●浅草防衛戦線
グリモアベースに集まった猟兵達を前に、アヤカ・ホワイトケープ(ロストイノセント・f00740)がいつものようにブリーフィングを始める。
「今回は先日発見された新たな世界、『ケルベロスディバイド』に行ってもらうわ」
――ケルベロスディバイド。
それは異星からやって来た神の如き侵略者『デウスエクス』の脅威に晒されている世界で、奴らと戦うための組織である特務機関DIVIDEに集結した『ケルベロス』と呼ばれる超人が長年戦い続けていると言う。
ケルベロスとはユーベルコードに覚醒しデウスエクスと戦う者の事を指しており、ケルベロスディバイドにおけるスーパーヒーロー的な存在でもあるのだ。
なお猟兵もユーベルコードを行使出来る事から、向こうの世界では同じケルベロスとして扱われるのだとか。
「わたしが見た予知はデウスエクスが都市部に侵攻し、人々を殺してグラビティ・チェインを収奪しようとしている物だったわ。狙われる地域は……ここよ」
と、アヤカがマップで指し示した場所は東京都台東区・浅草エリア。
浅草と言えば|別の現代地球が存在する《UDCアースやシルバーレインなどの》世界では有名な観光地として知られているが、このケルベロスディバイドにおいては建造物内部に砲塔や魔術増幅装置を備えた『決戦都市』に改造されているそうだ。
かの東京スカイツリーや雷門などにも、物々しい武装が施されている事だろう。
「予知で確認されたデウスエクスはドラゴン種である『破壊竜アベルビジ』……まるで怪獣映画に出てきそうな感じの大型敵ね。そいつに付き従うかのように『黒鎖竜牙兵』が先発隊として人々を襲って殺戮を起こそうとしているわ」
現れた黒鎖竜牙兵に対し、現地で活動しているケルベロスも迎撃に当たるが彼らだけでは荷が重く、このままでは全滅してしまうそうだ。
そうなってしまえば、破壊と殺戮が繰り広げられてしまう未来は避けられない。
そこで猟兵が援軍として駆け付け、現地のケルベロスと共に浅草を守るために戦うのが今回の任務だ。
黒鎖竜牙兵を退けた後、程なくして破壊竜アベルビジが現れるとの事だそうなので、引き続き迎撃してもらいたいとの事である。
「デウスエクスは一筋縄ではいかない相手だけど、向こうの世界では|決戦配備《ポジション》を要請出来るの。コールすれば特務機関DIVIDEを通じて心強い援護を行ってくれるから、状況に応じて上手く利用するといいかもしれないわね」
|決戦配備《ポジション》発動は戦況を見て適切な要請を行えば、こちらが有利に戦えるはずだ。
その際には決戦都市と化した浅草全体が全力で支援を行ってくれるため、現地の人々やケルベロスとの連携が勝利の鍵となるだろう。
「説明は以上よ。例えオブリビオンのいない世界でも、みんなのやる事は変わらないわ。直ちに現地へ飛んで、浅草の人達を助けてあげて。よろしく頼むわね!」
そして説明を終えたアヤカがゲートを開くと、猟兵達を送り出すのであった。
NS
はいどうも、|NS《えぬえす》でございます。
ケルブレのようでケルブレでない世界とはこれいかに?
早速やっていきましょう。今回もよろしくお願いします。
●目的
決戦都市浅草に迫るデウスエクスを迎え撃ち、退ける。
本シナリオは三章構成です。
第一章は集団戦。浅草に襲来した黒鎖竜牙兵との迎撃戦。
第二章はボス戦。地中より現れた破壊竜アベルビジとの決戦。
第三章は日常。新たなケルベロスの到来に現地の人々から取材を受ける。
……以上の構成となっております。
●重要事項(必読)
この世界では『|決戦配備《ポジション》』を要請出来ます。
詳細についてはケルベロスディバイドの世界説明のページ(https://tw6.jp/html/world/441_world25.htm)をご確認の上で、要請の際にはプレイングに『どのポジションで何をするか』を書いて下さい。
効果的な支援を受けられれば戦いが有利になる事でしょう。
また、プレイングに似て非なる世界(ケルベロスブレイド)の事を持ち出されても『リプレイには一切反映はされません』。
プレイング内容によっては不採用もある事を予めご了承ください。
●ご注意
プレイング受付は章の導入部分を書き次第開始ですので、少しお待ち下さい。
リプレイはプレイングが届き次第、早めにお返し出来ればと思います。
また、遅くとも失効までには必ずお返しする方針でやっていきます。
第三章はクリアに必要な青丸が少ないため、この章のみプレイングを少し貯めてからリプレイをお返しする形となります。
その際、プレイング受付締め切り日をタグで制定しておきます。
もしプレイングの数がキャパを超えそうな場合、早めに受付を締め切ります。
その場合はタグに『プレイング受付〆切』と入れるので、ご確認下さい。
また締め切り後にプレイングが来た場合、申し訳ありませんが不採用とさせていただきます事を予めご了承下さい。
それではデウスエクスの襲来を退け、浅草を守りましょう。
第1章 集団戦
『黒鎖竜牙兵』
|
POW : 竜牙剣
【剣】が命中した対象を切断する。
SPD : 伸ばした黒鎖
【黒鎖】が命中した敵の部位ひとつを捕縛し、引き寄せる。
WIZ : 増援要請
自身が戦闘で瀕死になると【別の黒鎖竜牙兵】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
イラスト:朝梟
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●竜牙兵が来る!
「特務機関DIVIDEより緊急入電、浅草にデウスエクス出現! 繰り返します……」
平穏を打ち破るかのように、浅草全域に警報音を伴った緊急放送が流れる。
侵略者――デウスエクスが現れたのだ。
「来やがったか! 動ける奴らは緊急出撃、俺達の街を守るぞ!!」
緊急放送を耳にした現地のケルベロス達が慌ただしく動き出す。
突然の敵襲に街中の一般人達はパニックとなり、避難もままならないようだ。
……それは敵にとって、獲物を狩るには絶好のチャンスでもあった。
奴らは生きるためにグラビティ・チェインを得ようと、罪無き人々を襲うのだ。
この地を守る者として、それだけは絶対にあってはならない事だ。
「敵が見えた……数が多い! DIVIDE、今すぐこっちに援軍を寄越してくれ!」
出撃してすぐ、浅草に迫る黒鎖竜牙兵の集団を確認したケルベロスが直ちに特務機関DIVIDEへ通信を入れ、援軍を要請する。
どうやらあの数を自分達だけで処理するには厳しいようだ。
「直ちに急行させますが、約10分かかります。それまで持ちこたえて下さい!」
「10分もか!? マズい、これじゃ俺達だけではカバーしきれんぞ……!」
援軍の到着にはまだ時間がかかるとの一報を受け、現地で防衛に当たるケルベロスの一人が歯軋りする。
今防衛に当たっている者達だけでは、援軍到着の10分まで持たせる事は困難だ。
その間にも、奴らは避難の済んでいない一般人を数の力で探し、見つけ、そのまま虐殺しようとするに違いない。
(くそ、この状況……どうすればいいんだ……!)
早々に訪れた危機的状況を前に、武器を手にしたまま立ち尽くすケルベロス。
せめて今すぐにでも、一人でも多くの仲間が来てくれさえすれば。
そんなありもしない事を考えるケルベロスだったが、彼の願いは天に通じたのか。
今まさにグリモアベースからゲートが開き、浅草の地に異世界からの|ケルベロス《猟兵》が降り立とうとしていた。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
新しい世界とは言え、やることは同じですねぇ。
参りましょう。
決戦配備は「メディック」を要請、広域攻撃等に巻込まれない様、人々の避難を御願いしまして。
『FAS』により飛行、『FLS』の空間歪曲障壁で攻撃に備えますぅ。
【竜牙剣】の発動条件は『剣の命中』、飛行により距離を取り、『FGS』の重力波で跳躍や投擲を防げば、まず問題有りません。
後は【乳霹宙】を発動し『乳白色の雷』を放射、広域への[範囲攻撃]により竜牙兵達を『雷球』に捕え、『FRS』『FSS』の[砲撃]で[追撃]、着実に叩いて参りましょう。
『雷球』を【竜牙剣】で斬り、脱出を試みる個体がいた場合は、最優先で仕留めますねぇ。
●異世界からの|ケルベロス《救世主》
「間に合ったようですねぇ。ですが、急いだ方が良さそうですぅ」
グリモアベースより駆け付けてきた猟兵、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が周りを見渡し、時間的猶予がない事を知るや、すぐさま走り出す。
逃げ惑う人々をかき分けつつ進むと、混乱状態で立ち尽くすケルベロスの姿が。
「助けに来ましたよぉ」
るこるが迷わず声をかけると、ケルベロスがハッとした様子で振り返る。
「な、援軍か!? まさか本当に来てくれるなんて……!」
まさに地獄に仏と言った感じで安堵するケルベロス。
今は一人でも多くの戦力が必要である以上、援軍の到来は何よりも心強い。
「ここは私……いえ、私達が引き受けます。メディックの要請をお願いしても?」
「ふむ、となると避難誘導だな……よし、こっちは任せてくれ! 頼んだぞ!」
るこるからの要請を受けてケルベロスが動くと、彼は直ちに決戦都市浅草の地元民と連携し、パニック状態の一般人を落ち着けつつ避難シェルターのある場所へと導いていく。
これでこの区域はひとまず安心だろう。
「さすがに手慣れているだけの事はありますねぇ。それでは、参りましょう」
避難誘導の上手さに感心しつつ、るこるは黒鎖竜牙兵を迎え撃つべく前に出る。
例え世界が変わっても、猟兵のすべき事は変わらないのだ。
「敵か。どうやら一人で我々に立ち向かうつもりとは、何と無謀な」
黒鎖竜牙兵の集団がるこるの姿を目にし、無感情に竜牙剣を構える。
どうやら相手は浮遊する事で、こちらに対し優位に立とうと考えているようだが。
「この剣にはこう言う使い方もある事を知るがいい……ぬんッ!」
黒鎖竜牙兵が一斉に竜牙剣を投擲すると、剣に巻き付けた黒鎖が伸び、飛び道具のように射出される。
確かにこの手であれば空中にいる敵相手でも攻撃は可能だろう。
だが投擲された竜牙剣は投擲から少しすると不自然な形で次々と地に落ち、るこるに当たる事すらなかった。
「残念ですが、その手は予測済みですぅ」
敵の攻撃失敗にるこるが得意げな表情で返す。
自身の周囲に祭器『FGS』の重力波を周囲に展開している事もあってか、相手の攻撃……とりわけ、飛び道具が当たる事はなかったのだ。
「これは一体……? 已むを得ん、ならば直接……な、体が……ッ!?」
何が起きたか分からない様子の黒鎖竜牙兵であったが、投擲がダメならば跳躍して飛び斬りを叩き込めばと思うも重力波の影響は大きく、踏み込んだだけで体が何百キロの重りをくくり付けられたかのようになり、接近はほぼ不可能であった。
「く、このケルベロス……只者ではない……!」
「それでは、そろそろこちらの番ですねぇ」
予想以上の強敵と認識したか、慎重な姿勢を示す黒鎖竜牙兵。
それに対し、るこるが反撃に打って出る。
突然、彼女を中心に広範囲に乳白色の雷――『|豊乳女神の加護・乳霹宙《チチガミサマノカゴ・シロキイカヅチノソラ》』が放たれ、黒鎖竜牙兵を穿った。
「ぬおぉぉぉッ!? こ、この攻撃は……!?」
「それでは、狙い撃ちますよぉ」
「ぐァッ!?」
乳白色の雷に打たれた直後、雷球に拘束されもがく黒鎖竜牙兵に対しるこるが祭器『FRS』と『FSS』による砲撃を放ち追撃。
無慈悲に吹き飛ばしていく。
「お、おのれ、このような物に屈する我々では……」
「はいそこ、逃がしませんよぉ」
中には拘束を破ろうと雷球を竜牙剣で破り、脱出しようとする者もいたが真っ先にるこるに気付かれ、最優先で砲撃を叩き込まれて爆散した。
彼女の圧倒的な強さを前に、最早成す術なしの黒鎖竜牙兵。
これが異世界からやってきた猟兵の実力であった。
大成功
🔵🔵🔵
エスカ・ブランシェール
石の塔が立ち並ぶ街に、空の果てから化け物が襲ってくる世界か
無茶苦茶な話だけど、こういう展開は嫌いじゃねぇぜ
この世界は街の連中が協力してくれるんだっけか?
だったら、あたいは【ジャマー】ポジションで支援を要請するぜ
バイオガスとやらで、ちょいと敵の視界を塞いでくれりゃいい
その隙に、UCで螺旋状の波動を全方位にブッ放して敵を操ってやる
抵抗が激しい奴は、さっさと攻撃食らわせた部位を自爆させちまおう
それ以外のやつらは互いに同士討ちさせて数を減らすぜ
後は、討ち漏らしたやつを野太刀で各個撃破すりゃ問題ねぇな
悪いけど、骸骨モドキに負けるほど柔じゃないんでね
マスカレイドやエリクシルに比べりゃ、大した相手じゃねぇさ
●エンドブレイカーが来る!
「石の塔が立ち並ぶ街に、空の果てから化け物が襲ってくる世界か」
浅草の地に降り立ったエスカ・ブランシェール(跳ね馬の群竜士・f39110)は周りのコンクリートジャングルを見渡し、一人呟く。
エンドブレイカーである彼女は、未知の世界であるケルベロスディバイドに興味津々と言ったところであろうか。
「無茶苦茶な話だけど、こういう展開は嫌いじゃねぇぜ」
エスカはどこか楽しそうな笑みを浮かべると、力無き者を襲う化け物――黒鎖竜牙兵を探すべく走り出す。
一刻も早く奴らを見つけ、一般人に被害が出る前に倒さなければならないのだ。
「……っと、あれがそうか。やたらと珍妙な格好してるな」
それから程なくして、大通りの先に隊列を組んで前進している黒鎖竜牙兵の集団を発見したエスカはどう仕掛けようかと考える。
このまま真っ直ぐ行って直接ブン殴ってもいいが、数的優位は向こうにある。
この後に本命が控えている事を考慮すると、ダメージは極力抑えたいところだ。
「そう言えば、確かこの世界は街の連中が協力してくれるんだっけか?」
ここでエスカはブリーフィングで聞いた事を思い出す。
|決戦配備《ポジション》で心強い援護をしてくれるのならば、使わない手はあるまい。
「今からあの骸骨モドキに仕掛ける。その前にジャマーとやらで、あいつらの視界を塞いでくれ。ちょっとだけで構わないぜ」
「ジャマー要請ですね、承りました! これよりバイオガス弾を撃ち込みます!」
早速エスカは近くにいたケルベロスにジャマーを要請すると、アームドフォートの曲射でバイオガス弾を発射。
弾が黒鎖竜牙兵の中央で炸裂すると、黄色く染まった霧のような物が広がっていく。
「バイオガス弾着弾! おそらく一分半くらいで消え去りますが……」
「それだけあれば十分!」
そう言い残すと、エスカは黒鎖竜牙兵の集団へ向け、猛然と突撃していった。
「む、なんだこれは?」
「どうやら我らの視界を……うぉッ!?」
「敵襲!? おのれ、小賢しい真似を!」
一方、バイオガスに包まれ足止めを喰らった黒鎖竜牙兵達が、突然見えない方向からの攻撃を一斉に受け、直ちに警戒態勢に入る。
背中合わせに陣形を保ちつつ、全方位どこから来ても迎撃出来るようにしていたつもりであったが。
「ぐ……な、なんだ、体が、勝手に……!?」
「ぐがッ!? 貴様、何を……う、俺も、体が……!」
突然、自分の意思とは無関係に体が動き、隣にいた仲間に竜牙剣を振り下ろす。
それが引き金となったか、黒鎖竜牙兵達が一斉に同士討ちを始める。
バイオガスが晴れた後も奴らは潰し合いを続ける始末だ。
「ははッ、いいザマじゃねぇか」
少し離れた場所から同士討ちの様子を見て、エスカが笑う。
見れば、既に敵部隊の半数以上が倒れていた。
バイオガスで黒鎖竜牙兵の視界が塞がれた直後、『|美竜神拳奥義・愛螺傀儡旋《ビリュウシンケンオウギ・アイラクグツセン》』で螺旋状の波動を放ち、奴らを操った結果がこれである。
「……貴様か! 貴様がこの同士討ちを、仕組んだな!」
そんな中、黒鎖竜牙兵の一人が重い足取りでエスカに向かう。
どうやら愛螺傀儡旋を喰らっても、操られまいと抵抗しているようだ。
「ああ、そうだぜ。だが、それがなんだってんだ?」
エスカがそう返すと螺旋状の波動が命中した胴体が爆破し、無情にも四散した。
「さて、これだけ減れば後は楽勝だな」
愛用の野太刀『剛刃・愛染櫻』を抜き、エスカが襲い掛かる。
数が大幅に減った今、奴らの脅威度は激減したも同然であった。
「……悪いけど、骸骨モドキに負けるほど柔じゃないんでね。マスカレイドやエリクシルに比べりゃ、大した相手じゃねぇさ」
そして刃を鞘に納めた後にエスカが放った、あまりにも屈辱的な一言。
それが黒鎖竜牙兵達が最後に耳にした言葉であった。
大成功
🔵🔵🔵
黒木・摩那
やってきました浅草!
ケルベルスな世界は初めてですが、私の知ってる浅草とは随分と雰囲気が違いますね。
雷門が兵器になってるなんて、すごいです。
いきなり、デウスエクスに攻められて大変そうですが、
もう大丈夫ですよ。
ここの世界では支援もお願いできるという話なので、まずはメディックで、逃げ遅れた民間人の避難をお願いします。
魔法剣『緋月絢爛』で戦います。
黒鎖はスマートグラスで軌跡を解析。【念動力】で行き先を曲げたり、【武器落とし】で叩き落とします。
鎖を落としたところでUC【飛天流星】を発動。
圧倒的な速度で懐に飛び込んで、剣に【先制攻撃】【重量攻撃】を込めて切り捨てていきます。
●浅草に七色の花弁が舞う
「やってきました浅草! ケルベロスな世界は初めてですが、私の知ってる浅草とは随分と雰囲気が違いますね」
ケルベロスディバイドの地に足を踏み入れた黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は、まず真っ先に自分の知る浅草とは違う何かを感じていた。
ビルに備え付けられたロケット弾やミサイルの砲台など、やたらと物騒なあれそれが違和感の主な元である。
「雷門が兵器になってるなんて、すごいです」
ここで名所の雷門の巨大提灯を見てみれば、記憶にあるそれとは違い『いかにも変形しそうな角ばった形状』をしていた。
巨大提灯の両横にある風神・雷神像などもおそらくは戦闘ロボとして緊急時に動き出す事だろう。
「ひ、避難シェルターはあっちで……ああもう、私の話を聞いてよー!」
「お手伝いが必要ですか? いきなりデウスエクスに攻められて大変そうですが、もう大丈夫ですよ」
未だ混乱の続く浅草で一般人を避難させようと頑張るも上手く行かず、途方に暮れるケルベロスの姿を目にした摩那が早速声をかける。
「え、もしかして援軍の人? た、助かったぁー……」
「この状況だと避難を優先すべきですね。メディックの要請をお願いします」
「メディックの要請ね? 任せて!」
摩那からの要請を受けたケルベロスは通信機で近場にいた警察官を呼び寄せると、彼らと共に現場封鎖を緊急で行い、避難ルートへの誘導を始める。
これによりパニックを起こしていた一般人も少しずつ冷静さを取り戻し、シェルターのある地下道へと足早に向かっていった。
「よし、この辺りに一般人の人達はもういないようですね。あとは……」
現場封鎖されたバリケードを飛び越え、静かになった車道を駆ける摩那。
その先には黒鎖竜牙兵の集団がいた。
もし避難誘導が遅れていれば、今頃ここは犠牲者で溢れかえっていた事だろう。
「ここから先には行かせませんよ」
「……たった一人だけで我々の前に立ち塞がるつもりか? 愚かな」
無感情に吐き捨てると、即座に戦闘体勢に入る黒鎖竜牙兵。
例え相手が一人であっても一切容赦しないと言う姿勢だ。
「さて、貴様の命とグラビティ・チェインを頂こうか……覚悟!」
各々が腕に巻き付かれた黒鎖を触手のように伸ばし、摩那に襲い掛かる。
あの黒鎖に拘束されてしまえば、強烈な力で締め上げられてしまい身動きが取れなくなってしまうに違いない。
「ふっ!」
しかし次々と飛んできた黒鎖を摩那はスマートグラスで軌跡を解析、念動力で軌道を変え、時には魔法剣『緋月絢爛』を振るって叩き落としてみせた。
さすがは百戦錬磨の猟兵、あの程度の敵には後れを取らないと言う事か。
「次は私のターンです。セーフティ解除。励起」
そこからすかさず反撃とばかりに、『|飛天流星《メテオール》』を発動した摩那は雷のような速度で敵の間合いに踏み込んだ。
距離は幾らか離れていたと言うのに、まるで瞬間移動のような速度だ。
「……なッ!?」
「てぇぇぇい!」
高圧電流を帯びた七色の花びらを放ち、四連の斬撃を至近距離で叩き込む。
そのまま目にも留まらぬ電光石火の攻撃を受け、黒鎖竜牙兵は一瞬で絶命した。
ほんの数秒の出来事である。
「こ、こいつ……並のケルベロスではないのか……!?」
無感情であった黒鎖竜牙兵も、これには狼狽えるしかない。
紛れもなく相当な手練れだ。
「さあ、私の速度に付いてこれますか?」
「く、我々をなめるな……!」
それでも逃げ帰る事は奴らのプライドが許さなかったのか。
黒鎖を伸ばして何とか摩那を捕まえようとするも……
「遅い!」
摩那の|飛天流星《メテオール》の速さに追従出来る訳もなく、黒鎖竜牙兵が次から次へと四連斬を受けて切り伏せられていく。
七色の花びらを舞わせながら戦うその様は、実に華麗と言う他なかった。
大成功
🔵🔵🔵
御園・桜花
「世界が骸の海に浮かぶものなら。此の世界は未だ、世界と骸の海を隔てる何かが強固な、若く力強い世界なのでしょうか…」
「済みません、世界の成立にとても興味があるので、つい其方を優先してしまいました。地域防衛、協力させていただきます」
UC「侵食・花霞」
桜吹雪に変じ相手の引寄せ攻撃無効化
物理攻撃無効
通電物質内移動
で敵の武装や肉体に重なり電撃で焼き尽くす
敵の多い所や避難が進んでいない所を優先して戦闘
「死して又蘇るなら、其れは転生と何が違うのでしょう。此の世界のフォーミュラの齎す死生観は、随分とオブリビオン、いえデウスエクス寄りのようですけれど」
「全ての世界を知らねば、全ての世界に転生を齎せませんもの」
●桜吹雪は浅草を駆け抜ける
「世界が骸の海に浮かぶものなら。此の世界は未だ、世界と骸の海を隔てる何かが強固な、若く力強い世界なのでしょうか……」
御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)はケルベロスディバイドの地に降り立ち、街並みを目にしながら思う。
これまで発見された世界とは明らかに違う『何か』を感じているのだろうか。
「ああ、こんなところにも! デウスエクスの襲来だ、早く避難を!」
一人物思いに耽っていると、現地のケルベロスが慌てた様子で桜花に呼びかける。
どうやら彼女を一般人と勘違いしているようだ。
「済みません、世界の成立にとても興味があるので、つい其方を優先してしまいました。地域防衛、協力させていただきます」
声をかけられた事で桜花は本来の目的を思い出し、ケルベロスに協力を申し出る。
「協力だって? もしや、お前さんもケルベロスなのか?」
「ええ、そんなところです。現状はどうなっていますか?」
「都市の広範囲にデウスエクスが現れ、避難も半分しか済んでない……マズい状況だ」
既に仲間である猟兵達が防衛活動を始めたとは言え、この決戦都市は広い。
それ故、彼が言うようにまだまだカバーしきれていない場所もあるようだ。
「……成程、大体は理解しました。でしたら、私もデウスエクスを迎え撃ちましょう」
「それは助かるが、ここは広いぞ? 移動手段が必要なら……」
何かしら用意するが、と言おうとした直前で桜花が微笑みながら首を振る。
「お気遣い、感謝します。ですが、ここは私一人で問題ありません」
そう返した直後、桜花は『|侵食・花霞《シンショク・ハナガスミ》』で自身を桜吹雪に変えると、風に乗るようにして頭上の電線へと移動。
そのまま電線を伝い、桜吹雪が花霞に変わると凄まじい速さで駆け抜けていった。
「ひ、ひぃっ!? く、来るなぁーッ!!」
「……その命と共に、我々にグラビティ・チェインを捧げよ」
一方その頃、別の区画では運悪く逃げ遅れた一般人達が黒鎖竜牙兵の集団に追い詰められていた。
彼らに逃げ道はどこにもなく、まさに絶体絶命と言った状況である。
「覚悟……!」
黒鎖竜牙兵が竜牙剣を振り下ろさんとした、次の瞬間!
「ぐがァァァッ!?」
突然、電線から花霞が降り注いだ直後、黒鎖竜牙兵の身が激しい電撃に焼かれ、その場に崩れ落ちた。
「敵襲!? おのれ、これでも……うごぉぉぉッ!?」
仲間がやられた事で、黒鎖竜牙兵は反射的に目の前の花霞に向け、一斉に黒鎖を伸ばして迎撃する。
だが次々と飛んできた黒鎖は虚しく空を切り、それどころか黒鎖を伝ってまとめて電撃で焼き払われて逆一掃されると言う憂き目に遭う。
「え、え? 何があったんだ……? 助かった、のか?」
黒鎖竜牙兵があっと言う間に全滅したのを目の当たりにした一般人は唖然とする。
そんな彼らの無事を確認すると、謎の花霞――桜花は再び電線へと移動、次なる戦地へと向かっていった。
それからも桜花は通電物質……つまりは電線の中を超高速で移動しつつ、黒鎖竜牙兵の多い場所や避難が進んでいない場所へ優先して向かい、排除していく。
侵食・花霞は雷鳴電撃や物理攻撃を無効化する事もあって、黒鎖竜牙兵からの攻撃は一切通用しないのも大きく、彼女は何気に大きな活躍を見せていた。
「死して又蘇るなら、其れは転生と何が違うのでしょう。此の世界のフォーミュラの齎す死生観は、随分とオブリビオン、いえデウスエクス寄りのようですけれど」
黒焦げとなった黒鎖竜牙兵を見て、桜花が一人呟く。
「全ての世界を知らねば、全ての世界に転生を齎せませんもの」
それだけぽつりと口にすると、桜花は再び電線へと移動し、稲妻のごとき速さで敵を探しに向かう。
彼女が全ての世界を知るには、まだ幾分かの時間を要する事だろう。
大成功
🔵🔵🔵
カーバンクル・スカルン
10分程度でいいのかい? 余裕で稼いでやろうじゃない。
【置酒高会】を設置して、竜牙兵の進路を完全に塞いでやる。
奴らは鎖で手元に物を引き寄せることは出来ても、壁に引っ掛けた鎖を足がかりに外に逃げ出すことは出来まい。檻の中に解き放たれた機械仕掛けのワニ相手にどれだけ耐えられるか見ものだね。……もし私が引き摺り込まれたとしてもワニと合体して応戦するまでよ。
質問は……そうだな。「あなた達が浅草を襲撃した理由」を教えてもらおうか。人が多いだけなら他の観光地でも良かったはず、浅草をあえて選んだ理由を私が納得できるように言ってみい!
要請決戦配備は「スナイパー」! 鎖の届かないところから一斉射撃よろしゅう!
●|死の檻《デス・ケージ》
「援軍到着まで早くとも10分かかるだなんて……これ、抑えきれるの?」
浅草の防衛に当たっていたケルベロスが援軍要請の応答を耳にすると、物陰から絶望的な表情を浮かべる。
「10分程度でいいのかい? 余裕で稼いでやろうじゃない」
そこへ、待ち望んでいた援軍であるカーバンクル・スカルン(クリスタリアンの懲罰騎士・f12355)がグリモアベースよりやってきた。
まさしく天の助けだ。
「あなた、どこから……ううん、助かるわ! でも敵の数はあんなに……」
ケルベロスは突然やってきたカーバンクルに驚きつつも、彼女が指差した先には道路を闊歩する黒鎖竜牙兵の集団があった。
確かにアレを一人で相手するにはあまりにも厳しい。
「大丈夫、私に任せて。言われた通りの仕事はやってみせるから」
それでも、得意気な様子で胸を張るカーバンクル。
どうやら彼女には何かしらの秘策があるようだ。
「それじゃ、ちょっと行ってくる! ……あ、その前にちょっといい?」
早速、黒鎖竜牙兵の元へと向かおうとするカーバンクルであったが、一歩踏み出す前に足を止め、ケルベロスに何か耳打ちする。
おそらくはポジションの要請だろうが、彼女は一体何をするつもりなのだろうか?
「む? なんだあれは……?」
獲物を探して決戦都市内部を進む黒鎖竜牙兵の集団が不意に足を止めた。
前方の進路には道を塞ぐよう、巨大な檻のような物が鎮座しているではないか。
「おっと、そこまでよ!」
そして檻の前には、カーバンクルが仁王立ちの姿勢で待ち構えていた。
因みにこの檻は『|置酒高会《ソーシャブル・インズ・ショータイム》』で設置した物だ。
これが彼女の秘策のようだが……?
「こんな物で我々の足を止めるつもりか。笑わせるな!」
黒鎖竜牙兵は一斉に黒鎖を伸ばし、檻を引き寄せようと試みる。
だが、それを狙っていたかのように引き寄せられた檻の中へ黒鎖竜牙兵がまとめて閉じ込められた。
「ぬ、謀ったか。しかし檻ごときで我々を……ハッ!?」
奴らがふと檻の中に目を向けると、そこには機械仕掛けのワニが五匹。
どれもかなりの大きさで、機械の目が獲物を睨んでいる。
これこそがカーバンクルの仕掛けた本当の罠であった。
「さて、それじゃあ『あなた達が浅草を襲撃した理由』を教えてもらおうか」
「貴様は何を言っている? そんな下らん質問に答えるとでも……」
返答を拒否しようとした黒鎖竜牙兵に、早速ワニが襲い掛かる。
抵抗する間もなく貪り喰らう牙に噛み砕かれ、見るも無残な姿へと変わり果てた。
「……言い忘れたけど、答えないとこうなるよ?」
「き、貴様……!」
恐ろしい仕打ちを目の当たりにし、黒鎖竜牙兵が戦慄する。
ここが閉所かつ強靭な相手故に、まともに戦うのはあまりにも危険だ。
「人が多いだけなら他の観光地でも良かったはず、浅草をあえて選んだ理由を私が納得できるように言ってみい!」
「そんな物、別に人が多ければどこでもグワーッ!?」
納得出来ない返答を返した黒鎖竜牙兵が即座に頭から食い千切られる。
「どこでもいい? それで納得出来るか!」
「も、催し物だ! 今日ここで行われる祭り、それ目当てに人がより集まる! 殺してグラビティ・チェインを得るならそれが一番効率がいいと……」
その返答をした直後、ワニが急に大人しくなり檻が開いた。
確かにこれなら納得出来る返答だ。
「フ、檻から我々を出したのは間違いだったな!」
「……今だよ、よろしゅう!」
ちょうど檻から出てきた瞬間を狙い、カーバンクルが合図を出すと要請していたスナイパー部隊がビル屋上から一斉に狙撃した。
的確に急所を撃ち抜かれた黒鎖竜牙兵達は勝ち誇った表情のまま倒れ、絶命する。
――デウスエクスの尖兵は猟兵の活躍により、次第にその数を減らしつつあった。
大成功
🔵🔵🔵
フリッツ・バーナー
連携アドリブ歓迎
|あちら《デウスエクス》は資源獲得と生存圏拡大のため
|こちら《ケルベロス》は陣地防衛のため
分かりやすくて実に結構
折角の機会だ
|我々《第6課》もこの|戦場《市場》に参入するとしよう!
虚空を引き裂いて現れるオブリビオンマシン『バルバロッサ』と一体化する
さて、一つ一つ潰していくのでは少々時間をかけ過ぎてしまうな
広域兵器『ODE/AN-DIE-FREUDE』を起動する
決戦都市の性能視察も兼ねてディフェンダーを要請
巻き込まれたくなければ、重要施設等しっかりと守ってくれたまえ
配備完了を確認したら攻勢開始
断続的に放たれる衝撃波だ
斉唱せよ、バルバロッサ!
まったく、小手調べにもならんな
●第6課の課長、戦場へ
「ふむ、ここがケルベロスディバイドか」
グリモアベースから戦場である浅草へ到着したフリッツ・バーナー(〝少佐〟・f41014)は、興味深い様子で辺りを見渡す。
「|あちら《デウスエクス》は資源獲得と生存圏拡大のため、|こちら《ケルベロス》は陣地防衛のため……分かりやすくて実に結構」
フリッツは一人呟くと、笑みを浮かべる。
クロムキャバリア出身の彼はとある|企業《メガコーポ》に所属しており、今回この異世界へと足を踏み入れたのには理由があった。
「折角の機会だ、|我々《第6課》もこの|戦場《市場》に参入するとしよう!」
それはこの世界における市場参入であった。
ケルベロス側にこちらの力を見せて営業を行う事で、所属している|企業《メガコーポ》に利益をもたらしたい……それが今回の参戦理由だ。
特務機関DIVIDEは戦える力を常に欲しているとなれば、絶好の機会と言えよう。
「それでは、この地での仕事始めと行こうか。確か敵襲を受けていると言う話だったな」
周囲の喧騒など気にする事もなく、フリッツは堂々とした足取りで浅草を進む。
「……避難シェルターはここを真っ直ぐ進んだ先です! 急いで!!」
「失礼、ケルベロス殿かな? 私は僭越ながら貴殿らの救援にきた者だ」
早速避難誘導を行っているケルベロスを見つけたフリッツは紳士的に話しかける。
敵の一部が浅草内部へ既に侵入している事を知ると、その大まかな場所を聞き、すぐさま迎撃に向かっていった。
「ごきげんよう、諸君。そんなに大勢で狩りの時間かね?」
大きな車道を進む黒鎖竜牙兵の集団の前にフリッツが立ち塞がる。
単身だと言うに、その表情には余裕が感じられた。
「我々の前に一人で立ちはだかるとは、貴様もケルベロスか?」
そう口にすると各々が竜牙剣を構え、戦闘体勢に入る。
グラビティ・チェインを得られるのならば、殺す相手が例えケルベロスであっても奴らにとってはお構いなしのようだ。
「では私も始めるとしようか。バルバロッサ」
フリッツが右手を挙げて呼びかけると、突然虚空を引き裂いて何かが現れた。
それは敵に畏怖の念を抱かせる赤黒い鋼の巨体……彼の所有するオブリビオンマシン『バルバロッサ』である。
と、同時に車道の一部が割れると下から強固な隔壁がいくつも上がり、周囲から隔絶されると即席のバトルフィールドを形成する。
事前に要請していたディフェンダーのポジションだ。
「決戦都市の性能視察と行こうじゃないか。巻き込まれたくなければ、重要施設等しっかりと守ってくれたまえ」
ニヤリと笑い、フリッツがバルバロッサと一体化する。
――これで戦いの準備は整った。
「初めて見る巨人だ、油断するな!」
黒鎖竜牙兵が竜牙剣を手に、フリッツの駆るバルバロッサに斬りかかる。
しかしそもそもにして相手が相手だ、攻撃がまともに通るはずもなく精々装甲板に傷を付けるのが精一杯であった。
「まるで効いていないだと!? バ、バケモノめ……!」
「さて、一つ一つ潰していくのでは少々時間をかけ過ぎてしまうな」
思わず恐怖する黒鎖竜牙兵を尻目にフリッツが一人呟くと、キャバリア用の広域無差別音波兵器『ODE/AN-DIE-FREUDE』を起動し……
「斉唱せよ、バルバロッサ!」
「ッ、何かが来る……ぬぉぉぉ……ッ!?」
咆哮のごとき破壊の衝撃波がバルバロッサより断続的に放たれる。
その威力は『|作戦発令:双頭の鷲《プランコール・バルバロッサ》』でより向上しており、一瞬で黒鎖竜牙兵を粉砕した。
と、同時に展開された隔壁にも多大なダメージを受けたか、大きなヒビが入る。
それはあまりにも圧倒的な力であった。
「敵反応全消失。まったく、小手調べにもならんな」
戦闘後、周りを見渡したフリッツが期待外れだとばかりに肩をすくめる。
……後に残されたのは、粉砕されバラバラになった黒鎖竜牙兵だった物と、隔壁の破片であったと言う。
大成功
🔵🔵🔵
川崎・五十鈴
アドリブ・連携歓迎
決戦配備:ディフェンダー『バリケード構築』
バリケードよろしく。これからここは私の森。
ユーベルコードを発動して魔法の木の葉を発生させて周囲のケルベロスと一般人を回復。更に木の葉を纏わせてジャマー能力向上でステルス化させる。それで回復したケルベロスには敵への奇襲を、一般人には隠れながら逃げてもらう。
私もステルス化しながらバリケードや建物を上手く使って敵を奇襲していく。メイン攻撃手段は黒影弾を撃ち込んでの【影縛り】。倒せば復活するらしいし、とりあえず拘束しておいて敵の侵攻を防ぎ切った後にでも準備を万端にして纏めて駆除するようにDIVIDEに要請。
空気が汚い…さっさと片付ける。
●ケルベロスが来る!
「く、竜牙兵め、これ以上は行かせん!」
「ああもう、数が多い! 援軍はまだなの!?」
「……なあ、これヤバいんじゃないのか?」
浅草内に入り込まれた黒鎖竜牙兵と激戦を繰り広げるケルベロス達。
彼らの後ろには逃げ遅れた一般人が何人もいた。
ちょうど避難誘導を行おうとした際、黒鎖竜牙兵と鉢合わせとなりそのままなし崩し的に戦闘に突入。
避難時のパニックや戦闘の余波でケルベロス・一般人ともに負傷者も出ている事から防戦一方と旗色も悪い。
いよいよ彼らも絶体絶命かと思われた矢先、ついに援軍は現れた。
「待たせたわね、バリケードよろしく。これからここは私の森」
戦場へ飛び込むようにやってきたのは、この世界のケルベロスである川崎・五十鈴(エコテロリストエルフ・f41042)だ。
彼女は登場と共に『ステルスリーフ』を発動し、周囲に魔法の木の葉を発生させるとケルベロスや一般人のケガを治療し、同時に木の葉を纏わせる事で姿を消してみせた。
「ぬぅッ!? ……なに、消えた、だと? ……奴ら、どこへ……?」
突然獲物や戦っていた相手が姿を消した事に、黒鎖竜牙兵は混乱に陥る。
その隙を突いて、五十鈴が一般人に向け『隠れながら逃げて』と合図を送ると、彼らは言われた通りに安全な方へと逃げていった。
一般人の安全を確認した五十鈴は仲間であるケルベロスに声をかける。
「もう一般人の方は大丈夫よ。バリケードの方は?」
「ああ、言われてすぐに突貫工事だが構築は済んだぜ」
そう答えるドワーフのケルベロスの後方にはバリケードがいくつも構築されていた。
ステルスリーフで敵が混乱している隙に、いつの間にか用意したのだろう。
「十分よ。回復したのなら直ちに反撃して。今ならあなた達の姿は見えないから」
「おっしゃ、目に物見せてやるとするか!」
倍返しの時間だとばかりに、ステルス状態のケルベロス達が反撃を開始。
見えない相手から次々と攻撃を受け、黒鎖竜牙兵が更に混乱する。
「ぐはッ!? い、今どこから狙われた!?」
「どこかに狙撃手がいるかもしれん、安全な場所……う、動けん!? 何故だ!?」
その場から動こうとする黒鎖竜牙兵であったが、まるで金縛りにでもあったかのように一歩も動けず錯乱する。
「見えない相手を前に、一歩も動けないのはどんな気分?」
そのきっかけを作っていたのは五十鈴であった。
構築されたバリケードや建物を上手く使い、黒影弾を撃ち込んで影縛りを行い拘束。
影ながら戦闘に貢献すると言う活躍を見せる。
これにより、戦況は一気にケルベロス側へと傾いていく……
「お、おのれ……ケルベロス共め、一体我々に何をした!?」
それからややあって、拘束から逃れようと必死にもがく黒鎖竜牙兵。
奴らは五十鈴の影縛りを破る事が出来ず、サンドバッグ状態だ。
「……DIVIDE、聞こえる? デウスエクスの集団を拘束したわ。侵攻を防ぎ切った後にでも準備を万端にして、纏めて駆除してもらえる?」
そんな黒鎖竜牙兵を見て、五十鈴が特務機関DIVIDEに連絡を入れる。
どうやら今は殲滅はせず、後で一斉駆除してしまおうと言うつもりのようだ。
向こうからすれば、いつ駆除されるか分からない恐怖以外の何者でもないだろうが……そもそもにして人々を殺そうと襲撃を仕掛けてきた因果応報と言う奴だ。
「ふぅー……一時はどうなる事かと思ったが、本当に助かったぞ!」
「あなたが来てくれなかったら本当にヤバかったわ、ありがとね!」
そうして、危機を乗り切った現地のケルベロス達が五十鈴に感謝の言葉を伝える。
実際、彼女が来なければ惨劇も避けられなかった事だろう。
……しかし、これでデウスエクスの襲撃が終わった訳ではない事を五十鈴は、猟兵達は知っている。
「空気が汚い……さっさと片付ける」
不意に五十鈴がぽつりと呟く。
街に漂う排気ガスの空気だけではない、嫌な何かを彼女はこの時感じ取っていた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『破壊竜アベルビジ』
|
POW : 巨怪竜の熱線
【喉の奥にある魔力炉】から無限に供給される【大地をも溶かす熱線】を、レベル分間射撃し続ける。足を止めて撃つと攻撃速度3倍。
SPD : 巨怪竜の靭尾
【尾によるなぎ払い】が命中した対象を切断する。
WIZ : 巨怪竜の咆哮
レベルm半径内に【激しい咆哮】を放ち、命中した敵から【戦意】を奪う。範囲内が暗闇なら威力3倍。
イラスト:濱田
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●破壊竜が来る!
猟兵達の加勢により、絶望的な状況に陥っていた現地のケルベロスと一般人の安全を確保し、虐殺を行おうとしていた黒鎖竜牙兵も殲滅する事が出来た。
避難時のパニックなどで一般人に若干のケガ人は出たものの、犠牲者は誰一人として確認されておらず、最初の危機は乗り切ったと言えよう。
「待たせたな兄弟達よ! 騎兵隊の到着……あれ、戦闘はどうなったんだ?」
「あー、この様子だと何とかなっちゃった感じ、かな?」
戦いが終わった後、援軍としてやってきたケルベロス達が輸送ヘリから次々と降りてくるも、既に自分達の出番はない事に気付く。
……もっとも、猟兵が救援に駆け付けなければ今頃は大惨事だった訳だが。
「来るのが遅かったな。別のとこから駆け付けた仲間に助けて……なんだ!?」
敵を倒して一息入れようかと言うところで、突然大きな地鳴りが聞こえてくる。
大地震の予兆であろうか? ……否!
「特務機関DIVIDEより緊急連絡! 隅田公園に地中から大型の熱源反応を確認!!」
決戦都市内のスピーカーから切迫した通信が入る。
どうやら奴が来たようだ。
「データ称号の結果、熱源反応はドラゴン種・破壊竜アベルビジと判明! 敵は首都高向島線を破壊し、墨田川を横断して浅草に向かってきています!」
「アベルビジだって!? 冗談だろ、よりにもよってあのデカブツが……」
敵の名を耳にしたケルベロスが狼狽し、彼らの間に緊張が走る。
遠くからゆっくりとした足取りで障害物を蹴散らし、前進するアベルビジ……目測で体長はおよそ10m弱はあろうか。
アベルビジとは翼を持たず、地中から突如現れるデウスエクスであり人語を一切語ることなく、ただひたすらに全てを蹂躙する姿は見る者に恐怖と畏怖をもたらし『破滅の化身』とも称され、恐れられている存在だ。
「浅草内の全ケルベロスに通達します。全力をもってアベルビジを討伐して下さい! この際、都市部の被害は二の次です、ポジション要請も惜しみなく使って下さい!」
DIVIDEのオペレーターも必死なのがスピーカー越しからも伝わってくる。
ここで奴を討たねば、決戦都市浅草は壊滅的被害を被る事になるだろう。
「アンタ達に一度助けてもらって、またこんな事を言うのは情けないが……すまん、もう一度手を貸してくれ! あのデカブツは俺達だけではどうにもならん!」
そうケルベロスに懇願される猟兵達。
この状況だ、返答は言うまでもあるまい。
さあ、再び彼らと力を合わせ、強大なドラゴンを討伐と行こう!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
勿論ご協力致しますぅ。
少々派手なことをやりますので、引き続き『メディック』による避難をお願いしますぅ。
【纓貙】を発動、『A&W』等に居る『30m級の火竜』を複製召喚、融合し『竜娘』の姿に変化しますねぇ。
これで、相手を上回る巨体と『火竜』の耐火能力を得られますので、更に『FES』の耐火結界を重ねれば『熱線』を大幅に軽減可能ですぅ。
後は『熱線』で町が巻込まれない様、竜翼での飛行で上を取り、『祭礼の女神紋』で肉体と連動し巨大化した『FRS』『FSS』による[砲撃]と『刀』、体格差による[重量攻撃]も併せ叩いて参りましょう。
少々気になることが。
この方のお肉、食べられますかねぇ?
●激突! 浅草怪獣大決戦!!
「勿論ご協力致しますぅ。ただ、少々派手なことをやりますので、引き続き『メディック』による避難をお願いしますぅ」
「おお、協力に感謝する! ……しかし、またメディック? 一般人の避難は既に終わっているのにか?」
引き続き、るこるからメディックの要請を受けたケルベロスが首を傾げる。
この状況故に緊急避難警報は解除されておらず、避難した一般人らは未だ地下シェルターで怯えている事だろう。
「ええ、もしかしたらと言う事もありますので……都市内で野次馬が出ないかを見張ってもらって、発見次第すぐ避難させる形でお願いしますぅ」
少々派手な事で野次馬が出そうな何かをすると言う事なのだろうか?
よく分からないと言った表情のケルベロスであったが彼女に言われた通り、何人かが乗り物に乗り、都市内部のパトロールに向かっていった。
「何せ物が物ですからねぇ。万一の事も考えないといけませんし……」
都市内へそれぞれ散っていったケルベロス達を見送ると、るこるは周囲の状況を再度確認しアベルビジとの戦闘準備に入る。
今回は10m級の大型敵が相手だ、まともに戦うなら厳しい戦いとなる事だろう。
「この辺りなら大丈夫そうですねぇ……≪楽園の地≫に在りし霊獣の恵みを此処に」
早速るこるが詠唱を始め、『|豊乳女神の加護・纓貙《チチガミサマノカゴ・ショウアクセシショウルイ》』を発動した直後、浅草の地に巨大な何かがその姿を現す。
それは赤き火竜であり、この世界には存在しないドラゴン種であった。
その大きさは実に30mクラス、アベルビジの実に三倍だ。
「大きさには大きさで対抗ですぅ。とぉーっ……」
そこからるこるが飛び上がると火竜と融合し、|竜娘《ドラゴニアン》めいた姿に変化する。
召喚した火竜は元々は『祭器』により複製した存在であるため、オリジナルよりかは力は劣るだろうが、こうして戦う分には不足はあるまい。
隅田川を挟んで、30mの|竜娘《ドラゴニアン》となったるこると相対する10mのアベルビジ。
……なるほど、確かにこの絵面では野次馬が発生してもおかしくない状況だ。
そのためにメディックを要請したとなれば、最適な選択と言えよう。
「グオォォォ……ッ!」
例え自分よりも巨大な存在が現れようが戦意を喪失していないアベルビジが足を止めると、胸部の赤い部位が発光し口から大地をも溶かす熱線が放たれる。
決戦都市の強固な耐熱防壁をたった数分で融解してしまうほど強烈な熱線だ。
「んっ……なかなか熱いですねぇ。でも、お風呂に入ってるような物ですぅ」
だがるこるは耐火能力のある火竜と融合し、なおかつ祭器『FES』で耐火結界を重ねた事でその威力は大幅に低減していた。
更にサイズ差が三倍もあれば尚更だ。
「こっちですよぉ」
「グオォッ!? グゥゥゥゥ……!」
ガードの姿勢から熱線が途切れたタイミングで背中の竜の羽で飛び上がると、るこるは都市が狙われないようアベルビジの頭上付近を飛び回る。
地上から空中にいる敵に向けての熱線は命中率が大きく落ちる事から、向こうは迂闊に熱線を発射出来ずに苛立つように吠えた。
「一発も外さないようによーく狙って……どーん!」
そのまま空中を飛び回りつつ、るこるが『FRS』『FSS』による砲撃を的確に叩き込むとアベルビジが大きく怯む。
その隙を狙い、同じく巨大化した霊刀『純夢天』を振り下ろすと、硬い体をに傷が入り、赤黒い血を噴き出しながら鱗ごと肉片の一部が斬り飛ばされた。
「グ、グオォォォッ!!」
「……この方のお肉、食べられますかねぇ?」
いきなり手痛い一撃を喰らい、痛みに吠えるアベルビジ。
ふと斬り飛ばされた肉片の一部を目にし、るこるは何気にとんでもない事を呟くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
川崎・五十鈴
アドリブ・連携歓迎
決戦配備:クラッシャー『決戦都市からの砲撃』
アベルビジ…ということは、私だけでは火力不足。
本当に嫌だけど…火力支援を要請…!
くそっ。どうにもできない敵が出る度に心情を曲げて火薬を使う火力支援やガソリン燃料を使う乗り物の支援を頼まなければならない自分自身に腹が立つ…!
そして何よりも、私にそんな選択をさせるデウスエクスが赦し難い…!
高めた憎悪のまま敵の口内通って喉奥、明らかに怪しい心臓部、手足と尻尾それぞれの付け根に矢弾の雨を連射。精密な狙いで。
攻撃に使う部位の内部が弾け飛べば攻撃の手もきっと緩む。その隙に私の攻撃でできた傷跡に向かって支援砲撃を要請。
……やろう、大魔法の練習。
●放て、怒りの弾丸
「アベルビジ……ということは、私だけでは火力不足」
この世界のケルベロスである五十鈴は敵であるアベルビジの存在を知っていた。
……と、同時に忌々しげな表情へと変わる。
「本当に嫌だけど……火力支援を要請……!」
「クラッシャー要請だな、了解した。……しかし、何がそんなに嫌なんだ?」
「……別に、こっちの事よ。それよりも発射タイミングは私が出すから、合わせて」
それだけ言うと、五十鈴はアベルビジを迎え撃つべく言問橋方面へと走り出す。
どうやらあの付近から戦おうと言うつもりなのだろうか。
(くそっ。どうにもできない敵が出る度に心情を曲げて火薬を使う火力支援やガソリン燃料を使う乗り物の支援を頼まなければならない自分自身に腹が立つ……!)
そんな中、走りながら怒りの炎を燃やす五十鈴。
過去に無関係の悪質な過失により、大量の排気ガスを直に吸い込んで死にかけた事があって以降、彼女は環境汚染に対しては人一倍敏感であった。
(そして何よりも、私にそんな選択をさせるデウスエクスが赦し難い……!)
更に言えば、デウスエクスはケルベロスであった両親を殺した敵である以上、並々ならぬ憎悪もあった。
……若干理不尽な点があるような気がしないでもないが、侵略者であり地球の敵であるデウスエクスに対して慈悲は不要。
何がなんでも倒さなければならないのだ。
「この辺りなら狙いやすそうね」
それから言問橋を回って川沿いにある浅草・二天門船着場に辿り着いた五十鈴はここを戦いの場と決め、エコ自動式二丁拳銃を抜いた。
銃口を討つべき敵、破壊竜アベルビジに向けて……
「グゴオォォォーーーッ!」
アベルビジが向こう岸にいる五十鈴の姿を確認すると、激しい咆哮を放つ。
超音波のような音響攻撃はあまりに強烈で、彼女の背後にあるコーヒーショップやビルが大きく震え、ガラスが砕け散る音が鳴り響く。
「五月蠅い……っ、樹木が……!?」
耳をつんざく咆哮に思わず耳を塞いで耐える五十鈴。
戦闘による建物への被害は已む無しと考えていたが、ふと振り返ると戦場である公園内に生えていた樹木にもダメージが及び、なぎ倒されていた事に気付いた瞬間、自身の怒りに更なる火が付いた。
環境活動家でもある彼女は自然を破壊する者が何よりも許せないのだ。
「……絶対、殺す」
これにより五十鈴は表情を変える事なく、静かな怒りが炎となって燃え上がる。
アベルビジにとって誤算だったのは、咆哮で戦意を喪失させようとして逆に増幅させてしまった事にあった。
「死ね」
様々な怒りと共に五十鈴が『リベリオンディアボロス』で黒影弾を放つ。
精密な狙いで口内、胸部の心臓部と思しき部位、手足と尻尾それぞれの付け根に矢弾の雨をリロードなしで連射。
事前にアベルビジに対する憎悪が倍の倍になっていた事から、その威力は更に向上していた。
「グ、グワオォォォッ!?」
無数の黒影弾が巨体に浴びせられ、内部で弾けた事でアベルビジが悶絶する。
口内を通って喉奥で炸裂した事で咆哮を封じられ、手足や尻尾、胸部に出来た傷から噴水のように血が噴き出した。
「アベルビジに砲撃要請。狙いは私が付けた傷跡に集中して」
その直後、五十鈴は狙いすましたかのようにポジションを要請すると、決戦都市内のビルが割れ、戦車砲がその姿を現すと同時にドン、ドドンと発射音が響き渡る。
更に武装を搭載した改造車もやってくると、ロケット弾を放ち追撃した。
「グオッ、グォォォォ……!」
この猛攻受けた事で、アベルビジも思わず後ずさりをするしかなかった。
「……やろう、大魔法の練習」
自分の怒りを一通り叩き付けた後、五十鈴がぽつりと呟く。
全ては環境を守るために、そして憎きデウスエクスを討つために。
彼女の戦いはまだまだ始まったばかりなのだ。
大成功
🔵🔵🔵
エスカ・ブランシェール
このデカブツが親玉か?
まあ、あたいの世界にも巨獣なんてのがいたし、ビビる程のもんじゃねぇな
で、てめぇの武器は熱光線かい?
だったら遠慮なく撃ってきな!
野太刀を高々と掲げてUC発動
刀身に相手の放った熱線のエネルギーを全て吸収させ、炎の如き刀身の刀に変形
相手の射撃が終了した瞬間を狙い、一気に距離を詰めて正面から叩き斬る!
一撃で倒せなくても、傷口には属性やられの効果が付与されるからな
「溶熱やられ」ってところか?
傷口が常に高熱で溶けて、再生も困難になるってわけだ
後はスナイパーのポジションを要請して、あの傷口を狙撃手に狙い撃ってもらうかな
身体が溶断され続けるところに銃弾ブチ込まれたら、無事じゃ済まねぇだろ
●異世界巨獣狩り
「このデカブツが親玉か? まあ、あたいの世界にも巨獣なんてのがいたし、ビビる程のもんじゃねぇな」
強大なアベルビジの姿を目にしても、エスカが怯む事は一切なかった。
元々彼女のいたエンドブレイカーの世界には、アベルビジを遥かに上回るほどの巨大な敵が多く存在しているらしい。
当時の巨獣と比べれば、アベルビジなど少しデカい程度の竜でしかないと言う訳か。
「アンタ、異世界からのケルベロスだったのか!? あのアベルビジを目にしてもビビらないとは、一体どんな世界にいたんだ……?」
「ん、気になるのかい? ま、興味があるならたっぷり聞かせてやるけど……今はあのデカブツを先に何とかしねぇとな」
だが、その前にやるべき事があるのは言うまでもない。
かの破壊竜を討たねば異世界語りどころではないのだから。
「それで、我々は何をすればいい? 出来る範囲で全力支援をさせてもらうが……」
「そうさな、あたいがとりあえずデカい傷を付ける。そこへ追撃をブチ込めるかい? 出来るだけ遠いところから狙い撃ち出来るような感じでさ」
万に一つと言う事も考慮しての事だろうか、内容的にスナイパーによる援護狙撃をエスカは要請する。
安全な場所からならば、敵の攻撃も届かないはずだろう。
「分かった、選りすぐりの連中を待機させよう。後は頼んだぞ!」
「あいよ! あたいの戦いっぷり、とくとご覧あれってな!」
力強い宣言と共にエスカはアベルビジの元へと向かっていった。
「結構傷付いてるのに、まだまだ元気って訳か。なかなかしぶといじゃねぇか」
すみだリバーウォークへとやってきたエスカはアベルビジの巨体を見上げる。
近くで見れば確かにデカい相手だ。
「で、てめぇの武器は熱光線かい? だったら遠慮なく撃ってきな!」
自身の身長よりも大きな剛刃・愛染櫻を抜いて構えると、アベルビジを挑発する。
「グオォォォォーーーッ!!」
その直後、アベルビジの口から超高温の熱線が放たれる。
生身の人間であれば数秒で灰も残さず蒸発するであろう攻撃を、エスカはいかにしてやり過ごすのか?
「へっ、なかなか熱いじゃねぇか……そうでなきゃ張り合いがないぜ」
なんたる事か、アベルビジの熱線をエスカは愛染櫻の刃で……受け止めている!
本来であればそんな事など出来るはずがない。
だが、この時彼女は『|美竜神拳奥義・魔食残影剣《ビリュウシンケンオウギ・マショクザンエイケン》』を発動させ、刀身に相手の放った熱線のエネルギーを吸収させていたのだ。
「あんたの攻撃……残らず食らって返してやるぜ!」
熱線を全て受け止めた直後、愛染櫻の刃が炎の如き刀身の刀に変形する。
そこから熱線が切れた瞬間、エスカが一気に踏み込むと同時に大きく飛び上がり、正面から炎の斬撃を叩き込んだ。
「グ、グアァァァ……!」
またも激しい一撃をもらい、苦しむアベルビジ。
放出した熱線をそのままエネルギーにして返した一撃は傷口が常に高熱で溶け、再生も困難な状況だ。
「……あの熱線を受け止めて返した!? なんて奴だ……」
「呆けてる場合じゃないですよ! 私達もあの人に負けてられません!」
「そ、そうだったな! 対竜徹甲弾及び炸裂弾装填、奴の傷口を狙い撃て!」
一方で、エスカの立ち回りを浅草寺の五重塔から見守っていたスナイパー部隊が各々の射撃武器を構えると、要請のあった通りアベルビジに付けられた傷目掛けて狙撃する。
放たれた大口径弾が深々と傷口を抉り、内部で炸裂するなどして更なる追撃が入った事で赤黒い血がまたも噴き出た。
「身体が溶断され続けるところに銃弾ブチ込まれたんだ、無事じゃ済まねぇだろ」
炎の斬撃を叩き込んだ直後、華麗に着地してすぐ後退したエスカが苦しむアベルビジを見て呟く。
未だ倒れる様子は見えずとも、ダメージが蓄積しているのは間違いなかった。
大成功
🔵🔵🔵
黒木・摩那
これはなんと大きな大怪獣ですね。
こちらの世界にもいるんですね。
私の世界の大怪獣は、名前を言ってはいけない大怪獣なのです。
放射線を吐くのですが、こっちは火なのが少しだけ良心的ですね。
ともかく迷惑な怪獣大行進を止めましょう。
まずはディフェンダーを要請して、各所にバリケードを築いてもらいます。
熱線や咆哮を避けるのに役に立てます。
魔法剣『緋月絢爛』で戦います。
UC【暗黒球雷】でエネルギー吸収球を展開。
怪獣の発するエネルギーを吸収します。
MAXまで貯まったところで反撃。
魔法剣を巨大化して、怪獣を叩き切ります。
浅草には行かせませんよ。
●咆哮を打ち破れ!
「これはなんと大きな大怪獣ですね。こちらの世界にもいるんですね」
アベルビジの姿を目にした摩那が率直な感想を口にする。
着ぐるみなどではない巨大怪獣(厳密にはドラゴン種ではあるが)を仮に現代地球世界の人間が見れば、さぞ驚くに違いない。
「こちらの……? あなたのいた世界にもアベルビジのような奴が?」
「私の世界の大怪獣は、名前を言ってはいけない大怪獣なのです。放射線を吐くのですが、こっちは火なのが少しだけ良心的ですね」
摩那は元いた世界で見たであろう映画の事を思い出しつつ呟く。
件の大怪獣はそもそもフィクション的な存在ではあるのだが、事情を知らないケルベロスは『放射線って……アベルビジより危険なドラゴン種が!?』と驚くばかりだ。
「ともかく迷惑な怪獣大行進を止めましょう。ディフェンダーを要請して各所にバリケードを築いてもらえますか?」
摩那の要請にケルベロスは『なら、ドワーフの人達を招集して急ぎで用意させるね』と答え、通信機を起動。
要請から二、三分もしない内に建造の得意な地元のドワーフ隊が集まると、どこからか運んできた建材を元に即席ながら堅牢なバリケードを手早く築き上げていく。
一方のアベルビジはここまで受けたダメージが重なってか、自己回復のためその場から動けずにいた。
「……よし、こっちは大体出来たぞ!」
「ワシんとこも終わったぞ!」
「アベルビジの奴が動けないおかげで楽に築けたな。こんなとこでいいかい?」
ドワーフ達を中心にバリケード建築を済ませると、摩那に尋ねる。
短時間とは言え、彼らの仕事ぶりは完璧と言う他ない。
「十分すぎます、ご協力に感謝を」
「グオォォォォー……ッ!」
摩那が例を言う最中、アベルビジの咆哮が空気を切り裂き遠くから聞こえてきた。
どうやら自己回復は終わったと見ていいようだ。
「と、動き出すようですね。皆さんは直ちに安全な場所へ避難をして下さい」
そう避難を促すと、ドワーフ達やケルベロスから応援の言葉をもらい、各々が避難するべく散っていった。
そんな中、地響きを立ててアベルビジが咆哮を放ちつつ前進。
激しい超音波攻撃が断続的に飛んでくるが、事前に築いたバリケードが咆哮を受け止め、辛うじて耐えていく。
「バリケードが早速役立ってくれましたね」
飛んできた咆哮を摩那はバリケードに隠れる事でやり過ごす。
……とは言え、そう長く持たないのも事実だ。
「ならば次は攻めに転じる時です」
摩那がバリケードから出ると同時に魔法剣『緋月絢爛』を抜き、『|暗黒球雷《スフェール・テネブル》』で全身をエネルギー吸収球で覆うと、断続的に飛んでくる咆哮の超音波を吸収、エネルギーをチャージする。
「まだ……もう少し……それまで持って下さい……!」
緋月絢爛を構えたまま、ひたすらエネルギーチャージに徹する摩那。
咆哮による被害は少しずつ拡大していくが、焦って今攻撃をしては意味がない。
ひたすら耐え忍び、前進してくるアベルビジとの距離があと僅かと言うところまで迫り、バリケードは崩壊寸前、ビルにヒビが入ろうとした辺りでようやくエネルギーがマックスまで貯まったタイミングで緋月絢爛を巨大化させる。
「よし、来た! こっ……のおぉぉぉーーーっ!」
そしてアベルビジと同等の大きさとなった刃を横薙ぎに振り払い、威力の増幅した斬撃を叩き込む。
「グゴオォォォォー……ッ!?」
まるでフルスイングを受けたボールのようにアベルビジの巨体が大きく吹き飛ばされると、激しい地響きと土煙を上げて地面に叩き付けられた。
強烈な倍返しである。
よもや自身の攻撃を二度も返される事になるとはアベルビジも思わなかっただろう。
「浅草には行かせませんよ」
そして大きな一撃を刻み込んだ摩那が決めゼリフめいた一言を残すのであった。
大成功
🔵🔵🔵
御園・桜花
「…まあ。UDCの映画館で観たゴ○ラにそっくり。此れが想像力が現実を凌駕するって事なのですね」
しげしげ眺め
「彼れと生身で戦うのは大変そうです。私も装備に頼ろうと思います」
UC「出前一丁・弐」
マッハ11で飛行しながら一撃離脱戦法繰り返す
・上空数kmから敵頭部目掛けダウンバースト起こしつつ吶喊して激突し地上すれすれで横飛行に移りまた上空へ離脱する
・ソニックウェーブ撒き散らしつつ横から背面や頭部に吶喊して激突しそのまま離脱する
縦と横の一撃離脱を織り混ぜる
吶喊コースは第六感で選択
敵の攻撃も第六感や見切りで躱す
決戦配備はディフェンダー
自分の撒き散らすダウンバーストやソニックウェーブから都市部を守って貰う
●浅草上空に空飛ぶキャンピングカーを見た
「……まあ。UDCの映画館で観たゴ○ラにそっくり。此れが想像力が現実を凌駕するって事なのですね」
どこか感心したような様子で、桜花がしげしげとアベルビジを眺める。
具体的な名前を出してはいけない怪獣の事を思い出すのは彼女だけではないだろう。
「あの……今はそんな事を言っている場合ではないと思うのですが……」
「ええ、彼れと生身で戦うのは大変そうです。私も装備に頼ろうと思います」
ケルベロスからツッコミを受け、桜花が早速戦闘体勢に入る。
猟兵達が戦闘中の今、呑気にアベルビジを眺めている訳にもいくまい。
「おお、装備ですか! それは一体どんな凄い物を……?」
「此方になります」
と、桜花が持ってきたのはピンクのケータリング用キャンピングカーであった。
もう一度言おう、キャンピングカーである。
「え、これ、キャンピングカーですよ……ね?」
「はい、これで何処でもパーラーを開設出来ます」
「パ、パーラー? いえ、戦うための武装は……」
きっと何か凄い武装が搭載されているのではとケルベロスが車体を二度見するが、見た限りではそれらしい物は付いていなかった。
一体これでどうアベルビジと戦うと言うのだろうか?
「ケータリングカーのシャシーと搭載エンジンは改造済みですの、うふふ」
そう微笑みながら桜花が乗車すると、キーを回してエンジンをスタートする。
派手なエンジン音が鳴り響くと、そのままキャンピングカーが発進していった。
「さあ、戦場デリバリーと参りましょう」
ハンドルを握り締めた桜花は『|出前一丁・弐《デマエイッチョウ・ニ》』で吾妻橋の傾斜をジャンプ台のようにして飛び上がると、そのまま飛翔。
その速度は次第に上がっていき、ついには戦闘機よりも早い速度で浅草の上空を駆け抜けていく。
「な、キャンピングカーが……飛んだ!?」
「あの車、一体どんな改造を施されているんだ!?」
キャンピングカーが高速で空を飛ぶと言うありえない光景が繰り広げられ、現地のケルベロス達はただ唖然とするしかない。
これも異世界のケルベロスの力なのか。
「浅草の皆さん、聞こえていますか? 早速ディフェンダーの要請をお願いしたいのですが、よろしいでしょうか?」
飛翔してすぐ、車内に取り付けられた無線機を手にすると桜花がケルベロスに向けてポジション要請を行う。
要請を受けた事で直ちに都市部の隔壁が上がり、防御体勢が瞬時に整ったのを見届けると桜花はアクセルをベタ踏みし、空中を旋回しながらアベルビジへ向けて突撃していく。
「せぇ、のっ」
「グオォォォ!?」
桜花の駆るキャンピングカーが上空数kmから敵の頭部目掛けダウンバースト起こしつつ吶喊から激突し、地上すれすれで横飛行に移りまた上空へ離脱する。
「今度は此方です」
「グゴォッ!?」
続いて超高速飛行からソニックウェーブ撒き散らしつつ、横から背面や頭部に吶喊して激突、そのまま離脱したかと思えば、そこから更に縦と横の一撃離脱を織り混ぜていく。
驚くべきはこれだけ激しい衝突にも関わらず、彼女のキャンピングカーは傷一つ付いていない事だ。
「グ……オォォォォッ!!」
ここまでやられっ放しのアベルビジは、上空を飛び回るキャンピングカーに向け熱線を空中に放つも、そもそもにしてマッハの速度で飛び回っている事から当たる気配は全くなかった。
桜花が攻撃の度にキャンピングカーより放たれるダウンバーストやソニックウェーブが都市部を巻き込むも、彼女の要請した防御用隔壁がしっかりと受け止め、被害を抑えていく。
なるほど、ディフェンダー要請はこのためだったと言う訳か。
「グォッ!? グォォッ! グゥゥゥオォォォォ……!!」
そして反撃もままならず、サンドバッグのように体当たり攻撃を受け続けるアベルビジは、ただ悔しげな唸り声を上げる事しか出来なかったと言う。
大成功
🔵🔵🔵
フリッツ・バーナー
ほうほう、お次は10m級か
ようやく骨のある相手とダンスが出来そうだ
要請はキャスター
バルバロッサより発せられる衝撃波を無駄なく反響させられる反射板のような装置は可能かね?
奴の咆哮へ衝撃波を合わせ掻き消すようにUC発動
フルパワーの片鱗をお見せしよう
今の調整ならばもって100秒と少し
だが、さほど時間は掛からんだろう
背面の|推進機構《ブースター》を噴かし一気に距離を詰める
鋭利に尖らせた手刀でもって、脳天から真っ二つに両断してくれよう
破滅の化身など、誇大広告が過ぎたのではないかね?
本当の衝撃と畏怖と言うものを、身をもってご堪能頂こうか
●衝撃と畏怖
「ほうほう、お次は10m級か。ようやく骨のある相手とダンスが出来そうだ」
先の戦いでオブリビオンマシン・バルバロッサと一体化した状態のフリッツが本命の登場に笑みを浮かべる。
こちらよりも倍の大きさの相手であれば、そう易々とやられる事もあるまい。
「さて、早速物は相談なのだが、バルバロッサより発せられる衝撃波を無駄なく反響させられる反射板のような装置は可能かね?」
戦闘の直前、フリッツはケルベロスに対しポジションを要請。
その内容からしてどうやらキャスターのようである。
「衝撃波か……そうなると、近い物として超音波反響板が用意出来るが」
「うむ、それで構わない。私が戦闘を行う場所へ設置してもらえるかな?」
黒鎖竜牙兵をあっと言う間に粉砕したバルバロッサの衝撃波ではあるが、さすがにアベルビジ相手ではそう易々と通じるような物ではない。
それをどうにかするためのキャスター要請と言う事のようだが、一体どのような手を使うのであろうか?
「……アベルビジ、活動を再開! 真っ直ぐ浅草へ向かってくる模様!」
そしてちょうどいいタイミングでアベルビジが進撃を再開すると言う一報が入る。
どうやらあまり時間はないようだ。
「と、聞いての通りだ。私が移動した地点に超音波反響板を急ぎ設置してくれたまえ」
ケルベロス達にそう告げると、フリッツが移動を開始。
アベルビジから見える場所へ自身の姿を晒す事で、こちらへ誘き寄せようと試みる。
……その直後、向こうと視線が合うと新たな敵を発見したアベルビジがズシン、ズシンと地響きを鳴らしてこちらへ向かってきた。
「さて、接触まで推定120秒と言ったところかな。頼んでいた半響板の方は……」
フリッツが後ろを振り返ると、設置の時間を短縮するために大型トラックそのもの土台とし、半響板が簡易的ではあるが組み立て・展開が行われ、土台に設置。
後は最後の仕上げを残すのみと言うところまで作業が進んでいた。
「ほう、速いな。さすがに長年侵略者と戦ってきただけの事はある、と言う訳か」
僅かな時間で設置をほぼ済ませたケルベロスや地元民の腕に感心しつつ、フリッツは迎撃体勢に入る。
アベルビジはその巨体故に足は遅めではあるものの、次第に距離が詰められ攻撃射程内に入ろうとしていた。
「グゥオォォォォーーーッ!!」
そのまま移動しながら怒りの咆哮の放つアベルビジ。
フリッツへ向けて放たれる衝撃波。
「諸君、衝撃に備えたまえ」
背後で作業をしているであろう者達へそう告げると、フリッツは『|作戦発令:衝撃と畏怖《プランコール・ショックアンドフィアー》』で凄まじい威圧感を叩きつける衝撃波を放出。
その直後、互いの衝撃波同士がぶつかり合い相殺された。
「フルパワーの片鱗をお見せしよう」
そう呟くと、更なる衝撃波が放たれる。
衝撃波はフリッツの後方に設置された反響板が上手く機能し、前進してくるアベルビジにシャワーのごとく浴びせられた。
現時点で衝撃と畏怖の有効時間は109秒、それ以上の行使は自身の死を意味する。
……だが、今の彼には十分すぎる時間であった。
アベルビジの咆哮をも打ち消す衝撃波に呑まれ、凄まじい威圧感を前に足が鈍り、やがて止まった。
「破滅の化身など、誇大広告が過ぎたのではないかね? 本当の衝撃と畏怖と言うものを、身をもってご堪能頂こうか」
まだ距離は離れているが、フリッツは一体化しているバルバロッサ背面の|推進機構《ブースター》を噴かし一気に距離を詰めると、そこから垂直に飛び上がった。
そして鋭利に尖らせた手刀を振り下ろし、アベルビジの脳天に……叩き込む!
「グガア゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ!!」
一刀両断とまではいかなかったものの、硬い頭皮がパックリと割れて噴水のごとく血が噴き出し、苦悶の咆哮を上げる。
破壊竜の死はもうすぐそこまで迫っていた。
大成功
🔵🔵🔵
カーバンクル・スカルン
なんとかなってねーよ、言われた通り10分耐えたんだから働けー。あと全員が全員、10m級の光の巨人になるのは無理な話だからな? と言うわけでジャマーへ支援要請。
なるべく沈下してもその後の復興に影響が出ないところに巨大落とし穴を掘ってもらって……それがやり切れるまでは徹底的に時間を稼いでやる。で、掘り切れた報告が来たら一目散にそこへ後進して追いかけて来たアベルビジを引っかける。戦意なくとも囮ぐらい出来るだろ、逃げろー!
で、アベルビジを生き埋めに出来たら選択権は与えず、金物鋸でゴリゴリと喉を切開しちゃいましょ。地中から出てくるといえども、自由に動けるわけではあるまいて?
●先人曰く『強い敵は落とし穴に落とせ』
「くそ、まだアベルビジの奴は倒れないのか!?」
「あれだけ喰らっても動けるなんて……我々ではどうにもならないのか……」
満身創痍でありながら、未だ生きている破壊竜にケルベロス達も思わず怯む。
「なんとかなってねーよ、言われた通り10分耐えたんだから働けー」
弱気になりつつある彼らに対し、カーバンクルが渇を入れる。
これには反論出来ないようだ。
「あと全員が全員、10m級の光の巨人になるのは無理な話だからな?」
別の世界で目にしたであろう特撮番組的な事も口にしつつ、どう戦うかを考える。
既にここまでの戦いでかなりのダメージを受けている事もあり、後はトドメを刺すきっかけが作れれば倒せるはずだ。
(ええと、強者と戦うのであれば相手が不利になる状況を創れ……だっけ。不利になる状況と言えば……)
不意にカーバンクルの脳裏にある物が浮かぶ。
……これなら行けるのでは? そう思い立ち、ケルベロスに要請を行う。
「と言う訳でジャマーを要請するけど、出来るよね?」
「ああ、我々が出来る範囲でなら」
「じゃあ落とし穴を掘って。それもアベルビジがすっぽり入りそうな物を」
カーバンクルの要請にケルベロス達が固まる。
相当な無茶振りだ。
「ま、待て、それだと7、8m弱は掘る事に……しかも場所はどこに」
「つべこべ言うなー。穴を掘る時間なら徹底的に稼ぐから、みんなも働くんだよー!」
反論は許さないとばかりにカーバンクルが強く出る。
……結局『これが決め手になる』と言う彼女の言葉を信じて作戦決行となった訳だが、果たしてこれがトドメとなるのであろうか?
「そーら、私はここだぞー!」
作戦開始直後、カーバンクルがアベルビジから見えるところへ行くと、これ見よがしに挑発し攻撃を引き付ける。
これまでやられっ放しのアベルビジは激怒状態と言う事もあってか、殺意を剥き出しにして向かってきた。
カーバンクルが提示した作戦は『なるべく沈下してもその後の復興に影響が出ないところに巨大落とし穴を掘ってもらい、掘り切れるまで時間を稼ぐ。掘り終わったらそこまで誘き出し、落とし穴に落としてトドメを刺す』と言う物である。
「グオォォォォッ!」
アベルビジの咆哮が何度となくカーバンクルに襲い掛かり、耳鳴りがしそうなほどの音響攻撃で戦意を奪う。
「ああもう、耳がおかしくなりそう……けど、今は時間を稼がないとだ」
うんざりした表情でカーバンクルが逃げ回る。
今は囮として時間を稼ぐ事を最優先としている以上、今戦意が奪われたところでどうと言う事もない。
それから必死の追いかけっこが数分ほど続き……
「発煙信号! やっと終わったか……長いんだよ、もう!」
愚痴りつつも、カーバンクルは北東から上がった発煙信号の方へと向かう。
落とし穴の場所は公園などではなく、墨田川沿いにある台東リバーサイドスポーツセンター陸上競技場だ。
アベルビジを引き付けつつ、競技場へと誘導すると落とし穴のポイントに分かりやすくシートがかけられていた。
「これを踏んだらボッシュートって訳か。よし!」
カーバンクルは遠回りし、シートの向こう側に立って獲物を待ち構える。
一方のアベルビジはひたすら逃げ回られ、ストレスも最高潮と言う事もあってか罠の存在に欠片も気付ていない。
そして競技場に踏み込み、一歩、二歩と前進すると、シートのかけられた部分に足をかけた瞬間、落とし穴へと落ちた。
「グォォォォッ!?」
ケルベロス達が穴の深さを上手く調整してくれた事もあってか、アベルビジの胴体がすっぽりと埋まり、首だけが地上に出ると言うあまりにも無様な姿を晒す事となる。
「よっし、大成功! ……じゃ、トドメと行こうかぁー?」
「グォッ!? グ、グオォォォォォ……」
邪悪な笑みを浮かべ、カーバンクルが『|鋸挽き《ノコギリビキ》』で金物鋸でゴリゴリと身動き出来ないアベルビジの喉を切開していく。
胴体を丸ごと落とし穴に落とされ、なおかつ満身創痍と言う事もあってか、奴が穴から這い出る事など出来るはずもなく……じわじわと喉を裂かれ、やがて絶命すると言うあまりにも屈辱的な最期をアベルビジは迎えるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『ケルベロス密着取材』
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POW : 勇猛に戦う姿を見せる
SPD : 鍛錬に勤しむ姿を見せる
WIZ : プライベートを楽しむ姿を見せる
イラスト:del
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●取材が来る!
「破壊竜アベルビジの完全沈黙を確認しました! 周辺にデウスエクスの反応は確認されず……現時刻をもって、迎撃作戦完了です! ケルベロス各員の奮戦に感謝します!」
――猟兵達の活躍により、破壊竜アベルビジはついに倒された。
特務機関DIVIDEのオペレーターが興奮を抑えきれない様子で勝利を通達すると、都市内に残っていたケルベロスや地元民の間から歓声が沸き上がる。
戦闘による街の被害はいくらか出てしまったものの、被害状況を見れば復興にはそこまで時間はかからない事だろう。
「只今を持ちまして、決戦都市内の緊急避難警報を解除します。避難民の皆様は誘導に従い、シェルターから順次退出して下さい。繰り返します……」
戦いが終わった事で第一種緊急事態警報も解除され、地下シェルターに避難していた一般人が地下階段から続々と出てくる様子が見えた。
大きな危機を切り抜けた事で彼らも安堵の表情を浮かべているようだ。
「あの、今回浅草を守り抜いたケルベロスの皆さん、ですよね?」
……戦いを終え一休みしている最中、カメラを持った取材班数人に声をかけられる。
彼らの腕には『ケルベロスTV』と書かれた腕章が付けられていた。
ケルベロスTVとは特務機関DIVIDEの認可を受け、ケルベロスの戦いの様子を世界各国に届けている報道機関で、強大な侵略者デウスエクスから地球を守るケルベロスの活躍をありのままに伝え、世界の人々に希望を与えているのだ。
「皆さんが竜牙兵や破壊竜を倒す様子は都市内部のライブカメラから見ていました。物凄い活躍でしたね! それでですね、早速お話があるのですが……」
取材班が言うには、今回活躍したケルベロス――猟兵の事を取り上げたいのだとか。
何せ強敵であったアベルビジを倒したのだ、それだけの猛者がいるのを広く伝える事が出来れば、人々を安心させられるに違いない。
「皆さんのその強さは一体どこから来るのか、普段はどんな事をしているのか、知りたい事は沢山あります。ですので、是非とも私達の取材に協力していただければと……」
タイトルは『破壊竜を狩ったケルベロスに迫る!』。
取材は一人につきおよそ四、五分くらいの時間を取って行うそうだ。
何を語るか、どんな姿を見せるかは(放送出来る範囲内でだが)自由。
もしアピールしたい部分があれば、そこを重点的に見せるのもいいだろう。
「もちろん無理強いはしませんが、仮に取材を受けていだたけるのでしたら早速どんな形にするか打ち合わせと行きましょう。よろしくお願いします!」
と、取材班の面々が頭を下げるのであった。
さて、もし取材を受けるとしたら、どのような姿を見せようか……?
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
おや、取材ですかぁ。
了解ですぅ。
出先なら、宿泊施設を使うのは妥当ですからねぇ。
近くの『キッチン付きのホテル』に部屋を取り、其方で[料理]をお見せしましょう。
【豊饒佳饌】を発動、[料理]と[グルメ知識]を強化しておきますねぇ。
食材は先程の『破壊竜の肉』を『FPS』でスキャンし、使えそうなら其方を使い、肉質に合わせた料理を。
筋切りや肉叩き等でしっかと処理すれば美味しい、というケースも有りますし、興味に加え、食材に出来れば助かる方も居るでしょう。
難しそうなら、浅草に名店の有る品ということで「とんかつ」に。
取材は料理の仕上げ頃で如何でしょう?
取材班の方もお召し上がりになります?
●インタビューその1:夢ヶ枝・るこる
「おや、取材ですかぁ。了解ですぅ。あ、個人的にですが取材の場所をですね……」
ケルベロスTVの取材を快く受ける事となったるこるは取材場所を浅草内にある『キッチン付きのホテル』に指定。
そこで部屋を借り、インタビューを受けたい事を話す。
「なるほど、そんな感じで……分かりました、すぐにセッティングを始めます!」
取材に協力してくれるのであればサポートは惜しまないとばかりに、早速取材班がホテルを探し、取材で使いたいと交渉したところ、そのホテルは喜んで許可を出した。
何せ地元を守ってくれたケルベロスが来てくれる上、取材場所として使ってくれるとあらば宣伝効果は絶大……向こうからすれば断る理由など全くなかった。
「……ああ、ケルベロスの方とケルベロスTVの皆さんですね!」
「一番いいお部屋は既に準備してあります! さあさあ、こちらへ!」
交渉が成立してすぐ、るこると取材班がホテルへと移動するとホテルスタッフ総出での歓迎を受ける事となる。
それこそ国賓かVIPレベルの厚遇だ。
(ケルベロスはこの世界のスーパーヒーローと聞いていましたが……まさかこれ程とは思いませんでしたねぇ)
予想以上の歓迎っぷりにるこるは内心(少しだけ)驚きつつ、ホテルスタッフの先導を受け、用意された部屋へ取材班と共に向かう。
「……それではインタビューを始めます。今日はよろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いしますぅ。私は夢ヶ枝・るこると申しますぅ」
部屋に通されてすぐ、取材班がインタビューの用意を済ませるとカメラが回り、るこるへの取材が始まる。
取材班からの質問に色々と答えていく中、趣味などについても聞かれると……
「趣味、ですかぁ。食べる事もそうですけど、実は料理も趣味の一つでして」
せっかくですので、この場で私の腕をお見せしましょう。
そう口にすると、るこるは祭器『FTS』から何かを取り出す。
出てきたのは鱗の付いた、かなりの大きさの肉のようだが……?
「おお!? 一体どこから……おほん、これはお肉のようですが一体何の?」
「はい、先程戦っていた破壊竜の物ですぅ」
るこるの発言に取材スタッフがざわつく。
どうやらあの戦いの最中、ひっそりと回収を行っていたようだ。
「え、それってデウスエクスの……え、えっ?」
困惑するインタビュアー。
当然の反応であった。
「お肉をスキャン……食べる分には問題ありませんねぇ。では、始めましょう」
驚く取材班を尻目に、るこるは『|豊乳女神の加護・豊饒佳饌《チチガミサマノカゴ・ホウジョウノウタゲ》』で料理とグルメ知識の技能をブースト。
肉質に合わせた料理を作り始める。
今回キッチン付きのホテルを選んだのは、これをやるためだったのだろう。
「筋切りや肉叩き等でしっかと処理すれば美味しい、というケースも有りますし、興味に加え、食材に出来れば助かる方も居るでしょう」
るこるは料理番組めいた事を口にしつつ、見事な腕前を披露。
その様子をカメラがしっかり押さえていく。
「こんなところでしょうかぁ。はい、出来上がりですぅ」
かの邪悪な破壊竜の肉がケルベロスの手により調理され、垂涎物のご馳走にその姿を変わっていき、完成品がテーブルの上に出揃うと取材班の間から『おぉ……』と感嘆の声が漏れる。
周囲にはいい匂いが漂い、言われなければ破壊竜の肉と分からないほどの完成度だ。
「取材班の方もお召し上がりになります?」
「いいんですか!? で、では早速……」
インタビュアーが恐る恐る一品口にすると、そのあまりの美味しさに言葉を失うほどであったとか。
なお取材後、取れ高だらけの映像編集に苦慮する事になったのはまた別の話である。
大成功
🔵🔵🔵
黒木・摩那
取材ですか。
それで市民の安心につながるのであれば、いいですよ。
と言っても、猟兵の不思議は私も語れるようなことはあまりないんですけどね。
猟兵の強さの秘密ですか?
それはこれです、と赤いものがたくさん入ったポーチをドンッ。
いろいろな世界から集めた辛い調味料コレクション。
コレクションの内容を喜々と説明しながら、
こういう色々な味のある世界や、好きな人やものを守りたいですね。
あ、これ(赤いの)食べたら、猟兵になれるわけではないので、そこは注意しておきましょう。真似されると大変なことになるし。
●インタビューその2:黒木・摩那
「取材ですか。それで市民の安心につながるのであれば、いいですよ」
「ありがとうございます! 何せ皆さんは今日のヒーローですからね!」
摩那が取材を受けてくれる事を聞き、取材班が礼を述べる。
彼らもケルベロスの一ファンである事から、話を聞ける事が嬉しいようだ。
「と言っても、猟兵の不思議は私も語れるようなことはあまりないんですけどね」
「では、いくつかこちらからも質問をしますので、それにも答えていただければ」
「ふむ、質問ですか。私に応えられる範囲でならいくらでも」
でもあんまりプライベートな事はなしでお願いしますね、と摩那は釘を刺しておく。
変な事を聞かないとは思うが、万一のためと言う奴だ。
「そこはご心配なく。放送する内容はちゃんと選びますので」
参考までにこれまで行った取材の映像を見てみますかと聞かれ、どんな感じの物か気になった摩那はその時の映像を見せてもらう事に。
内容としては比較的無難な物ばかりで、突っ込んだ質問は特になく……良く言えば堅実、悪く言えば面白味に欠ける内容であった。
「……こんな感じなんですね、大体は分かりました。では、始めましょうか」
映像を見て、彼らが真面目に番組を作っている事が分かり摩那が少しだけ安心すると、インタビューを受ける準備は完了している事を伝える。
「はい、よろしくお願いします。じゃ、合図と共にカメラ回して! 3、2、1……」
キュー!
その合図と共にインタビューが始まった。
「本日はよろしくお願いします。まずはお名前をお聞かせ下さい」
「よろしくお願いします。黒木・摩那と申します」
「では摩那さんにいくつか質問を。最初は……」
既に用意していたであろう質問が投げかけられる。
例えば、戦闘スタイルや主な武器などについて聞かれると……
「私はサイキッカーなので、飛んできた物や攻撃はこうやってクイッとですね」
「サイキッカーって、あのスプーンを曲げる的な感じのアレですか?」
「それよりももっと凄い物ですよ。そうですね、例えば……」
何かないかと周囲を見渡す摩那が何かを見つける。
それは近くに転がっていた、戦闘で発生した都市の損傷による小さな瓦礫。
そこへ手を向けると念動力で浮かび上がらせ、一つの場所にまとめてみせた。
「……と、こんな感じにですね」
「サイキッカーってそんな事も出来るんですか!? これは凄い!」
「主な武器の方はこの魔法剣『緋月絢爛』と超可変ヨーヨー『エクリプス』です」
続いて武器についても軽く説明を行う摩那。
取材は順調に進んでいく。
「とても興味深いお話ですね! では最後の質問を。あなたの強さの秘訣は?」
「お、それを聞いちゃいますか? ……それは、これです」
まるでその質問を待っていたかのように、摩那がニヤリと笑うと赤いものがたくさん入ったポーチを開いて見せる。
彼女が様々な世界で集めた辛い調味料コレクションだ。
「例えばこの『サラマンダーの舌』。その名の通り燃え盛る火竜のような……」
早速、コレクションの内容を喜々と説明する摩那。
急に饒舌になったのを見て『ああ、辛い物が大好きなのか』と察するスタッフ。
「こういう色々な味のある世界や、好きな人やものを守りたいですね」
そして一通り語り終え、最後に上手く〆る。
意外と話し慣れしているのかもしれない。
「なるほど、摩那さんは辛い物がお好きなんですね」
「ええ! ……おっと、そうだった。これ食べたら、猟兵になれるわけではないので、そこは注意して下さいね?」
最後にこのインタビューを目にするであろう視聴者に向けて注意喚起する摩那。
辛い物を食べれば誰でもなれる訳ではないが、念のためと言う奴だ。
……何せこの世界では、ケルベロスの影響力はとてもは強いのだから。
大成功
🔵🔵🔵
川崎・五十鈴
皆さん、こんにちは!DIVIDE所属のケルベロス、川崎・五十鈴です!(満面の営業スマイル)
浅草ではDIVIDEの活躍、そして街の皆さんのご協力によりなんとかデウスエクスを撃退することができました!
しかし被害を0とすることはできず…皆さんの大切な街を完全に守り切ることができなかったこと、慚愧の念に耐えません…!
そのお詫びというわけではないのですが、今回のデウスエクス襲撃によりお車を失った皆さんに!私のポケットマネーから合計10台のEVを贈呈させていただきます!車もかなりの台数が破壊されましたからね!少しでも補填になればいいのですが…。
応募方法は私のSNSを―――
(取材がある度いつもこんな感じ)
●インタビューその3:川崎・五十鈴
「……と言う訳で、取材を受けていただけるとありがたいのですが」
「ええ、受けるわ」
交渉をしようとする取材班に対し、五十鈴は即答した。
判断が早い!
「いいんですか!? ありがとうございます!」
「でもその前にいい? 実際に放送する時には私のSNSのアドレスを字幕で出して」
「SNSのアカウントがあるんですか? ……見せていただいても?」
聞かれてすぐ、『これよ』とスマホを取り出し自身のアカウントを見せる五十鈴。
それを見て、早速取材班の面々もチェックすると……
「……ん? 川崎、五十鈴さん……あ、俺聞いた事あるぞ!」
と、ここで取材班の一人が反応する。
どうやら彼女を知っているようだ。
「確か全世界にEVを普及する事に全力を注いでいる環境活動家、だよな?」
「私の事を知っている? なら話は早いわ、すぐにでも始めるわよ」
そう言うと、五十鈴はまだ回っていないカメラの前に立つ。
既に何を話すかは決まっているようだ。
「え、あの、打ち合わせの方は……」
「特に必要ないわ。始めてちょうだい」
「わ、分かりました……カメラ準備!」
若干困惑する取材班であったが取材を受けてくれると言った手前、下手に機嫌を損ねる訳にもいかず、言われた通りに動く。
果たして五十鈴は取材にどう答える(?)のであろうか?
「3、2、1……キュー!」
「皆さん、こんにちは! DIVIDE所属のケルベロス、川崎・五十鈴です!」
初手から満面の営業スマイルに後方のスタッフも『えっ?』となる。
先程の不愛想っぷりはどこへやらだが、これも五十鈴の一面……営業モードだ。
「浅草ではDIVIDEの活躍、そして街の皆さんのご協力によりなんとかデウスエクスを撃退することができました!」
その言葉の後、カメラが戦闘後の浅草内部に向けられる。
ある程度の損害は避けられなかったのか、デウスエクスとの戦闘により建物の一部は破損し、自動車は大破するなどと言った様子だ。
「しかし被害を0とすることはできず……皆さんの大切な街を完全に守り切ることができなかったこと、慚愧の念に耐えません……!」
カメラが五十鈴に戻ると、申し訳なさそうな様子(の演技)で語る。
既に彼女の素を目にしている取材班ですら引き込まれるほどの演技力だ。
「そのお詫びというわけではないのですが、今回のデウスエクス襲撃によりお車を失った皆さんに! 私のポケットマネーから合計10台のEVを贈呈させていただきます!」
先程の様子からタメを作って、ドドーンと宣言する五十鈴。
このタイミングで『|EVの伝道師(自称)《アヤシイエコテロリスト》』を発動した事から求心力もアップだ。
「車もかなりの台数が破壊されましたからね! 少しでも補填になればいいのですが……」
「それで五十鈴さん、応募はどちらから?」
「はい、応募方法は私のSNSを――」
そしてインタビュアーからの合いの手にも上手く応える五十鈴。
どうやらこの様子を見るに、彼女はかなりのやり手のようだ。
……その後も余った時間でEVの素晴らしさを語り、取材(?)は無事に済んだ。
「川崎・五十鈴さん、ありがとうございました! ……はいオッケーです」
「ん、お疲れ」
取材(?)が終わると営業モードから一転、素に戻る五十鈴。
何と言うか、切り替えが早い。
「約束通りSNSのアドレスは放送時に分かりやすく、大きく載せておいて」
「は、はい。その通りに……ご協力ありがとうございました!」
五十鈴に一礼する取材班。
それを尻目に『じゃあね』と告げると彼女は背を向け、手をひらひらと振り撤収していった。
……なお翌日にはこの映像が放映され、五十鈴のSNSアカウントのフォロワー数がグッと増え、EV応募には車を失った地元民が殺到したそうな。
大成功
🔵🔵🔵
フリッツ・バーナー
こちらとしても願ったり叶ったりであります
その取材、是非ともお受けさせて頂きたく(営業スマイル)
企業PR
(内容の9割は建前)
(実際の目的はケルベロスの戦術ノウハウや研究成果、デウスエクスの技術力等を本社に持ち帰る事)
「我々はベーゼンドルフ・ファイアーアームズ社
主に銃火器や機械化義体を取り扱う企業であります
我が社の理念は『平和を望むならば戦いに備えよ』
我々は、平和を目指し戦いに臨むケルベロスの皆様を支える〝備え〟となるべく、この度、特務機関DIVIDEとの業務提携の開始を正式に発表いたします
我が社の製品が恒常的平和の実現に貢献できるよう、皆様のご助力のほど、よろしくお願いいたします」
●インタビューその4:フリッツ・バーナー
「こちらとしても願ったり叶ったりであります。その取材、是非ともお受けさせて頂きたく」
フリッツが営業スマイルで取材を快諾する。
今回の任務に参加したのはケルベロスの戦術ノウハウや研究成果、デウスエクスの技術力等を本社に持ち帰る事にあるが、その他にも特務機関DIVIDEへ売り込みを行うなどと言った目的もあった。
そこへ転がってきた取材依頼……これはまさに棚から牡丹餅だ。
(まさか取材の申し込みとは私も運がいい。我が社はこの世界ではまだまだ無名も同然……これは格好の機会ではないか)
内心ほくそ笑むフリッツ。
この世界で自身が所属しているベーゼンドルフ・ファイアーアームズ社のPRが出来れば、自社の知名度が上がる事でスポンサーが増えるかもしれない。
そうすれば、この世界でも活動がしやすくなると言う物だ。
「協力に感謝します! それでは、取材の方はインタビュー形式にしますか? それともアピールを重点で?」
「アピールで行かせていただきたく。……おっと失礼、私はこう言う者でして」
フリッツが取材班のインタビュアーに名刺を差し出す。
ビジネスマンの基本と言う奴だ。
「ありがとうございます、こちらは私の名刺です。企業の課長さんなんですね」
「ええ、異世界から営業ついでで平和を守りに……とでも言えば」
「それは頼もしいですね! では、存分にアピール程をお願いします」
と、取材班がフリッツにカメラを向ける。
与えられる時間はおよそ5分程。
その時間内にいかにして伝えるべき部分を伝え、自社をPR出来るかが鍵だ。
「カウントの後にカメラ回します! 3秒前……2、1、キュー!」
「我々はベーゼンドルフ・ファイアーアームズ社。主に銃火器や機械化義体を取り扱う企業であります」
カメラが回り始めたと同時にフリッツが一礼すると、アピールを開始する。
開始と同時に『|作戦発令:威風堂々《プランコール・アークライト》』を使い、万能感を演出する事も忘れていない。
「我が社の理念は『平和を望むならば戦いに備えよ』。我々は、平和を目指し戦いに臨むケルベロスの皆様を支える〝備え〟となるべく、この度、特務機関DIVIDEとの業務提携の開始を正式に発表いたします」
今この時点ではまだ正式に提携の話は済んでいないが、この後すぐにでも営業活動を行うつもりだ。
例え荒事担当部署の課長とは言え、彼も一ビジネスマン……今回の戦闘における成果などを提示・交渉すれば、向こうも提携の話を飲まざるを得まい。
日頃デウスエクスと戦い続けている特務機関DIVIDEは戦力を常に欲している。
それが戦いの助けとなる物であれば尚更だ。
「我が社の製品が恒常的平和の実現に貢献できるよう、皆様のご助力のほど、よろしくお願いいたします」
最後までカリスマ溢れるアピールを済ませ、PRタイムを使い切ったフリッツ。
時間もジャストだ。
「……はい、オッケーです! 放映後はきっと問い合わせが殺到しますよ!」
「平和のため、我が社が僅かでも役に立てるのならば幸いです。では、私はこれで」
取材班に一礼を済ませるとフリッツはすぐさまその場を立ち去り、営業へ向かう。
まずは特務機関DIVIDEへ業務提携の提案、その後はケルベロスディバイドにおける活動拠点の確保など、やるべき事は多い。
……だが、これらは全て自身の目的のための下準備に過ぎない。
目的の為なら手段を選ばず、また手段の為なら目的を選ばない……それがフリッツ・バーナーと言う男なのだから。
「さあ、これから忙しくなるぞ。楽しくなりそうではあるが、ね」
今後起こりうるであろう新たな戦いを想像し、フリッツは自然と笑みがこぼれる。
彼の”営業活動”は始まったばかりだ。
大成功
🔵🔵🔵
御園・桜花
「私は帝都のミルクホールでパーラーメイドをしております、御園桜花と申します」
一礼後首傾げ
「あの、此処でパラレルワールドと言うか異世界と言うか、そういうお話はしても宜しかったですか?拙そうなら、適宜置き換えて下さいね?」
「なお、お祭りで出張パーラーもしております。何か食べたいものはありますか?」
ケータリングカーでパーラー展開しハタと気付く
「申し訳ありません、此の地で営業許可を取って居りませんでした…警察に見つかったら怒られますけれど、知人同士のゲリラパーティと言う事に致しましょう」
振る舞おうとした薄茶糖やクレープにUC「花見御膳」
体力回復効果のあるコーラや焼肉や焼きそばに替え皆に振舞う
●インタビューその5:御園・桜花
「私は帝都のミルクホールでパーラーメイドをしております、御園桜花と申します」
取材を受ける事を快諾した桜花が回り始めたカメラを前に一礼。
……した直後、首を傾げる。
何かあったのだろうか?
「あの、此処でパラレルワールドと言うか異世界と言うか、そういうお話はしても宜しかったですか? 拙そうなら、適宜置き換えて下さいね?」
ふと気になった事を尋ねる桜花。
何と言うか、早々に天然っぷりが炸裂している。
「あ、はい、そこは大丈夫です。異世界からやってきたケルベロスの方もいますし、むしろ異世界がどんなところか気になる人もいるかもしれませんので」
「なら、続けさせていただきますね。……えっと、どこまで話しましたっけ?」
桜花のボケに取材班がズッコケる。
……とは言え、彼女から放たれているであろうマイナスイオン的な何かが、取材の空気を和やかにしているのもまた事実だ。
「最初からもう一度行きましょう。本番、3……2……1……キュー!」
「私は帝都のミルクホールでパーラーメイドをしております、御園桜花と申します」
そうしてテイク2が始まり、最初のセリフを改めて口にする。
今度はインタビュアーからの質問も交えた対話形式に持ち込む事で、スムーズに取材が進んでいく。
「そう言えばライブカメラで見ていたんですが。そのケータリングカーで空を飛んで、あの破壊竜と戦っていたんですよね?」
「ええ、この車は思ったよりも頑丈なんですよ?」
先の破壊竜との戦いでこのケータリングカーは空を飛び、超高速で何度も体当たりをしていた訳だが、凹みはおろか傷一つ付いていない。
……一体どんな材質で出来ているのだろうか、とインタビュアーは思う。
「なるほど、戦闘の時にも使える車と言う訳なんですね。と、なると普段はケータリングカーとしての役割も……?」
「はい、お祭りで出張パーラーもしております。何か食べたいものはありますか?」
話を振られ、桜花はその場でケータリングカーを開き、パーラーを臨時開店……と言うところでハッと何かに気付く。
「申し訳ありません、此の地で営業許可を取って居りませんでした……警察に見つかったら怒られますけれど、知人同士のゲリラパーティと言う事に致しましょう」
桜花がどこか申し訳なさそうな様子で車内へ入ると、早速調理を始める。
その様子も写していいかと聞かれ、構いませんよと返すとカメラも中へ。
慣れた手つきで様々な物を作り上げていく。
……それから少しすると、一般人がケータリングカーから漂ういい匂いに引き寄せられ集まってきた。
デウスエクスの襲撃でその手の店の大半が臨時休業してしまった事もあってなのか、彼らは何か口にしたい様子だ。
「あら、人だかり? いい機会です、集まって下さった方々にも振舞うとしましょう」
せっかくだからと桜花は車内で焼き肉や焼きそば、クレープなどを焼いては紙皿に乗せ、やってきた一般人に次々と渡していく。
これらは『|花見御膳《ハナミゴゼン》』で調理された物で、デウスエクスの襲撃により疲弊した心身を癒すには十分すぎる物だ。
カメラは桜花が調理をする様だけでなく、彼女が作った物を口にして笑顔になる一般人の様子もしっかりと収めていた。
「……いやあ、大盛況でしたね桜花さん」
「ふふ、そうですね。皆さんに喜んで頂けたようで何よりです」
そして人の波が一通り落ち着いたところで取材班がコーラや薄茶糖を片手にくつろぐ。
彼らもようやく美味しい物にありつけたようで、ホッと一息と言った感じか。
「これで取材の方もまだ頑張れそうです。あ、クレープおかわりいいですか?」
「はい、畏まりました。すぐに用意しますね」
まだ食べ足りないと言った様子のインタビュアーからオーダーを受けると、桜花は笑顔で調理を再開するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
カーバンクル・スカルン
「異界からやってきた謎のケルベロスに密着!」っていうのは見出しに最適だとは分かるけどね? 私は20分近く時間稼いだだけやし、そこで伸びて干からびそうな奴らの取材でもしてやんなー?
……スナイパーの配置、落とし穴、巨大鋸の発注? たしかに私が「やれ」っていうか命令したけどさぁ……言うだけとやるのは別のお話だからさ? いかにして10分やそこらで準備したのか取材してやって。
そう言って取材陣を煙に巻いて撤収するわー。
そこまで言っても引き下がって付いてくるようなら路地裏に飛び込むなりして視界からいなくなった瞬間に【クリスタライズ】。特務機関に睨まれたくなきゃ嫌がる相手に付き纏いはしてこないと思うけどね?
●インタビューその6(?):カーバンクル・スカルン
「『異界からやってきた謎のケルベロスに密着!』っていうのは見出しに最適だとは分かるけどね? 私は20分近く時間稼いだだけやし、そこで伸びて干からびそうな奴らの取材でもしてやんなー?」
取材に対してはあまり乗り気ではないのか、カーバンクルは今回の戦いを支えたケルベロスを取り上げてくれと口にする。
彼女はそれほど活躍した訳ではないと言ってはいるが、的確にポジション要請をした事が勝利に繋がったのは間違いあるまい。
「うーん、それでも破壊竜の討伐には活躍した事は変わりないと思うのですけど……いえ、もちろん我々も無理強いはしません」
取材を受けるか否かは当人の意思を尊重する以上、取材班も無理に突っ込むような真似はしない。
……とは言え、最低限何をしたのかと言う事くらいは確認しておきたいのか、軽く質問を受ける事に。
「時間を稼いだそうですが、具体的にはどんな事を?」
「……スナイパーの配置、落とし穴、巨大鋸の発注? たしかに私が「やれ」っていうか命令したけどさぁ……言うだけとやるのは別のお話だからさ?」
いかにして10分やそこらで準備したのか取材してやって。
そう告げると、カーバンクルは足早にその場から去っていった。
「行ってしまった……まあ仕方ないか。とりあえず、さっき聞いた話を元に戦闘に参加したケルベロスの方々に取材しよう」
このまま引き下がってまで話を聞く訳にもいかない。
取材班は気持ちを切り替え、カーバンクルに言われた通り戦いを支えたケルベロスに話を聞く事にした。
「援軍として駆け付けたケルベロスについて? あの人に『時間を稼ぐから、その間にスナイパー部隊は配置に付いてくれ』って言われたわ」
……最初にインタビューしたのは、黒鎖竜牙兵の戦闘にスナイパーのポジションとして支援したケルベロスであった。
彼女曰く、何か罠のような檻を道路上に仕掛け、そこへ誘い込むなどしてから完全に油断しきったところを狙い撃てと言う指示が出たそうな。
その結果、誘い込みは的中し敵が油断しきったおかげで百発百中……確実なヘッドショットを決める事が出来たと言う。
「たった一人で罠に誘い込んでたけど、あの人は相当なやり手だったわね。おかげで援軍が来るまでの10分は余裕で持たせられたわ」
また会う事があれば、その時はお礼を言いたいものね。
そんな事をしみじみと語っていた。
「俺達はアベルビジのしぶとさに、心が折れそうになってたところを彼女に渇を入れられたんだ。……まあ、その後に相当な無茶振りをされたんだがね」
そう語るのは、ジャマーとして落とし穴を用意したケルベロスだ。
破壊竜を罠に嵌めるため、およそ7、8メートルの落とし穴を掘るのは相当苦労させられたと言う。
「あの時はドリルやシャベル、使える物は全部使ったよ。穴を掘っている間はアベルビジの咆哮に怯えつつって感じだったな」
作戦決行時にはカーバンクルが全力で囮となって時間を稼いでくれた事で、可能な限り早く落とし穴を用意する事が出来た。
ただ、その他にももう一つ無茶振りがあったそうだ。
「落とし穴の他に、巨大鋸の発注も告げられた時は目の前が真っ暗になりそうだったよ。え、それも用意するのか……ってね」
悩んだ末、大型作業用機械のブレード部分を取り外して刃のように研いだ後、即席で溶接し繋ぎ合わせる事で用意したのだとか。
完成直後は上手く使えるのか不安はあったものの、最終的にアベルビジを倒す事が出来たので結果オーライである。
「色々あったが、彼女が助けに来てくれたおかげでこうしてインタビューを受けてる訳だ……感謝してもしきれないさ」
その言葉と共にインタビューを締めくくるケルベロス。
そうしてカーバンクルの存在は『ケルベロスを助けた謎のヒーロー!?』と言う扱いで放送されたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
エスカ・ブランシェール
あたいの強さの秘密?
そいつは酒と肉とイイ男……ってのは、冗談だw
(まあ、半分は本当だけど)
こちとら、気のコントロールを極めてるんでね
肉体の限界超えて、やろうと思えば幽霊だってブン殴れるんだよ
勿論、日々の鍛錬も欠かしてねぇぜ
まあ、この野太刀を背負ってるだけでも、常人にとっちゃ十分に鍛錬になるけどな
誰か、持ってみるやつ、いるか?(注:クソ重い)
さて……ここでクイズだ
あたいの歳、いくつに見える?
実は、もうじき40歳なんて言ったら驚くか?
気のコントロール極めりゃ、肉体年齢を若く保ったままにもできるのさ
よかったら、あたいの道場で取り入れてる特訓メニューを教えるぜ?
(エンブレ世界以外の常人には苦行です)
●インタビューその7:エスカ・ブランシェール
「エスカさんはアベルビジ戦でも活躍していましたが、その強さの秘密はどこから?」
「あたいの強さの秘密? そいつは酒と肉とイイ男……ってのは、冗談だ」
早速インタビューを受ける事になったエスカは早々に分かりやすいジョークを飛ばし、周囲の笑いを誘う。
……と言ってもその半分は本当だったりするのだが、敢えて言う事でもあるまい。
「こちとら、気のコントロールを極めてるんでね。肉体の限界超えて、やろうと思えば幽霊だってブン殴れるんだよ」
気のコントロール……黒鎖竜牙兵との戦いで見せた、螺旋状の波動の事だろう。
あの時は敵をも操り同士討ちをさせる事で数を減らすと言う離れ業をやってのけた訳だが、彼女が豪語するように幽霊ですらブン殴る事も容易いだろう。
「ゆ、幽霊まで……それは凄い……!」
「勿論、日々の鍛錬も欠かしてねぇぜ」
そう言うとエスカは背負っていた愛用の野太刀『剛刃・愛染櫻』を手に取り、カメラの前に見せ付ける。
彼女の趣味が溢れているハート柄の鞘がなんとも特徴的だ。
「まあ、この野太刀を背負ってるだけでも、常人にとっちゃ十分に鍛錬になるけどな」
「確かにこれだけ大きいとなると、結構な重さだと推測出来ますね」
先の破壊竜との戦いではこの野太刀で熱線を受け止め、そのまま相手の力を利用して硬い鱗をも切り裂いたのはライブカメラの映像で取材班も目にしていた。
これだけ長い得物を振り回すのは大変そうだし、使いこなすのにも相当な修練が必要となるのは言うまでもないだろう。
「誰か、持ってみるやつ、いるか?」
「じゃあ、ここは……取材班で一番力持ちのADさんに持ってもらいましょうか」
早速インタビュアーに手招きされ、呼ばれたADがカメラにフレームインする。
彼はドラゴニアンで背は2メートル近くはあり、筋骨隆々の体をしている事から力持ちと言われているのにも納得だ。
「あ、オレっスか? えーと、このでっかい刀を持てばいいんスよね?」
「ああ、そうだぜ。……でも、かなり重いから覚悟はした方がいいんじゃねぇか?」
エスカがニヤリと笑うと、ADに愛染櫻を差し出す。
……まあ重いと言っても精々ダンベル程度の物だろう、そう思っていた訳だが。
「んじゃあ、失礼して……おわッ!?」
受け取った直後、彼の両手に物凄い重力がかかり、地面に落としそうになる。
それはまるでウエイトリフティングのバーベルを彷彿とさせる重さだ。
「ちょッ、マ、マジかよ……これ、一体何キロあるんスか!?」
「ま、それはご想像にお任せ……ってな?」
ホラ、女には秘密の一つや二つくらいあるモンだろ? と、笑って語るエスカ。
彼女はあれだけ重い物を軽々と扱い、デウスエクスと戦ったのだ……その実力がどれ程の物かは間違いなく伝わる事だろう。
「さて……ここでクイズだ。あたいの歳、いくつに見える?」
「うーん、そうですね……20代半ばくらい、でしょうか?」
周りのスタッフからも同じような答えが次々と出てくる。
彼らにはそれくらいの歳に見えるのだろう。
「ほほう……実は、もうじき40歳なんて言ったら驚くか?」
「え、もうじき40って事は今は39……えぇーっ!?」
エスカの実年齢を知り、素で驚くインタビュアー。
39にしてはあまりにも若々しく、驚くのも無理はない。
「気のコントロール極めりゃ、肉体年齢を若く保ったままにもできるのさ」
彼女は『竜』の扱いを極めた結果、代謝のコントロールにより実年齢よりもかなり若い外見をしていた。
そんな事が出来るのもエンドブレイカーならでは、と言う事なのだろう。
「よかったら、あたいの道場で取り入れてる特訓メニューを教えるぜ?」
「なんと、道場もやっているんですか? 問い合わせが殺到しそうですね!」
「まあ付いてこれるかどうかは別だけどな!」
そう笑ってインタビューを〆るエスカ。
なおメニュー内容はエンドブレイカーの世界の人間以外には相当な苦行なので、彼女の言っている事はジョークではなく真実だったのだが。
――かくして、浅草に襲来したデウスエクスの脅威は駆け付けた猟兵達の活躍によって去り、一時的ではあるが平穏が戻ってきた。
これからも奴らの脅威は続くが、猟兵がこの世界に降り立った事で地球側は大きな力を得た事になるだろう。
大成功
🔵🔵🔵