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|幻月《ハティ》は|真月《マーニ》を喰らう

#グリードオーシャン #戦後 #レディ・オーシャン #ザンギャバス大帝 #キャプテンレイジャック島

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●キャプテンレイジャック島
 その島に蠢くのは異形の怪物であった。
 あまりにも巨大。
 あまりにも不可思議。
 あまりにも粗野粗暴。
 あらゆる言葉で形容したとしても、そのいずれもが相応しくない。そう、敢えて言うのならば、無敵大帝。
 その怪物の名は嘗て七大海嘯『鮫牙』ザンギャバス大帝と呼ばれていた。
 だが、嘗ての姿は最早ない。

「猟兵さんたちは恐らく間に合ってしまう。もうちょっと待ってほしかったけど、けれど、わたしの準備もギリギリ間に合ったかな☆」
 蠢く変化を見せる異形の怪物の前に一人の女神がたっている。
 名を『レディ・オーシャン』――ヒーローズアースにおいて猟兵と争った者。嘗て『大海嘯』にて一度世界を滅ぼし、ジャスティス・ウォーでも最大最悪の被害を齎したとされる悪伸である。
 だが、神々は彼女の発祥を知らぬ。
 ただ大いなる『海を統べる者』であるということしか知り得ぬのだ。

「でも、これこそわたしの儀式魔術【Q】、『骸の月を喰らう月』で~す☆ これでグリモアさんの痕跡をたどる事ができま~す☆」
 異形の怪物『骸の月を喰らう月』が咆哮する。
 その元となった『ザンギャバス大帝』はグリモアの力に並々ならぬ恨みを向けている。それを彼女は利用したのだろう。
「ちゃぁ~んと世界移動能力も付与してあげましたからねぇ~☆ あとは必要なエネルギーさえ貯めれば、グリモアベースにテイクオフ! できちゃいますよん☆」
『レディ・オーシャン』は可愛らしく笑む。
 もしも、此処に猟兵が居たのならば青ざめたことだろう。
 猟兵たちは予知にしたがってグリモアベースから他世界へと転移する。これまで、その力はオブリビオンに先んじてきた。
 けれど、『レディ・オーシャン』はその力の源そのものへと干渉しようというのだ。

 もしも、彼女の目論見が現実のものになるのならば。
「うふふん☆ そうなれば何もかも|終わり《ゲームオーバー》☆ さて、わたしは何をしようかな☆ きっと猟兵さんは来ますよね。なら、わたしはこの子の、『骸の月を喰らう月』を守る盾となりましょう。何せ、こっちは耐えるだけでいいのですからん☆」
 そう言って『レディ・オーシャン』は力を溜め込み続ける『骸の月を喰らう月』を見やり、訪れるであろう勝利を己の手に納めんとするのだった――。

●最終決戦
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。良い知らせと悪い知らせをお伝えしなければなりません。まずは良い知らせを。長らく所在の掴めていなかった『レディ・オーシャン』の所在が判明いたしました」
 ナイアルテが語るは、ヒーローズアース、グリードオーシャンを跨いだ『海を統べる者』と呼ばれる発祥不明の悪伸『レディ・オーシャン』の所在である。
 キャプテンレイジャック島と呼ばれる島に彼女はいる、ということがわかったのならば、猟兵たちはすぐさま転移をするだろう。
 けれど、ナイアルテは猟兵たちを引き止める。

「申し訳ありません。それにはもう一つの知らせを……悪い知らせをお伝えしなければなりません」
 彼女の言葉に猟兵たちは訝しむ。
 悪い知らせ。
 その言葉に緊張が走る。
「かつて七大海嘯『鮫牙』と呼ばれていたオブリビオン『ザンギャバス大帝』を覚えていらっしゃいますか。大いなる戦いの折に撃退し、行方をくらませたオブリビオンです。彼が『レディ・オーシャン』の儀式魔術【Q】によって巨大な異形『骸の月を喰らう月』へと変貌させられたのです」
 それだけであったのならば、まだよかった。
 次なる彼女の言葉に猟兵たちは絶句するだろう。

「『骸の月を喰らう月』には世界移動能力を植え付けられています。そして、みなさんも嘗て対峙した時に感じたであろう『ザンギャバス大帝』のグリモアに対する深い恨み。それが世界移動能力を得たのならば……」
 つまり、飛び立てばグリモアベースにあの怪物が到来する、ということである。
 これまでグリモアベースにオブリビオンが出現したことはない。
 もしも、グリモアベースにオブリビオンが到達したのならば、それは猟兵の敗北を意味する。
 言うまでもないことだが、それは絶対に防がねばならぬことだ。
「はい……ただ、猶予はあります。『骸の月を喰らう月』が飛び立つには相応のエネルギーが必要です。となれば、エネルギーを溜め込む前にこれを撃破してしまえば良いのです」
 だが、『ザンギャバス大帝』は嘗て猟兵たちでも滅ぼしきれなかったオブリビオンだ。今回もそうであるのならば、打つ手はない。

「いえ、『骸の月を喰らう月』に変貌された為か、もしくは世界移動能力を移植された反動なのか、かつてのような無敵性は有していません。ならば」
 今の猟兵たちならば倒すことができる。
 だが、それを『レディ・オーシャン』が座して見ているだけ、ということはないだろう。
 彼女は神々がひしめくヒーローズアースを基準としても最強クラスの悪伸。
 そんな彼女が守りに徹している以上、突破するのは容易ではない。だが、それをやらねばならないのだ。

「可能な限りの短期決戦で『レディ・オーシャン』を撃破し、『骸の月を喰らう月』を打倒する……これの撃破が成らなければ|『完全敗北』《ゲームオーバー》は必至……この戦いは最終決戦の名にふさわしい激戦となるでしょう」
 だが、ナイアルテは猟兵たちを送り出す。
 勝てる勝てぬではないのだ。猟兵達の戦いはいつだって絶望的な状況においても立ち止まらぬからこそ、勝利を得てきたのだ。
 ならば、止める理由も何もない。
 ナイアルテが出来ることは祈ること。無事を、勝利を。
 ただそれだけの思いを込めて、彼女は猟兵たちに頭を下げ見送るのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 ついに所在の判明した『レディ・オーシャン』と彼女の儀式魔術【Q】によって世界移動能力を移植された嘗ての七大海嘯『鮫牙』ザンギャバス大帝が変貌した『骸の月を喰らう月』との決戦になります。

 ※このシナリオはニ章構成になります。

●第一章
 ボス戦です。
 グリードオーシャンの『キャプテンレイジャック島』での戦いになります。
『レディ・オーシャン』の背後には巨大な異形『骸の月を喰らう月』がグリモアベースに飛び立つためのエネルギーを溜め込もうとしています。
 そんな『骸の月喰らう月』が飛び立つまでの時間を稼ぐために『レディ・オーシャン』は待ち構えています。
 彼女に味方するのは時間。
 この戦いが長引けば長引くほどに『骸の月を喰らう月』はエネルギーを溜め込んでいくでしょう。

 ですが、彼女は神々ひしめくヒーローズアースにおいても最強クラスの悪伸。
 倒すことは容易ではないでしょう。

●第二章
 冒険ですが、難易度が異なります。
『レディ・オーシャン』を撃破した後に巨大な異形『骸の月を喰らう月』との戦いになります。
 言うまでも在りませんが、これを撃破できなければグリモアベースに飛び立ち|『完全敗北』《ゲームオーバー》となります。

 ですが、『骸の月を喰らう月』の核となっているのはザンギャバス大帝。
 世界移動能力を移植された反動で無敵性を喪っていますが、しかし『骸の月を喰らう月』の戦闘能力はザンギャバス大帝の三倍近い能力へと跳ね上がっています。
 その圧倒的な力は、『顎に寄る噛みつき』や『翼と爪による斬撃や握り潰し』、『尻尾部分の蛇による猛毒』などの攻撃手段でもってみなさんを苦しめるでしょう。

 それでは|『完全敗北』《ゲームオーバー》を防ぐため、『レディ・オーシャン』と『骸の月を喰らう月』に挑む最終決戦、皆さんの活躍を彩る物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『レディ・オーシャン』

POW   :    リヴァイアサン
無敵の【海水の身体を持つアトランティスの守護竜】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    オーシャンアーマー
自身に【清浄なる海水の鎧】をまとい、高速移動と【金属をも断ち切る高圧水流の刃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    海を統べる者
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。

イラスト:hina

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 キャプテンレイジャック島に蠢く異形。
 おおよそ異形と呼ぶにたり得る存在。かつて無敵大帝とも呼ばれた七大海嘯『鮫牙』、『ザンギャバス大帝』は、最早その姿をとどめていなかった。
 溜め込まれたエネルギーと共に体は膨れ上がり、たわむように異形の体躯が揺れている。
「いいですよ~☆ その調子でエネルギーを貯めて行きましょうねん☆ そうすれば必ず、あなたが恨めしく思うグリモアへと届くはずですから☆」
『レディ・オーシャン』は微笑む。
 そこにあったのはただの純粋さであったことだろう。慈しむでもなく、憐れむでもない。
 己が改造した異形『骸の月を喰らう月』を見上げ、己の目的を達成するために、『ザンギャバス大帝』に移植した世界移動能力。
 これに寄って彼女の目論見は完遂される。
「とはいえ、このまま放って置いてくれる猟兵さんではないですよね~わかっておりましたとも☆ タイムアップを狙うのもいいですが、やっぱりこういう時は、悪伸らしく振る舞うのも乙なもの☆」
『レディ・オーシャン』は転移してきた猟兵たちを見やる。
 掛け値なしの最強。
 かの神々ひしめくヒーローズアースにおいても彼女の力は最高峰と呼ばれるものだった。

「うまくいくこともうまくいかないことも、全部まるっと押し流してしまえばいいのですよん☆ 取り返しのつかないことなんて、世界にはいくらでも転がっているのですから。さあ、猟兵さん。|『完全敗北』《ゲームオーバー》のその時まで、わたしと踊りましょ☆」
アリス・フェアリィハート
アドリブ連携歓迎

【WIZ】

レディ・オーシャンさん
お久しぶりというべき
でしょうか…

その
強大なお力
ご健在ですね…

『でも…私達も猟兵として、グリモアベースへの侵攻は阻止します…!』

翼で飛翔
【空中戦】等で行動
立体的に立ち回り

UCで
猛吹雪を発生
敵に攻撃及び
敵UCに対処

自身や味方を
UCで強化し

クイーンオブハートキーを手に
【ハートのA】も展開

【凍結攻撃】の
【全力魔法】や【誘導弾】の
【一斉発射】を
UCの氷雪魔法と組合せ
攻撃

敵の攻撃は
【第六感】【心眼】【残像】
【結界術】【オーラ防御】で
防御・回避

『レディ・オーシャンさん…私も…貴女にはまだまだ敵わないかもです…けど、私だって…少しは、強くなったつもり…です…!』



『レディ・オーシャン』――その名を猟兵たちが知ったのは恐らくヒーローズアースにおける戦いからであろう。
 彼女はサムライエンパイア、グリードオーシャンを渡り、今此処にグリモアベースを直接狙う手段を手に入れている。
 それがキャプテンレイジャック島に蠢く巨体。
 異形たる『骸の月を喰らう月』である。
 彼女の儀式魔術【Q】に寄るものであり、それによって猟兵たちは窮地に立たされている。
「だから当然止めに来ますよねん☆」
「はい……お久しぶりというべきでしょうか……」
 アリス・フェアリィハート(不思議の国の天司姫アリス・f01939)はどうあっても彼女が退かぬであろうことを理解している。
 だからこそ、彼女は眼の前の強大な力を前にして恐れることはすれど、しかし心に勇気を灯して見据える。

「でも……」
「そうですよね☆ わかります。絶対止めようってすることは」
『海を統べる者』としての力。
 巨大な竜巻と水とを合わせた大渦の如き威容がアリスへと迫る。強大な力。圧倒されるほどの力。
 その力は些かも衰えることなくアリスに向けられている。
「私達も猟兵として、グリモアベースへの侵攻は阻止します……!」
 翼が羽ばたきアリスの体が飛び上がる。空を飛び、迫る海流と竜巻をあわせた圧倒的な攻勢をしのごうとする。

 だが、迫る海流の竜巻は圧倒的すぎた。
 物量というのならば、此処は海水満ちる海洋の世界。何処にでもあるし、どれほどあるのかも理解できないほどである。
 その圧倒的な海水を『レディ・オーシャン』は苦もなく操っているのだ。
「……ッ! ならっ……これも……また私の氷河魔法です……!」
 アリスの瞳がユーベルコードに輝く。
 氷雪を思わせる髪色。
 スノードロップの花が咲くように煌めき、彼女の掌から全てを凍らせる寒波と吹雪。あらゆる氷雪現象が噴出し、海流の竜巻を凍りつかせ『レディ・オーシャン』を巻き込んでいく。

「やぁん☆ そんなに凍りつかせるなんて、とっても大変じゃあないです? まあ、のんびりしましょうよぉ☆」
「いいえ、のんびりしている時間は……ない、です。あなたの目的は時間稼ぎ……なら、ここは……」
「ええ、やっぱりそこまで見抜かれているのですね☆ なら、仕方ないですよね?」
 凍りついた海流の竜巻が氷雪砕きながら荒れ狂うようにしてアリスへと迫る。
 一進一退の攻防。
 アリスは彼女にまだ敵わないと思っていた。
 けれど、初めて出会った頃とは違う。数多の戦いを経てアリスもまた成長しているのだ。
 ならばこそ、彼女の瞳に諦観はない。

 煌めくユーベルコードの輝き。
 【太古の氷姫の古代氷雪領界】(エンシェントプリンセス・アイスエイジレルム)は此処に顕現する。
 取り囲むように『レディ・オーシャン』を包み込む氷雪。
 その吹雪と凍結を繰り返すように彼女が操る竜巻をも受け止めていく。
「私だって……少しは、強くなったつもり……です……! だから……!」
 アリスは強烈な力の奔流を前にして一歩も退かない。
 此処で己のユーベルコードを維持すれば、それだけ仲間の猟兵たちの力は強化されるのだ。そのために彼女は踏ん張るように空中でユーベルコードの輝きを、この地へと続々と転移してくるであろう猟兵達の標とするのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

杓原・潤
えぇー!?
そんなおっきいのにグリモアベース来られたら困るんだけど……うるうも他の世界に行けなくなっちゃう!
もー、とにかく先に行かせてもらうからね!

レディ・オーシャンって言うくらいだから、きっと海での戦いに強いんだろうな。
攻撃で起こしてくる自然現象もやっぱり海関係のかなぁ?
こっちから攻めなきゃなんないなら、箒に乗って【空中機動】と【オーラ防御】で攻撃を軽減しながら海上で戦いを挑もう!
バブルワンドの色んな【属性攻撃】で【時間稼ぎ】しつつユーベルコードを準備!
【召喚術】で呼んだ鮫で空と海から攻撃だ!
【空中戦】と【水中戦】を組み合わせた【集団戦術】でいっぱい噛みついてやる!
塵も積もれば、だよ!



 吹き荒れる渦潮の如き海流が風にのって竜巻のようにキャプテンレイジャック島を包み込む。
 その中心にあるのが異形たる怪物『骸の月を喰らう月』である。
 かの巨体が一度飛び立てば、猟兵たちに待つのは|『完全敗北』《ゲームオーバー》である。グリモアベースにオブリビオンが至るというのはそういうことなのだ。
 故に杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)は目を見開く。
「えぇー!? そんなおっきいのにグリモアベース来られたら困るんだけど……うるうも他の世界にいけなくなっちゃう!」
「そうでしょうねん☆ そのために『ザンギャバス大帝』に世界移動能力を移植したのですから☆」
『レディ・オーシャン』が告げる。
 彼女の操る渦潮の如き海流は竜巻のように潤へと迫る。
 属性と現象を組み合わせた『海を統べる者』たる力。一度世界を滅ぼしたと言われる悪伸としての力は言わずもがなである。
 
 その力と共に迫る彼女に潤は箒を乗って迫る竜巻から逃れるようにして飛ぶ。
「もー、とにかく先に行かせてもらおうからね!」
「いえいえ、そうはさせませんよ。わたしがすることは時間稼ぎ。そして、盾になること。時間を稼げば必ず『骸の月を喰らう月』はグリモアベースに至るのです☆」
「だから、それはさせないって言ってるでしょ!」
 潤は叫びながら箒で持って空中を走り抜ける。
 迫る竜巻は高圧で水を回転させているせいか、まるでチェーンソーか丸鋸のように鋭い切れ味を持っている。
 巻き込まれてはただではすまないだろう。
「けど、躱しているだけじゃ……こっちから攻めなきゃ始まらないよね!」
 オーラを張り巡らせて竜巻を突破しようとする潤。

 だが、そのオーラを切り裂く一撃。
「あらん☆ そんな簡単なことで防げるとお思いですか?」
「そんなのずるい! なら、こっちだって!」
 手にしたバブルワンドでもって『レディ・オーシャン』を狙う。だが、その尽くが竜巻に寄って弾かれてしまう。
 わかっていたことだ。
 あの強大な悪伸にこの程度の攻撃が通じるわけがない。かと言って、彼女が躱すこともしないのを潤は理解していた。
 彼女は『骸の月を喰らう月』の盾になるといったのだ。
 ならば、些細な攻撃でも彼女は『骸の月を喰らう月』を守るために立ちふさがるだろう。そこが潤の着目した点だった。

「そっちが丸鋸みたいな竜巻を生み出すなら! こっちは回転ノコギリをはやしたサメ! おいで!」
 ユーベルコードに煌めく潤の瞳。
 瞬間、生み出されるのは回転ノコギリをはやしたサメであった。まるでそれは『レディ・オーシャン』の生み出した竜巻に対抗するかのような、シャーク・トルネードの一撃。
「それがどうしたのです☆ 今更サメなんて恐ろしくもなんともないですし、わたしに届くわけが……!?」
「そうよ、けれどこの子たちはあらゆる環境での飛翔する力があるのよ! わかるでしょ!」
 そう、竜巻の中であって潤が召喚したサメたちは飛ぶことができるのだ。つまり、真っ向から竜巻にぶつかっても、その竜巻に切り裂かれること亡く気流に乗るようにして飛び、その回転ノコギリの一撃を『レディ・オーシャン』に見舞うのだ。
「けれど、この程度の傷が……」
「塵も積もれば、だよ!」
 潤はシャーク・トルネードによって呼び出されたサメたちを操り、『レディ・オーシャン』たちの周囲を取り囲む。

 この後やってくるであろう猟兵たち。
 彼等の戦いを優位に運ばせるため、今はかすり傷程度しか与えられないのだとしても、積み重ねていくことをこそ彼女は選んだのだ。
「これが猟兵の戦い方。繋いで、紡いでいく。そうして得られるものがあるから、これまでだって、うるうたちは勝ってこれたんだから――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
猟兵はオブリビオンを討つものだ


状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを世界の外へ破棄
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給

破界で掃討
対象はレディ・オーシャン及びその全行動
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無

高速詠唱を無限に加速・循環
瞬刻で天を覆う数の魔弾を生成、周囲全てへ斉射
更に射出の瞬間を無限循環
戦域を魔弾の軌跡で埋め尽くす

万象一切に終わりを刻む破壊の原理に例外はない
仮に骸の海を直接持ち出したとしても同じこと
何をしても結構
海も月も、ユーベルコードもろとも呑み込んでくれる

※アドリブ歓迎



 氷雪と共にサメが舞う。
 吹き荒れる海流と竜巻。組み合わされた属性と事象は『レディ・オーシャン』のユーベルコードである。
 あまりにも強大な力。
 一度は世界を滅ぼしたと言われる悪伸。
「この程度で勝ちを確信されては困るんですよ~☆」
 彼女の言葉は未だ余裕を持っていた。けれど、アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は淡い蒼光と共にキャプテンレイジャック島に転移し告げる。
「猟兵はオブリビオンを討つ者だ」
「とはいえ、流石に此処でわたしが守り抜けばあなた達は|『完全敗北』《ゲームオーバー》ですよ☆」
「それはなし得ないことと知れ。少なくとも俺が居る」
 煌めくユーベルコードの輝きがアルトリウスの瞳から放たれる。

 指先が示す。
 荒れ狂う海そのものとも言える『レディ・オーシャン』の力。
 その力が示す竜巻を前にアルトリウスの指先から走る蒼光の魔弾が飛ぶ。障害を無視し、万象を根源から消去する力は属性と事象を無効化する。
「あらん。根源から消去するってことですね。でも0から1が生み出されるように、わたしってば事象を生み出すのは得意なのです☆ だから、これは我慢比べですねん☆」
「くだらん。お前と討論しているつもりもなければ、会話しているつもりもない」
 組み上げた魔力は工程を経ずしてアルトリウスの魔力となって魔弾を形成していく。
 それは加速していく。循環し、ロスを無くする。
 つまりは0と1との間を無くしていくという意味でも在ったことだろう。絶え間なく放たれる魔弾は、すでに弾という概念ですらない。

 常に放たれるということは、それは光条のように線となって迸るだろう。
 そして、それが天を覆うような形になっていくのまた必然。
 キャプテンレイジャック島を埋め尽くすほどの魔弾が一斉に襲いかかる。『骸の月を喰らう月』と呼ばれた異形の怪物。
 それを守るように『レディ・オーシャン』は立ちふさがり、魔弾を受け止める。
「……そういうことか」
「ええ、万象一切に終わりを刻むということは、わたしとの間に隔てるものを作ればいいだけですねん☆」
「いいや、それは無意味だ。障害を配するのが、破界(ハカイ)。影響受けぬが属性であると知るがいい。これが」
 アルトリウスの指先が天に掲げられる。

「海も月も、ユーベルコード諸共飲み込んでくれる」
 放つは創世の権能が現す蒼光の魔弾の雨。
 絶え間なく、無限に加速してく最中、戦域を埋め尽くすユーベルコードの光は『レディ・オーシャン』の放つ海流の竜巻と激突しては明滅し、消滅していく。
 それはそのままグリードオーシャンの荒れ狂う海を示すように戦いの激しさを物語るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アコニィ・リード
もう逃がさないわよ大悪神!
海水の鎧に高圧水流って事は
パターンはヒーローズアースの複製と一緒
だったら、まずはそれを無効化する!

|シン・デバイス起動!《ドーピング・リミッター解除・限界突破》
極光裁定――水流の水圧を最弱にして紙も破けない霧吹きに!
海水の鎧も密度を薄めてただの水漏れにしてあげる!
だだ洩れした所で水没させられても無酸素詠唱で|空気を生成《環境耐性》
水中機動で近付いて水中戦続行、多重詠唱で仲間を召喚! 
強化外骨格を纏った屈強なイルカ海兵隊と共に集団戦術
制圧射撃の乱れ撃ちで動きを封じ
地形を利用して後ろに回り込み騙し討ち――私はここよ!
すかさず溜めた魔力の全力高速詠唱! 氷の刃で貫いてやる!



「もう逃さないわよ大悪神!」
 巨怪蠢くキャプテンレイジャック島にてアコニィ・リード(偽神暗姫・f25062)の声が響き渡る。
 その声色を聞いた『レディ・オーシャン』は笑む。
「あら☆ そんな大悪神だなんて大仰に褒めなくても☆」
 猟兵達のユーベルコードが煌めく戦場にありながら彼女は笑っていた。
 それは余裕があるからではないだろう。
 勝利を確信しているからだ。
 背後で蠢く巨大な異形。『骸の月を喰らう月』。七大海嘯『鮫牙』であった『ザンギャバス大帝』を儀式魔術【Q】によって改造し世界移動能力さえも移植された存在。
 それが飛び立てばグリモアベースに到達され、猟兵達の|『完全敗北』《ゲームオーバー》たる未来が訪れるだろう。

 だからこそアコニィは来たのだ。
 彼女の眼の前で『レディ・オーシャン』の体が清浄なる海水の鎧によって覆われる。
「やっぱりパターンはヒーローズアースの複製と一緒。だったら!」
「あらん、ヒーローズアースのわたしを知っているのですね。これは失敬でしたわん☆」
「それを無効化する!」
 アコニィの腕輪から針が飛び出し、彼女の手首へと突き立てられる。
 それは特殊薬剤を投与する腕輪に仕込まれた注射器。流し込まれる特殊製剤。身が跳ねるように力が膨れ上がっていく。
 身に宿した潜在能力。それを開放すると同時に制御する。

 そして、煌めくはユーベルコード。
「限界突破……これで終わらせる!」
 その瞳に輝くは極光の輝き。
 己の体を真の姿へと変容させる。周囲の液体の圧力を自在に変化させる力。
「こちらの攻撃を封じるのではなく弱体化させるユーベルコードですか☆」
「ええ、これで大悪神、あなたのユーベルコードはただの水漏れ!」
「でも忘れておりません? わたし、それだけじゃあないのですけれど☆」
 溢れる水がアコニィを包み込む。
 どれだけ液体圧力を自在に変化させることができるのだとしても、圧倒的な海水を操る『海を統べる者』を前にしては無力。

 だが、それでもアコニィは対策を打ち出していた。
 溢れる海水に寄って水没されても空気を生成し己の顔を包み込む。うねる海水を蹴ってアコニィは飛ぶ。
「それでもすこぉし、足りないですね☆」
「いいえ、足りているわ! これで!」
 うねる海水の中に現れるはアコニィの眷属。その背を蹴って彼女は『レディ・オーシャン』の操る海水から脱する。
 煌めく瞳で見る。
「あらん、これは……」
「――私はここよ!」
 極光裁定(アウローラ・エクスキュージョン)は此処に下される。

『レディ・オーシャン』が『海を統べる者』であるというのならば、アコニィはそれを凍結させる。
 そのユーベルコードは己の真の姿を晒し、圧力を自在に変化させるにはとどまらない。
 海水すら凍結させる。
 迸るように生み出された氷の刃をアコニィは掴み、振りかぶる。
「これで貫く!」
 放つ一撃が『レディ・オーシャン』の海水でできた鎧を貫いた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七那原・望
耐えるだけでいい?2ヶ月半も?
本気を出せば1ヶ月で七大海嘯を全て探し当て、全て殲滅出来てしまう集団を相手に?

目隠しをして戦場へ。強化属性の全力魔法で身体能力を限界突破。
第六感と心眼と気配感知でレディ・オーシャンと守護竜の行動や攻撃を見切り、結界術も駆使しながら両者の攻撃を掻い潜り、素早く守護竜との距離を詰めましょう。

守護竜が間合いに入ったら即座に絶・蘇威禍割で斬り伏せ、概念ごと粉砕します。

概念ごと砕けば無敵であろうと関係ありません。

次はお前ですね。
どうぞ好きなだけあの水の爬虫類を出してください。即座に砕かれて絶望するだけでしょうけど。

こちらに計画が知られた時点でもうお前は詰んでいたのです。



 氷の刃が『レディ・オーシャン』の海水の鎧を貫く。
 その氷の刃を引き抜きながらも『レディ・オーシャン』は笑う。微笑む。余裕があるからではなく、ただそうあるという存在なのだろう。
『海を統べる者』――それは全ての生命を育む母性じみた性質を持ちながら、苛烈なる女性としての本性すら宿しているようだった。
「まったく、猟兵さんたちは加減というもをしらないのですねん。でも、わかりますよ。あの『骸の月を喰らう月』が飛び立てば、それでわたしの勝利ですものねん☆」
 だから、と彼女は笑むのだ。
「耐えるだけでわたしはいいのです☆」
 その言葉に七那原・望(比翼の果実・f04836)は、目隠しに覆われながらもその眉根を顰めたかもしれない。

「耐えるだけでいい?」
「ええ、そうですよ、猟兵さん☆」
「認識が甘いと言わざるを得ないですね、『レディ・オーシャン』。わたしたち猟兵は本気を出せば、一ヶ月で七大海嘯を全て探し当て、全て殲滅できてしまう集団を相手に?」
 彼女の言葉は事実である。
 この広大な海洋の世界にあって、それを成し得たのが猟兵である。
 しかし『レディ・オーシャン』は微笑む。
「それは知恵を貸す者がいたからでしょう☆ 指針なく、羅針なくただ闇雲に探し回っても同じことができたと思いますか?」
「それでも、です。到底不可能と言われることを覆してこそ猟兵」
 望は見上げる。

 そこに感知して存在している『リヴァイアサン』を見上げる。
『レディ・オーシャン』が生み出した海竜の如き威容。それは海水で生み出された巨体。それを前にして望は己の魔力を全て強化魔法で持って身体能力を底上げしていく。
 迫りくる巨体の一撃を望は躱す。
 衝撃波で体が揺れる。
 結界術を駆使してかいくぐる。その様は翼でもって空を舞うかのようであった。
「まあ、そういう猟兵さんたちにしてやられてきたから、こうしているわけですけど☆」
「だからと言って消極的が過ぎる気もしますが……」
 望は海竜の突撃をいなすようにしながら、その巨体を駆け上がっていく。
 目指すは『レディ・オーシャン』。
 時間はかけていられない。何故なら、『骸の月を喰らう月』を滅ぼさなければ、どの道自分たちは敗北してしまう。

 故に彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
 視界を閉ざされたからこそ神速の領域に居たりし一刀。
「絶・蘇威禍割(アブソリュートリィ・ディバイド)……外すなんて有り得ない。絶対に割ります」
 抜き払った斬撃の一撃。
 それは海竜の巨体を一閃でもって切り裂く。
「わお☆」
「概念ごと砕けば無敵であろうと関係ありません」
「でもでも、体は海水ですからねん☆ いくらでも……」
『レディ・オーシャン』が作り出した海竜が再び姿を現す。けれど、即座にそれは割られるようにして引き裂かれていく。

「どうぞお好きなだけあの水の爬虫類を出してください」
「あらあらぁ……?」
「こちらに計画が知られた時点でお前はもう詰んでいたのです」
 望は見上げる。
 どれだけ巨躯を誇るのだとしても。どれだけ無敵性を誇るのだとしても。
 己のユーベルコードが煌めく限り、彼女たちの目論見は果たされることはないのだと示すように無数の剣閃が無敵であろうとなんであろうと切り裂くのだというように切っ先を『レディ・オーシャン』に向けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ダーティ・ゲイズコレクター
私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!

レディ・オーシャンさん!貴女は私を怒らせました!理由はおわかりですね!?

そう!貴女はグリモアベース侵略という超ワルなことを
しかも超目立つ元ザンギャバスさんを使って行うという
視線誘導の悪魔の私にとって許し難い行為を犯したからです!

(敵の視線で『魔力溜め』して変換した{ゲイズ・パワー}を{立て看板}に纏わせハルバードのように『武器改造』する)
この武器で戦いつつ密かに『催眠術』をかけて認識阻害を起こさせ、私の『残像』を作り攻撃のミスを誘い
見事に嵌ったところをUC【梟悪!穢瞳瞬刻禍】で撃ち抜きます!



「まったくもう☆ 猟兵さんたちってば、本気の本気じゃないですか☆」
『レディ・オーシャン』は海水の鎧でもって身を覆う。
 彼女の目的は『骸の月を喰らう月』をグリモアベースに飛び立つまで守ることだ。それを成し得たのならば、猟兵に勝利することができる。
 けれど、猟兵たちもそれが解っている。
 だからこそ、次々と転移しては迫りくるのだ。

 そして、また新たな転移の輝きがキャプテンレイジャック島に走る。

「私はダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター! 凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!」
 ダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)の叫びが響き渡る。
 派手な登場に『レディ・オーシャン』は思わず足を止めていた。
「なん……なんです?」
「名乗りましたけれど、今! 凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティと!」
 そんなことより、とダーティは『レディ・オーシャン』を名指しで指出す。
「レディ・オーシャンさん! 貴女は私を怒らせませた! 理由はおわかりですね!?」
「なんのことかさっぱりわからないのですけれど☆ わたし、なんかやっちゃいましたかぁ?」
 その態度にダーティは地団駄踏むようにして足を踏み出して指を突きつける。
 それは裁判所で異議あり! っていうような勢いであった。
 そう、ダーティは怒っている。ダーティ・ゲイズコレクターは本当に怒っているのである。

「白を切るというのならば、よいでしょう! ならば、告げましょう! 罪状を! そう! 貴女はグリモアベース侵略という超ワルなことを! しかも、超目立つ元ザンギャバスさんを使って行うという視線誘導の悪魔の私にとって許しがたい行為を犯したからです!」
 ものすごい集中線がダーティに集まる。
 その言葉に『レディ・オーシャン』は思わず、口を開けてしまっていた。だが、得心が行く。
 何故なら、悪魔とは良い子の種族。ワルに憧れるが故にダーティは『レディ・オーシャン』の悪行に嫉妬混じりの羨望混じりの許しがたい憤怒を覚えているのだ。自分より視線を集めるなんて許せない! と言わんばかりである。
「ははぁ。悪魔さんでしたか☆ でもでも、わかるでしょう? これが極悪なことだって☆」
「だからです! 何よりも!」
 許せない! とダーティの力が膨れ上がっていく。
 このキャプテンレイジャック島に集まった猟兵たちみんなの視線を、『レディ・オーシャン』の視線すら今ダーティは恣にしていたのだ。
 故に彼女の身に宿る魔力は風れ上がり、そして地面に突き立てた立て看板に集まっていくのだ。

 謂わば、それは長柄の武器。
 言う慣れば戦斧。ハルバード。それを手にし、『レディ・オーシャン』へと飛びかかる。迫る海水の高圧水流の一撃を弾き飛ばしながらダーティはさらに迫る。
「流石に言いがかりといいますかぁ☆」
「いいえ、何一つ間違っておりませんとも! その罪状、まるっとそっくり私が……! いえ、私が裁きましょう!」
 残像が生み出され、ダーティを狙った高圧水流の刃が切り裂いていく。
 だが、彼女には当たらない。
「梟悪!穢瞳瞬刻禍(アイドウシュンコクカ)! 万象を侵せし拭えぬ穢れ、その身に刻みましょう」
 ダーティの瞳がユーベルコードに煌めく。

 高圧水流の刃の一撃を躱した彼女の体が宙に舞う。
 手にした立て看板が、しかし吹き飛ばされる。
「させませんよ☆」
「無論! この私のユーベルコードは! その名状しがたき罪過を穿つのです!」
 ダーティの両目から迸るは赤紫色の矢印の姿をしたオーラの矢。
 瞬きの間に放たれる一射。
 それは海水の鎧すら貫き、『レディ・オーシャン』の体を穿つ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空桐・清導
POW
アドリブや連携も大歓迎だ

「アンタがレディー・オーシャン…!
曰く最強の悪神!相手にとって不足はねえ!!
このブレイザイン、その企みをぶっ潰すぜ!!」
同じヒーローズ・アース出身として心を燃え上がらせる

UCによって呼ばれたリヴァイアサンを前にUCを輝かせる
「あのデカブツを仕留めるぞ!
奮い立て!ブレイザイン・ギガースッ!!」
鋼の巨神が海を引き裂き見参する

敵の猛攻を装甲と[オーラ防御]で捌き、
[気合い]と[根性]で反撃
「お前が無敵なら!オレ達は!超!超無敵だぁー!」
[勇気]を燃やして[限界突破]
光焔を纏った拳でリヴァイアサンを粉砕
更に光焔から清導が現れ、
その力を吸収してレディーオーシャンをぶん殴る!



『レディ・オーシャン』。
 彼女の姿を猟兵たちは多く見てきただろう。
 ヒーローズアース、サムライエンパイア、グリードオーシャン。または予兆においても。
 だからこそ知っている。
「アンタが『レディ・オーシャン』……! 曰く最強の悪神!」
 空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は赤い機械鎧を纏いながらキャプテンレイジャック島に降り立つ。
 一歩を踏み出すだけでわかる。
 最強クラスの悪神という名はハッタリではないことを。

「あらん☆ ご存知でしたか。ならばわかるでしょう。わたしがただ『骸の月を喰らう月』を守るためだけに全力を出していることを☆」
「ああ、相手に不足はねぇってことだけは、はっきりとわかるぜ。オレは、レイザイン! その企みをぶっ潰す!」
 清導は飛び込む。
 己をブレイザインと為すのならばこそ、ヒーローズアースに生きてきた者として、世界を滅ぼさんとする者へと立ち向かうのだと言うように。

 だが、そんなブレイザインを前にして立ちふさがるのは、アトランティスの海竜。リヴァイアサンの巨躯であった。
 海水でできた体。
 威容を前にしてブレイザインの瞳がユーベルコードに輝く。
「デカブツを出してきたところで……! 炎を纏い、勇気は鋼となる!! 奮い立て! 『光焔勇機』見参(ブレイザイン・ギガース)!!」
 叫ぶブレイザインの背後に現れるは、巨大ロボ。
 鋼の巨神は咆哮するように唸りを上げながら炎を噴出させる。
 激突する巨神と海竜。
「似たようなことをしてくれますねん☆」
『レディ・オーシャン』は笑む。己が生み出した海竜の無敵性を微塵も疑っていない。けれど、ブレイザインも同様だった。
 己が生み出した巨大ロボ、巨神ブレイザイン・ギガース。

 その鋼の拳が海竜を打ち据える。
 響き渡る轟音。海竜の巨体が巻き付くようにして装甲をきしませる。全ての鱗が刃のようになってブレイザイン・ギガースの装甲を引き裂いているのだ。
「あは☆ この勝負はわたしの勝ちですねん☆」
「いいや、まだだ! 吼えろ、ブレイザイン・ギガース!! お前が無敵なら!」
 ブレイザインの瞳がユーベルコードに輝く。
 そう、信じている。
 他ならぬ己がブレイザイン・ギガースの無敵性を信じている。ならばこそ、巨神の瞳が煌めく。
 巻き付いた海竜を引きちぎるようにして振りほどき、拳を握りしめる。

「オレ達は!」
 光焔が吹き荒れるようにして拳に集まっていく。
 巨神の放つ拳の一撃。
 それが海竜を穿つようにして叩き込まれ、粉砕する。その光焔の奔流の中からブレイザインが飛び出す。
「超! 超無敵だぁー!」
 その拳は『レディ・オーシャン』を捉える。光焔を拳に集約して放つ一撃。
 それは信じるがゆえの一撃であったことだろう。

 無敵を疑わない。
 それは言葉にすれば簡単なことであったかも知れない。けれど、信じ続けることは難しいのだ。けれどブレイザインは信じた。
 己が生み出した巨神は海竜よりも強いと。
 其の一撃で持ってブレイザインは『レディ・オーシャン』を打つのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
猟兵の最大の武器であるグリモアは同時に失えば致命的な急所でもある。
ハハハ、其処を執念深く狙うというのはなかなか真面目な事だ。
それではレディ。君の望み通り踊るとしようか。どちらかが倒れるまでね。

『アイオーンの隔絶』を発動。
|万物を斬り裂く光の剣《オーラセイバー》を片手に攻めます。
(暴力×功夫)
WIZUCの超自然的なかつて世界を滅ぼしたという攻撃を真正面から受けて吸収。己の戦闘力へと変換。十分に戦闘力が高まった段階で決めに入りましょう。

さようならだ、レディ。私は『|完全敗北《ゲームオーバー》』を許容する程、この世界に厭きてはいない。

絶大な魔力を宿した光の剣の一撃を。



 光焔纏う拳の一撃が『レディ・オーシャン』を打ち据え、その体を海水へと叩き込む。
 だが、渦巻くようにして海流が生み出された竜巻へと変貌していく。
 事象と属性を組み合わせるユーベルコード。
『海を統べる者』と呼ばれた最強の悪神。
 其の所以を思わせるように『レディ・オーシャン』は微笑む。
「痛ぁい☆ 本当にもう乙女の顔を殴るなんて☆」
「ハハハ、なるほど」
 其の言葉にシーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は同じ様に笑う。真紅のスーツを身にまとった彼を前に『レディ・オーシャン』は首を傾げてみせた。
 わかっていて首を傾げているとシーザーには理解できただろう。

「レディ。君の望みは我ら猟兵の最大の武器であるグリモア。確かにグリモアは我らの武器にして急所。なかなかに執念深いと見える」
「でしょ☆ わたしってば、ほら、とっても仕事熱心なので。真面目な女の子ってことですよん☆」
「ならば、君の望み通り踊るとしようか。どちらかが倒れるまでね」
「情熱的☆ でも、そういうのってお互いの合意が無いとダメな気がするんですよ☆ 今のわたしには、そういう気はないのですよねん☆」
 海水巻き上げ刃としながら竜巻がシーザーへと迫る。
 にべにもない拒絶であったことだろう。
 だが、シーザーは笑む。

 其の瞳にはユーベルコードの輝きがあった。
「来たまえ」
 アイオーンの隔絶(デウス・アルムム)。
 あらゆる攻撃を吸収する魔力によって身を覆う。それによってシーザーに迫った海水渦巻く竜巻の尽くが霧消するように彼に吸い込まれていく。
 真正面から受け止めたのはそのためだった。
 敵の強大なユーベルコード、その力を吸収し、魔力へと取り込んでいく。
 敵の攻撃によって比例した戦闘力増強。
 言ってしまえば、攻防一体。
 シーザーに攻撃するということは、そのまま彼の力へと変貌するということである。
「これが世界を滅ぼしたという力か。なかなかに楽しませてくれる。魔力が焼き切れると思わせるほであるが……」
「何そのインチキ☆ ですが、身の丈に合わぬ力ほど身を滅ぼすものもないのですよん☆」

 吸収されるのならば、吸収しきれない物量を当てるまで、と言わんばかりに『レディ・オーシャン』の操る竜巻がさらに迫る。
「いいや、さよならだ、レディ。私は|『完全敗北』《ゲームオーバー》を許容するほど、この世界に厭きてはいない」
 手にした光の剣が極大にまで膨れ上がる。
 それが世界を滅ぼした『レディ・オーシャン』の力を吸収した所以。
 吸いきれぬというのならば、放出するまで。
 手にした光剣をシーザーは振るう。
 斬撃は閃光のようにほとばしり、迫る竜巻を切り裂きながら『レディ・オーシャン』へと迫る。

「その執念を此処で断ち切る」
 斬撃はあらゆる攻勢を吹き飛ばしながら、その主たる『レディ・オーシャン』をも閃光の中に飲み込んでいくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリン・フィニス
……7大海嘯の言っていた「大いなる神」……それにあの時には仕留められなかった「鮫牙」……
あの戦い……今度こそ、此処で終わりにさせてもらおう……!!

少なくとも奴は7大海嘯よりも格上の筈だ、油断はしない
メガリス『蒼海の鎧』の天候変化の力で雨を降らせながら、雷属性のバブルを『バブルワンド』で浮かせ機雷とし、向こうの攻撃には水の盾…『アクアシールド』で対抗する

そして奴のUCだが……それこそがこちらの狙いだ…!!
UC【スプラッシュ・スピア】をぶつける!!
振り続ける「雨」、「海水」の鎧、高圧「水流」の刃……
私の周囲の「水」を塩水の槍へと変え106m範囲へと振らせ、奴を……貫く!



 大いなる神。
『海を統べる者』――それは嘗て七大海嘯が告げた名である。
 蒼い前進鎧に身を包んだマリン・フィニス(蒼海の騎士・f26997)は戦場となったキャプテンレイジャック島を駆け抜ける。
「『大いなる神』……そして、あの時仕留められなかった『鮫牙』……」
 彼女は思う。
 大いなる戦い。
 羅針盤戦争において七大海嘯が一つ『鮫牙』たる『ザンギャバス大帝』は猟兵たちをしても仕留めきれなかった。
 無敵性を持つ彼を撃退することはできれども、滅ぼすことはできなかったのだ。
 だが、因果は集約する。

 マリンの視線の先に己が打倒さなければならない敵がいる。
「今度こそ、此処で終わりにさせてもらおう……!!」
「猟兵さん達の|『完全敗北』《ゲームオーバー》でっていうのなら、わたし大賛成なんですけど☆ でもそういうわけじゃあないですよねん☆」
『レディ・オーシャン』は微笑む。
 これまで無数の攻勢に晒されながら、消耗してきているはずだ。だというのに、未だ彼女の力は健在であった。
 身を覆う海水の鎧。
 そして、解き放たれる高圧水流の刃。
 それがマリンを襲う。

 やはり、と思う。格上である。これまで戦ってきた七大海嘯よりもさらに力を持っている。世界を一つ滅ぼしたと言われる悪神の力。 
 だが、己とて負ける言われはない。
 己の身を覆うメガリス『蒼海の鎧』によって周囲に雨を降らせる。
 降りしきる雨と共に呼び込まれるのは、手にしたバブルワンドから放たれる泡。雷の力を持つ泡は『レディ・オーシャン』の動きを封じる。
「なるほどん☆ 泡を機雷にしたのですねん☆ ……小細工ですねん☆」
 放たれる高圧水流の刃が次々に泡を破壊し、さらにマリンへと迫る。
 其の一撃をアクアシールドで受け止める。押される、とマリンは思っただろう。十分だった。

 己に放たれた高圧水流の刃。
 そして、この雨。
 海水と雨。
 そして機雷にした泡。
 全てが『水』で構成されている。そして、その水を己は。
「天の水、地の水、我が声に応え………我の敵を穿て!!」
 鎧の奥で、マリンの瞳がユーベルコードに輝く。
 この状況は恐らく一手しかできないだろう。対策を取られてしまえば、それで終わりだからだ。
 だからこその一撃。
 マリンはこの一撃に全てを賭した。
「……? どういう……」
 それは瞬時に起こった。

『レディ・オーシャン』は理解できなかっただろう。
 周囲に在った『水』の全てが槍へと変わり果て、己の体を貫いている。
 一体どこから、と理解する暇すらなかった。
「わかるまい。『大いなる神』よ。これが練磨だ。人が生み出し、考え、失敗と成功とを繰り返して来たからこそ得られた力だ」
 神になくて人にあるもの。
 失敗するということ。
 経験するということ。
 それらの全てを糧にしてマリンの放つユーベルコードは最強の悪神へと届く。

 其の名を。
「スプラッシュ・スピア……今度こそ、此処で終わりにさせてもらおう――!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

儀水・芽亜
猟兵の拠点そのものへの攻撃は、これまで不思議と実行を考えた勢力はなかったですね。それを企て実現間近まで持ってくるとは、さすが稀代の悪神。
無論、見逃すつもりはありません。あなたも、『骸の月を喰らう月』も、この地で討滅して差し上げましょう。

――これはまた大がかりな怪物を作り出したものですね。“全ての驕り高ぶるものの王”にして“嫉妬の大悪魔”リヴァイアサン。
これはあるいは帝竜に匹敵するものかもしれません。
ですが、その姿形はユーベルコードの加護。「軽業」で攻撃をかわしつつ、目覚めの時間を乗せた裁断鋏での「切断」でユーベルコードを解除します。
そして速やかに、レディにも裁断鋏を突き立て裁ち切りましょう。



 グリモアベースは言うまでもなく他世界を巡る猟兵達の要である。
 オブリビオンが齎す世界の破滅。
 それを予知し、阻む。オブリビオンの多くは猟兵たちが予知によって彼等の目論見を看破していることを知らないだろう。
 だが、それに気がついている者がいるのならば。
「拠点への直接攻撃……これまで不思議と実行を考えた勢力はなかったように思えますが……そもそもできなかった、というのならば合点が行きます」
 儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷』・f35644)はだからこそ『レディ・オーシャン』が恐ろしく感じたかも知れない。

 猟兵の予知。
 避けることのできない衝突。
 ならば、と彼女はグリモアベースを狙い、実現可能な領域にまで踏み込んでいる。
 キャプテンレイジャック島に蠢く巨大なる異形が、その最終段階である。『骸の月を喰らう月』。グリモアベースに飛び立つことを許せば、猟兵たちにとっての|『完全敗北』《ゲームオーバー》は避けられぬ。
「さすがは稀代の悪神」
「いやん☆ そんなに持ち上げないでくださいよ☆ 今はただの盾です☆」
 そう言いながら『レディ・オーシャン』は海水から巨大なる海竜を作り上げ、芽亜へとけしかける。

「見逃してくださいます?」
「そんなつもりは毛頭ないといっておきましょう。あなたも、『骸の月を喰らう月』も、この地で討滅して差し上げましょう」
 芽亜は迫りくる海竜を見上げる。
 あまりにも巨大。荒ぶる海の精神性を現したかのような威容。それを前にして彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
「――これまた大掛かりな怪物を作り出したものですね」
「アトランティスの海竜と言えばこれでしょう☆」
 あるいは帝竜にも匹敵するのかもしれないと芽亜は思った。だが、と彼女は理解している。あれはユーベルコードでしかない。
 ならば、と迫りくる海竜の一撃を躱し、されど衝撃波に身を打たれながらも彼女は、其の瞳に目覚めの時間(メザメノジカン)であることを示す。

 神秘を滅する虚無。
 手にした裁断鋏『Gemeinde』の刃に宿る力は、まさにそれであった。神秘を滅するためだけの刃。
 迫る海竜もまた神秘。
 ならばこそ、この刃が斬り裂けぬ理由などないというように巨体を構成する海水ごと、力を切り裂いていく。
「わたしのリヴァイアサンは無敵なんですけど☆ 猟兵の皆さんは誰も彼も容易く切り裂いてしまって☆」
「これが私達の力です。夢も悪夢ももうお仕舞い。本当のあなたに戻りましょう」
 芽亜は迫る。
 手にした裁断鋏の刃が煌めくようにして走る。

 海竜を切り裂き、海水が溢れてもなお『レディ・オーシャン』に迫る。
「神秘切り裂くのならば、悪神などひとたまりもないでしょう。何せ、其の存在そのものが神秘」
 であれば、と芽亜の振るう斬撃の一撃は『レディ・オーシャン』の体を断ち切るように引き裂くのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイリ・タチバナ
ナイアルテさんを直視できないヤンキーヤドリガミ、故郷から何か飛び立つのが許せない
※女性の肌を見慣れてないため。故郷は海女さんスタイル

なるほど?グリモアベースにな?
そんなことさせるかよ、アホが!

UCをとっとと使って、場をこちら側にしてやる。
あんたは何であろうが、この場には適さねぇだろうからな!

さて、自然現象がなんであれ、俺様は恐れねぇし。
万一考えて、銛(俺様の本体)は黒い手袋から通じる異世界(神域)に補語してるしな。

で、攻撃は原初守神宝珠なんだよなこれが!
念動力で操ってるから、簡単には防げねぇぞ。
しかも、不意に打つレーザーだからな!覚悟しろ!



 斬撃の一撃が『レディ・オーシャン』の体を引き裂く。
 だが、瞬時に彼女の体を覆うようにして海水が巻き上がり、竜巻が無数に生まれる。確実に『レディ・オーシャン』は消耗していると知ることができただろう。
 数多の猟兵達による攻勢。
 ユーベルコードの明滅が戦場となったキャプテンレイジャック島を照らす。
「まったく☆ ここまで苛烈に求められると悪い気はしないのですが☆ でもでもグリモアベースを滅ぼすことは止めさせませんよぉ☆」
 彼女は海水の刃纏う竜巻に身を隠しながら、しかし背後に守る『骸の月を喰らう月』へと猟兵を行かせぬとばかりに力を振るう。

「そんなことさせるかよ、アホが!」
 カイリ・タチバナ(銛に宿りし守神・f27462)は、それを許すわけにはいかなかった。
 グリードオーシャンの島にて祀られていた銛のヤドリガミ。それが彼である。
 猟兵としての目覚め、そして故郷から要たるグリモアベースに飛び立とうとする『骸の月を喰らう月』を彼が許せるはずもなかった。
「いいえ、しまぁす☆ だって、それがわたしの目的なんですから☆」
 にべにもなく『レディ・オーシャン』は竜巻をカイリへと差し向ける。
 吹き荒れる力。
 一度は世界を滅ぼしたという絶大なる力の奔流が己へと迫っている。
 だが、カイリは躊躇わなかった。

 己の手にした蒼く輝く勾玉を掲げる。
 瞬間、開放されるは蒼い神威の光。降り注ぐ光は、すぐさまキャプテンレイジャック島を変貌させていく。
 そう、それはオブリビオンを蝕む、蒼く輝く岩盤地帯。
「これは……」
「異空間の限定解放、ってな!」
 守神領域、限定解放(ココハモリカミノバ)と変貌した戦場。そこに在ってオブリビオンである『レディ・オーシャン』の体は徐々に蝕まれていくだろう。
 適応する子男などできようはずもない。
 迫りくる竜巻も力を減退させられ、カイリの手にした銛でもって容易に薙ぎ払われる。

「あんたがなんであろうが、この場には適さねぇだろうからな! この竜巻だってなんだって、俺様は恐れねぇし!」
 そして、彼の眼前に浮かぶ宝珠が煌めく。
 宇宙の色に輝くそれは、光を解き放つ。光線となって放たれた一撃が『レディ・オーシャン』の竜巻をも貫いて、彼女の体を穿つ。
 悲鳴が上がる。
「防げねぇだろ。あんたはオブリビオン。どれだけ強大な悪神であろうとな、この戦場をか塗り替えた俺様のユーベルコードの領域、そのルールからは逃れられねぇんだよ!」
 減ぜられていく力を『レディ・オーシャン』は理解しただろう。
 彼女の目的は時間稼ぎ。
『骸の月を喰らう月』がグリモアベースへと飛び立つ時間を稼ぐために彼女は盾となって戦っている。

 けれど、これでは。
「間に合われてしまいます、ねぇ☆」
「ああ、あんたをぶっ飛ばして、あのデカブツを止める。到底許されるわけじゃねえんだよ、あんなもんが故郷から飛び立つってのはな!」
 カイリはさらに竜巻を振り払いながら『レディ・オーシャン』へと肉薄する。
 手にした銛がある限り、この戦場を塗りつぶした己のユーベルコードは破られない。宝珠が放つ光線の一撃をさらに叩き込みなあら、カイリは其の背後にて蠢く巨大なる異形を見据える。
 あれを打倒さなければ|『完全敗北』《ゲームオーバー》である。
「だから、此処は押し通させてもらう――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

シノギ・リンダリンダリンダ
元鮫牙も気になる話ですが……海の女。お前です、私の目的はお前です
海を統べる者などと嘯き、あまつさえ海の名を冠するお前。何度も邪魔され、何度も戦わされ。やっと、殺すことができる
ついでに、元鮫牙もアッサリ倒せばお前の顔が歪むのが見えますかね?
あぁ言え。その頃にはもうお前は居ませんか

【海に生きる者の禁忌】を起動
呪詛弾を海の女に打ち込む
お前を中心に全ての海水は塩になります。鎧は?刃は?
お前の力は、塩を出すだけですか?

こちらは数多の呪詛と毒を用いた呪詛弾で交戦
じっくりやりたい所ですが、さっさと殺しましょう
致死性の高い即効性の高い毒と呪詛を込めて
黄金になんてしてあげません
お前は、二度とその面を見せるな



 宝珠寄り放たれる光が『レディ・オーシャン』の肉体を穿つ。
 だが、即座に体を追うのは清浄なる海水の鎧。
 彼女の力は強大そのものだった。『大いなる神』、『海を統べる者』、多くの名で呼ばれる『レディ・オーシャン』の力は確かに一つの世界を滅ぼしたと言われるにふさわしいものであったことだろう。
 その彼女が今、ただ只管に『骸の月を喰らう月』を守る盾としてだけに力を振るう現状は、猟兵たちにとって向かい風でしかなかった。
「んもう☆ ちょっと本気過ぎませんか、猟兵さん☆」
「そんなことなど知るものか」
 其の言葉にシノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)は頭を振って切って捨てる。

 そう、彼女にとって『鮫牙』と呼ばれた七大海嘯『ザンギャバス大帝』が変貌した『骸の月を喰らう月』よりも、『レディ・オーシャン』こそが目的であった。
「海の女。お前です、私の木底はお前です」
「いやん☆ わたしってば大人気ですねん☆」
 身をくねらせながら高圧水流の刃がしのぎを襲う。
 だが彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
 溢れうるは、呪詛。
 体内の呪詛機関より溢れ出す飢餓の呪詛弾が迸り、高圧水流の刃と激突して相殺されていくのだ。

「海を統べる者などと嘯き、あまつさえ海の名を冠するお前。何度も邪魔され、何度も戦わされ、やっと殺す事ができる」
「殺意マシマシです☆ でもでも、『骸の月を喰らう月』がグリモアベースに飛び立てば、其の時点でわたしの目的は達成されるのです☆」
 ならばこそ、其の力を守るためだけに使うのだというように彼女は再び高圧水流の刃を解き放つ。
 だが、シノギは顔を歪めるようにして彼女を睨めつける。
「わかっていないようなので、教えてあげましょう海の女。お前を中心に全ての海水は乾いていく。水は失われ、塩になる。その鎧が清浄なる海水であろうとも、私の呪詛は、いえ、海に生きる者の禁忌(アンチ・オーシャン)は、尽くお前が冠する名を呪う」
 シノギの瞳がユーベルコードに輝いている。

 何故、と『レディ・オーシャン』は訝しむだろう。
「あの呪詛の弾丸……!」
「ええ、そうです。私のユーベルコードは飢餓の呪詛。海水は渇き、塩化する。故に」
 其の鎧すら無意味であるというようにシノギは己の体内より溢れる呪詛を弾丸に変えて乱れ撃つ。
 どれだけ高速で飛翔するのだとしても。
 どれだけ海水の鎧で身を覆うのだとしても。
 全てはシノギの呪詛の前に塩と崩れてきていく定めでしかない。
「お前は、二度とその面を見せるな」
 財宝の如き煌めく黄金もひつようはない。
 彼女が欲するのは、『骸の月を喰らう月』を猟兵たちが倒し、歪む『レディ・オーシャン』の顔だけだった。

「ああ、でも。いえ、そうですね。私が望むものは、どうせ手に入らない。なにせ、あの『骸の月を喰らう月』が滅びる時、お前はもう居ませんから」
 そう告げ、シノギはさせぬと迫りくる『レディ・オーシャン』の猛攻の尽くを塩へと変える呪詛を撒き散らしながら戦場を横断し、『骸の月を喰らう月』を目指して駆け抜けていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:漆黒風

さてまあ、行きませんとねぇ。
グリモアベースには、色々お世話になってますからー。
(陰海月の異世界布探索カルタ探索とか)

UCにより、『風の津波』を起こしましてー。これで、相手の同等UCを相殺狙い。
さらに、四天結縄の私対応厄災『大風』も解放して、重ね合わせましてー。

この風は私の操るところですからねー。流れも掴んでいますからー。
合間に漆黒風を投擲していきますかー。
ま、私の本領は暗殺ですので。そこに気を取られているのならば、ダッシュで近づいてからの、握り込んだ漆黒風で指しますけどね?



 猟兵のユーベルコードによって尽く塩化していく力。
『レディ・オーシャン』の瞳に漸く焦りらしき感情が浮かび上がるのを馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』は見ただろう。
 彼女の目的は『骸の月を喰らう月』をグリモアベースへと到達させることである。
 その結果、猟兵たちは|『完全敗北』《ゲームオーバー》を得るだろう。
 そのためだけに彼女は己が身を盾としているのだ。
「まったくもう、仕事熱心がすぎますねん☆」
「ええ、グリモアベースには、色々とお世話になってますからー」
 だから、と『疾き者』は戦場を駆け抜ける。

 迫りくるは巨大な海水の刃纏う竜巻。
 吹き荒れるようにして迫りくるそれは、津波と言っても遜色ないほどの苛烈なる攻勢であったことだろう。
 力が消耗しているとは言え、此処までの大規模な力の迸りは、確かに最強の悪神と言われるに値するものであったことだろう。
「ですが、それで立ち止まる猟兵はいないのですよー」
 そう、この程度では止まらない。
 止まるわけがない。
 世界を滅ぼさんとするものが居る限り、猟兵は止まらない。
「本当に厄介な存在ですねん☆ 嫌になりますよ☆」
「ならば、重畳でしてー!」
 煌めくユーベルコード。
 四悪霊・『階』(シアクリョウ・キザハシ)。

 それは共に事象を合成する力。異なる属性と異なる現象。織り交ぜられた力は、ともすれば暴走の危険性をはらんでいたことだろう。
 だが、それでも構わなかった。
 風纏う津波。
 それが『疾き者』のはなった現象の一撃。迫りくる津波の如き竜巻と激突しては相殺されていく。
「これだから嫌になるんです☆ どうしてこうも簡単に……」
「ええ、相殺される。あなたは暴走をさせぬ加減をしている。と言っても、それは我らにとっては膨大な力でありましょうー。だから、こちらは」
 敢えて暴走させる。
 暴走させるほどの力をぶつけている。何せ、相殺されるとわかっているのだから制御という手間は必要ないのだ。

 故に、と『疾き者』は吹き荒れる風が渦巻く戦場を駆け抜け、手にした棒手裏剣を投げ放つ。
 吹き荒れる風はすでに掴んでいる。
 どのような角度で、どのような力で投げれば、どのように飛ぶかなど既に把握している。黒い棒手裏剣は風の合間を縫うようにして……いや、風に乗るようにして戦場を駆け抜け、『レディ・オーシャン』の首元へと走り、突き立てられる。
「――……ッ!?」
「ええ、だから、こちらへの注意が散漫となるのですよー」
 風に乗るようにして『疾き者』が『レディ・オーシャン』へと肉薄し、握り込んだ棒手裏剣の一撃を彼女の体へと叩き込む。
 吹き荒れる風は彼の体を吹き飛ばすが、しかし、その風すらも操りながら『疾き者』は華麗に地面へと着地し、『レディ・オーシャン』を躱して『骸の月喰らう月』へと迫るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

んもー
ボクなんてしこたま怒られたから大洪水はもう起こさないって約束しちゃったのに好き勝手しちゃってー
楽しそう!

●ひゅーっどっかーん!
超級サイズの[超重浮遊鉄球]くんたちは矢継ぎ早に呼び出して守護竜くんにぶつけていこう!
彼女のイメージを崩すのはむつかしそうだけど、その注意を引ければ十分!
どでかい津波が起きるくらいドッカンドッカン落として
その原始の嵐に覆われていた頃の星のような波の合間を【第六感】任せて駆け抜けて…彼女にUC『神撃』をドーーーンッ!!

分かるよ
そうボクたちだって何も気軽に存在してるわけじゃない
一世一代、己の創造性を賭けた何かをしなきゃいけないときがくるのさ



 棒手裏剣の一撃が『レディ・オーシャン』の体を穿つ。
 力が溢れ出すようにして彼女の体が抜けていく。消耗していると知れただろう。これまで猟兵たちが叩き込んできたユーベルコード。
 それが強大な敵を追い詰めているのだ。
「んもーボクなんてしこたま怒られたから大洪水はもう起こさないって約束しちゃったのに好き勝手しちゃってー」
「でも楽しいでしょう。大洪水☆」
「それはそう!」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)の言葉に『レディ・オーシャン』は笑む。

「なら、共に大洪水起こしません? グリモアベースも飲み込んでしまえば良くないです? きっと楽しいでよねん? 何かを壊すことって、何かを押し流すことって、それはそれは心地よいものではないです?」
「わかるよ。けれどさ、それって」
 ロニの言葉を前に巨大なる威容放つ海竜が生み出され、その一撃が迫る。
 加減のない一撃。
 それと激突するはロニの呼び出した球体達だった。
 激突しては砕け、そして再構成され、また激突する。水は自在に形を変える。故に自由そのもの。変化することも、形を為すことも自在。
 水を縛る鎖など存在しない。
 冷気によって形を固定することもあれば、熱によって粒子へと変わることもあるだろうが、しかし、何一つとて永久に捉えることなどできはしない。

「ボクたちだって何も気軽に存在しているわけじゃないってことでしょ」
 ロニの瞳がユーベルコードに輝く。
『レディ・オーシャン』が思うアトランティスの海竜の無敵性を、其のイメージを突き崩すことなどできはしないだろう。
 無敵は無敵のままに。
 球体を次々と界面に叩き落し、波を生み出してはロニは荒れ狂う波を蹴って『レディ・オーシャン』へと肉薄する。
 視線と視線が交錯する。

 交われど、しかして相容れることはない。
 いつだってすれ違い続けなければならないのが猟兵とオブリビオンである。ならば、ロニは握りしめた拳にユーベルコードの輝きを見せる。
「一世一代、己の創造性を賭けた何かをしなくちゃいけない時がくるのさ」
「まーわたしはそれもう終わってますけどねん☆ だって世界を一度滅ぼしているのですから☆ そういう意味では」
 周回遅れですねん、と『レディ・オーシャン』は笑む。
 その笑みにロニもまた笑むのだ。

「遅すぎることなんて何一つないのさ。君にはボクがそうみえたのかも知れないけれど、敢えて言わせてもらおっかな」
 これは、とロニの拳が迸る。
「満を持してるってことさ!」
 放つは、神撃(ゴッドブロー)。
 閃光迸る一撃は海竜を吹き飛ばし、『レディ・オーシャン』の体を打ち据え、その力の在処を示すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メルヴィナ・エルネイジェ
望み通りに止めに来たのだわ
あなたの事情がどうであれ、私もリヴァイアサンも黙ってやられるつもりはないのだわ

それがあなたのリヴァイアサンなのだわ…?
強い相手だけれど時間をかけ過ぎてはいられないのだわ
たぶん相手はリヴァイアサンの無敵を活かして時間稼ぎするつもりなのだわ
だから一刻も早く無敵の力を剥がすのだわ

リヴァイアサンの真の姿を呼び覚ますのだわ
リグ・ヴェーダの力を此処に
巨大化して対抗するのだわ
噛み付きや鰭や尻尾で叩いたりするのだわ

そのリヴァイアサンは本当に無敵なのだわ?
本当なら私のリヴァイアサンをとっくに倒していないとおかしいのだわ
私のリヴァイアサンは倒れるどころかあなたのリヴァイアサンの攻撃を受ける度にどんどん強くなっているのだわ
水流で傷付いた身体も再生するのだわ
理由は簡単なのだわ
大海の力のお陰なのだわ
私のリヴァイアサンが、海水で出来たあなたのリヴァイアサンを吸収し続けるのだわ…

それにあなたのリヴァイアサンが無敵でもあなた自身はどうなのだわ?
超高圧水流…オーシャンバスターで全部押し流すのだわ



 キャプテンレイジャック島の周囲の波間は荒れ狂う。
 それは猟兵と『レディ・オーシャン』の激闘の結果であったことだろう。溢れるようにして力が彼女の体から流れ出ていく。
「これは……流石にまずいですねん☆ このまま行かせるわけには」
 彼女は『骸の月を喰らう月』を此処よりグリモアベースに飛び立たせることを目的として、盾となっていた。
 だが、転移してくる猟兵達はあまりにも迅速果断なる判断で持って彼女に攻撃を叩き込んでは、背後に蠢く異形へと飛び込んでいく。

 そして、今まさに眼前に迫るのは、己が生み出したアトランティスの海竜と同じ巨躯を持つ者。
「あなたの事情がどうであれ、私も『リヴァイアサン』も黙ってやられるつもりはないのだわ」
 メルヴィナ・エルネイジェ(海竜皇女・f40259)は己が乗騎であるキャバリア『リヴァイアサン』の真の姿を晒す。
『リヴァイアサン』。
 それはアトランティスの海竜と同じ名を持つものであった。
 故にメルヴィナは眉根を寄せる。
「それがあなたの『リヴァイアサン』なのだわ……?」
「ええ、そういう貴女は鋼鉄の炎、闘争溢れる世界の『リヴァイアサン』なのですねん☆ 興味深い、なんて言っている暇はないですけれど☆」
 彼女の言葉と共に海水でできた海竜が『リヴァイアサン』へと迫る。

 時間を掛けてはいられない。
 そう、すでに『骸の月を喰らう月』はグリモアベースへと飛び立とうとしている。十分なエネルギーが貯まれば、即座に実行に移すだろうことは理解できるものであった。
 だからこそ、『レディ・オーシャン』は時間稼ぎをするだけでいい。
 それだけで彼女は己が望む勝利へと一手を掛けることができるのだから。
「ええ、そうなのだわ」
 敵の無敵性は理解している。排除しようとして排除できるものではない。
 恐らく『レディ・オーシャン』は彼女が生み出した海竜の無敵性を微塵も揺らがせることはないだろう。
 だからこそ、遅滞戦術をこちらに仕掛けている。
 海水でできた体。
 壊れることのない体躯。
 それによって猟兵達のユーベルコードをいなしてきた。

 だが、メルヴィナは託されたのだ。先に『骸の月喰らう月』へと飛び込んでいった猟兵たちから。
「リグ・ヴェーダの力は此処に」
 メルヴィナは超克の輝きを瞳に宿す。
 鋼鉄の巨竜は姿を変容させていく。装甲は即座に水へと溶け落ちるようにして崩れ落ち、かわりに現れるのは有機的な体躯。
 そう、それこそが『リヴァイアサン』の真なる姿。
 奇しくもアトランティスの海竜と似通った姿であったことだろう。組み付く巨体。荒れ狂う海面。
 されど、メルヴィナは互いの海竜の力が拮抗していることを知るだろう。
「お互いの力は互角というところですね☆ とはいえ、こっちはたくさんの猟兵さんたちの相手をしてきてヘトヘトなんですけど☆」
「だからどうしたというのだわ。でも、それだとおかしいのだわ」
 何が、と『レディ・オーシャン』は訝しむ。

 メルヴィナはきしむ躯体の中で瞳を伏せる。
 確かにアトランティスの海竜は強い。『レディ・オーシャン』が、その無敵性を微塵も疑っていないところからも理解できるだろう。
 だが、と思う。
 だからこそ、己のを今まさに打倒できていないことが無敵性の不成立を示す。
「とっくに私の『リヴァイアサン』を倒してないとおかしいのだわ。私の『リヴァイアサン』は――」
 咆哮が轟く。
『リヴァイアサン』の巨躯が己の躯体を締め上げるアトランティスの海竜を振りほどくようにして、逆に絡みつく。
 きしむ巨躯。
 それをメルヴィナは知るだろう。攻撃される度に『リヴァイアサン』の身に力が満ちていく。

『レディ・オーシャン』もまたそれを知っただろう。
「これは……」
「これが、大海の力(マリンオブザ・パワー)なのだわ。生命の源にして、あらゆる生命の原初。我が力となるのだわ」
 煌めくユーベルコードの輝き。
 メルヴィナと『リヴァイアサン』の瞳が同時に輝いている。
 超克――オーバーロードへと居たりし、彼女たちの力は、あらゆる水の属性を吸収していく。数多の猟兵たちが放ったユーベルコード。
 そして、此処は海洋の世界。
 求める水は無限に近く存在している。

 即ち。
「私の『リヴァイアサン』は、どんどん強くなっているのだわ」
 回転するようにアトランティスの海竜の鱗が『リヴァイアサン』の体を刻んでいく。だが、それすらも意味をなさない。
 傷つけられた端から『リヴァイアサン』の体は再生していく。
 明らかに規格外である。
「どういうことなんです? これは……あっ☆」
「気がついたのだわ。簡単なことなのだわ。私の『リヴァイアサン」は――」
 メルヴィナと共に『リヴァイアサン』が咆哮する。
 身に宿る力は全て、この海洋の世界から得ている。そして、身を刻む力は全て『リヴァイアサン』の中に溜め込まれていくのだ。

 これこそが彼女のユーベルコード。
『リヴァイアサン』の乗り手に選ばれたが所以。
「あなたのリヴァイアサンは無敵ではないのだわ。全ては私の『リヴァイアサン』に呑み込まれる運命。そこに」
「無敵性は存在しないと?」
「そういうことなのだわ。そして、あなたのリヴァイアサンが仮に無敵でも!」
 メルヴィナの指が指し示すは『レディ・オーシャン』。
 これまで猟兵たちが叩き込んできたユーベルコードに寄る消耗。本体である彼女は確実に追い込まれていたのだ。

『リヴァイアサン』に吸い込まれた海水の海竜は、既に霧散し。
 そして、『リヴァイアサン』の口腔が輝きを放つ。
「オーシャンバスターなのだわ! この一撃で、消えるがいいのだわ、『レディ・オーシャン』!」
 放たれる超高圧水流の一撃。
 迸るようにして解き放たれた一撃は『レディ・オーシャン』の体を打ち据え、その体を霧散させる。
 己が力を逆に利用され、その強大なる一撃で持って滅びる。
 その定めを知らしめるように『レディ・オーシャン』は、己の目論見が成就するか否かを背後に蠢く異形『骸の月を喰らう月』に託さざるを得ないことに、歯噛みしながら、最後の一滴となって消えゆくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『骸の月を喰らう月』

POW   :    真正面から敵の攻撃に耐え、エネルギーを削る

SPD   :    敵の攻撃をかわしながらチャンスを狙って攻撃する

WIZ   :    魔法や搦め手で敵の行動を誘導する

イラスト:山下しゅんや

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『レディ・オーシャン』を撃滅した猟兵たちは、キャプテンレイジャック島にて蠢く異形にして嘗ての七大海嘯『鮫牙』たる『ザンギャバス大帝』の成れの果てを見上げる。
 あまりにも異形。
 あまりにも巨体。
 3つ首を持つ異形でありながら翼を持ち、蛇の尾を振り回しては、その力を迸らせる。
 言うまでもなく尋常ならざる戦闘力を有していることがわかるだろう。
 グリモア猟兵の言葉を信じるのならば、『ザンギャバス大帝』の持っていた無敵性は世界移動能力の移植によって失われているのだという。
 だが、今、自分たちの肌を焼くような重圧は、『ザンギャバス大帝』の頃よりも強く感じられる。
「――ッ!!!」
 凄まじい咆哮が『骸の月を喰らう月』より放たれる。

 嘗ての『ザンギャバス大帝』と比べても三倍に至ろうかという戦闘能力。
 強靭さも、頑強さも、苛烈さも。『顎に寄る噛みつき』や『翼と爪による斬撃や握り潰し』、『尻尾部分の蛇による猛毒』となって猟兵たちに襲いかかるだろう。
 何もかもが桁違いである。猟兵たちは覚悟しなければならない。あの羽根が羽ばたけば、瞬く間にあの異形はグリモアベースに至るだろう。そうなれば|『完全敗北』《ゲームオーバー》は免れない。
 故に、此処で止めるしかないのだ――!
カイリ・タチバナ
あー、なるほど。ありゃあグリモアベースに到達させちゃいけねぇやつだ。
ここで削り切るしかねぇなあ!

つーか、攻撃くるってことはだな。このUC状態だとエネルギー削って傷つけられるんじゃ?
ま、賭けだわな。やる価値は大有りなんだけど!

んー、ついでに原初守神宝珠でレーザー打っとくか。
念動力で動かすから、俺様が動けなくとも関係ないってのが利点なんだよな。
…まあ元は爺(祖父的存在な神)の持ち物なんだけど!
こういう使い方なら、爺も文句は言わねぇだろ。会ったことねぇけど!



 キャプテンレイジャック島に蠢く巨大な異形。
 その姿は筆舌に尽くしがたい形容をしていたことだろう。言う慣ればキメラ。合成獣のような様相。
 その核に嘗ての七大海嘯『鮫牙』たる『ザンギャバス大帝』が存在しているのだという。無敵性こそ失われているが、今回の戦いにおいてそこは争点ではない。
 問題なのは『世界移動能力を有し、グリモアに対して並々ならぬ恨みを抱いている』という点である。
 世界移動能力だけではグリモアベースには到達できない。
 何せ、座標がわからないのだから移動しようがない。故にオブリビオンの侵入はグリモアベースには未だ感知されていない。

 だが、『ザンギャバス大帝』は如何なる嗅覚からか、グリモアベースの座標をかぎつけているのだろう。
 故に其処に目を付けたのが『レディ・オーシャン』である。
「あー、なるほど」
 巨大なる異形を見上げ、カイリ・タチバナ(銛に宿りし守神・f27462)はため息を吐き出すような思いであった。
 これはグリモアベースに到達させてはならない。
 その瞬間にグリモアベースは破壊されてしまうであろうことは容易に想像ができてしまっていた。
「――ッ!!!」
 咆哮が轟く。
 あまりにも強烈なる咆哮。それを前にカイリはビリビリと肌を震わせる重圧を感じたが、しかし、彼の胸には守神の矜持(モリガミノプライド)がある。

 カイリの体が鉱石の霧へと変貌していく。
 放たれる巨大な顎。己をまるごと飲み込もうとするのだろう。だが、その一撃をカイリは一歩も動かずに受け止める。
『骸の月を喰らう月』は己の顎がカイリの体を噛み砕けないどころか、一歩も前に進めぬことに訝しみ、そして苛立つように、その頭蓋を振り上げ鉄槌のようにカイリへと叩きつける。
 激震が走る。
 だが、それでもカイリは涼しい風を感じるように瞳を細める。
「賭けだったが、やる価値はやっぱ有ったな……!」
 己への攻撃。
 確かに強烈であるが、しかし、『骸の月を喰らう月』は攻撃にもエネルギーを使っている。飛び立つために貯めていたエネルギーであるが、攻撃と共有しているのだろう。
 即ち、己に攻撃を加えれば加えるほどにエネルギーが削られていくのだ。

「そのために一歩も動けねぇってのは問題かもしれねぇが……いや、まったくねぇな!」
 叩きつけられる一撃。
 されど、彼の体は一つの傷すらない。
 そう、彼のユーベルコードはあらゆる攻撃に対してほぼ無敵となる。けれど、一歩も動くことができなくなってしまう。
 その問題点をカイリは己の手より離れるようにして宙に浮かぶ宝珠から放つ光条でもって解決する。
 己へと攻撃の手を緩めない『骸の月を喰らう月』。
 その度にエネルギーが削れていくことも厭わないのは、戦略性という知性が存在しないからであろう。

 今の己は固定砲台。それも決して壊れぬ砲台そのものなのだ。
「まあ、多くを守るための戦いってやつだ。これなら爺も文句は言わねぇだろ」
 浮かぶ宝珠は会ったことのない祖父とも言うべき神の持ち物である。けれど、この『骸の月を喰らう月』を押し留め、削り切るために戦っているのだ。
 ならば、文句の言われようもないだろうとカイリは笑み、迫りくる巨躯の一撃を受け止めながら、光条の輝きとともに膨大な世界を移動するためのエネルギーを削り取るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フェアリィハート
アドリブ連携歓迎

【SPD】

『骸の月を喰らう月』
ザンギャバス大帝さん…

私は
以前の
ザンギャバスさんと
相間見えた事は
ないかもですけど…

『それでも…凄まじく強大な力をお持ちなのは解ります…でも…退く訳にはいきません…!』

翼で飛翔
【空中機動】【滑空】
【空中浮遊】等駆使
【空中戦】で
立体的に立回り

ヴォーパルソードを手に
【ハートのA】達も展開

敵の攻撃等を
【第六感】【心眼】【残像】
【結界術】【オーラ防御】で
防御・回避行動し

【ハートのA】の
【誘導弾】の【一斉発射】で
牽制しつつ

UCを発動
光焔の奔流を伴う斬撃を
放ち攻撃

『貴方が…どんなに強大な敵さんであっても…絶対に、グリモアベースに侵攻させる訳にはいかないです…!』



 異形たる姿へと変貌した七大海嘯『鮫牙』の『ザンギャバス大帝』。
 すでに、その面影は何処にもない。
 羊頭と蜥蜴めいた3つ首。
 大蛇の尾に獅子の体躯。羽撃く被膜めいた翼。
 どれもが怪物と形容するには十分な姿であったことだろう。
 同時に『ザンギャバス大帝』が変貌した『骸の月を喰らう月』は世界移動能力をも持ち得ている。
 それによってグリモアに対して並々ならぬ恨みを持つ『ザンギャバス大帝』のグリモアベースを目指すことのできる嗅覚は、猟兵たちにとって最大の危機を齎していた。
「『ザンギャバス大帝』、さん……私は」
 以前の、とアリス・フェアリィハート(不思議の国の天司姫アリス・f01939)は『骸の月を喰らう月』を見上げる。

 最早、聞き及んでいた『ザンギャバス大帝』の姿は其処にない。
 あるのは真の異形たる姿だけである。相まみえることのない存在であったことをアリスは如何なる思いを抱いたことだろう。
 畏怖だろうか。
 それとも戦いに際しての高揚だろうか。
 いずれにも当てはまらぬこともあるだろう。けれど、それらの全てが『骸の月を喰らう月』に立ち向かわぬ理由にはなっていないのだ。
「――ッ!!!」
 恐ろしげな咆哮が『骸の月を喰らう月』より放たれる。

 それだけで己が相対している存在が強大な存在であると知ることができるだろう。
「それでも……退く訳にはいきません……!」
 己が退けばどうなるかなど言うまでもない。
 あの怪物がグリモアベースに至り、猟兵たちは敗れる。そうなってはオブリビオンが齎す世界の破滅を誰が守れると言えるだろう。
 アリスは翼でもって飛翔し、迫りくる大蛇を躱す。
 だが、迫りくる強靭な腕による掴みかかりを前に彼女の目が見開かれる。
 躱せない。
 そう思った瞬間、展開したハートの形をしたジュエルハートが飛び、その腕をあ弾き飛ばす。
 気が抜けない。
 片時足りとて気を抜いてはならない。たった一つの呼気が明確な死をイメージさせる決定的な隙になりえてしまう。

 それが『骸の月を喰らう月』であるとアリスは認識し、息を忘れるほどの怒涛の連続攻撃を空中で躱し続ける。
 先んじた猟兵の戦いでわかったことがある。
『骸の月を喰らう月』はエネルギーを溜め込んでいる。けれど、その力はこちらを攻撃する度に失われて行っているのだ。
「なら……このまま消耗させれば……倒せます……!」
 一斉に放たれるジュエルハートの誘導弾が『骸の月を喰らう月』の伸ばされた腕を牽制し、叩き落とす。

 爆発が明滅し、その光のさなかにアリスの瞳がユーベルコードに輝く。

「――是は…不思議の国の不思議な戦い――」
 紡ぐは物語。
 戦いは常に物語へと消化する。
 故に彼女が手にするは、ヴォーパルソード。
 森羅万象の全てを断ち切る剣。膨れ上がる力。
「貴方が……どんなに強大な敵さんであっても……絶対に、グリモアベースに侵攻させるわけにはいかないです……!」
 だから、と煌めくユーベルコードの輝き湛えるヴォーパルソードをアリスは振りかぶる。
 キャプテンレイジャック島を埋め尽くすかのような巨体。
 その『骸の月を喰らう月』へと振り下ろされるは、神殺しの光焔の奔流。
 あらゆる全てを切り裂く斬撃。

「受けて下さい、ヴォーパルの剣閃…! アリスセイバー・ヴォーパルソード!!」
 光条が落ちる。
 そう思わせるほどの圧倒的な力の奔流は『骸の月を喰らう月』の巨体へと振り落とされ、その巨体を覆う外皮を切り裂き、苦悶の咆哮を島に響かせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

儀水・芽亜
見るもおぞましい異形ですね。これをグリモアベースへなど行かせはしません。ここで討滅します。

ナイトメアを召喚し、「騎乗」して駆け回り、「軽業」じみた動きで敵の攻撃をかわし続けましょう。
隙を見せればナリスランスで「騎乗突撃」「ランスチャージ」「貫通攻撃」をお見舞いです。
……さすがに大した化物。当たった手応えを感じない。
ですが、地道に攻撃と回避を続ける以外に出来ることはありません。付き合ってくださいね、ナイトメア。

かなりの時間引きつけたつもりですが、あれは消耗しているでしょうか?
「集中力」を高めて、敵の攻撃を確実に「見切」れるように。
知性の無い攻撃など、慣れればなんとでもなります。



 その異様なる体躯はキメラめいた悍ましさを儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷』・f35644)は『骸の月を喰らう月』に感じたことだろう。
 嘗て無敵大帝とも呼ばれた『ザンギャバス大帝』を核として、世界移動能力を移植してグリモアベースへと飛び立とうとしている異形。
「これをグリモアベースへなど行かせはしません。確実に、此処で討滅しなければ」
 彼女の危機感も当然であった。
 これがグリモアベースに到達するのならば、確実に猟兵にとっての|『完全敗北』《ゲームオーバー》が訪れようことは想像に難くない。
 故に芽亜の瞳はユーベルコードに輝く。
 同時に純白の白馬型来訪者『ナイトメア』に彼女は騎乗し、戦場となったキャプテンレイジャック島を駆け抜ける。

 その動きに釣られるようにして『骸の月を喰らう月』の腕が振り下ろされる。
 ただその一撃で大地は砕かれ、破片が飛び散り、衝撃波が芽亜たちの体を打つだろう。攻撃の余波だけで、これだ。
「たまったものではないですね、これは……!」
 直撃を受ければ、それだけで行動不能にされてしまうかもしれない。
 それほどの力を『骸の月を喰らう月』は有しているのだ。
「――ッ!!!」
 獣の咆哮が轟く。
 怒り。憎悪。
 そうした感情がないまぜになったかのようなすさまじい咆哮だった。
『ザンギャバス大帝』は嘗て、グリモアに並々ならぬ恨みを持っているようだった。それが如何なる理由であるのは知られていないが、しかし、その恨みがグリモアベースの座標を嗅ぎつけるというのならば、恐るべきことである。

「とはいえ、これは……!」
 振りかぶった巨腕の一撃を躱しながら白馬が疾駆する。
 手に携えた美しき鴇色の槍の一撃が『骸の月を喰らう月』へと叩き込まれる。
「……さすがに大した化け物。当たった手応えを感じさせない!」
「――ッ!!!!」
 だが、確実に削っているということだけは確かだった。
 先行した猟兵は、『骸の月が喰らう月』が攻撃に動けば動くほどに身に溜め込まれた転移のためのエネルギーは削ぎ落とされていく。
 ならば、芽亜は己がすべきことを悟る。
「『ナイトメア』……あなたと私は一心同体。ならば、わかりますね」
 その言葉に白馬が嘶く。

 胸に溢れるは高揚。
 一撃でも受ければ、それでこちらは沈む。
 されど、敵はこちらの攻撃を物ともしない。消耗戦。削り取り、かすめ取り、そして、徹底的な戦いを続けなければならないという苦境。
 それにありて己が乗騎は嘶いたのだ。
 望むところと。
 ならばこそ、芽亜は白馬の手綱を握り、一気に駆け出す。
 戦場を駆け抜ける。
 縦横無尽と言うにふさわしい程の疾駆。振るわれる腕を躱し、迫る大蛇の尾を弾き飛ばし、さらには迫る毒の瘴気すら白馬の速度に乗って引き離す。
「知性無き獣など……攻撃に慣れるのならば、なんとでもなるというもの。どれほど削れたかは判然としませんが、けれど、それでも」
 消耗だけは確実にしていると芽亜は知る。

 動きは未だ俊敏。
 されど、叩き込まれた猟兵達のユーベルコードがある。
 ならばこそ、芽亜は敵のエネルギーを無為に消耗させるために戦場を駆け抜け、『骸の月を喰らう月』の視線を己に釘付けにし、その力を削ぎ落とすことだけに集中する。
 その白馬と共に駆けたる姿は、白い閃光のようだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリン・フィニス
怪物へと堕ちたか、「鮫牙」…!
(……いや、それとも、その姿こそが奴の、コンキスタドール…7大海嘯が一人「鮫牙」でない「ザンギャバス」の本質だとでもいうのか?)

考えるのは後だ、貴様の船出、ここで阻止させてもらう……!
サメットを呼び騎乗し、空中を泳がせながら再度『蒼海の鎧』により雨を降らせ、加えて冷気属性のバブルを振りまき、濡らした奴の体の一部凍結を狙う
動きを封じるとまではいかないが、僅かな足止め程度にはなるだろう

その隙さえ作れば後は……UC【ハイドロプレッシャー】を放つ
放ち始めれば足止めに用いていた「雨」も全てこちらへと注ぎ込み、知識、技能……すべてを洗い流す水流を浴びせていくぞ



 その巨体、その異様なる姿。
 完全なる異形であると言わざるを得ない。
 嘗ての七大海嘯『鮫牙』。『ザンギャバス大帝』の姿を知る者がいたのならば、それが如何におぞましき変化を遂げたのかを知るだろう。
 少なくとも、マリン・フィニス(蒼海の騎士・f26997)にとって、それは事実であった。
「怪物へ堕ちたか、『鮫牙』……!」
「――ッ!!!」
 その言葉に『ザンギャバス大帝』であった怪物『骸の月を喰らう月』は咆哮でもって応える。
 意志は感じられない。
 いや、強烈な恨みの感情の発露だけは感じ取ることができたかも知れない。
 それこそが『レディ・オーシャン』の目論見である。『ザンギャバス大帝』を核としたのは、その並々ならぬグリモアへの恨みである。

 グリモアベースへの座標。
 それを嗅ぎ取る『ザンギャバス大帝』は、世界移動能力の移植によって嘗ての無敵性を喪っている。
 けれど、とマリンは振り下ろされる巨大な腕の一撃に寄る衝撃波が己の鎧を打つ痛みに呻く。
 彼女は考える。
 アレは本当に怪物に堕ちた姿なのだろうかと。
 あれこそが本質なのではないかと。そう思うのだ。だが、その思考は戦いにおいては危険そのものであった。
 他に気を取られている時間などない。
 そう己に言い聞かせるように彼女は鮫魔術によって呼び寄せた鮫『サメット』に騎乗し、キャプテンレイジャック島の外苑を飛ぶようにして疾駆する。
 迫る腕の一撃は次々とマリンたちの軌道を読むようにして放たれ続ける。

「何処まで行っても凶暴性だけは相変わらずというわけか……! だが、貴様の船出、ここで阻止させてもらう……!」
 マリンの鎧、『蒼海の鎧』より雨が降り注ぐ。
 空中を泳ぐように『サメット』が飛ぶ。さらに加えてバブルを噴射させ『骸の月を喰らう月』の体を濡らす。
 そして、その巨体を凍結させるのだ。

 だが、あまりに『骸の月を喰らう月』は巨大過ぎた。
 己の振るうバブルワンドで多い、凍結させるのだとしても、薄皮一枚しか凍結できない。
 動きを封じるにはあまりにも足りない。
 けれど、それでもマリンにとっては僅かな時間は貴重だった。
「足止めにもならんか……だが、隙にはなった!」
 兜の奥から彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
 同時に鎧に配された瑠璃色の瞳と呼ばれるメガリスが輝く。掲げる右手。
「――ッ!!!」
「吼えるか、『骸の月を喰らう月』よ。この水流を前に、どこまで抗えるか……見せてみろ!」
 吹き荒れるユーベルコード。
 一瞬にして彼女の右手から放たれる高圧水流――ハイドロプレッシャーの一撃。
 その全ては、『骸の月を喰らう月』に残されていたであろう知識や技能の尽くを押し流す。その巨体が傾ぐ。
 これまで他の猟兵達によって刻み込まれた傷跡を広げるようにして高圧水流が刃となって、『骸の月を喰らう月』を切り裂く。

「此処までだ。貴様の旅路も。全て」
 マリンは言い放つ。
 飛び立たせはしない。ただそれだけのためにマリンのユーベルコードは煌めき、『骸の月を喰らう月』をキャプテンレイジャック島に縫い留めるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七那原・望
邪魔者は消えましたね。後はあれをどうにかするだけです。

果実変性・ウィッシーズスカイ。
スケルツァンドの性能と速度を強化属性の全力魔法と念動力で限界突破させ、更に自分の周囲に結界も展開した上で空中戦。

第六感と心眼と気配感知で敵の動きと攻撃、間合いを見切り、敵の間合いに入らないように気を付けながら決して停止せずに超高速で飛行し続けましょう。
気を付けるべきは近接攻撃だけでなくブレス等も警戒し、予兆を感じ取ったら即座に射線から外れましょう。

飛行しつつセプテットに魔力を溜め、攻撃回避後などの隙を突いて一斉発射。ヒットアンドアウェイを繰り返して敵を破壊していきましょう。

同情はしませんよ。そのまま砕けなさい。



『レディ・オーシャン』を撃破した猟兵たちは一気にキャプテンレイジャック島の中心にて、その島そのものかのように巨大なる異形へと変貌した嘗ての七大海嘯『鮫牙』、『ザンギャバス大帝』を目指す。
『骸の月を喰らう月』と呼ばれる巨大異形。
 そのさまは正しく怪物と呼ぶにふさわしいものであった。
 だが、七那原・望(比翼の果実・f04836)の覆われた視界にそれは感じられない。視界を閉じていてもわかることがある。
 大気の揺れ。満たされたエネルギー。
 そうしたものが彼女に伝える。
『骸の月を喰らう月』、これを飛び立たせてはならないと。
「邪魔者は消えましたね。後はあれをどうにかするだけです」
 彼女のユーベルコードが煌めくと同時に彼女の体を純白の翼を宿す宇宙バイクが空へと運ぶ。

 振るわれた『骸の月を喰らう月』の腕の一撃が衝撃波を生む。
 その衝撃をいなすようにして飛びながら望は己の結界が砕けるのを聞いただろう。あの腕の一撃はユーベルコードそのもののような一撃だった。
 触れれば一撃でこちらが行動不能にされてしまう。
「それだけではない……ですね」
 大蛇の尾が空中を翔ける望へと迫る。
 噴射する毒霧。
 それを張り直した結界で押し戻しながら望は知る。
「――ッ!!!」
『骸の月を喰らう月』の咆哮。
 それはグリモアに対する恨みの発露であったことだろう。理由は知れない。けれど、核となった『ザンギャバス大帝』の恨みが確実にグリモアベースへと至る道を示しているのならば。
「ここで止めます……! わたしは望む……果実変性・ウィッシーズスカイ(トランス・ウィッシーズスカイ)!」
 更に反応速度が上がる。
 スピードの跳ね上がった体で望むは迫りくる腕も大蛇も尽く躱す。

 まるで何処から攻撃が来るのか理解しているようだった。
 止まることはない。
 この敵を前にして足を止めることは致命的でしかないからだ。超高速で飛ぶ度に音速を超えた轟雷の如き音が戦場に響き渡る。
 他の猟兵達のユーベルコードが煌めく。
 その明滅のさなかに望は飛ぶ。
「『セプテット』!」
 七つの銃が空中で合体し、超巨大な銃へと変貌を遂げる。放たれる魔力の溜め込まれた一撃。その一撃を『骸の月を喰らう月』は察知し、3つ首がもたげるようにして口腔からブレスの一撃を解き放つ。

「……ッ!」
 望は、その瞬間、圧倒的な反応速度で持ってブレスの射線から逃れる。
 かすめるだけで己の体力が削られるのがわかる。
 凄まじき怪物。
 故に望は己が組み上げ、溜め込まれた魔力を『セプテット』とから開放する。
 確かに『ザンギャバス大帝』は恨みを利用されただけなのかもしれない。怪物に成り果て、自我らしいものはなく。
 ただただ恨みのためだけに存在している。
 それは、同情という感情を呼び起こすには十分だった。
 けれど。
「同情はしませんよ。そのまま砕けなさい」
 望の放つ魔力砲撃の一閃が空より『骸の月を喰らう月』へと叩き込まれる。苦悶の咆哮を上げながら、その巨体が大地へと叩き落される。
 まるで飛翔すること能わずと言うように――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アコニィ・リード
うわ……うわぁ
何これ、島? ザンギャバス?
何でこんなデカいのが飛んでるのよ!?
レディだけでもヤバかったのに
こんなのがグリモアベースへ来たら潰されちゃうじゃない

改めて|シン・デバイス起動《ドーピング・リミッター解除・限界突破》
元気出して地形を利用し物理攻撃を水中や空中も使って回避しつつ
世界知識から巨大なプラナリアを召喚し嚙みつかせる
再生して増えるからそれで遊んでなさい!
続けて多重詠唱、戴竜虹娘!
蛇と毒対策に飛翔する超巨大鮫部隊を召喚
嚙まれる前に噛みついてその毒の牙を封じてやるわ!

戦闘知識で出来そうな戦術はここまで
後は出た所勝負、シャークシューターで制圧射撃の乱れ撃ち
これ以上先へは進ませないわよ!



 アコニィ・リード(偽神暗姫・f25062)は思わず呻いていた。
 眼の前にあるのは島そのものかと見紛うほどの巨体。
 異形たる姿はなんと形容して良いだろうか。まるでキメラ。あらゆる獣を組み合わせたかのような醜悪さ。
 漲るエネルギーは、この島より飛び立ちグリモアベースを目指すもの。
 故に猟兵達のユーベルコードの輝きが明滅する。
「うわ……うわぁ……何これ、島? 島が、ザンギャバス? なのに、なんで!」
 アコニィの眼前で打ち込まれた砲撃の一撃を受けて大地に沈んだ『骸の月を喰らう月』が皮膜の如き翼を広げ再び飛び立とうとしている。

「――ッ!!!」
「なんでこんなデカいのが飛べるの!? というか飛べるの、それで!?」
『レディ・オーシャン』との対決だけでも相当に危ない橋を渡ってきたというのに、ここに来てこんな怪物と戦わなければならないのだ。
 それでもアコニィは理解する。
 これをグリモアベースに到達させてはダメだと。確実にグリモアベースは潰されてしまう。そうなっては己達の|『完全敗北』《ゲームオーバー》は必至だ。
「なら、やってやろうじゃないの! わたしは!」
 再び体に注入される製剤。
 己のリミッターを外す。己の限界を超える。
 此処に己の在る意味を知るのならばこそ、『骸の月を喰らう月』は止める。確実に止めるためには、己の躯体の限界を超えなければならない。
 瞳にユーベルコードが輝く。

「さあ、行くよ。海魔招来! さあ皆やっちゃって!」
 彼女の言葉と共に招来されるは、巨大なプラナリア。
 その巨体に『骸の月を喰らう月』は食らいつく。敵だと認識したのだろう。そして、その顎は容易く巨大プラナリアを噛み砕くだろう。
 けれど、プラナリアは分裂して再生する。両断されれば二つに。さらに巨大な腕が、その体を切り裂くのだとしても、すぐにまた分裂していく。
「それで遊んでなさい! 本命はこっち! 巨大鮫部隊!」
 戴竜虹娘(ナイトメア・オーシャン)。
 そう呼ばれるのならば、アコニィのユーベルコードは正しくそう、評されるものであったことだろう。
 呼び出した巨大鮫たちは大蛇の尾を躱しながら、『骸の月を喰らう月』の巨体へと噛み付いていく。

「――ッ!!!」
 咆哮と共に身を捩る巨体。
 吹き飛ばされる鮫たち。だが、それでもアコニィは『骸の月を喰らう月』を押し止める。飛び立たせない。
 鮫たちが皮膜の翼を切り裂く。
 消耗すればするほどに世界移動能力を使用するためのエネルギーは削られていく。
「このままこの島に縫い留める! これ以上こいつを先へ進ませないためには!」
 アコニィはシャークシューターから弾丸を放ちながら、招来した海棲生物たちを操り、『骸の月を喰らう月』を押し止める。
 確かに自分一人の力では止めることは難しいだろう。

「けど、わたしだけじゃないんだから!」
 この島に集った猟兵達。
 彼等と共に戦うからこそ、強大な敵も倒せる。ならば、『骸の月を喰らう月』だって例外ではないのだ。
 そう信じるからこそ、アコニィの瞳はユーベルコードに輝き、巨大なる異形を押し留め続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ダーティ・ゲイズコレクター
({ダーティウイング}で『空中浮遊』すると骸の月を喰らう月に向かって告げる)

超ワルなレディ・オーシャンさんは倒しました!
次は超目立つ貴方の番です!

おぉ!3つ首ぜんぶから殺意の籠った強烈な視線が来ました!
ありがとうございます!

(自身に向けられた視線から敵の攻撃の軌道を予測し『衝撃波』を使った推力移動で空中をバレルロールしながら攻撃を回避する)

でも物足りないので視線を追加です!
(UC【元悪!纏絡堕落醜穢終】を発動し、胸の谷間から{ダーティリボルバー}を取り出すと、1つの首の目に向けて『エネルギー弾』を放つ)

全部の目をつぶしたら私を見れなくなっちゃいますからね!
さぁもっと私を見てください!



 猟兵達のユーベルコードが明滅する度に叩き込まれていく。
 凄まじい攻勢。
 だが、それでも『骸の月を喰らう月』の咆哮が轟く。
「――ッ!!!」
 ただの咆哮だけで身がすくむような衝撃が迸る。キャプテンレイジャック島そのものを揺るがすような咆哮。
 その強烈さを示す異形を前にして空を切り裂くようにして、赤紫色の閃光が『骸の月を喰らう月』へと迫る。

 そう、それは我らがダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)の姿!
「超ワルな『レディ・オーシャン』さんは倒しました! 次は!」
 広がる赤紫色の翼。ダーティウィングを広げ、空にて見下ろすダーティ。彼女の瞳は睨めつける『骸の月を喰らう月』の視線を受けて満足げだった。
「超目立つ貴方の番です!」
 3つ首の瞳がぎょろりと恐ろしげな視線をダーティに向ける。
 けれど、ダーティは本当に満足げだった。
 むしろ、嬉しいという感情さえ湧き上がってくるようだった。
「おぉ! 3つ首ぜんぶから殺意の籠もった強烈な視線ありがとうございます!」
 世界広し、世界多しと言えど、『骸の月を喰らう月』の殺意マシマシの視線を受けてお礼を言う者などダーティくらいなものだろう。

 振るわれる巨大な腕の一撃をダーティは翼を羽撃かせ、空中を横回転で躱しながら凄まじい速度で飛ぶ。
 衝撃波を己の翼で生み出した衝撃波でもって相殺しながら彼女は飛翔するのだ。
 3つ首の全てがダーティを睨めつける。
 己の頭上を飛ぶダーティのことが鬱陶しくてたまらないのだろう。
 確かに殺意マシマシの視線はダーティにとってありがたいものであったかもしれない。けれど、それでも彼女は慣れてしまったのだ。
 物足りない。
「もっと! もっと視線がほしいのです!」
 その言葉と共に彼女の瞳がユーベルコードに輝く。

 いや、瞳ではない。全身から発露するユーベルコードの光。
 元悪!纏絡堕落醜穢終(テンラクダラクシュウワイシマイ)! そう、ダーティの強烈な存在感は同時に精神を蝕む程の無数の視線を解き放つ。
 この戦場を見ている視線がある。
 正体が分からずともわかる。
 これは視線だと。ダーティは楽しむ。その視線を。
 そのために己という存在は在るのだと知るからこそ、彼女は高まるゲイズパワーと共に胸元からダーティリボルバーを抜き、その弾倉に込められた魔力を確認する。
「いいですよ! もっとたくさん視線をください。それが!」
 溜め込まれた魔力を解き放つように撃鉄が叩き込まれる。
 瞬間、開放された弾丸がダーティリボルバーの銃口から迸り、『骸の月を喰らう月』の3つ首のうちの一つを叩き潰す。

 ひしゃげるようにして蜥蜴の頭がダーティの放った弾丸でもって砕ける。
「全部の目をつぶしたら私を見れなくなっちゃいますからね! さぁ、もっと私を見てください! その殺意の籠もった視線を! 頭の一つを撃ち抜いた私を!」
 ダーティは強烈な存在感を戦場に示す。
 己は此処に居る。
 此処に在る。
 ただそれだけで彼女に視線が集中していく。それが例えようのないほどの感情を彼女の心に満たしていく。
 同時に、それは大気を震わせるような魔力となって再び、ダーティリボルバーから放たれ、『骸の月を喰らう月』を撃つのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メルヴィナ・エルネイジェ
とてつもなく大きいのだわ…
確かにグリモアベースに飛来するだけで壊せそうなのだわ
リヴァイアサンは真の姿でもう少し頑張るのだわ

毒を持っている尻尾が危ないのだわ…
尻尾の蛇に巻き付いたら首元に噛み付いて動きを封じるのだわ
本体は大き過ぎて無理でも尻尾だけなら何とか締め上げられると思うのだわ

尻尾の攻撃を封じてから大海嘯で津波を呼ぶのだわ
海水で満たすまでもなく周りは海だから、とびきり大きな津波が呼べるのだわ
そして津波の中に巻き込まれた岩や沈没した船の残骸も一緒に叩き付けられるのだわ
津波は時に大陸の地形さえも変えてしまうほどの破壊力があるのだわ
でも実際はどれほどの威力なのか分からないのだわ…
周りに被害が出過ぎるから封印していたのだわ…

津波で海中に引き摺り込んで飛行も邪魔出来るのだわ
泳ぎが得意な見た目には見えないのだわ
倒しきれなくても飛び立つまでの時間を引き伸ばせるのだわ
その分攻撃出来る時間が増えるのだわ
味方には癒しの効果があるから、レディ・オーシャンとの戦いで受けた傷を少しでも回復するといいのだわ



「とてつもなく大きいのだわ……」
 メルヴィナ・エルネイジェ(海竜皇女・f40259)は真の姿を晒した己の乗騎『リヴァイアサン』を超えるほどの巨体を持つ『骸の月を喰らう月』の異形たる姿を見据える。
 あまりにも巨大。
 そして、あまりにも異様。
 3つ首の一つは猟兵の放った一撃でひしゃげている。残された首が苛立たしげに咆哮し、大気を震わせていた。
 強烈なまでの殺意。
 いや、これは憎しみだとメルヴィナは理解しただろう。

 この怪物は恨み憎しみだけでグリモアベースの所在を知り、飛び立とうとしている。
「確かにこんな怪物がグリモアベースに飛来するだけで破壊される、というのは眉唾ものではないのだわ……『リヴァイアサン』、もう少しがんばるのだわ」
 彼女の言葉に『リヴァイアサン』が応える。
『レディ・オーシャン』との戦いは苛烈を極めた。
 傷を負わぬ猟兵も、消耗しない猟兵もいなかっただろう。故にメルヴィナは狙いを定める。敵の尾。大蛇の尾が放つ猛毒のブレスは、戦いが長引けば猟兵に不利となるだろう。
 だからこそ、彼女は『リヴァイアサン』と共に戦場を縫うようにして迫り、その尾へと絡みつく。
「これでなんとか、できるのだわ!」
「――ッ!!!」
 絡みつく『リヴァイアサン』を振りほどかんと巨体が揺れる。

 揺れる。
 ただそれだけだというのに、機体の内側にまで衝撃が走り、メルヴィナの体を撃つ。敵が巨大すぎるのだ。
 尾だけならば止められると思ったが、『骸の月を喰らう月』の怪力は凄まじすぎるものであった。
 けれど、『リヴァイアサン』の眼が煌めく。
 どれだけ敵が巨大であろうとも、それに恐れを抱くことはないと示すように『リヴァイアサン』が咆哮し、飛び立とうとする巨体を大地へと引きずり降ろし叩きつけるのだ。
「これで尻尾の蛇の攻撃は封じたのだわ!『リヴァイアサン』!」
 メルヴィナの言葉に応えるようにして咆哮が轟く。同時に『骸の月を喰らう月』もまた咆哮する。
 互いの咆哮が海面を波立たせ、凄まじい衝撃を周囲に撒き散らす。

「確かにあなたは巨大で、凄まじい力をもっているのだわ。けれど、この状況、この場所、この海原に在りては『リヴァイアサン』に全てが利するのだわ!」
 その言葉と共にユーベルコードが煌めく。
 戦場は満たされている。
 この世界、グリードオーシャンには海水が満ちている。何処を見ても海水に満たされている。ならばこそ、『リヴァイアサン』の力は凄まじき、大海嘯(タイダルウェイブ)となって迸る。
 戦場を海水で満たすまでもない。
「――ッ!!!」
「気がついても遅いのだわ! 命を育むのも水で、命を奪うのも水なのだわ。それを教えてあげるのだわ」
 メルヴィナの瞳が明滅する。

 その輝きが『リヴァイアサン』に寄って増幅されていく。
 巨大な津波が発生し、『骸の月を喰らう月』すらも呑み込まんとするかのような圧倒的な海水が迫る。
 それに抗う術などない。
 膨れ上がるようにして立ち上がる大波。その一撃が『骸の月を喰らう月』の巨体へと放たれる。どんなに踏ん張っても堪えられるものではない。
 キャプテンレイジャック島の端まで巨体が押し出される。大津波だけでは、かの巨体は踏ん張る事ができたかもしれない。巨大な腕を地面に叩きつけ、脚部を突き立て、そうすることで迫る大津波に耐えられたかも知れない。

 けれど、此処にあるのは『リヴァイアサン』である。
 尾に絡んだ『リヴァイアサン』が大津波の衝撃と共に引きずったのだ。
「泳ぎが得意な見た目には思えないのだわ。ええ、でもわかっているのだわ」
『リヴァイアサン』が『骸の月を喰らう月』へと牙を突き立てる。
 鱗が刃となって大蛇の尾を切り刻み、締め付ける。動きを封じ、なおかつ巨体を傷つける。真の姿となった『リヴァイアサン』は凶悪そのものであり、同時に全身が刃そのものだった。
 強固な鱗はそのまま強靭な刃。
 メルヴィナは、周囲の猟兵たちに水の癒やしを齎す。
 彼女のユーベルコードは攻防一体。

「言ったのだわ。生命育むのも水。生命奪うのも水。ならば、私の水は仲間を癒す。先の戦いで傷ついたのならば、それを癒やして進む」
 自ら一人で打倒できないほどの強大な敵が存在するのだとして。
 それを恐れる理由は数多あるだろう。
 けれど、立ち向かわぬ理由などないのだ。
 メルヴィナはそれを知るからこそ、ユーベルコードに輝く瞳でもって悍ましき怪異たる巨体『骸の月を喰らう月』を押し留め、その巨体に癒えぬ傷を『リヴァイアサン』と共に刻み込むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
御苦労なことだ
徒労に終わるがな

状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを世界の外へ破棄
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給

絢爛を起動
起点は目の前の空気
破壊と因果の原理にて戦域の空間を支配

破壊の原理を斬撃に変換、解放
因果の原理にて対象は『骸の月を喰らう月』とその能力のみに
戦域全てを隙間なく、終わりなく、容赦なく
「その場に直に現れる斬撃」にて斬滅する

万象一切に終わりを刻む破壊の原理に例外はない
巨体も翼も、毒も、頑健も強靭も一切刻み尽くせば塵と同じ

今更骸の海に戻るも暇だろう
ここで退場しろ

※アドリブ歓迎



 猟兵達のユーベルコードが戦場であるキャプテンレイジャック島に明滅する。
 確かに『骸の月を喰らう月』は巨大であった。
 けれど、果敢に戦う猟兵達のユーベルコードは確実に、巨大な怪異に消耗を強いる。グリモアベースへと飛翔するためのエネルギーを削ぎ落とし、飛翔を先送りにする。
 その上で無敵性を喪った『ザンギャバス大帝』を核とした巨体を打倒する。
「――ッ!!!」
 だが、咆哮の力強さを知るだろう。
 未だ『骸の月を喰らう月』は己の中にある核。『ザンギャバス大帝』の持つグリモアに対する恨みと憎しみだけで座標を捉えているようだった。
 どれだけの攻防があろうとも、それだけの感情を持つのならば、撃滅する以外に止める術などないと知るだろう。
「なんとも御苦労なことだ。だが、その咆哮。その憎しみ。全てが徒労に終わるがな」
 アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は冷ややかな視線を恨みと憎悪の咆哮を上げる『骸の月を喰らう月』へと向ける。

 戦場の状況は理解している。
 明滅するユーベルコードの輝き。
 砲撃、斬撃、大津波に周囲に満たされる猟兵達の加護。
 そのあらゆるを理解し、同時に原理を回す。
 あの巨体を滅ぼすには圧倒的な攻撃の量が必要となる。今はまだ押し止められているが、しかし、『骸の月を喰らう月』は、その巨体でもって猟兵達の攻勢を弾き飛ばそうとするだろう。

 ならばこそ、アルトリウスはそれをさせない。
 羽ばたこうとする被膜が広がる。それは同時に己の体を守らんとする『骸の月を喰らう月』の防衛本能であったのかも知れない。
「守りを固めるか。だが、それは悪手だ」
 アルトリウスの瞳がユーベルコードに煌めく。
「煌めけ」
 絢爛(ケンラン)たる原理が輝く。
 蒼光満たされる。
『骸の月を喰らう月』を起点にして周囲の空間を完全に支配し、原理でもってあらゆる無機物を操作する。

 この島に存在する全ての無機物は今、アルトリウスの刃となって『骸の月を喰らう月』へと叩き込まれる。
「――ッ!!!」
「無駄だ。万象一切に終わりを刻む破壊の原理に例外はない。その巨体も、翼も、毒も、頑健たるも、強靭たるも、一切刻み尽くせば塵と同じ」
 斬撃が被膜を切り裂いていく。
 痛みにあえぐような咆哮は、すぐさま憎悪へと変わるだろう。
 けれど、アルトリウスは顔色一つ変えず、咆哮の衝撃波を涼やかな顔で受け流す。

「今更骸の海に戻るも暇だろう。ここで退場しろ」
 その言葉と共に『骸の月を喰らう月』の被膜たる翼を切り刻みながらアルトリウスは、その巨体が二度と飛び立てぬことをしらしめるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空桐・清導
POW
アドリブや連携も大歓迎だ

「凶悪さをビシビシ感じるぜ!
だが、ヒーローとして絶対に負けられねえ!」
UCを発動
月へと一気に飛翔
全身に[オーラ防御]を張り巡らせ、
噛みつきや斬撃、握り潰し、猛毒のブレスを
[気合い]と[根性]で避けて防ぐ

「喰らう月よ!此処はお前の世界じゃない!!
夜に―骸の海へと還るが良い!!」
太陽の如き輝きを発しながら光焔を纏った拳を構える
それは蟻が龍に挑むような無謀
しかし、その蟻は空桐清導!
如何なる不条理も容易く砕いてみせよう!
全力の一撃が月を伝播し、光焔が焼き尽くす
「まだだ!超必殺!サンシャイン・オーバーキック!!」
[限界突破]して月の上へと更に飛翔
光焔を纏った蹴りを叩き込む!



 有り余る火力。
 猟兵達のユーベルコードはそう表現するのに足り得る力だった。 
 しかし、キャプテンレイジャック島にてグリモアベースへと飛び立たんとエネルギーを溜め込んでいた『骸の月を喰らう月』の巨体と異様なる姿は、未だ滅びることを拒絶しているかのようにも思えたことだろう。
 それほどまでに『骸の月を喰らう月』は強大だった。
 3つ首の一つを潰され、羽撃く被膜を切り刻まれ、巨躯に無数の打撃を受けてなお、それでも『骸の月を喰らう月』は、グリモアへの憎悪だけで此処まで存在しているのだ。
「まったくもってなんてヤツだ……その凶悪さ、ビシビシ感じるぜ! だが、ヒーローとして絶対に負けられねえ!」
 ユーベルコード煌めく瞳を見開きながら、空桐・清導(ブレイザイン・f28542)はブレイザインとしての己を奮い立たせる。

 黄金のオーラが体を覆っていく。
 己の中にある意志を彼は信じる。己をヒーローと規定するのならば、己の心が折れてはならない。
 どれだけ眼の前に恐ろしげな怪異たる巨躯があるのだとしても。
 憎しみと殺意満たす視線が己を射抜くのだとしても。
 それでも清導は己を|ブレイザイン《ヒーロー》と語るのならば、踏み出す一歩を恐れてはならなかった。
「いくぜ!『骸の月を喰らう月』よ! 此処はお前の世界じゃない!!」
 踏み込むブレイザインへと巨大な腕が振り下ろされる。
 その一撃と光焔纏った拳が激突する。

 凄まじい衝撃波が迸る。
 周囲の大地を砕き、亀裂を走らせ、破片が飛び散る。圧倒的な力。『骸の月を喰らう月』の巨体は、ただそれだけでも脅威であったというのに、圧倒的な膂力で持って打ち出される腕はまるでユーベルコードじみていた。
 それほどまでに圧倒的な一撃を等身大の拳でもってブレイザインは受け止めているのだ。

 それはそう、蟻が龍に挑むような無謀であると言えただろう。
 けれど、それを無謀と謗ることはならない。
 ましてや己自身がそう思ってはならない。知っている。それは諦めという感情だ。諦念に塗れるからこそ人の歩みは重たく、鈍く、そして止まってしまうのだ。
 人はそれを不条理と呼ぶであろう。
「だが、オレは諦めない! オレは諦めることを諦めている! ここにあるのはオレだ! 空桐清導だ! お前が不条理そのものだというのなら!」
 振り抜く拳が黄金の輝きを見せて『骸の月を喰らう月』の腕を砕く。

「容易く砕いて見せよう!」
 全力の一撃は大気を激震させる。
「その名を『骸の月を喰らう月』だというのならば、夜に、骸の海に還るがいい!!」
 振り抜いた拳のままに大地を蹴ってブレイザインは己の力を巡らせる。
 全身を駆け抜けた力は、己の蹴撃へと集約する。
 限界を超えた力の発露。
 黄金の輝き放つ光焔に包まれながらブレイザインは咆哮する。
「これが!! 超必殺! サンシャイン・オーバーキック!!」
 ブレイザインが一つのエネルギーの塊となって『骸の海を喰らう月』の巨体へと飛び込んでいく。

 それはまさしく夜明けを知らしめる太陽の輝き。
 満たされた光は怪異たる巨躯を貫き、その身にさらなる痛手を刻み込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シノギ・リンダリンダリンダ
あーあー。元鮫牙、こんな姿になっちゃって
……いえ、どっちもまぁろくでもない姿ですね
さて、海の女の件はもうスカッとしたので、後はお前を止めましょうか、元鮫牙

せっかくですからお祭りといきましょう
【一大海嘯】解放
レベル体分の鮫牙を召喚
自分のケツ持ちくらい、自分でやってはいかがですか、鮫牙?

元鮫牙からの攻撃の盾にしたり、生命力を奪う噛みつきや猛毒の蛇や噛みつきそのもので攻撃させたり
元鮫牙の方の毒は、今後の為にもDead or Dieで吸収しておきましょう。甘露甘露

暴れさせたり、生命力を吸収したりすればエネルギーも減っていくでしょう
せっかくです大暴れしてください
お前の最後。大きな花火にしましょうよ



 巨体を穿つ一撃。 
 激震するキャプテンレイジャック島。その中心で『骸の月を喰らう月』は咆哮する。
 憎しみと恨み。
 強烈なる感情を発露させ、己が恨みを晴らさんがためだけに力を振るう『骸の月を喰らう月』は、最早核となった『ザンギャバス大帝』の名残すら消え失せていた。
 しかし、猟兵達の攻勢は苛烈そのもの。
 被膜たる翼を切り刻まれ、3つ首の一つはひしゃげ、巨体には傷が刻まれる。尾たる大蛇も散々に砕かれ、力なく地面に落ちている。
 その光景を見やり、シノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)はため息を吐き出すように暗澹たる感情を吐露する。
「あーあー。元『鮫牙』、こんな姿になっちゃって……いえ、どっちもまぁろくでもない姿ですね」
 シノギは己の中にあった感情を吐き出してしまえば、案外以前と変わりなく醜悪であることに気がついて思い直す。

 ろくでもない存在ではあった。
 ただ只管に醜悪であるという点において『ザンギャバス大帝』と『骸の月を喰らう月』という異形に成り果てた姿は類似するところがあった。
「さて、海の女の件はもうスカッとしたので、後はお前を止めましょうか、元『鮫牙』」
 その言葉と共にシノギの瞳がユーベルコードに輝く。
 折角の戦いである。
 こう言う時にはお祭りと行くのがシノギにとっての慣例であったのかもしれない。
「一大海嘯(グリードプール)! ふふふ、自分のケツ持ちくらい、自分でやってはいかがですか、『鮫牙』?」
 彼女のユーベルコードに寄って招来されたのは七大海嘯の残滓にして、その体に呪詛のアンテナを生やす『鮫牙』たる『ザンギャバス大帝』の姿であった。

「――ッ!!!」
 怒りの咆哮と共に振るわれる『骸の月を喰らう月』の巨大な腕。
 その一撃を『鮫牙』が受け止める。
 衝撃波が周囲に荒び、その力の凄まじさを知らしめるだろう。だが、残滓とは言え七大海嘯の一である。
 シノギは『鮫牙』を盾にしながら、『骸の月を喰らう月』のエネルギーを吸収させる。何処まで行っても、この巨大なる怪異をグリモアベースへと飛び立たせてはならない。
 ならばこそ、その源たるエネルギーを削ぎ落とすことこそ猟兵達のしなければならないことだった。

「暴れる度に、そのエネルギーが消耗していくってことはすでにわかってんですよ。なら、徹底的にやるっていうのは当然の帰結ってもんでしょう」
「――ッ!!!」
「ふふふ、怒ってるんですか? 甘露甘露。そうした呪詛めいた感情も私は大好物です。さあ『鮫牙』、せっかくです。自分と一緒に大暴れしくてください」
 シノギのユーベルコードに寄って将来された『鮫牙』が有り余る食欲と暴虐性でもって『骸の月を喰らう月』と激突する。
 凄まじい光景であった。
 それはシノギの言葉を借りるのならば、花火めいた光景であったことだろう。

 絢爛にして豪華。
 醜悪にして激烈。
 そうした光景を見やり、シノギは笑う。
「これがお前の最後。よかったですね、大きな花火みたくなれて」
 シノギは笑い、そして己が身に蓄積していく呪詛に満足気な表情を浮かべ、嘗ての『ザンギャバス大帝』と『骸の月を喰らう月』が激突する様を現物するように見やるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『疾き者』にて

さて、アレをどうにかしませんとねー。
飛び立たせるわけにはいきませんからー。

UC(攻撃力)使いまして。四悪霊の総意は言わずもがなですが。
その攻撃も何もかも、あなたへの攻撃にしますからね。
今の状態ですとー…四天霊障による突き上げにしますか。

ふふ、あなたのエネルギーは削れますし。こちらからの攻撃でも消費させられますから。
だから…ええ。あなたをここで削り切る手段の一つになりえるんですよー。


陰海月と霹靂が、影から認識している。
とくに陰海月は『故郷から出しちゃダメー!』と思ってたりする。



 キャプテンレイジャック島を埋め尽くすかのような巨体。
 異形たる怪異。
 そう表現するしかないほどの威容を『骸の月を喰らう月』は誇っていた。嘗ての『鮫牙』と呼ばれる七大海嘯の内が一つ。
『ザンギャバス大帝』の無敵性は失われているが、しかし、『骸の月を喰らう月』には世界移動能力が存在している。
 その能力故に今、猟兵たちは追い込まれていると言ってもいい。
 いや、これを凌ぎきろうとしている。
「さて、アレをどうにかしませんとねー」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』は、『骸の月を喰らう月』がグリモアベースに飛来することはあってはならないと理解している。

 ただ強大な敵だけであったのならば、焦りも必要ないものであった。
 また世界移動能力もそうであった。
 けれど、唯一『骸の月を喰らう月』が猟兵たちにとって脅威であるのは、その『グリモアに対する並々ならぬ恨み』であった。
 その恨みという一点において『骸の月を喰らう月』は猟兵の喉元まで迫っているのだ。
「ですが、四悪霊は滅びず」
 四悪霊・『戒』(シアクリョウ・イマシメ)たるユーベルコード。
 己を穿つ巨大なる怪異の腕の一撃を『疾き者』は受け止め、砕ける。一撃を受けるだけでも己の五体は砕けて散る。
 されど、己のユーベルコードは攻撃を受ける度に己という存在を認識する術式に寄って再構成される。
 生み出してきた呪詛はオブリビオンに対する憎しみ。

 それはきっと『グリモアに対する並々ならぬ恨み』を持つ『ザンギャバス大帝』と同質のものであったことだろう。
 滅ぼさねばならぬ。滅ぼす。
 ただそれだけが体の中に溢れては膨れ上がっていく。
「ふふ……ですが、あなたのエネルギーはこれで削れますし」
『疾き者』の笑みは凄絶なものであったことだろう。
 己を攻撃する腕の一撃。
 それだけでもグリモアベースに『骸の月を喰らう月』が飛び立つためのエネルギーは消耗していく。
 それだけで『骸の月を喰らう月』は猟兵に対して一手遅れるのだ。
 そうなれば、こちらの思うつぼである。
 猟兵は一人ではない。

 単一で戦うのではなく、繋いでいくものだ。
 被膜を切り裂いたように、3つ首の頭部の一つ砕いたように、尾を切り裂いたように、巨体を穿ったように。
 多くの力がより合わさることによって成し得ることがあると知る。
 故に。
「滅びず。ええ、私はあなたを此処で削り切る手段に一つでしかないんですよー」
 振るわれる腕が衝撃波を生み出す。
 凄まじい一撃だ。確かにただの一撃で猟兵を戦闘不能にまで追い込むことができる。だが、此処に、その一撃を食い物にできる存在が居るということを『骸の月を喰らう月』は理解できない。

 故に、『疾き者』は笑む。
「だから、あなたはここで削りきられ、目的を何一つ達成できずに滅びるのですよー」
 そう、此処で止める。
 ただそれだけのために幾度滅びの瀬戸際まで追い込まれるのだとしても『疾き者』たちは、己の身より溢れる呪詛でもって『骸の月を喰らう月』の足首を掴み、枷となるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
『骸の月を喰らう月』。『鮫牙』の成れの果てか。
戦闘力は格段に上昇している様だが……『無敵』という概念は消えたか。
ふふ、レディには感謝をするべきかもしれないね。
厄介な懸念を一つ消すことが出来るのだから。

『真紅の煌天』を展開。

『ザンギャバス大帝』、君が何故グリモアを恨んでいるのか興味はあったが……その状態では聞くことも能わないだろうね。
まあ、この先知る事もあるだろう。さようならだ。

『究極』の破壊魔法で『骸の月を喰らう月』に終焉を。



「これが君の成れの果てか」
『骸の月を喰らう月』を見上げ、シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は一つ頷く。
 眼の前の巨大なる怪異。
 異形なる存在は確かに無敵大帝と呼ばれた『ザンギャバス大帝』の戦闘力を基準にするのならば、格段に跳ね上がっている。
 だが、彼の最たる脅威は、その『無敵性』であった。
 嘗ての大いなる戦いに置いて、猟兵は『ザンギャバス大帝』を滅ぼすことができなかった。逃亡を許してしまった。

 それは偏に無敵性があったからだ。
 滅ぼしきれぬ敵、というのはこれまで幾度か経験してきた。
「君に対する最大の懸念事項というのはね、その『無敵』という概念だったのだよ。そういう意味では……そうだね」
 シーザーは巨大なる『骸の月を喰らう月』を見上げ笑う。
「ふふ、レディに感謝するべきかも知れないね。その厄介なる懸念の一つを消してくれたのだから」
 その言葉と共にシーザーの瞳がユーベルコードに煌めく。
 振るわれた巨大なる腕の一撃を受け止める魔法障壁。激突し、火花散るようにして魔力が迸る。
 だが、その一撃はシーザーには届かなかった。

 そう、それは無敵の魔法障壁。
 シーザーの想像から創造されるもの。同時に展開されるは、真紅の煌天(シンクノコウテン)。
 想像によって力をなさしめるのならば、絶対たる障壁だけが生み出されるものではないだろう。
 即ち、究極の盾を想像できるのならば、究極の鉾もまた生み出せるのだ。
「ルフス・ドゥオ。『ザンギャバス大帝』、君が何故グリモアを恨んでいるのか興味はあったが……」
 掲げるは究極の破壊魔法。
 己が想像を支える魔力に疑念を挟む予知はない。
 すでに敵の無敵性が失われているのならば、微塵も揺らがない。
 故に究極の魔法は、究極の鉾となって輝きを解き放つ。

「……その状態では聞くことも能わないだろうね。まあ、この先知ることもあるだろう」
 シーザーは区切りよく告げて、その魔力を持って『骸の月を喰らう月』を見上げる。
 己が滅ぼすべき敵。
 滅ぼせる、と認識しているのならば、そこに疑念はなく。
 己が齎すは終焉と呈するのならば、放つ輝きは正しく、それそのものであった。
「さようならだ」
 打ち込まれる鉾の如き一撃。

 それは『骸の月を喰らう月』の巨体を穿ち、翼喪った巨体を空へと舞い上げるほどの衝撃で持って爆風めいた衝撃をキャプテンレイジャック島に迸らせる。
 そして、同時に巨体が大地に落ちる激震でもって、その力がシーザーの言葉通り、終焉へと迫っていることを知らしめるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

わお!ずいぶん鍛え直したね
はろはろ?聞こえてる?聞こえてなさそう!
ぇーそんなにボクたちを嫌わなくてもいいじゃん!それとも騙されちゃった?
なんとなくノリでやってるっていうのは分かる!

●怪獣大戦
ビーム!ビームは無いの!?なら避けるのは楽かなおっきいけど!
と【第六感】で振り回される巨大な色んなものを避けながらチャンスを待ってと
身体が伸びきったところを狙ってUC『神罰』!
ドシンプルな超巨大[超重浮遊鉄球]くん環境を配慮して惑星上で呼び出せる限界サイズの彼らをドーーーーーンッ!!ってやって削っていこう

遊びに来たいならもっとエチケットを学んでから来てもらいんだよね!マナー大事!



 巨大なる異形。
『骸の月を喰らう月』を見上げ、ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は思わず声を上げていた。
「わお! ずいぶんと鍛えなおしたね!」 
 だが、その言葉に応えるは巨大なる腕の一撃であった。
 衝撃波が荒び、ロニの体を吹き飛ばす。 
 直撃を避けられたことは偶然であったことだろう。すでに3つ首の頭部の一つは失われている。
 そのために狙いが定まらない、というのは幸いであった。
 被膜たる翼は切り裂かれ、その身に穿たれた傷跡は数え切れないほどであった。大蛇の尾も今は砕かれ、地面に引きずられている。
「――!!!!」
 だが、膨れ上がる憎悪は咆哮となってロニの体を撃つだろ。

「はろはろ? 聞こえてる? って聞こえてないってかんじだね! えーそんなにボクたちを嫌わなくてもいいじゃん! それとも騙されちゃった?」
 恨みと憎しみの籠もった咆哮。
 それにロニは首を傾げながら戦場を駆け抜ける。
「なんとなくノリでやってない? そうじゃない? え、わかんないなーっていうかさ、ビーム! ビームはでないの?」
 ロニは笑いながら振るわれる腕の一撃を躱していく。
 衝撃波は嵐のように荒ぶ。
 けれど、ロニは笑うのをやめなかった。

 敵の攻撃はどれも恐ろしいものばかりであったけれど、しかし、巨大であるということあh大ぶりであるということ。
 言ってしまえば、テレフォンパンチということだ。
 留意すべきなのは衝撃波だけでいい。何せ、3つ首の一つはすでに失われているのだから。
「でもさーそんなにわーわー怒らなくたっていいと思うんだ。正直、遊んでほしくてかまってほしくったまらないって言う印象しかボクは感じないんだよねー」
 だから、とロニは『骸の月を喰らう月』の巨体が腕を振るって伸び切った瞬間を見きって、その手を空へと駆け抜ける。

「ま、そんなこと言っても怒ってばっかりで何言っているかわかんないし、いっか! じゃあ、いっくよー!」
 掲げた手の先より現れるは最大経の巨大なる球体。
 あまりにも巨大。
「はい、ド――ンッ!!」
 それはいうなれば、神罰(ゴッドパニッシュメント)の鉄槌。
 凄まじ異質量の一撃を受けて『骸の月を喰らう月』の巨体が傾ぐ。軋み、潰れ、咆哮が絞り出されるようにして迸る。

 その潰れるさまを見やりながらロニは笑う。
「遊びに来たいなら、もっとエチケットを学んでから来てもらいたいんだよね! マナーって大事なんだから――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

杓原・潤
レディ・オーシャンを倒して先に来た!
のはいいけど、こんなにおっきいのを倒せるのかな……いや、ここで倒さなきゃ!
とりあえずこっちが先にやられないようにしなきゃね。

まずは魔法の準備するのに【時間稼ぎ】しながら上手くおびき寄せなきゃね。
箒で敵の鼻先を飛んで、噛み付きや爪なんかから逃げながら海の近くに誘導しよう。
正直めっちゃ怖いんだけど……【空中機動】で何とかして見せる!
海辺か海の中まで誘導出来たらエレメンタル・ファンタジア!
土属性の津波を起こして、地面から海に向かって埋めながら押し流しちゃえ!
海の底にだって土はあるし、出来る限り深い所に押し込んでやる!
もう海はこっちの味方なんだからね!



 大いなる神、『海を統べる者』と呼ばわれた最強の悪神。『レディ・オーシャン』を打倒し、キャプテンレイジャック島の中心にて蠢く巨大なる怪異の元へと杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)は至る。
 だが、彼女の目の前に居たのは、彼女の想像を絶する巨躯であった。
 島そのものかのような巨大なる異形。
 本当にこれが倒せるのかと彼女の心は弱気に晒されることだろう。けれど、彼女は頭を振る。
 倒せる倒せないではないのだ。
 此処で異形なる巨体『骸の月を喰らう月』を打倒できなければ、グリモアベースが滅びる。そうなっては猟兵である自分たちは他世界に行くことができなくなってしまうのだ。
「ううん、そうだよね。そうだよ! 倒さなきゃ!」
 だからと、彼女は飛び出す。

 すでに多くの猟兵達のユーベルコードが戦場に明滅している。
 吹き荒れるような攻勢。
『骸の月を喰らう月』の羽撃く被膜は切り裂かれ、大蛇の尾は力なく大地に引きずられている。片腕は吹き飛ばされ、3つ首の一つはひしゃげている。
 巨体に打ち込まれた傷跡の深さは言うまでもない。
 どれだけ巨大な敵であったとしても。
 それでも猟兵たちが紡ぐ戦いをしてきたからこそ、得られた結果であることを潤は知る。
「みんなで此処まで来たんだもの! きっと倒せる! そうよね!」
 彼女は空飛ぶ箒にまたがり、『骸の月を喰らう月』の注意を引き付ける。
 放たれる腕の一撃は強烈で、躱すことができても叩きつけられた衝撃が彼女の体を撃つ。

 けれど、それでも彼女は構わずに飛ぶ。
「こっちよ!」
「――ッ!!!!」
 怒りと憎悪。恨み。そうした感情が爆発するようにして潤に迫る。『骸の月を喰らう月』は、挑発するようにして飛ぶ潤めがけて巨体を引きずりながらも大地を蹴って潤へと襲いかかる。
 正直に言う。
 怖い。
 ものすごく怖い。
 あれだけの巨体さもさることながら、あれだけの憎しみと恨みをこちらにぶつけてくる存在が恐ろしくてたまらない。

 けれど、潤は歯を食いしばる。
 涙が零れそうになる眦に力を込める。
 どんなに恐ろしい敵も、己の胸に宿る勇気があるのならば、恐れるに足りはしない。この恐怖は正しい恐怖だ。
 恐怖は人の心を容易く乱す。
 同時に恐怖とは人を危険から遠ざける警告でもあるのだ。恐怖するのならば、正しく恐怖したい。潤は、そんなふうに思っていたからこそ、箒で飛翔する。

「――ッ!!!」
『骸の月を喰らう月』の腕の一撃が潤めがけて振り下ろされる。
 けれど、その一撃は彼女を捉えることはなかった。3つ首の頭部が他の猟兵に寄って潰されていたから、照準が定まらなかったのだろう。 
 そして、被膜が刻まれていたからこそ飛翔足り得ない。
 尾の大蛇は、圧砕されるようにして砕けている。それ故に毒霧のブレスを吐き出すこともできていなかった。
「みんなが削り取ってくれたから! だから!」
 潤は『骸の月を喰らう月』がすでに海岸線に至ることを知る。
 空中を飛ぶ彼女の瞳がユーベルコードに煌めく。

「エレメンタル・ファンタジア!」
 彼女のユーベルコードが海底よりせり上がった膨大なる土を津波と合成し、『骸の月を喰らう月』を取り囲む。いや、飲み込む。
 膨大な量。
 その数は数え切れるものではない。
 次から次に遅い来る土の津波。それが『骸の月を喰らう月』の巨体を飲み込んでいく。さながら蟻地獄めいた光景であったことだろう。
「もう海はこっちの味方なんだからね!」
 潤は迸るユーベルコードの輝きと共に空より『骸の月を喰らう月』を見下ろす。
 土の津波は巨体を飲み込み、大地の強大なる圧力で持って、その異形を押しつぶしていく。どれだけ暴れようとも、もがこうとも逃れることはできない。

 如何に無敵を誇った体であっても、それが失われている今、数多の猟兵たちが紡いできた戦いの軌跡が此処に結実する。
 潤の放ったユーベルコードは、膨大な土と共に『骸の月を喰らう月』を圧潰させ、そして、猟兵達の喉元まで迫った切っ先を砕く。
 霧散していく巨体。それは猟兵達の勝利の証明。
「みんなと一緒なら、絶対に負けることなんてないんだからね!」
 そして高鳴る胸の内側に湧き上がるものを潤はもう知っている。
 それによって恐怖も涙も、もう引っ込んでいるのだと――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年07月07日


挿絵イラスト