌いたフェンリルなんぞに近付かせたくないな
ゆえに国見女王様のお力添え、大変に有り難く…(下級種の本能的に緊張はしてしまう)
赤手の直接攻撃と土蜘蛛の檻での援護に合わせ戦おう
UCで敵本体と敵UCの群れに攻撃を仕掛ける
数体は外してしまうかもしれないが
繰る糸は我らの味方

女王の檻とUCの地形範囲を【結界術】応用の【第六感と集中力で気配感知】、敵UCから女王を【かばう】
同時に三砂を以て【カウンターで重量攻撃】し【なぎ払い、吹き飛ばす】
僕は雑兵、出血や負傷など覚悟の上
血に飢えてるなら僕を狙うと良い
鉄扇で【切断】し三砂で撃ち返り討つ
巣に飛び入る野狼など狩るまでよ



「この山中より北は我らの本拠地、葛城山も近い。降って涌いたフェンリルなんぞに近付かせたくないな」
 そう呟きながら、再度グリモア猟兵により『フェンリル』の目前に転移してきたのは『ホチキスドッグ』との戦いでは先陣を切り、儀式場でも今後に関わる情報を得ることに成功した酒井森・興和(朱纏・f37018)だ。
「ゆえに国見女王様のお力添え、大変に有り難く……」
 故に興和は静かに眞由璃に跪いた。すでに興和はこの眞由璃と何度か会っているのだが、その表情と動きには幾ばくかの緊張が見えた。やはり下級種の本能的に避けられないことなのだろう。
「こちらこそ、我々の土蜘蛛の檻を守ってもらう立場です。酒井森、あなたが来てくれれば頼もしい。頭を上げ、戦いに備えましょう」
 眞由璃はその言葉に首を振る。助けてもらっているのは自分の方だ、と。
 かくして、此度も土蜘蛛の女王と一人の鋏角衆が並び立つ。
 『フェンリル』は先ほど一対二で負けたのが悔しいのか、引き裂いた空間の裂け目から、血に餓えたゴーストウルフの群れを放つ。
 対して、眞由璃と興和は同時に糸を放つ。
 眞由璃が放つは土蜘蛛の檻、一帯を蜘蛛の糸で覆い、敵の動きを阻害する。
 興和が放つのは尖鋭な鋼糸。動きを止めたゴーストウルフにダメージを与え、また外れたものは地形に鋼糸が絡みつく。
 二種類の糸が戦場を二人に有利に変えていく。
 さらにそれは興和によって結界の域にまで昇華されていた。
 それでも、本能で攻めてくるゴーストウルフはしぶとい。
 眞由璃は赤手で、興和は『三砂』と『鉄扇』で、それぞれ近接戦闘に移行する。
 だが、ここで興和は驚くべき動きに出た。
「酒井森!?」
「僕は雑兵、出血や負傷など覚悟の上、血に飢えてるなら僕を狙うと良い」
 眞由璃を狙った三匹のゴーストウルフの連続攻撃、その全てを興和が庇って受けたのだ。
 もちろん、ただ黙ってやられたわけではない。『三砂』の重量を以てカウンターし、遠くへ吹き飛ばした。
「無茶をしますね……、あなたも私の守りたい子らの一人だと言うのに」
 眞由璃は負けていられない、とばかりに死角から興和を襲おうとしたゴーストウルフを赤手で吹き飛ばす。
「こっちは僕が抑えます。国見女王様は『フェンリル』を」
「……! 分かりました」
 興和の全身が出血したからだろう。血に飢えたゴーストウルフはより一層興和を狙う様になっていた。
 つまり今、眞由璃は自由な状態にある。
 興和が鋼糸で作った自分たちに有利な戦場を一気に駆け、眞由璃は『フェンリル』に肉薄。
 その赤手を頭部にぶつけ、凝縮した精気を流し込み、頭部を爆破した。

成功 🔵​🔵​🔴​

禍神塚・鏡吾
人狼を陰で操っていたのは確か、異形と呼ばれたドクターオロチの仲間でしたか?
つまり……
おっと、考察は後にして、まずはフェンリルを退治しましょうか

「ご無沙汰しています、土蜘蛛の女王
使いだてして申し訳ありませんが、攻撃をお願いできますか?」
鏡盾に変身して、眞由璃さんに装備して頂きます

「私を盾にして、敵の視線を遮ってください」
と言いおいて、後は鏡の表面に浮かぶ顔を消して、完全に鏡に徹します
敵の視線を鏡面で反射すれば、エネルギーは敵に流れ込むはず
爆破できれば良し、そうでなくても隙を作ることはできるでしょう
そこで、紅蓮撃で攻撃して頂きます
鏡盾となった自身の防御力と眞由璃さんの攻撃力を信じます



(人狼を陰で操っていたのは確か、異形と呼ばれたドクターオロチの仲間でしたか? つまり……)
 と、この世界、『シルバーレイン』において今起きている『再現』の元になった事件を振り返るのは自らを魔法の鏡と自称する喋る西洋鏡のヤドリガミ、禍神塚・鏡吾(魔法の鏡・f04789)だ。
 そう、グリモア猟兵が語った過去の吸血鬼と人狼の戦いは、『異形』と呼ばれた存在が裏で手を引いていた。『異形』とは簡単に言えばゴーストの首魁のような連中だが、そのうち吸血鬼と人狼の戦いに関与していた3人については、猟兵からすると『ドクター・オロチ』の名で呼ぶ方が馴染み深いかもしれない。『第二次聖杯戦争』において、そして彼らが戦いを裏で操っていた理由は原初の吸血鬼こそが唯一『異形』を滅ぼせるからであったが……。
(おっと、考察は後にして、まずはフェンリルを退治しましょうか)
 とはいえ、考えて結論が出るものではない。鏡吾は頭を振って思考を切り替え、目の前の戦いに集中することを選ぶ。
 と言っても、やることはもう決めていた。
「ご無沙汰しています、土蜘蛛の女王。使いだてして申し訳ありませんが、攻撃をお願いできますか?」
「禍神塚、あなたが来てくれるとは、心強いです。もちろん、我が檻を守るためでもあるのですから、協力させて頂きます」
 眞由璃はすぐに鏡吾の言葉に頷き、赤手を構える。対する鏡吾は。
「受け止めること盾のごとく、見通すこと鏡のごとし」
 自身を鏡のような丸盾の姿へと変化させた。ユーベルコード『|ペルセウスの鏡盾《イージスフォーム》』。ギリシャ神話において勇者ペルセウスが直視すると石化するという能力を持った怪物メドゥーサと戦うにあたり、自身の持つ最強の盾、イージスの盾を鏡のように磨き、メドゥーサを直視しないで戦った、という伝説に由来する洒落たネーミングのユーベルコードだ。実態としてはほとんど八割方元の器物に戻っているだけではあるが。
「……これは?」
「私を盾にして、敵の視線を遮ってください」
「なるほど。分かりました。貴方が防御、私が攻撃、と言うことですね」
 眞由璃は鏡の丸盾となった鏡吾を手にし、再び、赤手を構える。
 それに合わせて、鏡吾は鏡の表面に浮かぶ顔を消して、完全に鏡に徹する。
 眞由璃はそれを確認し、駆け出す。
 こちらの出方を伺っていた『フェンリル』が、サイドの接近に気付き、その視線を眞由璃に向ける。
 『フェンリル』は視線の先に不可視エネルギーを送り、対象を爆破する能力を持つ。
「!」
 しかし、眞由璃は投げかけられた視線に対し、的確に鏡の丸盾を構えた。
 視線が鏡で跳ね返り、『フェンリル』が爆破される。
 ペルセウスが鏡のように磨いたイージスの盾でメドゥーサを倒したように、北欧神話の怪物の名を冠した狼は、今、ギリシャ神話の伝説に基づく戦法の前に敗北した。
「取りました!」
 そして、自身が爆破されて驚愕する『フェンリル』のその隙を逃す眞由璃ではない。
 一気に、『フェンリル』に肉薄し、この赤手を振りかぶって、一気に『フェンリル』を殴る。
 同時に、凝縮した精気が流し込まれ、その部位が爆破される。
 二度の爆破の前に、『フェンリル』はただよろめくしかなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葉月・静夏
土蜘蛛×

このフェンリルもオブリビオンよね?さっきの犬とは違って個でもかなり強そうね。スリルのある戦いができそうでワクワクするけれど、気も引き締めないとね。

私には視線を防ぐような能力や速さ等は無いから、その後の攻撃に耐えていくよ。
爆破にはエネルギーを流し込まれた部位に【怪力】を漲らせることで【ジャストガード】を狙い、操作は【怪力】で強引に体を動かしていくよ。体内にくる攻撃だって耐えてみせる!
攻撃が届きそうな間合いまで行けたら、ゆっくり静かな【緩夏静拳】で大ダメージを狙うよ!
ゆっくりだから無防備になるけれど、ここでも耐えながら強引に技を出し切るだけね!



「このフェンリルもオブリビオンよね? さっきの犬とは違って個でもかなり強そうね。スリルのある戦いができそうでワクワクするけれど、気も引き締めないとね」
 そう言って楽しげに笑うのは、『ホチキスドッグ』との戦いでもスリルを楽しんでいた葉月・静夏(せい夏・f40839)だ。
 実際の『シルバーレイン』世界における『フェンリル』は厳密にはエネルギー体で、ともすれば生物というよりは現象のようなものとも解釈出来る存在だが、オブリビオンとして蘇っているので、オブリビオンと括れば何の問題ない。この『フェンリル』はオブリビオンだ。
 そんな余談はどうでも良い、静夏は即座に『フェンリル』へ向けて駆け出した。
(私には視線を防ぐような能力や速さ等は無いから)
 『フェンリル』の視線が静夏へと向く。
 その攻撃は先ほども見せた視線の先にある対象を爆破する能力。
 静夏はこれをどう捌くのか。
 視線が投げかけられたと感じた直後、静夏はその視線から外れるように斜めに移動する。
 まずこれで、致命的な箇所に不可視のエネルギーが流し込まれる危険性は防げる。後述する手段でも致命的な箇所を吹き飛ばされれば、戦闘続行は危ういためだ。
 結果、まず視線は右腕に来た。
 直後、右腕が爆破される、と思いきや。
 静夏は突如、その右腕に全力で持ち前の怪力を投入し、力を込める。
 すると、内部で爆発は発生するのだが、引き締まった筋肉が障壁となり、その爆破の影響が最小限に抑えられる。
 その後も何度となく、『フェンリル』は視線を投げかけるが、その全てを怪力と筋肉で防ぎ、とうとう静夏は『フェンリル』に到達することに成功する。
 ユーベルコード発動。静夏の左拳に奥ゆかしくパチパチと火花を散らす線香花火のような炎を纏う。
 ユーベルコード『|緩夏静拳《サイレントサマー》』、彼女がかつて元いた世界で身につけた能力がユーベルコードとなり少し変質したものだ。
 そして、殴るにしてはゆったりとした動作で構える。
 それを見て、『フェンリル』は左腕に視線を集中、もう一つの効果である部位操作を試みるが、こちらはもっと単純で抵抗が可能なので、怪力で持って、抵抗し、少しずつ拳が前へ前へと動いていく。
 事態は『フェンリル』と静夏による突き出される拳を巡る力比べ状態となっていた。
 そんな中、『フェンリル』は思う。これだけ動きを遅くしておけば、パンチの威力も大したことがない。この力比べの結果がどう終わろうと、この局面は自分の勝利だ、と。
 だが、『フェンリル』は考え違いをしていた。このユーベルコードはただのパンチではないのだ。
 結局、緩やかな速度のまま、静夏にパンチが『フェンリル』に届く。『フェンリル』の予想通り、その威力は大したことなかったのだが。問題はその追加効果だった。
 突如、『フェンリル』の全身を線香花火のような炎が包み始める。
 それは『フェンリル』の体を蝕み、全身に大きなダメージを与え続けた。
 実は、このユーベルコード、ゆっくりと静かに繰り出せば繰り出すほど、威力が上がるのだ。
 つまり、『フェンリル』は自分から相手のパンチをゆっくりにさせ、威力向上に貢献してしまっていたわけである。
 なんたる皮肉。だが、『フェンリル』はそんなこと知る由もなく、ただ痛みに全身をもがかせるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

大町・詩乃
(別依頼での)スクール水着姿の眞由璃さんも可愛かったですが、
メイド服姿の眞由璃さんも可憐で綺麗で素敵ですよ~♪
とICの表情で愛でつつも戦闘では油断なく。

眞由璃さんに《土蜘蛛の檻》をお願いし、フェンリルさんやゴーストウルフ達を弱体化。

《煌月舞照》で1420本の煌月複製を創造。
光の属性攻撃・神罰を宿し、420本をフェンリルさん、残り1000本をゴーストウルフ達に貫通攻撃。

敵攻撃は心眼・第六感で予測し、見切り・ダンスで舞うように躱したり、
天耀鏡の盾受けで防ぐ。
オーラ防御も纏う。

《煌月舞照》で生まれた隙を突いて、神罰・破魔・雷の属性攻撃・全力魔法・高速詠唱による極大の雷でフェンリルさんに貫通攻撃です!



「スクール水着姿の眞由璃さんも可愛かったですが、メイド服姿の眞由璃さんも可憐で綺麗で素敵ですよ~♪」
 そう言ってメイド服姿の眞由璃を愛でるのは大町・詩乃(|阿斯訶備媛《アシカビヒメ》・f17458)だ。
「ス、スクール水着姿……」
 別の自分は何をしているのだ、と思いつつ、自分も他の眞由璃から見れば同じようなものか、と気付き、自分が新たな道を選んだように、別の自分も自分なりの道を見つけたのだろう、納得する眞由璃。
 一方で、彼女の脳裏に「確かにいつもメイド服というのも芸がないし、あの子達が嫌がらなければスクール水着で休むひなのがあっても良いのだろうか」などというアイデアが浮かんだらしいが、それはまた別の話。
 何にせよ、新たな猟兵が現れたという事実に、『フェンリル』がグルルと威嚇の声を上げれば、二人は同時に思考を切り替える。戦闘は油断なく、だ。
 『フェンリル』も既にギリギリの状態。過去の経験から最も有効だった攻撃手法を選んだか、引き裂いた空間の裂け目から、血に餓えたゴーストウルフの群れを放つ。
「眞由璃さん」
「分かりました」
 接近してくるゴーストウルフの群れに向けて、眞由璃が蜘蛛の糸を放ち、土蜘蛛の檻を形成する。
 それは『フェンリル』とゴーストウルフを確実に弱体化させた。
「煌く月よ、空を舞って世界を照らし、清浄なる光と刃で悪しき存在を無に帰しなさい」
 そしてその隙に、詩乃は自らの神力を使って、オリハルコンの刃を嵌めた薙刀『煌月』の複製を創造。眞由璃が時間を稼いでいる間に生成されたその数、実に1420本。
 そこに神罰の力と光の属性を付与したならば、それは即座に射出され、幾何学模様を描いて複雑に飛翔していく。
 そのうち実に1000本がゴーストウルフを襲う。
 ゴーストウルフは土蜘蛛の檻に囚われながらも必死で前進していたが、複雑に飛翔する『煌月』の複製を回避するには知能と速さが足りなかった。
 そうして、驚くほどあっさりとゴーストウルフは殲滅され、そして残る420本が『フェンリル』を地面へと縫い付けていく。
「!!」
 『フェンリル』は慌てて飛び下がろうとするが、手足が地面に縫い付けられては、抵抗のしようがない。
 そこに無造作に踊るように接近してくる詩乃の詠唱が走る。
 全力で繰り出されるは破魔の力を秘めた雷属性の神罰。
 空から降り注ぐ極大の雷が『フェンリル』を呑み込み、それが巻き起こす土煙が消えた頃には、そこにはもはや何もいなかった。
 ここに『フェンリル』は討たれたのだ。
「終わりましたね……。この度も協力いただきありがとうございました」
 眞由璃は油断なく周囲を警戒し、脅威が去ったのを確認すると、素早くお辞儀をして猟兵達にお礼を告げた。
 『フェンリル』は倒した。儀式場では情報になるかもしれない謎の少女も救出した。
 文句なしの完全な勝利と言って差し支えないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年08月11日


挿絵イラスト