夢喰い人のネガティブ要塞
「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「ケルベロスディバイドの世界で、デウスエクスが秘密裏に建造した要塞を発見しました」
生存エネルギー「グラビティ・チェイン」を求めて地球を侵略する異種族連合軍「デウスエクス」。彼らは宇宙から襲来するだけでなく、地球上にも拠点を作って勢力を拡大している。多くは人の訪れない山林深くや廃墟などを乗っ取って基地化し、さらに大きな作戦に出るための力を蓄えているのだ。
「グリモアの予知があったお陰で、要塞の戦力はまだ十分ではありません。今のうちにここを叩いて、デウスエクスの計画を破綻させましょう」
予知された場所は世界遺産でもある白神山地の奥深く。ここで拠点化を進めているのは「ネガティブハンター」と呼ばれるデウスエクスの集団だ。彼女達は「ドリームイーター」と呼ばれる種族の一種で、心身に何らかの欠落を抱えているのが特徴である。
「ネガティブハンターは『怒りや悲しみ、恐怖等の負の感情』が欠落しており、地球人からそれらの感情を奪って自らの欠落を埋めるために様々な事件を起こしてきました」
いくらネガティブな感情と言っても、それらも人間にとって大切な心の一部である。しかもネガティブハンターはポジティブな感情を「欠落を埋める役に立たないから」不要だと考えており、二重の意味でたちが悪い。彼女達がこのまま要塞で準備を整えれば、いずれ地球人にとって無視できない大惨事が起きるだろう。
「要塞周辺の山野はすでにネガティブハンター達の手で迷宮化が進んでおり、まるで悪夢の中に迷い込んだような光景になっています」
ネガティブハンター達の目的を反映してか、この迷宮には人のネガティブな感情を呼び起こすようなトラップが随所に配置されている。恐怖をかき立てるお化け屋敷のような仕掛けや、不快感を煽る奇怪なオブジェなどだ。これらに心を乱されると敵の術中に嵌まってしまい、いつまでも迷宮の外に出られなくなる。
「どんなトラップが出てきても動揺しないように、心を強く保つことが重要です」
冷静に落ち着いて探索を進めれば、猟兵が命を落とすほどの危険なトラップはない。無事に要塞まで辿り着ければこちらのものだ。まだ準備不足ということもあって、敵の戦力や確保しているグラビティ・チェインの量はそれほど多くない。
「ネガティブハンターは精神攻撃に長けたデウスエクスですが、1人1人の強さはそれほどでもありません。集団で襲ってくることを加味しても、皆様なら十分撃破できるレベルだと考えられます」
永遠不滅の存在であるデウスエクスは倒してもまた復活するが、死んでから蘇生するまでには時間がかかるし、拠点作りのために消費したリソースが戻ってくる訳では無い。時間をかけて築いた要塞を失うのは彼女達にとっても大きな痛手になるだろう。
「ただ、ネガティブハンター側も自分達の非力さは自覚しているのか、守護者として『巨神ギガントマキア』というデウスエクスと契約を交わしています」
ギガントマキアは無機物に意識を宿した「ゴーレム」という種族で、地球侵攻前から傭兵として他のデウスエクスに雇われて活動していた。溶岩の体から熱を放出し、周囲を溶かして焼き尽くす、絶大な火力と怪力が自慢のデウスエクスだ。
「こちらは一体でもネガティブハンターの集団以上の強さがありますが、それでも皆様なら倒せないレベルの敵ではありません」
ネガティブハンター集団と巨神ギガントマキア、この両名を撃破して要塞を破壊すれば、猟兵達の勝利となる。
また、今回の依頼は都市部から離れた場所での作戦になるが、特務機関DIVIDEを通じて|決戦配備《ポジション》の要請は可能だ。
「DIVIDEに要望を伝えることで必要な物資や人員を送って貰えたりと、作戦に役立つ様々な支援が受けられるでしょう。ぜひ活用してください」
デウスエクスは地球全体にとっての脅威であり、だからこそこの星の人類はデウスエクスと戦う者に敬意を表し、協力を惜しまない。現地でユーベルコードに覚醒したケルベロスでも、異世界からやって来た猟兵でもそれは同じだ。
「これ以上デウスエクスに地球上での好き勝手をさせないために、皆様の力をお貸し下さい」
説明を終えたリミティアは手のひらにグリモアを浮かべ、ケルベロスディバイド世界の白神山地に猟兵を送り出す。
欠落した負の感情を集めるドリームイーターが築いた秘密の要塞。深き森の奥に隠された陰謀の楔を、彼らは砕くことができるのか。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
戌
こんにちは、戌です。
今回のシナリオはケルベロスディバイドの世界にて、デウスエクスが秘密裏に築いた地球上の拠点を破壊する依頼です。
1章は白神山地にある敵の要塞を目指して、迷宮化した山野を攻略します。
悪夢の中に迷い込んだようなドリームイーターの迷宮内では、恐怖や怒り、不快感といったネガティブな感情をかき立てるトラップが数多く仕掛けられています。取り乱さずに冷静さを保てなければ迷宮の外には出られません。
動揺しなければ罠の危険度はビックリ箱やドッキリ程度なので、命に関わることは少ないでしょう。
無事に要塞に辿り着ければ、2章はデウスエクス『ネガティブハンター』との集団戦。
そして3章は彼女達に雇われた『巨神ギガントマキア』とのボス戦になります。
この両名を撃破し、要塞を破壊できれば今回の作戦は成功です。たとえ復活してもネガティブハンター達の作戦計画には大きな痛手が生じるでしょう。
また、この世界では「|決戦配備《ポジション》」の発動を要請し、それが適切であればプレイングボーナスを得られます。
どのような支援を受けられるかについては、ケルベロスディバイドの世界説明のページからご確認下さい。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『デウスエクスの要塞』
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POW : 要塞の設備を破壊する
SPD : 罠を発見し、解除する
WIZ : 隠されたアイテムや情報を探す
イラスト:純志
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アルマ・アルカレイト
チーム錬金術士
『ここがケルベロスディバイドですね!』
ファイが周りをキョロキョロしていた
よし、入るわよ!
私達は要塞へ侵入した
属性攻撃…刹那の無限回転発動
蟲使い…迷彩蟲呼び出し、蟲達は破壊属性攻撃呪殺弾と斬撃波を放ち攻撃する
罠使い…罠を蟲で探し破壊してもらう
クイックドロウ…素早く弾丸を放つ
錬金術…凍結攻撃の錬成弾を錬成
さあ探索開始よ!
私達は要塞を進む
罠を察知したのか要塞に入った瞬間に呼び出していた蟲達が前に飛び出し斬撃波を放ち破壊する
突然ある声が聞こえた
『アルマ…助けて!』
ヴィルキスに攫われた緋智の声が聞こえた
…うるさい
私はディアブロから錬成弾を放ち壁を利用し跳弾になり罠を破壊
ヒサは必ず取り戻す!
東・慶喜
チーム錬金術士
よっしゃ…行くでアルマ!ファイ!
俺はアルマとファイと共に要塞に入る
属性攻撃…刹那の無限回転発動
結界術…念の為に発動する防御技能
クイックドロウ…弾丸を素早く放つ
視力…罠と周りを見る
まずは念の為、結界や!
アルマ達に結界術を展開する
ありがとう、慶喜!
『あっありがとうございます!慶喜さん!』
ファイとアルマにお礼を言われた直後に罠が機動しようとしていたので凍結攻撃の呪殺弾を放ち破壊した
ファイも魔力球に刹那の無限回転をかけて放ち罠を破壊していく
『助けて…慶喜!』
ひ、ヒサ!な訳無いか…
いきなり緋智の声が聞こえて来た
…ヴィルキス、絶対ぶっ殺す!
俺はUCを発動してアルマが飛ばした方向に放ち破壊した
『ここがケルベロスディバイドですね!』
|小剣《グラディウス》が導いた新たな世界、ケルベロスディバイドに初めて訪れた「大天使ファイ」は、興味津々で周りをキョロキョロしていた。ここは今だ手つかずの自然が残る白神山地。この奥でデウスエクスが建造中の要塞を破壊するのが彼女達に伝えられた依頼だ。
「よし、入るわよ!」
「よっしゃ……行くでアルマ! ファイ!」
そう言ったのはファイを召喚した「チーム錬金術士」のメンバー、アルマ・アルカレイト(異世界からの来訪者『無能の錬金術士』・f39594)と東・慶喜(無能の錬金術士の相棒・f40772)。既に悪夢の如く変貌した要塞周辺の迷宮へと、彼女らは迷いなく突入した。
「まずは念の為、結界や!」
ここから先はいつ罠が襲ってくるか分からない。慶喜は自分と仲間の周りに結界を張って不意のダメージに備える。
仕掛けられているのは主に物理的な殺傷力より精神的動揺を狙ったものだと聞いているが、用心するに越したことはないだろう。
「ありがとう、慶喜!」
『あっありがとうございます! 慶喜さん!』
アルマとファイがお礼を言った直後、早速ご挨拶とでも言わんばかりに森の茂みがガサリと揺れる。その奥から何かが飛び出してくるのを優れた動体視力で捉えた慶喜は、目にも止まらぬ早業で錬成銃『テスタロッサ』のトリガーを引いた。放たれた呪殺弾は狙い通りに罠に命中、起動する前に凍結・無力化に成功する。
「気は抜かんようにな」
「分かってるわ。さあ探索開始よ!」
『はい!』
結界の範囲内から出ないように気をつけつつ、迷宮化した白神山中を進む3人。道中の安全確保を主に担当するのはアルマが呼び出した迷彩蟲達で、チームの周りを群れで飛び回りながら、罠を察知すると呪殺弾と斬撃波で破壊する。
『そこですね!』
アルマの【錬金術士奥義・大天使ファイ召喚】で召喚されたファイも、刹那の無限回転をかけた魔力球を放って罠を破壊していく。これまでにも数々の冒険を経験してきたこのチームにとっては、殺傷力の低いトラップ程度恐れるものではない――少なくとも、この段階まではそうだった。
『助けて……慶喜!』
「ひ、ヒサ!」
ふいに山の奥から聞こえてきた少女の声に、思わず慶喜が反応する。それは紛れもなく彼らの仲間――だが、ここにいないはずの「緋智」の声だった。「な訳無いか……」とすぐに頭では理解するものの、動揺はなかなか収まらない。
『アルマ……助けて!』
同じ少女の声はアルマの元にも聞こえてきた。助けを求める友の悲痛な叫びは、彼女に苦い記憶を思い起こさせる。
緋智は数ヶ月前にヴィルキスと名乗る悪魔の襲撃にあい、どこかに攫われてしまった。慶喜はその時の戦闘で重傷を負い、アルマは間が悪く別行動を取っていたため誘拐を阻止できなかったのだ。
「……うるさい」
怒りに声を震わせて、アルマは錬成刃銃『ディアブロ』から錬成弾を放つ。それは迷宮の壁に当たって跳弾となり、緋智の声を出していた仕掛けを弾き飛ばした。『助けて……』となおも声を上げる蓄音機のような装置が、一同の前に露わとなる。
「……ヴィルキス、絶対ぶっ殺す!」
その直後、慶喜が殺意の感情とともに放った【ライトニング・ブリザード・フォーミュラ】が命中すると、装置はバラバラに砕け散った。これもネガティブな感情を引き起こすための罠だと分かっていても、大事な仲間をネタにされて憤らずにいるのは、彼らには無理なことだ。
「ヒサは必ず取り戻す!」
湧き上がる負の感情を、アルマは「仲間を助ける」というポジティブな気持ちに切り替える事でなんとか抑え込む。
ネガティブな感情を抱えたままでは、ネガティブハンターが築いた迷宮を突破することはできない。どうにか平静を取り戻したチーム錬金術士の面々は、より慎重に探索を再開するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
宇宙からの襲撃と、それに抗う世界……生存競争という意味では、オブリビオンとの戦いと少々毛色が違うかもしれないが
それにしても、平和な世界というのは中々見つからないもんだ
腰の刀に手をやって、弐の型【朧月:周】(指定技能:見切り+集中力、落ち着き、鼓舞、狂気耐性、瞬間思考力)
通常は敵と相対した時に使うものだが、その本質は目的の為に肉体と精神を最適化するもの
故に、このように心を落ち着かせる為にも使用できる
聞いていた通りだが、落ち着いていれば迷宮を進むのもそう難しい事ではないな
一応、道中で襲いかかってきた罠は破壊しておくか
環境的に自動的に再配置されそうな気はするが、何かしらの目印にはなるかな
「宇宙からの襲撃と、それに抗う世界……生存競争という意味では、オブリビオンとの戦いと少々毛色が違うかもしれないが」
さりとてか弱き人々が犠牲になるのを見過ごす訳にはいくまいと、依頼を受けて白神山地を訪れたのは夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)。生存エネルギー「グラビティ・チェイン」を求めるデウスエクスの侵略は、この美しき自然遺産さえも侵しつつあった。
「それにしても、平和な世界というのは中々見つからないもんだ」
珍しくオブリビオンのいない世界に来たと思ってもこの有様だ。もっとも、危機を迎えた世界だからこそ猟兵が求められると言える。この世界のユーベルコードは「ケルベロス」と呼ばれるようだが、果たす務めに変わりはなかった。
「さて、動揺するとここは抜け出せない……だったな」
ドリームイーターが作り出した迷宮に足を踏み入れた鏡介は、腰の刀に手をやり、弐の型【朧月:周】を発動する。
通常は敵と相対した時に使うものだが、その本質は目的の為に肉体と精神を最適化し、任意の技能を強化するユーベルコードである。
(故に、このように心を落ち着かせる為にも使用できる)
集中力に冷静さ、狂気への耐性や思考力などを高めて自らを鼓舞した鏡介は、波風ひとつない湖面のような心持ちで歩みを進める。その道中で突然何かが飛び出してきたり、怪しい風が吹いたり、不気味な音が聞こえてきても、動揺を示すことはなかった。
「聞いていた通りだが、落ち着いていれば迷宮を進むのもそう難しい事ではないな」
この場に仕掛けられた罠はせいぜいタチの悪いお化け屋敷程度のもので、障害よりも精神的ショックを与えるもの。
ネガティブハンターが欲しがる負の感情に心を乱されなければ、悪夢の如き風景の中でも道に迷うことはなかった。【朧月:周】と日頃の鍛錬の賜物だろう。
「一応、襲いかかってきた罠は破壊しておくか」
彼が刀を鞘走ると、眼前に立ち塞がる奇怪なパペットや、風や音を発生させる装置等が一瞬にしてバラバラになる。
仕掛け自体には未知のテクノロジーもあったが、破壊できない代物ではないようだ。道中で潰していけば後続の仲間が進む上で多少の助けになるだろう。
「環境的に自動的に再配置されそうな気はするが、何かしらの目印にはなるかな」
迷宮に刻まれた刀傷や破壊痕は、もし進路に迷っても道を確認するための助けにもなる。こうした判断ができる点を見ても、鏡介は至極冷静であった。それからも襲い掛かる精神的トラップをそよ風のごとく受け流し、山の奥へ奥へと進み続けたすえ――。
「着いたか。ここだな」
目の前に現れたのは、やはり悪夢から飛び出してきたようなメルヘンな外観の要塞。ここが建造中のデウスエクスの拠点で間違いないだろうと判断すると、彼はより一層警戒を深め、いつでも刀を抜けるようにして突入するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
川崎・五十鈴
アドリブ・連携歓迎
流石は世界遺産、白神山地。都会とは空気が違う。体調完璧。助かる。
こんな素晴らしい大自然に要塞なんて許せない。絶対殺す。
…すー…はー…落ち着こう。怒っちゃ駄目って言ってた。
少なくとも迷宮は山野を利用してる。ここの復興はまだ要塞を建てられている場所よりは難しくないはず…一旦落ち着いた。
落ち着きさえすれば問題ない。大自然の中で|妖精《エルフ》に、もっと言うならシャドウエルフに。狡い罠が通用するはずがないってことを教えてあげる。
元々私たちはそういう種族。見ればどんな罠があるかなんてすぐ分かる。※技能レベル1090になった【情報収集】
種族の誇りと自信を強く持って冷静かつ完璧に攻略する。
「流石は世界遺産、白神山地。都会とは空気が違う。体調完璧。助かる」
大きく深呼吸して、清涼な空気を胸いっぱいに吸い込みながら、川崎・五十鈴(エコテロリストエルフ・f41042)はご満悦な様子でそう言った。シャドウエルフは環境汚染に弱く、綺麗な自然を好む種族だが、彼女の場合はそれが少しばかり顕著な性格をしている。
「こんな素晴らしい大自然に要塞なんて許せない。絶対殺す」
環境を破壊する者とデウスエクスが彼女の敵。その二つが一緒になればもはや抹殺する以外の選択肢はないレベル。
目的地に近付くにつれて美しいブナの原生林は歪められ、悪夢やホラーに出てくる森のような景色に変わっていく。彼女にとっては不気味さよりも、勝手に自然遺産に手を付けたという事実そのものが憤怒の原因であった。
「……すー……はー……落ち着こう。怒っちゃ駄目って言ってた」
ここを拠点とするデウスエクス『ネガティブハンター』は、恐怖や不快などの負の感情をかき立てる罠を作った。あちらの想定とは違うかもしれないが、怒りもまたネガティブな感情のひとつには違いなく、囚われたままでいると何時までたっても迷宮から抜け出せなくなるらしい。それを思い出した五十鈴はもう一度呼吸を整える。
「少なくとも迷宮は山野を利用してる。ここの復興はまだ要塞を建てられている場所よりは難しくないはず……一旦落ち着いた」
まずは全ての元凶であるネガティブハンターどもを抹殺した後、迷宮化された自然の復興に励むのだ。これが魔法的な力による改変なのだとしたら、術者を斃すことで元に戻る可能性もある。自分が為すべき務めに優先順位を付けることで、彼女の怒りは使命感の下に沈められていった。
「落ち着きさえすれば問題ない。大自然の中で|妖精《エルフ》に、もっと言うならシャドウエルフに。狡い罠が通用するはずがないってことを教えてあげる」
種族の誇りと自信を強く持って、五十鈴は迷宮攻略を開始する。風のように俊敏で、山猫のように物音ひとつ立てない歩法は【|諜報と暗殺を司る妖精《シャドウエルフ》】の名に恥じぬもの。道中に仕掛けられた様々な罠にも、まるで引っかかる様子がない。
(元々私たちはそういう種族。見ればどんな罠があるかなんてすぐ分かる)
ここにあるのは驚かせるのを目的にした殺意のない罠ばかり。意図が見え透いていれば逆算してどこに何が仕掛けられているかも見当がつく。湖水のように青く澄んだ彼女の瞳は、どんなにネガティブハンターが巧妙に隠した罠でも、一目で看破してしまった。
「それにしても、すごい罠の数……後で全部駆除しないと」
随分と好き勝手やっているようだと、また怒りが再燃しかける五十鈴であったが、その気持ちはぐっと抑えておく。
ここを抜けて敵の要塞に辿り着くまで、この殺意は取っておこう。シャドウエルフ特有の「殺界」を身体から滲ませながら、自然を愛する(若干過激派)妖精は冷静かつ完璧に迷宮を攻略していくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
神野・志乃
「気持ちが……悪いわね」
前方から襲い来る、緑色の肌をした赤ん坊、片目だけ異様に大きな女性、無数の足趾で這うように歩く老人、など、など
『日常と少しだけ違う』というイレギュラーが不安と不快を煽ってくる……というような仕掛けかしら
「不快ね。不快だけれど」
──不愉快には慣れてるのよ。
そう呟いて、手慣れた手つきで《ウィザード・ミサイル》を展開、引き付けた上で、50連弾を一斉に射出
見た目がどれだけ変わっていようとも、灰塵になればどれも一緒ね
「生憎、この程度で取り乱すほど純情可憐ではないの」
なんて強がるけれど、……正直、ちょっと夢に出そうで気が滅入るわ
ああ厭ね、さっさと終わらせましょう
(アドリブ台詞・行動歓迎)
「気持ちが……悪いわね」
デウスエクス『ネガティブハンター』の迷宮に足を踏み入れた神野・志乃(落陽に泥む・f40390)は、襲い来る罠の数々に眉をひそめていた。前方から迫るは緑色の肌をした赤ん坊、片目だけ異様に大きな女性、無数の足趾で這うように歩く老人――等々。思わず背筋がぞわりとするモノが、悪夢めいた森から現れては消え、消えてはまた現れる。
「『日常と少しだけ違う』というイレギュラーが不安と不快を煽ってくる……というような仕掛けかしら」
あまりに超常的な出来事よりも、そちらの方がより不気味に感じることもある。どうやら敵は人間の心の機微をよく分かっているようだ。自らの欠落を埋めるため、効率よく人間からネガティブな感情を回収するには、これが一番良いと考えたのだろう。
「不快ね。不快だけれど」
──不愉快には慣れてるのよ。そう呟いて、志乃は慣れた手付きで魔鏡『女神光』をかざす。本来は月光の魔力を凝集する魔導具だが、彼女はそこから僅かな陽光の力を抽出して利用する。世界に熱を光をもたらす天つ日の力は、転ずれば不浄を灼く火の力にも転ずる。
『アぁあゝァ唖々々々々……』
「声まで、薄気味悪いわね」
展開するのは【ウィザード・ミサイル】。よろばい歩く怪奇の群れを十分引きつけた上で、50連弾を一斉に射出。
反撃される事は想定されていないだろうし、この距離なら外すほうが難しい。煌々と燃える炎の矢が、標的の足に、腕に、胸に、眉間に突き刺さった。
「見た目がどれだけ変わっていようとも、灰塵になればどれも一緒ね」
『ギャぁぁァァァッ……!!』
曙光の如き火の雨を浴びた怪奇の罠はたちまち燃え上がり、断末魔の叫びを遺して跡形もなく消え去った。まるで最初からそこには何もいなかったように。しんと静けさを取り戻した迷宮で、志乃は魔鏡を持ったまま移動を再開する。
「生憎、この程度で取り乱すほど純情可憐ではないの」
そういって本人は平然とした顔をしているが、実のところ強がりが含まれているのは否めない。いくら大人びているように見えても、彼女はまだ14歳の少女である。年相応に嫌悪や不快の感情はあるし、慣れているからといって不安にならない訳でもない。
(……正直、ちょっと夢に出そうで気が滅入るわ)
本来なら心癒やされるはずの白神山地の自然が、デウスエクスの手で歪められこの有様。いつ、どこから罠が作動するかも分からないため、一度撃退しても気を抜くことはできない。冷静さを保っていても、少しずつ精神がすり減っていくのを志乃は感じていた。
(だからと言って、音を上げるつもりはないけど)
自らの意思で家と訣別し、己の道を一人歩むと決めておきながら、こんな所で泣いて逃げ帰ってはとんだ笑い者だ。
地には悪意が満ち、道程は多難でも、木漏れ日は今も自分を照らしてくれている。天から降り注ぐあたたかな光が、暗い気持ちを暈してくれた。
「ああ厭ね、さっさと終わらせましょう」
ネガティブな気持ちを振り払い、デウスエクスの罠を炎の矢で焼き払いながら、志乃は足早に迷宮の出口を目指す。
心を乱される事さえなければ、自ずと進むべき道は開け――やがて彼女の前には、山林の中にたたずむ巨大な要塞が姿を現したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ネガティブハンター』
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POW : ポジティブブレイク
【精神干渉のエネルギー】を籠めた【心を抉る鍵】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【ポジティブな感情】のみを攻撃する。
SPD : ネガティブイーター
【負】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【モザイク塊】から、高命中力の【モザイク弾】を飛ばす。
WIZ : ネガティブファントム
対象に【醜く恐ろしい姿の怪物】の幻影を纏わせる。対象を見て【負の感情】を感じた者は、克服するまでユーベルコード使用不可。
イラスト:すずや
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「侵入者ですって?!」
「ケルベロス! まさかこんな所にまで来るなんて!」
デウスエクスの作り上げた不気味な迷宮を攻略し、白神山地の奥深くにある要塞まで辿り着いた猟兵達。
そこにいたドリームイーター『ネガティブハンター』達は、想定外の襲撃者に慌てて飛び出してきた。
「地球人があたし達のネガティブ迷宮から抜け出せるなんて」
「もしかしてアンタ達も感情が欠落してるタイプ? ……でもないみたいね」
「マッズいわー、まだこの要塞も完成してないっていうのに」
彼女達は恐怖や怒りなどの負の感情を持たず、他者からそれを奪って自分の欠落を埋めることを目的にしている。
そのためにここを拠点としてグラビティ・チェインを貯蔵し、大規模な作戦の準備を進めていたようだが、猟兵達に要塞の所在を突き止められてしまった時点でその計画は大きく狂いだしていた。
「ま、いっか。それならあなた達をやっつけて、感情とグラビティ・チェインをいただくわ」
「計画も進められて欠落もちょっとは埋まる、一石二鳥じゃない? うわラッキー!」
しかし「悲観する」というネガティブな感情も欠けている彼女達は、このピンチでさえ前向きに捉えているようだ。
確かに、ここで侵入者を撃退することができれば、まだ巻き返しはできるだろう。彼女達は直接戦闘では劣るものの精神攻撃に長けたデウスエクスだ、侮れば歴戦の猟兵やケルベロスでも返り討ちにあいかねない。
「よーし、やるわよ!」
「覚悟しなさいケルベロス! あたし達の力を見せてやるわ!」
魔法のステッキのようにも見える巨大な「鍵」を手に、臨戦状態に入るネガティブハンター達。
この集団を撃破し、白神山地を人類の手に取り戻すために、猟兵達もそれぞれの戦闘態勢を取った。
川崎・五十鈴
アドリブ・連携歓迎
あなたたちに朗報を一つ。私は今日は一切決戦配備を要請していない。
何故かって?白神山地を傷つけたくなかったから。
そして、あなたたちに一つだけ感謝を。要塞にいてくれてありがとう。
これで私自身が白神山地を傷つけてしまう心配はなくなった。
(負の感情を覚えてはいけないので無理矢理に感謝してみた)
殺界形成。敵位置全把握。
二ノ段。知覚加速、思考加速。敵の何もかもが遅い。これでこの後の攻撃を外しはしないし、敵の攻撃だって当たりはしない。全部踊るように躱してみせる。
三ノ段。連射、跳弾、虐殺。要塞内では矢弾の雨にご注意を。
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね…
「あなたたちに朗報を一つ。私は今日は一切決戦配備を要請していない」
迷宮を攻略して敵の要塞に乗り込んだ五十鈴は、現れた『ネガティブハンター』達に向かってそう言った。特務機関DIVIDEを通じて各種支援を受けられる|決戦配備《ポジション》は、デウスエクスと戦うならあって損はないものだ。それを敢えて要請しない理由はひとつである。
「何故かって? 白神山地を傷つけたくなかったから」
「え、そんな理由で?」
侵略者どもには分からないだろう。この美しい自然の価値が、ひとたび壊れれば容易に戻らない世界遺産の尊さが。
五十鈴にとってそれは人命や任務と等しく重大な事だ。もちろん、その理由も分からず首を傾げている連中くらい、自分の力で抹殺できる自信があっての決断である。
「そして、あなたたちに一つだけ感謝を。要塞にいてくれてありがとう。これで私自身が白神山地を傷つけてしまう心配はなくなった」
もし打って出てきた連中と山野で戦うことになれば、少しだけやり辛かったかもしれない。無論その程度で白神山地を汚した罪が清算される訳ではないのだが、ここで負の感情を抱いては相手を利するだけだと分かっている五十鈴は、あえて無理矢理に感謝しておく。
「お礼なんていらないわ!」「そんなポジティブな気持ちじゃアタシ達の欠落は埋まらないもの!」
その態度に不満げなネガティブハンター達は、【ネガティブイーター】の発動を諦めて直接鍵で殴りかかってきた。
直接戦闘は苦手とはいえ彼女らもデウスエクス。日本で言う「魔法少女」めいた可憐な見た目ながらも、人間離れした身のこなしと身体能力だけで十分脅威にはなる。
「殺界形成」
だが、それは相手が一般人だった場合の話だ。猟兵にしてケルベロスのシャドウエルフが放つ【殺界形成】――漆黒の殺気はたちまち戦場を覆い、全ての敵の位置を輝くオーラとして把握する。さらに五十鈴はその種族能力を鍛錬し、独自のユーベルコードへと発展させていた。
「二ノ段」
【殺界形成・二ノ段】は、殺気と共に高めた集中力で時間の流れが100分の1以下になったように周囲を知覚する。
加速した知覚と思考の前では、敵の行動は何もかもが遅い。これでこの後の攻撃を外しはしないし、敵の攻撃だって当たりはしないだろう。
「なにコイツ!」「全然当たらないんだけどー!」
二丁拳銃を構えたまま踊るように攻撃を躱すシャドウエルフの少女に、ネガティブハンター達は翻弄されていた。
何人がかりで襲い掛かろうと、そんなスローモーションではかすりもしない。お返しにと五十鈴は銃口を壁に向け、トリガーを引く。
「要塞内では矢弾の雨にご注意を」
「ひえっ?!」「ぎゃっ!」
【殺界形成・三ノ段】。環境に配慮した「エコ自動式二丁拳銃」より放たれた黒影弾は、要塞内を跳ね返って威力を増す。自らの影から作成・装填される弾丸ゆえに、弾数は無限でリロードも不要。ターゲットに死をもたらすまで終わることのない、華麗なる虐殺の舞踏だ。
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね……」
「「きゃああああああっ!!!?!」」
弱者ならそれだけで鼓動が止まるような殺気を放ちながら、跳弾の雨を浴びせる五十鈴。黒影弾に心臓を射抜かれる瞬間、ネガティブハンター達も少しは「恐怖」という負の感情を理解しただろうか――殺界の範囲から敵の気配が消えるまで、さほどの時間はかからなかった。
大成功
🔵🔵🔵
東・慶喜
チーム錬金術士
結界術…防御技能
視力…敵の動きを見て回避すふ
クイックドロウ…素早く弾丸を放つ
エネルギー弾…凍結攻撃で凍らせる
面倒臭いなぁ…
敵の能力を事前に聞いていたが鬱陶しいと思いながら戦闘態勢に入る
あっやば!
俺が面倒臭いという負の感情の性で敵がUCを発動してモザイク塊からモザイク弾を飛ばして来た
危なっ?!
俺は敵のモザイク弾が迫る前に結界術を展開して結界に攻撃が当たり一瞬止まった隙に攻撃軌道から逃れる
やっと俺のターンやな!
俺は指定UCを発動して竜巻を放ち敵を吹き飛ばした(アルマと俺は状態異常では無いので無敵付与した)
これで終わりや!
UCライトニング・ブリザード・フォーミュラを発動して敵に攻撃した
アルマ・アルカレイト
チーム錬金術士
慶喜!こいつらをぶっ飛ばすわよ!
属性攻撃…刹那の無限回転発動
錬金術…凍結攻撃とマヒ攻撃の錬成弾を錬成
クイックドロウ…素早く弾丸を放つ
視力…敵の動きを見る
推力移動…刹那の無限回転の応用で発動
何やってんのよ〜!
慶喜が面倒臭いとネガティブな感情を出してしまった
私も一瞬ネガティブな感情になったのでUCを発動
危ないわね!
自身に無限回転をかけてながら私は敵のUCを見て推力移動で回避して錬成弾を放つ
お願いファイ!
『さあ!行きましょうか!』
ファイが魔力球に刹那の無限回転をかけて敵を吹き飛ばした…後に龍が現れた
『行きなさい…ファイエネル!』
龍は光で周りを覆い敵の細胞を壊死させて敵達を拳で殴り飛ばす
「慶喜! こいつらをぶっ飛ばすわよ!」
要塞内で敵と遭遇したアルマは、相棒に声をかけながらガンナイフを構える。相手は人間の少女のような見た目をしているが、れっきとしたデウスエクスの一種族――ドリームイーター『ネガティブハンター』の集団だ。ネガティブな感情が欠落している彼女らは、地球人の感情や精神を利用したユーベルコードを得意とする。
「面倒臭いなぁ……」
「え、めんどくさい?」「今めんどくさいって言った?」
事前にその能力を聞いていた慶喜は、アルマと並んで戦闘態勢に入りながらも、つい「鬱陶しい」と思ってしまう。
欠落を埋めることを至上目的にするネガティブハンター達が、うっかり漏らしたその感情を見逃すはずもなかった。
「あっやば!」
「何やってんのよ~!」
慶喜もすぐにやってしまった事に気付くが、一度漏らした感情をなかった事にはできない。【ネガティブイーター】を発動したネガティブハンター達のモザイク塊から、大量の弾丸が飛んでくる。相方のやらかしにアルマは思わず文句を言うが、それもまたネガティブな感情であった。
「あー気持ちいい!」「その感情、もっとちょうだい!」
ネガティブがさらなるネガティブを生む負の連鎖を喰らうことで、ネガティブハンター達のモザイクは晴れていく。
このままでは敵のペースに乗せられる一方だと悟った「チーム錬金術士」は、今一度己を律して立て直しを図ることになった。
「危なっ?!」
慶喜は慌てて結界術を行使し、敵のモザイク弾が結界で止まっている隙に攻撃の軌道から逃れる。あと一瞬遅ければ直撃になっていたのは間違いない。肝が冷えるとはこの事だが、ここで狼狽えればまた連中の思う壺だと心を鎮める。
「危ないわね!」
一方のアルマは自分に刹那の無限回転をかけて推力を生み出し、自分に飛んできたモザイク弾をよく見て回避する。
こちらの負の感情に反応するユーベルコードは命中精度が高いが、回避や防御に徹すればギリギリ凌げなくはない。彼女達も伊達に修羅場を潜ってきてはいないのだ。
「お返しよ!」
「きゃっ!」
モザイク弾を避けつつアルマが抜き撃ちでマヒと凍結の錬成弾を放つと、ネガティブハンター達の攻撃の手が緩む。
その瞬間を待っていたように慶喜は【浄化の竜巻】を発動し、要塞内に白い旋風を巻き起こして逆襲に打って出た。
「やっと俺のターンやな!」
「「うひゃあっ?!」」
竜巻に巻き込まれたネガティブハンター達が、悲鳴を上げて吹き飛ばされていく。同時に浄化の風は慶喜とアルマの身体を優しく包み込み、一時的な無敵効果を付与した。これであの厄介なユーベルコードも防げるし、反撃を恐れずに攻めていける。
「お願いファイ!」
『さあ! 行きましょうか!』
アルマは再度【錬金術士奥義・大天使ファイ召喚】を行い、呼び出された大天使は魔力球に刹那の無限回転をかけて放つ。迷宮攻略中にも披露したように、その威力は折り紙付き。浄化の竜巻で宙に舞い上げられたネガティブハンター達が、さらに高く吹き飛ばされていく。
「ぎゃう! やるじゃないの……」「って、ちょっと、何ソレ!」
要塞の天井まで叩きつけられた彼女らは、それでもポジティブな気持ちで反撃に転じようとするが――その時、彼女らが見たのは大天使の元から現れる巨大な竜と、慶喜の身体から溢れ出す生体電流、その二つが織りなす輝きだった。
「これで終わりや!」
「あ、ヤバそ……ッ!!」
【ライトニング・ブリザード・フォーミュラ】を発動した慶喜から雷と氷のレーザーが放たれ、敵集団を撃ち抜く。
咄嗟に避けようとするネガティブハンターもいたが、ホーミング性能も有した彼のユーベルコードは的を外さない。感電と凍結により動きが止まれば、直後に【大天使奥義・天秤龍ファイエネル】が襲い掛かる。
『行きなさい……ファイエネル!』
大天使が召喚した大いなる天秤龍は、蔦のように伸ばした腕から光を浴びせ、細胞の壊死を引き起こす。これにより治癒・再生機能を失ったデウスエクスを待つのは確実な死――不滅たる彼女らはいずれ復活するとはいえ、決して殺せぬ存在ではないのだ。
「「こ、こんな事ってえぇぇぇーーッ!!!?」」
カチンコチンに凍りつき再生もできなくなったネガティブハンター達が、天秤龍の拳でコナゴナに粉砕されていく。
求めていたネガティブな感情が目の前にありながら手に入らなかった無念は、相当のものだっただろう。その肉体が完全に消滅した後も、要塞内には彼女らの叫びがしばし残響していた――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
人の感情を奪う者……。人から奪ったもので自分の欠落を埋められるとは思えないが、それがわかっていれば、こんな事をしないだろうな
確かに精神を直接攻撃するその攻撃は厄介だ。どれだけ身体を鍛えていても防げないのだろう
だが、鍵に触れなければ問題ないのであれば、いくらでも対処はできる
無数の敵に囲まれて一斉に攻撃をされると対処が難しいので常に移動するか、或いは壁を背にして一度に迫ってくる敵の数を制限して
利剣を抜いて、澪式・陸の型【隼返】の構え
鍵を受け止めて、弾き飛ばして、隙を作ったところで切り倒していく
半端に感情が欠落している分、微妙に動きの先読みがしづらいが
その分きちんと観察をして、相手の動きを見極めよう
「人の感情を奪う者……。人から奪ったもので自分の欠落を埋められるとは思えないが、それがわかっていれば、こんな事をしないだろうな」
埋まらぬ欠落を抱えたデウスエクス『ネガティブハンター』の集団に、憐憫にも似た眼差しを向けるのは鏡介。残念な事に道理を説いたところで、この者達が凶行を止めることはないだろう。わざわざこんな要塞まで作ってまで、他人のネガティブを欲する連中だ。
「やってみなければわからないわよ、ねえ?」「ダメだったらその後で別の方法を考えればいいのよ!」
悪い意味でポジティブで、後退を知らぬ前向きさを持つネガティブハンターは、この状況もまるで悲観していない。
のこのことやって来た地球人どもから感情とグラビティ・チェインを奪い取ろうと、【ポジティブブレイク】の構えで襲い掛かってきた。
「確かに精神を直接攻撃するその攻撃は厄介だ。どれだけ身体を鍛えていても防げないのだろう」
この者達が精神攻撃を得意とするデウスエクスだという話は聞いていた。ネガティブハンターが精神干渉エネルギーを込めた鍵は肉体を傷つけずに心を抉り、標的のポジティブな感情を破壊する。ネガティブな感情だけにして戦意喪失させてから、じっくりと感情を奪うつもりだろう。
「だが、鍵に触れなければ問題ないのであれば、いくらでも対処はできる」
多数の敵に囲まれて一斉攻撃を受ければ対応が難しくなるため、鏡介は要塞の内部を走り回り、壁を背にするように位置を変える。一見すると袋小路に追い詰められたようでもあるが、ここなら一度に迫ってくる敵の数も制限される。これまで幾多の戦いを経験してきた彼は、多勢のあしらい方にも慣れていた。
「獲った――澪式・陸の型【隼返】」
利剣【清祓】を抜いた鏡介は、叩きつけるように迫るネガティブハンターの鍵を受け止めて、弾き飛ばす。達人の技が可能にする見切りと受け太刀の妙に、敵が体勢を崩され隙を作ったところに――間髪入れず反撃の一太刀が加わる。
「きゃあっ!!」「なんでぇっ!?」
淡紅色に輝く刃に切り倒され、鍵を取り落とすネガティブハンター達。この刀は鏡介の魂と仙界の桃花を込めて造られた破魔の宝具であり、その力はオブリビオンに限らずデウスエクスにも有効なようだ。武器を失った連中の悲鳴が要塞内に木霊する。
「やるじゃないの!」「でも負けないわ!」
仲間がやられる所を見てもネガティブハンターに恐怖という感情はなく、人数差にものを言わせて獲物を攻め立てようとする。が、そのようながむしゃらな攻勢では剣豪の守りを打ち崩すことはできない。彼女らが直接戦闘が得意ではないという話は事実のようだ。
(半端に感情が欠落している分、微妙に動きの先読みがしづらいが)
その分きちんと観察して、相手の動きを見極めれば済むこと。修行と実戦を経て洗練された鏡介の動きに比べれば、敵の動きはまるで素人に等しかった。手本を見せるような流麗な手さばきで鍵を落とさせ、返す刀で斬り伏せる――。
「悪いが、俺も感情をやるつもりはない」
「そんなぁ!?」
刀一本でデウスエクスの集団に拮抗どころか凌駕する地球人がいたのに、ネガティブハンター達は驚きを隠せない。
いくら必死に心を抉ろうとしたところで、鍵が鏡介の身に触れることはなく――時が経つにつれて戦場に積み重なるのは彼女らの屍ばかりだった。
大成功
🔵🔵🔵
神野・志乃
黒幕のお出ましには、もう少し掛かりそうね
それにしても、本当に薄気味悪い敵ばかり……
お化けに怯える程幼くもないけれど、悪意を無視できる程大人でもないから
少しずつ少しずつ澱が積もる心地ではあるわね
そんな中で悪意の塊のような姿の敵に襲われたら、そりゃあ不快感が湧いてくるのは避けられない
|私の中の魔力《ユーベルコード》が縛られる感覚に、更に不安は増幅されるけれど
でもね
家出娘だって、一人で生きてる訳じゃないのよ
「援護、お願い」
私のポジションは『キャスター』
敵のUCを緩衝・妨害する魔術式の展開を要請
その術式によって、相手の異形が単なる幻影であることを【窮地での閃き】で見抜いたら、もう怖れるものはない
ハリボテと分かったホラーほど滑稽なものは無いのよ
「“まそえ”。闇夜の枯れ尾花を照らしなさい」
私の頭上に、ユーベルコード《まそえ》を展開
幻影に“隠れ”ようとする敵の姿を明るみに引きずり出して攻撃するわ
陽光の【属性攻撃】……即ち陽の気
貴女たち|陰気《ネガティブ》ハンターの天敵でしょう?
「黒幕のお出ましには、もう少し掛かりそうね」
要塞の奥からわらわらと出てきた『ネガティブハンター』達を見て、志乃はそう呟いた。二度とこんな拠点を造らせないためにも、デウスエクスは徹底的に叩いておく必要がある。もたもたしている間に逃げられでもしたら面倒だ。
「ウオォォォォ……」「フフフ……コッチニオイデ……」
一方のネガティブハンター達が、侵入者排除のために発動したのは【ネガティブファントム】。醜く恐ろしい怪物の姿に変身し、負の感情を喚起するユーベルコードだ。地球人の心を刺激する手練手管に長けた彼女達が変じたそれは、一目見るだけでも生理的な恐怖を感じさせた。
「それにしても、本当に薄気味悪い敵ばかり……」
迷宮で遭遇した罠もそうだが、ここのデウスエクスは本当に人の気分を害するのが上手い。他人の感情を搾取する対象としか見ていないが故の残酷さだ。志乃はお化けに怯える程幼くもないが、悪意を無視できる程大人でもなかった。
(少しずつ少しずつ澱が積もる心地ではあるわね)
|自分の中の魔力《ユーベルコード》が縛られる感覚に、更に不安は増幅される。この感情を克服できなければ、力は封じられたままで不利は否めないだろう。彼女の動揺を見透かすようにネガティブハンター達は怪物に化けたまま近寄ってくる――このまま身も心も甚振って、より深い負の感情を引き出すために。
「でもね。家出娘だって、一人で生きてる訳じゃないのよ」
「ウォぉ……えっ?」
例えここが山奥でも|決戦配備《ポジション》の発動は可能だ。特務機関DIVIDEはデウスエクスと戦う者達の活動を常にサポートしている。この世界で猟兵やケルベロスが孤立無援であることは決してない。ネガティブハンター達は、それを侮った。
「援護、お願い」
『了解しました』
彼女が要請したのは『キャスター』による敵のユーベルコードを緩衝・妨害する魔術式の展開。ある種のジャミングとも言える魔力波が要塞内に広がると、怪物どもの姿が蜃気楼のように揺らいだ。完全な無効化こそできないものの、それは敵の正体を志乃に悟らせるには十分な変化だった。
「ハリボテと分かったホラーほど滑稽なものは無いのよ」
「バレちゃった!?」「ヤバッ!」
妨害術式によって相手の異形が単なる幻影であることを見抜けば、もう怖れるものはない。文字通り「化けの皮が剥がれた」ネガティブハンター達の動揺っぷりは、先程までのおどろおどろしさとのギャップもあって余計に可笑しく感じる。すると同時に、力を封じられている感覚がふっと消えた。
「"まそえ"。闇夜の枯れ尾花を照らしなさい」
ユーベルコードを取り戻した志乃は、自分の頭上に【まそえ】を展開する。それは魔境より召喚される小型の太陽であり、月の魔力から抽出された陽光の具現化だ。天網恢恢疎にして漏らさず――灼熱の陽光は隠れ潜んだ全てのものを白日の下に暴き立てる。
「あつっ、あつつつつッ!?」「なんなのよコレっ?!」
幻影に"隠れ"ていたネガティブハンターの正体が、"まそえ"によって明るみに引きずり出される。容貌だけなら志乃と大して年格好も変わらない少女達が、まるで日に焼かれる吸血鬼のように苦しみ悶えている。その姿に恐怖を感じる者は、もはや誰もいないだろう。
「陽光の攻撃……即ち陽の気。貴女たち|陰気《ネガティブ》ハンターの天敵でしょう?」
「アンタ、それが分かってて……!」「こんなのっ、いくら浴びても意味ないのにッ!」
欠落を埋めるために活動する彼女らは、陽気な感情に一切の価値を見出さない。故にその弱点を突かれるのも予想外だっただろう。容赦なく照りつける日差しから逃れようと、慌てて右往左往しているが――もう、とっくに手遅れだ。
「ただの一人も逃しはしないわ」
「「い、イヤぁぁぁぁーーーっ!!」」
敵を睨みつける志乃の眼差しに沿うように"まそえ"から降り注ぐ陽光。愚かなネガティブハンター達の肉体はやがて灰となり、跡形もなく崩れ落ちる。他人の感情を弄び、陰気を奪い取ってきた悪党どもには、ふさわしい末路だろう。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『巨神ギガントマキア』
|
POW : マグマフィスト
【燃え盛る炎を纏った溶岩の巨拳】が命中した敵を一定確率で即死させる。即死率は、負傷や射程等で自身が不利な状況にある程上昇する。
SPD : マントルコンボ
【腕から発射される溶岩の拳】で装甲を破り、【溶岩の脚による踏みつけ】でダウンさせ、【全身から溢れだす溶岩流】でとどめを刺す連続攻撃を行う。
WIZ : ボルケーノカウンター
【巨大な溶岩を纏った両腕】を構える。発動中は攻撃できないが、正面からの全攻撃を【分厚い溶岩部分】で必ず防御し、【弾け飛ぶ火山弾】で反撃できる。
イラスト:滄。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ノヴァンタ・マルゲリータ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「まさか、こんな強いヤツらが来るなんて!」「ど、どうしましょう?!」
予想を遥かに超える猟兵達の攻撃によって、白神山地の要塞にいたネガティブハンター達は壊滅状態に陥っていた。
もはや拠点の防衛はおろか、ここから脱出することさえ困難な状況。「絶望」という負の感情を持たない彼女達でも混乱と動揺は隠せない。
「……騒々シイナ……」
「あっ、ギガントマキア!」「そっか、まだアンタがいたわ!」
その時、ズシンズシンと足音を響かせ、地面を揺らしながら姿を現したのは、岩石で形作られた一体の巨人だった。
彼の名は『巨神ギガントマキア』。他のデウスエクスの依頼を受けて活動する傭兵種族「ゴーレム」の一人であり、この要塞を守るためにネガティブハンター達が雇った用心棒だ。
「コイツラ、倒セバ……イイノカ?」
「そうよ!」「よろしく!」
あまり会話をするのが得意ではないのか、ギガントマキアはたどたどしい言葉を紡ぎながら猟兵達を見やる。
傭兵という立場ではあるが、彼の戦闘力はネガティブハンターよりも遥かに高い。実質的なこの要塞のボスと言って間違いないだろう。
「分カッタ……潰シテヤル」
精神攻撃が中心だったこれまでの冒険・戦闘と異なり、ギガントマキアは純然たるパワー指向のデウスエクス。
溶岩の体から放出される熱量と、その外見に違わぬ怪力と頑丈さは折り紙付き。油断すれば逆転される恐れもある。
逆に、こいつさえ倒してしまえば、この要塞は完全に陥落したも同然だ。
白神山地を舞台にした戦いも、ここがクライマックス。猟兵達は再び戦闘態勢を取り、溶岩の巨神と対峙する――。
神田・桃
この世界での初仕事、ここからは私も参加させて頂きますわ!
現状はこちらが有利、相手の攻撃の効果は上がりますが…ならば敢えて不利な戦法を取るだけのこと。
この射撃装備で拳の射程内に飛び込みますわ!
ポジションは【ジャマー】、勝負は一瞬…ユーベルコードの効果でアームズフォトを回避重視に変えていざ!
相手の射程範囲に飛び込んだならば、拳はぎりぎりまで引き付けてから回避行動を。
上手く躱せたらその瞬間にスモークの支援要請、視界が切れた瞬間足元を潜るように背後にして背後を取りますわよ!
すべて上手く行ったなら、後は背後から全火力を足元へ集中!
ギガントマキアさんには体勢を崩してもらいますわ!
「この世界での初仕事、ここからは私も参加させて頂きますわ!」
要塞攻略も大詰めを迎える中、そう言って戦線に加わったのは神田・桃(滾る鮮血の息吹・f41120)。ゲートをくぐり別の時空からこの世界にやって来たケルベロスの1人である。鎧装騎兵の象徴たるアームドフォートを装着し、溶岩巨人のデウスエクス『巨神ギガントマキア』と対峙する。
「……潰ス」
無機物の身体に意識を宿する傭兵種族「ゴーレム」。彼女がいた世界では確認されていない未知のデウスエクスだ。
それは溶岩の巨拳に燃え盛る炎を纏わせ、ゆっくりと振り上げる。下手に食らえば猟兵やケルベロスでも一撃で即死するほどの威力を、その一撃が秘めていると分かる――不利な時にほど効果を発揮する、一発逆転の大技という事か。
(現状はこちらが有利、相手の攻撃の効果は上がりますが……ならば敢えて不利な戦法を取るだけのこと)
桃は【タクティカル・トランスフォーム】によりアームズフォートを回避重視の形態に変形させ、あえて拳の射程内に飛び込む構えを見せる。わざわざ射撃装備で接近戦を仕掛けるのは危険過ぎるようにも思えるが、もちろん勝算はあっての事。特務機関DIVIDEへの|決戦配備《ポジション》発動も要請済みだ。
「勝負は一瞬……いざ!」
細身のフォルムに変化したアームズフォートと共に、一直線に距離を詰める。膨大な熱を発する溶岩の塊に接近するのは、それだけで常人なら肝の冷える行為だろう。しかし彼女は躊躇わず、まっすぐに勝利だけを見据えて吶喊した。
「ウオオォォォ……!」
標的が射程内に踏み込んだ瞬間、猛烈な勢いで振り下ろされる【マグマフィスト】。良くて重傷、悪くて即死の一撃を桃はギリギリまで引きつけて、まさに間一髪の回避行動を取った。揺れるピンクの縦ロールのすぐ横を巨拳が掠め、溶岩の熱が髪の毛を炙る――しかし、彼女はこの危うい勝負を乗り切った。
「ここですわ!」
『了解!』
「ナンダト……?」
その瞬間、ジャマー部隊による支援が実行され、投げ込まれた発煙筒や手榴弾から真っ白いスモークが噴き出した。
要塞の内部はたちまち煙に包まれ、視界を封じられたギガントマキアは敵を見失う。この隙に桃は巨人の足元を滑るようにして背後に回り込んだ。
「上手くいきましたわね!」
敵はこちらを見失い、こちらは敵の背後を取った最高のシチュエーション。このチャンスを逃さず桃は全火力を敵の足元に集中させた。至近距離から撃ち込まれるアームズフォートの砲弾は、いかに頑丈な溶岩の巨人にも耐えがたい。
「ギガントマキアさんには体勢を崩してもらいますわ!」
「グオオオオッ……!!!」
脚部を集中的に狙われたギガントマキアは桃の狙い通りにバランスを崩して転倒。ゴシャアと大きな音を立てて要塞が揺れる。一歩間違えれば死の危険もありながら、結果としては大ダメージを与えた――これがケルベロスディバイド世界での初仕事とは思えぬ大胆さと勝負強さであった。
大成功
🔵🔵🔵
オルフェウス・シフウミヤ
【娘達】
※アドリブ大歓迎
決戦配備はスナイパー
UCは雷光の月女神
武器は聖戦剣
アイテムは最初に戦闘演算と合わせて煌銀眼で常に事象が非常に遅い中で常に最適解を選択。次に因果律崩壊で代償の呪縛をなかったことにします。
UCによる雷速+レベル×500km/hでの疾走しながら、聖戦剣で汎ゆる因果律、事象、現象そのものを破壊し新たにどんどん脆くなるように、朽ちるように、砕け落ちるように改竄しながら光速を突破して超光速での超速斬撃を行います。視界の確保は煌銀眼による事象の遅い世界で行います。
溶岩の拳?踏みつけ?溶岩流?いいでしょう、当てれるものなら当ててみなさい。スナイパーには私の隙を埋めてもらいます。
ホロウ・リュヌ
【娘達】
※アドリブ大歓迎
UCは光速礼賛 殲滅の女神
武器はディメンションセイバー、宇宙礼賛で最初に煌翠眼で事象が非常に遅い中で常に最適解を選択。
宇宙結晶から第二宇宙結晶に多次元宇宙の汎ゆる次元エネルギーを取り出し武器やUCの出力を無限に高めます。
射程外から出力が無限に高められた宇宙礼賛による超新星爆発やガンマ線バーストを撃ち込みます。
その後、UCで空中ステップを用いた超光速の三次元機動で間合いに踏み込み無限に出力が上がったディメンションセイバーの斬撃波と召喚した連装列車砲の炎弾連続砲撃を撃ち込みます。隙が出来たら次元、時空間すらも斬り裂く斬撃をして決戦配備のスナイパーには私の援護射撃を頼みます。
「行きましょう、ホロウ」
「ええ、オルフェウス」
白神山地に築かれたデウスエクスの要塞に、新たに参戦する猟兵が二人。彼女らの名はオルフェウス・シフウミヤ
(|冥府の吟遊詩人の系譜《スコーピオ・オルフェウス》・f40711)とホロウ・リュヌ(|純粋一途で空虚な月《エンプティネス・キャンサー》・f40766)。とある研究所で開発された強化人間のクローンである。
「私は遅い……悲しい……愛する母を超えたい。そう、母に救われたあの時のように、私は疾走しよう。何故なら母を敬愛しているから」
「殲滅せよ我が魂、悪滅殺一切慈悲は無し。死の踊りと炎弾の舞が戦場を支配する。ならば眼の前の敵を殲滅しよう。あぁ私は心躍らせている」
オリジナルに迫る性能を持ち、オリジナルに救われた過去を持つ「娘達」は、各々の決意表明を唱えて戦いに臨む。
オルフェウスの瞳は銀色に、ホロウの瞳は翡翠に煌めいて、討つべき敵――『巨神ギガントマキア』を睨んでいた。
「何人来ヨウト、関係ナイ……」
ネガティブハンターから要塞の防衛を任されたギガントマキアは、傭兵として私情は挟まずに愚直に仕事を果たす。
ふたりの猟兵に向けられた両腕から、発射されるのは溶岩の拳。これで装甲を溶解させた後、踏みつけでダウンさせ溶岩流でとどめを刺す【マントルコンボ】が、彼の得意技のひとつだ。
「「遅い」」
しかし、オルフェウスの「|煌銀眼《オルフェウスアイ》」とホロウの「|煌翠眼《ホロウ・ハヤトロギア》」は、神速の領域に達した瞬間同時並列思考によって敵の行動を予測していた。あらゆる事象がスローモーションになった世界の中で、ふたりは攻撃を躱しながらそれぞれのポジションにつく。
「溶岩の拳? 踏みつけ? 溶岩流? いいでしょう、当てれるものなら当ててみなさい」
【雷光の月女神】を発動したオルフェウスは雷速をはるかに超えるスピードで疾走しながら、「|聖戦剣《クルセイドテスタメント》」でギガントマキアに斬り掛かる。その斬撃は因果律や物理法則、果ては事象そのものを改竄し破壊する、恐るべき理外の異能だ。
「速イ……グオォッ……!」
金色の刀身が超高速で閃くたびに、ギガントマキアの体はどんどん脆くなるように、朽ちるように、砕け落ちるように改竄されていく。呻きながらも彼が繰り出す反撃は、オルフェウスにとってはあまりにも遅い。スピードを追求して開発されたサイボーグである彼女と、鈍重な溶岩の巨人ではそもそもの速度域が違うのだ。
「宇宙の輝きをここに」
前線でオルフェウスが無双する一方、ホロウは「|宇宙結晶《ヴェルトールクリスタル》」の出力を上げる。この結晶体は多次元宇宙からエネルギーを引き出す一種の永久機関であり、供給される無限に等しいエネルギーを彼女は「|宇宙礼賛《ヴェルトールオーバードライブ》」と名付けられた黒い小杖から出力する。
「外宇宙の存在でも、これに耐えられる?」
「――……!!!」
発生するのは極小規模の超新星爆発とガンマ線バースト。膨大な光熱と宇宙線のエネルギーがデウスエクスを灼く。
一歩間違えれば味方を蒸発させかねない攻撃だが、そこは同じ「妹達」としての信用がある。この程度の攻撃に巻き込まれるようなら向こうが不甲斐ないだけの話だ。
「やりますね、ホロウ」
「グ、ゥ……マダダ……!」
宇宙礼賛の砲撃を避けるためにオルフェウスは一瞬攻撃の手を緩める。その隙を見逃さなかったギガントマキアは、溶岩の脚で反撃を仕掛けてきた。どんなスピード自慢でもダウンさせられれば動きは止まる、マウントに持ち込めれば体格とパワーで勝る側が有利だ。
『させるか!』
「何ッ……?」
だが、それを阻止したのは後方に配備されていたスナイパー部隊だった。このようなケースも想定して、二人は事前に|決戦配備《ポジション》を要請していたのだ。彼らの援護射撃はほんの一瞬ではあったがギガントマキアの虚を突き、その間隙にオルフェウスは体制の立て直しに成功する。
「助かりました。後は下がっていてください」
もう二度と今のような隙は見せないと、オルフェウスはより苛烈な攻勢をかける。自身にかかるユーベルコードの負荷と代償は因果律改竄によって無効となり、斬撃の速度は物理法則を突破して超光速に到達。もはや視認することさえ許されないまま、ギガントマキアは滅多斬りにされる。
「グ、ガァァァァ……!」
「……そこね」
たまらず敵が後退し隙を見せたその瞬間、ホロウが【光速礼賛 殲滅の女神】を発動。空中ステップを用いた超光速の三次元機動をもって、刹那のうちに敵の間合いに踏み込んだ。その手にはサイキックエナジーでできた黒い光の大剣――「ディメンションセイバー」が握られている。
「殲滅する」
次元や時空間すら斬り裂く実体なき斬撃波が、因果律操作で脆くなったギガントマキアの身体を抉る。間髪入れずにホロウは連装列車砲を召喚、至近距離から炎弾連続砲撃を撃ち込んだ。宇宙結晶から取り出された無尽蔵のエネルギーによって、その出力は無限大に高まっている。
「馬鹿ナッ……!!!!」
無機質な外見から驚愕の叫びを上げて、火達磨になりながら吹き飛ばされるギガントマキア。溶岩の身体を持つ彼が"熱さ"を感じるのは、恐らくコレが初めての経験だろう。不滅の存在であるデウスエクスとて決して無敵ではないことを、その身に刻まれた傷が証明していた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
川崎・五十鈴
関係ない。今日ここを潰すと決めた。ついでに死んでけ木偶の坊。
ユーベルコードを使って敵の攻撃を舞うように躱して接近。地面に敵のせいで溶岩が流されていようと問題ない。私の靴はフェアリーブーツ。妖精に舞えない場所はない。※【ダンス】【地形耐性】【足場習熟】【悪路走破】【火炎耐性】【環境耐性】
敵が腕や脚で私の攻撃を防御することもできない間合いに入ったら黒影弾の連射による矢弾の雨を撃ち込む。敵が硬い体皮を持っていようと関係ない。影から精製された弾丸は敵の内部に侵食し重要器官を破壊する鎧無視攻撃。その命の花を散らせ。(ついでにネガティブハンターたちにも撃ってる)
復興作業のことを考えると気が遠くなる…。
「関係ない。今日ここを潰すと決めた。ついでに死んでけ木偶の坊」
新手にデウスエクスが出てこようが、五十鈴のやる事は変わらない。白神山地の自然を守るため、要塞建設に関わる奴らは全て抹殺する。護衛のために雇われただけとか、そんな言い訳は彼女には通じない。ひたすら殲滅あるのみだ。
「ココヲ守ルノガ……仕事ダ」
もっとも見るからに会話よりも戦闘が得意な『巨神ギガントマキア』は、言い訳をするつもりなど無さそうだった。
溶岩の拳を握りしめ、ズシンズシンと前進する。動作はゆっくりとしているが、その分パワーとタフネスに関しては折り紙付きだろう。デウスエクスの傭兵種族「ゴーレム」の名は伊達ではない。
「死ね」
「キサマガ、ナ」
ブーツのかかとをかつんと鳴らして、迷いなく前進する五十鈴を迎えたのは、巨腕より発射された溶岩の拳だった。
彼女は【リベリオンフラワーズ】を発動し、舞踏のように華麗な動きでそれを躱す。接近すれば今度は踏みつけ攻撃が来るが、それもひらりと軽やかなステップで避ける。
「チョコマカ、ト……!」
ならばとギガントマキアは全身から溶岩流を噴出して、彼女が舞うための足場そのものをなくそうと考えた。まるで活火山のように溢れ出る高熱のマグマはたちまち戦場を真っ赤に染め上げ、これにに触れればケルベロスとて火傷では済まない。普通ならやむなく距離を取るところだろう。
「問題ない。私の靴はフェアリーブーツ。妖精に舞えない場所はない」
だが五十鈴を普通だと舐めてかかって貰っては困る。溶岩が流れる地面の上であろうと、彼女は変わらず舞い踊る。
妖精種族の魔力から生まれたという、母の形見の魔法のブーツ。これが彼女の機動性を保障する要だ。足場の不利を気にも留めず、鈍重な巨神の攻撃など掠りもしない。
「鈍い」
「クッ……!」
そのまま五十鈴は敵との至近距離に迫る。ここまで間合いに入られると体格差の関係でギガントマキアは攻撃も防御も困難だろう。押し付けるような距離感から二丁拳銃の銃口を突きつけ――情け容赦のない黒影弾の連射を叩き込む。
「その命の花を散らせ」
「グオオォォォォ……!!」
標的が硬い体皮を持っていようと関係なく、影から精製された弾丸は内部まで侵食して重要器官を破壊する。無機物の塊のようなゴーレムにも生命維持のために必要な核などはあるだろう。五十鈴の浴びせた銃撃はそこをピンポイントに撃ち抜いた。
「きゃぁぁぁぁっ?!」「あたしたちまでッ!?」
ついでとばかりに黒影弾の雨は生き残っていたネガティブハンター達にも降り注ぐ。ドサクサに紛れて逃げられては困る、彼女達にはきっちり報いを受けて貰わなければ――雄弁な殺意の詰まった弾丸は、今度こそ要塞の主たちを全滅に追いやった。
(復興作業のことを考えると気が遠くなる……)
華麗なる妖精の舞いを終えた後、五十鈴の眼前に残るのは膝を屈した溶岩巨人。こいつが流したマグマの血は、こいつの死後も残るのだろうか? 要塞の解体撤去を含めて、この地に元の自然を取り戻すには大変な労力が想定された。
失われた自然環境の再生は、破壊するよりも遥かに大変なのだ。やはり環境破壊デウスエクスは許すまじと、怒りと殺意を漲らせて、少女は敵に再度銃口を向けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
この世界にはまだ無数の拠点があるのだろうし、或いは宇宙から別の部隊がやってくるのだろう
だが、この拠点を潰す事で救える人は確かにいる。なら、それでいいだろう
これだけの巨体で素早くは動けまいが、直撃を喰らうと一撃でやられかねないか
敵の歩幅も考慮した上で、相手の射程の僅か外側に立ち
余裕があれば一撃離脱を狙いつつも、基本的には相手の攻撃を誘って動きを観察する構え
大振りで仕掛けてきたところで一気に踏み込み、澪式・奥義【無念】
薙ぎ払いで脚を刈って体勢を崩し、斬り上げと刺突で振るってきた腕を弾き返し
体勢を崩した敵の身体を踏んで大きく跳躍。兜割りで頭を叩き切り
着地後即座に、無念無想の太刀を叩き込む
(この世界にはまだ無数の拠点があるのだろうし、或いは宇宙から別の部隊がやってくるのだろう)
グラビティ・チェインに満ちる地球を征服するため、圧倒的戦力をもって侵略を行うデウスエクス軍団。この拠点を陥落させようと、その脅威が失われる訳ではないことを鏡介は正しく理解していた。神の如き不滅なる者達との戦いに終止符を打つ方法を、彼も、この世界の人々もまだ知らない。
「だが、この拠点を潰す事で救える人は確かにいる。なら、それでいいだろう」
グラビティ・チェインのみならず人の感情までも食い物にする「ネガティブハンター」。彼女達がこの地で企てていた計画を完膚なきまでに阻止するため、青年は破魔の刀を抜く。今はただ、己に為せる事を全力で成し遂げるのみだ。
「ヤレルト……思ウナ……」
要塞を守護する最後の壁として立ちはだかるのは『巨神ギガントマキア』。燃え盛る炎を纏った溶岩の巨拳を振り上げ、ズシンズシンと地響きと共に近付いてくる。さっきまで相手をしていたネガティブハンター達とは真逆の、純粋なパワータイプのデウスエクスだ。
(これだけの巨体で素早くは動けまいが、直撃を喰らうと一撃でやられかねないか)
鏡介は慎重に敵の歩幅も考慮した上で、その射程の僅か外側に立つ。追い詰められないよう背後にも気をつけていれば、俊敏さの差でそうそう間合いを詰められはしない。流水の足運びで要塞内を動き回りながら、刀を手に隙を窺う姿はまさしく達人であった。
「……そこだ」
「ヌゥゥ……!」
ギリギリの距離感で相手の攻撃を誘い、動きを観察する鏡介。余裕と見れば巨拳が空を切った隙を突き、一撃離脱で攻撃も仕掛けていく。すれ違いざまに撫でるような瞬速の斬撃は、冷え固まった溶岩の装甲に阻まれて大きなダメージにはならないが、相手は少なからず焦るだろう。
「調子ニ、乗ルナ……!」
このまま削り倒されることを危惧したギガントマキアは決着を急ぎ、大振りの【マグマフィスト】を仕掛けてくる。
当たれば一発逆転も狙える必殺の拳。だが、そこに生じる機こそ鏡介が様子見に努めてきた理由でもある。敵が技の体勢に入った瞬間から、彼は全力で地を蹴った。
「この剣で紕いを断つ」
「――……!?」
これまでとは速度も深さも異なる踏み込みで、一気に間合いを詰められたギガントマキアが動揺する。直後に鏡介は薙ぎ払いで敵の脚を刈った。バランスを崩した巨人が膝を付けば、下がってきた腕を狙って続け様に斬り上げと刺突を放つ。磨き抜かれた剣技と破魔の宝刀が炎を散らし、溶岩の拳を弾き返した。
「ナンダト……グガッ!」
鏡介の連撃はまだ止まらない。体勢を崩した敵の身体を踏んで大きく跳躍すると、全身の捻りと膂力を乗せた兜割りを放つ。頑強なる溶岩の頭蓋にピシリと音を立てて亀裂が走り――のけぞった敵へと着地直後に叩き込むのは、必殺の無念無想の太刀。
「即ち――澪式・奥義【無念】」
「グオオォォォォ……!!!」
心技体を尽くして鏡介が放ったユーベルコードは完璧にギガントマキアを捉え、その身に大きな深手をもたらした。
裂けた溶岩の身体から溢れ出すのは鮮血の如き真っ赤なマグマ。よろめき呻くその姿から、遭遇当初ほどの力強さは失われていた――。
大成功
🔵🔵🔵
アルマ・アルカレイト
チーム錬金術士
属性攻撃…骸海龍の回転発動
錬金術…マヒ攻撃と凍結攻撃の錬成弾を錬成
視力…敵の動きを確認する
クイックドロウ…素早く弾丸を放つ
熱っ?!何よこいつ!
凄い温度の敵を見て動揺する私
熱い〜!危ないわね!
敵が溶岩の拳を放って来たので視力で拳が振るわれるタイミングを見て横に回避する
やらせない!
踏みつけは錬成弾を素早く放ち敵を凍らせて敵から離れる
行くわよ!変身!
溶岩流は骸海龍の無限回転(UC原子回忌帰)を発動して変身した
くらいなさい!骸海龍の無限回転!
指定UCを発動して溶岩流を無限喰回転で消滅させた
UCで召喚した大魔王は爆撃の矢弾の雨を放ち攻撃
終わりよ!
私は骸海龍の回転滅弾を放ち敵に追撃をかけた
東・慶喜
チーム錬金術士
結界術…防御技能
クイックドロウ…素早くエネルギー弾を放つ
錬金術…凍結攻撃のエネルギー弾を錬成
視力…敵の動きを見て回避する
推力移動…移動に使う
溶岩やな…気をつけろ、アルマ!
敵と対峙する俺達
まずは回避や!
敵はUCを発動してきて溶岩の拳を放って来たので視力で敵の動きを良く見て推力移動で回避した
アルマ!
敵の踏みつけはアルマに向けられたが敵の軸足に結界術を発動してバランスを崩した上にアルマの凍結弾で凍らせた
うおぉぉぉぉぉぉ!危な!
推力移動で溶岩流から離れる
手伝うで!行くで…凍って痺れろ!
アルマが龍に変身して敵と戦っていたので追い打ちに指定UCを発動して敵に追撃をかけて敵を凍らせて痺れさせた
「熱っ?! 何よこいつ!」
「溶岩やな……気をつけろ、アルマ!」
要塞の奥から出てきた敵を見て、そいつが発する凄まじい熱に動揺するアルマ。生きた溶岩の塊である『巨神ギガントマキア』は、ただ近くにいるだけでも火傷しそうなほど。それを感じた慶喜は気を引き締めるように警告を発する。
「死ネ……」
巨神は多くを語らず、ただ渾身の攻撃を放つ。その腕から発射される溶岩の拳は、質量と熱量で大抵の装甲は溶かし砕いてしまうだろう。そこから踏みつけでダウンさせ、溶岩流でとどめを刺すのが必殺の【マントルコンボ】である。
「まずは回避や!」
「熱い~! 危ないわね!」
敵の初動を特に警戒していた二人は、溶岩の拳が放たれるタイミングをよく見て、左右に分かれるように回避する。
標的が別々の方向に避ければ、敵はどちらに追撃するのか――ギガントマキアが狙ったのはアルマだった。魔力による推力移動を行う慶喜に比べて、"無能"な彼女の動きだしは少しだけ遅かったのが理由か。
「アルマ!」
巨神の脚が相棒を踏みつけようとするのを見た慶喜は、その軸足めがけて結界術を発動する。突如出現した結界に足を取られたギガントマキアは「ウォォ……?」と怪訝な声を上げる。転倒させることはできなかったが、バランスが崩れれば足技の出は遅れる。
「やらせない!」
すかさずアルマはガンナイフから凍結とマヒの錬成弾を放つ。今まさに彼女を踏み潰そうとしていた溶岩の脚はたちまち冷え固まり、動きが止まっている間に彼女は敵から離れた。このまま攻撃を受け続けていては埒が明かない、そろそろこちらの反撃のターンだ。
「行くわよ! 変身!」
高らかに叫んだアルマの右目は青く、左目は赤く染まり、黒と白の翼を持つ緑紫の龍へと変身を遂げる。これこそが【原子回忌帰・骸海龍アテルマディナ】。アルマ・アルカレイトという存在のルーツとも言える大いなる骸海の龍だ。
「くらいなさい! 骸海龍の無限回転!」
「邪魔ダ……!」
骸海龍となったアルマの【骸海龍奥義・超越大魔王無限災厄の超越回転喰弾】と、ギガントマキアの溶岩流が要塞内でぶつかり合う。生命を骨の髄まで溶かすマグマの大波は脅威であったが、高速回転する骸海龍の弾丸はそれを喰らうように呑み込み、消滅させた。
「うおぉぉぉぉぉぉ! 危な!」
「オノレ……グアァッ?!」
一方の慶喜は溶岩流に巻き込まれないよう全速力で離れている。そこにギガントマキアが追撃しようとしたところ、骸海龍奥義の発動に合わせて召喚された大魔王が爆撃の弾雨を降らせた。ドォンッ! と爆音と衝撃が要塞を揺らし、巨神から溶岩の破片がパラパラと散る。
「手伝うで! 行くで……凍って痺れろ!」
「クッ……動ケナイ……?!」
この機を逃さず慶喜は【ライトニング・ブリザード・フォーミュラ】を発動。次元の力と生体電流と凍結の力を合わせ、雷と氷のレーザーでギガントマキアに追い討ちをかける。その図体のでかさと鈍重さでは避けられるはずもなく、凍り痺れた巨神の動きがピタリと止まった。
「終わりよ!」
「グワァァァァ……!!」
直後にアルマの放った骸海龍の無限回転滅弾は、ギガントマキアの胸のど中心にぶち当たり、大きな風穴を開ける。
咆哮と共に溢れ出すマグマの血潮。これでもまだ生きているだけ大したものだが――いかにデウスエクスといえど、その傷がほぼ致命傷に近いのは誰の目にも明らかだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
神野・志乃
あら。随分分かり易いヤツが来たわね
フラストレーションが溜まっていたから丁度いいわ、と睨みつけ
「それじゃ、さっさと終わらせましょう」
まさか、これも幻覚……
(相手の攻撃を見て)
……ということは無さそうね
こんなのとまともに正面衝突できないもの
ポジション:ディフェンダーを要請して身を守りつつ
最初は様子を見るため、遠距離から【武器から光線】を放って手堅く行く、けれど
火山弾の反撃を受けるなら、咄嗟に【オーラ防御】しながらバリケードに隠れるわ
随分と厄介ね、あの腕
……なら、腕で防げない角度から行きましょう
「出ておいで、“おうり”」
ユーベルコード《おうり》を発動
百と二十を超える光剣の一斉展開、更に複雑な軌道を描いて飛び回らせる
動きも鈍重、複雑な思考も苦手そうな相手に見えるけれど……生憎、油断はしないわ
ダメ押しに、本体の私が真正面から攻撃するフリをして、魔鏡からの強い光で【目潰し】を放つ
攻撃じゃなければ反撃も無いでしょう?
その隙を突いて、腕で覆われていない部位へ“おうり”の全弾を叩き込む
「あら。随分分かり易いヤツが来たわね」
精神をチクチク攻めるのが得意だったこれまでのデウスエクスと打って変わって、今度の相手は見るからにゴリゴリの物理タイプ。フラストレーションが溜まっていたから丁度いいわ、と志乃は『巨神ギガントマキア』を睨みつける。
「潰ス……」
溶岩の身体を持つ無骨な巨人は、その視線に煮え滾るような殺意で応じる。雇い主であるネガティブハンターはすでに壊滅状態で、この要塞も陥落間近という状況だが、それでも持ち場を離れないのは義務感か、それとも他の理由か。表情なき顔面からは杳として知れない。
「それじゃ、さっさと終わらせましょう」
「アア……ソウダナ……」
そろそろ決着の付け時だろうと、その点に関しては双方ともに異論はなかった。志乃に向けてギガントマキアが振り上げたのはマグマを纏った巨大な腕。全身が灼熱の溶岩で構成されたゴーレムはさながら活火山の如き攻撃力を誇る。
「まさか、これも幻覚……ということは無さそうね」
これまでの傾向からつい疑った志乃であるが、肌で感じる熱と拳の圧力は幻覚などではないとはっきりと確信する。
即座にさっと後ろに飛び退いた彼女の、すぐ目の前に溶岩の拳が着弾し。まるで大砲でも受けたように床が抉れた。
「こんなのとまともに正面衝突できないもの」
志乃はディフェンダーの|決戦配備《ポジション》を要請して自身の周りにバリケードを築き、身を守りつつ遠距離から手堅い攻めに出る。まずは様子見とばかりに魔鏡『女神光』から太陽光線を放ってみると、敵は両腕でガードの構えを取り――。
「ソンナモノ、効クカ!」
分厚い溶岩部分でガードされた光線はほとんど本体にダメージを与えられず、弾け飛んだ破片が火山弾となって志乃の元まで降りかかる。咄嗟にオーラで防御しつつバリケードに隠れるが、熱と衝撃が防壁の裏側からも伝わってきた。
「随分と厄介ね、あの腕……なら、腕で防げない角度から行きましょう」
防御と反撃を同時に行う【ボルケーノカウンター】の構え。だが、その守りが鉄壁なのは正面からの攻撃に限られると志乃はすぐに見抜いていた。側面や背後からの攻撃であれば通じると考え、ユーベルコード【おうり】を発動する。
「出ておいで、"おうり"」
少女の呼びかけに応えて現れるのは、百と二十を超える光剣の群れ。一斉展開されたそれらは幾何学的に複雑な軌道を描いて要塞内を飛び回り、ギガントマキアを包囲攻撃する。浄化の力を増幅させる陽光の剣は、火では焼けぬ溶岩の巨人にも有効なはずだ。
「グウゥ……!」
四方八方から攻め寄せる"おうり"の斬撃を全てガードすることは、たった二本の腕では不可能だった。白光の軌跡がギガントマキアの身体を削り、じりじりとダメージを与えていく。この手の攻撃が苦手なのだろうことは、彼が発した苦しげな声からも察せられた。
(動きも鈍重、複雑な思考も苦手そうな相手に見えるけれど……生憎、油断はしないわ)
ダメ押しに志乃はバリケードの裏からひょいと姿を見せ、もう一度魔鏡を掲げる。再び正面から光線が来ると思ったギガントマキアはそちらに向けてガードを固めるが――実際に放たれたのは目眩ましを目的にした強烈な閃光だった。
「攻撃じゃなければ反撃も無いでしょう?」
「グォ……!!?」
まんまと志乃の思惑通り、陽光を直視してしまったギガントマキアは視力を喪失し、一時的ながらも動きが止まる。
この機を逃さず、彼女は"おうり"の全弾を腕で覆われていない部位めがけて叩き込む。悪しきを祓う浄き白光の刃が、星の海より来たりし巨神へと突き刺さり――。
「……敗ケ、タ……コノ借リ、必ズ……」
たどたどしい末期の言葉を遺し、ギガントマキアの身体は命なき溶岩の塊となり、原型を失いバラバラに崩れ去る。
デウスエクスならばいずれまた蘇り、リベンジを挑んでくるやもしれないが――白神山地の要塞を巡るこの戦いは、猟兵の完全勝利として決着を迎えた。
かくして世界遺産に築かれたデウスエクスの要塞を壊滅させ、ネガティブハンター達の計画を白紙に戻した猟兵達。
この件が敵の侵略計画に狂いをもたらすことは間違いなく、人類と地球の未来は此度も無事に守られたのであった。
大成功
🔵🔵🔵