夏空紀行、一番の虹を探して
ふたりで巡る世界旅行、今回の行き先は……?
青い空、白い雲、行き交う飛空艇、どこまでも続く空の世界――そう、ブルーアルカディア!
けれど当然、ただの観光旅行ではありません。
マシュマローネ・アラモード(第十二皇女『兎の皇女』・f38748)とティタ・ノシュタリア(夢を見る|宇宙《 そら 》・f38779)が今回一緒に探すのは、やっぱりふたりだけのとっておき。
わくわくドキドキ、一番の虹を探す旅へと……いざ出発!
●水の都・トトリア
待ちに待った旅もついに始まっていざ、一番の虹を探す……その前に。
折角だから、ちょっぴりだけ寄り道を。
ということで、ふたりがまず訪れた地は。
「ここがトトリアですね! とっても綺麗な街です!」
そう、無限に水が湧き出すという不思議な浮遊大陸にある都市、『水の都トトリア』。
巨大な『天使核水車』の推力で島全体を動かすことが可能なこの地は、非常に栄えている交易都市であり、縦横無尽に水路がはしっていて。
「ティタ、レモンスカッシュを飲みながらゴンドラに乗りませんか? 水路を行く旅に参りましょう!」
「ゴンドラに乗れるんですか? ぜひぜひ、行きましょうマシュマローネ!」
水の道を行き交うのは、人々を運ぶゴンドラたち。
ティタはマシュマローネの提案に二つ返事で頷いて、早速ゴンドラ乗り場へと向かおうとするも。
「あっ、その前に! レモンスカッシュを買ってから、ですよね!」
「えぇ、ブルーアルカディアで獲れるレモン、それを使ったレモンスカッシュは美味しいと評判ですわ!」
美味しいレモンスカッシュを忘れずに購入すれば……これで、準備はばっちり!
飲み物片手に、ふたりでゴンドラへと乗り込んで、いざ水路の旅へ。
ゆうるりとゴンドラが進みはじめれば、温かい陽射しの下、キラキラ輝く水路の街の景色も流れ始めて。
ぱちぱちしゅわり、爽やかな酸味が弾けるレモンスカッシュは、水路の旅のお供にもぴったり。
そんな景色をのんびり眺めていれば、マシュマローネが思い返すのは。
「以前訪れたアクエリオもこんな感じで……」
同じ様に張り巡らされた運河が巡っていた、巨大な水瓶を中心に発達した都市・水神祭都アクエリオ。
あの時も、ふたりこうやって一緒にゴンドラに乗って。
「アクエリオですか? そうですね、似てるかもしれません」
「あの時は夜の星がとても綺麗でしたわね」
空にも泉にも煌めいていた、沢山の星たち。
そしてココア片手にふたりで願ったことは――まさに今、自分達で叶えている途中。
ティタもその時のことをふと思い返してみる。
星に馳せた願いはそう――旅の成功、良き友情や縁が結ばれる事、もっともっとたくさんの知らないものが見られますように……って。
そして今度は、あたたかいココアではなく、爽やかなレモンスカッシュを口にしながらも。
「……ふふっ、あのときはお星さまがいっぱいで、どこか神秘的でもありましたが」
あの時とはまた違った眩い陽光降る景色に、瞳を細め続ける。
「今はちょっぴり違って、優雅な気持ちですっ!」
「ゴンドラに乗って行く街並みは、特別な気持ちにさせてくれますわね」
そう返すマシュマローネだって、ティタと同じ気持ちで。
夏の陽気にピッタリな柑橘のドリンクを飲めば、気持ちはすっかり夏模様!
そして水路の旅を暫し楽しんだ後は、いよいよ本格的な虹探しのはじまり!
「わわ、これがブルーアルカディアの飛行船! 楽しみにしてましたよぅ!」
定期船の一等室を借りて、今度は空の旅へ。
行き先は、オルダナ円環島……人と種族の集まる賑わいの島。
そして通された飛行船の客室は、ふたりで過ごすにはちょうど良い広さで、心地良くて。
「マシュマローネ! ブルーアルカディアのお茶、気になりませんか? 注文してみましょう!」
ふたりで楽しむのは、美味しい空色のお茶と、そして虹を探す旅の作戦会議!
寛ぎながらも二人並んで、地図と睨めっこ。
「オルダナ円環島で一番の情報通は勇士、そんな勇士の方が伝手になるのでは?」
「むむっ、勇士さん! なるほど……たしかに詳しそうですっ……!」
虹の手掛かりを探す計画として、まずはオルダナ円環島で勇士に話を聞いてみることに。
マシュマローネはそれからも、色々なことを考えてみるけれど。
でも、ちょっぴり頭が煮詰まってしまったから。
「ティタ、デッキに出て風を感じにいきませんか? なんだかそんな気持ちなのです」
「デッキに、ですか? ……ふふっ、そうですね。お供します」
夏の風に少しの間吹かれるべく、デッキへと移動する。
刹那、空を行く船から感じる風は、海風ともまた違って。
同時に、煮詰まっていたマシュマローネの気分も晴れて、わくわくせずにはいられない。
どこまでも遠くに吹いていきそうな、そんなふたりの自由な旅路を感じて。
●飛空艇港の町・オルダナ円環島
飛空艇が到着したのは、空の港・オルダナ港。
そして一番の虹は、ただ闇雲に探してもきっと見つからないだろうから。
到着した足でふたりが向かうのは。
「オルダナ円環島では、勇士の方が多くいらっしゃるとお聞きします。そこのダイナーで、情報収集しますわ!」
そう、様々な人や情報で溢れている町のダイナー。
「ダイナーでお食事をお願いして、マスターに情報通の勇士の方をお伺いしましょう」
まずは、食事をとりながらも情報通の勇士を教えて貰って。
とびきりの虹を探していることを伝え、一番の虹が見える場所を聞く作戦!
そしてマシュマローネに続いてダイナーに足を踏み入れたティタは、ずっとそわそわしっぱなし。
それから刹那、ハッとあることに気が付く。
(「これは……もしかして! 物語に出てくる『酒場で情報を集める』みたいなあれですよね……!」)
そう考えれば、さらに内心わくわくが止まらない。
だから、マスターに教えて貰った勇士を見つめた後。
ティタはこそっとマシュマローネにこう耳打ちを。
「マシュマローネ、あのあの。私、聞いてみてもいいですか?」
「ティタがお聞きになりますか? えぇ、こうした事はティタの方が適任だと思いますわ」
その申し出に、マシュマローネも頷いて返しながらも。
ちょっぴりドキドキ緊張気味な彼女へと続ける。
……困ったら私もお側におりますので、お気になさらず! と。
そんな言葉を聞けば、ほわりと安心するティタの心……あなたがそばにいてくれるなら、って。
だから、すぅ、とちいさく息を吸って。
「あのあのっ、私たち、とびっきり綺麗な虹が見えるところを探してまして! ……ご存知でしょうか?」
情報通の勇士へと、意を決して訊ねてみれば。
「それなら、風の谷にある滝だな。地図で言えば……ここだよ」
「わ、ありがとうございます!」
無事に教えてもらって、ぱあっと笑顔に!
だって、ティタはうれしかったから。
いちばんの虹の情報が見つかったことと、密かに憧れだったシチュエーションを体験できたこと……そのどちらとも。
そんな様子を見守っていたマシュマローネは、勇士から得た情報を改めて確認して。
「早速行く手筈を整えましょう!」
地図に印をつけて貰った、風の谷にある滝へと……向かう、その前に。
「でも、今はこの賑やかさが心地よいですわね。ティタはこういうのは大丈夫ですか?」
ほわりと笑んでいるティタへと訊ねてみれば。
すぐにこくりと返ってくる声。
「はいっ、こういうのも好きですよ!」
そして……よかったら旅立つ前に腹拵えはどうだ? なんて。
火竜のステーキと樽ジョッキを差し出す勇士達の誘いに、出発前にちょっとだけ、お邪魔させてもらうことにして。
「お嫌いでなければ、こういった旅の雰囲気、楽しんで参りましょう!」
「勇士さんたち、とっても賑やかで! こっちも楽しくなっちゃいます!」
しゅわっと弾ける空色ソーダのジュースが注がれた樽ジョッキを掲げて――旅先の一期一会の出逢いに、乾杯!
●風の谷の、虹の滝
トトリアからオルダナへと渡り、そして有力な情報もばっちり手に入れて。
折角だから間近で見たいと、逸る心のまま、ふたり颯爽と青い空を行く。
「小型の飛行船……! ふむふむ、二人乗りなんですね」
「ティタ、ぎゅーっとしっかりつかまっていてくださいね」
セイルフロートで二人乗りして、一番の虹の元へと。
そしてマシュマローネに言われた通りに。
「ぎゅーっと……えへへ、はいっ!」
決して落ちてしまわないように、ぎゅーっと強く抱きしめるティタ。
瞬間、ふわりと伝わってきた熱に、思わずドキドキしてしまう。
うれしさと照れと、わくわくがないまぜになった気持ちを感じて。
そんな相手に伝わってしまいそうなくらい胸の鼓動が早まる中、空を一緒に翔けながらも、ティタは思う。
……風を切りながらも頬が熱いのは気のせいじゃないのでしょう、なんて。
でもそれは、マシュマローネも同じで。
ティタの息遣い、鼓動……どれもすぐ近くに感じられて。
それだけで虹を見つけるドキドキも増してきて――。
「そろそろでしょうか……? 勇士さんに教えてもらったところ……」
到着した風の谷の先に見え始めたのは、聞いていた通り、青空から落ちる大きな滝。
そして滝のすぐ近くまで辿り着いた――瞬間。
「……わあっ……」
「ティタ、すごいですわね……」
ふたり揃って、声を上げてしまう。
今まで見たことがないほどの特大の虹の橋が、すぐ目の前にキラキラと架かったから。
そんな自然が作り出した美しさに息を飲んで。
「……素敵ですね、マシュマローネ」
しばしの間見入りながらも、ぽつりと言の葉を落とすティタ。
その声に、マシュマローネも頷いて。
「……こんな景色が自然に生まれる……雄大でどこまでも続く空の世界だからこその光景ですわね」
思わず声をもらしてしまう。
だって、特別な虹の景色は圧巻で。
こんなに圧倒されるような虹の環を、一番の虹を――ついに、見つけられたのだから。
そんな虹を探す旅は、目的達成の大成功! ……なのだけれど。
ティタはふと、一緒に一番の虹を見つめるマシュマローネへと視線を向けて。
「……ねぇ、知ってますか? 虹のふもとには宝物が埋まってるっていうおとぎ話」
このまま探しに行ってみませんか――なんて、そんな旅の続きの提案を。
もう少し、ぎゅーっとこのまま……見つけた一番の虹を眺めつつ、ふたりでフライトしていたくって。
マシュマローネにとっても勿論、特別なこの時間は、ふたり一緒にいられる大切なフライトだから。
忘れられないように、この景色も心境も刻み込むように――青の空が見せる最高の虹の景色を、しっかりとティタと一緒に、思い出に残していきながらも。
「虹のふもと? 一体どこにあるのでしょう!」
告げられた提案に、そう満開の笑顔で返す。
やっぱりマシュマローネも――虹を探す旅を続けたいって、そう思うから。
だから次に目指すは、虹のふもと。
このキラキラ煌めく宝物のような七彩の景色や時間を、心にしっかりと刻みながら。
ドキドキわくわくなふたりの空の旅はそう、まだまだ終わりません!
成功
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