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翡翠の洞窟に隠された秘密

#サクラミラージュ #グリードオーシャン #【Q】 #カルロスの錨

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#カルロスの錨


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●サクラミラージュ・上海近郊の港町
 中国大陸、上海。
 長江河口に位置する上海は古くから貿易拠点として栄えている。
 サクラミラージュの上海も、各地の文化を取り入れて一大都市として発展を遂げていた。
 その上海から少し南に離れた海岸沿いに、都会の喧騒とは無縁の小さな港町がある。

 近年、この港町の付近にある無人島が観光地「翡翠の洞窟」として密かな人気を集めていた。
 海から小舟でのみ入れる洞窟の中が、まるで翡翠のように青緑に輝いて見えるのだという。
 色は自然現象によるものであり、似たような観光地は世界中を探せばいくつか存在する。
 だが、ここが他と違うのは、この洞窟の中に幻朧戦線将校『カルロス・グリード』が秘密の拠点を作っていたということだ。
 この事実を周囲の者は誰ひとり知らず、今日も港街と洞窟は観光客で賑わっていた。

●グリモアベース
「儀式魔術【Q】の発動により、『|カルロスの錨《カルロス・アンカー》』の一つを予知することができたよ。これは、中国各地にカルロスが作った秘密基地だね」
 シャロン・アイテール(電脳忍者配信者・f28974)は予知の内容を猟兵達に説明する。
 大正の世を終わらせる、戦乱こそが人を進化させるなどの主張をしてサクラミラージュで暗躍する集団「幻朧戦線」。
 彼らを率いる幻朧戦線将校『カルロス・グリード』がそのような基地を作っていることは、幻朧戦線の一兵卒から将校に至るまで誰も知らないのだという。
「優秀な人間の同志とか言っていた割には、信用してないんだねえ? とにかく、君たちには『翡翠の洞窟』へ行って隠されたカルロスの錨を見つけて破壊してほしいんだ」

「翡翠の洞窟」は観光地で、港町から小舟で簡単に行くことができる。
 夜は満潮で入れないことが多く、できるだけ昼に向かう必要があるだろう。
「洞窟のどこかに、地下への隠された入口があるらしいんだ。一般の観光客や現地の人に気づかれると危ないから、注意して探してみてね」

 地下には広大な「地底海」がある洞窟があり、カルロスの錨がそこに存在するらしい。
 猟兵たちの最終目的はこの錨を破壊することだ。
「もちろん、邪魔する敵は出てくるだろうね。まずは『燐火蝶』。これは元々、群れで活動する弱い影朧だけど、実験により強化されているんだ」
 影朧兵器の「素材」として集められた燐火蝶たちは非道な実験で強化されていた。
 本来は、鱗粉のような火花を出せるが、周囲の感情に反応して火の力を強くすることができるという生態であったが、強化された燐火蝶は最初から大火を放ってくるという。
「それから、このカルロスの錨を守っているコンキスタドールがいる。『深海の写喰魔・クイーター』といって、一見人間のような姿をしているけど正体はクラーケンだ。普段は男性の姿だけど、戦う時は、相手の記憶を読み取って自在に姿を変えてくるらしいよ」
 邪魔する敵をすべて倒せば、カルロスの錨を破壊することができるはずだ。

「大変だけど、せっかくの観光地だし、洞窟に行く前に観光を楽しむのもいいかもね。なんていったって、君たちはサアビスチケットがあるから経費なんか気にしなくても大丈夫なんだから!」
 説明を終えた後、シャロンはそのような提案をしつつ、猟兵たちを送る準備を始める。
「帰ってきたら報告を楽しみにしてるよ。じゃあ、行ってらっしゃい~」


青猫格子
 こんにちは、青猫格子です。
 今回はサクラミラージュの中国に隠された『カルロスの錨』を見つけ出して破壊するというシナリオです。

 第1章 冒険「猟兵、地下水路を征く」
 港町から「翡翠の洞窟」へ行き、洞窟の中に隠された地下への入り口を見つけ出すのが目的です。
 すぐに洞窟に向かってもいいですし、港町で少し観光してから向かっても良いでしょう。
 町はあまり大きくありませんが、満潮で洞窟に入れない時に観光客が過ごすための宿や飲食店が多少あるようです。
 洞窟の中は水で満たされており、探索する時は泳ぐ、小舟を使うなどの何らかの手段が必要です。

 第2章 集団戦「燐火蝶」
 カルロスの錨に集められていた影朧です。非道な実験により歪められ狂気状態になった蝶たちは、通常より強化された炎を放ってくるようです。

 第3章 ボス戦「深海の写喰魔・クイーター」
 カルロスの錨を護衛する、カルロス直属のコンキスタドールです。
 残忍な性格で、自在に姿を変える能力を持ちます。戦う時は相手の記憶を読み取り、その人の大切な人の姿になって幸せな悪夢を見せながら攻撃をしてくることが多いようです。

 第1章のプレイングは最初に断章を公開してから受付開始します。
 その後の進行予定はタグ等で告知いたします。
 それでは、ご参加をお待ちしております。
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第1章 冒険 『猟兵、地下水路を征く』

POW   :    体力に任せてザブザブ進む

SPD   :    可能な限り水に入らないように進む

WIZ   :    水路図に基づいて慎重に進む

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●港町
 ここは上海から少し離れた港町。
 港は倉庫と船が並ぶ、サクラミラージュでもごく普通の港で、観光客が好んで来るような場所でもない。
 しかし、近年「翡翠の洞窟」の人気が出てきて訪れる人が増えたため、無人島へ向かう定期船も出ており周囲には多少の屋台や飲食店なども増えているようだ。
「翡翠の洞窟」に向かうには、定期船で沖に出た後、島の付近で小舟に乗り換えて行く方法が一般的だ。

 今の時期、日中なら「翡翠の洞窟」に入ることができるという。
 時間の猶予はあるので、港でしばらく過ごしてから向かうのも悪くないだろう。
御園・桜花
「翡翠の洞窟…堂ヶ島天窓洞みたいな感じでしょうか」
自分の知っている場所から想像

「無人島だそうですし、おやつはきちんと買っていかないといけませんね」
港近辺うろうろ歩き回り持ち歩けそうな軽食探し

「上海蟹…は時期じゃありませんけれど、食べ歩き用に小籠包や鍋貼は売ってる筈です」
食べ歩き出来そうな物や飲み物どんどん買い込む
お土産用に蛋挞や蓮の実の砂糖漬けや月餅や工芸茶も買い込んで此方はUC「古木の宿」にしまい込む

「此れだけあれば戻りが明日になっても大丈夫そうです」
ずっしり買い込んだおやつを手に昼間の翡翠の洞窟へ
船頭さんにもおやつ振る舞い翡翠の洞窟の見所や最近の噂話聞きながら翡翠の洞窟を目指す



 港に着いた御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は、これから行く翡翠の洞窟について想像を巡らせていた。
(……堂ヶ島天窓洞みたいな感じでしょうか)
 船着場付近には軽食の屋台や土産物の店もあり、出発時間まではそれらを見て回ることにする。
「おやつはきちんと買っていかないといけませんね」
 行き先は無人島なので、お腹が空いてしまっては大変だ。持ち歩けるような軽食がないか探してみる。

 屋台では小籠包、鍋貼などが売られていた。焼きたての鍋貼はすぐに食べたいくらいだが、まずは気になる食べ物や飲み物を見繕って注文していく。
「まあ、この包子も美味しそう。では、こっちも包んでください」
 その後さらに、土産屋で月餅などのお菓子や工芸茶も買い込むのであった。
「まいどあり。そんなに買って、運ぶのは大丈夫ですかい。宿に届けておきましょうか?」
 支払時に店員が彼女の荷物を見て声をかける。
「いいえ、ご心配には及びません」
 桜花は店員から受け取った袋を袖口に近づける。すると、荷物は吸い込まれるように姿を消してしまった。
「もう大丈夫です。ありがとうございました」
「うん? あ、ああ。よい旅を!」
 店員は何が起こったのか理解しないまま、店を出ていく桜花を見送るしかなかった。しばらくして、彼女がユーベルコヲド使いであることを察するが、
(特に事件の話も聞かないし、休暇中なのかね?)
 と、それ以降気にすることはなかった。

 出発時間になり、船に乗り込んだ桜花はさっそく『古木の宿』に収納していた軽食を取り出す。
「ああ、やっぱり出来たてを食べるのは最高ですね! よかったら皆さんもお召し上がりください」
 料理を空いた席に並べ、一緒に乗った乗客や船頭にも勧めていく。
 食事をしながらだと初対面同士でも話が弾むものだ。
 これから行く翡翠の洞窟について、見所や最近変わったところがないか、地元の人に話を聞けるかもしれない。
 目的地に到着するまで、桜花は周囲の人の会話に耳を傾けることにした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
カルロス・グリード……奴は何を考えて暗躍しているかは分からんし、この拠点を潰す事が奴に繋がるかは分からないが
放置しても碌な事にはなるまいし。潰せる所は潰しておくとしよう

まずは近くの港町で軽く観光をしつつ情報収集
一般人が入り口に気付いているとは思えないが「(洞窟内で)誰も近付かない場所」の情報などがあれば聞いておきたい

一通り情報を集めたら、小舟と照明を用意して洞窟へ
壁を叩いて音を確認するなどして、隠し扉の有無を調べてみる
魔術的な隠蔽をされていると多少厄介だが、幾らか時間をかければ見分けられるだろう

見つからなかったとしても、「見つからない」という情報が得られればそれで良しだ。次を考えよう


幸徳井・保春
無人島か…… いくら観光地といえども満潮時にしか人が寄ってこないのであれば、巨大な船を人知れず造るにはうってつけの場所だな。

とはいえ翡翠の洞窟自体を傷つけたら間違いなく不審に思う者が現れるはず。となるとおそらくあちらが出入りしているのは洞窟外のはず。

桜學府の権限を活用して臨時で船を出してもらい、島の周囲をぐるっと見回りつつ【胡蝶の舞】で呼び出した蝶の式神を島全体に解き放つ。

あとは偽装された入口が見つかることを祈るのみだ。それまではのんびり本でも読んで待つとしよう。



 港から定期船が出発したばかりの頃。
 一足早く『翡翠の洞窟』のある無人島に接近する船の姿があった。
 幸徳井・保春(栄光の残り香・f22921)が帝都桜學府の権限により臨時で出した船だ。
 周囲の人に気づかれないよう、翡翠の洞窟に隠されている地下への入り口を探しに来ていた。
「なるほどな。観光地といえども、人が寄ってくる時間が限られるとなれば、巨大な艦を隠す事もできるというわけか」
 保春は読んでいた本を閉じ、島に怪しいところがないかと観察する。

 その船には夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)も同乗していた。
「|奴《カルロス》が何を考えているのかは分からんが、拠点を放置すれば碌なことにはなるまい」
 彼は船に乗る前、港の住人と会話して情報収集を試みたが、洞窟の地下の存在は知られていない様子であった。
 それでも、洞窟の観光ルートはほぼ定まっているという証言が得られた。
 つまり、「何か」があるとしたらそれ以外の場所である可能性が高い。
「なるほど……おそらく、その誰も行かない場所に地下への入り口、あるいは洞窟の外につながる道があるのだろう」
 保春は鏡介の話を聞いた後、霊符を取り出すと島全体に向けて『胡蝶の舞』で呼び出した式神を放つ。
 蝶の姿をした式神たちは島を飛び回り、偽装された入り口がないか探し始めた。カルロスの仲間が出入りしているとしたら洞窟の外に出入り口がある可能性が高い。
 その間に、鏡介は小舟に乗って翡翠の洞窟の中へと向かうことにした。

 鏡介が洞窟の中へ入ると、そこは名の通り水面も壁面も青緑に染まっている。
 奥に進んでいくと一筋の光が見えてきた。
 たどり着いたのは穴が空いた天井のある空間で、島に生える幻朧桜と空が見える洞窟の中心部であった。
「素晴らしい眺めだ。観光ルートはここで引き返すらしいが……更に奥へ行ってみるか」
 鏡介は崖に生えた桜の木の根の向こうに空間があることに気づいていた。
 根を避けながら小舟を進めると、暗い中、水が流れる水路があるのがわかる。
(洞窟の外に繋がっているのか?)
 用意していた照明を灯して水路を進んでいく。水路は光が届かず、暗くて視界は悪い。
 それでも鏡介は僅かな明かりと壁面の反響、そして『観の型【天眼】』で周囲を観察し、慎重に小舟を進めていった。
(僅かに、次第に水の流れが早くなってきているような……)
 突如、鏡介は空中に放り出されたような感覚を覚える。
「!?」

 暗闇の中、急な下降により流れ着いたのは滝の裏側であった。
「大丈夫か!?」
 鏡介は保春の声で意識を取り戻す。水路から滝壺に落下し、僅かな間だが気を失っていたらしい。
 保春は式神による調査でこの滝が怪しいと先回りして来ており、裏側に地下への入り口を発見していたのだ。
「まさか洞窟の水路から出たら滝とはな……入り口に気づかず流されるところだった」
 鏡介が滝を見ながら立ち上がる。特に怪我はなさそうだ。
「運が良かったな。蝶をこの付近に飛ばしておこう。他の猟兵が来たとき気付けるようにな」
 保春は式神を滝の周辺に待機させつつ、鏡介と共に奥へ進むことにする。
 滝の裏側の穴は地下に続く階段のようになっており、人の手が入っていることは明らかだ。
 ここを進んでいけば、地下のカルロスの錨へ辿り着けるに違いない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『燐火蝶』

POW   :    灼熱飛舞
【ヒラヒラ舞い飛びながら炎】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    翅翼火光
【炎の翅から放たれた光】が命中した対象を燃やす。放たれた【蒼白い】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    蝶蝶怪火
レベル×1個の【蝶の姿をした焦熱】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。

イラスト:芽蕗ハジメ

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●地底海
 滝の裏に隠された階段を下りた先には巨大な空間が広がっていた。
 地下であるはずなのに、対岸が見えないほど広大である。
 地底湖を超えた規模――地底海といって差し支えないだろう。
 どこから光が届いているのか分からないが、周囲は不思議と暗くない。

 岸辺に桟橋が架けられて、そこに『カルロスの錨』が停められていた。
 見た目は巨大な海賊船であり、七大海嘯「王笏」の旗印が掲げられていることからも、それがグリードオーシャンに関係していることは明らかだ。
 しかし、船にはサクラミラージュの技術も使われているらしい。数々の影朧兵器で近代化改修を施されていることが見て取れた。

 猟兵たちが船に近寄ると、船から青白い光を放つ「何か」が大量に飛び出してくる。
 ひらひらと舞う、光る蝶たち。
 一体一体は美しいが、あまりに数が多すぎる。
『燐火蝶』という影朧の一群であった。
 蝶たちは影朧兵器の材料として集められて非道な実験を繰り返されており、狂気に陥っていた。
 身体から発せられる青白い火は、すでに激しく燃え上がっている。
 この蝶の群れを倒さなければ、カルロスの錨に近づくこともままならないだろう。
御園・桜花
「貴方達が悪いわけではないけれど。貴方達を此の儘見過ごす訳にはいきません。ごめんなさい…せめて次は、共生出来る願いを持った貴方に転生を」

UC「アルラウネの悲鳴」
衝撃波を発し蝶を炎ごと吹き飛ばしていく
敵の攻撃は第六感や見切りで躱す
味方を無差別攻撃に巻き込まないよう注意し少し離れたルートを選択して進む

「私はカルロスという方を存じ上げませんから、彼の方の真の望みは分かりませんけれど。もしも彼の方とお会い出来れば、聞いてみたい事はあります」
船眺め
(貴方は今上帝にお会いした事はありますか)

今上帝こそが此の世のフォーミュラではないかと疑いつつ
其れでも
お声掛けあれば全てを敵に回しても馳せ参じる覚悟はあるから



 階段を降り、地下にたどり着いた御園・桜花。
「あれが『カルロスの錨』ですか……私はカルロスという方を存じ上げませんが」
 海賊船を眺めながら、桜花は考える。
(もし会うことがあれば『貴方は今上帝にお会いした事はありますか』と尋ねてみたいものです)
 700年の治世を続ける帝、そして大正の世を終わらせようとする幻朧戦線。両者は本当に無関係と言えるのだろうか。
 たとえどのような真実が明かされようと、この世界を治める帝を敬愛する気持ちは変わるはずないが。

「何か近づいてきますね」
 桜花は燐火蝶の群れが青白い炎の一群になって、彼女に向かってくるのに気づいた。
「貴方達が悪いわけではないけれど。貴方達を此の儘見過ごす訳にはいきません」
 飛び回る蝶たちの翅から、炎がこぼれ落ちるように桜花に降り注いでくる。
「まるで炎の雨のようです。ここは晴天にいたしましょう」
 不規則な動きで近づいてくる炎を、桜花は第六感を駆使して避けつつ、上空へ狙いを定めて叫んだ。

 アルラウネが引き抜かれたときに聞こえるような絶叫が周囲に広がる。
 悲鳴は凄まじい衝撃波と化し、周囲の蝶たちを弾き飛ばした。
 蝶たちは翅の炎も消し飛ばされ無力化し、海面へ落下していく。
「ごめんなさい……せめて次は、共生出来る願いを持った貴方に転生を」
 桜花の周りを囲んでいた蝶たちが消えて、視界がはっきりしてきた。
(他の猟兵さんとは離れているので、大丈夫だとは思いますが)
 この攻撃は多くの敵に囲まれた際には有効だが、仲間を巻き込んでしまう危険もある。
 桜花は少し回り道をしつつ、カルロスの錨の甲板へ向かうことにした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
あれがカルロスの錨。まさか文字通りの錨だとは思わなかったが
さておき、調べるにせよ壊すにせよ。まずは邪魔するこいつらを片付けないと。碌に近寄る事もできないか

神刀の封印を解除。蒼の神気によって身体能力を強化しつつ、廻・漆の秘剣【蒼鷹閃】の構え
炎に巻き込まれないよう強化した戦闘能力で動き回り、空を舞う蝶々は斬撃波で纏めて薙ぎ払うように叩き落し、周辺の炎は刀で切り払って消し去っていく
こちらの一手は軽いが、相手も個々の戦力はそう高くない。なら、このくらいでも十分に倒していける

それにしても、これだけの影朧を集めるのにどれだけの時間をかけて、そして一体どれだけの事をしでかしてくれたのか……



 船に近づこうとしていた夜刀神・鏡介は、行く手を燐火蝶の群れに阻まれ包囲されていた。
 このままではカルロスの錨に近づくことも難しい。
「まずは邪魔するこいつらを片付けないと……」
 鏡介が神刀を構え、意識を集中させると、蒼色の神気が彼の体を覆っていく。
 その間にも、上空を舞う蝶たちは鏡介へ向けて、絶え間なく炎を降らせてくる。
「神刀解放。駆けて刻め、蒼き爪痕――」
 鏡介は神気により強化された反射神経で、炎を避けつつ神刀を振るう。
「――廻・漆の秘剣【蒼鷹閃】」
 刀から発せられた衝撃波が上空の蝶たちをまとめて薙ぎ払った。
(よし、こちらの一手は軽いが、相手も個々の戦力はそう高くない)
 数は多いが、この調子であれば十分に倒していけそうだ。手応えを感じた鏡介は上空へ向かって次々と衝撃波を放つ。
 地上を延焼する炎も、衝撃波なら消し飛ばすことは容易い。
 燐火蝶の攻撃手段をほぼ封じたと言って良いだろう。

 大群と思われた燐火蝶の群れも、次第に数を減らしていった。
(それにしても、これだけの影朧を集めるのにどれだけの時間をかけて、そして一体どれだけの事をしでかしてくれたのか……)
 途方も無い数の影朧が、非道な実験の犠牲になったのだ。
 その事実を思うと心苦しいが、できれば来世は穏やかな生に転生してほしいと願うばかりだ。

「さて、これでカルロスの錨へ行けるな。まさか文字通りの錨だとは思わなかったが」
 船にはおそらく、カルロス直属の部下が待ち構えているはずだ。
 この船を造るため、影朧を集めて利用してきたような存在だ。
 何をしでかしてくるかわからない。
 気を引き締めて、鏡介は船へと歩き始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

納花・ピンチン(サポート)
ブギーモンスターの勇者×殺人鬼
布を被ってから9年が経ちましたわ
普段はお嬢様口調で、時々関西弁がちょこっと
……って、勉強中なんですわ!

あくまでお仕置きをしに来ているから
あまり殺伐とした戦い方はしませんわ
武器も直前で刃を返して叩いたり
その光景はギャグになることが多いですわ

商人街出身、お話しや交渉なんかも好きです
小さなスイーツや飴ちゃんを渡して一緒に食べると
色々話してくれるんですわ

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し
多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また例え依頼の成功の為でも
公序良俗に反する行動はしません

あとはおまかせ
ほないっちょ、よろしくおねがいします



 地底に足を踏み入れた納花・ピンチン(ブギーモンスターの勇者・f31878)は上空を見上げる。
 目に入ってきたのは猟兵たちに襲いかかろうと飛んできた燐火蝶の姿であった。
「蝶さんたち、えらい怒ってるんですわ」
 蝶の感情が読める訳では無いが、ピンチンにはなぜかそう感じられた。

 燐火蝶たちは影朧兵器の材料として集められ、実験により正気を失ってしまったらしい。
 荒れ狂う炎のように上空を飛び回り、ピンチンに向けて炎を放ってきた。
「綺麗な翅を切るのは心苦しいですが……仕方ありませんわ」
 ピンチンの瞳が輝き、被った布の中から鋭利な刃物が飛び出してきた。
 彼女が飛び回るように刃を振るい、蝶の翅をズタズタに切り裂いていく。
 視界が怪しいので僅かに自身も切り裂いてしまっているが、気にするほどの傷ではない。

 蝶たちは炎の発生源であり、飛ぶ手段である翅を失い海へと落下していく。
 しかし、戦いが一段落してもまだピンチンの怒りは鎮まらなかった。
「こんな酷いことをするコンキスタドールは懲らしめないといけませんわね!」
 ぷりぷりと怒りながら、眼の前の巨大な海賊船――カルロスの錨へと向かうピンチン。
 待ち構える敵の悪意に対抗できるのは、案外彼女が持つような正義の怒りなのかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔴​

幸徳井・保春
燐火蝶……周囲の感情に呼応し燃え盛る翅を持つ影朧だったか。コンキスタドールの抱く想いが大きすぎるのか、影朧兵器のために改造が施されたのか判別はつかんが……黒焦げにされるわけにはいかんのでな。

通常よりも大きく無差別に全方位に炎を撒き散らしているとはいえ羽を上下させる間に微妙な時間差が発生する。それによって生じた火の粉……ではないな、火の球の間をすり抜けて一刃の元に切り捨てよう。

柳生流———【三学圓之太刀】。

これだけの騒ぎだ、我々の接近はあちらに勘付かれているに違いない。この炎で手がかりを燃やし尽くされる前に踏み入らねば……!



「燐火蝶……か」
 幸徳井・保春は周囲を飛び交う蝶たちについて知っていることを思い出す。
 この影朧は周囲の感情に呼応し、燃え盛る翅を持つのが特徴であったはずだ。
 すでに大きく燃え盛っているのは、非道な実験による結果であろうか……
(あるいは、コンキスタドールの抱く想いが大きすぎるのか)
 いずれにせよ、炎が周囲を覆い尽くし、このままでは進むことも難しい。

 上空を舞うように飛び回る蝶たちが、地上へ向けて炎を放ってくる。猟兵たちを狙うのではなく、地上すべてを燃やし尽くす勢いだ。
 周囲が全て火の海になれば、保春に逃げ場はない。
(だが、いくら強い炎とはいえ、翅を上下させる間に微妙な時間差が発生する)
 保春は落下してくる炎の塊が着弾するまでの僅かな時間差を計算し、僅かな地面の空白地帯を走り抜けていく。

「……ここだ!」
 上空の蝶たちを一度に狙える地点に到達した保春は、地面を踏み込み飛び上がった。
 柳生流――【三学圓之太刀】。
 空中で退魔刀を振りかざし、たった一回の斬撃で全ての蝶たちを薙ぎ払う。
 着地した保春の背後で、斬られた蝶たちの残骸が海に落ち、地底海の底へ沈んでいく。
 青白い炎が覆っていた周囲の視界がはっきりしてきた。
 地面を燃やしていた炎もやがて燃え尽き、静寂が訪れる。

「これで全て倒せたな。だがこれだけの騒ぎだ、我々の接近はあちらに勘付かれているに違いない」
 すでに相手はこちらを迎え討つ準備に取り掛かっている筈だ。
 猟兵たちに手がかりを残さないよう、情報を処分しているかもしれない。
 保春はなるべく急いでカルロスの錨へ踏み込むことにした。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『深海の写喰魔・クイーター』

POW   :    圧制の砕(ミミック・ビヘッド)
【猟兵の一番大切な人(生死問わず)】に変身し、武器「【海賊銃もしくは変身した姿が持っていた武器】」の威力増強と、【足首に生えた尾鰭のような羽】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
SPD   :    泡沫の幻(ナイトメア・テンタクル)
対象の攻撃を軽減する【猟兵の一番大切な人(生死問わず)】に変身しつつ、【幸せな悪夢を見せている間に毒で蝕む触手】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    海魔の呪(マジック・バインド)
【呪文を唱えて】から、戦場全体に「敵味方を識別する【酸雨か雷】」を放ち、ダメージと【触手の攻撃も喰らったら麻痺だけでなく毒】の状態異常を与える。

イラスト:つぁん

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠シェフィーネス・ダイアクロイトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●偽りの幸せな夢
 カルロスの錨の制御部から黒煙が上がっている。
 猟兵たちの戦いで延焼したのではない。
 この船に駐留していたコンキスタドール「深海の写喰魔・クイーター」が自ら破壊していたのだ。
「思ったよりも来るのが早かったですが、なんとか間に合いましたね……」
 用意周到な|彼《クイーター》は、万が一猟兵に負けたときに備え、研究資料などの情報をすべて破壊していた。
「資料も大切ですが、カルロス様の手がかりを掴まれては困りますから」

 猟兵が船に近づいてくる気配を察したクイーターは、焦ることなくゆっくりと甲板へと向かう。
「準備は念入りに……ですが、じっくりと、目標の思考を読めば負けるはずありません」
 軍服の中から青い、毒々しい触手が広がる。
 それと同時に、人の姿をしていた彼の本体も変化を始めていた。
 周囲の思考を読み取り、見た人が「大切に思う」存在へと変化していく。
 姿だけでなく、声も言動も完全に模倣することが可能だ。

「猟兵の皆様には、ここで幸せな夢を見たまま眠ってもらいましょう」
 それが命を奪う悪夢であることを悟られないように。
夜刀神・鏡介
各地に秘密基地を作成したと聞いていたが、だからといって躊躇なく破壊するとは……
正直、ちょっと甘く見ていたが。とりあえず妨害できただけ良しとしておくか

大切な人。かつての親友(故人)。サクラミラージュの青年
奴とは同じ師の元で剣を学び、試合の結果は俺の負け越しで
――だが、俺が勝てなかったのはアイツであってお前じゃない
確かに戦闘能力で言えば今のお前の方が強いかもしれないが

高速で飛び回る敵を相手に走っても追いつけないので、捌の型【水鏡:流】で待ちの構え
銃弾をひたすら弾いて防御して、奴に近距離攻撃を使わせにいき。敵が近付いてきたところで切り倒す

姿を模しただけの偽物で、手が鈍るとでも思ったか?



 夜刀神・鏡介がカルロスの錨の甲板に辿り着いた頃にはすでに黒煙が上がっていた。
「まさか、躊躇なく破壊するとは……」
 とりあえず、妨害できたことには違いないので良しとするか。
 そう考えていた時、鏡介は黒煙の向こうから何かが近づいてくるのに気づく。
「久しぶりだな、鏡介」
「お前は……」

 鏡介はその姿を知っていた。かつての親友であり、同じ師の元で剣を学んだ男。
(否、似ているのは姿だけだ。奴は死んだのだから)
「せっかく再会できたのだから、また勝負しないか? 今回も俺が勝ちだろうけどな」
 男は鏡介と似た構え方をする。剣の修行中、鏡介は親友と何度も試合をしたが、結果は負け越しであった。

 男が素早く距離を詰めて切り込んでくる。まるで足に羽が生えているかのように素早く、鏡介が体勢を立て直した頃には遠くへ離れていた。
 鏡介は彼の攻撃を受けたことで、確信した。
(……奴は記憶の中のアイツを模倣しているだけだ)
 勝負に敗れたのは過去の話。それからも修行を続けている鏡介が負ける相手ではない。
(オブリビオンとしての戦闘力は高いが、それはアイツを上回っていることにはならない)

「……なんだ、勝負に出ないつもりか?」
 男が動かない鏡介を見て、つまらなそうに姿を変える。
 本来の姿――クイーターに戻った男は銃口を鏡介に向けた。
「同じ死ぬなら、勝負に勝つ夢でも見ながら眠る方がよかっただろうに」
 銃口が火を噴き、鏡介は倒れるかと思われたが……
 捌の型【水鏡:流】で待ち構えていた鏡介は銃弾を刀で弾き飛ばした。
「違うな――俺が勝てなかったのはアイツであってお前じゃない」
 驚いたクイーターは再度発砲するが、それも弾く。
「ええい!」
 弾が尽きたクイーターは再び素早く接近、鏡介を剣で切ろうとするが、
「お前は、今の俺の敵ではない」
 待ち構えていた鏡介はクイーターを上回る、流れるような刀捌きで相手を一刀両断した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「私の…1番大切な方?」
首傾げ

「確かに大切に思った方は居ります。転生した影朧の方々、私を引き取ってくれた業突…大家。でも影朧の方々は転生してこんな場所には居りませんし、大家さんも世界を越えられません」

「そして何より敬愛する今上帝は、御尊顔どころか背格好すら存じ上げません。それで…何方になっていただけるのでしょう」
口元が吊り上がる

「私に顔を知る1番大事な方は居りません。それでも現れるのは敵でしょう…骸の海へお還りなさい」

UC「侵食・花霞」
毒は毒耐性で耐え敵が消し炭になる迄花霞となって敵に纏わり付く

「大事な方を忘れる事に怯える貴方。骸の海に還る貴方はきっと其の方に忘れられますわね…お可哀想に」
囁く



 黒煙に包まれたカルロスの錨の甲板。御園・桜花がその中を進んでいく。
「……?」
 誰かに見られている気配がする。気のせいではない。
 猟兵でなければ、敵に違いない。

 桜花は相手の出方を窺っていたが、気配はなかなか動き出さない。
「なぜ攻撃してこないのです。そんなことで油断させられるとでも?」
 彼女がそう呼びかけると、煙の中から一人の男が姿を現した。

「驚きました。お嬢さん、貴方には、一番大切な人がいないのですか?」
 軍服姿の男――深海の写喰魔・クイーターは本来の姿のままであった。
 わずかに目を見張りながら、桜花に問う。
 どうやら本人も、己の姿が変わらなかったことが予想外らしい。

 桜花は彼の能力のことを知っていた。
 その人の一番大切な存在の姿に変化し、幸せな悪夢を見せながら相手を蝕んでいくのだと。
「そうですね……確かに大切に思った方は居ります」
 桜花はクイーターから目を離さず話し続ける。
「転生した影朧の方々、私を引き取ってくれた業突……大家。でも影朧の方々は転生してこんな場所には居りませんし、大家さんも世界を越えられません」
 自分が大切に思う人がこのような場所にいるはずがない、と彼女は最初から確信していた。

「そして何より敬愛する今上帝は、御尊顔どころか背格好すら存じ上げません。それで……何方になっていただけるのでしょう」
 桜花が笑いかけながら、今度はクイーターに問いかける。
「なるほど……強い確信や、最初から姿を知らなければ見た目を欺く事もできないという訳ですか」
 クイーターは感心しながらも、余裕の表情のままだ。
 能力の欠点が露呈したとはいえ、まだ戦う手段は残っている。
 彼は身体から毒を持つ触手を伸ばし、桜花に襲いかかった。
 しかし、触手は桜花を捕まえることはできない。

「私は捕まえられません。それに、捕まえたとしてもあなたの毒程度耐えられます」
 桜花の身体が花霞のような桜吹雪に姿を変え、黒煙の中に散る。
 光る桜吹雪が稲妻のように黒煙の中を移動する様子は、雷雲の光景そのものだ。
 雷雲に取り込まれたクイーターが、激しい落雷を何度も浴びて炎上する。
「私に顔を知る一番大事な方は居りません……骸の海へお還りなさい」
 桜花の言葉が燃え上がる男に届いたかは分からない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

樂文・スイ(サポート)
一人称:俺
二人称:君、お前
女性、子供にはくん、ちゃん付け、男性には呼び捨て
口調は~だね、~だよ系で飄々としている
人助けは完全にヒトへの好意から。
ヒトの死を見るのも好きだが、あくまで自分の手で殺してこそと思っているので敵の殺戮を許すようなことはない。立場上殺人衝動は敵を倒すことで紛らわせている(我慢してる)
表向きは人好きのする明るいお兄さんで楽しいこと大好き!なノリ
残酷な面は敵対した相手にしか見せないようにしている
攻撃としては傷口をえぐる、誘惑、威圧など
防御としては毒耐性、医術など使用
物騒なキャラだがシナリオ内で一般人や仲間に危害を加えるなど迷惑行為はしない
UCは活性化されたものどれでも使用可



 黒煙の中、クイーターの姿が不定になっていく。
「へぇ、これは確かにそっくりだね。驚いたよ」
 その様子を見届けているのは樂文・スイ(欺瞞と忘却・f39286)。
 彼の目の前に見知った人々の姿が現れては消えていく。

(どれも、大切な人たちだ。だからこそ、離れることを選んだんだ)
 殺人衝動が起こる度に罪を犯し、各地を転々としてきた。
 妖狐らしく人間好きな彼にとって、大好きな人間たちを最後まで見届けられないことほど寂しいものはない。
「だけど、あの人達がここにいるはずないからね……そんなので騙せるとでも思った?」
「その通りです。私は本物ではない……だからこそ、その衝動をぶつけてみてはどうですか?」
 姿を変え続けるクイーターがスイに笑いかける。
「残念だけど、お前の悪趣味に付き合うつもりはないよ」
 スイが表情を変える。冷たい目で見つめながら、その指先を相手に向けた。
 彼の指先から放たれた青い炎が、クイーターを包んでいく。

「何かと思えば、この炎は私の身体を燃やすこともできないではありませんか……おや?」
 余裕であったクイーターが突如、表情を変える。
 自らの攻撃手段である毒が、徐々に身体に回り始めていることに気づいたのだ。
「く、苦しい……なぜこんなことに」
 自分の毒で自らが傷つくことなどありえない。その絶対的な前提が崩れ、クイーターは暗闇の中でのたうち回った。
「これがお前さんの恐れていた事態か。いや、想像したこともなかったんじゃないかな」
 スイは姿の変わることのなくなった男に興味を失くし、その場を去っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

幸徳井・保春
全部燃やしたか……なら覚えていること全てを墨の代わりに吐いてもらおうか烏賊の怪奇人間よ。

洞窟の中に降り注ぐ雷雨とは何とも奇天烈だが……それが魔術による物ということに目を瞑れば悪天候下の殴り合いにすぎん。振り下ろされる触手の合間を縫って懐に潜り込んだら、護符を叩き付けるようにクイーターを押し倒す。

そして捕縄で捕縛して、連行出来れば最高。だがこんな重要拠点を任せられるだけの相手だ、勢い余って絞め殺すことも厭わぬ腹積りでなければ逆にやられてしまうかもしれんが……なんとかやってやるさ。



 深海の写喰魔・クイーター自らの放った炎により、カルロスの錨が崩れ始める。
 他の猟兵たちが脱出する中、幸徳井・保春はまだどこかにクイーターがいるはずだと探していた。
「逃がす訳にはいかない。奴には知っていることを全て吐いてもらわなければ」
 船の中をくまなく探すが、敵の姿は見つからない。何処に姿を隠したのだろうか。
 保春は何かを思いつき、地底海の中へと飛び込んだ。

(奴の正体は、烏賊の怪奇人間であったな……だとすると)
 水底へ向かい潜っていくと、暗闇の中に蠢く「何か」が見えてきた。
 毒々しい色の|巨大烏賊《クラーケン》が、光る眼で保春を睨みつけている。
(帝都の人間か……こんな水底までやってくるとは。歓迎いたしましょう)
 クイーターの声が保春の脳内に響いた後、水中で地響きの如き音が鳴り始める。
 水面で光が明滅し、雷が保春を撃ち抜こうと何度も落ちてきた。

(水の中なのに、雷とは奇妙な……)
 奇天烈な状況であるが、保春は冷静であった。
 ユーベルコヲドによって作り出された現象であることを除けば、悪天候の中、怪物と戦っているに過ぎない。
 クイーターは保春が翻弄されている間に、毒の触手で止めを刺そうと狙っている様子であるが、その手には乗らなかった。
(奴が油断している今のうちに!)
 保春は伸びてくる触手を掻い潜り、巨大烏賊の本体へ迫る。
 敵の懐に飛び込んだ保春は霊符をクイーターに叩きつけ、その動きを封じた。
「……!?」
 水中で鳴り続けていた雷の音が止む。
 動きを封じられて意識を失ったクイーターは巨大烏賊の姿から人間の姿に戻っていた。
 本来の姿がどちらであれ、力を使えなくなったということだろう。

 保春はクイーターを抱えて急いで水面へと戻る。しかし……。
「……間に合わなかったか」
 地上に戻った時、クイーターはすでに息をしていなかった。
 できれば生け捕りにして情報を得たかったが、手加減をしていればこちらがやられていただろう。
「だが、カルロスの拠点の一つを潰すことができたのは、大きな成果に違いない」
 保春は今回の報告のため、ひとまず帰還することにした。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年07月26日


挿絵イラスト