#アルダワ魔法学園
タグの編集
現在は作者のみ編集可能です。
🔒公式タグは編集できません。
|
●Fata morgana
ギリシア神話のダイダロスのように翼を広げるミレナリィドール────メアクリスは、探索者を見下すように見て告げる。
「禁断の果実?…そんなものあるわけないでしょぉ」
嘘だ、確かに聞いたんだ。そう探索者達が述べれば、きょとんとした顔をして一拍おき、次いで堪えきれないように嗤い出す。
「ふふ、やだぁ信じてたの?そんな“噂”!」
これは、彼女の愉悦を満たすが為に創造された噂であった。それを信じた故に騙され、此処に訪れてしまった探索者を嘲笑する。
「騙されちゃったお馬鹿な探索者さんに、可哀想だから1つ教えてあげるわぁ。………騙す方が悪いんじゃなくて、騙された方が悪いの」
そうして、まるでといって自分は悪くないといった風に述べる彼女は、悪びれる様子もなく続けた。
「理不尽ですって?……これは貴方達がやってきたことでしょぉ。私達はそれを真似てるだけ。それに私は“皆”嫌いなの、独善的な奴らばかりで。だから殺さなくちゃいけない───だってこの世界を支配するのは私なんだから、私だけでいいでしょぉ?」
探索者達が最後に聞いたのは、そんな彼女の嗤い声。迷宮を抜け、洋館を潜り、ようやっと苦労して辿り着いたその果てに待ち受けていたのは…………、
─────残虐な“死”であったのだった。
●Fuzzy nirvana
「これが、今回予知した事象。………もう被害者も出てしまっていて、これ以上被害を出さない為にも皆には協力してほしい」
所変わって、ここはグリモアベース。そこに集った猟兵達は予知した事象と説明を受けていたのだった。モニターにてその映像を見せていたグリモア猟兵、戎崎・蒼(f04968)は続けて述べる。
「まずは事象の整理をしようか。今回の事件が起きたのはアルダワ魔法学園。そこには学園迷宮が幾つもあるというのは既知の事実だと思うけれど………その学園迷宮の1つに変な噂がたったのが、事の発端なんだ」
彼が言うには、とある学園迷宮にアヴァロンの名を冠した迷宮があり、その迷宮中に有る洋館の最奥には『禁断の果実』なるモノがある────という噂がたったらしい。
「その噂を流したのがオブリビオン張本人らしい。オブリビオン・メアクリスは人を見下すのを好んでいたらしいから、多分今回の事件もそれ故…だろうね」
考える仕草をして彼はそう言うと、モニターをしまいながら話す。
「兎に角、迷宮の奥に潜むメアクリスを倒す為にも、先んじて迷宮の攻略に挑もう。………最初はマジックミラー状の壁で構成された迷宮だ」
どうやらその迷宮は、一方から見ると鏡、もう一方から見ると透明な硝子状の遮断性の高いもので出来た迷宮のようだ。……これは迂闊には走れない。他の猟兵がいたとして確認せず近づこうとすれば、そこは壁かもしれないのだ。走れば壁との衝突は免れないだろう。
「その迷宮の攻略方法は君達に一任する。勿論、無理やり力づくで攻略しても良い。工夫を凝らしても良いし、法則性を見い出せたらそれで攻略しても良いかもしれないね」
そうして一通り説明すると、彼は猟兵達に向き直りグリモアを展開する事だろう。カード状のグリモアが淡く光を帯び始め、移送される準備が整った事が見て取れる。
「メアクリスは、迷宮を抜けた先の洋館の最奥に潜んでる。十分に気をつけて臨んでほしい」
蒼がそう猟兵達に告げたのを最後に、彼等はくだんんの事象が起きた場所へ向かう事となるのであった。
Parmigiano
はじめまして、もしくはお世話になっております。Parmigianoです。皆様に良いリプレイを御送り出来るよう、精進して参ります。
今回の舞台はアルダワ魔法学園です。
第1章は迷宮の攻略をお願いします。
第2章ではその先にある洋館を探索して頂き、3章で見事攻略した先に待ち構えるボスと戦って頂く、という流れになっております。
皆様の素敵なプレイング、お待ちしておりますので、どうぞよろしくお願い致します。
第1章 冒険
『不可逆光線的迷宮』
|
POW : ぶつかっても構わず無理やり押し通る
SPD : 工夫して効率良い探索方法を実践する
WIZ : 慎重に壁を見極めたり、法則性を探して進む
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ベリザリオ・ルナセルウス
既に被害者が出てしまったのか……。
迷宮の奥で亡くなっては遺体も見付からないかもしれないが、せめて遺品を埋葬できればいいな。
そのためにもここを突破しないといけない。
●探索
入り口の壁の右側を辿って行こう
迷路の攻略と言えば右手の法則か左手の法則だ
周りの壁の確認は【鈴蘭の嵐】の威力を弱めて吹かせて確かめる
壁に当たったら花弁が跳ね返るはず
念のため衝突に備えて盾も掲げておこう
迷宮の奥につく前に怪我をするわけにはいかないからね
セルヴィ・アウレアム
「硝子なら壊せばええんちゃうの?って感じに、安易にぶち壊しよったら後々ろくでもないことになったりするねんな。」
「しかし、犠牲者がいるということは、即ち踏破者がいるということや。十中八九痕跡があるやろし、それを探していくとしよか。」
●行動:SPD「工夫して効率いい探索方法を実践する」
背負鞄からペンと地図を取り出し、左手法とトレモーアルゴリズムを用いて迷路を一箇所ずつマーキングしていく。マーキングに関しては、自分だけでなく後続の助けとなるよう、地図だけでなく硝子に直接線を引きながら探索する。
過去に迷宮を攻略している痕跡がある場合は、それも含め地図に記載しつつ、虱潰しにしていく。
●反射する視界、その解法について
アルダワ魔法学園の学園迷宮を前に、ベリザリオ・ルナセルウス(この行いは贖罪のために・f11970)は先程の言葉を反芻させながら佇んでいた。
「既に被害者が出てしまったのか……」
そう、先程の言葉とはグリモア猟兵が説明した“被害者がもう出ている”というものであった。そこから推察するに、犠牲者の躯は少なからずとも迷宮内に残されてしまっている事になる。
「───迷宮の奥で亡くなっては遺体も見付からないかもしれないが、せめて遺品を埋葬できればいいな」
「せやな。確かに、遺体は見つかるかわからんけど、遺品ぐらいなら見つかるかもしれへん。……けど、問題はこの迷宮や。どないな策練って攻略するかが肝心なとこやで」
ベリザリオのその独り言に反応したのはセルヴィ・アウレアム(『迷宮喰らい』セルヴィ・f14344)。彼女もまた、この依頼を受けて訪れた猟兵である。そんな、彼女が述べた意見を受けて、ベリザリオも同意を示す。
「そうですね、中々に特殊な迷宮のようだし気をつけて行った方が良いかもしれません」
ベリザリオがそっと手を壁に添えれば、そこは壁であり鏡である事がわかる。
「マジックミラー……。鏡と同じように硝子、ですか」
硝子で出来た壁を見つつそう述べれば、対するセルヴィは硝子をコンっとノックするように軽く小突きながら返答する。
「まぁ、硝子なら壊せばええんちゃうの?って感じに、安易にぶち壊しよったら後々ろくでもないことになったりするねんな」
ただの硝子だと侮ってはいけない。セルヴィはそう考え、警戒を怠る事はしなかった。そうしてマジックミラーを見つめていた顔を上げると、再び通路に視線を戻す。
協力して攻略しようにも、他の問題が浮上していたのである。
「どうせなら協力したいとこやけど……これはなぁ」
「……最初の時点で分岐していますね。必然的に二手に分かれて行動、という風にするしかないようです」
───そう。猟兵達の前にあったのは、2つに分断された道。これでは2人で一方の道に行くと、効率を考えれば得策ではないだろう。その事を踏まえて2人は相談をする。……どうやら二手に分かれて行動することにしたようだ。
そうして2人の猟兵は、互いに迷宮の攻略へ挑む事になったのであった。
【右側ノ道】
「………私は右側を辿って行くとしようか」
呟くベリザリオの前には、延々と続くマジックミラーの道が有る。だが、これをどう攻略するのかはもう彼には決まっていた。
「迷路の攻略と言えば、右手の法則か左手の法則だ」
彼はそう言えば、壁に右手を添えて歩き出す。───右手の法則。それは迷路の解法として挙げられる、代表的な手段のうち1つである。通称右手法とも言われ、ひたすら壁沿いに進むことで出口を見出すというものだ。これは左手にしても同様の事が言える。
だがこれでは壁にぶつかるのではないか?そう考える者もいるだろうが、彼には策があった。
まず、彼は徐に自身の持つ武器、Fulgor fortitudoを翳し、それが無数の花びらへと変化して周囲を舞う。それは、鈴蘭の嵐という彼のユーベルコードだった。通常、周囲への攻撃に使われるそれは、威力を弱めてあくまでも視覚化を行うが為に使用されていた。
「これで周囲の壁の有無が確認出来るはず」
実際、弱めに吹かれた鈴蘭の花びらは壁に当たると跳ね返るため、とても分かりやすい指針となっていた。加えて念のために盾を掲げて進んでいく。
「迷宮の奥につく前に怪我をするわけにはいかないからね」
そうして幾つもの予防線をはっておけば、壁にぶつかる事はなく奥に進む事が出来るだろう。
【左側ノ道】
「ウチは左の道やな」
一方セルヴィが進むのは反対側の道だ。見据える先は、先程と同じようにいつ見ても変化する事のないマジックミラーの迷路。これを一人で探索しなければならない。
「よし、まずは効率良く探索せな!」
そう意気込むセルヴィは、自身の背負う大きな鞄からペンと地図を取り出す。彼女が活用するのは、ベリザリオと同じように右手法(左手法)でもあったが、それだけではない。もう1つの手段が彼女にはあった。
それは迷路の解法として挙げられるものの2つ目、トレモーアルゴリズムというものだ。あらゆる迷路を解くことが出来る解法として有名である。チョーク等で跡を地面につける事で、何度も通ったりして迷う事のないようにするのだ。
「こうやってマーキングすれば最大2回しか通らんくてええし、無駄に歩く必要もあらへんやろ」
キュッとペンでマーキングを施し、地図にも記入していく。これは後続の助けにもなるように、という意味合いも込めて硝子にも直接マーキングをしていたのだった。
「……にしても、踏破者がいると思ってきたんはええけど、なかなか痕跡があらへんなぁ」
キョロキョロと見渡すも、目星いものなど見つからない。それどころか、まるで自身が“初めての挑戦者”であるかのように、足跡すらもない。その事を少し気にしつつセルヴィは進んでいく。
そうしていくと唐突に探し求めていたものが現れる。
───それは、出口であった。
「おーーい!出口が見つかったで!!」
もう1人の猟兵へとその吉報を伝えようと声を張り上げれば、それは反響しベリザリオへと伝わる事だろう。そうして駆けつけた彼がセルヴィへと声を掛ける。
「…………此方に出口が、ありましたか」
「そうなんよ。でもなぁ、なんか変やねん」
「何か変、と言いますと?」
「うーん……よう上手く言えへんのやけど、気味悪いねん、ここ。さぶいぼが立つっていうか……なんや、ウチらが初めて入ったみたいな感じせえへんかった?」
「そう言えば………痕跡はなかったように感じます。何故か綺麗なまま、というか…少しは目印があっても良いものではとも感じたのですが」
「それや!……出口が見つかったのは良しとするとしても、こんな小綺麗な事なんてあるんか思うて」
「此処には何かが有る、という事でしょうね」
そう言うベリザリオに無言で頷き返す。確かに、彼等は出口、もとい次への扉を見つけた。がしかし、それは決してすっきりとしたものではなかった。……これはオブリビオンがやっている事なのだろうか?謎は謎のまま、迷宮入りをしていたのだった。
───そんな一抹の不安を残して、彼等は出口に足を進める事だろう。後続の猟兵達を待ちながら。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オーガスト・メルト
なるほど、マジックミラーの迷宮か。
オブリビオンのバカ女を愉しませる為に苦戦してやるのも癪だな。
【SPD】連携・アドリブ歓迎
デイズ、ナイツ、お前たちの感覚を貸してくれ。
眼をつむり、UC【トライリンクモード】で視覚以外の感覚を高めて進むとしよう。
念の為、鋼糸で前方や足元の安全も確認するのも忘れない。
…うん、空気の流れと音の反響から察するに、出口はあっちだな。
おい、デイズ、目を開けるな。視覚に惑わされるぞ?
『うきゅーん』
急ぐ必要はないさ。じっくり行けばいい。
九尾・へとろ
■WIZ
「なんと全面鏡張りの迷宮とな。ひょひょ、これは良い
ウチの武舞の修練もついでにやらせてもらうとしようか」
鏡張りの迷宮に年相応にテンションは上がるも取り繕った落ち着きを持ち
一つ一つの鏡をコンコンと、足や手で叩いていく
「先に道あれば響きも違うものよな」
ある程度のあたりをつけたらタンタンと足で節を刻み、武舞を舞う。
鏡を見ながら、己に酔いしれるように。
中空に描くは失力の黒。鏡に向かい放れば、腐食のように鏡が溶ける
その鏡へ向け、鋭い手刀足刀で断ち割り道を開く。
「こんなものなくてもウチの武舞なら壊すのは用意じゃがなぁ
ただ切り傷はのー痛いからのー」
開かれた道は床に矢印などの目印をつけ、攻略を進める。
小読・灯
禁断の果実、面白そうなお話を流して人を集めていたのね。
舞台の宣伝の効果は上々、観客は沢山集まった、といったところかしら。
でもエンディングは観客の期待と違ったみたいね。一番奥で待ち構えている意地悪な脚本家に会うためにも、まずはこの迷路を攻略しましょうか。
【WIZ】
【木製の竿】で周囲をつんつんとつついて安全を確認しながら進んでいくわ。
壁があればそこには【発火ナイフ】で傷をつけたり、【幻の絵の具】で「かべ!」とか「ちゅうい!」って赤い字で大きく書いて目立たせて周りに危険を知らせるわね。こうすれば安全よね?
もし傷ついた人や力ずくで進んでいる人と出会えば【癒しの幻燈】で回復、サポートに回るわ。
●鏡の迷図はMAZEのまま
先の猟兵達に続いて、この迷宮に挑もうと思案する猟兵達がいた。それはオーガスト・メルト(竜喰らいの末裔・f03147)、九尾・へとろ(武舞の姫・f14870)、小読・灯(灯火・f01972)の3人であった。
「なるほど、これがマジックミラーの迷宮か。だが……オブリビオンのバカ女を愉しませる為に苦戦してやるのも癪だな」
壁に目をやり静かに述べるオーガストは、してやる義理もないと一蹴にしてそう言う。
一方で、一面マジックミラーの迷宮にテンションを上げる猟兵も一人。
「なんと全面鏡張りの迷宮とな。ひょひょ、これは良い!ウチの武舞の修練もついでにやらせてもらうとしようか」
振袖にも似たその暗殺着の袖をゆらりと揺らしながらそう言うのはへとろだ。…………妖艶な雰囲気をいくら纏っていようとも、中身はまだ子供。その嬉々とした表情は年相応である。だが他の猟兵達がいるのにも気づき、コホンと咳払いを1つ零した後落ち着きを取り繕い装う。
「……と喜ぶものもおるじゃろうが、まさかこれがオブリビオンによって成されたものとはのぅ…只々純粋に感心するわい」
「それに、人々を誘い込む為に噂とやらを流していたようだな。“禁断の果実”とは…いかにもな誘いの常套句だ」
「───禁断の果実、面白そうなお話を流して人を集めていたのね?」
その2人の会話に相槌を打ったのは灯だった。先程から会話を聞いていた彼女は続けて述べる。
「舞台の宣伝の効果は上々、観客は沢山集まった、といったところかしら。…………でもエンディングは観客の期待と違ったみたいね。一番奥で待ち構えている意地悪な脚本家に会うためにも、まずはこの迷路を攻略しましょうか」
灯のその言葉にオーガスト、へとろ共に同意を示せば、その言葉を皮切りに探索を始めるのであった。
「デイズ、ナイツ、お前たちの感覚を貸してくれ」
最初に行動したのはオーガスト。彼は自身の連れている、大福のような形状のもちミニ竜の力を借りるようである。代わりにきゅぅ、と短く返事をする2匹を横目に見つつ彼が眼をつむると、ユーベルコードが発動されたのだった。
三竜一体の極意(トライリンクモード)。───それが彼の持つユーベルコードの名だ。これは2匹の竜と共感覚を持つ事が出来るユーベルコードである。
空気の流れ、音の反響を頼りに辿るのは、普通であれば少し難しい事なのかもしれないが、これは竜の感知。容易に察知することが出来るだろう。……それに、オーガストには気づいた事がもう1つあった。
「(デイズとナイツの感覚を借りてみたが成程。……これだと虚像認知がしやすいな)」
そう、極めて特異な存在である竜は高い知能を持つが故に、虚像認知が得られる能力としてあったのだった。それでも結果的に視界だけを頼ってしまえば、鏡との衝突は避けられないと感じた彼は、注意を飛ばす。
「おい、デイズ、目を開けるな。視覚に惑わされるぞ?」
『うきゅーん』
「急ぐ必要はないさ。じっくり行けばいい」
努めて冷静に。そうオーガストがデイズを宥めると、竜も了承したように鳴く。念には念を入れ、鋼糸で前方及び足元確認を行っていたのだが、それも幸をそうしたのか“壁”と“通路”の認知を容易にしていた。
「こっちは壁みたい。印も付けておくわね」
だが、ひたすら木製の竿でつんつんとつつきながら練り歩く者がいた。……言わずもがな、灯である。灯は壁だと分かった所に発火ナイフで傷を付けたり、幻の絵の具で印をつけていく。
「(こうやって……注意喚起をすれば、他の人が危険な目に遭うのも軽減されるはず、よね?)」
赤く大きな文字で『かべ!』やら『ちゅうい!』と記しておく事で、安全な道に誘おうという事のようだ。
「まぁ確かに、先に道あれば響きも違うものよな」
一方自身の感覚に頼るへとろは、一つ一つの鏡をコンコンとノックするように手や足で叩いていた。彼女も同じように音の反響具合で推し図ろうという考えらしい。
そうやって探していたが、暫くしてある程度のあたりを見繕うと、タンタン、と足で節を刻み始める。そうしていくとそれは唐突に武舞へと変容していった。タンタタンと鏡を見ながら、己に酔いしれるかのように舞う。鏡にいくつもの彼女の虚像が映り込み、どれが本物なのか一瞬分からなくなるくらいに、綺麗な踊りである。
空中に描くは失力の黒。
それは鏡に向かうと、腐食していくかのように接した面から溶けていく。
これは彼女の持つユーベルコード、異能・武舞姫の彩(ブブキノイロドリ)の効果であった。自由自在の描き出された色が命中した相手にダメージを与え、もし外れたとしても舞台の幻が現れて自身の強化をする事が出来る技である。
「こんなものなくてもウチの武舞なら壊すのは容易じゃがなぁ。……ただ切り傷はのー痛いからのー」
手刀足刀で断ち切り新たな道を開くへとろ。だがこの利便性だけでない理由も含めてユーベルコードは使用されていた。ただ単に壊してしまえば、破片が飛び散ってしまうかもしれない……そんな配慮の元であったからだ。
「まぁ凄いわ!ふふ、なら私は印をつけておくわね?」
「うむ、頼んだのじゃ」
へとろが切り開いた道の床に、灯が印をつけてゆく。だが、無理やり攻略しようとする者は確かにいないが、ちょっとした傷が出来てしまう事はままあった。
「なら私に任せて!」
そう言い微笑む灯はマッチを1本箱から取り出し、やすりに擦る。すると柔らかな光がぼう、と灯る事だろう。
『マッチはいかが? きっと、素敵な幻燈が見れますよ』
彼女がそう詠唱すれば、それは癒しの力となって傷を癒していく。それは癒しの幻燈(イヤシノゲントウ)というユーベルコード。高速で治療を行うそれは、あっという間に傷を跡形もなく消してしまった。
そうして互いに協力し、時にサポートをしていけば、ようやく猟兵達の求める出口へと辿りつく事が出来るだろう。
「ウチにはちと物足りんかったかのー」
「簡単すぎる。それに知恵がなくとも容易に突破出来そうだ」
「……これなら踏破者がいたのも納得出来るのぅ」
「取り敢えず!ここまで一緒に探索してくれてありがとう、2人とも。それに、可愛い2匹のおチビさんも!」
「ああ、有難う。……だそうだぞ、デイズ、ナイツ」
『きゅきゅーい!』
かくして猟兵達───もとい3人と2匹はこの迷宮から抜け出す事が出来た。だが、その抜けた先に待ち構えていたのは彼女の住まう洋館であったのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 冒険
『洋館アンダーグラウンド』
|
POW : 各部屋の仕掛けを力技で突破する
SPD : 各部屋を足を使って隅々まで調査する
WIZ : 各部屋に仕掛けられた魔術的な仕掛けや謎を解く
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ふふ……猟兵さん達まであの噂を信じて入ってきたのかしらぁ?取り敢えず、最初の迷宮は抜けたみたいだけれど」
そう述べるのは、少女の姿を持つオブリビオン。くすくすと嗤う彼女にとって、猟兵達も騙されて誘い込まれたも同然のようである。
「でも私の所まで辿りつけるのかしらね?」
せめて辿りついて貰わなければ。そうでなくてはつまらないだろう、と彼女はさもつまらなそうに考える。そうして、周囲に人形を浮遊させながら彼女は続けて言葉を紡ぐ。
「来れたらご褒美でもあげちゃおうかしら。そうね、“残酷な真実”とか?あぁそれもとても面白そう!」
────ねぇ?楽しませて?猟兵さん?
テーブルの上にある紅い林檎を小さくつつけば、それは刃物で切られたかのように真っ二つに割れてしまう。その果実をシャクリと齧り、彼女は嘲笑う。
彼女は逃げも隠れもせず、この洋館の最奥に待つのみ。だが、そんなメアクリスを倒すにはこの洋館を攻略する他ない。
そう覚悟をし腹に決めた猟兵達は、この洋館を攻略する為に進み始める事だろう。
ベリザリオ・ルナセルウス
●目的
ここにも仕掛けがあるのか
鏡の迷路に簡単には突破できない館か
精神的な消耗は判断力も鈍らせる
敵に回すと嫌なタイプだ
できるだけ早く仕掛けを解きたいが……さて
●行動
どうやら魔術的な仕掛けもあるようだ
私の【世界知識】に類似した物がないか思い出そう
触ったように感じる幻覚、本来の物とは違うように見える幻視作用
そう言う物なら【鈴蘭の嵐】の花弁の動きを見たり【生まれながらの光】で光の屈折率を変えれば分かるかもしれない
隠された仕掛けのスイッチなどは【失せ物探し】の要領で探してみよう
【楽器演奏】と【歌唱】で鍛えた【聞き耳】なら、音の反射で空洞も感じられる
小読・灯
探索ね。面白そう。
カンテラに火をつけて明りをつけて、隅々まで仕掛けや秘密を探していきましょう。
例えば本棚や飾られている絵を動かしたらそこには隠し通路やスペースがあるのは定番よね。机があったら中身を探すし、本棚を見つけたら本を一回全部出してみるわ。
他にはシャンデリアを引っ張ったら仕掛けが起動したりしないかしら?鞄からロープを取り出してひっかけて試してみましょう。
怪しい書類にはマッチで炙り出しを試したり、床の絨毯をどかして何かないか試したり、食堂においしそうなものがないか探したり、少し摘み食い…は駄目かな?
念のため、危険な罠があったら回避しやすいように【絶望の福音】を使えるようにしておきましょう。
●結露を拭うのは
先の迷宮を攻略し、オブリビオン・メアクリスが潜む洋館へとやってきた、ベリザリオ・ルナセルウス(この行いは贖罪のために・f11970)、小読・灯(灯火・f01972)の2人は、迷宮の中にある洋館へと足を踏み入れていた。
「ここにも仕掛けがあるのか。攻略法は………探索してみない事には分からない、か」
「探索ね。面白そう」
ベリザリオのその言葉に反応したのは、灯だ。マジックミラーの迷宮攻略の後、後続の猟兵として攻略をしここまで辿り着き、後続の猟兵達も先んじて攻略していた自分達と共に行動を共にすることになったのだ。
「けど、鏡の迷路に簡単には突破できない館、ですか。精神的な消耗は判断力も鈍らせる。……敵に回すと嫌なタイプですね。できるだけ早く仕掛けを解きたい所ですが……さて」
「それなら、カンテラに火をつけて明りを灯し、隅々まで仕掛けや秘密を探していきましょう」
灯はそう提案すると、カンテラへと明かりを灯す。すると、アセチレンの少し焦げた匂いが周囲に広がりを見せるが、直ぐに空気と混じり消えてしまう。
そうして準備を終えれば、早速部屋へと進んで突破法を思案する事だろう。
「どうやら魔術的な仕掛けもあるようだ」
ベリザリオはそう呟くと、自身の思い当たる事例がなかったか考える。世界知識はある程度身につけている彼は、そっと絵の飾られた場所に指を準えるようにしながら見つめる。
「(触ったように感じる幻覚、本来の物とは違うように見える幻視作用………そう言うものならユーベルコードを活用する事で、なにか分かるかもしれない)」
そう思案していた彼であったが、ユーベルコード【鈴蘭の嵐】を発動し始めた。白く舞う鈴蘭の花弁は、どこが本来の物質として形を成す壁であるのかを如実に示している。その為、粗探しも大変しやすくなっていた。
「(ここは何故か花弁が壁を貫通しているな)」
そう、ベリザリオが目をつけたのは、ユーベルコードによって探す事の出来た“隠された何か”である。見せかけの壁というだけでは、彼の目を欺けない。
そうして見つけた普通の壁と違ったものとは………どうやらドアのようだ。金装飾のドアノブが、普通の壁と段違いの所に付いているのが分かる。
「(ここが出口なのか………?いや、そんな事ある訳がない)」
そもそもこの洋館を創り出したのはあのオブリビオンである。そんな簡単に見つかる訳がない。そう考えつつもドアノブをベリザリオが捻れば、そこにあったのはこの部屋にはなかった筈の、本棚、であった。
「こんな所に本棚があったのね。隠し通路がてっきりあるものだと思っていたのだけど…そういうパターンもあるのね」
ベリザリオが見つけたその本棚を見ながら述べる彼女は、何を思ったのか本を取り出し始めた。
「私も手伝います、灯嬢」
彼がそう言えば、灯もにこやかにお願いするわ、と話す。そして、2人で本棚から本を全部取り出したのだった。
「これは……」
「出してみて正解だったみたい!」
本棚の奥には、魔力探知ができないような仕掛けが施されている新たな扉。棚枠を2人がかりで外せば、両辺に金具がついており、それを取り外す事で初めて“回転性の扉”としての生を成す。こうして新たな通路を見つける事が出来たベリザリオと灯は、次の部屋へ向かおうと扉を開くのだった。
開いたそこは長い1本の通路である。そして暫くそこを歩けば、工房らしき部屋が見つかる事だろう。
「工房ね。……色々とあるし、何より美味しそうだわ!」
喜色を帯びた声を灯が出せば、工房というには少しオシャレな部屋であるそこに、様々なスイーツの類いが置いてあるのだった。少女が嬉々として声を上げてしまうのも無理は無い。
「(少し摘み食いは…………駄目かな?)」
そうして、そろり、と彼女がケーキスタンドにあるマカロンに手を伸ばせば、タイミング悪くベリザリオから声がかかることだろう。
「ここにも仕掛けはあるでしょうし、2人で探してみま───灯嬢、どうかしましたか?」
「!い、いえ何でもないわ。そうね、探して見ましょう!」
即座に手を引っ込める灯。だが、食べられない事を少し残念に思いつつ、彼女も次の解法を求めるのだった。ここからも、準じて2人の知識や思いつきが功を奏して、攻略を進める事が出来た。
まずはベリザリオが、鍋の中の水に【生まれながらの光】を当て、屈折率等を調節する事でメッセージを見つけ出す。対して灯は、置いてあるレシピ本の怪しい場所に炙り出しをする事で、次に繋がる情報を得たりと……2人は順調に事を進めていったのだった。加えて仕掛けられた罠が発動した時は、灯のユーベルコード【絶望の福音】による補佐で回避したりもした。そうしていけば、自然と攻略へと至る事になるだろう。
「ここも無事にクリア、という事だろうか……?」
見事、次の部屋への扉を見つけたベリザリオのそんな呟きに、灯は笑顔で答える。
「えぇ、きっとそう。でも次の部屋は何かしら?リビングルーム?書斎?────それとも彼女の居る場所かしら」
「………いつでも対処出来るように、構えていなければなりませんね」
そう言うと、2人はいつ彼女と対峙してもいいように心積りをしながら扉を開く事だろう。するとそこにはまた扉があり、物々しい気配を察知出来る。これは、誰もがあのオブリビオンの気配だと理解する事が出来るだろう。……どうやら隠れる気は、更々ないようだ。
───こうして猟兵達は、メアクリスの待つ“最後の部屋”へ辿り着いたのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オーガスト・メルト
簡単過ぎる試練ね…念の為に館に入る前に鋼糸を外に結んで行くか。
杞憂で終わればそれでいい。
【P O W】連携・アドリブ歓迎
U C【竜王の焦熱庭園】を使う。
条件は「オブリビオンの力が込められたもの」だ。
これで館そのものが燃えるようなら「メアクリスの力が込められたもの」に条件を変えて使用する。
これでヤツが仕込んだ罠やギミックの場所は分かるはず。
もしも何も燃えなかったら、地道に仕掛けを探すが…
その場合は、この館がヤツの作ったものじゃないという事になるがな。
セルヴィ・アウレアム
「…タネが割れてるんやしさ、洋館ごと爆破でもしたったらええんちゃう?」
まあ、無粋極まりないやり方やけどな。と濁しつつ、足を踏み入れる。
●行動「POW:各部屋の仕掛けを力業で突破する」
シーフとしての長年の経験と一部のカンをもとに仕掛けを発見、そしてそれらを敢えて「完膚なきまでに叩き壊して」進む。
あくまで攻略をメインとするのではなく、選定のための罠を片っ端から二度と使えなくしてやることで、メアクリスの逆上を誘い、戦う際の冷静さを欠かさせることを狙う。
アルファ・ユニ
またトラップが多そうな迷宮だな…こういうの考えたり配置するのって難しいし面倒臭くない?メアクリスさん、暇?
ノーヒントでトラップ迷宮の攻略は難しいな?ユニ達の前に挑んだ探索者さんがいる。ならその先人の足を追う。
UCでその残留思念を読んでどこにどんなトラップがあったかを確認しよう。人が通らなくて記憶のない道はクラハライツに録り溜めた超音波で迷宮内をエコー検査。
トラップの位置をしっかり把握して、仲間に指示したりも。
安全に確実に避ける。
…身体能力には自信ないからね。ユニ文化系女子だから
九尾・へとろ
■WIZ
ひょひょ、これはこれは。
迷宮の地下深く抜け足れば見事な屋敷とはな。
凄いのーアルダワ。平屋ばかりのエンパイアとは大違いじゃな。
どのような罠があるかはわからんから慎重に、じゃな。
とりあえずは動体に反応する罠にかからんよう、進行方向に色を飛ばしてみるかの。
あとは…定番は足元で反応するやつか。コレは用心するしかないかの~。
少し広い豪奢な部屋…舞踏会場みたいのもあるかのう、この屋敷は。
もしあったら、少々高揚して思わず舞ってしまいたくなるかものう。
ひょひょ、ウチは大人の女で暗殺者、しかして舞いを愛する武舞の姫じゃ。
この舞はここの主への手向けの舞いよ。
どこぞかで見ておるなら、覚悟しておくがよい。
●永遠なる試練
迷宮の入口。そのとても迷宮とは思えない洋館の体をなしている門前に、猟兵達が集っていた。
それはオーガスト・メルト(竜喰らいの末裔・f03147)、セルヴィ・アウレアム(『迷宮喰らい』セルヴィ・f14344)、アルファ・ユニ(愛染のレコーディングエンジニア・f07535)、九尾・へとろ(武舞の姫・f14870)、の4人であった。
「ひょひょ、これはこれは。迷宮の地下深く抜け足れば見事な屋敷とはな。凄いのーアルダワ。平屋ばかりのエンパイアとは大違いじゃな」
迷路の先に在るその聳え立つ洋館に、へとろは関心を持ちながらそう述べる。そう、見上げんばかりのこの館は、オブリビオンをずっと奥深くへと隠しているのだ。
「…タネが割れてるんやしさ、洋館ごと爆破でもしたったらええんちゃう?」
ここがオブリビオンが潜んでいる事は確定しているのだから、それならもういっその事館ごと……と考えるセルヴィはそう言う。
「うーん、確かにその発想はなかったかも?」
「まあ、無粋極まりないやり方やけどな。そんな簡単な話とも思えへんし」
「そうだね……斬新なアイデアだとは思うけど、それで解決してたらこんな事にはなってないよね」
「それ故、“簡単過ぎる試練”とも言えるな。過信させておいて過ちを誘発させる、なんて狙いも有り得る。………念の為に館に入る前に鋼糸を外に結んで行くか」
セルヴィとユニの会話を聞きつつも、そうして周囲を眺めるオーガストは、念には念を、という事で洋館前の樹木に鋼糸を括り付ける事だろう。それはメアクリスが創り出した迷宮なのだから油断は禁物だ、という考えからであった。
「(杞憂で終わればそれでいい)」
仕掛けた鋼糸を今一度確認するオーガストは、そんなことを思案する。
こうして互いに準備を整えた猟兵達は、いよいよ洋館へと足を踏み入れる事だろう。
踏み入れたそこは、アンティーク調の家具が多い一般的に思い浮かべられる洋館の一室。だが、入った瞬間から玄関口やロビーではない…というのもなんとも奇っ怪である。その様子を見て、ユニが言葉を零す。
「またトラップが多そうな迷宮だな…こういうの考えたり配置するのって難しいし面倒臭くない?メアクリスさん、暇?」
……彼女がそう言ってしまうのも無理は無い。というのも、如何せん小道具が多いのだ。それも相当な魔力が込められた物が。
「いいや、ただのバカ女だな。そんな暇があるなら、俺はもっと有意義な時間にする為に費やす」
よもや呆れるな、と続けてオーガストは述べる。面倒な仕掛けやら何やらで覆いつくされた部屋は、一々探すのも一手間だ。オーガストもそう考えたのか、唐突にユーベルコードを発動する。
「デイズ、オブリビオンの力が込められたものを焼き払え!」
『きゅぅーーい!』
彼がそう言えば、デイズもひと鳴きして返答する。それはユーベルコード【竜王の焦熱庭園(コート・オブ・ドラゴンズ・ロウ)】による攻撃。本来ならオブリビオンに使用される技であるが、定めた条件を変更して発動する事で、仕込まれた罠やギミックを一掃しようという考えのもとだ。
事実、彼のこのユーベルコードによって仕掛けられた罠等の燃え尽くされた残骸が出来ている。
「へぇ、中々にやるなぁアンタ。……これじゃあウチの出る幕はあらへんやろか?」
これにセルヴィは驚く。確かにこれがあれば、他の猟兵達の仕事が減るかもしれない。このままであれば、の話だが。
「次の扉が現れたな。先に進もう」
何はともあれ、進む為にドアノブに手を掛け捻ると、そこは長い通路があった。
「突き当たりに部屋があるみたいだね」
「そうじゃの………っと、どのような罠があるかはわからんから慎重に、じゃな」
もしかして通路にも何か仕掛けがあるのかもしれない。へとろはそう考えながら、対処方法としてユーベルコードを使用する。
「長袖よく舞い、多銭よく賈うとも言うじゃろ?───条件下をウチらが有利になるようさせてもらうとしよう」
そう述べた直後、彼女のユーベルコード【異能・武舞姫の彩(ブブキノイロドリ)】が発動される。それを、動体に反応するような罠を避ける為の手段として用いたのだった。色が壁や床に着こうとした時、確かにトラップが発動し矢の嵐が降り注ぐ。進行方向に対しユーベルコード使用時の“色”を飛ばす事で判別しているのである。
「(あとは…定番は足元で反応するやつか。コレは用心するしかないかの~)」
へとろは考えながら、タンッと軽快な音を踏み鳴らして罠を避けていく。それに習い、他の猟兵達も罠を回避していき、次の部屋に辿り着く事だろう。
「それにしても、ホンマにこんな猪口才な罠に引っかかるとでも思っとるんか?……せやったらお門違いも甚だしいで」
バキッ! ドゴォッ! ガンッ!
そんな不気味な音をたてながら、罠やギミックをぶっ壊していくセルヴィは、他の猟兵の助けのみならず自身でそれを見つけ出していた。これは彼女が、シーフとして培ってきた経験と勘によるものだろう。そうして、それらを“敢えて”完膚なきまでに破壊して進んでいたのだった。勿論、以前の部屋のトラップも全て破壊済みである。…………その行動も考えあってのことだが。
「(攻略メインではやっとらんからなぁ、ウチは。これでボロが出るとええんやけど)」
全ては最終決戦の為の布石。メアクリスが愉悦の為にわざわざ用意した恰好の舞台を、二度と使えないように壊すことで逆上を誘う。そうすれば戦う際の冷静さは少なからずとも欠くこととなるだろう。セルヴィはそんな風に思考を巡らせる。
そうしてどんどん進んでいけば、新たな部屋が視認出来る事だろう。両開きの大きな扉を潜ればそこには───舞踏会場のような、ダンスホールがあった。壁際近くには沢山のテーブルと、バイキング形式にタルトタタン、ミルフィーユ、ザッハトルテ………等のスイーツが並ぶほか、簡易的な食事もあった。半開きになったクロッシュからは、まだ暖かいスープの香りが漂っている。
「……何だか、先程まで人がいたような演出だな」
「うぅむ……ここではユーベルコードの効果が上手く発動せんのう」
「何かしら仕掛けがあるんやろ。けど、このままやと情報が少ないわ」
「───やっぱり、ノーヒントでトラップ迷宮の攻略は難しいな?でもユニ達の前に挑んだ探索者さんがいる……ならその先人の足を追った方が確実性のある情報が得られると思う」
そう述べるユニはユーベルコードを使用する。
「………今だけ、聴かせて」
それは【サトリの宿命(サイコメトリー)】というものであった。これを使えば、残留思念や物の記憶を読み取る事が出来るのだ。
ここに来ているのであれば、必ず扉に触れているはず。そう考え扉に手を添えて、読み取ってみれば、案の定ここへ訪れていた探索者達の陰影が映されることだろう。
「(!やっぱり………ここには訪れてたんだね。そして彼処にトラップがあって……)」
彼等が行く道筋を一緒に辿れば、それはしっかりと場所を教えてくれる。
「成程な。これでトラップの位置を把握する、という訳か」
オーガストが、これに感心しつつも壁に触れようとした時鋭く声が飛ぶ。
「待って!そっちにも罠がある!」
そう言うユニは、サイコメトリーで罠の攻撃を弾き彼への追撃を防ぐ。
「………助かった」
そうして防ぎ切ったあとは、クラハライツに録り溜めた超音波を使用し、迷宮内をエコー検査等して周る。それは安全に、且つ確実に避ける為であった。
こうして、ユニやへとろが察知しセルヴィとオーガストが破壊していくことで、迷宮内のトラップというトラップが使い物にならなくなっていく。そうしていけば、後に残るのは只々空間が広がる、ダンスホールのみであった。
────トラップという脅威を壊せば、猟兵達が視認する限りに罠はもう見つからなくなるだろう。
「ひょひょ、ウチは大人の女で暗殺者、しかして舞いを愛する武舞の姫じゃ。この舞はここの主への手向けの舞いよ」
危険のなくなった舞踏会場に気分が高揚したのか、へとろはそう言うと軽やかに舞い始める。それは彼女が述べたように、この館の主に向けられた挑戦的な踊り。そうして、何処かから此方を覗くそのオブリビオンに、へとろは身体を持ってして表現するのだ。
「(どこぞかで見ておるなら、覚悟しておくがよい……!)」
そんな彼女の舞が終わると、いよいよ次の扉へと進む手筈を整える事だろう。
「ここからあのバカ女の気配がするな?」
「せやな。隠れもしないトコだけは大物やで。……褒め言葉やあらへんけどな」
「今頃きっと、怒りに怒ってるやもしれぬの」
「メアクリスがどんなに憤怒していようと、それは彼女が招いた結果……だったらそれは間違ってるんだって、誰かが教えてあげないと駄目だよね」
4人はそう言い合いつつ頷くと、目の前に佇む扉を見つめ覚悟を決める。
───こうして猟兵達は次の部屋、メアクリスが待つ扉の向こうへと足を踏み入れることとなるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『人の業より生まれし神『メアクリス』』
|
POW : 殺戮人形召喚
いま戦っている対象に有効な【複数の自爆機能付きミレナリィドール 】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
SPD : ナハト・フリューゲル
自身に【武器や防具にもなる変質的なオーラ】をまとい、高速移動と【氷の魔法術式の込められた羽】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 強制支配命令権
【声を出して物質に干渉する事】から【遠隔操作や超常現象まで引き起こせる命令】を放ち、【言葉に込められた強制力】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:rate
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「イヴ・イルシオン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ようやっとメアクリスの元へ辿り着いた猟兵達。彼女は自身のドレスをふわりとはためかせ、君達へと向き直る事だろう。………だが、それはこれまでの様子とは少しばかり転じている気がする。
「ふ、ふふ…………やっとここまで来れたのねぇ?待ちくたびれたわ。女性を待たせるのは紳士的ではなくってよぉ?」
歪に嗤う彼女は、とてもとても嬉しそうで───それでいて醜い感情をも持ち合わせていた。
「………………………よくも私の大事な舞台を壊してくれたわね?それは死にたいって事かしらぁ?あは、そうでしょうそうでしょうそうでしょう!!!」
狂ったように叫ぶメアクリスのその言葉は、異様にヒステリックじみていた。……どうやら彼女は、せっかく時間をかけて用意した“玩具の家(トラップ)”を、猟兵達によって破壊されたのが気に食わないようだ。勿論、自身に向けられた拒絶の言葉もメアクリスは気に食わない。
だって彼女は、全て自分の思い通りにしたいのだから。
「貴方達が信じていた“禁断の果実”なんて勿論ここにはないわァ!!あははははは!ここで死に果てる運命なのよぉ!」
憤怒に正気を失った彼女を倒さなければ、この依頼は遂行されない。猟兵達はそんな乱心し切ったメアクリスを倒すために、彼女に立ち向かう事となるのであった──────。
オーガスト・メルト
『大事な舞台』?元からあった迷宮にお前が寄生しただけだろう?
ここが全てお前の作った世界なら、既にデイズの炎で燃え尽きてるはずだからな。
【POW】連携・アドリブ歓迎
襲ってくる自爆人形の動きを【見切り】、
鋼糸で絡め捕って【敵を盾にする】と同時に別の人形にぶつけて破壊する。
本体へ【ダッシュ】で接近し、炎の【属性攻撃】を【2回攻撃】する。
隙が出来たらUC【赤光一閃】で斬る。
…まだ情報が足りないな。適当な推理をでっち上げて煽ってみるか…
ひょっとしてお前、この迷宮に「禁断の果実」を探しに来て死んだのか?
だから「ここで」、「探索者を贄として求めてる」のか?
だとしたら、お前はなんとも哀れなバカ女だな。
小読・灯
(大げさにからかう様に驚いて)
まあ、なんてこと。楽しみにしていたのに、禁断の果実。みんなを騙していたのね、ひどいわ。
……なんて三文芝居はやめましょうか。
(くすくすと笑いながら)
お人形さん、そんなに怒らないで。折角の可愛さが台無しよ。それに、アナタの大事な舞台、全力で楽しませて貰ったわ。色んな仕掛けがあって観客は大満足、正しく遊んだ結果壊れたんだから、次はもっと頑丈に作ればいいじゃない。
あら、ごめんなさい、いけないわ。次なんてなかったわね。アナタはここで過去にかえるのだから。
待たせてしまった分、できるだけ早く過去へエスコートしてあげる。
全身を炎にかえて【ブレイズフレイム】炎で呑み込むように放つわ
●物語の終焉を
最終戦にてオブリビオンと対峙する運びとなった猟兵達は、ヒステリックになったメアクリスへと言葉を放つ。
「まあ、なんてこと。楽しみにしていたのに、禁断の果実。みんなを騙していたのね、ひどいわ!」
禁断の果実なぞ存在しない、と言ったメアクリスに対し、少し大袈裟にも思えるような驚き方をしたのは小読・灯(灯火・f01972)だった。それは幾分からかっているようにも感じる。
「……なんて三文芝居はやめましょうか」
無論、それは彼女の演技であるのだが。
それでもメアクリスは怒り、その纏うオーラや表情はますます壮烈さを増す。
「ええ、是非そうして頂ける?そも、そんな芝居を打って私を怒らせて、なにがしたいのかしらぁ?火に油を注ぐってご存知?」
そんな、明らかに怒りを露わにするオブリビオンに対し、灯はごく冷静に返答をするだろう。
「お人形さん、そんなに怒らないで。折角の可愛さが台無しよ」
そうして、くすくすと笑いながらも尚、続けて述べる。
「それに、アナタの大事な舞台、全力で楽しませて貰ったわ」
「………だけれど、私の“大事な舞台”を壊したのは貴方達でしょぉ?今更機嫌取りをしようとしても無駄よぉ」
メアクリスが灯を見つめ、そう言ったがしかし、神経を逆撫でして怒りを誘うような発言が放たれる。
「──『大事な舞台』?元からあった迷宮にお前が寄生しただけだろう?」
そう言い捨てるのは、オーガスト・メルト(竜喰らいの末裔・f03147)。彼がそう話すのには、歴とした理由がある。
「ここが全てお前の作った世界なら、既にデイズの炎で燃え尽きてるはずだからな」
そう。オーガストはここに辿り着く依然に、デイズの攻撃で“メアクリスが創造したもの”を焼却していたのだ。だが、それによって焼かれたのはトラップだけ。つまりは洋館自体に関しては、それより前に作られたものなのだという証明に他ならない。
「なんですって………!寄生だなんて、人聞きが悪いわねぇ!」
「まぁまぁ、落ち着いてお人形さん。───色んな仕掛けがあって観客は大満足、正しく遊んだ結果壊れたんだから、次はもっと頑丈に作ればいいじゃない」
にこりと笑みを作って灯がそう言う。そして、ころん、と首を傾げてまた述べるだろう。
「あら、ごめんなさい、いけないわ。次なんてなかったわね。アナタはここで過去にかえるのだから」
─────それが戦いの合図となった事は言うまでもない。こうしてメアクリスとの戦いが幕を開けた。
「過去にかえるですって?それは貴方達の方でしょぉ!!!!」
激情するメアクリスは、そんな2人に向かって攻撃を放つ。それは自爆機能付きのミレナリィドールであり、灯とオーガストに攻撃を加えてくる事だろう。
しかしオーガストはそれを見切り、ひらりと華麗に避けていく。そうして容赦なく接近してくるその自爆人形を、鋼糸で絡めとって他の人形にぶつける事で相殺を図っていた。
「(小賢しくやっているようだが、自分は動く気がないみたいだな。………全部他人任せか、いい性格してるな?)」
しばし静観していたオーガストは、唐突にオブリビオンに急接近すると炎属性の攻撃を加える。
「く………………っ!」
それに怯み、メアクリスに多少の隙が生じた瞬間ユーベルコードが発動された。
「我が抜刀に……斬れぬものなし」
それは【赤光一閃(ヒートクリムゾン)】というオーガストのユーベルコード。抜刀された焔迅刀による超高速&高火力の斬撃は、オブリビオンに見事ヒットする事だろう。
「さっきから邪魔なのよぉ!」
だが彼女も負けじと攻撃形態を展開していき、有象無象にミレナリィドールを生み出していく。それは明らかに殺意の篭った攻撃であり、今や揶揄う様子も見られない。
「(…まだ情報が足りないな。適当な推理をでっち上げて煽ってみるか…)」
そう考えるオーガストには、未だ納得できない事があった為、それを氷解する為に口を開く。
「ひょっとしてお前、この迷宮に『禁断の果実』を探しに来て死んだのか?だから『ここで』、『探索者を贄として求めてる』のか?───だとしたら、お前はなんとも哀れなバカ女だな」
これはオーガストのただの推察。だが否定しきれない部分もあったのか、彼女は怒りを滲ませ猛攻を加えてくる事だろう。
「五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い!!!!!」
金切り声を上げんばかりに叫ぶ彼女は、もう猟兵達の問いかけなど耳に入ってはこなかった。けれど、そんな彼女に灯は語りかける。
「待たせてしまった分、できるだけ早く過去へエスコートしてあげる」
ふわりと微笑む灯は、ユーベルコード【ブレイズフレイム】を使用してメアクリスに炎の攻撃を与える。その見に降り注ぐ紅蓮の炎は、煉獄をも思わせる実に苦しさを伴うものであった。……既にその身は火傷の痛々しい痕で覆われ、また焼け爛れ片目が開かなくなっている事が視認出来る。
こうして、トドメとはいかないまでも痛手を負わせた灯とオーガスト。その攻撃の数々は、メアクリスを追い詰める結果となったのである。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ベリザリオ・ルナセルウス
私の目的は禁断の果実ではありません、あなたです
戦う前に一つ聞きます
今まで犠牲になった方々の遺体か、せめて遺品だけでも弔いたいのですが、ご存じありませんか?
分からないのであればあなたを倒してから探しましょう
私は人を守るために力を望んだ。この場で戦いを避ける事はいたしません
●戦闘
※アドリブ、連携歓迎
【祈り】を込めて【Misericordia musica】を演奏して自分と味方の精神を【鼓舞】しよう
これで多少ではあるけど【呪詛耐性】も付けられる
私は盾と剣での防御が得意だが、動きを封じられたら【祈り】を武器に込めて【鈴蘭の嵐】で攻撃する
危険な時は【無敵城塞】と【生まれながらの光】で臨機応変に対応する
九尾・へとろ
やれやれ、やかましいのー。
口うるさい怒りっぽい女は男心をくすぐれやせんぞ。
じゃが虚言を弄して人の気を引くのは悪くないのう。
なにしろ魅力がない輩は嘘に縋るしかないからのー、ひょっひょっひょ!
軽口を叩くついでに舞いの拍を刻むとしようかの。
舞いに乗せへとろの異能にて、色を描き飛ばして他の猟兵の支援をしようか。
描くは赤と橙、おぬし様の心を描いた色よ。
短気の色とでも言えばよいかの、ひょっひょ。
強い言霊を持っておるようじゃが、果たしてその言葉でウチの舞いを止められるかの?
おぬし様…メアクリスとか言うたかの?
ひょひょ、ウチの武舞とどちらが強いか勝負じゃな。
ウチが勝ったら…ひょひょ、お代は首をいただこうかの。
●悪し様に罵られても
先んじて行動していた猟兵達と同じく、メアクリスの元へとやって来た2人の猟兵がいた。その内の一人、ベリザリオ・ルナセルウス(この行いは贖罪のために・f11970)はメアクリスを見据えたまま言葉を放つ。
「私の目的は禁断の果実ではありません、あなたです」
それは彼の、オブリビオンを倒すための決意を表した言葉。同時に、以前より気になっていた事を聞き出す為の前口上とも言えるかもしれない。
「戦う前に一つ聞きます。………今まで犠牲になった方々の遺体か、せめて遺品だけでも弔いたいのですが、ご存じありませんか?」
「はぁ?そんなもの、知るわけないじゃない。そこら辺にでも無様に転がってるんじゃなぁい?」
そう述べるメアクリスが、部屋の片隅のシーツのような布が掛けてある小さな山を乱暴に蹴ると、ゴンともガンとも似つかない、なんとも鈍い音がする。………この時点でベリザリオは悪い予感がしてしまう。出来る事なら当たってほしくない予感が。
「そう、ですか。─────なら、貴方を倒してから探しましょう。………私は人を守るために力を望んだ。この場で戦いを避ける事はいたしません」
彼は返答する。ごく冷静に。そんな彼の目は真剣そのものであり、まるで断罪人のようでもあった。だが彼女はそれすらも否定して、罵詈雑言を吐き捨てる。
「善人ぶったって無駄よぉ!汚らしい猟兵が、正当だの倫理だの理だのを語るのも嫌気が差してるっていうのに、今度はなに?私を倒して犠牲者を弔う?戦いを避ける事はしない?あっははは、は……馬鹿言わないで頂戴!そんな綺麗事がまかり通っていたら今更こんな事、起きてないわぁ……!」
怒りをふつふつと湧きあがらせ、オブリビオン・メアクリスはそう叫び声を上げる事だろう。しかしこれに苦言を呈す猟兵がいた。
「やれやれ、やかましいのー。口うるさい怒りっぽい女は男心をくすぐれやせんぞ」
それは、九尾・へとろ(武舞の姫・f14870)であった。彼女もまた、ここに辿り着くに至るまで依頼の解決に貢献し続けてきた猟兵だ。
「じゃが虚言を弄して人の気を引くのは悪くないのう。────なにしろ魅力がない輩は嘘に縋るしかないからのー、ひょっひょっひょ!」
続けて述べられたそのへとろの言葉に、メアクリスはまた憤慨する。そうして、へとろの(メアクリスの感じた限りでは)卑下し見下してくるようなその発言で、戦いが始まる事となった。
「(動きを封じてくるあの攻撃は厄介だな。………なら、それ相応の対処をしなければ)」
そう考えるベリザリオは、祈るようにMisericordia musicaで演奏を奏でる。竪琴から鳴らされる1音1音が、自身を含む猟兵達を鼓舞するように、精神を落ち着かせていく。これによる呪詛耐性で、強制支配の呪縛にはかからなくなる事だろう。
「(中々に懲りないな。しかし、どれだけ怒ろうともそれは人々を巻き込んでいい理由にはならない)」
熾烈な攻防を繰り広げつつ、そう思う。盾や、時には剣を使って攻撃を防御していく。
「鼓舞の援護、感謝するぞ。ひょひょ、猟兵は1人ではないのじゃがのぅ。と…………後ろがガラ空きじゃ!」
それに対してすかさず反応したへとろは、ユーベルコード【異能・武舞姫の彩(ブブキノイロドリ)】を使用する。その舞によって描き飛ばされた色は、赤や橙といった、鮮烈な印象を与える色ばかり。
「描くは赤と橙、おぬし様の心を描いた色よ。短気の色とでも言えばよいかの、ひょっひょ」
心象心理を表したそれは、ますます彼女を怒らせる材料となる事だろう。だが、そんな彼女に構わずへとろは述べる。
「強い言霊を持っておるようじゃが、果たしてその言葉でウチの舞いを止められるかの?おぬし様…メアクリスとか言うたかの?ひょひょ、ウチの武舞とどちらが強いか勝負じゃな」
彼女はそう言うやいなや、ユーベルコード【武舞【オトギリソウ】(オトギリソウ)】による舞が踊られる。思わず感嘆の声を漏らしてしまう程のその舞は、綺麗な上に攻撃手でもあったのだ。しかしメアクリスはそれでも尚、攻撃手段を封じようと更に攻撃を加えていく。
「(!………また封じようと試みるつもりか?)───そうはさせません!!!」
だが、ベリザリオはそれを赦さない。ユーベルコード【鈴蘭の嵐】によって視界不良とすると共に、絶え間なく攻撃を与える事で反撃の隙を与えないようにしたのだ。祈りが込められたそれは、メアクリスにとっても厳しいものとなるだろう。
こうして此方の2人も、メアクリスの体力を消耗させる事が出来たのだった。焼けただれ、身体中に傷を作り、彼女はもう満身創痍と言った所だ。後続の猟兵達の支援を待ちながら、依然としてメアクリスに立ちはだかる2人。
「ウチが勝ったら…ひょひょ、お代は首をいただこうかの」
へとろがそう言葉を発する。彼女達が狙うは、メアクリスの討伐。しかし──────そんなメアクリスが倒れるのも時間の問題となってきていたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アルファ・ユニ
基本は戦場に展開した精霊の視界をクローネに集め、戦況把握からの指示。
メアクリスさんの言葉をひとつ残さず録音しながら戦闘。
…一応ね?
隙を見て音銃からメアクリスさん一直線にUCを放つ。でも一応音だから仲間が接近戦をしていないときに。聴こえたら大変。
命令が声によるものなら、音波勝負。
序盤に使われたらUCでかき消して、終盤の発動なら思考を読む右眼で次に紡がれる言葉を予測し、クローネにサンプリングしたメアクリスさんの声を組み換え位相反転した音でノイズキャンセル。声ごと命令を打ち消す。
1音たりとも仲間には届かせない。
セルヴィ・アウレアム
「おしおし、予定通り予定通り。んじゃま、ウチは補助に回らせて貰うとしよか。」
他の猟兵が奮闘している間に姿を隠し、不意打ちの準備を整える。
準備が出来次第、UC「マギア・ガトリング」を使用してメアクリスの足元、天井を崩し、瓦礫等からの防御に【強制支配命令権】を使わせる。
【殺戮人形召喚】を使用するのなら、『援護射撃』で打ち落とし、自身や他猟兵がダメージを受けないように補助する。
●誘発されたCooking off
混戦が予想されていたメアクリスとの最終決戦。そこは確かに、怒り狂った彼女の戦場と化していた。
「おしおし、予定通り予定通り。んじゃま、ウチは補助に回らせて貰うとしよか」
ここまでは予定調和、もとい計画通りであるとそう述べるのは、セルヴィ・アウレアム(『迷宮喰らい』セルヴィ・f14344)。彼女は元より、逆上を誘うようにここまで神経を逆撫でし続けてきていたのだ。
「私を怒らせるだなんて結構な事だわぁ。けれどそれじゃあ猟兵さん達の命が幾つあっても足りなくなるわよぉ………貴方達程度に負ける訳ないじゃない、後悔するといいわぁ!」
しかしメアクリスは、尚も怒りを鎮める事無く猛攻を再び仕掛け始める。
「(うん、かなり怒ってるなぁ………でも感情に任せた行動程、単調化しやすいものはないよね)」
それを受けて、冷静に分析しているのはアルファ・ユニ(愛染のレコーディングエンジニア・f07535)である。ユニは戦場にいくつもの精霊を展開し、その視覚原像をクローネに集める事で戦況把握に努めていた。ついでにメアクリスの発言も一言一句逃す事なく録音している。………一応ではあるが。
そうこうしている間にも、メアクリスは猟兵達を殺さんと言わんばかりに攻め立ててくる。だがそんな単純な攻撃では、歴戦の勇士ともいえる猟兵達は倒れてくれない。
「(今だ………!標準をメアクリスさんに合わせて…………!)」
ユニはオブリビオン自身が齎した隙を見逃すことなく、音銃からユーベルコードを放つ。それは【壊感音波(スクリーム)】というものであり、脳や中枢に至るまで異常をきたす事の出来るユーベルコードであった。
「ぐ……………ぅ………っ!!」
これにはメアクリスも苦悶の声を漏らす。勿論音による攻撃であるので、仲間に配慮した上での攻撃であるが、1度食らってしまえば大変に危険な状況へとなりかねない音波である。しかもそれは轟音。………これでは、メアクリスの命令が猟兵達の耳に届く事が出来ない。
「っ!猪口才な!………“さっさと滅びなさい”!」
耐えきれず彼女がそう叫ぶがしかし、それはユニの攻撃によってはばかられる。
メアクリスが言葉を発した刹那、彼女の隠された紅い眼がある予測を探知していたのだ。メアクリスから放たれるだろう言葉を──。
『“──────!”』
そうしてクローネから放たれたメアクリスの声音は、位相反転されたもの。
そう。これで命令のノイズキャンセルを行っていたのだった。先程から罵詈雑言の数々を述べていた上、メアクリスからは非常に豊富なサンプルが採れた事だろう。それ故に、声ごと命令を打ち消す事が可能であったのだった。
「1音たりとも仲間に届かせない」
強い意志が読み取れるその言葉とともに、ユニは真剣な眼差しを向けて音銃を構える。
「リロード。メアクリスさん……貴方にはジャミングとサプレッサーの効果を受けて貰うね」
トリガーが引かれて放たれた音響攻撃は、周りの騒音が比重してか、重くメアクリスを苛む事だろう。
ジャミングによって攻撃力低下、更にサプレッサーで彼女の号令の抑制を図ったそれは、メアクリスに対し効果的に発動される。そんな攻撃に怯んでいると、もう一方から攻撃が放たれる事だろう。
───そうだ、もう1人猟兵がいた事を忘れてはいないだろうか?
「下手な鉄砲もなんとやら…舐めとーと後悔するでぇ!」
それはセルヴィの不意打ちを狙った攻撃であった。ユニが1人メアクリスに対処していた傍ら、彼女はその身を隠し隙を伺っていたのだ。
放たれたユーベルコード、【マギア・ガトリング】は、セルヴィの腕部分に内蔵されているガトリングガンで、そこから魔力弾がメアクリスへと撃ち込まれている。当然それはメアクリス本体を狙ったものだと感じるだろう。が、それは彼女の足元へと当たり、かと思えば天井をも崩しにかかる。
「貴方も………!死になさいよぉ!!!!」
それを見、また怒りを露わにしたメアクリスは殺戮人形を召喚して、ユニやセルヴィに攻撃を加えようと試みる。
しかしそれも徒労に終わる事だろう。
何故なら、セルヴィは援護射撃の名目で距離を取っていたのだから。そうであるなら、彼女の行動は筒抜けという事である。
「ありがとう、セルヴィさん!」
「いや、アンタこそ攻撃を一身に引き受けてくれておおきに」
メアクリスから1歩引き下がった所でそう互いにコンタクトをとる2人。─────そんな彼女達の攻撃によって、メアクリスもいよいよ命の灯火が危うくなってきていたのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ドゥルール・ブラッドティアーズ
騙す方が悪いに決まってる
と言いたいけど、騙された覚えは無いわ。
禁断の果実は見つけたもの
ソロ希望
【呪詛】を唱え、その苦しみで
相手の動きを鈍らせて【見切り】高速移動に対処。
接近してきたら 悲愴の剣での【2回攻撃】で迎え撃ち
氷の羽を飛ばしてきたら【衝撃波】で跳ね返すわ。
隙ができたら『愛の想起・妖狐蒼炎連弾』で攻撃。
更に【火炎耐性】で炎の中を突っ切って
メアクリスを抱きしめ【催眠術】で愛を囁きながら
何度でも【生命力吸収】のキスをするわ。
貴女こそが、私にとっての 禁断の果実よ。
思ったとおりの甘美な味……❤
貴女の嘘、私にとっては真実だったわ
亡骸(み)も 魂(こころ)も、私のモノに。
私の真(あい)に身を委ねて
●アイ ヲ ササメク
さて、いよいよ終盤に取り掛かり、情景で表すのなら逢魔が時となってきたこの頃。メアクリスを見つめる漆黒の双眸が唐突に姿を見せた。
それは、ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)。
先行く猟兵達の後を追って、ここに遅ればせながら馳せ参じた猟兵である。そんな彼女は発狂するメアクリスに対し、言葉を零す。
「騙す方が悪いに決まってる。………と言いたいけど、騙された覚えは無いわ」
探索者達や猟兵の殆どが騙し騙されていると感じ取っていたが、彼女だけは微塵もそう感じてはいなかったのだ。
「ふぅん………何故そう思うのかしらぁ?」
これにはメアクリスも首を傾げて問いかける事だろう。彼女は正真正銘、騙して嘲笑う事を趣向としていた。それを騙された覚えがない、とは……一体どういう事なのだろうか?
「────禁断の果実は見つけたもの」
その後のメアクリスのどう言う意味、という問いに、ドゥルールは答えなかった。
代わりに彼女が開口一番に発したのは、呪詛。それは、メアクリスを苦しめんが為に唱えられた呪いの言葉である。
「…………く…っ!!」
耐えるメアクリスはしかし、意に反して動きが鈍ってしまう事だろう。それでもナハト・フリューゲルで高速移動をしてくるが、ドゥルールは簡単にそれを見切って対処する。
加えて接近してきたメアクリスに対し、悲愴の剣で2回攻撃を繰り出して迎え撃つ。
「さっきからちょこまかと…………!」
発動する技全てに対処を施され、それに怒りをふつふつと煮え滾らせるメアクリスは、ままよとばかりに氷の羽を鋭く飛ばしてくる。
「これも、簡単に避けれてしまうわね?」
だが、鋭くなった氷の切っ先が彼女を貫こうとしたその時、ドゥルールは衝撃波を生み出して跳ね返すのである。所謂、イタチごっこ、であった。
───それに痺れを切らしたメアクリスは、おお振りで単調な攻撃を加えようとしてくるだろう。
しかし、その攻撃の刹那に生まれる隙は、ドゥルールにとって絶好の機会であった。
「精励なる蒼炎の妖狐よ!」
その瞬間、1体の妖狐と蒼い狐火が次々と出現し、メアクリスを攻撃する。
『今こそ勉強の成果を見せる時ですね!』
それはユーベルコード、【愛の想起・妖狐蒼炎連弾(リザレクトオブリビオン・フォックスマシンガン)】によって召喚された妖狐『小町』。その数の暴力で攻め立てようとも、メアクリスが留まる事は無い。
「そんな攻撃効くわけないでしょぉ!」
むしろ怒りを滲ませて、声を張りあげるだろう。
しかし、ドゥルールは、そんな業火の炎の中を突っ切ってメアクリスに近付く。
そしてメアクリスが気付いた時には、何故か抱きしめられていたのだった。
「貴方こそが、私にとっての“禁断の果実”よ」
そう言う彼女の声は熱っぽく、愛おしさを孕んだもので。………これではまるで恋人のようではないか。
これに困惑し、惑わされてしまったメアクリスは、攻撃を停止してしまう。そんな彼女に、ドゥルールはそっと口付ける。
甘い、魅惑の味。
「思ったとおりの甘美な味……🖤やっぱり貴女の嘘、私にとっては真実だったわ」
その思わず蕩けてしまいそうなキスに、メアクリスは身動きが取れなくなってしまった。そして受け入れる。────それが生命力を奪っているのだと気付かずに。
「亡骸(み)も 魂(こころ)も、私のモノに。私の真(あい)に身を委ねて───」
何がそうさせたのか……オブリビオンと転じてしまっていたメアクリスに、自身の思うアイを囁く。
奇しくも、これがメアクリスの騒動を納める運びとなったというのは、言うまでもない。
───こうして一連の騒動を解決する事が出来た猟兵達は、地下迷宮を後にする事だろう。
大成功
🔵🔵🔵