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彩りの夏を破壊する侵略者

#獣人戦線 #ヨーロッパ戦線 #ゾルダートグラード #夏祭り #戦闘

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 ●獣人戦線、とある村にて
 瑞々しい木々に、色とりどりの果物が実る村。
『夏の果実祭』を前に、住人の獣人達は忙しそうに動き回っていた。家々は美しく飾り付けられ、祭りの中心地となる広場には、屋台が所狭しと並ぶ。
 飾り切りの職人は商売道具であるナイフを研ぎ、子供たちは試作品のジュースを味見して、嬉しそうに笑う。

 翌日、ついに村人たちが待ちに待った夏の果実祭が開幕する。
 屋台では新鮮な果物を使ったフルーツサラダやパイ、ジャム、ジュースが並ぶ。美しい花を模した飾り切りが展示され、その横の机で観光客が熱心な表情で飾り切りに挑戦している。
 村人たちは、色とりどりの花の首飾りを身につけ、屋台で食べ物を買ったり、踊りや歌を楽しんでいた。

 青空の下、色とりどりに飾られた広場には甘い匂いが漂い、他の村からやってきた獣人達も笑顔で過ごしている。
 夜には大花火大会が行われ、盛大に夜を彩るだろう。

 しかしそんな平穏な光景は、突如として現れた侵略者たちによって打ち砕かれる。
 家を壊され、踏みにじられ、祭りを楽しんでいた人々は、怯えて逃げ惑う。オレンジ色に染まる空の中、火の手が上がり、獣人たちの悲鳴が響き渡った。

 ●グリモアベースにて
「猟兵の皆様よ。あなた方の力をお貸しください!」
 クエーサー・スペクタキュラー(輝きを語る劇作家・f41061)は、グリモアベースの猟兵達に向け語り始めた。

「獣人戦線のある村では、近く夏の果実祭が開かれる予定となっています。しかしわたくしの予知によると……この村は祭りの中、侵略者たちによって破壊されるのです!」
 彼は今回の事件を解決するために、猟兵へと助力を求めているのだ。

「美しい村の景色が灰色の煙と炎に覆われ、踏み荒らされし家々、火の手に揺れる! 獰猛な侵略者の蛮行が、祭りの喜びを奪い去る。どうか、この悲劇に立ち向かうために、あなたの力を貸してください」
 クエーサーは地図を広げ、村の位置を指で示しつつ、説明を続ける。どうやら、祭りは村の中心地にある広場で開かれるようだ。

「作戦についてですが、先程熟練の猟兵の方に、敵はゾルダートグラードの可能性が高いと教えていただきました。ゾルダートグラードは事前に視察を行い、日中に祭りで賑わうこの村の地形や状況を把握し、夕方から夜にかけて襲撃を行うという作戦を取る可能性が高いそうです」
 身振り手振りを交えながら、クエーサーは真剣な眼差しで訴えかける。

「そのため、皆様方には祭りに参加しつつ、敵襲を警戒する態勢を取っていただきたいのです。怪しい動きを見せるものを捜索し、敵の襲撃に備えるのです。
 それから、皆様がこの村の祭を楽しんでいただくことも重要な任務です。獣人戦線という戦争の続く世界。その中で開かれる村の祭りを皆様方が楽しんでくださることも、村人達の大切な思い出となるのです!」

「どうか、皆様。わたくしに力をお貸しください。この美しい村を、獣人たちの心温まるお祭りを守るために!」
 そう告げるとクエーサーは深々とお辞儀をした。


いまそかり
 はじめまして、マスターのいまそかりです。
 獣人戦線のとある果物が名産の村を救うシナリオです!

 第一章は夏祭り。『夏の果実祭』に参加して楽しんだり、敵襲を警戒したり、あるいは人手が足りなさそうな屋台を手伝ったり……自由に過ごして頂ければと思います!
 第二章、第三章は侵略者であるゾルダートグラードとの戦闘となります。どちらも火を使った攻撃を得意としています。

 ぜひぜひよろしくお願いいたします!
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第1章 日常 『腹が減っては戦さはできぬ』

POW   :    台所はコックの戦場!  調理する!

SPD   :    客を待たせぬ素早い配膳!

WIZ   :    栄養計算は任せろー!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 夏空の下。色とりどりの果物が実る村。鮮やかな花々で村は飾られ、子供達は果物を頬張りながら走り回り、大人達は果実酒を片手に談笑している。
 夏の果実祭の始まりだ。
 村の中心の大きな広場へ続く道には、屋台が所狭しと並んでいる。屋台に並べられた果物はどれも瑞々しい。広場では音楽が流れ、芸術的に飾り切りされた果物が展示されている。
琳・玲芳
アドリブ連携◎

夏の果実祭!素晴らしい響きです!
こうして屋台を巡るだけでもワクワクしますね〜。
むむ、こちらの屋台は桃がメインなのですね!桃、大好きです!
種類が豊富で悩みますが……ピーチパイとピーチジュースをいただきます!
もぐもぐ……甘くてみずみずしくて美味しいです!! もぐもぐ……。
十分に腹ごなしをして襲撃に備えます! というわけでピーチパフェもください!!



祭りの喧騒の中、甘い香りの漂う屋台が立ち並ぶ通り。
緑色のリボンで栗色の髪を結ぶ少女、琳・玲芳は元気いっぱいの笑顔で屋台巡りを楽しんでいた。
少女は目を輝かせて、屋台に並ぶオレンジの果物に真っ赤なリンゴ、そして祭りを楽しむ人々を眺めている。

「わあ!」
そんな中、彼女の目に留まったのは桃の飾りが目を惹く、可愛らしい屋台だ。
どうやら、桃をふんだんに使ったデザートが売られているようで、甘い香りが漂う。

「こんにちは、美味しそうな桃のデザートが売っていますね!」
屋台に並んでいる品々を眺めて、目を輝かせながら少女は声をかける。屋台をやっている獣人のおじさんは、笑顔で答えた。
「おっ、嬢ちゃん、桃が好きなのかい?」
「はい。桃、大好きです!」
「そうかい! それなら、ここの桃のデザートは絶品だぜ。食べてみてくれ!」
「わあっ、美味しそうです!」

少女は嬉しそうに笑いながらメニューを眺めた。
ピーチパフェやピーチジュースなどを扱っているようだ。
「種類が豊富で悩みますが……ピーチパイとピーチジュースをいただきます!」
「よし、じゃあ、ちょっと待ってな」
屋台のおじさんはそう言うと、手慣れた様子でピーチパイとピーチジュースを用意する。
「どうぞ、お嬢ちゃん」
「ありがとうございます!」
屋台のおじさんは、にっこりと笑って少女に差し出した。
少女は嬉しそうに笑いながらそれを受け取り、代金を払うと、近くのベンチに腰掛ける。

「いただきます!」
早速ピーチパイを口に運ぶと、その甘さに頬が緩んだ。
ピーチパイはサクサクとしたパイ生地に、ピーチの果実がぎっしりと詰まっている。
甘酸っぱい桃の果肉と、とろけるようなクリームが絶妙だ。
ピーチジュースは、果物をそのまま食べているようなみずみずしく、甘酸っぱい風味だ。

「んー!美味しい!」
少女は幸せそうに笑い、ピーチパイとピーチジュースを堪能する。
少女の姿は可愛らしく、そして幸せそうで、釣られてピーチパイやピーチジュースを注文する獣人もちらほらと現れる。
デザートを堪能した少女はベンチから立ち上がると、再び同じ屋台の前まで戻る。

「ごちそうさまでした。次は、ピーチパフェをください!!」
「おう、嬢ちゃん、良い食べっぷりだな!」
「はい、ピーチパイとピーチジュースがとっても美味しかったので!」
「嬉しいこと言ってくれるな! じゃあ、ちょっと待ってな」
屋台のおじさんはそう言いながら、手際よく準備を始める。
桃で出来たアイスやシロップをパフェグラスに盛り付けていく。そしてその上に、桃の果肉をたっぷりと乗せて完成だ。
「はいよ、ピーチパフェお待ち!」
屋台のおじさんは笑顔でそう言うと、少女へ差し出した。
少女は嬉しそうに笑いながら、それを受け取る。
「ありがとうございます!」

そうして、また幸せそうにピーチパフェを楽しむ。
食べ終わった後、琳・玲芳は満足げな笑顔で屋台のおじさんにお礼を言った。
「ごちそうさまでした! とっても美味しかったです!」
「おう、良かったよ。それと、これも持っていきな」
屋台のおじさんはそう言いながら、網の中に乾燥された葉が入った袋を少女に手渡した。
「えっ、いいんですか!? これって、桃の葉っぱですよね?」
「ああそうだ、よくわかったな。本当に桃が大好きなんだな。そんなお嬢ちゃんなら知ってるかもしれないが、桃の葉風呂ってのがあってな。これをお風呂に浮かべると、香りがよくて肌がすべすべになるんだよ」
少し驚いた様子で、屋台のおじさんは答える。
「よかったら、持っていきな。あんなに美味しそうに食べてもらったんだ、サービスだよ」
「ありがとうございます! それじゃあ、遠慮なく頂きますね!」
琳・玲芳は嬉しそうに笑いながらお礼を言うと、ぺこりと頭を下げた。
そして手を振ってその場を後にした。
夏の日差しが照りつける中、少女は次の屋台を探して歩き出したのだった……。

成功 🔵​🔵​🔴​

グウェン・ラクネリア
「地獄からの使者……は、今はお休みなの」
 獣人戦線って前も来た事あるけど、わたい達の世界とちょっと似てるの。
「でも、アラクネ種は居そうで居ないの」
 人馬階梯ってわたいも同じような物で、半身馬とか半身蛇はよく見るけど、半身犬とか半身熊とかはたぶん見た事無くて珍しいの! だから人馬階梯の人とお話してみたいの。
「やっぱり、他の人より食べる量は多かったりするの?」
「わたい、蜘蛛だからチョコレートはちょっと駄目なの」
 やっぱり、似てる部分はあるけど根本的な所で別な世界って感じがするの。



 色とりどりの花で飾られた広場では、鮮やかな果実を並べた屋台が並んでいる。
 そんな中、アラクネの少女グウェン・ラクネリア(スパイダー・ガール・f37922)は、人の上半身と獣の下半身が合体した姿の獣人と出会っていた。
 人馬階梯と呼ばれる姿のオオカミの女の子は、ブドウをモグモグと食べているその姿にグウェンは目を引かれた。

「こんにちはなの! ブドウ美味しいの?」
「うん、すっごくおいしいよ。一緒に食べる?」
 オオカミの少女はそう言って、グウェンにブドウを一粒差し出した。彼女はそれを受け取って口に運ぶと、その美味しさに顔を綻ばせた。
「おいしい、ありがとうなの!」
 グウェンはお礼を言うと、オオカミの少女に自己紹介をした。彼女もまた、自分の事を教えてくれたのだった。
「わたいは、アラクネで蜘蛛なの!」
「へえ、蜘蛛なんだ! 初めて見たかも。ねえ、もっと色々お話ししようよ!」
「うん、そうするの! わたいもいっぱいお話したいの」
 オオカミの少女の言葉にグウェンは笑顔で頷くと、二人で屋台を巡りながらおしゃべりを始めた。

「やっぱり、他の人より食べる量は多かったりするの?」
「うーん、確かに他の階梯の獣人よりは多いかも。まだまだ、食べ足りないしさ」
「じゃあ、一緒に屋台を回っておいしい物探すの!」
 グウェンは元気よく言うと、オオカミの少女と一緒に屋台巡りを始めた。
二人は色んな屋台を見て回りながら、美味しい食べ物をたくさん食べた。

 しかし、祭りの会場の中、屋台の前に人だかりが出来ていた。
「どうしたんだろう……」
「聞いてみるの!」
 二人は人だかりの方に歩いていき、騒ぎの原因を聞く。どうやら、リンゴの屋台が風で倒れてしまったようだ。
 怪我をした人はいないようだが、屋台は無残な姿になっていた。
「これ、直すのは大変そうだね……」
 オオカミの少女は辺りに看板や飾りなどが落ちた屋台を見て呟く。
「ああ。これじゃ屋台を飾り付け直す前に祭りが終わっちまいそうだ」
 店主も困った様子でそう呟いた。

 それを聞いたグウェンは、屋台の前に立つと、真剣な眼差しで店主を見つめた。
「ねえ、わたいに任せて欲しいの!」
「えっ、任せるって……手伝ってくれたら嬉しいが、大丈夫かい?」
「大丈夫なの! わたい、アラクネだから!」
 グウェンはそう言って笑うと、糸を紡ぎ始めた。そして、蜘蛛の糸で看板や飾りを繋ぎ合わせたり、破損してしまった飾りを糸で豪華に飾り直したり、屋台を修繕していく。
「すごい……」
 オオカミの少女はその様子に驚く。屋台の店主もグウェンの手際の良さに感心していた。二人は飾りを拾ったりしてグウェンの手伝いを始める。
 そして、すぐに屋台が修繕された。
「できたの!」
「ありがとう、お嬢ちゃん! 元よりも豪華になって、助かったよ」
「わたいも楽しかったの!」
 少女は屋台の店主にそう答えると、また屋台巡りを始める。

(……うーん。やっぱり、似てる部分はあるけど根本的な所で別な世界って感じがするの)
 夏の果実祭を楽しみながら、少女はこの世界の事について考えを巡らせていたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リリウス・テイケー
アドリブ連携OK

まったく……お祭りを血祭りに、なんてシャレじゃすまないオヤジギャグを実行しようとは。

ひとまず、明るいうちに街の地理を把握しておこう。
というわけで、せっかくのお祭りを楽しみながら、ネリネ(からくり人形)と一緒に街を散策といこうか。

住民の避難場所や逃走経路になりそうな箇所、敵が襲撃で利用しそうな箇所は把握しておきたいね。後で仲間にも共有しておこう。
途中で忙しそうなお店に手を貸して、店員に聞いてみるのもいいかな。
「おや、稼ぎ時はわかるけど、なかなか大変そうな様子だね」
少しの間ではあるが、私の触手に任せたまえ。
「お祭りで来てみたのだけど、有事のための広い場所とかはあるのかい?」



 村には鮮やかな彩りの布が掲げられ、さまざまな色の果実が並びぶ。
 そんな光景を横目に見ながら、暗い色のフードを被った人形が歩いていく。その手には、黒いスライムが抱かれている。
 彼はリリウス・テイケー(自称悪くないスライム・f03261)。彼はオレンジタルトを食べている。
 そして、彼を抱えるのはカラクリ人形である、ネリネであった。

「活気があっていい雰囲気だね。これは楽しめそうだ」
 屋台の並ぶ通りを見て、リリウスは呟く。
 この祭りの光景は、どう見ても平和そのものだ。
 だが、予知はこの村の危機を示している。一見、平和に見えても、ここは戦争の続く世界だから当然かもしれない。しかし、それなら何かしら、外敵の侵攻に対する備えがあるはずで、それを調べておきたいと彼は考えていた。

 そんな中、彼はある屋台に目を留めた。店の前には行列が出来ており、長蛇となっている。

「おや、ずいぶんと繁盛しているね。しかし、これは……なかなか大変そうだ」
 行列の先には、色とりどりの飲み物が入ったカップを持った獣人達が居た。どうやら、ここではジュースを売っているらしい。
「良かったら、手伝おうか? 列の整理でも、荷物運びでも何でもやるよ」
 リリウスは忙しそうにしている店員に話しかける。
「助かるよ! それじゃあ、右奥にある箱を持って来てくれるかい?」
「ああ、任せてくれ」
 店員の指示に従い、リリウスは自身の肉体を触手のように伸ばし、大きな木箱を持ち上げると、そのまま持ってくる。
「えっ!? おお、す、すごいな! 助かる!」
 店員は驚きつつ、礼を言う。そして、次の指示を伝えた。
 リリウスは店員の指示のままに、器用に果物を切り、ジュースを用意していく。

 客が捌けてきたところで、店員がリリウスに話し掛ける。
「ありがとう、助かったよ! お礼に、ささやかだけどジュースを奢らせておくれよ」
「本当かい? それは嬉しい、ぜひいただこうかな」
 お礼として、リリウスは深い赤色のザクロのジュースを選んだ。飲んでみると少しの渋みがありつつも口当たりが良く、爽やかな甘みが広がっていく。
「ふむ……、美味しいね。とても良い味をしているよ」
「そりゃあよかった! 今日は本当にありがとな」
「いやいや、こちらこそ。そうだ、良かったら、君たちの村について教えてくれないかい?」
 リリウスは情報収集のために、店員に話を聞くことにした。

「ああ、何が聞きたいんだ?」
「そうだね……、この村の敵襲時の避難場所とか、逃走経路とか、そういったものは分かるかな?」
「……すまない。それが、敵のスパイを警戒してか、避難場所を家族以外に伝えてはダメっていう事になってるんだ」
 リリウスの言葉に、店員は申し訳なさそうに答える。
「ほう、そうなのか……」
「恩人なのに悪いな」
「いやいや、気にしないでくれたまえ」

(なるほど、情報を外部に漏らさないようにしているのか……)
 リリウスは、ジュースを飲みながら大通りを注意深く歩き、夏の果実祭の祭りの中心部である広場に向かった。
 広場の一角にはテントが張られていた。天幕の色はくすんでいて、年季が感じられる。座っている獣人達も、歳を重ねた老齢が多い。

(……彼らにきちんと説明すれば、情報を得られるかもしれない)
 そう思い、リリウスはテントに近づく。すると老狼がリリウスの姿に気がつき、声をかけてきた。
「おや、旅人さんかね?」
「私は猟兵リリウス・テイケーだよ」
「猟兵の方か! わしはこの村の村長じゃ」
 老狼は猟兵という言葉を聞くと、嬉しそうに目を輝かせ、自己紹介をした。

「村長さんか。祭り、とても楽しませてもらったよ。ところで、少し聞きたいことがあるのだが……」
「構わんよ。なんでも聞いてくれ。外部の怪しい人間には言えんことも多いが、ジューススタンドを手伝ってくれた猟兵様なら大丈夫だろう」
「……知っているのかい?」
 まさか先程の手伝いの話がもう伝わっているとは思わず、リリウスは驚く。
「そりゃあ、もちろん。素晴らしい手際だと話題になってたからな!」
 村長は自慢げに胸を張り、快活に笑う。

「ありがとう。実は、この村の避難場所についてだが……」
「ああ。それがな……、直接説明しよう。ついてきてくだされ」

 そうしてリリウスが連れていかれたのは、集会所として使うという建物だった。
「この裏手に、避難用の地下通路がある。しかし……」
「……これは、何かあったのか?」
 集会所の裏には、大量の瓦や丸太、木屑などの廃材が山積みになっていた。
「いやあ、古くなった集会所を解体しただけさ。ただ、祭りの準備で忙しくてね。片付けに手が回らなかったんだ」
 リリウスが質問すると、村長は頭をかきながら答える。
「なるほど……。教えてもらって助かった、ありがとう」
 そうしてリリウスは彼と別れた。

(これは……とりあえず、他の猟兵に村の情報を共有するか)
 ネリネはリリウスを抱え、再び祭りの喧騒の中へと戻っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

グリルド・グラタニア
グラタニア「いいですわねーお祭り!わたくしも食べる専門で参加―」

…あー、おほん。屋台で大道芸のように【転化食源】を披露していくよ。獣人たちの目の前で【猟理器具】で瓦を切り裂き丸太を細切れにしながら食べ物に変えて、自分で食べて安全だと示した後に彼らへ提供するね。枯れ木も山の賑わいってやつで、ちょっとは彼らの娯楽になるといいと考えているよ。その分他の屋台の負担も少しは減るだろうし。



 グリルド・グラタニア(一人三役の自己完結型グルメ集団・f41012)は手に持った焼きリンゴをかじりながら、広場への道を歩いていた。
(りんごにぶどう、オレンジに……どれも美味しくて、いいお祭りですわね)
 グリルド・グラタニアは楽しそうに微笑み、またひとくち、焼きリンゴを口に含んだ。そして全て食べ終わったところで、少女は気合を入れる。
「よし、ボクも頑張らないと!」

 先程、グリルドは他の猟兵からの情報で『村の集会所の奥に片付いてない廃材が置いてある』ということを聞いた。そして、それを片付ける必要があるということも。
 それなら、自分のユーベルコードを使えば解決できるかもしれない。
 少女は歩き、集会所へと向かった。奥には確かに、積まれたままの木材や瓦などが放置されていた。

「よーし、やるよお!」
 グリルドは手始めに瓦を手にして|転化食源《トランスミュート・フィースト》を発動させ、食パンに変えた。
 そして、その食パンをちぎって、口に含む。ふわふわとした食感に小麦の香りが口いっぱいに広がっていく。何もつけなくても十分に美味しくて、あっという間に全て食べ切ってしまう。

「よし、この調子でどんどん作っちゃおう!!」
 さらに、木の破片をカッテージチーズに変えて、一口食べる。その味に満足していると突然、後ろから声をかけられた。
「おい! お前何食ってんだ!?」
 振り向くとそこには、ネズミの少年がいた。後ろにも何人かいて、皆こちらを見ている。
「あ、キミ達も食べる?」
「いやいや、食べねえよ!?」
 グリルドの言葉に少年は慌てて答える。
「おい、あいつ、木食ってるぞ!」
 そこで他の少年たちも騒ぎ出す。
 どうやら、少年達の方から見ると、廃材を食べているように見えたらしい。彼女はとりあえず誤解を解くために事情を説明することにした。
「違うよ! これ、食べ物なんだ!」
「え?」
「ボクね、こういうものをパンとか、チーズとか、食べれるものに変えられちゃうんだよ! ほら!」
 そう言って、手にしていた木材をクッキーへと変えてみせ、一口かじってみせる。
「え! マジ!?」
「食べる?」
「……食べる!」
 少年は、恐る恐るとクッキーを受け取ると、ぱくりと頬張る。
「うまっ!」
 その言葉を聞いて、他の少年達もグリルドの側へと集まってくる。

「すげぇ! こんなん作れるのかよ!」
「俺にも俺にも!」
 そんな風に少年たちははしゃぎ出す。そんな少年たちに、クッキーを手渡していく。

 そこで、グリルドは少年たちに問いかける。
「ボク、ここにある廃材全部片付けたくて……手伝ってくれるかなぁ?」
「えー? 流石にこれ全部は食べきれねえよー?」
 少年は困ったように言う。しかし、グリルドは笑顔で言う。
「ううん、実は屋台を開きたくて。だから、もしよかったら、だけど……一緒にやらない?」
 夏の果実祭は村の大切なイベントで、村の外からも多くの獣人たちが参加する。そのため、突然の来訪者でも屋台が開けるように、空きの屋台のスペースがあるということを、グラタニアとして食べ歩きをしているときに聞いていたのだ。
「屋台! やるやる!」
「お礼でクッキー、またちょうだい!」
「ありがとう!」

 こうして、まずはグリルドと少年達は、廃材を広場の屋台まで運ぶ事にした。
 廃材を使うことを村長に伝えたところ、廃材を片付けてくれるなら、ということで村人達が協力してくれることになった。重いものや危険なものは先に食材に変える事で、予想よりも早く運び終えることができた。

「じゃあ、早速始めようぜ!」
「うん!」
 ネズミの少年たちは、これから始まる事が待ちきれないとばかりにグリルドをせかす。

 廃材を背後に並べた彼女の姿に、事情を知らぬ獣人達が興味津々で集まる。
「ねえ、あれ何してるの?」
「さあ? 何かパフォーマンスをするみたいだな。」
「面白そうだし見ていこっか!」
 集まった獣人たちは、口々に話している。そんな中、グリルドが声を上げる。
「それでは、皆さん! ボクの愛情たっぷり特製料理、たくさん作るからね!」
 獣人達が見守る中、グリルドは猟理器具を手にする。
 猟理器具の刃が瓦に触れると、まるで舞い踊るように軽やかに瓦が切り裂かれる。そして、その瓦は|転化食源《トランスミュート・フィースト》によって、次々とふかふかの白いパンへと変わっていく。
 グリルドは自らが作り出した食べ物を口に運び、その味を楽しむ。そして満足気に微笑むと、さらに丸太を切り、チーズに変えていく。
「すごい! どうなってるの?」
「おー、いいぞいいぞー!」
 目の前で瓦と丸太が食べ物に変化する様子に、集まっていた観客は歓声をあげる。
「食べたい人は並んでね! この祭りで売ってるジャムやドライフルーツと一緒に食べると美味しいよ!」

 グリルドはそう言いながら、パンにクッキー、チーズにクラッカーなどを次々と作り出し、配っていく。
「パン、ふわっふわだ!」
「このチーズとドライフルーツの組み合わせ、最高!」
 グリルドは、彼らの反応を見て嬉しくなり、ますます料理を作る手も速くなる。

 ネズミの少年達も、グリルドの手伝いをしつつ、たまに休憩して料理を楽しんでいるようだ。
「えへへ……楽しいね」
 グリルドはそう呟きながら、幸せそうに笑みを浮かべた。すると、少年達も笑いながら言う。
「うん!」

 調理を続けていると、あっという間に積み上がっていた廃材はなくなり、辺りは綺麗に片付いた。
「よし、これで終わりだね!」
「やったー!」
「完食だー!」
 少年達は、達成感に満ちた表情で叫ぶ。

 グリルドはお礼に、少年達にクッキーとパンのセットをプレゼントする。
「はい、これお礼。助かったよ、ありがとう!」
「こちらこそ! こんなに楽しくて、うまいもんが食べられて、最高だよ!」
「うん! ありがとうな!」
 少年たちが心から楽しそうに笑っていて、グリルドは胸が温かくなった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『火炎放射兵』

POW   :    ステーキになりやがれ〜!
【火炎放射器】から【燃え盛る炎】を放ち、敵及び周辺地形を爆発炎上させる。寿命を削ると、威力と範囲を増加可能。
SPD   :    10秒後が楽しみだぜ〜!
敵を狙う時間に比例して、攻撃力・命中率・必殺率が上昇する【火炎】を武器に充填し続ける。攻擊すると解除。
WIZ   :    吠え面かかせてやるぜ〜!
【火炎放射器】を使って「どのように攻撃するか」を予想できなかった対象1体に、【火炎放射】の一撃が必ず命中する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 夕暮れの中、夏の果実祭の会場には煌めく灯りがともる。果実祭の賑わいの中、村人たちも観光客も笑顔を浮かべ、楽しい時間を過ごしていた。しかし、猟兵達は予知された敵襲の可能性を忘れることはなかった。
 猟兵達は予知により敵襲を察知していたが、果実祭の中での住民避難については慎重に判断していた。果実祭は住民にとって大切な、一年に一度の特別なイベント。絶えず戦火の中にあるこの世界に置いて、彼らにとって平和で穏やかな時間は貴重だった。
 だが、ついに予知の時間が迫り、猟兵達は住民避難を決行する。

 しかし、炎の脅威が村に忍び寄る中、住民たちは避難用地下通路への避難を躊躇していた。
 その理由は、ゾルダートグラードのやり口にあった。
 ゾルダートグラードは、村や町に避難用シェルターや地下通路、地下施設が配備されていることを前提とし、それに対して火炎放射兵を送り込み、酸欠と焼き討ちによる攻撃を行うという戦略を取ることにしていたのだ。
 そのため、同作戦の取られた村の悲惨な末路を知っていた住民たちは、避難を恐怖し、躊躇していた。

 決死の覚悟を胸に、猟兵達は即座に行動を開始した。急いで村人たちに避難を呼びかける一方で、火炎放射兵の接近を阻止するため、行動を開始する。

 そんな猟兵の存在が祭りの参加者たちの迷いを断ち切り、避難用地下通路へ走ることを決断させる。
 彼らは避難用地下通路に続く入り口に急ぐ。彼らは恐怖心と躊躇いを抱えながらも、猟兵達の存在と覚悟に希望を見出していた。
 
 村人を、祭りの参加者たちが避難する中、猟兵達はゾルダートグラードの進軍を妨げるため、人々を守るために戦いに挑む。
グリルド・グラタニア
グリルド「おおっと、あまり穏やかじゃないお客様の来訪だね。グラちゃん、出番だよー。」
荒事ですのねメインディッシュですのねクァーニバルですのね!!!果物は当然美味でしたがやはり肉!肉が足りなくて物足りなさを感じてましたの!!!
ともあれ、あまり露骨に血生臭い殺戮は村人を怖がらせますので。グリルドの戯れに引き続いて大衆劇として上演してさしあげます。
【飲馬転功】で能力強化、技能は【言いくるめ】【読心術】【火炎耐性】【料理】【悪目立ち】【演技】を獲得しますわ。

―さあさあ皆さまお立会い!このグラタニアが大一番、二度とは見れない大衆劇ですわ。共演(ざいりょう)は紅蓮絡繰る獣人連隊。お代は見てのお帰りですの!



 村の中に隠れていた三名のゾルダートグラードの火炎放射兵は、明らかに一般のこの世界の住民と異なる技や動きを見せる猟兵達を目にして、自分たちの存在を敵勢力に気づかれたことを察し、合流をしたところだった。三名とはいえ、火炎放射器で武装しており、戦闘力としても村人全員を殺害できるほどの強さがあった。

 しかし、グリルド・グラタニア(一人三役の自己完結型グルメ集団・f41012)は屋台で人々を魅了する中、敵の不審な動きを見逃さなかった。

「料理は終わっちゃったけど、大道芸はまだまだ終わらないよ!」
 グリルドは、声を高らかに上げるとユーベルコードを発動させる。|飲馬転功《スティード・ドリンク・トランスミューテーション》によって、戦闘力を飛躍的に向上させ、さらに今まで食べてきたモノ由来の能力を自身に付与した!

 そして、屋台を離れ、木々の間へと鋭く尖った緑の物体を投擲する。
「それっ!」
 グリルドの投げつけた緑の塊は、木々の隙間に吸い込まれるように入っていき、鈍い音を鳴らした。その行動に、屋台の周りに集まっていた人々は、何事かとざわめく。
 次の瞬間。木々の間から火炎放射兵が飛び出し、そのざわめきは驚きの声に変わる。

 「クソッ!なんだ今のは、何の狙撃だ!」
 それにより、一人の獣人は、咄嗟に避けたにもかかわらず左脚に深い裂傷を負った。
「ステーキになりやがれ〜!」
 火炎放射兵は、そのままの勢いでグリルドへと炎を浴びせかける。
 火柱が立ち昇り、陽炎が揺らめいた。紅蓮の炎がグリルドを包み込む!
「姉ちゃん!」
「危ない!」
その光景に、周りの人々は声を上げる。しかし、その心配は杞憂に終わった。

「確かに焼きパイナップルは美味しいですわねえ! ちょうど食べたかったところですの!」
 炎が揺らめき、その中からグラタニアが姿を現す。彼女は手にした即席料理の焼きパイナップルを器用な手つきで、片手でナイフで切り分けると、フォークで突き刺し、口に運んだ。その姿は豪快かつ、上品だ。

 そう、先程グリルドが投げたのはただのパイナップルの葉っぱだ。しかし、飲馬転功によって身体能力が強化された状態での投擲は人並み外れた威力を発揮。それが火炎放射兵を襲ったのだ。
 攻撃を避けれず体に火を直接受けてしまったグラタニアは、当然痛みを感じたが、|飲馬転功《スティード・ドリンク・トランスミューテーション》によって火炎耐性を得ていたため、ダメージは軽微だ。

「さあさあ皆さまお立会い!このグラタニアが大一番、二度とは見れない大衆劇ですわ。|共演《ざいりょう》は紅蓮絡繰る獣人連隊。お代は見てのお帰りですの!」]
 グラタニアは、大仰な口調で高らかに叫ぶと、火炎放射兵に向き直る。

「えっ、あれってゾルダートグラードじゃないか!?」
「いや、劇だ。きっと料理の余興だよ」
 人々は突然現れた火炎放射兵に恐怖を感じるが、先程までと口調の変わった少女、そして焼きパイナップルを食べながら火炎放射兵と戦う姿に、それは芝居だと認識した。
「やっぱりメインディッシュの肉料理は欠かせませんの!  三体分、食べ応えがあってよろしいですわ!」
 なんともうパイナップルを完食したグラタニアは、パイナップルの残骸を放り捨てる。食事マナーとしては褒められたものではないが、なぜかその姿さえ美しく感じる。グラタニアは後でそれもグリルドに調理してもらうつもりだ。
「化物かあ!? だが……火炎放射兵三人分の力を見せてやる!」

 火炎放射兵は、これ以上好き勝手させるかと狙いを定めて炎を発射する。しかし、その攻撃は全て心を読まれているかのように避けられた。
 そう、今のグラタニアには敵の行動も、考えていることも全てが筒抜けだ。
 グラタニアはまるで舞踏を舞うように、身を翻して攻撃をかわしていく。それだけでない。なんと少女はこの劇の観客はもちろん、村の木々や屋台にも被害が出ないように攻撃を誘導さえしていた。
 火炎放射兵は、その鮮やかな動きに驚嘆し、翻弄される。
「すごいぞ!  あんな動きができるなんて!」
「こりゃいい!」
 人々は、グラタニアの華麗な動きに歓声を上げる。そう、これはただの戦闘ではない。グラタニアによる華麗な演舞でもあるのだ!
「いけー!」
「やっちゃえー!」
 グリルドに手を貸していたネズミの少年たちも、グラタニアの活躍に声援を送る。

「っ!この野郎!」
「そんな攻撃、効きませんわ!」
 グラタニアはそう宣言すると、左手に構えたフォークで火炎放射兵に斬りかかる。その攻撃は見事に敵の右腕へと命中。
「く……ッ!」
 仲間の二体の火炎放射兵は、この少女の強さに焦りを覚える。自分たちが優勢だと確信していたが、予想外の展開だった。一人は左脚を、一人は右腕を負傷。しかも、少女はまだまだ余裕がありそうな様子なのだ。

 グラタニアは炎をかわし、肉薄する。そしてフォークを今度は敵の腹部に突き立てた。
「ガハッ!」
 強い衝撃が走り敵が倒れ、それと同時に左右の火炎放射兵は一瞬、怯む。
 その隙を逃すグラタニアではない。彼女は即座に敵の体を足場にして跳躍すると、空中で回転しながら、一撃を敵の頭部へと振り下ろした。左足を負傷しているため、避けることはできない。
「グッ……!」
 確かな手応えとともに、敵から苦悶の声が上がり、そのままどさりと地面に倒れ伏す。

「さあ、最後はアナタですわよ!」
グラタニアは、最後の一体へと向き直る。そして相手の腕を掴み地面へと引き倒す。
「ぐおっ!」
 敵は地面に叩きつけられながらも、残った左腕で炎を放とうとするが、それすらもグラタニアは読み切り、素早く背後に回ると、首筋にフォークを突き立てた。
「ぐ……あ……」
 敵は首に突き刺さったフォークから力が抜けていき、そのまま地面に突っ伏した。

 グラタニアは、ふうと息をつく。
「これで、終わりですわ!」
 グラタニアがそう言った瞬間、歓声が上がった。村人たちは、この劇のフィナーレに感動し、拍手喝采だ。
「姉ちゃんすげえや!」
「こんな劇初めて見たぜ!」
「綺麗だったー!」

「皆様、ご静聴ありがとうございましたわ。では、これにて閉幕でございますの!」
 グラタニアは、観客から拍手喝采を受けながら、微笑むと優雅に一礼をする。

「さて、今から皆様には安全に避難していただくよう、お願いいたしますわ」
「え?」
 グラタニアがそう宣言すると、人々はぽかんとした表情を浮かべる。そんな彼らに構わず彼女は続ける。
「突然のことですが、敵の襲撃が予想されるので、皆様には避難していただかなければなりません」
 人々は驚き、ざわめく。突然の言葉に人々は戸惑うばかりだ。
「ええ、でもご安心を。わたくし達が皆様をお守りいたしますわ。だから安心してくださいまし」
「わ、わかった。とりあえず避難しとくか」
 グラタニアの説得に人々は訓練だろうかなどと考えながらも納得し、避難を始める。

 残された少女は、倒した火炎放射兵へと視線を向ける。
「さあ、グラちゃんが倒した所で……『料理』はボクの出番だね!」

成功 🔵​🔵​🔴​

グウェン・ラクネリア
「待つの!」
 高い所から登場!
「少女との友情に希望を見る女、スパイダーガール」(てっててーれてれ! てれってれー!)
 でも、糸使いのアラクネ種としては火炎放射器は相性悪いの。まずはゼンスで攻撃を先読みして糸立体機動で避けて回るの。
「そらそら、こっちこっち!」
 付かず離れずで飛び回って囮をやってるからその隙に誰か攻撃してもいいかも? わたいはわたいで別の仕込みがあるの。
「飛び回りながら糸をばら撒いてるだけだと思った?」
 最後の一手、あやとりの要領で巻いた糸を繋げて一気に絡め捕るの!
「糸にまかれて死ぬのよさ」


ルドルフ・ヴァルザック(サポート)
「フゥーハハハ!(こ、この場は笑ってごまかすしか……)」
◆口調
・一人称は我輩、二人称はキサマ
・傲岸不遜にして大言壮語
◆性質・特技
・楽天家で虚栄心が強く、旗色次第で敵前逃亡も辞さない臆病な性格
・報復が怖いので他人を貶める発言は決してしない
◆行動傾向
・己の威信を世に広めるべく、無根拠の自信を頼りに戦地を渡り歩く無責任騎士(混沌/悪)
・何をやらせてもダメなヘタレ冒険者だが、類まれな「幸運」に恵まれている。矢が自ら彼を避け、剣先が届く前に毀れ、災難は紆余曲折で免れる
・臆病な性質も見方次第では生存本能と言えなくも……ないよね?
・コミックリリーフ役にお困りならば、彼が引き受けます(但し公序良俗の範囲内で)



 暮れていく空。赤い陽が遠くの山へと沈んでいく。空に残る雲が、燃え立つような夕陽に照らされ、鮮やかに色づいている。
 村の入口へと向かうのは、火炎放射器を背中に背負った大きな狼達の姿。その目は爛々と輝いており、口元からは鋭い牙が見え隠れしている。ゾルダートグラードの兵、火炎放射兵たちだ。
彼らは村への侵入を果たすため、今まさに動き出していた。
 その数、八体。彼らにとって、この村など侵略の中継地に過ぎない。

「待つの!」
 その時、空から声が響いた。
 木々の上。夕陽を背負い、逆光の中に浮かび上がるのは、蜘蛛の下半身に人間の上半身を持つ少女。
 彼女は桃色の髪をなびかせながら、夕陽を背にして颯爽と降り立った。
「少女との友情に希望を見る女、スパイダーガール」
 グウェン・ラクネリア(スパイダー・ガール・f37922)は、そう名乗るとゾルダートグラードの火炎放射兵たちを睨みつけた。
「なんだ、ただの昆虫か。ひゃはは、俺たちの邪魔をするんじゃねえよ!」
 ゾルダートグラードの兵はグウェンの姿を見ると鼻で笑い、火炎放射器を躊躇なく構えた。
 そして、炎が放たれ、グウェンに向かって飛んでいく。

 だがその前に、グウェンは姿を消す。
「残念、蜘蛛は昆虫じゃなくて動物なの!」
 再び上空から声がした。
「クソっ!?」
 少女は糸を操り、木々に飛び移り縦横無尽に空を駆け回る。『グウェン・センス』、蜘蛛の第六感により兵の行動を先読みし、全て回避していく。
 その姿を捉えきれず、ゾルダートグラードの兵士達苛立ちを募らせる。
「ちょこまかと……うぜぇんだよ!!」
「チッ、どこ行きやがった!?」
 火炎放射兵が、あたりを見回すも姿は見えない。

 そこへヒュン、と音を立てて何かが飛んできた。それは火炎放射兵の頭に命中し、地面に落ちる。
 それは白い手袋だった。

「フゥーハハハ! 我輩はここだァー! 我輩から目を背けるなァー!!」
 突如として、火炎放射兵の背後に現れたのは山吹色の外套に身を包んだ一人の男。
「我輩の名は、ルドルフ・ヴァルザック! 貴様らの悪行もここまでだ!」
ルドルフ・ヴァルザック(自称・竜を屠る者・f35115)は、マントを翻しながら高らかに名乗りを上げた。彼は火炎放射兵からは微妙に遠い、安全の確保できる位置に陣取っていた。それが出来るのは完璧に敵の攻撃射程を見切っているからとも言えるし、臆病だからともいえる。

「うるせえ! こっちは今蜘蛛退治に忙しいんだよ!」
「あっちいってろ!」
突然の乱入者に困惑するゾルダートグラードの火炎放射兵たち。
しかし、彼らが男から目を逸らした瞬間。バチィン、と音をたてて一体の火炎放射兵が弾け飛ぶ。
「おい、どうし……」
他の兵たちが振り返った時には彼の体は宙を舞い、地面へと叩きつけられていた。
完全に気を失い、ピクリとも動かなくなる。

「フゥーハハハ! 我輩から目を離すとは愚かだったな!」
 ルドルフ・ヴァルザックのユーベルコード、『デュエリスト・ロウ』。それは、彼が定めた「ルール」を破ったものにダメージを負わせる能力である。
「あの野郎! ふざけた真似しやがって!」
「おい、近づくのはやべえんじゃねえか!?」
 正体不明の男の一撃に動揺が広がる。火炎放射兵とルドルフ・ヴァルザックはお互いじりじりと距離を取り、睨み合う。

「そらそら、こっちこっち!」
 そこに、糸を巧みに使い、木々の間を縫うように飛び回っていたグウェンが舞い降りる。
「おい、いたぞ!!」
「とりあえず全部焼き払ってやらあ~!!」
 ルドルフの存在に完全に冷静さを失った火炎放射兵達は、一斉に火炎放射を開始した。轟音と共に凄まじい勢いで噴出される熱線が、森をなぎ倒さんばかりに荒れ狂う。
 だが、それも全て虚しく空を切るだけだった。少女は付かず離れずで飛び回り、彼女の糸が芸術的な軌跡を描く。

「飛び回りながら糸をばら撒いてるだけだと思った?」
 グウェンは、空中でくるりと回転し、着地する。
 その瞬間、無数の糸が絡み合い、絡め取るように火炎放射兵を包み込み捕縛する!

「な、なんだこれは!?」
「クソ、動けねぇ!」
「くそっ、はなせぇ!」
 火炎放射兵たちは暴れるも、隠れ帯を描く糸は粘着性も強度も高く、身動きが取れない。
「アホか、燃やせばいいじゃねーか!」
「アホはお前だ! この状態で火つけてみろ、火だるまになるだろうがあ!」

「勝負あったな」
「糸にまかれて死ぬのよさ」
 二人は勝利を確信し、笑みを深めた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リリウス・テイケー
アドリブ連携OK

さて、そろそろ予知の時間が近づいてきたか……
敵の情報はあまり入手できなかった気もするが、まぁこれから仕入れればよい。

周囲や街の地形から、相手さんが現れる場所をいくつかピックアップ。
奴らが到着する前に配置を完了して、どの方角にどれくらいの敵が現れたかを早い段階で把握しよう。
「頼んだよ、スライムたち」
戦闘能力はほとんどないスライムたちだが、この数と小ささは偵察と攪乱で真価を発揮する。
誰かが狙われても、見つかっていないスライムが横や後ろから気をそらせば充分に時間も稼げる。
あとは、戦える猟兵の仲間に敵の場所を伝えてバトンタッチだ。



 穏やかな時刻、夕焼けの色合いが広がる前。果実祭の会場では、賑やかな音楽とにぎやかな声が交じり合い、笑顔あふれる光景が広がっていた。住民たちは楽しいひとときを過ごし、平和な時間が静かに流れていた。

 夏の果実祭の喧騒が村を包む中。村を取り囲む木々と石の壁の向こう側に黒いスライム、リリウス・テイケー(自称悪くないスライム・f03261)は人形のネリネに抱かれて静かに村の周囲を一望している。
 高台からは、賑やかな村の喧騒が微かに聞こえる。盛大な祭りの騒がしさとは対照的に、村の外にある高台の岩山の上は静かだった。彼はこの場所で人知れず偵察と地形の把握をしていた。

 リリウスは、この村の周囲の地形を頭の中でイメージする。この村の最も近くに存在する巨大な鋼鉄要塞グラードと、森林地帯、そして森林地帯の北側にわずかに見える、岩山地帯……
(ここから最も近い鋼鉄要塞グラードは南西にある。しかし……)
 南西からは河川が行く手を阻み、橋は架かっているものの軍事車両の通行は不可能。戦車の重量にも耐えうる強度は無い。周囲は山で囲まれており、迂回するのも難しい。

(キャバリアなら飛ぶことが出来るが、わざわざこの村の侵略に希少なキャバリアを持ってくるとは思えない。おそらく戦車で来るだろう。そうなると、北西の要塞か……?)
 巨大な戦車の通れる道は、この村の周囲では限られている。敵の支配地域や地形の情報、様々な知識全てを組み合わせて彼は予測を立て、敵が侵攻するであろうルートを絞り込んでいく。

(……よし、この配置でいくか)
 リリウスは人形に抱えられて高台から飛び降りる。石ころが転がり、小さな音をたてた。
 リリウス・テイケーは『|SchwarmSchleime《シュラームスライム》』によって小さなスライムを召喚する。その数は百を超える。
「頼んだよ、スライムたち」
 彼の命令に従い、小さなスライムたちは行動を開始する。それは黒い津波のように流れ出し、それぞれが意思を持ち、四方八方へと散っていく。スライムたちは素早く狭い場所も難なく通り抜け、目的の位置へとたどり着くと木々や岩陰に隠れる形で配置につく。
 スライムからは敵が姿を見せれば即座にリリウスに情報が伝えられる手はずになっていた。

 スライムたちを見送り、しばらく待つと、木々がなぎ倒される音と地響きをスライムが伝えてくる。敵の侵攻ルートは北西の方角から、戦車を使ってのもので、リリウスの予測は当たっていたようだ。

 リリウスはスライムにいくつか指示を伝達させ、自分はネリネと共に猟兵へと情報を伝達しに村へと戻る。避難には十分時間がある、問題はないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

琳・玲芳
アドリブ連携◎

現れましたね! 楽しくて美味しいお祭りの邪魔をする不埒者!
人の楽しみを邪魔する者は蹴っ飛ばしてしまえ、と師匠も言ってました!
なので! 正々堂々追い払ってしまいましょう!
【指定UC】を発動して殲滅を狙います!お覚悟!
向こうの攻撃は『第六感』や『フェイント』を駆使してなるべく当たらないように立ち回ります!



 沈む夕陽が周囲を赤く染め、風が木々を揺らす中。
 琳・玲芳(熱血乙女純情派・f39479)は、武器を振り回し、火炎放射兵を追い詰めていた。

「あなたの悪行もここまでです!」
 龍の顎を模した武器、戟『龍顎』を向ける。彼女の瞳には、強い正義感と燃え盛る情熱が宿っていた。
 彼女は勢いよく走り出す。
「うるせえ! 喰らえ~ッ!」
 火炎放射兵は火炎放射器から炎が吐き出すが、その攻撃は琳に軽々とかわされてしまう。
 そして、そのまま背後に回り込んだ琳は戟を火炎放射兵に突き立てた。
「うがああッ!」
 重い一撃を受けた火炎放射兵は悲鳴を上げ、その場に倒れ伏す。

 しかし、背後から別の火炎放射兵が姿を現し、背後から琳へと襲いかかる。彼女を焼き尽くさんと燃え盛る炎を吐く。
「遅いです!」
 しかし、背後からの攻撃も彼女はくるりと華麗な動きで避け、戟を突き刺す。
「ぐあっ!」
 その切っ先は敵を突き刺した。そして、火炎放射兵が体勢を立て直す前に、相手の懐へと飛び込むと、今度は逆手で相手を打ち上げた。
 鈍い音とともに、地に倒れ伏し、そのまま意識を失った。

「クソォ!」
「燃えろ~!」
 その時、二体の火炎放射兵が姿を現し、彼女を焼き尽くさんと燃え盛る炎を吐く。辺り一面が火の海に包まれ、煙が立ち込める。
 しかし、その炎は彼女を焼き尽くすことはなかった。彼女は炎が迫る瞬間に、素早く飛び退き回避したのだ。
「この程度の熱量では、私の闘志には届きませんよ!」
 彼女は一瞬で間合いを詰め、二体の火炎放射兵を薙ぎ払うように戟を振るう。その攻撃は、敵の体を吹き飛ばすほどの強力な一撃だった。

 だが、まだ二体は立ち上がる。そこにさらに、最初に倒した火炎放射兵が立ち上がり、再び炎を吐き出す。
「しぶといですね……ですが、これで終わりです!」
 彼女は戟を構え、大きく息を吸い込む。

「邪な感情を成敗します!お覚悟!」
 彼女は叫び、そして戟『龍顎』を高く掲げる。

 その瞬間、光の奔流が空間を白く塗りつぶした。
 あらゆるものを貫く光の柱は、まるで天からの裁きの如く。『邪心穿』の眩い光の槍は、流星群の如く降り注ぎ、邪悪なる敵全てを貫き尽くした。

 光が収まると、純白に輝く光の粒が舞う。火炎放射兵との戦いは終わったのだ。
「正義は勝つ!です!」
 神々しい光景の中、彼女は笑顔を浮かべながら叫んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『クロスファイア・コマンダー』

POW   :    進軍命令
攻撃力に優れた【砲戦型パンツァーキャバリア部隊】、レベル×2体出現する【砲撃型機械兵士部隊】、治癒力を持つ【機械衛生兵部隊】のいずれかを召喚し、使役する。
SPD   :    焼却命令
【背中に装着された巨大ガトリング砲】から【無数の焼夷弾】を放ち、敵及び周辺地形を爆発炎上させる。寿命を削ると、威力と範囲を増加可能。
WIZ   :    殲滅命令
自身の【背中に装着された巨大ガトリング砲】を【殲滅砲火形態】に変形する。変形中は攻撃力・射程が3倍、移動力は0になる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は煙草・火花です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 村の外に広がる草原で、火炎放射兵たちの脅威が消え去った。
 夕暮れの空に淡い紫が広がる。祭りの参加者たちは全員避難し、村には静寂が漂っていた。夏の果実祭の賑やかな喧騒はもはや遠い過去のようだ。

 クロスファイア・コマンダーは村へと向かっていた。ゾルダートグラードの軍人である彼こそが、今回の事件の首謀者なのだ。
 だが、その侵攻は阻まれる。
 リリウス・テイケー(自称悪くないスライム・f03261)によって、クロスファイア・コマンダーの存在も、侵攻経路も予め把握されていた。
 微かに見える星々の光が彼らの覚悟を映し出すように、彼らは勇気を胸に秘めて、クロスファイア・コマンダーの前へと立ち向かう。

「火炎放射兵を打ち倒したか……まあいい、あの程度の存在、いくらでも量産できる」
 しかし、彼は立ちはだかる猟兵たちに動揺することはなかった。彼の瞳は冷酷な光を宿し、傲慢な微笑が唇に浮かんでいた。
「貴様らが猟兵か。せいぜい楽しませてみせろ」
 そして、静かに構えを取ると、猟兵の迎撃へと向かった。

「焼却命令!」
 クロスファイア・コマンダーはガトリング砲から無数の焼夷弾を放ち、周囲を炎と爆発に包み込む。しかし、その攻撃は猟兵たちの機敏な動きによって回避される。
 機械の咆哮と猟兵たちの奮闘の音が響き渡る中、最終決戦の幕が切って落とされた。
グウェン・ラクネリア
「悪のからくりを粉砕する女、スパイダー・ガール!」(てっててーれてれ! てれってれー!)
 高い所からポーズを決めるの! そのまま立体機動で飛び回りながら糸をばら撒くの。
「飛び回りながら糸をばら撒いてるだけだと思った? 実は、そうなの」
 糸で絡め捕って動きを鈍らせるって目的はあるけど本命はこっち!
「チェンジ、レオポルドン!」
 飛行形態から戦闘形態に変形させたレオポルドンの上に着地して乗り込むの!
「やっちゃえレオポルドン! ヴィガーソード!」
 大きいボタンをぽちっとするとあらゆる悪を一撃で粉砕する剣を投げつけてボスを粉砕するの。
「流石に因果律操作は出来ないの」



 空にはオレンジと紫の美しいグラデーションが広がり、星々が次第に輝き始めていた。沈みゆく夕日が、誰も居なくなった果実祭の会場に深い影を投げかけている。

 突如、黄昏の空からアラクネ種の少女が現れた。グウェン・ラクネリア(スパイダー・ガール・f37922)は、木の上から飛び降りると、軽やかな動きで着地し、ポーズを決める。
 目の前に立つのは、ぎらりと光を放つ巨大なガトリング砲を背中に背負ったゾルダートグラードの軍人。
「なんだ貴様は!」
 いぶかしげな表情を浮かべるクロスファイア・コマンダーに、グウェンは言った。
「悪のからくりを粉砕する女、スパイダー・ガール!」
 風が彼女の桃色の髪をなびかせる。彼女の瞳は覚悟と勇気に満ちていて、その姿はまさに悪に立ち向かうヒーローだった。

「そんな者は知らないが……見ろ、ゾルダートグラード軍の力を!」
 クロスファイア・コマンダーは傲然と宣言し、その声とともに巨大なガトリング砲が轟音を響かせながら焼夷弾を放つ。
 無数の焼夷弾がその銃口から放たれ、地面を焼き尽くす。戦場は炎に包まれる。

「な、何!? 生きていたのか!?」
煙の中から現れたのは、蜘蛛の下半身を持つ少女だった。
「こんなの、へっちゃらなの!」
 グウェン・ラクネリアは煙の中から飛び出すと、糸を操りながら優雅に身をかわし、火の海を駆け抜ける!

 クロスファイア・コマンダーの顔には驚愕と怒りが交錯していた。そしてさらに焼夷弾の嵐を放つ。しかし彼女は糸を操り、まるで空中を舞うように華麗に回避していく。

「やるな……だが、これはどうだ! 進軍命令!」
 クロスファイア・コマンダーの声とともに、地面から機械の兵士が湧き出る。
 彼女の周りを取り囲むように現れた機械兵士は、銃を構えて一斉射撃を行った。彼女は素早く糸を操り、空へと飛び上がるとそのまま蜘蛛の足で空中を駆ける!
 「これくらい、へっちゃらなの!」
そして、空中でくるりと一回転し、糸を操って着地する。彼女の前には、機械兵士の集団が立ちはだかっていた。
「飛び回りながら糸をばら撒いてるだけだと思った? 実は、そうなの」
 彼女は微笑みながら言葉を紡ぐ。糸は彼女の指揮の下で踊るように敵の周囲に広がり、機械兵士の集団を絡め取っていく。

「レオポルドン!」
 そして、彼女は高らかに叫ぶ。巨大マキナは彼女の声に応え、その巨体を大地に降ろし、その全貌を露わにした。轟音と共に、地面が割れ、土煙が舞う。
 少女はレオポルドンに飛び乗ると、その操縦席に腰を下ろし、操縦桿を握る。そして、彼女の操縦によってレオポルドンは飛翔し、焼夷弾の雨をくぐり抜けながらガトリング砲に向かって飛びかかる。
 そして炎をまとった姿を飛行形態から戦闘形態に変形させる。

「いいだろう……私の本気を見せてやる!」
 クロスファイア・コマンダーはそう言うと、巨大なガトリング砲を構え、引き金を引いた。凄まじい爆音とともに無数の弾丸が発射される。
 しかしレオポルドンは全身に弾丸を浴びながらも、一歩も引かずに立ちはだかる。その装甲には傷一つない。

「やっちゃえレオポルドン!」

 彼女は大きなボタンを押すと、ヴィガーソードを発動させる。巨大な剣が空を切り裂くように振り上げられる。その刃はまるで星のように輝き、悪の存在そのものを粉砕するかのようだった。
「ヴィガーソード!」
 巨大な剣が空を裂き、召喚された無数の機械兵士その全てを一撃で粉砕し、クロスファイア・コマンダーの体にも深い傷を刻み、巨大ガトリング砲を一つ破壊する。機械の兵士たちは光の粒となって消えていく。

「くっ……やるな……」
 クロスファイア・コマンダーは思わず声を漏らす。その瞳には悔しさと怒りがにじんでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

グリルド・グラタニア
アドリブ連携◎

グリルド「相変わらず気持ちいいくらいの食べっぷりで惚れ惚れしちゃう!作りがいがあるよ~。」
げー…っぷ。どうも、ですわ。ただ130ポンドのステーキ三枚は…流石に腹いっぱいですわねぇ。
腹ごなしには運動ですわ!

まずUCが残留しているなら効果が切れている【飲馬転功】を再度使用し自己強化を。獲得技能は【火炎耐性】【オーラ防御】【二回攻撃】【マシン改造】。
【指定UC】で先ほど完食した火炎放射兵を召喚、火炎放射器を改造して共闘させますわ!
どれだけでも再生成して差し上げますから、死力を尽くして相手の召喚兵の足止めをして欲しいですわね。
親玉の攻撃を耐えつつ、【二回攻撃】で連続攻撃を叩き込みますわ!



 夕焼けの光が次第に薄れ、もうすぐ夜が訪れる。祭りの参加者や村人たちは安全な場所に避難していて、夏の果実祭の喧騒は消え去っていた。
 静寂に包まれる村の中、赤い服を着た一人の少女が居る。満足そうな笑みを浮かべている、彼女の名前はグリルド・グラタニア(一人三役の自己完結型グルメ集団・f41012)。

「相変わらず気持ちいいくらいの食べっぷりで惚れ惚れしちゃう!作りがいがあるよ~」
 グリルドは誇らしげに微笑みながらそう言った。
「ええ、グリルド。アナタのお料理、大変美味しゅうございましたわ。……さて、お腹も膨れた所で、食後の運動の時間ですわね!」
 火炎放射兵の脅威を食らい尽くし、その力を吸収したグラタニアの目には激しい闘志が宿っている。

 グラタニアは、自身のユーベルコード『|炊魂隷服《ソウル・ブロイル・サブミッション》』を発動した。
 周囲の地面から光が立ち上がり、彼女の全身を包み込むように取り囲む。その直後、火炎放射兵が姿を現した。その身に宿る猛火は、獣の本能的な力強さを象徴しているようにも見える。

 さらにグラタニアは、自分のユーベルコード『|飲馬転功《スティード・ドリンク・トランスミューテーション》』を発動。自身と召喚された火炎放射兵の力を極限まで引き出し、身体能力を飛躍的に上昇させる。
「さあ、行きますわよ!」

 グラタニアは猟理器具を手にすると、火炎放射兵と共に戦場へと駆け出す。そして瞬く間に戦場へと躍り出た。
「進軍命令!」
 迫り来るグラタニアたちを迎え撃つべく、クロスファイア・コマンダーは追加召喚した砲撃型機械兵士部隊を突撃させる。
 クロスファイア・コマンダーの攻撃をかわしながら、火炎放射兵は炎を噴射する。炎が敵に向けて吹きつけられ、轟音と共に戦場は一瞬にして灼熱の熱波に包まれる。

 炎が機械兵士たちを焼き尽くす中、グラタニアはさらにクロスファイア・コマンダーに近づく。
「チッ、裏切り者の狼共が!」
 クロスファイア・コマンダーは舌打ちすると、巨大ガトリング砲で、グラタニアを迎撃しようとする。
「そんな攻撃、わたくしには通用しませんわ!」
 しかし、巨大なガトリング砲から放たれる弾丸は、グラタニアには届かない。
「クソッ……!」
 クロスファイア・コマンダーは悪態をつくと、巨大ガトリング砲を変形させ、火炎放射兵に向けて砲撃する。その一撃によって発生した爆炎すら、グラタニアの勢いを止めることはできない。

 そしてついに、グラタニアはクロスファイア・コマンダーに肉薄する。
「アナタの首を、わたくしのお腹に収めて差し上げますわ!」
グラタニアはそう言うと、フォークスピアーをクロスファイア・コマンダーの体に突き立てた。
「ぐはっ……!」
 グラタニアの攻撃によって、大きく体勢を崩すクロスファイア・コマンダー。そこに追い打ちをかけるように、巨大な肉切包丁を振り下ろす!
 グラタニアの肉切包丁が、クロスファイア・コマンダーの装甲を斬り裂く。衝撃で、その体は地面へと叩きつけられた。

「ぐ……うぅ……」
 クロスファイア・コマンダーはうめくような声をあげながら、よろよろと立ち上がる。その体は血に塗れており、痛々しい姿となっていた。
「おのれ……よくも……」
 クロスファイア・コマンダーは怒りに満ちた目でグラタニアを睨む。その視線には殺意がこもっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

チル・スケイル(サポート)
「皆さん、よろしくお願いします(お辞儀)」
「…(仕事の時間)」

「では、吉報をお待ちください」

竜派ドラゴニアンのクールな女性です。普段の口調は『私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?』誰にでも礼儀正しく接します
戦闘中は 『私、あなた、~さん、言い捨て』不要な発言はしません

戦闘スタイルは魔法による射撃が主体。氷の魔法を操ります。それ以外の属性は使いません

侮辱や暴言、報酬の踏み倒しなど、敬意に欠ける行為を嫌います

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません
スシが大好きです

あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 夕陽が地平線に傾き、夜の訪れを予感させる頃。戦場では壮絶なる一戦が繰り広げられていた。

 そこに佇むのは氷の力を操るドラゴニアンのチル・スケイル(氷鱗・f27327)。彼女の鱗は白色に輝き、氷を思わせる冷たい瞳は強い意志の光を放ち敵を見据えていた。

 クロスファイア・コマンダーは体勢を崩しながらも、彼女と睨み合う。その目は怒りに満ちたように吊り上がり、その視線で相手を威圧するかのようである。
「私の攻撃を喰らいたくなければ、全力で抵抗するのだな! 焼却命令!」
 傲慢な口調で言い放つと、背中の巨大なガトリング砲を構え、引き金を引いた。膨大な火薬によって撃ち出された焼夷弾は大気を唸らせるほどの轟音を上げながら降り注ぐ。戦場は炎と煙に包まれ、炎の嵐が吹き荒ぶ。

 しかし、それでもなお、彼女の表情は変わらない。
 冷静な表情で、彼女は氷の魔術杖を構え、発動させた。それは、冷気放射杖『マルヴァールマ・スロワー』。
 火炎放射器を参考にしたその武器は、その先端部分から凄まじい冷気を生み出し、周囲の温度を奪っていく。
 冷気はたちまち渦を巻き、火に向かって襲い掛かった!

 炎の嵐と冷気の渦が衝突する。冷気の渦は炎を巻き込みながら、徐々に火を押し返していく。
 そして、ついに氷の息吹は瞬く間に炎を呑み込み、冷気が熱を打ち消す。炎の嵐が一瞬で鎮火すると共に、白銀の輝きに包まれた氷晶が舞い散り、戦場へと降り注ぎ幻想的な光景を作りだした。

「なんだと……ッ!」
 クロスファイア・コマンダーは驚きに満ちた表情を浮かべ、呆然と立ち尽くす。
「………」
 声を荒げるクロスファイア・コマンダーとは対照的に、彼女は無言で次の一手へと移る。

 彼女は、狙撃杖『カシュパフィロ』を携えると、同時に『|氷術・貫《アイスペネトレイト》』を発動。凝縮された氷の魔力は眩い輝きを放ち、カシュパフィロを包み、強化する。
 スナイパーライフルのようなその杖を静かに構えると、クロスファイア・コマンダーへ狙いを定める。

 引き金を引いた瞬間、冷気の光を放つ魔力弾が銃口から撃ち出され、大気を切り裂きながら一直線に向かっていく。
 それは、クロスファイア・コマンダーの体へ着弾すると氷の刃を形成し、貫く!

「ッ……!」
 クロスファイア・コマンダーは咄嗟に回避を試みていたが間に合わず、巨大ガトリング砲へと直撃する。
 『|氷術・貫《アイスペネトレイト》』によって強化されたその一撃は凄まじい威力を持ち、左の巨大ガトリング砲を粉々に砕く!

「ぐ……クソッ!! よくもやってくれたな……!」
 彼の憤怒の表情の中には、焦りの色が混じっていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

琳・玲芳
アドリブ連携◎

あれが首謀者ですか……ますます許せません!
ガトリング砲の攻撃を『気合い』と『第六感』で『見切り』つつ、攻撃のタイミングを図りましょう。
避けて避けて……砲弾の合間に射線が通ったら【指定UC】発動です!
槍先を首謀者に向けて水流発射!
「ろくでもないことを考える頭を冷やしてさしあげます!!」



 樹の枝が風になびき、ざわめく。空はその暗さが増すとともに星々を浮かび上がらせる。

 琳・玲芳(熱血乙女純情派・f39479)は静かに前を見つめる。その手には戟『龍顎』が握りしめられていた。
「……」
 戦いの時を待ち受けるその眼差しは凛としており、闘志に満ちていた。彼女の瞳は、静かな夜の中にあってなお強い光を たたえていた。

 クロスファイア・コマンダーもまた彼女の姿を見据え、戦闘態勢を取っていた。彼はすでに一部のガトリング砲を失っていたが、それでもなお闘志は折れていないようだ。

「さあ、決着をつけようじゃないか!」
 クロスファイア・コマンダーは威勢よく叫ぶと、残るガトリング砲を構える。彼の表情は自信に満ちている。しかしそれは強がりではない。彼には切り札があった。

「殲滅命令!」
 彼がそう叫ぶと、巨大ガトリング砲に膨大な魔力が集まる。砲身の周りが光を放って輝き始める。それは周囲の温度を急激に上昇させながらも収束し、やがて一つの塊へと変化していく。
 殲滅砲火形態に変形したガトリング砲が凶暴な弾丸を放つ。黒煙が噴き上がり、凄まじい爆音と衝撃波が周囲に広がった。

 轟音とともに、彼女の頬を熱風がかすめる。だが、琳・玲芳は勇敢にその攻撃に立ち向かう。彼女の気合いと第六感が一体となり、砲弾の軌道を見切る。

「当たりませんよ!」
 ガトリング砲の轟音が鳴り響く。砲口が弾丸の雨を撒き散らす。まるで無数の鉄塊が降り注ぐようだ。
 彼女はその身を素早く翻し、轟音を上げて放たれる弾丸の中を駆け抜ける。次々と襲いかかる衝撃と熱波に、彼女は動じることなく砲弾の飛ぶ先を予測し、その一瞬の隙間を見極めて身をかわす。その動きはまるで風のように軽やかで、まさに舞い踊るようだった。

「ッ……!」
 その姿は、クロスファイア・コマンダーの予測をこえていた。彼は焦燥感に駆られながらも、無数の銃弾を撃ち込む。だがそれもむなしく空を切るばかりであった。
 彼女は素早く身を躍らせてかわしながらも、強い眼差しで敵の姿を見据える。その瞳は自信に満ちており、まるで弾丸の雨を恐れる様子はない。

 その瞬間。彼女は敵の砲弾の一瞬の隙間、敵への射線を捉える。弾丸の雨が降り注ぐ中、素早く身を躍らせながら戟『龍顎』、その槍先を構える。

「ろくでもないことを考える頭を冷やしてさしあげます!!」

 彼女が持つ戟を、水の奔流が包む。そして彼女は勢いよく敵に向かって疾走していくと、跳躍して高く舞い上がると、構えて狙いを定める。照準の先にあるのは、巨大ガトリング砲を構えた敵の姿だ。

「渦巻く水流にて撃ち抜きます!」

 彼女の手の中で、水が逆巻きながら槍を包み込む。それは水流となり、刃となる。
 轟音と共に、怒り狂う龍にも似た凄まじい激流が放たれる!

 水の激流は、龍の咆哮にも似た轟音を発して敵に襲いかかる。その衝撃は砂埃を巻き上げ、砲弾によって巻き起こった土煙を吹き散らした。

 その一撃は、轟音と共に殲滅砲火形態ガトリング砲を貫く!
「ぐわあああぁぁぁッ!!」
 黒煙を上げながら、砲弾が爆発する。クロスファイア・コマンダーの体が宙を舞い、悲鳴を上げながら地面に叩きつけられると、地面に倒れ伏しそのまま動かなくなった。辺り一面は静まりかえり、闘いの終わりを告げる静寂だけが流れていた。

「終わりです!」
 琳・玲芳の声が響く。星々が瞬く夜空の下で、彼女は槍を携え堂々と立っていた。その表情には勝利の喜びと、誇りに満ちた笑みが浮かんでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年08月14日


挿絵イラスト