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世界を越えて届けた潤い

#アポカリプスヘル #ノベル #猟兵達の夏休み2023

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セイレイン・サンタマリア




 夏場の水不足問題はアポカリプスヘルでも当たり前のように起きていた。元より資源に乏しい世界、住民達への打撃はより強烈だ。
「あぁ、作物が枯れてしまうぞ……」
 育たなければ明日を生きることも危うい。初老の住民が嘆く。
「お母さーん、喉乾いたよー!!」
 それにも増して、今水が無いという現実が子を泣き喚かせる。
「洗う水も、濯ぐ水も、何にも無ぇ……」
 生活基盤もまた水ありき。住民達は項垂れる。
 そこに、まるで恵みの雨のように世界を渡ってやってきたのがセイレイン・サンタマリア(○o。.戦場の水天使.。o○・f40790)。夏休みの小旅行にしては水筒を力強く持参しており、塞ぎ込んだ集落にびっくり仰天。
「これは大変だ、植物も、住民の皆も水を欲しがってるよ!」
 目に映る限り水が要る。セイレインは急いで水筒の蓋を外すと水を一気に外へ出した。それは水だが塊であり、一つは畑の上で弾ける。乾いた土が一瞬で潤い、嘆く住民は目を見開いた。
 そして一つ、子供が手にした空のコップにぽちゃんと入って一杯の飲み水になる。
「わぁ~! 水だぁ!」
 子供はすぐさま水を飲み、そして一瞬で空にした。明るい表情が戻ってきて親も一安心。
 更には洗濯に洗い物。衛生面を保つ生活インフラに水の塊を供給して住民達を驚かせた。
「何だ!? まさか水の神様か!?」
「ボクはセイレイン・サンタマリア、ボクの事は、精霊さんって呼んでね!」
「精霊さん、ありがとう!」
 子供の純粋な感謝の言葉も嬉しかったが、精霊さんと呼んでくれたことも嬉しかった。
「精霊さんや、まだまだこちらも……」
「こっちにも来ておくれよ、精霊さん!」
「はいはーい! 今行くよ!」
 水はいくらあっても困ることは無い。セイレインは引っ張りだこ状態であちこち飛び回りながら水筒の水を振り撒いていた。ただ、持参した水にも限りがあり、水筒の中の水音がだんだん小さくなる。
「困ったなぁ、あとちょっとなのに……」
 今のセイレインは無から水を作ることができない。力不足と言う壁に突き当たってセイレインはしょんぼり気落ちするが、助け船は猟兵の特権ではないのだ。
「おぉい、水だぞ……おぉ?」
 奪還者達の帰還だ。入手した水は多くないが、足りない分を満たすには十分。

「精霊さん――アンタはヒーローだ! また来てくれよな!」

 奪還者達にも認められた――それが嬉しくて、セイレインは満足そうに帰っていったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年07月23日


挿絵イラスト