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その晴れ姿は深海宝玉の如く

#アリスラビリンス #グリモアエフェクト #戦後

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#戦後


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●水着の可能性は無限大だ
 水底に沈んだ巨大な泡。その中に不思議な国が存在していた。
 その一角で、夏のパーティは行われていた。

「はぁーい! じゃあ並んで!」
 ドレス風の華やかな水着を着た少女が手を叩き、アリス達を呼び寄せる。アリス達はぞろぞろと集まり横一列に並ぶ。
「うんうん! 今のデザインもとっても良いけれど、やっぱりこれかな!」
 少女はハートの杖を一振り。するとアリス達の服装が光に包まれ形を変える。なんてことはない。この世界ではよくある魔法だ。
 気付けばアリス達は水着姿に変えられていた。女性であれば、フリフリの多い可愛いものからシンプルなビキニまで。男性であれば、海賊風のデザインからサーファーのような恰好まで。それは様々であった。
「うん、いいわね! あとはもう少し付け足して……っと」
「あぁ、この子のデザイン好き! 私ならこういう風にアレンジしちゃうな!」
 水着の少女達はアリスをまじまじと観察し、そして着せ替え人形のようにアリスの服装を変えていく。
 そう、言わずもがなこの少女達はオウガである。

「そこまで嫌では、ないんだけど……」
 水着姿のアリスがぼそりと呟く。
「ちょっと疲れる……」
 そう、彼ら彼女らはひたすらオウガ達に水着を着させ続けられている。疲れてしまったのだ。
 しかし、だからと言って水着を脱ごうとすると――息ができなくなる。まるで水の中にいるような感覚だ。いや、|水の中にいることを忘れているのだ《・・・・・・・・・・・・・・・・》。
 だからこそ水着を着なければと強く思う。ただひらすらに、水着の着せ替え人形にされ続けるしかないと分かっていても。
「確かにデザインは良いし……食べ飲みできるだけまだマシ、かな?」

●ディルティーノの情報
「おハロー、今の時期は晴れやかな姿が眩しいね!」
 グリモアベースに猟兵を集めたのはディルティーノ・ラヴィヴィス(黄昏の獅子・f38911)。
「突然だけど、アリスラビリンスに『泡の国』があるって知ってるかな?」
 光がほのかに届く水底に、泡に包まれた国があるという。魚達が住む巨大なサンゴ礁、そこに飾られたキラキラの貝殻。泡の外は淡く美しい藍色の世界。今回猟兵達に向かって貰うのは、そういう場所らしい。
「でね、そこではオウガ達がアリスを集めて催し物をしているんだってさ。終わらないパーティに困ってるアリス達を助けてあげるのが、今回の目標だよ」
 オウガのパーティなど危険に決まっている。捕まえられたアリス達を一刻も早く救わねば!
 ……と、普段であれば思うであろうこの事態。しかしディルティーノはにこやかだ。
「侵入するにはね、『水着』が必須なの。……キミ達持ってるでしょ? 今なら!」
 何せオウガの催し物は『水着パーティ』。水着を楽しむパーティである。つまり水着を着ていれば簡単に参加できちゃうって寸法だ!
「そこまで強い力を持つオウガじゃないみたいだから、水着をオウガ達に披露して楽しめればオッケー! 満足すればオウガ達は勝手に解散するはずだよ」
 ご丁寧なことに、会場には料理や飲み物も用意されている。かき氷などでも食べながらオウガ達に水着を見せ付けてやろうではないか。
「あ、でも水着を脱ごうとすると何故か息ができなくなっちゃうよ。気を付けてね!」

 勿論、アリス達を助けることも忘れてはならない。彼らをこの国から逃がすために『ウサギ穴』を見つけなければならない。
 しかしオウガが消え去ればただの幻想的なパーティ会場。水着を脱ぐことはできないが、楽しむことはできるだろう。
「なにせ泡の中だもん、とっても綺麗な場所だろうね! 観光しながら探せばきっと見つかるよ」
 きらきら輝く藍色の世界。きっとそこは何処にもない光景に違いない。不思議なシャボン玉を膨らませれば、その上に乗ってふわふわ浮くこともできるそうだ。喋る魚達が話し相手になってくれるかもしれないし、何かプレゼントしてくれるかもしれない。
 勿論、会場に並んだ夏らしい料理を楽しんでも構わない。過ごし方は自由だ。

「見た目も涼し気な場所だし、任務とはいえ会場も賑やかそう! じゃ、水着の用意ができたら声掛けてねー」
 そう言ってディルティーノは説明を締めくくり、笑顔で猟兵たちに手を振った。


ののん
 お世話になります、ののんです。
 水着を披露するのだイェーガー。

 ●状況
 アリスラビリンスが舞台となります。
 2章で完結します。

 ●戦場について
 水底に沈む泡の国。その中で水着パーティが開催されてます。
 本シナリオは水着必須となります。お気を付けください。
 水着イラストがある方は是非お見せください。(オウガが)感想を言います。

 オウガ達には自分の水着をひたすら自慢してもいいですし、好きなデザインをひたすら語ってもいいでしょう。
 もし水着イラストがない方は、デザインを伝えて頂ければオウガ達が用意してくれます。
 倒しても倒さなくても、満足したら何処か消えてくれます。

 人外の方の水着? 気にするな、水着は雰囲気だ。

 ●2章について
 引き続き会場で過ごしながらウサギ穴を探します。
 泡の中から海を眺めてもいいですし、不思議な泡に乗って幻想的な世界を堪能しても構いません。
 サンゴ礁に住む魚達はお喋りできます。貝殻のアクセサリー屋などもあります。
 サカバン……な古代魚もいるかもしれません。
 料理は会場で用意されたものがありますので、そちらもご自由にどうぞ!

 もしご要望があれば、ディルティーノ・ラヴィヴィス(f38911)を呼んでも構いません。

 ●プレイングについて
 受付はいつでも。『#プレイング受付中』のタグがある間だと採用率は高めです。

 キャラ口調ですとリプレイに反映しやすいです。
 お友達とご一緒する方はIDを含めた名前の記載、または【(グループ名)】をお願い致します。
 同時に投稿して頂けると大変助かります。

 以上、皆様のご参加お待ちしております。
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第1章 集団戦 『『コーディネイター』フェイル』

POW   :    ドレスアップ🌹
合計でレベル㎥までの、実物を模した偽物を作る。造りは荒いが【ドレスやメイク用品など着飾る為のもの】を作った場合のみ極めて精巧になる。
SPD   :    キメポーズ❤️
【ハートのポーズ】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【全身が映る大きな姿見】で囲まれた内部に【猟兵を勝手に着飾らせる愉快な仲間達】を落とし、極大ダメージを与える。
WIZ   :    おねだり🍓
【悪気のない無邪気なお願い】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。

イラスト:misty

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 蒼い世界にきらきらとした白い光が差し込む。
 サンゴで作られた丸テーブルの上には、色鮮やかで冷たいかき氷、果物、そしてケーキ。フレッシュジュースまで用意されている。
 これらはすべて、少女の姿をしたオウガ達が用意したもの。しかし害はなさそうだ。というか実際に害はない。彼女らは水着のデザインを楽しみたいだけだから!
「ふふ、可愛い! もうちょっとリボンが必要かな?」
「うぅん、もっとカッコよくするには何がいいのかしら……?」
 オウガ達は水着の恰好をさせたアリスを眺めてはコーディネートに悩み唸る。長い時間これに付き合わされているアリス達は全員が疲れた顔を見せていた。
 嫌な仕打ちを受けている訳ではないけれど……どちらかと言うと気疲れかもしれない。でも逆らったら何をされるか分からない。
 とりあえず飲み物を飲みながら疲労を誤魔化すアリス達。こっそり混ざった猟兵達に目を向け、交代してくれないかと助けを求めている。

 さぁ、アリス達に変わって水着のお披露目をしよう。洒落た水着を着たオウガ達はニコニコと楽しそうに待っている。
「まぁ、新しい人かしら? いいわね、一緒に遊びましょ!」
リア・アストロロジー
●水中任務対応型リア
水着を手に入れた今年のわたしに隙はありません!
つまり、もう依頼でおぼれて他の猟兵さんに救助されたりすることはない、ということです。(ただし、泳げるとは言ってない)

●あなたに似合う花は
ひまわりの水着を披露しつつ、指定UCでお歌をうたって気を引いて、アリスさんたちにはなるべく休憩してもらいます。

きっと、きれいなモノやお洒落が好きな方たちだったんですよね。
わたしの生まれた世界は、あまりそういうことを考える余裕もなくて……なので、勉強させてもらう気持ちで、たくさんお話しできればうれしいです。

赤い色が好きなら、赤いハイビスカスの髪飾りなんてどうでしょう。
花言葉は「常に新しい美」です。



 ひまわり色に包まれた彼女に恐れるものなどない。リア・アストロロジー(M2-Astrology・f35069)は意気揚々と泡の国へと訪れた。水着さえ着ていれば溺れる心配は無用。となれば今回は勝ち確も同然だろう。

 パーティ会場に歌声が響く。くるくるふわりと髪を揺らしながら歌う少女に、誰もが顔を向ける。幼く澄んだ歌声はオウガもアリスも虜にする。
「アナタ! 可愛い水着を着ているのね」
 和やかな空気となった所で、早速目を付けたオウガがリアの元へと駆け寄る。敵意は感じられない。リアも笑顔を返し、そっと一礼をする。
「自慢の水着なのです。いかがでしょうか?」
「ひまわりで統一しているのね、夏らしくて良いチョイス! そのお花が好きなの?」
「ええ、ひまわりはいつだって太陽を向いているから……でしょうか」
 ひまわりは大きくて背が高い。いつだって空を見上げている。その目立つ姿がまるで、誰かの道しるべになっているように見えて。
「わたしも、誰かの『おかえりなさい』と『ただいま』になれたら素敵だな、って。そんなひまわりに憧れたから選んだ……のかもしれません」
 それは他愛のない挨拶に過ぎないかもしれない。それでも小さな少女にとっては、大きな意味を持つ夢の言葉だ。
 リアの想いを聞いたオウガは、へぇ、と感嘆しながら頷いた。多くを聞いた訳でもないのに、なんだか壮大な話を聞いたように感じられたのだ。
「……今のアナタは、眩しい太陽に等しい存在よ。この海の中でも綺麗に輝いてるわ」
 素敵、と一言で収束するには難しかった。これ以上に似合うものはないと。しかしリアは首を横に振る。
「ううん、わたしはまだ……。わたし、今まできれいなモノやお洒落を考える余裕がなかったのです。よかったら……色々お話、聞いてもいいですか?」
 目を逸らし、9歳の少女らしくふわふわと体を揺らし。お洒落について聞かれるなら本望だと、オウガは喜んで答えた。
「ええ勿論! 何でも聞いて!」

 オウガは楽しそうに語った。好きなこと、好きなデザイン、好きな花。かつて彼女も|オウガと化す《堕ちる》前は、ただただお洒落が好きな少女だったに違いない。楽しそうに話す様子や可愛らしい水着が何よりもの証拠だった。
「赤い色がお好きなのです? そうですね……例えば、赤いハイビスカスの髪飾りなんてどうでしょう。花言葉は『常に新しい美』です」
「ハイビスカス……そんな花言葉だったんだ、素敵! 私にも似合うかしら?」
 リアは彼女と楽しく過ごした。あどけないやり取りに、相手がオウガであることをうっかり忘れてしまいそうだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バロン・ゴウト
アリスさん達、ボクがオウガ達の気を惹くから、今のうちに休んでおくのにゃ。
そう小声で伝えつつ、オウガの前に出てファッションショーのようにポーズをとって、水着の自慢をするのにゃ!

ボクの水着は白にブルーのラインが入ったシンプルな水着なのにゃ。
それに足ヒレと水中メガネ、シュノーケルを合わせれば、シュノーケリングスタイルになるのにゃ!
水着は水遊びを楽しむもの。だったらそのための道具も大切なのにゃ!

絡み、アドリブ大歓迎にゃ。



「アリスさん達、大丈夫かにゃ?」
 疲れた顔を見せているアリス達の元へ現れたのは黒猫。バロン・ゴウト(夢見る子猫剣士・f03085)がそっと声を掛ければ、その姿に自然とアリス達も微笑みを零す。
「ボクがオウガ達の気を惹くから、今のうちに休んでおくのにゃ」
「いいの? 猫さん……大丈夫?」
「任せるにゃ!」
 自信満々に返すバロン。頼れる雰囲気を見せ付けてみせるが、どうやらアリス達は|違う《・・》心配をしているようだ。
「……可愛いと引っ張りだこにされそうだけど、大丈夫かな?」

「オウガさん達! 今度はボクの番だにゃ!」
 そんな声に呼び止められ、オウガ達は振り向く。彼女達の視界に入ったのは、白と青のズボンを穿いた喋る黒猫。
「どうにゃ! これが今年のボクの」
「きゃあかわいいーーっ!! 猫が水着着てるーー!!」
「に゛ゃっ」
 言い切る前に勢いに飲まれた。可愛い子を見つけた時の女子高生の如く、バロンはすぐさまオウガ達に取り囲まれてしまった。
「靴下と手袋とおヒゲの猫ちゃんじゃない! なにこれ可愛い!!」
「ズボンがとっても似合ってるわね! もしワタシだったらこうして……」
「にゃ、ボクぬいぐるみじゃないにゃ。降ろしてにゃ」
「あっ、ごめんね」
 気付けば抱っこされてしまったバロン。普段だったら許されない失態かもしれないが今回は異例。オウガも素直に降ろしてくれた。
「ありがとにゃ。ボクの水着はこれだけで完成じゃないのにゃ」
「どういうこと?」
 オウガ達の気を引くと、バロンが準備をしたのはシュノーケルのセット。一眼レンズと足ヒレを装着すれば、水着の雰囲気はがらりと変わる。
「どうにゃ、シュノーケリングスタイルに早変わりにゃ! 水着は水遊びを楽しむもの。だったらそのための道具も大切なのにゃ!」
 派手なデザインも大事だけど、やりたいことに合わせて水着を考えるのも大事なこと。バロンにそれを教えられたオウガ達は思わず納得してしまったのだった。
「確かにピッタリのデザイン……一理あるわ。何か付け足さなきゃって思ってたけど、遊びのテーマに合ってなきゃダメよね」
「装飾だけじゃなくて小道具にも目を付けるべきってことね……なるほど勉強になったわ! ありがとう猫ちゃん!」
 えっへん、と誇らしげに水着を披露してみせたバロン。オウガ達の注目度を高めることはできたようだ。色々な意味で。
「それはそれとしてこの恰好も可愛い! 泳いでる所が見てみたいわ! ねぇねぇ泳げるの?」
「ふふっ、足がペタンペタンしてる! 可愛いー!」
 ――オウガ達から解放されるのは、まだ暫くかかりそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユレル・ガランドー
【アドリブ歓迎】

水着は今年のものを着ていくか。
この依頼、オウガを満足させればいいんだな?
せっかくのパーティだし、このウクレレでパフォーマンスしてみようか。
ほら、ファッションを引き立たせるには着てる奴の行動も大事だろう?たぶん。
それに俺のお披露目が長くなれば、アリス達もその分休めるだろ。
「皆様方、ここで一曲いかがでしょうか?」



 賑やかなパーティである事には間違いないのだが、やはり一方的に楽しんでいるのはオウガ達だ。アリス達も楽しくない訳ではないようだが、催し物は疲れてまで付き合うものではない。
(「悪気はなくとも所詮はオウガか」)
 しょうがない子達だな、と溜め息を吐く青年、ユレル・ガランドー(嘘つきなお兄ちゃん・f39634)。面倒事でも依頼は依頼。まぁ戦闘がないだけ楽だと思おう。
 とりあえず壁に寄り掛かりながら会場を眺めてみる。ただ観察するだけではない。会場の広さ、参加者の数、年齢層など……。そういったものをざっくりと見てしまうのは職業病と言うべきか。
(「職業病というか……気付いたら身に着いたスキルというか……」)
 ごほん、と喉の調子を整えれば、役者としての顔を作り。いざ『吟遊詩人』の準備ができればオウガ達の元へ足を運ぶ。

「こんにちは皆様方、華やかな衣装ですね」
 ひらひらと上着と三つ編みを揺らしながら参加者達ににそっと声を掛ける。勿論ユレルも水着姿だ。オウガ達はすぐに目を輝かせ彼に興味を持った。
「わぁ、綺麗な人……!」
 彼はすぐさま取り囲まれた。やはりオウガとはいえ女子。|美形《イケメン》には弱い。
「アースカラーがとっても似合ってるの。流石エルフの人って感じ!」
「花冠は勿論、耳元まで綺麗に飾ってるのね、素敵……」
「お褒めのお言葉、ありがとうございます」
 彼が爽やかに微笑めば、それだけでオウガ達は嬉しそうに照れる。もはやただの女子高生である。
「私はしがない吟遊詩人もやっておりまして。折角ですから皆様方、ここで一曲いかがでしょうか?」
「まぁ吟遊詩人! ゆったりしたデザインはそういう事だったのね!」
 あなた達も良ければ、と、先程までオウガ達の相手をしていたアリス達にも目を向けるユレル。何やらパフォーマンスが始まりそうな気配を感じたアリス達は、ホッとしながら近くの席までそっと移動した。
「美しい海の底、そして華やかな水着パーティ。それらを祝してお送りします」
 ウクレレを構え、ポロンと音をいくつか鳴らす。音響は問題なし。彼は静かに演奏を始めた。
 アコースティックな弦の音が会場の空気を穏やかに揺らす。その音に気付いたオウガやアリスが次々と集まる。
 どこか懐かしい夏を感じさせるゆったりとした曲調が、観客達に海風や海水の涼しさを思い出させていた。まるで時間の進みが遅くなったかのように感じるユレルの演奏。それは疲れていたアリスだけでなく、オウガの心も落ち着かせたようだ。
「――ありがとうございました」
 最後の和音が響き、それが静かに消えると、彼は丁寧に頭を下げた。気付けばオウガもアリスも、双方が自然と彼に大きな拍手を送っていた。
(「あぁ、様になったな……俺の演技も」)

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
今年の水着着用

着せ替え人形役は大変だよねぇ…わかる(経験者
気を引いてあげますかぁ

渚のアイドル、つゆりんです!
出演のお代は美味しい甘味でいいよ(ウインク

指定UCで強化したダンスと歌唱で挨拶代わりに楽しく盛り上げる
別に職業アイドルってわけじゃないけど、依頼でよくこういう事はするし
モデルの姉仕込みで目線の動かし方やファンサの仕方は慣れてるから

ご清聴ありがとうございました
見ての通りアイドルとして動きやすさと見栄えの良さ重視の衣装だけど
下はちゃんと海パンなんだよ
それに、遊び心としていたるところに海の生き物要素入れてるんだ
周りを楽しませるにはまず自分から、ってね♪
あ、男ですよ?

※アドリブ歓迎



 あれも着て、これも着て。自分の希望の有無も関係なく。楽しいけれど疲れること。
「着せ替え人形役は大変だよねぇ……」
 その経験者、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)はそう語る。わかる、と。
「もうちょっと早ければ、お願いしてみても良かったかもしれないけど……」
 もう終わっちゃったからなぁ、水着コンテスト。
「ううん、きっと僕のだって見てくれるよね!」
 彼女達のデザインじゃないけれど、楽しんでくれるはず!

 賑わう水着パーティの会場。しかし大半楽しんでいるのはアリスではなくオウガだ。アリスは疲れた顔を見せていたが、ふと何処からか歌声が聴こえたのを感じて振り向く。軽快で楽しげな歌だ。
「まぁ! 誰のパフォーマンス?」
 オウガ達もそれに気付き振り向く。視線の先にいたのは、白い翼と長い髪を揺らしながら踊る天使だ。
「こんにちは! 渚のアイドル、つゆりんです!」
 その姿はまるでアイドル衣装。水兵スタイルの水着を見せ付ける振り付けを観客らの目に焼き付ける。あっという間に|彼女《彼》の周りにはオウガもアリスも、魚達すらも集まった。
「へぇ可愛い子! あれも水着なの?」
「馬鹿ねあなた……立派な海の水着よ」
 楽しそうに眺めるオウガ達の中で、一人達観したオウガが静かに口を開く。
「袖を見なさい。腕が見えるでしょ?」
「ほ、本当だ……あれ透明よ!」
「さらに胸元を見なさい。……違うわ赤いリボンの方よ。あと右腕の飾りね」
「…………っ! なんてこと!? リボンじゃないわ!」
「わぁ、気付いてくれてありがとう!♪」
 モデル直伝のウインクを返す澪。動くのをやめ、他の人達にもじっくり見えるように水着を見せる。
「そう、この水着はね、よく見ると海の生き物要素が取り入れられているんだ。周りを楽しませるにはまず自分から、ってね♪」
 流石歴戦の水着コン参加者。テーマを表現しつつも遊び心も忘れない。夏に力を入れる者の|本気《覇気》はオウガ達にもダイレクトに伝わる。
「そ、そっか……私に足りなかったのは、見る人だけじゃなくて、着る人も楽しめるようにする心だったのね」
 自分ばかりが夢中になって水着をデザインしていた。良かれと思って考えていたとはいえ、着る人の好みもしっかり聞かずに!
「気付かせてくれてありがとう、最高のパフォーマンスだったわ」
「こちらこそご清聴ありがとうございました! 出演のお代は美味しい甘味でいいよ」
 澪のお披露目はオウガ達に大切なことを思い出させ、アリス達に癒しを与えた。最後に手を大きく広げれば、観客らは大きな拍手を送った。

 その後オウガ達に囲まれ水着について語り合う中、男子と分かり仰天されたのはまた別のお話。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『泡の中の国』

POW   :    遠見の道具で外の景色を観察する。

SPD   :    人が乗れる泡に乗って浮遊による観光を楽しむ。

WIZ   :    子供達と一緒にシャボン玉を作って遊ぶ。

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『ありがとう、とーっても楽しかった! だから今日はお開き!』
 オウガの少女達は水着に大満足すると、いつの間にやら何処かへ消え去っていた。泡沫の夢だったかのように、泡の国のパーティ会場に残されていたのは水着姿のアリスと猟兵だけだった。
 少しほっとした表情で礼を伝えるアリス達。しかしやるべき事はまだ残っている。『ウサギ穴探し』だ。だけどノーヒントで探すのは大変そう。

 アリス達に怪我はなさそうだし、パーティ会場には料理も残っている。オウガがいなくなった事で住民である|魚《ゆかいな仲間》達も会場に入ってきた。
 折角訪れた海の底の世界。どうせなら観光してもいいだろう。その一環でウサギ穴も見つかるかもしれない。

 あれだけ賑やかだった会場を一歩出てみれば、ふと静かで穏やかな時間が流れる場所である事を思い出す。
 泡の中に広がる幻想世界と、それを包む外界の藍色が、猟兵達の視界を埋め尽くす。
栗花落・澪
※アドリブお任せ

折角だし、ディルティーノさんとご一緒したいな

美味しいご飯も気になるけど
お魚さん達とのお話も楽しそうだし
シャボン玉に乗って海底探索

アクセサリーショップもあるんだっけ
ディルティーノさん、良かったら選んでよ
僕に似合うやつ
ピアスは…穴開けるのが怖くて使えないけど
それ以外ならなんでも好きだよ

代わりに僕からは貝殻のアンクレットを
普段着にはあんまり意味無いかな?
でも夏場には結構映えると思うから
ディルティーノさんなら似合いそうだし

あとは、さり気なくお魚さん達にウサギ穴について聞き込み
怪しい場所、見かけなかった?
教えてくれたらお礼に、うーん…
歌かフルートで良かったら、聞いてく?



 ぷくぷく泡を吐きながらアリスや猟兵達を観察する魚達。人間を見るのは初めてではないが、ここまで人間が多いのは珍しいようだ。
「お話できるかな、こんにちは!」
「コンニチハ!」
 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が声を掛けてみると、黄色の魚が返事をした。
「喋った……えっと、お魚さん達の住んでる場所とか、お店のある場所とかってあるのかな?」
「アルヨ!」
「サッキニンゲンキタヨ!」
「人間? 案内してもらってもいい?」
「コレノッテケ!」
 集まってきた魚達は大きなシャボン玉を運んできた。誘われるがまま上に座ってみると、ぽよん、と柔らかくも弾力のある感覚に包まれる。割れないシャボン玉は澪を乗せ、魚達と共にふわふわと地上を離れていった。

 やがて見えてきたのはカラフルなサンゴ礁の町。森のように巨大で立派なサンゴ礁だ。確かにそこには見覚えのある人間の後ろ姿が見えた。
「……ディルティーノさんかな?」
 シャボン玉から降りると、相手も気付いて振り向いた。人違いではなかったようだ。
「あ、お疲れ様! 下見してたのバレちゃった」
 どうやらタイミングを見計らって訪れていたらしい。|彼《彼女》がいたのはアクセサリー屋。魚用のものから人間用のものまで揃っているとのこと。
「へぇ、僕もちょっと見させてもらおっと」
 気になってたんだ、と澪も店内を覗いてみる。色鮮やかな貝殻や真珠など、海らしいものを使用した装飾品が並べられている。他の世界で見るものよりも手作りらしい可愛らしさを感じる。
「ディルティーノさん、良かったら選んでよ。僕に似合うやつあるかな?」
「ん、そうだなぁ。丁度さっき良さそうなもの見つけたんだよね」
 おいで、と手招きされるがまま向かってみると、そこには小さなサンゴや貝殻が飾り付けられたアクセサリーがあった。しかしネックレスにしては長すぎるように見える。
「これね、髪飾りなんだって。キミ髪長い方でしょ? こうやって絡めるように付ければ……ほら、きらきら綺麗だよ」
 琥珀色の海を、赤と白のサンゴがきらきらと彩る。くるりと澪が回ってみれば、髪の中で飾りがしゃらりと揺れて。
「わぁ、こういうのもあるんだ……!」
 きっと翼に飾っても似合うだろう。リボンと一緒に付けてもいいかもしれない。色々アレンジできそう! と澪も笑顔を見せる。
「じゃあ僕も選ぶね! ええっと……あ、これいいかも?」
 少しはしゃぎながら店内を見回り、澪が手にしたのは貝殻のアンクレット。派手すぎずシンプルで、でもそのワンポイントに大人っぽさを感じたか。
「夏場には結構映えると思うけど、どうかな?」
「わぁ流石、お洒落なもの選ぶんだねぇ。これでもっとカッコよくなれるかな?」
 互いに似合いそうなものを選びっこ。店主であるクマノミも微笑ましそうに揺れていた。

 店主や人間を見に来ていた魚達にウサギ穴について尋ねてみれば、それらしい場所は知っているらしい。そのお礼として澪はフルートを手に取る。
「綺麗な場所だから、演奏したら気持ちいいかなって」
「イイゾネーチャン!」
「へへ、僕も是非聴きたいね」
 魚達とディルティーノに見守られ、澪の奏でる音色は泡と共に国中に広がった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユレル・ガランドー
【アドリブ歓迎】

ふぅ、やっとお開きだな。ああ、でもウサギ穴を見つけるまでが依頼か。
だが……せっかく海の中の国に来たんだ、探すついでに観光してみようか。
ここは素晴らしい景色の国だな。……俺1人で味わうのがもったいないぐらいに。
ん、アクセサリー屋?貝殻のアクセサリーを売っているのか。
せっかくだし、何か買ってみるかね。ついでに、店員にそれとなくウサギ穴について聞くか。(にこやかな表情を作り、店員に話しかけてみる)



 演奏会という一仕事を終えたユレル・ガランドー(嘘つきなお兄ちゃん・f39634)は、アリス達の居ない場所で肩の力を抜く。
「ふぅ、やっとお開きだな」
 慣れた演技とはいえ疲れるものは疲れる。だからこそオンとオフの切り替えは大事なのだ。何処でそんな事を覚えたのかは覚えていないが。
「ウサギ穴を見つけるまでが依頼だが……探すついでに観光でもしてみようか」
 折角のアリスラビリンスらしい不思議な国だ。アリス達にも余裕はあるのだから、少しくらいは問題ないだろう。海に包まれた巨大な泡の中の国を、ユレルは歩き出した。

 魚達の住むサンゴ礁の町。色鮮やかなその場所はまさに幻想的。
 普通では決して見られない光景。こういった体験ができるのも、様々な世界を渡り歩ける猟兵の特権とも言えるだろう。
「素晴らしい景色の国だな……俺一人で味わうのがもったいないぐらいに」
 それは友人やアリス達の事を指した言葉でもあり、そうでもない言葉でもあった。
 隣にもう一人。そこにいたかもしれない人物が一緒に居れば。……絵本のようだと喜んで賑やかだっただろうに。
 だから、せめて|彼女《・・》の分まで目に焼き付けておこう。時が来たら、この思い出を歌にして聴かせてあげよう。

「ニーチャン! ナンカコウテクレヤ」
 ユレルに声を掛けたのは青色の魚。どうやら露店を開いているようだ。
「ん、貝殻のアクセサリー屋? これは……あなたが作ったものですか?」
「ソウダヨ! テヅクリ! ハンドメイド!」
(「どうやって……?」)
 吟遊詩人のにこやかな笑顔を見せながら近付き商品を眺めてみる。製作過程の謎はともかく、模様の美しい貝殻で作られたネックレスやピアスなど、丁寧に作られたものがテーブルに並べられていた。なるほど、どれも目を惹くものばかりだ。
「とても素敵ですね。折角ですから何か……おや、これは?」
「コレハ|ミミカザリ《耳飾り》! サユウガペアノカイガラ!」
 真珠と貝殻で飾られた耳飾りらしいが、どうやら左右の貝殻を重ねるとぴったり合わさるらしい。一つの貝殻から作ったのだろう。
「ヒトリデツケテモイイ! フタリデワケテモイイヨ!」
「二人で、ね……気に入りました、お土産に丁度良さそうですね。こちらをいただけますか?」
 ユレルの言葉に嘘はない。ぷくぷく泡を吐きながら魚も喜んだ。
「オカイアゲアリガト! マイド!」
 貝殻の耳飾りを手に取り、空からうっすら差す白い光にかざしてみる。貝殻はきらきらと輝き、涼しげに揺れた。

「……あぁそうでした。私、この国のウサギ穴を探していたのです。何か知っておりませんか?」
 うっかり忘れる所でした、とユレルは魚に顔を向ける。魚はヒレを動かしながら答える。
「ドコダッケナ、キョウダイヨブ!」
 魚は何処かへ合図を送ると、数十匹もの魚の|群れ《兄弟》を呼び寄せた。彼らはウサギ穴の場所へと元気に案内してくれたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バロン・ゴウト
戦うことなくオウガ達がいなくなったのは良いけど、ウサギ穴を探さなきゃなのにゃ。
けど折角だから色々見て回りたいにゃ。

【コミュ力】を発揮してお魚のゆかいな仲間に話しかけるのにゃ。
こんにちは、ボクはバロンなのにゃ。
この国は珍しくてとっても綺麗な所なのにゃ。
どこか見どころの場所を知っていたら教えていただけませんかにゃ?

見どころを聞いたら、折角なのでシュノーケルと足ヒレを使って泳いで見に行くのにゃ。
うわぁ、貝殻がキラキラしてきれいな所なのにゃ!
こんなに大きなサンゴ礁も初めて見たのにゃ。
あちこち名所を観光しながら、ウサギ穴を捜索するのにゃ。

絡み、アドリブ大歓迎にゃ。



 海に囲まれた巨大な泡。その中に広がる不思議な国。泳ぐ魚。泳ぐ黒猫。
「こんにちは、ボクはバロンなのにゃ」
 バロン・ゴウト(夢見る子猫剣士・f03085)が魚に話し掛けてみるが、泳ぐ猫の姿に魚達は驚いている。
「ナンダ コレハ!?」
「ネコガサカナニシンカシテル!」
「進化じゃないにゃ、これは足ヒレを付けてるだけにゃ」
 どよめく魚達に説明してみるものの、彼らにとっては難しかったようだ。仕方がないので本題へ戻す。
「この国はとっても綺麗な所なのにゃ。どこか見どころの場所を知っていたら教えていただけませんかにゃ?」
 観光しているうちにウサギ穴も見つかるだろう。そう考え聞いてみると、魚達はぷくぷくと泡を吐きながら素直に喜んでくれた。
「イイヨ! オイデ! ネコニンギョ!」
「猫人魚……」
 魚達はすいすい泳いでいき、その後ろをパタパタと足ヒレを動かし追っていくバロン。アリスラビリンスらしい、なんとも不思議な光景であった。

 蒼い世界を泳いでいると、やがて見えてきたのはサンゴ礁の町。色鮮やかな巨大サンゴ礁。魚達はその下で暮らしているのだという。
「わぁ、綺麗な所に住んでるんだにゃあ……」
 遠くから暫く眺められるほどには美しい光景だった。写真に撮ってもよかったかもしれない、と思いながらぼんやりしていると。
「ウラヤマシイカ! イイダロ!」
「モットイイモノアルヨ!」
 自慢げにしつつ魚達が急かしてきた。待たせては悪いと、バロンは慌てて魚達の元へと泳ぐ。近付くにつれてサンゴ礁の姿は徐々に大きく、そして町の様子がはっきりと見えてくるようになった。サンゴの隙間やイソギンチャクの中が住処やお店になっている事が分かる。
「コッチダヨ!」
「にゃ? どこまで行くのにゃ?」
 観光には十分な場所だと思ったが、魚達が見せたいのはここではないらしい。彼らに導かれるがまま、バロンも頑張ってパタパタと足を動かす。一体何処まで連れていくのだろう?

 少し進んで道を曲がった瞬間、とうとう魚達の目的を理解した。きらきらと光る天井。しゃらしゃらと鳴る涼しげな音。
「うわぁ……すごいのにゃ……」
 アーチ状になったサンゴ礁の下では、真珠や貝殻の飾りがたくさん飾られていた。静かに揺れるその様子は、風鈴やサンキャッチャーを彷彿とさせる。
 思わずバロンは言葉を失い、まんまるに開いた目の中に美しい光景を焼き付けた。驚いている彼の反応に、魚達も満足そうにぐるぐる回る。
「ドウダ! カクレスポット!」
「とっても素敵なのにゃ。案内してくれてありがとうなのにゃ!」
 海の中の思い出が一つ増えた。この|恰好《水着》を選んだのは正解だったなと、後のバロンは強く思った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リア・アストロロジー
ウサギ穴の先がどんな世界かわかりませんし、
一旦安全が確保された場所でゆっくりしていくのも良いのかもですね。
ここは涼しいし、きれいだし……
折角なので探索のついでに海の中の景色を楽しんでいきましょう。

●探索
探査用ドローン『カスパール』を指定UCで軽量化して、
泡と一緒にぷかぷかと漂わせる感じで地形情報を集めていきます。
わずかでも空気(水?)の流れがあれば、何か見つかるかもしれません。

わたし自身はおさかなさんたちの世間話(?)も聞きながら、候補になりそうな場所を絞っていきますね。
……フグさんでしょうか? 変わったお顔をしたおさかなさんもいますね。カメさんとか、長生きそうな方がいたら何か知ってたりしないかな?

●他
ディルティーノさんももし良ければお呼びして。
素敵な場所の依頼を紹介してくださってありがとうございます、と。
せっかくの場所だし、ここは涼しいし、きれいなので!(二度目)

あとは出来ればウサギ穴の先も安全確認していきたいですが…
どちらにしても、アリスさんたちの不思議な国を巡る旅の無事を祈ります。



 この世界も気になるけれど、ウサギ穴のその先の世界も気になる。
 何かいいものはないかとリア・アストロロジー(M2-Astrology・f35069)がきょろきょろと辺りを見渡していると、ぷかぷかと空中を漂う巨大なシャボン玉を見つけた。
「わぁ、あれが噂の『乗れるシャボン玉』です?」
 一体何処へ向かっているのだろう。ふと気になったと同時に、あのシャボン玉と一緒に居れば世界の様子が分かるかもしれないと思い付き。
「カスパール、いってらっしゃいませ!」
 ユーベルコードで軽量化された探査用ドローンを飛ばすと、ドローンはシャボン玉と一緒に散歩へ出かけていった。
「カスパールも送り出したことですし、わたしは……町に向かっておさかなさんたちとお話しようかな」
 遠くに見える、きらきらとした巨大なサンゴ礁。あそこにきっと、おさかなさんたちがたくさんいるに違いない。わくわくした気持ちを感じながら、リアはサンゴ礁へと向かって行った。

 『世界の外』から降り注ぐ天の光が美しいサンゴ礁の町並み。喋る魚たちが泳ぎ回る様子はやはり不思議で面白い。と、楽しんでいると、町の一角で魚に囲まれている人影を見かけた。
「ディルティーノさんだ」
 先にこの場を訪れていたディルティーノを発見。相手もすぐに気付けば手を振り返し。
「お疲れ様! どうだった?」
「救出が終わってウサギ穴の捜索中です!」
「へへーそっか。オウガの相手してくれてありがと!」
 へらりとしたそんな態度を見せるのも、極めて危険度が低いものだと分かっていたからだ。リアも笑顔を返して礼を伝える。
「こちらこそ、素敵な場所の依頼を紹介してくださってありがとうございます。……ところでそのおさかなさんたちは?」
「『地上から来た』って言ったらモテモテになっちゃった」
 どうやら魚たちは地上の話に興味津々の様子。あっという間にリアも取り囲まれてしまった。
「チジョウッテ ドウヤッテ オヨグノ?」
「チジョウニモ オサカナイルノ?」
「オイシイモノ オシエテ!」
「わぁ、じ、順番にお願いします……!」
 口をパクパク。あちこちから魚の声が聞こえる。急に慌ただしくなり困ってしまったリア。するとそこへ――。

「こら。こまらせたら だめですよ」
「ワ! チョウロウダ!」
 立派な甲羅の亀と、灰色の魚が泳いできた。他の魚と比べ話し方が少し異なる。魚たちはすぐに道を開け、ぴたりとお喋りをやめた。
「すみません。にんげんがおおいので、はしゃいでしまったようです」
「いえ、お気遣いありがとうございます! カメさん……と、フグさん?」
「フグではなく、ちょうろうのサカバンさんです」
(「あれ、こっちが長老さん……?」)
 のんきな顔をした魚の方が|長老《古代魚》らしい。しかし亀もご長寿の様子。
「それなら色々知ってるかも……。あの、ひとつお聞きしたいことがあるのですが」
「いいですよ なんでしょうか」
「この世界のウサギ穴を探しているのです。何かご存じありますか?」
「ウサギあなですか。われわれがあまりいかないばしょに あったはずです」
「ピス……」
「ちょうろうが、『くうきのでるばしょ』がそうだと おっしゃってます」
「空気の出る場所?」
 なんだか引っ掛かるワード。首を傾げて少し考え……。
「……空気、もしかして?」
 ピコーンと思い付いたリアは、すぐにドローンに連絡を送る。
「もしもし、カスパール。シャボン玉が何処から流れてくるのか探してくださいな」
 これできっと見つかるはず! 通信を切り、安堵の表情でリアは長老たちにお辞儀をした。
「ありがとうございます、これでアリスさんたちを送れそうです!」
「それはよかったです。たいようのにんげんさん」
「たいよう?」
 きょろ、と自分の姿を見回す。
「ええと、ひまわりの事ですか?」
「ひまわり、とはなんですか」
「こういうお花の事ですよ。天に向かって、大きく咲くのです」
「ああ、これが『おはな』なのですね」
 どうやら花というものをあまり知らないらしい。そっか、とディルティーノも気付く。
「海藻とかイソギンチャクはあるけど、言われてみればないね」
 確かに花らしいものは見当たらない。きっとそれは、海の中だからなのかもしれない。

「ディルティーノさん……海の中って、お花は育つのでしょうか?」
「どうだろ? 海水の中だもんねぇ」
 でもここは不思議の世界。常識など通用しない、海の世界。
 リアは手に握っていたひまわりと小さな袋を魚たちに見せると、にこりと笑ってみせた。
「お礼になるか分かりませんが……ひまわりと、その種をプレゼントしますね」
「ひまわりのたまごですか?」
「そうですね。土に埋めて育てたら、たくさん咲いて綺麗になると思うのです!」
 青色に広がる黄色の花。もし咲いたらとっても綺麗で、もっと素敵な場所になるに違いない。
「それはすてきですね。ありがとうございます」
「ピス……」
「ちょうろうもたいへんよろこんでおります。だいじにそだてますね」
 他の魚たちも見知らぬものに興味津々。手先の器用なイカやタコたちを呼ぶと、彼らは早速何処かへと向かってしまった。
「また来なきゃだね、ひまわりが咲いたらさ」
「はい、わたしも楽しみです!」
 まだ見ぬ光景に夢を馳せながら、ディルティーノとリアも嬉しそうに笑い合った。

 ドローンが信号を送ってきた。どうやらシャボン玉の吹き出し口がウサギ穴だったようだ。その先は出口までしか確認できなかったが、とりあえず安全ではあるらしい。
 巨大な泡の中に広がる世界を隅々まで観光した猟兵とアリスたち。最後はアリスたちをウサギ穴へと案内し、彼らの旅路の無事を祈りながら見送った。
 猟兵たちもまた、不思議な世界に別れを告げ帰還する。今度はどんな水着を着て訪れようかな、と。ぼんやり考えながら魚たちに手を振った。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年08月26日


挿絵イラスト