秘密の薔薇園~愛薔薇の作り方~
#ダークセイヴァー
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この世のどんな花より麗しく、宝石よりも価値がある。その美しさを伝えようと、どんな美辞麗句を連ねても、ただの空疎な言葉へと成り下がる。とある領主館の裏庭には、そんな夢物語のような薔薇が咲く秘密の園があるという。
主を迎える為だけに存在する薔薇のアーチを抜けると、むせ返るような芳醇な薔薇の香りに包まれた。小さな噴水を取り巻くように無数の薔薇が艶やかに咲き誇っている。薔薇はどれも見事な大輪で、その生き生きとした赤色は、まるで今でも巡り続ける新鮮な血液のよう――。
それもそのはず。
アーチの下にも噴水の周りにも。
薔薇の陰には養分となるヒトが、生きたまま眠らされ続けているのだから。
育て方は簡単だ。薔薇園の隣に設置されている研究施設では特殊な薔薇の種が作られている。その種をヒトの傷に撒けば、賢い薔薇は苗床に根を張り、離さぬように茨を巻きつける。後は苗床の肥料が絶えないように、黒い薔薇の娘たちが世話をするだけだ。
全ては薔薇をこよなく愛する吸血鬼様のために。
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「夢物語みたいな綺麗な薔薇ねぇ。……棘も害もありまくりじゃないか」
渋い顔で溜息をつく幼女は、グリモア猟兵のメリー・アールイー(リメイクドール・f00481)だ。ダークセイヴァーで起きている今回の事件について、猟兵たちに説明を始めた。
「この世界なら残念ながら良くある話だが……とある吸血鬼の領主に圧制を強いられている村があってね。必要な税を納められない村人は、領主館に連れ去られて二度と帰って来ないんだと。そんでもって、その村人が行き着く先が……」
あの美しい薔薇の苗床なのだ。
今回猟兵達には、その薔薇園に潜入してもらう。まずは捕らえられている人々を救出すること。そして可能であれば、もう二度とこのような悪趣味な嗜好が出回らないように、研究施設に保管されていると思われる特殊な種やその技術情報の破棄も行えることが望ましい。
「薔薇園でなんやかんやしてたら、薔薇の世話をしてる『黒い薔薇の娘たち』が出てくるはずだ。彼女たちは領主に仕えている少女型オブリビオンだ。自分の仕事の邪魔をするあんたたちに襲い掛かってくるだろうから、骸の海に還してやっとくれ。」
そして最後に。薔薇を愛し、それの世話をする薔薇娘たちも愛しているオブリビオンが、猟兵の前へ立ちはだかるだろう。その領主の吸血鬼を倒すことまでが今回の依頼となる。
「領主館の近くまでしかテレポート出来ないからね。薔薇園への潜入の仕方や村人たちの救出の仕方や脱出経路……その他もろもろ全部、あんたたちに任せるよ。」
美しい薔薇。そのものに罪は無くとも。
その美しさを保つためにヒトの命を利用していいはずがない。
「どうか、彼等を救ってやっておくれ。それじゃあ、よろしゅうに!」
葉桜
OPをご覧いただきありがとうございます。葉桜です。
いつものもちもちほっぺのICですみません。
シリアスなシナリオ用の真剣な顔、必要でしょうか……。
第一章。
薔薇園への侵入。
村人の救出。避難経路の確保。
研究施設にある種や技術方法の破棄。
全部をひとりで行う必要はございません。
自分が出来る仕事を選んで行動なさって下さい。
第二章。
集団戦『黒い薔薇の娘たち』です。
薔薇園への侵入者を退治しに現れます。
第三章。
ボス戦。『ヴァンパイア・レディ』です。
愛する薔薇たちを手折れば、薔薇園に登場します。
アドリブ、共闘がNGなお方は「×」の記載をお願い致します。
シナリオの進行状況はツイッタ-で細かく告知させていただいております。
宜しければご参考になさって下さい。
それでは、ご参加お待ちしております。
第1章 冒険
『私の為に花は咲く』
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POW : 研究施設の破壊など
SPD : 囚われた人をこっそり救出するなど
WIZ : 侵入ルート、避難経路の割り出しなど
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
オリオ・イェラキ
わたくしと同じ花が人々を苦しめるなんて
残念な事
潜入ならば、黒いわたくしは闇夜に最適
黒薔薇すら迷彩と園に近付き
敵の音を聞き暗視での視認を行い手薄な所へ入り込む
垣根は静かに飛び超えますわ
オブリビオン製でなければ、美しい庭園なのに
研究施設は…園に隣接する建物かしら
窓等から中を、設備や人気が無い事を確認
施錠箇所は錠前でも鍵穴式でも開閉を阻害する所を剣で器用に割りますわ
…これは、鍵開けですの
最初から暴れては敵に気付かれ救出し辛くなるかしら
予め、救出班には少し時間を置いてから破壊活動をすると伝えておき
最初は資料や種を一箇所に集め
頃合いを見てメテオリオで全て切り刻みましょう
残る研究設備は大剣で切り裂き破棄を
テオドア・サリヴァン
「こんな悪趣味なこと許される訳がない…!」
人を養分に薔薇を咲かせるなんて正気の沙汰じゃないな。
【POW】
徹底的に研究施設は破壊させてもらうか。施設にあるレポート、種は燃やしてしまおう。備品等も壊してしまおうか。
「研究施設という場所自体俺は嫌いだからな。こんなふざけた研究すぐに終わらせてやる。」
ティエル・ティエリエル
「普通の薔薇だったらよかったのに……ごめんだけど全部枯れてもらうよ」
いくら綺麗でも人を養分にする危険な植物は排除しなきゃだよ!
薔薇園の周りで動物たちを探して【動物と話す】で情報収集したり、
薔薇娘を【追跡】して研究施設への潜入を試みるよ!
身体が小さいことを利用して通気口とかから研究施設に侵入できないかな?
施設の中に入り込めたら【破壊工作】で種や技術情報を再現不可能なくらい壊しちゃうよ!
ビーストマスターの力で呼び出した動物くん達にも手伝ってもらっちゃうよ!
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
ユーリ・ヴォルフ
アドリブ共闘大歓迎です
赤い薔薇か…その色全てが人の血そのものの色だと思うと近づき難いな
今ならばまだ、救える命も多いだろう
一刻も早く、人々を解放しなければ
私は守護者でありながらも
皮肉なことに、得意とすることは破壊行為そのものだ
今はこの竜の力に感謝するとしよう
この研究施設を破壊できるのだから
『属性攻撃』(炎)で、薔薇や種子は見つけ次第燃やし
堅牢な器材があれば【メギドフレイム】で破壊する
データを蓄積している機器やレポートといった知的資材も燃やし破壊しつくす
恐らくは高度な、そして薔薇園の領主にとっては崇高な技術なのだろうが
行われている事は人々にとっても、私にとっても悪夢そのもの
早急に終わらせる!
●
「普通の薔薇だったらよかったのに……ごめんだけど全部枯れてもらうよ」
いくら綺麗でも人を養分にする危険な植物は排除しなければならない。そんな危険な薔薇園に潜入するため、ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)はまず情報収集をしようと、薔薇園の周囲に動物はいないか探していた。すると調度良い所に一匹の黒猫がいるではないか。黒猫の鼻頭までひとっ飛びしたティエルは、この薔薇園について何か知っていることはないか話かけてみた。猫は瞳孔を真ん丸にして驚いた。そしてティエルに頭を下げる。
――どうかどうか、薔薇に捕らわれた自分の主を助け出して欲しい。
――薔薇の世話をする娘は、朝夕にしか訪れない。今も誰もいないよ。
ティエルもこの言葉には目を見張った。まさかここにも被害者がいたとは。
「……ありがとう。君のご主人様も、みんなみんな、絶対にボクたちが助けるからね!」
ティエルは黒猫と約束を交わした後、今現在敵はいないという有り難い情報を元に、薄い羽根を羽ばたかせて、裏庭を囲う垣根の中へと飛んで行ったのだった。
闇に溶けて静かに垣根を飛び越えていたのは、オリオ・イェラキ(緋鷹の星夜・f00428)だ。
一面に広がる薔薇、薔薇、薔薇。そしてその陰には頭を垂れて動かない人々。黒薔薇を髪に咲かせるオラトリオは、件の薔薇園の美しさと残酷さを目の辺りにして、一瞬言葉を失った。
「……。わたくしと同じ花が人々を苦しめるなんて……残念なこと」
オブリビオン製でなければ素直に美しいと思える薔薇園を横切り、隣に立つ研究施設と思しき建物に近付いていく。建物の窓から内部を覗けば、大層な機械が並び、ケースに保存されている薔薇たちも確認出来る。ここが研究施設で間違いないだろう。内部に人気は無さそうだ。オリオは施錠箇所を剣で器用に割った。強引にも見える鍵開けだが問題はない。どうせこの施設は、全て壊し尽くしてしまうのだから。
調度同じ頃、小さな体を活かして研究施設の通気口から侵入を試みていたティエルが、換気扇を外して顔を覗かせていた。オリオが開いた扉からも、テオドア・サリヴァン(ダンピールの妖剣士・f14908)とユーリ・ヴォルフ(叛逆の炎・f07045)が続く。
「最初から暴れては敵に気付かれ救出し辛くなるかしら……救出班には、少し時間を置いてから破壊活動をすると伝えておきましょう」
オリオの案に、皆頷いた。破壊すべきものを全て葬るためにも、先に研究施設内部を探索するとしよう。
「研究施設という場所自体俺は嫌いだからな。こんなふざけた研究すぐに終わらせてやる」
自分自身が実験体だったという過去を持つためか、テオドアが抱く研究施設への嫌悪感は人一倍深く重いようだ。余すことなく破壊しきってみせるという強い決意の下、施設内部の探索に集中する。
入口にあった種の袋は、直ぐに使えるように用意されていたものだろう。厳重そうな保管庫にもまだ貯蔵されているようだ。また、複雑な機械が並ぶ部屋には、ガラスケースの中で赤い液体に浸かる薔薇があった。近くの本棚には様々な研究ファイルが綴じられている。種も機械も備品も資料も、全て全て壊すとしよう。
――そろそろ頃合いか。探索を終えた一同は、本来の目的である破壊活動に移るとする。
すぐに破棄できそうな種や資料の束は、オリオが放つ、星の煌き纏う黒薔薇の花びらによって切り刻まれた。
「私は守護者でありながらも、皮肉なことに、得意とすることは破壊行為そのものだ。……だが、今はこの竜の力に感謝するとしよう」
この忌々しい研究施設を破壊出来るのだから。
「内に眠りし竜の焔よ。我が剣となりて、敵を穿ち焼き尽くせ!」
ユーリの詠唱により召喚された無数の炎の剣が、保管庫や本棚へ飛ばされ、灼熱の炎に包んでいく。
恐らくは高度な、そして薔薇園の領主にとっては崇高な技術なのだろうが……行われていることは人々にとっても、ユーリにとっても悪夢そのものだ。仲間に被害が及ばないように調整しながら、早急に火の手をまわす。
「こんな悪趣味なこと許される訳がない…!」
ガラスケースの薔薇へ怒りをぶつけるように、テオドアは剣を何度も振るい、ティエルもまたビーストマスターの力で呼び出した猫たちの手を借りて、研究施設の中を再現不可能なくらい破壊し尽くしたのだった。
「今ならばまだ、救える命も多いだろう。一刻も早く、人々を解放しなければ……」
救出班の成功を祈るユーリは、窓の外の薔薇園へ視線を移していた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
仁科・恭介
【WIZ】
【目立たない】を使用して避難経路を割り出すことを試みる。
薔薇園に入ったら咲き乱れる薔薇を見て嫌悪。
私情(薔薇より蘭派)なところもありますが、人の血を使用した栽培の嫌悪がより強い。
【従順なる影達】を展開し、一刻も早く脱出できるよう逃走経路を探索。
隠されている通路や薔薇園内にも罠が仕掛けられていることも警戒し、【失せ物探し】や【罠使い】で調査。
上手く逃走経路が確保できたら、仲間の猟兵に連絡し迅速に避難させるよう促す。
作業の合間にちらちら見える薔薇にいら立ちを感じ、気を紛らわせるために爪を噛みながら
「さっさと避難させて…親玉をおびき寄せないとね」
と館の方を見上げる。
●
特に目立つことなく薔薇園へ潜入出来た仁科・恭介(明日を届けるフードファイター・f14065)は、いざ咲き乱れる薔薇を前にすると、湧き上がる極度の不快感を隠せずにいた。薔薇よりも蘭派だという私情もあるが、何より人の血を使用した栽培だという嫌悪感が強い。
肺を満たす薔薇の香でだけでも吐き気を催しそうだが、一刻も早く仕事を終わらせるしかないようだ。恭介は狼に似た従順なる影たちを召喚して、まずは避難経路の確保を試みる。
「隠されている通路は真っ先に見つけたいところだけれど……薔薇園内にも罠が仕掛けられている可能性もあるから、気をつけようか」
罠に強く失せ物探しも得意な恭介は、自分も注意深く辺りを探るとする。薔薇園を囲う垣根の近くにも薔薇は咲き誇り、その根元の人影もちらほらと確認出来てしまう。作業の合間に目に入る薔薇に苛立ちを感じ、気を紛らわせるために自分の爪を噛んでしまう。出来ることならなるべく視界に入れたくない薔薇……しかし、恭介は気付いてしまった。ボロボロにしてしまった指先から滲み出した血を絞って、薔薇の棘に一滴垂らしてみる。すると、一瞬でその棘に吸われたではないか。
「……この薔薇こそが、罠なのか。茨の棘でも血を吸い……もしかしたら生気も喰らうかもしれない」
やがて影の使いにより、垣根の一部に埋もれた扉が発見された。暫く使われていなかったせいで絡みついている蔦を丁寧に切り落として、避難経路として使えるように用意しておく。
「さっさと避難させて……親玉をおびき寄せないとね」
扉の位置と薔薇の罠の危険を、仲間の猟兵たちへ伝えた恭介は、この悪趣味な薔薇園の主であるオブリビオンがいるはずの館を、忌まわしげに見上げるのだった。
成功
🔵🔵🔴
ヴェルベット・ガーディアナ
ヴァンパイアって薔薇好きが多いのかな…それとも薔薇がそれだけ魅力的なのか。ボクも薔薇は好きだけど。
こうまでして綺麗に咲かせたいとは思わないかな…でも、悲しいけどヴァンパイアにとってはただの丁度いい肥料なんだろうね。
だからヴァンパイアなんか大嫌いなんだよ。
ボクが出来るのは囚われる人の救出の手伝い、だね。
UC【生まれながらの光】を使うよ。
衰弱はどうしようもないかもしれないけど薔薇を植えられた傷くらいは癒せるかな。
【祈り】だけはこめるから…!
自力で逃げられる程度には回復出来ればいいんだけど後は…【鼓舞】することしかできないなぁ。
アドリブ歓迎です。
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ヴァンパイアに薔薇好きが多いのか。それとも薔薇がそれだけ魅力的なのか。自分も薔薇は好きだが、こうまでして綺麗に咲かせたいとは思わないかな、とヴェルベット・ガーディアナ(人間の人形遣い・f02386)は独りごちる。
「悲しいけどヴァンパイアにとってはただの丁度いい肥料なんだろうね……」
――だからヴァンパイアなんか大嫌いなんだよ。
思わず零れそうになる本音は、周りにダンピールの仲間もいるから飲み込んで。ヴェルベットは自分に出来る仕事をしようと、人々の救出を手伝いに向かった。
根を張られ茨に巻きつかれたまま薔薇の陰に埋もれる人々の衰弱は、思った以上に激しかった。眠らされているというより昏睡状態に近いのだろう。このままでは薔薇から切り離しても、避難させるのは難しいかもしれない。
ヴェルベットは薔薇園の中央で、握る両手を胸に目を伏せ、天に祈りを捧げる。
「どうか、この罪無き人々をお救い下さい。薔薇に奪われた命の光を、少しでも回復出来ますように――」
祈る彼女を中心に、聖なる光が薔薇園一帯を包み込んだ。
力なく地に顔を伏せる人の指先が動いた気がした。重い頭を持ち上げる人、拘束されている状況に戸惑う人、呻き声を上げる人……それぞれ苦しげではあるけれど、みんな、ちゃんと生きている。停止させられていた人々の時間が動き出したのだ。大勢の高速回復を行ったヴェルベットは激しい疲労感に襲われるが、ここで倒れるわけにはいかないと踏み留まる。そうして、笑顔と励ます言葉を彼らに送るのだ。
「大丈夫だよ、みんな。これから、ボクらが助けるから」
それは、囚われの人々にようやく訪れた、希望の光であった。
大成功
🔵🔵🔵
明智・珠稀
薔薇の好きな吸血鬼…
私のことですか違いますか。
私も薔薇を愛しておりますが…
こんな悪趣味な方法で育てられた薔薇は愛せません。
さぁ、捕らわれた方を助けに参りましょう…!
■行動
村人の救出。
「どれくらいの方がいるかわかりませんから…手数は多い方が良いですよね」
UC【どちらがお好みですか?】
でもう一人の自分を呼び出す
共に【忍び足】でそっと薔薇園に侵入
それぞれが【第六感】の感じるがままに進む
人の気配あれば刀で茨を切り
村人を薔薇園の外まで連れ出す
【救助活動】
全ては息を潜め、迅速に。
「ご安心ください、貴方を助けに参りました」
どちらの明智も穏やかな笑みを持って
村人の救助にあたる
※アドリブ、絡み大歓迎です!
マリアドール・シュシュ
アドリブ◎
「傍から見れば絶景の薔薇園なのでしょう。
けれどこの美しさは全て幻。仮初の赤い城(ろうごく)。
村人の犠牲で成り立つ美しさなどあってはならないのよ」
仲間と協力
白のケープ羽織る
一瞬目を伏せて再び顔上げ任務へ
【クリスタライズ】で潜入
中の構造を情報収集しながら進む
暗ければ華水晶の灯籠で光源確保して村人がいる場所を探索
常に警戒態勢
村人の救出を最優先
気付かれず透明化の儘救えて、
且つ避難経路が確保出来てたらそこから脱出
見張りがいたら背後に回り首へ手刀
「しっ(指当て)驚かしてごめんなさい。マリアはあなた達を此処から救うために来たの。
マリアが光となるわ。どうか信じてついてきて頂戴」
怖がらせない様に笑顔で
●
「薔薇の好きな吸血鬼……私のことですか。……違いますか」
ダンピールである明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)も薔薇好きではあるが、こんな悪趣味な方法で育てられた薔薇は愛せない、と首を振る。早速捕らえられた人々を助けに忍び込もうかと思ったが。
「どれくらいの方がいるかわかりませんから……手数は多い方が良いですよね」
と、先に女体化した自分も呼び出して、手分けをして救助を行うことにした。垣根を越えようとした時、二人の珠稀は何者かの気配を察知して、同時に振り返る。だが、そこには薔薇の娘どころか、誰の姿も影もない。気のせいだろうかと不思議そうに首を捻りつつ、薔薇園の中へと足を踏み入れた。
よくよく捜索しなくても分かるくらい、そこには多くの人々が呻き、誰か誰かと助けを求めていた。どちらの珠稀も、そんな彼らを安心させるように、穏やかな笑みで声をかける。
「ご安心ください、貴方を助けに参りました」
人々の手足に植わった根を引きはがそうとするが、茨がどうにも邪魔だ。
「気を付けてっ。その茨で傷を作ったら、マリアたちの血も吸われてしまうわっ」
突然、空虚な場所から声が聞こえて、珠稀はひどく驚いた。
「傍から見れば絶景の薔薇園なのでしょう。けれどこの美しさは全て幻。仮初の赤い城(ろうごく)。村人の犠牲で成り立つ美しさなどあってはならないのよ」
それは少し前の出来事。白いケープを羽織るマリアドール・シュシュ(無邪気な華水晶・f03102)は、自身が透明な姿になれる『クリスタライズ』で薔薇園へ潜入する準備を行っていた。一瞬目を伏せて、それから再び顔上げて任務へと向かう。救助を行う人はさっきすれ違った黒髪の彼も含めて、既に何名かいるようだ。それならば、先に全体の構造や状況も把握して置こうと、彼女は情報収集を行うことにした。
能力使用中は疲労が溜まるので、束の間の休憩がてら姿を現したマリアドールは、知り得た情報を共有するように珠稀へ伝えていた。
研究施設破壊班は、救助が終わる前に注目を集め過ぎて敵が来ないように、少し時間を置いてから行動するということ。
通常なら、今は薔薇の世話をする者たちは訪れない時間帯だということ。
避難経路になる扉は、既に確保しているということ。
また茨の棘は、おそらく人の血や生命を吸う罠になっているということ。
昏睡状態だった人々は回復の光を受けて、ある程度意識が戻っている状態だということ。
「なるほど、有益な情報をありがとうございます。……ところで、マリアドールさんは、また透明になって救助に向かうのですか?」
もしかしたら、怯えている人々を私のように驚かせてしまうかもしれません……という珠稀の助言を受け、確かにとマリアドールは頷いた。まだ敵が現れない可能性が高いなら、救助者を安心させる方法をとった方が良いかもしれない。
そうして彼らは一旦別れて、救助へとそれぞれ向かった。
二人の珠稀は棘に触れないよう細心の注意を払いながら、刀を用いて丁寧に茨を斬り落としていく。そして自由になった村人を避難経路へ運ぶという流れを、地道に繰り返すのだ。
「マリアはあなた達を此処から救うために来たの。マリアが光となるわ。どうか信じてついてきて頂戴」
マリアドールも人々の解放に手を貸していく。彼女の光のように暖かい笑顔を見て、人々は心の底から安堵するのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
エンティ・シェア
救出までは私が努めよう
潜入は目立たないような格好でこっそり、くらいしか思いつかないが、一先ずはそれで
たどり着ければ、花には華を。本を花弁に変えて、バラを切り落とす
村人に傷を増やしたくはないから、直接巻き付いている茨は、可能ならぐらいに留めて、剪定鋏でも持ち込んで丁寧に取り除く
救出できた者には、止血程度の簡単な応急手当てを施してあげたいね
それと厚手で地味な色のフードを被せて逃げ出しやすくしておこう
自力で動けるのかはちょっとわからないからね、せめて戦闘に巻き込まれないよう、施設の影辺りに移動させたい
動けるならば、そのままお逃げ。危ないと思うなら隠れているといい
全部片付けた後に、迎えに行くから
●
「救出までは私が努めよう」
多重人格者であるエンティ・シェア(欠片・f00526)は救出までの人格を『私』に決めたようだ。なるべく目立たない格好で薔薇園に侵入したエンティは、足元で助けを乞う人々の前で白紙の本を広げた。
「花には華を。――追憶よ、刃たれ」
詠唱により、本を無数の橘のはなびらに変えた。橘は『断華』……次々と薔薇の花を切り落としていく。地に落とされた薔薇は一瞬で枯れて崩れた。すると、薔薇を失った茨も共に枯れていく。もしかしたら、この薔薇は花自体が、心臓のような役割を担っているのかもしれない。
仕組みを理解したエンティは、更に断華を舞わせて、辺り一面の薔薇の命を絶ち続けた。枯れて除去しやすくなった茨を剪定鋏も使って丁寧に取り除き、人々を薔薇から解放するのだった。
彼らは他の猟兵による回復の光を受けていたようだが、根が張っていた傷や茨が食い込んでいた傷痕はまだ生々しい。せめて止血だけでも、と簡単な応急処置を施しておいた。そして、厚手で地味な色のフードを一人一人に被せていく。これで少しは目立たなくなって逃げやすくなるだろう。後は、既に確保されていた避難経路の扉まで、彼らを誘導するだけだ。
「動けるならば、そのままお逃げ。危ないと思うなら隠れているといい」
私たちにはまだ諸悪の根源を倒すという仕事が残っているから、付き添いはここまでだ、と扉の外まで見送った。
「全部片付けた後に、迎えに行くから」
そう約束をして。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『黒い薔薇の娘たち』
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POW : ジャックの傲り
戦闘中に食べた【血と肉】の量と質に応じて【吸血鬼の闇の力が暴走し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : クイーンの嘆き
自身に【死者の怨念】をまとい、高速移動と【呪いで錬成した黒い槍】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : キングの裁き
対象のユーベルコードを防御すると、それを【書物に記録し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
イラスト:シャチ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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研究施設は復元不可能なほど破壊され、中から煙が立ち昇っている。
救出対象が多くて時間はかかったが、捕らわれていた人間は全て解放出来たようだ。
薔薇園の薔薇は切り落とされて、茨も殆ど枯れてしまった。
あの美しかった薔薇園は見る影もなく、枯れ果てた廃園がただそこに残るだけだった。
――ガシャーンッ。
どこからか現れた黒い薔薇の娘の手から、栄養剤を混ぜた水差しが滑り落ちて砕かれた。
毎日愛情を込めて育てていた薔薇園が。あんなに美かった薔薇たちが。
変わり果てた光景に硬直していた黒薔薇の娘は、漸く事態を把握する。
「……貴方たちがやったのですね……何ていうことを……許せない、絶対に許せませんっ」
みんな!敵です!薔薇園へ来て下さい!!黒薔薇の娘は大声で仲間を呼んだ。
次々と集まってくる恐ろしい形相をした娘たちが、猟兵たちに襲い掛かろうとする。
明智・珠稀
そうですね、見るも無残な庭となりましたね。
しかし、きっと生き残った人々はきっと生命力に満ちた
美しい笑顔を見せることでしょう。
…貴方がたにはそれを見ることは叶いませんが、ふふ…!
(妖刀を抜き)
■戦闘
容赦なく、女性達に刃を
「く、ふふ、ふふははは!」
どこか狂気じみた表情で舞うように妖剣を振るい【なぎ払い】
仲間との連携意識しつつ
【2回攻撃】を駆使し手数増やし
華麗に舞うような動きで翻弄&斬撃
敵の攻撃は【武器受け】し
敵UCは
「さぁ、スピード勝負です、ふふ!」
と【残像】が出る程にスピードを増し動き
オーラシールドで【盾受け】【オーラ防御】また
妖剣解放の衝撃波で【カウンター攻撃】を
※アドリブ、絡み大歓迎です!
ティエル・ティエリエル
「黒猫くんと約束したんだもん。ご主人様を助けてあげるって!」
ノブレス・オブリージュの精神に則り、助けを求めてきた黒猫くんのためにもここで負けるわけにはいかないよ!
戦闘では得意の【SPD】を活かした戦い方、自慢の翅を使って空中からのヒット&アウェイで戦うよ☆
【スカイステッパー】を交えた「フェイント」で敵の高速移動に対抗、
敵の攻撃は「見切り」で回避して「カウンター」で風を纏わた「属性攻撃」をして少しずつ削っていくよ!
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
「そうですね、見るも無残な庭となりましたね。しかし、生き残った人々はきっと、生命力に満ちた美しい笑顔を見せることでしょう」
明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)は妖艶に笑い、スラリと抜いた呪われた妖刀『閃天紫花』は、紫色の輝きを放つ。
「……貴方がたにはそれを見ることは叶いませんが、ふふ……!」
その姿は、今は亡き赤薔薇に代わり、紫の薔薇が凛と咲いているようであった。
「黒猫くんと約束したんだもん。ご主人様を助けてあげるって!」
その隣で、小さきフェアリーの身体で人一倍意気込みを見せるのは、ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)だ。ティエルは薔薇園に侵入する前に、とある黒猫から助けを求められていた。幼くとも妖精の姫である彼女は、ノブレス・オブリージュの精神に則って、ここで負けるわけにはいかない。弱きものは助けたい、優しき心が赴くままに、戦場で気高く羽ばたくのだ。
「ははっ、頼もしいフェアリーのお嬢さんですね。宜しければ私と共に、あの者を翻弄してやりませんか?」
「いいね、喜んで協力するよ!」
二つ返事で笑顔をみせたティエルはお先に行ってくるよっ、と風鳴りのレイピアを片手に飛び出したのだ。
黒い薔薇の娘は薔薇園に散らばる枯れ果てたはなびらを、風に乗せるように自分の周りへと呼び寄せていた。今しがた命を奪われたばかりの薔薇のはなびらは、怨念となって彼女に力を貸し与えるのだ。その怨念は宿主の命を喰らって力を発揮するものだが、怒りに満ちた娘にとって、自分の寿命など取るに足らないものなのだろう。茨が集まるようにして錬成された黒茨の呪槍が、猟兵たちに向けられる。
「薔薇の恨み、受け止めなさい!」
「そう簡単にはいかないよ。ボクの動きについて来られるかなっ」
呪いで強化された黒薔薇娘と自慢の翅を揮うティエルが舞う舞台は高速だ。ただでさえ空を飛ぶフェアリーの小さな身体を捉えるのは至難の業だというのに、ティエルはスカイスステッパーで宙を蹴ることで予測の付けられない飛翔を見せる。そして空振る黒薔薇娘に向けて、風を纏ったレイピアを突き刺したのだ。対する黒薔薇娘も素早い動きで後退したが、頬には一筋の線が引かれ、赤い鮮血が滲んで垂れていた。
「く、ふふ、ふふははは! 良い動きですね! ですが私のことも忘れなく!」
そこへ、どこか狂気じみた表情の珠稀が参戦し、挨拶代わりの鋭い薙ぎ払いをお見舞いした。辛うじて避けた黒薔薇娘のドレスを裂いた妖刀は、休むことなく華麗な連撃を続けていく。紫の斬撃を避ければ、風のひと突きが待っている。次第に追い詰められる黒薔薇娘を囲うように、花びらのスカートと闇の外套が踊る。
「……っ。これでも、喰らいなさいっ!」
自身の生命力を全て呪槍に込めた黒薔薇娘を中心として、幾つもの黒槍が暴走する茨のようにうねりながら、無差別に周囲へと襲いかかる。
「さぁ、スピード勝負です、ふふ!」
その切り札のような攻撃でさえ、待っていましたと言わんばかりに珠稀は笑う。怨念を扱えるのは黒薔薇娘だけではないのだ。妖刀の怨念を受けて黒薔薇娘と同等の速さを得た珠稀は、黒茨の海を残像が生まれるほどのスピードで回避していく。
「これで仕舞に致しましょう!」
次第に弱まっていく攻撃を見定めてオーラシールドで受け止めれば、その茨が途切れた一角に潜り込み、妖刀から放たれる衝撃刃が黒薔薇娘を切り断った。手折られた彼女は、薔薇と共に眠りについた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
テオドア・サリヴァン
「許せないだと?よくもまあそんなことをその言葉そっくりそのまま返してもらうぞ」
人の命を糧に咲いた薔薇なんて美しくない。
敵の攻撃には「見切り」で避けよう。奴らに対する攻撃は一切容赦しない。バッサリと敵を斬り「傷口をえぐる」ことにしよう。「ブラッド・ガイスト」も使用してみるとするか。
「人の命をなんだと思っているんだ?」
●
許せない、許せない……壊れた機械のように黒い薔薇の娘は繰り返し呟き続けている。
「許せないだと?よくもまあそんなことを……。その言葉そっくりそのまま返させてもらうぞ」
テオドア・サリヴァン(ダンピールの妖剣士・f14908)は穢刃を鞘から抜いて淡々と戦闘態勢に入る。人の命を糧に咲いた薔薇なんて美しくない。彼にとって、それを育てる薔薇娘は、猶更手加減するに能わない相手であった。
テオドアは容赦なく敵を屠るために、自身の腕を傷つけて穢刃に血を吸わせると、殺戮捕食態へと変化させた。それを見た薔薇娘の口角が妖しく上がった。赤く光る瞳、赤い唇から覗く牙……そう、彼女も吸血鬼なのだ。それは、ドレスを纏った獣のような動きであった。攻撃を見切ろうと注意を逸らさずに、向かい来る彼女へ穢刃を振るうが、薔薇娘は気紛れを見せるように、不意に勢いを殺してクスリと笑う。そして空振る懐に滑り込み、すでに流れている彼の腕の傷に舌を這わせたのだ。
「……っ!」
すぐさま反射的に腕を振り払うテオドアだったが、すんなりと後退した薔薇娘はコクリと喉を鳴らす。摂取した血液は極少量であったため、完全に闇の力に飲み込まれるでもなく彼女は理性を保ったままではあったが、それでも些かの強化は成されてしまったのだろう。
「……あら、この味。貴方にも吸血鬼の血が流れているのですね」
「お前たちと一緒にするな。人をあんな風に扱って……人の命を何だと思っているんだ?」
ダンピールであるテオドアは、先程まで目の当りにしていた忌々しい薔薇を思い出しながら、奥歯を噛みしめた。そんな彼の気持ちなど露とも知らず、薔薇娘は不思議そうに返す。
「人間は食物です。私にとってもご主人様にとっても薔薇たちにとっても。人間だって、肉や魚を食べるでしょう?食べるために飼うこともあるでしょう?」
同じことをしているのに、何がいけないのですか、と冷たく微笑んだ。
価値観の違う彼らが分かり合えることはない。テオドアは薔薇娘に再び刃を向けて斬りかかるが、強化された彼女を捕食することは叶わなかった。
苦戦
🔵🔴🔴
オリオ・イェラキ
愛情を持って花を育てる事は良い事よ
でも…共感するには価値観があまりにも違い過ぎますわ
許せないと云うのなら、戦いましょう
わたくしも譲れませんもの
猟兵仲間と連携し、一体ずつ確実に仕留めましょう
彼女達の攻撃は基本この大剣で武器受けしますわ
お生憎様、貴女達に差し上げる血肉は持ち合わせておりませんの
代わりの贈り物は剣撃にて
舞うようになぎ払い、二回攻撃も重ねて畳み掛けますわ
哀しいわ。…彼女達に咲く黒薔薇も綺麗なのに
刈り取らねばならないなんて
仲間が交戦する合間、闇夜に紛れ敵の近くへ
槍を切り落とし至近距離にて瞬く星の一撃を
防御する暇も、いいえ防ぐ動作ごと鎧無視の如く貫いて差し上げますわ
この廃園と共に眠りなさい
仁科・恭介
※アドリブ、共闘歓迎
UC対象:アドリブ歓迎
POW
真紅の瞳に変え【携帯食料】を頬張りながら睨みつつ観察。
熱くなりすぎないよう、共闘者がいたら「食べる?」と戯ける。
見失わないように忌み嫌う【吸血】本能で娘達の匂いを覚え【追跡】開始。
「さて、私と踊りましょうか」
基本は囮役。
【目立たない】を駆使して死角から急襲、【残像】離脱で他の猟兵が攻撃しやすいように撹乱する。
何度か攻撃しながら【失せ物探し】で隠し玉を探し、気付いたら他の猟兵に注意喚起。
撹乱中に猟兵への不意打ちに気付いたらUCと【ダッシュ】で駆けつけ、【残像】(干し肉)を残し猟兵を抱えて離脱。
安全な距離に移動後、【目立たない】で撹乱に戻る。
「愛情を持って花を育てる事は良いことよ。でも……共感するには価値観があまりにも違い過ぎますわ」
オリオ・イェラキ(緋鷹の星夜・f00428)は、他の猟兵と戦う黒い薔薇の娘を見て、静かに頷いた。
「許せないと云うのなら、戦いましょう。わたくしも譲れませんもの」
星空のように絢爛な大剣を煌めかせたオリオは、同じ黒薔薇を咲かせる吸血鬼の娘と向き合い対峙した。
一方、仁科・恭介(明日を届けるフードファイター・f14065)は、携帯食料の干し肉を頬張りながら、黒薔薇娘を睨み観察を続けていた。ちなみに、これは自身を強化するための食料ではあるが、仲間にも御裾分けした方がよいかと、オリオにも戯けて聞いてみていた。残念ながら、今回は丁重にお断りを受けたそうだ。干し肉ではなく、好物の甘味だったら受け取ってもらえたかもしれない。
それはともかくとして、恭介が自身の忌み嫌う吸血本能を増せば、瞳が深紅へと変わっていく。これで黒薔薇娘の匂いを追えば戦いやすくなるだろう。それはオリオの黒薔薇とは異なる、血の匂いがたっぷりと染み込んだ薔薇の香だった。
「さて、私と踊りましょうか」
恭介は囮のように前へ出たかと思えば、素早く残像と入れ替わりにどこかへ消えて、再び死角から顔を覗かせると、敵を茶化すように声をかける。
「こっちこっち……ちょっと遅かったな……残念、ハズレだ」
マジシャンのミスディレクションを交えたような攪乱に、次第に苛立ちを募らせていく黒薔薇娘は、先に女の方から片付けるかと、狙いをオリオに代えることにする。
「お生憎様、貴女達に差し上げる血肉は持ち合わせておりませんの」
黒薔薇娘の強襲を、オリオは大剣で難なく受け止めると、お返しに美しい舞のような薙ぎ払いを贈る。寸前で避けられても、また追うように刃を返して再び振りかざすのだ。
その時、敵が何か隠し玉を持っていないか警戒していた恭介は、黒薔薇娘が妖しく微笑むのを見逃さなかった。このままではオリオが危ない、何かが来る――。
「そうはさせるかっ」
恭介は敵が攻撃を放つ瞬間、それと共鳴するように自身を強化してオリオに駆け寄り、抱きかかえて地面に転がる。後ろでは闇の力がオーラの茨のように噴出されていた。しかし、その茨が貫いたのはオリオではなく、残像代わりに残された干し肉だった。
「ありがとうございます。もう大丈夫ですわ」
恭介に礼を言って立ち上がると、オリオは自分の服に付いた土を払った。あの茨にも注意を払えばよいというのなら、簡単だ。恭介がすぐさま黒薔薇娘へ向かって、サムライブレイドで注意を引く中、オリオはこれから放つ一撃に備えて、大剣に力を込めていた。
「哀しいわ。……彼女たちに咲く黒薔薇も綺麗なのに。刈り取らねばならないなんて」
せめて一瞬で終わらせて差し上げましょう。――言葉通りの刹那の輝き。瞬く星は茨も黒薔薇娘もまとめて斬り伏せた。
「この廃園と共に眠りなさい」
またひとつ、黒薔薇が落ちた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ヴェルベット・ガーディアナ
薔薇の世話をしてた子達だね…薔薇は薔薇でも人々の犠牲の上で咲いた花。
それを知っていて育てた貴女達にも罪はあると思うよ。
UC【戦乙女の審判】
戦乙女よこの戦いに力を貸して…!
ボクはアリアで【援護射撃】をするよ!
ボクへの攻撃は【第六感】で【見切り】や【オーラ防御】
ユーベルコードを本に写し取るのならその本がなければできないよね。
なら、火の【属性攻撃】で燃やしてあげる!
エンティ・シェア
殲滅ならば「僕」の仕事です
一先ずは自衛や仲間の補佐用にギロチンの刃を振り回す準備をしておきます
血ならそこらじゅうで確保できそうですし、刃物なら継続的に血を得られますから
殺すための攻撃には、予め色映しの鏡を召喚しておきます
そのうえで、花を枯らしたのは僕ですよ、と剪定鋏も見せつつ煽る
怒りを覚えさせることが出来たなら鏡でその怒りをお返ししましょう
美しかろうがなんだろうが、僕の知ったことではありません
摘み取られる理由に心当たりぐらいあったでしょうに。護りきれなかった貴方達の非では?
威力アップのために挑発を
殆ど本音なんですけどね
攻撃を借用された場合、受けるのは僕が
僕には別に、怒りも憤りも、ありませんから
ユーリ・ヴォルフ
アドリブ共闘大歓迎です
只の薔薇園であれば滅ぼしなどしないさ
だが貴様達は人間を餌とし捕食している
私は、人間側の味方だ。そして守護者だ
故に仇為す敵は、薔薇であろうと何だろうと燃やし尽くす!
敵がバラけているならば1体ずつ丁寧に
炎霆を炎から具現化し『属性攻撃』で炎を纏い串刺しにする
多勢に無勢とあらば
『炎の砂』で恐怖を与えて怯ませ【メギドフレイム】を発動し薙ぎ払う
噛みつかれたら、振りほどかず逆に腕を取り拘束する
悪いが、大人しく餌になる心算など無いのでな
『オーラ防御』『火炎耐性』で防御しつつ
『属性攻撃』『範囲攻撃』で自分ごと敵を炎に包む
このまま燃やして消し炭にしてくれる!
●
黒い薔薇を髪に飾る娘たちは、皆一様に同じ黒いドレスを纏っているが、よく見てみると人と同じようにそれぞれ個性が備わっているようだ。次々と同胞が倒されていくこの状況で、怒りを隠せない者、涙を流す者、そして無表情で後ろから見つめている者がいる。表情や心の内は異なっても、どの黒薔薇娘も猟兵に敵意を持っていることには変わりない。
「薔薇の世話をしてた子達だね……薔薇は薔薇でも人々の犠牲の上で咲いた花。それを知っていて育てた貴女達にも罪はあると思うよ」
ヴェルベット・ガーディアナ(人間の人形遣い・f02386)は、黒薔薇の罪の審判を託すように祈りを捧げる。
「戦乙女よこの戦いに力を貸して……!」
召喚された戦乙女の霊は、人々の命を餌とした黒薔薇娘たちを断罪するように、彼女たちの頭上へ光の矢の雨を降らせた。その直後に無表情の娘が書物を構えるのを、ヴェルベットは視界に捉えていた。
「その本がなければ、ボクの真似もできないよね」
続け様に、護衛用精霊銃のアリアで牽制しながら書物を燃やそうと炎を飛ばすヴェルベットだったが、ひとりの娘が前へ出て、自分の腕が燃えることも恐れずに、怒りの侭に炎を殴りつけて背後を庇ったのだ。すると、天に掲げられた書物から黒薔薇が咲き、光の矢を茨で絡め取るように全て吸収されてしまった。
ヴェルベットのユーベルコードを知り得た無表情の娘は、全く同じ戦乙女の霊を召喚してみせた。そして、多数の薔薇の命を断った猟兵も罪であると、黒薔薇娘たちの代弁をするように光の矢をお返しする。
自分の慣れ親しんだ技である。ヴェルベットは軌道を必死で見切って矢を避けていくが、最後の一本だけは彼女の白い肌を薄く裂いて行った。光のオーラに護られていたため傷は浅いが、一筋の赤い筋が浮かぶ。
「失礼します。その血、お借りしますね」
ヴェルベットの傷に触れて隣に立つのは、エンティ・シェア(欠片・f00526)の『僕』だ。血液により、ギロチンの刃を顕現させて準備運動をするように振り回す。そして、もう片方の手でちょきんちょきんと動かす剪定鋏を見せて、こう挑発するのだ。
「花を枯らしたのは僕ですよ」
その際に自分の周りに召喚した鏡を浮かせるが、挑発に乗る黒薔薇娘は気付けない。
「よくも、よくも、私たちの大切な薔薇をーーっ!!」
お前の首も刈り取ってやると叫ぶのは、既にヴェルベットの炎によって片腕が焼け崩れている怒りの黒薔薇娘だ。彼女はなりふり構わず、使い物にならない自分の腕に齧りついた。痛みを感じないのだろうか……ぶちぶちと己の血肉を食らって、強制的に吸血鬼の闇の力を暴走させる。
「美しかろうがなんだろうが、僕の知ったことではありません」
そんな彼女の行為も嘲笑うように、自己強化をして突撃して来る黒薔薇娘の攻撃をギロチンで捌きながら、エンティは尚も挑発を続ける。
「摘み取られる理由に心当たりぐらいあったでしょうに。護りきれなかった貴方達の非では?」
「ーーーーっっ!!」
そして黒薔薇娘の怒りが最高潮になった時、『色映し』は放たれる。敵の怒りと同等の衝撃を放つ鏡は、一瞬で怒りに飲み込まれた娘を消滅させた。鏡は未だかつてない力を発揮したのではないだろうか……彼女にとっては、それほどの怒りだったのだろう。
しかし、怒りを与えられない敵もいた。涙で顔を歪ませながら突き出された黒茨の槍を、寸での所でエンティはギロチンで受け止める。
「私たちの薔薇は私たちだけのものじゃない……全ては愛するご主人様のために、あのお方に喜んでいただくために、育てていたのに……」
彼女たちにとっての愛のかたちを一瞬で散らされて、深い哀しみに暮れる黒薔薇娘は、討たれた同胞の恨み辛みも引き受けるように、全ての怨念を背負って猟兵たちの前に立つ。
「只の薔薇園であれば滅ぼしなどしなかったさ」
エンティと入れ替わるようにして彼女の言葉に答えたのは、ユーリ・ヴォルフ(叛逆の炎・f07045)だった。
「だが貴様たちは人間を餌とし捕食している。私は、人間側の味方だ。そして守護者だ。故に仇為す敵は、薔薇であろうと何だろうと燃やし尽くす!」
炎竜であるユーリは己の炎から巨大な魔槍、炎霆を具現化させた。炎の魔槍と闇の呪槍が赤黒い火花を散らす。一歩も譲らぬ攻防――互いに距離を取った時、ユーリはすかさず『メギドフレイム』を放つ。対する薔薇娘も、同時に闇の力を纏った茨の呪槍を放射状に伸ばした。炎の剣も闇の茨も、共に喰らい合うようにして消滅する。
力は互角、だがこのままでは自分の命の方が先に尽きてしまう。この恨み辛みを一片も果たせずにただ死ぬのは悲し過ぎる。そう考えた黒薔薇娘は涙を拭って、一か八か高速移動でユーリへ突撃した。あの強者の血を吸えば、更なる強化が望めるはずだから。
「……」「……!?」
ユーリは避けなかった。己の首筋に牙を立てられても振り払わずに、彼女の身体を抱きしめたのだ。予想外の行動に黒薔薇娘は後退ろうとするが、その拘束が解かれることはなかった。
「悪いが、大人しく餌になる心算など無いのでな」
ユーリが熱くなる。自分ごと周囲を炎で包み込み、炎と化して燃えていく。
止めて、離して、お願い……っ。黒薔薇娘の願いは届くはずもなく。
「このまま燃えて消し炭となり消えていけ」
炎に抱かれたまま、薔薇は燃え尽きた。
「みんな、やられてしまいましたが。……分が悪いみたいですね」
ご主人様にご報告しに行きましょう、と後ろに控えていた無表情の黒薔薇は、ひとり廃園の影に消えようとしていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
エレニア・ファンタージェン
先生(f04783)と共闘
綺麗な薔薇園だと聞いて来たのに、薔薇はないし、何だかたくさん虫がいるのね。
これはお掃除のお時間かしら。
「そんなに大切な薔薇だったの…?夢で会わせてあげましょう」
ユーベルコードで呪詛を乗せた煙で敵の動きを封じるわ。
もし防がれて技を返されたら、エリィは助手として先生の盾になる。
後は先生が何とかしてくださるでしょう?
知っているわ。
動けて、手近なところに敵が居たなら、傷口を抉って差し上げましょう。
痛いかしら?でも、その血は先生のお役に立つと思うのよ。
当たり年の葡萄酒よりもずっと先生のお気に召すと思うの。
「先生、帰りにお花屋さんに寄りましょう。エリィ、…綺麗な、薔薇が欲しいわ」
神埜・常盤
助手のエリィ(f11289)さんと共闘
薔薇はもう散ってしまったかね
僕も掃除を手伝おう
エリィさんが敵の動きを
封じてくれる間に使用するのは
簒奪者に捧げし狂宴
呪詛乗せた管狐の炎を
彼女達へ嗾しかけよう
さァ、あの書物ごと燃やしておいで
……エリィさんは矢張り
薔薇よりも芙蓉が似合うねェ
反撃は激痛耐性と呪詛・毒耐性で堪えるよ
エリィさんを盾にするのは心苦しいが
君の信頼には勿論、応えるとも!
隙を突いて破魔乗せた護符投げたり
催眠術で同士討ち唆そうかなァ
「君達が断罪すべきは僕等ではない
可憐なる黒薔薇達だ。
──分かるね?」
体力消耗したら吸血で回復しようか
御無礼お赦しを、レディ
「あァ、仕事を終えたら
薔薇を買って帰ろうか」
●
生き残ったひとりの黒い薔薇の娘は、薔薇園を荒らす猟兵たちから一旦距離を置いて主人に報告をするため、屋敷へ戻ろうとしていた。しかし、まさかその逃走の最中に、ふらりと薔薇園へ迷い込んできた別の猟兵と鉢合わせることになるとは、夢にも思わなかっただろう。
「ねぇ、先生。綺麗な薔薇園だと聞いて来たのに、薔薇はないし、何だか虫がいるみたいよ。これはお掃除のお時間かしら」
「薔薇はもう散ってしまったかね。僕も掃除を手伝おう」
仄暗い薔薇園に真っ白に浮かび上がる少女、エレニア・ファンタージェン(幻想パヴァーヌ・f11289)が先生と呼びかければ、神埜・常盤(宵色ガイヤルド・f04783)は顎を擦りつつ、薔薇園、いや、主役のいない薔薇園だったものを眺めて、彼女の案に頷くのだった。
「……虫は貴方たちの方でしょう。私たちの薔薇を荒らし尽くした害虫そのものです」
「そんなに大切な薔薇だったの……?それなら、夢で会わせてあげましょう」
無表情に淡々と、それでも言葉に憎しみを込めた黒薔薇娘に対しても、エレニアは緩く微笑んでゆったりと甘い香りの紫煙を放つ。それはあまりに優しい呪詛だった。大切なものに会えない憂き世なら忘れて、幸せな夢に浸るといい――。
「……エリィさんは矢張り。薔薇よりも芙蓉が似合うねェ」
煙を燻らせるエレニアを見守る常盤は、ポツリとそう呟いていたそうだ。
しかし、薔薇娘はそんな紛い物の幸せは受け取らないと、拒否するように書物を盾にした。書物から咲く黒薔薇の茨が煙を全て吸い込み、全く同じ紫煙を二人へ返していく。もしも返されてしまったとしたら……エレニアは初めから決めていたのだ。常盤の前に立って全ての煙を受け止める。幸せな夢へ導かれる刹那も、彼女は変わらず微笑んでいた。
「後は先生が何とかしてくださるでしょう?」
知っているわ、と。倒れる彼女を常盤は片腕で抱き止めた。エレニアは穏やかな表情で暫し懐かしき夢の中、愛おしい鼓動に寄り添えているのだろうか。
「君の信頼には勿論、応えるとも」
視線はエレニアに向けたまま、常盤は素早く破魔の護符を黒薔薇娘に飛ばしていた。闇色に赤々とした五芒星が刻まれる護符、宵現は見事に不意を突いて、吸血鬼である彼女の手元を弾き飛ばした。敵の攻撃を借用する書物が宙に舞う。
「さァ、あの書物ごと燃やしておいで」
そして、竹筒から火神の加護を纏う管狐を解き放ち、書物も薔薇も燃やしにかかる。二十を超える管狐たちが四方八方から放つ炎を全て躱すのは至難の業だ。黒薔薇娘は書物を庇うように抱きかかえようとするが、一歩及ばず。炎に包まれる書物は灰となって風に攫われた。
黒薔薇娘は眉を顰めて、怨念を闇の衣のように纏って残りの炎を吹き飛ばす。そして地を蹴ると、瞬く間に常盤の目の前まで踏み込んできた。赤い目を更に血走らせ、牙を突き立てようと赤い唇を開く。
ぽたりと血が地面に滴った。しかし、喰らわれたのは黒薔薇で、喰らったのはエレニアの拷問具だった。深々と抉られた胸から溢れる血液が黒薔薇娘のドレスを濡らしていく。
「おはよう、先生」
「おはよう、エリィさん。良い夢は見られたかな」
「ええ、とても。……それより先生、こちらの血の味はいかがかしら。当たり年の葡萄酒よりも、ずっと先生のお気に召すと思うの」
まるでお茶会の最中のように二人は会話する。
「そうだね、試させてもらおうか。御無礼お赦しを、レディ」
呆然と目を見開き、口からも血を溢れさせる黒薔薇娘の口端を指で拭って、常盤は自分の口元、朱い舌へとそれを持っていく。蜜よりも甘い薔薇の血の味に、暫し酔いしれるとしよう。
「先生、帰りにお花屋さんに寄りましょう。エリィ、……綺麗な、薔薇が欲しいわ」
「あァ、仕事を終えたら薔薇を買って帰ろうか」
ここではもう、薔薇はひとつも咲いていない。赤薔薇も。黒薔薇も。
ただひとり、吸血鬼の領主を残して。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『ヴァンパイア・レディ』
|
POW : 肉体変化
対象の攻撃を軽減する【魔力で出来た霧状の肉体】に変身しつつ、【時折実体化しては、鋭く伸ばした爪や牙】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD : 魅了の魔眼
【魅了の魔力を込めた視線を放つ事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【瞬時に篭絡し、同士討ちをさせる事】で攻撃する。
WIZ : 闇夜の眷属
レベル×5体の、小型の戦闘用【の『眷属』、吸血コウモリ達】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
イラスト:猫宮さえか
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「アルル・アークライト」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
私の薔薇はどこ?
どんな花よりも美しく咲き誇る私の赤薔薇はどこ?
誰よりも私を愛してくれる愛しい愛しい私の黒薔薇はどこ?
全てを刈り尽くされた元薔薇園で、領主は暫し立ち尽くす。
高貴な身分も、高価な衣装も、関係ない。
そんなものよりもずっと大切だったものに、フラフラと近寄り地面に座りこんだ。
力なく倒れている、血染めの黒薔薇娘を抱きかかえる。
冷たくなって色褪せた唇に、自分のそれを合わせた。
彼女が薔薇園の主であり、村人を捕らえた張本人である吸血鬼『ヴァンパイア・レディ』だ。
最後の仕事の時間が始まる。
オリオ・イェラキ
そう、哀しいのね
でも貴女の罪は消える事はない。此処でわたくし達も手を止めたりしませんわ
立ちなさいオブリビオン
始めましょう
わたくしは星夜。貴方が観る、最期の夜
極夜に更けるこの身でお相手を
蝙蝠達を大剣でなぎ払い
霧と化す彼女を逃さぬよう、大剣をメテオリオの花嵐に変え追い掛ける
そのままわたくしも静かに動きますわ
闇夜を隠れ蓑に。魅了の視線を花弁で遮り間合いを詰める
もし篭絡された方が居ても傷付けぬ程度の花嵐で翻弄しその間に敵を仕留めましょう
実体化したその瞬間が好機
もう一つの剣Trapeziumを手に死角から仕掛けますわ
散りなさい、星屑のように
せめてこの廃園と、貴女を慕った黒薔薇と共に眠らせて差し上げますわ
仁科・恭介
※アドリブ、共闘歓迎
UC対象:ヴァンパイアレディ
猟兵に対する気持ちを利用し細胞を活性化。
【吸血】は嫌悪しているが吸血鬼に対しては厭わない。
「君の薔薇は綺麗に散ったよ。そして、君も無に帰る時間だね。」
そう呟き【携帯食料】を貪りつつ、茶色の瞳が徐々に真紅へ。
「心の抑えが効かない。落ち着け」
瞳を見るのはまずいと考え(【学習力】)【吸血】本能でレディの血の匂いを覚える。
その後【目立たない】ように気配を消していく。
狙うのは攻撃のため霧から実体化した瞬間。
狙う場所は【失せ物探し】で見つけた満身から出る隙。
そこを一気にUCで力を溜めて【ダッシュ】で急襲。
霧で逃げようとした場合は【吸血】で霧ごと血を吸い込む。
ヴェルベット・ガーディアナ
誰かを…何かを失って悲しいのは貴方だけじゃないんだ…薔薇の犠牲になった人にだってそう思う人がいたはずなのに…それがわからない限りはきっと変われない。
花と散った命と共に貴方ももう一度生まれ変わればいいよ。
あの子達のところへ行かせてあげる。
精霊銃アリアで攻撃。
【援護射撃】【二回攻撃】を使いつつ他の猟兵さんの援護。蝙蝠はボクに任せて。
【見切り】【オーラ防御】で攻撃を回避および防御。
隙ができたらUC【輪廻に導く光】
「この光が死を超えて輪廻に導かんことを…」
ティエル・ティエリエル
「お前の薔薇はボク達が全部刈り尽くしたよ!」
薔薇の正体を知らなければ嘆き悲しんでいる吸血鬼を哀れに思ったかもしれないけど……
あんなものを育ててるヤツを野放しにするわけにはいかないよ!
背中の翅で空中を飛びながら召喚された吸血コウモリ達と【空中戦】を繰り広げるよ!
コウモリの攻撃は【見切り】で回避しながら、【カウンター】で1匹ずつ叩き落していくよ!
ある程度コウモリの数を減らせたら猟兵仲間の下に戻るね♪
怪我した人がいれば【小さな妖精の輪舞】を使って回復してあげるね♪
回復が終わったら「さぁ、あともうちょっとだよ!頑張ろう☆」って【鼓舞】して回るね!
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
明智・珠稀
貴女にも、慈しむという感情がおありなのですね。
ならば貴女の薔薇のために犠牲になった者、その方を愛した者の気持ちもわかりましょう。
私も薔薇を愛します。
他者を愛します。
しかし、貴女の愛し方は罪深い。
せめて愛する者と同じ地で、永遠の眠りを…!
■戦闘
真の姿を解放し、白い翼が生える
黒革の鞭で【先制攻撃】し相手の自由を奪うように攻撃
「貴女の血はどんな味でしょうか…!」
隙あらば【吸血】し【生命力吸収】を
「生命力を奪われる気持ちはいかがですか…?」
敵UC発動したら
UC【青薔薇吐息】を発動させ
「さぁ、私の薔薇に愛され永遠の眠りについてください…!」
敵の吸血蝙蝠含め、激しく美しい攻撃を
※アドリブ、絡み大歓迎です!
神埜・常盤
助手のエリィさん(f11289)と共闘
おや、君が怒るなんて珍しいねェ
君の望む儘、存分に付き合うとも
序盤は彼女のサポートに徹しよう
同胞やエリィさんの周囲に護符を展開し
オーラ防御を試みようかなァ
蝙蝠達の攻撃を防ぎたく
暫く耐えて敵の攻勢が緩んだら
其の隙を暗殺で突こうか
天鼠の輪舞曲でカウンターを
蝙蝠に姿を変えレディ本体へ
捨て身の一撃を食らわせてくれよう
エリィさんの援護射撃も活かし
フェイント掛けながら攻めていくよ
もし反撃されたら激痛耐性で凌ぎつつ
満身創痍のフリで油断誘い騙し討ち狙う
エリィさんの演技も御見事!
まァ、僕も概ねエリィさんと同意見だよ
あとは、そうだねェ
「今迄虐げられた者達の痛みを知り給え」
エレニア・ファンタージェン
不思議ね、エリィ少し怒っているみたいなの
この人は倒さなくては
エリィの我儘、先生(f04783)にお付き合い頂くわ
死霊蛇竜に攻撃を任せ、騎士に自分を護らせる
「可哀想だわ。薔薇の花より大切なものを貴女は持っていたのに、欲で全てを喪って」
「諌めなかった彼女達にも咎はある。けれど、主人でありながら道を誤った貴女が責を負うべきよ」
蝙蝠は可能な限り騎士に防がせ自身もオーラ防御
残りは先生、お願いします
召喚が解除されたら援護射撃に回るわ
2回攻撃を狙えると良いのだけれども
「先生!」
先生の演技には悲鳴を上げて狼狽えたフリ
相手が引っかかったら一緒にだまし討ちで畳み掛ける
傷口を抉るのも忘れずに
ええ、痛みを知りなさい
テオドア・サリヴァン
「お前がこの薔薇園の主か。」
何も知らない者が見えたらとても美しいと思うかもしれないが俺は美しいとは思わないな。
背後から「忍び足」で近づき「呪詛」を込めて敵を斬る。泣こうが喚こうが奴には一切の慈悲をくれてやるつもりはない。ぐりぐりと「傷口をえぐる」ぞ。敵の攻撃に対しては「見切り」で避けるぞ。
「命を弄ぶ奴には容赦はしない。薔薇園ごと消えてもらうぞ」
エンティ・シェア
愛したものを奪われたことを、哀れだとは思いません
貴方も誰かに愛されたものを奪い続けてきたのでしょう
因果応報、とも言いませんよ
ただ、貴方達が弱かっただけですから
煽るのは癖のようなものですが、それで気持ちを乱すことができたなら儲けもの、ですね
篭絡されるのは面倒くさいので、咎力封じでの封印を試みます
申し訳ありませんが他の方を狙っている隙を付きたい
視線を合わせない試みもしてみましょうか
僕の技が上手く行こうと行くまいと、躱そうとした隙を更に突いてくれる仲間がいることを願いましょう
篭絡されてしまった場合は、僕が仲間を手に掛けるのは癪なので「私」に押し付けてやります
貴方もたまには戦いなさい
●
ヴァンパイア・レディは、周りを取り囲む猟兵たちを見向きもせずに、黒薔薇娘の亡骸を抱き続けていた。
「お前の薔薇はボク達が全部刈り尽くしたよ!」
「お前がこの薔薇園の主か。何も知らない者が見えたらとても美しいと思うかもしれないが……」
俺はそうは思わない、そう続けるテオドア・サリヴァン(ダンピールの妖剣士・f14908)に同意をするように、ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)も女吸血鬼を睨んで、何度も頷いた。
「薔薇の正体を知らなければ、嘆き悲しんでいる吸血鬼を哀れに思ったかもしれないけど……あんなものを育ててるヤツを野放しにするわけにはいかないよ!」
そんな台詞も聞こえていないかのように尚も動こうとしない敵を相手に、真っ先に行動を起こしたのは明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)だった。
「貴女にも、慈しむという感情がおありなのですね。……ならば貴女の薔薇のために犠牲になった者、その方を愛したい気持ちもわかりましょう」
だから貴女は罪を償わなくてはならないと、珠稀は真の姿を解放して、白い翼をその背に生やした。その翼と相対する漆黒の革の長鞭をしならせる。薔薇が刻まれる彼の鞭は、素早く女吸血鬼の身体を捕らえた。
しかし、それは体を霧と化すことですぐに擦り抜けられてしまう。霧に抱かれて運ばれる黒薔薇娘の亡骸は、薔薇園のベンチに人形のように腰掛ける。再び実体化した女吸血鬼は、彼女の足元に跪くようにして、その手のひらに口づけた。
「そう、哀しいのね。でも貴女の罪は消えることはない。此処でわたくしたちも手を止めたりしませんわ。立ちなさい、オブリビオン」
オリオ・イェラキ(緋鷹の星夜・f00428)の叱責の後、漸く女吸血鬼はゆっくりと立ち上がり、猟兵たちに視線を向けた。
「……五月蠅い虫たちね。愛しいこの子とのお別れくらい、ゆっくりさせて頂戴」
その表情は、大切なものを奪われた怒りよりも、ただひたすら虚無感や寂寥感に埋め尽くされているように見える。
「この子のいない世界に未練なんてないけれど……でも、そうね……このままじゃ、私を想って貴方たちに立ち向かった、この子たちに合わせる顔がないわね……それなら」
一気に女吸血鬼の殺気が膨れ上がる。それなら、この子に手向ける赤い華を、貴方たちに捧げてもらいましょう。
オリオは臆すること無く、その敵意と向かい合った。極夜に更ける彼女は呟く。
始めましょう。わたくしは星夜。貴女が観る、最期の夜。
珠稀の黒鞭、テオドアの穢刃、オリオの大剣が敵を追う中、仁科・恭介(観察する人・f14065)は携帯食料を貪ることで己の吸血本能を高めて、戦闘に備えていた。吸血欲求が増せば能力は向上するが、その分自分を見失いそうになる。
「心の抑えが効かない。落ち着け……っ」
自分に言い聞かせるように胸を押さえて深呼吸をする。元々吸血鬼に操られないように瞳を見ずに匂いを覚えて動く算段だったのだ。
「君の薔薇は綺麗に散ったよ。そして、次は、君が無に帰る時間だ……」
恭介は呼吸を整えながら、今から追う敵の匂いを覚えて、来たるべき時に備えて気配を消していく。
「誰かを……何かを失って悲しいのは貴方だけじゃないんだ……薔薇の犠牲になった人にだってそう思う人がいたはずなのに……それがわからない限りはきっと変われない」
そう呟きながら、精霊銃のアリアで援護射撃を行うヴェルベット・ガーディアナ(人間の人形遣い・f02386)の隣で、エンティ・シェア(欠片・f00526)は挑発的な笑みを浮かべていた
「愛したものを奪われたことを、哀れだとは思いません。貴方も誰かに愛されたものを奪い続けてきたのでしょう。因果応報、とも言いませんよ。ただ、……」
貴方たちが弱かっただけです。敵を煽ってしまうのは「僕」の癖のようなもので、それで気持ちを乱すことが出来れば儲けものだろうと、本音をそのまま語ってしまうのだ。しかし、そんな言葉も女吸血鬼の心を動かすには能わなかったようで、冷たい視線を彼らに送りながら口端を歪めるだけだった。
「分からなくはないわよ、お嬢ちゃん、坊や」
だとしても。吸血鬼である私もあの子もあの薔薇も、人間はただの食糧に過ぎないし、人間が家畜に持つ程度の感情しか持ち合わせていない。薔薇娘も語っていたかもしれないが、自分にとって食料であるものに何を言われても、歩み寄り、分かり合うことなど出来ないのだ。
「ただ……私たちが好む食料が牙を持つのも確か。しっぺ返しを食らったのは、自衛が出来なかった私たちの責よ。分かってる……だから、私は貴方たちに理不尽な怒りをぶつけてはいないでしょう?」
私があの子の隣にいく前に……ひとつでも多くの血の華をあの子に捧げたいだけよ。
「それならば、主である貴女の華が一番喜ばれるのでは?」
僕らが代わりに捧げて差し上げますよ。エンティは黒薔薇娘を刈り取った赤い痕の残るギロチンを見せびらかして、次なる処刑対象を求めて駆けて行く。
前衛陣の攻撃を避けながら、女吸血鬼は闇夜の眷属の群れをヴェルベットへ強襲させた。飛び回る蝙蝠の動きを見極めながら連射を続けるヴェルベットを援護するように、背中の翅で自由に宙を舞うティエルも空中戦に参戦した。ティエルは蝙蝠の突撃を交わしながら、風鳴りのレイピアを貫いて鳴らす。二人はこちらの手助けに向かおうとする仲間たちへ叫んだ。
「「こっちはボクたちにまかせて!」」
「……可哀想だわ。薔薇の花より大切なものを彼女は持っていたのに、欲で全てを喪って」
可哀想、という言葉とは裏腹に。エレニア・ファンタージェン(幻想パヴァーヌ・f11289)の顔にはいつもの微笑みは浮かんでいなかった。
「おや、君が怒るなんて珍しいねェ」
神埜・常盤(宵色ガイヤルド・f04783)の言葉に、自分でも不思議そうにエレニアは頷く。
「ええ……エリィ少し怒っているみたいなの。ねえ、先生……」
「君の望む儘、存分に付き合うとも」
花屋へ行く前に、二人はもうひと仕事していくようだ。
「人の血を求める薔薇を生んだのは貴女でしょう? 諌めなかった彼女達にも咎はある。けれど、主人でありながら道を誤った貴女が責を負うべきよ」
女吸血鬼の主張を聞いたエレニアは、やはりどう考えてもそこは駄目だったと答えを出して、黒い宝珠から死霊騎士と死霊蛇竜を呼び寄せた。騎士は自分を守護するように控えさせて、蛇竜は女吸血鬼本体へ向かうように指示を出す。
「まァ、僕も概ねエリィさんと同意見だよ」
常盤はまずは自分の大切な者の安全を優先して、エレニアの周りに防御の護符を展開させるのだった。そして、余裕があるうちは、と他の仲間にも同じ護符が配られる。
蛇竜が女吸血鬼に噛みつこうとする反対側から、忍び足でテオドアは近づいていた。呪詛を穢刃に込めて力の限り振り被る。その瞳は既に赤く輝き、自身もヴァンパイアとなり強化されていることを示していた。
「命を弄ぶ奴には容赦はしない。薔薇園ごと消えてもらうぞっ」
蛇竜の牙もテオドアの刃も、長い爪と噛み合わされギチギチと鈍い音が響く。一度目が駄目なら二度、何度でも。テオドアが手を緩めることはない。研究施設を破壊していた時と同様の形相で、剣を振るごとに激しい想いが乗せられていく。研究施設そのものを嫌う彼にとって、それを作った女吸血鬼への嫌悪は並々ならぬものなのだろう。両側からの止めどない連撃で何度も火花を散らせば、次第に女吸血鬼の肌まで刃が届くようになる。まだ浅いが確実に傷は増やされていた。
一度距離を置いていたエンティは、女吸血鬼の注意が目の前の敵、他の猟兵に集中しているこのタイミングを狙っていた。彼女の厄介な能力を封じようと様々な枷を投げつける。しかし、女吸血鬼はこれだけ多くの猟兵を相手取っても、未だ致命傷を負っていない強敵だ。この不意打ちにも、視界に捉えた三つの枷に向かって、自分に喰らいつく蛇竜を投げつけて、相殺させることで対応する。女吸血鬼に気付かれたエンティは、まずいっ……とすぐに目を逸らした。彼女の魔眼の魅了を受けて籠絡されれば、折角の数の利が減らされてしまう。
(……?魅了、されない……?)
発動条件が視認であれば、視線を逸らしても魅了を受ける可能性もあったというのに。一瞬疑問が過ったが、ここは戦場。状況は刻一刻と変化していく。ここで、第一弾の蝙蝠が全て堕とされたようだ。体勢を立て直す為に一旦引こうと、女吸血鬼は体を陽炎のように揺らめかせる。
彼女が姿を変えるその瞬間、身を隠しながらずっと機会を窺っていた恭介は、霧と化せば必ず逃げられるという満身による隙を、確かに捉えた。元々実体化する時を狙うつもりであったが、この好機を逃すわけにはいかない。共鳴により細胞を活性化させて、最大速度で敵の懐に潜り込み、変化する直前の身体に愛刀を突き立てる。
深々と女吸血鬼の脇腹を貫く刃、予想していなかったタイミングの攻撃を受けて顔を苦痛に歪ませるが、そのまま霧状化して刃を擦り抜ける。
「逃がすわけにはいかないよっ」
なんと恭介は、吸血本能のまま霧状の彼女を吸いこんだのだ。しかし、その刹那、恭介の喉元から鋭い爪が咲き、身体を食い破るように女吸血鬼が姿を実体化させた。真っ赤な鮮血の華が散る。
「こちらも大人しく食べられるわけにはいかないの、ごめんなさいね?」
何人かの猟兵の口から思わず悲鳴が上がる。だが、妖精ティエルの対応は迅速だった。瞬時に倒れ込む恭介の元に飛んできて、彼の真上で激しく翅を震わせる。
「だいじょうぶだよ!ボクの翅の粉には傷を癒す力があるんだっ」
ティエルの言葉の通り、降り注がれる粉によって、見る見るうちに恭介の傷が癒えていくではないか。首の傷も塞がり、呻き声を漏らす彼を確認して、仲間たちはほっと胸を撫で下ろす。
「霧を食べて逃走を防ぐなんて、勇気あるね! さぁ、あともうちょっとだよ!」
そう鼓舞するティエルだったが、大怪我を一瞬で治した代償か、本人は疲労のピークのようで、よろよろと恭介の肩へ着地したのだった。
回復が行われる傍らで、女吸血鬼が逃げ出さないように前線を支えていたのは、オリオのメテオリオだ。黒の花嵐が女吸血鬼を包んで一時的に動きを封じている。そのままもうひとつの愛剣、夜薔薇が鍔に咲く散光星雲の剣で貫こうとしたが、花嵐は内から召喚された蝙蝠の大群によって打ち消された。
再び薔薇園の空を覆う蝙蝠へ飛び付いたのは、また別の蝙蝠だった。それは常盤が自分の姿を変化させた吸血蝙蝠の群れだ。敵の蝙蝠の大群を散らして注意を引いてから、女吸血鬼へ突撃する。仕込み杖でエレニアも援護射撃を行うが、主を護ろうとする蝙蝠の大群の数に、常盤の蝙蝠は次第に押されてしまう。攻防の末、次々と落ちていくのは常盤の蝙蝠だ。
「先生!」
悲壮な声を上げて、エレニアは常盤の蝙蝠へ駆け寄った。護符や騎士によって敵の蝙蝠からの攻撃からは護られているが、女吸血鬼が彼女を見下ろせる位置まで近づいてくる。
「貴女もすぐに、一緒に送ってあげるわ」
「……いいえ、それは貴女の方よ」
エレニアの手元にいた常盤蝙蝠が、打ち合わせ通りに一気に飛び立ち、女吸血鬼の肩へ鋭い牙を喰い込ませた。この不意打ちを機に、猟兵たちの怒涛の攻撃が続いていく。
女吸血鬼に喰らいつく蝙蝠と並んで、背後から近づいた珠稀も彼女の首に牙を突き立てた。
「生命力を奪われる気持ちはいかがですか……?」
エナジードレインの吸血をする珠稀を引き剥がすように、女吸血鬼は長い爪を背後に突き立てようとしたが、白い翼を羽ばたかせて珠稀は後方へと飛ぶ。
「私も薔薇を愛します。他者を愛します。しかし、貴女の愛し方は罪深い。せめて愛する者と同じ地で、永遠の眠りを……!」
珠稀が愛を語れば、彼の武器は呼応するように青の花びらへと姿を変えていく。花言葉は、「夢叶う」。愛する者と同じ所へ帰れるように、願いを込めて。美しい青薔薇吐息が女吸血鬼を優しい夢に引き込もうとする。
「さぁ、私の薔薇に愛され永遠の眠りについてください……!」
しかし、その青色は蝙蝠の大群が集まった黒い壁によって阻まれた。それは自分の愛する薔薇ではないと、女吸血鬼の拒絶を示しているようだった。
彼女を護る蝙蝠の壁が青薔薇により次々と壊されていく中、今度はあの愛しい子の花……オリオが煌めかせる黒薔薇が流星群のように落ちていく。
「散りなさい、星屑のように」
その言葉の通り、蝙蝠を闇に散りばめたオリオと共に、エンティのギロチンとテオドアの穢刃が逃げ道を塞ぐ。
「花と散った命と共に貴女ももう一度生まれ変わればいいよ。あの子たちのところへ逝かせてあげる」
そして、ヴェルベットは無防備になった女吸血鬼へアリアの銃口を構えた。指し示された悪に向かって、聖なる光が放たれる。
「この光が死を超えて輪廻に導かんことを……」
光はまるで大輪の白い華を咲かせるように、女吸血鬼の身体の中心を貫いた。
女吸血鬼は風穴の空いた胸を押さえながら、どこかを目指してよろめき歩く。反撃を警戒する猟兵たちだったが、やがて彼女の意図を察して息を飲む。敵に慈悲はいらないという声も上がったが、誰かに首を振られたようだ。
女吸血鬼は例の黒薔薇娘の亡骸の元へ歩いていた。そして最期の力を振り絞ってベンチに辿り着くと、彼女に寄り添うように倒れ込む。
「……せめてこの廃園と、貴女を慕った黒薔薇と共に眠らせて差し上げますわ」
オリオの呟きと共に、流星のような涙が一筋、黒薔薇へと落ちた。
これで主も居なくなった秘密の薔薇園は、全てを失い閉園となった。
後は扉の外で待っているはずの人々を、村へ送り届けるだけだ。
どこからかティエルの傍に近付いてきた黒猫が、礼を告げるようにニャアと鳴いた。
「そう言えば、どうして彼女は魅了を使わなかったんだろうねェ」
「……多分、きっと。彼女は使いたくなかったのよ」
それは彼女の求める愛ではないから。代わりになる愛なんて、ないから――。
とある花屋にて。少女は人の手で育てられた美しい薔薇を一輪、愛おしそうに持ち帰ったそうだ。
【秘密の薔薇園~愛薔薇の作り方~ END】
大成功
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